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2022-35962吸音タイヤ用フォームテープ及びそれを含む吸音タイヤ
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  • -吸音タイヤ用フォームテープ及びそれを含む吸音タイヤ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035962
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】吸音タイヤ用フォームテープ及びそれを含む吸音タイヤ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/26 20180101AFI20220225BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20220225BHJP
   B60C 5/00 20060101ALI20220225BHJP
   B29D 30/06 20060101ALI20220225BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220225BHJP
   C09J 7/40 20180101ALI20220225BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220225BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20220225BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220225BHJP
   C09J 115/00 20060101ALI20220225BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20220225BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20220225BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
C09J7/26
B60C1/00 Z
B60C5/00 F
B29D30/06
B32B27/00 M
C09J7/40
C09J7/38
C09J7/35
C09J201/00
C09J115/00
C09J133/00
C09J183/04
C09J175/04
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048243
(22)【出願日】2021-03-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0105148
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521099202
【氏名又は名称】ハンコック タイヤ アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ダ ミ
【テーマコード(参考)】
3D131
4F100
4F215
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
3D131AA30
3D131AA60
3D131BC36
3D131BC44
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4J040MA12
4J040MB03
4J040MB10
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4J040PA23
(57)【要約】
【課題】多孔性構造の吸音材の界面とタイヤインナーライナーの界面との間の付着力及び固定力を向上させ、製造工程の効率を向上させることができる吸音タイヤ用フォームテープ及びそれを含む吸音タイヤを提供する。
【解決手段】本発明は、離型フィルムと、前記離型フィルムの底面に形成される粘着剤層と、前記粘着剤層の底面に形成されるベースフィルムと、前記ベースフィルムの底面に形成される接着剤層と、前記接着剤層の底面に形成される多孔性構造の吸音材層とを含むことにより、タイヤとの接着力が向上した吸音タイヤ用フォームテープ及びそれを含む吸音タイヤに関するものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型フィルムと、
前記離型フィルムの底面に形成される粘着剤層と、
前記粘着剤層の底面に形成されるベースフィルムと、
前記ベースフィルムの底面に形成される接着剤層と、
前記接着剤層の底面に形成される多孔性構造の吸音材層とを含む吸音タイヤ用フォームテープ。
【請求項2】
前記離型フィルム及びベースフィルムは、ポリエステル(Polyester)、ポリエチレン(Polyethylene)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate)、ポリウレタン(Polyurethane)、熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic polyurethane)、ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalate)、ポリブチレンナフタレート(Polybutylene naphthalate)、ポリプロピレン(Polypropylene)、トリアセチルセルロース(Tri-Acetyl-Cellulose)、及びこれらの共重合体などからなる群から選択されるいずれか一つの樹脂を含むものである、請求項1に記載の吸音タイヤ用フォームテープ。
【請求項3】
前記粘着剤層に含まれる粘着剤の重量平均分子量は、200,000~2,000,000であり、
前記接着剤層に含まれる接着剤の重量平均分子量は、1,000~80,000であるものである、請求項1に記載の吸音タイヤ用フォームテープ。
【請求項4】
前記粘着剤層は、ゴム粘着剤、アクリル粘着剤、シリコーン粘着剤、及びウレタン粘着剤からなる群から選択されるいずれか一つ以上を含むものである、請求項1に記載の吸音タイヤ用フォームテープ。
【請求項5】
前記接着剤層は、オレフィンホットメルト系接着剤を含むものである、請求項1に記載の吸音タイヤ用フォームテープ。
【請求項6】
前記吸音材層は、ポリウレタンフォームを含むものである、請求項1に記載の吸音タイヤ用フォームテープ。
【請求項7】
タイヤインナーライナー、及び
請求項1~請求項6のいずれか一つの項に記載のフォームテープを含み、
前記フォームテープは、前記離型フィルムを除去し、前記粘着剤層と付着したものである吸音タイヤ。
【請求項8】
請求項1~請求項6のいずれか一つの項に記載のフォームテープの離型フィルムを除去するステップと、
タイヤインナーライナーの内側に前記離型フィルムが除去されたフォームテープを付着するステップとを含む吸音タイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性構造の吸音材の界面とタイヤインナーライナーの界面との間の付着力及び固定力を向上させ、製造工程の効率を向上させることができる吸音タイヤ用フォームテープ及びそれを含む吸音タイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車の騒音に対する消費者の関心が高まっていることを受け、タイヤ業界では、騒音低減のための研究開発が活発に進められている。特に、UHP(Ultra High Performance)タイヤの消費者需要が増加するにつれ、車両走行中において路面から不規則に入る衝撃によって、リム(Rim)とタイヤ内部のキャビティ(Cavity)内に空気が振動して発生する共鳴騒音(Cavity Resonance)が課題として浮上している。
【0003】
こうした共鳴音を低減するために、タイヤ業界ではタイヤの内部に吸音材を付着した吸音タイヤを開発している。吸音タイヤの技術の中で、路面からの衝撃に耐えることができる付着性能技術は、最も重要な技術の一つである。タイヤインナーライナー(Inner Liner)に吸音材を付着するために、ゴム系接着剤を使用することが一般的な接着技術であり、そのほかにも、シリコン系接着剤など、様々な接着剤が使用されている。しかし、これらの接着方法は、タイヤの内部に塗布する過程が必要であり、工程上の製造時間及び製造コストの増加を招く。また、塗布する過程で発生し得る問題を除去するために、塗布する過程を経ることなく吸音材を付着することができる技術の導入が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、多孔性構造の吸音材の界面とタイヤインナーライナーの界面との間の付着力及び固定力を向上させることができる吸音タイヤ用フォームテープを提供することにある。
【0005】
本発明の別の目的は、吸音タイヤの製造工程の効率を向上させることができる吸音タイヤ用フォームテープを提供することにある。
【0006】
本発明のまた別の目的は、前記フォームテープを含む吸音タイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の一実施例に係る吸音タイヤ用フォームテープは、離型フィルムと、前記離型フィルムの底面に形成される粘着剤層と、前記粘着剤層の底面に形成されるベースフィルムと、前記ベースフィルムの底面に形成される接着剤層と、前記接着剤層の底面に形成される多孔性構造の吸音材層とを含んで構成されてもよい。
【0008】
前記離型フィルム及びベースフィルムは、ポリエステル(Polyester)、ポリエチレン(Polyethylene)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate)、ポリウレタン(Polyurethane)、熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic polyurethane)、ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalate)、ポリブチレンナフタレート(Polybutylene naphthalate)、ポリプロピレン(Polypropylene)、トリアセチルセルロース(Tri-Acetyl-Cellulose)、及びこれらの共重合体などからなる群から選択されるいずれか一つの樹脂を含んでもよい。
【0009】
前記粘着剤層に含まれる粘着剤の重量平均分子量は、200,000~2,000,000であり、前記接着剤層に含まれる接着剤の重量平均分子量は、1,000~80,000であってもよい。
【0010】
前記粘着剤層は、ゴム粘着剤、アクリル粘着剤、シリコーン粘着剤、及びウレタン粘着剤からなる群から選択されるいずれか一つ以上を含んでもよい。
【0011】
前記接着剤層は、オレフィンホットメルト系接着剤を含んでもよい。
【0012】
前記吸音材層は、ポリウレタンフォームを含んでもよい。
【0013】
本発明の一実施例に係る吸音タイヤは、タイヤインナーライナー及び前記フォームテープを含み、前記フォームテープは、前記離型フィルムを除去し、前記粘着剤層と付着したものであってもよい。
【0014】
本発明の一実施例に係る吸音タイヤの製造方法は、前記フォームテープの離型フィルムを除去するステップと、タイヤインナーライナーの内側に前記離型フィルムが除去されたフォームテープを付着するステップとを含んでもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、多孔性構造の吸音材の界面とタイヤインナーライナーの界面との間の付着力及び固定力を向上させることができる吸音タイヤ用フォームテープを提供することができる。
【0016】
本発明は、また、吸音タイヤの製造工程の効率を向上させることができる吸音タイヤ用フォームテープを提供することができる。
【0017】
本発明は、また、前記フォームテープを含む吸音タイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例に係るフォームテープの断面を示す図面である。
図2】本発明の一実施例に係る吸音タイヤの断面を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について、添付した図面を参考にしながら詳しく説明する。しかし、本発明は、種々の異なる形態で具現化することができ、ここで説明する実施例に限定されない。明細書全体を通して、類似した部分については同一の図面符号を付けた。
【0020】
本発明において、接着とは、二つの固体面が、接着剤となる第2の物質を挟んで互いに接合する性質のことを指す。接着剤は、接着のために接着剤が空気中に露出される瞬間から、液状の接着剤が固体状に硬化され、接着強度が上昇し、接着剤が完全に固体状態になると、前記二つの固体面と固体状態の接着剤が一体となる特性がある。
【0021】
本発明において、粘着とは、徐々に接着力が上昇して、固体に硬化されるまで十分な時間があるため、一定時間の間、脱付着が可能な性質のことを指す。粘着剤組成物は、液体と固体の性質を両方有する中間的な形態(polymer)で被着面に貼り付けられるときは、接触部位で高粘度の液体性質を示し、剥がすときは、それに抵抗する固体の性質を示す特徴がある。従って、接着初期は、付着面の接着力が弱くて脱着が可能であり、付着部位を修正することが可能であるが、付着後の時間の経過に応じて粘着剤の接着力が向上して、一定時間後にはそれ以上付着面同士の脱着が難しく、最終的に、固体になって脱付着が不可能である特徴がある。
【0022】
粘着剤と接着剤は両方とも、液体の状態で空気中に露出されると、一瞬にして固体に変わる石油化学製品の性質を利用した製品であるが、固体に完全に硬化される時間が比較的長くて、一定時間の間、簡単に接着面の脱付着が可能なのが粘着剤であり、固体に硬化される時間が非常に短くて、接着面に塗布されて一度接着面が付着すると、接着面の脱着が非常に難しいのが接着剤であるといえる。
【0023】
本発明の一実施例に係る吸音タイヤ用フォームテープの断面図を図1に示した。
【0024】
図1を参照して説明すると、本発明に係る吸音タイヤ用フォームテープ100は、離型フィルム101と、前記離型フィルムの底面に形成される粘着剤層102と、前記粘着剤層の底面に形成されるベースフィルム103と、前記ベースフィルムの底面に形成される接着剤層104と、前記接着剤層の底面に形成される多孔性構造の吸音材層105とを含む。
【0025】
前記フォームテープ100は、従来の吸音材料とは異なり、接着剤層104が存在し、前記接着剤層104の上部に粘着剤層102があり、脱着が可能な離型フィルム101があるのが特徴である。従来は、タイヤの共鳴騒音を低減させるために、吸音材層105を、接着剤層104を利用して直接インナーライナーに付着し、接着剤層104の短い硬化時間によって、タイヤの製造過程において接着剤層をインナーライナー内側に精密に塗布する工程が別途必要であった。しかし、本発明に係る吸音タイヤ用フォームテープ100は、タイヤの製造過程において離型フィルム101を剥し、粘着剤層102をインナーライナー内側に直接付着することができるので、タイヤの製造過程が簡単になる効果がある。前記粘着剤層102は、接着剤層104とは異なり、完全に固体に硬化されていない状態で、離型フィルム101を付着しているため脱着が可能であり、離型フィルム101を脱着した後、インナーライナーの内側面と付着すると、徐々に固体への硬化が進行して、完全に固体に硬化されると、優れた接着力を有する。一般的な粘着組成物の場合、72時間後に最大の付着力を有し、それ以上の脱付着が不可能になる可能性があるが、本発明の粘着剤が前記時間に限定されない。
【0026】
また、従来は、タイヤの共鳴騒音を低減させるために、粘着剤層102のみを使用して、インナーライナーと吸音材層を付着する場合もあったが、一般的な粘着剤は、長鎖の高分子を含んで前記粘着剤の高分子が吸音材層の気孔部分に染み込むことができず、接触面が小さくなり、接着力が低下する問題があった。しかし、本発明は、短鎖を有する接着剤を使用して、吸音材層の気孔に十分に染み込ませるようにして、吸音材層との接着力を向上させることができる。
【0027】
前記粘着剤は、多孔性構造の吸音材層105に塗布されると、前記吸音材層の多孔性構造により、接着強度が低下して粘着剤層102が固体に硬化されても、粘着剤層102と多孔性構造の吸音材層105との間に簡単に脱着されてしまうという問題が生じる虞がある。従って、多孔性構造の吸音材層105を、接着剤層104を利用して、ベースフィルム103と付着させた後、前記ベースフィルムの上部に粘着剤層102を構成する。前記ベースフィルムは、多孔性構造ではないので、前記粘着剤層がインナーライナーと付着して固体に完全に硬化されても、優れた接着力を保つことができる。
【0028】
前記粘着剤層102に含まれる粘着剤は、重量平均分子量が200,000~2,000,000である物質であってもよい。前記粘着剤層102は、重量平均分子量が大きい物質であって、長鎖によって硬化時間が長く、一定時間の間、脱付着が可能であるという利点がある反面、多孔性構造の吸音材層105の気孔に染み込むことができず、接着力が低下するという欠点がある。前記粘着剤の重量平均分子量が200,000よりも小さい場合、離型フィルムの脱着が難しくなる虞があり、重量平均分子量が2,000,000よりも大きい場合、固体に硬化される時間が過度に長くなり、インナーライナーとの接着力が低下するという問題が生じる虞がある。
【0029】
前記接着剤層104に含まれる接着剤は、重量平均分子量が1,000~80,000、好ましくは、3,000~50,000、さらに好ましくは、10,000~30,000である物質であってもよい。前記接着剤層104は、重量平均分子量が小さい物質であって、短鎖によって硬化時間が短く、短鎖が多孔性構造の吸音材層105の気孔に染み込むことができるので、ベースフィルム103と多孔性構造の吸音材層105を効果的に接着させることができる。前記接着剤の重量平均分子量が80,000よりも大きい場合、長鎖によって多孔性吸音材層の気孔に染み込むことができず、多孔性吸音材層との接着力が低下する虞があり、1,000よりも小さい場合、多孔性吸音材層の気孔に接着剤が過度に染み込むという問題が生じる虞がある。
【0030】
前記粘着剤層102と離型フィルム101は、適当な粘着力を有してこそ、使用の際に容易に剥離することができるが、離型フィルム101を剥離した後、適用されるインナーライナーなどのゴム表面及びベースフィルム103とは強く結合されなければならない。
【0031】
一方、接着剤層104は、ベースフィルム103及び多孔性構造の吸音材層105との強い結合力が必要である。
【0032】
前記粘着剤層102は、ゴム粘着剤、アクリル粘着剤、シリコーン粘着剤、及びウレタン粘着剤からなる群から選択されるいずれか一つを含むものであってもよい。
【0033】
前記粘着剤の中で、粘着特性に優れ、耐候性及び耐熱性に優れたアクリル粘着剤を好ましく使用することができる。アクリル粘着剤は、まず、分子内の二重結合のない飽和高分子であって、その固有の性質の面から酸化に対する抵抗に優れているので、耐候性に優れる。また、要求される必要物性に応じて高分子組成の変更や機能性基の導入などにより、改質が容易である。生産性の面においても乳化重合または溶液重合をして常温、常圧で比較的簡単に作ることができる。
【0034】
アクリル粘着剤の主成分は、低ガラス転移温度(Tg)の柔軟かつベトベトしたポリマーを合成することができるアクリル酸エステル(Acrylic ester)であって、一般的に炭素数4~17個のアルキルアクリレートであってもよく、さらに具体的には、メタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、及びこれらの共重合体からなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0035】
前記接着剤層104は、オレフィンホットメルト系接着剤であってもよい。オレフィン接着剤は、柔軟性に優れ、単価が安いという利点を持つエチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、またはエチレンビニルアセテートなどのオレフィン系共重合体をベースポリマーとし、接着付与剤、粘度調整剤などを添加して構成される。ホットメルト接着剤は、熱によって溶融させて適用する接着剤であって、揮発性有機溶剤の排出が非常に少なくて、環境に優しいという利点がある。
【0036】
また、オレフィンホットメルト系接着剤は、鎖の長さが短く、温度が増加するほど粘度が低くなり、流動性が増加する特徴がある。これらの特徴により、高温でオレフィンホットメルト系接着剤は、多孔性構造に吸収されやすく、多孔性構造に吸収されて広い面積によって強く結合することができる。従って、オレフィンホットメルト系接着剤が吸音材層105を接着させるのに好ましい。
【0037】
本発明においては、前記接着剤層104と、前記粘着剤層102がベースフィルム103で区分されて、前記接着剤層104は、多孔性構造の吸音材層105との接着力を高めることができ、前記粘着剤層は、前記離型フィルム101の脱着を可能にして、簡単にインナーライナーに吸音タイヤ用フォームテープが付着するよう助ける。また、ベースフィルム103は、インナーライナーから伝達される熱を遮断して、接着剤の発熱による吸音材の脱落を防止する効果がある。
【0038】
前記離型フィルム101は、フォームテープ100を吸音タイヤに適用する前に、粘着剤層102の性能を保護する役割を果たし、フォームテープを巻き取って保管できるようにし、使用の際に容易に剥離されて、吸音タイヤの製造工程時間を短縮させることができることを特徴とする。
【0039】
前記ベースフィルム103は、前記粘着剤層102と接着剤層104を支持する役割を果たす。
【0040】
具体的には、前記離型フィルム101及びベースフィルム103は、ポリエステル(Polyester)、ポリエチレン(Polyethylene)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate)、ポリウレタン(Polyurethane)、熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic polyurethane)、ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalate)、ポリブチレンナフタレート(Polybutylene naphthalate)、ポリプロピレン(Polypropylene)、トリアセチルセルロース(Tri-Acetyl-Cellulose)、及びこれらの共重合体などからなる群から選択されるいずれか一つの樹脂を含むものであってもよい。
【0041】
好ましくは、前記離型フィルム101は、ポリエステルまたはポリエチレンフィルムであってもよい。ポリエステルフィルムは、絶縁性と光沢度、寸法安定性、平面性、取扱特性に優れ、ポリエチレンフィルムは、引張強度は弱いものの、耐衝撃性に優れ、加工と使用が容易であるという特徴がある。
【0042】
前記離型フィルム101及びベースフィルム103は、互いに同一の材質であってもよく、互いに異なる材質であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0043】
前記多孔性構造の吸音材層105は、吸音材としてポリウレタンフォームを含むものが好ましい。前記ポリウレタンフォームは、基本的に、ポリイソシアネート化合物(Polyisocyanate compound)とポリヒドロキシ化合物(Polyhydroxy compound)をウレタン反応させて製造するものであってもよい。前記ポリウレタンフォームは、開放セルを有するポリウレタン系の吸音材のことを指し、密度が18~35kg/mであるものであってもよい。
【0044】
共鳴音を低減させるための従来の技術として、開放型セルを有するポリウレタン材質の発泡体を活用する技術がある。しかし、このポリウレタン材質の発泡体をタイヤ内側のインナーライナー200に付着するために、一般的な液状接着剤を使用する場合、開放セルを有するポリウレタンフォームは、粘性の低い接着剤がポリウレタンフォームに吸収されすぎてしまい、インナーライナーとの接着が難しいという問題があった。
【0045】
本発明は、ベースフィルム103を支持台として用いて、粘着剤層102と接着剤層104を共に適用することにより、こうした問題点を解決することができる。
【0046】
具体的には、インナーライナーのゴム界面とベースフィルム103との接着力が強い粘着剤層102、そして、ベースフィルム103と多孔性構造の吸音材105との接着力が強い接着剤層104を共に適用することにより、接着剤が多孔性構造に吸収されて、インナーライナーとの接着力が低下する問題を解決することができる。
【0047】
以下、前記フォームテープ100を適用した吸音タイヤについて説明する。本発明の一実施例に係る吸音タイヤの断面図を図2に示した。
【0048】
図2を参照して説明すると、本発明に係る吸音タイヤは、タイヤインナーライナー200と、前記インナーライナー200の内側に付着するフォームテープ100とを含む。
【0049】
前記フォームテープ100は、インナーライナー200に付着する前に、離型フィルムを除去した後、付着するものであってもよい。フォームテープ100の付着力を高めるために、インナーライナーの表面は、異物や突起がなく、平らな構造を有するものが好ましい。
【0050】
前記フォームテープは、タイヤの製造工程の前に、予め大量生産して準備することができ、タイヤの製造過程においては、別途の接着剤や粘着剤を塗布する必要がなく、離型フィルムを脱着して、粘着剤層をインナーライナーの表面に付着するだけですむので、工程が簡単になるという利点がある。
【0051】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳しく説明する。しかし、本発明は、種々の異なる形態で具現化することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0052】
[製造例1:吸音タイヤの製造]
下記表1に示すように、実施例1は、アクリル系粘着剤とオレフィンホットメルト系接着剤を混用して、タイヤ内部のインナーライナーにフォームテープ方式でポリウレタンフォームを付着して吸音タイヤを制作し、比較例1は、タイヤ内部のインナーライナーに吸音材を両面粘着フォームテープ方式で付着して制作した。
【0053】
【表1】
【0054】
[実験例1:吸音タイヤの温度別の静荷重の評価]
前記実施例1及び比較例1で製造した吸音タイヤに対して、静荷重の評価を実施し、その結果を下記表2に示した。静荷重の評価は、吸音タイヤに付着した多孔性構造の吸音材に2kgの重りをつけて、120時間経過後、フォームが脱着するか否かを確認する方式で実施した。静荷重の評価は、常温(25℃)、低温(-15℃)及び高温(80℃)と温度条件を変化しながら3回測定した。
【0055】
【表2】
【0056】
前記表2に示すように、実施例1は、粘着と接着の混用構造を適用したもので、比較例1よりも高いレベルの静荷重の評価結果を示した。常温だけでなく、-15℃の低温、80℃の高温条件下でも、実施例1の場合が比較例1よりも優れた付着性能を示すことが確認できた。
【0057】
両面粘着構造方式である比較例1の場合、吸音材として使用したポリウレタンフォームの多孔性(Porous)構造により、長鎖構造を有する粘着剤がポリウレタンフォーム気孔に浸透することができず、粘着剤とポリウレタンフォームが接触する断面積が減少して、接着力が低下し、その結果、界面の剥離が起きて吸音タイヤ用フォームテープとインナーライナーの脱着現象が現れるものと予測される。
【0058】
一方、吸音材の界面に接着処理を施した実施例1の場合、鎖の長さが短い接着剤がポリウレタンフォームの多孔性構造に素早く吸収されるようになり、硬化されて吸音タイヤ用フォームテープとインナーライナーの脱着現象が防止されて、実施例1のように吸音材の界面に接着処理を施したフォームテープの場合、剥離現象が現れなかったものと推測される。これは、両面粘着のフォームテープ付着方式よりも、粘着及び接着の混用付着方式のフォームテープ型が付着性能に有利であることを示す。こうした結果は、開発されたフォームテープの吸音タイヤ用付着技術に活用できる可能性を見せている。
【0059】
以上で、本発明の好ましい実施例について詳しく説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、後述する請求の範囲にて定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0060】
100:フォームテープ
101:離型フィルム
102:粘着剤層
103:ベースフィルム
104:接着剤層
105:吸音材層
200:インナーライナー
図1
図2