(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036447
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】トイレ洗浄用具
(51)【国際特許分類】
A47K 11/10 20060101AFI20220301BHJP
【FI】
A47K11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140656
(22)【出願日】2020-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】596070009
【氏名又は名称】サラックス製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】山田 康子
【テーマコード(参考)】
2D036
【Fターム(参考)】
2D036DA22
(57)【要約】
【課題】優れた洗浄能力を有すると共に、使い勝手が良く衛生的なトイレ洗浄用具を提供する。
【解決手段】合成繊維から成る織布10を折り重ねて少なくとも1か所の曲折辺部近傍を縫着することにより形成された洗浄布2を有する。このような構成により、泡立ち及び泡持ちが良く、縁裏等も洗い易い、優れた洗浄能力を発揮するトイレ洗浄用具が得られる。また、洗浄布2の取り扱いは容易であり、縫着部16及び縫着された山折部14の近傍には、使用者がトイレ洗浄用具を把持するためのハンドル3等を、容易に取り付け、容易に取り外すことができる。これにより、トイレ洗浄用具1は、洗浄布2を容易に交換することができ、衛生的にも優れている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成繊維から成る織布を折り重ねて少なくとも1か所の曲折辺部近傍を縫着することにより形成された洗浄布を具備することを特徴とするトイレ洗浄用具。
【請求項2】
前記洗浄布は、前記織布が一方の辺方向に段折りされ、その段折りされた前記織布が他方の辺方向に段折りされていることを特徴とする請求項1に記載のトイレ洗浄用具。
【請求項3】
前記織布は、一方の辺方向が4等分の長さに段折りされ、
その段折りされた前記織布は、他方の辺方向が中央の前記曲折辺部を谷折部、その両側の前記曲折辺部を山折部として4等分の長さに段折りされており、
前記洗浄布は、前記山折部近傍が前記山折部に沿って縫着されていることを特徴とする請求項1に記載のトイレ洗浄用具。
【請求項4】
前記合成繊維は、ポリアミド系樹脂を50~100質量%、ポリエステル系樹脂を0~50質量%含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のトイレ洗浄用具。
【請求項5】
前記織布は、平織であることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のトイレ洗浄用具。
【請求項6】
前記洗浄布を取り外し自在に支持するハンドルを具備することを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載のトイレ洗浄用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレの便器を洗浄するために用いられるトイレ洗浄用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の洗浄用具として、各種繊維材料から成るたわし状の洗浄部材を用いるものや、合成樹脂から成るスポンジ状の洗浄部材を用いるもの、トイレットペーパ、不織布等から成るシート材を用いるもの等、各種様式のトイレ洗浄用具が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、長尺の柄と、該柄の先端に取り付けられた摺擦体と、から主に構成されているトイレ洗浄具が開示されている。同文献に開示されたトイレ洗浄具の摺擦体は、塩化ビニリデン製の不織布から構成されている。
【0004】
また例えば、特許文献2には、柄に取り付けられ多数の小孔が形成されている孔あき容器と、その穴あき容器の外面を被覆して、たわし状とする洗浄部材と、を有するトイレ洗浄具が開示されている。洗浄部材は、柔軟な繊維質の材料より構成され、内外面を貫通する多数の微孔若しくはすき間が形成されている。
【0005】
また例えば、特許文献3には、軟質スポンジを少なくとも一部分の構成要素とするスポンジたわしが開示されている。同文献のスポンジたわしは、食器、調理器具、洗面台、浴室、トイレなどの洗浄に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-135310公報
【特許文献2】実開平1-141591号公報
【特許文献3】特開2008-99916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来技術のトイレ洗浄用具は、洗浄性能を高めるために改善すべき点があった。
【0008】
具体的には、トイレットペーパや不織布等から成るシート材を利用するトイレ洗浄用具は、洗浄能力が低く、便座の被洗浄面に固着した汚れを掻き落とすことができないことがあった。また、水に濡れるとシート材がたるんで洗浄能力が更に低下してしまうことがあった。また、シート材が濡れて垂れ下がると、シート材を保持するハンドルが便器に当たる等して使い難いという問題点もある。
【0009】
また、スポンジたわし等を洗浄部材として利用するトイレ洗浄用具は、洗浄部材が所定形状に固定されているので、便座の縁裏等を洗い難いという問題点があった。また、スポンジ状の洗浄部材は、吸水性が高いため洗浄後に水分が残り易く、細菌類が増殖する恐れがあり衛生的な観点からも問題点があった。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、優れた洗浄能力を有すると共に、使い勝手が良く衛生的なトイレ洗浄用具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のトイレ洗浄用具は、合成繊維から成る織布を折り重ねて少なくとも1か所の曲折辺部近傍を縫着することにより形成された洗浄布を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のトイレ洗浄用具によれば、合成繊維から成る織布を折り重ねて少なくとも1か所の曲折辺部近傍を縫着することにより形成された洗浄布を有する。このような構成により、泡立ち及び泡持ちが良く、縁裏等も洗い易い、優れた洗浄能力を発揮するトイレ洗浄用具が得られる。また、洗浄布の取り扱いは容易であり、縫着された曲折辺部近傍には、使用者がトイレ洗浄用具を把持するためのハンドル等を、容易に取り付け、容易に取り外すことができる。これにより、トイレ洗浄用具は、洗浄布を容易に交換することができ、衛生的にも優れている。
【0013】
また、本発明のトイレ洗浄用具によれば、前記洗浄布は、前記織布が一方の辺方向に段折りされ、その段折りされた前記織布が他方の辺方向に段折りされていても良い。これにより、優れた洗浄能力が得られると共に、その製造も容易である。
【0014】
また、本発明のトイレ洗浄用具によれば、前記織布は、一方の辺方向が4等分の長さに段折りされ、その段折りされた前記織布は、他方の辺方向が中央の前記曲折辺部を谷折部、その両側の前記曲折辺部を山折部として4等分の長さに段折りされており、前記洗浄布は、前記山折部近傍が前記山折部に沿って縫着されていても良い。このような構成により、優れた泡立ち及び泡持ち性能が得られると共に、織布の曲折辺部及び端辺部が被洗浄面に好適に当接して、被洗浄面に固着している汚れを掻き落とすことができる。
【0015】
また、本発明のトイレ洗浄用具によれば、前記合成繊維は、ポリアミド系樹脂を50~100質量%、ポリエステル系樹脂を0~50質量%含んでいても良い。これにより、被洗浄面に付着している汚れを掻き落とす好適な硬さによって優れた洗浄能力が得られる。
また、本発明のトイレ洗浄用具によれば、前記織布は、平織であっても良い。これにより、優れた洗浄性能が得られると共に、生産性も優れている。
【0016】
また、本発明のトイレ洗浄用具によれば、前記洗浄布を取り外し自在に支持するハンドルを具備しても良い。このような構成により、使用者は、洗浄布を交換して衛生的なトイレ洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るトイレ洗浄用具の概略を示す透視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るトイレ洗浄用具の洗浄布の概略を示す透視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るトイレ洗浄用具の洗浄布の概略を示す透視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るトイレ洗浄用具の織布の概略を示す正面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るトイレ洗浄用具の織布を段折りする工程を模式的に示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るトイレ洗浄用具の織布を段折りする工程を模式的に示す(A)斜め上から見た斜視図、(B)斜め下から見た斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るトイレ洗浄用具の織布を縫着する工程を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係るトイレ洗浄用具を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るトイレ洗浄用具1の概略を示す透視図である。
【0019】
図1を参照して、トイレ洗浄用具1は、トイレの便器等を洗浄するために用いられる洗浄用具である。即ち、使用者は、トイレ洗浄用具1を手で持って、トイレの便器等の内面側等を擦って洗浄する。トイレ洗浄用具1は、洗浄布2と、洗浄布2を支持するハンドル3と、を有する。
【0020】
洗浄布2は、トイレの便器等に擦り付けられて便器等に付着している汚れを落とす洗浄部材である。洗浄布2は、合成樹脂から成る織布10を折り重ねるようにして形成されている。折り重ねられた織布10は、少なくとも1か所の曲折辺部である山折部14近傍が縫着されている。即ち、山折部14近傍には、縫着部16が形成されている。
【0021】
ハンドル3は、トイレ洗浄用具1を使用して洗浄を行う際に使用者が把持する部材である。ハンドル3は、例えば、合成樹脂や金属等から形成され、略トング状の形態を成す。詳しくは、ハンドル3の下端近傍には、対向する一対の保持面を有する挟持部20が形成されている。挟持部20は、洗浄布2の山折部14近傍、即ち縫着部16近傍、を挟み込んで取り外し自在に支持する。
【0022】
このようなハンドル3が設けられていることにより、使用者は、洗浄布2を交換して高効率且つ衛生的なトイレ洗浄を行うことができる。即ち、使用者は、ハンドル3を持って、手を汚さずに、洗浄布2の取り付け、取り外し及びトイレの洗浄を効率良く容易に行うことができる。
【0023】
なお、ハンドル3には、洗浄中に洗浄布2が外れてしまうことを防止するため、洗浄布2を挟んだ状態で挟持部20の開きをロックする図示しないロック機構が設けられていても良い。これにより、使用者が大きな力を加えても洗浄布2が外れて便器内等に落ちてしまうことなく、被洗浄面を綺麗に洗浄することができる。
【0024】
また、ハンドル3の挟持部20の対向する保持面、即ち洗浄布2に当接する保持面には、凹凸形状が形成されていても良い。これにより、洗浄布2の滑りを抑制し、洗浄時に洗浄布2が挟持部20から外れてしまうことを防止することができる。よって、洗浄布2で便器等の被洗浄面を強く擦ることが可能となり、優れた洗浄性能が得られる。
【0025】
また、ハンドル3の挟持部20は、例えば、合成ゴム等の弾性素材から形成されても良い。これにより、被洗浄面の傷付きを防止することができる。よって、洗浄作業を行い易くなり、洗浄布2を素早く動かすことができ、洗浄性能も向上する。
【0026】
図2及び
図3は、トイレ洗浄用具1の洗浄布2の概略を示す透視図である。
図2は、洗浄布2の使用前の状態、即ち包装容器等に保存されている状態に近い形状を示しており、
図3は、使用状態に近い形状を示している。
【0027】
図2を参照して、洗浄布2は、織布10を折り返して重ねることにより形成されており、平面視略4角形状の形態を成す。洗浄布2は、織布10の折り返されていない外周辺部である端辺部11及び端辺部12と、織布10が折り返されて形成された縁部である曲折辺部13、山折部14及び谷折部15と、を有する。
【0028】
詳しくは、
図2に示す大凡の上下左右方向を基準として、洗浄布2の上方側の縁部は、織布10が折り返された山折部14から構成されている。
図2及び
図3を参照して、下方側の縁部、即ち山折部14に対して反対側の縁部は、曲折辺部である谷折部15と、折り返しのない端辺部12と、から構成されている。また、右側の縁部は、曲折辺部13から構成され、
図2を参照して、左側の縁部は、端辺部11と曲折辺部13から構成されている。
【0029】
即ち、
図2及び
図3を参照して、織布10の下方側の縁部は、重なり方向の略中央に曲折辺部である谷折部15が形成されている。そして、谷折部15が形成された布面を挟むように、下方には折り返しのない端辺部12を有し、左右方向には折り返しのない端辺部11及び折り返された曲折辺部13を有する布面が重ねられている。
【0030】
前述のとおり、織布10が折り返されている上方側の山折部14の近傍は、折り畳まれた織布10が縫着され、縫着部16が形成されている。縫着部16は、山折部14に沿って左右方向に延在し、重ねられている織布10の表面から裏面までの全てを縫着している。
【0031】
このような構成の洗浄布2は、
図1に示す如く、上方側の山折部14近傍がハンドル3の挟持部20に挟まれて支持される。そして、洗浄布2は、使用時においては、
図3に示す如く、下方側の縁部近傍が広がるような形態になる。
【0032】
詳しくは、洗浄布2の下方側の縁部は、谷折部15を中心として、重なり方向の両側に、折り返しのない端辺部12が広がっている。そして、右方向の縁部では、曲折辺部13が下方側に広がり、左方向の縁部では、端辺部11及び曲折辺部13が下方側に広がっている。
【0033】
このような構成により、トイレの便器等の被洗浄面、例えば、縁裏等、に洗浄布2の端辺部11、12、曲折辺部13、谷折部15を好適に接触させることができ、優れた洗浄性能が得られる。即ち、縁裏等に付着している汚れを掻き落とすことができ、便器等を綺麗に洗浄することができる。
【0034】
図2を参照して、洗浄布2を形成する織布10は、合成繊維から成る経糸17及び緯糸18から織成された平織の布材である。織布10の経糸17は、左右方向に延在し、緯糸18は、上下方向に延在している。
【0035】
換言すれば、洗浄布2を構成する織布10の経糸17は、山折部14、谷折部15及び縫着部16に沿って延在し、緯糸18は、山折部14、谷折部15及び縫着部16に対して略直交する方向に延在する。
【0036】
経糸17及び緯糸18が上記のような方向になるよう織成されていることにより、洗浄布2は、上下方向への伸縮性が高くなると共に、左右方向には伸縮が少ない好適な強度を有し、便器等の洗浄に好適な洗浄能力を発揮する。
【0037】
次に、
図4ないし
図7を参照して、トイレ洗浄用具1の洗浄布2及びその製造方法について更に詳細に説明する。
【0038】
図4は、トイレ洗浄用具1の織布10の概略を示す正面図である。
図4を参照して、前述のとおり、織布10は、合成繊維から成る布材である。具体的には、織布10は、平織が好ましく、略正方形状に裁断された織布10の生地に対して、経糸17は一方の辺方向、具体的には端辺部12の方向、に延在し、緯糸18は他方の辺方向、即ち端辺部11の方向、に延在する。なお、織布10は、織物であるが、編物でも良い。
【0039】
詳しくは、織布10の経糸17は、例えば、1本の長繊維、即ちフィラメント、から成るモノフィラメント糸であり、その太さは、20~50デニール、好ましくは、20~40デニール、最も好ましくは、30デニールである。
【0040】
緯糸18は、例えば、複数の長繊維から成るマルチフィラメント糸である。緯糸18は、太さの異なる複数種類、例えば、2~3種類、のマルチフィラメント糸が用いられても良い。
【0041】
例えば、緯糸18は、複数種類のマルチフィラメント糸から構成され、少なくとも1種類の糸は、太さが350~500デニール、フィラメント数が60~86フィラメント、の極細繊維から成るマルチフィラメント糸を含むことが望ましい。
【0042】
更に好ましくは、緯糸18は、380~460デニール、64~80フィラメント、最も好ましくは、400~440デニール、68~76フィラメント、のマルチフィラメント糸を有する。
【0043】
緯糸18として上記の極細繊維から成るマルチフィラメント糸が含まれることにより、トイレ洗浄に適した泡立ち及び泡持ちで優れた洗浄性能を発揮する洗浄布2(
図3参照)が得られる。
【0044】
また、緯糸18は、上述の極細繊維からなるマルチフィラメント糸に組み合わされる糸として、太さが250~450デニール、フィラメント数が8~20フィラメント、好ましくは、280~340デニール、10~18フィラメント、更に好ましくは、300~320デニール、10~16フィラメント、のマルチフィラメント糸を有する。
【0045】
織布10の合成繊維は、ポリアミド系樹脂(ナイロン)を50~100質量%、ポリエステル系樹脂を0~50質量%、更に好ましくは、ポリアミド系樹脂を50~70質量%、ポリエステル系樹脂を30~50質量%、含んでも良い。例えば、織布10の経糸17は、ポリアミド系樹脂のみから形成され、緯糸18は、2~3種類の糸を含み、少なくとも1種類の糸は、ポリエステル系樹脂を含んでも良い。
【0046】
詳しくは、経糸17として、ポリアミド系樹脂のみから成る30デニールのモノフィラメント糸が用いられても良い。また、緯糸18として、ポリアミド系樹脂のみから形成される420デニール、72フィラメントのマルチフィラメント糸と、ポリアミド系樹脂から成る300デニール、10フィラメントのマルチフィラメント糸と、ポリエステル系樹脂を含む320デニール、16フィラメントのマルチフィラメント糸と、が組み合わされて用いられても良い。
【0047】
このような経糸17及び緯糸18が用いられることにより、泡立ちが良く、また、微細な気泡を多数包含することができるので、泡持ちも優れている。また、便器等の洗浄に適した硬さにより、優れた摩擦効果が得られると共に、被洗浄面に付着している汚れの掻き落としに適した強度が得られ、耐久性についても優れている。
【0048】
図5は、トイレ洗浄用具1の織布10を段折りする工程を模式的に示す斜視図である。
図5に示すように、織布10は、一方の辺方向、具体的には端辺部12の方向に、4等分の長さになるよう段折りされる。換言すれば、上記の織布10を段折りする工程においては、端辺部12に沿って延在する経糸17が段折りされることになる。
【0049】
詳しくは、織布10は、端辺部12の方向の略中央部が、端辺部11に沿って、
図5において上方側となる山折り状に曲折される。これにより、曲折辺部13aが形成される。つまり、織布10は、端辺部12の長さが約2分の1になるよう折り畳まれる。
【0050】
そして、約2分の1に折り畳まれた織布10は、曲折辺部13aの両側方の布面において、端辺部12の長さが更に約2分の1になるよう折り畳まれる。即ち、端辺部12の長さは、
図4に示す生地の状態における辺長に対して約4分の1になる。
【0051】
具体的には、曲折辺部13aの両側方の布面は、端辺部11が外側になるよう折り曲げられる。これにより、
図5において下方側、即ち曲折辺部13aの反対側に、谷折り状に折り返された一対の曲折辺部13bが形成される。曲折辺部13bは、略中央に形成された山折り状の曲折辺部13aの両側方に一対形成され、曲折辺部13a及び端辺部11と略平行に、即ち緯糸18の方向に、延在する。
【0052】
このように端辺部12が4等分の長さになるよう段折りされた織布10は、
図5において上方側となる縁部が、山折り状の曲折辺部13aと、折り曲げのない端辺部11と、から構成される。織布10の
図5において下方側となる縁部は、一対の谷折り状の曲折辺部13bから構成される。
【0053】
図6は、トイレ洗浄用具1の織布10を更に段折りする工程を模式的に示す斜視図であり、
図6(A)は、織布10を斜め上から見た状態、
図6(B)は、織布10を斜め下から見た状態、を示している。
【0054】
図5に示すように、端辺部12の長さが4等分されるよう経糸17の方向が段折りされた織布10は、
図6に示すように、緯糸18の方向が更に段折りされる。
詳しくは、織布10は、他方の辺方向、即ち端辺部11の方向に、4等分の長さになるよう段折りされる。換言すれば、一方の辺方向に段折りされた織布10を更に段折りするこの2回目の工程においては、端辺部11に沿って延在する緯糸18が段折りされることになる。
【0055】
織布10は、端辺部11の方向の略中央部が、端辺部12に沿って、
図6において下方側となる谷折り状に曲折され、谷折部15が形成される。即ち、織布10は、端辺部11の長さが約2分の1になるよう折り畳まれる。
【0056】
そして、緯糸18の方向に約2分の1に折り畳まれた織布10は、谷折部15の両側方の布面において、端辺部11の長さが更に約2分の1になるよう折り畳まれる。即ち、端辺部11の長さは、
図4に示す生地の状態における辺長に対して約4分の1になる。
【0057】
具体的には、谷折部15の両側方の布面は、端辺部12が外側になるよう折り曲げられる。これにより、
図6において上方側、即ち谷折部15の反対側に、山折り状に折り返された一対の山折部14が形成される。山折部14は、略中央に形成された谷折り状の谷折部15の両側方に一対形成され、谷折部15及び端辺部12と略平行に、即ち経糸17の方向に、延在する。
【0058】
このように端辺部11が4等分の長さになるよう段折りされた織布10は、
図6において上方側の縁部、即ち洗浄布2の上方側となる縁部が、一対の山折部14から構成される。洗浄布2の下方側となる縁部は、谷折り状の谷折部15と、折り曲げのない端辺部12と、から構成される。
【0059】
このように洗浄布2は、織布10を、
図5に示す如く経糸17の方向に4等分し、更に、
図6に示す如く緯糸18の方向に4等分するよう折り畳むことにより形成されている。よって、洗浄布2は、織布10の16枚の布面が重ねられていることになる。これにより、泡立ち及び泡持ちが良く、トイレの洗浄に適した優れた洗浄能力を発揮する洗浄布2が得られる。また、段折りする工程は、生産性においても優れている。
【0060】
図7は、トイレ洗浄用具1の織布10を縫着する工程を模式的に示す側面図である。
図7に示すように、段折りされた織布10は、山折部14近傍が山折部14に沿って(
図2参照)縫着され、縫着部16が形成される。これにより、
図2及び
図3に示すように、縫着部16によって一対の山折部14近傍が縫着された洗浄布2が得られる。
【0061】
このように、山折部14近傍に縫着部16が形成されて織布10が縫着されていることにより、
図1に示すように、山折部14近傍をハンドル3の挟持部20で挟んで支持することができる。即ち、ハンドル3に対して取り付け及び取り外しが容易な、使い勝手の良い洗浄布2が得られる。
【0062】
なお、織布10を縫着する工程は、例えば、ロックミシン等を利用して行われても良い。山折部14近傍を縫製する作業は容易であり、よって、洗浄能力の高い洗浄布2を効率良く生産することができる。
【0063】
以上の工程により、泡立ち及び泡持ち性能が良く、優れた洗浄能力を発揮することができる使い捨ての洗浄布2が得られる。使用者は、ハンドル3を持って、挟持部20で洗浄布2を押さえて、洗浄布2の谷折部15、曲折辺部13及び端辺部11、12を便器等の被洗浄面に好適に当接させ、被洗浄面に固着している汚れを綺麗に掻き落とすことができる。
【0064】
以上説明の如く、トイレ洗浄用具1は使い易く、トイレ洗浄用具1を用いた洗浄作業は容易である。使用者は、自らの手指で洗浄布2に直接に触れることなく、被洗浄面を洗浄できると共に、洗浄布2を容易に交換することができ、衛生的且つ効率的な洗浄作業を行うことができる。
【0065】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、洗浄布2を構成する織布10の折り重ね構造は、洗浄能力の観点から上述の形態が望ましいが、その他形態に折り曲げられた洗浄布2を採用することも可能である。
【0066】
洗浄布2は、織布10を4等分の長さに段折りする構成に変えて、折り曲げ段数を増やして、例えば、5等分、6等分またはそれ以上の数に等分するよう段折りされても良い。左右方向、即ち端辺部12の方向、の等分数は偶数でも奇数でも良い。また、上下方向、即ち端辺部11の方向、等分数は偶数が好ましい。これにより、被洗浄面に接触する下方側の縁部に、織布10の折り返さていない端辺部12を設けることができ、洗浄性能が良くなる。
【0067】
また、トイレ洗浄用具1は、洗面台、浴室、食器類等、トイレの便器以外の物を洗浄するために用いられても良い。また、トイレ洗浄用具1は、身体を洗う浴用タオル等の代わりとして使用されても良い。即ち、本発明は、上記の便器等以外を洗浄するための洗浄用具を含むものとする。
【0068】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 トイレ洗浄用具
2 洗浄布
3 ハンドル
10 織布
11 端辺部
12 端辺部
13 曲折辺部
14 山折部
15 谷折部
16 縫着部
17 経糸
18 緯糸
20 挟持部