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特開2022-35973初期雨水および農地戻り水を処理するための農業灌漑および再利用生態システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035973
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】初期雨水および農地戻り水を処理するための農業灌漑および再利用生態システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 20/00 20180101AFI20220225BHJP
   C02F 3/30 20060101ALI20220225BHJP
   C02F 3/32 20060101ALI20220225BHJP
   A01G 25/00 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
A01G20/00
C02F3/30 A
C02F3/32
A01G25/00 501E
A01G25/00 601
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076933
(22)【出願日】2021-04-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】202010850342.8
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520223723
【氏名又は名称】生態環境部華南環境科学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】杜宏偉
(72)【発明者】
【氏名】曾凡棠
(72)【発明者】
【氏名】崔飛剣
(72)【発明者】
【氏名】張宗尭
(72)【発明者】
【氏名】房懐陽
(72)【発明者】
【氏名】覃光雄
(72)【発明者】
【氏名】譚秀琴
(72)【発明者】
【氏名】于暁巍
(72)【発明者】
【氏名】王竜楽
(72)【発明者】
【氏名】李小宝
(72)【発明者】
【氏名】魏東洋
【テーマコード(参考)】
2B022
4D040
【Fターム(参考)】
2B022AB02
2B022AB08
4D040BB01
4D040BB51
4D040CC02
4D040CC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】初期雨水および農地戻り水を処理するための農業灌漑および再利用生態システムを提供する。
【解決手段】生態システムは、廃水収集システム、廃水処理システム、農地灌漑および再利用システムおよび河川生態補水システムの4つのサブシステムから構成され、各サブシステムの連携により、生態システムは、生分解によりテールウォーターに含まれる窒素やリンなどの富栄養物を抽出し、テールウォーターをリサイクルし、農業生産コストを削減するシステム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水収集システム(1)、廃水処理システム(2)、農地灌漑および再利用システム(3
)、および河川生態補水システム(4)の4つのサブシステムから構成され、
前記廃水収集システム(1)は、水流方向に応じて設置された集水域(11)、植栽トレ
ンチ(12)および土砂沈殿域(13)を含み、生態池に入る初期雨水や農業汚染水を収
集し、水域データを収集し、および水域を初期浄化するための機能を果たし、
前記廃水処理システム(2)は、通性嫌気性域(21)、曝気域(22)、曝気充填域(
23)および酸素富化域(24)を含み、浮かぶ植物と嫌気性微生物の連携、水中植物と
好気性微生物の連携により、廃水収集システム(1)によって収集された水域中の富栄養
物質濃度および水域濁度を低減するための機能を果たし、
前記農地灌漑および再利用システム(3)は、農地(5)に灌漑用水を導入するための水
トレンチ(31)、および前記水トレンチ(31)上に架設されて農地(5)に廃水処理
システム(2)で処理された水域を導入するための水道(32)を含み、
前記河川生態補水システム(4)は、酸素富化域(24)からの給水を検出し、適格な処
理水を乾燥季節に河川に排出して、河川下流の農地灌漑用水および生活用水を補充する機
能を果たす、ことを特徴とする初期雨水および農地戻り水を処理するための農業灌漑およ
び再利用生態システム。
【請求項2】
前記植栽トレンチ(12)には、下から上へ順次、ジオテキスタイル層(121)、浸透
層(122)、土壤層(123)および植生層(124)が設置され、
前記ジオテキスタイル層(121)の材料はポリプロピレン不浸透性ジオメンブレンであ
り、前記浸透層(122)の充填物は粒子径15~30mmの砂利であり、前記土壤層(
123)の充填物は砂壌土、沈泥壌土または壌土中の1つまたは複数の組み合わせであり
、前記土壤層(123)の浸透率は0.3~0.5m/dであり、前記植生層(124)
は側面傾斜の凹型であり、側面の傾斜は1:4~1:3であり、水流方向傾斜は2%~3
%であり、前記植生層(124)には芝草が植えられ、
前記土砂沈殿域(13)は、地表から10~15cmの高さで空隙率85%の濾過口(1
31)、地下に沈んだ第1の貯水空洞(132)および最底部の土砂沈殿層(133)か
ら構成され、
前記第1の貯水空洞(132)の4つの壁は組積造コンクリート構造であり、水流方向に
沿って側壁にそれぞれ第1の給水管(1321)および第1の排水管(1322)が開設
され、
前記土砂沈殿層(133)には、下から上へ順次、圧縮係数0.94~0.98の練り土
突っ込み層(1331)、厚さ150~200mmのコンクリート層(1332)、厚さ
120~150mmで細砂粒子径0.7~1.3mmの細砂層(1333)、メッシュ径
1~2cmで繊維材料製のスペーサー層(1334)、厚さ100~110mmで砂利粒
子径10~15mmの砂利層(1335)および厚さ300mmの埋め戻し土層(111
6)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の農業灌漑および再利用生態システム。
【請求項3】
前記通性嫌気性域(21)は、地上1~1.5mの密封ガラスカバー(211)、地面と
同じ高さの浮かぶ植物域(212)、地下に沈んだ第2の貯水空洞(213)、および最
底部のスラッジ層(214)から構成され、
前記密封ガラスカバー(211)上に空気導入管(2111)が設けられ、
前記浮かぶ植物域(212)では、大型藻類が10%を占め、植栽密度が8株/mであ
り、ウォーターミフォイルが27%を占め、植栽密度が8株/mであり、
前記第2の貯水空洞(213)は水流方向に沿って側壁上にそれぞれ第2の給水管(21
31)および第2の排水管(2132)が開設され、
前記スラッジ層(214)の厚さは8~10cmであり、調理済み肉培地法によりスラッ
ジ層(214)で通性嫌気性域(21)用の嫌気性微生物を培養する、ことを特徴とする
請求項1に記載の農業灌漑および再利用生態システム。
【請求項4】
前記曝気域(22)の水入口端に、水流方向に垂直に第2の排水管(2132)からの水
を受け取るためのバッフル(221)が設けられ、
水流方向に沿って、前記バッフル(221)より10~20cm低い箇所に水滴曝気板(
222)が設けられ、
水流方向に沿って、前記水滴曝気板(221)の水出口端にインペラ型曝気装置(223
)が設けられ、
前記曝気域(22)の底部にジェットヘッド付きのオゾンパイプ(224)が敷設される
、ことを特徴とする請求項1に記載の農業灌漑および再利用生態システム。
【請求項5】
前記曝気充填域(23)では、金属ブラケット(2311)および金属網(2312)か
ら構成される充填フレーム(231)が設けられ、前記金属ブラケット(2311)およ
び金属メッシュ(2312)によって充填フレーム(231)の内部空洞が複数の区画層
(232)に分割され、
前記区画層(232)にそれぞれ下から上へ順次、濾過クロス(2321)、厚さ8~1
0cmであって粒子径5~8cmの壊れた赤レンガ(2322)、および粒子径16~3
2mmの火山岩(2323)が設置され、
前記壊れた赤レンガ(2322)の表面にカタツムリが付き、
単位体積比で、1立方メートル処理水あたりの火山岩(2323)の充填量は50%~8
0%である、ことを特徴とする請求項1に記載の農業灌漑および再利用生態システム。
【請求項6】
前記水トレンチ(31)とその上方に架設された水道(32)との水流方向は反対であり
、前記水道(32)の水流方向の終端に排水口(321)が開設され、前記排水口(32
1)は水道(32)終端の過剰水流を水トレンチ(31)の始端に導入するために使用さ
れ、
前記水トレンチ(31)と水道(32)の農地(5)に近い側にそれぞれ電気制御弁(3
31)によって制御される排水管(33)が設けられ、
前記水トレンチ(31)は、人工コンクリート製の埋設部(311)および地面から突き
出たステンレス製の接続部(312)に分かれ、前記接続部(312)に取付穴(312
1)が設けられ、
前記水道(32)はアルミニウム合金製で、取付穴(3121)を介して水トレンチ(3
1)に接続されると同時に、水道(32)の側壁に設けられた支持柱(322)によって
地面に固定される、ことを特徴とする請求項1に記載の農業灌漑および再利用生態システ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農地テールウォーターの技術分野に関し、具体的には、初期雨水および農地戻
り水を処理するための農業灌漑および再利用生態システムに関する。
【背景技術】
【0002】
灌漑と降雨により、農地は灌漑テールウォーターと降雨テールウォーターを生産するが、
過剰な栄養素の問題により、どちらのタイプのテールウォーターも直接使用することはで
きない。この問題を解決するためには、灌漑テールウォーターと降雨テールウォーターを
処理できる低コストのシステムが必要である。
【発明の概要】
【0003】
上記の目的を達成するために、本発明は、初期雨水および農地戻り水を処理するための農
業灌漑および再利用生態システムを提供し、設計された生態システムにより灌漑テールウ
ォーターおよび降雨テールウォーターを効果的に処理でき、さらにテールウォーターをリ
サイクルし、農業生産のコストを削減する目的を達成し、具体的な技術的解決策は以下の
通りである。
【0004】
本発明によって設計された初期雨水および農地戻り水を処理するための農業灌漑および再
利用生態システムは、廃水収集システム、廃水処理システム、農地灌漑および再利用シス
テムおよび河川生態補水システムの4つのサブシステムから構成される。
前記廃水収集システムは、水流方向に応じて設置される集水域、植栽トレンチおよび土砂
沈殿域を含み、主に生態池に入る初期雨水や農業汚染水を収集し、水域データを収集し、
および水域を初期浄化するための機能を果たす。前記廃水収集システムは、実際の運用で
は、まず暴風雨強度式と降雨流出数学モデルを通じて貯水する必要のある雨水の量と、農
業の非点源汚染の量を決定し、集水域に生態学的遮断ダムの高さを計算する必要があり、
次に水質監視システムにより汚染物の負荷を監視および計算し、最後にウォーターポンプ
により汚水を植栽トレンチおよび土砂沈殿域を経って廃水処理システムに導入して、水域
汚染物が生態システム全体の分解可能範囲にあることを確保する。
前記廃水処理システムは、通性嫌気性域、曝気域、曝気充填域および酸素富化域を含み、
主に浮かぶ植物と嫌気性微生物の連携、水中植物と好気性微生物の連携により、廃水収集
システムによって収集された水域中の富栄養物質濃度および水域濁度を低減するための機
能を果す。
前記農地灌漑および再利用システムは、農地に灌漑用水を導入するための水トレンチ、お
よび前記水トレンチに架設されて農地に廃水処理システムによって処理された水を導入す
るための水道を含む。
前記河川生態補水システムは主に、酸素富化域からの給水を検出し、適格な処理水を乾燥
季節に河川に排出して、河川下流の農地灌漑用水および生活用水を補充する機能を果たす

具体的には、前記植栽トレンチには、下から上へ順次ジオテキスタイル層、浸透層、土壤
層および植生層が設置される。前記植栽トレンチは主に、植生により集水域の浮遊物の濃
度を初期に減らし、水流速度を安定させ、次のプロセスに安定した水の流入を提供する。
前記ジオテキスタイル層の材料はポリプロピレン不浸透性ジオメンブレンであり、前記浸
透層の充填物は粒子径範囲15~30mmの砂利であり、前記土壤層の充填物は砂壌土、
沈泥壌土または壌土中の1つまたは複数の組み合わせであり、土壤層の浸透率が0.3~
0.5m/d範囲内にある必要があり、前記植生層は側面傾斜の凹型であり、側面の傾斜
は1:4~1:3であり、水流方向傾斜は2%~3%であり、前記植生層植生は市販の芝
草が植えられている。
前記土砂沈殿域は、地表から10~15cmの高さで空隙率85%の濾過口、地下に沈ん
だ第1の貯水空洞および最底部の土砂沈殿層から構成される。前記土砂沈殿域は主に、水
域に混入した大規模な砂利をふるいにかけ、その後の工程で砂利が装置を塞ぐのを防ぎ、
システム全体の安定した運用を確保することである。
前記第1の貯水空洞の4つの壁は組積造コンクリート構造であり、水流方向に沿って側壁
にそれぞれ第1の給水管および第1の排水管が開設される。
前記土砂沈殿層には、下から上へ順次圧縮係数0.94~0.98の練り土突っ込み層、
厚さ150~200mmのコンクリート層、厚さ120~150mmで細砂粒子径0.7
~1.3mmの細砂層、メッシュ径1~2cmで繊維材料製のスペーサー層、厚さ100
~110mmで砂利粒子径10~15mmの砂利層および厚さ300mmの埋め戻し土層
を含む。
【0005】
本発明の一側面として、前記通性嫌気性域は、地上1~1.5mの密封ガラスカバー、地
面と同じ高さの浮かぶ植物域、地下に沈んだ第2の貯水空洞、および最底部のスラッジ層
から構成される。
前記密封ガラスカバー上に空気導入管が設けられ、前記空気導入管は通性嫌気性域で発生
するメタンガスを回収して利用するためである。
前記浮かぶ植物域では、大型藻類が10%を占め、植栽密度が8株/mであり、ウォー
ターミフォイルが27%を占め、植栽密度が8株/mである。
前記第2の貯水空洞は水流方向に沿って側壁上にそれぞれ第2の給水管および第2の排水
管が開設される。
前記スラッジ層の厚さは8~10cmであり、調理済み肉培地法によりスラッジ層で通性
嫌気性域用の嫌気性微生物を培養し、工業廃水を分解および無害化する同時に、水中の肥
料栄養素を破壊することなく、農業生産に大きなメリットがある。
【0006】
本発明の一側面として、前記曝気域の水入口端に、水流方向に垂直で第2の排水管からの
水を受け取るためのバッフルが設けられる。
水流方向に沿って、前記バッフルより10~20cm低い箇所に水滴曝気板が設けられる

水流方向に沿って、前記水滴曝気板の水出口端にインペラ型曝気装置が設けられる。
前記水滴曝気板およびインペラ型曝気装置は主に水域と空気の接触面積を増加して、水域
中の酸素含有量を増加するためである。
前記曝気域の底部にジェットヘッド付きのオゾンパイプが敷設される。オゾンパイプを敷
設する理由は、オゾンが有機物を酸化及び分解する可能性があり、オゾンは酸化還元反応
によって生成される酸素が曝気域中の水域の酸素含有量を増加させる可能性もあるためで
ある。
【0007】
本発明の一側面として、前記曝気充填域では、金属ブラケットおよび金属網から構成され
る充填フレームが設けられ、前記金属ブラケットおよび金属メッシュによって充填フレー
ムの内部空洞が複数の区画層が分割される。曝気充填域は主に、沈殿物を固定し、池内の
水域中の窒素やリンなどの汚染物の含有量を削減し、沈殿物の再び懸濁を減らし、水域の
発生源の負荷を低減することである。
前記区画層にそれぞれ下から上へ順次濾過クロス、厚さ8~10cmで粒子径5~8cm
の壊れた赤レンガ、および粒子径16~32mmの火山岩が設置される。
前記壊れた赤レンガの表面にカタツムリが付いている。
単位体積比で、1立方メートル処理水あたりの中火山岩の充填量は50%~80%である

曝気充填域の充填フレームには多数のギャップがあり、浮遊動物の避難所と微生物を分解
するための良好な生息地を提供でき、生態システム全体の食物連鎖の長さおよび複雑さを
さらに増加させる可能性があるため、安定したバランスの取れた生態システムを形成する

本発明の一側面として、前記水トレンチは、その上方に架設された水道の水流方向が反対
であり、前記水道の水流方向の終端に排水口が開設され、前記排水口は水道終端の過剰水
流を水トレンチの始端に導入するために使用される。
前記水トレンチと水道の農地に近い側にそれぞれ電気制御弁によって制御される排水管が
設けられる。
前記水トレンチは、人工コンクリート製の埋設部および地面から突き出たステンレス製の
接続部に分かれ、前記接続部に取付穴が設けられる。
前記水道はアルミニウム合金製で、取付穴を介して水トレンチに接続される同時に、水道
の側壁に設けられた支持柱によって地面に固定される。
本発明の一側面として、前記酸素富化域の底部に水中植物が植栽され、前記水中植物では
、クロモは15%を占め、植栽密度は15株/mであり、アマモは13%を占め、植栽
密度は15株/mである。前記水中植物は、水域の濁度を減らし、池水の栄養物質を吸
収し、池水の富栄養化を低減して、生態システムが水域汚染を安定して分解することがで
きるのを確保する。
生態システム全体のさまざまな動植物の数と密度を人為的に調整し、食物連鎖におけるさ
まざまな生物の競争関係を利用して汚染物質を除去し、藻類の成長を抑制することにより
、毎月通性嫌気性域および酸素富化域の水生植物を収穫、補充、植え替える必要があり、
同時に水生植物の病気と害虫を予防および制御し、長期的な安定性を維持し、生態システ
ムの長期間な安定性を保持する。
【0008】
従来の農地テールウォーター処理方法と比較すると、本発明は以下の有益な効果を有する

本発明によって設計された生態システムは、廃水収集システム、廃水処理システム、農地
灌漑および再利用システムおよび河川生態補水システムの4つのサブシステムの連携によ
り、農地テールウォーターを監視する上で、生分解によりテールウォーターに含まれる窒
素やリンなどの富栄養物を抽出し、テールウォーターをリサイクルし、農業生産コストを
削減する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の生態システムの概略フローチャートである。
図2】本発明の植栽トレンチの概略構造図である。
図3】本発明の土砂沈殿域の概略構造図である。
図4】本発明の通性嫌気性域の概略構造図である。
図5】本発明の曝気域の概略構造図である。
図6】本発明の曝気充填域の概略構造図である。
図7】本発明の農地灌漑システムの概略構造図である。
図8】本発明の水トレンチと水道の接続概略図である。
【0010】
[符号の説明]
1 廃水収集システム
11 集水池
12 植栽トレンチ
121 ジオテキスタイル層
122 浸透層
123 土壤層
124 植生層
13 土砂沈殿域
131 濾過口
132 第1の貯水空洞
1321 第1の給水管
1322 第1の排水管
133 土砂沈殿層
1331 練り土突っ込み層
1332 コンクリート層
1333 細砂層
1334 スペーサー層
1335 砂利層
1336 埋め戻し土層
2 廃水処理システム
21 通性嫌気性域
211 密封ガラスカバー
2111 空気導入管
212 浮かぶ植物域
213 第2の貯水空洞
2131 第2の給水管
2132 第2の排水管
214 スラッジ層
22 曝気域
221 バッフル
222 水滴曝気板
223 インペラ型曝気装置
224 オゾンパイプ
23 曝気充填域
231 充填フレーム
2311 金属ブラケット
2312 金属メッシュ
232 区画層
2321 濾過クロス
2322 壊れた赤レンガ
2323 火山岩
24 酸素富化域
3 農地灌漑および再利用システム
31 水トレンチ
311 埋設部
312 接続部
3121 取付穴
32 水道
321 排水口
322 支持柱
33 排水管
331 電気制御弁
4 河川生態補水システム
5 農地
【発明を実施するための形態】
【0011】
13を経って廃水処理システム2に導入して、水域汚染物が生態システム全体の分解可能
範囲にあることを確保する。
前記廃水処理システム2は、通性嫌気性域21、曝気域22、曝気充填域23および酸素
富化域24を含み、主に浮かぶ植物と嫌気性微生物の連携、水中植物と好気性微生物の連
携により、廃水収集システム1によって収集された水域中の富栄養物質濃度および水域濁
度を低減するための機能を果す。
前記農地灌漑および再利用システム3は、農地5に灌漑用水を導入するための水トレンチ
31、および前記水トレンチ31に架設されて農地5に廃水処理システム2で処理された
水を導入するための水道32を含む。
前記河川生態補水システム4は主に、酸素富化域24からの給水を検出し、水質が標準V
GB 3838-2002以上に達した処理水を乾燥季節で河川に排出し、河川の下流農
地の灌漑用水および生活用水を補充する。
【0012】
具体的に、図2に示すように、前記植栽トレンチ12には、下から上へ順次ジオテキスタ
イル層121、浸透層122、土壤層123および植生層124が設置される。前記植栽
トレンチ12は主に、植生により集水域11の浮遊物の濃度を初期に減らし、水流速度を
安定させ、次のプロセスに安定した水の流入を提供する。
前記ジオテキスタイル層121の材料はポリプロピレン不浸透性ジオメンブレンであり、
前記浸透層122の充填物は粒子径範囲15mmの砂利であり、前記土壤層123の充填
物は沈泥壌土であり、土壤層123の浸透率が0.3m/d範囲内にある必要があり、前
記植生層124は側面傾斜の凹型であり、側面の傾斜は1:4であり、水流方向傾斜は2
%であり、前記植生層植生は市販の芝草が植えられている。
【0013】
図3に示すように、前記土砂沈殿域13は、地表から10cmの高さで空隙率85%の濾
過口131、地下に沈んだ第1の貯水空洞132および最底部の土砂沈殿層133から構
成される。前記土砂沈殿域は主に、水域に混入した大規模な砂利をふるいにかけ、その後
の工程で砂利が装置を塞ぐのを防ぎ、システム全体の安定した運用を確保することである

前記第1の貯水空洞132の4つの壁は組積造コンクリート構造であり、水流方向に沿っ
て側壁にそれぞれ第1の給水管1321および第1の排水管1322が開設される。
前記土砂沈殿層133には、下から上へ順次圧縮係数0.94の練り土突っ込み層133
1、厚さ150mmのコンクリート層1332、厚さ120mmで細砂粒子径0.7の細
砂層1333、メッシュ径1cmで繊維材料製のスペーサー層1334、厚さ100mm
で砂利粒子径10mmの砂利層1335および厚さ300mmの埋め戻し土層1116を
含む。
【0014】
具体的に、図4に示すように、前記通性嫌気性域21は、地上1mの密封ガラスカバー2
11、地面と同じ高さの浮かぶ植物域212、地下に沈んだ第2の貯水空洞213、およ
び最底部のスラッジ層214から構成される。
前記密封ガラスカバー211上に空気導入管2111が設けられ、前記空気導入管211
は通性嫌気性域21で発生するメタンガスを回収して利用するためである。
前記浮かぶ植物域212では、大型藻類が10%を占め、植栽密度が8株/mであり、
ウォーターミフォイルが27%を占め、植栽密度が8株/mである。
前記第2の貯水空洞213は水流方向に沿って側壁上にそれぞれ第2の給水管2131お
よび第2の排水管2132が開設される。
前記スラッジ層214の厚さは8cmであり、調理済み肉培地法によりスラッジ層214
で通性嫌気性域21用の嫌気性微生物を培養し、工業廃水を分解および無害化する同時に
、水中の肥料栄養素を破壊することなく、農業生産に大きなメリットがある。
具体的に、図5に示すように、前記曝気域22の水入口端に、水流方向に垂直で第2の排
水管2132からの水を受け取るためのバッフル221が設けられる。
水流方向に沿って、前記バッフル221より10cm低い箇所に水滴曝気板222が設け
られる。
水流方向に沿って、前記水滴曝気板221の水出口端にインペラ型曝気装置223が設け
られる。
前記水滴曝気板222およびインペラ型曝気装置223は主に水域と空気の接触面積を増
加して、水域中の酸素含有量を増加するためである。
前記曝気域22の底部にジェットヘッド付きのオゾンパイプ224が敷設される。オゾン
パイプ224を敷設する理由は、オゾンが有機物を酸化及び分解する可能性があり、オゾ
ンは酸化還元反応によって生成される酸素が曝気域22中の水域の酸素含有量を増加させ
る可能性もあるためである。
【0015】
具体的に、図6に示すように、前記曝気充填域23では、金属ブラケット2311および
金属網2312から構成される充填フレーム231が設けられ、前記金属ブラケット23
11および金属メッシュ2312によって充填フレーム231の内部空洞が複数の区画層
232が分割される。曝気充填域23は主に、沈殿物を固定し、池内の水域中の窒素やリ
ンなどの汚染物の含有量を削減し、沈殿物の再び懸濁を減らし、水域の発生源の負荷を低
減することである。
前記区画層232にそれぞれ下から上へ順次濾過クロス2321、厚さ8cmで粒子径5
cmの壊れた赤レンガ2322、および粒子径16mmの火山岩2323が設置される。
前記壊れた赤レンガ2322の表面にカタツムリが付いている。
単位体積比で、1立方メートル処理水あたりの中火山岩2323の充填量は50%である

曝気充填域23の充填フレーム231には多数のギャップがあり、浮遊動物の避難所と微
生物を分解するための良好な生息地を提供でき、生態システム全体の食物連鎖の長さおよ
び複雑さをさらに増加させる可能性があるため、安定したバランスの取れた生態システム
を形成する。
【0016】
具体的に、図7図8に示すように、前記水トレンチ31は、その上方に架設された水道
32の水流方向が反対であり、前記水道32の水流方向の終端に排水口321が開設され
、前記排水口321は水道32終端の過剰水流を水トレンチ31の始端に導入するために
使用される。
前記水トレンチ31と水道32の農地5に近い側にそれぞれ電気制御弁331によって制
御される排水管33が設けられる。
前記水トレンチ31は、人工コンクリート製の埋設部311および地面から突き出たステ
ンレス製の接続部312に分かれ、前記接続部312に取付穴3121が設けられる。
前記水道32はアルミニウム合金製で、取付穴3121を介して水トレンチ31に接続さ
れる同時に、水道32の側壁に設けられた支持柱322によって地面に固定される。
具体的には、前記酸素富化域24の底部に水中植物が植栽され、前記水中植物では、クロ
モは15%を占め、植栽密度は15株/mであり、アマモは13%を占め、植栽密度は
15株/mである。前記水中植物は、水域の濁度を減らし、池水の栄養物質を吸収し、
池水の富栄養化を低減して、生態システムが水域汚染を安定して分解することができるの
を確保する。
生態システム全体のさまざまな動植物の数と密度を人為的に調整し、食物連鎖におけるさ
まざまな生物の競争関係を利用して汚染物質を除去し、藻類の成長を抑制することにより
、毎月通性嫌気性域21および酸素富化域24の水生植物を収穫、補充、植え替える必要
がある同時に、水生植物の病気と害虫を予防および制御し、長期的な安定性を維持し、生
態システムの長期間な安定性を保持する。
【0017】
実施例2
実施例2は実施例1の記載内容に基づき、別のパラメータ下での設計解決策を背t名する
ことを目的とし、その具体的な内容は以下の通りである。
図1に示すように、本発明によって設計された初期雨水および農地戻り水を処理するため
の農業灌漑および再利用生態システムは、廃水収集システム1、廃水処理システム2、農
地灌漑および再利用システム3および河川生態補水システム4の4つのサブシステムから
構成される。
前記廃水収集システム1は、水流方向に応じて設置される集水域11、植栽トレンチ12
および土砂沈殿域13を含み、主に生態池に入る初期雨水や農業汚染水を収集し、水域デ
ータを収集し、および水域を初期浄化するための機能を果たす。前記廃水収集システム1
は、実際の運用では、まず暴風雨強度式と降雨流出数学モデルを通じて貯水する必要のあ
る雨水の量と、農業の非点源汚染の量を決定し、集水域11に生態学的遮断ダムの高さを
計算する必要があり、次に水質監視システムにより汚染物の負荷を監視および計算し、最
後にウォーターポンプにより汚水を植栽トレンチ12および土砂沈殿域13を経って廃水
処理システム2に導入して、水域汚染物が生態システム全体の分解可能範囲にあることを
確保する。
前記廃水処理システム2は、通性嫌気性域21、曝気域22、曝気充填域23および酸素
富化域24を含み、主に浮かぶ植物と嫌気性微生物の連携、水中植物と好気性微生物の連
携により、廃水収集システム1によって収集された水域中の富栄養物質濃度および水域濁
度を低減するための機能を果す。
前記農地灌漑および再利用システム3は、農地5に灌漑用水を導入するための水トレンチ
31、および前記水トレンチ31に架設されて農地5に廃水処理システム2で処理された
水を導入するための水道32を含む。
前記河川生態補水システム4は主に、酸素富化域24からの給水を検出し、水質が標準V
以上に達した処理水を乾燥季節で河川に排出し、河川の下流農地の灌漑用水および生活用
水を補充する。
【0018】
具体的に、図2に示すように、前記植栽トレンチ12には、下から上へ順次ジオテキスタ
イル層121、浸透層122、土壤層123および植生層124が設置される。前記植栽
トレンチ12は主に、植生により集水域11の浮遊物の濃度を初期に減らし、水流速度を
安定させ、次のプロセスに安定した水の流入を提供する。
前記ジオテキスタイル層121の材料はポリプロピレン不浸透性ジオメンブレンであり、
前記浸透層122の充填物は粒子径範囲30mmの砂利であり、前記土壤層123の充填
物は沈泥壌土であり、土壤層123の浸透率が0.5m/d範囲内にある必要があり、前
記植生層124は側面傾斜の凹型であり、側面の傾斜は1:3であり、水流方向傾斜は3
%であり、前記植生層植生は市販の芝草が植えられている。
【0019】
図3に示すように、前記土砂沈殿域13は、地表から15cmの高さで空隙率85%の濾
過口131、地下に沈んだ第1の貯水空洞132および最底部の土砂沈殿層133から構
成される。前記土砂沈殿域は主に、水域に混入した大規模な砂利をふるいにかけ、その後
の工程で砂利が装置を塞ぐのを防ぎ、システム全体の安定した運用を確保することである

前記第1の貯水空洞132の4つの壁は組積造コンクリート構造であり、水流方向に沿っ
て側壁にそれぞれ第1の給水管1321および第1の排水管1322が開設される。
前記土砂沈殿層133には、下から上へ順次圧縮係数0.98の練り土突っ込み層133
1、厚さ200mmのコンクリート層1332、厚さ150mmで細砂粒子径1.3の細
砂層1333、メッシュ径2cmで繊維材料製のスペーサー層1334、厚さ110mm
で砂利粒子径15mmの砂利層1335および厚さ300mmの埋め戻し土層1116を
含む。
【0020】
具体的に、図4に示すように、前記通性嫌気性域21は、地上1.5mの密封ガラスカバ
ー211、地面と同じ高さの浮かぶ植物域212、地下に沈んだ第2の貯水空洞213、
および最底部のスラッジ層214から構成される。
前記密封ガラスカバー211上に空気導入管2111が設けられ、前記空気導入管211
は通性嫌気性域21で発生するメタンガスを回収して利用するためである。
前記浮かぶ植物域212では、大型藻類が10%を占め、植栽密度が8株/mであり、
ウォーターミフォイルが27%を占め、植栽密度が8株/mである。
前記第2の貯水空洞213は水流方向に沿って側壁上にそれぞれ第2の給水管2131お
よび第2の排水管2132が開設される。
前記スラッジ層214の厚さは10cmであり、調理済み肉培地法によりスラッジ層21
4で通性嫌気性域21用の嫌気性微生物を培養し、工業廃水を分解および無害化する同時
に、水中の肥料栄養素を破壊することなく、農業生産に大きなメリットがある。
具体的に、図5に示すように、前記曝気域22の水入口端に、水流方向に垂直で第2の排
水管2132からの水を受け取るためのバッフル221が設けられる。
水流方向に沿って、前記バッフル221より20cm低い箇所に水滴曝気板222が設け
られる。
水流方向に沿って、前記水滴曝気板221の水出口端にインペラ型曝気装置223が設け
られる。
前記水滴曝気板222およびインペラ型曝気装置223は主に水域と空気の接触面積を増
加して、水域中の酸素含有量を増加するためである。
前記曝気域22の底部にジェットヘッド付きのオゾンパイプ224が敷設される。オゾン
パイプ224を敷設する理由は、オゾンが有機物を酸化及び分解する可能性があり、オゾ
ンは酸化還元反応によって生成される酸素が曝気域22中の水域の酸素含有量を増加させ
る可能性もあるためである。
【0021】
具体的に、図6に示すように、前記曝気充填域23では、金属ブラケット2311および
金属網2312から構成される充填フレーム231が設けられ、前記金属ブラケット23
11および金属メッシュ2312によって充填フレーム231の内部空洞が複数の区画層
232が分割される。曝気充填域23は主に、沈殿物を固定し、池内の水域中の窒素やリ
ンなどの汚染物の含有量を削減し、沈殿物の再び懸濁を減らし、水域の発生源の負荷を低
減することである。
前記区画層232にそれぞれ下から上へ順次濾過クロス2321、厚さ10cmで粒子径
8cmの壊れた赤レンガ2322、および粒子径32mmの火山岩2323が設置される

前記壊れた赤レンガ2322の表面にカタツムリが付いている。
単位体積比で、1立方メートル処理水あたりの中火山岩2323の充填量は80%である

曝気充填域23の充填フレーム231には多数のギャップがあり、浮遊動物の避難所と微
生物を分解するための良好な生息地を提供でき、生態システム全体の食物連鎖の長さおよ
び複雑さをさらに増加させる可能性があるため、安定したバランスの取れた生態システム
を形成する。
【0022】
具体的に、図7図8に示すように、前記水トレンチ31は、その上方に架設された水道
32の水流方向が反対であり、前記水道32の水流方向の終端に排水口321が開設され
、前記排水口321は水道32終端の過剰水流を水トレンチ31の始端に導入するために
使用される。
前記水トレンチ31と水道32の農地5に近い側にそれぞれ電気制御弁331によって制
御される排水管33が設けられる。
前記水トレンチ31は、人工コンクリート製の埋設部311および地面から突き出たステ
ンレス製の接続部312に分かれ、前記接続部312に取付穴3121が設けられる。
前記水道32はアルミニウム合金製で、取付穴3121を介して水トレンチ31に接続さ
れる同時に、水道32の側壁に設けられた支持柱322によって地面に固定される。
具体的には、前記酸素富化域24の底部に水中植物が植栽され、前記水中植物では、クロ
モは15%を占め、植栽密度は15株/mであり、アマモは13%を占め、植栽密度は
15株/mである。前記水中植物は、水域の濁度を減らし、池水の栄養物質を吸収し、
池水の富栄養化を低減して、生態システムが水域汚染を安定して分解することができるの
を確保する。
生態システム全体のさまざまな動植物の数と密度を人為的に調整し、食物連鎖におけるさ
まざまな生物の競争関係を利用して汚染物質を除去し、藻類の成長を抑制することにより
、毎月通性嫌気性域21および酸素富化域24の水生植物を収穫、補充、植え替える必要
がある同時に、水生植物の病気と害虫を予防および制御し、長期的な安定性を維持し、生
態システムの長期間な安定性を保持する。
【0023】
応用例
本応用例は、実施例1の記載内容を基づき、本発明の実際応用を説明することを目的とす
る。
晴れの時期:
農地戻り水は生態システムによって処理されるか、または水道32を介して農地にも戻り
、または河川へ排出して水を補充する。
降雨初期:
給水ポンプの液面弁を調整することで集水域11の生態ダムの高さを低減し、その後の雨
水貯留に合わせて低水位の運転を維持する。
降雨/暴雨時期:
給水ポンプの液面弁を調節することで集水域11中の生態ダムの高さを上げ、処理された
水が排出標準に達すると河川へ排出され、達していないと処理水を貯留し、晴れの後集水
域11に排出し二次処理を行い、なお、水位が集水域11の生態ダムの高さより高い場合
、システムのオーバーフロー運転を行う必要がある。
【0024】
実験例
本実験例は上記実施例1に記載の解決策および上記応用例に記載の方法に基づき、本発明
の実際応用での表現を明らかにすることを目的とする。
本実験例では、使用する実験農地の土壤の物理的および化学的性能は表1に示される。
表1 実験土壤の主な物理的および化学的性質
【0025】
【0026】
本実験例では、集中施肥の後、第1回灌漑後2日目の農地テールウォーターをサンプルと
して収集し、この時点で農地テールウォーター中の窒素やリンの濃度がピーク値を避け通
常施肥レベルに近い。
実験ニーズに応じて、以下の異なる方法によって農地テールウォーター中の窒素やリンを
処理し、異なる月の各収集点の灌漑後水サンプルの窒素やリン総含有量を測定する。
ブランク組:1か月の始めの灌漑の2日目に、農地出水口および集水域11における植栽
トレンチ1および土砂沈殿域13に進入していない水域中の窒素やリンの総含有量を記録
する。
【0027】
実験組1:1か月の始めの灌漑の2日目に、農地出水口および集水域11、植栽トレンチ
1および土砂沈殿域13を経った水域中の窒素やリンの総含有量を記録する。
実験組2:1か月の始めの灌漑の2日目に、農地出水口および集水域11、植栽トレンチ
1、土砂沈殿域13、通性嫌気性域21、曝気域22および曝気充填域23を経った水域
中の窒素やリンの総含有量を記録する。
実験組3:1か月の始めの灌漑の2日目に、農地出水口および集水域11、植栽トレンチ
1、土砂沈殿域13および廃水処理システム2全体を経った水域中の窒素やリンの総含有
量を記録する。
実験組4:実験組4は以下のことを除いて実験組3と同じであり:通性嫌気性域21で浮
かぶ植物域212を省略する。
実験組5:実験組5は以下のことを除いて実験組3と同じであり:曝気域22でバッフル
221を省略し、インペラ型曝気装置223を停止し、オゾンパイプ224の空気供給を
停止する。
実験組6:実験組6は以下のことを除いて実験組3と同じであり:酸素富化域24で水中
植物を省略する。
ブランク組、実験組1~6で得られた農地テールウォーターを収集し、各組の農地テール
ウォーター中の窒素やリンの総含有量を測定し、実験結果を表2に示す。
表2 異なる方法で処理された農地テールウォーター中の窒素やリンの含有量
【0028】
【0029】
実験組1、実験組2および実験組3をブランク組と比較すると、以下のことが分かる:
実験組1は、植栽トレンチ1および土砂沈殿域13のみを使用して農地テールウォーター
を処理し、TN、TPの除去率がほぼゼロであり、これは、単一の物理除去方法は農地テ
ールウォーターのTN、TPに対する除去効果がわずかであり、処理後の水質は標準Vを
はるかに下回っている。
実験組2は、集水域11、植栽トレンチ1、土砂沈殿域13、通性嫌気性域21、曝気域
22および曝気充填域23を組み合わせて農地テールウォーターを処理し、TNの除去率
は90.42%であり、TPの除去率は63.53%であり、除去効果が高く、処理後の
水質は標準Vに近い。
実験組3は、植栽トレンチ1、土砂沈殿域13および廃水処理システム2全体を組み合わ
せて農地テールウォーターを処理し、TNの除去率は93.86%であり、TPの除去率
は70.86%であり、除去効果が顕著であり、処理後の水質は標準Vに達する。
なお、実験組4は、通性嫌気性域21の浮かぶ植物域212を省略し、TNの除去率が低
下し(85.25%)、TPの除去率も低下し(60.61%)、浮かぶ植物の調節がな
くなると、嫌気性微生物の分解能力が低下する。
実験組5は、曝気域22のバッフル221を省略し、インペラ型曝気装置223およびオ
ゾンパイプ224を停止し、致廃水処理システム2中の酸素含有量が大幅に低下し、窒素
やリンに対する除去効果に大きな影響を与え、TPの除去率はわずか23.55%であり
、TPの除去率はわずか23.53%である。したがって、適切で安定した酸素供給は生
態システム全体を維持する最も重要な部分である。
実験組6は、酸素富化域24の水中植物を省略し、TNの除去率が低下し(93.72%
)、TPの除去率も低下し(60.28%)、水中植物の調節がなくなると、好気性微生
物の分解能力が低下する。
以上のように、本発明によって設計された生態システムは、農地テールウォーター中の窒
素やリンの富栄養物の処理に顕著な効果があり、処理水が地表水標準Vに達することがで
き、実際的な応用価値がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
実施例2
実施例2は実施例1の記載内容に基づき、別のパラメータ下での設計解決策を提供するこ
とを目的とし、その具体的な内容は以下の通りである。
図1に示すように、本発明によって設計された初期雨水および農地戻り水を処理するため
の農業灌漑および再利用生態システムは、廃水収集システム1、廃水処理システム2、農
地灌漑および再利用システム3および河川生態補水システム4の4つのサブシステムから
構成される。
前記廃水収集システム1は、水流方向に応じて設置される集水域11、植栽トレンチ12
および土砂沈殿域13を含み、主に生態池に入る初期雨水や農業汚染水を収集し、水域デ
ータを収集し、および水域を初期浄化するための機能を果たす。前記廃水収集システム1
は、実際の運用では、まず暴風雨強度式と降雨流出数学モデルを通じて貯水する必要のあ
る雨水の量と、農業の非点源汚染の量を決定し、集水域11に生態学的遮断ダムの高さを
計算する必要があり、次に水質監視システムにより汚染物の負荷を監視および計算し、最
後にウォーターポンプにより汚水を植栽トレンチ12および土砂沈殿域13を経って廃水
処理システム2に導入して、水域汚染物が生態システム全体の分解可能範囲にあることを
確保する。
前記廃水処理システム2は、通性嫌気性域21、曝気域22、曝気充填域23および酸素
富化域24を含み、主に浮かぶ植物と嫌気性微生物の連携、水中植物と好気性微生物の連
携により、廃水収集システム1によって収集された水域中の富栄養物質濃度および水域濁
度を低減するための機能を果す。
前記農地灌漑および再利用システム3は、農地5に灌漑用水を導入するための水トレンチ
31、および前記水トレンチ31に架設されて農地5に廃水処理システム2で処理された
水を導入するための水道32を含む。
前記河川生態補水システム4は主に、酸素富化域24からの給水を検出し、水質が標準V
以上に達した処理水を乾燥季節で河川に排出し、河川の下流農地の灌漑用水および生活用
水を補充する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水収集システム(1)、廃水処理システム(2)、農地灌漑および再利用システム(3
)、および河川生態補水システム(4)の4つのサブシステムから構成され、
前記廃水収集システム(1)は、水流方向に応じて設置された集水域(11)、植栽トレ
ンチ(12)および土砂沈殿域(13)を含み、生態池に入る初期雨水や農業汚染水を収
集し、水域データを収集し、および水域を初期浄化するための機能を果たし、
前記廃水処理システム(2)は、通性嫌気性域(21)、曝気域(22)、曝気充填域(
23)および酸素富化域(24)を含み、浮かぶ植物と嫌気性微生物の連携、水中植物と
好気性微生物の連携により、廃水収集システム(1)によって収集された水域中の富栄養
物質濃度および水域濁度を低減するための機能を果たし、
前記農地灌漑および再利用システム(3)は、農地(5)に灌漑用水を導入するための水
トレンチ(31)、および前記水トレンチ(31)上に架設されて農地(5)に廃水処理
システム(2)で処理された水域を導入するための水道(32)を含み、
前記河川生態補水システム(4)は、酸素富化域(24)からの給水を検出し、適格な処
理水を乾燥季節に河川に排出して、河川下流の農地灌漑用水および生活用水を補充する機
能を果たす、ことを特徴とする初期雨水および農地戻り水を処理するための農業灌漑およ
び再利用生態システム。
【請求項2】
前記植栽トレンチ(12)には、下から上へ順次、ジオテキスタイル層(121)、浸透
層(122)、土壤層(123)および植生層(124)が設置され、
前記ジオテキスタイル層(121)の材料はポリプロピレン不浸透性ジオメンブレンであ
り、前記浸透層(122)の充填物は粒子径15~30mmの砂利であり、前記土壤層(
123)の充填物は砂壌土、沈泥壌土または壌土中の1つまたは複数の組み合わせであり
、前記土壤層(123)の浸透率は0.3~0.5m/dであり、前記植生層(124)
は側面傾斜の凹型であり、側面の傾斜は1:4~1:3であり、水流方向傾斜は2%~3
%であり、前記植生層(124)には芝草が植えられ、
前記土砂沈殿域(13)は、地表から10~15cmの高さで空隙率85%の濾過口(1
31)、地下に沈んだ第1の貯水空洞(132)および最底部の土砂沈殿層(133)か
ら構成され、
前記第1の貯水空洞(132)の4つの壁は組積造コンクリート構造であり、水流方向に
沿って側壁にそれぞれ第1の給水管(1321)および第1の排水管(1322)が開設
され、
前記土砂沈殿層(133)には、下から上へ順次、圧縮係数0.94~0.98の練り土
突っ込み層(1331)、厚さ150~200mmのコンクリート層(1332)、厚さ
120~150mmで細砂粒子径0.7~1.3mmの細砂層(1333)、メッシュ径
1~2cmで繊維材料製のスペーサー層(1334)、厚さ100~110mmで砂利粒
子径10~15mmの砂利層(1335)および厚さ300mmの埋め戻し土層(111
6)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の農業灌漑および再利用生態システム。
【請求項3】
前記通性嫌気性域(21)は、地上1~1.5mの密封ガラスカバー(211)、地面と
同じ高さの浮かぶ植物域(212)、地下に沈んだ第2の貯水空洞(213)、および最
底部のスラッジ層(214)から構成され、
前記密封ガラスカバー(211)上に空気導入管(2111)が設けられ、
前記浮かぶ植物域(212)では、大型藻類が10%を占め、植栽密度が8株/mであ
り、ウォーターミフォイルが27%を占め、植栽密度が8株/mであり、
前記第2の貯水空洞(213)は水流方向に沿って側壁上にそれぞれ第2の給水管(21
31)および第2の排水管(2132)が開設され、
前記スラッジ層(214)の厚さは8~10cmであり、調理済み肉培地法によりスラッ
ジ層(214)で通性嫌気性域(21)用の嫌気性微生物を培養する、ことを特徴とする
請求項1に記載の農業灌漑および再利用生態システム。
【請求項4】
前記曝気充填域(23)では、金属ブラケット(2311)および金属網(2312)か
ら構成される充填フレーム(231)が設けられ、前記金属ブラケット(2311)およ
び金属メッシュ(2312)によって充填フレーム(231)の内部空洞が複数の区画層
(232)に分割され、
前記区画層(232)にそれぞれ下から上へ順次、濾過クロス(2321)、厚さ8~1
0cmであって粒子径5~8cmの壊れた赤レンガ(2322)、および粒子径16~3
2mmの火山岩(2323)が設置され、
前記壊れた赤レンガ(2322)の表面にカタツムリが付き、
単位体積比で、1立方メートル処理水あたりの火山岩(2323)の充填量は50%~8
0%である、ことを特徴とする請求項1に記載の農業灌漑および再利用生態システム。
【請求項5】
前記水トレンチ(31)とその上方に架設された水道(32)との水流方向は反対であり
、前記水道(32)の水流方向の終端に排水口(321)が開設され、前記排水口(32
1)は水道(32)終端の過剰水流を水トレンチ(31)の始端に導入するために使用さ
れ、
前記水トレンチ(31)と水道(32)の農地(5)に近い側にそれぞれ電気制御弁(3
31)によって制御される排水管(33)が設けられ、
前記水トレンチ(31)は、人工コンクリート製の埋設部(311)および地面から突き
出たステンレス製の接続部(312)に分かれ、前記接続部(312)に取付穴(312
1)が設けられ、
前記水道(32)はアルミニウム合金製で、取付穴(3121)を介して水トレンチ(3
1)に接続されると同時に、水道(32)の側壁に設けられた支持柱(322)によって
地面に固定される、ことを特徴とする請求項1に記載の農業灌漑および再利用生態システ
ム。