(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035949
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】スライドレールアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A47B 88/477 20170101AFI20220225BHJP
A47B 88/487 20170101ALI20220225BHJP
A47B 88/493 20170101ALI20220225BHJP
【FI】
A47B88/477
A47B88/487
A47B88/493
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015418
(22)【出願日】2021-02-03
(31)【優先権主張番号】109128520
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 石龍
(72)【発明者】
【氏名】趙 乙▲しゅあん▼
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AB46
3B160AB47
3B160AB61
3B160EA03
3B160EA13
3B160EA14
3B160EB73
3B160EB76
3B160EB82
(57)【要約】
【課題】 引っ込められた状態にある場合に引っ込め位置で保持可能なスライドレールアセンブリを提供すること。
【解決手段】 スライドレールアセンブリは、第1のレール、第2のレール、作用部材及び接触部を含む。第2のレール及び第1のレールは互いに相対的に可動である。作用部材は、第1のレール及び第2のレールのうちの一方に配置される接続部に取り付けられる。接触部は第1のレール及び第2のレールのうちの他方に配置される。作用部材と接続部との間に少なくとも1つの空間が画定される。スライドレールアセンブリが引っ込められた状態にある場合、作用部材は、第2のレールが所定の位置から所定の方向に沿って動くのを防止するために接触部をブロックするように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレールと、
前記第1のレールに対して長手方向に可動な第2のレールと、
前記第1のレール及び前記第2のレールのうちの一方に配置される接続部に取り付けられる作用部材と、
前記第1のレール及び前記第2のレールのうちの他方に配置される接触部と、
を含むスライドレールアセンブリであって、
前記接続部は第1の側を有し、前記作用部材と前記接続部の第1の側との間に第1の空間が画定され、
前記第2のレールを前記第1のレールに対して第1の所定の位置から第2の所定の位置に第1の方向に沿って動かす過程の間、前記接触部は前記作用部材と接触して前記作用部材が前記第1の空間を介して弾力的に変形し、前記接触部が前記作用部材を前記第1の方向に沿って横切ることができるように構成されている、スライドレールアセンブリ。
【請求項2】
前記作用部材は可撓性材料で作られ、前記接続部は、前記第1の側と反対の第2の側をさらに有し、前記作用部材と前記接続部の第2の側との間に第2の空間が画定され、
前記第2のレールを前記第1のレールに対して前記第2の所定の位置から前記第1の所定の位置に前記第1の方向と反対の第2の方向に沿って動かす過程の間、前記接触部は前記作用部材と接触して前記作用部材が前記第2の空間を介して弾力的に変形し、前記接触部が前記作用部材を前記第2の方向に沿って横切ることができるように構成されている、請求項1に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の空間において、前記接続部の第1の側と前記作用部材の第1の端壁との間に第1の長手距離が画定され、前記第2の空間において、前記接続部の第2の側と前記作用部材の第2の端壁との間に第2の長手距離が画定され、該第1の長手距離は該第2の長手距離よりも実質的に短い、請求項2に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項4】
前記作用部材は第1の部分、第2の部分及び該第1の部分と該第2の部分との間に接続される中間部分を含み、該第1の部分と該中間部分との間に第1のクランプ部が配置されて、前記接続部の第1の側及び第2の側をクランプするように構成されている、請求項2に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項5】
前記中間部分は、前記接続部の第1の側及び第2の側のうちの一方に当接するように構成された支持区画を有する、請求項4に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項6】
前記作用部材は、前記作用部材が前記接続部に誤った形で取り付けられるのを防止するように構成されたフールプルーフ機構を有する、請求項1に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項7】
前記第1のレール及び前記第2のレールのそれぞれは、第1の壁、第2の壁及び該第1の壁と該第2の壁との間に接続される長手壁を含み、
前記作用部材はガイド構造を備え、
前記第2のレールを前記第1のレールに対して前記第2の所定の位置から前記第1の所定の位置に前記第2の方向に沿って動かす過程の間、前記作用部材のガイド構造は、前記第2のレールの長手壁が前記作用部材によって支持されるよう構成されるように、前記第2のレールの長手壁をガイドするように構成されている、請求項2に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項8】
第1のレールと、
前記第1のレールに対して可動な第2のレールと、
前記第1のレールの接続部に着脱可能に取り付けられる作用部材と、
前記第2のレールに配置される接触部と、
を含むスライドレールアセンブリであって、
前記作用部材と前記接触部との間に第1の空間が画定され、
前記第2のレールが引っ込められた状態から前記第1のレールに対して第1の方向に沿って動かされた場合、前記作用部材は前記第2のレールが第1の所定の位置から該第1の方向に沿って動くのを防止するために前記接触部をブロックするように構成されている、スライドレールアセンブリ。
【請求項9】
前記作用部材は第1のガイド区画を有し、
前記第2のレールを前記第1のレールに対して前記第1の所定の位置から第2の所定の位置に前記第1の方向に沿って動かす過程の間、前記接触部は前記作用部材の第1のガイド区画と接触して、前記作用部材が前記第1の空間を介して弾力的に変形し、前記接触部が前記作用部材を横切ることができるように構成されている、請求項8に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項10】
前記作用部材と前記接続部との間に第2の空間が画定され、前記作用部材は第2のガイド区画をさらに有し、
前記第2のレールを前記第1のレールに対して前記第2の所定の位置から前記第1の所定の位置に前記第1の方向と反対の第2の方向に沿って動かす過程の間、前記接触部は前記作用部材の第2のガイド区画と接触して、前記作用部材が前記第2の空間を介して弾力的に変形し、前記接触部が前記作用部材を横切ることができるように構成されている、請求項9に記載のスライドレールアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスライドレールアセンブリに関し、より具体的には、引っ込め位置において引っ込められた状態で安定して留まることが可能なスライドレールアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはスライドレールのための緩衝位置決め装置が開示されており、該装置は固定レールと、該固定レールに対して可動な可動レールとに適用される。垂直シート体は、緩衝部材にスリーブ接続されるように固定レールの後端に配置されている。緩衝部材は、可動レールが固定レールに対して引っ込められている場合に可動レールの動きに緩衝を提供するように構成されている。可動レールが引っ込められると、可動レールはさらに位置決めされてバ緩衝部材と係合することができる。緩衝部材は、緩衝部材の両端の断面形状の幅が同一となるような形で直線状のスリーブ溝を備える。接続部は緩衝部材上配置されている。接続部はスリーブ溝の1つの内側の中央部に位置して突起として形成されている。シート体の両側は平らで真っ直ぐである。緩衝部材の突出した接続部に対応してシート体の中央に貫通孔が配置され、突起及び孔の構造を互いに嵌合させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、緩衝部材のスリーブ溝の輪郭は真っ直ぐである。緩衝部材のスリーブ溝が固定レールの輪郭が合致するシート体にスリーブ接続されると、緩衝部材のスリーブ溝と固定レールのシート体とが密に合致及び篏合するため、緩衝部材は弾力的に変形するための余分な空間を有さない。そのため、可動レールを固定レールに対して引っ込め位置から開位置に(又は開位置から引っ込め位置に)動かすプロセスの間に、可動レールの後端にあるクランプ部(特許文献1の
図3に示すクランプ点)が緩衝部材と摩擦接触して、緩衝部材のクランプ部(クランプ点)が摩耗しやすくなり、可動レールと緩衝部材との間の位置決め機能が機能しなくなる。
【0005】
したがって、特定の市場の要求を満たすスライドレールアセンブリを開発することが重要である。
【0006】
本発明は、引っ込められた状態にある場合に引っ込め位置で保持可能なスライドレールアセンブリに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、スライドレールアセンブリは第1のレール、第2のレール、作用部材及び接触部を含む。第2のレールは第1のレールに対して長手方向に可動である。作用部材は第1のレール及び第2のレールのうちの一方に配置される接続部に取り付けられる。接触部は第1のレール及び第2のレールのうちの他方に配置される。接続部は第1の側を有し、作用部材と接続部の第1の側との間に第1の空間が画定される。第2のレールを第1のレールに対して第1の所定の位置から第2の所定の位置に第1の方向に沿って動かす過程の間、接触部は作用部材と接触して作用部材が第1の空間を介して弾力的に変形し、接触部が作用部材を第1の方向に沿って横切ることができるように構成されている。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、スライドレールアセンブリは第1のレール、第2のレール、作用部材及び接触部を含む。第2のレールは第1のレールに対して可動である。作用部材は第1のレールの接続部に着脱可能に取り付けられる。接触部は第2のレールに配置される。作用部材と接触部との間に第1の空間が画定される。第2のレールが引っ込められた状態から第1のレールに対して第1の方向に沿って動かされた場合、作用部材は第2のレールが第1の所定の位置から該第1の方向に沿って動くのを防止するために接触部をブロックするように構成されている。
【0009】
様々な図面に図示する下記の好ましい実施形態の詳細な説明を読み終えた後、本発明の上記の目的及び他の目的が当業者に間違いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るスライドレールアセンブリを示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る、作用部材及びスライドレールアセンブリの分解図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る所定の角度から見た作用部材を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る、別の角度から見た作用部材を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る、スライドレールアセンブリの第1のレールに正しく取り付けられた作用部材を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る、スライドレールアセンブリの第1のレールに正しく取り付けられた作用部材を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る、第1のレール、第2のレール、第3のレール及び作用部材を含むスライドレールアセンブリの断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る、引っ込めされた状態にあるスライドレールアセンブリを示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係る、第1のレールに対して第1の方向に沿って動かされたスライドレールアセンブリの第2のレールを示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係る、第2のレールが第1のレールに対して第1の方向に沿ってさらに動かされた場合のスライドレールアセンブリの部分図である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に係る、第2のレールが第1のレールに対して第1の方向に沿ってさらに動かされた場合のスライドレールアセンブリの部分図である。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態に係る、伸張状態にあるスライドレールアセンブリを示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態に係る、第1のレールに対して第2の方向に沿って動かされたスライドレールアセンブリの第2のレールを示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施形態に係る、スライドレールアセンブリの第2のレールが第1のレールに対して第2の方向に沿ってさらに動かされた状態を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の一実施形態に係る、スライドレールアセンブリの第1のレールに誤って取り付けられた作用部材を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係る、スライドレールアセンブリの第1のレールに作用部材が誤った形で取り付けられることにより第2のレールが第1のレールに対して第2の方向に沿って滑らかに引っ込めることができない状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態に係るスライドレールアセンブリ20は、第1のレール22、第2のレール24、作用部材26及び少なくとも1つの接触部28を含む。スライドレールアセンブリ20は、第1のレール22と第2のレール24との間に可動に取り付けられる第3のレール30をさらに含み、所謂三区画スライドレールアセンブリ20を形成することが好ましい。第1のレール22、第2のレール24及び第3のレール30は、互いに対して長手方向に可動である。さらに、本実施の形態では、X軸方向が長手方向(レールの長手方向又は移動方向)と定義され、Y軸方向が横方向と定義され、Z軸方向が垂直方向(又はレールの高さ方向)と定義される。
【0012】
第1のレール22は、第1の壁32a、第2の壁32b及び第1のレール22の第1の壁32aと第2の壁32bとの間に接続される長手壁34を含む。第3のレール30を収容するために、第1のレール22の第1の壁32a、第2の壁32b及び長手壁34により通路が画定されている。第1のレール22は第1の端部と、第1の端部から離れた第2の端部とを有する。第1の端部を前端部f1とし、第2の端部を後端部r1とすることができるが、本発明はこのような構成に限定されない。同様に、第2のレール24を収容するために、第3のレール30の複数の壁によって別の通路が画定されている。第2のレール24は、第1の壁54a、第2の壁54b及び第2のレール24の第1の壁54aと第2の壁54bとの間に接続される長手壁56を含む。第2のレール24は第1の端部と、第1の端部から離れた第2の端部とを有する。第2のレール24の第1の端部を前端部f2とし、第2のレール24の第2の端部を後端部r2とすることができるが、本発明はこのような構成に限定されない。
【0013】
作用部材26は、第1のレール22及び第2のレール24のうちの一方に配置される接続部36に取り付けられる。本実施形態では、接続部36は第1のレール22に配置され、第1のレール22の後端部r1に隣接して位置する。接続部36は第1のレール22の長手壁34から実質的に横方向に突出する突起であることが好ましいが、本発明はこのような構成に限定されない。作用部材26は接続部36に配置されている。少なくとも1つの接触部28は第1のレール22及び第2のレール24のうちの他方に配置されている。本実施の形態では、少なくとも1つの接触部28は第2のレール24の後端部r2に隣接して配置されている。加えて、本実施形態では、2つの接触部28が第2のレール24の第1の壁54a及び第2の壁54bにそれぞれ配置されている。
【0014】
作用部材26は接続部36に着脱可能に取り付けられることが好ましい。
【0015】
作用部材26は可撓性材料から作られていることが好ましい。例えば、作用部材26はプラスチック材料で作ることができるが、本発明はこのような構成に限定されない。
【0016】
作用部材26は、接続部36に取り付けられるように構成された取り付け部38を有し、取り付け部38及び接続部36は互いに実質的に合致し対応する輪郭を有することが好ましい。本実施の形態では、取り付け部38には作用部材26の本体の第1の側S1及び第2の側S2(
図3、
図4を参照されたい)を貫通する開口が形成され、接続部36は突起であるが、本発明はこのような構成に限定されない。作用部材26は、取り付け部38を介して接続部36にスリーブ接続される(sleeved)ように構成されている。
【0017】
接続部36は第1の側36a及び第1の側36aの反対の第2の側36b、例えば前側及び後ろ側を有するが、本発明はこのような構成に限定されない。作用部材26と接続部36の第1の側36aとの間に第1の空間G1が画定されている(
図6を参照されたい)。他方、作用部材26と接続部36の第2の側36bとの間に第2の空間G2が画定されている。第1の空間G1において、接続部36の第1の側36aと作用部材26の第1の端壁W1との間に第1の長手距離L1が画定され(
図6Aを参照されたい)、第2の空間G2において、接続部36の第2の側36bと作用部材26の第2の端壁W2との間に第2の長手距離L2が画定される(
図6Aを参照されたい)ことが好ましい。第1の長手距離L1は第2の長手距離L2よりも実質的に小さい。したがって、作用部材26は接続部36の両側で変形するレベルが異なる。例えば、第2の空間G2に隣接する作用部材26の変形レベル(又は変形度)は、第1の空間G1に隣接する作用部材26の変形レベル(又は変形度)よりも大きい。
【0018】
作用部材26は、第1の部分K1、第2の部分K2及び第1の部分K1と第2の部分K2との間に接続される中間部分K3を含み(
図5及び
図6を参照されたい)、第1の部分K1と第2の部分K2とは実質的に同一の構成を有することが好ましい。第1の部分K1と中間部分K3との間に第1のクランプ部が配置されている。例えば、第1のクランプ部は、接続部36の第1の側36a及び第2の側36bをクランプするように構成された第1の補助区画40a及び第2の補助区画40bを含む。同様に、第2の部分K2と中間部分K3との間に第2のクランプ部が配置されている。例えば、第2のクランプ部は、接続部36の第1の側36a及び第2の側36bをクランプするように構成された第3の補助区画40c及び第4の補助区画40dを含む。
【0019】
作用部材26の中間部K3は、接続部36の第1の側36a及び第2の側36bのうちの一方に当接するように構成された突起区画等の支持区画42(
図6を参照されたい)を有することが好ましい。本実施の形態では、支持区画42は、作用部材26を接続部36に密に押圧することができるように接続部36の第2の側36bに当接するように構成されている。接続部36は貫通孔43を有し、作用部材26の支持区画42は接続部36に取り付けられる作用部材26の信頼性を改善するために貫通孔43の端壁に係合することが好ましい。
【0020】
作用部材26の本体後半及び本体前半のそれぞれには第1のガイド区画44(
図5及び
図6に示す傾斜面又は弧面等)及び第2のガイド区画46(
図5及び
図6に示す傾斜面又は弧面等)が設けられることが好ましい。本実施の形態では、作用部材26の第1の部分K1及び第2の部分K2の双方は第1のガイド区画44及び第2のガイド区画46を有するが、本発明はこのような構成に限定されない。
【0021】
第1のガイド区画44及び第2のガイド区画46のそれぞれは斜面又は弧面を有し、第1のガイド区画44は第2のガイド区画46よりも傾斜が僅かに大きいことが好ましい。
【0022】
作用部材26の第2の側S2の前半部にはガイド構造48(
図3、
図4、
図5に示す傾斜面や弧面等)が設けられ、ガイド構造48は下部48a、上部48b及び下部48aと上部48bとの間に接続されるガイド部48cを備える。下部48aと作用部材26の第1の側S1との間に第1の横方向高さ(transverse height)H1(又は第1の横高さ)が画定され、上部48bと作用部材26の第1の側S1との間に第2の横方向高さH2(又は第2の横高さ)が画定される。
【0023】
第2のレール24の長手壁56と第1のレール22の長手壁34との間の横方向距離は第1の横方向高さH1(
図1も参照されたい)よりも実質的に大きく、第2の横方向高さH2は、第2のレール24の長手壁56と第1のレール22の長手壁34との間の横方向距離よりも大きいことが好ましい。さらに、第2の側S2の後半部と作用部材26の第1の側S1との間の横方向高さは、第2の横方向高さH2と実質的に等しい。
【0024】
図7及び
図8に示すように、スライドレールアセンブリ20の各2つの隣接するレールの間には摺動補助装置が配置される。摺動補助装置は複数のボールを備える。本実施形態では、第1のレール22と第3のレール30との間に第1の摺動補助装置50が可動に配置され、第1のレール22と第3のレール30との間の相対移動の滑らかさを改善するように構成されている。同様に、第3のレール30と第2のレール24との間に第2のスライド支援装置52が可動に配置され、第3のレール30と第2のレール24との間の相対移動の滑らかさを改善するように構成されている。
【0025】
2つの接触部28は、作用部材26の第1の部分K1及び第2の部分K2とそれぞれ相互作用するように構成されていることが好ましい。2つの接触部28は実質的に同一の構成を有する。例えば、各接触部28は(
図8に示すように)前側接触区画28a及び後ろ側接触区画28bを有する。前側接触区画28a及び後ろ側接触区画28bのそれぞれは傾斜面又は弧面を有する。スライドレールアセンブリ20が引っ込められた状態にある場合、第2のレール24(及び第3のレール30)は第1のレール22に対して引っ込められている。
【0026】
図9に示すように、第2のレール24(及び第3のレール30)が第1のレール22に対して第1の方向D1に予期せずに動かされた場合(例えば、傾いて重力によって動かされる)場合、作用部材26の第1のガイド区画44は、第2のレール24が第1の所定の位置P1(例えば、引っ込め位置)から第1の方向D1に沿って動くのを防止するために接触部28をブロックするように構成されている。
【0027】
図9~
図12に示すように、第2のレール24を第1のレール22に対して第1の所定の位置P1から第1の方向D1に沿って動かす過程の間、接触部28の前側接触区画28aは、(
図9に示すように)作用部材26の第1のガイド区画44と接触するように構成されている。ユーザーが第2のレール24に対して第1の方向D1に加えた力が十分に大きい場合、接触部28の前側接触区画28aと作用部材26の第1のガイド区画44とが互いに接触し、作用部材26が第1の空間G1を介して弾力的に変形する(flexibly deformed)。すなわち、作用部材26は、(
図10に示すように)弾力的な変形力Fを生成して(
図11に示すように)接触部28が第1の方向D1に沿って作用部材26を横切ることができるようにする。そのため、第2のレール24を(
図12に示すように)第1のレール22に対して第1の方向D1に沿って第2の所定の位置P2に動かすことができる。そのとき、スライドレールアセンブリ20は伸長状態にある。
【0028】
図12~
図14に示すように、第2のレール24を第1のレール22に対して第2の所定の位置P2から第1の方向D1と反対の第2の方向D2に沿って動かす過程の間、接触部28の後ろ側接触区画28bは、第2のレール24を第1のレール22に対して引っ込める過程における衝突音を低減するため、緩衝のために(
図13に示すように)作用部材26の第2のガイド区画46と接触するように構成されている。ユーザーが第2のレール24に対して第2の方向D2に加えた力が十分に大きい場合、接触部28の後ろ側接触区画28bと作用部材26の第2のガイド区画46とが互いに接触し、作用部材26が(
図14に示すように)第2の空間G2及び/又は第1の空間G1を介して弾力的に変形する。すなわち、作用部材26は別の弾力的な変形力F’を生成して接触部28が第2の方向D2に沿って作用部材26を横切ることができるようにする。そのため、第2のレール24を(
図9又は
図8に示すように)第1のレール22に対して第2の方向D2に沿って第1の所定の位置P1に動かすことができる。
【0029】
さらに、
図1に示すように、第2のレール24を第1のレール22に対して第2の所定の位置P2から第1の所定の位置P1に第2の方向D2に沿って動かす過程の間、作用部材26のガイド構造48は、第2のレール24が(
図9に示すように)第1の所定の位置P1に戻った場合に第2のレール24の長手壁56を作用部材26の第2の側S2で支持することができるように第2のレール24の後端部r2の長手壁56をガイドするように構成されている。
【0030】
図15に示すように、作用部材26は、作用部材26が接続部36に誤った形で取り付けられるのを防止するためにフールプルーフ機構をさらに備える。例えば、
図5(又は
図1)の正しい取り付け状態とは異なって、ユーザーが
図15に示すように作用部材26の前後を逆にして接続部36に取り付けた場合、ガイド構造48は作用部材26の本体後半に位置することになる。そのような構成では、第2のレール24を第1のレール22に対して第2の所定の位置P2から第1の所定の位置P1に第2の方向D2に沿って動かす過程の間、第2のレール24の後端部r2は、第2の横方向高さH2を有する作用部材26の本体前半により作用部材26に直接当たるため、第2のレール24が作用部材26にブロックされ、第1の所定の位置P1に戻るのが困難(又は不可能)になる。したがって、ユーザーは作用部材26が接続部36に誤った形で取り付けられていることに気付くことができる。
【0031】
図4に示すように、作用部材26の本体の第1の側S1には段が設けられている。段は、第1の側S1の面62に対して横方向に突出する突起部60であり得る。突起部60は第1の側S1の所定の部分の横方向高さを増やすように構成されている。そのため、作用部材26の第1の側S1の所定の部分と第2の側S2との間には第3の横方向高さH3(又は第3の横高さ)が画定され、第3の横方向高さH3は第2の横方向高さH2よりも大きい。ユーザーが第1の側S1及び第2の側S2を逆にして作用部材26を接続部36に取り付けた場合、第2のレール24を第1のレール22に対して第2の所定の位置P2から第1の所定の位置P1に第2の方向D2に沿って動かす過程の間、第3の横方向高さH3を有する所定の部分が作用部材26の本体前半に配置されることになり、第2のレール24の後端部r2が作用部材26の所定の部分に直接当たることになる。したがって、第2のレール24は作用部材26によりブロックされ、第1の所定の位置P1に戻るのが困難(又は不可能)になる。したがって、ユーザーは作用部材26が接続部36に誤った形で取り付けられていることに気付くことができる。
【0032】
したがって、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリ20は以下のように特徴付けられる。
【0033】
1)作用部材26と接続部36との間に第1の空間G1が画定されている。第2のレール24を第1のレール22に対して第1の所定の位置P1から第2の所定の位置P2に第1の方向D1に沿って動かす過程の間、接触部28は作用部材26に接触して第1の空間G1を介して弾力的に変形して、接触部28が第1の方向D1に沿って作用部材26を横切ることができるように構成されている。
【0034】
2)スライドレールアセンブリ20が引っ込められた状態ある(第2のレール24が第1のレール22に対して引っ込められている)場合、作用部材26は、第2のレール24が第1の所定位置P1から第1の方向D1に沿って動くのを防止するために接触部28をブロックするように構成されている。あるいは、第2のレール24を第1のレール22に対して第2の所定の位置P2から第2の方向D2に沿って動かす過程の間、接触部28の後ろ側接触区画28bは、第2のレール24を第1のレール22に対して引っ込める過程における衝突音を低減するため、緩衝のために(
図13に示すように)作用部材26の第2のガイド区画46と接触するように構成されている。
【0035】
3)作用部材26は、作用部材26を接続部36にしっかり押圧できるように、接続部36に当接するように構成された支持区画42を有する。作用部材26の支持区画42は、接続部36の貫通孔43の端壁と係合することが好ましい。
【0036】
4)第1の空間G1の第1の長手距離は、第2の空間G2の第2の長手距離よりも実質的に小さい。したがって、作用部材26が(
図9及び
図13に示すように)接続部36に正しく取り付けられている場合、接触部28は第2のレール24を第1のレール22に対して第1の所定の位置P1から第2の所定の位置P2に第1の方向D1に沿って動かす過程の間に作用部材26の本体後半と接触するように構成されている。作用部材26の本体後半は、(
図9に示すように)第1の空間G1を介した弾力的な変形のレベルがより小さいため、ユーザーは第2のレール24を第1の所定の位置P1から第1の方向D1に沿って容易に(又は自由に)引き出すことができない。他方、第2のレール24を第1のレール22に対して第2の所定の位置P2から第1の所定の位置P1に第2の方向D2に沿って動かす過程の間、接触部28は作用部材26の本体前半と接触するように構成されている。作用部材26の本体前半は(
図13に示すように)第2の空間G2を介した弾力的な変形のレベルがより大きいため、第2のレール24を第1の所定の位置P1に第2の方向D2に沿って容易に引っ込めることができる。
【0037】
5)作用部材26は、作用部材26を接続部36に誤った形で取り付けるのを防止するためにフールプルーフ機構を有する。
【0038】
6)第2のレール24を第1のレール22に対して第2の所定の位置P2から第1の所定の位置P1に第2の方向D2に沿って動かす過程の間、作用部材26のガイド構造48は、第2のレール24が第1の所定の位置P1に戻った場合に第2のレール24の長手壁56が作用部材26の第2の側S2によって支持されるように第2のレール24の後端部r2の長手壁56をガイドするように構成されている。
【0039】
当業者であれば、本発明の教示を維持しながら多くの変更及び改良が装置及び方法に加えられ得ることに容易に気付く。したがって、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈すべきである。