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特開2022-35889記録が変更されていないことを証明するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035889
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】記録が変更されていないことを証明するシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/64 20130101AFI20220225BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
G06F21/64
H04L9/00 675Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020149434
(22)【出願日】2020-08-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】518182977
【氏名又は名称】株式会社chaintope
(71)【出願人】
【識別番号】305003379
【氏名又は名称】弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100220951
【弁理士】
【氏名又は名称】長野 聡
(72)【発明者】
【氏名】岩村 充
(72)【発明者】
【氏名】正田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】安土 茂亨
(72)【発明者】
【氏名】中城 元臣
(72)【発明者】
【氏名】村上 照明
(72)【発明者】
【氏名】北川 広
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 賢爾
(72)【発明者】
【氏名】長野 聡
(57)【要約】      (修正有)
【課題】文書記録が作成者によって変更されていないことを証明するブロックチェーン技術を提供する。
【解決手段】ブロックチェーンネットワーク上のノードは、自ら作成し保存する文書記録と紐づいた識別情報を有するトークンとを1つのトランザクションでブロードキャストすることで、どのノードもが、前記トークンの所在、即ち払い出されていないこと、を検証することにより、文書記録が変更されていないことを確認する。文書記録が、前記ブロックチェーンネットワーク上で過去に作成されたものを変更するものであるときは、変更前の前記文書記録を含むトランザクションを参照することにより、また別のブロックチェーンネットワーク上で作成された関連する文書記録があるときは、ハッシュ値を含めることで最新性を確認する。また新たに認証した別の公開鍵に対応した秘密鍵で作成した電子署名を付すことにより、真正性の推定を受ける。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書等記録を保存する情報処理装置を有するノードが、
同じ文書等記録を他のノードも保存する合意が行われるブロックチェーンネットワーク上で、
送信(ブロードキャスト)する信号(トランザクション)において、
前記ノードが予め別に受信した未使用のブロックチェーンネットワーク上のトークンを含む受信信号を参照する方法で前記文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンを作成し、
前記文書等記録と前記文書等記録の作成者全員に対する前記トークンの払出を含む前記信号(トランザクション)を送信し、ブロックチェーンネットワーク上で各ノードが前記文書等記録とそれ対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンを保存するステップ
を含むことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を、
送信(ブロードキャスト)する信号(トランザクション)において、
前記ノードが予め別に受信した未使用のブロックチェーンネットワーク上のトークンを含む受信信号のID情報とその信号内での順序を示す数値を参照する
方法で作成するステップを更に含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を、
前記文書等記録の作成者が前記ノードおよび別のノードまたはその他複数のノードであるときに、
送信(ブロードキャスト)する信号(トランザクション)において、
前記ノードが予め別に受信した未使用のブロックチェーンネットワーク上のトークンを自らおよびすべての作成に関与するノード(前記別のノードまたは前記その他複数のノード)に宛てて送信した信号に付された公開鍵自体または公開鍵から作られたデータを参照する方法で作成するステップ、を更に含む
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記文書等記録を記録毎にハッシュ値等のダイジェストに変換するシステムをブロックチェーンネットワーク外に設け、前記システムから前記ハッシュ値等のダイジェストをブロックチェーンネットワークにおいて前記信号(トランザクション)で引用できるステップを更に含む、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記文書等記録を含むトランザクションにおいて、前記ブロックチェーンネットワークにおいて作成された変更前の前記文書等記録等他の文書等記録を含むトランザクションを参照するステップ、または前記ブロックチェーンネットワーク外(他のブロックチェーンネットワークを含みそれに限られない)上で作成された他の文書等記録のハッシュ値等のダイジェストを前記文書等記録に含めるステップを更に含む、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の情報処理方法システム。
【請求項6】
前記ノード、前記別のノード、前記第三その他のノードが、
ブロックチェーンネットワーク外に設けたシステムから
公開鍵認証基盤に基づく電子証明書により認証された公開鍵(認証公開鍵)保有者として作成した公開鍵(記録用公開鍵)に電子証明書を付し、その記録用公開鍵と対になる秘密鍵(記録用秘密鍵)を用いて作成した電子署名を
取り込み、ブロックチェーンネットワークにおいて前記信号(トランザクション)に電子署名を含めることができるステップを更に含む、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記ノードのアドレスと、送信先のアドレスと、ブロックチェーンネットワーク外(他のブロックチェーンネットワークを含みそれに限られない)で作成された他の文書記録等のハッシュ値等ダイジェストを含む前記文書等記録のハッシュ値等ダイジェストと、前記文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンと、を含み、同じブロックチェーンネットワークで作成された変更前の前記文書記録等他の文書等記録を含むトランザクションを参照する信号(トランザクション)のデータが記録されたブロックチェーンデータ構造であって、
ブロックチェーンネットワークのどのノードも前記文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンが未使用で存在、即ち払出されていないこと、を検証することにより、前記文書等記録が、そのトークンの払出先である文書作成者であるいずれのノードによっても変更されていないことを変更前の前記文書記録等他の文書等記録も参照して確認することに用いられる、
ブロックチェーンデータ構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックチェーン技術を使って、文書等記録(文字、記号、数字に限らず、音声、画像、動画その他人間の意思が記録されるものであれば何でもよい、以下同じ)が、当該記録作成者によって変更されていないこと、即ち、最新であること、を証明するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピューター間を繋ぐ通信ネットワーク(コンピューターネットワーク)に参加している参加者(以下、「ノード参加者」という。)が、送信したい暗号資産や文書等記録を、逆方向の計算よっては復元が事実上困難な関数(暗号学的ハッシュ関数や楕円曲線上のスカラー倍算など)により変換して求めたハッシュ値と電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律に定義する電子署名を含み、それに限られない)等を含むデータ群(以下、トランザクションという)として作成し、作成された少なくとも1つ以上のトランザクションをブロックとして生成し、生成したブロックをチェーン状に連結したうえでコンピュータネットワークを通じてノード参加者に対して送信する(ブロードキャスト)ことで、複数のノード参加者間で共有するブロックチェーン技術が知られている。BitcoinやEthereumといったオープンソースのプロトコルでは、ブロックチェーンの形でノード参加者のコンピューター上の記憶領域に分散して同じ内容の記録が保有され、ノード参加者の一部が検証する(マイニングと言われる)ことで、当該記録の真正性、存在性、唯一性を証明する。IBM社などのベンダーが提供するプライベイトチェーンでは、あらかじめ決められたノード参加者が検証の役割を担う仕組みが多い。
こうしたブロックチェーン技術を前提にして、Bitcoinの匿名開発者サトシナカモト氏は、送信したいデータとしてUTXO(Unspent Transaction Output)を考案し、ノード参加者が、未使用のトークン値を示すUTXOを含むトランザクションを名宛人として受け取り、その受け取ったOUTPUT(UTXO、以下同じ)を参照して、自らの秘密鍵で作成した電子署名を受取人が検証できるための鍵(アンロック鍵)として付して、トークンを別の参加者に渡すための新たなトランザクションにおけるINPUTとし、その中に含まれる未使用のトークン値から使用したい全部または一部のトークン値を含む新しいUTXOをトークンの次の受取人を名宛人とするOUTPUTとして作成して、INPUTとOUTPUTの両者を含むトランザクションを作成して、ブロードキャストしノード参加者がマイニングにより検証する方法で、bitcoinという暗号資産を発行、転々流通させる仕組みを提唱し、それが現実に使われている(非特許文献1)。
ブロックチェーンのトランザクションに記された記録の改竄は、マイニングにより正当なチェーンと認められないので、事実上改竄が報いられないことになり、改竄が行われにくい。この特徴から、ブロックチェーン技術は、bitcoinのような暗号資産の発行移転だけではなく、様々な文書等記録を保存し、流通させる様々な分野へ適用されつつある。
【0003】
ブロックチェーン技術においてトランザクションに含める内容等サトシナカモト氏の発表したBitocoinの基本仕様に加えて、ノード参加者の合意の下で活用できる公知の様々な仕様については、技術者がボランテイアで技術を持ち寄り自由に使えるOpen Assets ProtocolがWEB上で公開されている(非特許文献2)。そこでは、bitcoin以外のトークンの固有の標識(ID)を、最初のINPUTが参照するOUTPUTのハッシュ値から計算して附番する方法で作成できる旨の記載がある(The ID of an asset is the RIPEMD-160 hash of the SHA-256 hash of the output script referenced by the first input of the traaction that initially issued that asset (script_hash =RIPEMD160(SHA256(script))))。この方法によって、発行されるトークン毎にそのトークンが特有に持つ他のトークンと区別できる標識(ID)を付し得る技術が公開されている。もっとも、この方法では、トークンの発行者が、同じOUTPUTを持つUTXOを発行すれば、同じ標識(ID)を付し得るので一意性が担保できないという問題がある。
【0004】
万国電信連合(International Telegraph Union)の電気通信標準化部門(ITU-T)は、コンピュータネットワーク標準規格として、X.509、公開鍵認証基盤(PKI)の規格を公表している。そこでは、信頼できる認証局が、申請者が秘密鍵で作った電子署名(一定の暗号関数でだれでも公開鍵を算出できる)の本人帰属を証する電子証明書(申請者の電子署名およびそれが申請者の真正な署名であることを証する認証局が自身の秘密鍵で作った電子署名を含む)を発行して、申請者の電子署名が、申請者に申請に帰属するものであることを証明する公開鍵認証基盤が提示されている。(非特許文献3)
これを受け、電子署名及び認証業務に関する法律3条は「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」との規定を設け、これに基づき、法務局が、商業登記に基づく法人及び代表者の電子署名にかかる電子証明書をRSA暗号方式により発行している。(非特許文献4)
【先行技術文献】
【0005】
【非特許文献1】Satoshi Nakamoto,“Bitcoin:A Peer―to―Peer Electronic Cash System”,2008
【非特許文献2】Open Assets Protocolの仕様:https://github.com/OpenAssets/open-assets-protocol その中でトークンのIDの設定の記載:https://github.com/OpenAssets/open-assets-protocol/blob/master/specification.media wiki#Protocol Overview
【非特許文献3】International Telecommunication Union(国際通信連合) X.509:Information technology-Open Systems Interconnection-The Directory:Public-key and attribute certificate frameworks(公開鍵認証基盤にかかる指令、X.509) 2012年10月14日採択の最新版 https://www.itu.int/rec/T-REC-X.509-201210-S/en
【非特許文献4】法務省「商業登記に基づく電子認証制度の概要・ご利用の手引き」第3 商業登記に基づく電子認証制度 2 電子証明書「(注1) 電子認証制度は,いわゆる「RSA公開鍵暗号方式」(日本産業規格X5731-8の附属書Dに定められているもの)による電子署名を対象として,認証を行います。」http://www.moj.go.jp/ONLINE/CERTIFICATION/GUIDE/guide03.html
【特許文献1】特開2019-121946号公報
【特許文献2】特表2020―517200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第三者が文書等記録を改竄できないようにするためには、記録の媒体の保管を記録作成者である当事者以外が接触、アクセスできない方法や改竄すればそれが容易に見破られる方法が取られる。ブロックチェーン技術による分散台帳上の記録については、記録を改竄するとマイニングにより正当な記録とされないことにより、容易に改竄が見破られ記録として成立しない方法が取られている。この方法では、改竄されていないことは、事実上担保できるが、文書等記録が、変更する正当な権限を持つ作成当事者による変更されていないこと、即ち文書等記録の最新性を証明したことにはならない。
この点、現実には、例えば各種証明書(戸籍、住民票、登記など)や契約文書など紙やコンピューターの記憶域に記録された文書等記録には、作成時刻の記録が記されていることが多い。文書が真正に成立していれば、法律上その内容の真正も事実上は推定されるが、反証可能であるほか、本当にその時刻に作成されたという証明としては十分でないほか、事実と違なる時刻を書くことも不可能ではなく、前記文書等記録が、最新の情報であって、作成者や改正権限ある者により改正や変更がなされていないこと(正当な権限がない第三者による改竄や偽造ではない)を証明はできていないという課題がある。
【0007】
この点、戸籍、住民票、登記など公的な証明は、公的機関が公的な機関の記名押印により日付を記載して、その各種証明書の最新性を一応証明できている。しかしながら、例えば2020年5月1日付の登記簿謄本は、5月1日時点で最新であったことを法務局が証明できても、例えば登記簿謄本の取得者が土地の売買契約で相手方に提出する日が5月10日であったとして、5月10日時点で最新であることを証明できてはいない。なぜなら5月2日に登記簿が変更されている可能性を排除できない。それゆえに会社や公的機関から提出を求められる書類には、「3か月以内の印鑑票」「1か月以内に取得の住民票」といった条件が付くことが多い。こうした条件では、その期間内に改正や変更がなされている可能性は排除されないし、提出時点でリアルタイムでの最新性は担保されないという課題がある。
【0008】
さらに、文書等記録の提出者が書類の作成者である自治体や法務局に証明書発行を依頼することなく、自ら提出書類の内容を証明することはできないほか、提出を受ける側や第三者が最新性を証明することはできないという課題がある。
【0009】
この点、最新性を証明したい文書等記録に、単数であれ複数であれ作成者でなければ変更できない文書等記録と不可分の何らかの標識を物理的に付けることで、作成者自身が、その標識を変更しなければ、その標識と不可分一体の当該記録の変更ができない仕組みができ、その標識を誰でもが確認できれば、誰でもが最新性の証明をすることができる。この点、特許文献2は、文書が改ざんされていないことや偽造変造されないために文書の発給、閲覧、破棄の権限や参照者制限等の管理手法やタイムスタンプによる文書等の時間管理を提案しているが、こうした複雑かつブロックチェーンネットワークに参加する主体からの管理ではなく、対象である文書等記録そのものに変更権を表象する物理的な標識を立てることで、ノード参加者が誰でもかつ即時に手許のブロックチェーンの記録で最新性を確認する情報処理システムにはなっていない。また、文書等記録が改正された場合、または異なる作成者が新たに作成する文書等記録と元の文書が関連をもって全体として意味を成す場合がある。例えば、契約更改時に前の契約の部分改訂のときに新旧契約を一体管理、参照する必要性がある。また、住民票を例にとれば、子供が生まれて世帯の住民票に新しい記入がなされる、または甲市から乙町に転居して、乙町で新たに作成される住民票は、甲市からの住民票の転出処理を前提に作成され、転入後、乙町が新しい住民票の成立を甲市に通知することで、甲市の住民票が除票として保存されることで、甲市の除票―乙町の新住民票という履歴を参照する必要がある場合やその履歴を前提に乙町の住民票が最新であることを証明する必要がある場合がある。この点、特許文献1は、元の文書(更新前の文書)を示すトランザクションへのポインタを要素としてそのハッシュ値と電子署名を加えて変更後のトランザクションを作成することで、元の文書に遡って作者又は所有者等を確認する等の検証方法を提案している。しかしながら、その方法は、管理装置を立てることで特定の装置(ノード)が、元の文書との類似性をチェックする方法が提案されている(どのようにチェックするかは明確に書かれていない)ほか、本発明のように文書等記録に対して不可分で一意的な識別情報を持つトークンを作成する方法の下で、具体的にどのように履歴を参照して最新性をブロックチェーンネットワークの参加者が即時かつ自らの記録により確認する検証方法が示されてはいない。このため情報処理システムの設計内容が異なっているため、目的は類似していてもシステムの内容は異なっていることから本件発明が解決したい課題の解決は、特許文献1によっては実現できない。
【0010】
本発明は、上記の課題解決のためになされたもので、同じ文書等記録を保存することに同意したノードからなるブロックチェーンネットワーク上において、ブロックチェーン技術によって文書等記録およびその変更前文書等記録を含む関連する他の文書等記録とその文書等記録に対して不可分で一意の識別情報を有するトークンを、前記文書等記録と同じトランザクションの載せ、そのトークンを文書等記録の作成者全員に払出し、そのトランザクションをブロックチェーンネットワーク上に送信(ブロードキャスト)してノード参加者の分散台帳に記録することで、ノード参加者の誰でもが、そのトークンの所在を確認する(ブロックチェーンにおいて払出済み状態でないことを確認する)ことで、即時に(リアルタイムで)、変更権が行使されていないこと、よって保存された文書等記録が、作成者全員が関与して変更されていないこと、即ち変更前文書記録等関連する文書等記録がある場合には変更履歴等も参照のうえで文書等記録の最新性を他のノード参加者の誰に対しても証明できる情報処理システムおよびブロックチェーン構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明にかかる情報処理システムは、文書等記録を保存する情報処理装置を有するノードが、同じ文書等記録を他のノードも保存する合意が行われるブロックチェーンネットワーク上で、送信(ブロードキャスト)する信号(トランザクション)において、前記ノードが予め別に受信した未使用のブロックチェーンネットワーク上のトークンを含む受信信号を参照する方法で前記文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンを作成し、前記文書等記録と前記文書等記録の作成者全員に対する前記トークンの払出を含む前記信号(トランザクション)を送信し、ブロックチェーンネットワーク上で各ノードが前記文書等記録とそれ対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンを保存するステップを含むことを特徴とする情報処理システムである。
【0012】
本発明は、前記文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を、送信(ブロードキャスト)する信号(トランザクション)において、前記ノードが予め別に受信した未使用のブロックチェーンネットワーク上のトークンを含む受信信号のID情報とその信号内での順序を示す数値を参照する方法で作成するようにすることができる。
【0013】
本発明は、前記文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を、前記文書等記録の作成者が前記ノードおよび別のノードまたはその他複数のノードであるときに、送信(ブロードキャスト)する信号(トランザクション)において、前記ノードが予め別に受信した未使用のブロックチェーンネットワーク上のトークンを自らおよびすべての作成に関与するノード(前記別のノードまたは前記その他複数のノード)に宛てて送信した信号に付された公開鍵自体またはそのハッシュ値を含みそれに限られない公開鍵から作られたデータを参照することで、作成するようにすることができる。
【0014】
本発明は、前記文書等記録を記録毎にハッシュ値等のダイジェストに変換するシステムをブロックチェーンネットワーク外に設け、前記システムから前記ハッシュ値等のダイジェストをブロックチェーンネットワークにおいて前記信号(トランザクション)で引用することで、作成するようにすることができる。
【0015】
本発明は、前記文書等記録を含むトランザクションにおいて前記ブロックチェーンネットワークにおいて作成された変更前の前記文書等記録等他の文書等記録を含むトランザクションを参照することができる、または前記ブロックチェーンネットワーク外(他のブロックチェーンネットワークを含みそれに限られない)上で作成された他の文書等記録のハッシュ値を前記文書等記録に含めることができる。
【0016】
本発明は、前記ノード、前記別のノード、前記第三その他のノードの各々の電子署名を、公開鍵認証基盤に基づく電子証明書により認証された公開鍵(認証公開鍵)によって作成された秘密鍵(文書等記録用秘密鍵)により作成できるシステムをブロックチェーンネットワーク外に設け、前記システムから前記電子署名を各ノードが取り込み、ブロックチェーンネットワークにおいて前記信号(トランザクション)に自らの電子署名を含めるようにすることができる。
【0017】
本発明のブロックチェーンデータ構造は、前記ノードのアドレスと、送信先のアドレスと、ブロックチェーンネットワーク外(他のブロックチェーンネットワークを含みそれに限られない)で作成された他の文書記録等のハッシュ値等のダイジェストを含む前記文書等記録のハッシュ値等のダイジェストと、前記文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンと、を含み、変更前の前記文書等記録等他の文書等記録を含むトランザクションを参照する信号(トランザクション)のデータが記録されたブロックチェーンデータ構造であって、ブロックチェーンネットワークのどのノードも前記文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンが未使用で存在、即ち払出されていないこと、を検証することにより、前記文書等記録が、そのトークンの払出先である文書作成者であるいずれのノードによっても変更されていないことをその変更前前記文書等記録等他の文書等記録も参照して確認することに用いられるブロックチェーンデータ構造である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ブロックチェーンネットワークのどのノードも前記文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンの所在、即ち払い出されていないこと、を検証することにより、その保存する文書等記録が、そのトークンの払い出し先である文書作成者であるノードにより変更されていないことを確認することができる。ブロックチェーンネットワークに参加するノードの間で、前記文書等記録の作成、保存、改正をすべて本情報処理システム内で行う合意等ルールがあることで、前記文書等記録が改正されていないことを、作成者のみならず、ノード参加者が自らの情報処理装置の記憶部、即ち分散台帳におけるブロックチェーンの記録を検証することで即時に証明できる。前記文書等記録とトークンが1つのトランザクションにあることから、その文書等記録を改正するためには、そのトークンを払い出す必要があり(トークンの宛先はすべての作成者になるので、単独ノード参加者による作成であればその作成者自身のノード、複数ノード参加者による作成であれば、全作成者のノードが宛先になる)、払い出されていないことは変更されていないことを意味する。
【0019】
前記文書等記録が、法務局の不動産登記であれば、登記簿謄本をノード参加者は自身で、ノード参加していない企業や個人はノード参加者に依頼して、登記所に依頼することなく、即時の状態を第三者(登記簿謄本の提出先)に証明できる。前記文書等記録が戸籍や住民票であれば、市民がノード参加者であれば自身で、ノード参加者でなければノード参加者に依頼して、市役所に依頼することなく、即時の状態を第三者(戸籍謄本や住民票の写しの提出先)に提出証明できる。文書等記録が、契約であれば、契約が最新であることを契約作成者である2以上のノードが自ら、または他のノード参加者も証明できる。現在の紙や他のシステムによる方法に比べると、前記文書等記録の作成者以外のノード参加者が、第一に自ら、第二に即時に、第三に履歴も含めて(ブロックチェーンで履歴管理するため)、前記文書等記録が変更されていないこと、即ち最新性を証明することができる。
【0020】
また、文書等記録の改正時に、例えば文書等記録が契約である場合に二者契約から三者契約にするなど契約締結者が増える場合や逆に三者契約から二者契約に契約締結者が減じる場合には、改正後の文書等記録に紐づいた識別情報を有する新たなトークンを発行することで、前記文書等記録の最新性を証明するトークンの所在を維持できる(文書等記録に対して不可分で一意に紐づけられる識別情報を有するトークンを文書等記録にかかるトランザクションのみで作成する方法([0012])、Open Assets Protocolによる場合等文書等記録に対して不可分で一意に紐づけられる識別情報を有するトークンを文書等記録にかかるトランザクション作成以前にbitcoinをあらかじめすべての文書作成者に払い出して作成する方法([0013])。その意味で、前記トークンは、前記文書等記録の変更権を表象する性質を持つ。
【0021】
前記文書等記録を記録毎にハッシュ値に変換するシステムをブロックチェーンネットワーク外に設け、前記システムから前記ハッシュ値をブロックチェーンネットワークにおいて前記1つの信号(トランザクション)で引用するようにすることができることで、ノードは、前記文書等記録をハッシュ値としてトランザクションに載せ、ブロードキャストでき、受信者である他のノードは当該ハッシュ値を前記システムで元の前記文書等記録に復元できる。
【0022】
前記文書等記録が、同じブロックチェーンネットワーク上で過去に作成されたものであるときは過去の文書等記録のハッシュ値等のダイジェストを新しく作成される前記文書等記録を含むトランザクションが参照することにより、また、別のブロックチェーンネットワーク上で作成されたものであれば、その他の文書等記録のハッシュ値等のダイジェストをブロックチェーンネットワーク上の新たな文書等記録に含めることで、ネットワーク内の変更前の前記文書等記録等他の文書等記録またはネットワーク外の他の文書等記録と新しく作成した文書等記録とを併せて変更履歴や関連する他の文書等記録の状態を確認することができる。文書等記録が、同じ当事者の契約である場合には変更履歴を含めて確認できる、文書等記録が、住民票の場合には、転出前の住民票を仮転出の住民票に変更し、転出先(元の住民票の発行自治体とは別のブロックチェーンネットワーク上)での新住民票のハッシュ値を仮転出の住民票の記録に取り込み、ブロードキャストして検証するステップを取ることで住民票の除票(転出先の自治体が作成した新住民票のハッシュ値を含み、トランザクションでは転出前の住民票が参照される)を作成、保存できる。
【0023】
前記ノード、前記別のノード、前記第三その他のノードが、ブロックチェーンネットワーク外に設けたシステムにおいて、公開鍵認証基盤に基づく電子証明書により認証された公開鍵(認証公開鍵)保有者として作成した公開鍵(記録用公開鍵)に自ら電子証明書を付し、その記録用公開鍵と対になる秘密鍵(記録用秘密鍵)を用いた電子署名を各々作成し、ブロックチェーンネットワークにおいて前記信号(トランザクション)に自らの電子署名を含めるようにすることで、前記保存する文書等記録について、日本国において法務局が商業登記に基づく法人及び代表者の電子署名について発行している電子証明書がRSA暗号方式であってブロックチェーンネットワークにおいて利用される電子署名の暗号関数が楕円曲線暗号であることにより、法務局の電子証明書をそのままブロックチェーンネットワークで利用できない問題を解決しつつ、電子署名及び認証業務に関する法律3条「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」の規定の適用を受ける電子署名を文書等記録に付すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態の情報処理システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態のノードの概略構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態のノード(ブロックチェーンネットワーク上と分散系システム上の双方を含む)として機能するコンピューターの概略ブロック図である。
図4】本発明の実施形態の情報処理システムによって実行される情報処理方法である、前記文書等記録を単独ノードが作成し、文書等記録に対して不可分で一意に紐づけられる識別情報を有するトークンを文書等記録にかかるトランザクションのみで作成する時の情報処理の各ステップを説明するための説明図である。
図5】本発明の実施形態の情報処理システムによって実行される情報処理方法である、前記文書等記録を複数ノードが作成し、文書等記録に対して不可分で一意に紐づけられる識別情報を有するトークンを文書等記録にかかるトランザクションのみで作成する時の情報処理の各ステップを説明するための説明図である。
図6】本発明の実施形態の情報処理システムによって実行される情報処理方法である、前記文書等記録を複数ノードが作成し、文書等記録に対して不可分で一意に紐づけられる識別情報を有するトークンを文書等記録にかかるトランザクション作成以前にbitcoinをあらかじめすべての文書作成者に払い出して作成するOpen Assets Protocolによる情報処理の各ステップを説明するための説明図である。
図7
図8】本発明の実施形態の情報処理システムによって実行される情報処理方法である、真正性の推定を受ける電子署名を付した前記保存する文書等記録の作成時の情報処理の各ステップを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について述べる。なお、本発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例
<情報処理システムのシステム構成>
【0026】
図1は、本実施形態の情報処理システムの概略構成の一例を示すブロック図である。図1に示されるように、本実施形態の情報処理システム10は、ブロックチェーンネットワーク11と分散系システム12と、前記ブロックチェーンネットワーク11と前記分散系システム12の双方との通信部を有するブロックチェーンネットワーク上の同じ文書等記録保存することに合意している複数ノードからなる。ブロックチェーンネットワーク11は、別のブロックチェーンネットワーク13との間でインターネットにより、または分散系システム12を介して通信できる。ブロックチェーンネットワーク11または13は、インターネットやその一部であってもよいし、プライベイトのネットワークであってもよい。複数のノード10A~10Fは、例えばインターネット等のブロックチェーンネットワーク11によって接続されていて、ネットワーク11を介して相互に送受信できる。ノード10A~10Fは、本開示の情報処理装置の一例である。なお、特定のノードを説明する場合以外は、ノードを単に「ノード10」と表記する。
【0027】
図2に示されるように、ノード10は、機能的には、処理部13と、通信部14とを備えている。ノード10は、例えば、図3に示すコンピューター20で実現することができる。コンピューター20はCPU Central Processing Unit)21、不揮発性の記憶部22、一時記憶領域としてのメモリ23を備え、入出力装置等(図示省略)が接続される入出力Interface(I/F)24、記録媒体に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するread/write(R/W)部25を備える。また、コンピューター20は、ブロックチェーンネットワークインタフェース26、分散系システムとのI/F通信部27を備え、CPU21、記憶部22、メモリ23、入出力I/F24、R/W部25、ブロックチェーンネットワークI/F26、分散系システムとのI/F通信部27は、基盤バス28を介して互いに接続される。記憶部22は、Hard Disk Drive(HDD)、solid state drive(SSD)、フラッシュメモリ等によって実現できる。記憶媒体としての記憶部22には、コンピューター20を機能させるためのプログラムが記憶されている。CPU21は、プログラムを記憶部22から読み出してメモリ23に展開し、プログラムが有するプロセスを順次実行する。
【0028】
ノード10の記憶部(図示省略)には、分散型台帳としてのブロックチェーンが格納されている。本実施形態のブロックチェーンネットワーク11においては、Open Assets Protocolの実装により、ビットコインと異なるアセットもトークンとして取引できる。前記トークンのトランザクション情報は、ビットコインと同様にブロックチェーンに書き込まれる。
【0029】
ノード10は、Open Assets Protocolの実装により、ビットトークンと異なる前記トークンを創出するINPUT UTXOを作成する。Open Assets Protocolの実装により、ビットトークンと異なる前記トークンを創出することは知られているが、そのトークンに文書等記録に対して不可分で一意的な識別情報を付与する方法は本発明による。
【0030】
ノード10は、本実施形態の情報処理システム10内または外(別のブロックチェーンネットワーク13を含み、それに限られない)で作成した文書等記録を分散系システム12でハッシュ値またはそれに限られずその他の方法によりダイジェストした値に化し、分散系システム12とのI/F通信部27を通じてその値を取得する。以下ではダイジェストした値を暗号学的ハッシュ関数によるハッシュ値で代表して説明するが、ダイジェストする方法はそれに限られない。
【0031】
ノード10は、分散系システム12で取得された公開鍵認証基盤による自らの公開鍵(認証公開鍵)の認証電子証明書および別に作成された文書等記録のブロックチェーンネットワーク11上での送受信に使用する記録用公開鍵を認証するために自らの認証秘密鍵で作成した電子署名を含む記録用電子証明書(記録用公開鍵の電子証明書)を分散系システム12とのI/F通信部27を通じて取得する。
【0032】
ノード10は、保有する未使用トークンのUTXOを含む受け取ったトランザクションのID番号とそのトランザクション内でのUTXOの順番を、新たに作成した文書等記録を含むトランザクションの冒頭で引用する方法か、または、保有する未使用bitocoinのUTXOをあらかじめ新たに作る文書等記録の全作成者に対して各々の記録用公開鍵を宛先として払い出したUTXOと新たに作成した前記文書等記録とOpen Assets ProtocolのMaker Output(bitcoinを別のトークンとするためのタグ)を共に含むトランザクションを作成する方法(Open Assets Protocolによる方法、ただし他のトークンプロトコルでもそのような方法をとる場合がある。)か、のいずれかにより文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンを創出する。創出したトークンをINPUTとして使用したOUTPUTを前記文書等記録のハッシュ値と併せて自らと他のすべての文書作成者の記録用公開鍵宛に払い出すトランザクションを作成し、ブロックチェーンネットワーク11を通じて全ノードにブロードキャストする。
<文書等記録の作成者が1人で、文書等記録に対して不可分で一意に紐づけられる識別情報を有するトークンを文書等記録にかかるトランザクションのみで作成する場合>
【0033】
図表4を例示として、文書等記録の作成者が1人(単数ノード)である場合に、最初に文書等記録を作成、保存し、その保存する文書等記録とその変更権を表す前記文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンとを1つ信号(トランザクション)で他のノードに対して送信し、他のノードがこれを受信して、検証を行う実施例を説明する。
【0034】
文書作成者であるノード10A(ブロックチェーンネットワーク参加者Aのノード)は、文書等記録のハッシュ値を含むブロックチェーン上のトランザクションに電子署名するための秘密鍵(以下、「記録用秘密鍵」という。)と公開鍵(以下、「記録用公開鍵」という。)とのペアを作成するステップを行う(ステップ41<S41>、以下図表も含め「ステップ」は「S」と略する)。以下ではノード名と対応させてこれらを記録用秘密鍵A、記録用公開鍵Aと呼ぶ。記録用公開鍵Aは、ノード10Aがブロックチェーンネットワークにより、または別のインターネットにより送信する、または自らのWEB上に掲載するなどして公に周知される。以下、どの公開鍵も公に周知され、誰もが容易に認識できることを前提とする。
【0035】
ノード10Aは、保存する文書等記録を作成し(作成するのはワードでも、PDFでも、エクセルでも、いかなるソフトウエアによってもよく、システム処理できる媒体であれば何によってもよい)、分散系システム12またはその他別のシステムにより暗号学的ハッシュ関数などによって、そのハッシュ値を計算して、その値を、分散系システム12との通信部14を経由して取得するステップを行う(S42)。本実施例では、前記文書等記録を記録毎にハッシュ値等のダイジェストに変換するシステムをブロックチェーンネットワーク外に設け、前記システムから前記ハッシュ値等のダイジェストをブロックチェーンネットワーク11において前記信号(トランザクション)で引用できるステップ(S42)を挙げるが、[0033]で述べたようにダイジェストの方法は暗号学的ハッシュ関数による写像変換の方法を含みその方法に限られず、またダイジェストのための写像変換をブロックチェーンネットワーク11または他のブロックチェーンネットワーク13の上で行うか、それらと接続する分散系システム12で行うか、またはネットワーク外の計算機により計算結果を取得するか、いずれでもよく、写像変換を行うシステム上の場所は限定されない点は以下の実施例ですべて同じ。
【0036】
ノード10Aは、ブロックチェーンネットワーク11上で以下の方法で、変更権トークンとAの電子署名が付された文書等記録のハッシュ値を含む信号(トランザクション)を作成し、自らを含むブロックチェーンネットワーク11上の全ノードに送信し、各ノードは受信するステップを行う(S43)。
まず、1)bitcoinを含みそれに限らないブロックチェーンネットワーク11上で有効な未使用の保有トークンを1つまたはそれ以上含むOUTPUTを作成し、受け取ったノードがアンロックできるために記録用秘密鍵Aを使った電子署名Aを付す。単独の場合にはノードA自身宛てとなるが、複数の場合には文書等記録作成者全員宛てとすることで、単独でのトークン使用ができないことになる。
次に、2)トランザクション冒頭で1)の保有トークンを受信した別のトランザクションのID情報とそのトランザクション内でのOUTPUTの順序を示す数値を参照する。これにより作成した文書等記録に対して不可分で一意の識別情報を保有トークンに付与する。文書等記録のハッシュ値含むトラザクションは、そのハッシュ値と不可分で、前記ID情報はブロックチェーンネットワーク11上で一意であるため、前記ハッシュ値と一意の識別情報をトランザクションに含まれるトークンが持つことになる。
次に、3)前記INPUTを参照してOUTPUTを作成し、記録用秘密鍵Aを使って電子署名した文書等記録のハッシュ値([0035]S42で取得したハッシュ値)を含め、宛先を自らの記録用公開鍵Aとする。
これら1)~3)を含む信号(トランザクション)を作成し、自らを含むブロックチェーンネットワーク11上の全ノードに送信する。
【0037】
各ノードは、[0036]で受信したトランザクションを記憶部22に保管し、他のノード10B~Fのいずれも、またブロックチェーンネットワーク11がプライベイトチェーンであればその運営者が、内容を検証することで確定させる(S44)。検証内容は以下の通り。
第一には、文書等記録が変更されていないこと(変更権トークンの未使用)の検証(以下の実施例で、「変更のないことの検証」という。)
1)OUTPUTの宛先が記録用公開鍵Aであること
2)OUTPUTに付された記録用秘密鍵Aによる電子署名から記録用公開鍵Aを計算し、知れたる記録用公開鍵Aと一致していることで作成者が記録用公開鍵Aの保有者であるノード10Aであること
3)OUTPUTにおける文書等記録に対して不可分で一意に紐づけされた識別情報を持つトークンの払い出しがなく、残高があること(未使用であること、残高があり、未使用であることは、そのトークンが文書等記録に対して不可分で一意に結びついた識別情報を有していることから、その文書等記録が、送信者であるノード10Aの意思で作成、送信され、それが第三者により変更されていないことを検証したことになる。)
第二には文書等記録の内容が、期待している内容であることの検証(以下の実施例では、「内容の検証」という。)
文書等記録のハッシュ値に付された電子署名Aを検証(上記2)に同じ)し、文書等記録のハッシュ値を分散系システム12で復元した文書等記録が、あらかじめ知れたる文書等記録と同一の内容であること
【0038】
[0034]から[0037]により、ノード10Aの作成した文書等記録は、いずれのノードによっても、ノード10Aが作成、送信し、すべてのノードに記録され、検証時点で変更されていないことを確認できる。このノード10Aを市役所、文書等記録を戸籍や住民票、その他のノードを戸籍や住民票の本人である各市民またはその市民の代理人とすると、情報アクセス制限や個人情報の問題を別にして、市民だれもが、自らまたは他のノード参加者により、即時に、最新の戸籍や住民票を提出先である別の公的団体や会社などに証明提示できる仕組みができる。
<文書等記録の作成者が複数人で、文書等記録に対して不可分で一意に紐づけられる識別情報を有するトークンを文書等記録にかかるトランザクションのみで作成する場合>
【0039】
図表5を例示として、文書等記録の作成者が複数人(複数ノード)である場合に、最初に文書等記録を作成、保存し、その保存する文書等記録とその変更権を表す前記文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンとを1つ信号(トランザクション)で他のノードに対して送受信し、他のノードがこれを受信して、検証を行う実施例(ステップ)を説明する。
【0040】
文書作成者であるノード10A(ブロックチェーンネットワーク参加者Aのノード)およびノード10B(ブロックチェーンネットワーク参加者Bのノード)は、各々が文書等記録のハッシュ値を含むブロックチェーン上のトランザクションに電子署名するための記録用秘密鍵Aと記録用公開鍵A、記録用秘密鍵Bと記録用公開鍵Bとのペアを作成するステップを行う(S51、S52)。記録用公開鍵A、同Bは、各ノードがブロックチェーンネットワークにより、または別のインターネットにより送信する、または自らのWEB上に掲載するなどして公に周知される。
【0041】
ノード10Aまたは10Bは、保存する文書等記録を作成し、分散系システム12またはその他別のシステムにより暗号学的ハッシュ関数などによって、そのハッシュ値を計算して、その値を、分散系システム12との通信部14を経由して取得し、文書等記録の共同作成者であるノード10Bまたはノード10Aに送信するステップを行う(S53)。次にノード10Aがトランザクションを作成する場合には、ノード10Bがそのハッシュ値に記録用秘密鍵Bを使って電子署名し、ノード10Aに送信する(S54)。ノード10Bがトランザクションを作成する場合には、ノード10Aがそのハッシュ値に記録用秘密鍵Aを使って電子署名し、ノード10Bに送信することになる。以下ではノード10Aがトランザクションを作成する実施例を説明するが、その逆でも同じことが実施できる。
【0042】
ノード10Aは、ブロックチェーンネットワーク11上で以下の方法で、変更権トークンとAおよびBの電子署名が付された文書等記録のハッシュ値を含む信号(トランザクション)を作成し、自らを含むブロックチェーンネットワーク11上の全ノードに送信し、各ノードは受信するステップを行う(S55)。
まず、1)bitcoinを含みそれに限らないブロックチェーンネットワーク11上で有効な未使用の保有トークンを1つまたはそれ以上含むOUTPUTを作成し、受け取ったノードがアンロックできるために記録用秘密鍵Aを使った電子署名Aを付す。
次に、2)トランザクション冒頭で1)の保有トークンを受信した別のトランザクションのID情報とそのトランザクション内でのOUTPUTの順序を示す数値を参照する。これにより作成した文書等記録に対して不可分で一意の識別情報を保有トークンに付与する。文書等記録のハッシュ値含むトラザクションは、そのハッシュ値と不可分で、前記ID情報はブロックチェーンネットワーク11上で一意であるため、前記ハッシュ値と一意の識別情報をトランザクションに含まれるトークンが持つことになる。
次に、3)前記INPUTを参照してOUTPUTを作成し、記録用秘密鍵Aを使ってノード10Aが、また記録用秘密鍵Bを使ってノード10Bが各々電子署名した文書等記録のハッシュ値([0041]S53、S54で取得したハッシュ値)を含め、宛先を記録用公開鍵Aおよび記録用公開鍵Bとする。
これら1)~3)を含む信号(トランザクション)を作成し、自らを含むブロックチェーンネットワーク11上の全ノードに送信する。
【0043】
各ノードは、[0042]で受信したトランザクションを記憶部22に保管し、他のノード10C~Fのいずれも、またブロックチェーンネットワーク11がプライベイトチェーンであればその運営者が、内容を検証することで確定させる(S56)。検証内容は以下の通り。
第一には、変更のないことの検証
1)OUTPUTの宛先が記録用公開鍵Aおよび記録用公開鍵Bであること
2)OUTPUTに付された記録用秘密鍵Aおよび記録用公開鍵Bによる電子署名から記録用公開鍵Aおよび記録用公開鍵Bを計算し、知れたる記録用公開鍵Aおよび記録用公開鍵Bと一致していることで作成者が記録用公開鍵Aおよび記録用公開鍵Bの保有者であるノード10Aおよびノード10Bであること
3)OUTPUTにおける文書等記録に対して不可分で一意に紐づけされた識別情報を持つトークンの払い出しがなく、残高があること(未使用であること、残高があり、未使用であることは、そのトークンが文書等記録に対して不可分で一意に結びついた識別情報を有していることから、その文書等記録が、送信者であるノード10Aおよびノード10Bの意思で作成、送信され、それが第三者により変更されていないことを検証したことになる。)
第二には、内容の検証
文書等記録のハッシュ値に付された電子署名Aおよび電子署名Bを検証(上記2)に同じ)し、文書等記録のハッシュ値を分散系システム12で復元した文書等記録が、あらかじめ知れたる文書等記録と同一の内容であること
【0044】
[0040]から[0043]により、ノード10Aおよびノード10Bの作成した文書等記録は、いずれのノードによっても、ノード10Aおよびノード10Bが作成、送信し、すべてのノードに記録され、検証時点で改正されていないことを確認できる。このノード10Aおよびノード10Bを契約当事者とすると、ブロックチェーンネットワーク11に参加している関連企業などの間で、即時に、最新の契約内容が確認できるほか、事後的に監査や検査で履歴の検証ができる仕組みができる。
<文書等記録の作成者が複数人で、Open Assets Protocolによる場合等文書等記録に対して不可分で一意に紐づけられる識別情報を有するトークンを文書等記録にかかるトランザクション作成以前にbitcoinをあらかじめすべての文書作成者に払出して作成する場合>
【0045】
図表6を例示として、文書等記録の作成者が複数人(複数ノード)である場合に、Open Assets Protocolによって、文書等記録に対して不可分で一意に紐づけられる識別情報を有するトークンを文書等記録にかかるトランザクション作成以前にbitcoinをあらかじめ文書作成者に払い出して、そのOUTPUTに付された公開鍵またはそのハッシュ値を文書等記録のトランザクションで引用して作成し、前記トークンと文書等記録のハッシュ値を1つ信号(トランザクション)で他のノードに対して送受信し、他のノードがこれを受信して、検証を行う実施例(ステップ)を説明する。こうしたあらかじめ保有トークンを全文書作成者に払い出しておくトークンプロトコルは他にもあるが、ここでは実施例としてOpen Assets Protocolによる実施例を説明する。
なお、Open Assets Protocolによると、文書等記録作成者が予め保有する未使用のbitcoinを自らにOUTPUTとして払出し、そのUTXOをINPUTとして使用し、文書等記録のハッシュ値を含むトランザクションの冒頭でOUTPUTに付された公開鍵のハッシュ値を参照して、前記識別情報を作成できるものの、文書等記録の作成者が1人である場合には、OUTPUT が作成者自らに送られるため、同じ識別情報を容易に作成でき、一意性の確保が十分でない。この点、文書作成者が複数であって、OUTPUTが作成者全員に送られる場合には、トランザクションを送信する文書等記録の作成者が1人単独では同じ識別情報を作ることは容易でないので、ここでその実施例を述べる。
【0046】
文書作成者であるノード10Aおよびノード10Bが、記録用秘密鍵Aと記録用公開鍵A、記録用秘密鍵Bと記録用公開鍵Bとのペアを作成し、各ノードがブロックチェーンネットワークにより、または別のインターネットにより送信する、または自らのWEB上に掲載するなどして公に周知されるステップ(S61、S62)は[0040]に同じ。またノード10Aまたは10Bが、保存する文書等記録を作成し、分散系システム12またはその他別のシステムにより暗号学的ハッシュ関数などによって、そのハッシュ値を計算して、その値を、分散系システム12との通信部14を経由して取得し、文書等記録の共同作成者であるノード10Bまたはノード10Aに送信するステップを行うステップ(S63)は[0041]に同じ。もっとも、Open Asset Protocolによる場合には、作成されるトランザクションのハッシュ値全体にAおよびBの署名が必要になるため、文書等記録のハッシュ値の内容に対してノード10Bは合意すれば足り(S64)、記録用秘密鍵Bを使って電子署名しノード10Aに送信するステップを重ねることは必ずしも必要ない。
【0047】
Open Assets Protocolによれば、前記文書等記録と不可分で一意の識別情報を作成するためには、送られたOUTPUTに付されたすべての記録用公開鍵またはそのハッシュ値を前記文書等記録のハッシュ値を含むトランザクションで参照する。このために前記文書等作成者はあらかじめすべての文書等作成者宛て(文書等作成者であるAおよびBの記録用公開鍵AおよびB宛て)に保有する未使用のブロックチェーンネットワーク11上の未使用トークンを払い出しておく必要がある。すなわち、ノード10Aは、ブロックチェーンネットワーク11上で有効な未使用の保有bitcoinを1つ含むOUTPUTを作成し、受け取ったノードがアンロックできるために記録用秘密鍵Aを使った電子署名Aを付して、ノード10Aおよびノード10Bの記録用公開鍵AおよびB宛に送信する(S65)。
次に、ノード10Aは、
1) 別に上記で送信した受信したbitcoinをINPUTとし、
2) トランザクション冒頭でINPUTに付されたすべての記録用公開鍵(AおよびB)のハッシュ値を参照し、
3) Open Assets ProtocolのMaker Outputを含み、
4) 前記文書等記録のハッシュ値を含む
トランザクションを作成し(S66)、そのハッシュ値に自ら記録用秘密鍵Aで電子署名し、またノード10Bからも電子署名を得て(S67)、払出先をノード10Aおよびノード10B、すなわち、記録用公開鍵Aおよび記録用公開鍵B宛てとして、自らを含むブロックチェーンネットワーク11上の全ノードに送信し、各ノードは受信するステップを行う(S66)。
上記2)および3)により作成した文書等記録に対して不可分で一意の識別情報を保有トークンに付与する。未使用トークンが上記トラザクションのハッシュ値と不可分で一意となるため、そのトランザクション内の文書等記録のハッシュ値に対しても不可分で一意となることによって、前記ハッシュ値と一意の識別情報をトランザクションに含まれるトークンが持つことになる。
【0048】
各ノードは、[0047]で受信したトランザクションを記憶部22に保管し、他のノード10C~Fのいずれも、またブロックチェーンネットワーク11がプライベイトチェーンであればその運営者が、内容を検証することで確定させる(S67)。検証内容は、第一に変更のないこと(変更権トークンの未使用)の検証、文書等記録の内容の検証、で[0043]のS56に同じ。
【0049】
[0046]から[0048]により、ノード10Aおよびノード10Bの作成した文書等記録は、いずれのノードによっても、ノード10Aおよびノード10Bが作成、送信し、すべてのノードに記録され、検証時点で改正されていないことを確認できる。このノード10Aおよびノード10Bを契約当事者とすると、ブロックチェーンネットワーク11に参加している関連企業などの間で、即時に、最新の契約内容が確認できるほか、事後的に監査や検査で履歴の検証ができる仕組みができる点は、[0044]に同じ。
<検証済の文書等記録を過去の文書等記録等他の記録を参照して変更する場合>
【0050】
[0037](文書等記録の作成者が1人で、文書等記録に対して不可分で一意に紐づけられる識別情報を有するトークンを文書等記録にかかるトランザクションのみで作成する場合)において作成・検証済の文書等記録が既に存在し、その文書等記録を変更する場合について図7を例示として説明する。なお、[0043](文書等記録の作成者が複数人で、文書等記録に対して不可分で一意に紐づけられる識別情報を有するトークンを文書等記録にかかるトランザクションのみで作成する場合)、[0048](文書等記録の作成者が複数人で、Open Assets Protocolによる場合等文書等記録に対して不可分で一意に紐づけられる識別情報を有するトークンを文書等記録にかかるトランザクション作成以前にbitcoinをあらかじめすべての文書作成者に払い出して作成する場合)においても、文書等記録の作成者が複数であるため記録用公開鍵と同秘密鍵による電子署名が各々作成、検証される点を除いて、作成・検証済の文書等記録と変更後の文書等記録を併せて履歴検証ができるように前記文書等記録トランザクションを作成、ブロードキャストする点は同じなので実施例は省略する。
文書等記録が変更される場合には、変更権を表象するトークンを変更後の文書等記録を含むトランザクションにUTXOとして組み込み、かつ検証済の文書と変更後の文書を関係づけることで、その文書等記録の履歴全体をみて、変更後の文書等記録の最新性を確認できる。このため、変更権を表象する変更後の文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有する新しいトークンと変更前の文書等記録と関連づけた変更後の文書等記録を1つ信号(トランザクション)で他のノードに対して送受信し、他のノードがこれを受信して、検証を行う実施例(ステップ)を説明する。
【0051】
あらかじめノード10Aによりブロックチェーンネットワーク11上で作成され、他ノードにより検証され保存された文書等記録が存在する(S71)、または、別のブロックチェーンネットワーク13で作成、検証、保存された文書等記録が存在する(S74)とする。
【0052】
あらかじめノード10Aによりブロックチェーンネットワーク11上で作成され、他ノードにより検証され保存された文書等記録が存在する(S71)場合には、ノード10Aは、ブロックチェーンネットワーク11上で以下の、変更権トークンとAの電子署名が付された変更後の文書等記録のハッシュ値を含み、S71で作成された検証、保存済の文書等記録のハッシュ値を参照する信号(トランザクション)を作成し、自らを含むブロックチェーンネットワーク11上の全ノードに送信し、各ノードは受信するステップを行う(S72)。検証、保存済の文書等記録のハッシュ値を参照することで、検証するノード10は、変更前の文書等記録と変更後の文書等記録の履歴を参照して、検証できる。具体的には、
まず、1)検証、保存済みの文書等記録に不可分で一意に紐づいた識別情報を持つ変更権付トークン(S71)を使って作成したOUTPUTを受け取ったノードがアンロックできるために記録用秘密鍵Aを使った電子署名Aを付す。
次に、2)トランザクション冒頭で1)の保有トークンを受信した元のトランザクションのID情報とそのトランザクション内でのUTXOの順序を示す数値を参照する。これにより作成した文書等記録に対して不可分で一意の識別情報を保有トークンに付与する。文書等記録のハッシュ値含むトラザクションは、そのハッシュ値と不可分で、前記ID情報はブロックチェーンネットワーク11上で一意であるため、前記ハッシュ値と一意の識別情報をトランザクションに含まれるトークンが持つことになる。
次に、3)前記INPUTを使用するOUTPUTを作成し、記録用秘密鍵Aを使って電子署名した変更後の文書等記録のハッシュ値([0035]S42と同様の方法で取得したハッシュ値)を含め、宛先を自らの記録用公開鍵Aとする。
これら1)~3)を含み、S71で作成された検証、保存済の文書等記録のハッシュ値を参照する信号(トランザクション)を作成し、自らを含むブロックチェーンネットワーク11上の全ノードに送信する。
【0053】
各ノードは、[0052]で受信したトランザクションを記憶部22に保管し、他のノード10B~Fのいずれも、またブロックチェーンネットワーク11がプライベイトチェーンであればその運営者が、文書等記録の変更のないこと、文章等記録の内容を検証することで確定させる(S73、その方法は[0043](S56)と同じ)。
【0054】
別のブロックチェーンネットワーク13で作成、検証、保存された他の文書等記録が存在する(S74)場合には、ノード10Aは、ブロックチェーンネットワーク11上で以下の変更権トークンとAの電子署名が付され、S73で作成、検証、保存済の他の文書等記録のダイジェストを含む変更後の文書等記録のハッシュ値を含む信号(トランザクション)を作成し、自らを含むブロックチェーンネットワーク11上の全ノードに送信し、各ノードは受信するステップを行う(S76)。作成、検証、保存済の他の文書等記録のハッシュ値を含む変更後の文書等記録を作成することで、検証するノードは、他の文書等記録と変更後の文書等記録の履歴を参照して、検証できる。具体的には、
まず、1)検証、保存済みの文書等記録に不可分で一意に紐づいた識別情報を持つ変更権付トークン(S71)を使って作成したOUTPUTを受け取ったノードがアンロックできるために記録用秘密鍵Aを使った電子署名Aを付す。
次に、2)トランザクション冒頭で1)の保有トークンを受信した元のトランザクションのID情報とそのトランザクション内でのOUTPUTの順序を示す数値を参照する。これにより作成した変更後の文書等記録に対して不可分で一意の識別情報を保有トークンに付与する。文書等記録のハッシュ値含むトラザクションは、そのハッシュ値と不可分で、前記ID情報はブロックチェーンネットワーク11上で一意であるため、前記ハッシュ値と一意の識別情報をトランザクションに含まれるトークンが持つことになる。
次に、3)前記INPUTを使用するOUTPUTを作成し、記録用秘密鍵Aを使って電子署名した、S74で作成、検証、保存済の文書等記録のダイジェストを含んだ変更後の文書等記録のハッシュ値([0035]S42と同様の方法で取得したハッシュ値)を含め、宛先を自らの記録用公開鍵Aとする。
これら1)~3)を含む信号(トランザクション)を作成し、自らを含むブロックチェーンネットワーク11上の全ノードに送信する。
【0055】
各ノードは、[0054]で受信したトランザクションを記憶部22に保管し、他のノード10B~Fのいずれも、またブロックチェーンネットワーク11がプライベイトチェーンであればその運営者が、文書等記録の変更のないこと、文章等記録の内容を検証することで確定させる(S76、その方法は[0043](S56)と同じ)。
【0056】
[0051]から[0055]により、ノード10Aの作成した文書等記録は、いずれのノードによっても、ノード10Aが作成、送信し、すべてのノードに記録され、検証時点で改正されていないことを、変更前の文書等記録と併せて変更履歴を参照して確認できる。このノード10Aを市役所、文書等記録を戸籍や住民票、その他のノードを戸籍や住民票の本人である各市民またはその市民の代理人とすると、情報アクセス制限や個人情報の問題を別にして、市民がある市から別の町に転居する場合に、転居前の住民票の記録(S71)を参照して、転居前の市が、転居手続中の住民票を作成し(S72)、検証、保存して、転居後の町で新たな住民票が作成されると(S74)、転居後の町から通信を受け、転居前の市が、転居手続中の住民票(S72)と転居後の住民票(S74)の情報を含むその市民の住民票の除票(S72とS75の組み合わせ)を作成、検証、保存でき、かつ、その市民を含めだれもが、自らまたは他のノード参加者により、即時に、最新の住民票をその転居前の除票の履歴も含めて、提出先である別の公的団体や会社などに証明提示できる仕組みができる。
<文書等記録に作成者の公開鍵認証基盤に基づく電子署名を付す場合>
【0057】
図表8を例示として、文書等記録の作成者が複数人で、文書等記録に対して不可分で一意に紐づけられる識別情報を有するトークンを文書等記録にかかるトランザクションのみで作成する場合において、文書等記録作成者である前記ノードAおよび前記別のノードBが、公開鍵認証基盤に基づく電子証明書により認証された公開鍵(認証公開鍵)保有者として、文書等記録のトランザクションに使用するために別に作成した公開鍵(記録用公開鍵)に電子証明書を自ら付し、その記録用公開鍵と対になる秘密鍵(記録用秘密鍵)を用いて各々が前記文書等記録に付する記録用電子署名Aおよび同Bを作成し、前記記録用電子署名Aおよび記録用電子署名Bをブロックチェーンネットワーク外に設けられた前記分散系システム12から取り込み、ブロックチェーンネットワークにおいて前記信号(トランザクション)に自らの記録用電子署名を含めることができる実施例を説明する。
以下のステップ81(ノード10Aが認証公開鍵Aと認証秘密鍵Aのペアを作成)およびステップ82(ノード10Bが認証公開鍵Bと認証秘密鍵Bのペアを作成)からステップ87(記録用電子証明書によって、記録用公開鍵A(またはB)が認証公開鍵A(または)Bの保有者A(またはB)により作成されたことを検証する)までは、文書等記録の作成者が複数人で文書等記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報の作成をOpen Assets Protocolによる場合でも同じであるほか、文書等記録の作成者が単数である場合にはノード10Bが不要である点を除けば同じである。また検証、保存済の前記文書等記録が変更される場合でもこのステップを踏むことで、文書作成者が、認証公開鍵基盤に基づく電子署名を取得し、変更後の文書等記録に付することができる(そのステップはS71からS76までと同じ)。
【0058】
文書作成者であるノード10A(ブロックチェーンネットワーク参加者Aのノード)およびノード10B(ブロックチェーンネットワーク参加者Bのノード)は、それぞれ認証公開基盤に基づく電子証明書の対象となる認証秘密鍵Aと認証公開鍵Aのペア、認証公開鍵Bと認証秘密鍵Bのペアをブロックチェーンネットワーク11上またはそれと通信ができる分散系システム12において作成する(S81、S82)。また同様に文書等記録のトランザクションに使用するために記録用公開鍵A(またはB)と記録用秘密鍵A(またはB)のペアも作成する(S83、S84)。この段階では認証公開・秘密鍵、記録用公開・秘密鍵のいずれでも認証公開鍵基盤による電子証明書(それらが真正に証明書作成依頼者が作成し、そのものが保有する公開鍵であることを証明する発行機関が発行する電子的に作成され交付される証明書)を発行交付されていない。
【0059】
ノード10A(ブロックチェーンネットワーク参加者Aのノード)は、認証公開鍵Aを付して、認証公開基盤に基づく電子証明書の発行を、認証局(例えば日本では法務局や特定認証機関)に申請し、前記認証公開鍵Aについて認証電子証明書(認証用秘密鍵Aで作ったAの電子署名(認証電子署名A)と前記認証局の秘密鍵で作った認証局の電子署名からなる)の発行、交付を受ける。同様にノード10Bは、認証公開鍵Bを付して、認証公開基盤に基づく電子証明書の発行を、認証局に申請し、前記認証公開鍵Bについて認証電子証明書(認証用秘密鍵Bで作ったBの電子署名(認証電子署名B)と前記認証局の秘密鍵で作った認証局の電子署名からなる)の発行、交付を受ける(S85)。
【0060】
ブロックチェーンネットワーク11上またはそれと通信できる分散系システム12上で、ノード10Aは、認証公開鍵Aの保有者として、予め作成した(S83)記録用公開鍵Aに自らが真正に作成したものであることを証明する記録用電子証明書A(記録用秘密鍵Aで作成した記録用電子署名Aと認証秘密鍵Aで作成したA自らの電子署名からなる)を自ら発行し、自らが受け取る。同様にノード10Bも予め作成した(S84)記録用公開鍵Bに自らが真正に作成したものであることを証明する記録用電子証明書B(記録用秘密鍵Bで作成した記録用電子署名Bと認証秘密鍵Bで作成したB自らの電子署名からなる)を自ら発行し、自らが受け取る(いずれもS86)。
ノード10Aは、ブロックチェーンネットワーク11上またはそれと通信できる分散系システム12上で、記録用電子証明書Aが付された記録用公開鍵Aと対になる記録用秘密鍵Aで記録用電子署名Aを作成し、記録用電子証明書A、認証電子証明書Aとともに自らを含む各ノードにブロードキャストする。同様にノード10Bは、ブロックチェーンネットワーク11上またはそれと通信できる分散系システム12上で、記録用電子証明書Bが付された記録用公開鍵Bと対になる記録用秘密鍵Bで記録用電子署名Bを作成し、記録用電子証明書B、認証電子証明書Bとともに自らを含む各ノードにブロードキャストする(いずれもS86)
【0061】
各ノードは、ノード10Aについては、第一に記録用電子署名Aから記録用公開鍵Aを計算し、既に知れたる記録用公開鍵Aと一致していることを確認して、記録用秘密鍵Aによって記録用電子署名Aをしたのがノード10Aであることを検証し、第二に記録用電子証明書Aに含まれる認証秘密鍵Aで作成したA自らの電子署名から認証公開鍵Aを計算し、既に知れたる認証公開鍵Aと一致していることを確認して、記録用電子証明書Aが認証公開鍵を保有するノード10Aが真正に作成したものであることを検証し、第三に認証電子証明書Aに含まれる認証局の電子署名から認証局の公開鍵を計算し、それが既に知れたる認証局の公開鍵と一致していることを確認して、認証電子証明書Aが公開認証基盤による認証権限を有する認証局から真正に発行されたことを検証する。これら3つの検証により、各ノードは、ノード10Aが、公開認証基盤により認証局に認証された認証公開鍵Aの保有者であり、真正に記録公開鍵Aを作成し、それと対の記録秘密鍵Aを使って電子署名Aを作成したことを検証できる。各ノードは、ノード10Bについても同様の3つの検証により、ノード10Bが、公開認証基盤により認証局に認証された認証公開鍵Bの保有者であり、真正に記録公開鍵Bを作成し、それと対の記録秘密鍵Bを使って電子署名Bを作成したことを検証できる(S87)。
【0062】
ノード10Aまたは10Bは、保存する文書等記録を作成し、分散系システム12またはその他別のシステムにより暗号学的ハッシュ関数などによって、そのハッシュ値を計算して、その値を、分散系システム12との通信部14を経由して取得し、文書等記録の共同作成者であるノード10Bまたはノード10Aに送信するステップを行う(S88)。次にそのハッシュ値に記録用秘密鍵Bを使って電子署名し、ノード10Aに送信する(S89)。
【0063】
ノード10Aは、ブロックチェーンネットワーク11上で以下の方法で、変更権トークンとAおよびBの電子署名が付された文書等記録のハッシュ値を含む信号(トランザクション)を作成し、自らを含むブロックチェーンネットワーク11上の全ノードに送信し、各ノードは受信するステップを行う(S90(S55に同じ))。
まず、1)bitcoinを含みそれに限らないブロックチェーンネットワーク11上で有効な未使用の保有トークンを1つまたはそれ以上含むOUTPUTを受け取ったノードがアンロックできるために記録用秘密鍵Aを使った電子署名Aを付す。
次に、2)トランザクション冒頭で1)の保有トークンを受信した別のトランザクションのID情報とそのトランザクション内でのOUTPUTの順序を示す数値を参照する。これにより作成した文書等記録に対して不可分で一意の識別情報を保有トークンに付与する。文書等記録のハッシュ値含むトラザクションは、そのハッシュ値と不可分で、前記ID情報はブロックチェーンネットワーク11上で一意であるため、前記ハッシュ値と一意の識別情報をトランザクションに含まれるトークンが持つことになる。
次に、3)前記INPUTを使用するOUTPUTを作成し、記録用秘密鍵Aを使ってノード10Aが、また記録用秘密鍵Bを使ってノード10Bが各々電子署名した文書等記録のハッシュ値(S88で取得したハッシュ値)を含め、宛先を記録用公開鍵Aおよび記録用公開鍵Bとする。
これら1)~3)を含む信号(トランザクション)を作成し、自らを含むブロックチェーンネットワーク11上の全ノードに送信する。
【0064】
各ノードは、[0063]で受信したトランザクションを記憶部22に保管し、他のノード10C~Fのいずれも、またブロックチェーンネットワーク11がプライベイトチェーンであればその運営者が、内容を検証することで確定させる(S91)。検証内容は以下の通り。
第一には、変更のないことの検証
1)OUTPUTの宛先が記録用公開鍵Aおよび記録用公開鍵Bであること
2)OUTPUTに付された記録用秘密鍵Aおよび記録用公開鍵Bによる電子署名から記録用公開鍵Aおよび記録用公開鍵Bを計算し、知れたる記録用公開鍵Aおよび記録用公開鍵Bと一致していることで作成者が記録用公開鍵Aおよび記録用公開鍵Bの保有者であるノード10Aおよびノード10Bであること
3)OUTPUTにおける文書等記録に対して不可分で一意に紐づけされた識別情報を持つトークンの払い出しがなく、残高があること(未使用であること、残高があり、未使用であることは、そのトークンが文書等記録に対して不可分で一意に結びついた識別情報を有していることから、その文書等記録が、送信者であるノード10Aおよびノード10Bの意思で作成、送信され、それが第三者により変更されていないことを検証したことになる。)
第二には、内容の検証
文書等記録のハッシュ値に付された電子署名Aおよび電子署名Bを検証(上記2)に同じ)し、文書等記録のハッシュ値を分散系システム12で復元した文書等記録が、あらかじめ知れたる文書等記録と同一の内容であること
【0065】
[0058]から[0065]により、ノード10Aおよびノード10Bの作成した文書等記録は、いずれのノードによっても、ノード10Aおよびノード10Bが作成、送信し、すべてのノードに記録され、検証時点で改正されていないことのほか、公開鍵認証基盤で認証を受けた認証公開鍵保有者であるノードAおよびBが真正に作成した記録用公開鍵と対になる記録用秘密鍵で作成された電子署名が文書等記録に付されていることを検証できる。このノード10Aおよびノード10Bを契約当事者とすると、ブロックチェーンネットワーク11に参加している関連企業などの間で、即時に、最新の契約内容が確認できるほか、その契約などの文書等記録に公開鍵認証基盤に基づく電子署名が付されていることが検証されることで、文書等記録が真正性の推定を受けることができる。
【符号の説明】
【0066】
10 情報処理システム(ブロックチェーンネットワークと分散系システムと、ブロックチェーンネットワークおよび分散系システムとの通信部を有するブロックチェーンネットワークの複数ノードと、からなる)
10A、B、C、D、E、F ブロックチェーンネットワークのノード(分散系システムとの通信部を含む) 11 ブロックチェーンネットワーク 12 分散系システム
13 別のブロックチェーンネットワーク 14 ノードにおける処理部
15 ノードにおける通信部 20 ノードにおけるコンピューター
21 CPU 22 記憶部 23 メモリ 24 入出力I/F 25 R/W部
26 ブロックチェーンネットワークI/F 27 分散系システムI/F
28 基盤バス S41~S91 情報処理のステップ(「ステップ」を「S」と略する)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2020-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
各ノードは、ノード10Aについては、第一に記録用電子署名Aから記録用公開鍵Aを使って含まれている文書等記録のダイジェスト(ハッシュ値等)を計算し、既に知れたるダイジェスト(ハッシュ値等)と一致していることを確認して、記録用秘密鍵Aによって記録用電子署名Aをしたのがノード10Aであることを検証し、第二に記録用電子証明書Aに含まれる認証秘密鍵Aで作成したA自らの電子署名から認証公開鍵Aを使って含まれている文書等記録のダイジェスト(ハッシュ値等)を計算し、既に知れたるダイジェスト(ハッシュ値等)と一致していることを確認して、記録用電子証明書Aが認証公開鍵を保有するノード10Aが真正に作成したものであることを検証し、第三に認証電子証明書Aに含まれる認証局の電子署名から認証局の公開鍵を使って含まれている文書等記録のダイジェスト(ハッシュ値等)を計算し、それが既に知れたるダイジェスト(ハッシュ値等)と一致していることを確認して、認証電子証明書Aが公開認証基盤による認証権限を有する認証局から真正に発行されたことを検証する。これら3つの検証により、各ノードは、ノード10Aが、公開認証基盤により認証局に認証された認証公開鍵Aの保有者であり、真正に記録公開鍵Aを作成し、それと対の記録秘密鍵Aを使って電子署名Aを作成したことを検証できる。各ノードは、ノード10Bについても同様の3つの検証により、ノード10Bが、公開認証基盤により認証局に認証された認証公開鍵Bの保有者であり、真正に記録公開鍵Bを作成し、それと対の記録秘密鍵Bを使って電子署名Bを作成したことを検証できる(S87)。
【手続補正書】
【提出日】2021-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書記録を保存する情報処理装置を有するノードが、
同じ文書記録を他のノードも保存する合意が行われるブロックチェーンネットワーク上で、
ブロードキャストするトランザクションにおいて、
前記ノードが予め別に受信した未使用の前記ブロックチェーンネットワーク上のトークンを含むトランザクションを参照する方法で前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンを作成し、
前記文書記録と前記文書記録の作成者全員に対する前記トークンの払出を含む前記トランザクションをブロードキャストし、前記ブロックチェーンネットワーク上で各ノードが前記文書記録とそれ対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンを保存するステップ
を含むことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた前記識別情報を、
ブロードキャストするトランザクションにおいて、
前記ノードが予め別に受信した未使用の前記ブロックチェーンネットワーク上のトークンを含むトランザクションのID情報とそのトランザクション内での順序を示す数値を参照する
方法で作成するステップを更に含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を、
前記文書記録の作成者が前記ノードおよび別のノードまたはその他複数のノードであるときに、
前記ブロードキャストするトランザクションにおいて、
前記ノードが予め別に受信した未使用の前記ブロックチェーンネットワーク上のトークンを自らおよびすべての作成に関与するノード(前記別のノードまたは前記その他複数のノード)に宛てて払出したトランザクションに付された公開鍵自体または前記公開鍵から作られたデータを参照する方法で作成するステップ、を更に含む
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記文書記録を記録毎にハッシュ値に変換するシステムをブロックチェーンネットワーク外に設け、前記システムから前記ハッシュ値を前記ブロックチェーンネットワークにおいてトランザクションで引用できるステップを更に含む、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記文書記録を含むトランザクションにおいて、前記ブロックチェーンネットワークにおいて作成された変更前の前記文書記録を含むトランザクションを参照するステップ、または前記ブロックチェーンネットワーク外で作成された他の文書記録のハッシュ値を前記文書記録に含めるステップを更に含む、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の情報処理方法システム。
【請求項6】
前記ノード、前記別のノード、前記その他複数のノードが、
前記ブロックチェーンネットワーク外に設けたシステムから
公開鍵認証基盤に基づく電子証明書により認証された公開鍵(認証公開鍵)保有者として作成した公開鍵(記録用公開鍵)に電子証明書を付し、その記録用公開鍵と対になる秘密鍵(記録用秘密鍵)を用いて作成した電子署名を
取り込み、前記ブロックチェーンネットワークにおいてトランザクションに前記電子署名を含めることができるステップを更に含む、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
ブックチェーンネットワークに参加するノードのアドレスと、送信先のノードのアドレスと、ブロックチェーンネットワーク外で作成された文書記録のハッシュ値と、前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンと、を含み、前記ブロックチェーンネットワークで作成された変更前の前記文書記録を含むトランザクションを参照するトランザクションが記録されたブロックチェーンデータ構造であって、
前記ブロックチェーンネットワークに参加するどのノードもが、情報処理装置により、前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンが未使用で存在、即ち払出されていないこと、を検証することにより、前記文書記録が、そのトークンの払出先である文書作成者であるいずれのノードによっても変更されていないことを変更前の前記文書記録も参照して確認することに用いられる、
ブロックチェーンデータ構造
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明は、上記の課題解決のためになされたもので、同じ文書等記録([0010]乃至[0017]において、単に「文書記録」という。)を保存することに同意したノードからなるブロックチェーンネットワーク上において、ブロックチェーン技術によって文書記録およびその変更前文書記録とその文書記録に対して不可分で一意の識別情報を有するトークンを、前記文書記録と同じトランザクション載せ、そのトークンを文書記録の作成者全員に払出し、そのトランザクションをブロックチェーンネットワーク上にブロードキャストしてノード参加者の分散台帳に記録することで、ノード参加者の誰でもが、情報処理装置により、そのトークンの所在を確認する(ブロックチェーンにおいて払出済み状態でないことを確認する)ことで、即時に(リアルタイムで)、変更権が行使されていないこと、よって保存された文書記録が、作成者全員が関与して変更されていないこと、即ち変更前文書記録がある場合には変更履歴等も参照のうえで文書記録の最新性を他のノード参加者の誰に対しても証明できる情報処理システムおよびブロックチェーン構造を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明にかかる情報処理システムは、文書記録を保存する情報処理装置を有するノードが、同じ文書記録を他のノードも保存する合意が行われるブロックチェーンネットワーク上で、ブロードキャストするトランザクションにおいて、前記ノードが予め別に受信した未使用の前記ブロックチェーンネットワーク上のトークンを含むトランザクションを参照する方法で前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンを作成し、前記文書記録と前記文書記録の作成者全員に対する前記トークンの払出を含む前記トランザクションを送信し、ブロックチェーンネットワーク上で各ノードが前記文書記録とそれ対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンを保存するステップを含むことを特徴とする情報処理システムである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明は、前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を、ブロードキャストするトランザクションにおいて、前記ノードが予め別に受信した未使用の前記ブロックチェーンネットワーク上のトークンを含むトランザクションのID情報とそのトランザクション内での順序を示す数値を参照する方法で作成するようにすることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明は、前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を、前記文書記録の作成者が前記ノードおよび別のノードまたはその他複数のノードであるときに、ブロードキャストするトランザクションにおいて、前記ノードが予め別に受信した未使用の前記ブロックチェーンネットワーク上のトークンを自らおよびすべての作成に関与するノード(前記別のノードまたは前記その他複数のノード)に宛てて払出したトランザクションに付された公開鍵自体または前記公開鍵から作られたデータを参照することで、作成するようにすることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明は、前記文書記録を記録毎にハッシュ値に変換するシステムをブロックチェーンネットワーク外に設け、前記システムから前記ハッシュ値を前記ブロックチェーンネットワークで引用することで、作成するようにすることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明は、前記文書記録を含むトランザクションにおいて前記ブロックチェーンネットワークにおいて作成された変更前の前記文書記録を含むトランザクションを参照することができる、または前記ブロックチェーンネットワーク外で作成された他の文書記録のハッシュ値を前記文書記録に含めることができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明は、前記ノード、前記別のノード、前記その他複数のノードの各々の電子署名を、公開鍵認証基盤に基づく電子証明書により認証された公開鍵(認証公開鍵)によって作成された秘密鍵(記録用秘密鍵)により作成できるシステムをブロックチェーンネットワーク外に設け、前記システムから前記電子署名を各ノードが取り込み、前記ブロックチェーンネットワークにおいてトランザクションに自らの前記電子署名を含めるようにすることができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明のブロックチェーンデータ構造は、ブックチェーンネットワークに参加するノードのアドレスと、送信先のノードのアドレスと、ブロックチェーンネットワーク外で作成された文書記録のハッシュ値と、前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンと、を含み、前記ブロックチェーンネットワークで作成された変更前の前記文書記録を含むトランザクションを参照するトランザクションが記録されたブロックチェーンデータ構造であって、前記ブロックチェーンネットワークに参加するどのノードもが、情報処理装置により、前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンが未使用で存在、即ち払出されていないこと、を検証することにより、前記文書記録が、そのトークンの払出先である文書作成者であるいずれのノードによっても変更されていないことをその変更前前記文書記録も参照して確認することに用いられるブロックチェーンデータ構造である。
【手続補正書】
【提出日】2021-04-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書記録を保存する情報処理装置を有するノードが、
同じ文書記録を他のノードも保存する合意が行われるブロックチェーンネットワーク上で、
ブロードキャストするトランザクションにおいて、
前記ノードが予め別に受信した未使用の前記ブロックチェーンネットワーク上のトークンを含むトランザクションを参照する方法で前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンを作成し、
前記文書記録と前記文書記録の作成者全員に対する前記トークンの払出を含む前記トランザクションをブロードキャストし、前記ブロックチェーンネットワーク上で各ノードが前記文書記録とそれ対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンとを保存するステップ
を含むことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた前記識別情報を、
ブロードキャストするトランザクションにおいて、
前記ノードが予め別に受信した未使用の前記ブロックチェーンネットワーク上のトークンを含むトランザクションのID情報とそのトランザクション内での順序を示す数値を参照する
方法で作成するステップを更に含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を、
前記文書記録の作成者が前記ノードおよび別のノードまたはその他複数のノードであるときに、
前記ブロードキャストするトランザクションにおいて、
前記ノードが予め別に受信した未使用の前記ブロックチェーンネットワーク上のトークンを自らおよびすべての作成に関与するノード(前記別のノードまたは前記その他複数のノード)に宛てて払出したトランザクションに付された公開鍵自体または前記公開鍵から作られたデータを参照する方法で作成するステップ、を更に含む
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記文書記録を記録毎にハッシュ値に変換するシステムをブロックチェーンネットワーク外に設け、前記システムから前記ハッシュ値を前記ブロックチェーンネットワークにおいてトランザクションで引用できるステップを更に含む、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記文書記録を含むトランザクションにおいて、前記ブロックチェーンネットワークにおいて作成された変更前の前記文書記録を含むトランザクションを参照するステップ、または前記ブロックチェーンネットワーク外で作成された他の文書記録のハッシュ値を前記文書記録に含めるステップを更に含む、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の情報処理方法システム。
【請求項6】
前記ノード、前記別のノード、前記その他複数のノードが、
前記ブロックチェーンネットワーク外に設けたシステムから
公開鍵認証基盤に基づく電子証明書により認証された公開鍵(認証公開鍵)保有者として作成した公開鍵(記録用公開鍵)に電子証明書を付し、その記録用公開鍵と対になる秘密鍵(記録用秘密鍵)を用いて作成した電子署名を
取り込み、前記ブロックチェーンネットワークにおいてトランザクションに前記電子署名を含めることができるステップを更に含む、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
ブックチェーンネットワークに参加するノードのアドレスと、送信先のノードのアドレスと、ブロックチェーンネットワーク外で作成された文書記録のハッシュ値と、前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンと、を含み、前記ブロックチェーンネットワークで作成された変更前の前記文書記録を含むトランザクションを参照するトランザクションが記録されたブロックチェーンデータ構造の処理方法であって、
前記ブロックチェーンネットワークに参加するどのノードもが、情報処理装置により、前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンが未使用で存在、即ち払出されていないこと、を検証することにより、前記文書記録が、そのトークンの払出先である文書作成者であるいずれのノードによっても変更されていないことを変更前の前記文書記録も参照して確認することに用いられる、
ブロックチェーンデータ構造の処理方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明のブロックチェーンデータ構造は、ブックチェーンネットワークに参加するノードのアドレスと、送信先のノードのアドレスと、ブロックチェーンネットワーク外で作成された文書記録のハッシュ値と、前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンと、を含み、前記ブロックチェーンネットワークで作成された変更前の前記文書記録を含むトランザクションを参照するトランザクションが記録されたブロックチェーンデータ構造の処理方法であって、前記ブロックチェーンネットワークに参加するどのノードもが、情報処理装置により、前記文書記録に対して不可分で一意に紐づいた識別情報を有するトークンが未使用で存在、即ち払出されていないこと、を検証することにより、前記文書記録が、そのトークンの払出先である文書作成者であるいずれのノードによっても変更されていないことをその変更前前記文書記録も参照して確認することに用いられるブロックチェーンデータ構造の処理方法である。