(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036484
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】植物苗育成用生育活性化液
(51)【国際特許分類】
A01N 25/02 20060101AFI20220301BHJP
A01G 7/06 20060101ALI20220301BHJP
A01P 21/00 20060101ALI20220301BHJP
A01N 59/16 20060101ALI20220301BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220301BHJP
C05F 11/10 20060101ALI20220301BHJP
C05G 3/60 20200101ALI20220301BHJP
【FI】
A01N25/02
A01G7/06 A
A01P21/00
A01N59/16 A
A01P3/00
C05F11/10
C05G3/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140712
(22)【出願日】2020-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】510067393
【氏名又は名称】アイティーエヌ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】秀城 剛
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 銀朗
(72)【発明者】
【氏名】秀城 留美子
(72)【発明者】
【氏名】松山 絵理奈
【テーマコード(参考)】
2B022
4H011
4H061
【Fターム(参考)】
2B022EA01
4H011AA01
4H011AA03
4H011AB03
4H011BB18
4H011DA13
4H061DD07
4H061DD11
4H061EE32
4H061FF02
4H061HH44
4H061JJ03
4H061KK01
4H061KK02
4H061KK09
4H061LL25
(57)【要約】
【課題】植物苗の育成において必要とされる消毒剤等に代わって適用可能な、苗床微生物及び植物内部共生微生物を完全に排除することのない濃度範囲で、かつ植物苗の健全な成長促進を可能にする濃度の銀イオンを配合したイオン液により、消毒剤等の薬剤の使用を不要にできる植物苗栽培において使用可能な植物生育活性化液を提供する。
【解決手段】共生微生物を完全に排除しない銀イオンの濃度である0.0005mg/L以上0.025mg/L以下の銀イオンと、遊離ハロゲン及び結合残留ハロゲン化合物を4.0μmol/L以下及びハロゲン化物イオンを3.0mmol/L以下の濃度で含む水溶液を、植物苗育成栽培に使用する生育活性化液として提供することにより苗の健全な生育を促進させ、植物幼苗に病害をもたらす植物病原微生物に対する抵抗力を付与する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物苗の生育を活性化させることを意図して用いる溶液状生育活性化液であって、銀イオンを0.0005mg/L以上0.025mg/L以下の濃度で含み、かつ濃度が4.0μmol/Lを超える遊離ハロゲン及び結合残留ハロゲン化合物及び3.0mmol/Lを超える塩素イオン及び臭素イオン等のハロゲン化物イオンを含まない、植物苗育成栽培のための生育活性化液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培土壌微生物、植物栽培養液微生物及び植物の付着共生微生物あるいは内部共生微生物を不完全にしか排除しない濃度の銀イオンを栽培植物体及び/又は植物栽培用土壌及び/又は水耕液に供給するための溶液状の植物育成環境改善剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀イオンはウイルス及び細菌等の病原微生物の抗菌剤・消毒剤・除菌剤として使用され、所定の効果を持つ製品及び用法に有効に適用されてきた。したがって、銀イオンは主として健康衛生分野、医療分野、食品産業分野等において微生物病の発生を予防し阻止するための資材として使用されてきている。
【0003】
本出願人及び本発明者は、植物栽培土壌微生物及び植物栽培養液微生物及び植物の付着共生微生物及び/又は植物の内部共生微生物を不完全にしか排除できない低濃度の銀イオンを含有する水溶液が、植物育成環境改善に顕著な効果を持つことを発見し本発明に至った。
【0004】
土壌栽培及び養液栽培において生育する植物は、全くの無菌環境(微生物フリー)で生きていることは極めて特殊な環境における以外にはあり得ず、多くの場合においては細菌(bacteria)や古細菌(archaea)及び菌類(fungi)等の微生物と共生して生育している。それら微生物と植物との共生は、単に生存場を共にしているだけという場合もあるが、多くのケースでは片利的或は相利的な共生関係を形成している。片利共生の関係においては、微生物が植物に対して病原性を持つ場合があるが、そうではない片利共生及び相利共生の関係が普遍的に見られことに比較して、病原性を示すに至る片利共生のケースはごく稀に見られるに過ぎない。したがって、土壌環境や水環境に生存する多くの微生物は植物の生育にとって無害であるか、むしろその生育を促進させる役割を果たしている。
【0005】
一定濃度以上の銀イオンを含有するウイルス及び細菌等の病原微生物の抗菌剤・消毒剤は、微生物を排除することによって微生物感染症の発生を防止することに有効に使われており、健康衛生分野・医療分野・食品産業分野等において重要な銀イオンの適用技術分野を形成するに至っている。しかしながら、農業・林業・園芸等の植物の栽培を必須とする産業分野においては、前述の微生物と植物との共生関係の維持が必要とされることから、ほぼ全ての微生物を排除する一定濃度以上の高濃度の銀イオンの制菌や消毒といった特性は、むしろ逆効果をもたらすことが多かった。
【0006】
本発明の製品及びその適用技術は、銀イオンの抗菌剤・消毒剤として有効な最低濃度を検討する研究において得られた研究結果により発見するに至った。脱塩素水を用いて希釈した銀イオン(Ag+)濃度が0.060mg/L以上の水溶液に30分間暴露しその後NB寒天平板培地に塗布して生残菌数を測定したところ、供試したPseudomonas属細菌、Escherichia属細菌及びBacillus属細菌はすべて増殖活性を失いこの濃度の銀イオン水は完全な消毒効果を示した。脱塩素水を用いて希釈した銀イオン(Ag+)濃度が0.030mg/Lから0.050mg/Lの溶液に30分間暴露した供試細菌は、用いた3種類の供試細菌によって異なるものの、この範囲の銀イオン濃度にほぼ比例して増殖活性を失い、その平均失活率は47~69%であった。つぎに、銀イオン濃度を0.025mg/L以下に低下させて同様に暴露しその消毒効果を見たところ、3種すべての供試細菌の平均失活率は22%以下(生残率として78%以上)となった。
【0007】
さらに、0.025mg/L以下の銀イオンを添加した水を用いて調製した発芽用寒天培養基にコマツナを播種し、銀イオン濃度を変化させてコマツナの発芽及び発根試験を行った。この発芽・発根試験は、22℃に設定した人工気象機内で1サイクルが12時間2500lx 白色蛍光灯照射(明条件)・12時間蛍光灯非照射(暗条件)の下で行った。寒天培養基に添加した銀イオン濃度が0.025mg/Lの場合の播種後5日目の平均苗茎長は、銀イオン濃度が0.040mg/L及び0.030mg/L の場合に比較してそれぞれ1.18倍及び1.13倍であった。一方、寒天培養基中の苗根長を同条件で比較したところ、銀イオン濃度を0.025mg/Lとした場合の播種後5日目の平均苗根長は、銀イオン濃度が0.040mg/L及び0.030mg/Lの場合との比較でそれぞれ1.52倍及び1、32倍となり、銀イオン濃度を0.025mg/L以下の低濃度として使用した場合に、特に苗根の伸長速度が顕著に大きくなることが知られた。コマツナの発芽率については、これら3段階の添加銀イオン濃度では大きな違いが見られなかった。
【0008】
このようなコマツナ苗の成長に対する0.025mg/Lの低濃度の銀イオンによる促進効果は、同一温度・同一光照射の条件で寒天培養基の銀イオン濃度をさらに低下させても銀イオン濃度が0.0002mg/Lまでほぼ同程度に観察することができた。しかし、銀イオン濃度を0.0001mg/Lとした場合の播種後5日目の平均苗茎長と平均苗根長は、銀イオン濃度を0.030mg/Lとした場合の平均苗茎長と平均苗根長に比較して、それぞれ1.0倍及び1.06倍となり大きな違いがなくなった。さらに銀イオン濃度を0.00005mg/Lにまで脱塩素水により希釈し低下させた場合の播種後5日目の平均苗茎長と平均苗根長は、銀イオン濃度を0.030mg/Lとした場合の平均苗茎長及び平均苗根長との有意な差が認められなかった
【0009】
しかし、この0.025mg/L以下の銀イオンは4ヶ月間以上安定に一定濃度で保存することが困難であった。そこで本発明では、安定した濃度として長期間銀イオン水を保存可能にするために、銀イオン保存原液を銀イオン濃度が8mg/L以上の高濃度の水溶液として作製し、これを植物育成環境改善剤として実使用する直前に脱ハロゲン水を用いて希釈し、0.025mg/L以下0.0002mg/L以上の低濃度銀イオン水を根を有する植物の生育活性化液として利用することによりこの課題を解決することを考えた。
【0010】
前記のコマツナの発芽発根試験に用いた寒天培養基は、いずれも精製水を用いて調製したものであったが、5.0μmol/Lの残留結合塩素であるクロラミンを含む塩素消毒処理後の水道水、または5.0mmol/Lの塩化ナトリウム又は臭化ナトリウムを添加した銀イオン水溶液を用いて発芽用寒天培養基を調製し、同様の人工気象機条件の下でコマツナの成長試験を行ったところ、精製水により調製した銀イオン添加寒天培養基を用いた結果とは異なり、銀イオンの濃度を0.010mg/Lとした場合の銀イオンによる植物成長の促進効果は見られなかった。この結果から、水道水に含まれる遊離塩素及び残留結合塩素及び塩素及び臭素等のハロゲン化物イオンにより、低濃度銀イオンの植物生育促進効果の発現に対する阻害が生じたと推定した。その阻害の排除のために、前記のハロゲンを含む寒天培養基調製水にチオ硫酸ナトリウムを添加して、脱ハロゲン処理を行った後の水道水(塩化物イオン濃度15mg/L)を用いて寒天培養基を調製し、コマツナ発芽発根試験を行った。
【0011】
この脱ハロゲン操作においてはチオ硫酸ナトリウムの濃度を変えて行い、その都度残留するハロゲンイオン及びハロゲン化合物の濃度を測定した上で、コマツナの発芽発根試験用寒天培養基を調製し発芽発根試験を行った。その試験結果により、残留するクロラミンの濃度が4.0μmol/L以下になるように脱ハロゲンを行うことにより、前記の0.010mg/L以下の低濃度銀イオンのコマツナ生育促進に対するハロゲン阻害を解消できることが分かった。
【0012】
次に、遊離ハロゲン及び結合残留ハロゲン化合物の濃度が1.0μmol/L以下になるように脱ハロゲンを行った水道水に、塩化物イオンの濃度が17.7mg/L~249mg/Lの濃度となるように塩化ナトリウム又は臭化物イオンを添加したものを用いて、0.010mg/Lの低濃度銀イオン溶液を作製し、これを用いてマツナの発芽発根試験用寒天培養基を調製して発芽発根試験を行った。その試験結果より、塩化物イオン又は臭化物イオンの濃度が3.0mmol/L以下になるようにした銀イオン液を用いることにより、前記の0.010mg/L以下の低濃度銀イオンのコマツナ生育促進に対するハロゲン阻害を解消できることが分かった。
【0013】
これまでの環境中での銀イオン(Ag+)の使用においては、還元性化合物と銀イオンが接触することにより、また銀イオンが不溶性塩を形成することによりイオン状態を保てなくなることが知られている。本発明においても、植物栽培土壌や植物栽培液中に存在する還元性化合物等と接触することにより、銀イオンがイオン状態から非イオン状態に変化することによって、植物の生育促進効果を失うことが予測される。このような銀イオンによる生育促進効果の喪失を防止するためには、還元されることによって陽イオン性を失った銀をふたたび酸化して銀イオン(Ag+)に戻すことが必要と考えられる。そこで、本発明では濃度が0.010mg/L以下の低濃度の銀イオン水溶液に、光酸化触媒を重量比として銀イオン濃度の8倍量の濃度で添加して、銀イオンによる生育促進効果の回復について試験した。
【0014】
まず、アルゴンガスを通気して脱酸素した脱塩素水を用いて銀イオン濃度が0.010mg/Lの低濃度となるように希釈し、0.10mg/Lとなるようにジチオトレイトールを加えてブチルゴム栓で密封した状態で30分間反応させ銀イオンを還元した後に、この水溶液を用いて発芽用寒天培養基を調製した。この寒天培養基にコマツナを播種し、22℃に設定した人工気象機内で1サイクルが13時間2500lx白色蛍光灯照射(明条件)・11時間蛍光灯非照射(暗条件)の下でコマツナの発芽及び発根試験を行った。その結果、ジチオトレイトールを加えなかった対照試験の結果に比較して、発芽率の変化はほぼなかったものの、コマツナ播種後3日目と5日目の平均苗茎長はそれぞれ1.03倍及び0.98倍であった。苗根長についても、播種後3日目及び5日目の平均苗根長は、ジチオトレイトールを加えなかった対照試験の結果に比較して、それぞれ0.99倍及び1.02倍となり、0.10mg/Lのジチオトレイトールを加えた場合には0.010mg/Lの低濃度銀イオンによるコマツナ苗根の伸長促進効果は見られなかった。
【0015】
次に、同じく脱酸素水及び脱塩素水を用いて調製した0.025mg/Lの銀イオン及び0.25mg/Lのジチオトレイトールの反応水溶液に、光酸化触媒として平均一次粒子径が25 nmサイズの二酸化チタンナノ粒子を0.20mg/Lとなるように添加した溶液により発芽用寒天培養基を調製し、この培養基を用いて白色蛍光灯2400lx照射で22℃に設定した人工気象機内で13時間蛍光灯照射・11時間蛍光灯非照射条件の下でコマツナの発芽及び発根試験を行った。その結果、0.20mg/Lの二酸化チタンを加えなかった対照試験の結果に比較して、発芽率の変化はほぼ認められなかったものの、コマツナ播種後5日目の平均苗茎長は1.39倍となった。播種後5日目の平均苗根長は二酸化チタンを加えなかった対照試験の結果に比較して1.54倍となり、0.025mg/Lの銀イオンによる高い生育促進効果の復活が確認できた。これらの結果から、二酸化チタンナノ粒子が光照射条件下でジチオトレイトールによって還元生成した金属銀を酸化する光酸化触媒としての機能を発揮したことにより、銀イオン(Ag+)を再生して植物に対する低濃度銀イオンの生育促進効果を回復させたものと考えられた。
【0016】
前記の試験において二酸化チタンナノ粒子の添加量を変化させ他の条件は変えずにコマツナの発芽・発根試験を行ったところ、0.001mg/Lを下回る二酸化チタンの添加では0.025mg/Lの銀イオン添加によるコマツナの生育促進効果はほぼ認められなくなり、還元性化合物のジチオトレイトールと銀を酸化して銀イオン(Ag+)を再生するためには、二酸化チタンの添加量は少なくとも0.001mg/L以上とすることが必要と考えられた。このような二酸化チタンによる銀イオン再生の効果は二酸化チタンの添加量は少なくとも0.001mg/L以上とすることが必要と考えられた。一方、20mg/Lを上回る二酸化チタンを添加した場合には、銀イオンによるコマツナの生育促進効果は逆に減少し、20mg/Lを上回る濃度で二酸化チタンを添加することは光酸化反応が過剰に進行することによりコマツナ幼苗の生育に悪影響を与えることが知られた。
【0017】
つぎに、二酸化チタンナノ粒子に代えて平均一次粒子径が400nm以下の三酸化タングステン-パラジウム合金ナノ粒子と三酸化タングステン-銅合金ナノ粒子を用いて、13時間2500lx白色蛍光灯照射(明条件)・11時間蛍光灯非照射(暗条件)及び22℃設定で二酸化チタンの場合と全く同一の条件でコマツナの発芽・発根試験を行ったところ、コマツナの生育促進効果についてほぼ同じ結果を得ることができた。また、これらの合金ナノ粒子の生育促進効果のある濃度範囲も、二酸化チタンの濃度範囲と同じであった。これらのことから、三酸化タングステン-パラジウム合金粒子と三酸化タングステン-銅合金粒子は、二酸化チタンと同一濃度の添加により同様に光酸化触媒として作用し、還元された銀の再イオン化のための酸化触媒として機能できると考えられた。したがって、光触媒機能を有する三酸化タングステン-パラジウム合金ナノ粒子又は三酸化タングステン-銅合金ナノ粒子は、本発明による銀イオンを用いる植物育成促進の二酸化チタンナノ粒子の代替材料として利用できると考えられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開昭63-060904
【特許文献2】特開昭63-060905
【特許文献3】特開2001-010913
【特許文献4】特開2006-141252
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明が解決しようとする課題は、植物栽培における植物病発生の防止のためにこれまで必要であった消毒剤の使用量の削減を可能にすること、あるいは消毒剤の無使用化を可能にすることである。また、消毒剤の継続使用によって引き起こされる消毒剤耐性植物病原微生物の新たな出現を阻止することを可能にすることを解決課題とする。さらには、植物栽培における殺虫剤の使用量を削減するか無使用化にすることによって、農業・林業・園芸業・緑地造成業等の植物栽培を基盤とする産業をより環境配慮型の産業に転換することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題を解決するために、本発明では植物の栽培を消毒剤や殺虫剤等の防除薬剤の使用に全面的に頼るのではなく、植物が本来保有している病原微生物と昆虫等による食害に対する抵抗力や免疫力を増強することを基本的手段として、植物栽培における消毒剤と殺虫剤の使用量の削減又は不要化の課題を解決する。この基本的手段を実現するためには、植物が持つ栄養摂取能と生長能を最大限に引き出すことが重要と考えられる。これらの能力の発現は、栽培植物に健全な生育を活性化させ、その結果として植物病原微生物への免疫力及び抵抗力と昆虫等による食害に対する抵抗力を付与すると考えられる。
【0021】
植物が本来持っている栄養摂取能力と生長能力を最大限発揮させるためには、発芽発根後の幼苗期と植物ルート部(根及び地下茎)及び植物シュート部(茎及び葉等)の成長期における旺盛で健全な生育を促すことが必要である。幼苗期にあっては、特に植物根による栄養素の摂取と水分の吸収を必要とするために、植物ルート部の旺盛な伸長が植物病への抵抗力を獲得する上で重要である。本発明者らは、発明の請求項1に記載した植物の付着共生微生物及び/又は植物の内部共生微生物を不完全にしか排除できない実使用濃度0.025mg/L以下の低濃度の銀イオンを含有させた植物生育活性化液の発明に至った。
【0022】
従来技術によれば、銀イオンによる植物根の伸長効果は0.03mg/L(=30ppb)以下の低濃度では効果がないとされてきた。しかし、本発明では、このような低濃度領域における銀イオンによる根伸長への効果の喪失現象は、栽培土や栽培水中に存在するハロゲン化合物及び/又はハロゲン化物イオンの妨害効果によるものであることを見出した。これにより、このような銀イオンによる植物根の伸長効果に対する妨害は、銀イオン溶液を作成する際に使用する水の残留する遊離ハロゲン及び結合残留ハロゲン化合物の濃度が4.0μmol/L以下となるように、及び塩素イオン及び臭素イオン等のハロゲン化物イオンの濃度が3.0mmol/L以下となるように脱ハロゲン処理をした水の水溶液とすることによってそれが解決可能であることを発見した。
【0023】
従来の方法では、銀イオン水溶液を銀イオンが0.03mg/L以下の場合、安定な濃度で一週間以上保存することは技術的に困難であった。しかし、本発明では銀イオン保存液を8 mg/L以上の銀イオン濃度となるように作製することによって、銀イオン濃度を長期間安定に維持することが可能であることが知られたことから、実使用する直前にこの保存液を希釈して0.025mg/L以下の低濃度銀イオン水にして植物の生育活性化に利用する手段を採用した。
【0024】
0.025mg/L以下の低濃度銀イオンは、植物根の伸長を促進することによって栽培植物が栽培土や養培液から栄養をより多く吸収できるようにし、結果的に栽培植物地上部の伸長を旺盛にするだけではなく、病原微生物感染や昆虫等による食害に対する抵抗力を高める効果をもたらすと考えられる。また、このような低濃度の銀イオンは植物内生微生物(エンドファイト)を抑制あるいは排除することがないことにより、植物・微生物の好ましい共生関係を崩壊させることがない。
【発明の効果】
【0025】
植物苗の育成栽培用の植物生育活性化剤として、4.0μmol/Lを超える濃度の遊離ハロゲン分子、ハロゲン酸化合物、亜ハロゲン酸化合物、次亜ハロゲン酸化合物、クロラミン、ブロモアミン等のハロゲン化合物を含有しない水、及び3.0mmol/L以上の塩素イオン、臭素イオン等のハロゲン化物イオンを含有しない水に、0.0005mg/L以上0.025mg/L以下の低濃度の銀イオンを溶解して使用することにより、植物の発芽発根後の苗茎と苗根の伸長を促進する効果が得られる。特に、この本発明の効果としての植物ルート部の旺盛な伸長を誘発できることから、植物苗による栄養素の摂取と水分の吸収を旺盛にすることができるという利点がある。その結果として、植物病に対する免疫力や昆虫等による食害に対する植物自体の抵抗力を増強できる効果が生まれる。
【0026】
0.0005mg/L以上0.025mg/L以下の低濃度の銀イオンによる植物ルート部及びシュート部の伸長促進に加えて、0.0001mg/L以上2.0mg/L以下の実使用濃度で亜鉛イオンを添加した植物生育活性化液を使用することにより、植物の内部共生微生物の増殖活性を高めることが可能となる。これは、0.0005mg/L以上0.025mg/L以下の低濃度の銀イオンは土壌微生物や養液微生物や植物内部共生微生物の増殖活性にほぼ影響を与えないことに起因し、その銀イオンの存在とは独立して、0.0001mg/L以上2.0mg/L以下の亜鉛イオンによる微生物の増殖活性特に植物内部共生微生物の増殖活性増進の効果を十分に発揮できる。この内部共生微生物の増殖が旺盛化することにより、植物苗の生育をさらに活性化できるという利点がある。
【0027】
同様に、0.0001mg/L以上2.0mg/L以下の低濃度の銀イオンを含む水溶液に0.005 mg/L以上5.0mg/L以下の実使用濃度でマグネシウムイオンを添加することも、亜鉛イオンの添加と同様に植物内部共生微生物の増殖活性の増進に有意な効果をもたらす。亜鉛イオンを添加した場合との相違点は、0.005mg/L以上5.0mg/L以下の実使用濃度でマグネシウムイオンが植物内部共生微生物の増殖活性を亢進するだけでなく、銀イオンほどではないが植物幼苗ルートの伸長を促進することである。この特長によって、マグネシウムイオンは銀イオンとの併用により直接的に植物生育活性化に対する相乗効果を発揮できるという利点がある。
【0028】
0.0005mg/L以上0.025mg/L以下の低濃度の銀イオンが植物ルート及びシュートの伸長に効果的であることが知られたが、植物生育の場である土壌や養培液に還元性物質が多く存在する環境では、その低濃度銀イオンの効果は次第に失われる。このような課題を解決するために、0.0005mg/L以上0.025mg/L以下の低濃度の銀イオン水溶液に、光酸化触媒である平均一次粒子径が400nm以下の微粒状二酸化チタン、三酸化タングステン-パラジウム合金粒子、三酸化タングステン-銅合金粒子のいずれかを0.001mg/L以上20mg/L以下の実使用濃度で添加することで、還元性物質と反応することで還元された銀イオンを銀イオンに再生することによって添加した銀イオンの効果を継続的に得ることが可能となる。
【0029】
以上に記載したように、0.0005mg/L以上0.025mg/L以下の低濃度の銀イオンを植物に与えることで、植物の健全な生育を可能にできる。これより、植物が本来持っている病原微生物に対する免疫能力や昆虫等による食害に対する抵抗能力を引き出し、従来栽培植物の病害や食害を防止するためにどうしても必要であった消毒剤や殺虫剤等の農薬を使用することなく、あるいはそのような農薬の使用量を最小限にして、植物栽培をより安全で安心なものに転換し、さらには環境配慮型に転換できる利点がある。その効果として、農業・林業・園芸・緑地造成といった植物栽培によって成立している産業の持続的な発展を可能にする。
【0030】
本発明においては、濃度が0.0005mg/L以上0.025mg/L以下の低濃度の銀イオンを含み3.0mmol/L以上のハロゲン化物イオンを含まない溶液に、必要に応じて平均一次粒子径が400nm以下の光酸化触媒として二酸化チタン粒子又は三酸化タングステン-パラジウム合金粒子又は三酸化タングステン-銅合金粒子を0.001mg/L以上20mg/L以下の実使用濃度で混合して、実際の使用に供する。しかし、このような低濃度の銀イオンの溶液を調製した後に実使用のために保存することは、低濃度の銀イオンを長期間安定的に含有させておくことが困難なだけではなく、実施例に示したように数トン規模の大量の溶液として調製し保存するための容器と保存敷地及び使用現場への運搬費が必要とされる。
【0031】
これらの必要性を回避するために、本発明ではこれらの各金属イオンの濃度及び光酸化触媒の濃度を実使用濃度の100倍から10000倍の高い濃度で含有する希釈用原溶液として作製し保存する。その作製保存後の使用の際に、これらを使用現地にて調達できる水道水及び/又は河川水及び/又は地下水等の農業用水を用いて100倍から10000倍に希釈し、各イオン及び光酸化触媒の濃度が実使用濃度となるように調製し、できるだけ保存することなく速やかに農地・林地・緑地(芝地等)・盆栽等において植物育成環境改善剤として使用する方法を採用することが有利である。なお、上記希釈用水が4.0μmol/Lを超える濃度の遊離ハロゲン分子等を含む場合には、チオ硫酸塩等の脱ハロゲン剤を用いて希釈用水を脱ハロゲン化した溶液として使用することが、植物生育の活性化にとって重要である。また、上記希釈用水が3.0mmol/Lを超える塩素イオン、臭素イオン等のハロゲン化物イオンを含有する場合には、それを使用しないことが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】供試細菌(Pseudomonas putida, Escherichia coli, Bacillus subtilis)の各銀イオン濃度液に30分暴露した後の生残率
【
図2】銀イオン水溶液保存原液調製直後の銀イオン濃度と、その原液を120日間常温でポリエチレン瓶に密封保存した後の原液に残存する銀イオンの残存率との関係
【
図3】0.010mg/Lの銀イオンと結合残留塩素としてハロゲン化合物であるクロラミンを1.0μmol/Lから7.0μmol/Lを添加した寒天培養基を用いて発芽発根試験を行なった場合の、播種後5日目のコマツナ苗茎長及び苗根長とクロラミン濃度との関係
【
図4】0.010mg/Lの銀イオンとハロゲン化物イオンである塩素イオンを0.5mmol/Lから7.0 mmol/Lを添加した寒天培養基を用いて発芽発根試験を行なった場合の、播種後5日目のコマツナ苗茎長及び苗根長と塩素イオン濃度との関係
【
図5】発芽試験用寒天培養基調製に使用した水の銀イオン濃度と播種後5日目の平均コマツナ苗茎長及び苗根長との関係
【
図6】銀イオン0.010mg/Lとジチオトレイトール0.10mg/Lを添加した水で調製した寒天培養基を用いて発芽発根試験を行なった際の、コマツナ播種後3日目と5日目の平均苗茎長及び苗根長のジチオトレイトールを添加しなかった寒天培養基を用いた場合との比較
【
図7】銀イオン濃度0.025mg/Lとジチオトレイトール濃度0.25mg/Lの反応水溶液に、光酸化触媒として平均径100nmサイズの二酸化チタンナノ粒子を0.001mg/Lから30mg/Lの濃度で添加した溶液により発芽用寒天培養基を作成し、白色蛍光灯2500lx照射で22℃に設定した人工気象機内で13時間蛍光灯照射・11時間蛍光灯非照射条件の下でコマツナの発芽発根試験を行なった際の、添加した二酸化チタンナノ粒子濃度と播種後5日目の平均コマツナ苗茎長及び苗根長との関係
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例1~7によって例示する。
【実施例0034】
<実施例1>
銀イオン濃度が8mg/Lのイオン溶解原液を、塩素イオン及び臭素イオンを0.40mmol/L以下しか含まない水道水を用い、かつその水道水の遊離ハロゲン化合物及び結合残留ハロゲン化合物の濃度が4.0μmol/L以下になるように亜硫酸ナトリウムを添加して脱ハロゲンした水を用いて銀イオン濃度が0.016mg/Lとなるよう調製した生育活性化液を、苗床材0.04平方メートルあたり200ml均等に添加した後に水稲種籾を32g播種して育苗したところ、播種から12日後の種籾30粒あたりの平均苗丈(茎長)と平均根長は、銀イオンを加えずに脱ハロゲンした水を用いて1/500に希釈したものを苗床材0.04平方メートルあたり200mL均等に添加して水稲種籾を32g播種した場合の播種から12日後の種籾30粒あたりの平均苗丈(茎長)と平均根長に比較して、それぞれ1.06倍と1.55倍に増大し、濃度0.016mg/Lの銀イオン活性化液によって水稲苗の生育(特に苗根の生長)が大きく促進された。
【0035】
<実施例2>
トマト育苗における実施例:塩素イオンを0.40mmol/L以下しか含まない水道水を、さらに遊離ハロゲン及び結合残留ハロゲン化合物の濃度が2.0μmol/L以下になるように亜硫酸ナトリウムを添加して脱ハロゲン化した水道水を用いて、銀イオン濃度が0.016mg/Lとなるように希釈した銀イオン液を、銀イオン濃度が0.016mg/Lとなるように希釈することによってできた銀イオン水溶液を、苗床材0.04平方メートルあたり200ml均等に添加した。その後、その苗床にトマトの種50粒を播種して発芽発根させて育苗したところ、播種から16日後の発芽発根した40株のあたりの平均苗丈(茎長)と平均根長は、脱ハロゲン化しただけの同じ水道水を銀イオンを加えずに同様に苗床材に添加しトマトの種を50粒播種した場合の播種から16日後の発芽発根した37株あたりの平均苗丈(茎長)と平均根長に比較して、それぞれ1.08倍と1.64倍に増大し、濃度0.016 mg/Lの銀イオンによってトマトの苗の生育(特に苗根の生長)が促進されることが分かった。
【0036】
<実施例3>
ナス育苗における実施例:塩素イオンを0.40mmol/L以下しか含まない水道水を、さらに遊離ハロゲン及び結合残留ハロゲン化合物の濃度が2.0μmol/L以下になるように亜硫酸ナトリウムを添加して脱ハロゲン化した水道水を用いて、銀イオン濃度が0.016mg/Lとなるように希釈した銀イオン水溶液を、苗床材0.04平方メートルあたり200ml均等に添加した。その後、その苗床にナスの種50粒を播種して発芽発根させて育苗したところ、播種から16日後の発芽発根した41株あたりの平均苗丈(茎長)と平均根長は、脱ハロゲン化しただけの同じ水道水を銀イオンを加えずに同様に苗床材に添加しトマトの種を50粒播種した場合の播種から16日後の発芽発根した39株あたりの平均苗丈(茎長)と平均根長に比較して、それぞれ1.10倍と1.58倍に増大し、濃度0.016 mg/Lの銀イオンによってナスの苗の生育(特に苗根の生長)が促進されることが分かった。
【0037】
<実施例4>
キウリ育苗における実施例:塩素イオンを0.40mmol/L以下しか含まない水道水を、さらに遊離ハロゲン及び結合残留ハロゲン化合物の濃度が2.0μmol/L以下になるように亜硫酸ナトリウムを添加して脱ハロゲン化した水道水を用いて、銀イオン濃度が0.016mg/Lとなるように希釈した銀イオン水溶液を、苗床材0.04平方メートルあたり200ml均等に添加した。その後、その苗床にキウリの種50粒を播種して発芽発根させて育苗したところ、播種から14日後の発芽発根した44株あたりの平均苗丈(茎長)と平均根長は、脱ハロゲン化しただけの同じ水道水を銀イオンを加えずに同様に苗床材に添加しキウリの種を50粒播種した場合の播種から14日後の発芽発根した42株あたりの平均苗丈(茎長)と平均根長に比較して、それぞれ1.12倍と1.60倍に増大し、濃度0.016 mg/Lの銀イオンによってキウリの苗の生育(特に苗根の生長)が促進されることが分かった。
【0038】
<実施例5>
エンドウ育苗における実施例:塩素イオンを0.50mmol/L以下しか含まない水道水を、さらに遊離ハロゲン及び結合残留ハロゲン化合物の濃度が2.0μmol/L以下になるように亜硫酸ナトリウムを添加して脱ハロゲン化した水道水を用いて、銀イオン濃度が0.016mg/Lとなるように希釈した銀イオン水溶液を、苗床材0.04平方メートルあたり200ml均等に添加した。その後、その苗床にエンドウの種50粒を播種して発芽発根させて育苗したところ、播種から15日後の発芽発根した47株あたりの平均苗丈(茎長)と平均根長は、脱ハロゲン化しただけの同じ水道水を銀イオンを加えずに同様に苗床材に添加しエンドウの種を50粒播種した場合の播種から14日後の発芽発根した48株あたりの平均苗丈(茎長)と平均根長に比較して、それぞれ1.30倍と1.68倍に増大し、濃度0.016 mg/Lの銀イオンによってエンドウの苗の生育(特に苗根の生長)が促進されることが分かった。
【0039】
<実施例6>
ピーマン育苗における実施例:塩素イオンを0.50mmol/L以下しか含まない水道水を、さらに遊離ハロゲン及び結合残留ハロゲン化合物の濃度が2.0μmol/L以下になるように亜硫酸ナトリウムを添加して脱ハロゲン化した水道水を用いて、銀イオン濃度が0.016mg/Lとなるように希釈した銀イオン水溶液を、苗床材0.04平方メートルあたり200ml均等に添加した。その後、その苗床にピーマンの種50粒を播種して発芽発根させて育苗したところ、播種から14日後の発芽発根した43株あたりの平均苗丈(茎長)と平均根長は、脱ハロゲン化しただけの同じ水道水を銀イオンを加えずに同様に苗床材に添加しピーマンの種を50粒播種した場合の播種から14日後の発芽発根した41株あたりの平均苗丈(茎長)と平均根長に比較して、それぞれ1.12倍と1.60倍に増大し、濃度0.016 mg/Lの銀イオンによってピーマンの苗の生育(特に苗根の生長)が促進されることが分かった。
【0040】
<実施例7>
上記の実施例の他に、育苗業者に委託して行った、トウモロコシ、ダイコン、ハクサイ、キャベツ、レタス、チンゲンサイ、サラダナ、ニンジン、ゴボウ、ダイズ、ネギ、シシトウ、パプリカ、オクラ、メロン、スイカ、カボチャ、ブドウ、ブルーベリー、ナシ、リンゴ、ウメ、モモ、カキ、ミカン、オレンジ、オリーブ、スギ、ヒノキ、ウルシ、カエデ、ナンテン、イチョウ、シラカシ、スズカケ、ツバキ、サザンカ、アメリカハナミズキ、ヤマボウシ、ムクゲの40種の植物のいずれの育苗においても、塩素イオンを1.0mmol/L以下しか含まない水道水に遊離ハロゲン及び結合残留ハロゲン化合物の濃度が4.0μmol/L以下となるように亜硫酸ナトリウムを添加した水によって作製した0.010mg/Lの銀イオンを含む植物活性化液を用いて、この液を灌水して育苗した場合には、銀イオンを含まない水道水を灌水して育苗した場合に比較して、播種日から苗としての出荷が可能となるまでの栽培期間(日数)が、いずれの植物苗の育成栽培においても15%以上短縮することができた。栽培期間が最も短縮できたチンゲンサイ及びスギにおいては、出荷可能になるまでの栽培日数は2/3に短くなった。
植物の苗育成における植物病発生防止のためにこれまで必要とされてきた消毒に代わって、0.0005mg/L以上0.025mg/L以下の低濃度の銀イオン液を伸長期の植物に与えることにより、消毒剤及び殺虫剤等の農薬の使用量を削減できるあるいは無使用化できる。これにより、農業・林業・園芸・緑地造成といった植物栽培によって成立している産業をより安全で安心なものに転換し、さらには環境配慮型でかつ持続可能な産業に変えることに利用できる。また、このように農薬使用量を減らすあるいは無くすことは、植物苗の育成コストを低減できることから、農業・林業・園芸・緑地造成といった植物栽培が関与する産業の収益性を増大させることができ、かつ農薬散布等の省力化によるこれら産業の労働力削減に寄与できる。さらには、0.0005mg/L以上0.025mg/L以下の低濃度の銀イオンを含む液を植物苗の育成栽培用の生育活性化液とすることは、上記のような農薬使用によって繰り返されてきた農薬耐性の植物病原微生物や食害昆虫等の新規な出現を防止することにも効果的である。
PCR:ポリメラーゼチェーンリアクションの略称。(DNAポリメラーゼを用いて、in vitroで生物が保有するDNA分子の全部又は一部を連鎖的に増幅する酵素反応のこと。)
16S rRNA:細菌(bacteria)及び古細菌(archaea)等の原核生物が有しているリボソームRNAの一種で、その鋳型となる16S rRNA遺伝子は染色体DNA上にコードされている。