(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036303
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】機械式駐車装置及びその制御方法並びに制御プログラム
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20220225BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
E04H6/18 601A
E04H6/18 601G
E04H6/42 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005180
(22)【出願日】2022-01-17
(62)【分割の表示】P 2019144529の分割
【原出願日】2017-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】野田 整一
(72)【発明者】
【氏名】大倉 一政
(72)【発明者】
【氏名】魚山 一
(72)【発明者】
【氏名】菊地 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】原 和也
(72)【発明者】
【氏名】花島 陽
(57)【要約】
【課題】安全性を更に高めることを目的とする。
【解決手段】機械式駐車装置は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、乗降室内に設けられた少なくとも一つの無人確認ボタンと、乗降室外に設けられた操作盤と、乗降室内に設けられたカメラと、カメラの故障を検出するカメラ故障検出部82と、カメラの故障が検出された場合に、無人確認ボタンを用いた無人確認を不要とする通常モードから無人確認ボタンを用いた無人確認を行わせるカメラ故障モードに制御モードを切り替えるモード設定部83とを備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、
前記乗降室内に設けられた少なくとも一つの内部入力手段と、
前記乗降室外に設けられた外部入力手段と、
前記乗降室内に設けられたカメラと、
前記カメラの故障を検出するカメラ故障検出手段と、
前記カメラの故障が検出された場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を不要とする通常モードから前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせるカメラ故障モードに制御モードを切り替えるモード設定手段と
を具備する機械式駐車装置。
【請求項2】
乗降室扉の閉扉を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記カメラ故障モードにおいて、前記内部入力手段から前記無人確認の入力が行われた後に、前記乗降室扉を閉める請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記カメラ故障モードにおいて、前記内部入力手段から前記無人確認の入力が行われた後であって、前記外部入力手段から無人確認の入力が行われた後に、前記乗降室扉を閉める請求項2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内に設けられた少なくとも一つの内部入力手段と、前記乗降室外に設けられた外部入力手段とを備える機械式駐車装置の制御方法であって、
前記乗降室内に設けられたカメラの故障を検出する工程と、
前記カメラの故障が検出された場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を不要とする通常モードから前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせるカメラ故障モードに制御モードを切り替える工程と
をコンピュータが実行する機械式駐車装置の制御方法。
【請求項5】
前記カメラ故障モードにおいて、前記内部入力手段から前記無人確認の入力が行われた後に、乗降室扉を閉める工程を有する請求項4に記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項6】
前記カメラ故障モードにおいて、前記内部入力手段から前記無人確認の入力が行われた後であって、前記外部入力手段から無人確認の入力が行われた後に、前記乗降室扉を閉める請求項5に記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項7】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内に設けられた少なくとも一つの内部入力手段と、前記乗降室外に設けられた外部入力手段とを備える機械式駐車装置に適用される制御プログラムであって、
前記乗降室内に設けられたカメラの故障を検出する処理と、
前記カメラの故障が検出された場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を不要とする通常モードから前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせるカメラ故障モードに制御モードを切り替える処理と
をコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の制御プログラム。
【請求項8】
前記カメラ故障モードにおいて、前記内部入力手段から前記無人確認の入力が行われた後に、乗降室扉を閉める処理を含む請求項7に記載の機械式駐車装置の制御プログラム。
【請求項9】
前記カメラ故障モードにおいて、前記内部入力手段から前記無人確認の入力が行われた後であって、前記外部入力手段から無人確認の入力が行われた後に、前記乗降室扉を閉める処理を含む請求項8に記載の機械式駐車装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置及びその制御方法並びに制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械式立体駐車場では、閉扉時において、利用者が保持するICカード等の認証媒体を用いてユーザ認証を行った上で扉を閉めている。したがって、認証媒体を有する利用者が扉を閉め忘れ、駐車場から立ち去ってしまうと、扉が開いた状態が続き、駐車場が利用できなくなる。
【0003】
このような不都合を解消するため、例えば、特許文献1には、扉の閉め忘れが発生した際に、マスターキー等を有する管理人や保守員が利用者に代わって閉扉操作を行うことのできる機械式駐車場が開示されている。
また、特許文献2には、乗降室内に複数台のカメラを設置し、扉を閉める際に、操作盤にカメラによって取得されたリアルタイム画像を表示して乗降室内の無人を利用者に確認させ、その後、利用者によって入出庫扉を閉めるための操作が操作盤から行われた後に、入出庫扉を閉じるようにした機械式立体駐車場が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-26121号公報
【特許文献2】特開2016-3493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のように、扉の閉め忘れが発生した場合、利用者に代えて扉を閉める権限が与えられた管理人や保守員が閉扉操作を行うこととなるが、その際に、乗降室内の無人を確認する必要がある。従来、乗降室内の無人確認は、目視または操作盤のモニタに表示されたカメラ画像を確認することにより行われていた。
しかしながら、このような目視またはカメラ画像に基づく無人確認では、車内の居残りまで確認することが難しい。このため、乗降室内に人が取り残された状態で入出庫扉が閉じられる、いわゆる、閉じ込めが発生するおそれがあった。
また、このような閉じ込めを回避するために、表示や音声によって安全確認をしっかりと行うよう注意喚起しているが、目視やモニタ等によって十分に安全確認が行われるか否かは閉扉操作を行う本人に判断がゆだねられており、十分な安全性を確保することが難しかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、安全性を更に高めることのできる機械式駐車装置及びその制御方法並びに制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用する。
本発明の第1態様は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内に設けられた少なくとも一つの内部入力手段と、前記乗降室外に設けられた外部入力手段と、前記乗降室内に設けられたカメラと、前記カメラの故障を検出するカメラ故障検出手段と、前記カメラの故障が検出された場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を不要とする通常モードから前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせるカメラ故障モードに制御モードを切り替えるモード設定手段とを具備する機械式駐車装置である。
本発明の第2態様は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内に設けられた少なくとも一つの内部入力手段と、前記乗降室外に設けられた外部入力手段とを備える機械式駐車装置の制御方法であって、前記乗降室内に設けられたカメラの故障を検出する工程と、前記カメラの故障が検出された場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を不要とする通常モードから前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせるカメラ故障モードに制御モードを切り替える工程とをコンピュータが実行する機械式駐車装置の制御方法である。
本発明の第3態様は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内に設けられた少なくとも一つの内部入力手段と、前記乗降室外に設けられた外部入力手段とを備える機械式駐車装置に適用される制御プログラムであって、前記乗降室内に設けられたカメラの故障を検出する処理と、前記カメラの故障が検出された場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を不要とする通常モードから前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせるカメラ故障モードに制御モードを切り替える処理とをコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の制御プログラムである。
本発明の参考例としての他の態様は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内に設けられた少なくとも一つの内部入力手段と、前記乗降室外に設けられた外部入力手段と、乗降室扉の閉め忘れを検出する扉閉め忘れ検出手段と、前記扉閉め忘れ検出手段によって前記乗降室扉の閉め忘れが検出された場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせる扉閉め忘れモードを設定するモード設定手段とを具備する機械式駐車装置を提供する。
【0008】
上記機械式駐車装置によれば、扉の閉め忘れが発生した場合には、乗降室内に設けられた内部入力手段を用いた無人確認を行わせる。これにより、乗降室内での無人確認を義務づけることができ、乗降室外における目視やカメラシステムなどを用いた画像による場内の無人確認に比べて、乗降室内の無人をより確実に確認することが可能となる。
【0009】
上記機械式駐車装置は、前記乗降室扉の閉扉を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記扉閉め忘れモードにおいて、前記内部入力手段から前記無人確認の入力が行われた後に、前記乗降室扉を閉めることが好ましい。
【0010】
上記機械式駐車装置によれば、内部入力手段から無人確認の入力が行われない限り、乗降室扉が閉まることはない。これにより、乗降室内に人が残されたまま乗降室扉や車両の搬送が行われることを防止することが可能となる。
【0011】
上記機械式駐車装置において、前記制御手段は、前記扉閉め忘れモードにおいて、前記内部入力手段から前記無人確認の入力が行われた後であって、前記外部入力手段から無人確認の入力が行われた後に、前記乗降室扉を閉めることとしてもよい。
【0012】
上記機械式駐車装置によれば、内部入力手段からの無人確認及び外部入力手段からの無人確認の入力が行われない限り、乗降室扉が閉まることはないので、安全性をさらに向上させることが可能となる。
【0013】
上記機械式駐車装置において、前記扉閉め忘れ検出手段は、前記乗降室扉が開いてから人物または車両が前記乗降室内に進入するまでの時間が予め設定された基準時間を超えた場合に、前記扉閉め忘れを検出することとしてもよい。
上記機械式駐車装置において、前記扉閉め忘れ検出手段は、人物または車両が前記乗降室内に進入してから車両または人物が前記乗降室を退出するまでの時間が予め設定された基準時間を超えた場合に、前記扉閉め忘れを検出することとしてもよい。
上記機械式駐車装置において、前記扉閉め忘れ検出手段は、車両または人物が前記乗降室を退出してから所定のユーザ識別情報が入力されるまでの時間が予め設定された基準時間を超えた場合に、前記扉閉め忘れを検出することとしてもよい。
上記機械式駐車装置において、前記扉閉め忘れ検出手段は、車両または人物が前記乗降室を退出した後に所定のユーザ識別情報が入力されてから前記乗降室扉が閉じるまでの時間が予め設定された基準時間を超えた場合に、前記扉閉め忘れを検出することとしてもよい。
【0014】
上記機械式駐車装置によれば、利用者や人物の移動に応じて細かく時間のインターバルを区切り、その都度、扉の閉め忘れを検出することとしたので、扉の閉め忘れを容易にかつ早期に検出することが可能となる。また、各基準時間をそれぞれ適切な時間に設定することで、扉の閉め忘れの誤検知の発生を低下させることができる。
また、各基準時間は、利用者の属性や経験、使用頻度等に応じて可変とされていてもよい。例えば、小さな子供やお年寄りがいる家庭は、乗車や降車に時間がかかる場合がある。このため、利用者の属性に応じて、各基準時間をそれぞれ適切な時間に設定することで、扉の閉め忘れの誤検知を効果的に低減することが可能となる。
【0015】
上記機械式駐車装置は、前記乗降室内に設けられた複数のカメラと、前記カメラの故障を検出するカメラ故障検出手段とを備え、前記モード設定手段は、前記カメラ故障検出手段によって前記カメラの故障が検出された場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせるカメラ故障モードを設定することとしてもよい。
【0016】
上記機械式駐車装置によれば、カメラが故障した場合にも乗降室内に入って直接的に無人を確認させることが可能となる。これにより、カメラが故障した場合でも、確実に乗降室内の無人を利用者等に確認させることが可能となる。
【0017】
本発明は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内に設けられた内部入力手段と、前記乗降室外に設けられた外部入力手段と、入庫の起動操作または出庫の起動操作を行った人物と、乗降室扉の閉扉操作を行う人物とが異なる場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせる安全制御モードを設定する機械式駐車装置を提供する。
【0018】
上記機械式駐車装置によれば、入庫の起動操作または出庫の起動操作を行った人物と、乗降室扉の閉扉操作を行う人物とが異なる場合に、乗降室内に設けられた内部入力手段を用いた無人確認を行わせるので、乗降室内での無人確認を義務づけることができ、乗降室外における目視やカメラシステムなどを用いた画像による場内の無人確認に比べて、乗降室内の無人をより確実に確認することが可能となる。
【0019】
本発明の参考例としての他の態様は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内に設けられた少なくとも一つの内部入力手段と、前記乗降室外に設けられた外部入力手段とを備える機械式駐車装置の制御方法であって、乗降室扉の閉め忘れが発生したか否かを判定し、前記乗降室扉の閉め忘れが発生した場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせる機械式駐車装置の制御方法を提供する。
【0020】
本発明の参考例としての他の態様は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内に設けられた内部入力手段と、前記乗降室外に設けられた外部入力手段とを備える機械式駐車装置の制御方法であって、入庫の起動操作または出庫の起動操作を行った人物と、乗降室扉の閉扉操作を行う人物とが異なるか否かを判定し、入庫の起動操作または出庫の起動操作を行った人物と前記乗降室扉の閉扉操作を行う人物とが異なる場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせる機械式駐車装置の制御方法を提供する。
【0021】
本発明の参考例としての他の態様は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内に設けられた少なくとも一つの内部入力手段と、前記乗降室外に設けられた外部入力手段とを備える機械式駐車装置に適用される制御プログラムであって、乗降室扉の閉め忘れが発生したか否かを判定する処理と、前記乗降室扉の閉め忘れが発生した場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせる処理とをコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の制御プログラムを提供する。
【0022】
本発明の参考例としての他の態様は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内に設けられた内部入力手段と、前記乗降室外に設けられた外部入力手段とを備える機械式駐車装置に適用される制御プログラムであって、入庫の起動操作または出庫の起動操作を行った人物と、乗降室扉の閉扉操作を行う人物とが異なるか否かを判定する処理と、入庫の起動操作または出庫の起動操作を行った人物と前記乗降室扉の閉扉操作を行う人物とが異なる場合に、前記内部入力手段を用いた無人確認を行わせる処理とをコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の制御プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、安全性を更に高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る機械式駐車装置の縦断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る乗降室を示す斜視透視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る無人確認ボタンの設置例を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る操作盤の斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る機械式駐車装置の制御系統の機能ブロック図を示した図である。
【
図6】主制御部が備える機能の一部を抽出して示した機能ブロック図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る通常モードでの入庫処理について、車両、人、機械式駐車装置の制御の関係を示した図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る通常モードでの入庫処理について、車両、人、機械式駐車装置の制御の関係を示した図である。
【
図9】通常モードの場合の無人確認画面の一例を示した図である。
【
図10】通常モードの場合の安全確認画面の一例を示した図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る扉閉め忘れ検出処理の手順を示したフローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態に係る扉閉め忘れ検出処理の手順を示したフローチャートである。
【
図13】本発明の一実施形態に係る扉閉め忘れモードでの入庫処理について、車両、人、機械式駐車装置の制御の関係を示した図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る扉閉め忘れモードでの入庫処理について、車両、人、機械式駐車装置の制御の関係を示した図である。
【
図15】扉閉め忘れモードの場合のユーザ認証画面の一例を示した図である。
【
図16】扉閉め忘れモードの場合の場内無人確認画面の一例を示した図である。
【
図17】扉閉め忘れモードの場合の無人確認画面の一例を示した図である。
【
図18】扉閉め忘れモードの場合の安全確認画面の一例を示した図である。
【
図19】扉閉め忘れモードの場合の閉扉画面の一例を示した図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係る通常モードでの出庫処理について、車両、人、機械式駐車装置の制御の関係を示した図である。
【
図21】本発明の一実施形態に係る通常モードでの出庫処理について、車両、人、機械式駐車装置の制御の関係を示した図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係る扉閉め忘れモードでの出庫処理について、車両、人、機械式駐車装置の制御の関係を示した図である。
【
図23】本発明の一実施形態に係る扉閉め忘れモードでの出庫処理について、車両、人、機械式駐車装置の制御の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の各実施形態に係る機械式駐車装置及びその制御方法並びに制御プログラムについて、図面を参照して説明する。
以下に説明する実施形態では、本発明の機械式駐車装置としてエレベータ式のタワー型機械式駐車装置を例示して説明するが、この例に限定されず、本発明の機械式駐車装置は、垂直循環式、平面往復式、水平循環式等であってもよい。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る機械式駐車装置1の縦断面図である。
図1に示すように、機械式駐車装置1は、複数の車両2を収容可能なエレベータ式のタワー型立体駐車場施設であり、入出庫口3と入出庫扉(乗降室扉)4とが設けられた駐車塔5を備えている。駐車塔5の地上階は、車両2を入出庫させる乗降室7となっており、その床面には車両2の方向を転換させるターンテーブル8が設置されている。ターンテーブル8は、乗降室7の床面に形成された凹状のピット9内に旋回板10と旋回駆動部11が設けられた構成である。
【0027】
駐車塔5の中心部には垂直な昇降通路13が形成されており、この中にリフト14(エレベータ状の搬送機)が上下に昇降可能に設けられている。リフト14は、例えば駐車塔5の上部に設けられた図示しないウインチから下方に延びる複数本のワイヤロープ15に四隅を吊持され、上記ウインチが起動することにより昇降通路13内を上下に昇降することができる。
【0028】
一方、昇降通路13の両側には車両格納棚17(駐車スペース)が設けられている。この車両格納棚17は、昇降通路13を挟むようにして上下に多階層状に設けられており、それぞれの車両格納棚17には車両を積載するためのパレット18が1枚ずつ収容されている。なお、車両格納棚17の支柱等は図示が省略されている。
【0029】
リフト14と車両格納棚17の床面には、両者14,17の床面の高さが一致した時に、空荷のパレット18、または車両2が積載されたパレット18を、リフト14から車両格納棚17に、または車両格納棚17からリフト14に、スムーズに受け渡すことができる図示しない受渡機構が設けられている。
【0030】
図2は、乗降室7を示す斜視透視図である。外側から見て、入出庫扉4の左側に非常用出入口20があり、入出庫扉4の上部に青と赤のランプを備えた入庫管制灯21が設けられている。また、例えば入出庫扉4に向かって右側に操作盤22が設けられている。この操作盤22は、例えば、この機械式駐車装置1を利用する利用者や機械式駐車装置1を管理する管理人や保守員により操作される。
操作盤22の近傍には、後述するカメラ35A~35Dによって撮像されたリアルタイム画像を表示するためのモニタ28が設置されている。
【0031】
乗降室7の内部には、中央部にパレット18が配置されるスペースがあり、入出庫扉4の正面の壁には車両の位置をドライバー(利用者)が確認するための鏡24と、「前進」、「停車」、「後退」の案内を行う電光式の停車位置指示灯25が設けられている。
【0032】
乗降室7には、内部状況を撮影する4台のカメラ35A~35Dが設置されている。本実施形態において、カメラ35A~35Dは、例えば、ビデオカメラであり、それぞれ乗降室7の異なる壁面(4面)に取り付けられている。例えば、カメラ35Aは乗降室7内に停車した車両2の正面を撮影するように配置され、カメラ35Bは車両2の後面、カメラ35Cは車両2の左側面、カメラ35Dは車両2の右側面をそれぞれ撮影する位置に配置されている。なお、カメラの設置数については上記に限定されず、少なくとも1台のカメラが設けられていればよい。
【0033】
乗降室7において、入出庫口3には、人の乗降室7への入退室を検知する入退室検知センサ30が設けられている。入退室検知センサ30は、入出庫口3の内側に設けられた一対のセンサ30Aと、入出庫口3の外側に設けられた一対のセンサ30Bとを有している。センサ30A、30Bは、例えば、送信部から送信されたビームを受信部において受信するタイプのセンサであり、このビームが車両2や人等によって遮光されるとセンサがONになり、その検知信号が後述する入退室監視制御部57(
図5参照)を経て主制御部50(
図5参照)に伝達されるようになっている。入退室監視制御部57は、例えば、センサ30Bからセンサ30Aの順でオン信号が入力された場合に乗降室7に人が進入したと判定し、センサ30Aからセンサ30Bの順でオン信号が入力された場合に乗降室7から人が退出したと判定する。
【0034】
また、乗降室7の内部、あるいは乗降室7の外部に、この機械式駐車装置1の全体の制御を行う駐車場制御装置40が設置されている。
【0035】
更に、乗降室7の内部には、無人確認ボタン(内部入力手段)26(26A~26D)が設けられている。
図3は無人確認ボタン26の設置例を示した図である。
図3に示すように、無人確認ボタン26は例えば乗降室7に設けられた退避スペース75に設けられている。
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、4つの無人確認ボタン26A~26Dが乗降室7の四隅に設けられた退避スペース75にそれぞれ設けられている場合を例示しているが、無人確認ボタン26の設置数や設置場所についてはこの例に限られない。また、乗降室内に設置される無人確認のための入力手段は、必ずしもボタン式である必要はなく、利用者等が乗降室内において無人確認を行ったことを入力可能な手段であればどのようなものでもよい。例えば、利用者が有するリモコンによって無人確認を行った旨の操作をしたときに、リモコンから送信される無人確認入力信号を受信するような受信機器であってもよいし、タッチパネルのような入力手段であってもよい。
また、乗降室7内には人に音声で情報を報知するためのスピーカや、車幅等を検出するための各種センサ等が設けられていてもよい。
【0036】
図4は、機械式駐車装置1が備える操作盤22の斜視図である。操作盤22は、例えば、風雨からの保護と悪戯防止のために金属製の筐体43に収容されており、この筐体43には施錠可能な蓋44が設けられている。利用者が操作盤22を操作する際には、例えば、専用の鍵を用いて施錠を解錠して蓋44を開き、操作盤22にアクセスする。なお、例えば利用者が携帯している専用リモコンによって利用者の接近とともに自動的に蓋44の施錠を解錠するようにしてもよい。
【0037】
操作盤22には、タッチパネル45、ICカードリーダ46、利用者に操作方法を音声で案内するためのスピーカ47、機械式駐車装置の動作を非常停止させる非常停止ボタン48等が配置される。
【0038】
タッチパネル45は、表示部と入力部とを備えている。タッチパネル45の表示部には、入出庫の操作を行うための各種情報が表示されるとともに、入出庫の操作を利用者に行わせるための操作ボタン等が表示される。タッチパネル45の表示は後述する駐車場制御装置40によって制御され、また、タッチパネル45が利用者等によって操作されることにより入力された情報は、駐車場制御装置40に出力される。
【0039】
ICカードリーダ46は、利用者の識別番号(以下「利用者ID」という。)が記憶されているICカードから利用者IDを読み取る。なお、ICカードは、予め登録されている利用者、管理人、及び保守業者等が所持するものである。
【0040】
図5は、本実施形態に係る機械式駐車装置1の制御系統の機能ブロック図を示した図である。駐車場制御装置40は、例えば、情報処理装置であり、CPU、CPUが実行するプログラム等を記憶するための補助記憶装置、各プログラム実行時のワーク領域として機能するメインメモリ、ネットワークに接続するための通信インターフェース等を備えている。また、駐車場制御装置40は、機械式駐車装置1を制御するために必要となる各種データが格納されている総合データベース52を備えている。総合データベース52には、在車状況、パレット形状種別、車両格納棚形状種別等の他、登録利用者ID等のデータが格納されている。
【0041】
駐車場制御装置40の補助記憶装置には、機械式駐車装置1の各機構を制御するための制御プログラムやユーザ認証プログラム等が記憶されており、CPUが補助記憶装置に格納されている各種プログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、後述する各部の機能を実現させる。また、プログラムの実行にあたり、CPUは総合データベース52に格納されている各種データを参照して用いる。
【0042】
上記制御プログラムは、駐車場制御装置40の製造時においてROM等の補助記憶装置に予め格納されていてもよいし、施工後などにおいて、制御プログラム等を配信するサーバ等からダウンロードしてインストールされてもよい。また、外部記憶装置を介してインストールされる態様としてもよい。このように、各種プログラムのインストール方法については特に限定されない。
【0043】
駐車場制御装置40は、主制御部50を備えている。主制御部50には、上述した総合データベース52に加えて、入出庫扉制御部55、搬送機制御部56、入退室監視制御部57、カメラ制御部58、画像データベース59、車両計測・制御部61、旋回駆動制御部62等が接続されている。また、主制御部50には、操作盤22が双方向通信可能に接続されているとともに、乗降室7の内部に設置された4つの無人確認ボタン26(26A~26D)が接続されている。
【0044】
入出庫扉制御部55は、主制御部50から動作指令を受けて入出庫扉4を開閉操作し、入出庫扉センサ67から入出庫扉4の位置信号を受けて、その情報を主制御部50にフィードバックする。
【0045】
搬送機制御部56は、主制御部50から動作指令を受けてリフト14(搬送機)の昇降およびパレット18の積み下ろし動作を実行させ、搬送機位置センサ68からリフト14の位置信号を受けて、その情報を主制御部50にフィードバックする。
【0046】
入退室監視制御部57は、入退室検知センサ30からのセンサ信号及び乗降室7内部に設置された多数のセンサ(図示略)からのセンサ信号を受信し、その情報を主制御部50に出力する。
【0047】
カメラ制御部58は、主制御部50から動作指令を受けて乗降室7の内部に設置されたカメラ35(35A~35D)に画像を撮像させ、その画像情報を主制御部50に出力する。この画像情報は、画像データベース59に所定の期間蓄積される。なお、画像データベース59を総合データベース52の内部に設けたり、クラウド上に設けたりしても良い。
【0048】
車両計測・制御部61は、主制御部50から動作指令を受けて、車両計測器69により、リフト14に搭載された車両の車重を計測し、車重センサ70を介してその情報を主制御部50にフィードバックする。この車重情報は、リフト14の制御等に用いられる。
【0049】
旋回駆動制御部62は、主制御部50から動作指令を受けて、旋回駆動部11(ターンテーブル8)を動作させ、ターンテーブル位置センサ71によりターンテーブル8の旋回位置信号を受けて、その情報を主制御部50にフィードバックする。
【0050】
主制御部50は、各制御部55,56,57,58,61,62からのフィードバック、操作盤22からの入力情報に基づいて機械式駐車装置1を運行させる。
【0051】
図6は、主制御部50が備える機能の一部を抽出して示した機能ブロック図である。
図6に示すように、主制御部50は、扉閉め忘れ検出部81、カメラ故障検出部82、モード設定部83、入庫制御部84、及び出庫制御部85を備えている。
【0052】
扉閉め忘れ検出部81は、入出庫扉が閉め忘れられたことを検出する。例えば、扉閉め忘れ検出部81は、例えば、後述する扉閉め忘れ処理を実行することにより、扉の閉め忘れを検出する。扉閉め忘れ検出部81は、扉閉め忘れを検出すると、扉閉め忘れの発生を検出したことを示す扉閉め忘れ発生信号をモード設定部83に出力する。
カメラ故障検出部82は、カメラ35の故障を検出する。カメラ故障検出部82は、いずれかのカメラ35の故障を検出すると、カメラ故障が発生したことを示すカメラ故障信号をモード設定部83に出力する。
【0053】
モード設定部83は、扉閉め忘れ検出部81及びカメラ故障検出部82からの入力情報に基づいて、制御モードを切り替える。具体的には、モード設定部83は、通常モード、扉閉め忘れモード、カメラ故障モードの3つのモードのうち、いずれかのモードを選択して設定する。通常モードは、扉閉め忘れやカメラ故障が行っていない場合、換言すると、同一の人物によって一連の入庫処理または出庫処理が行われる場合に選択されるモードである。通常モードでは、後述するように、操作盤22のタッチパネル45を利用者が操作することにより、無人確認、安全確認、扉閉等の入力操作が行われる。
【0054】
扉閉め忘れモードは、扉閉め忘れ検出部81によって扉閉め忘れが発生したと判定された場合に選択される制御モードである。この扉閉め忘れモードは、乗降室7内に設けられた無人確認ボタン26から無人確認の入力を行わせるモードである。扉閉め忘れが発生した場合、一連の入庫処理または出庫処理が同一の人物によって行われないこととなる。具体的には、開扉の指示を出した人物と閉扉の指示を出す人物とが異なる。したがって、安全性をより高めるために、入庫操作または出庫操作を途中で引き継いだ人物に、乗降室内において無人を直接確認させ、無人確認ボタン26から無人確認を行わせる。
【0055】
カメラ故障モードは、カメラ故障検出部82によってカメラ故障が検出された場合に選択される制御モードである。このカメラ故障モードでは、カメラによって撮像されたリアルタイム画像をモニタに表示することが不可能なため、利用者はモニタによる乗降室内の確認を行えない。したがって、カメラ故障モードの場合も上述した扉閉め忘れモードと同様に、乗降室7内に設けられた無人確認ボタン26から無人確認の入力を行わせる。
【0056】
入庫制御部84は、通常モード、扉閉め忘れモード、およびカメラ故障モードのそれぞれに対応する入庫制御プログラムを保有しており、モード設定部83によって設定されたモードに対応するプログラムを実行することにより、後述する入庫制御、例えば、操作盤22の表示制御等を実現する。
出庫制御部85は、通常モード、扉閉め忘れモード、およびカメラ故障モードのそれぞれに対応する出庫制御プログラムを保有しており、モード設定部83によって設定されたモードに対応するプログラムを実行することにより、後述する出庫制御、例えば、操作盤22の表示制御等を実現する。
【0057】
〔入庫処理:通常モード〕
次に、
図7及び
図8を参照して、本実施形態に係る入庫処理の流れを説明する。
図7及び
図8は、扉の閉め忘れ等が発生しない場合、すなわち、通常モードの場合の入庫処理の流れを示した図である。以下の処理は、例えば、モード設定部83によって通常モードが設定され、入庫制御部84によって通常モードの入庫制御プログラムが実行されることにより実現される。
【0058】
まず、利用者は車両2を入出庫口3の前に移動させ(SA1)、降車して(SA2)、操作盤22に向かう。そして、専用の鍵で施錠を解錠させて筐体43の蓋44を開ける(SA3)。蓋44が開いたことが検知されると、主制御部50は、操作盤22のタッチパネル45に第1のユーザ認証画面を表示させる(SA4)。利用者がICカードをICカードリーダ46に接触させると(SA5)、ICカードに登録されている利用者IDが読み取られ、入庫制御部84に送信される。これにより、入庫制御部84において、入庫を行おうとしている人物が予め登録された利用者であるか否かを判定する第1のユーザ認証が行われる。
【0059】
ユーザ認証が成功すると、入庫制御部84は、タッチパネル45に入庫起動確認画面を表示させるとともに、利用者に対して起動ボタンを操作するようにガイダンスを行う(SA6)。
これにより、利用者によって起動ボタンが押されると(SA7)、起動ボタンが押下されたことを示す入庫起動信号が入庫制御部84に入力される。入庫制御部84は、入庫起動信号を受信すると、車両格納棚17から空パレットを呼び出す(SA8)。また、入庫起動信号の受信により、後述する扉閉め忘れ検出処理が扉閉め忘れ検出部81によって実行される。
【0060】
空パレットの呼び出しが行われると、入庫制御部84は、タッチパネル45に入庫待ちの状態を示す入庫待ち確認画面を表示する(SA9)。また、この画面を確認した利用者は車両2に乗り込み(SA10)、空パレットの到着を待つ(SA11)。空パレットが乗降室に到着すると(SA12)、入庫制御部84はタッチパネル45に入出庫扉4が開くことを示す扉開画面を表示し(SA13)、入出庫扉4を開く(SA14)。
入出庫扉4が完全に開かれると、入庫制御部84は車両2の入庫を利用者に促す入庫案内画面を表示する(SA15)。
【0061】
利用者は、車両2を乗降室内に移動させ(
図8のSA16)、乗降室内に搬送された空パレットに車両2を載置させると降車し(SA17)、乗降室7から退出する。続いて、入庫制御部84は、操作盤22のタッチパネル45に第2のユーザ認証画面を表示させる(SA18)。これにより、利用者がICカードをICカードリーダ46に接触させると(SA19)、ICカードに登録されている利用者IDが読み取られ、入庫制御部84による第2のユーザ認証が行われる。第2のユーザ認証では、受信した利用者IDが予め登録されている利用者IDであるか否かを判定するユーザ認証と、第1のユーザ認証で入力された利用者IDと、第2のユーザ認証で入力された利用者IDとが一定の関連性を有するか、例えば、両者が同一か否かを判定する。これにより、操作盤22を操作した利用者が操作盤22を操作する権限を持つものであるか否か、及び、入庫起動の操作を指示した利用者と同一の利用者によって後続の入力操作が行われるかを判定する。
【0062】
第2のユーザ認証が成功すると、入庫制御部84は、乗降室内の無人確認を利用者に行わせるための無人確認画面をタッチパネル45に表示させるとともに、無人確認画面に合わせて、利用者に無人確認を行わせるためのガイダンスを行う(SA20)。ここで、タッチパネル45に表示された無人確認画面には、例えば、
図9に示すように、無人確認ボタンB1と、モニタ28に表示されたリアルタイム画像により乗降室内の無人を確認した上で無人確認ボタンB1(外部入力手段)を操作する旨の案内とが表示される。
【0063】
利用者は、モニタ28に表示されているリアルタイム画像により乗降室7内の無人を確認すると、無人確認ボタンB1を押す(SA21)。無人確認ボタンB1が利用者によって操作されることにより無人確認情報が入力されると、続いて、入庫制御部84は、タッチパネル45に最終的な安全確認を行わせる安全確認画面を表示させる(SA22)。安全確認画面には、例えば、
図10に示すように、安全確認ボタンB2と、目視による乗降室7の無人確認を行った上で安全確認ボタンB2を操作する旨の案内とが表示される。
【0064】
利用者は、目視により乗降室7の無人確認を行い、安全確認ボタンB2を押す(SA23)。安全確認ボタンB2が利用者によって操作されることにより安全確認情報が入力されると、入庫制御部84は、タッチパネル45に入出庫扉4を閉めるための扉閉画面を表示させる(SA24)。これにより、利用者によって扉閉画面と共に表示されている扉閉ボタンが押す(SA25)。
【0065】
ここで、入庫制御部84は、上述の無人確認画面、安全確認画面、及び閉扉画面において、これら画面をそれぞれ表示させてから所定時間以内に利用者によって無人確認ボタンB1、安全確認ボタンB2、閉扉ボタンが押されなかった場合には、再度、第2のユーザ認証画面を表示させ、利用者IDの入力を再度要求することとしてもよい。ここで、所要時間は、各画面で異ならせても良いし、共通のものとしてもよい。
【0066】
利用者によって閉扉ボタンが押されると、入庫制御部84は、入出庫扉制御部55に対して入出庫扉4の閉信号を出力する。これにより、閉扉が行われる(SA26)。利用者は、入出庫扉4が完全に閉められたことを確認すると、操作盤22の蓋44を閉じて鍵を閉め(SA27)、操作盤22から離れる(SA28)。また、入庫制御部84は、入出庫扉4の閉動作が完了すると、搬送機制御部56に対して搬送信号を出力する。これにより、車両2を載置したパレットがリフト14によって搬送され車両格納棚17へ格納される(SA29)。
【0067】
〔入庫処理:扉閉め忘れモード〕
次に、扉の閉め忘れが発生した場合の入庫処理の流れについて図を参照して説明する。まず、扉閉め忘れが発生したか否かを検出する扉閉め忘れ検出処理の流れについて
図11及び
図12を参照して説明し、その後、扉閉め忘れの発生が検出された場合の入庫処理の流れについて
図13及び
図14を参照して説明する。
【0068】
図11及び
図12は、
図6に示した扉閉め忘れ検出部81によって実行される扉閉め忘れ検出処理のフローチャートを示した図である。
本実施形態に係る扉閉め忘れ処理では、入出庫扉4が開いてから入出庫扉4が閉じるまでの期間を複数の期間に区分(分割)し、各期間に対して扉閉め忘れを判定する基準時間が予め設定されている。そして、各期間における所要時間が予め設定されている基準時間を経過したときに、扉閉め忘れが発生していると判定する。本実施形態においては、入出庫扉4が開いてから入出庫扉4が閉じるまでの期間を、入庫起動信号を受信してから車両2を乗降室7に進入させるまでの期間、車両2を乗降室内に進入させてから利用者が乗降室7から退出するまでの期間、利用者が乗降室7から退出してから利用者IDが入力されるまでの期間に区分した場合を例示して説明するが、区分の分け方についてはこの例に限られない。例えば、これらの各区分を結合して1つの区分としてみなしてもよい。
【0069】
また、出庫時においても同様に、入出庫扉4が開いてから入出庫扉4が閉じるまでの期間を複数の期間に区分(分割)し、各期間に対して扉閉め忘れを判定する基準時間を設定し、扉閉め忘れの発生を検出する。出庫時における区分の一例としては、例えば、入出庫扉4が開いてから利用者が乗降室7に進入するまでの期間、利用者が乗降室内に進入してから車両2が乗降室7から退出するまでの期間、車両2が乗降室7から退出してから利用者IDが入力されるまでの期間などが挙げられる。
【0070】
まず、扉閉め忘れ検出部81は、入庫起動信号を受信すると(S1)、タイマーをリセットした後(S2)、タイマーを起動させる(S3)。これにより、タイマーによる計時が開始される。続いて、車両が入庫されたか否かを判定する(S4)。車両の入庫は、例えば、入退室検知センサ30の検出信号に基づいて判定される。この結果、車両の入庫が確認できなかった場合には(S4において「NO」)、タイマーのカウントが予め設定された第1基準時間t1を経過したか否かを判定する(S5)。この結果、第1基準時間t1を経過していなかった場合には(S5において「NO」)、ステップS4に戻る。そして、タイマーのカウントが第1基準時間t1を経過するまでに車両が入庫されなかった場合には(S5において「YES」)、扉閉め忘れが発生したと判定する(S6)。
【0071】
一方、タイマーのカウントが第1基準時間t1を経過するまでに車両が入庫された場合には(S4において「YES」)、タイマーをリセットした後(S7)、タイマーを起動させる(S8)。これにより、タイマーによる計時が再度開始される。続いて、利用者の乗降室7からの退出が検知されたか否かを判定する(S9)。利用者の退出は、入退室検知センサ30の検出信号に基づいて判定される。この結果、利用者の退出が検知されなかった場合には(S9において「NO」)、タイマーのカウントが予め設定された第2基準時間t2を経過したか否かを判定する(S10)。この結果、第2基準時間t2を経過していなかった場合には(S10において「NO」)、ステップS9に戻る。そして、タイマーのカウントが第2基準時間t2を経過するまでに利用者の退出が検知されなかった場合には(S10において「YES」)、扉閉め忘れが発生したと判定する(S6)。
【0072】
一方、タイマーのカウントが第2基準時間t2を経過するまでに利用者の退出が検知された場合には(S9において「YES」)、タイマーをリセットした後(
図12のS11)、タイマーを起動させる(S12)。これにより、タイマーによる計時が再度開始される。続いて、操作盤22において、所定の利用者IDが入力されたか否かを判定する(S13)。ここで、所定の利用者IDとは、例えば、
図7のステップSA5において入力された利用者IDと同一の利用者IDである。すなわち、開扉指示の操作を行った人物と同一の人物が操作盤22の前で操作盤22を操作しているのか否かを判定する。
この結果、所定の利用者IDが入力されていない場合には(S13において「NO」)、タイマーのカウントが予め設定された第3基準時間t3を経過したか否かを判定する(S14)。この結果、第3基準時間t3を経過していなかった場合には(S14において「NO」)、ステップS13に戻る。そして、タイマーのカウントが第3基準時間t3を経過するまでに所定の利用者IDの入力が行われた場合には(S13において「YES」)、扉閉め忘れを検出することなく、当該処理を終了する。一方、タイマーのカウントが第3基準時間t3を経過するまでに所定の利用者IDの入力が行われなかった場合には(S14において「YES」)、扉閉め忘れが発生したと判定する(
図11のS6)。
【0073】
なお、
図11では、入庫起動信号を受信したときにタイマーをリセットして起動させることとしたが、これに代えて、入出庫扉4が完全に開いたことを検知したときにタイマーをリセットして起動させることとしてもよい。
【0074】
また、上記扉閉め忘れ検出処理では、第2のユーザ認証画面において利用者IDが入力されるまでの工程までの扉閉め忘れを検出していたが、これに加えて、ステップS13において所定の利用者IDが入力されてから入出庫扉4が閉じるまでの期間をタイマーによって計時し、この期間が予め設定された基準時間を経過した場合に、扉閉め忘れが発生したと判定することとしてもよい。
【0075】
扉閉め忘れ検出部81は、扉の閉め忘れが発生したと判定すると、モード設定部83に対して扉閉め忘れの発生を検出したことを示す扉閉め忘れ発生信号を出力する。モード設定部83は、扉閉め忘れ発生信号が入力されると、制御モードを通常モードから扉閉め忘れモードに切り替える。これにより、入庫制御部84は、扉閉め忘れモードに対応する入庫処理を行うこととなる。
【0076】
次に、上記のように、扉閉め忘れ検出部81によって入出庫扉4の閉め忘れが検出された場合の入庫処理について
図13及び
図14を参照して説明する。なお、以下の説明では、一例として、利用者が車両を乗降室内に進入させて降車した後に、安全確認や扉閉の操作を操作盤で行うことなく、移動してしまった場合について説明する。なお、利用者が車両を乗降室内に進入させて降車するまでの処理等については、上述した通常モードにおけるステップSA1~SA18と同様であるため、説明を省略する。
【0077】
まず、利用者が乗降室7から退出(SB19)してから一定期間、すなわち、第3基準時間t3を経過しても操作盤22において利用者IDが入力されなかった場合、入庫制御部84は、タッチパネル45に扉閉め忘れモードのユーザ認証画面を表示させる(SB20)。
図15に、扉閉め忘れモードのユーザ認証画面の一例を示す。
図15に示すように、扉閉め忘れモードのユーザ認証画面には、扉の閉め忘れが発生していること及び利用者IDの入力を促すメッセージが表示される。なお、タッチパネル45への表示と合わせてスピーカから音声による案内を報知してもよい。入庫制御部84は、上記ユーザ認証画面の表示とともに、予め設定されている連絡先に対して扉閉め忘れが発生したことを通知する。所定の連絡先は、例えば、管理人、保守員が携帯する携帯端末の連絡先、扉を閉め忘れた利用者の家族が携帯する携帯端末の連絡先等が挙げられる。ここで、所定の連絡先に登録されている人物は、扉閉め忘れが発生したときに、閉扉操作を行う権限を有するものである。
【0078】
上記連絡を受けた人物(以下、管理人として説明する)が操作盤22に駆けつけ、自身のICカードをICカードリーダ46に接触させると(SB21)、ICカードに登録されている利用者IDが読み取られ、入庫制御部84による扉閉め忘れモードのユーザ認証が行われる。このユーザ認証では、扉閉め忘れが発生した場合に入出庫扉を閉める正当な権限が与えられている人物か否かを判定する。これにより、正当な権限が与えられていることが確認されると、入庫制御部84は、タッチパネル45に扉閉め忘れモードの場内無人確認画面を表示させる(SB22)。
図16は、場内無人確認画面の一例を示す図である。
図16に示すように、場内無人確認画面には、乗降室7内に進入し、場内の無人及び車内の無人を直接確認して、乗降室7内に設置されている無人確認ボタン26を押して操作盤22へ戻るよう案内するメッセージが表示される。
【0079】
この場内無人確認画面を確認した管理人は、乗降室7に進入し、車内及び乗降室内の無人を確認すると、無人確認ボタン26を押下する。このとき、入庫制御部84は、無人確認の入力を行わせる無人確認ボタン26を車両の属性等から選定し、選定した無人確認ボタン26のみを管理人が押下するように案内してもよい。例えば、乗降室7内に設置されている全ての無人確認ボタン26A~26Dを押下させるように案内してもよいし、対角線上に設置されている2つの無人確認ボタン(例えば、無人確認ボタン26A及び26C)を押下させるように案内してもよい。案内は、乗降室7内に設けられたスピーカから音声によって行っても良いし、例えば、押下させる無人確認ボタン(例えば、無人確認ボタン26A及び26C)を押下させない無人確認ボタン(例えば、無人確認ボタン26B及び26D)とは異なる態様で点灯させてもよい。例えば、入庫制御部84は、操作させる無人確認ボタン(例えば、無人確認ボタン26A及び26C)のみを点灯させることで、管理人に入力を促してもよい。また、管理人によって押下された無人確認ボタン26については消灯させることとしてもよい。
【0080】
管理人は、場内及び車内の無人を確認し(SB23)、入力操作の対象とされた全ての無人確認ボタン26を押下すると(SB24)、押下された無人確認ボタン26から無人確認信号が入庫制御部84に送信される。入庫制御部84は、入力操作の対象とされた全ての無人確認ボタン26が管理人によって操作されたことを確認すると、無人確認画面をタッチパネル45に表示させる(SB25)。
図17に扉閉め忘れモードの無人確認画面の一例を示す。
図17に示すように、扉閉め忘れモードの無人確認画面には、
図9に示した通常モードの無人確認画面に加えて、扉閉め忘れが発生している旨のメッセージが表示されている。管理人は、モニタ28に表示されているリアルタイム画像を確認することにより、乗降室7の無人を再度確認し、無人確認画面に表示されている無人確認ボタンB1を押下する(SB26)。無人確認ボタンB1が管理人によって操作されることにより無人確認情報が入力されると、続いて、入庫制御部84は、タッチパネル45に最終的な安全確認を行わせる安全確認画面を表示させる(SB27)。
図18に示すように、扉閉め忘れモードの安全確認画面には、
図10に示した通常モードの安全確認画面に加えて、扉閉め忘れが発生している旨のメッセージが表示されている。
【0081】
管理人は、目視による乗降室7内の無人を再度確認すると、安全確認ボタンB2を押す(SB28)。安全確認ボタンB2が管理人によって操作されることにより安全確認情報が入力されると、入庫制御部84は、タッチパネル45に入出庫扉4を閉めるための扉閉画面を表示させる(SB29)。
図19に、扉閉め忘れモードの扉閉画面の一例を示す。
図19に示すように、扉閉画面には、扉閉ボタンB3とともに扉閉め忘れが発生している旨のメッセージが表示される。管理人によって扉閉画面の扉閉ボタンが押されると(SB30)、入庫制御部84は、入出庫扉4を閉める閉扉制御を行う(SB31)。利用者は、入出庫扉4が完全に閉められたことを確認すると、操作盤22の蓋44を閉じて鍵を閉め(SB32)、操作盤22から離れる(SB33)。また、入庫制御部84は、入出庫扉4の閉動作が完了すると、車両2を載置したパレットをリフト14によって搬送させて車両格納棚17へ格納させる搬送制御を行う(SB34)。
【0082】
なお、入庫時において、カメラ故障検出部82によってカメラ故障が検出された場合も、上記扉閉め忘れモードと同様に、乗降室内の無人確認ボタン26を操作させるように案内する。カメラが故障した場合には、モニタ28による乗降室内部の無人が確認できないからである。この場合、
図15~
図19に示した扉閉め忘れモードの各画面に代えて、カメラ故障モードの画面を表示させる。カメラ故障モードの各画面については、「閉め忘れ発生中」とのメッセージに代えて「カメラ故障発生中」とのメッセージが表示される。
また、カメラが故障した場合には、
図17におけるモニタを用いた場内の確認を行わせることが難しいため、モニタを用いた無人確認を省略してもよい。
【0083】
〔出庫処理:通常モード〕
次に、
図20及び
図21を参照して、本実施形態に係る出庫処理の流れを説明する。
図20及び
図21は、扉の閉め忘れ等が発生しない場合、すなわち、通常モードの場合の出庫処理の流れを示した図である。以下の処理は、例えば、モード設定部83によって通常モードが設定され、出庫制御部85によって通常モードの出庫制御プログラムが実行されることにより実現される。
【0084】
まず、利用者は、操作盤22の前へ移動し(SC1)、鍵を用いて操作盤22の蓋44を開ける(SC2)。蓋44が開いたことが検知されると、出庫制御部85は、操作盤22のタッチパネル45に第1のユーザ認証画面を表示させる(SC3)。利用者がICカードをICカードリーダ46に接触させると(SC4)、ICカードに登録されている利用者IDが読み取られ、出庫制御部85に出力される。これにより、出庫制御部85において、利用者が予め登録された利用者であるか否かを判定する第1のユーザ認証が行われる。
【0085】
ユーザ認証が成功すると、出庫制御部85は、タッチパネル45に出庫起動確認画面を表示させるとともに、利用者に対して起動ボタンを操作するようにガイダンスを行う(SC5)。これにより、利用者によって起動ボタンが押されると(SC6)、出庫制御部85は車両格納棚17から利用者の車両2が載置された実パレットを搬送させる(SC7)。また、出庫起動信号を受信すると、扉閉め忘れ検出部81は上述した扉閉め忘れ検出処理を開始する。
【0086】
また、実パレットの呼び出しが行われると、出庫制御部85は、タッチパネル45に出庫待ちの状態を示す出庫待ち確認画面を表示する(SC8)。この画面を確認した利用者は実パレットの到着を待つ(SC9)。
実パレットが乗降室7に到着すると(SC10)、出庫制御部85はタッチパネル45に入出庫扉4が開くことを示す扉開画面を表示し(SC11)、入出庫扉4を開く開扉制御を行う(SC12)。
【0087】
入出庫扉4が完全に開かれると、出庫制御部85は、車両2の出庫を利用者に促す出庫案内画面をタッチパネルに表示させる(SC13)。また、出庫制御部85は、乗降室7の前に設けられている三色灯や入庫管制灯を点灯させる等して、利用者に出庫を促す。
【0088】
利用者は、出庫案内画面を確認すると乗降室内へ移動する(SC14)。そして、利用者は、パレット18に載置されている車両2へ乗車し(
図21のSC15)、車両2を出庫させる(SC16)。利用者は、出庫が完了すると車両2から降りて操作盤22の前へ移動する(SC17)。このとき、出庫制御部85は、第2のユーザ認証画面をタッチパネル45に表示させる(SC18)。
【0089】
利用者は、タッチパネル45に表示された第2のユーザ認証画面を確認すると、ICカードをICカードリーダ46に接触させる(SC19)。これにより、ICカードに登録されている利用者IDが読み取られ、出庫制御部85による第2のユーザ認証が行われる。第2のユーザ認証では、受信した利用者IDが予め登録されている利用者IDであるか否かを判定するユーザ認証と、第1のユーザ認証で入力された利用者IDと、第2のユーザ認証で入力された利用者IDとが一定の関連性を有するか、例えば、両者が同一か否かを判定する。これにより、操作盤22を操作した利用者が操作盤22を操作する権限を持つものであるか否か、及び、出庫起動の操作を指示した利用者と同一の利用者によって後続の入力操作が行われるかを判定する。
【0090】
認証が成功すると、出庫制御部85は、操作盤22のタッチパネル45に無人確認画面を表示させ、無人確認のガイダンスを行う(SC20)。タッチパネル45には、入庫時と同様に、例えば、
図9に示すような無人確認画面が表示される。利用者は、モニタ28に表示された乗降室内のリアルタイム画像を確認することにより乗降室内の無人を確認すると、無人確認ボタンB1を押す(SC21)。これにより、無人確認情報が入力されると、続いて、出庫制御部85は、タッチパネル45に最終的な安全確認を行わせる安全確認画面を表示させる(SC22)。安全確認画面には、入庫時と同様、例えば、
図10に示すような安全確認画面が表示される。利用者は、乗降室7内の無人を目視によって確認すると、安全確認画面に表示された安全確認ボタンB2を押す(SC23)。
【0091】
安全確認ボタンB2が利用者によって操作されることにより安全確認情報が入力されると、出庫制御部85は、タッチパネル45に入出庫扉4を閉めるための扉閉画面を表示させる(SC24)。これにより、利用者によって扉閉画面に表示されている扉閉ボタンを押す(SC25)。
ここで、出庫制御部85は、上述の無人確認画面、安全確認画面、及び閉扉画面において、これら画面をそれぞれ表示させてから所定時間以内に利用者によって無人確認ボタンB1、安全確認ボタンB2、閉扉ボタンが押されなかった場合には、再度、第2のユーザ認証画面を表示させ、利用者IDの入力を再度要求することとしてもよい。ここで、所要時間は、各画面で異ならせても良いし、共通のものとしてもよい。
【0092】
扉閉ボタンが利用者によって押されると、出庫制御部85は入出庫扉4を閉める閉扉制御を行う(SC26)。利用者は、入出庫扉4が完全に閉められたことを確認すると、操作盤22の蓋44を閉じて鍵を閉め(SC27)、操作盤22から離れる。また、出庫制御部85は、入出庫扉4の閉動作が完了すると、空パレットをリフト14によって搬送して車両格納棚17へ格納するための搬送制御を行う(SC28)。
【0093】
〔出庫処理:扉閉め忘れモード〕
次に、扉の閉め忘れが発生した場合の出庫処理の流れについて
図22及び
図23を参照して説明する。
なお、出庫時においても入庫時と同様に扉閉め忘れ検出部81による扉閉め忘れ検出処理が行われる。出庫時における扉閉め忘れ検出処理は、
図11のステップS1の処理が出庫起動信号を受信に代わり、ステップS4の判定処理が乗降室内に利用者が進入したか否かを判定する処理に代わり、ステップS9の判定処理が、車両が退出したか否かを判定する処理に代わるだけで、他の処理については同様である。なお、第1基準時間t1から第3基準時間t3の設定については、入庫時と同一でもよいし、異ならせてもよい。例えば、人物が移動する場合と車両が移動する場合とで要する時間が変わる。このため、移動する対象に応じて第1基準時間t1から第3基準時間t3を適宜設定、変更することが好ましい。
【0094】
以下の説明では、一例として、利用者が車両を乗降室7から退出させた後に、安全確認や扉閉の操作を操作盤22で行うことなく、車両を移動してしまった場合について説明する。なお、乗降室7から車両を退出させるまでの処理については、上述した通常モードにおけるステップSC1~SC18と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
まず、車両を乗降室7から退出させてから一定期間、すなわち、第3基準時間t3を経過しても操作盤22において利用者IDが入力されなかった場合、扉閉め忘れ検出部81によって扉の閉め忘れが検出される。これにより、モード設定部83は現在の制御モードを通常モードから扉閉め忘れモードに変更する。これにより、出庫制御部85は扉閉め忘れモードの出庫制御を行う。
【0096】
まず、出庫制御部85は、タッチパネル45に扉閉め忘れモードのユーザ認証画面を表示させる(
図22のSD19)。このユーザ認証画面は、
図15に示した入庫時と同様の画面である。また、出庫制御部85は予め設定されている連絡先に対して扉閉め忘れが発生したことを通知する。所定の連絡先は、例えば、管理人、保守員が携帯する携帯端末の連絡先、扉を閉め忘れた利用者の家族が携帯する携帯端末の連絡先等が挙げられる。また、所定の連絡先に登録されている人物は、扉閉め忘れが発生したときに、閉扉操作を行う権限を有するものである。
【0097】
上記連絡を受けた人物(以下、管理人として説明する)が操作盤22に駆けつけ、自身のICカードをICカードリーダ46に接触させると(SD20)、ICカードに登録されている利用者IDが読み取られ、出庫制御部85による扉閉め忘れモードのユーザ認証が行われる。このユーザ認証では、扉閉め忘れが発生した場合に入出庫扉を閉める正当な権限が与えられている人物か否かを判定する。これにより、正当な権限が与えられていることが確認されると、出庫制御部85は、タッチパネル45に扉閉め忘れモードの場内無人確認画面を表示させる(SD21)。この場内無人確認画面は、
図16に示した入庫時の画面と同様である。すなわち、場内無人確認画面には、乗降室7内に進入し、場内の無人及び車内の無人を直接確認して、乗降室7内に設置されている無人確認ボタン26を押して操作盤22へ戻るよう案内するメッセージが表示される。
【0098】
この場内無人確認画面を確認した管理人は、乗降室7に進入し、車内及び乗降室内の無人を確認し(SD22)、無人確認ボタン26を押下する(SD23)。このとき、駐車場制御装置40は、入庫時と同様に、無人確認の入力を行わせる無人確認ボタン26を車両の属性等から選定し、一部の無人確認ボタン26のみを管理人が押下するように案内してもよい。
【0099】
このようにして、管理人により入力操作の対象とされた全ての無人確認ボタン26が押下されると、押下された無人確認ボタン26から無人確認信号が出庫制御部85に送信される。出庫制御部85は、入力操作の対象とされた全ての無人確認ボタン26が管理人によって操作されたことを確認すると、無人確認画面をタッチパネル45に表示させる(
図23のSD24)。これにより、操作盤22のタッチパネル45には
図17に示したような無人確認画面が表示される。
【0100】
管理人は、モニタ28に表示されているリアルタイム画像を確認することにより、乗降室7の無人を再度確認し、無人確認画面に表示されている無人確認ボタンB1を押下する(SD25)。無人確認ボタンB1が管理人によって操作されることにより無人確認情報が入力されると、続いて、出庫制御部85は、タッチパネル45に扉閉め忘れモードの安全確認画面を表示する(SD26)。これにより、操作盤22のタッチパネル45には
図18に示したような安全確認画面が表示される。管理人は、目視によって乗降室7内の無人を再度確認すると、安全確認ボタンB2を押す(SD27)。安全確認ボタンB2が管理人によって操作されることにより安全確認情報が入力されると、出庫制御部85は、タッチパネル45に扉閉め忘れモードの扉閉画面を表示させる(SD28)。これにより、操作盤22のタッチパネル45には、
図19に示したような扉閉画面が表示される。管理人によって扉閉画面の扉閉ボタンB3が押されると(SD29)、出庫制御部85は、入出庫扉4を閉める閉動作を行う(SD30)。利用者は、入出庫扉4が完全に閉められたことを確認すると、操作盤22の蓋44を閉じて鍵を閉め(SD31)、操作盤22から離れる。また、出庫制御部85は、入出庫扉4の閉動作が完了すると、車両2を載置したパレットをリフト14によって搬送して車両格納棚17へ格納する(SD32)。
【0101】
なお、出庫時において、カメラ故障検出部82によってカメラ故障が検出された場合も、上記扉閉め忘れモードと同様に、乗降室内の無人確認釦を操作させるように案内する。カメラが故障した場合には、モニタ28による乗降室内部の無人が確認できないからである。この場合、
図15~
図19に示した扉閉め忘れモードの画面に代えて、カメラ故障モードの画面を表示させる。カメラ故障モードの各画面については、「閉め忘れ発生中」とのメッセージに代えて「カメラ故障発生中」とのメッセージが表示される。
また、カメラが故障した場合には、
図17におけるモニタを用いた場内の確認を行わせることが難しいため、モニタを用いた無人確認を省略してもよい。
【0102】
以上説明してきたように、本実施形態に係る機械式駐車装置1及びその制御方法並びに制御プログラムによれば、扉の閉め忘れが発生した場合には、乗降室7内に設けられた無人確認ボタン26が押された上で、操作盤22における無人確認、安全確認、閉扉操作が行われた後に、閉扉制御が行われる。本実施形態によれば、乗降室内の無人確認ボタン26が押されない限り、閉扉制御が行われることがないので、乗降室7内での無人確認を義務づけることが可能となる。これにより、安全性をさらに向上させることが可能となる。
特に、本実施形態では、駐車場の管理人や駐車場保守員に加えて、利用者の家族に対しても扉閉め忘れの際の閉扉操作の権限を与えている。このため、駐車場の操作に不慣れな人物が閉扉操作を行うおそれがある。このような場合でも、丁寧な操作案内を操作盤22等から行うとともに、乗降室内に入って直接的に場内の無人を確認させることで、乗降室内に人がいる状態で閉扉等が行われてしまう可能性を低減することができる。
【0103】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態で説明した入庫処理及び出庫処理の流れや無人判定処理も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりすることが可能である。
【0104】
例えば、本実施形態では、タッチパネル45に無人確認ボタンB1及び安全確認ボタンB2を表示させて利用者に順次入力を要求していた。しかしながら、無人確認及び安全確認の両方を同一人物が行うことが前提とされている機械式駐車装置においては、安全確認を省略することとしてもよい。すなわち、この場合には、無人確認画面において無人確認ボタンB1が押下された場合に、閉扉画面を表示させる。なお、無人確認画面に代えて安全確認画面としてもよい。
【0105】
また、本実施形態では、扉の閉め忘れ及びカメラの故障が検出された場合に、乗降室内に設けられた無人確認ボタン26からの無人確認の入力を行うこととしたが、これに代えて、または、これに加えて、同一の利用者によって一連の入庫処理または一連の出庫処理が行われない場合に、乗降室内の無人確認ボタン26からの無人確認の入力を行うこととしてもよい。これにより、開扉の操作を行った人物と閉扉の操作を行う人物とが異なる場合には、閉扉の操作の前に乗降室内に直接入って無人を確認させることが可能となる。これにより、安全性を向上させることが可能となる。
【0106】
また、上述した実施形態においては、主制御部50によって操作盤22が制御される場合を例示したが、この例に限られず、例えば、操作盤22に操作盤制御装置を設け、操作盤制御装置と主制御部50との情報のやり取りによって、上述の入庫処理及び出庫処理が実現されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 機械式駐車装置
4 入出庫扉
7 乗降室
26(26A~26D) 無人確認ボタン
28 モニタ
30 入退室検知センサ
35(35A~35D) カメラ
40 駐車場制御装置
45 タッチパネル
50 主制御部
81 扉閉め忘れ検出部
82 カメラ故障検出部
83 モード設定部
84 入庫制御部
85 出庫制御部
B1 無人確認ボタン
B2 安全確認ボタン
B3 扉閉ボタン