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特開2022-36052一定密度のサーボシステムにおけるRROフィールドのための書き込みタイミング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036052
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】一定密度のサーボシステムにおけるRROフィールドのための書き込みタイミング
(51)【国際特許分類】
   G11B 20/10 20060101AFI20220225BHJP
   G11B 21/10 20060101ALI20220225BHJP
   G11B 5/596 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
G11B20/10 311
G11B21/10 E
G11B5/596
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021133838
(22)【出願日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】63/067,645
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/445,213
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520078248
【氏名又は名称】マーベル アジア ピーティーイー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】スパケット キャッチマート
【テーマコード(参考)】
5D044
【Fターム(参考)】
5D044BC01
5D044CC04
5D044DE01
5D044DE46
5D044GK11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】位置誤差への反復的寄与を表わす繰り返し生じ得る振れデータを、回転する一定密度の磁気記憶媒体に書き込む方法及びストレージデバイスを提供する。
【解決手段】方法は、一定密度の磁気記憶媒体の各半径における各トラックについて反復する段階と、トラック位置および所望のデータ密度に基づき、各トラックパターン頻度を決定する段階と、サーボ同期マーク検出に基づき、各トラック上の各サーボウェッジ内の位置を位置特定する段階と、予め定められたオフセットを達成すべく、各サーボウェッジ内の当該位置の位置特定から一定の時間遅延で、繰り返し生じ得る振れデータを、各サーボウェッジに書き込む段階であって、時間遅延は、各半径に対し反比例する、段階と、一定密度の磁気記憶媒体の各トラック上の各サーボウェッジに対し、決定する段階、位置特定する段階および書き込む段階を繰り返す段階と、を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置誤差への反復的寄与を表わす繰り返し生じ得る振れデータを、回転する一定密度の磁気記憶媒体に書き込む方法であって、
前記一定密度の磁気記憶媒体の各半径における各トラックについて反復する段階と、
トラック位置および所望のデータ密度に基づき、各トラックパターン頻度を決定する段階と、
サーボ同期マーク検出に基づき、前記各トラック上の各サーボウェッジ内の位置を位置特定する段階と、
予め定められたオフセットを達成すべく、前記各サーボウェッジ内の前記位置の前記位置特定から一定の時間遅延で、前記繰り返し生じ得る振れデータを、前記各サーボウェッジに書き込む段階であって、前記時間遅延は、前記各半径に対し反比例する、段階と、
前記一定密度の磁気記憶媒体の前記各トラック上の各サーボウェッジに対し、前記決定する段階、前記位置特定する段階および前記書き込む段階を繰り返す段階と、を備える、方法。
【請求項2】
サーボ同期マーク検出に基づき、前記各サーボウェッジ内の前記位置を位置特定する前記段階は、前記各サーボウェッジ内の各サーボ同期マークを検出することで、各サーボウェッジ内の前記位置を位置特定する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予め定められたオフセットで、前記繰り返し生じ得る振れデータを、前記各サーボウェッジに書き込む前記段階は、前記各サーボウェッジ内の繰り返し生じ得る振れフィールド位置に到達するために、前記各サーボ同期マークの検出から前記一定の時間遅延の後で、前記繰り返し生じ得る振れデータを前記各サーボウェッジに書き込む段階を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
クロックソースを前記回転する一定密度の磁気記憶媒体の回転にロックする段階をさらに備え、前記段階は、
後続のサーボ同期マークの検出間の経過時間を測定する段階と、
任意の2つの後続するサーボ同期マーク間の測定された経過時間が、任意の他の2つの後続するサーボ同期マーク間の経過時間と合致するように、前記クロックソースを調整する段階と、により行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
サーボ同期マーク検出に基づき、前記各サーボウェッジ内の前記位置を位置特定する前記段階は、第1のサーボ同期マークを検出することにより、第1のサーボウェッジを位置特定し、および、予め定められた間隔を、各サーボウェッジ位置に追加することにより、それぞれの後続のサーボウェッジの各位置を決定する段階を含み、前記方法はさらに、
各サーボ同期マークを継続的に検出する段階と、
各サーボ同期マーク検出と、各サーボウェッジ中の予め定められたイベントとの間の各時間間隔を測定する段階と、
各サーボ同期マーク検出と、各サーボウェッジ中の前記予め定められたイベントとの間の測定された各時間間隔が、前の各サーボ同期マーク検出と、前の各サーボウェッジ中の前記予め定められたイベントの前の発生との間の測定された各時間間隔と異なる場合、訂正措置を取る段階と、を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
訂正措置を取る前記段階は、前記繰り返し生じ得る振れデータの、前記回転する一定密度の磁気記憶媒体への前記書き込みを中止する段階を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
クロックソースの頻度を、前記回転する一定密度の磁気記憶媒体の回転にロックする段階をさらに備え、前記段階は、
第1のサーボ同期マークの検出と、後続の各サーボ同期マークの検出との間の経過時間を測定する段階と、
前記第1のサーボ同期マークの前記検出と、それぞれの後続のサーボ同期マークの検出との間の経過時間が、前記第1のサーボ同期マークの前記検出と、前記それぞれの後続のサーボ同期マークの検出との間の経過時間と異なる場合に、訂正措置を取る段階であって、前記それぞれの後続のサーボ同期マークの検出は、後続のサーボ同期マーク間の予期される間隔、および前記第1のサーボ同期マークと前記それぞれの後続のサーボ同期マークとの間の間隔がいくつ過ぎたかに基づき予期される、段階とにより行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
訂正措置を取る前記段階は、前記回転する一定密度の磁気記憶媒体の角速度を調整する段階を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記繰り返し生じ得る振れデータの位相を、前記クロックソースの前記ロックされた頻度に揃える段階をさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記繰り返し生じ得る振れデータの前記位相を、前記クロックソースの前記ロックされた頻度に揃える前記段階は、前記クロックソースの前記頻度をロックした後であって、任意の繰り返し生じ得る振れデータを前記回転する一定密度の磁気記憶媒体の任意のサーボウェッジに書き込む前に、
各トラック上の各サーボウェッジ内の各繰り返し生じ得る振れフィールドに、位相較正パターンを書き込む段階と、
各トラック上の各サーボウェッジ内の各繰り返し生じ得る振れフィールドから、前記位相較正パターンを読み取り、且つ、各トラック上の各サーボウェッジ内の各繰り返し生じ得る振れフィールドに対し各位相オフセットを決定する段階と、
前記各位相オフセットを補償するために、各トラック上の各サーボウェッジ内の各繰り返し生じ得る振れフィールドに、繰り返し生じ得る振れデータを書き込むための各遅延を設定する段階と、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
位置誤差への反復的寄与を表わす繰り返し生じ得る振れフィールドを含むサーボデータが書き込まれる回転する一定密度の磁気記憶媒体と、
前記繰り返し生じ得る振れフィールドに書き込むための回路と、を備えるストレージデバイスであって、前記回路は、
サーボ同期マーク検出に基づき、前記一定密度の磁気記憶媒体の各トラック上の各サーボウェッジを位置特定するよう構成された検出器と、
前記一定密度の磁気記憶媒体の各半径における各トラックについて反復すること、
トラック位置および所望のデータ密度に基づき、各トラックパターン頻度を決定すること、
前記検出器の出力に基づき、前記一定密度の磁気記憶媒体の前記各トラックの各サーボウェッジ内の位置を位置特定すること、
予め定められたオフセットを達成すべく、前記各サーボウェッジ内の前記位置の前記位置特定から一定の時間遅延で、前記繰り返し生じ得る振れデータを前記一定密度の磁気記憶媒体の前記各トラックの前記各サーボウェッジに書き込むことであって、前記時間遅延は、前記各半径に対し反比例する、こと、および
前記一定密度の磁気記憶媒体の前記各トラック上の各サーボウェッジに対し、前記決定すること、前記位置特定すること、および前記書き込むことを繰り返すこと、を行うよう構成されるコントローラと、を有する、ストレージデバイス。
【請求項12】
前記コントローラは、前記一定密度の磁気記憶媒体の前記各トラックの前記各サーボウェッジ内の各サーボ同期マークを検出することで、前記一定密度の磁気記憶媒体の前記各トラックの前記各サーボウェッジ内の前記位置を位置特定するよう構成される、請求項11に記載のストレージデバイス。
【請求項13】
前記コントローラは、前記一定密度の磁気記憶媒体の前記各トラックの前記各サーボウェッジ内の繰り返し生じ得る振れフィールド位置に到達するために、前記各サーボ同期マークの検出から前記一定の時間遅延の後で、前記繰り返し生じ得る振れデータを、前記一定密度の磁気記憶媒体の前記各トラックの前記各サーボウェッジに書き込むよう構成される、請求項12に記載のストレージデバイス。
【請求項14】
クロックソースをさらに備え、
前記コントローラは、
後続のサーボ同期マークの検出間の経過時間を測定すること、および
任意の2つの後続するサーボ同期マーク間の測定された経過時間が、任意の他の2つの後続するサーボ同期マーク間の経過時間と合致するように、前記クロックソースを調整することにより、
前記クロックソースを前記回転する一定密度の磁気記憶媒体の回転にロックするよう構成される、請求項12に記載のストレージデバイス。
【請求項15】
前記コントローラは、
第1のサーボ同期マークを検出することにより、前記各サーボウェッジ内の前記位置を位置特定し、および、予め定められた間隔を各サーボウェッジ位置に追加することにより、それぞれの後続のサーボウェッジの各位置を決定すること、
各サーボ同期マークを継続的に検出すること、
各サーボ同期マーク検出と、各サーボウェッジ中の予め定められたイベントとの間の各時間間隔を測定すること、
各サーボ同期マーク検出と、各サーボウェッジ中の前記予め定められたイベントとの間の測定された各時間間隔が、前のそれぞれのサーボ同期マーク検出と、前の各サーボウェッジ中の前記予め定められたイベントの前の発生との間の測定された各時間間隔と異なる場合、訂正措置を取ること、を行うよう構成される、請求項11から14のいずれか一項に記載のストレージデバイス。
【請求項16】
前記コントローラは、前記繰り返し生じ得る振れデータの、前記回転する一定密度の磁気記憶媒体への前記書き込みを中止することにより訂正措置を取るよう構成される、請求項15に記載のストレージデバイス。
【請求項17】
クロックソースをさらに備え、
第1のサーボ同期マークの検出と、後続の各サーボ同期マークの検出との間の経過時間を測定すること、および
前記第1のサーボ同期マークの前記検出と、それぞれの後続のサーボ同期マークの検出との間の経過時間が、前記第1のサーボ同期マークの前記検出と、前記それぞれの後続のサーボ同期マークの検出との間の経過時間と異なる場合に、訂正措置を取ることであって、前記それぞれの後続のサーボ同期マークの検出は、後続のサーボ同期マーク間の予期される間隔、および前記第1のサーボ同期マークと前記それぞれの後続のサーボ同期マークとの間の間隔がいくつ過ぎたかに基づき予期される、こと、
により、前記コントローラは、前記クロックソースの頻度を、前記回転する一定密度の磁気記憶媒体の回転にロックするようさらに構成される、請求項15に記載のストレージデバイス。
【請求項18】
前記コントローラは、前記回転する一定密度の磁気記憶媒体の角速度を調整することで、訂正措置を行うよう構成される、請求項17に記載のストレージデバイス。
【請求項19】
前記コントローラは、前記繰り返し生じ得る振れデータの位相を、前記クロックソースの前記ロックされた頻度に揃えるようさらに構成される、請求項17に記載のストレージデバイス。
【請求項20】
前記コントローラは、前記クロックソースの前記頻度をロックした後であって、任意の繰り返し生じ得る振れデータを前記回転する一定密度の磁気記憶媒体の前記各トラック上の任意のサーボウェッジに書き込む前に、
前記一定密度の磁気記憶媒体の各トラック上のそれぞれのサーボウェッジ内のそれぞれの繰り返し生じ得る振れフィールドに、位相較正パターンを書き込むこと、
前記一定密度の磁気記憶媒体の各トラック上の各サーボウェッジ内の各繰り返し生じ得る振れフィールドから、前記位相較正パターンを読み取り、且つ、前記一定密度の磁気記憶媒体の各トラック上の各サーボウェッジ内の各繰り返し生じ得る振れフィールドに対し各位相オフセットを決定すること、および
前記各位相オフセットを補償するために、前記一定密度の磁気記憶媒体の各トラック上の各サーボウェッジ内の各繰り返し生じ得る振れフィールドに、繰り返し生じ得る振れデータを書き込むための各遅延を設定すること、
を行うことにより、前記繰り返し生じ得る振れデータの位相を前記クロックソースの前記ロックされた頻度に揃えるよう構成される、請求項19に記載のストレージデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本開示は、2020年8月19日に出願した、共に譲り受けた同時係属中の米国仮特許出願第63/067,645号の利益を主張し、当該出願は、参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0002】
本開示は、一定密度の書き込みを用いるディスクドライブ等のストレージデバイスにおける繰り返し生じ得る振れ(Repeatable Run-out:RRO)フィールドの書き込み操作タイミングに関する。より具体的には、本開示は、一定密度のサーボウェッジの特定のトラックにおけるRROフィールドへの書き込み時のタイミングを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載される背景説明は、概して本開示の内容を示すためのものである。背景技術に記載した発明者らの研究内容は、その内容が背景技術の欄に記載される限りにおいて、および、その他の点において出願時の先行技術として認定され得ない本明細書の態様と共に、明示的にも暗示的にも本開示の発明に対する先行技術であると認めるものではない。
【0004】
磁気記録においては、一例として、読み取りおよび書き込みは、記憶媒体の表面に対し移動する1または複数のヘッドによって行われる。多くの磁気ディスクドライブは、例えば、複数の個々のディスクまたは"プラッタ"を含み、プラッタは両面を有し得る。すなわち、各プラッタは、その2つの面のうちの各面にデータを記録し得る。従って、このようなディスクドライブは、各プラッタに対し少なくとも2つのヘッドを有することになる。実際、各プラッタにつき、通常少なくとも1つの書き込みヘッドおよび少なくとも1つの別個の読み取りヘッドが存在し、そのため、このようなディスクドライブは通常、プラッタごとに少なくとも4つのヘッドを有する。
【0005】
一般的な構成において、特定のディスクドライブにおけるすべてのヘッドは、1つの共通のアクチュエータに取り付けられた複数のアームに搭載されており、アクチュエータは、ヘッドの半径方向の位置を制御する(運動の角度成分、接線成分または円周成分は、プラッタのヘッドに対する回転により与えられる)。このことは、1または多数のプラッタが存在するかどうか、プラッタごとに1または複数のヘッドが存在するかどうかに関わらず当てはまる。
【0006】
アクチュエータにより選択される半径方向の位置を制御すべく、各プラッタの各表面は、"サーボ"データと呼ばれる位置情報を表面上に分散させている。サーボデータは通常、プラッタ表面上に間隔を空けて配置(通常、等間隔に配置)されたサーボ"ウェッジ"内に分散される。ディスクドライブコントローラは、各サーボウェッジが読み取りヘッドの下を通過するときにサーボデータを読み取ることで、ヘッドの正確な半径方向(および角度の)の位置を決定でき、その決定結果をフィードバックして、必要な操作に応じて、読み取りヘッドまたは書き込みヘッドの位置を制御できる。サーボデータの1つの成分として、"繰り返し生じ得る振れ(Repeatable run‐out)"フィールドまたはRROフィールドがあり、RROフィールドは、誤差への反復可能な寄与として特徴付けられるため、RROフィールドは、位置決定の要因として考慮され得る。
【0007】
典型的なディスクドライブでは、データは、例えば、トラックに関わらず、ディスク回転数で決定される一定の頻度で書き込まれる。つまり、データは、内径に近いトラックよりも、外径に近いトラック上でより低密度で書き込まれることを意味する。他のディスクドライブにおいては、ゾーン書き込みが用いられ得、この場合、ディスクは半径方向に複数のゾーンに分割される。各ゾーンの最も内側の半径における密度はほぼ同一であるが、やはり密度は各ゾーン内で半径方向に低下する。より最近では、一定密度の書き込みが開発されており、一定密度の書き込みでは、RROパターン等のサーボデータの書き込み時も含めて、異なるトラック上での異なる頻度での書き込みを必要とする。
【発明の概要】
【0008】
本開示の発明の実装によると、位置誤差への反復的寄与を表わす繰り返し生じ得る振れデータを、回転する一定密度の磁気記憶媒体に書き込む方法は、一定密度の磁気記憶媒体の各半径における各トラックについて反復する段階と、トラック位置および所望のデータ密度に基づき、各トラックパターン頻度を決定する段階と、サーボ同期マーク検出に基づき、各トラック上の各サーボウェッジ内の位置を位置特定する段階と、予め定められたオフセットを達成すべく、各サーボウェッジ内の当該位置の位置特定から一定の時間遅延で、繰り返し生じ得る振れデータを、各サーボウェッジに書き込む段階であって、時間遅延は、各半径に対し反比例する、段階と、一定密度の磁気記憶媒体の各トラック上の各サーボウェッジに対し、決定する段階、位置特定する段階および書き込む段階を繰り返す段階と、を備える。
【0009】
かかる方法の第1の実装において、サーボ同期マーク検出に基づき、各サーボウェッジ内の位置を位置特定する段階は、各サーボウェッジ内の各サーボ同期マークを検出することで、各サーボウェッジ内の位置を位置特定する段階を含んでよい。
【0010】
この第1の実装の第1の態様によると、予め定められたオフセットで、繰り返し生じ得る振れデータを、各サーボウェッジに書き込む段階は、各サーボウェッジ内の繰り返し生じ得る振れフィールド位置に到達するために、各サーボ同期マークの検出から一定の時間遅延の後で、繰り返し生じ得る振れデータをサーボウェッジに書き込む段階を含んでよい。
【0011】
この第1の実装の第2の態様によると、クロックソースを回転する一定密度の磁気記憶媒体の回転にロックする段階をさらに備えてよく、段階は、後続のサーボ同期マークの検出間の経過時間を測定する段階と、任意の2つの後続するサーボ同期マーク間の測定された経過時間が、任意の他の2つの後続するサーボ同期マーク間の経過時間と合致するように、クロックソースを調整する段階と、により行われる。
【0012】
かかる方法の第2の実装において、サーボ同期マーク検出に基づき、各サーボウェッジ内の位置を位置特定する段階は、第1のサーボ同期マークを検出することにより、第1のサーボウェッジを位置特定し、および、予め定められた間隔を、各サーボウェッジ位置に追加することにより、それぞれの後続のサーボウェッジの各位置を決定する段階を含んでよく、方法はさらに、各サーボ同期マークを継続的に検出する段階と、各サーボ同期マーク検出と、各サーボウェッジ中の予め定められたイベントとの間の各時間間隔を測定する段階と、各サーボ同期マーク検出と、各サーボウェッジ中の前記予め定められたイベントとの間の測定された各時間間隔が、前の各サーボ同期マーク検出と、前の各サーボウェッジ中の前記予め定められたイベントの前の発生との間の測定された各時間間隔と異なる場合、訂正措置を取る段階と、を備えてよい。
【0013】
この第2の実装の第1の態様によると、訂正措置を取る段階は、繰り返し生じ得る振れデータの、回転する一定密度の磁気記憶媒体への書き込みを中止する段階を含んでよい。
【0014】
この第2の実装の第2の態様は、クロックソースの頻度を、回転する一定密度の磁気記憶媒体の回転にロックする段階をさらに備えてよく、段階は、第1のサーボ同期マークの検出と、後続の各サーボ同期マークの検出との間の経過時間を測定する段階と、第1のサーボ同期マークの検出と、それぞれの後続のサーボ同期マークの検出との間の経過時間が、第1のサーボ同期マークの検出と、それぞれの後続のサーボ同期マークの検出との間の経過時間と異なる場合に、訂正措置を取る段階であって、それぞれの後続のサーボ同期マークの検出は、後続のサーボ同期マーク間の予期される間隔、および第1のサーボ同期マークとそれぞれの後続のサーボ同期マークとの間の間隔がいくつ過ぎたかに基づき予期される。
【0015】
この第2の態様の第1の例において、訂正措置を取る段階は、回転する一定密度の磁気記憶媒体の角速度を調整する段階を含んでよい。
【0016】
この第2の態様の第2の例は、さらに、繰り返し生じ得る振れデータの位相を、クロックソースのロックされた頻度に揃える段階を含んでよい。
【0017】
この第2の例の第1の変形例において、繰り返し生じ得る振れデータの位相を、クロックソースのロックされた頻度に揃える段階は、クロックソースの前記頻度をロックした後であって、任意の繰り返し生じ得る振れデータを回転する一定密度の磁気記憶媒体の任意のサーボウェッジに書き込む前に、各トラック上の各サーボウェッジ内の各繰り返し生じ得る振れフィールドに、位相較正パターンを書き込む段階と、各トラック上の各サーボウェッジ内の各繰り返し生じ得る振れフィールドから、位相較正パターンを読み取り、且つ、各トラック上の各サーボウェッジ内の各繰り返し生じ得る振れフィールドに対し各位相オフセットを決定する段階と、各位相オフセットを補償するために、各トラック上の各サーボウェッジ内の各繰り返し生じ得る振れフィールドに、繰り返し生じ得る振れデータを書き込むための各遅延を設定する段階と、を含んでよい。
【0018】
本開示の発明の実装により、ストレージデバイスは、位置誤差への反復的寄与を表わす繰り返し生じ得る振れフィールドを含むサーボデータが書き込まれる回転する一定密度の記憶媒体および繰り返し生じ得る振れフィールドに書き込むための回路を含む。
回路は、サーボ同期マーク検出に基づき、一定密度の磁気記憶媒体の各トラック上の各サーボウェッジを位置特定するよう構成された検出器と、一定密度の磁気記憶媒体の各半径における各トラックについて反復すること、トラック位置および所望のデータ密度に基づき、各トラックパターン頻度を決定すること、検出器の出力に基づき、一定密度の磁気記憶媒体の前記各トラックの各サーボウェッジ内の位置を位置特定すること、予め定められたオフセットを達成すべく、各サーボウェッジ内の位置の位置特定から一定の時間遅延で、繰り返し生じ得る振れデータを一定密度の磁気記憶媒体の各トラックの各サーボウェッジに書き込むことであって、時間遅延は、各半径に対し反比例する、こと、および一定密度の磁気記憶媒体の各トラック上の各サーボウェッジに対し、決定すること、位置特定すること、および書き込むことを繰り返すこと、を行うよう構成されるコントローラと、を含む。
【0019】
かかるストレージデバイスの第1の実装において、コントローラは、一定密度の磁気記憶媒体の各トラックの各サーボウェッジ内の各サーボ同期マークを検出することで、一定密度の磁気記憶媒体の各トラックの各サーボウェッジ内の位置を位置特定するよう構成されてよい。
【0020】
この第1の実装の第1の態様によると、コントローラは、一定密度の磁気記憶媒体の各トラックの各サーボウェッジ内の繰り返し生じ得る振れフィールド位置に到達するために、各サーボ同期マークの検出から一定の時間遅延の後で、繰り返し生じ得る振れデータを、一定密度の磁気記憶媒体の各トラックの各サーボウェッジに書き込むよう構成されてよい。
【0021】
この第1の実装の第2の態様によると、コントローラは、後続のサーボ同期マークの検出間の経過時間を測定すること、および任意の2つの後続するサーボ同期マーク間の測定された経過時間が、任意の他の2つの後続するサーボ同期マーク間の経過時間と合致するように、前記クロックソースを調整することにより、クロックソースを回転する一定密度の磁気記憶媒体の回転にロックするよう構成されてよい。
【0022】
かかるストレージデバイスの第2の実装において、コントローラは、第1のサーボ同期マークを検出することにより、各サーボウェッジ内の位置を位置特定し、および、予め定められた間隔を各サーボウェッジ位置に追加することにより、それぞれの後続のサーボウェッジの各位置を決定すること、各サーボ同期マークを継続的に検出すること、各サーボ同期マーク検出と、各サーボウェッジ中の予め定められたイベントとの間の各時間間隔を測定すること、各サーボ同期マーク検出と、各サーボウェッジ中の前記予め定められたイベントとの間の測定された各時間間隔が、前のそれぞれのサーボ同期マーク検出と、前の各サーボウェッジ中の予め定められたイベントの前の発生との間の測定された各時間間隔と異なる場合、訂正措置を取ること、を行うよう構成されてよい。
【0023】
この第2の実装の第1の態様によると、コントローラは、繰り返し生じ得る振れデータの、回転する一定密度の磁気記憶媒体への書き込みを中止することにより訂正措置を取るよう構成されてよい。
【0024】
この第2の実装の第2の態様は、さらにクロックソースを含んでよい。コントローラは、第1のサーボ同期マークの検出と、後続の各サーボ同期マークの検出との間の経過時間を測定すること、および第1のサーボ同期マークの前記検出と、それぞれの後続のサーボ同期マークの検出との間の経過時間が、第1のサーボ同期マークの検出と、それぞれの後続のサーボ同期マークの検出との間の経過時間と異なる場合に、訂正措置を取ることであって、それぞれの後続のサーボ同期マークの検出は、後続のサーボ同期マーク間の予期される間隔、および第1のサーボ同期マークとそれぞれの後続のサーボ同期マークとの間の間隔がいくつ過ぎたかに基づき予期される、こと、により、クロックソースの頻度を、回転する一定密度の磁気記憶媒体の回転にロックするようさらに構成されてよい。
【0025】
この第2の態様の第1の例において、コントローラは、回転する一定密度の磁気記憶媒体の角速度を調整することで、訂正措置を取るよう構成されてよい。
【0026】
この第2の態様の第2の例において、コントローラは、繰り返し生じ得る振れデータの位相を、クロックソースのロックされた頻度に揃えるようさらに構成されてよい。
【0027】
この第2の例の第1の変形例において、コントローラは、クロックソースの頻度をロックした後であって、任意の繰り返し生じ得る振れデータを回転する一定密度の磁気記憶媒体の各トラック上の任意のサーボウェッジに書き込む前に、一定密度の磁気記憶媒体の各トラック上のそれぞれのサーボウェッジ内のそれぞれの繰り返し生じ得る振れフィールドに、位相較正パターンを書き込むこと、一定密度の磁気記憶媒体の各トラック上の各サーボウェッジ内の各繰り返し生じ得る振れフィールドから、位相較正パターンを読み取り、且つ、一定密度の磁気記憶媒体の各トラック上の各サーボウェッジ内の各繰り返し生じ得る振れフィールドに対し各位相オフセットを決定すること、および各位相オフセットを補償するために、一定密度の磁気記憶媒体の各トラック上の各サーボウェッジ内の各繰り返し生じ得る振れフィールドに、繰り返し生じ得る振れデータを書き込むための各遅延を設定すること、を行うことにより、繰り返し生じ得る振れデータの位相をクロックソースのロックされた頻度に揃えるよう構成されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示のさらなる特徴、その本質および様々な利点は、以降の詳細な説明を添付図面と併せて検討することで明らかになろう。添付図面中、同様の参照文字は添付図面を通して同様の部材を指す。
【0029】
図1】本開示の発明が用いられてよいディスクドライブ100の例を示す。
図2】本開示の発明が用いられてよいディスクドライブ100の例を示す。
【0030】
図3】本開示の発明の実装において、図1および2にあるようなディスクドライブで用いられてよいハードドライブコントローラの図である。
【0031】
図4】本開示の発明の第1の実装を示すタイミング図である。
【0032】
図5図4と同様のタイミング図であり、サーボ同期マークが欠損したときの図4の実装の操作を示す。
【0033】
図6図4と同様のタイミング図であり、本開示の発明の代替的な実装の操作を示す。
【0034】
図7】本開示の発明のさらなる実装の操作を示すタイミング図である。
【0035】
図8図7の実装の操作を示すより詳細なタイミング図である。
【0036】
図9】本開示の発明の実装による頻度制御技術を、典型的な頻度技術と比較した表である。
【0037】
図10】位相較正パターンと理想的パターンとの間の位相の相違を示す図である。
【0038】
図11】本開示の発明の第1の実装による方法を示すフロー図である。
【0039】
図12】本開示の発明の第2の実装による方法を示すフロー図である。
【0040】
図13】本開示の発明の第3の実装による位相較正方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1および2は、本開示の発明が用いられてよいディスクドライブ100の例を示す。この具体例において、ディスクドライブ100は、3つのプラッタ101、102、103を有すが、本開示の発明が用いられてよいディスクドライブには、任意の数のプラッタが含まれてよい。図示の通り、各プラッタ101、102、103は、その上面111および下面112のそれぞれに、データを例えば、磁気的に記録し得る材料から作成されたコーティング110を有する。本開示はまた、1または複数のプラッタがその表面のうち一方にのみコーティング110を含むディスクドライブにも関わるが、このようなディスクドライブは、同一容量において両面のプラッタを持つディスクドライブよりも、少ないデータを記録することになる。プラッタ101‐103は、回転可能なスピンドル104上に取り付けられる。スピンドルモータ105は、スピンドル104を回転させ、矢印A(図2)の方向にプラッタ101‐103を回転させる。スピンドルモータ105がスピンドル104に直接接続された状態が図示されているが、いくつかの場合において、スピンドルモータ105は、スピンドル104の軸からずれて位置付けられてよく、ベルトまたはギア(不図示)を通してスピンドル104に接続される。
【0042】
読み取り/書き込みヘッドアセンブリ120は、アーム122‐125を有するアクチュエータ121を含み、アームのうちの1つは、プラッタ101、102、103の各表面111、112に隣接して配置され、プラッタ101、102、103は、メモリストレージコーティング110を有する。この例においては、アーム123、124それぞれの両面にヘッドがあり、合計4つのアーム122‐125があるが、上述の片面プラッタの例においては、アームが3つのみ存在することになる。他の例においては、アームの数は、プラッタの数と共に増減する。
【0043】
各アーム122‐125は、アクチュエータ121から最も遠いその端部にまたは当該端部近傍に、アーム123、124の場合はその上面および下面の両方に、複数の読み取りヘッド/センサおよび書き込みヘッドを有する。このケースでは、2つのセンサ131、132が図示されており、それぞれ読み取りセンサおよび書き込みセンサを表わしてよいが、いくつかの適用においては、各アーム123、124は、2つ以上の読み取りヘッド/センサおよび2つ以上の書き込みヘッド(不図示)を有してよい。図1および2に図示される構成においては、アーム122‐125は、プラッタ101、103の半径沿いに位置合わせされ、ヘッド131、132がスピンドル104に到達し得るほど近くまでヘッド131、132を持ってくる。図1および2は模式図にとどまり、正確な縮尺ではないことに留意されたい。通常、スピンドルの直径は、ディスクの直径と比較してより大きい。また、アーム122‐125は通常、ディスクの中心を直接的にポイントすることはできない。
【0044】
一般に"ボイスコイルモータ"と呼ばれるモータ126は、アクチュエータ121を矢印B(図2)方向に沿って前後に回転させて、破線矢印201で示される経路沿いにヘッド131、132を移動させる。故にアクチュエータ121の運動は、ヘッド131、132の半径方向位置および周方向位置の両方を変更するが、プラッタが回転する限りにおいて、周方向位置の変更は比較的重要ではない。故にアクチュエータ121の運動は、ヘッド131、132の半径方向の位置を制御するために用いられる。
【0045】
上述のウェッジのプラッタ101の表面111(他の表面も同様)上の位置が図2に示される。各サーボウェッジ200は、ウェッジインデックス、トラックインデックスまたはセクタ番号(角度位置、接線位置または周方向位置を示すための)によって、およびプラッタの半径方向沿いの各ポイントにおけるスピンドル104からの距離を表わすデータによって、各サーボウェッジを識別するデータを含む。典型的なサーボウェッジは、その名称が示唆するようにくさび状であり、図2に図示するような一定密度システムにおいては、サーボウェッジ200は、すべての半径において同一幅を有し、または、さらに重要なことには、すべてのトラックにおいて同一のアーク長を有する。
【0046】
読み取りヘッド131、132の各々は、ハードドライブコントローラ300の読み取りチャネル301に接続されている(対応する書き込みチャネル302が存在する)(図3)。ハードドライブコントローラ300はまた、プロセッサ310およびメモリ311も含み、またホストプロセッサ(不図示)への接続312も含む。通常のディスク操作中、メモリ311は、トラック位置オフセットを示す位置誤差センサ(position error sensor:PES)データを格納するために用いられてよい。ハードドライブコントローラ300内のサーボ制御ループは、PESデータおよびサーボウェッジデータを用いて、ヘッド131、132をトラック上で保持する。
【0047】
サーボウェッジデータは、繰り返し生じ得る振れフィールドを含んでよく、当該フィールドは、潜在的な位置誤差のあらゆる持続的反復ソースに関する情報を提供する。例えば、ディスクドライブにおいて、プラッタの物理的不完全性が振動をもたらし得、ひとたび振動が生じると、回転ごとにヘッド位置を乱し得る。米国特許7,400,464号および7,773,328号はそれぞれ、非一定密度実装でのサーボウェッジにおけるRROフィールドの同期的書き込みおよび同期的読み取りについて説明しており、これらは参照により本明細書にそれぞれ全体として組み込まれる。
【0048】
非一定密度実装において、その頻度は、ディスクドライブプラッタの角速度に基づき、それぞれのトラックで同一である。故に、当該システムでは、問題の頻度はただ1つのみである。同様に、ゾーン化された密度実装においては、ゾーンごとに異なる頻度が存在するが、ゾーン内の各トラックは、同一頻度を共有する。一方、参照により本明細書にその全体が組み込まれる米国特許10,971,187号に説明されるような一定密度実装においては、半径の増大に伴い、当該頻度が増大し、トラックごとに異なり得る。具体的には、ディスクドライブプラッタの角速度は単一であるが、書き込みは、内径に近いトラックよりも、円周のより大きい外径に近いトラックでより高頻度で生じさせて単位角当たりに書き込まれるデータ量をより多くし、単位トラック長当たりのデータ密度を一定に維持している。
【0049】
実際、書き込みパターン頻度は、すべてのトラックで異なり得る。また、読み取りおよび書き込みヘッドは、アクチュエータアーム上の異なる位置にある。そのため、RROフィールドの書き込みがサーボ同期マーク(servo sync mark:SSM)の検出によりトリガされる限りにおいて、その頻度は、SSM検出から直接的に導出することすらし得ない。というのは、読み取りヘッドは書き込みヘッドとは異なる半径方向の位置に存在し得、従って、読み取りヘッドは、異なる頻度を持つ異なるトラック上に存在し得るからである。また、読み取りヘッドは、書き込みヘッドとは異なる角度位置にあり、従って、書き込みヘッドが、RROフィールドの書き込みのための該当位置に置かれる時点のわずかに前または後の時点において、SSMを検出し得る。
【0050】
同一のトラックの場合でさえも、サーボウェッジに対する読み取りヘッドおよび書き込みヘッドの運動は、物理的ソース(例えば、位相同期ループ)から導出される頻度で生じ得る一方、データパターンがトラックへ書き込まれるまたはトラックから読み取られる頻度は、物理的頻度から補間された頻度であり得る。故に、任意のRRO書き込み操作に必要とされる頻度は、読み取りヘッドおよび書き込みヘッドの頻度並びにトラック上でデータが読み取りおよび書き込みされる補間頻度を併せて最大4つもの頻度が存在し得る。また、4つの頻度のうちの異なるそれぞれの頻度は、異なる物理的ソースから導出され得る2つの異なる時間ドメイン(サーボファンクションジェネレータまたはSFGドメイン、および時間ベースジェネレータまたはTBGドメイン)から派生してよく、同期され得ない。
【0051】
特定のトラックへの書き込み時の書き込み操作の正確な頻度が、本開示の発明の実装により決定されてよい。具体的には、サーボウェッジ内のサーボデータの多くはディスク製造時に、例えば自己サーボ書き込み技術を用いて書き込まれる一方、RROデータは、サーボウェッジが既に配備された後でサーボウェッジに書き込まれる。所望の密度を達成するためのデータパターンが書き込まれるレートを指定する書き込みパターン頻度が、トラックの半径方向位置により決定されてよい一方、RROデータがいつおよびいかなる頻度でトラックに書き込まれるかを指定するサーボパターン頻度は、本開示の発明の実装により決定されてよい。
【0052】
本開示の発明のいくつかの第1の実装により、および以下により詳しく説明するように、RROデータは、各サーボ同期マークの検出から(すなわちサーボ同期マーク検出(servo‐sync‐mark‐found、すなわちSSMF信号の発生から)予め定められたオフセットにおいて、トラックに書き込まれる。当該オフセットは、サーボウェッジ内のRROフィールドの位置(通常、残りのサーボデータの後の末尾の箇所)に当たり、および、一方で書き込みヘッドと、他方で書き込み操作をトリガするSSMF信号を検出する読み取りヘッドとの間の位置(半径方向および周方向の両方)の差に当たる。
【0053】
一般に、サーボウェッジ内のRROフィールドの位置は、サーボウェッジの開始箇所から現在のトラック沿いに測定して、ほぼ同一直線距離の箇所に存在する。サーボウェッジ内のRROフィールド位置は、それぞれのサーボウェッジの検出位置から特定の時間遅延により決定されてよく、当該時間遅延は、現在のトラックの各半径に反比例する。すなわち、より小さい半径を持つトラック(すなわち、ディスクプラッタの内縁により近い)の線速度は、より大きい半径(すなわち、ディスクプラッタの外縁により近い)における線速度よりも小さくなる。従って、一様な直線距離を得るためには、当該時間遅延は、より大きい半径についてはより小さく、より小さい半径についてはより大きくなる。
【0054】
究極的に、書き込みパターン頻度およびサーボパターン頻度の両方がディスクプラッタの角速度から導出され得る限りにおいて、これらの頻度は、ディスクプラッタ回転に対するロック(a lock to the disk platter rotation)を維持すべく、ディスク同期書き込み(Disk Synchronous Write:DSW)等の既知の技術を用いて定期的に更新されてよい(例えば、各サーボウェッジにおいて)。
【0055】
本開示の発明のいくつかの第2の実装により、および以下により詳しく説明するように、RROデータは、ディスクプラッタ回転を関数として、対象のトラックにおけるサーボウェッジ間の予期される時間間隔に基づき、SSMF信号の最初の検出から固定間隔でトラックに書き込まれる。SSMF検出は書き込みのために一度のみ用いられるにも関わらず、各SSMF発生のタイムスタンプは継続的に測定され、そのタイムスタンプと、サーボウェッジ内の既知の反復イベントのタイムスタンプとの間の間隔が、各サーボウェッジについて決定される。その間隔が、特定のあるサーボウェッジと隣接するサーボウェッジとの間で一定でない場合、エラーが示され、適切な訂正措置が取られてよく、当該訂正措置には、RRO書き込み操作の中止が含まれてよい。
【0056】
第1の実装の場合と同様に、これらの第2の実装においても、頻度は、ディスクプラッタ回転に対するロックを維持すべく定期的(例えば、各サーボウェッジにおいて)に更新されてよい。しかしながら、これらの第2の実装においては、DSW技術の代替的な実装が、頻度の更新に用いられてよい。具体的には、典型的なDSW技術が特定の1つのサーボ同期マーク(SSM)から次のサーボ同期マークまでの間隔を測定し、各間隔の予期される間隔からの逸れを探すのに対し、本開示の発明による代替的な実装においては、初期SSMの位置、隣接するSSM間の予期される間隔、および現在のSSMと初期SSMとの間の間隔数に基づき、各SSMの位置が、その予期される位置と比較されるDSW技術が用いられてよい。故に、典型的なDSW技術は、現在の間隔が予期される間隔でない場合にのみエラーを示すのに対し、本開示の発明の実装によるDSW技術は、現在のSSMが、前のSSMからの予期される間隔にある場合であっても、現在のSSMがその予期される位置にない場合は、エラーを示してよい。故に、本開示の発明の実装によるDSW技術は、たとえ、各SSMから次のSSMまでのドリフトが非常に低速で検出不能であっても、蓄積されたドリフトを補償する。
【0057】
上述の第1および第2の実装は、非同期として説明されてよい。すなわち、第1および第2の実装は、RRO書き込み頻度を、サーボ頻度と合致させることを試みるが、サーボパターンの位相との合致は試みない。しかしながら、同期として説明されてよい本開示の発明のいくつかの第3の実装は、RRO書き込みパターンの位相を、サーボパターンの位相と合致させることも試みる。
【0058】
これらの第3の実装により、第2の実装のうちの1つのような技術がRRO頻度を設定するために用いられてよく、これについては、後に詳しく説明する。任意の実際のRROデータが書き込まれる前に、位相較正パターンが、各RROフィールドに書き込まれてよい。その後、位相較正パターンは復調されて、各ウェッジのRROフィールドの位相オフセットが決定されてよい。後に詳しく説明するように、上述の第2の実装のうちの1つにより、RROデータが書き込まれてよく、各ウェッジのRROデータは遅延され、あるいは位相調整される。
【0059】
本開示の発明は、図4~13を参照してより良く理解されてよい。
【0060】
上述の第1の実装は、図4および5を参照して理解されてよい。
【0061】
図4中、サーボ同期マークの検出(例えば、読み取りヘッド131、132のうちの一方により、ハードドライブコントローラ300によって認識される)は、波形または信号401(SSMFまたはservo‐sync‐mark‐found)によって示される。波形または信号402(WCNTR)は、ウェッジタイマまたはカウンタであり、当該ウェッジタイマまたはカウンタは、各サーボウェッジの開始において、'0'にリセットされ、次のサーボウェッジが検出されるまで(または、随意で、調整可能な限界に到達されるまで)カウントする。
【0062】
追加のカウンタ、NWCNTR(不図示)は、ウェッジの数をカウントし(すなわち、サーボウェッジが検出されるたびに'1'だけインクリメントする)、随意で、ディスク上のサーボウェッジの最大数等の調整可能な限界に到達したときにリセットされる。n個のサーボウェッジの場合、NWCNTRは0からn-1までカウントすることになる。
【0063】
波形または信号403(RROW)は、RRO書き込みイベントが生じるときを示す。
【0064】
図4に示される状況においては、サーボ同期マークは411、421および431において検出され、412、422および432においてWCNTR402がリセットされ且つカウントの開始を生じさせる。WCNTR402がそれぞれのカウンタリセットイベント412、422および432から間隔w1をカウントした時点で、結果的にそれぞれのRRO書き込みイベント413、423および433が生じる。RRO書き込みイベント413、423および433は、(0,w1)、(1,w1)および(2,w1)の時点で生じるものとして示されており、縦座標は、上述のウェッジ数カウンタNWCNTRを表わす。故に、RRO書き込みイベント413は、NWCNTR=0、WCNTR=w1で生じ、RRO書き込みイベント423は、NWCNTR=1、WCNTR=w1で生じ、RRO書き込みイベント433は、NWCNTR=2、WCNTR=w1で生じる。WCNTRがタイマとして動作する限り、間隔w1は、上述のオフセットを達成するために用いられる時間遅延であり、w1は、オフセットを一様に保持すべく、より大きい半径を持つトラックに対してはより小さく、且つより小さい半径を持つトラックに対してはより大きくよい。
【0065】
上で特記したように、これらの第1の実装においては、サーボ同期マークが検出されると常にWCNTR402はリセットされ、RRO書き込みイベント413、423および433が生じる。従って、図5に図示される通り、521でサーボ同期マークが検出されなければ、次のサーボ同期マーク531が検出されるまで、WCNTR502はカウントを継続することになり、523においてRRO書き込みイベントは存在しないことになる。次のサーボ同期マーク531が検出されると、WCNTR502はリセットされ、RRO書き込みイベント533がトリガされる。ウェッジ数カウンタNWCNTRもまた、サーボ同期マーク531が検出されるまでトリガされず、そのため、たとえNWCNTR=0,WCNTR=w1におけるRRO書き込みイベント513以来、2つの同期マーク間隔が過ぎたとしても、RRO書き込みイベント533が生じる時点は、NWCNTR=2,WCNTR=w1ではなく、NWCNTR=1,WCNTR=w1で定義される。
【0066】
図4および5に図示される第1の実装において生じる欠損したRRO書き込みイベントを防ぐべく、図6に示されるような本開示の発明の第1の実装の変形例においては、WCNTR602の第1のリセット612および第3のリセット632は、第1の検出されたサーボ同期マークイベント(サーボ同期マーク検出)611および第2の検出されたサーボ同期マークイベント(サーボ同期マーク検出)631によりそれぞれトリガされる。しかしながら、WCNTR602の最大カウンタ値を、サーボ同期マーク間の予期される間隔410よりもわずかに長い時間間隔610に対応する値に設定することで、WCNTR602の第2のリセット622は、621におけるサーボ同期マーク検出が存在しない場合においてもトリガされてよいが、この場合、結果的に生じるRRO書き込みイベント623は、RRO書き込みイベント613、633に対しわずかにオフセットされていてよい。間隔410に対する間隔610の超過分は、サーボ同期マーク検出イベント間の軽微な変動を許容するのに十分な長さであるべきである。この結果、サーボ同期マーク検出は、WCNTR602をリセットし、且つRRO書き込みイベントをトリガするための主要なトリガではあるが、サーボ同期マークがサーボ同期マーク検出のトリガに失敗しても、なおRRO書き込みイベントは、本来よりもわずかに遅れるのみで生じることになる。
【0067】
上記の第2の実装は、図6に示される変形例の拡張として実装されてよい。図7に見られるように、非同期カウンタ703がタイマとして用いられてよい。タイムスタンプは、各サーボ同期マーク検出701において、および、結果的に生じる各ウェッジカウンタ(WCNTR)リセット702の時点若しくはそれ以降における一様時間723においてマークされて、時差713を決定してよい。異なるイベント723が一例として図示されるが、リセットイベント自体を一様時間(不図示)として用いることは、便宜な選択である。
【0068】
図8により詳しく見られるように、第1のウェッジカウンタリセット812は、サーボ同期マーク検出イベント811によりトリガされてよいが、後続のウェッジカウンタリセット822、832等はそれぞれ、WCNTR802の最大値を設定することで、前のウェッジカウンタリセットからの時間経過によりトリガされてよい。しかしながら、サーボ同期マーク821、831等は継続して検出され、各ウェッジカウンタリセット822、832等の場合と同様に、タイマ703を用いてタイムスタンプが付される。
【0069】
図6の場合と同様に、各ウェッジカウンタリセット822、832等は、対応するRRO書き込みイベント823、833等をトリガする。RRO書き込みイベント813はウェッジカウンタリセット812によりトリガされてよいが、タイミングが後述のように確認された後で、完全な一巡りが完了するまで待機し、且つ、現在のトラック上での最後のRRO書き込みイベントとしてRRO書き込みイベント813を実行することで、より良好な結果が得られてよい。
【0070】
各サーボ同期マーク検出イベント811、821、831等と、結果的に生じる書き込カウンタリセット812、822、832等の間の時差713が測定されてよい。時差が、1組のSSM検出イベント/WCNTRリセットイベントと、次の組のSSM検出イベント/WCNTRリセットイベントとの間で一定でない場合は、訂正措置が取られてよい。訂正措置は、RRO書き込みイベントタイミングまたはディスク回転の調整を含んでよいが、最も単純な訂正措置は、現在のトラック(またはディスク全体に対する)へのRRO書き込み操作を中止し、再開することであってよい。
【0071】
これらの第2の実装のタイミングの重要性を理由として、ディスク回転数の制御(ディスク同期書き込み(disk synchronous write)またはDSW制御)も重要である。典型的なDSW制御は、後続のサーボ同期マーク間の間隔を測定し、フィードバックを用いて、一定のディスク回転数を維持すべく、例えばPLL(phased-lock loop)を制御する。このような典型的なDSWアプローチは、現在のサーボ同期マークとその直前のサーボ同期マークとの間の間隔のみを確認して、当該間隔が予期される間隔から予め定められた閾値よりも逸れる場合にのみ訂正を行い、小さな誤差のそれぞれはそれ自体が小さ過ぎて訂正の閾値を満たさないが、これら小さな誤差は蓄積され得、決して検出されることがない。
【0072】
従って、本開示の発明の実装による改善されたDSW制御技術は、システム初期化時の初期サーボ同期マークの発生時点、後続するサーボ同期マーク間の予期される間隔、および初期サーボ同期マーク以降に過ぎた間隔数に基づき、現在のサーボ同期マークの検出時間を前のサーボ同期マークではなく、現在のサーボ同期マークの生じる予期される時間と比較する。このような技術によれば、ひとたび1つのサーボ同期マークが予期される時間以外の時点で検出されると、それぞれの後続のサーボ同期マークは、たとえ、それぞれが前の同期マークから正確に予期される間隔で検出されるとしても、それと同一量だけ予期される時間から逸れることになる。複数のサーボ同期マークが予期される間隔から小さな量(上述の典型的な技術の検出閾値未満)だけ逸れる場合、最終的に蓄積された誤差が検出され、訂正措置、例えば位相同期ループ等の時間ベースジェネレータの調整またはディスク角速度の調整またはその両方が取られてよい。
【0073】
典型的なDSW技術と先述のDSW技術("新DSW")のとの差異については、図9内の表で確認できる。表では、17個のサーボウェッジ(NWCNTR=0,...,16)に関し2つの技術を比較し、ターゲットのウェッジ‐ウェッジ間(すなわち、SSM‐SSM間)の間隔は1000の時間単位を前提とする。行901は、SSM検出イベント(SSMF)の実際のタイムスタンプを示し、第1のウェッジは、t=1000で検出されている。
【0074】
行904は、t=1000におけるその初期SSMFに基づく、ターゲットのSSMFタイムスタンプを示す。ターゲット間隔は1000の時間単位で、第2のウェッジから第17のウェッジまでのターゲットタイムスタンプは、2000,3000,4000,...,17000である。行901に見られるように、第2のウェッジから第17のウェッジまでの実際のタイムスタンプは、2000.5,3000.5,4001,5001,6001,7001.5,8001.5,9001.5,10001.5,11002,12002,13002,14002,15002,16002および17002である。
【0075】
行902および行903は、これらの相違が典型的なDSW技術を用いて処理される場合を示す。行902に示されるように、第3、第5、第6、第8、第9、第10および第12~第17のSSMFについては、それぞれ前のSSMFから時間単位1000のの予期される間隔で生じている。第2、第4、第7および第11のウェッジについてのみ、各SSMFがそれぞれ前のSSMFから時間単位1000以外の間隔で生じている。この例では、第2、第4、第7および第11のウェッジの各々のSSMFは、それぞれ前のSSMFから1000.5の時間単位で生じており、これは、それらのウェッジの各々について時間単位0.5の逸れである。典型的なDSW技術によると、これらの逸れは、検出の閾値未満であり得るため、訂正措置が行われない可能性があり、後続のウェッジでエラーが蓄積して、それぞれの予期される時間から時間単位2となり得る(典型的なDSW技術では903で検出されないが、先述のDSW技術(新DSW)では905で表示)。
【0076】
先述のDSW技術(新DSW)は、上記した第2の実装と連携して用いられてよい。またこのDSW技術は、上記した第1の実装と共に用いられてもよい。しかしながら、このDSW技術の使用は、第1の実装では、各ウェッジは、初期サーボ同期マークからの時間間隔ではなく、自身のサーボ同期マークによって検出されるので、第1の実装では検出可能な改善をもたらさないであろう。
【0077】
上に特記したように、図4~6と関連付けて説明した第1の実装および図7および図8に関連付けて説明した第2の実装は、これらの実装がRRO書き込み頻度をサーボ頻度と合致させようとする一方、サーボパターンの位相への合致をしようとしない点において、非同期的として説明されてよい。しかしながら、本開示の発明のいくつかの第3の実装は、同期的として説明されてよく、この実装は、RRO書き込みパターンの位相とサーボパターンの位相との合致も試みる。
【0078】
これらの第3の実装により、図7および図8に関し説明し、且つ、図9に関連して説明したDSW技術と連携させて、第2の実装のうちの1つのような技術を用いてRRO頻度を設定してよい。RRO頻度が設定された後であって、実際のRROデータが書き込まれる前に、2Tパターン(110011001100...)等の位相較正パターンが、各RROフィールドに書き込まれてよい。その後、位相較正パターンが読み取りおよび復調されて、後により詳しく説明されるように、DSW頻度からの位相オフセットおよびどのくらい書き込みパターンが遅延されるべきかを決定して、その位相をDSW頻度の位相と揃えてよい。その遅延が決定された後、各RROフィールドが、第2の実装により上述したように書き込まれる。
【0079】
図10は、復調書き込み較正パターン1001を、理想的位相パターン1002の1つの完全な周期と比較した例を示す。見て取れるように、書き込みパターン1001の1つの完全な周期1011は、理想的位相パターン1002に対し位相遅延(PH)1003分遅延している。すなわち、書き込みパターン1001の周期1011は、理想的位相パターン1002より、遅延量PH1003だけ遅れて開始している。時間を後方に戻すのは不可能なので、書き込みパターン1001の位相を早めることはできない。しかしながら、書き込みパターン1001の位相は、1周期の残余Tshift1004だけさらに遅延させてよい。その結果、書き込みパターン1001は1つの完全な周期分遅延され、効果的に書き込みパターンを、理想的パターン1002と同一位相に戻す。
【0080】
いくつかの実装において、書き込みパターン1001は、サーボ信号の単位、すなわち"DiBit"で変調され、"DiBit"は、現在のトラック上の1チャネルビットに必要な物理的書き込みクロックサイクル数、BitSizeでスケーリングされてよい。いくつかの実装において、スケーリング係数は4である。故に、Tshift1004のスケーリングされていない値がTshift=(1-PH)である場合、Tshiftのトライアルスケーリング値は、Tshift=(1-PH)×BitSize×4である。当該シフトは、ウェッジカウンタ単位の整数WCNTR_OFFSET1014をウェッジカウンタWCNTRに適用した後、位相の剰余1024を適用することで得られてよい。
Tshift=(1-PH)×BitSize×4
WCNTR_OFFSET=div(Tshift,4)
Phase_remainder_1=mod(Tshift,4)
例えば、位相の剰余1024は、開始位相オフセットとして適用されてよい一方、WCNTR_OFFSET1014は、書き込みカウンタWCNTRのカウンタターゲットを増大させて適用されてよい(すなわち、WCNTRがリセットされる値)。
【0081】
通常、較正パターンを最終パターンで正確に上書きすることは不可能であり得るので、較正パターンはRROパターンの最終位置には書き込まれず、このことが、残留ノイズを残し得る。従って、RROパターンが書き込まれた後、書き込まれたトライアルRROパターンは位置オフセットを検査され、位置オフセットは書き込まれたトライアルRROパターンを、サーボウェッジ内のその所望の位置にシフトするために必要なDiBitの整数DBOffsetである。
【0082】
DBOffsetが決定されると、DBOffsetは、Tshiftと同様に、WCNTR_OFFSET単位の整数および位相の剰余に分解される。
Offset=DBOffset×BitSize-Phase_remainder_1
WCNTR_OFFSET=ceil4(Offset)
Phase_remainder_2=WCNTR_OFFSET-Offset
式中、ceil(Offset)は、Offset以上の4の最小公倍数である(すなわち、Offsetが4の倍数である場合、ceil(Offset)=Offsetである一方、Offsetが4の倍数でない場合、ceil(Offset)はOffsetより大きい4の最小公倍数である)。
【0083】
第3の実装においては、TshiftおよびDBOffsetのこれらの位相調整決定がすべてのトラック上のすべてのサーボウェッジに対し実行される。TshiftおよびDBOffsetの2つの要素のうちの各々について、1つはウェッジカウンタ調整であり、1つは位相の剰余である。その後、各トラック上の各ウェッジにいつRROフィールドを書き込むかの決定が第2の実装によりなされるが、RROデータの任意の特定のウェッジへの実際の書き込み前に、位相調整Tshift‐DBOffsetがWCNTR‐OFFSET要素および剰余要素に分解され、当該特定のRRO書き込み操作に適用される。
【0084】
上記の様々な実装によるRROパターンを書き込む方法が図11~13に図示される。
【0085】
上記の第1の実装のいくつかによる方法1100が図11に図示される。1101において、現在のトラックにパターン頻度が設定される。1102において、WCNTRのターゲット値がその取り得る最大値に設定され、その結果、WCNTRは、任意の可能なウェッジ‐ウェッジ間の間隔より長い間(実質的に"永久に")カウントすることになる。1103において、サーボ同期マークイベント検出イベントが発生するや否や、WCNTRがリセットされ、カウントの開始を許容される。代替的な実装として、1112において、ターゲット値は、予期されるウェッジ‐ウェッジ間の間隔をわずかに上回る値に設定されてよく、その後、サーボ同期マーク検出イベントが発生しない場合でさえもウェッジ‐ウェッジ間の間隔が過ぎた時点で、1113において、WCNTRが設定によりリセットされてよい。1104において、WCNTRがリセットされた後、ウェッジ内のRROフィールドの位置を考慮して、および、サーボ同期マークを検出する読み取りヘッドと、RRO書き込み操作を実行する書き込みヘッドとの間の位置の差を考慮して、予め定められた時間において、RRO書き込みイベントがトリガされる。1105において、RRO書き込み操作が、1101において設定されたパターン頻度で実行される。1106において、現在のトラック内のすべてのウェッジに対し、当該トラックが完了するまで1101~1105における操作が繰り返される。ウェッジ間で、頻度が、典型的なDSW技術または上記の本開示によるDSW技術を用いて更新されてよい。1107において、すべてのトラックが完了するまで、追加のトラックそれぞれに対し1101~1106における操作が繰り返される。
【0086】
上記の第2の実装のいくつかによる方法1200が図12に図示される。1201において、ウェッジ‐ウェッジ間の間隔とウェッジ数との積が、1つのディスク回転に対応するように、時間ベースの頻度が選択される。ひとたびこの頻度が選択されると、書き込みパターン頻度は、例えば同期書き込みパターン頻度修正、すなわち米国特許第10,832,716号に説明されるような、時間ベース頻度の合理的な非整数倍数である頻度において書き込みを行うことができるサーボ書き込みパターンジェネレータの能力を用いて、この頻度から生成されてよく、当該特許は、本明細書に参照によりその全体が組み込まれる。
【0087】
1202において、WCNTRのターゲット値は、ターゲットのウェッジ‐ウェッジ間の間隔に設定される。1203において、第1のサーボ同期マークが検出され、WCNTRがリセットされる。1204において、WCNTRのリセット後、ウェッジ内のRROフィールドの位置を考慮して、および、初期サーボ同期マークを検出する読み取りヘッドと、RRO書き込み操作を実行する書き込みヘッドとの間の位置の差を考慮して、予め定められた時間において、第1のRRO書き込みイベントがトリガされる。1205において、RRO書き込み操作は、1201において設定された頻度から導出されるパターン頻度で実行される。1206において、前のWCNTRリセットからのターゲットのウェッジ‐ウェッジ間の間隔に基づき、後続のWCNTRがリセットされ、対応するRRO書き込み操作がトリガされる。
【0088】
1207において、サーボ同期マークが継続的に検出され(サーボ同期マークがWCNTRリセットのトリガに用いられないとしても)、各サーボ同期マーク検出イベントのタイムスタンプと、その対応する後続のタイマベースのWCNTRリセットイベントのタイムスタンプとの間の差が測定される。1208において、各タイムスタンプの差が、前のタイムスタンプの差と比較される。1208において、現在のタイムスタンプの差が、前のタイムスタンプの差と同一でない場合、1209において、訂正措置(RRO書き込み操作の中止および再開を含んでよい)が取られる。
【0089】
1208において、現在のタイムスタンプの差が、前のタイムスタンプの差と同一である場合、フローは1210へと継続し、1210では、例えば図9に関し上述したように、各サーボ同期マーク検出イベントが予期される時間で生じることを維持すべく、頻度が調整される。このタイムスタンプの差の比較および必要に応じた頻度の調整は、方法1200の間の任意の時点で生じてよく、方法1200の残りと並行して生じてよい。
【0090】
1211において、方法1200の上記の部分が、現在のトラック内の各ウェッジについて、当該トラックが完了するまで繰り返される。すべてのトラックが完了したら、その後、方法は次のトラックに移動する。
【0091】
上記の第3の実装のいくつかによる方法1300が図13に図示される。1301において、それぞれの較正パターン(例えば、上記の2Tパターン)がディスクの各トラック上の各ウェッジに書き込まれる。1302において、較正パターンが各ウェッジからリードバックされ、そのウェッジの各トライアル位相オフセット(Tshift)が決定される。1303において、各トライアルRROパターンが、オフセットの整数部をウェッジカウンタに、小数部を開始位相に適用する各位相オフセットを用いて、それぞれのウェッジに書き込まれる。1304において、任意の必要なさらなる位相オフセットが、各トライアルパターンからそれぞれのウェッジについて決定される。1305において、それぞれのトライアル位相オフセットから、それぞれさらなる位相オフセットを減じることで(Tshift-Offset)、各ウェッジのそれぞれの最終的位相シフトが決定される。1306において、方法1200等の方法において、各ウェッジのそれぞれの最終的位相シフトが用いられ、それぞれの最終RROパターンが、ディスクの各トラック上の各ウェッジに書き込まれる。
【0092】
以上、一定密度のサーボウェッジの特定のトラック内のRROフィールドに書き込むタイミングを制御するための方法および装置がもたらされることがわかる。
【0093】
本明細書および以降の特許請求の範囲で用いられる「AおよびBのうち一方(one of A and B)」の文言は、「AまたはB(A or B)」を意味するものとする。
【0094】
上記の内容は、本発明の原理を示すものに過ぎなこと、本発明は、説明された実施形態以外でも実施可能であること、説明された実施形態は限定ではなく説明のために示されていること、および、本発明は以降の特許請求の範囲によってのみ制限されることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】