(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036561
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
G01F 23/22 20060101AFI20220301BHJP
【FI】
G01F23/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140835
(22)【出願日】2020-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AA04
2F014AA07
2F014CA02
2F014GA01
(57)【要約】
【課題】 季節の変化等の環境温度変化による誤判断の発生を抑制可能な給水装置の一例を開示する。
【解決手段】 給水装置1は、受水槽3内に配置される感温部41であって、温度に応じて電気抵抗が変化する素子にて構成された感温部41と、感温部41の単位時間当たりの電気抵抗の変化率(以下、抵抗変化率という。)を演算する機能が実行可能な水位判断部42であって、抵抗変化率と閾値とを比較して感温部41が水没しているか否かを判断する水位判断部とを備える。そして、当該給水装置は、抵抗変化率と閾値とを比較して感温部41が水没しているか否かを判断するので、環境温度変化による誤判断の発生が抑制され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受水槽に貯留された水を送水する給水装置において、
前記受水槽内に配置される感温部であって、温度に応じて電気抵抗が変化する素子にて構成された感温部と、
前記感温部の単位時間当たりの電気抵抗の変化率(以下、抵抗変化率という。)を演算する機能が実行可能な水位判断部であって、前記抵抗変化率と閾値とを比較して前記感温部が水没しているか否かを判断する水位判断部と
を備える給水装置。
【請求項2】
前記閾値を決定するための閾値演算機能を実行可能な閾値決定部と、
前記閾値演算機能により得られた閾値が記憶される記憶部とを備え、
前記閾値演算機能は、
前記感温部に通電する通電機能、
前記通電機能を実施する前の前記感温部の電気抵抗値、前記通電機能を実施した後の前記感温部の電気抵抗値、及び前記通電機能の実行時間を利用して単位時間当たりの電気抵抗の変化率を演算する演算機能、並びに
前記演算機能の演算結果に予め決められた係数を乗算した値を前記閾値として前記記憶部に記憶する機能を実行可能
である請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
複数の前記感温部を有するとともに、それら前記感温部それぞれは、高さが異なる位置に配置されており、
前記閾値演算機能では、最も高い位置に配置された前記感温部を利用して実行される
請求項2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記閾値決定部は、初回の電源投入時であるか否かを判断する機能が実行可能であり、
さらに、前記閾値決定部は、初回の電源投入時に前記閾値演算機能を実行する請求項2又は3に記載の給水装置。
【請求項5】
前記閾値決定部は、前記記憶部に前記閾値が記憶されているか否かを判断する機能を実行可能であり、
さらに、前記閾値決定部は、前記記憶部に前記閾値が記憶されていないときに前記閾値演算機能を実行する請求項2ないし4のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項6】
前記感温部が電気的に接続される複数の端子部と、
複数の前記端子部それぞれに電圧を印加することより、前記感温部が当該端子部に接続されているか否かを判断する接続判断部と、
複数の前記端子部それぞれについての前記水位判断部の判断結果に応じて予め決められた作動を実行する実行部とを備え、
前記接続判断部により前記感温部が接続されていないと判断された前記端子部を未接続端子部としたとき、
前記実行部は、前記未接続端子部については、前記作動を停止する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項7】
複数の前記感温部を有するとともに、それら前記感温部それぞれは、高さが異なる位置に配置されており、
前記水位判断部は、水没していると判断した前記感温部を計数する計数機能が実行可能であり、
さらに、前記水位判断部は、前記計数機能の計数値を利用して前記受水槽内の水位を判断する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の給水装置では、受水槽内にサーミスタを配置し、当該サーミスタの電気抵抗値の変化を利用して受水槽内の水位を検出している。
【0003】
具体的には、当該給水装置は、サーミスタが気中にある場合の電気抵抗値とサーミスタが水中にある場合の電気抵抗値とが相違する点を利用して当該サーミスタが水没しているか否かを判断する。つまり、当該給水装置では、閾値となる電気抵抗値と現時の電気抵抗値とを比較して、サーミスタが水没しているか否かを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、冬場の平均水温又は平均気温と夏場の平均水温又は平均気温とは異なる。このため、仮に、季節を問わず、同一の閾値にてサーミスタが水没しているか否かの判断が実行されると、誤った判断が発生する可能性が高い。
【0006】
本開示は、上記点に鑑み、季節変化等の環境温度変化による誤判断の発生を抑制可能な給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
受水槽(3)に貯留された水を送水する給水装置は、受水槽(3)内に配置される感温部(41)であって、温度に応じて電気抵抗が変化する素子にて構成された感温部(41)と、感温部(41)の単位時間当たりの電気抵抗の変化率(以下、抵抗変化率という。)を演算する機能が実行可能な水位判断部(42)であって、抵抗変化率と閾値とを比較して感温部(41)が水没しているか否かを判断する水位判断部とを備えることが望ましい。
【0008】
当該給水装置は、抵抗変化率と閾値とを比較して感温部(41)が水没しているか否かを判断するので、特許文献1に比べて、環境温度変化による誤判断の発生が抑制され得る。
【0009】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【
図2】抵抗率変化等を検出するための構成を示す図である。
【
図3】計数値と判断結果との対応関係を示す図表である。
【
図4】第1実施形態に係る水位判断部の作動を示すフローチャートである。
【
図5】第1実施形態に係る水位判断部の作動を示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態に係る水位判断部の作動を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0012】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0013】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、例えば、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。
図1に示されるように、本実施形態に係る給水装置1は、電動ポンプ2、受水槽3、水位検出装置4及びポンプ制御部5等を少なくとも備える。
【0014】
受水槽3は、給水用の水が貯留されるタンクである。電動ポンプ2は、受水槽3に貯留されている水を建物に送水する。水位検出装置4は、受水槽3に貯留された水の水位を検出する。
【0015】
ポンプ制御部5は、電動ポンプ2の作動を制御する。本実施形態に係るポンプ制御部5は、インバータ方式のモータ制御装置を有して構成されている。なお、水位検出装置4及びポンプ制御部5は、同一の制御盤6内に収納されている。
【0016】
<2.水位検出装置>
水位検出装置4は、少なくとも1つ(本実施形態では、複数)の感温部41、及び水位判断部42等を有して構成されている。
【0017】
<感温部>
複数の感温部41それぞれは、受水槽3内に配置されている。各感温部41は、温度に応じて電気抵抗が変化する素子(例えば、NTCサーミスタ)にて構成されている。複数の感温部41それぞれは、高さが異なる位置に配置されている。
【0018】
以下、最も低い位置に配置された感温部41を第1感温部41Aとし、最も高い位置に配置された感温部41を第3感温部41Cとし、第1感温部41Aと第3感温部41Cとの間の高さに配置された感温部41をという第2感温部41Bという。
【0019】
因みに、第1感温部41Aの配置高さは、一般的に渇水水位に相当する。第3感温部41Cの配置高さは、一般的に満水水位に相当する。第2感温部41Bの配置高さは、例えば、渇水の可能性を示す警告を発すべき水位(減水水位ともいう。)に相当する。
【0020】
複数の感温部41それぞれは、保持器43に接続されている。保持器43には、
図2に示されるように、感温部41と同数以上の端子T1~T3が設けられている。なお、各端子T1~T3は、サーミスタのリード線(図示せず。)が接続される2つの端子を1組としたものである。
【0021】
因みに、各感温部41は、金属製のパイプの下端に樹脂にて封止された状態で配置されている。各サーミスタのリード線は、当該パイプ内に挿通されて対応する端子T1~T3に接続されている。そして、各パイプの上端が保持器43に連結されている。
【0022】
<水位判断部>
水位判断部42は、各感温部41が水没しているか否かを判断する。具体的には、水位判断部42は、各感温部41の単位時間当たりの電気抵抗の変化率(以下、抵抗変化率という。)を演算し、当該抵抗変化率と閾値とを比較して当該感温部41が水没しているか否か、つまり気中にあるか否か判断する。
【0023】
すなわち、水位判断部42は、判断対象となる感温部41に通電する。これにより、当該感温部41が発熱し、感温部41の温度上昇に応じて電気抵抗値が変化する(本実施形態では、小さくなる)。
【0024】
このとき、気中と水中とでは、感温部41からの単位時間当たりの放熱量が異なることなるため、気中の抵抗変化率と水中の抵抗変化率とが異なる値となる。水位判断部42は、判断時の抵抗変化率と記憶部42Aに記憶されている閾値とを比較して当該感温部41が水没しているか否か、つまり気中にあるか否か判断する。
【0025】
なお、閾値は、気中の抵抗変化率、及び水中の抵抗変化率のいずれでもよい。例えば、気中の抵抗変化率を閾値とした場合には、判断時の抵抗変化率が閾値より大きいときは、当該感温部41は水没していることになる。
【0026】
同様に、水中の抵抗変化率を閾値とした場合には、判断時の抵抗変化率が閾値以下のときは、当該感温部41は気中に位置していることになる。なお、本実施形態では、閾値として、気中の抵抗変化率が採用されている。
【0027】
なお、本実施形態に係る水位判断部42は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータにソフトウェアが組み込まれることにより実現されている。当該ソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部に予め記憶されている。
【0028】
<水位判断部による水位判定>
本実施形態に係る水位判断部42による水位の判定は、計数機能を利用して実現される。水位機能は、水没していると判断した感温部41を計数する機能である。そして、水位判断部42は、計数機能の計数値を利用して受水槽3内の水位を判断する。
【0029】
具体的には、
図3の図表に示されるように、計数値に応じた判断結果が水位判断部42に予め記憶されている。そして、水位判断部42は、当該判断結果に応じた作動を実行する。
【0030】
例えば、計数値が3である場合には、満水水を越える水位、つまり満水警報水位となる。計数値が2である場合には、水位が低下した水位、つまり減水警報水位となる。計数値が1である場合には、渇水に至らないものの、水位が相当程度低下した水位となる。
【0031】
そして、計数値が0である場合には、渇水状態にある水位、つまり渇水警報水位となる。つまり、本実施形態に係る計数値は、水位を表す指標として機能する。具体的には、計数値が小さいほど水位が低く、かつ、計数値が大きいほど水位が高いことを示す。
【0032】
<閾値演算機能>
水位判断部42は、閾値演算機能を実行可能である。閾値演算機能は、給水装置1が自ら閾値を決定するための機能である。閾値演算機能は、通電機能、演算機能及び記憶機能等を有して実現される。通電機能は、判断対象となる感温部41に通電する機能である。
【0033】
演算機能は、通電機能を実施する前の当該感温部41の電気抵抗値、通電機能を実施した後の当該感温部41の電気抵抗値、及び通電機能の実行時間を利用して単位時間当たりの電気抵抗の変化率を演算する機能である。
【0034】
このとき、水位判断部42は、感温部41に印加される電圧(
図3のV1~V3)及び電源から供給される電流値を利用して電気抵抗値を演算する。なお、感温部41が接続されていない場合には、端子T1~T3の感温部41が接続されていない端子の電圧が0V、つまりコモン側の電位となる。
【0035】
記憶機能は、演算機能の演算結果に予め決められた係数kを乗算した値を閾値として記憶部42Aに記憶する機能である。なお、本実施形態では、最も高い位置に配置された感温部41、つまり、第3感温部41Cが利用されて閾値演算機能が実行される。なお、係数kは、0より大きい実数であって、試験等により予め決められた値である。当該係数kは、不揮発性記憶部に予め記憶されている。
【0036】
<水位判断部の詳細作動>
図4及び
図5に示されるフローチャートは、水位判断部42の制御作動(以下、判断制御という。)の一例を示すものである。判断制御を実行するためのソフトウェアは、不揮発性記憶部に予め記憶されている。なお、以下の括弧内の符号(S1等)は、
図4及び
図5の制御ステップ番号を示す。
【0037】
判断制御は、給水装置1の電源スイッチ(図示せず。)が投入されたときに起動し、当該電源スイッチが遮断されると停止する。判断制御が起動されると、水位判断部42は、初回の起動であるか否かを判断する(S1)。
【0038】
本実施形態に係る給水装置1では、起動履歴が不揮発性記憶部に記憶される。水位判断部42は、当該起動履歴を利用して初回の起動であるか否かを判断する。初回の起動であると判断された場合には(S1:YES)、水位判断部42は、閾値が記憶部42Aに記憶されているか否かを判断する(S2)。
【0039】
閾値が記憶部42Aに記憶されていないと判断された場合には(S2:NO)、水位判断部42は、閾値演算機能(S3~S13)を実行する。すなわち、水位判断部42は、現時の第3感温部41Cの電気抵抗値を検出するとともに、抵抗法にて第3感温部41Cの温度を検出した後、その検出値をRAM等に記憶する(S3)。
【0040】
次に、水位判断部42は、第3感温部41Cの温度が予め決められた温度(例えば、20℃)以下であるか否かを判断する(S4)。第3感温部41Cの温度が予め決められた温度以下であると判断された場合には(S4:YES)、水位判断部42は、S7に印加する電圧(本実施形態では、直流電圧)のデューティー比を100%とする。
【0041】
第3感温部41Cの温度が予め決められた温度より高いと判断された場合には(S4:NO)、水位判断部42は、S7に印加する電圧のデューティー比を50%とする。つままり、水位判断部42は、第3感温部41Cの温度が低くなるほど、第3感温部41Cに印加する電圧のデューティー比を大きくする。
【0042】
そして、水位判断部42は、第3感温部41Cへの電圧印加を開始するとともに(S7)、電圧を印加した時からの経過時間が予め決められた所定時間(Δt)となった時に(S8、S9:YES)、現時の第3感温部41Cの電気抵抗値を検出するとともに、その検出値をRAM等に記憶する(S10)。
【0043】
次に、水位判断部42は、S3にて記憶された電気抵抗値とS10にて記憶された電気抵抗値との差(ΔR)を上記の所定時間(Δt)で除算するとともに(S11)、その除算結果に係数kを乗算した値を閾値として記憶部42Aに記憶した後(S12)、電圧の印加を停止する(S13)。
【0044】
また、S1にて初回の起動でないと判断された場合(S1:NO)、又はS2にて閾値が既に記憶部42Aに記憶されていと判断された場合(S2:YES)、水位判断部42は、当該判断がされた時から経過時間が予め決められた時間(以下、インターバル時間という。)を越えたか否かを判断する(S14)
インターバル時間が経過したと判断された場合には(S14:YES)、水位判断部42は、判断対象となる感温部41を選択する(S15)。なお、本実施形態に係る水位判断部42は、端子T1に接続された感温部41→端子T2に接続された感温部41→端子T3に接続された感温部41の順に感温部41を選択する。
【0045】
次に、水位判断部42は、判断対象となる感温部41(以下、対象感温部41という。)への電圧印加を開始した後(S16)、現時の対象感温部41の電気抵抗値を検出するとともに、その検出値をRAM等に記憶する(S17)。
【0046】
そして、電圧を印加した時からの経過時間が予め決められた所定時間(Δt)となった時に(S18、S19:YES)、現時の対象感温部41の電気抵抗値を検出するとともに、その検出値をRAM等に記憶する(S20)。
【0047】
次に、水位判断部42は、S17にて記憶された電気抵抗値とS20にて記憶された電気抵抗値との差(ΔR)を上記の所定時間(Δt)で除算して対象感温部41の抵抗変化率を演算した後(S21)、当該演算結果と閾値とを比較して対象感温部41が水没しているか否かを判断する(S22)。
【0048】
対象感温部41が水没していると判断された場合には(S22:NO)、水位判断部42は、計数値を1だけ増加(インクリメント)する(S24)。なお、対象感温部41が気中にあると判断された場合には(S22:YES)、水位判断部42は、計数値を現状値に維持する。なお、計数値の初期値、つまりS14の実行時における計数値は、0である。
【0049】
次に、水位判断部42は、対象感温部41への電圧印加を停止した後(S25)、全ての感温部41についてS22が実行されたか否かを判断する(S26)。全ての感温部41についてS22が実行されていないと判断された場合には(S26:NO)、S15が再び実行される。
【0050】
全ての感温部41についてS22が実行されたと判断された場合には(S26:YES)、水位判断部42は、計数値を利用して水位判定をした後(S27)、インターバル時間を0に再設定する(S28)。
【0051】
<3.本実施形態に係る給水装置の特徴>
本実施形態に係る給水装置1は、抵抗変化率と閾値とを比較して各感温部41が水没しているか否かを判断するので、特許文献1に比べて、環境温度変化による誤判断の発生が抑制され得る。
【0052】
水位判断部42は、給水装置1が自ら閾値を決定するための閾値演算機能を実行可能である。これにより、給水装置1が自ら閾値を自動的に決定・記憶するので、施工工事の工数を低減でき得る。
【0053】
本実施形態に係る閾値演算機能は、最も高い位置に配置された感温部41(第3感温部41C)を利用して閾値を決定する。つまり、本実施形態に係る閾値は、感温部41が気中にあることを示す閾値となる。したがって、給水装置1は、受水槽3に貯水されていないときにであっても、閾値を決定することができる。
【0054】
本実施形態に係る給水装置1は、初回の電源投入時に閾値を決定する。これにより、給水装置1は、確実に感温部41が気中にある場合の閾値を決定することができる。
【0055】
本実施形態に係る給水装置1は、閾値が記憶部42Aに記憶されていないと判断された場合に閾値演算機能を実行する。これにより、閾値演算機能が重複して実行されてしまうことが抑制され得る。
【0056】
本実施形態に係る計数値は、上述したように、水位を表す指標として機能する。したがって、作業者は、第1感温部41A~第3感温部41Cのいずれかを順序不同にて端子部T1~T3それぞれに接続可能となる。延いては、作業者の設置作業負担が軽減され得る。
【0057】
(第2実施形態)
上述の実施形態に係る給水装置1は、全ての端子T1~T3に感温部41が接続された例であった。これに対して、本実施形態に係る給水装置1は、複数の端子T1~T3のうちいずれかの端子に感温部41が接続されていない場合に対応可能な給水装置である。
【0058】
すなわち、給水装置1は、複数の端子部T1~T3それぞれについての水位判断部の判断結果に応じて予め決められた作動(
図3に示される例では、警報作動)を実行する実行部を備える。
【0059】
このため、例えば、端子T2に感温部41が接続されていない場合には、仮に、第3感温部41Cが水没し、水位が満水水位であっても計数値が2となるため、減水警報が発生られる(
図3参照)、という問題が生じる。
【0060】
そして、本実施形態は、このような問題に対応可能な給水装置1である。なお、この問題は、水位判断部42の共通化を図るべく、端子の個数が接続可能な最大個数に合わせた設定となっているからである。
【0061】
つまり、仮に、感温部41の個数に応じた専用の水位判断部42とすると、水位判断部42の種類が増大し、給水装置の製造原価上昇を招いてしまう。本実施形態に係る給水装置は、この製造原価上昇を抑制可能である。
【0062】
なお、以下の説明は、上述の実施形態に係る給水装置との相違点に関する説明である。そして、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0063】
図6に示されたフローチャートは、第1実施形態との相違点のみ示しており、その他は、第1実施形態と同じである。当該フローチャートは、端子T2に感温部41が接続されていない場合の判断制御の一部を示している。
【0064】
そして、水位判断部42は、対象感温部41への電圧印加を開始した後(S16)、その対象感温部41が端子T2に接続された感温部41(本実施形態では、第2感温部41B)であるか否かを判断する(S29)。
【0065】
第2感温部41Bであると判断された場合には(S29:YES)、水位判断部42は、端子T2に印加された電圧(
図3のV2)が0V、つまりコモン側の電位であるか否かを判断する。
【0066】
すなわち、V2の電圧が0Vの場合には、端子T2に感温部41が接続されていない状態となる。V2の電圧が0Vと異なる電圧(例えば、0より高い電圧)場合には、端子T2に感温部41が接続されている状態となる。
【0067】
そして、V2の電圧が0Vより高いと判断された場合には(S30:NO)、水位判断部42は、S17を実行する。V2の電圧が0Vであると判断された場合には(S30:YES)、水位判断部42は、計数値を1だけ増加(インクリメント)する(S31)。
【0068】
つまり、水位判断部42は、「第2感温部41Bは水没している」との虚偽状態を発生させる。これにより、仮に、第3感温部41Cが水没したときに、計数値が3となるため、減水警報が発生られることはない。
【0069】
なお、本実施形態では、各端子T1~T3に接続される感温部41は、
図1に示される順序で接続されている必要がある。これは、水位判断部42は、端子T1に第1感温部41Aが接続され、端子T2に第2感温部41Bが接続され、端子T3に第3感温部41Cが接続されることを前提としたソフトウェアが組み込まれているからである。
【0070】
(第3実施形態)
本実施形態に係る水位判断部42は、判断した水位が予め決められた水位以上である場合には、当該予め決められた水位より低い位置に配置されている1つ又は複数の感温部への通電を停止する。
【0071】
具体的には、本実施形態に係る水位判断部42は、高い位置に配置された感温部、つまり端子T3→端子T2→端子T1の順にS16~S24を実行する。そして、例えば、端子T2に接続された第2感温部41Bが水没していると判断された場合、水位判断部42は、端子T1に接続された第2感温部41BについてS16~S24を実行することなく、S27を実行する。
【0072】
これにより、判断した水位が予め決められた水位以上である場合には、当該予め決められた水位より低い位置に配置されている1つ又は複数の感温部への通電が停止される。なお、本実施形態においても、各端子T1~T3に接続される感温部41は、
図1に示される順序で接続されている必要がある。
【0073】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る給水装置1は、閾値演算機能を実行可能であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、閾値が予め記憶部42Aに記憶され、閾値演算機能を有していない給水装置であってもよい。
【0074】
上述の実施形態に係る閾値演算機能は、演算機能の演算結果に予め決められた係数kを乗算した値を閾値とした。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、演算機能の演算結果をそのまま閾値する閾値演算機能であってもよい。
【0075】
上述の実施形態では、初回の電源投入時、かつ、記憶部42Aに閾値が記憶されていないときに閾値演算機能を実行する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、予め決められたタイミング(例えば、年に1回、又は渇水水位になったとき)に閾値演算機能が実行される構成であってもよい。
【0076】
上述の実施形態に係る給水装置1は、3つの端子T1~T3が設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、1つ若しくは2つの端子、又は4つ以上の端子が設けられた構成であってもよい。
【0077】
上述の第2実施形態に係る実行部は、水位判断部の判断結果に応じて警報作動を実行する実行部であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、その他の作動を実行する実行部であってもよい。
【0078】
上述の第2実施形態では、水位判断部42は、感温部が接続されていない端子も計数することにより(S31)、当該端子に関して恰も「水没」状態とみなすことにより、警報が発せられることを禁止した。
【0079】
しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、水位判断部42は、感温部が接続されていない端子を発見したときには、「水没」状態であるとみなすのではなく、当該端子に関する実行部の作動を禁止してもよい。
【0080】
上述の実施形態に係る水位判断部42、つまり接続判断部は、端子T1~T3の感温部41が接続されていない端子の電圧が0Vとなることを利用して感温部が端子に接続されているか否かを判断した(
図2参照)。しかし、本開示は、
図2に示された構成に限定されない。
【0081】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1… 給水装置
2… 電動ポンプ
3… 受水槽
4… 水位検出装置
5… ポンプ制御部
41… 感温部
42… 水位判断部
42A… 記憶部
43… 保持器
T1~T3… 端子