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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036065
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】ディスプレイ用接着フィルム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20220225BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220225BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220225BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20220225BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220225BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20220225BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
G02B5/22
C09J7/38
C09J201/00
C09J11/04
C09J11/06
B32B27/18 Z
G09F9/00 313
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021134523
(22)【出願日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0105098
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521368968
【氏名又は名称】イノックス アドバンスド マテリアルズ カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】INNOX ADVANCED MATERIALS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジョン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒュン ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジョン ジョル
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ミュン スプ
【テーマコード(参考)】
2H148
4F100
4J004
4J040
5G435
【Fターム(参考)】
2H148CA04
2H148CA05
2H148CA12
2H148CA19
4F100AA17B
4F100AA17H
4F100AA28B
4F100AA28H
4F100AA33B
4F100AA33H
4F100AG00A
4F100AG00C
4F100AJ06A
4F100AJ06C
4F100AK01B
4F100AK02A
4F100AK02C
4F100AK07A
4F100AK07C
4F100AK25A
4F100AK25B
4F100AK25C
4F100AK42A
4F100AK42C
4F100AK45A
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4F100AK51B
4F100AK52B
4F100AK53B
4F100AK54A
4F100AK54C
4F100AK55A
4F100AK55C
4F100AR00D
4F100AR00E
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CA02B
4F100CA13B
4F100GB41
4F100JB13B
4F100JB14B
4F100JD10B
4F100JD10H
4F100JK12D
4F100JK12E
4F100JL11B
4F100JL14A
4F100JL14C
4F100JN01A
4F100JN01B
4F100JN01C
4F100JN06D
4F100JN06E
4F100YY00
4J004AA10
4J004AA14
4J004AB01
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC03
4J004CE01
4J004DB01
4J004FA08
4J040DF001
4J040EC001
4J040EF001
4J040EK001
4J040HA136
4J040HC16
4J040HC21
4J040JA02
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA03
4J040KA13
4J040KA16
4J040KA35
4J040LA10
4J040MA02
4J040MA05
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB09
4J040NA17
5G435AA01
5G435AA02
5G435BB05
5G435BB12
5G435HH02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】近赤外線領域で高い吸収能を有して、可視光線領域では高い透過率を保持することができるため、視認性が確保できるディスプレイ用接着フィルムを提供する。
【解決手段】接着樹脂及び近赤外線遮断剤を含む組成物が硬化して製造され、
400nm~800nmの波長帯の可視光線透過率は80%以上であり、800nm超1,500nmまでの波長帯の近赤外線透過率が5%~50%である、
ディスプレイ用接着フィルム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着樹脂及び近赤外線遮断剤を含む組成物が硬化して製造され、
400nm~800nmの波長帯の可視光線透過率は80%以上であり、800nm超1,500nmまでの波長帯の近赤外線透過率が5%~50%である、
ディスプレイ用接着フィルム。
【請求項2】
前記近赤外線遮断剤は、金属酸化ナノパウダー(Metal oxide nano Powder)、近赤外線染料、又はこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、
請求項1に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項3】
前記金属酸化ナノパウダーは、インジウムスズ酸化物(ITO)、CWO(セシウムがドープされたWO)、WO、又はこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、
請求項2に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項4】
前記金属酸化ナノパウダーは、インジウムスズ酸化物(ITO)、CWO(セシウムがドープされたWO)及びWOのうち1種以上を含むことを特徴とする、
請求項2に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項5】
前記近赤外線染料は、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、ベンゾポルフィリン系化合物、スクアリリウム系化合物、アントラキノン系化合物、クロコニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、ジチオール金属錯体、又はこれらの組み合わせを含み、800nm超1,200nmまでの波長帯で最大吸収波長を有することを特徴とする、
請求項2に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項6】
前記接着樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、又はこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、
請求項1に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項7】
前記接着フィルムは、800nm超~1,000nmの波長帯の近赤外線透過率が10%~50%であることを特徴とする、
請求項1に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項8】
前記組成物は、前記接着樹脂100重量部に対し前記近赤外線遮断剤0.5~8重量部を含むことを特徴とする、
請求項1に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項9】
前記組成物は、前記接着樹脂100重量部に対し熱硬化剤0.1~10重量部をさらに含むことを特徴とする、
請求項1に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項10】
前記組成物は、前記接着樹脂100重量部に対し光重合開始剤0.1~10重量部をさらに含むことを特徴とする、
請求項1に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項11】
前記接着フィルムの一面または両面に離型フィルム、透明基材フィルム及びガラス(glass)のうちいずれか以上がさらに付着したことを特徴とする、
請求項1に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項12】
前記ディスプレイ用接着フィルムは、
前記接着フィルムの一面及び他面に前記離型フィルムが形成されたことを特徴とする、
請求項11に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項13】
前記ディスプレイ用接着フィルムは、前記接着フィルムの一面及び他面に前記離型フィルム及び前記透明基材フィルムがそれぞれ一つずつ形成されたことを特徴とする、
請求項11に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項14】
前記ディスプレイ用接着フィルムは、前記接着フィルムの一面及び他面に、前記透明基材フィルム及び前記ガラスがそれぞれ一つずつ形成されたことを特徴とする、
請求項11に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項15】
前記透明基材フィルムは、ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリプロピレン(PP)、アクリル、又はこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、
請求項11に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項16】
前記透明基材フィルムは、反射防止層(anti-reflection)、低反射層(Low-reflection)、及びハードコーティング層のうちいずれかをさらに含むことを特徴とする、
請求項11に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項17】
前記ガラスは、反射防止層(anti-reflection)、低反射層(Low-reflection)、及びハードコーティング層のうちいずれかをさらに含むことを特徴とする、
請求項11に記載のディスプレイ用接着フィルム。
【請求項18】
請求項1~請求項17のうちいずれか一項によるディスプレイ用接着フィルムを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ用接着フィルムに関するものであって、より具体的には、近赤外線領域で高い吸収能を有して、可視光線領域では高い透過率を保持することができるため、視認性が確保できるディスプレイ用接着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ産業において、近赤外線は吸収して、可視光線透過率に優れる接着フィルムが求められている。
【0003】
従来には可視光線透過率及び低波長帯(800~1,000nm)の近赤外線透過率にいずれも優れた接着フィルムが開発されたことはあるが、低波長帯の近赤外線透過率が高くて、視認性が低下する問題があった。また、従来には視認性を改善するためにインジウムスズ酸化物(ITO)を用いていたが、近赤外線の吸収能が足りなくて、紫外線による光着色現象が発生し、可視光線透過率が低下する問題があった。かかる問題点を解決するために、近赤外線透過率を低くし、可視光線領域では透過率を高く保持することのできる接着フィルムに対する研究が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した問題点を解決するために、400nm~800nmの波長帯の可視光線透過率は80%以上であり、800nm超~1,500nmの波長帯の近赤外線透過率が5%~50%であるディスプレイ用接着フィルムを提供することを目的とする。
【0005】
しかし、本発明が達成しようとする技術的課題は、以上に言及した課題に制限されず、言及していない他の課題は、下記の記載から当業者にとって明確に理解することができるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例によれば、本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、接着樹脂及び近赤外線遮断剤を含む組成物が硬化して製造され、400nm~800nmの波長帯の可視光線透過率は80%以上であり、800nm超1,500nmまでの波長帯の近赤外線透過率が5%~50%である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、400nm~800nmの波長帯の可視光線透過率は高くして、800nm超1,500nmまでの波長帯の近赤外線透過率は低くすることにより、視認性が著しく改善する効果がある。
【0008】
また、本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、接着フィルムの一面または両面に離型フィルム、透明基材フィルム、及びガラス(glass)のうちいずれか以上が付着することにより、接着フィルムに反射される光を減少させ、迷光を除去して、視認性がさらに改善する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例によるディスプレイ用接着フィルムを示す断面図。
図2】本発明の他の実施例によるディスプレイ用接着フィルムを示す断面図。
図3】本発明の他の実施例によるディスプレイ用接着フィルムを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の目的、特定の長所及び新規な特徴は、添付の図面に連関する以下の詳細な説明と好ましい実施例によってさらに明らかになる。本明細書における「一面」、「他面」、「両面」などの用語は、一構成要素を他構成要素から区別するために使われるものであって、構成要素が上記用語によって制限されるものではない。以下では、本発明の説明において、本発明の要旨を曖昧にする、関連した公知の技術に対する詳細な説明は省略する。
【0011】
本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、接着樹脂及び近赤外線遮断剤を含む組成物が硬化して製造され、400nm~800nmの波長帯の可視光線透過率は80%以上であり、800nm超1,500nmまでの波長帯の近赤外線透過率が5%~50%である。
【0012】
先ず、本発明によるディスプレイ用接着フィルムの製造用組成物は、接着樹脂を含む。
【0013】
前記接着樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0014】
前記ウレタン樹脂は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、1,2-ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、1,4-ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、これら各々の親水性基置換物、これら各々の水素添加物、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、ポリイソシアネート、ポリオール、及び(メタ)アクリル酸を反応させて製造されたものであってもよい。
【0015】
前記ポリイソシアネートは、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネートエステル、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0016】
前記ポリオールは、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0017】
前記アクリル樹脂は、単官能性(メタ)アクリレート樹脂、多官能性(メタ)アクリレート樹脂、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。前記単官能性(メタ)アクリレート樹脂としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキシド変性アクリレート、フェノール(エチレンオキシド2モル変性)アクリレート、フェノール(エチレンオキシド4モル変性)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキシド変性アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキシド変性アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキシド4モル変性)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキシド8モル変性)アクリレート、ノニルフェノール(プロピレンオキシド2.5モル変性)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、エチレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、β-(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンスクシネート、n-(メタ)アクリロイルオキシアルキルヘキサヒドロフタルイミド、これら各々の親水性基置換物、及びこれら各々の親水性基置換物からなる群から選択される1種以上の単量体の重合体を含んでいてもよい。
【0018】
前記多官能性(メタ)アクリレート樹脂としては、2官能性(メタ)アクリレート樹脂、3官能性(メタ)アクリレート樹脂、4官能性、又はそれ以上の(メタ)アクリレート樹脂、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0019】
前記2官能性(メタ)アクリレート樹脂としては、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、2-エチル-2-ブチル-プロパンジオール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリトリトールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、及びこれら各々の親水性基置換物からなる群から選択される1種以上の単量体の重合体を含んでいてもよい。
【0020】
前記3官能性(メタ)アクリレート樹脂としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリルオキシエチル]イソシアヌレート、及びこれら各々の親水性基置換物からなる群から選択される1種以上の単量体の重合体を含んでいてもよい。
【0021】
前記4官能性又はそれ以上の(メタ)アクリレート樹脂としては、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれら各々の親水性基置換物からなる群から選択される1種以上の単量体の重合体を含んでいてもよい。
【0022】
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、トリスヒドロキシルフェニルメタン系エポキシ樹脂、テトラフェニルメタン系エポキシ樹脂、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。このとき、前記ビスフェノール系エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂などがある。エポキシ系樹脂として現在、市販されている製品にはビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、kukdo化学のYD-020、YD-020L、YD-019K、YD-019、YD-017H、YD-017R、YD-017、YD-014、YD-014ER、YD-013K、YD-012、YD-011H、YD-011S、YD-011などがある。そして、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、kukdo化学のYDCN-500-80PCA60、YDCN-500-80PBC60、YDCN-500-90PA75、YDCN-500-90P、YDCN-500-80P、YDCN-500-10P、YDCN-500-8P、YDCN-500-7P、YDCN-500-5P、YDCN-500-4P、YDCN-500-1Pがあり、日本化薬株式会社のEOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、EOCN-1012、EOCN-1025、EOCN-1027、dongdo化成のYDCN-701、YDCN-702、YDCN-703、YDCN-704、YDCN-701P、YDCN-702P、YDCN-703P、YDCN-704P、YDCN-701S、YDCN-702S、YDCN-703Sなどがある。また、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、YDPN-638A80、YDPN-644、YDPN-637、YDPN-636、YDPN-638、YDPN-631などがある。
【0023】
前記シリコン樹脂は、溶媒付加型樹脂、溶媒縮合型樹脂、溶媒紫外線硬化型樹脂、無溶媒付加型樹脂、無溶媒縮合型樹脂、無溶媒紫外線硬化型樹脂、無溶媒電子線硬化型樹脂、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0024】
次に、本発明によるディスプレイ用接着フィルムの製造用組成物は、近赤外線遮断剤を含む。
【0025】
前記組成物は、前記接着樹脂100重量部に対し前記近赤外線遮断剤0.5~8重量部を含むことにより、近赤外線の透過を抑えて、可視光線透過率を高めることができる。
【0026】
前記近赤外線遮断剤は、金属酸化ナノパウダー(Metal oxide nano Powder)、近赤外線染料、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。前記金属酸化ナノパウダーは、インジウムスズ酸化物(ITO)、CWO(セシウムがドープされたWO)、WO、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。好ましくは、前記金属酸化ナノパウダーとして、インジウムスズ酸化物(ITO)と共に、CWO(セシウムがドープされたWO)及びWOのうち1種以上を共に用いることができる。前記インジウムスズ酸化物は、1,200nm~1,500nmの長波長を吸収することができる。また、CWO(セシウムがドープされたWO)、WOは、800nm超~1,500nmの波長を吸収することができる。好ましくは、可視光線領域で高効率に接着フィルムの透明性を保持して、視認性を確保するために、前記インジウムスズ酸化物の粒子、CWO(セシウムがドープされたWO)又はWOの粒子の直径は、10nm~100nmであってもよい。
【0027】
前記近赤外線遮断剤は、近赤外線染料を含むことにより、近赤外線の透過をさらに効率よく遮断することができる。前記近赤外線染料は、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、ベンゾポルフィリン系化合物、スクアリリウム系化合物、アントラキノン系化合物、クロコニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、ジチオール金属錯体、又はこれらの組み合わせを含み、800nm超1,200nmまでの波長帯で最大吸収波長を有し得る。
【0028】
次に、本発明による近赤外線遮断接着フィルムの組成物は、接着樹脂100重量部に対し熱硬化剤0.1~10重量部をさらに含んでいてもよい。前記組成物は、上記範囲の熱硬化剤を含むことにより、組成物の熱硬化を促進させる役割を果たすことができる。
【0029】
前記熱硬化剤は、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモナート、ジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボラート、ジフェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモナート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボラート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモナート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・テトラフルオロボラート、4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、4-メトキシジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ビス(4-メチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスファート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・トリルクミルヨードニウムヘキサフルオロホスファートなどのヨードニウム塩;トリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナートなどのスルホニウム塩;トリフェニルピレニルメチルホスホニウム塩などのホスホニウム塩;(η6-ベンゼン)(η5-シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロアンチモナート;o-ニトロベンジルシリルエーテルとアルミニウムアセチルアセトナートの組み合わせ;シルセスキオキサンとアルミニウムアセチルアセトナートの組み合わせ;メラミン系樹脂;有機過酸化物(例えば、ケトンペルオキシド、ペルオキシケタール、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネートなど)、ルイス酸(三フッ化ホウ素、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化スズなど)、アソ化合物(アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)など)、酸(有機酸または低温加熱により酸を発生させるスルホニウム塩系酸発生剤など)、塩基(脂肪族ポリアミンなどのポリアミン、イミダゾール、ヒドラジッド及びケチミンなどのアミン化合物、低温加熱によりアミン化合物を発生させる化合物など)、ポリアミド樹脂、ポリメルカプタン、白金族系金属化合物またはその錯体(塩化白金(IV)、塩化白金酸六水化物、ビス(アルキニル)ビス(トリフェニルホスフィン)白金錯体など)、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。かかる熱硬化剤は、市販品として45S(burimケミカル)、DS-HF 10929TKI CATALYST(帝国インク製造社製、メラミン樹脂)が挙げられる。
【0030】
次に、本発明による近赤外線遮断接着フィルムの組成物は、接着樹脂100重量部に対し光重合開始剤0.1~10重量部をさらに含んでいてもよい。前記組成物は、上記範囲の光重合開始剤を含むことにより、組成物の紫外線の照射による硬化を促進させる役割を果たすことができる。
【0031】
前記光重合開始剤は、ベンゾフェノン又はその誘導体、ベンジル又はその誘導体、アントラキノン又はその誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン誘導体、ジエトキシアセトフェノン、4-t-ブチルトリクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン誘導体、2-ジメチルアミノエチルベンゾエート、p-ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジフェニルジスルフィド、チオキサントン及びその誘導体、カンファーキノン、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシル酸、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシ-2-ブロモエチルエステル、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシ-2-メチルエステル、7,7-ジメチル-2,3-ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボキシル酸クロライド等のカンファーキノン誘導体;2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1などのα-アミノアルキルフェノン誘導体;ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジエトキシホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジメトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジエトキシフェニルホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド誘導体;又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0032】
本発明によるディスプレイ用接着フィルムの製造用組成物は、前記接着樹脂100重量部に対し紫外線遮断剤1~15重量部を含むことにより、紫外線透過を抑えて、可視光線透過率を高めることができる。前記紫外線遮断剤は、紫外線吸収剤、光安定化剤、及び酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0033】
前記組成物は、前記紫外線吸収剤を含むことにより、紫外線によって温度が上昇して、接着フィルムの物性が変わるか、長時間、紫外線によって透過率が低下する光着色現象の発生を抑制することができる。前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリチル酸化合物、トリアジン化合物、ベンゾトリアゾリル化合物、ベンゾイル化合物などの有機紫外線吸収剤、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムなどの無機紫外線吸収剤、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。好ましくは、前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、又はこれらの組み合わせを含むことにより、可視光線透過率を高く保持できるとともに、紫外線に対する耐久性が向上し得る。
【0034】
また、前記組成物は、前記光安定化剤を含むことにより、光着色現象の発生を抑制することができ、紫外線吸収剤の劣化を防止して、紫外線吸収剤の性能保持に寄与することができる。前記光安定化剤は、HALs(hindered amine light stabilizer)であってもよく、一例として、前記HALsの種類としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-[2-[3-(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-4-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4,5]デカン-2,4-ジオン、ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロネート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート)、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート)、(Mixed 1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、Mixed{1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/β,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、(Mixed2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、Mixed{2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/β,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノール]、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重合物、N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス-(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン-1,3,5-トリアジン-N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジル)エステルなどがある。
【0035】
また、前記組成物は、前記酸化防止剤を含むことにより、接着フィルムの酸化及び劣化を抑えて、接着フィルムの耐候性を向上させることができる。一例として、前記酸化防止剤の種類としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、及びリン(phosphorus)系酸化防止剤などを必要に応じて適宜用いることができる。酸化防止剤としては、具体的には例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート、2,2’-メチレンビス-(4-メチル-6-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]メタン、1,3,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェノール)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’-t-ブチルフェノール)ブチル酸グリコールエステル、及びイソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナートなどがある。
【0036】
また、前記組成物は、前記接着樹脂100重量部に対し前記紫外線吸収剤0.02~5重量部、前記光安定化剤0.05~5重量部、前記酸化防止剤0.05~5重量部を含んでいてもよい。前記組成物は、前記接着樹脂100重量部に対し前記紫外線吸収剤0.02~5重量部を含むことにより、紫外線吸収剤が析出することを防止して、接着フィルムの透明性及び意匠性に影響を及ぼさず、紫外線を十分吸収することができる。前記組成物は、前記接着樹脂100重量部に対し前記光安定化剤0.05~5重量部を含むことにより、光安定化剤の効果を十分発揮することができ、接着フィルムから前記光安定化剤が析出することを防止して、接着フィルムの透明性及び意匠性に影響を及ぼさないことができる。前記組成物は、前記接着樹脂100重量部に対し前記酸化防止剤0.05~5重量部を含むことにより、酸化防止剤の添加による効果を接着フィルムで十分発揮することができ、接着フィルムから前記酸化防止剤が析出することを防止して、接着フィルムの透明性及び意匠性に影響を及ぼさないことができる。
【0037】
また、本発明によるディスプレイ用接着フィルムの製造用組成物は、必要に応じて、メチルヒドロキノン、ヒイドロキノン、2,2-メチレン-ビス(4-メチル-6-tertブチルフェノール)、カテコール、ヒドロ-8-キノンモノメチルエーテル、モノ-tertブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tertブチルヒドロキノン、p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニル-p-ベンゾキノン、2,5-ジ-tertブチル-p-ベンゾキノン、ピクリン酸、クエン酸、フェノチアジン、tertブチルカテコール、2-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、及び2,6-ジ-tertブチル-p-クレゾールなどの重合禁止剤;アクリルゴム、ウレタンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴムなどの各種エラストマー;無機フィラー;溶剤;増量材;補強材;可塑剤;増粘剤;追加染料;顔料;難燃剤;シランカップリング剤;界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0038】
特に、本発明による前記組成物の硬化物である接着フィルムは、400nm~800nmの波長帯の可視光線透過率は80%以上であり、800nm超1,500nmまでの波長帯の近赤外線透過率が5%~50%である。
【0039】
より具体的には、前記接着フィルムは、800nm超~1,000nmの波長帯の近赤外線透過率が10%~50%であってもよい。ここで、前記可視光線透過率は、UV-Vis-NIRスペクトロメータ(Perkin Elmer,Lambda 1050+)を用いて400nm~800nmの波長帯で各波長別透過率を測定した後、これらを平均して得た値である。前記近赤外線透過率は、UV-Vis-NIRスペクトロメータ(Perkin Elmer,Lambda 1050+)を用いて800nm超~1,500nmのうち特定波長帯で各波長別透過率を測定した後、これらを平均して得た値である。
【0040】
太陽光のスペクトラム波長は、物質固有の特性であり、通常、紫外線波長帯は280nm~400nm未満、可視光線波長帯は400nm~800nm、近赤外線波長帯は800nm超1,500nmまでに分類されうる。特に、視認性に影響を及ぼす領域は、400nm~800nmであって、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)に認識されうる。
【0041】
ここで、本発明によるディスプレイ用接着フィルムの近赤外線遮断剤に含まれている金属酸化ナノパウダーによって、800nm超1,500nmまでの波長帯の近赤外線を遮断することができる。特に、本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、近赤外線遮断剤に含まれているインジウムスズ酸化物(ITO)によって、1,000nm超の長波長の近赤外線を効率よく遮断することができる。また、近赤外線遮断剤に含まれている近赤外線染料によって、800nm超1,200nmまでの波長帯の近赤外線を効率よく遮断することができる。これによって、本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、太陽光のスペクトラム波長のうち400nm~800nmの波長帯の可視光線のみを選択的に透過することができる。すなわち、本発明のよるディスプレイ用接着フィルムは、太陽光の近赤外線波長を効率よく遮断することができ、400nm~800nmの波長帯の可視光線透過率は、80%以上に具現することで、さらに効果的に視認性を向上させることができる。
【0042】
次に、本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、接着フィルムの一面または両面に離型フィルム、透明基材フィルム、及びガラス(glass)のうちいずれか以上がさらに付着し得る。
【0043】
図1は、本発明の一実施例によるディスプレイ用接着フィルム100の断面図である。
【0044】
図1を参照すれば、ディスプレイ用接着フィルム100は、接着フィルム10の一面に形成された第1の離型フィルム20及び他面に形成された第2の離型フィルム30を含んでいてもよい。前記ディスプレイ用接着フィルム100の場合、接着フィルム10から第1の離型フィルム20及び第2の離型フィルム30がいずれも分離された後、前記接着フィルム10のみを用いることができる。
【0045】
図2は、本発明の他の一実施例によるディスプレイ用接着フィルム200の断面図である。
【0046】
図2を参照すれば、ディスプレイ用接着フィルム200は、接着フィルム11の一面に形成された透明基材フィルム21及び他面に形成された離型フィルム31を含んでいてもよい。一例として、前記透明基材フィルム21は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリプロピレン(PP)、アクリル、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0047】
前記ディスプレイ用接着フィルム200の場合、前記接着フィルム11から前記離型フィルム31が分離されて、前記接着フィルム11と前記透明基材フィルム21とが互いに付着した状態で用いられる。
【0048】
好ましくは、前記透明基材フィルム21は、反射防止層(anti-reflection)、低反射層(Low-reflection)、及びハードコーティング層のうちいずれかをさらに含むことにより、接着フィルム11に反射される光を減少させ、迷光を除去して、視認性がさらに改善する効果がある。
【0049】
図3は、本発明の他の一実施例によるディスプレイ用接着フィルム300の断面図である。
【0050】
図3を参照すれば、ディスプレイ用接着フィルム300は、接着フィルム12の一面に形成された透明基材フィルム22及び他面に形成されたガラス32を含んでいてもよい。一例として、前記透明基材フィルム22は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリプロピレン(PP)、アクリル、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。好ましくは、前記透明基材フィルム22及び前記ガラス32のうち少なくとも一つは、反射防止層(anti-reflection)、低反射層(Low-reflection)、及びハードコーティング層をさらに含むことにより、接着フィルム12に反射される光を減少させ、迷光を除去して、視認性がさらに改善する効果がある。
【0051】
本発明によるディスプレイ用接着フィルムは、ディスプレイ装置に適用することができる。一例として、前記ディスプレイ装置は、回路装置、液晶表示パネル、有機発光ダイオードパネルなどがある。
【0052】
以下では、本発明を理解するため好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明をより理解しやすくするために提供されるだけであり、下記の実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0053】
<実施例>
<接着フィルムの製造用組成物の製造>
接着樹脂(AR)、1種以上の近赤外線遮断剤(NIR-A)及び硬化剤(PI)を混合して、接着フィルムの製造用組成物を製造した。各成分の種類及び含量を整理して、下記表1に示した。
【0054】
【表1】
【0055】
-AR(接着樹脂):burimケミカル、BA8900
-NIR-A1(CWO):住友金属鉱山、YMF-02A(固形分28.5%、CWO含量18.5%)
-NIR-A2(WO):NST、N2B9(固形分23%、WO含量15%)
-NIR-A3(近赤外線染料):Americandye source、NIR949C
-NIR-A4(ITO):DKナノ、dk444
-PI(熱硬化剤):burimケミカル、45S
【0056】
<接着フィルムの製造>
前記実施例1~9及び比較例1~9で製造された各々の組成物を反射防止処理されたポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムに25μmの厚さに塗布した後、120℃で5分間の加熱及び60℃で3日間の熟成過程を経て硬化させて、接着フィルムを製造した。
【0057】
<実験例>
前記実施例1~9及び比較例1~9で製造された各々の接着フィルムの接着力、可視光線透過率及び近赤外線透過率を下記のような方法により評価し、その結果を下記表2に示した。
【0058】
<接着力の測定>
前記各接着フィルムをNonAlkali Glassに2kgハンドローラーを用いて付着した。付着後、24時間常温放置した後、分当たり300mmの速度で180゜に剥離して接着力を測定した。
【0059】
<可視光線透過率の測定>
UV-Vis-NIRスペクトロメータ(Perkin Elmer,Lambda 1050+)を用いて400nm~800nmの波長帯で透過率を測定した後、これらの平均値を可視光線透過率と記録した。
【0060】
<近赤外線透過率の測定>
UV-Vis-NIRスペクトロメータ(Perkin Elmer,Lambda 1050+)を用いて800nm超1,500nmまでの波長帯で各波長別透過率を測定した後、これらの平均値を近赤外線透過率と記録した。
【0061】
【表2】
【0062】
上記表2を参照すれば、実施例1~9で製造された接着フィルムは、接着力に優れるだけではなく、400nm~800nmの波長帯の可視光線透過率、800nm超1,500nmまでの波長帯の近赤外線透過率が、いずれも目標数値範囲に属することが確認できる。
【0063】
一方、比較例1~9で製造された接着フィルムは、400nm~800nmの波長帯の可視光線透過率、または800nm超1,500nmまでの波長帯の近赤外線透過率が、目標数値範囲に属さないところ、視認性が低下する現象が発生し得る。また、比較例6及び8で製造された接着フィルムは、接着力が低くて、工程中に接着フィルムが剥離し得る問題が発生し得る。
【0064】
以上のように、本発明について説明したが、本発明は、本明細書に開示の実施例によって限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で通常の技術者によって様々な変形が行われることは自明である。さらに、本発明の実施例を前述しながら本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明しなかったとしても、該構成によって予測可能な効果も認めるべきであることは当然である。
図1
図2
図3