(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036310
(43)【公開日】2022-03-07
(54)【発明の名称】全自動微量炭化装置
(51)【国際特許分類】
C10B 53/00 20060101AFI20220228BHJP
C10B 47/02 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
C10B53/00 Z
C10B47/02
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140514
(22)【出願日】2020-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】309033884
【氏名又は名称】佐藤 綾子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 綾子
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バイオマスその他有機物の炭化の研究を迅速に行うには各機器分析が必要である。中でも有機元素分析は重要であるが、試料が均一でなければデータがばらつく。炭化装置は装置構成が大掛かりで、炭化のばらつきが出るため、有機元素分析の利用にはサンプリングなどの前処理を要し、効率が悪い。有機元素分析に適した均一な炭化方法が求められる。
【解決手段】有機元素分析に適した均一な炭化試料を得る方法として、小型の加熱炉と燃焼官で構成された炭化システムと試料を自動で挿入し所定の条件で炭化を自動的に行い、炭化物を自動で回収するシステム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を所定の条件で加熱するシステムにおいて、試料を収納する加熱管と、前記加熱管に収納された試料を加熱する加熱炉と、試料をいれた容器を加熱炉に挿入する挿入棒と、挿入棒を動かすロボットアームとその動作を制御するプログラムを有して、該試料を炭化して、自動で回収することを特徴とする加熱システム。
【請求項2】
試料を所定の条件で加熱するシステムにおいて、試料を収納する加熱管と、前記加熱管に収納された試料を加熱する加熱炉と、試料をいれた容器を加熱炉に挿入し、試料をいれた容器を加熱炉から引き出し、回転させて受け容器に落下させるための挿入棒を有して、さらに挿入棒を動かすロボットアームとその動作を制御するプログラムを有して、該試料を炭化して、自動で回収することを特徴とする加熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスその他有機物の炭化の研究に関する
【背景技術】
【0002】
バイオマスその他有機物の炭化の研究には市販の炭化装置や各研究室で開発した炭化装置が使われている。例えば森林バイオマスから木材の熱分解挙動をを調べる基礎研究には炭化経過を調べる必要がある。廃棄物を炭化して水質浄化剤、調質剤として利用するには均質な高純度の炭化物がもとめられる。それらの条件解析の研究用いられる炭化装置は構造が複雑で大型で広いスペースを必要としている。稼働維持費も高額で、研究費用がかさむ。
【0003】
一方、試料の炭化に至る熱特性を熱分析によって行う方法もある。一定のプログラムに従って試料を加熱しながら試料に生じる変化を測定する方法である。熱分析法の代表的なものとしては熱重量測定(TG)、示差熱分析(DTA)、示差走査熱量測定(DSC)などがあるが、炭化を目的とするものではない。炭化の高効率な方法として利用できるが炭化の専用機ではない。
【0004】
炭化の研究は森林バイオマス、キノコ廃菌床、竹、大豆種皮、稲藁、一般ごみ、コーヒーかす、繊維、プラスチックなど多方面に広がっている。中でも、バイオマスを炭化させて化学的に安定した形態の炭素、いわゆる炭を肥料にして土壌に戻すことは地球温暖化の緩和策として重要である。
従って、本発明は炭化作業の効率化を図るとともに、装置の小型化と省エネ化により電
気エネルギー消費量を抑えて研究の促進と地球温暖化対策に貢献することを目的として
いる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献1】
【0006】
高温学会誌第37巻第2号50(2011)
【文献2】
【0007】
新日鉄技法第360号38(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
バイオマスその他有機物の炭化の研究を迅速に行うには各機器分析が必要である。中でも有機元素分析は重要であるが、試料が均一でなければデータがばらつく。炭化装置は装置構成が大掛かりで、炭化のばらつきが出るため、有機元素分析の利用には炭化装置から採取するときのサンプリング数など前処理を要し、効率が悪い。従って有機元素分析に適した微量の試料を用いた均一な炭化方法が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、試料を所定の条件で加熱するシステムにおいて、試料を収納する加熱管と、前記加熱管に収納された試料を加熱する加熱炉と、試料をいれた容器を加熱炉に挿入するロボットアームとその動作を制御するプログラムを有して、該試料を自動で炭化することを特徴としている。
【0010】
本発明は、試料を所定の条件で加熱するシステムにおいて、試料を収納する加熱管と、前記加熱管に収納された試料を加熱する加熱炉と、試料をいれた容器を加熱炉に挿入し、試料をいれた容器を加熱炉から引き出し、回転させて受け容器に落下させるための挿入棒を有して、その動作を操作するロボットアームとその動作を制御するプログラムを有して、
試料の加熱炉への挿入及び炭化した試料の回収を自動ですることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
このように構成された本発明においては、試料を所定の条件で加熱するシステムにおいて、元素分析に必要な試料を小型の容器に収納すれば、あとは任意の条件で炭化を行うことができ、自動で元素分析用の炭化した試料を効率的に回収される効果がある。
【0012】
このように構成された本発明によれば、試料を所定の条件で加熱するシステムにおいて、炭化の条件を任意に設定し、その条件で得られた炭化物を自動で回収できるので、従来の方法より効率的、迅速に研究できる効果がある。
【0013】
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すように、本発明のシステムの構成は、試料を収納する加熱管(3)と、前記加熱管に収納された試料を炭化する加熱炉(4)と、試料を挿入するための挿入棒(2)と挿入棒を操作するロボットアーム(5)と、挿入棒にはロボットアームがつかんで回すための回転ハンドル(6)がついており、その回転によって落下した試料容器をうける受け容器(7)とで構成されている。ロボットアームはその動作の制御プログラムにより自動的に作動する。
【実施例0016】
本発明の方法で該試料の炭化を行う実施方法を以下に示す。
1. 炭化の温度条件や使用するHe,N2,O2ガスの流量条件を設定する。
2. 試料を試料容器(1)に入れ所定の位置に置く。
3. ロボットアーム(5)が作動制御プログラムにより、試料容器を1個つまんで挿入棒(2)に載せる。加熱炉(4)に設置されている加熱管(3)に同じく作動制御プログラムにより挿入する。あらかじめ決められていた時間の経過とともに作動プログラムにより挿入棒を引きだし、回転ハンドル(6)を回転させて 試料容器(1)を受け容器(7)に落とす。さらに連動して次の試料が送られる仕組みである。
【0017】
本発明の方法は少ない試料量で合理的に炭化が進行できるので、実験の時間と電力の消費を抑えることが出来る。
【0018】
本発明の方法は該試料を元素分析に必要な量で炭化を行うことができるので、炭化にムラがなく、均一にできるので元素分析値のばらつきが減少する。
近年ごみのリサイクルの方法として炭化法が注目されている。一般ごみはいろいろな種類があり、炭化の方法が難しいため、各所で研究が盛んである。大型の炭化装置を設置する前に本発明の方法で諸条件の検討をコストをかけないで容易に研究できる。さらに、地球温暖化問題は二酸化炭素増加による気温の変化が指摘されている。地球上の炭素は有機物、無機物として存在し、それぞれの環境が炭素の貯蔵庫として役割を担っているが、バイオマスを利用することで地球環境保全の切り札になると述べている。森林バイオマス、キノコ廃菌床、竹、大豆種皮、稲藁、一般ごみ、コーヒーかす、繊維、プラスチックなど多方面に広がっている炭化の研究、中でも、バイオマスを炭化させて化学的に安定した形態の炭素、いわゆる炭を肥料にして土壌に戻すことは地球温暖化の緩和策として重要である。
従って、本発明は炭化の研究の普及を図るとともに、産業製品として有効な炭化物の効率的な生産に貢献する。