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  • 特開-注射薬管理システム 図1
  • 特開-注射薬管理システム 図2
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  • 特開-注射薬管理システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035980
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】注射薬管理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20220225BHJP
   G16H 20/10 20180101ALI20220225BHJP
【FI】
G16H40/00
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093729
(22)【出願日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】109128674
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】520308433
【氏名又は名称】エーアイ バイオマテリアル ヘルステック リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AI Biomaterial Healthtech Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】イェン-ワイ ホ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】注射薬管理システムを提供する。
【解決手段】注射薬の製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、及び病院の患者注射端情報を追跡するために用いられている。前記注射薬は識別ラベル及びブロックチェーンモジュールを含むチップセットを備え、前記ブロックチェーンモジュールは前記注射薬のデータをブロックチェーンネットワークに記録するための演算チップ及びワイヤレス通信チップまたは通信アンテナを具備している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射薬の製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、及び病院の患者注射端情報の追跡に用いられ、前記注射薬は識別ラベル及びブロックチェーンモジュールを含むチップセットを備え、前記ブロックチェーンモジュールは前記注射薬のデータをブロックチェーンネットワークに記録するための演算チップ及びワイヤレス通信チップまたは通信アンテナを具備する注射薬管理システムであって、
前記識別ラベル内の前記製薬工場製造端情報、前記物流輸送端情報、及び前記病院の患者注射端情報を読み取るか、前記製薬工場製造端情報、前記物流輸送端情報、及び前記病院の患者注射端情報を識別ラベルに入力すると共に前記ブロックチェーンモジュールにより前記製薬工場製造端情報、前記物流輸送端情報、及び前記病院の患者注射端情報を前記ブロックチェーンネットワークに記録するために用いられるラベルリーダーを備え、前記製薬工場製造端情報は前記注射薬の生産及び製造情報であり、前記注射薬の全米医薬品コード(NDC;National Drug Code)、シリアル番号、パッチ番号、有効期限を含み、前記物流輸送端情報は前記注射薬輸送全過程温度制御記録、全過程測位記録、輸送車両番号データ、及び輸送人員データを含み、前記病院の患者注射端情報は前記注射薬を使用する医療機関の名称、前記注射薬を注射する医師、前記注射薬の投与時間、前記注射薬を注射する患者のデータ、前記注射薬を注射する患者の生年月日、前記注射薬を注射する患者の注射時のバイタルサイン、前記注射薬を注射する患者の過去のアレルギー反応、前記注射薬を注射する患者の過去の注射記録、前記注射薬を注射する患者の家族の病歴、前記注射薬を注射する患者の現病歴、及び前記注射薬を注射する患者の遺伝子配列を含み、前記バイタルサインは血圧、心拍数、呼吸、体温、及び体重を含むことを特徴とする注射薬管理システム。
【請求項2】
前記ラベルリーダーはRFID(Radio Frequency Identification)リーダーライタ或いはNFCラベルリーダーであることを特徴とする請求項1に記載の注射薬管理システム。
【請求項3】
前記ラベルリーダーは管理サーバーに信号が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の注射薬管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射薬管理システム(An injection medicine management system)に関し、更に詳しくは、製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、及び病院の患者注射端情報を追跡可能であり、且つ注射薬の偽造防止、測位、温度制御、追跡可能等の機能を有している注射薬管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
疾病の治療やワクチンの投与には注射薬使用する必要があり、注射薬の薬物活性及び安全性を確保するため、注射薬を適切に保管及び輸送し、医薬品や注射針等の偽造を防止しなければならなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現在注射薬の製造元、保管、及び輸送プロセス(製造端から病院の医師が使用するまでのプロセス)を遡及するシステムがなく、注射薬及び注射薬管理システムを提供する必要があった。すなわち、注射薬の製造元、保管、及び輸送プロセスを遡及し、輸送温度管理の不手際により薬物やワクチンの成分が変質するのを防止し、患者が使用する際にアレルギーや他の有害な副反応が生じないようにし、責任が製薬会社、物流輸送業者、或いは病院の注射保管のどこにあるかを明確にする。また、完全に遡及可能な全体的な輸送情報、注射情報、及び患者情報を提供し、従来技術に存在する問題を解決する。
【0004】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、偽造を防止し、流通、測位、温度制御プロセス等を追跡する機能を有している注射薬管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための主たる発明は、注射薬の流通プロセスを追跡するために用い、注射薬は識別ラベル及びブロックチェーンモジュールを含むチップセットを備えている。注射薬追跡システムは、識別ラベル内の流通プロセスを読み取るか、流通プロセスを識別ラベルに入力すると共にブロックチェーンモジュールにより流通プロセス情報をブロックチェーンネットワークに記録するためのラベルリーダーを具備していることを特徴とする注射薬管理システムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の注射薬及び注射薬管理システムは注射薬の製造元、保管及び輸送プロセスを追跡可能であり、患者及び医療機関が医薬品を使用する際の安全性を高め、医事紛争発生時に医薬品やワクチンの注射薬のアレルギーや有害副反応の責任の所在を明らかにする。また、薬品やワクチンの注射薬のリコール手順及び効率を改善し、医事紛争の責任の所在を明らかにし、責任が製薬工場製造端、医薬品物流端、病院の医師端のどこにあるのか明確にすることで医薬品副作用被害救済時の証拠とし、患者が医薬品を使用する際の安全を保障する。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例に係る注射薬を示す展開図である。
図2】本発明の一実施例に係る注射薬を示す概略構成図である。
図3】本発明の一実施例に係る注射薬の使用状態を示す概略図である。
図4】本発明の一実施例に係る注射薬管理システムを示すハードウェアブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0010】
図1は本発明の一実施例に係る注射薬を示す展開図である。図2は本発明の一実施例に係る注射薬を示す概略構成図である。図3は本発明の一実施例に係る注射薬の使用状態を示す概略図である。図4は本発明の一実施例に係る注射薬管理システムを示すハードウェアブロック図である。
【0011】
以下、図1~4を参照しながら、本発明に係る注射薬管理システム400を詳しく説明する。
【0012】
まず、本実施形態において、図1乃至図4に示すように、本発明の注射薬1はボトル本体10と、チップセット20と、カバー30と、アルミ製密封部40と、バッテリー50と、を備えている。チップセット20はボトル本体10に設置されているフレキシブルチップであり、カバー30はボトル本体10に蓋をし、アルミ製密封部40がカバー30によりボトル本体10を密封する。本発明の注射薬1には液体の医薬品が充填され、医療従事者は注射器200をカバー30に穿刺して液体の医薬品を抽出した後に患者の体内に注射する。ここでは、本発明の注射薬1は医薬品またはワクチンである点に留意すべきである。
【0013】
また、本発明のチップセット20は識別ラベル21と、ブロックチェーンモジュール22と、位置決めモジュール23と、偽造防止モジュール24と、温度制御モジュール25と、を備えている。識別ラベル21は注射薬1の製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、及び病院の患者注射端情報を記憶し、ブロックチェーンモジュール22は識別ラベル21及びブロックチェーンネットワーク300に信号が接続されて製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、病院の患者注射端情報、及び前記注射薬を注射する患者の電子カルテをブロックチェーンネットワーク300に記録する。本発明の具体的な一実施例によると、識別ラベル21はRFID(Radio Frequency Identification;RFID)またはNFCラベルであり、ブロックチェーンモジュール22は演算チップ及びワイヤレス通信チップまたは通信アンテナを備え、これにより注射薬1の製造元及びプロセス、並びに前記注射薬を注射する患者の電子カルテをブロックチェーンネットワーク300に記録する。ブロックチェーンネットワーク300により遡及可能であり、且つ記録が改竄されにくいという特性により、注射薬1の製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、及び病院の患者注射端情報を記録すると共に追跡する。製薬工場製造端情報は前記注射薬の生産及び製造情報を含み、例えば、前記注射薬の全米医薬品コード(NDC;National Drug Code)、シリアル番号、パッチ番号、有効期限等の情報を含む。物流輸送端情報は前記注射薬の輸送全過程温度制御記録、全過程測位記録、輸送車両番号データ、輸送人員データ等の情報を含む。病院の患者注射端情報は前記注射薬を使用する医療機関の名称、前記注射薬を注射する医師、前記注射薬を投与する時間、前記注射薬を注射する患者のデータ、前記注射薬を注射する患者の生年月日、前記注射薬を注射する患者注射時のバイタルサイン(例えば、血圧、心拍数、呼吸、体温、体重)、前記注射薬を注射する患者の過去のアレルギー反応、前記注射薬を注射する患者の過去の注射記録、前記注射薬を注射する患者の家族の病歴、前記注射薬を注射する患者の現病歴及び遺伝子配列を含む。位置決めモジュール23は全地球測位システム(Global Positioning System)チップであり、位置決めモジュール23により注射薬1を測位し、注射薬1の現在位置を確定すると共に輸送過程と時間点の関係を全過程記録し、輸送時間の地点を確認し、輸送経路を記録する。本実施例では、偽造防止モジュール24は偽造防止ラベルであり、温度制御モジュール25は温度感知機能を有しているチップであり、温度制御モジュール25は注射薬1の温度を測定すると共に管理する。これにより、注射薬1が適切な温度にあるかどうか管理し、熱すぎる環境が注射薬1の薬物活性に影響を与えないようにしている。本発明の具体的な一実施例によると、注射薬1は、ボトル本体10に設置されていると共にチップセット20に電力を供給するためのバッテリー50をさらに備え、チップセット20に電力を供給して正常に動作するようにしている。
【0014】
また、本発明の具体的な一実施例によると、本発明の注射薬1はチップセット20の外面に設置されている二次元バーコードを備え、患者や医療機関が二次元バーコードをスキャンした後に前記注射薬の製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、及び病院の患者注射端情報を読み取り、患者にワクチンや注射薬を注射する全過程を記録し、安全を確保する。
【0015】
さらに、本発明の具体的な一実施例によると、本発明の注射薬1はブロックチェーンネットワーク300に信号が接続され、注射薬1の製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、病院の患者注射端情報、及び前記注射薬を注射する患者の電子カルテを記録し、且つ第三者機構100がブロックチェーンネットワーク300により注射薬1の製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、病院の患者注射端情報、及び前記注射薬を注射する患者の電子カルテを検索する。本発明の具体的な一実施例によれば、第三者機構100として製薬工場、医療機関、及びtrace-link(商標登録)社が提供するサプライチェーンプラットフォーム管理サーバーを含む。本発明の具体的な一実施例を参照すると、注射薬1にはラベルリーダー110を組み合わせて使用することで注射薬管理システム400を形成し、注射薬1の製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、及び病院の患者注射端情報を識別ラベル21に入力するか、識別ラベル21にある注射薬1の製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、及び病院の患者注射端情報を読み取り、注射薬1の製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、及び病院の患者注射端情報を管理すると共に追跡する。本実施形態において、ラベルリーダー110はRFID(Radio Frequency Identification;RFID)リーダーライタまたはNFC(NFC)ラベルリーダーである。本発明の他の具体的な一実施例では、ラベルリーダー110は管理サーバー120にさらに信号が接続され、管理サーバー120が注射薬1の製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、及び病院の患者注射端情報をラベルリーダー110に伝送し、ラベルリーダー110により製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、及び病院の患者注射端情報を識別ラベル21に書き込むか、管理サーバー120がラベルリーダー11が読み取った製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、及び病院の患者注射端情報を受信する。本発明の具体的な一実施例によると、ラベルリーダー110は医療機関、製薬工場、及びtrace-link(商標登録)社が提供するサプライチェーンプラットフォーム管理サーバーに直接設置されて世界的な医薬品サプライチェーンを追跡するためのデータとする。ラベルリーダー110により識別ラベル21をスキャンすることで医療従事者が前記注射薬1の製薬工場製造端情報、物流輸送端情報、及び病院の患者注射端情報を知ることができ、患者が医薬品を使用する際の安全性を確保し、且つ病院の患者端及び注射端の情報がラベルリーダー110により識別ラベル21に書き込まれると共に管理サーバー120にアップロードされる。また、本発明の具体的な一実施例によれば、前記注射薬を注射する患者の電子カルテも管理サーバー120にアップロードされる。
【0016】
また、本発明の注射薬1及び注射薬管理システム400は注射薬の製造元、保管、及び輸送プロセスを管理すると共に追跡し、患者及び医療機関が医薬品を使用する際の安全性を高めている。本発明の注射薬1は処方箋注射薬に標示されている最小販売パッケージを満たし、サプライチェーンの効率を高め、違法な偽造医薬品を防止し、処方箋注射薬のリコール手順及び効率を改善し、医事紛争及び医薬品副作用被害救済の責任の所在を明らかにする。本発明の注射薬1及び注射薬管理システム400は処方箋注射薬に標示されている最小販売パッケージを満たし、サプライチェーンの効率を高め、違法な偽造医薬品を防止し、処方箋注射薬のリコール手順及び効率を改善し、医事紛争及び医薬品副作用被害救済の責任の所在を明らかにする。また、本発明の注射薬1及び注射薬管理システム400は世界中から本発明の注射薬1の薬物/ワクチン注射薬を注射する患者の、前記注射薬を使用する医療機関の名称、前記注射薬を注射する医師、前記注射薬を投与する時間、前記注射薬を注射する患者のデータ、前記注射薬を注射する患者の生年月日、前記注射薬を注射する患者注射時のバイタルサイン(例えば、血圧、心拍数、呼吸、体温、体重)、前記注射薬を注射する患者の過去のアレルギー反応、前記注射薬を注射する患者の過去の注射記録、前記注射薬を注射する患者の家族の病歴、前記注射薬を注射する患者の現病歴及び遺伝子配列を含む病歴情報を収集し、薬物/ワクチン注射薬のビッグデータのデータベースとし、ワクチン/薬物と遺伝子配列との関連性の比較し、データベースのアップロード、製薬工場(製造端)、物流商(物流端)、病院(医師端)、及び第三者認証局遠隔バックアップデータ端による保管及び分析、及び患者個人の注射薬の注射や電子カルテの個人的保管に役立て、ブロックチェーンの電子カルテに適合させる。
【0017】
本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0018】
1 注射薬
10 ボトル本体
20 チップセット
21 識別ラベル
22 ブロックチェーンモジュール
23 位置決めモジュール
200 注射器
30 カバー
40 アルミ製密封部
50 バッテリー
120 管理サーバー
110 ラベルリーダー
400 注射薬管理システム
300 ブロックチェーンネットワーク
24 偽造防止モジュール
25 温度制御モジュール
100 第三者機構
図1
図2
図3
図4