IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニック・タワージャズセミコンダクター株式会社の特許一覧 ▶ タワー セミコンダクター リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-固体撮像装置 図1
  • 特開-固体撮像装置 図2
  • 特開-固体撮像装置 図3
  • 特開-固体撮像装置 図4
  • 特開-固体撮像装置 図5
  • 特開-固体撮像装置 図6
  • 特開-固体撮像装置 図7
  • 特開-固体撮像装置 図8
  • 特開-固体撮像装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036438
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】固体撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20220301BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140645
(22)【出願日】2020-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】515026362
【氏名又は名称】タワー パートナーズ セミコンダクター株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504168846
【氏名又は名称】タワー セミコンダクター リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TOWER SEMICONDUCTOR LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 勝也
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA14
4M118BA19
4M118CA03
4M118DD04
4M118DD12
4M118FA16
4M118FA27
4M118FA28
4M118FA33
4M118FA35
4M118GA02
4M118GB03
4M118GB07
4M118GB11
4M118GB17
4M118HA22
4M118HA25
4M118HA30
4M118HA33
(57)【要約】
【課題】裏面照射型の固体撮像装置において、PLS特性を向上させる。
【解決手段】固体撮像装置は、第1の半導体基板111と、第1の半導体基板111に配列され、入射光を電荷に変換する光電変換部111bと、光電変換部111bから転送トランジスタTX1を介して転送された電荷を保持する電荷蓄積部MNと、第1の半導体基板111に積層され、複数の金属配線M1、M2、M3を含む配線層とを備える。入射光は、配線層とは反対側である裏面側から第1の半導体基板111に入射する。光電変換部111bと金属配線との間に、光吸収膜121、123を更に備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の半導体基板と、
前記第1の半導体基板に配列され、入射光を電荷に変換する光電変換部と、
前記光電変換部から転送トランジスタを介して転送された電荷を保持する電荷蓄積部と、
前記第1の半導体基板に積層され、複数の金属配線を含む配線層とを備え、
前記入射光は、前記配線層とは反対側である裏面側から前記第1の半導体基板に入射し、
前記光電変換部と前記金属配線との間に、光吸収膜を更に備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記光吸収膜は、窒化チタンを用いて形成されていることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項3】
請求項2において、
上部電極及び下部電極により高誘電率材料からなる絶縁膜を挟んで構成されたMIMキャパシタを備え、
前記上部電極及び前記下部電極の少なくとも一方は、前記光吸収膜を用いて構成されていることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記MIMキャパシタは、前記光電変換部の下方に位置し、且つ、前記第1の半導体基板の裏面に対して垂直に見たとき、前記光電変換部と重複する領域に設けられていることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記MIMキャパシタは、前記電荷蓄積部と接続されていることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つにおいて、
前記第1の半導体基板に対し、前記配線層を介して貼り合わせられた第2の半導体基板を備え、
前記光吸収膜は、前記第1の半導体基板側に設けられていることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つにおいて、
前記光電変換部同士の間に設けられた画素間分離領域を備え、
前記電荷蓄積部は、前記画素間分離領域の下方に位置し、
前記電荷蓄積部の幅は、前記画素間分離領域の幅と同等又はそれ以下であることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記画素間分離領域は、隣接する光電変換部同士の混色を防止する素子分離領域を含むことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記素子分離領域は、前記第1の半導体基板に設けられた溝に遮光材料を埋め込んだ構成を有し、且つ、前記電荷蓄積部の上方に配置されていることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項10】
請求項8又は9において、
前記素子分離領域上に設けられた遮光層を備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記素子分離領域と、前記遮光層とは、一体に形成されていることを特徴とする固体撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ、スマートフォン、車載カメラ等の各種のカメラに用いられる固体撮像装置として、CCD(Charge Coupled Devise)イメージセンサよりも、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが一般的になってきている。この理由としては、CMOSイメージセンサの方が消費電力、読み出しスピード等に優れること、また、裏面照射(Back Side Illumination:BSI)構造によって飛躍的に感度が向上したこと等が挙げられる。
【0003】
一般的なCMOSイメージセンサにおいて、各画素から画素信号を行毎に順次読み出すローリングシャッター方式が用いられてきた。この場合、例えば速度の速い被写体を撮像した場合、画像が歪むことがあった。そこで、全画素を同時に電荷保持部に読み出して信号を出力するグローバルシャッター方式を採用したCMOSイメージセンサが開発されている。
【0004】
しかし、このためには、フォトダイオードの面積を削減して電荷保持部(メモリーノード部)を設ける必要があり、これはローリングシャッター方式の場合よりも飽和電子数、感度特性が悪化する原因となる。
【0005】
また、グローバルシャッター方式では、読み出した信号を電荷保持部に一旦保持する。この間に、電荷蓄積部に寄生光が入り込むと、ノイズとなってしまう。このような寄生光に対する感度であるPLS(Parasitic Light Sensitivity; 寄生光感度)を抑制するためには、金属遮光膜により電荷保持部を遮光する。
【0006】
表面照射型のイメージセンサであれば、電荷保持部の直上に遮光膜を配置することは容易である。しかし、裏面照射型の場合、基板裏面側から光が照射されるので、表面照射型と同様の遮光方法は効果が無い。
【0007】
これに対し、特許文献1では、裏面照射型イメージセンサにおいて、基板裏面側から深い素子を形成し、メタル膜を埋め込んで遮光膜とすることが開示されている。
【0008】
また、特許文献2では、裏面照射型イメージセンサにおいて、第1の基板と第2の基板とをCu-Cuボンディングにより連結した構造が開示されている。ここでは、第1の基板にはPD(フォトダイオード)及びPDから電荷を読み出すトランジスタのゲート及びドレインが設けられ、第2の基板にはメモリーノード部及びそこから電荷をFD(フィールドディフュージョン)に読み出すトランジスタ等が配置されている。更に、第2の基板のメモリーノード部は、第1の基板のトランジスタのドレイン部と連結され、第2の基板に容量を確保するための配線容量(高誘電率材料を挟んだ構造)を配置して、PD面積を拡大している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第6052353号
【特許文献2】特許第4835780号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
グローバルシャッター方式のイメージセンサにおいて、電荷を読み出す転送トランジスタのドレイン部はメモリーノード部と接続されている。この結果、ドレイン部もPLSを発生させる原因となる。そこで、PLS特性を向上するためには、ドレイン部も遮光することが望まれる。
【0011】
また、裏面照射型の場合、基板裏面から入射した光が配線によって反射し、ドレイン部に漏れ込んでPLSを発生させることがある。これは、高入射光時(光の入射角が大きい時)に顕著である。
【0012】
本開示の目的は、裏面照射型の固体撮像装置において、PLS特性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の固体撮像装置は、第1の半導体基板と、第1の半導体基板に配列され、入射光を電荷に変換する光電変換部と、光電変換部から転送トランジスタを介して転送された電荷を保持する電荷蓄積部と、第1の半導体基板に積層され、複数の配線を含む配線層とを備える。入射光は、配線層とは反対側である裏面側から前記第1の半導体基板に入射する。光電変換部と配線との間に、光吸収膜を更に備える。
【発明の効果】
【0014】
本開示の固体撮像装置によると、光電変換部と配線との間に光吸収膜を備えるので、裏面側からの入射光が金属配線等により反射して寄生光感度を発生させることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本開示の実施形態1の固体撮像装置について、画素回路を示す図である。
図2図2は、図1に対応する平面レイアウトパターンを示す図である。
図3図3は、図2におけるX-X’線による断面を示す図である。
図4図4は、本開示の例示的固体撮像装置の製造工程を示す図である。
図5図5は、図4に続き、固体撮像装置の製造工程を示す図である。
図6図6は、図5に続き、固体撮像装置の製造工程を示す図である。
図7図7は、図6に続き、固体撮像装置の製造工程を示す図である。
図8図8は、図7に続き、固体撮像装置の製造工程を示す図である。
図9図9は、本開示の実施形態2の固体撮像装置について、断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
以下、本開示の実施形態1について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の例示的固体撮像装置について、グローバルシャッター方式の画素回路を示す図である。
【0017】
図1には、2画素1セルの画素方式を示しており、画素の1つを破線の四角形で囲んで示している。画素毎に、光電変換部であるフォトダイオードPD、PDからメモリーノードMNに電荷を読み出す転送トランジスタTX1、メモリーノード部からフローティングディフュージョンFDに電荷を読み出す転送トランジスタTX2、PDの電荷をリセットするグローバルリセットトランジスタGRSTが備えられている。また、増幅トランジスタSF、リセットトランジスタRS、選択トランジスタSELについては2画素で共有している。
【0018】
各トランジスタは、以下の機能を有する。まず、GRSTトランジスタをオンにして、PDの電荷をリセットする。その後、PDにおいて露光が開始され、光電変換により電荷が発生する。次に、RSトランジスタ及びTX2トランジスタをオンにして、メモリーノードMNの電荷をリセットし、空にする。次に、TX1トランジスタをオンにすることにより、PDにて発生した電荷がメモリーノードMN(電荷蓄積部)に転送され、蓄積される。グローバルシャッター方式であるから、電荷の読み出しは全画素にて同時に行われる。
【0019】
メモリーノード部は、MIMキャパシタに電気的に接続されており、MIMキャパシタの上部電極は電源電圧PVDDに接続されている。メモリーノードMNに保持された電荷は、RSトランジスタをオンにしてFDの電荷をリセットした後に、TX2トランジスタのタイミングチャートに従って順次FDに読み出される。これによりFDにおける電位が変化し、その電位変化分の電圧がSFトランジスタにゲート電圧として印加される。SFトランジスタにより増幅された電圧は、SELトランジスタにより選択された画素において、垂直信号線(PIXOUT)に出力される。
【0020】
次に、図2は、図1の回路図に対応する平面レイアウトパターンを示す図である。
【0021】
2画素1セルの構成であり、2つのフォトダイオードPDが上下に並んで配置されている。PDからメモリーノードMNに電荷を読み出すTX1トランジスタ、MNからフローティングディフュージョンFDに電荷を読み出すTX2トランジスタ、PDをリセットするGRSTトランジスタについては、画素毎に1つ配置されている。これに対し、増幅トランジスタSF、リセットトランジスタRS、選択トランジスタSELは2画素に対して1つずつ配置されている。
【0022】
MNは、TX1トランジスタとTX2トランジスタとの間にあり、MIMキャパシタ(図2では図示せず)に電気的に接続されている。また、MN、SFトランジスタ、SELトランジスタ、RSトランジスタは、画素間に配置されている。
【0023】
メモリーノードMNの面積を小さくして、画素間に配置することにより、PDの面積を大きくすることができる。
【0024】
PDをリセットするGRSTトランジスタについて、ドレイン部はVDDに接続され、VDDは上下2画素により共有されている。メモリーノードMNに保持された電荷はTX2トランジスタをオンにすることによりFDに転送される。FDについても上下2画素により共有されるレイアウトである。RSトランジスタは、FDに隣接して配置されている。
【0025】
次に、図3は、図2におけるX-X'線による断面を模式的に示す図である。つまり、図3には、フォトダイオードPD、TX1トランジスタ、メモリーノードMN、TX2トランジスタに対応する断面が示されている。
【0026】
図3に示すように、個体撮像装置は、センサー側チップ101と、ロジック側チップ102とを貼り合わせた構造を有しており、裏面照射型のイメージセンサである。
【0027】
センサー側チップ101は、第1の半導体基板111と、配線層とを含み、主にフォトダイオード、メモリーノード等の画素特性に関する構成要素が形成されている。ロジック側チップ102は、第2の半導体基板152と、配線層とを含み、主に信号処理、駆動回路、制御回路等のトランジスタと、配線層とが形成されている。
【0028】
センサー側チップ101の配線層は、絶縁膜であるTEOS(tetra ethoxy silane)膜112が積層され、その中に複数層(図3の例では4層)の金属配線M1、M2、M3及びM4と、これらの層間を接続するビアプラグV1、V2及びV3が形成された構成を有する。絶縁膜としては、Si-CN膜113、P-SiN膜114、SiCN/SiCO膜115等も用いられている。
【0029】
第1の半導体基板111には、フォトダイオード111b及びメモリーノードMNが形成されている。第1の半導体基板111直下のTEOS膜112中に、フォトダイオード111bからメモリーノードMNに電荷を読み出すTX1トランジスタと、メモリーノードMNから電荷を読み出すTX2トランジスタとが形成されている。尚、TX1トランジスタ及びTX2トランジスタについては、それぞれが形成された位置を示すものであり、ソース、ドレイン等の具体的な構造に関して図示しているわけではない。メモリーノードMNには、TEOS膜112中に設けられたポリシリコン層130が電気的に接続されている。
【0030】
更に、第1の半導体基板111直下のTEOS膜112中には、MIM(metal-insulator-metal)キャパシタ124が形成されている。MIMキャパシタ124は、光を吸収する性質を持つ材料からなる電極を含む。例えば、下部電極121及び上部電極123について、TiN電極とする。下部電極121及び上部電極123の間には、高誘電率材料、例えばHfO等からなる絶縁膜122が設けられて、MIM構造となっている。
【0031】
MIMキャパシタ124は、裏面側からフォトダイオード111bに入射した光161を吸収することにより、当該光161が金属配線M1等により反射してメモリーノードMN、TX1トランジスタ(特にドレイン)等に入ることを抑制する。つまり、図3において、下部電極121が光を反射する場合、光161の破線で示す部分のようにメモリーノードMNに入る可能性があり、これは寄生光感度の原因となる。しかし、下部電極121は光を吸収するTiN等により形成されているので、このような反射は起こらず、破線で示す部分の光は発生しないので、寄生光感度を抑制できる。尚、下部電極121及び上部電極123の少なくとも一方が光吸収膜として機能すれば良い。
【0032】
この目的のために、MIMキャパシタ124(特に下部電極121)は、フォトダイオード111bを覆うような領域(第1の半導体基板111の裏面に対して垂直に見たとき、フォトダイオード111bと重複する領域)に設けられている。
【0033】
また、下部電極121は、ビアプラグ131及びポリシリコン層130を介してメモリーノードMNに接続されている。上部電極123は、PVDDと繋がっている金属配線M1と接続され、PVDDの電圧を印加することにより、MIMキャパシタ124の容量が調整可能となっている。上部電極123は、コンタクトプラグ132を介して金属配線M1に接続されている。
【0034】
ここで、MIMキャパシタ124は、センサー側チップ101の配線層中に配置するのが望ましい。これは、上記のように寄生光感度を抑制する目的に加えて、製造を容易にするためである。
【0035】
つまり、MIMキャパシタ124はピクセル毎にフォトダイオード111bに対して設けるので、MIMキャパシタ124をロジック側チップ102に配置したとすると、センサー側チップ101とロジック側チップ102とでピクセルピッチ毎のCu-Cuボンディングが必要となる。これは、非常に高い精度の位置合わせを要するので、加工が困難になる。特に、ピクセルピッチの縮小、高画素化が進むほど歩留まりの悪化が予想される。
【0036】
これに対し、図3に示すように、センサー側チップ101にMIMキャパシタ124を設けた場合、ピクセルピッチ毎のCu-Cuボンディングは不要である。従って、チップ同士の接合時に要求される精度を抑制できる。この結果、固体撮像装置の微細化、高画素化に対応しやすい。
【0037】
次に、メモリーノードMNについて説明する。第1の半導体基板111における深い側(配線層側、また、光が入射する裏面とは反対側)に設けられる。また、フォトダイオード111bの面積を大きくし、これに応じて狭くなったフォトダイオード111b同士(画素同士)の間の素子間分離領域に配置する。このために、メモリーノードMNの面積を小さくして、素子間分離領域の下方に配置する。メモリーノードMNの面積を小さくすると、入射光はメモリーノードMNに入りにくくなるので、寄生光感度特性は向上する。具体的には、メモリーノードMNの幅は、素子間分離領域の幅よりも小さくすることが望ましい。
【0038】
また、メモリーノードMNの面積を小さくすると、メモリーノードMNの電荷を蓄積する容量は小さくなる。そこで、メモリーノードMNをMIMキャパシタ124に電気的に接続することによって、必要な容量を確保する。
【0039】
尚、メモリーノードMNに必要な容量を確保するためのMIMキャパシタとしては、金属配線により高誘電率材料を挟んで形成することも考えられる。しかしながら、このようにした場合、容量を小さくしておきたい部分の配線にも影響する場合がある。例えば、特許文献2の構成では、配線の容量が極端に高くなり、転送トランジスタの読み出し不良が生じる可能性がある。
【0040】
これに対し、図3に示すように金属配線とは別にMIMキャパシタ124を形成すると、配線容量に対する影響を抑制することができる。
【0041】
また、フォトダイオード111bについて、面積を大きくすることにより、飽和特性を向上することができる。
【0042】
次に、DTI(Deep Trench Isolation)141と、メタルグリッド142とについて説明する。
【0043】
DTI141は、第1の半導体基板111に裏面側から溝を形成し、絶縁性の物質を埋め込んだ素子分離層であり、画素間に配置される。ここで、溝を埋め込む物質として遮光性の物質、例えばタングステンを用いると、DTI141は遮光膜としても機能する。図3の固体撮像装置においても、フォトダイオード111bの周囲に配置され、隣接する他のフォトダイオード(図示せず)との間を分離している。DTI141は、画素間の混色を抑制する。更に、メモリーノードMNを画素間に配置し、その上方(裏面側)にDTI141を配置することにより、メモリーノードMNを遮光する機能を果たすことができる。
【0044】
また、メタルグリッド142は、第1の半導体基板111上にパターン形成された金属層であり、遮光膜として機能して、画素間の混色の防止等に用いられる。特に、角度が大きな入射光について、隣接するフォトダイオード111bに光が入射することを防止するために有用である。
【0045】
メタルグリッド142について、DTI141上に配置し、且つ、DTI141の埋め込みに用いるのと同じ材料(タングステン等)を用いて形成すると、DTI141とメタルグリッド142とを一体に形成することができ、製造工程を削減して安定に形成できる。
【0046】
ロジック側チップ102は、第2の半導体基板152を用いて形成されている。詳しい構成は省略するが、第2の半導体基板152上の最上層にTEOS膜112が設けられており、センサー側チップ101のTEOS膜112とSiCN膜116を介して接合されている。
【0047】
<固体撮像装置の製造方法>
次に、本開示の固体撮像装置の製造方法について説明する。裏面照射型のイメージセンサであるから、センサー側チップ101とロジック側チップ102とを貼り合わせる方法により製造される。
【0048】
図4は、センサー側チップ101の製造工程を示す図である。図4では、図3とは上下を逆に示している(更に、X-X'線の反対側から見た図示となっている)。
【0049】
P型基板151を用意し、この上にN型のエピタキシャル層を形成する。当該エピタキシャル層が、図3における第1の半導体基板111となる。第1の半導体基板111に対し、基板表面付近に対するP型イオンの注入及びそれより深い基板中に対するN型イオンの注入により、フォトダイオード111bを形成する。フォトダイオード111b以外の部分はN型層111aとして残る。
【0050】
次に、メモリーノードMNを形成するために、N型層111aの表面付近にN型イオンの注入を行う。その後、各画素のトランジスタ(TX1、TX2等)のゲート電極を形成する。
【0051】
MIMキャパシタ124とメモリーノードMNとの接続に関して、基板に対するダメージを抑制することが望ましい。そこで、ポリシリコン層130を形成して、これを介して前記接続を行う。
【0052】
続いて、層間絶縁膜(TEOS膜112、但し図4において、下部電極121の下面までの厚さ)を形成する。更に、ポリシリコン層130に接続するためのビアプラグ131を形成する。例えば、エッチングによりホールを形成し、導電体を埋め込むことで形成する。
【0053】
続いて、下部電極121を形成する。これには、形成した部分のTEOS膜112上にTiN膜を堆積した後、下部電極121のパターンのマスクを用いてエッチングを行う。これにより、ポリシリコン層130にビアプラグ131を介して接続された下部電極121が形成される。
【0054】
次に、高誘電率材料であるHfO2膜を堆積し、更にその上に上部電極123を形成するためのTiN膜を堆積する。この後、上部電極123のパターンのマスクを用いて、TiN膜及びHfO2膜をエッチングする。これにより、下部電極121及び上部電極123により絶縁膜122が挟まれたMIMキャパシタ124が形成される。
【0055】
この後、図4におけるTEOS膜112の残りの部分と、その中の他の配線層等(図示せず)を順次形成する。
【0056】
次に、図5の工程を説明する。ここでは、MIMキャパシタ124を含むTEOS膜112上に、配線層を形成する。
【0057】
まず、MIMキャパシタ124を含むTEOS膜112に、上部電極123接続するためのコンタクトホールを形成し、金属薄膜を堆積することによりコンタクトプラグ132を形成する。その後、金属配線M1、M2、M3及びM4とビアプラグV1、V2及びV3とを含む絶縁層を形成する。絶縁層は、主にTEOS膜112であり、複数のTEOS膜112の間にSi-CN膜113、P-SiN膜114、SiCN/SiCO膜115が挟まれた構成である。
【0058】
金属配線M1~M4及びビアプラグV1~V3の形成には、ダマシン法等の通常の配線フローを用いれば良い。つまり、絶縁層(主にTEOS膜112)に対し、配線溝パターンをエッチング等により形成した後、当該配線溝パターンを埋め込むように全面に金属薄膜を形成する。更に、CMP(chemical mechanical polishing、化学的機械研磨)法等により金属薄膜の表面を平坦化して、配線溝パターン内に金属配線M1~M4及びビアプラグV1~V3を形成する。
【0059】
尚、金属配線M1及びM2の形成後には、次の層のTEOS膜112の前に、P-SiN膜114を形成する。同様に、金属配線M3及びM4の形成後には、次の層のTEOS膜112を形成する前に、SiCN/SiCO膜115を形成する。
【0060】
金属配線M4上のSiCN/SiCO膜115を形成した後、更にTEOS膜112と、SiCN膜116とを形成する。
【0061】
次に、図6のように、図5のセンサー側チップ101をロジック側チップ102に貼り合わせる。尚、図6では、図5に示すセンサー側チップ101が再び上下を反転して示されている。貼り合わせは、それぞれのTEOS膜112上に設けられたSiCN膜116同士を合わせる形で行われる。例えば、両方のチップの貼り合わせるべき表面をプラズマ処理等により活性化し、互いに接触させる。これにより、ファンデルワールス力(分子間力)が作用して接合される。更に、アニール処理を行い、接合面に共有結合を形成して、接合を強固にすることができる。
【0062】
図7には、このような貼り合わせを行った後の状態を示す。センサー側チップ101とロジック側チップ102とは、物理的に接合することに加えて、TSV(Through-Silicon、シリコン貫通電極)を用いて電気的接続を行う(TSVは図示省略)。また、両チップの接合界面にそれぞれCuパッド等を露出させて、パッド同士を接合することにより電気的導通も確保する方法(Cu-Cu接合)を用いても良い。
【0063】
チップ同士の接合の後、基板151を研磨して除去し、フォトダイオード111bを露出させる。
【0064】
次に、図8の工程を説明する。ここでは、メモリーノードMNに関する遮光と、クロストーク軽減とを目的として、DTI141を形成する。このために、メモリーノードMN付近まで第1の半導体基板111(N型層111a)をエッチングし、深いトレンチ143を形成する。次に、トレンチ143の側面及び底面を覆うTiN等のシード層(図示せず)を堆積した後、トレンチ143内及び第1の半導体基板111上に、タングステン膜144を形成する。更に、タングステン膜144について、CMP法により平坦化する。この状態が図8に示されている。
【0065】
トレンチ143の深さについて、遮光性の点からは、メモリーノードMN直上まで設けて、間にN型層111aを残さないのが望ましい。しかしながら、トレンチ143を形成する際のエッチング等により、メモリーノードMNにダメージが生じること等が考えられる。従って、これを避けるために、メモリーノードMNとトレンチ143との間にN型層111aを残している。上記のダメージを避けるか又は修復した場合、N型層111aを残す必要は無い。
【0066】
この後、フォトダイオード111b上を開口するようにタングステン膜144をエッチングしてパターン化し、メタルグリッド142を形成する(図3を参照)。
【0067】
仮に、DTI141形成のためのトレンチ143の埋め込み材として酸化膜を用いた場合、メタルグリッド142とは別の工程として形成する必要がある。これに対し、埋め込み材としてもタングステンを用いる上記工程とすることにより、同じ工程にてトレンチ143の埋め込み及びメタルグリッド142形成のためのタングステン膜を形成することができる。従って、工程を削減し、製造コストを抑制できる。
【0068】
(実施形態2)
次に、図9を参照して、本開示の実施形態2の固体撮像装置を説明する。多くの構成が図3に示す実施形態1の固体撮像装置と共通であるから、同等の構成要素には同じ符号を付し、主に相違点を説明する。また、画素回路及び平面レイアウトパターンについては、図1及び図2と同様である。
【0069】
図3の固体撮像装置では、4層の金属配線M1、M2、M3及びM4と、これらを接続する3層のビアプラグV1、V2及びV3を有する。これに対し、図9の固体撮像装置では、配線層は3層であり、第4層の金属配線M4と、これに対して接続される第3層のビアプラグV3は形成されていない。これに伴い、図3では金属配線M4を含んでいた層のTEOS膜112も形成されていない。
【0070】
センサー側チップ101とロジック側チップ102とを貼り合わせた構造において、ロジック側チップ102の回路において電磁波が発生し、これがセンサー側チップ101に入り込んでノイズとなり、画素特性を劣化することがある。そこで、センサー側チップ101及びロジック側チップ102の少なくとも一方において電磁波をブロックするための配線を配置し、且つ、フォトダイオード部をブロックすることが行われる。
【0071】
図3の固体撮像装置では、この目的で第4層の金属配線M4をシールド層として配置している。しかし、MIMキャパシタ124が配線層とフォトダイオード111bとの間に配置され、且つ、フォトダイオード111bを覆うレイアウトになっている。従って、MIMキャパシタ124が、ロジック側チップ102からの電磁波をブロックする機能を果たす。つまり、第4層の金属配線M4について省略したとしても、ロジック側チップ102からの電磁波による画質劣化を抑えることができる。
【0072】
図9において、破線の矢印によりロジック側チップ102からの電磁波162を示している。電磁波162は、第4層の金属配線M4が無くても、MIMキャパシタ124によりブロックされ、フォトダイオード111bに侵入することは抑制されている。
【0073】
以上のように、実施形態2の固体撮像装置によると、第4層の金属配線M4及びこれを含む絶縁膜の層等を省略できるので、材料及び製造工程を削減でき、コストを削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本開示の技術によると、裏面照射型の固体撮像装置においてPLS特性を向上することができ、各種のカメラに用いられる固体撮像装置として有用である。
【符号の説明】
【0075】
TX1 転送トランジスタ
TX2 転送トランジスタ
M1、M2、M3、M4 金属配線
V1、V2、V3、V4 ビアプラグ
MN メモリーノード(電荷蓄積部)
101 センサー側チップ
102 ロジック側チップ
111 第1の半導体基板
111a N型層
111b フォトダイオード
112 TEOS膜
113 Si-CN膜
114 P-SiN膜
115 SiCN/SiCO膜
116 SiCN膜
121 下部電極
122 絶縁膜
123 上部電極
124 MIMキャパシタ
130 ポリシリコン層
131 ビアプラグ
132 コンタクトプラグ
141 DTI(素子分離領域)
142 メタルグリッド
143 トレンチ
144 タングステン膜
151 P型基板
151 基板
152 第2の半導体基板
161 光
162 電磁波
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9