(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035828
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】化粧材
(51)【国際特許分類】
B27M 3/00 20060101AFI20220225BHJP
B27D 5/00 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
B27M3/00 P
B27D5/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140397
(22)【出願日】2020-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 浩司
(72)【発明者】
【氏名】益川 健吾
【テーマコード(参考)】
2B002
2B250
【Fターム(参考)】
2B002AA11
2B002BA08
2B002BA09
2B002BA18
2B002BA19
2B002DA06
2B250AA06
2B250BA03
2B250CA11
2B250EA13
2B250EA15
2B250FA02
2B250FA15
2B250FA23
2B250GA08
(57)【要約】
【課題】化粧材を折り曲げた際に隣り合う一対の木質基材部を確実に直角に配置させる。
【解決手段】第1木質基材部21aの第2木質基材部22a側には、表面から裏面に向けて第1出隅Pa、第1入隅Pb、第2出隅Pc及び第2入隅Pdを順に経由して折り曲げ軸Jに到達するような横断面を有する第1切り欠き部Caが設けられ、第2木質基材部22aの第1木質基材部21a側には、表面から裏面に向けて第3出隅Pe、第3入隅Pf及び第4出隅Pgを順に経由して折り曲げ軸Jに到達すると共に、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aを直角に配置させた際に第1入隅Pb及び第2出隅Pcの中間部分に第3出隅Peが位置して第1切り欠き部Caと重なるような横断面を有する第2切り欠き部Cbが設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧面が裏面に設けられ、可撓性を有する帯状のベース材と、
上記ベース材の延びる方向に沿って規定された折り曲げ軸を介して上記ベース材の表面に互いに隣り合うように帯状に設けられた第1木質基材部及び第2木質基材部とを備え、
上記第1木質基材部の第2木質基材部側には、表面から裏面に向けて第1出隅、第1入隅、第2出隅及び第2入隅を順に経由して上記折り曲げ軸に到達するような横断面を有する第1切り欠き部が設けられ、
上記第2木質基材部の第1木質基材部側には、表面から裏面に向けて第3出隅、第3入隅及び第4出隅を順に経由して上記折り曲げ軸に到達すると共に、上記折り曲げ軸を中心に上記ベース材を折り曲げて上記第1木質基材部及び上記第2木質基材部を直角に配置させた際に上記第1入隅及び上記第2出隅の中間部分に上記第3出隅が位置して上記第1切り欠き部と重なるような横断面を有する第2切り欠き部が設けられていることを特徴とする化粧材。
【請求項2】
請求項1に記載された化粧材において、
上記第1切り欠き部は、上記折り曲げ軸を中心に上記ベース材を折り曲げて上記第1木質基材部及び上記第2木質基材部を直角に配置させた際に上記第2切り欠き部に重なり合う裏面側の重合領域と、該第2切り欠き部に重なり合わない表面側の非重合領域とを備えていることを特徴とする化粧材。
【請求項3】
請求項2に記載された化粧材において、
上記第1切り欠き部における上記非重合領域の表面側の側面と上記折り曲げ軸との長さは、上記第1切り欠き部以外の上記第1木質基材部、及び上記第2切り欠き部以外の上記第2木質基材部の厚さよりも大きくなっていることを特徴とする化粧材。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1つに記載された化粧材において、
上記第1切り欠き部及び上記第2切り欠き部の少なくとも一方には、上記折り曲げ軸を中心に上記ベース材を折り曲げて上記第1木質基材部及び上記第2木質基材部を直角に配置させた際に重なり合う面に溝部又は面取り部が設けられていることを特徴とする化粧材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下地材の表面に化粧材を貼り付けた内装材は、従来から広く用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、折り曲げて使用する長尺の化粧材の折り曲げ位置にその裏面から折り曲げ用の溝を形成し、その溝の表面を含む化粧材の裏面にホットメルト系接着剤及び水系接着剤を線状に塗布した後に、その溝を閉じて化粧材を折り曲げる、化粧材の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図10は、従来の化粧材130の横断面図である。また、
図11及び
図12は、従来の化粧材130を折り曲げた際の第1及び第2の横断面図である。
【0006】
従来の化粧材130は、
図10に示すように、裏面(図中の下面)に化粧面が設けられた可撓性を有するベース材110と、ベース材110の表面(図中の上面)に互いに隣り合うように設けられた板状の木質基材部121及び122とを備え、図中の奥行方向に延びるように設けられている。ここで、
図10に示すように、木質基材部121の木質基材部122側の端部には、切り欠き部Caが形成され、木質基材部122の木質基材部121側の端部には、切り欠き部Cbが形成され、切り欠き部Ca及びCbの間に配置する折り曲げ軸Jを中心に折り曲げると、切り欠き部Ca及びCbが互いに重なるようになっている。なお、化粧材130は、木質基材部121及び122となる木質基材をベース材110の表面に貼り付けた後に、例えば、回転鋸等の加工機を用いて、木質基材に切り欠き部Ca及びCbとなる溝Gを形成することにより、製造することができる。
【0007】
ところで、ベース材110に貼り付ける木質基材としては、所定厚さに揃えられた板材が使用される。具体的には、目標の厚さに対し、±5~10%程度の精度が一般的であり、例えば、12mmの厚さの木質板材であれば、11.5mm~12.5mmの木質基材、つまり、目標の厚さ12mmに対して、±0.5mm程度のものが使用される。さらに、木質板材は、湿度により膨潤や乾燥をするので、厚さのばらつきに加えて、反りやねじれが発生する場合がある。そうなると、同じ加工条件で木質基材に溝Gを形成しても、連続的に加工する木質基材の厚さにばらつきがあるので、
図11に示すように、木質基材が厚くなると、木質基材部121及び122を直角に配置させることが出来なかったり、
図12に示すように、木質基材が薄くなると、木質基材部121及び122の間に隙間が生じて、不安定になったりするおそれがある。そのため、従来の化粧材130では、折り曲げた際に木質基材部121及び122を安定して直角に配置させることが困難であった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、化粧材を折り曲げた際に隣り合う一対の木質基材部を確実に直角に配置させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る化粧材は、化粧面が裏面に設けられ、可撓性を有する帯状のベース材と、上記ベース材の延びる方向に沿って規定された折り曲げ軸を介して上記ベース材の表面に互いに隣り合うように帯状に設けられた第1木質基材部及び第2木質基材部とを備え、上記第1木質基材部の第2木質基材部側には、表面から裏面に向けて第1出隅、第1入隅、第2出隅及び第2入隅を順に経由して上記折り曲げ軸に到達するような横断面を有する第1切り欠き部が設けられ、上記第2木質基材部の第1木質基材部側には、表面から裏面に向けて第3出隅、第3入隅及び第4出隅を順に経由して上記折り曲げ軸に到達すると共に、上記折り曲げ軸を中心に上記ベース材を折り曲げて上記第1木質基材部及び上記第2木質基材部を直角に配置させた際に上記第1入隅及び上記第2出隅の中間部分に上記第3出隅が位置して上記第1切り欠き部と重なるような横断面を有する第2切り欠き部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、可撓性を有し、その延びる方向に沿って折り曲げ軸が規定された帯状のベース材の表面には、帯状の第1木質基材部及び第2木質基材部が折り曲げ軸を介して互いに隣り合うように設けられている。ここで、第1木質基材部の第2木質基材部側には、表面から裏面に向けて第1出隅、第1入隅、第2出隅及び第2入隅を順に経由して折り曲げ軸に到達するような横断面を有する第1切り欠き部が設けられている。また、第2木質基材部の第1木質基材部側には、表面から裏面に向けて第3出隅、第3入隅及び第4出隅を順に経由して折り曲げ軸に到達すると共に、折り曲げ軸を中心にベース材を折り曲げて第1木質基材部及び第2木質基材部を直角に配置させた際に第1入隅及び第2出隅の中間部分に第3出隅が位置して第1切り欠き部と重なるような横断面を有する第2切り欠き部が設けられている。これにより、折り曲げ軸を中心にベース材を折り曲げて第1木質基材部及び第2木質基材部を直角に配置させた際に、第1木質基材部に切削加工により形成した第1切り欠き部の裏面側の部分と、第2木質基材部に切削加工により形成した第2切り欠き部の全体とが重なり合うので、第1木質基材部及び第2木質基材部の元来の厚さに影響されることなく、第1木質基材部及び第2木質基材部を直角に配置させることができる。したがって、化粧材を折り曲げた際に隣り合う一対の木質基材部を確実に直角に配置させることができる。さらに、切削加工後に速やかに接着剤を塗布し、直角に配置させた第1木質基材部及び第2木質基材部の重なり合う部分を接合することにより、木質基材の湿度による寸法変化、反り、ねじれの影響を少なくすることができる。
【0011】
上記第1切り欠き部は、上記折り曲げ軸を中心に上記ベース材を折り曲げて上記第1木質基材部及び上記第2木質基材部を直角に配置させた際に上記第2切り欠き部に重なり合う裏面側の重合領域と、該第2切り欠き部に重なり合わない表面側の非重合領域とを備えていてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、第1切り欠き部は、折り曲げ軸を中心にベース材を折り曲げて第1木質基材部及び第2木質基材部を直角に配置させた際に第2切り欠き部に重なり合う裏面側の重合領域と、第2切り欠き部に重なり合わない表面側の非重合領域とを備えている。そのため、第1切り欠き部の重合領域において、第1木質基材部に形成した第1切り欠き部の裏面側の部分と、第2木質基材部に形成した第2切り欠き部の全体とを具体的に重なり合わせることができる。また、第1切り欠き部は、その表面側に第2切り欠き部に重なり合わない非重合領域を備えているので、折り曲げ軸を中心にベース材を折り曲げて第1木質基材部及び第2木質基材部を直角に配置させた際に、第2木質基材部に形成した第2切り欠き部が第1木質基材部の第1切り欠き部以外の部分に接触することを抑制することができる。さらに、これにより、折り曲げ軸を中心にベース材を折り曲げて第1木質基材部及び第2木質基材部を直角に配置させた内角部に、非重合領域による面取部が形成することができ、接合する際に余剰な接着剤を逃がすことができる。
【0013】
上記第1切り欠き部における上記非重合領域の表面側の側面と上記折り曲げ軸との長さは、上記第1切り欠き部以外の上記第1木質基材部、及び上記第2切り欠き部以外の上記第2木質基材部の厚さよりも大きくなっていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、第1木質基材部の第1切り欠き部における非重合領域の表面側の側面と折り曲げ軸との長さは、第1切り欠き部以外の第1木質基材部、及び第2切り欠き部以外の第2木質基材部の厚さよりも大きくなっているので、折り曲げ軸を中心にベース材を折り曲げて第1木質基材部及び第2木質基材部を直角に配置させた際に、第2木質基材部に形成した第2切り欠き部が第1木質基材部の第1切り欠き部以外の部分に接触することを具体的に抑制することができる。
【0015】
上記第1切り欠き部及び上記第2切り欠き部の少なくとも一方には、上記折り曲げ軸を中心に上記ベース材を折り曲げて上記第1木質基材部及び上記第2木質基材部を直角に配置させた際に重なり合う面に溝部又は面取り部が設けられていてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、折り曲げ軸を中心にベース材を折り曲げて第1木質基材部及び第2木質基材部を直角に配置させた際に重なり合う面に溝部又は面取り部が設けられているので、重なり合う面の間に存在する余剰な接着剤が溝部又は面取り部に逃げることにより、第1切り欠き部及び第2切り欠き部の重なり合う面の密着性が向上し、第1木質基材部及び第2木質基材部の直角精度を向上させることができる。
【0017】
上記第1切り欠き部における上記重合領域の表面側の面と上記非重合領域の裏面側の面とは、同一平面にあると共に、上記第1木質基材部の裏面と平行に配置されていてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、第1切り欠き部における重合領域の表面側の面と非重合領域の裏面側の面とは、同一平面にあると共に、第1木質基材部の裏面と平行に配置されているので、例えば、ベース材の表面に貼り付けた広幅の帯状の木質基材の表面に溝加工することにより、第1切り欠き部における重合領域の表面側の面と非重合領域の裏面側の面とを精度良く形成することができる。
【0019】
上記折り曲げ軸を中心に上記ベース材を折り曲げて上記第1木質基材部及び上記第2木質基材部を直角に配置させた際に上記第1切り欠き部における上記重合領域の表面側の面と重なる上記第2切り欠き部の側面は、上記第2木質基材部の裏面に対して直立していてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、折り曲げ軸を中心にベース材を折り曲げて第1木質基材部及び第2木質基材部を直角に配置させた際に、第1切り欠き部における重合領域の表面側の面と重なる第2切り欠き部の側面は、第2木質基材部の裏面に対して直立しているので、例えば、ベース材の表面に貼り付けた広幅の帯状の木質基材の裏面に溝加工することにより、第2切り欠き部の側面を精度良く形成することができる。また、第1木質基材部の第1切り欠き部における重合領域の表面側の面が第1木質基材部の裏面と平行に配置され、さらに、第1切り欠き部における重合領域の表面側の面と重なる第2木質基材部の第2切り欠き部の側面が第2木質基材部の裏面に対して直立しているので、第1木質基材部及び第2木質基材部を具体的に直角に配置させることができる。
【0021】
上記第2切り欠き部の側面と上記折り曲げ軸との長さは、上記第1切り欠き部以外の上記第1木質基材部、及び上記第2切り欠き部以外の上記第2木質基材部の厚さよりも小さくなっていてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、第2切り欠き部の側面と折り曲げ軸との長さは、第1切り欠き部以外の第1木質基材部、及び第2切り欠き部以外の第2木質基材部の厚さよりも小さくなっているので、折り曲げ軸を中心にベース材を折り曲げて第1木質基材部及び第2木質基材部を直角に配置させた際に、裏面側の部分が第2切り欠き部に重なり合う第1切り欠き部を第1木質基材部に形成することができる。
【0023】
上記ベース材には、上記折り曲げ軸が互いに隣り合うように一対規定され、上記ベース材の表面には、上記一対の折り曲げ軸の間に延びるように斜辺が該ベース基板の表面に接する直角二等辺三角形の横断面を有する木質三角柱片が設けられていてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、ベース材の表面には、一対の折り曲げ軸の間に延びるように木質三角柱片が設けられているので、一対の折り曲げ軸を中心にベース材を折り曲げて第1木質基材部及び第2木質基材部を直角に配置させた際に、第1木質基材部及び第2木質基材部の間に45°の面取り部を構成することができる。
【0025】
上記ベース材には、上記折り曲げ軸が互いに隣り合うように複数規定され、上記ベース材の表面には、上記複数の折り曲げ軸に対応して複数の木質小片が該折り曲げ軸に沿って延びるように設けられていてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、ベース材の表面には、複数の折り曲げ軸に対応して複数の木質小片が設けられているので、複数の折り曲げ軸を中心にベース材を折り曲げて第1木質基材部及び第2木質基材部を直角に配置させた際に、第1木質基材部及び第2木質基材部の間に潰れ難い円弧状の面取り部を構成することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、第1木質基材部の第2木質基材部側には、表面から裏面に向けて第1出隅、第1入隅、第2出隅及び第2入隅を順に経由して折り曲げ軸に到達するような横断面を有する第1切り欠き部が設けられ、第2木質基材部の第1木質基材部側には、表面から裏面に向けて第3出隅、第3入隅及び第4出隅を順に経由して折り曲げ軸に到達すると共に、折り曲げ軸を中心にベース材を折り曲げて第1木質基材部及び第2木質基材部を直角に配置させた際に第1入隅及び第2出隅の中間部分に第3出隅が位置して第1切り欠き部と重なるような横断面を有する第2切り欠き部が設けられているので、化粧材を折り曲げた際に隣り合う一対の木質基材部を確実に直角に配置させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る化粧材を上り框として用いた玄関床構造の断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る化粧材の横断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る化粧材を折り曲げた際の横断面図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る化粧材の横断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る化粧材を折り曲げた際の横断面図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係る化粧材の横断面図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態に係る化粧材を折り曲げた際の横断面図である。
【
図8】本発明の第4の実施形態に係る化粧材の横断面図である。
【
図9】本発明の第4の実施形態に係る化粧材を折り曲げた際の横断面図である。
【
図11】従来の化粧材を折り曲げた際の第1の横断面図である。
【
図12】従来の化粧材を折り曲げた際の第2の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
【0030】
《第1の実施形態》
図1~
図3は、本発明に係る化粧材の第1の実施形態を示している。ここで、
図1は、本実施形態の化粧材30aを上り框として用いた玄関床構造50の断面図である。また、
図2は、化粧材30aの横断面図である。また、
図3は、化粧材30aを折り曲げた際の横断面図である。
【0031】
玄関床構造50は、
図1に示すように、床束41、大引42、根太43、捨て張り合板44、下地角材45、化粧材30a、フローリング材46、下地板材47及びタイル材48を備えている。ここで、床束41は、
図1に示すように、床面Fに束石を介して直立した状態に設けられている。また、大引42は、
図1に示すように、図中の横方向に延びるように複数設けられ、所定間隔に配置された床束41に支持されている。また、根太43は、
図1に示すように、図中の奥行方向に延びるように複数設けられ、所定間隔に配置された大引42上に載置されている。また、捨て張り合板44は、
図1に示すように、複数の根太43上に敷いたように設けられている。また、下地角材45は、
図1に示すように、各大引42の図中の左側の端部の上角部に嵌合した状態で固定されている。また、化粧材30aは、後述するように、帯状に形成され、幅方向の中間部分で折り曲げて、
図1に示すように、例えば、酢酸ビニル系樹脂や水性ビニルウレタン系樹脂等の水系接着剤、又はウレタン系やエポキシ系等の無溶剤接着剤等により、下地角材45の2つの側面(図中の上面及び左面)に貼り付けられている。また、フローリング材46は、
図1に示すように、捨て張り合板44上に敷いたように設けられ、その上面が化粧材30aの上面と面一になっている。また、下地板材47は、
図1に示すように、大引42の端面(図中の左面)及び床束41の側面(図中の左面)にスペーサーを介して固定されている。また、タイル材48は、
図1に示すように、床面F及び下地板材47の表面にモルタルを介して貼り付けられている。
【0032】
化粧材30aは、
図2に示すように、可撓性を有する帯状のベース材10と、ベース材10の延びる方向(図中の奥行方向)に沿って規定された折り曲げ軸Jを介してベース材10の表面に互いに隣り合うように帯状に設けられた第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aとを備えている。
【0033】
ベース材10は、例えば、突板、紙、樹脂含浸紙、ポリサンド紙、樹脂シート等により構成され、その裏面(
図1中の下面)に化粧面が設けられている。なお、ベース材10が突板以外のシート材により構成されている場合には、ベース材10の裏面に木目等の模様が印刷されている。
【0034】
第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aは、例えば、無垢木材、合板、MDF(Medium Density Fiberboard)等の木質材料により構成されている。ここで、第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aは、例えば、酢酸ビニル系樹脂や水性ビニルウレタン系樹脂等の水系接着剤、又はPUR(Poly Urethane Reactive)ホットメルト等の非水系接着剤等により、ベース材10の表面(
図2中の上面)に貼り付けられている。
【0035】
第1木質基材部21aの第2木質基材部22a側には、
図2に示すように、表面から裏面に向けて第1出隅Pa、第1入隅Pb、第2出隅Pc及び第2入隅Pdを順に経由して折り曲げ軸Jに到達するような横断面を有する第1切り欠き部Caが設けられている。なお、第1木質基材部21aの表面から裏面に向けての第1切り欠き部Caの横断面の輪郭は、
図2に示すように、まず、第1出隅Paから第1入隅Pbに向けて図中の上下方向に延び、続いて、第1入隅Pbで図中の右側に直角に曲がって第1入隅Pbから第2出隅Pcに向けて図中の左右方向に延び、その後、第2出隅Pcで図中の下側に直角に曲がって第2出隅Pcから第2入隅Pdに向けて図中の上下方向に延び、さらに、第2入隅Pdで図中の右下側に45°曲がって第2入隅Pdから折り曲げ軸Jに向けて図中の斜め方向に延びるような形状になっている。
【0036】
第2木質基材部22aの第1木質基材部21a側には、
図2に示すように、表面から裏面に向けて第3出隅Pe、第3入隅Pf及び第4出隅Pgを順に経由して折り曲げ軸Jに到達すると共に、
図3に示すように、折り曲げ軸Jを中心に上ベース材10を折り曲げて第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aを直角に配置させた際に第1入隅Pb及び第2出隅Pcの中間部分に第3出隅Peが位置して第1切り欠き部Caと重なるような横断面を有する第2切り欠き部Cbが設けられている。なお、第2木質基材部22aの表面から裏面に向けての第2切り欠き部Cbの輪郭は、
図2に示すように、まず、第3出隅Peから第3入隅Pfに向けて図中の上下方向に延び、続いて、第3入隅Pfで図中の左側に直角に曲がって第3入隅Pfから第4出隅Pgに向けて図中の左右方向に延び、その後、第4出隅Pgで図中の左下側に45°曲がって第4出隅Pgから折り曲げ軸Jに向けて図中の斜め方向に延びるような形状になっている。
【0037】
ここで、第1切り欠き部Caは、
図3に示すように、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aを直角に配置させた際に第2切り欠き部Cbに重なり合う裏面側の重合領域Sと、第2切り欠き部Cbに重なり合わない表面側の非重合領域Nとを備えている。また、第1切り欠き部Caにおける重合領域Sの表面側の面と非重合領域Nの裏面側の面とは、
図2及び
図3に示すように、同一平面にあると共に、第1木質基材部21aの裏面と平行に配置されている。なお、第1切り欠き部Caにおける非重合領域Nの表面側の側面と折り曲げ軸Jとの長さLaは、
図2に示すように、第1切り欠き部Ca以外の第1木質基材部21a、及び第2切り欠き部Cb以外の第2木質基材部22aの厚さTよりも大きくなっている。
【0038】
また、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aを直角に配置させた際に第1切り欠き部Caにおける重合領域Sの表面側の面と重なる第2切り欠き部Cbの側面は、
図2及び
図3に示すように、第2木質基材部22aの裏面に対して直立している。なお、第2切り欠き部Cbの側面と折り曲げ軸Jとの長さLbは、
図2に示すように、第1切り欠き部Ca以外の第1木質基材部21a、及び第2切り欠き部Cb以外の第2木質基材部22aの厚さTよりも小さくなっている。
【0039】
また、第1切り欠き部Ca及び第2切り欠き部Cbの少なくとも一方には、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aを直角に配置させた際に重なり合う面に溝部D又は面取り部B(
図2参照)が設けられていてもよい。例えば、第2出隅Pc及び第2入隅Pdを含む面、並び第3入隅Pf及び第4出隅Pgを含め面は、重なり合う3つの面の中間の面で余剰な接着剤が逃げ難いので、それらの面には、
図2に示すように、溝部D及び面取り部Bが設けられていることが好ましい。
【0040】
上記構成の化粧材30aは、第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aとなる木質基材をベース材10の表面に貼り付けた後に、例えば、回転鋸等の加工機を用いて、木質基材の表面に第1切り欠き部Ca及び第2切り欠き部Cbとなる溝G(
図2参照)を形成することにより、製造することができる。なお、本実施形態では、溝Gの底をベース材10の表面に到達させて、第1切り欠き部Caにおける第2入隅Pdから折り曲げ軸Jまでの面と第2切り欠き部Cbにおける第4出隅Pgから折り曲げ軸Jまでの面とがベース材10の表面で線状に接する化粧材30aを例示したが、溝Gの底をベース材10の表面に到達させずに、溝Gの底部の木質基材をベース材10の表面に折り曲げられる程度に薄く残した形状であってもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の化粧材30aによれば、可撓性を有し、その延びる方向に沿って折り曲げ軸Jが規定された帯状のベース材10の表面には、帯状の第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aが折り曲げ軸Jを介して互いに隣り合うように設けられている。ここで、第1木質基材部21aの第2木質基材部22a側には、表面から裏面に向けて第1出隅Pa、第1入隅Pb、第2出隅Pc及び第2入隅Pdを順に経由して折り曲げ軸Jに到達するような横断面を有する第1切り欠き部Caが設けられている。また、第2木質基材部22aの第1木質基材部21a側には、表面から裏面に向けて第3出隅Pe、第3入隅Pf及び第4出隅Pgを順に経由して折り曲げ軸Jに到達すると共に、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aを直角に配置させた際に第1入隅Pb及び第2出隅Pcの中間部分に第3出隅Peが位置して第1切り欠き部Caと重なるような横断面を有する第2切り欠き部Cbが設けられている。これにより、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aを直角に配置させた際に、第1木質基材部21aに切削加工により形成した第1切り欠き部Caの裏面側の部分と、第2木質基材部22aに切削加工により形成した第2切り欠き部Cbの全体とが重なり合うので、第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aの元来の厚さに影響されることなく、第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aを直角に配置させることができる。したがって、化粧材30aを折り曲げた際に隣り合う第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aを確実に直角に配置させることができる。さらに、切削加工後に速やかに接着剤を塗布し、直角に配置させた第1木質基材部21a及び第2木質基材部22bの重なり合う部分を接合することにより、木質基材の湿度による寸法変化、反り、ねじれの影響を少なくすることができる。
【0042】
また、本実施形態の化粧材30aによれば、第1切り欠き部Caは、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aを直角に配置させた際に第2切り欠き部Cbに重なり合う裏面側の重合領域Sと、第2切り欠き部Cbに重なり合わない表面側の非重合領域Nとを備えている。そのため、第1切り欠き部Caの重合領域Sにおいて、第1木質基材部21aに形成した第1切り欠き部Caの裏面側の部分と、第2木質基材部22aに形成した第2切り欠き部Cbの全体とを重なり合わせることができる。また、第1切り欠き部Caは、その表面側に第2切り欠き部Cbに重なり合わない非重合領域Nを備え、言い換えれば、第1木質基材部21aの第1切り欠き部Caにおける非重合領域Nの表面側の側面と折り曲げ軸Jとの長さLaは、第1切り欠き部Ca以外の第1木質基材部21a、及び第2切り欠き部Cb以外の第2木質基材部22aの厚さTよりも大きくなっているので、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aを直角に配置させた際に、第2木質基材部22aに形成した第2切り欠き部Cbが第1木質基材部21aの第1切り欠き部Ca以外の部分に接触することを抑制することができる。さらに、これにより、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21a及び第2木質基材部22bを直角に配置させた内角部に、非重合領域Nによる面取部が形成することができ、接合する際に余剰な接着剤を逃がすことができる。
【0043】
また、本実施形態の化粧材30aによれば、第2切り欠き部Cbの側面と折り曲げ軸Jとの長さLbは、第1切り欠き部Ca以外の第1木質基材部21a、及び第2切り欠き部Cb以外の第2木質基材部22aの厚さTよりも小さくなっているので、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aを直角に配置させた際に、裏面側の部分が第2切り欠き部Cbに重なり合う第1切り欠き部Caを第1木質基材部21aに形成することができる。
【0044】
また、本実施形態の化粧材30aによれば、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21a及び第2木質基材部22aを直角に配置させた際に重なり合う面に溝部D又は面取り部Bが設けられている場合、重なり合う面の間に存在する余剰な接着剤が溝部D又は面取り部Bに逃げることにより、第1切り欠き部Ca及び第2切り欠き部Cbの重なり合う面の密着性が向上し、第1木質基材部21a及び第2木質基材部21bの直角精度を向上させることができる。
【0045】
《第2の実施形態》
図4及び
図5は、本発明に係る化粧材の第2の実施形態を示している。ここで、
図4は、本実施形態の化粧材30bの横断面図である。また、
図5は、化粧材30bを折り曲げた際の横断面図である。なお、以下の各実施形態において、
図1~
図3と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0046】
上記第1の実施形態では、第1切り欠き部Caの重合領域Sの上側の側面が第1木質基材部21aの裏面に対して直立した化粧材30aを例示したが、本実施形態では、第1切り欠き部Caの重合領域Sの上側の側面が第1木質基材部21aの裏面に対して傾斜した化粧材30bを例示する。
【0047】
化粧材30bは、
図4に示すように、ベース材10と、ベース材10の延びる方向(図中の奥行方向)に沿って規定された折り曲げ軸Jを介してベース材10の表面に互いに隣り合うように帯状に設けられた第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bとを備えている。
【0048】
第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bは、例えば、無垢木材、合板、MDF等の木質材料により構成されている。ここで、第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bは、例えば、酢酸ビニル系樹脂や水性ビニルウレタン系樹脂等の水系接着剤、又はPURホットメルト等の非水系接着剤等により、ベース材10の表面(
図4中の上面)に貼り付けられている。
【0049】
第1木質基材部21bの第2木質基材部22b側には、
図4に示すように、表面から裏面に向けて第1出隅Pa、第1入隅Pb、第2出隅Pc及び第2入隅Pdを順に経由して折り曲げ軸Jに到達するような横断面を有する第1切り欠き部Caが設けられている。
【0050】
第2木質基材部22bの第1木質基材部21b側には、
図4に示すように、表面から裏面に向けて第3出隅Pe、第3入隅Pf及び第4出隅Pgを順に経由して折り曲げ軸Jに到達すると共に、
図5に示すように、折り曲げ軸Jを中心に上ベース材10を折り曲げて第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bを直角に配置させた際に第1入隅Pb及び第2出隅Pcの中間部分に第3出隅Peが位置して第1切り欠き部Caと重なるような横断面を有する第2切り欠き部Cbが設けられている。
【0051】
ここで、第1切り欠き部Caは、
図5に示すように、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bを直角に配置させた際に第2切り欠き部Cbに重なり合う裏面側の重合領域Sと、第2切り欠き部Cbに重なり合わない表面側の非重合領域Nとを備えている。また、第1切り欠き部Caにおける重合領域Sの表面側の面と非重合領域Nの裏面側の面とは、
図4及び
図5に示すように、同一平面にあると共に、第1木質基材部21bの裏面と平行に配置されている。なお、第1切り欠き部Caにおける非重合領域Nの表面側の側面と折り曲げ軸Jとの長さLa(
図2参照)は、第1切り欠き部Ca以外の第1木質基材部21b、及び第2切り欠き部Cb以外の第2木質基材部22bの厚さT(
図2参照)よりも大きくなっている。
【0052】
また、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bを直角に配置させた際に第1切り欠き部Caにおける重合領域Sの表面側の面と重なる第2切り欠き部Cbの側面は、
図4及び
図5に示すように、第2木質基材部22bの裏面に対して直立している。なお、第2切り欠き部Cbの側面と折り曲げ軸Jとの長さLb(
図2参照)は、第1切り欠き部Ca以外の第1木質基材部21b、及び第2切り欠き部Cb以外の第2木質基材部22bの厚さT(
図2参照)よりも小さくなっている。
【0053】
上記構成の化粧材30bは、第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bとなる木質基材をベース材10の表面に貼り付けた後に、例えば、回転鋸等の加工機を用いて、その木質基材の表面に第1切り欠き部Ca及び第2切り欠き部Cbとなる溝G(
図4参照)を形成することにより、製造することができる。また、上記構成の化粧材30bは、上記第1の実施形態の化粧材30aと同様に、玄関床構造50を構成する下地角材45の2つの側面に貼り付けられる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の化粧材30bによれば、可撓性を有し、その延びる方向に沿って折り曲げ軸Jが規定された帯状のベース材10の表面には、帯状の第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bが折り曲げ軸Jを介して互いに隣り合うように設けられている。ここで、第1木質基材部21bの第2木質基材部22b側には、表面から裏面に向けて第1出隅Pa、第1入隅Pb、第2出隅Pc及び第2入隅Pdを順に経由して折り曲げ軸Jに到達するような横断面を有する第1切り欠き部Caが設けられている。また、第2木質基材部22bの第1木質基材部21b側には、表面から裏面に向けて第3出隅Pe、第3入隅Pf及び第4出隅Pgを順に経由して折り曲げ軸Jに到達すると共に、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bを直角に配置させた際に第1入隅Pb及び第2出隅Pcの中間部分に第3出隅Peが位置して第1切り欠き部Caと重なるような横断面を有する第2切り欠き部Cbが設けられている。これにより、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bを直角に配置させた際に、第1木質基材部21bに切削加工により形成した第1切り欠き部Caの裏面側の部分と、第2木質基材部22bに切削加工により形成した第2切り欠き部Cbの全体とが重なり合うので、第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bの元来の厚さに影響されることなく、第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bを直角に配置させることができる。したがって、化粧材30bを折り曲げた際に隣り合う第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bを確実に直角に配置させることができる。さらに、切削加工後に速やかに接着剤を塗布し、直角に配置させた第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bの重なり合う部分を接合することにより、木質基材の湿度による寸法変化、反り、ねじれの影響を少なくすることができる。
【0055】
また、本実施形態の化粧材30bによれば、第1切り欠き部Caは、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bを直角に配置させた際に第2切り欠き部Cbに重なり合う裏面側の重合領域Sと、第2切り欠き部Cbに重なり合わない表面側の非重合領域Nとを備えている。そのため、第1切り欠き部Caの重合領域Sにおいて、第1木質基材部21bに形成した第1切り欠き部Caの裏面側の部分と、第2木質基材部22bに形成した第2切り欠き部Cbの全体とを重なり合わせることができる。また、第1切り欠き部Caは、その表面側に第2切り欠き部Cbに重なり合わない非重合領域Nを備え、言い換えれば、第1木質基材部21bの第1切り欠き部Caにおける非重合領域Nの表面側の側面と折り曲げ軸Jとの長さLaは、第1切り欠き部Ca以外の第1木質基材部21b及び第2切り欠き部Cb以外の第2木質基材部22bの厚さTよりも大きくなっているので、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bを直角に配置させた際に、第2木質基材部22bに形成した第2切り欠き部Cbが第1木質基材部21bの第1切り欠き部Ca以外の部分に接触することを抑制することができる。さらに、これにより、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bを直角に配置させた内角部に、非重合領域Nによる面取部が形成することができ、接合する際に余剰な接着剤を逃がすことができる。
【0056】
また、本実施形態の化粧材30bによれば、第2切り欠き部Cbの側面と折り曲げ軸Jとの長さLbは、第1切り欠き部Ca以外の第1木質基材部21b、及び第2切り欠き部Cb以外の第2木質基材部22bの厚さTよりも小さくなっているので、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21b及び第2木質基材部22bを直角に配置させた際に、裏面側の部分が第2切り欠き部Cbに重なり合う第1切り欠き部Caを第1木質基材部21bに形成することができる。
【0057】
《第3の実施形態》
図6及び
図7は、本発明に係る化粧材の第3の実施形態を示している。ここで、
図6は、本実施形態の化粧材30cの横断面図である。また、
図7は、化粧材30cを折り曲げた際の横断面図である。
【0058】
上記第1及び第2の実施形態では、折り曲げ軸Jが1つ規定された化粧材30bを例示したが、本実施形態では、折り曲げ軸Jが一対規定された化粧材30cを例示する。
【0059】
化粧材30cは、
図6に示すように、ベース材10と、ベース材10の延びる方向(図中の奥行方向)に沿って互いに隣り合うように規定された一対の折り曲げ軸Jを介してベース材10の表面に互いに隣り合うように帯状に設けられた第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cと、ベース材10の表面に一対の折り曲げ軸Jの間に延びるように設けられた木質三角柱片23cとを備えている。
【0060】
第1木質基材部21c、第2木質基材部22c及び木質三角柱片23cは、例えば、無垢木材、合板、MDF等の木質材料により構成されている。ここで、第1木質基材部21c、第2木質基材部22c及び木質三角柱片23cは、例えば、酢酸ビニル系樹脂や水性ビニルウレタン系樹脂等の水系接着剤、又はPURホットメルト等の非水系接着剤等により、ベース材10の表面(
図6中の上面)に貼り付けられている。
【0061】
第1木質基材部21cの第2木質基材部22c側には、
図6に示すように、表面から裏面に向けて第1出隅Pa、第1入隅Pb、第2出隅Pc及び第2入隅Pdを順に経由して折り曲げ軸Jに到達するような横断面を有する第1切り欠き部Caが設けられている。
【0062】
第2木質基材部22cの第1木質基材部21c側には、
図6に示すように、表面から裏面に向けて第3出隅Pe、第3入隅Pf及び第4出隅Pgを順に経由して折り曲げ軸Jに到達すると共に、
図7に示すように、折り曲げ軸Jを中心に上ベース材10を折り曲げて第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cを直角に配置させた際に第1入隅Pb及び第2出隅Pcの中間部分に第3出隅Peが位置して第1切り欠き部Caと重なるような横断面を有する第2切り欠き部Cbが設けられている。
【0063】
なお、第1切り欠き部Ca及び第2切り欠き部Cbの形状は、上記第1の実施形態の化粧材30aの第1切り欠き部Ca及び第2切り欠き部Cbの形状と実質的に同じになっている。
【0064】
木質三角柱片23cは、
図5及び
図6に示すように、斜辺がベース基板10の表面に接する直角二等辺三角形の横断面を有している。なお、本実施形態では、直角二等辺三角形の横断面を有する木質三角柱片23cを例示したが、木質三角柱片23cは、頂角が120°程度の鈍角に形成された二等辺三角形の横断面を有していてもよい。
【0065】
上記構成の化粧材30cは、第1木質基材部21c、第2木質基材部22c及び木質三角柱片23cとなる木質基材をベース材10の表面に貼り付けた後に、例えば、回転鋸等の加工機を用いて、その木質基材の表面に第1切り欠き部Ca及び第2切り欠き部Cbとなる溝G(
図6参照)を木質三角柱片23cの部分を残して形成することにより、製造することができる。また、上記構成の化粧材30cは、上記第1の実施形態の化粧材30aと同様に、玄関床構造50を構成する下地角材45の2つの側面に貼り付けられる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の化粧材30cによれば、可撓性を有し、その延びる方向に沿って一対の折り曲げ軸Jが規定された帯状のベース材10の表面には、帯状の第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cが一対の折り曲げ軸Jを介して互いに隣り合うように設けられている。ここで、第1木質基材部21cの第2木質基材部22c側には、表面から裏面に向けて第1出隅Pa、第1入隅Pb、第2出隅Pc及び第2入隅Pdを順に経由して折り曲げ軸Jに到達するような横断面を有する第1切り欠き部Caが設けられている。また、第2木質基材部22cの第1木質基材部21c側には、表面から裏面に向けて第3出隅Pe、第3入隅Pf及び第4出隅Pgを順に経由して折り曲げ軸Jに到達すると共に、一対の折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cを直角に配置させた際に第1入隅Pb及び第2出隅Pcの中間部分に第3出隅Peが位置して第1切り欠き部Caと重なるような横断面を有する第2切り欠き部Cbが設けられている。これにより、一対の折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cを直角に配置させた際に、第1木質基材部21cに切削加工により形成した第1切り欠き部Caの裏面側の部分と、第2木質基材部22cに切削加工により形成した第2切り欠き部Cbの全体とが重なり合うので、第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cの元来の厚さに影響されることなく、第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cを直角に配置させることができる。したがって、化粧材30cを折り曲げた際に隣り合う第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cを確実に直角に配置させることができる。さらに、切削加工後に速やかに接着剤を塗布し、直角に配置させた第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cの重なり合う部分を接合することにより、木質基材の湿度による寸法変化、反り、ねじれの影響を少なくすることができる。
【0067】
また、本実施形態の化粧材30cによれば、第1切り欠き部Caは、一対の折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cを直角に配置させた際に第2切り欠き部Cbに重なり合う裏面側の重合領域Sと、第2切り欠き部Cbに重なり合わない表面側の非重合領域Nとを備えている。そのため、第1切り欠き部Caの重合領域Sにおいて、第1木質基材部21cに形成した第1切り欠き部Caの裏面側の部分と、第2木質基材部22cに形成した第2切り欠き部Cbの全体とを重なり合わせることができる。また、第1切り欠き部Caは、その表面側に第2切り欠き部Cbに重なり合わない非重合領域Nを備えているので、一対の折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cを直角に配置させた際に、第2木質基材部22cに形成した第2切り欠き部Cbが第1木質基材部21cの第1切り欠き部Ca以外の部分に接触することを抑制することができる。さらに、これにより、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cを直角に配置させた内角部に、非重合領域Nによる面取部が形成することができ、接合する際に余剰な接着剤を逃がすことができる。
【0068】
また、本実施形態の化粧材30cによれば、ベース材10の表面には、一対の折り曲げ軸Jの間に延びるように木質三角柱片23cが設けられているので、一対の折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cを直角に配置させた際に、第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cの間に45°の面取り部を構成することができる。
【0069】
《第4の実施形態》
図8及び
図9は、本発明に係る化粧材の第4の実施形態を示している。ここで、
図8は、本実施形態の化粧材30dの横断面図である。また、
図9は、化粧材30dを折り曲げた際の横断面図である。
【0070】
上記第3の実施形態では、第1木質基材部21c及び第2木質基材部22cの間に45°の面取り部が設けられた化粧材30cを例示したが、本実施形態では、第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dの間に円弧状の面取り部が設けられた化粧材30dを例示する。
【0071】
化粧材30dは、
図8に示すように、ベース材10と、ベース材10の延びる方向(図中の奥行方向)に沿って互いに隣り合うように規定された複数の折り曲げ軸Jを介してベース材10の表面に互いに隣り合うように帯状に設けられた第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dと、ベース材10の表面に複数の折り曲げ軸Jに対応して折り曲げ軸Jに沿って延びるように設けられた木質小片23dとを備えている。
【0072】
第1木質基材部21d、第2木質基材部22d及び木質小片23dは、例えば、無垢木材、合板、MDF等の木質材料により構成されている。ここで、第1木質基材部21d、第2木質基材部22d及び木質小片23dは、例えば、酢酸ビニル系樹脂や水性ビニルウレタン系樹脂等の水系接着剤、又はPURホットメルト等の非水系接着剤等により、ベース材10の表面(
図8中の上面)に貼り付けられている。
【0073】
第1木質基材部21dの第2木質基材部22d側には、
図8に示すように、表面から裏面に向けて第1出隅Pa、第1入隅Pb、第2出隅Pc及び第2入隅Pdを順に経由して折り曲げ軸Jに到達するような横断面を有する第1切り欠き部Caが設けられている。
【0074】
第2木質基材部22dの第1木質基材部21d側には、
図8に示すように、表面から裏面に向けて第3出隅Pe、第3入隅Pf及び第4出隅Pgを順に経由して折り曲げ軸Jに到達すると共に、
図9に示すように、折り曲げ軸Jを中心に上ベース材10を折り曲げて第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dを直角に配置させた際に第1入隅Pb及び第2出隅Pcの中間部分に第3出隅Peが位置して第1切り欠き部Caと重なるような横断面を有する第2切り欠き部Cbが設けられている。
【0075】
なお、第1切り欠き部Ca及び第2切り欠き部Cbの形状は、上記第1の実施形態の化粧材30aの第1切り欠き部Ca及び第2切り欠き部Cbの形状と実質的に同じになっている。
【0076】
木質小片23dは、
図8及び
図9に示すように、短辺がベース基板10の表面に接する長方形の横断面を有している。
【0077】
上記構成の化粧材30dは、第1木質基材部21d、第2木質基材部22d及び木質小片23dとなる木質基材をベース材10の表面に貼り付けた後に、例えば、回転鋸等の加工機を用いて、その木質基材の表面に第1切り欠き部Ca及び第2切り欠き部Cbとなる溝G(
図8参照)を木質小片23dの部分を残して形成することにより、製造することができる。また、上記構成の化粧材30dは、上記第1の実施形態の化粧材30aと同様に、玄関床構造50を構成する下地角材45の2つの側面に貼り付けられる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態の化粧材30dによれば、可撓性を有し、その延びる方向に沿って複数の折り曲げ軸Jが規定された帯状のベース材10の表面には、帯状の第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dが複数の折り曲げ軸Jを介して互いに隣り合うように設けられている。ここで、第1木質基材部21dの第2木質基材部22d側には、表面から裏面に向けて第1出隅Pa、第1入隅Pb、第2出隅Pc及び第2入隅Pdを順に経由して折り曲げ軸Jに到達するような横断面を有する第1切り欠き部Caが設けられている。また、第2木質基材部22dの第1木質基材部21d側には、表面から裏面に向けて第3出隅Pe、第3入隅Pf及び第4出隅Pgを順に経由して折り曲げ軸Jに到達すると共に、複数の折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dを直角に配置させた際に第1入隅Pb及び第2出隅Pcの中間部分に第3出隅Peが位置して第1切り欠き部Caと重なるような横断面を有する第2切り欠き部Cbが設けられている。これにより、複数の折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dを直角に配置させた際に、第1木質基材部21dに切削加工により形成した第1切り欠き部Caの裏面側の部分と、第2木質基材部22dに切削加工により形成した第2切り欠き部Cbの全体とが重なり合うので、第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dの元来の厚さに影響されることなく、第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dを直角に配置させることができる。したがって、化粧材30dを折り曲げた際に隣り合う第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dを確実に直角に配置させることができる。さらに、切削加工後に速やかに接着剤を塗布し、直角に配置させた第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dの重なり合う部分を接合することにより、木質基材の湿度による寸法変化、反り、ねじれの影響を少なくすることができる。
【0079】
また、本実施形態の化粧材30dによれば、第1切り欠き部Caは、複数の折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dを直角に配置させた際に第2切り欠き部Cbに重なり合う裏面側の重合領域Sと、第2切り欠き部Cbに重なり合わない表面側の非重合領域Nとを備えている。そのため、第1切り欠き部Caの重合領域Sにおいて、第1木質基材部21dに形成した第1切り欠き部Caの裏面側の部分と、第2木質基材部22dに形成した第2切り欠き部Cbの全体とを重なり合わせることができる。また、第1切り欠き部Caは、その表面側に第2切り欠き部Cbに重なり合わない非重合領域Nを備えているので、複数の折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dを直角に配置させた際に、第2木質基材部22dに形成した第2切り欠き部Cbが第1木質基材部21dの第1切り欠き部Ca以外の部分に接触することを抑制することができる。さらに、これにより、折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dを直角に配置させた内角部に、非重合領域Nによる面取部が形成することができ、接合する際に余剰な接着剤を逃がすことができる。
【0080】
また、本実施形態の化粧材30dによれば、ベース材10の表面には、複数の折り曲げ軸Jに対応して複数の木質小片23dが設けられているので、複数の折り曲げ軸Jを中心にベース材10を折り曲げて第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dを直角に配置させた際に、第1木質基材部21d及び第2木質基材部22dの間に潰れ難い円弧状の面取り部を構成することができる。
【0081】
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、上り框として用いる化粧材を例示したが、本発明は、その他の框や幅木等の内装材にも適用することができる。
【0082】
上記各実施形態は、折り曲げた際に横断面がL字状になって下地角材の2つの側面に貼り付ける化粧材を例示したが、本発明は、折り曲げた際に横断面がコ字状になって下地角材の3つの側面に貼り付ける化粧材にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したように、本発明は、化粧材を折り曲げた際に隣り合う一対の木質基材部を確実に直角に配置させることができるので、極めて有用である。
【符号の説明】
【0084】
B 面取り部
Ca 第1切り欠き部
Cb 第2切り欠き部
D 溝部
J 折り曲げ軸
N 非重合領域
Pa 第1出隅
Pb 第1入隅
Pc 第2出隅
Pd 第2入隅
Pe 第3出隅
Pf 第3入隅
Pg 第4出隅
S 重合領域
10 ベース材
21a,21b,21c,21d 第1木質基材部
22a,22b,22c,22d 第2木質基材部
23c 木質三角柱片
23d 木質小片
30a,30b,30c,30d 化粧材