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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036038
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】位置を検出するためのセンサー
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/30 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
G01B7/30 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021132831
(22)【出願日】2021-08-17
(31)【優先権主張番号】10 2020 121 895.8
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】301042963
【氏名又は名称】ボーンズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】BOURNS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1200 COLUMBIA AVENUE,RIVERSIDE,CALIFORNIA 92507,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー ピーター
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA36
2F063BA11
2F063BC04
2F063BD16
2F063CA09
2F063DA01
2F063DA05
2F063EA01
2F063KA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通路方向に延びる通路上の位置を最小の可能な測定誤差で出力するセンサーを提供する。
【解決手段】センサー9は、トランスミッタ素子16と、測定トランスデューサ18と、評価装置21とを含み、トランスミッタ素子は、少なくとも1つの中心に配置された磁石(39)と、縁部に配置された2つの磁石(37)とを有し、磁石(37,39)の磁極(35,36)は、通路方向(24)に対して横方向(22)に整列され、通路方向に変化するトランスミッタ17によって生成される磁界を発するように設定され、トランスミッタ素子及び測定トランスデューサは、通路方向に互いに対して移動可能であるように配置され、測定信号20に基づいて、測定トランスデューサとトランスミッタ素子との間の相対位置に依存するセンサー信号(19)を出力するように設置され、中心に配置された磁石は、縁部に配置された磁石よりも大きな磁束を励起するように配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路方向(24)に延びる通路上の位置を検出するためのセンサー(9)であって、 トランスミッタ素子(16)と、測定トランスデューサ(18)と、評価装置(21)とを含み、
前記トランスミッタ素子(16)は、少なくとも1つの中心に配置された磁石(39)と、通路方向(24)に見て中心に配置された磁石(39)の前後の縁部に配置された2つの磁石(37)とを有し、磁石(37、39)の磁極(35、36)は、通路方向(24)に対して横方向(22)に整列され、通路方向(24)に変化するトランスミッタ(17)によって生成される磁界を発するように設置され、
前記測定トランスデューサ(18)は、前記測定トランスデューサ(18)に到達するトランスミッタ(17)によって生成される磁界に依存する測定信号(20)を出力するように配置され、前記トランスミッタ素子(16)及び前記測定トランスデューサ(18)は、前記通路方向(24)に互いに対して移動可能であるように配置され、
前記評価装置(21)は、前記測定信号(20)に基づいて、前記測定トランスデューサ(18)と前記トランスミッタ素子(16)との間の相対位置に依存するセンサー信号(19)を出力するように設置され、
前記通路方向(24)に見て、前記中心に配置された磁石(39)は、前記縁部に配置された磁石(37)よりも大きな磁束を励起するように配置される、ことを特徴とするセンサー(9)。
【請求項2】
より大きな磁束を励起するための中心に配置された磁石(39)は、縁部に配置された磁石(37)のそれぞれよりも、30%~60%、好ましくは40%~50%、特に好ましくは44%大きい、ことを特徴とする請求項1に記載のセンサー(9)。
【請求項3】
通路方向(24)に見て中心に配置された磁石(39)の前後に1つの遷移磁石(38)がトランスミッタ素子(16)に配置され、その後に、通路方向(24)に見て縁部に配置された磁石(37)が続く、ことを特徴とする先行請求項の1つに記載のセンサー(9)。
【請求項4】
前記遷移磁石(38)は、中心に配置された磁石(39)よりも小さいか等しく、且つ縁部に配置された磁石(37)よりも大きい、ことを特徴とする請求項3に記載のセンサー(9)。
【請求項5】
通路方向(24)に見て位置を検出するための測定範囲は、遷移磁石(38)の間にある、ことを特徴とする請求項3又は4に記載のセンサー(9)。
【請求項6】
更なる測定トランスデューサ(18’)を含み、前記更なる測定トランスデューサ(18’)は、通路方向(24)に見て、前記測定トランスデューサ(18)の前又は後に配置され、且つ前記測定トランスデューサに到達するトランスミッタ(17)によって生成された磁界に依存する更なる測定信号を出力するように設置され、前記トランスミッタ素子(16)及び前記更なる測定トランスデューサ(18’)は、前記通路方向(24)に互いに対して移動できるように配置され、前記評価装置(21)は、2つの測定信号(20)の間の差に基づいて前記センサー信号(19)を出力するように設置される、ことを特徴とする先行請求項の1つに記載のセンサー(9)。
【請求項7】
前記縁部に配置された前記磁石(37)の1つは、少なくとも部分的に、位置を検出するための測定範囲にある、ことを特徴とする請求項6に記載のセンサー(9)。
【請求項8】
前記縁部に配置された前述の磁石(37)及びその隣接する遷移磁石(38)は、測定範囲にある、ことを特徴とする請求項7に記載のセンサー(9)。
【請求項9】
前記通路方向(24)は接線方向であるため、検出される位置は角度位置である、ことを特徴とする先行請求項の1つに記載のセンサー(9)。
【請求項10】
駆動方向に移動可能なシャシー(5)と、
前記駆動方向に見て前記シャシー(5)を前でサポートする2つの前輪(3)と、
前記駆動方向に見て前記シャシー(5)を後でサポートする2つの後輪(4)と、
前記前輪(3)を旋回させるために回転軸(8)の周りに操舵シャフト(7、11)を回転させるための操舵輪(6)と
前記操舵輪(6)に面する前記操舵シャフトの部分(7)と前記前輪に面する前記操舵シャフトの部分(11)との間の相対位置を検出するための先行請求項の1つに記載のセンサー(9)と、
検出された相対位置に応じて前記前輪(3)の旋回を調整するためのモータ(15)と、を含むことを特徴とする車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通路方向に延びる通路上の位置を検出するためのセンサーと、そのセンサーを備えた車両に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
通路方向に延びる通路上の位置を検出するためのセンサーを指定することが本発明のタスクであり、このセンサーは、検出される位置を最小の可能な測定誤差で出力する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
このタスクは、独立した請求項の特徴によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0004】
本発明の一態様によれば、通路方向に延びる通路上の位置を検出するためのセンサーは、トランスミッタ素子と、測定トランスデューサと、評価装置とを含む。前記トランスミッタ素子は、少なくとも1つの中心に配置された磁石と、通路方向に見て中心に配置された磁石の前後の縁部に配置された2つの磁石とを有する。磁石の磁極は、通路方向に対して横方向に整列され、通路方向に変化するトランスミッタによって生成される磁界を発するように設置される。前記測定トランスデューサは、前記測定トランスデューサに到達するトランスミッタによって生成される磁界に依存する測定信号を発するように設置される。前記トランスミッタ素子及び前記測定トランスデューサは、前記通路方向に互いに対して移動できるように配置される。前記評価装置は、前記測定信号に基づいて、前記測定トランスデューサと前記トランスミッタ素子との間の相対位置に依存するセンサー信号を出力するように配置される。中心に配置された磁石は、前記通路方向に見て、前記縁部に配置された磁石よりも大きな磁束を励起するように配置される。
【0005】
指定されたセンサーは、トランスミッタ素子が測定トランスデューサに対して移動するときに測定トランスデューサに到達する磁界のフィールドベクトルが横軸を中心に回転するというアイデア、及び、測定トランスデューサに到達するフィールドベクトルの向きが測定トランスデューサに対するトランスミッタ素子の相対位置、従って検出される位置の決定に適したメジャーであるというアイデアに基づくものである。しかしながら、フィールドベクトルの大きさは、通路上で見ると一定ではない。これらのフィールドベクトルの変動は、最終的に検出される位置の測定誤差につながる。
【0006】
フィールドベクトルの大きさを通路上でできるだけ一定に保つために、できるだけ多くの短い磁極を通路上で前後に並ぶように配置することができる。しかしながら、測定中、通路方向に見てトランスミッタ素子の中央に配置された磁極が、通路方向に見てトランスミッタ素子の端部に配置された磁極よりも長い場合、フィールドベクトルの大きさは、通路上でより一定に保つことができることがわかる。
【0007】
従って、指定されたセンサーは、1つの通路方向に延びる通路上の位置を小さな測定誤差で出力する。フィールドベクトルをできるだけ一定に保つために多数の短距離磁極を配置する必要があるトランスミッタ素子と比較して、指定されたセンサーは磁極を大幅に少なくするため、より安価に、より少ない必要な設置スペースで製造することもできる。
【0008】
指定されたセンサーの実施形態では、より大きな磁束を励起するための中心に配置された磁石は、縁部に配置された各磁石よりも、30%~60%、好ましくは40%~50%、特に好ましくは44%大きい。縁部に配置された磁石が通路方向に短すぎると、それらの効果が小さすぎる。それらが長すぎる場合、上述したように、それらの効果は、可能な限り一定のフィールドベクトルを達成できない。所与の構成では、中心に配置された磁石と相互作用する、縁部に配置された磁石の効果は、可能な限り一定のフィールドベクトルを達成するのに最適である。
【0009】
指定されたセンサーの更なる実施形態では、通路方向に見て、中心に配置された磁石の前後に1つの遷移磁石がトランスミッタ素子に配置され、その後に、通路方向に見て縁部に配置された磁石が続く。中心に配置された磁石と相互作用して、遷移磁石は通路を符号化し、通路を介して検出可能な位置よりも高い分解能を提供する。
【0010】
指定されたセンサーの特定の実施形態では、遷移磁石は、中心に配置された磁石よりも小さいか等しいが、縁部に配置された磁石よりも大きい。このようにして、通路上で可能な限り一定のフィールド強度を得るという上記の効果が達成されることが保証される。
【0011】
指定されたセンサーの好ましい実施形態では、通路方向に見て位置を検出するための測定範囲は、遷移磁石の間にある。この実施形態は、フィールド強度ベクトルの大きさが通路方向に見られるトランスミッタ素子の縁部に向かって常に大きく変化するというアイデアに基づいたものである。フィールド強度ベクトルの可能な限り高い恒常性は、主に、通路方向に見られるトランスミッタ素子の中心に向かって達成される。このため、トランスミッタ素子の中心は、指定されたセンサーの後にあるアイデアを利用するのに特に有利な位置である。
【0012】
別の実施形態では、指定されたセンサーは、更なる測定トランスデューサを含む。前記更なる測定トランスデューサは、通路方向に見て、前記測定トランスデューサの前又は後に配置され、且つ前記測定トランスデューサに到達するトランスミッタによって生成された磁界に依存する更なる測定信号を出力するように設置される。前記トランスミッタ素子及び前記更なる測定トランスデューサは、前記通路方向に互いに対して移動できるように配置される。前記評価装置は、2つの測定信号の間の差に基づいて前記センサー信号を出力するように設置される。このようにして、干渉平均値を測定信号からろ過することができ、位置検出の誤差をさらに低減することができる。
【0013】
指定されたセンサーの特に好ましい実施形態では、縁部に配置された磁石の1つは、少なくとも部分的に位置を検出するための測定範囲にある。テストは、この範囲において、前述の差分測定と組み合わせて、指定されたセンサーの誤差を再び大幅に低減できることを示している。
【0014】
指定されたセンサーのまた別の実施形態では、通路方向は接線方向であるので、検出される位置は角度位置である。
【0015】
本発明の別の態様によれば、車両は、駆動方向に移動可能なシャシーと、前記駆動方向に見て前記シャシーを前でサポートする2つの前輪と、前記駆動方向に見て前記シャシーを後でサポートする2つの後輪と、前記前輪を旋回させるために回転軸の周りに操舵シャフトを回転させるための操舵輪と、前記操舵シャフトの前記操舵輪に面する部分と前記操舵シャフトの前記前輪に面する部分との間の相対位置を検出するための前記センサーの1つと、検出された相対位置に応じて前記前輪の旋回を調整するためのモータと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の上述の特性、特徴及び利点、ならびにそれらが達成される方法は、図面に関連してより詳細に説明される実施形態の以下の説明に関連して、より明確になるであろう。
図1】操舵システムを備えた車両の概略斜視図である。
図2図1からの操舵システム用のトルクセンサーとしての適用における、位置を検出するためのセンサーのバージョンの概略図である。
図3図1からの操舵システム用のトルクセンサーの部分的な構成の概略図である。
図4図2と3のトルクセンサー用の代替可能なトランスミッタ素子のスケッチである。
図5図2と3のトルクセンサー用の更に代替可能なトランスミッタ素子のスケッチである。
図6図2と3のトルクセンサー用のまた更に代替可能なトランスミッタ素子のスケッチである。
図7図3によるトルクセンサーにおけるトランスミッタ素子の測定誤差曲線の図を示す。
図8図3によるトルクセンサーの実施形態のスケッチである。
図9図3によるトルクセンサーに図6に従って使用されるトランスミッタ素子の測定誤差曲線の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面において、同じ技術的要素には同じ参照符号が付されており、一度しか記載されていない。図面は純粋に概略的なものであり、特に、実際の幾何学的な比率を反映していない。
【0018】
操舵システム2を含む車両1の概略斜視図である図1を参照されたい。
【0019】
本実施形態の例では、車両1は、2つの前輪3と2つの後輪4によってサポートされるシャシー5を含む。前輪3は、操舵システム2によって旋回することができるので、車両1はカーブで駆動することができる。
【0020】
操舵システム2は操舵輪6を含む。操舵輪6は、第1操舵シャフト7に装着され、次に第1操舵シャフト7は、回転軸8の周りに枢動可能に装着される。第1操舵シャフト7は、ここでは角度位置の形態の位置を検出するためにセンサー9に案内され、さらに指定されていない方法でトーション要素10に接続される。第2操舵シャフト11は、回転軸8上の第1操舵シャフト7の反対側の前記トーション要素10に接続され、操舵ギア12で終わる。操舵輪6が操舵トルク13の形式のトルクで旋回すると、操舵トルク13は、それに従って、操舵シャフト7と11を介して操舵ギア12に伝達され、操舵ギア12は、それに応じて車輪角14を有するカーブで前輪3を操舵する。
【0021】
操舵プロセスは、旋回中の第2操舵シャフト11を支援する補助モータ15によってサポートされる。この目的のために、操舵トルク13は、センサー9によって検出された第1操舵シャフト7と第2操舵シャフト11との間の相対角度位置から導出される。次に、補助モータ15は、とりわけ、検出された操舵トルク13に従って、第2操舵シャフト11を操舵する。
【0022】
上記の角度位置、従って操舵トルク13を検出するために、センサー9は、第1操舵シャフト7に接続されて磁界17を誘導する磁気トランスミッタ素子16を含む。センサー9は、第2操舵シャフト11に接続された測定トランスデューサ18をさらに含み、測定トランスデューサ18は、第2操舵シャフト11に対する第1操舵シャフト7、従って磁気トランスミッタ素子16の相対角度位置の関数として、磁気トランスミッタ素子16から磁界17を受信し、受信した磁界に依存する測定信号20を評価装置21に転送する。よって、測定信号20は、情報として検出される角度位置を担う。評価装置21は、測定信号20に基づいて2つの操舵シャフト7と11の相互の相対角度位置を決定し、これに依存する、従ってトーション要素10の弾力により操舵トルク13にも依存するセンサー信号19を出力する。よって、センサー信号19は、検出される操舵トルク13に直接依存するので、補助モータ15は、 第2操舵シャフト11を旋回させるようにこの情報を直接処理することができる。
【0023】
センサー9のバージョンを示す図2を参照されたい。
【0024】
センサー9の説明では、軸方向22、半径方向23、及び円周方向24に跨る円柱座標系内の空間が想定されている。軸方向22は、回転軸8の方向に揃えられ、円周方向24は、回転軸8を中心に円周方向に揃えられる。半径方向23は、回転軸8に対して半径方向に延びる。
【0025】
この円柱座標系では、センサー9は、第1操舵シャフト7のフォースフィット受けのための回転軸8の周りに延びる第1軸受けブシュ25、第2操舵シャフト11のフォースフィット受けのための第2軸受けブシュ26を含む。
【0026】
この場合、第1軸受けブシュ25は、 例えば接着剤によって磁界トランスミッタ素子16が取り付けられる保持部材27を有する。このようにして、磁界トランスミッタ素子16は、第1操舵シャフト7が第1軸受けブシュ25に押し込まれたときに、第1操舵シャフト7上に静止して保持される。
【0027】
キャリア28が、ここではフランジの形で、第2軸受けブシュ26上に形成される。プリント回路基板ホルダ30が、軸方向22に見て反対側の浮動軸受素子31上にサポートされるピン29によってキャリア28上に保持される。プリント回路基板の形態の評価装置21が、プリント回路基板ホルダ30に収容され、次に、測定トランスデューサ18がそれに、例えばはんだ付けによって電気的及び機械的に接続される。測定トランスデューサ18からの測定信号20は、電子部品32によって評価装置21で処理され、図2ではそれ以上見えないインタフェースを介してセンサー信号19として補助モータ15に転送される。
【0028】
センサー9の動作中に第1操舵シャフト7が回転し、回転がトーション要素10を介して第2操舵シャフト11に伝達されると、フォースフィットによって第1操舵シャフト7に保持される第1軸受けブシュ25は、磁界 トランスミッタ素子16とともに回転し、第2操舵シャフト11に保持される第2軸受けブシュ26は、測定トランスデューサ18とともに回転する。第2操舵シャフト11の慣性及びトーション要素10の弾性により、第1操舵シャフト7は、第1操舵シャフト7が旋回するときに、第2操舵シャフト11に対して捻じれる。その結果、磁界 トランスミッタ素子16も通路方向として円周方向24に測定トランスデューサ18 に関して回転する。
【0029】
磁界トランスミッタ素子16の磁界17は、円周方向24に変化する。従って、磁界 トランスミッタ素子16が測定トランスデューサ18に対して回転すると、測定トランスデューサ18に到達する磁界17が変化する。測定トランスデューサ18に対する磁界トランスミッタ素子16の回転、従って円周方向24を走る通路上の センサー9によって検出される位置は、トーション要素10の弾性により操舵トルク13の大きさに依存するため、測定トランスデューサ18に到達する磁界17、測定信号20、及び最後にセンサー信号19も、操舵トルク13の大きさに依存する。
【0030】
磁界トランスミッタ素子16は、半径方向リング間隔33で回転軸8を中心に円周方向に案内される磁気リングセグメントの形態で設計される。測定トランスデューサ18はまた、半径方向リング距離33が回転軸8からの距離にあるように配置されるので、磁界トランスミッタ素子16と測定トランスデューサ18は半径方向に重なる。図2では、半径方向23の延長におけるこれらの素子の中心は、測定トランスデューサ18と磁界 トランスミッタ素子16の半径方向リング距離33を決定するための基準点として選択された。半径方向の重なりに加えて、磁界トランスミッタ素子16は、測定トランスデューサ18から軸方向測定距離34で配置される。
【0031】
図1から前述した操舵システム用のセンサー9の部分的な構成の概略図を示す図3を参照しながら、磁界トランスミッタ素子16の構造を以下により詳細に説明する。
【0032】
ここで、磁界トランスミッタ素子16は、通路方向として円周方向24に並んだ5つの個別磁石で構成されている。個々の磁石は、北極35と南極36の双極子である。双極子は、円周方向24を横切って軸方向22に配向され、従って円周方向24に対して横方向に配向される。円周方向24における連続する双極子の向きは、それぞれの場合で軸方向22に反転するので、磁界トランスミッタ素子16は、円周方向24に変化するトランスミッタによって生成された磁界を発するように設置される。
【0033】
以下では、円周方向24に見て外側に位置する個別の磁石は、縁部に配置された磁石37と呼ばれ、縁部に配置された磁石37に隣接する個別の磁石は遷移磁石38と呼ばれる。縁部に配置された磁石37の反対側にあり且つ遷移磁石38に接続されたすべての他の個別の磁石は、以下では、中心に配置された磁石39と呼ばれる。図3の実施形態では、磁界トランスミッタ素子16は、単一の中心に配置された磁石39のみを有するが、それに限定されない。
【0034】
図3の実施形態では、個別の磁石37、38及び39は、通路方向として円周方向24に見て、異なる長さを有する。円周方向24に見られる中心に配置された磁石39の長さ40から始まり、円周方向24に見られる縁部に配置された2つの磁石37は、中心に配置された磁石の長さ40よりも短い長さ41を有する。中心に配置された磁石39と縁部に配置された2つの磁石37が等しく磁化されたと仮定すると、中心に配置された磁石39は、従って、縁部に配置された2つの磁石37のいずれよりも大きな磁束を励起する。
【0035】
縁部に配置された磁石37のより弱い磁束励起は、原理的には、例えば、縁部に配置された磁石37を中心に配置された磁石39よりも弱く磁化することによって、別の方法で達成することもできる。中心に配置された磁石39と比較して、縁部に配置された磁石37のより弱い磁束励起のための2つの前述の設計の組み合わせも可能である。
【0036】
中心に配置された磁石39と比較して、縁部に配置された磁石37の磁束励起を弱める背後にあるアイデアは、図4~6を参照して以下でより詳細に説明される。
【0037】
まず、図4は、すべての個別の磁石37、38、39が同じ磁束を励起する場合を示す。これは、すべての個別の磁石37、38、39が同じ長さを有し、等しく磁化されたことを意味する。これは、磁界トランスミッタ素子16を均一な標準素子から組み立てることができるので、経済的な観点から望ましい。
【0038】
以上の図1を参照されたい。図1では、測定トランスデューサ18に到達する磁界17は、検出される角度位置を説明する測定信号20における情報を決定することが説明された。この情報は、検出される角度位置にできるだけ線形に関連するべきである。測定トランスデューサ18に到達する磁界17のフェーズ43は、測定トランスデューサ18に到達する磁界17の大きさ44が円周方向24にわたって一定であるという条件下でのみ、この目的に適していることが証明された。
【0039】
図4は、すべての個別の磁石37、38、39が同じ磁束を励起するが、図3に示すように、中心に配置された磁石39、2つの遷移磁石38及び縁部37に配置された2つの磁石で構成された磁界トランスミッタ素子16について、円周方向24にわたって測定トランスデューサ18に到達する磁界17の大きさ44の曲線45を示す。
【0040】
このような磁界トランスミッタ素子16が設置スペースを節約するが、測定トランスデューサ18に到達する磁界17の大きさ44のコース45は、円周方向24のどの点でも一定ではなく、これにより、角度位置が測定トランスデューサ18に到達する磁界17のフェーズ43を介して検出される場合、測定に明確な非線形性が導入される。これらの非線形性を修正するには、可能であればフィルタが必要であり、それらを実装するにはコンピューティングリソースが必要である。
【0041】
測定トランスデューサ18に到達する磁界17の大きさ44を円周方向24の一部の領域で一定に保つ方法の1つは図5に示される。この目的のために、図4に示される磁界トランスミッタ素子16は単に、さらに中心に配置された磁石39によって補足される。このようにして、測定トランスデューサ18に到達する磁界17の大きさ44は、少なくとも円周方向24に見られる最も内側の中心に配置された磁石39の領域で一定に保つことができる。これは、図5の磁界トランスミッタ素子16の上方のコース45’によって示される。
【0042】
しかしながら、実装には不要な設置スペースが必要である。
【0043】
図2のセンサー9にも実装される代替の解決策は、図6にスケッチされる。ここで、中心に配置された磁石39は、縁部に配置された磁石37と比較して、円周方向24に延びるため、縁部に配置された磁石よりも大きな磁束を励起する。この解決策により、測定トランスデューサ18に到達する磁界17の大きさ44は、中心に配置された磁石39の領域で一定に保つことができる。これは、図6の磁界トランスミッタ素子16の上方のコース45”によって示される。
【0044】
測定トランスデューサ18に到達する磁界17の大きさ44を、円周方向24に見て非一定の磁束で一定に保つという先に説明したアイデアは、図7に示される測定結果の比較によって以下により詳細に説明する。
【0045】
図7では、誤差値46は、円周方向24にわたる座標系でプロットされる。誤差値46を記録するために、第2操舵シャフト11は固定され、第1操舵シャフト7は、第2操舵シャフト11に対して円周方向24に及び円周方向24に対して回転する。このようにして、第1と第2操舵シャフト7、11の間任意の相対角度位置を円周方向24に設定することができる。
【0046】
誤差値46は、円周方向25における2つの操舵シャフト7、11の間の実際の相対角度位置について、センサー9によって検出されたこの実際の相対角度位置の測定値との差を説明する。
【0047】
図7では、誤差値46は、図4による磁界トランスミッタ素子16がセンサー9に使用されたときに生じた破線の誤差曲線47でプロットされる。この磁界トランスミッタ素子16では、個別の磁石37、38及び39はそれぞれ円周方向24に12°の延長を有し、円周方向24に60°の総延長を与えた。磁界トランスミッタ素子16は、半径方向23に15.5mm~21.5mmさらに延び、軸方向22に5mmの高さを有した。測定トランスデューサ18は、磁界トランスミッタ素子16の上方において、半径方向23に18.5mm、軸方向22に1.5mmに配置された。
【0048】
図7では、誤差値46は、図3による磁界トランスミッタ素子16がセンサー9に使用されたときに生じた実線の誤差曲線48でプロットされる。この磁界トランスミッタ素子16では、中心に配置された磁石39と遷移磁石38はそれぞれ、円周方向24に12°の延長を有し、縁部に配置された磁石37はそれぞれ9°の延長を有し、再び円周方向24に54°の総延長を与えた。破線の誤差曲線47の検出に関して、磁界トランスミッタ素子16は半径方向23に15.5mm~21.5mmさらに延び、軸方向22に5mmの高さを有した。測定トランスデューサ18は、磁界トランスミッタ素子16の上方において、半径方向23に18.5mm、軸方向22に1.5mmに配置された。
【0049】
破線の誤差曲線47と実線の誤差曲線48の間の差が点線の差曲線49で示される。
【0050】
2つの誤差曲線47と48の比較、及び差分曲線49から、中心に配置された磁石39と比較して縁部に配置された磁石37を短くした磁界トランスミッタ素子16は、比較的小さな測定誤差で非常に大きな角度範囲にわたって使用できることがすぐに明らかである。それにより、このような磁界トランスミッタ素子16は、円周方向24にさらにコンパクトになるように設計される。
【0051】
図8と9は、図3~6において差分測定で説明された磁界トランスミッタ素子16の効果を説明するために使用される。この目的のために、図3からの構成は、測定トランスデューサ18から円周方向24に30°で離間された更なる測定トランスデューサ18’によって延長される。図3からのすべての他の構成、特に幾何学的寸法は保持されている。
【0052】
差分測定では、一方の測定トランスデューサ18の測定信号20を、他方の測定トランスデューサ18’の測定信号から差し引き(図示せず)、センサー信号19を決定する。図7と同様に、2つの操舵シャフト7、11の間の相対角度位置の差分測定のための誤差曲線47と48及び差分曲線49が図9にプロットされる。
【0053】
誤差曲線47と48及び差分曲線49から、縁部に配置された磁石37に向かって回転方向24に見られる後の遷移磁石38の領域での誤差は、磁束の減衰した縁部に配置された磁石37を備えた磁界トランスミッタ素子16の使用によって、ほぼ相殺できることがすぐに明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】