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  • 特開-自動スノーチェーン展開 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036025
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】自動スノーチェーン展開
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20220225BHJP
   B60W 40/105 20120101ALI20220225BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20220225BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60W40/105
B60W60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131090
(22)【出願日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】17/000,030
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521265955
【氏名又は名称】トゥーシンプル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ロバート ラウ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート パトリック ブラウン
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241CA15
3D241CE04
3D241DB02Z
3D241DB03Z
3D241DC46Z
3D241DC53Z
5H181AA07
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181EE13
5H181FF04
5H181FF27
5H181LL09
5H181LL16
(57)【要約】
【課題】自律車両においてスノーチェーンがいつ展開されるかを判定するためのシステム、装置、および方法を提供すること。
【解決手段】自律運転動作の方法であって、該方法は、自律車両に配置されたコンピュータによって、少なくとも該自律車両が動作している位置に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されているかどうかの第1の判定を行うことと、該自律車両を道路で運転するにはスノーチェーンが必要であるという第2の判定を行うことと、スノーチェーンの使用が許可されていることを示す該第1の判定に応答して、かつ該第2の判定に応答して、該自律車両に配置されたスノーチェーンデバイスに命令を送信することであって、該命令は、該自律車両のタイヤにスノーチェーンを展開するように該スノーチェーンデバイスをトリガすることとを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律運転動作の方法であって、該方法は、
自律車両に配置されたコンピュータによって、少なくとも該自律車両が動作している位置に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されているかどうかの第1の判定を行うことと、
該自律車両を道路で運転するにはスノーチェーンが必要であるという第2の判定を行うことと、
スノーチェーンの使用が許可されていることを示す該第1の判定に応答して、かつ該第2の判定に応答して、該自律車両に配置されたスノーチェーンデバイスに命令を送信することであって、該命令は、該自律車両のタイヤにスノーチェーンを展開するように該スノーチェーンデバイスをトリガする、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の判定は、前記自律車両が動作している前記位置を含む地域に関連付けられたスノーチェーン規制を選択することによって行われ、
該スノーチェーン規制は、スノーチェーンが複数の地域において許可されているかどうか、またはスノーチェーンが複数の地域においていつ許可されているかを示す、事前に決められたスノーチェーン規制のリストから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スノーチェーン規制は、スノーチェーンの使用が許可されている日付の範囲を示し、
前記第1の判定は、前記自律車両が動作している日付が該スノーチェーンの使用が許可されている日付の範囲内であるという判定に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されていると判定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記スノーチェーン規制は、スノーチェーンの使用が許可されていない日付の範囲を示し、
前記第1の判定は、前記自律車両が動作している日付がスノーチェーンの使用が許可されていない日付の範囲内であるという判定に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されていないと判定することを含み、
該スノーチェーンの使用が許可されていないとの判定に応答して、前記スノーチェーンデバイスの展開が無効化される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の判定を行うことは、前記道路上に配置された交通標識に基づき、該交通標識は、スノーチェーンが必要であることを示す言葉を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記自律車両に配置されたカメラから該自律車両が動作して向かっている地域の画像を受信することであって、該画像が前記交通標識を含む、ことと、
該交通標識に関連付けられた該画像の一部に対して光学式文字認識を行うことによって、該画像内の該交通標識が、スノーチェーンが必要であることを示していると判定することと
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
自律車両動作のためのシステムであって、該システムは、方法を実施するように構成されたプロセッサを含むコンピュータを備えており、該方法は、
自律車両に配置されたコンピュータによって、少なくとも該自律車両が動作している位置に基づいてスノーチェーンの使用が許可されるかどうかの第1の判定を行うことと、
該自律車両を道路で運転するにはスノーチェーンが必要であるという第2の判定を行うことと、
スノーチェーンの使用が許可されていることを示す該第1の判定に応答して、かつ該第2の判定に応答して、該自律車両に配置されたスノーチェーンデバイスに命令を送信することであって、該命令は、該自律車両のタイヤにスノーチェーンを展開するように該スノーチェーンデバイスをトリガする、ことと
を含む、システム。
【請求項8】
前記第2の判定を行うことは、前記道路上に配置された交通標識に基づき、該交通標識は、スノーチェーンが必要であることを示す図を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2の判定を行うことは、前記自律車両の外部に配置されたコマンドセンター内のリモートコンピューターから受信したメッセージに基づいており、該メッセージは、該自律車両を該道路で運転するにはスノーチェーンが必要であることを示している、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の判定を行うことは、前記プロセッサによって判定された道路状況に基づいており、該プロセッサは、
前記自律車両に配置された温度センサーから該自律車両が動作している環境の温度の測定値を受信することと、
該自律車両に配置されたカメラから該自律車両が運転されて向かっている地域の画像を受信することと
を行うように構成されており、
スノーチェーンが必要であるという該第2の判定は、
該温度が所定の値よりも低いという第3の判定と、
該画像における霧の存在を示す第4の判定と
に応答して行われる、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記環境の温度は、前記道路の温度である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の判定を行うことは、前記プロセッサによって判定された道路状況に基づいており、該プロセッサは、
前記自律車両が動作している前記位置を含む区域の風速を示す情報を受信することと、
該自律車両に配置された温度センサーから該自律車両が動作している環境の温度の測定値を受信することと、
該自律車両に配置されたカメラから該自律車両が運転されて向かっている地域の画像を受信することと
を行うように構成されており、
スノーチェーンが必要であるという該第2の判定は、
該風速が第1の所定の値未満であるという第3の判定と、
該温度が第2の所定の値未満であるという第4の判定と、
該画像が澄んだ夜空を含むという第5の判定と
に応答して行われる、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体であって、該非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体に格納されたコードを有し、該コードは、プロセッサによって実行されると、該プロセッサに方法を実施させ、該方法は、
自律車両に配置されたコンピュータによって、少なくとも該自律車両が動作している位置に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されているかどうかの第1の判定を行うことと、
該自律車両を道路で運転するにはスノーチェーンが必要であるという第2の判定を行うことと、
スノーチェーンの使用が許可されていることを示す該第1の判定に応答して、かつ該第2の判定に応答して、該自律車両に配置されたスノーチェーンデバイスに命令を送信することであって、該命令は、該自律車両のタイヤにスノーチェーンを展開するように該スノーチェーンデバイスをトリガする、ことと
を含む、非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
【請求項14】
前記第2の判定を行うことは、気象条件に基づいており、該気象条件は、
前記自律車両が目的地に到達するために動作している運転経路を判定すること、
該運転経路に沿った該気象条件を受信すること、および
該気象条件に基づいて該運転経路に沿った1つ以上の区域がスノーチェーンを必要としていることを判定すること
によって判定され、
スノーチェーンデバイスに前記命令を送信することは、該自律車両が該1つ以上の区域に到着すると判定されたときに行われる、請求項13に記載の非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
【請求項15】
前記自律車両が前記1つ以上の区域の外側にあると判定したことに応じて、前記スノーチェーンデバイスにスノーチェーンを引っ込ませる第2の命令を該スノーチェーンデバイスに送信することをさらに含む、請求項14に記載の非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
【請求項16】
前記第2の判定を行うことは、スノーチェーンが必要であることを示す情報を前記道路上に配置された送信機から受信することによる前記コンピュータによる情報の受信に基づいており、
スノーチェーンデバイスへの前記命令の送信は、該情報の該受信に応答して行われる、請求項13に記載の非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
【請求項17】
前記第2の判定を行うことは、前記自律車両に配置された車輪速度センサーから該自律車両の車輪の車輪速度を受信することに基づいており、
スノーチェーンデバイスへの前記命令の送信は、該自律車両の速度と該車輪の該車輪速度との間の差が所定の値よりも大きいとの判定に応答して行われる、請求項13に記載の非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
【請求項18】
前記所定の値は、前記自律車両の前記速度のパーセンテージである、請求項17に記載の非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
【請求項19】
前記スノーチェーンデバイスは、該スノーチェーンデバイスを前記自律車両の前記タイヤに向かって下に移動させることによって展開され、スノーチェーンは、該自律車両の該タイヤと前記道路との間でスピンさせられる、請求項13に記載の非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
【請求項20】
前記自律車両の前記位置は、該自律車両に配置されたグローバルポジショニングシステム(GPS)デバイスによって提供される、請求項13に記載の非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、自律車両においてスノーチェーンがいつ展開されるかを判定するためのシステム、装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自律車両ナビゲーションは、車両が、自律車両の周囲の車両の位置および動きを感知し、その感知に基づいて自律車両を制御して目的地に向かって安全にナビゲートすることを可能にすることができる技術である。自律車両は、いくつかのモードで動作し得る。ある場合には、自律車両は、ドライバーが、ステアリング、スロットル、クラッチ、ギアシフター、および/または他のデバイスを制御することによって、自律車両を従来の車両のように動かすことを可能にし得る。他の場合には、ドライバーは、自律車両ナビゲーション技術を作動させることにより、車両をそれ自身によって運転させることを可能にし得る。さらに他のいくつかの場合には、自律車両は、出発地から目的地までドライバーなしで運転され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
自律車両が運転されるとき、自律車両の運転に関連する(例えば、速度を速めたり、操舵したり、ブレーキをかけたりする)動作は、気象条件に依存し得る道路状況に依存し得る。本特許文書は、自動スノーチェーンを道路上で動作する自律車両に展開すべきかどうか、またはいつ展開すべきかを判定するためのシステム、装置、および方法を記載する。
【0004】
例示的な実施形態では、自律運転動作の方法は、自律車両に配置されたコンピュータによって、少なくとも自律車両が動作している位置に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されているかどうかの第1の判定を行うことと、自律車両を道路で運転するにはスノーチェーンが必要であるという第2の判定を行うことと、スノーチェーンの使用が許可されていることを示す第1の判定に応答して、かつ第2の判定に応答して、自律車両に配置されたスノーチェーンデバイスに命令を送信することであって、命令は、自律車両のタイヤにスノーチェーンを展開するようにスノーチェーンデバイスをトリガすることとを含む。
【0005】
いくつかの実施形態において、第1の判定は、自律車両が動作している位置を含む地域に関連付けられたスノーチェーン規制を選択することによって行われ、スノーチェーン規制は、スノーチェーンが複数の地域において許可されているかどうか、またはスノーチェーンが複数の地域においていつ許可されているかを示す、事前に決められたスノーチェーン規制のリストから選択される。いくつかの実施形態では、スノーチェーン規制は、スノーチェーンの使用が許可されている日付の範囲を示し、第1の判定は、自律車両が動作している日付がスノーチェーンの使用が許可されている日付の範囲内であるという判定に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されていると判定することを含む。いくつかの実施形態では、スノーチェーン規制は、スノーチェーンの使用が許可されていない日付の範囲を示し、第1の判定は、自律車両が動作している日付がスノーチェーンの使用が許可されていない日付の範囲内であるという判定に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されていないと判定することを含み、スノーチェーンの使用が許可されていないとの判定に応答して、スノーチェーンデバイスの展開が無効化される。
【0006】
いくつかの実施形態では、第2の判定を行うことは、道路上に配置された交通標識に基づき、交通標識は、スノーチェーンが必要であることを示す言葉を含む。いくつかの実施形態では、方法は、自律車両に配置されたカメラから自律車両が動作して向かっている地域の画像を受信することであって、画像が交通標識を含むことと、交通標識に関連付けられた画像の一部に対して光学式文字認識を行うことによって、画像内の交通標識が、スノーチェーンが必要であることを示していると判定することとをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、第2の判定を行うことは、道路上に配置された交通標識に基づき、交通標識は、スノーチェーンが必要であることを示す図を含む。いくつかの実施形態では、第2の判定を行うことは、自律車両の外部にあるコマンドセンターのリモートコンピューターから受信したメッセージに基づき、メッセージは、自律車両を道路で運転するにはスノーチェーンが必要であることを示している。
【0008】
いくつかの実施形態では、第2の判定を行うことは、自律車両に配置された温度センサーから自律車両が動作している環境の温度の測定値を受信することと、自律車両に配置されたカメラから自律車両が運転されて向かっている地域の画像を受信することとにより、判定された道路状況に基づいており、スノーチェーンが必要であるという第2の判定は、温度が所定の値よりも低いという第3の判定、および画像における霧の存在を示す第4の判定に応答して行われる。いくつかの実施形態では、環境の温度は、道路の温度である。
【0009】
いくつかの実施形態では、第2の判定を行うことは、自律車両が動作している位置を含む区域の風速を示す情報を受信することと、自律車両に配置された温度センサーから自律車両が動作している環境の温度の測定値を受信することと、自律車両に配置されたカメラから自律車両が運転されて向かっている地域の画像を受信することとにより、判定された道路状況に基づいており、スノーチェーンが必要であるという第2の判定は、風速が第1の所定の値未満であるという第3の判定、温度が第2の所定の値未満であるという第4の判定、および画像が澄んだ夜空を含むという第5の判定に応答して行われる。
【0010】
いくつかの実施形態では、第2の判定を行うことは、気象条件に基づいており、気象条件は、自律車両が目的地に到達するために動作している運転経路を判定すること、運転経路に沿った気象条件を受信すること、および気象条件に基づいて運転経路に沿った1つ以上の区域がスノーチェーンを必要としていることを判定することによって判定され、スノーチェーンデバイスに命令を送信することは、自律車両が1つ以上の区域に到着すると判定されたときに行われる。
【0011】
いくつかの実施形態では、方法は、自律車両が1つ以上の区域の外側にあると判定したときに、スノーチェーンデバイスにスノーチェーンを引っ込ませる第2の命令をスノーチェーンデバイスに送信することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の判定を行うことは、スノーチェーンが必要であることを示す情報を道路上に配置された送信機から受信することによるコンピュータによる情報の受信に基づいており、スノーチェーンデバイスへの命令の送信は、情報の受信に応答して行われる。いくつかの実施形態では、第2の判定を行うことは、自律車両に配置された車輪速度センサーから自律車両の車輪の車輪速度を受信することに基づいており、スノーチェーンデバイスへの命令の送信は、自律車両の速度と車輪の車輪速度との間の差が所定の値よりも大きいとの判定に応答して行われる。
【0012】
いくつかの実施形態では、所定の値は、自律車両の速度のパーセンテージである。いくつかの実施形態では、スノーチェーンデバイスは、スノーチェーンデバイスを自律車両のタイヤに向かって下に移動させることによって展開され、スノーチェーンは、自律車両のタイヤと道路との間でスピンさせられる。いくつかの実施形態では、自律車両の位置は、自律車両に配置されたグローバルポジショニングシステム(GPS)デバイスによって提供される。
【0013】
さらに別の例示的な態様では、上記の方法は、コードを含む非一時的コンピュータ読取り可能格納媒体に具現化されるものであり、コードは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに本特許文書に記載の方法を行わせる。
【0014】
さらに別の例示的な実施形態では、上記の方法を行うように構成された、または動作可能なデバイスが開示される。さらに別の例示的な実施形態では、上記の方法を行うように構成された、または動作可能なプロセッサを備えるコンピュータを含むシステムが開示される。
【0015】
上記および他の態様およびそれらの実施は、図面、説明、および請求項により詳細に記載される。
本願は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
自律運転動作の方法であって、該方法は、
自律車両に配置されたコンピュータによって、少なくとも該自律車両が動作している位置に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されているかどうかの第1の判定を行うことと、
該自律車両を道路で運転するにはスノーチェーンが必要であるという第2の判定を行うことと、
スノーチェーンの使用が許可されていることを示す該第1の判定に応答して、かつ該第2の判定に応答して、該自律車両に配置されたスノーチェーンデバイスに命令を送信することであって、該命令は、該自律車両のタイヤにスノーチェーンを展開するように該スノーチェーンデバイスをトリガする、ことと
を含む、方法。
(項目2)
上記第1の判定は、上記自律車両が動作している上記位置を含む地域に関連付けられたスノーチェーン規制を選択することによって行われ、
該スノーチェーン規制は、スノーチェーンが複数の地域において許可されているかどうか、またはスノーチェーンが複数の地域においていつ許可されているかを示す、事前に決められたスノーチェーン規制のリストから選択される、上記項目に記載の方法。
(項目3)
上記スノーチェーン規制は、スノーチェーンの使用が許可されている日付の範囲を示し、
上記第1の判定は、上記自律車両が動作している日付が該スノーチェーンの使用が許可されている日付の範囲内であるという判定に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されていると判定することを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目4)
上記スノーチェーン規制は、スノーチェーンの使用が許可されていない日付の範囲を示し、
上記第1の判定は、上記自律車両が動作している日付がスノーチェーンの使用が許可されていない日付の範囲内であるという判定に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されていないと判定することを含み、
該スノーチェーンの使用が許可されていないとの判定に応答して、上記スノーチェーンデバイスの展開が無効化される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目5)
上記第2の判定を行うことは、上記道路上に配置された交通標識に基づき、該交通標識は、スノーチェーンが必要であることを示す言葉を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目6)
上記自律車両に配置されたカメラから該自律車両が動作して向かっている地域の画像を受信することであって、該画像が上記交通標識を含む、ことと、
該交通標識に関連付けられた該画像の一部に対して光学式文字認識を行うことによって、該画像内の該交通標識が、スノーチェーンが必要であることを示していると判定することと
をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目7)
自律車両動作のためのシステムであって、該システムは、方法を実施するように構成されたプロセッサを含むコンピュータを備えており、該方法は、
自律車両に配置されたコンピュータによって、少なくとも該自律車両が動作している位置に基づいてスノーチェーンの使用が許可されるかどうかの第1の判定を行うことと、
該自律車両を道路で運転するにはスノーチェーンが必要であるという第2の判定を行うことと、
スノーチェーンの使用が許可されていることを示す該第1の判定に応答して、かつ該第2の判定に応答して、該自律車両に配置されたスノーチェーンデバイスに命令を送信することであって、該命令は、該自律車両のタイヤにスノーチェーンを展開するように該スノーチェーンデバイスをトリガする、ことと
を含む、システム。
(項目8)
上記第2の判定を行うことは、上記道路上に配置された交通標識に基づき、該交通標識は、スノーチェーンが必要であることを示す図を含む、上記項目に記載のシステム。
(項目9)
上記第2の判定を行うことは、上記自律車両の外部に配置されたコマンドセンター内のリモートコンピューターから受信したメッセージに基づいており、該メッセージは、該自律車両を該道路で運転するにはスノーチェーンが必要であることを示している、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目10)
上記第2の判定を行うことは、上記プロセッサによって判定された道路状況に基づいており、該プロセッサは、
上記自律車両に配置された温度センサーから該自律車両が動作している環境の温度の測定値を受信することと、
該自律車両に配置されたカメラから該自律車両が運転されて向かっている地域の画像を受信することと
を行うように構成されており、
スノーチェーンが必要であるという該第2の判定は、
該温度が所定の値よりも低いという第3の判定と、
該画像における霧の存在を示す第4の判定と
に応答して行われる、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目11)
上記環境の温度は、上記道路の温度である、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目12)
上記第2の判定を行うことは、上記プロセッサによって判定された道路状況に基づいており、該プロセッサは、
上記自律車両が動作している上記位置を含む区域の風速を示す情報を受信することと、
該自律車両に配置された温度センサーから該自律車両が動作している環境の温度の測定値を受信ことと、
該自律車両に配置されたカメラから該自律車両が運転されて向かっている地域の画像を受信することと
を行うように構成されており、
スノーチェーンが必要であるという該第2の判定は、
該風速が第1の所定の値未満であるという第3の判定と、
該温度が第2の所定の値未満であるという第4の判定と、
該画像が澄んだ夜空を含むという第5の判定と
に応答して行われる、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目13)
非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体であって、該非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体に格納されたコードを有し、該コードは、プロセッサによって実行されると、該プロセッサに方法を実施させ、該方法は、
自律車両に配置されたコンピュータによって、少なくとも該自律車両が動作している位置に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されているかどうかの第1の判定を行うことと、
該自律車両を道路で運転するにはスノーチェーンが必要であるという第2の判定を行うことと、
スノーチェーンの使用が許可されていることを示す該第1の判定に応答して、かつ該第2の判定に応答して、該自律車両に配置されたスノーチェーンデバイスに命令を送信することであって、該命令は、該自律車両のタイヤにスノーチェーンを展開するように該スノーチェーンデバイスをトリガする、ことと
を含む、非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
(項目14)
上記第2の判定を行うことは、気象条件に基づいており、該気象条件は、
上記自律車両が目的地に到達するために動作している運転経路を判定すること、
該運転経路に沿った該気象条件を受信すること、および
該気象条件に基づいて該運転経路に沿った1つ以上の区域がスノーチェーンを必要としていることを判定すること
によって判定され、
スノーチェーンデバイスに上記命令を送信することは、該自律車両が該1つ以上の区域に到着すると判定されたときに行われる、上記項目に記載の非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
(項目15)
上記自律車両が上記1つ以上の区域の外側にあると判定したことに応じて、上記スノーチェーンデバイスにスノーチェーンを引っ込ませる第2の命令を該スノーチェーンデバイスに送信することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
(項目16)
上記第2の判定を行うことは、スノーチェーンが必要であることを示す情報を上記道路上に配置された送信機から受信することによる上記コンピュータによる情報の受信に基づいており、
スノーチェーンデバイスへの上記命令の送信は、該情報の該受信に応答して行われる、上記項目のいずれかに記載の非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
(項目17)
上記第2の判定を行うことは、上記自律車両に配置された車輪速度センサーから該自律車両の車輪の車輪速度を受信することに基づいており、
スノーチェーンデバイスへの上記命令の送信は、該自律車両の速度と該車輪の該車輪速度との間の差が所定の値よりも大きいとの判定に応答して行われる、上記項目のいずれかに記載の非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
(項目18)
上記所定の値は、上記自律車両の上記速度のパーセンテージである、上記項目のいずれかに記載の非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
(項目19)
上記スノーチェーンデバイスは、該スノーチェーンデバイスを上記自律車両の上記タイヤに向かって下に移動させることによって展開され、スノーチェーンは、該自律車両の該タイヤと上記道路との間でスピンさせられる、上記項目のいずれかに記載の非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
(項目20)
上記自律車両の上記位置は、該自律車両に配置されたグローバルポジショニングシステム(GPS)デバイスによって提供される、上記項目のいずれかに記載の非一時的コンピュータ読取り可能プログラム格納媒体。
(摘要)
スノーチェーンの使用が許可されているかどうかを判定し、交通標識、気象条件、および/または道路状況に基づいてスノーチェーンを展開するための技術が記載される。例示的な自律運転動作の方法は、自律車両に配置されたコンピュータによって、少なくとも自律車両が動作している位置に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されているかどうかの第1の判定を行うことと、自律車両を道路で運転するにはスノーチェーンが必要であるという第2の判定を行うことと、スノーチェーンの使用が許可されていることを示す第1の判定に応答して、かつ第2の判定に応答して、自律車両に配置されたスノーチェーンデバイスに命令を送信することであって、命令は、自律車両のタイヤにスノーチェーンを展開するようにスノーチェーンデバイスをトリガすることとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、車両内に配置された車載制御コンピュータがスノーチェーンを展開するかどうか、および/またはいつ展開するかを判定することができる、例示的な車両エコシステムのブロック図を示す。
【0017】
図2図2は、道路上で動作する自律車両が交通標識を分析してスノーチェーンを展開することができる、例示的シナリオを示す。
【0018】
図3図3は、スノーチェーン展開を判定するための流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
自動運転技術の発展は、商品を目的地へと配送するために自律的に運転することができるセミトレーラートラック(例えば、トラクタートレーラートラック、セミトラクタートレーラートラック、クラス8トラック)を発展させるに至った。セミトレーラートラックがその目的地まで運転されると、セミトレーラートラックは、その運転関連動作に影響を与え得る色々な種類の環境を経験し得る。例示的シナリオでは、セミトレーラートラックに配置された車載制御コンピュータは、セミトレーラートラックがスノーチェーンが必要であるかまたは使用されるべきである地域を通って運転されているか、または通って運転されようとしているかを判定することができる。本例示的シナリオにおいて、車載制御コンピュータは、セミトレーラートラックが位置する地域法または州法によってスノーチェーンの使用が許可されていると判定すると、セミトレーラートラックに設置されたスノーチェーンデバイスに命令を送信し、人間にスノーチェーンを設置させることなくスノーチェーンを展開することができる。従って、セミトレーラートラックは、スノーチェーンが必要な地域または使用されるべきである地域において安全に動作できる。
【0020】
車載制御コンピュータは、州法または地域法がいつスノーチェーンの使用を許可すること、および/または許可しないことを示すスノーチェーン規制を含むことができる、交通法のデータベースを格納し得る。例えば、アラスカ州のスノーチェーン規制は、セミトレーラートラックが北緯60度の南にある場合、4月15日から9月30日までスノーチェーンの展開が許可されていないことを示し得る。いくつかの実施形態では、車載制御コンピュータは、掲示されている交通標識に基づいて、いつスノーチェーンを展開するかを判定できる。いくつかの実施形態では、車載制御コンピュータは、気象条件や道路状況の判定に基づいて、いつスノーチェーンを展開するかを判定できる。いくつかの実施形態では、車載制御コンピュータは、先ずセミトレーラートラックがスノーチェーンが許可されている位置または州において動作していることを判定し、次に、掲示されている交通標識、気象条件、および/または道路状況に基づいてスノーチェーンを展開することを判定する。
【0021】
本特許文書の第I節は、自律型セミトレーラートラックなどの自律車両上またはその内部に配置されたデバイス/システムの概要を提供する。本特許文書の第II節は、車載制御コンピュータに格納され得るスノーチェーン規制に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されているかどうかを判定するために車載制御コンピュータによって用いられる技術を記載する。本特許文書の第III節は、掲示される交通標識に基づいてスノーチェーンをいつ展開するかを判定するために車載制御コンピュータによって用いられる技術を記載する。本特許文書の第IV節は、気象条件および/または道路状況を判定し、スノーチェーンを展開するべきかどうかを判定するために車載制御コンピュータによって用いられる技術を記載する。いくつかの実施形態では、気象条件および/または道路状況の判定を複数のセンサーを使用して行うことにより、スノーチェーンを展開するべきである旨を1つのセンサーからの不正確または不適切なセンサーデータが示している誤検知状態を最小限に抑え得る。以下における様々な節の例示的見出しは、開示された主題の理解を容易にするために使用されるものであり、何ら請求された主題の範囲を制限するものではない。よって、1つの例示的な節の1つ以上の特徴は、別の例示的な節の1つ以上の特徴と組み合わせることができる。
【0022】
I.自動運転エコシステム
【0023】
図1は、車両105内に配置された車載制御コンピュータ150がスノーチェーンを展開するかどうか、および/またはいつ展開するかを判定することができる、例示的な車両エコシステム100のブロック図を示す。図1に示すように、車両105は、セミトレーラートラックであり得る。車両エコシステム100は、情報/データの1つ以上のソースおよび関連サービスを生成し、かつ/または、車両105内に配置され得る車載制御コンピュータ150にそれらを配信することができるいくつかのシステムおよびコンポーネントを含む。車載制御コンピュータ150は、複数の車両サブシステム140とデータ通信することができ、それらはすべて、車両105に常駐することができる。車両サブシステムインターフェース160は、車載制御コンピュータ150と複数の車両サブシステム140との間のデータ通信を容易にするために提供される。いくつかの実施形態では、車両サブシステムインターフェース160は、コントローラエリアネットワーク(CAN)コントローラを含むことにより、車両サブシステム140内のデバイスと通信することができる。
【0024】
車両105は、車両105の動作をサポートする様々な車両サブシステムを含み得る。車両サブシステムは、車両運転サブシステム142、車両センサーサブシステム144、および/または車両制御サブシステム146を含み得る。車両運転サブシステム142、車両センサーサブシステム144、および車両制御サブシステム146のコンポーネントまたはデバイスは、例として示されている。いくつかの実施形態では、追加のコンポーネントまたはデバイスを様々なサブシステムに追加することができ、または1つ以上のコンポーネントまたはデバイスを、本特許文書に記載されるスノーチェーン展開関連の特徴に影響を与えることなく除去することができる。車両運転サブシステム142は、車両105に動力を与えられた動きを提供するように動作可能なコンポーネントを含み得る。例示的な実施形態では、車両運転サブシステム142は、エンジンまたはモーター、ホイール/タイヤ、トランスミッション、電気サブシステム、電源、およびスノーチェーンを含み得る。
【0025】
スノーチェーンデバイスは、車両105に予め設置され得る。一例示的実装では、インスタチェーン(Insta-Chain)によって提供されるスノーチェーンデバイスは、車両105の1つ以上の車軸に取り付けることができ、車両105の2つ以上のタイヤと共に使用され得る。スノーチェーン判定モジュール165がインスタチェーンスノーチェーンデバイスに展開するように命令を送ると、各インスタチェーンスノーチェーンデバイスの空気圧エアシリンダーは、インスタチェーンスノーチェーンデバイスのチェーンのセットを備えたホイールを、タイヤのほぼ中心点において車両105のタイヤの内側に対して下に移動させる。車両105のタイヤがスピンし、それがインスタチェーンスノーチェーンデバイスのホイールを回転させ、それが次いでチェーンのセットをスピンさせる。車両105が運転されるとき、各インスタチェーンスノーチェーンデバイスのスピンしているチェーンが道路とタイヤとの間に挟まれ、これにより、車両105に路上でのより良いトラクションを提供し得る。スノーチェーン展開デバイスは、インスタチェーンデバイスに関して説明されているが、任意の適切なタイプの自動アイスチェーンまたはスノーチェーン展開システムまたはデバイスが使用され得る。
【0026】
車両センサーサブシステム144は、車両105が動作している環境または車両105の状態に関する情報を感知するように構成されたいくつかのセンサーを含み得る。本特許文書でさらに説明されているように、車載制御コンピュータ150内のスノーチェーン判定モジュール165は、スノーチェーンを展開すべきかどうか、および/またはいつ展開すべきかを判定することができる。車両センサーサブシステム144は、1つ以上のカメラまたは画像キャプチャデバイス、1つ以上の温度センサー、慣性測定ユニット(IMU)、グローバルポジショニングシステム(GPS)トランシーバ、レーザー距離計/LiDARユニット、レーダーユニット、および/または無線トランシーバ(例えば、セルラー通信トランシーバ)を含み得る。車両センサーサブシステム144はまた、車両105の内部システムを監視するように構成されたセンサー(例えば、Oモニタ、燃料計、エンジンオイル温度計など)を含み得る。いくつかの実施形態では、車両センサーサブシステム144は、図1に示されるセンサーに加えて、さらなるセンサーを含み得る。
【0027】
IMUは、慣性加速度に基づいて車両105の位置および向きの変化を感知するように構成されたセンサー(例えば、加速度計およびジャイロスコープ)の任意の組み合わせを含み得る。GPSトランシーバは、車両105の地理的位置を推定するように構成された任意のセンサーであり得る。この目的のために、GPSトランシーバは、地球に対する車両105の位置に関する情報を提供するように動作可能な受信機/送信機を含み得る。レーダーユニットは、無線信号を利用して、車両105が動作している環境内の物体を感知するシステムを表し得る。いくつかの実施形態では、物体を感知することに加えて、レーダーユニットは、車両105に近接する物体の速度および進行方向を感知するようにさらに構成され得る。レーザー距離計またはLiDARユニットは、車両105がレーザーを使用して配置されている環境内の物体を感知するように構成された任意のセンサーであり得る。カメラは、車両105の環境の複数の画像をキャプチャするように構成された1つ以上のカメラを含み得る。カメラは静止画カメラまたはモーションビデオカメラであり得る。
【0028】
車両制御サブシステム146は、車両105およびそのコンポーネントの動作を制御するように構成され得る。よって、車両制御サブシステム146は、スロットルおよびギア、ブレーキユニット、ステアリングシステム、および/または自律制御ユニットなどの様々な要素を含み得る。スロットルは、例えば、エンジンの動作速度を制御し、次に、車両105の速度を制御するように構成され得る。ギアは、トランスミッションのギア選択を制御するように構成され得る。ブレーキユニットは、車両105を減速するように構成された機構の任意の組み合わせを含むことができる。ブレーキユニットは、摩擦を使用して、標準的な方法で車輪を減速させることができる。ブレーキユニットは、ブレーキがかけられたときにブレーキがロックするのを防ぐことができるアンチロックブレーキシステム(ABS)を含み得る。ステアリングシステムは、自律モードまたはドライバー制御モードで車両105の進行方向を調整するように動作可能であり得る機構の任意の組み合わせを表し得る。
【0029】
自律制御ユニットは、車両105の環境における潜在的な障害物を識別、評価、および回避するか、さもなければ迂回するように構成された制御システムを表し得る。概して、自律制御ユニットは、ドライバーなしで動作するように車両105を制御するように、または車両105を制御する際にドライバー支援を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、自律制御ユニットは、GPSトランシーバ、レーダー、LiDAR、カメラ、および/または他の車両サブシステムからのデータを組み込んで、車両105に対する運転経路または軌道を判定するように構成され得る。
【0030】
トラクションコントロールシステム(TCS)は、道路上で車両105が逸れたり、制御を失ったりするのを防ぐように構成された制御システムを表し得る。例えば、TCSは、IMUからの信号およびエンジントルク値を取得して、車両105が逸れるのを軽減するために介入して車両105の1つ以上のブレーキに命令を送るべきかどうかを判定し得る。TCSは、例えば低摩擦の路面で加速する場合などに、車両が路上で利用可能なトラクションを効果的に利用するのに役立つように設計されたアクティブな車両安全機能である。TCSを装備していない車両が氷、雪、または緩い砂利などの滑りやすい路面で加速しようとすると、車輪が滑って危険な運転状況を引き起こす可能性がある。TCSは、電子安定制御(ESC)システムとも呼ばれ得る。
【0031】
車両105の機能の多くまたはすべては、車載制御コンピュータ150によって制御することができる。車載制御コンピュータ150は、メモリ175などの非一時的コンピュータ読取り可能媒体に格納された処理命令を実行する少なくとも1つのプロセッサ170(少なくとも1つのマイクロプロセッサを含むことができる)を含み得る。車載制御コンピュータ150はまた、分散方式で車両105の個々のコンポーネントまたはサブシステムを制御するのに役立ち得る複数のコンピューティングデバイスを表し得る。いくつかの実施形態では、メモリ175は、本特許文書で説明されているようにスノーチェーン判定モジュール165について説明されたものを含む、車両105の様々な方法および/または機能を実行するためにプロセッサ170によって実行可能な処理命令(例えば、プログラムロジック)を含み得る。例として、プロセッサ170は、第II節から第IV節に記載された技術を使用してスノーチェーンデバイス(複数可)を展開すべきかどうか、および/またはいつ展開すべきかを判定するための、スノーチェーン判定モジュール165に関連付けられた動作を実行する。
【0032】
メモリ175は、追加の命令も含み得、それらには、車両運転サブシステム142、車両センサーサブシステム144、および車両制御サブシステム146のうちの1つ以上のものとのデータ送信、データ受信、相互作用、または制御を行うための命令を含む。車載制御コンピュータ150は、様々な車両サブシステム(例えば、車両運転サブシステム142、車両センサーサブシステム144、および車両制御サブシステム146)から受信した入力に基づいて、車両105の機能を制御し得る。
【0033】
II.スノーチェーン規制
【0034】
スノーチェーン判定モジュール165は、少なくとも車両105の位置に基づいて、および車載制御コンピュータ150内の交通法データベース168に予め格納されたスノーチェーン規制に基づいて、スノーチェーンを展開できるかどうかを判定することができる。交通法データベース168は、いつおよび/またはどのような条件でスノーチェーンの展開が許可されるかまたは許可されないかを示す、予め格納されたスノーチェーン規制のリストを含むことができる。例示的実装では、交通法データベース168は、以下の表1に示されるものを含むスノーチェーン規制を格納することができる。交通法データベース168に格納されたスノーチェーン規制は、概して、いつおよび/またはどのような条件で車両105に配置されたスノーチェーンデバイスの展開が許可されるか、または許可されないかを示すことができる。
【表1】
【0035】
表1は、いくつかのタイプのスノーチェーン規制が交通法データベース168に格納され得ることを示している。一部のスノーチェーン規制は、車両105の位置および/または車両105が動作している日付に基づき得る。スノーチェーン判定モジュール165は、車両105が動作している日付に基づいて、および/または車両105の特定の位置に基づいて、車両105上のスノーチェーンデバイスの展開が許可されるかどうかを判定することができる。例えば、スノーチェーン判定モジュール165が、車両105内のGPSデバイスによって提供される位置に基づいて、車両105がアラスカで動作していると判定すると、スノーチェーン判定モジュール165は、車両105が動作している日付に基づいて、および/またはアラスカにおける車両105の特定の位置に基づいて(例えば、北緯60度の北またはスターリングハイウェイ)、スノーチェーンデバイス(複数可)(例えば、インスタチェーンスノーチェーンまたはアイスチェーン)の展開が許可されているかどうかを判定することができる。別の例では、スノーチェーン判定モジュール165が、GPSデバイスから受信した車両105の位置に基づいて、車両105がデラウェアで動作していると判定すると、スノーチェーン判定モジュール165は、交通法データベース168からデラウェアのスノーチェーン規制を選択することができる。表1を使用して、スノーチェーン判定モジュール165が、車両105が10月15日から4月15日までデラウェアで動作していると判定した場合、スノーチェーン判定モジュール165は、スノーチェーンデバイスの展開が許可されていると判定することができる。
【0036】
さらに別の例では、表1を使用して、スノーチェーン判定モジュール165が、車両105が5月28日にアラスカのスターリングハイウェイにて動作していると判定すると、スノーチェーン判定モジュールは、スノーチェーンの展開が許可されていないと判定することができる。スノーチェーン判定モジュール165が、スノーチェーンデバイスの展開が許可されていないと判定するシナリオにおいて、いくつかの実施形態では、たとえドライバーが(例えば、車両105のボタンを押すことによって)スノーチェーンを展開することを示したとしても、スノーチェーン展開モジュール165は、スノーチェーンデバイスが展開されるのを防止する。
【0037】
一部のスノーチェーン規制は、位置および掲示されている交通標識に基づき得る。例えば、スノーチェーン判定モジュール165が、車両105内のGPSデバイスによって提供される位置に基づいて、車両105がカリフォルニアで動作していると判定するとき、スノーチェーン判定モジュール165は、スノーチェーンデバイスの使用が許可されていることを判定でき、そしてスノーチェーン判定モジュール165は、第III節でさらに説明されるように、交通標識に基づいてスノーチェーンデバイスを展開することを判定できる。いくつかのスノーチェーン規制は、位置のみならず気象条件および/または道路状況に基づき得る。例えば、スノーチェーン判定モジュール165が、車両105内のGPSデバイスによって提供される位置に基づいて、車両105がアイオワで動作していると判定するとき、スノーチェーン判定モジュール165は、スノーチェーンデバイス(複数可)の使用が許可されていることを判定でき、そしてスノーチェーン判定モジュール165は、第IV節でさらに説明されるように、気象条件および/または道路状況に基づいてスノーチェーンデバイスを展開することを判定できる。上記のように、実装例では、スノーチェーン判定モジュール165によって提供されるスノーチェーンデバイスを展開するための命令は、スノーチェーンデバイスが、チェーンのセットを備えるホイールを車両105の2つ以上のタイヤのそれぞれまで下に移動させること含み得る。
【0038】
III.交通標識または交通信号に基づくスノーチェーンの展開
【0039】
スノーチェーン判定モジュール165は、車両105に配置されたスノーチェーンデバイスに命令を送信して、交通標識または交通信号に基づいてスノーチェーンを展開することができる。交通標識は、車両105が動作する道路の隣に配置され得る物理的標識を含み得る。例えば、交通標識は、「チェーンが必要」という言葉を含み得る、または、チェーン付きのタイヤの図を示し得る。交通信号は、送信元から車両105に配置された無線トランシーバによって受信された情報を含み得、この情報は、スノーチェーンが必要かどうかに関する情報を提供する。
【0040】
図2は、道路上で動作する自律車両が交通標識を分析してスノーチェーンを展開することができる例示的シナリオを示している。自律車両202は、自律車両202の上部に配置され、自律車両202が運転される前方方向に向けられたカメラ204を含む。カメラ204は、自律車両202が運転して向かっている地域の画像を取得することができる。図2に示すように、カメラ204は、物理的な交通標識206を含む道路208のわきの画像を取得することができる。交通標識206は、「チェーンが必要」という言葉を含み得る、または、チェーン付きのタイヤの図を示し得る。
【0041】
カメラ204は、車載制御コンピュータ内のスノーチェーン判定モジュールに画像を送信することができる。スノーチェーン判定モジュールは、画像処理を実行して、画像に交通標識が含まれているかどうかを判定する。スノーチェーン判定モジュールが画像に交通標識が含まれていると判定した場合、スノーチェーン判定モジュールは、交通標識を構成する画像の区域またはその画像の一部に、道路208上での自律車両202の動作にスノーチェーンが必要かどうかを示す単語または図が含まれているかどうかを判定できる。例示的実装では、スノーチェーン判定モジュールは、交通標識を含む画像の一部に対して光学式文字認識を実行して、交通標識内のテキストがスノーチェーンが必要であることを示しているかどうかを判定することができる。別の例示的実装では、スノーチェーン判定モジュールは、画像処理を実行して、交通標識206がスノーチェーンが必要であることを示す図を含むかどうかを判定することができる。スノーチェーン判定モジュールは、交通標識206がスノーチェーンが必要であることを示していると判定すると、自律車両202上に配置されたスノーチェーンデバイスにスノーチェーンを展開するように命令を送ることができる。
【0042】
いくつかの他の実施形態において、スノーチェーン判定モジュールは、無線で送信され、自律車両202に配置された無線トランシーバによって受信される情報を受信することができる。情報は、スノーチェーンが必要かどうかを示し得る。例えば、スノーチェーン判定モジュールは、無線トランシーバによって受信される情報を受信することができ、ここで、その情報は、「スノーチェーンが必要」というメッセージを含む。メッセージを受信すると、スノーチェーン判定モジュールは、自律車両202上に配置されたスノーチェーンデバイスに、スノーチェーンを展開する旨の命令を送ることができる。例えば、コマンドセンター内のサーバは、自律車両202に無線で命令を送信することができ、ここで、無線トランシーバを介してスノーチェーン判定モジュールによって受信された命令は、スノーチェーン判定モジュールに、スノーチェーンを展開するための命令をスノーチェーンデバイスに送信するように命令することができる。
【0043】
IV.気象条件および/または道路状況に基づくスノーチェーンの展開
【0044】
図1において、車両105に搭載されたセンサーおよび/または無線トランシーバを使用して、車両105が動作している環境に関する情報を取得することができ、その結果、スノーチェーン判定モジュール165は、気象条件/または道路状況に基づいてスノーチェーンデバイスを展開するかどうかを判定することができる。図1に示すように、車両105は、自動運転関連の動作を可能にするための様々な測定を実行することができるいくつかのセンサーを装備し得る。例えば、車両センサーサブシステム144は、車両105に配置されたカメラ、温度センサー、無線トランシーバ(例えば、セルラートランシーバー)、レーダー、LiDARなどを含み得る。車両105はいくつかのセンサーを含み得るので、いくつかの実施形態では、スノーチェーン判定モジュール165は、複数のセンサーからのセンサーデータを使用して、気象条件および/または道路状況のためにスノーチェーンを展開する必要があるかどうかをより正確に判定することができる。本特許文書に記載される複数の技術の利点のうちの1つは、複数の搭載センサーからのセンサーデータを使用して、スノーチェーンを展開するかどうかを判定できることである。
【0045】
車載制御コンピュータ150は、GPSトランシーバによって提供され得る開始位置および車載制御コンピュータ150に関連付けられたディスプレイを介して提供され得る目的地に基づいて、車両105の運転経路またはルートを判定することができるナビゲーションモジュール172を含む。いくつかの実施形態では、ナビゲーションモジュール172は、車両105の外部に配置されたサーバ(例えば、コマンドセンター内のサーバ)から運転経路またはルートを受信することができる。ナビゲーションモジュール172は、車両105が動作している間に運転経路を動的に更新するようにさらに構成され得る。いくつかの実施形態では、ナビゲーションモジュール172は、車両105の運転経路を判定するために、GPSトランシーバからのデータおよび車載制御コンピュータ150に格納された1つ以上の所定のマップを組み込むように構成され得る。
【0046】
スノーチェーン判定モジュール165は、無線トランシーバを介して気象サーバにリクエストを送信することにより、運転経路に沿った気象条件を判定することができる。スノーチェーン判定モジュール165は、ナビゲーションモジュール172から、車両105の開始位置と車両105が運転される目的地とを取得することができる。スノーチェーン判定モジュール165は、気象サーバに送信されるリクエストに開始位置および目的地を含めることができる。スノーチェーン判定モジュール165は、気象サーバから無線トランシーバを介して、運転経路に沿った気象情報を受信することができる。気象情報は、運転経路に沿った1つ以上の区域に降雪があったか、または車両105がその目的地まで運転されるときに降雪を経験するかどうかを示し得る。運転経路に沿った1つ以上の区域は、GPS位置または他の識別子に関連付けられ得、該GPS位置または他の識別子は、スノーチェーン判定モジュール165がいつスノーチェーンを展開し、いつスノーチェーンを引っ込めるかを判定することを可能にすることができる。従って、スノーチェーン判定モジュール165が、車両105が1つ以上の区域に到着すると判定すると、スノーチェーン判定モジュール165は、スノーチェーンを展開するようにスノーチェーンデバイスに命令を送信し、そして、スノーチェーン判定モジュール165が、車両105が1つ以上の区域を出発する(またはその外側にある)と判定すると、スノーチェーン判定モジュール165は、スノーチェーンを引っ込めるようにスノーチェーンデバイスに命令を送信する。
【0047】
いくつかの実施形態において、無線トランシーバは、車両105が運転経路に沿って運転されるときにスノーチェーンが必要かどうかについての情報を受信し得る。例えば、気象サービスまたは政府機関(州の運輸部門など)が運営し、道路上に配置されたローカル送信機は、スノーチェーンが必要な場合に車両に警告できる情報を送信し得る。無線トランシーバは、車両105がローカル送信機の無線範囲内にあるときに、ローカル送信機からコンテンツを受信し得る。例示的シナリオでは、車両が道路の10マイルの区分に沿って移動する場合、道路ではスノーチェーンが必要になり得る。この例示的シナリオでは、10マイルの区分の開始時に道路上に配置されたローカル送信機は、スノーチェーンが必要であることを示す情報を送信し得る。この例示的シナリオでは、スノーチェーン判定モジュール165は、車両105が10マイル区分に到着するとローカル送信機から情報を受信し、スノーチェーンを展開するようにスノーチェーンデバイスに命令を送信し得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、スノーチェーン判定モジュール165は、車両105に搭載されたセンサーによって提供される測定値に基づいて、いつスノーチェーンを展開するかを判定することができる。例えば、スノーチェーン判定モジュール165は、温度センサーによって提供される測定値およびカメラによって提供される画像を使用して、霜または氷が道路上に存在し得るかどうかを判定し得、その結果、スノーチェーン判定モジュール165はスノーチェーンデバイスを展開できるようになる。温度センサーは、車両105が動作している環境の温度を測定するために車両105上に配置され得るか、または温度センサーは、車両の下に配置され、車両105が運転される道路の温度を測定することができる。スノーチェーン判定モジュール165は、温度センサーから測定された温度を受け取り得、車両105に搭載されたカメラによって提供される画像に対して画像処理を実行することができる。スノーチェーン判定モジュール165が、温度が所定の値(例えば、華氏34度)未満であると判定し、そしてスノーチェーン判定モジュール165が画像内に霧が存在すると判定すると、スノーチェーン判定モジュール165は、氷が道路に存在し得ると判定し、スノーチェーンを展開するようにスノーチェーンデバイスに命令を送信できる。
【0049】
風速が時速10マイル未満の寒くて澄んだ夜には、霜が発生し得る。スノーチェーン判定モジュール165は、無線トランシーバから、車両105が動作している地域の風速情報を受信することができる。風速情報は気象サービスによって提供され得る。スノーチェーン判定モジュール165はまた、車両105の温度センサーから温度情報を受信し、車両105のカメラから画像を受信し得る。スノーチェーン判定モジュール165が、車両105が動作している地域の風速が所定の値(例えば、時速10マイル)よりも低く、温度が所定の値(例えば、華氏34度)よりも低いと判定し、カメラからの画像が澄んだ夜空を示していると判定した場合、スノーチェーン判定モジュール165は、スノーチェーンを展開するようにスノーチェーンデバイスに命令を送ることができる。例示的実装では、スノーチェーン判定モジュール165は、雲のない暗い(または黒い)空の判定に応じて、画像が澄んだ夜空を示していると判定する。
【0050】
車両105に配置された他のセンサーからの情報もまた、スノーチェーン判定モジュール165がスノーチェーンデバイスを展開するかどうかを判定するのを支援し得る。いくつかの実施形態では、スノーチェーン判定モジュール165は、車両105に配置された車輪速度センサーから情報を受信して、車輪が回転している速度を用いて車両105の速度を判定し得る。スノーチェーン判定モジュール165が、車両の速度とホイールの速度との間の差が所定の値よりも大きい(例えば、時速2マイルを超える、または車両の速度の2%を超える)と判定すると、スノーチェーン判定モジュール165は、タイヤと道路との間にスリップが発生していると判定することができる。ホイールがスリップしていると判定すると、スノーチェーン判定モジュールは、スノーチェーンを展開するようにスノーチェーンデバイスに命令を送信することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、スノーチェーン判定モジュール165は、車両105内のセンサーから受信したデータを分析することによって、展開されたスノーチェーンデバイスが適切に機能しているかどうかを判定することができる。このような技術は、自律車両または自律車両内のドライバーが、スノーチェーンデバイスが実際には正常に動いていないかもしれないのに正常に動いているという誤った認識で動作を行うことはないという点で有利であることができる。したがって、いくつかの実施形態では、スノーチェーン判定モジュール165は、車両105(例えば、車軸上)に配置された振動センサーから情報を受信することができ、故にスノーチェーン判定モジュール165は、タイヤが受ける振動の程度に関する情報を取得することができる。スノーチェーンデバイスが展開された後、スノーチェーン判定モジュールが、振動量が、スノーチェーンデバイスが展開されていない状態で予め測定された平均振動量よりも大きいと判定した場合、スノーチェーン判定モジュール165は、スノーチェーンが適切に動作していると判定することができる。これは、スノーチェーンに関する任意の問題をドライバーに通知できるという有利な特徴であるが、それは、本特許文書に記載されている自動スノーチェーンデバイスは、ドライバーが手動でスノーチェーンを取り付けなくても動作できるが故である。
【0052】
いくつかの実施形態では、スノーチェーンデバイスが展開された後、スノーチェーン判定モジュールは、振動量が、スノーチェーンデバイスが展開されていない状態で予め測定された平均振動量よりも少ないと判定することができ、次いで、スノーチェーン判定モジュール165は、車載制御コンピュータのディスプレイに表示される誤動作メッセージを送信して、スノーチェーンが誤動作した可能性があることをドライバーに示すことができる。いくつかの実施形態では、複数のタイヤの近くに複数の振動センサーが使用され得ることにより、個々のタイヤからの振動が測定され、任意の誤動作メッセージによって、誤動作した可能性のある特定のタイヤのスノーチェーンを特定できる。
【0053】
図3は、スノーチェーン展開を判定するための流れ図を示す。動作302は、自律車両に配置されたコンピュータによって、少なくとも自律車両が動作している位置に基づいてスノーチェーンの使用が許可されるかどうかの第1の判定を行うことを含む。動作304は、自律車両を道路で運転するためにはスノーチェーンが必要であるという第2の判定を行うことを含む。動作306は、スノーチェーンの使用が許可されていることを示す第1の判定に応答して、かつ第2の判定に応答して、自律車両に配置されたスノーチェーンデバイスに命令を送信することを含み、ここで、命令は、自律車両のタイヤにスノーチェーンを展開するようにスノーチェーンデバイスをトリガする。
【0054】
以下の特徴は、任意の合理的な組み合わせでの自動スノーチェーン展開のための方法、システム、および装置に存在し得る。いくつかの実施形態では、第1の判定は、自律車両が動作している位置を含む地域に関連付けられたスノーチェーン規制を選択することによって行われ、スノーチェーン規制は、スノーチェーンが複数の地域において許可されているかどうか、または複数の地域においていつ許可されているかを示す、事前に決められたスノーチェーン規制のリストから選択される。スノーチェーン規制は、スノーチェーンの使用が許可されている日付の範囲を示し得、第1の判定は、自律車両が動作している日付がスノーチェーンの使用が許可されている日付の範囲内であるという判定に基づいて、スノーチェーンの使用が許可されていると判定することを含み得る。あるいは、またはさらに、スノーチェーン規制は、スノーチェーンの使用が許可されていない日付の範囲を示し得る。そのようなスノーチェーン規制が採用されるとき、第1の判定は、自律車両が動作している日付とスノーチェーンの使用が許可されていない日付の範囲との間の重複に基づいてスノーチェーンの使用が許可されていないと判定することを含み得る。スノーチェーンの使用が許可されていないとの判定に応答して、スノーチェーンデバイスの展開が無効化され得る。スノーチェーンの使用が許可されている日付範囲外の期間に自律車両が動作しているとき、スノーチェーンデバイスによるスノーチェーンの展開が防止または無効化され得る。
【0055】
第2の判定を行うことは、道路上に配置された交通標識に基づき得、ここで、交通標識は、スノーチェーンが必要であることを示す言葉を含む。いくつかの実施形態では、この方法はまた、自律車両に配置されたカメラから自律車両が動作して向かっている地域の画像を受信することを含み得る。画像が交通標識を含むそのような実施形態では、画像内の交通標識がスノーチェーンが必要であることを示していると判定することは、交通標識に関連付けられた画像の一部に対する光学式文字認識によって行われ得る。
【0056】
あるいは、またはさらに、第2の判定を行うことは、道路に配置された交通標識に基づき得る。そのような第2の判定を行うことにおいて、交通標識は、スノーチェーンが必要であることを示す図を含むことができる。第2の判定を行うことは、自律車両の外部にあるコマンドセンターのリモートコンピューターから受信したメッセージに基づき得、ここで、メッセージは、自律車両をその道路で運転するにはスノーチェーンが必要であることを示している。
【0057】
第2の判定を行うことは、いくつかの実施形態における道路状況に基づき得る。自律車両に配置された温度センサーから自律車両が動作している環境の温度測定値を受信することにより、道路状況が判定され得る。自律車両に配置されたカメラから自律車両が運転されて向かっている地域の画像を受信することによっても、道路状況が判定され得る。そのような方法において、スノーチェーンが必要であるという第2の判定(すなわち、アクティブなスノーチェーン要件があるということ)は、少なくとも2つのさらなる判定に応答して行われ得る。その2つのさらなる判定は、温度が所定の値よりも低いという第3の判定と、自律車両が運転されて向かっている地域の画像キャプチャにおける霧の存在を示す第4の判定とを含むことができる。環境の温度は、道路の温度であり得る。
【0058】
第2の判定を行うことは、区域の風速を示す情報を受信することによって判定される道路状況に基づくことができる。区域は、自律車両が動作している位置を含むことができる。第2の判定はまた、自律車両が動作している環境の温度の測定値を、自律車両に配置された温度センサーから受信することを含むことができる。あるいは、またはさらに、第2の判定は、自律車両に配置されたカメラから自律車両が運転されて向かっている地域の画像を受信することを含むことができる。場合によっては、スノーチェーンが必要であるという第2の判定は、他の判定に応答して行われ得る。他の判定は、風速が第1の所定の値未満であるという第3の判定と、温度が第2の所定の値未満であるという第4の判定と、および画像が澄んだ夜空を含むという第5の判定とを含むことができる。
【0059】
第2の判定を行うことは、自律車両が目的地に到達するために動作している運転経路を判定することによって判定される気象条件に基づくことができる。方法はまた、運転経路に沿った気象条件を受信すること、ならびに気象条件に基づいて運転経路に沿った1つ以上の区域がスノーチェーンを必要としていることを判定することを含むことができる。場合によっては、自律車両が運転経路に沿った1つ以上の区域に到着すると判定されたときに、スノーチェーンデバイスに命令が送信される。
【0060】
方法はまた、自律車両が1つ以上の区域の外側にあると判定したことに応じて、スノーチェーンデバイスにスノーチェーンを引っ込ませる第2の命令をスノーチェーンデバイスに送信することを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の判定を行うことは、コンピュータによる情報の受信に基づき得る。コンピュータは、道路上に配置された送信機から情報を受信し得る。情報は、スノーチェーンが必要であることを示し得る。スノーチェーンデバイスへの命令の送信は、情報の受信に応答して行われ得る。さらに、またはあるいは、第2の判定を行うことは、自律車両に配置された車輪速度センサーから自律車両の車輪の車輪速度を受信することに基づき得る。スノーチェーンデバイスへの命令の送信は、自律車両の速度と該車両の車輪の車輪速度(すなわち、回転速度)との間の差が所定の値よりも大きいとの判定に応答して行われ得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、所定の値は、自律車両の速度のパーセンテージであり得る。さらに、またはあるいは、スノーチェーンデバイスは、スノーチェーンデバイスを自律車両のタイヤに向かって下に移動させることによって展開され得る。そのような実施形態では、スノーチェーンは、自律車両のタイヤと道路との間でスピンするか、またはスピンをかけられ得る。いくつかの実施形態では、自律車両の位置は、自律車両に配置されたグローバルポジショニングシステム(GPS)デバイスによって提供され得る。
【0062】
本特許文書において、「例示的」という用語は、「~の例」を意味するために用いられ、特に明記されない限り、理想的または好ましい実施形態を意味するものではない。本特許文書において、「セミトレーラートラック」という用語は、スノーチェーン展開技術の特徴を説明するために用いられる。しかし、説明されているスノーチェーン展開技術は、他の種類の車両にも適用できる。
【0063】
本特許文書に記載の実施形態のいくつかは、方法またはプロセスの一般的な文脈で説明され、該方法またはプロセスは、ネットワーク環境内のコンピュータによって実行される、プログラムコードなどのコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータ読取り可能媒体に具現化される、コンピュータプログラム製品によって一実施形態で実施され得る。コンピュータ読取り可能媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)などを含むがこれらに限定されない、リムーバブルおよび非リムーバブルストレージデバイスを含み得る。故に、コンピュータ読取り可能媒体は、非一時的格納媒体を含むことができる。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを行ったり、特定の抽象データ型を実装したりするルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み得る。コンピュータまたはプロセッサで実行可能な命令、関連付けられたデータ構造、およびプログラムモジュールは、本明細書で開示される方法のステップを実行するためのプログラムコードの例を表す。そのような実行可能命令または関連付けられたデータ構造の特定のシーケンスは、そのようなステップまたはプロセスで説明される機能を実装するための対応する行為の例を表す。
【0064】
開示された実施形態のいくつかは、ハードウェア回路、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを使用するデバイスまたはモジュールとして実装することができる。例えば、ハードウェア回路の実装は、例えば、プリント回路基板の一部として統合される個別のアナログおよび/またはデジタルコンポーネントを含むことができる。あるいは、またはさらに、開示されたコンポーネントまたはモジュールは、特定用途向け集積回路(ASIC)および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)デバイスとして実装することができる。いくつかの実装は、追加的または代替的に、本出願の開示された機能に関連付けられたデジタル信号処理の運用上のニーズに最適化されたアーキテクチャを備えた特殊なマイクロプロセッサである、デジタル信号プロセッサ(DSP)を含み得る。同様に、各モジュール内のさまざまなコンポーネントまたはサブコンポーネントは、ソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェアにおいて実装され得る。モジュールおよび/またはモジュール内のコンポーネント間の接続は、適切なプロトコルを使用するインターネット、有線、または無線ネットワークを介した通信を含むがこれらに限定されない、当技術分野で知られている接続方法および媒体のいずれか1つを使用して提供され得る。
【0065】
本明細書は、多くの詳細を含むが、これらは、請求される発明の範囲または請求され得るものの限定として解釈されるべきではなく、むしろ特定の実施形態に固有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈で本明細書に記載されている特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて実施することができる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴はまた、複数の実施形態で別々に、または任意の適切なサブコンビネーションにおいて実装することができる。更に、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上で説明され、最初にそのように請求されたとしても、請求された組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わせから摘出されることができ、請求された組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形に向けられ得る。同様に、動作は特定の順序で図面に描かれているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作を示されている特定の順序または連続順序で行うこと、または示されているすべての動作を行うことを要求するものとして理解されるべきではない。
【0066】
少数の実装および例のみが説明されており、他の実装、拡張、および変形は、本開示で説明および図示されていることに基づいて行うことができる。
図1
図2
図3