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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035890
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】縦軸型マグナス式風力発電システム
(51)【国際特許分類】
   F03D 3/06 20060101AFI20220225BHJP
   F03D 80/00 20160101ALI20220225BHJP
   F03D 7/06 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
F03D3/06 H
F03D80/00
F03D7/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020149435
(22)【出願日】2020-08-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】303050285
【氏名又は名称】株式会社ソシオリカ
(71)【出願人】
【識別番号】513042056
【氏名又は名称】成田 憲治
(72)【発明者】
【氏名】成田 憲治
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA12
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB31
3H178CC05
3H178CC12
3H178DD12Z
3H178EE05
3H178EE12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自然風の風速に応じて、回転翼の回転速度ならびに発電機の界磁磁束を調整することによって、その風速における極大の風力発電電力近傍において運転することができる縦軸型マグナス式風力発電システムを提供する。
【解決手段】回転翼群の外側と内側に、自然風の風向によって自由に向きを変えることができるダウンウィンド方式のガイドベーンを取付け、大多数の回転翼に対し風が中央の回転軸に向かうように仕向けて、一方方向の回転トルクを発生させるとともに、回転変圧器を用い回転翼駆動用モータの電圧を変えることによって回転翼の回転速度を調整し、電磁石を有する可変磁束界磁型同期発電機の励磁電流を調整することによって発電能力を制御し、広い範囲の自然の風速において大きな発電電力を得ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転翼を回転盤の外縁近傍に軸受を介して円形に配列固定し、回転盤の中心に回転軸を介して発電機を取り付けた縦軸型マグナス式風力発電装置において、回転翼群の外周には、風上側から半分以上の回転翼に横から風が流入するようにするためガイドベーンを備え付けるとともに、風下側の最後尾近傍の回転翼には外側に風が抜けないようにするため遮蔽ベーンを備え付けたダウンウィンド型のガイドベーンを設け、回転翼群の内周には、風下の最後尾近傍の回転翼には内側から風が回転翼に当たらないようにするためダウンウィンド型の遮蔽ベーンを設けてなる縦軸型マグナス式風力発電システム
【請求項2】
縦軸型マグナス式風力発電装置において、複数の回転翼を有し、それらの上端部及び下端部はそれぞれ軸受を介して回転翼上部支持部材及び回転翼下部支持部材で支持され、これら二つの回転翼支持部材は回転中心部において中央回転軸に固定され、中央回転軸は地面に固着され固定台を兼ねた固定箱の上下2箇所において軸受を介して支持され自由に回転可能とし、固定箱には回転翼駆動用モータと風力発電用の同期発電機を内蔵させ、複数の回転翼にはすべて回転翼を回転させるためのモータが取り付けられ、回転翼群の外周にはダウンウィンド方式の構造の外部風向ガイドベーンを設け、2/3以上の回転翼には回転翼の横から中央回転軸に向かって風が吹き付けるようにし、この外部風向ガイドベーンの風向最後部ならびに回転翼群の内周に設けたダウンウィンド方式の構造の内部風向遮蔽ベーンにより、風向の最後部を通過する1/3未満の回転翼の半径方向の風を遮るようにして、いかなる自然風においても外部風向ガイドベーン及び内部方向遮蔽ベーンともに風向の最後尾にその遮蔽ベーンが位置するようにし、全体の回転翼におけるマグナス力による回転トルクを大きくしたことを特長とする縦軸型マグナス式風力発電システム
【請求項3】
回転翼を支持する上部支持部材及び下部支持部材の上面及び下面、ならびに外周風向ガイドベーンの上面及び下面には、回転翼の横から入る風を上方ならびに下方に排出するための排気孔を設けた縦軸型マグナス式風力発電システム
【請求項4】
回転翼群の上部と下部が軸受を介して支持された上部支持部材及び下部支持部材は中央回転軸に固定され、中央回転軸は地面に固着され固定台を兼ねた固定箱の上下2箇所において軸受を介して固定されていて、固定箱の内部には回転変圧器と可変磁束界磁型同期発電機が取り付けられており、回転変圧器の一次巻線と発電機の電機子は固定箱に固定され、回転変圧器の二次巻線と発電機の界磁は中央回転軸に固定されおり、回転変圧器の二次巻線の出力側は中央回転軸の内部を通りすべての回転翼の駆動用モータに接続され、回転変圧器の一次巻線に印加する交流電圧を調整することによって回転翼の回転速度を調整して自然風との間に発生するマグナス力を、上下の回転支持部材によって中央回転軸に一つの方向の回転トルクとして伝達し、その機械的エネルギーの大きさに応じて可変磁束界磁型同期発電機の電磁石界磁の励磁電流を調整し電気的エネルギーに変換して電力を発生させることができる縦軸型マグナス式風力発電システム
【請求項5】
請求項4において、回転変圧器の一次側に印加する交流電圧を調整することによって、回転翼駆動用モータの回転速度を調整し、可変磁束界磁型同期発電機の界磁の電磁石の磁束を調整することによって発電機の出力を調整し、自然風の風速における発電電力を極大値近傍において制御することができることを特長とする縦軸型マグナス式風力発電システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は軸縦型マグナス式風力発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、縦軸型マグナス式風力発電装置は存在するが、技術的に不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-175070
【特許文献2】特開2010-121518
【特許文献3】特許 第6175594
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、風速整流板または装置を設けることによって風の上流部においてマグナス円筒に向かう風向は発電機回転軸を基準にして円周方向成分が増え半径方向成分が減ることになるので、発電電力の大半を占める上流部において発電電力が減少し、発電効率が低くなるという欠点を招く。
【0005】
特許文献2の技術は、発電機主軸が1回転する間に発電機回転軸の中心の風上側と風下側で円筒体翼の回転を2回逆転あるいは変速させる必要があり、そのためには大きな制動機と電動機が必要となり、大きな電力損失が発生し効率を低下させるとともに、設備コストが嵩み経済的な損失も大きくなるという欠点を有する。
【0006】
特許文献3の技術は、発電機の回転軸の中心より風下の円筒翼にはマグナス力による逆方向のトルクが発生するので、発電に寄与する正方向のトルクの総和が減少するという欠点がある。また、流れ阻害手段は風損の要因となり、発電効率を低下させる欠点を招く。
【0007】
上記のいずれの文献にも、回転翼駆動用のモータに回転変圧器を利用して電力を供給するマグナス式風力発電システムの例は開示されていない。
【0008】
上記のいずれの文献にも、界磁に電磁石を用いた可変磁束界磁型同期発電機を風力発電システムの発電機として用いている例は開示されていない。
【0009】
以上の技術の欠点を改善するために、次のような課題を解決するものとする。
1.複数のすべての回転翼の回転方向と回転速度は同一であること。
2.すべての回転翼において発生するマグナス力による回転トルクの総和は常に同一方向 であり、極力大きいこと。
3.すべての回転翼を駆動するモータにブラシやスリップリングのない信頼性の高い回転 変圧器から電力が供給され、回転翼の回転速度は外部の固定側の入力一次電圧を調整 することによって回転速度を制御可能であること。
4.界磁に電磁石を有し、その励磁電流を調整することによって発電出力を制御できる可 変磁束界磁型同期発電機を有すること。
5.発電機界磁の電磁石の励磁電流ならびに回転翼を駆動するモータの入力電圧を調整す ることによって、広い風速範囲において風車の最大出力近傍において発電できるよう に制御できること。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、第1の発明は、
複数の回転翼を回転盤の外縁近傍に軸受を介して円形に配列固定し、回転盤の中心に回転軸を介して発電機を取り付けた縦軸型マグナス式風力発電装置において、回転翼群の外周には、風上側から半分以上の回転翼に横から風が流入するようにするためガイドベーンを備え付けるとともに、風下側の最後尾近傍の回転翼には外側に風が抜けないようにするため遮蔽ベーンを備え付けたダウンウィンド型のガイドベーンを設け、回転翼群の内周には、風下の最後尾近傍の回転翼には内側から風が回転翼に当たらないようにするためダウンウィンド型の遮蔽ベーンを設けてなる縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【0011】
本願の第2の発明は、
縦軸型マグナス式風力発電装置において、複数の回転翼を有し、それらの上端部及び下端部はそれぞれ軸受を介して回転翼上部支持部材及び回転翼下部支持部材で支持され、これら二つの回転翼支持部材は回転中心部において中央回転軸に固定され、中央回転軸は地面に固着され固定台を兼ねた固定箱の上下2箇所において軸受を介して支持され自由に回転可能とし、固定箱には回転翼駆動用モータと風力発電用の同期発電機を内蔵させ、複数の回転翼にはすべて回転翼を回転させるためのモータが取り付けられ、回転翼群の外周にはダウンウィンド方式の構造の外部風向ガイドベーンを設け、2/3以上の回転翼には回転翼の横から中央回転軸に向かって風が吹き付けるようにし、この外部風向ガイドベーンの風向最後部ならびに回転翼群の内周に設けたダウンウィンド方式の構造の内部風向遮蔽ベーンにより、風向の最後部を通過する1/3未満の回転翼の半径方向の風を遮るようにして、いかなる自然風においても外部風向ガイドベーン及び内部方向遮蔽ベーンともに風向の最後尾にその遮蔽ベーンが位置するようにし、全体の回転翼におけるマグナス力による回転トルク大きくしたことを特長とする縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【0012】
本願の第3の発明は、
回転翼を支持する上部支持部材及び下部支持部材の上面及び下面、ならびに外周風向ガイドベーンの上面及び下面には、回転翼の横から入る風を上方ならびに下方に排出するための排気孔を設けた縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【0013】
本願の第4の発明は、
回転翼群の上部と下部が軸受を介して支持された上部支持部材及び下部支持部材は中央回転軸に固定され、中央回転軸は地面に固着され固定台を兼ねた固定箱の上下2箇所において軸受を介して固定されていて、固定箱の内部には回転変圧器と可変磁束界磁型同期発電機が取り付けられており、回転変圧器の一次巻線と発電機の電機子は固定箱に固定され、回転変圧器の二次巻線と発電機の界磁は中央回転軸に固定されおり、回転変圧器の二次巻線の出力側は中央回転軸の内部を通りすべての回転翼の駆動用モータに接続され、回転変圧器の一次巻線に印加する交流電圧を調整することによって回転翼の回転速度を調整して自然風との間に発生するマグナス力を、上下の回転支持部材によって中央回転軸に一つの方向の回転トルクとして伝達し、その機械的エネルギーの大きさに応じて可変磁束界磁型同期発電機の電磁石界磁の励磁電流を調整し電気的エネルギーに変換して電力を発生させることができる縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【0014】
本願の第5の発明は、
請求項4において、回転変圧器の一次側に印加する交流電圧を調整することによって、回転翼駆動用モータの回転速度を調整し、可変磁束界磁型同期発電機の界磁磁束を調整することのよって発電機の出力を調整し、自然風の風速における発電電力を極大値近傍において制御することができることを特長とする縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【発明の効果】
【0015】
1.回転翼群ならびに回転支持部材からなる回転部に風向制御板などのような風の流れを 阻害する部材が存在しないので、効率の高い縦軸型マグナス式風力発電システムを得 ることができる。
2.全ての回転翼の回転方向は常に同一方向にすることができるので、回転方向を切り替 えるためのブレーキやトルクの大きいモータは必要なく、効率が高く、コストの安い 縦軸型マグナス式風力発電システムを得ることができる。
3.回転翼を駆動するモータに電力を供給する手段として、スリップリングやブラシを使 用しない回転変圧器を使用し、発電機には界磁の励磁電流を制御し出力を制御できる 可変磁束界磁型同期発電機を使用するので、回転変圧器の入力電圧と発電機の励磁電 流を制御することによって、いかなる風速においても風車の発電電力の最大出力点あ るいは極大点の近傍において運転することができる信頼性の高い縦軸型マグナス式風 力発電システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1(c)】本発明の縦軸型マグナス式風力発電システムの原理図を表わす。
図1(a)】回転トルクを発生しない縦軸型マグナス式風力発電システムの例を表わす。
図1(b)】理想的だが実現困難な縦軸型マグナス式風力発電システムの例を表わす。
図2】本発明の縦軸型マグナス式風力発電システムの全体構造の横断面図を表わす。
図3】本発明の縦軸型マグナス式風力発電システムの中央部における縦断面図を表わす。
図4】本発明の外部風向ガイドベーンの全体構造図を表わす。
図5】本発明の回転翼支持部材を上面からみた構造を表わす。
図6】本発明の縦軸型マグナス式風力発電システムの回転翼周辺の風の流れを表わす。
図7】本発明の外部風向ガイドベーンを風が3次元的に流れる状態を表わす。
図8】本発明の縦軸型マグナス式風力発電システムにおける回転翼に発生するマグナス力が回転トルクとなる原理を説明している。
図9】本発明の縦軸型マグナス式風力発電システムの一つの回転翼における、回転翼の位置、風の方向と速度、マグナス力ならびに回転トルクの関係を表わす。
図10】本発明のマグナス力によるトルク増加の効果について試算した表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1~10を参照して、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
第1の発明について説明する。
図1にもとづいて本発明の原理について説明する。図(a)は6個の回転翼の上下の軸受を介して上下の回転支持部材に取り付け、上下の回転支持部材はおいて回転中心軸に固定され、回転翼中心のP.C.Dに沿って自由に回転できるようになっており、この回転翼群に一方方向から自然風が吹くと、回転翼群の回転中心を境に自然風の前方側と後方側において、マグナス力による回転トルクの方向が逆転し、互いに打ち消しあって、全体として回転トルクが発生しないこととなる。
このような縦軸型マグナス式風車において回転トルクを最も大きくするには、図(b)に示すように全周囲から中央の回転軸に向かって風を流入させ、その風を上下に流出させるのが最善であるが、自然風を全周囲から中央の回転軸に吹き付けることは困難である。
そこで、図(c)のように回転翼群の外周及び内周に風向ガイドベーンを設けて可能な限り広い外周から自然風を中央の回転軸に向けて吹き付けるようにし、それらの横から入った風は上下の方向に風を流出させる方式をとったのが第一の発明である。
なお、その理論的根拠及び効果については[0023]項において別途説明する。
【0019】
第2の発明について説明する。
本願の第2の発明は、第1の発明の具体的全体構造に拘わる発明であり、図2にもとづいて説明する。
複数の回転翼3を有し、それらの上端部及び下端部の回転軸302がそれぞれ軸受8を介して回転翼上部支持部材31及び回転翼下部支持部材32で支持され、これら二つの回転翼支持部材は回転中心部において中央回転軸110に固定され、中央回転軸は地面に固定され固定台を兼ねた固定箱4の上下2箇所において軸受8を介して支持され自由に回転可能とし、複数の回転翼にはすべて回転翼を回転させるためのモータ34が取り付けられ、固定箱の内部には回転変圧器42と発電機40を設置し、回転変圧器の一次側巻線421と発電機の電機子411は固定箱側に固定され、回転変圧器の二次巻線422と発電機の界磁412は中央回転軸側に固定され、回転変圧器の二次巻線から中央回転軸の内部を通って回転翼駆動用モータに電流が供給されて、一次巻線電圧を調整することによって回転翼駆動用モータの回転速度を調整することによって発電電力を制御出来る特長を有し、回転翼群の外側の近接する周囲には外部風向ガイドベーン1を設け、風上側の回転翼群の略2/3以上の回転翼においては、風が回転翼の外側から内側の中央回転軸に向かって流れ、風下側の略1/3未満の回転翼においては回転翼に外部から風が入り込まないようにするため外部風向遮蔽ベーン13を設けるとともに、回転翼群の内側に近接する内周部には風が直接回転翼に当たらないようにするため内部風向遮蔽ベーン2を設け、外部風向ガイドベーンおよび内部風向遮蔽ベーンはともにダウンウィンド方式の構造とし、軸受8を介して中央回転軸に取り付け自由に円周方向に回転移動できるようにすることによって、広い自然風において外部及び内部の風向ガイドベーンの遮蔽ベーン13は自動的に風向の最後尾に位置するようになり、吹き付ける自然風の風の強さに応じて発電電力を制御できるようにした縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【0020】
第3の発明について説明する。
図7に示すように、外部風向ガイドベーン1の横から流入し、回転翼3の側面を通過して風を外部へ排出するため、図5に示すように上部回転支持部材31の上面ならびに下部回転支持部材32の下面に大きな排気孔33を設けるとともに、図4に示すように外部風向ガイドベーン1の上面及び下面にも大きな排気孔16を設け、図7に示すように回転翼群の横から流入した風の大半を上面ならびに下面から上方排気風75ならびに下方排気風76となって外部に排出する縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【0021】
第4の発明について、図2にもとづいて説明する。
図2に示すように、回転翼群の上部と下部が軸受を介して支持された上部回転支持部材31及び下部回転支持部材32は中央回転軸110に固定され、中央回転軸は地面に固着された固定台を兼ねた強固な固定箱4の上下2箇所において軸受8を介して固定されており、固定箱の内部には回転変圧器42と可変磁束界磁型同期発電機41が取り付けられている。
回転変圧器42については、その一次巻線421は固定箱に取り付け、二次巻線422は中央回転軸110に取り付けて、その出力電圧は電線423によって中央回転軸の内部を通して全ての回転翼駆動用モータ34に接続し、モータ用電源5から回転変圧器の一次巻線421の交流電圧を調整することによって、すべての回転翼の回転速度を自由に制御出来る構造とする。一方発電機は、可変磁束界磁型同期発電機を使用し、その電機子411は固定箱側に取り付け、界磁412は中央回転軸側に取り付ける。回転翼群の自己回転速度と風速によってマグナス力が発生し、それによって中央回転軸に回転トルクが発生して回転し、界磁412が回転することによって電機子411の巻線に交流電圧が発生する。電磁石用の励磁巻線413は電機子側にあるので、直流励磁電源61から直流励磁電流を調整することによって発電機の出力を制御出来る。そして、電機子巻線に発生した交流電圧は出力端子6から取り出すことができるのが、この縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【0022】
第5の発明について説明する。
マグナス力は自然風の風速と回転翼の外径の周速の積に比例し、その最大値は回転翼の外径の周速が自然風の風速と同じになったときである。一方発電機の機械的入力トルクは界磁磁束の大小によって決まり磁束が大きければ機械的入力トルクが大きくなり、磁束が小さければ機械的入力トルクは小さくなる。したがって、自然風の風速が大きいときは、回転翼3の回転角速度を上げて、発電機の界磁412の磁束を大きくすると発電機の電気的出力である発電電力が増加し、自然風の風速が小さいときは、回転翼3の外径の周速を風速に合わせながら、界磁412の電磁石の磁束を調整し、発電電力の最大値または極大値に近づけることができるのが、この縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【0023】
この縦軸型マグナス式風力発電システムの構造について説明したので、改めて第1の発明の理論的根拠ならびに効果について説明する。
本発明の概要を表わす図1(c)の具体的構造の簡略図は図3に示すとおりである。
複数の回転翼3の外側には外部風向ガイドベーン1があり、これに風上風向ガイドベーン11と風下風向ガイドベーン12が左右両側に、そして風下の最後尾に風向遮蔽ベーン13が付属していて、この中心部において軸受8を介して中央回転軸110に繋止されている。また、回転翼群の内部には内部風向遮蔽ベーン2があり、外部風向ガイドベーン1同様、回転中心部において軸受8を介して中央回転軸110に繋止されている。そして、外部風向ガイドベーン1、内部風向遮蔽ベーン2、そして回転翼群3・上下回転支持部材31,32・中央回転軸110の一体となった回転体の3者はそれぞれ独立に回転移動し、外部風向ガイドペーン1と内部風向遮蔽ベーン2は中央回転軸110の周りを自然風によって旋回移動し、回転翼群3・上下回転支持部材31,32・中央回転軸110の一体となった回転体はマグナス力により、固定箱4を基盤として回転運動をする。以上詳述した図3のような回転構造体に自然風を当てたときの風の流れを表わしたものが図6であり、このときの風向、マグナス力、及び回転トルクを表わしたものが図8である。
図8において、Vnは回転翼が回転角の位置がnにきたときの回転翼が受ける風向と風速の大きさを表わし、Fnは回転翼が回転角の位置がnにきたときの回転翼が受けるマグナス力の方向と大きさを表わしている。回転翼が6の回転角の位置すなわち風下の最後尾にきたときは内外周の風向遮蔽ベーンにより半径方向の風の流れはなく円周方向のみとなるため、円周方向成分のマグナス力は発生せず、したがって回転トルクは0となる。このように回転翼が風下の最後尾に来たときを除くと、常に一方方向に回転トルクが働き逆方向に回転トルクが働くことがないことがないことが期待できる。
図9は一つの回転翼が回転角位置nに来たとき受けるガイドベーンにより受ける風の方向と大きさ、マグナス力の方向と大きさ、回転トルクの方向と大きさを表わしたもので、αは自然風とガイドベーンで制御された風の方向の角度差、回転翼の回転角位置はα+βで表わされる。ただし風速の大きさ、マグナス力の大きさについては全て同じとして計算している。このような条件で、図1に示したa,b,cの三つのケースについてマグナス力による回転トルクを試算したのが図10の表である。この表において、自然風に対する制御風の入力角度αは、試算c1においては、風上ガイドベーンではα=30°、風下ガイドベーンではα=60°、試算c2においては、風上ガイドベーンではα=45°、風下ガイドベーンではα=90°という条件で試算した。ここで、図(a)の試算は試算(1)、図(b)の試算は試算(2)、そして図(c)の試算は試算(3)-1及び-2である。
この試算の結果から、回転翼のみで回転させてもマグナス力が得られないが、本発明のような構造にすることによって、実行困難な理想的な方式に比べても、その7割前後という大きな回転トルクが得られることが期待できる。
【符号の説明】
【0024】
〔図における符号〕
1 外部風向ガイドベーン
11 風上風向ガイドベーン
12 風下風向ガイドベーン
13 遮蔽ベーン
14 外部風向ガイドベーン上下支持盤
15 通気孔
16 排気孔
110 中央回転軸
2 内部風向遮蔽ベーン
3 回転翼
31 上部回転支持部材
32 下部回転支持部材
33 排気孔
34 回転翼駆動翼モータ
301 回転翼中心軸のPCD(ここで、PCDの直径は2Rとする)
302 回転翼回転軸
4 固定箱
40 発電機
41 可変磁束界磁型同期発電機
411 電機子
412 界磁
413 励磁巻線
42 回転変圧器
421 一次側巻線
422 二次側巻線
423 電線
5 モータ用電源:▲V▼
6 発電機出力部:▲G▼
61 発電機の電磁石界磁励磁用直流電源:▲E▼
7 自然風
71 風上流入制御風
72 風下流入制御風
75 上方排気風
76 下方排気風
701 自然風の方向と制御風の方向の方位角度差:α
702 回転翼群の回転中心における自然風の方向と一つの回転翼中心となす回転位置 角:β
711 制御風の風速と方向:V
712 制御風によって発生する回転翼のマグナス力の方向と大きさ:F
8 軸受
〔図における記号〕
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2020-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
縦軸型マグナス式風力発電装置において、複数の回転翼を有し、それらの上端部及び下端部はそれぞれ軸受を介して回転翼上部支持部材及び回転翼下部支持部材で支持され、これら二つの回転翼支持部材は回転中心部において中央回転軸に固定され、中央回転軸は地面に固着され固定台を兼ねた固定箱の上下2箇所において軸受を介して支持され自由に回転可能とし、固定箱には回転変圧器と風力発電用の同期発電機を内蔵させ、複数の回転翼にはすべて回転翼を回転させるためのモータが取り付けられ、回転翼群の外周にはダウンウィンド方式の構造の外部風向ガイドベーンを設け、2/3以上の回転翼には回転翼の横から中央回転軸に向かって風が吹き付けるようにし、この外部風向ガイドベーンの風向最後部ならびに回転翼群の内周に設けたダウンウィンド方式の構造の内部風向遮蔽ベーンにより、風向の最後部を通過する1/3未満の回転翼の半径方向の風を遮るようにして、いかなる自然風においても外部風向ガイドベーン及び内部方向遮蔽ベーンともに風向の最後尾にその遮蔽ベーンが位置するようにし、全体の回転翼におけるマグナス力による回転トルクを大きくしたことを特長とする縦軸型マグナス式風力発電システム
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本願の第2の発明は、
縦軸型マグナス式風力発電装置において、複数の回転翼を有し、それらの上端部及び下端部はそれぞれ軸受を介して回転翼上部支持部材及び回転翼下部支持部材で支持され、これら二つの回転翼支持部材は回転中心部において中央回転軸に固定され、中央回転軸は地面に固着され固定台を兼ねた固定箱の上下2箇所において軸受を介して支持され自由に回転可能とし、固定箱には回転変圧器と風力発電用の同期発電機を内蔵させ、複数の回転翼にはすべて回転翼を回転させるためのモータが取り付けられ、回転翼群の外周にはダウンウィンド方式の構造の外部風向ガイドベーンを設け、2/3以上の回転翼には回転翼の横から中央回転軸に向かって風が吹き付けるようにし、この外部風向ガイドベーンの風向最後部ならびに回転翼群の内周に設けたダウンウィンド方式の構造の内部風向遮蔽ベーンにより、風向の最後部を通過する1/3未満の回転翼の半径方向の風を遮るようにして、いかなる自然風においても外部風向ガイドベーン及び内部方向遮蔽ベーンともに風向の最後尾にその遮蔽ベーンが位置するようにし、全体の回転翼におけるマグナス力による回転トルクを大きくしたことを特長とする縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転翼を回転盤の外縁近傍に軸受を介して円形に配列固定し、回転盤の中心に回転軸を介して発電機を取り付けた縦軸型マグナス式風力発電装置において、回転翼群の外周には、風上側から半分以上の回転翼には横から風が流入するようにするためガイドベーンを備え付けるとともに、風下側の最後尾近傍の回転翼には外側に風が抜けないようにするため遮蔽ベーンを備え付けたダウンウィンド型のガイドベーンを設け、回転翼群の内周には、風下の最後尾近傍の回転翼には内側から風が回転翼に当たらないようにするためダウンウィンド型の遮蔽ベーンを設けることによって、これらのガイドベーンや遮蔽ベーンは 回転翼を搭載した回転盤とはそれぞれ独立して、自然風によって回転移動して位置を定め 、風上側の半分以上の回転翼には半径方向成分の多い風を回転中心に向けて吹き付け、風 下側の最後尾近傍の回転翼には半径方向の風を吹き付けないようにして、回転翼群全体に 発生するマグナス力による回転盤の一方方向への回転トルクを増大させることによって、 発電機による発生電力を増加させることを特長とする縦軸型マグナス式風力発電システム
【請求項2】
請求項1において、縦軸型マグナス式風力発電装置において、複数の回転翼を有し、それらの上端部及び下端部はそれぞれ軸受を介して回転翼上部支持部材及び回転翼下部支持部材で支持され、これら二つの回転翼支持部材は回転中心部において中央回転軸に固定され、中央回転軸は地面に固着され固定台を兼ねた固定箱の上下2箇所において軸受を介して支持され自由に回転可能とし、固定箱には回転翼駆動用モータの回転速度制御用の回転変 圧器と風力発電用の同期発電機を内蔵させ、複数の回転翼にはすべて回転翼を回転させるためのモータが取り付けられ、回転翼群の外周にはダウンウィンド方式の構造の外部風向ガイドベーンを設け、2/3以上の回転翼には回転翼の横から中央回転軸に向かって風が吹き付けるようにし、この外部風向ガイドベーンの風向最後部ならびに回転翼群の内周に設けたダウンウィンド方式の構造の内部風向遮蔽ベーンにより、風向の最後部を通過する1/3未満の回転翼の半径方向の風を遮るようにして、いかなる自然風においても外部風向ガイドベーン及び内部風向遮蔽ベーンともに風向の最後尾にその遮蔽ベーンが位置するようにし、全体の回転翼におけるマグナス力による回転トルクを大きくしたことを特長とする縦軸型マグナス式風力発電システム
【請求項3】
請求項1および2において、回転翼群の上部と下部が軸受を介して支持された上部回転支持部材及び下部回転支持部材は中央回転軸に固定され、中央回転軸は地面に固着され固定台を兼ねた固定箱の上下2箇所において軸受を介して固定されていて、固定箱の内部には回転変圧器と可変磁束界磁型同期発電機が取り付けられており、回転変圧器の一次巻線と発電機の電子は固定箱に固定され、回転変圧器の二次巻線と発電機の界磁は中央回転軸に固定されており、回転変圧器の二次巻線の出力側は中央回転軸の内部を通りすべての回転翼の駆動用モータに接続され、回転変圧器の一次巻線に印加する交流電圧を調整することによって回転翼の回転速度を調整して自然風との間に発生するマグナス力を、上下の回転支持部材によって中央回転軸に一つの方向の回転トルクとして伝達し、その機械的エネルギーの大きさに応じて可変磁束界磁型同期発電機の電磁石界磁の励磁電流を調整し電気的エネルギーに変換して電力を発生させ、自然風の風速における発電電力を最大値または 極大値近傍において制御することが出来ることを特長とする縦軸型マグナス式風力発電シ ステム
【請求項4】
請求項1、2および3において、回転翼を支持する上部回転支持部材及び下部回転支持部材の上面及び下面、ならびに外部風向ガイドベーンの上面及び下面には、回転翼の横から入る風を上方ならびに下方に排出するための排気孔を設けた縦軸型マグナス式風力発電システム
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記課題を解決するために、本願の第1の発明は、
複数の回転翼を回転盤の外縁近傍に軸受を介して円形に配列固定し、回転盤の中心に回転軸を介して発電機を取り付けた縦軸型マグナス式風力発電装置において、回転翼群の外周には、風上側から半分以上の回転翼には横から風が流入するようにするためガイドベーンを備え付けるとともに、風下側の最後尾近傍の回転翼には外側に風が抜けないようにするため遮蔽ベーンを備え付けたダウンウィンド型のガイドベーンを設け、回転翼群の内周には、風下の最後尾近傍の回転翼には内側から風が回転翼に当たらないようにするためダウンウィンド型の遮蔽ベーンを設けることによって、これらのガイドベーンや遮蔽ベーンは 回転翼を搭載した回転盤とはそれぞれ独立して、自然風によって回転移動して位置を定め 、風上側の半分以上の回転翼には半径方向成分の多い風を回転中心に向けて吹き付け、風 下側の最後尾近傍の回転翼には半径方向の風を吹き付けないようにして、回転翼群全体に 発生するマグナス力による回転盤の一方方向への回転トルクを増大させることによって、 発電機による発生電力を増加させることを特長とする縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本願の第2の発明は、第1の発明において、
縦軸型マグナス式風力発電装置において、複数の回転翼を有し、それらの上端部及び下端部はそれぞれ軸受を介して回転翼上部支持部材及び回転翼下部支持部材で支持され、これら二つの回転翼支持部材は回転中心部において中央回転軸に固定され、中央回転軸は地面に固着され固定台を兼ねた固定箱の上下2箇所において軸受を介して支持され自由に回転可能とし、固定箱には回転翼駆動用モータの回転速度制御用の回転変圧器と風力発電用の同期発電機を内蔵させ、複数の回転翼にはすべて回転翼を回転させるためのモータが取り付けられ、回転翼群の外周にはダウンウィンド型の構造の外部風向ガイドベーンを設け、2/3以上の回転翼には回転翼の横から中央回転軸に向かって風が吹き付けるようにし、この外部風向ガイドベーンの風向最後部ならびに回転翼群の内周に設けたダウンウィンド型の構造の内部風向遮蔽ベーンにより、風向の最後部を通過する1/3未満の回転翼の半径方向の風を遮るようにして、いかなる自然風においても外部風向ガイドベーン及び内部風向遮蔽ベーンともに風向の最後尾にその遮蔽ベーンが位置するようにし、全体の回転翼におけるマグナス力による回転トルクを大きくしたことを特長とする縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本願の第3の発明は、第1および第2の発明において、
回転翼群の上部と下部が軸受を介して支持された上部支持部材及び下部支持部材は中央回転軸に固定され、中央回転軸は地面に固着され固定台を兼ねた固定箱の上下2箇所において軸受を介して固定されていて、固定箱の内部には回転変圧器と可変磁束界磁型同期発電機が取り付けられており、回転変圧器の一次巻線と発電機の電気子は固定箱に固定され、回転変圧器の二次巻線と発電機の界磁は中央回転軸に固定されており、回転変圧器の二次巻線の出力側は中央回転軸の内部を通りすべての回転翼の駆動用モータに接続され、回転変圧器の一次巻線に印加する交流電圧を調整することによって回転翼の回転速度を調整して自然風との間に発生するマグナス力を、上下の回転支持部材によって中央回転軸に一つの方向の回転トルクとして伝達し、その機械的エネルギーの大きさに応じて可変磁束界磁型同期発電機の電磁石界磁の励磁電流を調整し電気的エネルギーに変換して電力を発生させ、自然風の風速における発電電力を最大値または極大値近傍において制御することが出 来ることを特長とする縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本願の第4の発明は、第1~3の発明において、
回転翼を支持する上部支持部材及び下部支持部材の上面及び下面、ならびに外周風向ガイドベーンの上面及び下面には、回転翼の横から入る風を上方ならびに下方に排出するための排気孔を設けた縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
第1の発明について説明する。
図1にもとづいて本発明の原理について説明する。図(a)は6個の回転翼の上下の軸受を介して上下の回転支持部材に取り付け、上下の回転支持部材はおいて回転中心軸に固定され、回転翼中心のP.C.Dに沿って自由に回転できるようになっており、この回転翼群に一方方向から自然風が吹くと、回転翼群の回転中心を境に自然風の前方側と後方側において、マグナス力による回転トルクの方向が逆転し、互いに打ち消しあって、全体として回転トルクが発生しないこととなる。
このような縦軸型マグナス式風車において回転トルクを最も大きくするには、図(b)に示すように全周囲から中央の回転軸に向かって風を流入させ、その風を上下に流出させるのが最善であるが、自然風を全周囲から中央の回転軸に吹き付けることは困難である。
そこで、図(c)のように回転翼群の外周及び内周に風向ガイドベーンを設けて可能な限り広い外周から自然風を中央の回転軸に向けて吹き付けるようにし、それらの横から入った風は上下の方向に風を流出させる方式をとったのが第一の発明の基本的原理である。
なお、ここで言う回転盤とは図2および段落〔0024〕における上部回転支持部材31 、下部回転支持部材32のいずれか、もしくは双方を有する回転支持部材を意味する。
次に、段落〔0023〕にもとづいて本発明の構造および性能について説明する。複数の 回転翼3を回転盤すなわち上部回転支持部材31および下部回転支持部材32の外縁近傍 に軸受8を介して円形に配列固定し、回転盤の中心に回転軸110を介して発電機40を 取り付けた縦軸型マグナス式風力発電装置において、回転翼群の外周には、風上側から半 分以上の回転翼3には横から風が流入するようにするため外部風向ガイドベーン1を備え 付けるとともに、風下側の最後尾近傍の回転翼3には外側に風が抜けないようにするため 遮蔽ベーン13を備え付けたダウンウィンド型の外部風向ガイドベーン1を設け、回転翼 群の内周には、風下の最後尾近傍の回転翼3には内側から風が回転翼3に当たらないよう にするためダウンウィンド型の遮蔽ベーン13を設けることによって、これらのガイドベ ーン1や遮蔽ベーン13は回転翼3を搭載した回転盤とはそれぞれ独立して自然風7によ って回転移動して位置を定め、風上側の半分以上の回転翼3には半径方向成分の多い風を 回転中心に向けて吹き付け、風下側の最後尾近傍の回転翼3には半径方向の風を吹き付け ないようにして、回転翼群全体に発生するマグナス力712による回転盤の一方方向への 回転トルクを増大させることによって、発電機40による発生電力を増加させることを特 長とする縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
第2の発明について説明する。
本願の第2の発明は、第1の発明の具体的全体構造に拘わる発明であり、図2にもとづいて説明する。
複数の回転翼3を有し、それらの上端部及び下端部の回転軸302がそれぞれ軸受8を介して上部回転支持部材31及び下部回転支持部材32で支持され、これら二つの回転支持部材は回転中心部において中央回転軸110に固定され、中央回転軸は地面に固定され固定台を兼ねた固定箱4の上下2箇所において軸受8を介して支持され自由に回転可能とし、複数の回転翼にはすべて回転翼を回転させるためのモータ34が取り付けられ、固定箱の内部には回転変圧器42と発電機40を設置し、回転変圧器の一次側巻線421と発電機の電機子411は固定箱側に固定され、回転変圧器の二次巻線422と発電機の界磁412は中央回転軸側に固定され、回転変圧器の二次巻線から中央回転軸の内部を通って回転翼駆動用モータに電流が供給されて、一次巻線電圧を調整することによって回転翼駆動用モータの回転速度を調整することによって発電電力を制御出来る特長を有し、回転翼群の外側の近接する周囲には外部風向ガイドベーン1を設け、風上側の回転翼群の略2/3以上の回転翼においては、風が回転翼の外側から内側の中央回転軸に向かって流れ、風下側の略1/3未満の回転翼においては回転翼に外部から風が入り込まないようにするため外部風向遮蔽ベーン13を設けるとともに、回転翼群の内側に近接する内周部には風が直接回転翼に当たらないようにするため内部風向遮蔽ベーン2を設け、外部風向ガイドベーンおよび内部風向遮蔽ベーンはともにダウンウィンド方式の構造とし、軸受8を介して中央回転軸に取り付け自由に円周方向に回転移動できるようにすることによって、広い自然風において外部及び内部の風向ガイドベーンの遮蔽ベーン13は自動的に風向の最後尾に位置するようになり、吹き付ける自然風の風の強さに応じて発電電力を制御できるようにした縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
第3の発明について説明する。
本発明は第1および第2の発明を応用した発明である。図2に示すように、回転翼群の上部と下部が軸受を介して支持された上部回転支持部材31及び下部回転支持部材32は中央回転軸110に固定され、中央回転軸は地面に固着された固定台を兼ねた強固な固定箱4の上下2箇所において軸受8を介して固定されており、固定箱の内部には回転変圧器42と可変磁束界磁型同期発電機41が取り付けられている。
回転変圧器42については、その一次巻線421は固定箱に取り付け、二次巻線422は中央回転軸110に取り付けて、その出力電圧は電線423によって中央回転軸の内部をとして全ての回転翼駆動用モータ34に接続し、モータ用電源5から回転変圧器の一次巻線421の交流電圧を調整することによって、すべての回転翼の回転速度を自由に制御出来る構造とする。一方発電機は、可変磁束界磁型同期発電機を使用し、その電気子411は固定箱側に取り付け、界磁412は中央回転軸側に取り付ける。回転翼群の自己回転速度と風速によってマグナス力が発生し、それによって中央回転軸に回転トルクが発生して回転し、界磁412が回転することによって電機子411の巻線に交流電圧が発生する。電磁石用の励磁巻線413は電機子側にあるので、直流励磁電源61から直流励磁電流を調整することによって発電機の出力を制御出来る。そして、電機子巻線に発生した交流電圧は出力端子6から取り出すことができる。
さらに、マグナス力は自然風の風速と回転翼の外径の周速の積に比例し、その最大値は回 転翼の外径の周速が自然風の風速と同じになったときである。一方、発電機の機械的入力 トルクは界磁磁束の大小によって決まり磁束が大きければ機械的入力トルクが大きくなり 、磁束が小さければ機械的入力トルクは小さくなる。したがって、自然風の風速が大きい ときは、回転翼3の回転角速度を上げて、発電機の界磁412の磁束を大きくすると発電 機の電気的出力である発電電力が増加し、自然風の風速が小さいときは、回転翼3の外径 の周速を風速に合わせながら、界磁412の電磁石の磁束を調整し、発電電力の最大値ま たは極大値に近づけることができるのが、この縦軸型マグナス式風力発電システムである
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
第4の発明について説明する。
第1~3の発明において、図7に示すように、外部風向ガイドベーン1の横から流入し、回転翼3の側面を通過して風を外部へ排出するため、図5に示すように上部回転支持部材31の上面ならびに下部回転支持部材32の下面に大きな排気孔33を設けるとともに、図4に示すように外部風向ガイドベーン1の上面及び下面にも大きな排気孔16を設け、図7に示すように回転翼群の横から流入した風の大半を上面ならびに下面から上方排気風75ならびに下方排気風76となって外部に排出する縦軸型マグナス式風力発電システムである。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【補正の内容】