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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036326
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20220301BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20220301BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220301BHJP
   A61B 1/07 20060101ALI20220301BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
A61B1/06 613
A61B1/045 632
A61B1/00 511
A61B1/00 731
A61B1/07 731
A61B1/06 610
A61B1/06 611
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2018160054
(22)【出願日】2018-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】橋本 進
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040BA11
2H040CA06
2H040GA02
2H040GA11
4C161BB02
4C161CC06
4C161FF40
4C161HH51
4C161JJ17
4C161JJ18
4C161LL02
4C161NN01
4C161NN07
4C161QQ02
4C161QQ07
4C161QQ09
4C161RR02
4C161RR03
4C161RR04
4C161RR22
4C161RR25
4C161RR26
4C161SS06
4C161WW08
4C161WW17
4C161YY14
(57)【要約】
【課題】光源から撮像素子に至る光路上に配置された光学フィルタにより減光される光を用いて観察を行う際に取得される画像の画質を向上させることが可能な内視鏡システムを提供する。
【解決手段】内視鏡システムは、第1及び第2の発光素子を有する発光部と、発光部から発せられた光が被写体に照射された際に生じる戻り光を撮像する際の露光期間を電子シャッタの動作期間に応じて低減可能な撮像素子と、発光部から撮像素子に至る光路上に配置された光学フィルタと、第1及び第2の発光素子を時分割で発光させている場合に、第1の発光素子の連続発光期間を変化させることにより、第1の戻り光が撮像される際の露光期間を調整し、電子シャッタの動作期間に重複しない期間において第2の発光素子の連続発光期間を変化させることにより、第2の戻り光が撮像される際の露光期間を調整する調光制御部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長領域の光を発生する第1の発光素子と、前記第1の波長領域とは異なる第2の波長領域の光を発生する第2の発光素子と、を含む複数の発光素子を有して構成された発光部と、
前記発光部から発せられた光が被写体に照射された際に生じる戻り光を撮像するとともに、前記戻り光を撮像する際の露光期間を電子シャッタの動作期間に応じて低減させることができるように構成された撮像素子と、
前記発光部から前記撮像素子に至る光路上に配置され、前記第1の波長領域の光の一部を遮断するとともに前記第2の波長領域の光を透過させるような分光透過特性を有して構成された光学フィルタと、
前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子を時分割で発光させるための制御が行われている場合に、前記電子シャッタを動作させないようにしつつ前記第1の発光素子の連続発光期間を変化させる制御を行うことにより、前記撮像素子が前記被写体に対する前記第1の波長領域の光の照射に応じて生じる第1の戻り光を撮像する際の露光期間を調整するとともに、前記電子シャッタを動作させつつ前記電子シャッタの動作期間に重複しない期間において前記第2の発光素子の連続発光期間を変化させる制御を行うことにより、前記撮像素子が前記被写体に対する前記第2の波長領域の光の照射に応じて生じる第2の戻り光を撮像する際の露光期間を調整する調光制御部と、
を有することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記調光制御部は、前記電子シャッタの動作期間の終了後に前記第2の発光素子の連続発光期間を変化させる制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記調光制御部は、前記電子シャッタを動作させないようにしつつ前記第1の発光素子の連続発光期間を変化させる制御の代わりに、前記電子シャッタを動作させつつ前記電子シャッタの動作期間に重複しない期間において前記第1の発光素子の連続発光期間を変化させる制御を行うことにより、前記撮像素子が前記第1の戻り光を撮像する際の露光期間を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記調光制御部は、前記電子シャッタの動作期間の終了後に前記第1の発光素子の連続発光期間を変化させる制御を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記調光制御部の制御に応じ、前記複数の発光素子を個別に駆動させるためのパルス状の駆動信号を生成し、当該生成した駆動信号を前記発光部へ供給する光源駆動部をさらに有し、
前記調光制御部は、前記第1の発光素子の連続発光期間を変化させる制御として、前記光源駆動部から前記第1の発光素子へ供給される駆動信号のパルス幅を変化させる制御を行い、前記第2の発光素子の連続発光期間を変化させる制御として、前記光源駆動部から前記第2の発光素子へ供給される駆動信号のパルス幅を変化させる制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記光学フィルタが、前記戻り光を結像する対物光学系から前記撮像素子に至る光路上に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記光学フィルタが、前記第1の発光素子の近傍における前記第1の波長領域の光の光路上に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記第1の発光素子は、前記被写体に相当する生体組織に含まれる所定の生体物質を励起して自家蛍光を発生させることが可能な光を前記第1の波長領域の光として発生し、
前記第2の発光素子は、前記自家蛍光の波長領域を含む光を前記第2の波長領域の光として発生し、
前記撮像素子は、第1の観察モードにおいて、前記第1の波長領域の光の反射光及び前記自家蛍光を含む混合光に相当する前記第1の戻り光と、前記第2の波長領域の光の反射光に相当する前記第2の戻り光と、をそれぞれ撮像し、前記第1の観察モードとは異なる第2の観察モードにおいて、前記第1の波長領域の光の反射光に相当する前記第1の戻り光と、前記第2の波長領域の光の反射光に相当する前記第2の戻り光と、をそれぞれ撮像する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記調光制御部は、前記第2の発光素子の連続発光期間と前記電子シャッタの動作期間との和に相当する期間が前記第1の発光素子の連続発光期間に一致するように、前記電子シャッタの動作期間の終了時刻を固定しつつ開始時刻を変化させるための制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記調光制御部は、前記撮像素子により撮像される前記第1の戻り光及び前記第2の戻り光の光量比を所定の光量比に合わせるために、前記電子シャッタの動作期間の開始時刻及び前記第2の発光素子の連続発光期間を所定の期間毎にそれぞれ調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
前記調光制御部は、前記撮像素子により撮像される前記第1の戻り光及び前記第2の戻り光の光量比を所定の光量比に合わせるために、前記第1の発光素子の最大発光光量に基づいて前記第2の発光素子へ供給される駆動信号のパルス幅として設定可能な最大パルス幅を特定するとともに、当該特定した最大パルス幅を超えないように前記第2の発光素子へ供給される駆動信号のパルス幅を変化させる制御を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡システム。
【請求項12】
前記発光部は、前記第1の波長領域の光として琥珀色光を発生する前記第1の発光素子と、前記第2の波長領域の光として緑色光を発生する前記第2の発光素子と、赤色光を発生する第3の発光素子と、紫色光を発生する第4の発光素子と、青色光を発生する第5の発光素子と、を有して構成されており、
前記撮像素子は、第1の観察モードにおいて、前記琥珀色光の反射光に相当する前記第1の戻り光と、前記緑色光の反射光及び前記赤色光の反射光を含む混合光に相当する前記第2の戻り光と、をそれぞれ撮像し、前記第1の観察モードとは異なる第2の観察モードにおいて、前記琥珀色光の反射光に相当する前記第1の戻り光と、前記緑色光の反射光、前記赤色光の反射光、前記紫色光の反射光及び前記青色光の反射光を含む混合光に相当する前記第2の戻り光と、をそれぞれ撮像する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システムに関し、特に、生体内に存在する被写体の観察に用いられる内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野の内視鏡観察においては、生体内に存在する生体組織等の被写体を照明するための照明光を発生する光源として、LED等のような発光素子が用いられる場合がある。
【0003】
具体的には、例えば、特許文献1には、CCD及び複数色のLEDを有する内視鏡システムにおいて、当該複数色のLEDを順次発光させる際の発光期間と、当該CCDの素子シャッタを開閉するタイミングと、を併用して調光を行う観点が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、被検体内の被写体を観察する際の用途に応じた帯域制限を行う光学フィルタが光源から撮像素子に至る光路上に配置されている場合においては、当該光学フィルタの分光透過特性を勘案しつつ、当該撮像素子により受光される複数色の光の光量のバランスを調整するような動作が行われることが望ましい。
【0005】
しかし、特許文献1には、前述の光学フィルタの分光透過特性を勘案しつつ、複数色のLEDを順次発光させる際の発光期間と、CCDの素子シャッタを開閉するタイミングと、をそれぞれ設定するための方法について開示等されていない。
【0006】
そのため、特許文献1に開示された構成によれば、例えば、前述の光学フィルタにより減光される光を発生する所定の色のLEDを発光させる期間と、当該所定の色のLED以外のLEDを発光させる期間と、CCDの素子シャッタを開閉するタイミングと、を適切に設定していないことに起因し、当該CCDにより受光される複数色の光の光量のバランスが崩れてしまうおそれがある、という問題点が生じている。
【0007】
すなわち、特許文献1に開示された構成によれば、光源から撮像素子に至る光路上に配置された光学フィルタにより減光される光を用いて観察を行う際に取得される画像の画質が低下してしまう場合がある、という前述の問題点に応じた課題が生じている。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、光源から撮像素子に至る光路上に配置された光学フィルタにより減光される光を用いて観察を行う際に取得される画像の画質を向上させることが可能な内視鏡システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の内視鏡システムは、第1の波長領域の光を発生する第1の発光素子と、前記第1の波長領域とは異なる第2の波長領域の光を発生する第2の発光素子と、を含む複数の発光素子を有して構成された発光部と、前記発光部から発せられた光が被写体に照射された際に生じる戻り光を撮像するとともに、前記戻り光を撮像する際の露光期間を電子シャッタの動作期間に応じて低減させることができるように構成された撮像素子と、前記発光部から前記撮像素子に至る光路上に配置され、前記第1の波長領域の光の一部を遮断するとともに前記第2の波長領域の光を透過させるような分光透過特性を有して構成された光学フィルタと、前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子を時分割で発光させるための制御が行われている場合に、前記電子シャッタを動作させないようにしつつ前記第1の発光素子の連続発光期間を変化させる制御を行うことにより、前記撮像素子が前記被写体に対する前記第1の波長領域の光の照射に応じて生じる第1の戻り光を撮像する際の露光期間を調整するとともに、前記電子シャッタを動作させつつ前記電子シャッタの動作期間に重複しない期間において前記第2の発光素子の連続発光期間を変化させる制御を行うことにより、前記撮像素子が前記被写体に対する前記第2の波長領域の光の照射に応じて生じる第2の戻り光を撮像する際の露光期間を調整する調光制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明における内視鏡システムによれば、所定の観察用の光学フィルタにより減光される光を用いて当該所定の観察とは異なる観察を行う際に取得される画像の画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図。
図2】第1の実施形態に係る内視鏡に設けられた光学フィルタの分光透過特性の一例を示す図。
図3】第1の実施形態に係る光源装置に設けられた各LEDから発せられる光の波長領域の一例を示す図。
図4】第1の実施形態に係る内視鏡システムにおいて、観察モードが白色光観察モードに設定された際に行われる調光動作の一例を説明するためのタイミングチャート。
図5】第1の実施形態に係る内視鏡システムにおいて、観察モードが白色光観察モードに設定された際に行われる調光動作の図4とは異なる例を説明するためのタイミングチャート。
図6】第2の実施形態に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図。
図7】第2の実施形態に係る光源装置に設けられた各LEDから発せられる光の波長領域の一例を示す図。
図8】第2の実施形態に係る光源装置に設けられた光学フィルタの分光透過特性の一例を示す図。
図9】第2の実施形態に係る内視鏡システムにおいて、観察モードが白色光観察モードに設定された際に行われる調光動作の一例を説明するためのタイミングチャート。
図10】第2の実施形態に係る内視鏡システムにおいて、観察モードが深部血管観察モードに設定された際に行われる調光動作の一例を説明するためのタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0013】
(第1の実施形態)
【0014】
図1から図5は、本発明の第1の実施形態に係るものである。
【0015】
内視鏡システム1は、図1に示すように、被検体内に挿入可能であるとともに、当該被検体内に存在する生体組織等の被写体を撮像して得られた画像データを出力するように構成された内視鏡2と、内視鏡2の内部に挿通配置されたライトガイド7を介して当該被写体の観察に用いられる照明光を供給するように構成された光源装置3と、内視鏡2から出力される画像データに応じた観察画像等を生成して出力するように構成されたプロセッサ4と、プロセッサ4から出力される観察画像を画面上に表示するように構成された表示装置5と、を有している。図1は、第1の実施形態に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【0016】
内視鏡2は、被検体内に挿入可能な細長形状に形成された挿入部2aと、挿入部2aの基端側に設けられた操作部2bと、を有している。また、内視鏡2は、例えば、撮像部21(後述)から出力される画像データ等の伝送に用いられる信号線が内蔵されたユニバーサルケーブル(不図示)を介し、プロセッサ4に着脱可能に接続されるように構成されている。また、内視鏡2は、ライトガイド7の少なくとも一部が内蔵されたライトガイドケーブル(不図示)を介し、光源装置3に着脱可能に接続されるように構成されている。
【0017】
挿入部2aの先端部2cには、被検体内の生体組織等の被写体を撮像するための撮像部21と、ライトガイド7の出射端部と、ライトガイド7により伝送された照明光を被写体へ照射する照明光学系22と、が設けられている。
【0018】
撮像部21は、照明光学系22を経た光が照射された被写体を撮像して画像データを生成するとともに、当該生成した画像データをプロセッサ4へ出力するように構成されている。すなわち、撮像部21は、照明光学系22を経た光が照射された被写体を撮像して画像を得るように構成されている。また、撮像部21は、対物光学系21aと、光学フィルタ21bと、撮像素子21cと、アナログフロントエンド(以降、AFEと略記する)21dと、を有して構成されている。
【0019】
対物光学系21aは、例えば、レンズ等の光学素子を有し、照明光学系22を経た光が照射された被写体から発せられる戻り光を結像するように構成されている。
【0020】
光学フィルタ21bは、対物光学系21aから撮像素子21cに至る光路上に配置されている。また、光学フィルタ21bは、例えば、図2に示すような分光透過特性を有して構成されている。具体的には、光学フィルタ21bは、470nm以上かつ680nm以下の波長領域に属する光を透過させるとともに、当該波長領域に属しない光を遮断するような分光透過特性を有して構成されている。図2は、第1の実施形態に係る内視鏡に設けられた光学フィルタの分光透過特性の一例を示す図である。
【0021】
撮像素子21cは、例えば、モノクロCCD等のイメージセンサを有して構成されている。また、撮像素子21cの撮像面には、光学フィルタ21bを通過した光を撮像するためにマトリクス状に配設された複数の画素が設けられている。また、撮像素子21cは、光学フィルタ21bを通過した光を撮像することにより撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号をAFE21dへ出力するように構成されている。また、撮像素子21cは、プロセッサ4から出力される制御信号に応じ、電子シャッタの動作状態の切り替え等の撮像動作を行うように構成されている。
【0022】
AFE21dは、撮像素子21cから出力される撮像信号に対してノイズ低減処理及びA/D変換処理等の所定の信号処理を施すことにより画像データを生成し、当該生成した画像データをプロセッサ4へ出力するように構成されている。
【0023】
操作部2bは、ユーザが把持して操作することが可能な形状を具備して構成されている。
【0024】
操作部2bの内部には、例えば、光学フィルタ21bの配置状態及び分光透過特性等のような、内視鏡2に固有の情報を含む内視鏡情報が格納された不揮発性のメモリ24が設けられている。メモリ24に格納された内視鏡情報は、内視鏡2とプロセッサ4とが電気的に接続され、かつ、プロセッサ4の電源がオンされた際に、プロセッサ4の制御部44(後述)により読み出される。
【0025】
光源装置3は、発光部31と、合波器32と、集光レンズ33と、光源駆動部34と、を有して構成されている。
【0026】
発光部31は、青色LED31aと、緑色LED31bと、赤色LED31cと、を有して構成されている。すなわち、発光部31は、複数の発光素子を有して構成されている。
【0027】
青色LED31aは、青色域に強度を有するとともに、生体組織に含まれる所定の生体物質を励起して緑色の自家蛍光(以降、F光とも称する)を発生させることが可能な青色光(以降、B1光と称する)を発生するように構成されている。具体的には、青色LED31aは、例えば、図3に示すような、380nm~480nmの波長領域に強度を有する光をB1光として発生するように構成されている。また、青色LED31aは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じて発光または消光するように構成されている。また、青色LED31aは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じた発光光量で発光するように構成されている。なお、青色LED31aの発光光量は、例えば、B1光の波長領域に含まれる各波長の光の強度を積算して得られる総光量として規定される。図3は、第1の実施形態に係る光源装置に設けられた各LEDから発せられる光の波長領域の一例を示す図である。
【0028】
緑色LED31bは、緑色域に強度を有する緑色光(以降、G1光と称する)を発生するように構成されている。具体的には、緑色LED31bは、例えば、図3に示すような、480nm~580nmの波長領域に強度を有する光をG1光として発生するように構成されている。また、緑色LED31bは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じて発光または消光するように構成されている。また、緑色LED31bは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じた発光光量で発光するように構成されている。なお、緑色LED31bの発光光量は、例えば、G1光の波長領域に含まれる各波長の光の強度を積算して得られる総光量として規定される。また、本実施形態においては、B1光の照射に応じて発生するF光の全波長領域がG1光の波長領域に含まれる場合を例に挙げて説明を行う。
【0029】
赤色LED31cは、赤色域に強度を有する赤色光(以降、R1光と称する)を発生するように構成されている。具体的には、赤色LED31cは、例えば、図3に示すような、580nm~680nmの波長領域に強度を有する光をR1光として発生するように構成されている。また、赤色LED31cは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じて発光または消光するように構成されている。また、赤色LED31cは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じた発光光量で発光するように構成されている。なお、赤色LED31cの発光光量は、例えば、R1光の波長領域に含まれる各波長の光の強度を積算して得られる総光量として規定される。
【0030】
合波器32は、発光部31から発せられた各光を合波して集光レンズ33に入射させることができるように構成されている。
【0031】
集光レンズ33は、合波器32を経て入射した光を集光してライトガイド7の入射端部へ出射するように構成されている。
【0032】
光源駆動部34は、例えば、ドライブ回路等を具備して構成されている。また、光源駆動部34は、プロセッサ4から出力される制御信号に応じ、発光部31の各LEDを個別に駆動させるためのパルス状の駆動信号であるLED駆動信号を生成するとともに、当該生成したLED駆動信号を発光部31へ供給するように構成されている。
【0033】
プロセッサ4は、画像処理部41と、観察画像生成部42と、入力I/F(インターフェース)43と、制御部44と、を有して構成されている。
【0034】
画像処理部41は、例えば、画像処理回路等を具備して構成されている。また、画像処理部41は、制御部44から出力される制御信号に応じ、内視鏡2から出力される画像データに対して所定の画像処理を施すとともに、当該所定の画像処理を施した画像データを観察画像生成部42及び制御部44へ出力するように構成されている。
【0035】
観察画像生成部42は、例えば、画像生成回路等を具備して構成されている。また、観察画像生成部42は、制御部44から出力される制御信号に応じ、画像処理部41を経て出力される画像データを用いて観察画像を生成するとともに、当該生成した観察画像を表示装置5へ出力するように構成されている。
【0036】
入力I/F43には、ユーザの入力操作に応じた指示を制御部44に対して行うことが可能な1つ以上のスイッチが設けられている。具体的には、入力I/F43には、例えば、ユーザの操作に応じ、内視鏡システム1の観察モードを白色光観察モードまたは蛍光観察モードのいずれかに設定する(切り替える)ための指示を行うことが可能な観察モード切替スイッチ(不図示)が設けられている。
【0037】
制御部44は、例えば、制御回路等を具備して構成されている。また、制御部44は、入力I/F43からの指示に応じた動作を行わせるための制御信号を生成して出力するように構成されている。また、制御部44は、明るさ検出部44aと、調光制御部44bと、を有して構成されている。
【0038】
明るさ検出部44aは、画像処理部41を経て出力される画像データの明るさを検出するための処理を行うように構成されている。具体的には、明るさ検出部44aは、例えば、画像処理部41を経て出力される画像データに含まれる各画素の輝度値の平均値を当該画像データの明るさ検出値として取得する処理を行うように構成されている。
【0039】
調光制御部44bは、明るさ検出部44aの検出結果として得られた明るさ検出値に基づき、内視鏡システム1の観察モードに応じた調光を行うための制御信号を生成して撮像素子21c及び光源駆動部34へ出力するように構成されている。
【0040】
なお、本実施形態においては、プロセッサ4の各部が、個々の電子回路として構成されていてもよく、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路における回路ブロックとして構成されていてもよい。また、本実施形態においては、例えば、プロセッサ4が1つ以上のCPUを具備して構成されていてもよい。また、本実施形態に係る構成を適宜変形することにより、例えば、図示しないコンピュータが、プロセッサ4の各部の機能を実行させるためのプログラムをメモリ等の記憶媒体から読み込むとともに、当該読み込んだプログラムに応じた動作を行うようにしてもよい。
【0041】
表示装置5は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)等を具備し、プロセッサ4から出力される観察画像等を表示することができるように構成されている。
【0042】
以上に述べた構成によれば、撮像素子21cは、発光部31から発せられた光が被写体に照射された際に生じる戻り光を撮像するとともに、当該戻り光を撮像する際の露光期間を電子シャッタの動作期間に応じて低減させることができるように構成されている。また、以上に述べた構成によれば、光学フィルタ21bは、発光部31から撮像素子21cに至る光路上に配置され、B1光の一部を遮断するとともにG1光及びR1光を透過させるような分光透過特性を有して構成されている。
【0043】
続いて、本実施形態に係る内視鏡システム1の動作の具体例について、以下に説明する。
【0044】
術者等のユーザは、例えば、内視鏡システム1の各部を接続して電源を投入した後、入力I/F43の観察モード切替スイッチを操作することにより、内視鏡システム1の観察モードを白色光観察モードに設定するための指示を行う。
【0045】
制御部44は、プロセッサ4の電源が投入された際に、メモリ24に格納されている内視鏡情報を読み出す。
【0046】
制御部44は、内視鏡システム1の観察モードを白色光観察モードに設定するための指示が行われたことを検知した際に、B1光、G1光及びR1光を光源装置3から時分割で出射させるための制御信号を生成して光源駆動部34へ出力する。また、制御部44は、内視鏡システム1の観察モードを白色光観察モードに設定するための指示が行われたことを検知した際に、内視鏡2から出力される画像データに応じた白色光観察画像を表示装置5に表示させるための制御信号を生成して画像処理部41及び観察画像生成部42へ出力する。
【0047】
光源駆動部34は、制御部44から出力される制御信号に応じ、白色光観察モードにおいて、青色LED31aと、緑色LED31bと、赤色LED31cと、を時分割に発光させるためのLED駆動信号を生成し、当該生成したLED駆動信号を発光部31へ出力する。
【0048】
以上に述べたような動作によれば、白色光観察モードにおいて、B1光、G1光及びR1光が照明光として光源装置3(発光部31)から順次発せられ、当該照明光が照明光学系22を経て被写体に照射される。また、以上に述べたような動作によれば、白色光観察モードにおいて、被写体に対する照明光の照射に伴い、当該被写体においてB1光が反射することにより生じた反射光に相当するBM1光と、当該被写体においてG1光が反射することにより生じた反射光に相当するGM1光と、当該被写体においてR1光が反射することにより生じた反射光に相当するRM1光と、が戻り光として対物光学系21aに順次入射される。
【0049】
撮像部21は、白色光観察モードにおいて、光学フィルタ21bを通過したBM1光を撮像して得られた画像データBW1を画像処理部41へ出力する。また、撮像部21は、白色光観察モードにおいて、光学フィルタ21bを通過したGM1光を撮像して得られた画像データGW1を画像処理部41へ出力する。また、撮像部21は、白色光観察モードにおいて、光学フィルタ21bを通過したRM1光を撮像して得られた画像データRW1を画像処理部41へ出力する。
【0050】
画像処理部41は、制御部44から出力される制御信号に応じ、内視鏡2から出力される画像データBW1、GW1及びRW1に対して所定の画像処理を施すとともに、当該所定の画像処理を施した各画像データを観察画像生成部42及び制御部44へ出力する。
【0051】
観察画像生成部42は、制御部44から出力される制御信号に応じ、例えば、画像処理部41を経て出力される画像データBW1を表示装置5のB(青色)チャンネルに割り当て、画像処理部41を経て出力される画像データGW1を表示装置5のG(緑色)チャンネルに割り当て、画像処理部41を経て出力される画像データRW1を表示装置5のR(赤色)チャンネルに割り当てることにより白色光観察画像WG1を生成する。そして、観察画像生成部42は、前述のように生成した白色光観察画像WG1を表示装置5へ出力する。
【0052】
明るさ検出部44aは、画像処理部41を経て出力される画像データBW1の明るさ検出値BLAと、画像処理部41を経て出力される画像データGW1の明るさ検出値GLAと、画像処理部41を経て出力される画像データRW1の明るさ検出値RLAと、をそれぞれ取得する。
【0053】
調光制御部44bは、メモリ24から読み込んだ内視鏡情報に含まれる光学フィルタ21bの配置状態及び分光透過特性と、明るさ検出部44aの検出結果として得られた明るさ検出値BLA、GLA及びRLAと、白色光観察モードにおける観察に適した明るさとして設定された明るさ目標値WLTと、に基づき、白色光観察モードに応じた調光を行うための制御信号を生成して撮像素子21c及び光源駆動部34へ出力する。
【0054】
ここで、本実施形態の白色光観察モードにおいて行われる調光の具体例について、図4を参照しつつ以下に説明する。なお、以降においては、1フィールド期間が、例えば、垂直同期信号等のような、制御部44から(撮像素子21cに対して)周期的に出力される所定の信号の出力間隔に基づいて規定されるものとして説明を行う。また、以降においては、光源駆動部34から発光部31の各LEDに供給されるLED駆動信号の電流値(パルス状の信号における振幅)が一定の電流値(振幅)に維持されるものとして説明を行う。図4は、第1の実施形態に係る内視鏡システムにおいて、観察モードが白色光観察モードに設定された際に行われる調光動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【0055】
調光制御部44bは、メモリ24から読み込んだ内視鏡情報に含まれる光学フィルタ21bの配置状態及び分光透過特性に基づき、B1光を減光する光学フィルタが対物光学系21aから撮像素子21cに至る光路上に設けられていることを検出した場合に、1フィールド期間において、撮像素子21cの電子シャッタを動作させずに青色LED31aの連続発光期間を変化させることにより、明るさ検出値BLAと明るさ目標値WLTとの差を0に近づけるような調光を行うための制御信号を生成して撮像素子21c及び光源駆動部34へ出力する。
【0056】
撮像素子21cは、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t1から時刻t3までの期間として規定される1フィールド期間F1において、電子シャッタの動作を停止する。
【0057】
光源駆動部34は、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t1から時刻t2までの期間において、1フィールド期間F1未満のパルス幅PB1を有するLED駆動信号を青色LED31aに供給する。また、光源駆動部34は、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t2の直後から時刻t3までの期間において、青色LED31aに対するLED駆動信号の供給を停止する。
【0058】
そして、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t1から時刻t2までの期間に相当する露光期間において、B1光が被写体に照射されるとともに、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量がBM1光の受光光量に応じて増加する。また、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t2の直後から時刻t3までの期間において、青色LED31aが消光するとともに、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量が時刻t2の蓄積電荷量のまま維持される。
【0059】
撮像素子21cは、時刻t3において、各画素に蓄積された電荷を読み出して撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号をAFE21dへ出力する。そして、AFE21dは、撮像素子21cから出力される撮像信号に基づき、1フィールド期間F1のうちの(時刻t1から時刻t2までの)露光期間に撮像素子21cの各画素に蓄積された電荷量に応じた明るさを有する画像データBW1を生成する。
【0060】
調光制御部44bは、メモリ24から読み込んだ内視鏡情報に含まれる光学フィルタ21bの配置状態及び分光透過特性に基づき、G1光を減光する光学フィルタが対物光学系21aから撮像素子21cに至る光路上に設けられていないことを検出した場合に、1フィールド期間において、撮像素子21cの電子シャッタを動作させつつ緑色LED31bの連続発光期間を変化させることにより、明るさ検出値GLAと明るさ目標値WLTとの差を0に近づけるような調光を行うための制御信号を生成して撮像素子21c及び光源駆動部34へ出力する。
【0061】
撮像素子21cは、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t3から時刻t7までの期間として規定される1フィールド期間F2のうち、時刻t3より後の時刻t4から時刻t5の直前までのシャッタ期間S2において、電子シャッタを動作させる。
【0062】
光源駆動部34は、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t5から時刻t6までの期間において、パルス幅PB1未満のパルス幅PG1を有するLED駆動信号を緑色LED31bに供給する。また、光源駆動部34は、制御部44から出力される制御信号(調光制御部44b)に応じ、時刻t3から時刻t5の直前までの期間と、時刻t6の直後から時刻t7までの期間と、において、緑色LED31bに対するLED駆動信号の供給を停止する。
【0063】
そして、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t3から時刻t5の直前までの期間において、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量が0となる。また、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t5から時刻t6までの期間に相当する露光期間において、G1光が被写体に照射されるとともに、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量がGM1光の受光光量に応じて増加する。また、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t6の直後から時刻t7までの期間において、緑色LED31bが消光するとともに、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量が時刻t6の蓄積電荷量のまま維持される。
【0064】
撮像素子21cは、時刻t7において、各画素に蓄積された電荷を読み出して撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号をAFE21dへ出力する。そして、AFE21dは、撮像素子21cから出力される撮像信号に基づき、1フィールド期間F2のうちの(時刻t5から時刻t6までの)露光期間に撮像素子21cの各画素に蓄積された電荷量に応じた明るさを有する画像データGW1を生成する。
【0065】
調光制御部44bは、メモリ24から読み込んだ内視鏡情報に含まれる光学フィルタ21bの配置状態及び分光透過特性に基づき、R1光を減光する光学フィルタが対物光学系21aから撮像素子21cに至る光路上に設けられていないことを検出した場合に、1フィールド期間において、撮像素子21cの電子シャッタを動作させつつ赤色LED31cの連続発光期間を変化させることにより、明るさ検出値RLAと明るさ目標値WLTとの差を0に近づけるような調光を行うための制御信号を生成して撮像素子21c及び光源駆動部34へ出力する。
【0066】
撮像素子21cは、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t7から時刻t11までの期間として規定される1フィールド期間F3のうち、時刻t7より後の時刻t8から時刻t9の直前までのシャッタ期間S3において、電子シャッタを動作させる。
【0067】
光源駆動部34は、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t9から時刻t10までの期間において、パルス幅PB1未満のパルス幅PR1を有するLED駆動信号を赤色LED31cに供給する。また、光源駆動部34は、制御部44から出力される制御信号(調光制御部44b)に応じ、時刻t7から時刻t9の直前までの期間と、時刻t10の直後から時刻t11までの期間と、において、赤色LED31cに対するLED駆動信号の供給を停止する。
【0068】
そして、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t7から時刻t9の直前までの期間において、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量が0となる。また、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t9から時刻t10までの期間に相当する露光期間において、R1光が被写体に照射されるとともに、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量がRM1光の受光光量に応じて増加する。また、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t10の直後から時刻t11までの期間において、赤色LED31cが消光するとともに、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量が時刻t10の蓄積電荷量のまま維持される。
【0069】
撮像素子21cは、時刻t11において、各画素に蓄積された電荷を読み出して撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号をAFE21dへ出力する。そして、AFE21dは、撮像素子21cから出力される撮像信号に基づき、1フィールド期間F3のうちの(時刻t9から時刻t10までの)露光期間に撮像素子21cの各画素に蓄積された電荷量に応じた明るさを有する画像データRW1を生成する。
【0070】
すなわち、本実施形態の調光制御部44bは、青色LED31aと、緑色LED31bと、赤色LED31cと、を時分割で発光させるための制御が行われている白色光観察モード時に、撮像素子21cの電子シャッタを動作させないようにしつつ青色LED31aの連続発光期間を変化させる制御を行うことにより、撮像素子21cがBM1光を撮像する際の露光期間を調整する。また、本実施形態の調光制御部44bは、青色LED31aと、緑色LED31bと、赤色LED31cと、を時分割で発光させるための制御が行われている白色光観察モード時に、撮像素子21cの電子シャッタを動作させつつ当該電子シャッタの動作期間に重複しない期間において緑色LED31bの連続発光期間及び赤色LED31cの連続発光期間をそれぞれ変化させる制御を行うことにより、撮像素子21cがGM1光を撮像する際の露光期間と、撮像素子21cがRM1光を撮像する際の露光期間と、を調整する。また、本実施形態の調光制御部44bは、撮像素子21cの電子シャッタの動作期間の終了後に緑色LED31bの連続発光期間及び赤色LED31cの連続発光期間をそれぞれ変化させる制御を行う。また、本実施形態の調光制御部44bは、青色LED31aの連続発光期間を変化させる制御として、光源駆動部34から青色LED31aへ供給されるLED駆動信号のパルス幅を変化させる制御を行う。また、本実施形態の調光制御部44bは、緑色LED31bの連続発光期間を変化させる制御として、光源駆動部34から緑色LED31bへ供給されるLED駆動信号のパルス幅を変化させる制御を行う。また、本実施形態の調光制御部44bは、赤色LED31cの連続発光期間を変化させる制御として、光源駆動部34から赤色LED31cへ供給されるLED駆動信号のパルス幅を変化させる制御を行う。
【0071】
ユーザは、表示装置5に表示される白色光観察画像WG1を確認しつつ、内視鏡2の挿入部2aを被験者の内部へ挿入するとともに、当該被験者の内部に存在する所望の生体組織を含む被写体の近傍に先端部2cを配置する。その後、ユーザは、内視鏡2の先端部2cを所望の生体組織を含む被写体の近傍に配置した状態において、入力I/F43の観察モード切替スイッチを操作することにより、内視鏡システム1の観察モードを蛍光観察モードに設定するための指示を行う。
【0072】
制御部44は、内視鏡システム1の観察モードを蛍光観察モードに設定するための指示が行われたことを検知した際に、B1光及びG1光を光源装置3から時分割で出射させるための制御信号を生成して光源駆動部34へ出力する。また、制御部44は、内視鏡システム1の観察モードを蛍光観察モードに設定するための指示が行われたことを検知した際に、内視鏡2から出力される画像データに応じた蛍光観察画像を表示装置5に表示させるための制御信号を生成して画像処理部41及び観察画像生成部42へ出力する。
【0073】
光源駆動部34は、制御部44から出力される制御信号に応じ、蛍光観察モードにおいて、赤色LED31cを消光させつつ、青色LED31a及び緑色LED31bを時分割に(交互に)発光させるためのLED駆動信号を生成し、当該生成したLED駆動信号を発光部31へ出力する。
【0074】
以上に述べたような動作によれば、蛍光観察モードにおいて、B1光及びG1光が照明光として光源装置3(発光部31)から順次発せられ、当該照明光が照明光学系22を経て被写体に照射される。また、以上に述べたような動作によれば、蛍光観察モードにおいて、被写体に対する照明光の照射に伴い、BM1光及びF光を含む混合光に相当するBFM光と、GM1光と、が戻り光として対物光学系21aに順次入射される。
【0075】
撮像部21は、蛍光観察モードにおいて、光学フィルタ21bを通過したBFM光を撮像して得られた画像データBF1を画像処理部41へ出力する。また、撮像部21は、蛍光観察モードにおいて、光学フィルタ21bを通過したGM1光を撮像して得られた画像データGF1を画像処理部41へ出力する。
【0076】
画像処理部41は、制御部44から出力される制御信号に応じ、内視鏡2から出力される画像データBF1及びGF1に対して所定の画像処理を施すとともに、当該所定の画像処理を施した各画像データを観察画像生成部42及び制御部44へ出力する。
【0077】
観察画像生成部42は、制御部44から出力される制御信号に応じ、例えば、画像処理部41を経て出力される画像データBF1を表示装置5のGチャンネルに割り当て、
画像処理部41を経て出力される画像データGF1を表示装置5のBチャンネル及びRチャンネルに割り当てることにより蛍光観察画像FG1を生成する。そして、観察画像生成部42は、前述のように生成した蛍光観察画像FG1を表示装置5へ出力する。
【0078】
明るさ検出部44aは、画像処理部41を経て出力される画像データBF1の明るさ検出値BLBと、画像処理部41を経て出力される画像データGF1の明るさ検出値GLBと、をそれぞれ取得する。
【0079】
調光制御部44bは、明るさ検出部44aの検出結果として得られた明るさ検出値BLB及びGLBと、蛍光観察モードにおける観察に適した明るさとして設定された明るさ目標値FLTと、に基づき、蛍光観察モードに応じた調光を行うための制御信号を生成して撮像素子21c及び光源駆動部34へ出力する。
【0080】
具体的には、調光制御部44bは、例えば、撮像素子21cの電子シャッタを動作させないようにしつつ、青色LED31aの発光光量を変化させることにより、明るさ検出値BLBと明るさ目標値FLTとの差を0に近づけるような調光を行うための制御信号を生成して撮像素子21c及び光源駆動部34へ出力する。また、調光制御部44bは、例えば、撮像素子21cの電子シャッタを動作させないようにしつつ、緑LED31bの発光光量を変化させることにより、明るさ検出値GLBと明るさ目標値FLTとの差を0に近づけるような調光を行うための制御信号を生成して撮像素子21c及び光源駆動部34へ出力する。
【0081】
以上に述べたように、本実施形態によれば、白色光観察モードにおいて、光学フィルタ21bにより減光されないG1光及びR1光の光量をパルス幅変調で調整する際には撮像素子21cの電子シャッタを動作させる一方で、光学フィルタ21bにより減光されるB1光の光量をパルス幅変調で調整する際には際には撮像素子21cの電子シャッタを動作させないようにしている。また、以上に述べたように、本実施形態によれば、白色光観察モードにおいて、G1光及びR1光の光量をパルス幅変調で調整する際に、緑色LED31b及び赤色LED31cの連続発光期間と、撮像素子21cの電子シャッタの動作期間と、が重複しないようにしている。
【0082】
そのため、本実施形態によれば、白色光観察モードにおいて、例えば、光学フィルタ21bによる減光の影響を無視可能な程度までBM1光の光量を増加させることができるとともに、撮像素子21cにより受光されるBM1光、GM1光及びRM1光の光量比を所定の光量比に合わせた状態で画像データを得ることができる。従って、本実施形態によれば、対物光学系21aから撮像素子21cに至る光路上に配置された(自家蛍光観察用の)光学フィルタ21bにより減光される光を用いて観察(白色光観察)を行う際に取得される画像の画質を向上させることができる。
【0083】
なお、本実施形態によれば、例えば、白色光観察モードにおいて、G1光の照射期間とシャッタ期間S2との和に相当する期間がB1光の照射期間に一致するようにシャッタ期間S2を変化させるとともに、R1光の照射期間とシャッタ期間S3との和に相当する期間がB1光の照射期間に一致するようにシャッタ期間S3を変化させるための制御が調光制御部44bにより行われるものであってもよい。
【0084】
具体的には、例えば、白色光観察モードにおいて、緑色LED31bの連続発光期間(時刻t5から時刻t6までの期間)とシャッタ期間S2との和に相当する期間が青色LED31aの連続発光期間(時刻t1から時刻t2までの期間)に一致するように、シャッタ期間S2の終了時刻(時刻t5の直前)を固定しつつ開始時刻(時刻t4)を変化させるとともに、赤色LED31cの連続発光期間(時刻t9から時刻t10までの期間)とシャッタ期間S3との和に相当する期間が青色LED31aの連続発光期間に一致するように、シャッタ期間S3の終了時刻(時刻t9の直前)を固定しつつ開始時刻(時刻t8)を変化させるための制御が調光制御部44bにより行われるものであってもよい。
【0085】
また、本実施形態によれば、シャッタ期間S2の開始時刻及び終了時刻のうちの一方を固定しつつ他方を変化させるための制御と、シャッタ期間S3の開始時刻及び終了時刻のうちの一方を固定しつつ他方を変化させるための制御と、が調光制御部44bにより行われるようにしてもよい。
【0086】
また、本実施形態によれば、白色光観察モード時に被写体に照射される3色の光(B1光、G1光及びR1光)を調光するための調光動作として、1つの明るさ目標値WLTを用いて当該3色の光を調光するような調光動作が行われるものに限らず、互いに異なる2つまたは3つの明るさ目標値を用いて当該3色の光を調光するような調光動作が行われるものであってもよい。
【0087】
また、本実施形態の調光制御部44bは、BM1光、GM1光及びRM1光の光量比を所定の光量比に合わせるための調光動作として、例えば、シャッタ期間S2の開始時刻(時刻t4)及び緑色LED31bの連続発光期間(時刻t5から時刻t6までの期間)を1フィールド期間F2毎にそれぞれ調整するとともに、シャッタ期間S3の開始時刻(時刻t8)及び赤色LED31cの連続発光期間(時刻t9から時刻t10までの期間)を1フィールド期間F3毎にそれぞれ調整するような動作を行うようにすればよい。
【0088】
また、本実施形態によれば、調光制御部44bがBM1光、GM1光及びRM1光の光量比を所定の光量比に合わせるために行う調光動作において、例えば、日本国特許第5974204号公報に開示された調整処理の一部を組み合わせることができる。
【0089】
具体的には、本実施形態においては、調光制御部44bが、1フィールド期間F1のパルス幅PB1として設定可能な最大パルス幅MPB1と、青色LED31aの最大発光強度と、光学フィルタ21bの分光透過特性と、撮像素子21cの分光感度(前述の特許公報の分光透過率S(λ)に相当)と、内視鏡2全体の光学系の分光透過率(前述の特許公報の分光透過率Tls(λ)に相当)と、に基づいて青色LED31aの最大発光光量MBEを算出し、当該算出した最大発光光量MBEに基づき、1フィールド期間F2のパルス幅PG1として設定可能な最大パルス幅MPG1と、1フィールド期間F3のパルス幅PR1として設定可能な最大パルス幅MPR1と、をそれぞれ特定し、当該特定した最大パルス幅MPG1及びMPR1を超えないようにパルス幅PG1及びPR1を調整するような調光動作を行うものであってもよい。
【0090】
すなわち、本実施形態の調光制御部44bは、BM1光、GM1光及びRM1光の光量比を所定の光量比に合わせるために、青色LED31aの最大発光光量に基づいて最大パルス幅MPG1及びMPR1を特定するとともに、当該特定した最大パルス幅MPG1及びMPR1を超えないようにパルス幅PG1及びPR1を変化させる制御を行うものであってもよい。
【0091】
また、本実施形態によれば、図4に例示した各部の動作を適宜変形することにより、白色光観察モードにおいて、撮像素子21cの電子シャッタを1フィールド期間のうちの所定の期間に動作させつつ、B1光、G1光及びR1光の光量をパルス幅変調で調整するようにしてもよい。このような本実施形態の変形例に係る調光の具体例について、図5を参照しつつ以下に説明する。図5は、第1の実施形態に係る内視鏡システムにおいて、観察モードが白色光観察モードに設定された際に行われる調光動作の図4とは異なる例を説明するためのタイミングチャートである。
【0092】
調光制御部44bは、メモリ24から読み込んだ内視鏡情報に含まれる光学フィルタ21bの配置状態及び分光透過特性に基づき、撮像素子21cの電子シャッタを1フィールド期間のうちの所定の期間に動作させつつ青色LED31aの連続発光期間を変化させることにより、明るさ検出値BLAと明るさ目標値WLTとの差を0に近づけるような調光を行うための制御信号を生成して撮像素子21c及び光源駆動部34へ出力する。
【0093】
撮像素子21cは、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t21から時刻t24までの期間として規定される1フィールド期間F4のうち、時刻t21より後の時刻t22から時刻t23の直前までのシャッタ期間S4において、電子シャッタを動作させる。
【0094】
光源駆動部34は、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t23から時刻t24までの期間において、パルス幅PB2を有するLED駆動信号を青色LED31aに供給する。また、光源駆動部34は、制御部44から出力される制御信号(調光制御部44b)に応じ、時刻t21から時刻t23の直前までの期間において、青色LED31aに対するLED駆動信号の供給を停止する。
【0095】
そして、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t21から時刻t23の直前までの期間において、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量が0となる。また、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t23から時刻t24までの期間に相当する露光期間において、B1光が被写体に照射されるとともに、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量がBM1光の受光光量に応じて増加する。
【0096】
撮像素子21cは、時刻t24において、各画素に蓄積された電荷を読み出して撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号をAFE21dへ出力する。そして、AFE21dは、撮像素子21cから出力される撮像信号に基づき、1フィールド期間F4のうちの(時刻t23から時刻t24までの)露光期間に撮像素子21cの各画素に蓄積された電荷量に応じた明るさを有する画像データBW1を生成する。
【0097】
調光制御部44bは、メモリ24から読み込んだ内視鏡情報に含まれる光学フィルタ21bの配置状態及び分光透過特性に基づき、撮像素子21cの電子シャッタを1フィールド期間のうちの所定の期間に動作させつつ緑色LED31bの連続発光期間を変化させることにより、明るさ検出値GLAと明るさ目標値WLTとの差を0に近づけるような調光を行うための制御信号を生成して撮像素子21c及び光源駆動部34へ出力する。
【0098】
撮像素子21cは、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t24から時刻t28までの期間として規定される1フィールド期間F5のうち、時刻t24より後の時刻t25から時刻t26の直前までのシャッタ期間S5において、電子シャッタを動作させる。
【0099】
光源駆動部34は、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t26から時刻t27までの期間において、パルス幅PB2未満のパルス幅PG2を有するLED駆動信号を緑色LED31bに供給する。また、光源駆動部34は、制御部44から出力される制御信号(調光制御部44b)に応じ、時刻t24から時刻t26の直前までの期間と、時刻t27の直後から時刻t28までの期間と、において、緑色LED31bに対するLED駆動信号の供給を停止する。
【0100】
そして、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t24から時刻t26の直前までの期間において、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量が0となる。また、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t26から時刻t27までの期間に相当する露光期間において、G1光が被写体に照射されるとともに、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量がGM1光の受光光量に応じて増加する。また、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t27の直後から時刻t28までの期間において、緑色LED31bが消光するとともに、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量が時刻t27の蓄積電荷量のまま維持される。
【0101】
撮像素子21cは、時刻t28において、各画素に蓄積された電荷を読み出して撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号をAFE21dへ出力する。そして、AFE21dは、撮像素子21cから出力される撮像信号に基づき、1フィールド期間F5のうちの(時刻t26から時刻t27までの)露光期間に撮像素子21cの各画素に蓄積された電荷量に応じた明るさを有する画像データGW1を生成する。
【0102】
調光制御部44bは、メモリ24から読み込んだ内視鏡情報に含まれる光学フィルタ21bの配置状態及び分光透過特性に基づき、撮像素子21cの電子シャッタを1フィールド期間のうちの所定の期間に動作させつつ赤色LED31cの連続発光期間を変化させることにより、明るさ検出値RLAと明るさ目標値WLTとの差を0に近づけるような調光を行うための制御信号を生成して撮像素子21c及び光源駆動部34へ出力する。
【0103】
撮像素子21cは、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t28から時刻t32までの期間として規定される1フィールド期間F6のうち、時刻t28より後の時刻t29から時刻t30の直前までのシャッタ期間S6において、電子シャッタを動作させる。
【0104】
光源駆動部34は、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t30から時刻t31までの期間において、パルス幅PB2未満のパルス幅PR2を有するLED駆動信号を赤色LED31cに供給する。また、光源駆動部34は、制御部44から出力される制御信号(調光制御部44b)に応じ、時刻t28から時刻t29の直前までの期間と、時刻t31の直後から時刻t32までの期間と、において、赤色LED31cに対するLED駆動信号の供給を停止する。
【0105】
そして、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t28から時刻t30の直前までの期間において、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量が0となる。また、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t30から時刻t31までの期間に相当する露光期間において、R1光が被写体に照射されるとともに、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量がRM1光の受光光量に応じて増加する。また、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t31の直後から時刻t32までの期間において、赤色LED31cが消光するとともに、撮像素子21cの各画素の蓄積電荷量が時刻t31の蓄積電荷量のまま維持される。
【0106】
撮像素子21cは、時刻t32において、各画素に蓄積された電荷を読み出して撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号をAFE21dへ出力する。そして、AFE21dは、撮像素子21cから出力される撮像信号に基づき、1フィールド期間F6のうちの(時刻t30から時刻t31までの)露光期間に撮像素子21cの各画素に蓄積された電荷量に応じた明るさを有する画像データRW1を生成する。
【0107】
すなわち、本変形例の調光制御部44bは、青色LED31aと、緑色LED31bと、赤色LED31cと、を時分割で発光させるための制御が行われている白色光観察モード時に、撮像素子21cの電子シャッタを動作させつつ当該電子シャッタの動作期間に重複しない期間において青色LED31aの連続発光期間を変化させる制御を行うことにより、撮像素子21cがBM1光を撮像する際の露光期間を調整する。また、本変形例の調光制御部44bは、撮像素子21cの電子シャッタの動作期間の終了後に青色LED31aの連続発光期間を変化させる制御を行う。
【0108】
以上に述べたように、本変形例によれば、白色光観察モードにおいて、B1光、G1光及びR1光の光量をパルス幅変調で調整する際に、撮像素子21cの電子シャッタの動作期間の終了後に、青色LED31a、緑色LED31b及び赤色LED31cの連続発光期間が設定されるようにしている。
【0109】
そのため、本変形例によれば、白色光観察モードにおいて、例えば、光学フィルタ21bによる減光の影響を軽減可能な程度までBM1光の光量を増加させることができるとともに、撮像素子21cにより受光されるBM1光、GM1光及びRM1光の光量比を所定の光量比に合わせた状態で画像データを得ることができる。従って、本変形例によれば、自家蛍光観察用の光学フィルタ21bにより減光される光を用いて白色光観察を行う際に取得される画像の画質を向上させることができる。
【0110】
(第2の実施形態)
【0111】
図6から図10は、本発明の第2の実施形態に係るものである。
【0112】
なお、本実施形態においては、第1の実施形態と同様の構成等を有する部分に関する詳細な説明を省略するとともに、第1の実施形態と異なる構成等を有する部分に関して主に説明を行う。
【0113】
内視鏡システム101は、図6に示すように、被検体内に挿入可能であるとともに、当該被検体内に存在する生体組織等の被写体を撮像して得られた画像データを出力するように構成された内視鏡102と、内視鏡102の内部に挿通配置されたライトガイド7を介して当該被写体の観察に用いられる照明光を供給するように構成された光源装置103と、内視鏡2から出力される画像データに応じた観察画像等を生成して出力するように構成されたプロセッサ104と、プロセッサ104から出力される観察画像を画面上に表示するように構成された表示装置5と、を有している。図6は、第2の実施形態に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【0114】
内視鏡102は、内視鏡2からメモリ24を取り除くとともに、内視鏡2における撮像部21の代わりに撮像部121を設けて構成されている。
【0115】
撮像部121は、撮像部21から光学フィルタ21bを取り除くとともに、撮像部21における撮像素子21cの代わりに撮像素子121cを設けて構成されている。
【0116】
撮像素子121cは、例えば、カラーCCD等のイメージセンサを有して構成されている。また、撮像素子121cの撮像面には、対物光学系21aから入射した戻り光を赤色、緑色及び青色の3色に分光するための原色ベイヤー配列のカラーフィルタと、当該カラーフィルタを通過した光を撮像するためにマトリクス状に配設された複数の画素と、が設けられている。また、撮像素子121cは、対物光学系21aにより結像された戻り光を撮像することにより撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号をAFE21dへ出力するように構成されている。また、撮像素子121cは、プロセッサ104から出力される制御信号に応じ、電子シャッタの動作状態の切り替え等の撮像動作を行うように構成されている。
【0117】
光源装置103は、光源装置3における発光部31の代わりに発光部131を設けるとともに、光源装置3に対して光学フィルタ135及びメモリ136を更に設けて構成されている。
【0118】
発光部131は、紫色LED131aと、青色LED131bと、緑色LED131cと、琥珀色LED131dと、赤色LED131eと、を有して構成されている。すなわち、発光部131は、複数の発光素子を有して構成されている。
【0119】
紫色LED131aは、紫色域にピーク波長(中心波長)を有する紫色光(以降、V2光と称する)を発生するように構成されている。具体的には、紫色LED131aは、例えば、図7に示すような、ピーク波長(中心波長)が415nm付近に設定され、かつ、帯域幅が20nm程度に設定された光をV2光として発生するように構成されている。また、紫色LED131aは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じて発光または消光するように構成されている。また、紫色LED131aは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じた発光光量で発光するように構成されている。なお、紫色LED131aの発光光量は、例えば、V2光の波長領域に含まれる各波長の光の強度を積算して得られる総光量として規定される。図7は、第2の実施形態に係る光源装置に設けられた各LEDから発せられる光の波長領域の一例を示す図である。
【0120】
青色LED131bは、V2光よりも長波長側の青色域にピーク波長(中心波長)を有する青色光(以降、B2光と称する)を発生するように構成されている。具体的には、青色LED131bは、例えば、図7に示すような、ピーク波長(中心波長)が460nm付近に設定され、かつ、帯域幅が20nm程度に設定された光をB2光として発生するように構成されている。また、青色LED131bは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じて発光または消光するように構成されている。また、青色LED131bは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じた発光光量で発光するように構成されている。なお、青色LED131bの発光光量は、例えば、B2光の波長領域に含まれる各波長の光の強度を積算して得られる総光量として規定される。
【0121】
緑色LED131cは、B2光よりも長波長側の緑色域にピーク波長(中心波長)を有する緑色光(以降、G2光と称する)を発生するように構成されている。具体的には、緑色LED131cは、例えば、図7に示すような、ピーク波長(中心波長)が540nm付近に設定され、かつ、帯域幅が20nm程度に設定された光をG2光として発生するように構成されている。また、緑色LED131cは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じて発光または消光するように構成されている。また、緑色LED131cは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じた発光光量で発光するように構成されている。なお、緑色LED131cの発光光量は、例えば、G2光の波長領域に含まれる各波長の光の強度を積算して得られる総光量として規定される。
【0122】
琥珀色LED131dは、G2光よりも長波長側の琥珀色域にピーク波長(中心波長)を有する琥珀色光(以降、A2光と称する)を発生するように構成されている。具体的には、琥珀色LED131dは、例えば、図7に示すような、ピーク波長(中心波長)が600nm付近に設定され、かつ、帯域幅が20nm程度に設定された光をA2光として発生するよう構成されている。また、琥珀色LED131dは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じて発光または消光するように構成されている。また、琥珀色LED131dは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じた発光光量で発光するように構成されている。なお、琥珀色LED131dの発光光量は、例えば、A2光の波長領域に含まれる各波長の光の強度を積算して得られる総光量として規定される。
【0123】
赤色LED131eは、A2光よりも長波長側の赤色域にピーク波長(中心波長)を有する赤色光(以降、R2光と称する)を発生するように構成されている。具体的には、赤色LED131eは、例えば、図7に示すような、ピーク波長(中心波長)が630nm付近に設定され、かつ、帯域幅が20nm程度に設定された光をR2光として発生するように構成されている。また、赤色LED131eは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じて発光または消光するように構成されている。また、赤色LED131eは、光源駆動部34から供給されるLED駆動信号に応じた発光光量で発光するように構成されている。なお、赤色LED131eの発光光量は、例えば、R2光の波長領域に含まれる各波長の光の強度を積算して得られる総光量として規定される。
【0124】
光学フィルタ135は、琥珀色LED131dから合波器32に至る光路上に配置されている。換言すると、光学フィルタ135は、琥珀色LED131dの近傍におけるA2光の光路上に配置されている。また、光学フィルタ135は、例えば、図8に示すような分光透過特性を有して構成されている。具体的には、光学フィルタ135は、595nm以上の波長領域の光を透過させるとともに、595nm未満の波長領域の光を遮断するような分光透過特性を有して構成されている。図8は、第2の実施形態に係る光源装置に設けられた光学フィルタの分光透過特性の一例を示す図である。
【0125】
メモリ136には、例えば、光学フィルタ135の配置状態及び分光透過特性等のような、光源装置103に固有の情報を含む光源装置情報が格納されている。メモリ136に格納された光源装置情報は、光源装置103とプロセッサ104とが電気的に接続され、かつ、プロセッサ104の電源がオンされた際に、プロセッサ104の制御部44により読み出される。
【0126】
プロセッサ104は、プロセッサ4における入力I/F43の代わりに入力I/F143を設けて構成されている。
【0127】
入力I/F143には、ユーザの入力操作に応じた指示を制御部44に対して行うことが可能な1つ以上のスイッチが設けられている。具体的には、入力I/F43には、例えば、ユーザの操作に応じ、内視鏡システム1の観察モードを白色光観察モードまたは深部血管観察モードのいずれかに設定する(切り替える)ための指示を行うことが可能な観察モード切替スイッチ(不図示)が設けられている。
【0128】
なお、本実施形態においては、プロセッサ104の各部が、個々の電子回路として構成されていてもよく、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路における回路ブロックとして構成されていてもよい。また、本実施形態においては、例えば、プロセッサ104が1つ以上のCPUを具備して構成されていてもよい。また、本実施形態に係る構成を適宜変形することにより、例えば、図示しないコンピュータが、プロセッサ104の各部の機能を実行させるためのプログラムをメモリ等の記憶媒体から読み込むとともに、当該読み込んだプログラムに応じた動作を行うようにしてもよい。
【0129】
以上に述べた構成によれば、撮像素子121cは、発光部131から発せられた光が被写体に照射された際に生じる戻り光を撮像するとともに、当該戻り光を撮像する際の露光期間を電子シャッタの動作期間に応じて低減させることができるように構成されている。また、以上に述べた構成によれば、光学フィルタ135が、発光部131から撮像素子121cに至る光路上に配置され、A2光の一部を遮断するとともにV2光、B2光、G2光及びR2光を透過させるような分光透過特性を有して構成されている。
【0130】
続いて、本実施形態に係る内視鏡システム101の動作の具体例について、以下に説明する。
【0131】
術者等のユーザは、例えば、内視鏡システム101の各部を接続して電源を投入した後、入力I/F143の観察モード切替スイッチを操作することにより、内視鏡システム101の観察モードを白色光観察モードに設定するための指示を行う。
【0132】
制御部44は、プロセッサ104の電源が投入された際に、メモリ136に格納されている光源装置情報を読み出す。
【0133】
制御部44は、内視鏡システム101の観察モードを白色光観察モードに設定するための指示が行われたことを検知した際に、例えば、V2光、B2光、G2光及びR2光を混合した混合光(以降、W2光と称する)と、A2光と、を光源装置103から時分割で出射させるための制御信号を生成して光源駆動部34へ出力する。また、制御部44は、内視鏡システム101の観察モードを白色光観察モードに設定するための指示が行われたことを検知した際に、内視鏡102から出力される画像データに応じた白色光観察画像を表示装置5に表示させるための制御信号を生成して画像処理部41及び観察画像生成部42へ出力する。
【0134】
光源駆動部34は、制御部44から出力される制御信号に応じ、白色光観察モードにおいて、琥珀色LED131dを消光させつつ琥珀色LED131d以外の4色のLEDを同時に発光させるためのLED駆動信号と、琥珀色LED131dを発光させつつ琥珀色LED131d以外の4色のLEDを同時に消光させるためのLED駆動信号と、を生成し、当該生成した2つのLED駆動信号を発光部131へ交互に出力する。
【0135】
以上に述べたような動作によれば、白色光観察モードにおいて、W2光及びA2光が照明光として光源装置103(発光部131)から順次発せられ、当該照明光が照明光学系22を経て被写体に照射される。また、以上に述べたような動作によれば、白色光観察モードにおいて、被写体に対する照明光の照射に伴い、当該被写体においてW2光が反射することにより生じた反射光に相当するWM2光と、当該被写体においてA2光が反射することにより生じた反射光に相当するAM2光と、が戻り光として対物光学系21aに順次入射される。
【0136】
撮像部121は、白色光観察モードにおいて、対物光学系21aから入射したWM2光に含まれるV2光の反射光に相当するVM2光と、当該WM2光に含まれるB2光の反射光に相当するBM2光と、を撮像して得られた画像データBW2を画像処理部41へ出力する。また、撮像部121は、白色光観察モードにおいて、対物光学系21aから入射したWM2光に含まれるG2光の反射光に相当するGM2光を撮像して得られた画像データGW2を画像処理部41へ出力する。また、撮像部121は、白色光観察モードにおいて、対物光学系21aから入射したWM2光に含まれるR2光の反射光に相当するRM2光を撮像して得られた画像データRW2を画像処理部41へ出力する。また、撮像部121は、白色光観察モードにおいて、対物光学系21aから入射したAM2光を撮像して得られた画像データAW2を画像処理部41へ出力する。
【0137】
画像処理部41は、制御部44から出力される制御信号に応じ、内視鏡102から出力される画像データBW2、GW2、RW2及びAW2に対して所定の画像処理を施すとともに、当該所定の画像処理を施した各画像データを観察画像生成部42及び制御部44へ出力する。
【0138】
観察画像生成部42は、制御部44から出力される制御信号に応じ、例えば、画像処理部41を経て出力される画像データBW2を表示装置5のBチャンネルに割り当て、画像処理部41を経て出力される画像データGW2を表示装置5のGチャンネルに割り当て、画像処理部41を経て出力される画像データRW2及びAW2を表示装置5のRチャンネルに割り当てることにより白色光観察画像WG2を生成する。そして、観察画像生成部42は、前述のように生成した白色光観察画像WG2を表示装置5へ出力する。
【0139】
明るさ検出部44aは、画像処理部41を経て出力される画像データBW2の明るさ検出値BLCと、画像処理部41を経て出力される画像データGW2の明るさ検出値GLCと、画像処理部41を経て出力される画像データRW2の明るさ検出値RLCと、画像処理部41を経て出力される画像データAW2の明るさ検出値ALCと、をそれぞれ取得する。
【0140】
調光制御部44bは、メモリ136から読み込んだ光源装置情報に含まれる光学フィルタ135の配置状態及び分光透過特性と、明るさ検出部44aの検出結果として得られた明るさ検出値BLC、GLC及びRLCのうちの少なくともいずれか1つと、明るさ検出値ALCと、明るさ目標値WLTと、に基づき、白色光観察モードに応じた調光を行うための制御信号を生成して撮像素子121c及び光源駆動部34へ出力する。
【0141】
ここで、本実施形態の白色光観察モードにおいて行われる調光の具体例について、図9を参照しつつ以下に説明する。なお、以下の具体例においては、明るさ検出値GLCに基づき、W2光に含まれる4色の光の光量を互いに同じ光量にするための調光が行われる場合を例に挙げて説明する。また、以降においては、光源駆動部34から発光部131の各LEDに供給されるLED駆動信号の電流値(パルス状の信号における振幅)が一定の電流値(振幅)に維持されるものとして説明を行う。図9は、第2の実施形態に係る内視鏡システムにおいて、観察モードが白色光観察モードに設定された際に行われる調光動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【0142】
調光制御部44bは、メモリ136から読み込んだ光源装置情報に含まれる光学フィルタ135の配置状態及び分光透過特性に基づき、G2光を減光する光学フィルタが発光部131からライトガイド7の入射端部に至る光路上に設けられていないことを検出した場合に、1フィールド期間において、撮像素子121cの電子シャッタを動作させつつ緑色LED131cの連続発光期間を変化させることにより、明るさ検出値GLCと明るさ目標値WLTとの差を0に近づけるような調光を行うための制御信号を生成して撮像素子121c及び光源駆動部34へ出力する。また、調光制御部44bは、メモリ136から読み込んだ光源装置情報に含まれる光学フィルタ135の配置状態及び分光透過特性に基づき、V2光、B2光及びR2光を減光する光学フィルタが発光部131からライトガイド7の入射端部に至る光路上に設けられていないことを検出した場合に、紫色LED131a、青色LED131b及び赤色LED131eの連続発光期間を緑色LED131cの連続発光期間に同期させるための制御信号を生成して光源駆動部34へ出力する。
【0143】
撮像素子121cは、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t41から時刻t45までの期間として規定される1フィールド期間F7のうち、時刻t41より後の時刻t42から時刻t43の直前までのシャッタ期間S7において、電子シャッタを動作させる。
【0144】
光源駆動部34は、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t43から時刻t44までの期間において、パルス幅PW3を有するLED駆動信号を紫色LED131a、青色LED131b、緑色LED131c及び赤色LED131eに供給する。また、光源駆動部34は、制御部44から出力される制御信号(調光制御部44b)に応じ、時刻t41から時刻t43の直前までの期間と、時刻t44の直後から時刻t45までの期間と、において、紫色LED131a、青色LED131b、緑色LED131c及び赤色LED131eに対するLED駆動信号の供給を停止する。
【0145】
そして、以上に述べたような撮像素子121c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t41から時刻t43の直前までの期間において、撮像素子121cの各画素の蓄積電荷量が0となる。また、以上に述べたような撮像素子121c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t43から時刻t44までの期間に相当する露光期間において、W2光が被写体に照射されるとともに、撮像素子121cの各画素の蓄積電荷量がWM2光の受光光量に応じて増加する。また、以上に述べたような撮像素子121c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t44の直後から時刻t45までの期間において、紫色LED131a、青色LED131b、緑色LED131c及び赤色LED131eが消光するとともに、撮像素子121cの各画素の蓄積電荷量が時刻t44の蓄積電荷量のまま維持される。
【0146】
撮像素子121cは、時刻t45において、各画素に蓄積された電荷を読み出して撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号をAFE21dへ出力する。そして、AFE21dは、撮像素子121cから出力される撮像信号に基づき、1フィールド期間F7のうちの(時刻t43から時刻t44までの)露光期間に撮像素子121cの各画素に蓄積された電荷量に応じた明るさを有する画像データBW2、GW2及びRW2をそれぞれ生成する。
【0147】
調光制御部44bは、メモリ136から読み込んだ光源装置情報に含まれる光学フィルタ135の配置状態及び分光透過特性に基づき、A2光を減光する光学フィルタが発光部131からライトガイド7の入射端部に至る光路上に設けられていることを検出した場合に、1フィールド期間において、撮像素子121cの電子シャッタを動作させずに琥珀色LED131dの連続発光期間を変化させることにより、明るさ検出値ALCと明るさ目標値WLTとの差を0に近づけるような調光を行うための制御信号を生成して撮像素子121c及び光源駆動部34へ出力する。
【0148】
撮像素子121cは、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t45から時刻t47までの期間として規定される1フィールド期間F8において、電子シャッタの動作を停止する。
【0149】
光源駆動部34は、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t45から時刻t46までの期間において、パルス幅PW3より大きくかつ1フィールド期間F8より小さなパルス幅PA3を有するLED駆動信号を琥珀色LED131dに供給する。また、光源駆動部34は、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t46の直後から時刻t47までの期間において、琥珀色LED131dに対するLED駆動信号の供給を停止する。
【0150】
そして、以上に述べたような撮像素子121c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t45から時刻t46までの期間に相当する露光期間において、A2光が被写体に照射されるとともに、撮像素子121cの各画素の蓄積電荷量がAM2光の受光光量に応じて増加する。また、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t46の直後から時刻t47までの期間において、琥珀色LED131dが消光するとともに、撮像素子121cの各画素の蓄積電荷量が時刻t46の蓄積電荷量のまま維持される。
【0151】
撮像素子121cは、時刻t47において、各画素に蓄積された電荷を読み出して撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号をAFE21dへ出力する。そして、AFE21dは、撮像素子121cから出力される撮像信号に基づき、1フィールド期間F8のうちの(時刻t45から時刻t46までの)露光期間に撮像素子121cの各画素に蓄積された電荷量に応じた明るさを有する画像データAW2を生成する。
【0152】
すなわち、本実施形態の調光制御部44bは、琥珀色LED131dと、琥珀色LED131d以外の4色のLEDと、を時分割で発光させるための制御が行われている白色光観察モード時に、撮像素子121cの電子シャッタを動作させないようにしつつ琥珀色LED131dの連続発光期間を変化させる制御を行うことにより、撮像素子121cがAM2光を撮像する際の露光期間を調整する。また、本実施形態の調光制御部44bは、琥珀色LED131dと、琥珀色LED131d以外の4色のLEDと、を時分割で発光させるための制御が行われている白色光観察モード時に、撮像素子121cの電子シャッタを動作させつつ当該電子シャッタの動作期間に重複しない期間において当該4色のLEDの連続発光期間をそれぞれ変化させる制御を行うことにより、撮像素子121cがW2光を撮像する際の露光期間を調整する。また、本実施形態の調光制御部44bは、撮像素子121cの電子シャッタの動作期間の終了後に琥珀色LED131d以外の4色のLEDの連続発光期間をそれぞれ変化させる制御を行う。また、本実施形態の調光制御部44bは、琥珀色LED131dの連続発光期間を変化させる制御として、光源駆動部34から琥珀色LED131dへ供給されるLED駆動信号のパルス幅を変化させる制御を行う。また、本実施形態の調光制御部44bは、琥珀色LED131d以外の4色のLEDの連続発光期間を変化させる制御として、光源駆動部34から当該4色のLEDへ供給されるLED駆動信号のパルス幅を変化させる制御を行う。
【0153】
ユーザは、表示装置5に表示される白色光観察画像WG2を確認しつつ、内視鏡102の挿入部2aを被験者の内部へ挿入するとともに、当該被験者の内部に存在する所望の生体組織を含む被写体の近傍に先端部2cを配置する。その後、ユーザは、内視鏡102の先端部2cを所望の生体組織を含む被写体の近傍に配置した状態において、入力I/F143の観察モード切替スイッチを操作することにより、内視鏡システム101の観察モードを深部血管観察モードに設定するための指示を行う。
【0154】
制御部44は、内視鏡システム101の観察モードを深部血管観察モードに設定するための指示が行われたことを検知した際に、例えば、G2光及びR2光を混合した混合光(以降、T2光と称する)と、A2光と、を光源装置103から時分割で出射させるための制御信号を生成して光源駆動部34へ出力する。また、制御部44は、内視鏡システム101の観察モードを深部血管観察モードに設定するための指示が行われたことを検知した際に、内視鏡102から出力される画像データに応じた深部血管観察画像を表示装置5に表示させるための制御信号を生成して画像処理部41及び観察画像生成部42へ出力する。
【0155】
光源駆動部34は、制御部44から出力される制御信号に応じ、深部血管観察モードにおいて、紫色LED131a、青色LED131b及び琥珀色LED131dを消光させつつ緑色LED131c及び赤色LED131eを同時に発光させるためのLED駆動信号と、紫色LED131a、青色LED131b、緑色LED131c及び赤色LED131eを消光させつつ琥珀色LED131dを発光させるためのLED駆動信号と、を生成し、当該生成した2つのLED駆動信号を発光部131へ交互に出力する。
【0156】
以上に述べたような動作によれば、深部血管観察モードにおいて、T2光及びA2光が照明光として光源装置103(発光部131)から順次発せられ、当該照明光が照明光学系22を経て被写体に照射される。また、以上に述べたような動作によれば、深部血管観察モードにおいて、被写体に対する照明光の照射に伴い、当該被写体においてT2光が反射することにより生じた反射光に相当するTM2光と、当該被写体においてA2光が反射することにより生じた反射光に相当するAM2光と、が戻り光として対物光学系21aに順次入射される。
【0157】
撮像部121は、深部血管観察モードにおいて、対物光学系21aから入射したTM2光に含まれるG2光の反射光に相当するGM2光を撮像して得られた画像データGT2を画像処理部41へ出力する。また、撮像部121は、深部血管観察モードにおいて、対物光学系21aから入射したTM2光に含まれるR2光の反射光に相当するRM2光を撮像して得られた画像データRT2を画像処理部41へ出力する。また、撮像部121は、深部血管観察モードにおいて、対物光学系21aから入射したAM2光を撮像して得られた画像データAT2を画像処理部41へ出力する。
【0158】
画像処理部41は、制御部44から出力される制御信号に応じ、内視鏡102から出力される画像データGT2、RT2及びAT2に対して所定の画像処理を施すとともに、当該所定の画像処理を施した各画像データを観察画像生成部42及び制御部44へ出力する。
【0159】
観察画像生成部42は、制御部44から出力される制御信号に応じ、例えば、画像処理部41を経て出力される画像データGT2を表示装置5のBチャンネルに割り当て、画像処理部41を経て出力される画像データAT2を表示装置5のGチャンネルに割り当て、画像処理部41を経て出力される画像データRT2を表示装置5のRチャンネルに割り当てることにより深部血管観察画像TG2を生成する。そして、観察画像生成部42は、前述のように生成した深部血管観察画像TG2を表示装置5へ出力する。
【0160】
明るさ検出部44aは、画像処理部41を経て出力される画像データGT2の明るさ検出値GLDと、画像処理部41を経て出力される画像データRT2の明るさ検出値RLDと、画像処理部41を経て出力される画像データAT2の明るさ検出値ALDと、をそれぞれ取得する。
【0161】
調光制御部44bは、メモリ136から読み込んだ光源装置情報に含まれる光学フィルタ135の配置状態及び分光透過特性と、明るさ検出部44aの検出結果として得られた明るさ検出値GLD及びRLDのうちのいずれか1つと、明るさ検出値ALDと、深部血管観察モードにおける観察に適した明るさとして設定された明るさ目標値TLTと、に基づき、深部血管観察モードに応じた調光を行うための制御信号を生成して撮像素子121c及び光源駆動部34へ出力する。
【0162】
ここで、本実施形態の深部血管観察モードにおいて行われる調光の具体例について、図10を参照しつつ以下に説明する。なお、以下の具体例においては、明るさ検出値GLDに基づき、T2光に含まれる2色の光の光量を互いに同じ光量にするための調光が行われる場合を例に挙げて説明する。図10は、第2の実施形態に係る内視鏡システムにおいて、観察モードが深部血管観察モードに設定された際に行われる調光動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【0163】
調光制御部44bは、メモリ136から読み込んだ光源装置情報に含まれる光学フィルタ135の配置状態及び分光透過特性に基づき、G2光を減光する光学フィルタが発光部131からライトガイド7の入射端部に至る光路上に設けられていないことを検出した場合に、1フィールド期間において、撮像素子121cの電子シャッタを動作させつつ緑色LED131cの連続発光期間を変化させることにより、明るさ検出値GLDと明るさ目標値TLTとの差を0に近づけるような調光を行うための制御信号を生成して撮像素子121c及び光源駆動部34へ出力する。また、調光制御部44bは、メモリ136から読み込んだ光源装置情報に含まれる光学フィルタ135の配置状態及び分光透過特性に基づき、R2光を減光する光学フィルタが発光部131からライトガイド7の入射端部に至る光路上に設けられていないことを検出した場合に、赤色LED131eの連続発光期間を緑色LED131cの連続発光期間に同期させるための制御信号を生成して光源駆動部34へ出力する。
【0164】
撮像素子121cは、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t51から時刻t55までの期間として規定される1フィールド期間F9のうち、時刻t51より後の時刻t52から時刻t53の直前までのシャッタ期間S9において、電子シャッタを動作させる。
【0165】
光源駆動部34は、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t53から時刻t54までの期間において、パルス幅PT4を有するLED駆動信号を緑色LED131c及び赤色LED131eに供給する。また、光源駆動部34は、制御部44から出力される制御信号(調光制御部44b)に応じ、時刻t51から時刻t53の直前までの期間と、時刻t54の直後から時刻t55までの期間と、において、緑色LED131c及び赤色LED131eに対するLED駆動信号の供給を停止する。
【0166】
そして、以上に述べたような撮像素子121c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t51から時刻t53の直前までの期間において、撮像素子121cの各画素の蓄積電荷量が0となる。また、以上に述べたような撮像素子121c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t53から時刻t54までの期間に相当する露光期間において、T2光が被写体に照射されるとともに、撮像素子121cの各画素の蓄積電荷量がTM2光の受光光量に応じて増加する。また、以上に述べたような撮像素子121c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t54の直後から時刻t55までの期間において、緑色LED131c及び赤色LED131eが消光するとともに、撮像素子121cの各画素の蓄積電荷量が時刻t54の蓄積電荷量のまま維持される。
【0167】
撮像素子121cは、時刻t55において、各画素に蓄積された電荷を読み出して撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号をAFE21dへ出力する。そして、AFE21dは、撮像素子121cから出力される撮像信号に基づき、1フィールド期間F9のうちの(時刻t53から時刻t54までの)露光期間に撮像素子121cの各画素に蓄積された電荷量に応じた明るさを有する画像データGT2及びRT2をそれぞれ生成する。
【0168】
調光制御部44bは、メモリ136から読み込んだ光源装置情報に含まれる光学フィルタ135の配置状態及び分光透過特性に基づき、A2光を減光する光学フィルタが発光部131からライトガイド7の入射端部に至る光路上に設けられていることを検出した場合に、1フィールド期間において、撮像素子121cの電子シャッタを動作させずに琥珀色LED131dの連続発光期間を変化させることにより、明るさ検出値ALDと明るさ目標値TLTとの差を0に近づけるような調光を行うための制御信号を生成して撮像素子121c及び光源駆動部34へ出力する。
【0169】
撮像素子121cは、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t55から時刻t57までの期間として規定される1フィールド期間F10において、電子シャッタの動作を停止する。
【0170】
光源駆動部34は、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t55から時刻t56までの期間において、パルス幅PT4より大きくかつ1フィールド期間F10より小さなパルス幅PA4を有するLED駆動信号を琥珀色LED131dに供給する。また、光源駆動部34は、制御部44(調光制御部44b)から出力される制御信号に応じ、時刻t56の直後から時刻t57までの期間において、琥珀色LED131dに対するLED駆動信号の供給を停止する。
【0171】
そして、以上に述べたような撮像素子121c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t55から時刻t56までの期間に相当する露光期間において、A2光が被写体に照射されるとともに、撮像素子121cの各画素の蓄積電荷量がAM2光の受光光量に応じて増加する。また、以上に述べたような撮像素子21c及び光源駆動部34の動作によれば、時刻t56の直後から時刻t57までの期間において、琥珀色LED131dが消光するとともに、撮像素子121cの各画素の蓄積電荷量が時刻t56の蓄積電荷量のまま維持される。
【0172】
撮像素子121cは、時刻t57において、各画素に蓄積された電荷を読み出して撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号をAFE21dへ出力する。そして、AFE21dは、撮像素子121cから出力される撮像信号に基づき、1フィールド期間F10のうちの(時刻t55から時刻t56までの)露光期間に撮像素子121cの各画素に蓄積された電荷量に応じた明るさを有する画像データAT2を生成する。
【0173】
すなわち、本実施形態の調光制御部44bは、琥珀色LED131dと、緑色LED131c及び赤色LED131eの2色のLEDと、を時分割で発光させるための制御が行われている深部血管観察モード時に、撮像素子121cの電子シャッタを動作させないようにしつつ琥珀色LED131dの連続発光期間を変化させる制御を行うことにより、撮像素子121cがAM2光を撮像する際の露光期間を調整する。また、本実施形態の調光制御部44bは、琥珀色LED131dと、緑色LED131c及び赤色LED131eの2色のLEDと、を時分割で発光させるための制御が行われている深部血管観察モード時に、撮像素子121cの電子シャッタを動作させつつ当該電子シャッタの動作期間に重複しない期間において当該2色のLEDの連続発光期間をそれぞれ変化させる制御を行うことにより、撮像素子121cがT2光を撮像する際の露光期間を調整する。また、本実施形態の調光制御部44bは、撮像素子121cの電子シャッタの動作期間の終了後に緑色LED131cの連続発光期間及び赤色LED131eの連続発光期間をそれぞれ変化させる制御を行う。また、本実施形態の調光制御部44bは、緑色LED131c及び赤色LED131eの2色のLEDの連続発光期間を変化させる制御として、光源駆動部34から当該2色のLEDへ供給されるLED駆動信号のパルス幅を変化させる制御を行う。
【0174】
ところで、LED等の半導体光源を内視鏡観察用の光源として用いた場合には、例えば、当該半導体光源に印加される電流の大きさ等に応じ、当該半導体光源から発せられる光のピーク波長が本来のピーク波長からシフトする現象である波長シフトが生じ得る。また、深部血管観察モード時に被写体に照射されるA2光は、生体組織の深部に存在する深部血管に到達可能であるとともに、ヘモグロビンに吸収され難い性質を有している一方で、可視域のうちのヘモグロビンに対する吸光係数が急峻に変化する範囲内にピーク波長を有している。そのため、例えば、A2光の波長シフトへの対策が特に講じられていない場合には、当該A2光のピーク波長が600nmよりも短波長側へシフトするに伴い、深部血管観察画像TG2に含まれる深部血管のコントラストが低下するような現象が生じ得る。このような事情を鑑み、本実施形態においては、琥珀色LED131dから合波器32に至る光路上に、A2光の波長領域を595nm以上に制限するための光学フィルタ135を配置することにより、深部血管観察画像TG2に含まれる深部血管のコントラストを低下させないようにしている。
【0175】
以上に述べたように、本実施形態によれば、白色光観察モードにおいて、光学フィルタ135により減光されないV2光、B2光、G2光及びR2光の光量をパルス幅変調で調整する際には撮像素子121cの電子シャッタを動作させる一方で、光学フィルタ135により減光されるA2光の光量をパルス幅変調で調整する際には撮像素子121cの電子シャッタを動作させないようにしている。また、以上に述べたように、本実施形態によれば、白色光観察モードにおいて、T2光に含まれる4色の光の光量をパルス幅変調で調整する際に、紫色LED131a、青色LED131b、緑色LED131c及び赤色LED131eの連続発光期間と、撮像素子121cの電子シャッタの動作期間と、が重複しないようにしている。
【0176】
そのため、本実施形態によれば、白色光観察モードにおいて、例えば、光学フィルタ135による減光の影響を無視可能な程度までAM2光の光量を増加させることができるとともに、撮像素子121cにより受光されるVM2光、BM2光、GM2光、RM2光及びAM2光の光量比を所定の光量比に合わせた状態で画像データを得ることができる。従って、本実施形態によれば、発光部131から撮像素子121cに至る光路上に配置された(深部血管観察用の)光学フィルタ135により減光される光を用いて観察(白色光観察)を行う際に取得される画像の画質を向上させることができる。
【0177】
なお、本実施形態に係る構成を適宜変形することにより、例えば、補色フィルタ等のような、原色ベイヤー配列以外のカラーフィルタが撮像面に設けられた撮像素子に対して適合させるようにしてもよい。
【0178】
また、本実施形態に係る構成を適宜変形することにより、白色光観察モードにおいて、W2光及びA2光を交互に出射させるパターンとは異なるパターンで照明光を光源装置103から時分割で出射させる場合に対して適合させるようにしてもよい。具体的には、本実施形態に係る構成を適宜変形することにより、例えば、白色光観察モードにおいて、V2光及びB2光の混合光と、G2光と、R2光と、A2光と、を光源装置103から時分割で出射させる場合に対して適合させるようにしてもよい。または、本実施形態に係る構成を適宜変形することにより、例えば、白色光観察モードにおいて、V2光と、B2光と、G2光と、R2光と、A2光と、を光源装置103から時分割で出射させる場合に対して適合させるようにしてもよい。
【0179】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0180】
1,101 内視鏡システム
2,102 内視鏡
3,103 光源装置
4,104 プロセッサ
5 表示装置
21,121 撮像部
21b,135 光学フィルタ
21c,121c 撮像素子
31,131 発光部
34 光源駆動部
44 制御部
44a 明るさ検出部
44b 調光制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0181】
【特許文献1】日本国特許5802860号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10