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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036236
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20220225BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20220225BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220225BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20220225BHJP
【FI】
F21S2/00 330
F21V5/00 320
F21Y115:10
F21Y103:10
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003043
(22)【出願日】2022-01-12
(62)【分割の表示】P 2020029023の分割
【原出願日】2016-04-07
(31)【優先権主張番号】62/144,082
(32)【優先日】2015-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504174434
【氏名又は名称】レボックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100135862
【弁理士】
【氏名又は名称】金木 章郎
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 進志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和佳子
(57)【要約】
【課題】 明るさを一定に近づけた光を所望する領域に安定的に照明できる照明装置を提供する。
【解決手段】 所定の方向に沿って配置された複数の光源と、光源から発せられる光を集光する集光レンズと、集光レンズから発せられる光を所定の方向に拡散させて出射面から出射される拡散レンズと、を備え、複数の光源から拡散レンズに向かう方向において、集光レンズの曲率中心を基準にして、集光レンズの曲率半径の2倍以上かつ4倍以下の距離だけ離隔した位置に拡散レンズの出射面を配置する。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に沿って配置された複数の光源と、
前記光源から発せられる光を集光する集光レンズと、
薄板状の形状を有し、前記集光レンズから発せられる光を前記所定の方向に拡散させて出射面から出射される拡散レンズと、を備え、
前記複数の光源から前記拡散レンズに向かう方向において、前記集光レンズの曲率中心を基準にして、前記集光レンズの曲率半径の2倍以上かつ4倍以下の距離だけ離隔した位置に前記拡散レンズの出射面が配置される照明装置。
【請求項2】
前記光源から発せられた光が前記集光レンズに至るまでの第1の光路長が、前記集光レンズから発せられた光が前記拡散レンズの出射面に至るまでの第2の光路長よりも短い請求項1に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光源がライン状に配列される照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の形状を有する領域を照明する装置として、所定の形状に応じて複数の光源を配置した照明装置が用いられていた。例えば、細長い形状の領域を照明するためには、複数の光源をライン状に配置した照明装置が用いられていた。所望する領域を照明することで、その領域の欠陥などを検査することができる。
【0003】
表面の情報を漏れなく取得する、例えば、傷等の表面に形成された欠陥を漏れなく検出するためには、均一に近づけた光を表面に照明する必要がある。多数の光源を並べて配置し、隣り合う光源から発せられた光を重ね合わせることで、照度ムラを少なくして明るさを均一に近づけた光を照明することができる。
【0004】
多数の光源を並べて配置することで照度ムラをある程度に抑えることができる。しかしながら、複数の光源から発せられる熱によって光源の寿命が低下する場合があり、長期間に亘って安定的に均一に近づけた光を照明することが困難となる可能性があった。
【0005】
このため、光源を収容する筐体に放熱フィンを設け、光源から発せられる熱を、放熱フィンを介して放熱する装置が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
さらに、放熱フィンによる放熱だけでは不十分である場合には、放熱フィンに空気を供給し、強制的に冷却(強制空冷)する装置も提案されていた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-203923号公報
【特許文献2】特開2014-179224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光の明るさを一定に近づけた光を所望する領域に安定的に照明できる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の照明装置は、
所定の方向に沿って配置された複数の光源と、
前記光源から発せられる光を集光する集光レンズと、
薄板状の形状を有し、前記集光レンズから発せられる光を前記所定の方向に拡散させて出射面から出射される拡散レンズと、を備え、
前記複数の光源から前記拡散レンズに向かう方向において、前記集光レンズの曲率中心を基準にして、前記集光レンズの曲率半径の2倍以上かつ4倍以下の距離だけ離隔した位置に前記拡散レンズの出射面が配置されることを特徴とする。
【0010】
集光レンズの曲率半径の2倍以上かつ4倍以下の距離だけ離隔した位置に拡散レンズの出射面を配置するので、明るさを一定に近づけることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、明るさを一定に近づけた光を、所望する形状の領域に照明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態による照明装置100の外観を下側から示す斜視図である。
図2】本実施の形態による照明装置100の外観を上側から示す斜視図である。
図3】本実施の形態による照明装置100のカバーを外した状態を示す側面図である。
図4】本実施の形態による照明装置100の光学系を示す斜視図である。
図5】本実施の形態による照明装置100の光学系を示す斜視図である。
図6】本実施の形態による照明装置100の放熱系を示す斜視図である。
図7】本実施の形態による照明装置100によって形成される光路の概略を示す斜視図である。
図8】本実施の形態による照明装置100によって形成される光路の概略を示す側面である。
図9】本実施の形態による照明装置100によって形成される光路の概略を示す正面74図である。
図10】光軸方向(Z)に沿って進行する光を示す図(図10A)と、図10Aに示す位置D1における強度分布を示すグラフ(図10B)と、図10Aに示す位置D2における強度分布を示すグラフ(図10C)と、図10Aに示す位置D3における強度分布を示すグラフ(図10D)と、図10Aに示す位置D4における強度分布を示すグラフ(図10E)とである。
図11】LED212と、ロッドレンズ220と、シリンドリカルレンズ240とのそれぞれの間の長さを異ならしめて配置した構成を示す概略図である。
図12図11A図11Cの各々の場合について、図10Aに示したD1、D2、D3及びD4の各々の位置を含む位置における照度を算出したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0014】
<<第1の実施態様>>
本発明の第1の実施態様によれば、
所定の方向に沿って配置された複数の光源(例えば、後述する複数のLED212など)と、
前記光源から発せられる光を集光する第1レンズ(例えば、後述するロッドレンズ220など)と、
前記第1レンズから発せられる光を前記所定の方向に拡散させる拡散レンズ(例えば、後述する拡散レンズ230など)と、を備え、
前記複数の光源から前記第2レンズに向かう方向において、前記第1レンズの曲率中心(例えば、後述する曲率中心ccなど)を基準にして、前記第1レンズの曲率半径(例えば、後述する曲率半径crなど)の2倍以上の距離だけ離隔した位置に前記第2レンズが配置される照明装置が提供される。
【0015】
<光学系>
照明装置は、複数の光源と第1レンズと拡散レンズと第2レンズとを備える。複数の光源と第1レンズと拡散レンズと第2レンズとによって、照明装置の光学系が構成される。照明装置の光学系は、共通する光軸(例えば、後述する光軸方向Zなど)を有する。光軸は、光束の代表となる仮想的な光線である。
【0016】
<光の方向>
本実施の形態では、光が進む方向について3つの方向を定義する。
【0017】
<光軸方向(例えば、後述するZ方向など)>
3つの方向のうちの1つの方向は、光軸方向である。上述したように、光軸は、複数の光源から発せられた光束の代表となる仮想的な光線である。なお、光軸は、1次元の単一の線である必要はなく、2次元の平面状のものもよい。光軸方向は、本実施の形態では、複数の光源から発せられ、第1レンズと拡散レンズと第2レンズとを通過する光束のうち、光の強度が最も高く中心的な位置を通過すると仮想できる光線の向きにすることができる。光軸方向は、複数の光源から発せられた光の全体的な進行方向となる。なお、本実施の形態では、この光軸を、光源などの光学素子の光軸と区別する必要がある場合には、光学系の光軸(例えば、後述する図7図9の光軸Tなど)と称する。
【0018】
<拡径方向>
また、複数の光源の各々から発せられた光は、光軸方向に進むに従って徐々に広がる。この光は、複数の光源の各々を中心にして略円錐状に広がる(後述する図7のL1参照)。光が広がる方向(以下、拡径方向と称する)について、互いに垂直な2つの方向を定義することができる。
【0019】
<光源の配列方向(第1の拡径方向(例えば、後述するX方向など))>
第1の拡径方向は、複数の光源が並べられた方向に沿った向きであり、この方向を「光源の配列方向」と称する。上述した「所定の方向」は、光源の配列方向を意味する。第1の拡径方向である光源の配列方向は、光軸方向に対して垂直な方向となる。「光源の配列方向」によって、照明装置の照明領域の長さN(後述する図7参照)を規定することができる。
【0020】
<光源の幅方向(第2の拡径方向(例えば、後述するY方向など))>
さらに、第2の拡径方向は、第1の拡径方向に対して垂直な方向であり、複数の光源の各々から発せられる光の幅を規定する方向となる。この方向を「光源の幅方向」と称する。第2の拡径方向である光源の幅方向も、光軸方向に対して垂直な方向となる。すなわち、光源の幅方向は、光軸方向と第1の拡径方向との2つの方向に対して垂直となる。「光源の幅方向」によって、照明装置の照明領域の幅W(後述する図7参照)を規定することができる。
【0021】
<複数の光源>
複数の光源は、所定の方向に沿って配置される。上述したように、「所定の方向」は、「光源の配列方向」を意味する。光源の配列方向は、照明する対象物(以下、被照明体と称する)の形状や大きさに応じて定めればよく、直線状の方向でも曲線状の方向でもよい。また、複数の光源は、一列に配置される場合だけでなく、複数列に配置されてもよい。
【0022】
複数の光源は、複数の光源の各々の光軸が同じ向きになるように配置されている。複数の光源の各々の光軸は、複数の光源の各々から発せられた光束の代表となる仮想的な光線である。複数の光源の各々の光軸の向きは、光学系の光軸と同じ向きになる。
【0023】
<第1レンズ>
第1レンズは、光源から発せられた光を集光する集光レンズとして機能する。好ましくは、第1レンズは、複数の光源の各々から発せられた光を集光する。第1レンズは、必ずしもレンズである必要はなく、光源から発せられた光を集光できる光学素子であればよい。
【0024】
なお、第1レンズは、複数の光源から発せられた光の少なくとも一部を集光できればよい。第1レンズは、光源から発せられた光を集光し、集光した光を出射する。
【0025】
第1レンズは、複数の光源が並べられた長さと同等の長さを有し、第1レンズの長手方向が光源の配列方向に沿って配置されているのが好ましい。第1レンズの長手方向を光源の配列方向に沿って配置することで、第1レンズを複数の光源の並びと揃うように配置することができる。例えば、第1レンズは、複数の光源の並びと平行に配置されるのが好ましい。複数の光源から発せられた光を第1レンズに漏れを少なくして入射させることができる。
【0026】
<拡散レンズ>
拡散レンズには、第1レンズから出射された光が入射される。拡散レンズは、拡散レンズに入射した光のうち、主に、光源の配列方向の成分の光を拡散させる。光源の配列方向の成分の光を拡散させることで、光源の配列方向の成分の光の明るさのムラを抑え、明るさを均一に近づけることができる。光の明るさを示すパラメータとしては、照度や輝度や光度や強度などを適宜に用いることができる。いずれのパラメータを用いた場合でも、均一に近づけた明るさで被照明体を照明できればよい。
【0027】
拡散レンズも、複数の光源が並べられた長さや第1レンズの長さと同等の長さを有し、拡散レンズの長手方向が光源の配列方向に沿って配置されるのが好ましい。拡散レンズの長手方向を光源の配列方向に沿って配置することで、複数の光源から発せられた光を拡散レンズに漏れを少なくして入射させることができ、複数の光源から発せられた光の明るさを光源の配列方向について均一に近づけることができる。例えば、拡散レンズは、複数の光源の並びや第1レンズと平行に配置されるのが好ましい。拡散レンズを光源の配列方向に沿って配置することで、複数の光源から発せられた光の明るさを均一に近づけ明るさのムラを低減でき、複数の光源から発せられる光を、単一の光源から発せられる光と同等に扱うことができる。
【0028】
拡散レンズは、光源の配列方向の成分の光を拡散し、拡散させた光を出射する。また、拡散レンズは、光源の配列方向とは異なる他の方向の成分の光についても拡散させて光を透過させてもよい。このようにすることで、光源の配列方向とは異なる方向の成分の光の明るさにムラがある場合でも、ムラを抑えて明るさを均一に近づけることができる。光源の配列方向に拡散させる度合いと、光源の配列方向とは異なる方向に拡散させる度合いとは、それぞれの方向で生ずる明るさのムラに応じて適宜に決めればよい。例えば、光源の配列方向に拡散させる度合いを、光源の配列方向と異なる方向に拡散させる度合いよりも大きくすることができる。
【0029】
なお、光源の配列方向とは異なる方向の成分の光について、明るさのムラを無視できるような場合には、光源の配列方向のみ拡散させ、光源の配列方向とは異なる方向には拡散させずに光を透過させてもよい。
【0030】
このように、拡散レンズによって拡散された光は、拡散レンズを透過して出射される。
【0031】
<第2レンズ>
第2レンズには、拡散レンズから発せられた光が入射される。第2レンズは、入射した光を集光する機能を有する。第2レンズは、拡散レンズから発せられた光を集光し、集光した光を出射する。第2レンズは、必ずしもレンズである必要はなく、拡散レンズから発せられた光を集光できる光学素子であればよい。
【0032】
第2レンズも、複数の光源が並べられた長さや第1レンズの長さや拡散レンズの長さと同等の長さを有し、第2レンズの長手方向が光源の配列方向に沿って配置されているのが好ましい。第2レンズの長手方向を光源の配列方向に沿って配置することで、拡散レンズから発せられた光を第2レンズに漏れを少なくして入射させて集光することができる。例えば、第2レンズは、複数の光源の並びと平行に配置されるのが好ましい。
【0033】
<集光の過程及び形成される光路>
複数の光源から発せられた光は、全体として、光学系の光軸方向に沿って進む。本実施の形態では、光軸方向は、光源の配列方向に対して略垂直な方向である。光源から発せられた光は、各々の光源の光軸を中心にして徐々に広がりながら進む。複数の光源から発せられる光には、光軸方向の成分とは異なる方向の成分の光も含まれているが、全体として光学系の光軸方向に沿って進む。
【0034】
光軸方向に進んだ光は、第1レンズの外周面に到達して第1レンズに入射する。光軸を中心に広がった光も第1レンズに入射することができる。
【0035】
第1レンズに入射した光は、第1レンズの屈折率に応じて屈折する。屈折した光は、第1レンズの内部を、全体として光学系の光軸方向に沿って進む。第1レンズの内部を進む光にも、光軸方向の成分とは異なる方向の成分の光も含まれているが、全体として光学系の光軸方向に沿って進む。第1レンズの内部を進んだ光は、第1レンズの外周面に達する。
【0036】
第1レンズの内部を進んで外周面に達した光は、第1レンズの屈折率に応じて屈折し、第1レンズから出射する。第1レンズの入射時の屈折及び出射時の屈折によって、第1レンズの集光の特性が定まる。このように、第1レンズから出射する光は、第1レンズの集光の特性に応じて集光された光となる。
【0037】
第1レンズから出射した光は、再び、全体として、光軸方向に沿って進む。第1レンズから出射した光も、光軸方向の成分とは異なる方向の成分の光が含まれているが、全体として光学系の光軸方向に沿って進む。
【0038】
光軸方向に進んだ光は、拡散レンズに入射する。拡散レンズは、光源の配列方向の成分の光を、光源の配列方向とは異なる方向の成分の光よりも大きく拡散させる。拡散レンズは、拡散させた光を出射する。
【0039】
拡散レンズから出射した光は、再び、全体として、光軸方向に沿って進む。拡散レンズから出射した光も、光軸方向の成分とは異なる方向の成分の光が含まれているが、全体として光学系の光軸方向に沿って進む。
【0040】
光軸方向に進んだ光は、第2レンズの入射面に到達して入射する。第2レンズに入射した光は、第2レンズの屈折率に応じて屈折する。屈折した光は、第2レンズの内部を、全体として光学系の光軸方向に沿って進む。第2レンズの内部を進む光にも、光軸方向の成分とは異なる方向の成分の光も含まれているが、全体として光学系の光軸方向に沿って進む。第2レンズの内部を進んだ光は、第2レンズの外周面に達する。
【0041】
第2レンズの内部を進んで外周面に達した光は、第2レンズの屈折率に応じて屈折し、第2レンズから出射する。第2レンズの入射時の屈折及び出射時の屈折によって、第2レンズの集光の特性が定まる。このように、第2レンズから出射する光は、第2レンズの集光の特性に応じて集光された光となる。
【0042】
第2レンズから出射した光は、再び、全体として、光軸方向に沿って進む。第2レンズから出射した光も、光軸方向の成分とは異なる方向の成分の光が含まれているが、全体として光学系の光軸方向に沿って進む。
【0043】
第2レンズから出射して、光軸方向に沿って進む光が、被照明体に照射されて被照明体を照明する。
【0044】
<第1レンズの曲率中心及び曲率半径並びに第2レンズ>
複数の光源から第2レンズに向かう方向において、第1レンズの曲率中心を基準にして、第1レンズの曲率半径の2倍以上の距離だけ離隔した位置に第2レンズが配置される。すなわち、第1レンズ及び第2レンズの相対的な位置について、第1レンズの曲率中心を基準にして、第1レンズの曲率半径の2倍以上に離れて、第1レンズ及び第2レンズが配置されるという配置条件を満たす。
【0045】
第1レンズの曲率中心とは、第1レンズの表面を構成する円弧の中心である。第1レンズの曲率半径とは、第1レンズの表面を構成する円弧の半径である。なお、第1レンズの表面を構成する曲線が円弧でない場合には、第1レンズの表面を1次的に円弧で近似した曲率半径及び曲率中心にすることができる。
【0046】
例えば、第1レンズがロッドレンズである場合には、第1レンズの曲率半径は、ロッドレンズを構成する円柱側面の半径そのものであり、第1レンズの曲率中心は、ロッドレンズを構成する円柱側面から得られる中心である。ここで、ロッドレンズとは、円柱形状のレンズであり、一般に、円柱側面は精度よく研磨仕上げされ、端面は切断面にされたレンズである。
【0047】
また、第1レンズの曲率半径及び曲率中心は、次のように定義してもよい。第1レンズの入射面の形状と出射面の形状とから得られる中心を曲率中心とし、第1レンズの入射面の形状や第1レンズの出射面の形状から得られる半径を曲率半径とすることができる。ここで、第1レンズの入射面は、複数の光源から発せられた光が第1レンズに入射する面である。また、第1レンズの出射面は、拡散レンズに向かって光が出射する面である。曲率中心は、光学系の光軸上に位置するのが好ましい。また、曲率半径は、光軸上に沿った長さにするのが好ましい。
【0048】
上述したように、第1レンズ及び第2レンズは、第1レンズの曲率中心を基準にして、第1レンズの曲率半径の2倍以上に離れて、第1レンズ及び第2レンズが配置されるという配置条件を満たす。ここで、第2レンズの基準となる位置は、第2レンズの入射面でも、出射面でも、曲率中心でもよい。第2レンズの入射面とするのが好ましい。
【0049】
例えば、第2レンズは、シリンドリカルレンズなどにすることができる。シリンドリカルレンズは、レンズ作用を有しない平面と、レンズ作用を有する円筒面とを有する。第2レンズをシリンドリカルレンズにした場合には、第2レンズの入射面を平面にすることができる。平面を第2レンズの基準面にすることで、上述した配置条件を満たすための光路の調整を容易にできる。
【0050】
また、第2レンズをシリンドリカルレンズにすることで、第2レンズの光軸方向の厚みを薄くでき、光軸方向の距離を短くすることで、全体として小型化したり軽量化したりできる。
【0051】
上述したように、本実施の形態の光学系では、第1レンズ及び第2レンズの相対的な位置について、第1レンズの曲率中心を基準にして、第1レンズの曲率半径の2倍以上に離れて、第1レンズ及び第2レンズが配置されるという配置条件(以下、第1の配置条件と称する)を満たす。
【0052】
この第1の配置条件に加えて、第1レンズ及び第2レンズの相対的な位置について、第1レンズの曲率中心を基準にして、第1レンズの曲率半径の4倍以下の近さで、第1レンズ及び第2レンズが配置されるという第2の配置条件を満たすのが好ましい。
【0053】
すなわち、第1の配置条件及び第2の配置条件から、第1レンズ及び第2レンズの相対的な位置について、第1レンズの曲率中心を基準にして、第1レンズの曲率半径の2倍以上かつ4倍以下となる範囲で、第1レンズ及び第2レンズが配置されるのが好ましい。この条件を満たすことで、後述するように、平行光線を形成して被照明体を照明することができる。
【0054】
<平行光線の形成>
第1レンズによって集光されて出射される光は、第1レンズから離れるに従って徐々に広がって進む場合がある。上述した第1の配置条件を満たすように第2レンズを配置することで、第2レンズによって再び集光して、光軸方向に沿っておおよそ平行に進む光に変換することができる。すなわち、上述した第1の配置条件を満たすように、第1レンズ及び第2レンズを配置することで、光軸方向に沿って広がりにくい光に変換することができる。
【0055】
また、上述したように、拡散レンズは、第1レンズから発せられた光を所定の方向に、すなわち、光源の配列方向に拡散させる。このため、拡散によって、光源の配列方向について光の明るさを一定に近づけることができる。
【0056】
このようにすることで、光源の配列方向と光源の幅方向とによって画定される領域の明るさを一定に近づけた照明領域を形成することができる。さらに、光軸方向については、光軸方向に沿っておおよそ平行に進む光に変換されるので、照明領域の大きさを光軸方向に沿って一定にすることができる。すなわち、第1レンズ及び第2レンズについて第1の配置条件を満たすとともに、拡散レンズによって光源の配列方向に光を拡散させることで、光軸方向に沿って、一定の明るさに近づけかつ一定の大きさを有する照明領域を形成することができる。
【0057】
さらに、第1の配置条件は、第1レンズと第2レンズとの間の距離の下限として、第1レンズの曲率半径の2倍以上となるように、第1レンズ及び第2レンズを配置するものであった。しかしながら、第1レンズ及び第2レンズとの間の距離が長すぎる場合には、第2レンズによって十分に集光できず、平行光線を形成できない場合もある。このため、第1レンズと第2レンズとの間の距離の上限として、第1レンズの曲率半径の4倍以下となるように、第1レンズ及び第2レンズを配置するものが好ましい(第2の配置条件)。この上限と下限との間に含まれるように、第1レンズ及び第2レンズを配置することで、被照明体の照明にとって必要となる平行光線を常に形成することができる。
【0058】
このように、光軸方向に沿って、一定の明るさに近づけかつ一定の大きさを有する照明領域を形成できるので、照明装置から被照明体までの距離が異なるような場合であっても、一定の大きさの領域を一定の明るさで照明できる。すなわち、照明装置から被照明体までの距離を、被照明体や使用条件に応じて変更した場合でも、一定の大きさの領域を一定の明るさで照明でき、各種の被照明体や使用条件に対応可能な照明装置を提供できる。
【0059】
光学素子の数が少ない簡素な構成で平行光に近い光を形成することができ、各種の被照明体や使用条件に対応可能な照明装置を提供できる。
【0060】
<第2の実施態様>
本発明の第2の実施態様は、本発明の第1の実施態様において、
前記光源から発せられた光が前記第1レンズに至るまでの第1の光路長(例えば、後述する光路L11の長さなど)が、前記第1レンズから発せられた光が前記第2レンズに至るまでの第2の光路長(例えば、後述する光路L31と光路L41との長さなど)よりも短い。
【0061】
第1の光路長は、光源から発せられた光が第1レンズに到達するまでの光路の長さである。第2の光路長は、第1レンズから発せられた光が第2レンズに到達するまでの光路の長さである。第1レンズ及び第2レンズは、第1の光路長が第2の光路長よりも短くなるように配置される。
【0062】
本発明の第1の実施態様では、第1レンズの曲率中心を基準にして、第1レンズの曲率半径の2倍以上に離れて、第1レンズ及び第2レンズが配置されるという配置条件を規定する。さらに、本発明の第2の実施態様では、第1の光路長は、第2の光路長よりも短いという光路長条件を規定する。
【0063】
第1の光路長を第2の光路長よりも短くすることで、光源と第1レンズとの距離を短くでき、光源から発せられた光を効率よく第1レンズに入射させることができる。したがって、光源から発せられた光を無駄にすることなく、被照明体への照明に用いることができる。また、光源と第1レンズとの距離を短くできるので、照明装置を小型化することができる。
【0064】
さらにまた、第2の光路長を第1の光路長よりも長くできるので、第2レンズを位置づける条件を緩和でき、平行光になるべく近づくような最適な位置に第2レンズを配置することができる。
【0065】
<第3の実施態様>
本発明の第3の実施態様は、本発明の第1の実施態様において、
前記光源で発生した熱を放熱するための複数の放熱フィン(例えば、後述する放熱フィン350など)を有する放熱部(例えば、後述する放熱系300など)と、
前記放熱部に連結され前記光源で発生した熱を前記放熱部に伝達するための熱伝達部であって、前記光源が熱伝導可能に設けられた第1の伝達部(例えば、後述する第1の伝達部320など)と、前記第1の伝達部と熱伝導可能に連結され前記光源から離れる方向に延在する第2の伝達部(例えば、後述する第2の伝達部330など)と、を有する熱伝達部(例えば、後述する放熱フレーム310など)と、をさらに備え、
前記複数の放熱フィンの各々は、互いに離隔して形成され、
前記複数の放熱フィンの各々は、前記第2の伝達部の延在方向に沿って前記第2の伝達部と熱伝導可能に連結された固定端(例えば、後述する固定端352など)と、前記固定端から離れた位置に形成された開放端(例えば、後述する開放端354など)と、を有する。
【0066】
照明装置は、さらに、放熱部と熱伝達部とを備える。
【0067】
放熱部は、複数の放熱フィンを有する。光源で発生した熱は、放熱フィンによって放熱される。複数の放熱フィンの各々は、互いに離隔して形成されている。
【0068】
熱伝達部は、放熱部に連結され、光源で発生した熱を放熱部に伝達する。熱伝達部は、第1の伝達部と第2の伝達部とを有する。放熱部並びに第1の伝達部及び第2の伝達部は、金属、例えばアルミニウムや銅などの熱伝導性の高い材料で構成されるのが好ましい。
【0069】
第1の伝達部には、光源が熱伝導可能に設けられている。第2の伝達部は、第1の伝達部と熱伝導可能に連結されている。第2の伝達部は、光源から離れる方向に延在するように形成されている。例えば、第2の伝達部は、第1の伝達部に対して直角に立設されているのが好ましい。光源から第1の伝達部に伝えられた熱は、第2の伝達部に伝えられる。第2の伝達部は、第1の伝達部に対して直角に立設されており、光源から離れる方向に熱を案内することができる。このように構成することで、光源から発せられた熱を、光源から積極的に離れるように導くことができる。
【0070】
さらに、複数の放熱フィンの各々の固定端は、第2の伝達部の延在方向に沿って熱伝導可能に連結されており、第2の伝達部に伝達された熱は、放熱フィンの各々の固定端に伝達される。放熱フィンの固定端に伝達された熱は、固定端から開放端に向かって伝達され、その過程で空気と接触し放熱することができる。
【0071】
このように、光源で発生した熱は、第1の伝達部から先ず第2の伝達部に伝わり、第2の伝達部を介して放熱フィンに伝わり、放熱フィンから空気へと伝わるようにして、光源から遠ざかるように熱を伝え、熱によって光源が影響されにくいようにできる。第1の伝達部から直ちに放熱フィンに伝えるのではなく、第2の伝達部に一旦熱を伝えることによって、光源で発生した熱を光源から少しでも離れた位置まで積極的に逃がすようにでき、光源を熱から的確に保護することができる。
【0072】
<第4の実施態様>
本発明の第4の実施態様は、本発明の第3の実施態様において、
前記熱伝達部は、前記第1の伝達部と熱伝導可能に連結され、互いに離隔して向かい合う第1の対向伝達部(例えば、後述する第1の対向伝達部340Rなど)及び第2の対向伝達部(例えば、後述する第2の対向伝達部340Lなど)を有し、
前記第1レンズを前記光源に対して一定の位置でかつ前記第1レンズに沿って挟持する第1の挟持部(例えば、後述する第1の挟持部360RU及び360RBなど)及び第2の挟持部(例えば、後述する第2の挟持部360LU及び360LBなど)を有し、
前記第1の挟持部は前記第1の対向伝達部に熱伝導可能に設けられ、前記第2の挟持部は前記第2の対向伝達部に熱伝導可能に設けられる。
【0073】
熱伝達部は、第1の対向伝達部及び第2の対向伝達部を有する。第1の対向伝達部及び第2の対向伝達部は、互いに離隔して向かい合うように配置される。第1の対向伝達部及び第2の対向伝達部は、第1の伝達部と熱伝導可能に連結されている。第1の対向伝達部及び第2の対向伝達部に伝わった熱も、第1の伝達部を介して第2の伝達部に伝えることができる。第1の対向伝達部及び第2の対向伝達部も、金属、例えばアルミニウムや銅などの熱伝導性の高い材料で構成されるのが好ましい。
【0074】
第1レンズは、第1の挟持部及び第2の挟持部によって第1レンズに沿って挟持される。すなわち、第1レンズは、第1の挟持部及び第2の挟持部によって全体的に挟持される。第1の挟持部及び第2の挟持部は、第1レンズを光源に対して一定の位置で挟持する。第1の挟持部及び第2の挟持部によって、第1レンズを挟持することで、光源と第1レンズとの間の距離を一定に保つことができ、光学系を安定的に維持することができる。
【0075】
第1の挟持部は第1の対向伝達部に熱伝導可能に設けられる。同様に、第2の挟持部は第2の対向伝達部に熱伝導可能に設けられる。第1の挟持部及び第2の挟持部も、金属、例えばアルミニウムや銅などの熱伝導性の高い材料で構成されるのが好ましい。
【0076】
第1レンズは、光源からの熱の影響を受ける場合もある。第1レンズが熱の影響を受けた場合には、膨張や歪みなどの変形をすることで第1レンズの光学特性が変化する可能性もある。上述しように、第1レンズは、第1の挟持部及び第2の挟持部によって全体的に挟持されており、第1の挟持部は第1の対向伝達部に熱伝導可能に設けられ、第2の挟持部は第2の対向伝達部に熱伝導可能に設けられている。このため、第1レンズに加えられた熱は、第1の挟持部及び第2の挟持部を介して第1の対向伝達部及び第2の対向伝達部に伝えることができる。
【0077】
第1レンズは、第1の挟持部及び第2の挟持部によって全体的に挟持されているので、第1レンズは、いたる箇所で、第1の挟持部及び第2の挟持部に熱を伝えることができる。第1レンズの全体の熱を第1の挟持部及び第2の挟持部に熱を伝えることができる。
【0078】
第1の挟持部及び第2の挟持部に伝えられた熱は、第1の対向伝達部及び第2の対向伝達部を介して第1の伝達部から第2の伝達部に伝えられる。上述したように、第2の伝達部に伝えられた熱は、第2の伝達部を介して放熱フィンに伝わり、放熱フィンから空気が逃がされる。このように、光源から第1レンズに熱が加えられた場合でも放熱することで、第1レンズの集光特性などの光学特性を維持することができる。
【0079】
<第5の実施態様>
本発明の第5の実施態様は、本発明の第3の実施態様において、
前記光源を制御するための制御回路部(例えば、後述する回路系400など)は、前記放熱部と前記第2の伝達部を挟んで配置される。
【0080】
制御回路部と放熱部とは、第2の伝達部を挟んで配置されている。制御回路部は、光源を制御するための回路である。制御回路部も通電により熱を発する。熱により制御回路部の特性も変化し、光源を十分に駆動できない場合もある。制御回路部は、第2の伝達部に直接に設けられており、制御回路部から発せられた熱は、第2の伝達部に伝えられる。このようにして、制御回路部で発生した熱も放熱することができる。
【0081】
<第6の実施態様>
本発明の第6の実施態様は、本発明の第3の実施態様において、
前記複数の放熱フィンの各々は、前記第1の伝達部及び前記第2の伝達部の双方に対して傾斜して設けられる。
【0082】
複数の放熱フィンの各々は、第1の伝達部に対しても第2の伝達部に対しても傾斜して設けられる。
【0083】
複数の放熱フィンの各々の開放端が、光源からなるべく遠くなるように位置づけることができ、光源からなるべく離れるように熱を移動させることができる。また、複数の放熱フィンの各々を傾斜させることで、隣り合う放熱フィンの間で空気の対流を生じさせて放熱効率を高めることができる。
【0084】
<第7の実施態様>
本発明の第7の実施態様は、本発明の第3の実施態様において、
前記複数の放熱フィンの各々は、前記固定端から前記開放端に向かって徐々に細くなる。
【0085】
隣り合う放熱フィンの間隔が、開放端に向かって徐々に広くなるようにすることで、固定端から開放端に向かって空気を移動させ易くし、空気の対流によって放熱効率を高めることができる。また、徐々に細くすることで、軽量化を図ることができる。
【0086】
<第8の実施態様>
本発明の第8の実施態様は、本発明の第4の実施態様において、
前記第2レンズは、断熱部材によって第1の対向伝達部及び第2の対向伝達部に設けられている。
【0087】
第1レンズは、熱伝導可能な第1の挟持部及び第2の挟持部によって第1の対向伝達部及び第2の対向伝達部に設けられる。すなわち、第1レンズは、光源から近い位置に配置されており、積極的に熱を逃がすように構成されている。一方、第2レンズは、断熱部材によって第1の対向伝達部及び第2の対向伝達部に設けられる。第2レンズは、光源から遠い位置に配置されており、積極的に熱が伝わらないように構成されている。
【0088】
このように、光源からの距離に応じて放熱にするか又は断熱にするかを選択することで、光源から発せられる熱に対して的確に対応することができる。
【0089】
<<<照明装置100の概要>>>
照明装置100は、被照明体を照明するための装置である。例えば、被照明体として表面を検査するための物品などがある。照明装置100で物品の表面を照明して、欠陥の有無や、欠陥の態様を検査するために用いられる。
【0090】
後述するように、照明装置100には、スリット状の開口部110(図1参照)が形成され、照明装置100は、開口部110から細長い光や線状の光を出射し被照明体である物品の表面を照明する照明装置であり、いわゆるライン型の照明装置である。
【0091】
図1は、照明装置100を下方から見たときの斜視図である。図2は、照明装置100を上方から見たときの斜視図である。図3は、側面のカバーを外したときの照明装置100の側面図である。
【0092】
照明装置100は、主に、光学系200と放熱系300と回路系400とを有する。光学系200は、被照明体を照明するための光を生成する。放熱系300は、光学系200や回路系400から発せられる熱を放熱する。回路系400は、光学系200の光源などを制御したり駆動したりする。
【0093】
図1に示すように、照明装置100は、長尺な形状を有する。照明装置100の長さは、被照明体である物品の長さや大きさに応じて適宜に決めることができる。図1に示すように、照明装置100には、下部に開口部110が形成されている。光学系200によって生成された光Rが開口部110から発せられる。図1及び図2に示す例では、開口部110から下方に向かって光Rが発せられる。
【0094】
照明装置100は、図1図3に示すように、開口部110が下向きになるように設置され、開口部110から下方に向かって光Rが発せられる。また、図1図3に示すように、放熱フィン350が照明装置100の上側に位置するように、照明装置100は設置される。すなわち、発熱源となる光学系200を下側に位置づけ、放熱系300を上側に位置づけるように照明装置100を設置することで、開放口356(図3)が上向きになるようにし、空気の対流によって積極的に放熱することができる。
【0095】
<<光学系200>>
光学系200は、主に、光源210と、ロッドレンズ220と、拡散レンズ230と、シリンドリカルレンズ240とを有する。
【0096】
<光源210>
光源210は、複数のLED212からなる。複数のLED212として、いわゆるパワーLEDを用いるのが好ましい。パワーLEDは、一般的なLEDと比較して大きい電流で駆動されるLEDである。パワーLEDを用いることで輝度を高くして照度を高めることができる。
【0097】
本実施の形態では、LED212は光源実装基板214に実装される。光源実装基板214は、LED212を駆動する電流を供給するための基板である。光源実装基板214は、いわゆるアルミ基板であり、プリント配線板が絶縁接着層によってアルミベース基板に接着され、各種の電子部品ともにLED212が装着された回路基板である。
【0098】
光源実装基板214のアルミベース基板(図示せず)は平坦な形状を有し、光源実装基板214も平坦な形状を有する。LED212は、光源実装基板214を含む平面に対して垂直方向に光を発するように、光源実装基板214の所定の位置に取り付けられている。
【0099】
さらに、所定の数、例えば、26個のLED212が、1枚の光源実装基板214に取り付けられる。光源実装基板214において、26個のLED212が、互いに等間隔に、直線状にかつ一列に並べられて取り付けられる。上述したように、LED212は、光源実装基板214を含む平面に対して垂直方向に光を発するように取り付けられており、26個の全てのLED212の光軸が同じ向きになるように、光源実装基板214に取り付けられる。なお、LED212の光軸は、光源から発せられる光束の代表となる仮想的な光線である。
【0100】
本実施の形態では、26個のLED212が、互いに等間隔に、直線状にかつ一列に光源実装基板214に取り付けられているが、複数のLED212の配置は、被照明体である物品の大きさや形状に応じて適宜に決めることができる。例えば、所定の曲線状に沿って配置しても、複数列に配置してもよい。
【0101】
後述するように、本実施の形態では、6枚の光源実装基板214が直線状にかつ一列に配置される。したがって、合計で156個(=6枚×26個)のLED212が直線状にかつ一列に配置される。LED212が直線状にかつ一列に配置することで、後述するロッドレンズ220に沿うように複数のLED212を位置づけることができる。なお、光源実装基板214の数や並べ方は、被照明体である物品の大きさや形状に応じて適宜に決めることができる。
【0102】
LED212は、光源実装基板214の端部の所定の位置まで配置され、複数の光源実装基板214を互いに隣接して並べた場合には、隣接する光源実装基板214の境界で隣り合うLED212も、他の隣り合うLED212と同じ間隔で配置される。このため、複数の光源実装基板214を互いに隣接して直線状にかつ一列に配置したときには、全てのLED212を、互いに等間隔に、直線状にかつ一列に並べることができる。
【0103】
全てのLED212を等間隔に配置することで、全てのLED212から発せられた光を互いに重ね合わせ、明るさの分布を揃えつつ少なくし、複数のLED212から発せられた光の明るさを均一に近づけることができる。なお、隣り合うLED212の間隔は、必要となる照度などの明るさに応じて定めればよい。
【0104】
複数のLED212の光の広がり(配光)は、後述するロッドレンズ220に入射できる範囲で、広いものが好ましい。LED212から発せられる光を広げることで互いに重なり合いやすくして明るさの分布を少なくして明るさを均一に近づけることができる。
【0105】
<ロッドレンズ220>
ロッドレンズ220は、円柱形状のレンズであり、円柱状の形状を有する。ロッドレンズ220は、長尺な形状を有する。ロッドレンズ220の長さは、被照明体である物品の大きさや形状に応じて適宜に決めることができる。ロッドレンズ220は、アクリルなどの合成樹脂によって形成されている。ロッドレンズ220は、透光性を有し、屈折によって光を集光できる材料で形成されていればよい。アクリルなどの合成樹脂のほか、ガラスなどで形成してもよい。
【0106】
上述したように、複数のLED212は直線状にかつ一列に配置されている。複数のLED212は、ロッドレンズ220の長手方向に沿って配置されている。複数のLED212から発せられた光は、ロッドレンズ220の円柱側面222に入射する。特に、複数のLED212の全てから発せられた光がロッドレンズ220の円柱側面222に入射させるようにするのが好ましい。複数のLED212から発せられた光を無駄にすることなく、被照明体への照明に用いることができる。
【0107】
複数のLED212から発せられた光は、ロッドレンズ220の円柱側面222に入射する。円柱側面222に入射した光は、円柱側面222で屈折してロッドレンズ220の内部に進入する。ロッドレンズ220の内部を進入した光は、ロッドレンズ220の円柱側面222に達し、円柱側面222で屈折し、ロッドレンズ220から出射する。ロッドレンズ220は、入射時の屈折と出射時の屈折により、複数のLED212から発せられた光を集光する。
【0108】
ロッドレンズ220は、複数のLED212から発せられた光を集光して、被照明体に向かうように進行方向を調整する。
【0109】
<拡散レンズ230>
拡散レンズ230は、薄板状の形状を有する。拡散レンズ230は、長尺な形状を有する。拡散レンズ230の長さは、被照明体である物品の大きさや形状に応じて適宜に決めることができる。拡散レンズ230は、ポリカーボネイトやアクリルなどの合成樹脂によって形成されている。
【0110】
拡散レンズ230の表面には、微小でランダムなレンズアレイ(図示せず)が形成されている。拡散レンズ230は、レンズアレイの拡散機能により、入射した光を所望する拡散角(配光角)で光を屈折させて拡散整形する。光を拡散することで、明るさのムラを低減することができる。拡散の態様として、例えば、あらゆる方向に広い範囲で拡散する広角に円形拡散するものや、あらゆる方向に狭い範囲で拡散する狭角に円形拡散するものや、縦横比を有し一定の方向の拡散を他の方向よりも強く拡散する楕円拡散するものなどがある。
【0111】
本実施の形態では、複数のLED212が並べられている方向について拡散するために拡散レンズ230を用いる。複数のLED212が並べられて各々のLED212から別個に発せられた光によって生ずる明るさの分布(ムラ)を、拡散レンズ230で低減して明るさを均一に近づけることができる。
【0112】
拡散レンズ230の入射面は、ロッドレンズ220に向けられ、拡散レンズ230の出射面は、シリンドリカルレンズ240に向けられている。ロッドレンズ220から出射された光は拡散レンズ230に入射する。拡散レンズ230に入射した光は、拡散レンズ230の表面に形成されている微小なレンズアレイによって拡散されて、明るさが均一に近づけられ、拡散レンズ230の出射面から出射される。
【0113】
拡散レンズ230の拡散の態様は、複数のLED212の輝度やLED212同士の間隔や、ロッドレンズ220の集光の度合いや、複数のLED212とロッドレンズ220との距離や、ロッドレンズ220と拡散レンズ230との間隔などによって適宜に決めればよい。拡散レンズ230によって拡散させることで、明るさを均一に近づけ、複数のLED212から発せられた光を、単一の光源から発せられた光と同等に扱うことができる。
【0114】
本実施の形態では、拡散レンズ230は、複数のLED212が並べられている方向について光を十分に拡散させて透過させればよく、他の方向については、拡散させることなくそのまま透過させてもよい。
【0115】
本実施の形態では、拡散レンズ230は、シリンドリカルレンズ240の入射面242に密着して設けられている。拡散レンズ230から出射した光は、シリンドリカルレンズ240の入射面242に直ちに入射する。なお、拡散レンズ230をシリンドリカルレンズ240から離隔して配置してもよい。拡散レンズ230とシリンドリカルレンズ240との間に他の光学素子、例えば、レンズやプリズムやミラーなどを配置して、光路を調整することができる。
【0116】
<シリンドリカルレンズ240>
シリンドリカルレンズ240は、全体的に薄板状の形状を有する。シリンドリカルレンズ240は、長尺な形状を有する。シリンドリカルレンズ240の長さは、被照明体である物品の大きさや形状に応じて適宜に決めることができる。シリンドリカルレンズ240は、ポリカーボネイトやアクリルなどの合成樹脂によって形成されている。また、ガラスなどで形成してもよい。
【0117】
シリンドリカルレンズ240は、平坦状に形成されてレンズ作用を有しない面242と、円柱の側面の一部を切り出した形状を有しレンズ作用を有する面244と、を有する。本実施の形態では、レンズ作用を有しない面242を入射面242とし、レンズ作用を有する面244を出射面244とする。
【0118】
拡散レンズ230から発せられた光は、レンズ作用を有しない入射面242に入射し、シリンドリカルレンズ240の内部を進行する。シリンドリカルレンズ240の内部を進行した光は、レンズ作用を有する出射面244に到達する。出射面244に到達した光は、出射面244で屈折する。この出射面244における屈折によって、シリンドリカルレンズ240は、拡散レンズ230から発せられた光を集光するように機能する。
【0119】
本実施の形態では、シリンドリカルレンズ240は、拡散レンズ230から出射された光を集光することで、平行光に近づけた光に変換し、平行光に近づけた光を被照明体に向かけて出射する。
【0120】
このように、照明装置100は、複数のLED212から発せられた光を拡散レンズ230によって明るさを均一に近づけ、明るさを均一に近づけた光をシリンドリカルレンズ240によって平行光に近づけ、明るさが均一に近くかつ平行光に近い光を生成する。明るさが均一に近くかつ平行光に近い光は、照明装置100の開口部110から出射されて、被照明体を照明する。
【0121】
上述したように、本実施の形態の光学系200は、光源210と、ロッドレンズ220と、拡散レンズ230と、シリンドリカルレンズ240とを有する場合を示したが、他の光学素子、例えば、レンズやプリズムやミラーなどを有してもよい。これらの光学素子を設けることで、光路をさらに調整することができる。
【0122】
<<光軸方向(Z方向)、光源の配列方向(X方向)、光源の幅方向(Y方向)>>
<光軸方向(Z方向)>
光軸は、複数のLED212から発せられた光束の代表となる仮想的な光線である。例えば、本実施の形態では、光軸方向は、複数のLED212から発せられ、ロッドレンズ220と拡散レンズ230とシリンドリカルレンズ240とを通過する光束のうち、光の強度が最も高く中心的な位置を通過すると仮想できる光線の向きにすることができる。光軸方向は、複数のLED212から発せられた光の全体的な進行方向となる。本実施の形態では、光軸方向をZ方向とする。
【0123】
<拡径方向(X方向及びY方向)>
また、複数のLED212の各々から発せられた光は、配光特性に従って、光軸方向に進むに従って徐々に広がる。この光は、複数のLED212の各々の光軸方向を中心にして略円錐状に広がる(図7のL1、図8のL11及びL12参照)。光が広がる拡径方向について、互いに垂直な2つの方向を定義することができる。
【0124】
<光源の配列方向(X方向)>
図9に示すように、第1の拡径方向は、複数のLED212が並べられた方向であり、複数のLED212に沿った向きであり、この方向を「光源の配列方向」と称する。本実施の形態では、光源実装基板214に、26個のLED212が直線状にかつ一列に取り付けられ、6枚の光源実装基板214が直線状にかつ一列に配置される。合計で156個(=6枚×26個)のLED212が直線状にかつ一列に配置される。156個のLED212が直線状にかつ一列に配置された方向が「光源の配列方向」である。光源の配列方向(X方向)は、光軸方向(Z方向)に対して垂直な方向となる。
【0125】
<光源の幅方向(Y方向)>
第2の拡径方向は、第1の拡径方向に対して垂直な方向であり、複数のLED212の各々から発せられた光の幅を規定する方向となる。この方向を「光源の幅方向」と称する。第2の拡径方向である光源の幅方向(Y方向)も、光軸方向(Z方向)に対して垂直な方向となる。「光源の幅方向」によって、照明装置の照明領域の幅を規定することができる。
【0126】
<<放熱系300>>
放熱系300は、放熱フレーム310からなる。放熱フレーム310は、長尺な形状を有し、長手方向の長さが、光源210やロッドレンズ220や拡散レンズ230やシリンドリカルレンズ240よりも若干長く形成されている。放熱フレーム310は、熱伝導性の高い部材、例えば、アルミニウムなどの金属から構成される。後述するに、放熱フレーム310は、各種の部品を保持する機能も有し、各種の部品を一定の位置に保持できるとともに、各種の部品から発せられる熱を伝達できる材料で構成されていればよい。
【0127】
放熱フレーム310には、光学系200や回路系400などの各種の部品が取り付けられる。光学系200や回路系400などの各種の部品から発せられる熱は、放熱フレーム310を介して放熱フィン350に伝えられる。
【0128】
また、放熱フレーム310は、照明装置100の筐体の主要部としても機能する。放熱フレーム310には、光学系200や回路系400などの各種の部品が取り付けられて保持される。
【0129】
放熱フレーム310は、主に、第1の伝達部320と第2の伝達部330と第1の対向伝達部340Rと第2の対向伝達部340Lとを有し、一体に形成されている。
【0130】
<第1の伝達部320>
第1の伝達部320は、長尺な板状の形状を有する。第1の伝達部320は、放熱フレーム310の略中央部に位置し、水平方向に延在するフレームである。
【0131】
第1の伝達部320は、厚みが薄く形成された薄板部322aと、薄板部322aよりも厚く形成された厚板部322bとを有する。厚板部322bには、第1の伝達部320の長手方向に沿って、円筒状の2つの貫通孔324が形成されている。必要に応じて2つの貫通孔324に気体や液体などの冷媒を貫流させることで、第1の伝達部320を介して放熱フレーム310を冷やすことができる。
【0132】
第1の伝達部320の下面326は、平坦に形成されている。第1の伝達部320の下面326には、長手方向に沿って複数枚の光源実装基板214が、ネジやボルトなどの係止部材216によって取り付けられている。上述したように、光源実装基板214はアルミ基板(図示せず)を有する。光源実装基板214はアルミ基板が第1の伝達部320の下面326と密着して、光源実装基板214が第1の伝達部320に取り付けられる。
【0133】
複数のLED212から発せられる熱は、光源実装基板214のアルミ基板から第1の伝達部320の下面326を介して放熱フレーム310に伝えられる。後述するように、放熱フレーム310に伝えられた熱は、放熱フィン350に伝えられて放熱される。第1の伝達部320の下面326に熱源であるLED212を設けたことにより、LED212から発せられる熱を光学系200とは反対の方向(上方側)に伝えやすくでき、光学系200に熱の影響を与えにくくできる。
【0134】
光源実装基板214のアルミ基板が第1の伝達部320の下面326と密着するように、光源実装基板214を取り付けることで、複数のLED212は、光源実装基板214を挟んで第1の伝達部320の反対側に位置づけられる。このようにすることで、下方に向かって(ロッドレンズ220に向かって)光を発するように複数のLED212を配置できる。
【0135】
複数枚の光源実装基板214は、第1の伝達部320の下面326に互いに密着して水平に並べて配置される。複数枚の光源実装基板214を密着して配置することで、光源実装基板214に取り付けられているLED212の全てを互いに等間隔に直線状にかつ一列に並べることができる。
【0136】
<第2の伝達部330>
第2の伝達部330は、第1の伝達部320の上面の略中央部に連結して立設されている。第2の伝達部330は、長尺な板状の形状を有する。第2の伝達部330は、第1の伝達部320に対して垂直に立設され、鉛直方向に延在するフレームである。第2の伝達部330によって照明装置100の上側の領域を画定することができる。
【0137】
第2の伝達部330は、互いに向かい合って略平行に形成された第1の面332と第2の面334とを有する。第1の面332及び第2の面334は鉛直方向に沿って延在する。
【0138】
第1の面332と第1の伝達部320の上面とのなすは略直角であり、第1の面332と第1の伝達部320の上面との間の領域に、複数の放熱フィン350が形成される。放熱フィン350は、固定端352と開放端354とを有する。固定端352は第1の面332に連結される。放熱フィン350は、第1の面332に対して直角とは異なる角をなして第1の面332から突出する。開放端354は、第1の面332と第1の伝達部320の上面との双方から離隔するように位置する。放熱フィン350は、固定端352から斜め上方向に向かって延在する。
【0139】
放熱フィン350は、薄板状で長尺な形状のおおよそ直方体状の形状を有する。放熱フレーム310の長手方向に沿って形成される。放熱フィン350は、固定端352が厚く、開放端354に向かって徐々に薄くなるように形成されている。
【0140】
隣り合う放熱フィン350の間に熱を交換するための空気が存在する。隣り合う放熱フィン350の開放端354の間に開放口356が形成される。放熱フィン350からの放熱によって暖められた空気は、放熱フィン350に沿って上方に向かって流動し、開放口356から流出する。開放口356からの流出に伴って、固定端352の近くから新たな空気が放熱フィン350の間に流れ込むことで、対流を生じさせることができる。
【0141】
放熱フィン350は、斜め上方向に向かって延在し、放熱によって暖められた空気を開放口356に向かって流動させやすくでき、放熱効率を高めることができる。
【0142】
なお、放熱フィン350の固定端352は、第2の伝達部330の第1の面332に形成するだけでなく、第1の伝達部320の上面にも形成してもよい。第1の伝達部320の上面に形成する放熱フィン350も、斜め上方向に向かって第1の伝達部320の上面から突出するように形成される。
【0143】
第1の伝達部320の上面にも放熱フィン350を形成することで、放熱フィン350の数を増やすことができ、さらに放熱効率を高めることができる。
【0144】
放熱フィン350の表面には、長手方向に沿って、長尺な突条部(畝部)と長尺な溝部とが交互に互いに平行に形成されている。長尺な突条部及び長尺な溝部を形成したことにより、放熱フィン350の表面積を大きくでき、空気と接触する面積を大きくすることで、放熱効率をさらに高めることができる。
【0145】
第2の伝達部330の第2の面334には、回路系400である駆動回路410がスペーサを介して取り付けられる。駆動回路410には、商用電源などが接続されて駆動される。駆動回路410は、主に、電源電流や制御信号などを光源実装基板214に供給する回路である。駆動回路410は、LED212を駆動するための定電流などを生成して光源実装基板214に供給する。
【0146】
上述したように、光源としてパワーLEDを用いるのが好ましく、パワーLEDは大電流によって駆動される。このため、駆動回路410の消費電力も大きく発熱量も多くなる。駆動回路410を第2の伝達部330に取り付けることで、駆動回路410から発せられる熱を第2の伝達部330に伝えやすくし、駆動回路410を冷すことで安定的に動作させることができる。
【0147】
上述した例では、複数の放熱フィン350が、斜め上方向に向かって延在する場合を示したが、水平方向に延在させたり垂直方向に延在させたりしてもよい。LED212からの発熱量や、第1の伝達部320や第2の伝達部330や第1の対向伝達部340Rや第2の対向伝達部340Lの大きさや形状に応じて、複数の放熱フィン350の向きを定めればよい。
【0148】
<第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340L>
第1の伝達部320には、第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lが設けられている。図3に示すように、第1の伝達部320は、水平方向について第1の端部329Rと第2の端部329Lとを有する。図3において、第1の端部329Rは右側の端部であり、第2の端部329Lは左側の端部である。
【0149】
第1の対向伝達部340Rは、第1の伝達部320の下面326の第1の端部329Rに連結して立設され、鉛直方向に延在するフレームである。第2の対向伝達部340Lは、第1の伝達部320の下面326の第2の端部329Lに連結して立設され、鉛直方向に延在するフレームである。第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lによって照明装置100の下側の領域を画定することができる。
【0150】
第1の対向伝達部340Rと第2の対向伝達部340Lとの間に、ロッドレンズ220が配置されている。ロッドレンズ220は、第1の挟持部360RU及び360RB、並びに第2の挟持部360LU及び360LBによって挟持されて、第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lに取り付けられる。
【0151】
第1の挟持部360RUは、右上側からロッドレンズ220を挟持し、第1の挟持部360RBは、右下側からロッドレンズ220を挟持し、第2の挟持部360LUは、左上側からロッドレンズ220を挟持し、第2の挟持部360LBは、左下側からロッドレンズ220を挟持する。
【0152】
第1の挟持部360RU及び360RB、並びに第2の挟持部360LU及び360LBは、アルミニウムなどの金属で形成される。第1の挟持部360RU及び360RB、並びに第2の挟持部360LU及び360LBは、長尺な形状を有し、ロッドレンズ220の長手方向の長さとほぼ同じ長さを有する。第1の挟持部360RU及び360RB、並びに第2の挟持部360LU及び360LBは、ロッドレンズ220の長手方向の全体に亘ってロッドレンズ220を押圧する。
【0153】
第1の挟持部360RU及び360RB、並びに第2の挟持部360LU及び360LBは、いずれも同じ構造を有し、固定片362と突出片364と押圧片366とを有する。固定片362と突出片364とは、第1の屈曲辺368aによって連結されている。突出片364と押圧片366とは、第2の屈曲辺368bによって連結されている。固定片362と突出片364と押圧片366とは、長尺な形状を有し、ロッドレンズ220の長手方向に沿って配置される。第1の屈曲辺368a及び第2の屈曲辺368bも長尺な形状を有し、ロッドレンズ220の長手方向に沿って配置される。
【0154】
固定片362は、第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lに固定される部分である。第1の挟持部360RU及び360RBの固定片362が、ボルトやネジなどの係止部材216によって第1の対向伝達部340Rに固定される。第2の挟持部360LU及び360LBの固定片362が、ボルトやネジなどの係止部材216によって第2の対向伝達部340Lに固定される。固定片362を、第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lに固定することで、第1の挟持部360RU及び360RB、並びに第2の挟持部360LU及び360LBの全体を固定することができる。
【0155】
突出片364は、第1の屈曲辺368aを介して固定片362から突出するように形成されている。第1の屈曲辺368aは、折れ曲がって形成され、第1の屈曲辺368aを中心に弾性変形することができる。突出片364は、固定片362に対して略90度の角度をなして折れ曲がっている。固定片362を第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lに固定することで、突出片364は、第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lから弾性変形可能に突出する。
【0156】
押圧片366は、第2の屈曲辺368bを介して突出片364から屈曲して突出するように形成されている。第2の屈曲辺368bは、折れ曲がって形成され、第2の屈曲辺368bを中心に弾性変形することができる。押圧片366は、突出片364から弾性変形可能に突出する。押圧片366は、突出片364に対して所定の鈍角をなして折れ曲がっている。押圧片366と突出片364とのなす角の角度は、第1の挟持部360RU及び360RB、並びに第2の挟持部360LU及び360LBを固定する位置や、ロッドレンズ220の直径などによって適宜に定めればよい。
【0157】
押圧片366は、ロッドレンズ220の外周と接点Pで接触するようにロッドレンズ220を押圧する。第1の挟持部360RU及び360RB、並びに第2の挟持部360LU及び360LBの押圧片366が、接点Pでロッドレンズ220の外周と接触し、ロッドレンズ220を挟持する。接点Pは、ロッドレンズ220の長手方向に沿って存在し、押圧片366は、ロッドレンズ220の長手方向に亘って押圧する。
【0158】
第1の屈曲辺368a及び第2の屈曲辺368bで弾性変形することができ、弾性変形で生ずる付勢力によってロッドレンズ220を適宜に押圧し、ロッドレンズ220を挟持することで一定の位置に保持することができる。弾性変形で生ずる付勢力でロッドレンズ220を押圧するので、ロッドレンズ220を損傷させることなく保持することができる。
【0159】
ロッドレンズ220は、複数のLED212から発せられた光が漏れなく入射するように、複数のLED212の近くに配置されている。このため、複数のLED212から発せられる熱がロッドレンズ220に伝わる場合もある。ロッドレンズ220の温度が上昇した場合には、ロッドレンズ220の光学特性が変化する可能性もあり、ロッドレンズ220に伝わった熱を逃がす必要がある。
【0160】
第1の挟持部360RU及び360RB、並びに第2の挟持部360LU及び360LBは、アルミニウムなどの金属で形成されている。ロッドレンズ220に伝わった熱は、第1の挟持部360RU及び360RBを介して第1の対向伝達部340Rに伝達されるとともに、第2の挟持部360LU及び360LBを介して第2の対向伝達部340Lに伝達される。第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lに伝達される熱は、放熱フレーム310を介して放熱フィン350に伝えられ、放熱することができる。
【0161】
また、第1の挟持部360RU及び360RB、並びに第2の挟持部360LU及び360LBの押圧片366は、ロッドレンズ220の長手方向に沿って接触する。このため、ロッドレンズ220の長手方向のあらゆる箇所から、第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lに熱を伝えることができ、ロッドレンズ220の全体を放熱することができる。全体の放熱によってロッドレンズ220の全体の光学特性を維持することができる。
【0162】
第1の挟持部360RU及び360RB、並びに第2の挟持部360LU及び360LBは、アルミニウムだけでなく、弾性変形可能で、かつ、熱伝導性の高いもので構成されればよい。
【0163】
<段差部380及びテーパー部382>
第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lの外側には、段差部380が形成されている。段差部380には、筐体のカバー(図示せず)が係止される。段差部380を形成したことで、第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lに筐体のカバーを一定の位置に取り付けることができ、光学系200を構成する各種の光学素子を的確に保護することができる。また、筐体のカバーを取り付けたときに、外側面を平坦にすることができ、照明装置100の位置決めなどを容易にし取り扱いを簡便にできる。
【0164】
また、第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lの外側には、テーパー部382が形成されている。段差部380の形成に応じてテーパー部382を形成することで、第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lの厚みを保ち、第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lの強度を確保することができる。また、厚みを保つことで熱容量を調整し放熱状態を安定化させることができる。
【0165】
<溝部384>
第1の伝達部320の第2の端部329Lの上側には、溝部384が形成されている。溝部384は、第1の伝達部320の長手方向の全体に亘って形成されており、溝部384にカバー板金(図示せず)を安定的に係止させて取り付けることができる。
【0166】
<溝部386R及び溝部386L>
第1の伝達部320の第1の端部329Rには、溝部386Rが形成され、第1の伝達部320の第2の端部329Lには、溝部386Lが形成されている。溝部386R及び溝部386Lは、いずれも第1の伝達部320の長手方向の全体に亘って形成されている。溝部386R及び溝部386Lには、照明装置100を取り付けるためのスライドナットが挿嵌される。溝部386R及び溝部386Lの複数の箇所でスライドナットによって照明装置100を支持することができ、照明装置100を一定の位置に保持することができる。照明装置100を一定の位置に保持することで、外部の振動などの影響を受けにくくし、開口部110から出射される光Rを被照明体に安定的に照明することができる。
【0167】
<シリンドリカルレンズ240の保持>
第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lの先端部には、2つの保持部材370が取り付けられている。2つの保持部材370は、シリンドリカルレンズ240を第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lに保持する。
【0168】
2つの保持部材370は、断熱性を有する樹脂で構成されている。シリンドリカルレンズ240は、樹脂性の保持部材370によって、第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lに取り付けられる。
【0169】
第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lは、複数のLED212から発せられた熱や、ロッドレンズ220を介して伝えられる熱によって、温度が高くなる場合がある。上述したように、シリンドリカルレンズ240は、ポリカーボネイトやアクリルなどの合成樹脂によって形成されている。また、シリンドリカルレンズ240には、拡散レンズ230が密着して設けられている。拡散レンズ230は、ポリカーボネイトやアクリルなどの合成樹脂によって形成されている。
【0170】
このため、第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lから拡散レンズ230やシリンドリカルレンズ240に熱が伝わった場合には、熱によって拡散レンズ230やシリンドリカルレンズ240が損傷したり光学特性が変化したりする可能性がある。
【0171】
2つの保持部材370を断熱性を有する樹脂で構成することで、樹脂の断熱特性によって、拡散レンズ230やシリンドリカルレンズ240に熱が伝わりにくくし、拡散レンズ230やシリンドリカルレンズ240が損傷したり光学特性が変化したりすることを防止できる。
【0172】
上述したように、ロッドレンズ220は、第1の挟持部360RU及び360RB、並びに第2の挟持部360LU及び360LBによって挟持され、第1の対向伝達部340R及び第2の対向伝達部340Lに取り付けられる。第1の挟持部360RU及び360RB、並びに第2の挟持部360LU及び360LBは、熱伝導性が高いアルミニウムなどの金属で形成される。LED212からロッドレンズ220に伝わった熱を、第1の挟持部360RU及び360RB、並びに第2の挟持部360LU及び360LBを介して、第1の対向伝達部340Rと第2の対向伝達部340Lとに伝え、放熱することができる。
【0173】
このように、ロッドレンズ220に伝わった熱を放熱する構成だけなく、シリンドリカルレンズ240と同様に、断熱部材によってロッドレンズ220を支持するようにしてもよい。ロッドレンズ220との支持部を、放熱する構成にするか、断熱する構成にするかは、LED212から発せられる熱や、LED212とロッドレンズ220との距離などに応じて、熱や温度の分布に基づいて決めればよい。
【0174】
<<回路系400>>
回路系400は、駆動回路410からなる。駆動回路410は、主に、電源電流や制御信号などを光源実装基板214に供給する回路である。駆動回路410は、LED212を駆動するための定電流などを生成して光源実装基板214に供給する。駆動回路410には、商用電源などが接続されて駆動される。駆動回路410は、LED212を供給するための大電流を生成したり、各種の駆動電流を生成したりする。このため、駆動回路410の消費電力も大きく発熱量も多くなる。駆動回路410から発せられる熱を適宜に放熱する必要がある。
【0175】
また、LANケーブルを接続できるLANコネクタ(図示せず)も設けられている。LANケーブルを介して制御装置を接続し、制御装置によって、LED212の調光や点灯や消灯などの詳細な制御をすることができる。
【0176】
さらに、BNCケーブルを接続できるBNCコネクタ(図示せず)も設けられている。BNCコネクタを介してパルス信号を入力することで、パルス信号の周波数に応じて高速な点滅制御を行うことができる。
【0177】
<<<光学系200における光路>>>
上述したように、光学系200は、主に、光源210と、ロッドレンズ220と、拡散レンズ230と、シリンドリカルレンズ240とを有する。以下では、これらの光学素子によって生成される光路について説明する。
【0178】
<<<光路の形成>>>
図7図9に示すように、複数のLED212から発せられた光L1は、全体として、光学系の光軸方向(Z方向)に沿って進む。光源から発せられた光L1は、配光特性に従って、光学系の光軸Tを中心にして徐々に広がりながら進む。複数のLED212から発せられた光L1には、光軸方向の成分(L11)とは異なる方向の成分の光(L12)も含まれているが、全体として光学系の光軸方向に沿って進む。
【0179】
光軸方向に進んだ光L11(図8及び図9参照)は、ロッドレンズ220の円柱側面222に到達してロッドレンズ220に入射する。光軸Tを中心に広がった光L12(図8及び図9参照)もロッドレンズ220に入射することができる。
【0180】
ロッドレンズ220に入射する光L1のうち、ロッドレンズ220の円柱側面222に対して斜めに入射した光は、ロッドレンズ220の屈折率に応じて屈折する。ロッドレンズ220に入射した光L2は、ロッドレンズ220の内部を、全体として光学系の光軸方向(Z方向)に沿って進む。ロッドレンズ220の内部を進む光L2にも、光軸方向の成分の光(L21)のほかに、光軸方向の成分とは異なる方向の成分の光(L22)も含まれているが、全体として光学系の光軸方向に沿って進む。ロッドレンズ220の内部を進んだ光L2は、ロッドレンズ220の円柱側面222に達する。
【0181】
ロッドレンズ220の内部を進んで円柱側面222に達した光は、ロッドレンズ220の屈折率に応じて屈折する。屈折した光は、ロッドレンズ220から出射する。ロッドレンズ220の入射時の屈折及び出射時の屈折によって、ロッドレンズ220の集光の特性が定まる。このように、ロッドレンズ220から出射する光L3は、ロッドレンズ220の集光の特性に応じて集光された光となる。
【0182】
ロッドレンズ220から出射した光L3は、再び、全体として、光軸方向に沿って進む。ロッドレンズ220から出射した光L3も、光軸方向の成分(L31)とは異なる方向の成分の光(L32)が含まれているが、全体として光学系の光軸方向に沿って進む。
【0183】
ロッドレンズ220から出射した光L3は、拡散レンズ230に入射する。上述したように、拡散レンズ230の表面には、微小なレンズアレイが形成されている。拡散レンズ230に入射した光L4は、レンズアレイによって拡散される。拡散レンズ230は、光源の配列方向(X方向)の成分の光(L43)について拡散させて出射させる(図9)。また、光源の配列方向の成分とは異なる他の成分の光(L41やL42など)は、拡散しなかったり、弱く拡散したりして出射する(図8)。
【0184】
上述したように、本実施の形態では、拡散レンズ230は、シリンドリカルレンズ240の入射面242に密着して設けられている。拡散レンズ230から出射する光は、直ちに、シリンドリカルレンズ240の入射面242に入射する。シリンドリカルレンズ240に入射した光L5は、シリンドリカルレンズ240の屈折率に応じて屈折する。屈折した光L5は、シリンドリカルレンズ240の内部を、全体として光学系の光軸方向に沿って進む。シリンドリカルレンズ240の内部を進む光にも、光軸方向の成分(L51)とは異なる方向の成分の光(L52)も含まれているが、全体として光学系の光軸方向(Z方向)に沿って進む。シリンドリカルレンズ240の内部を進んだ光は、シリンドリカルレンズ240の出射面244に達する。
【0185】
シリンドリカルレンズ240の内部を進んで出射面244に達した光L5は、シリンドリカルレンズ240の屈折率に応じて屈折する。屈折した光は、シリンドリカルレンズ240の出射面244から出射する。シリンドリカルレンズ240の入射時の屈折及び出射時の屈折によって、シリンドリカルレンズ240の集光の特性が定まる。このように、シリンドリカルレンズ240から出射する光Rは、シリンドリカルレンズ240の集光の特性に応じて集光された光となる。
【0186】
シリンドリカルレンズ240から出射した光Rは、全体として、光軸方向(Z方向)に沿って進む。シリンドリカルレンズ240から出射た光Rが、被照明体に照射されて被照明体を照明する(図1及び図2参照)。
【0187】
<ロッドレンズ220及びシリンドリカルレンズ240の配置条件(第1の配置条件)>
複数のLED212からシリンドリカルレンズ240に向かう方向(例えば、光軸方向Z)において、ロッドレンズ220の曲率中心ccを基準にして、ロッドレンズ220の曲率半径crの2倍以上の距離だけ離隔した位置にシリンドリカルレンズ240が配置される。すなわち、ロッドレンズ220及びシリンドリカルレンズ240の相対的な位置について、ロッドレンズ220の曲率中心ccを基準にして、ロッドレンズ220の曲率半径crの2倍以上に離れて、ロッドレンズ220及びシリンドリカルレンズ240が配置されるという第1の配置条件を満たす。
【0188】
ロッドレンズ220の曲率中心ccとは、ロッドレンズ220の側面を構成する円柱側面の中心である。ロッドレンズ220の曲率半径crとは、ロッドレンズ220の側面を構成する円柱側面の半径である。
【0189】
また、シリンドリカルレンズ240の基準となる位置は、シリンドリカルレンズ240の入射面242でも、出射面244でも、曲率中心ccでもよい。シリンドリカルレンズ240の入射面242とするのが好ましい。
【0190】
上述したように、ロッドレンズ220及びシリンドリカルレンズ240は、ロッドレンズ220の曲率中心ccを基準にして、ロッドレンズ220の曲率半径crの2倍以上に離れて、ロッドレンズ220及びシリンドリカルレンズ240が配置されるという第1の配置条件を満たす。具体的には、図8に示す例では、この第1の配置条件は、ロッドレンズ220とシリンドリカルレンズ240との間の距離(曲率半径cr+光路L31の長さ+光路L41の長さ)が、ロッドレンズ220の曲率半径crの2倍以上になるように、ロッドレンズ220及びシリンドリカルレンズ240を配置することである。
【0191】
<平行光線の形成>
ロッドレンズ220によって集光されて出射される光は、ロッドレンズ220から離れるに従って徐々に広がって進む場合がある。上述した第1の配置条件を満たすようにシリンドリカルレンズ240を配置することで、シリンドリカルレンズ240によって再び集光して、光軸方向(Z方向)に沿っておおよそ平行に進む光に変換することができる。言い換えれば、光軸方向において、ロッドレンズ220の曲率中心ccを基準にして、ロッドレンズ220の曲率半径crの2倍以上の距離だけ離隔した位置にシリンドリカルレンズ240を配置するという第1の配置条件を満たすようにすることで、光軸方向(Z方向)に沿って広がりにくい光、すなわち、平行光に近い光を形成することができる。
【0192】
さらにまた、上述したように、拡散レンズは、ロッドレンズ220から発せられた光を所定の方向に、すなわち、光源の配列方向(X方向)に拡散させる。このため、拡散によって、光源の配列方向(X方向)について光の明るさを一定に近づけることができる。
【0193】
このようにすることで、光源の配列方向(X方向)と光源の幅方向(Y方向)とによって画定される領域の明るさを一定に近づけた照明領域(図7のA1、A2、A3)を形成することができる。さらに、光軸方向(Z方向)については、光軸方向に沿っておおよそ平行に進む光に変換されるので、照明領域(図7のA1、A2、A3)の大きさを光軸方向(Z方向)に沿って一定にすることができる。すなわち、ロッドレンズ220及びシリンドリカルレンズ240について第1の配置条件を満たすとともに、拡散レンズによって光源の配列方向に光を拡散させることで、光軸方向(Z方向)に沿って、一定の明るさに近づけかつ一定の大きさを有する照明領域(図7のA1、A2、A3)を形成することができる。
【0194】
上述した第1の配置条件は、ロッドレンズ220とシリンドリカルレンズ240との間の距離の下限として、ロッドレンズ220とシリンドリカルレンズ240との間の距離が、ロッドレンズ220の曲率半径crの2倍以上となるように、ロッドレンズ220及びシリンドリカルレンズ240を配置するものであった。しかしながら、ロッドレンズ220とシリンドリカルレンズ240との間の距離が長すぎる場合には、シリンドリカルレンズ240によって十分に集光できず、平行光線を形成できない場合もある。このため、ロッドレンズ220とシリンドリカルレンズ240との間の距離の上限として、ロッドレンズ220の曲率半径の4倍以下となるように、ロッドレンズ220及びシリンドリカルレンズ240を配置するものが好ましい(第2の配置条件)。この上限と下限との間に含まれるように、ロッドレンズ220及びシリンドリカルレンズ240を配置することで、被照明体の照明にとって必要となる平行光線を常に形成することができる。
【0195】
このように、ロッドレンズ220及びシリンドリカルレンズ240の相対的な位置について、ロッドレンズ220の曲率中心を基準にして、ロッドレンズ220の曲率半径の2倍以上かつ4倍以下となる範囲で、ロッドレンズ220及びシリンドリカルレンズ240を配置するのが好ましい。
【0196】
このように、光軸方向(Z方向)に沿って、一定の明るさに近づけかつ一定の大きさを有する照明領域(図7のA1、A2、A3)を形成できるので、照明装置から被照明体までの距離(図7のD1、D2、D3)が異なるような場合であっても、一定の大きさの領域を一定の明るさで照明できる。すなわち、照明装置から被照明体までの距離(図7のD1、D2、D3)を、被照明体や使用条件に応じて変更した場合でも、一定の大きさの領域を一定の明るさで照明でき、各種の被照明体や使用条件に対応可能な照明装置を提供できる。
【0197】
このように、光学素子の数が少ない簡素な構成で平行光に近い光を形成することができ、各種の被照明体や使用条件に対応可能な照明装置を提供できる。
【0198】
図10は、上述した配置条件を満たす場合の光路と、光軸方向に沿った4箇所のD1、D2、D3、D4における強度分布を示す図である。
【0199】
図10Aに示すように、光軸方向(Z)に沿って広がる光もあるが、大半の光は、広がらずに光軸方向に進行する。図10Bは、図10Aに示す位置D1における強度分布を示すグラフである。図10Cは、図10Aに示す位置D2における強度分布を示すグラフである。図10Dは、図10Aに示す位置D3における強度分布を示すグラフである。図10Eは、図10Aに示す位置D4における強度分布を示すグラフである。
【0200】
図10B図10Eに示すように、Y方向の範囲が-10ないし+10の強度は、距離D1~D4においてはI1より大きくなり、非照明体に照明する明るさを確保できる。
【0201】
<<シリンドリカルレンズ240から被照明体までの距離に応じた照度の特性>>
<配置構成>
図11は、LED212と、ロッドレンズ220と、シリンドリカルレンズ240とのそれぞれの間の長さを異ならしめて配置した構成を示す図である。なお、簡便のため、図11では、拡散レンズ230を省略して示した。
【0202】
図11でも、LED212からロッドレンズ220の円柱側面222までの長さをL11の長さとし、ロッドレンズ220の円柱側面222からシリンドリカルレンズ240の入射面242までの長さをL31+L41の長さとする(図8参照)。また、ロッドレンズ220の曲率半径をcrとし、ロッドレンズ220の曲率中心をccとする。
【0203】
図11Aは、L11<L31+L41の関係を満たすとともに、ロッドレンズ220の曲率中心ccからシリンドリカルレンズ240の入射面242までの長さ(=曲率半径cr+L31+L41)が、ロッドレンズ220の曲率半径crの2倍以上の長さとなる場合を示す図である。
【0204】
図11Bは、L11<L31+L41の関係を満たし、ロッドレンズ220の曲率中心ccからシリンドリカルレンズ240の入射面242までの長さ(=曲率半径cr+L31+L41)が、ロッドレンズ220の曲率半径crの2倍以下の長さとなる場合を示す図である。
【0205】
図11Cは、L11=L31+L41の関係を満たす場合を示す図である。
【0206】
図12は、図11A図11Cの各々の場合について、図10Aに示したD1、D2、D3及びD4の各々の位置を含む位置における照度を算出したグラフである。縦軸は照度を示し、横軸はシリンドリカルレンズ240の出射面244から被照射体までの距離を示す。
【0207】
図12の直線(a)は、図11Aの場合の照度の変動を示す。図12の直線(b)は、図11Bの場合の照度の変動を示す。図12の直線(c)は、図11Cの場合の照度の変動を示す。
【0208】
図12に示すように、いずれの場合も、位置D1の照度が最も高く、位置D2、位置D3及び位置D4と、シリンドリカルレンズ240から離れるに従って、照度は徐々に低くなる。
【0209】
ここで、照度の変動率を(1-D4/D1×100)として、図11Aの場合の照度の変動率は、直線(a)の傾きから約40%となり、図11Bの場合の照度の変動率は、直線(b)の傾きから約47%となり、図11Cの場合の照度の変動率は、直線(c)の傾きから約66%となる。このように、照度の変動が最も小さいのは、図11Aの場合となった。
【0210】
また、LED212の発光面積を大きくすることで、照度の変動を小さく抑えつつ照度をさらに高めることができると考えられ、参考として、図11Aの同じ配置でLED212の発光面積を約1.5倍にした場合について、図12に直線(a1)として示した。
【0211】
直線(a)と直線(a1)とを比較すると、位置D1では、直線(a1)よりも直線(a)の照度が高い。また、距離D1~距離D4の間で、照度の変動が小さいのは直線(a)である。このように、LED212の発光面積を大きくしても、LED212発光面積が小さい場合に比べて、照度の変動を小さく抑えることはできず、また、照度を高めることもできない。直線(a1)の照度の変動率は約46%であった。
【0212】
このように、図11Aの配置とすることで、照度の変動を小さく抑えることができる。言い換えれば、シリンドリカルレンズ240から発せられる光の明るさを均一に近づけつつ平行光に近づけて、被照明体を照明することができる。たとえば、被照明体が振動等によって位置が変動する場合であっても一定の領域を一定の明るさで照明することができる。
【符号の説明】
【0213】
100 照明装置
200 光学系
300 放熱系
400 回路系
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12