(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036563
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】流量センサ
(51)【国際特許分類】
F04D 15/00 20060101AFI20220301BHJP
G01F 1/28 20060101ALI20220301BHJP
F04B 49/06 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
F04D15/00 J
G01F1/28 A
F04D15/00 D
F04D15/00 F
F04D15/00 L
F04B49/06 321B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140837
(22)【出願日】2020-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
【テーマコード(参考)】
2F030
3H020
3H145
【Fターム(参考)】
2F030CA01
2F030CC02
2F030CE02
2F030CE09
3H020AA05
3H020BA03
3H020BA06
3H020BA22
3H020BA23
3H020CA04
3H020CA08
3H020CA10
3H020DA01
3H020EA03
3H020EA05
3H145AA06
3H145AA16
3H145AA23
3H145AA42
3H145BA19
3H145CA06
3H145CA19
3H145DA01
3H145DA02
3H145DA32
3H145EA14
3H145EA16
(57)【要約】
【課題】 複数種類の流量を検出可能な流量センサを備える給水装置の一例を開示する。
【解決手段】 パドルF1、永久磁石F2及びリニアホールICF3等により流量センサFsが構成される。そして、製造者又は設置業者は、第1可変抵抗器を調整することにより、複数種類の流量を検出することが可能となる。したがって、流量センサFsを停止流量個別で用意したり、リニアホールICF3が出力する流量に比例したアナログ電圧信号を検出できる制御基板を新規設計しなければならないといった問題が発生しない。延いては、オンオフ出力型のホールICを用いた流量センサとの互換性を維持しつつ、停止流量を可変とするという効果を得ることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水用の電動ポンプと、
流水の動圧を受けて揺動可能な可動体、前記可動体に設けられた永久磁石、及び前記可動体の変位に応じてアナログ電圧を出力するリニアホールICを有する流量センサと、
前記リニアホールICの出力電圧が反転入力部に入力されるコンパレータと、
前記コンパレータの反転入力部に入力される電圧を調整可能な可変抵抗と、
前記電動ポンプの作動を制御する制御部であって、前記コンパレータの出力信号を利用して当該電動ポンプを停止させる停止機能が実行可能な制御部と
を備える給水装置。
【請求項2】
前記流量センサに設けられ、前記流水の温度に応じてアナログ電圧を出力する感温部と、
非反転入力部に前記感温部の電圧信号が入力される第2のコンパレータと、
前記第2のコンパレータの反転入力部に入力される電圧を調整可能な第2の可変抵抗とを備え、
前記制御部は、前記コンパレータの出力信号(以下、流水信号という。)及び前記第2のコンパレータの出力信号(以下、温度信号という。)を利用して当該電動ポンプを停止させる第2の停止機能が実行可能であり、
さらに、前記第2の停止機能は、前記流水信号により流水状態が検知され、かつ、前記温度信号により予め決められた温度以上が検知されたときに、前記電動ポンプを停止させる機能である請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記リニアホールICに電力を供給する電源電圧変換回路と、
前記電源電圧変換回路及び前記コンパレータが搭載した中継基板とを備え、
前記制御部と前記中継基板とが通信可能に接続されている請求項1又は2に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給水装置に用いられる流量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の流量センサは、フラッパ及びリードスイッチ等を有して構成されている。フラッパは、流水の動圧を受けて揺動するとともに、永久磁石が一体化された部材である。リードスイッチは、磁界の変化を利用して接点を開閉する近接スイッチの一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、フラッパの位置、つまり動圧の大きさによってリードスイッチが閉じるタイミングが決まる。このため、例えば、第1流量となったときにリードスイッチが閉じる流量センサは、第1流量と異なる第2流量を検出するために用いることができない。
【0005】
本開示は、上記点に鑑み、複数種類の流量を検出可能な流量センサを備える給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
給水装置は、給水用の電動ポンプ(P)と、流水の動圧を受けて揺動可能な可動体(F1)と、可動体(F1)に設けられた永久磁石(F2)と、可動体(F1)の変位に応じてアナログ電圧を出力するリニアホールIC(F3)と、リニアホールIC(F3)の出力電圧が反転入力部に入力されるコンパレータ(CP1)と、コンパレータ(CP1)の反転入力部に入力される電圧を調整可能な可変抵抗(VR1)と、電動ポンプ(P)の作動を制御する制御部(CTL)であって、コンパレータ(CP1)の出力信号を利用して当該電動ポンプ(P)を停止させる停止機能が実行可能な制御部(CTL)とを備えることが望ましい。
【0007】
これにより、当該給水装置では、可動体(F1)、永久磁石(F2)及びリニアホールIC(F3)等により流量センサが構成される。そして、製造者又は設置業者は、可変抵抗(VR1)を調整することにより、複数種類の流量を検出することが可能となる。
【0008】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る給水装置の基板構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る流量センサを示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る電圧比較回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0011】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0012】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、例えば、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。
図1に示されるように、本実施形態に係る給水装置1は、少なくとも1つ(本実施形態では、2つ)の電動ポンプP1、P2、流量センサFs1、Fs2及び制御盤Cp等を少なくとも備える。
【0013】
各電動ポンプP1、P2は、全て同一構造である。具体的には、各電動ポンプP1、P2は、ポンプ部及びモータ部を有する給水用の電動式ポンプである。以下、電動ポンプP1、P2のうち任意の電動ポンプを意図する場合は電動ポンプPと記す。
【0014】
各電動ポンプPの吐出し口から吐出された水は、連結管2A、2Bを介して合流管3に集合する。なお、合流管3は建物の配水管(図示せず。)に接続される。給水装置1の給水量とは、合流管から配水管に供給される給水量をいう。
【0015】
各電動ポンプPは、制御盤Cp内に設けられ制御部CTL(
図2参照)により制御される。制御部CTLは、予め記憶されたプログラムに従って各電動ポンプP、つまり各モータ部を制御する。
【0016】
制御盤Cpは防滴性を有するケースである。制御盤Cp内には、制御基板4及び中継基板5等が収納されている。制御基板4は、制御部CTL、流量信号入力部4A、及び制御基板電源4B等が搭載された回路基板である。
【0017】
なお、流量信号入力部4Aには、中継基板5を介して流量センサFs1、Fs2の検出信号が入力される。制御部CTLは、当該信号を利用して各電動ポンプPの作動を制御する。
【0018】
流量センサFs1は第1電動ポンプP1の吐出し流量を検出する。流量センサFs2は第1電動ポンプP1の吐出し流量を検出する。以下、流量センサFs1、Fs2のうち任意の流量センサを意図する場合は流量センサFsと記す。
【0019】
<2.流量センサの構成>
流量センサFsは、
図3に示されるように、パドルF1、永久磁石F2及びリニアホールICF3等を少なくとも有して構成されている。パドルF1は、連結管2A、2B内を流通する流水の動圧を受けて揺動可能な可動体の一例である。
【0020】
永久磁石F2は、パドルF1に一体化されている。つまり、永久磁石F2はパドルF1と共に一体的に揺動する。リニアホールICF3は、パドルF1の変位に応じてアナログ電圧を出力する。
【0021】
なお、本実施形態では、リニアホールICF3はセンサ基板F4に設けられている。センサ基板F4は、連結管2A、2Bに対して固定されている。したがって、パドルF1が流水の動圧を受けて揺動すると、永久磁石F2とリニアホールICF3との距離が変化するので、これに応じたアナログ電圧がリニアホールICF3から出力される。
【0022】
本実施形態に係るセンサ基板F4、つまり流量センサFsには、温度センサの感温部(以下、温度センサICともいう。)TSが設けられている。当該温度センサICTsは、流水の温度に応じてアナログ電圧を出力する。
【0023】
リニアホールICF3の出力電圧、及び温度センサICTsの出力電圧は、
図2に示されるように、センサ基板F4を経由して電圧比較回路5Aに入力されている。電圧比較回路5Aは、中継基板5に搭載されている。
【0024】
なお、中継基板5には、電源電圧変換回路5Bが搭載されている。電源電圧変換回路5Bは、リニアホールICF3及び温度センサICTsに電力を供給する。具体的には、電源電圧変換回路5Bは、制御基板電源4Bから供給される直流電圧をリニアホールICF3及び温度センサICTsに適した電圧に変換する。
【0025】
<電圧比較回路(
図4参照)>
電圧比較回路5Aは、第1コンパレータCP1、第2コンパレータCP2、反転回路Inv、論理積回路Anc、第1可変抵抗器VR1、及び第2可変抵抗器VR2等少なくとも有して構成されている。
【0026】
第1コンパレータCP1の反転入力部には、リニアホールICF3の出力電圧が入力される。第1可変抵抗器VR1は、第1コンパレータCP1の反転入力部に入力される電圧を変更調整するための可変抵抗である。
【0027】
第2コンパレータCP2の非反転入力部には温度センサICTsの電圧信号が入力される。第2可変抵抗器VR2は、第2コンパレータCP2の反転入力部に入力される電圧を変更調整するための可変抵抗である。
【0028】
反転回路Invは、第2可変抵抗器VR2の出力を反転させる。論理積回路Ancには、反転回路Invの出力Vout2及び第1コンパレータCP1の出力Vout1が入力される。論理積回路Ancの出力Vout3は、制御部CTLに入力されている。
【0029】
<制御部の停止機能>
制御部CTLは、上述したように、論理積回路Ancの出力Vout3が偽の場合には、稼働中の電動ポンプPを停止させる。論理積回路Ancの出力Vout3が真の場合には、電動ポンプPを稼働又は稼働可能な状態とする。
【0030】
すなわち、第1コンパレータCP1の出力Vout1は、リニアホールICF3の出力電圧が第1可変抵抗器VR1により設定された閾値電圧以上となったときに、つまり、吐出し流量が当該閾値電圧に相当する流量以上となったとき、真となる。
【0031】
第2コンパレータCP2の出力は、温度センサICTsの出力電圧が第2可変抵抗器VR2により設定された閾値電圧以上となったときに、つまり、流水温度が当該閾値電圧に相当する温度(以下、閾値温度という。)以上となったとき、真となる。
【0032】
このため、反転回路Invの出力Vout2は、流水温度が閾値温度未満のときには真となり、流水温度が閾値温度以上となったときには偽となる。したがって、制御部CTLは、流量センサFsにより流水状態が検知され、かつ、閾値温度以上の流水温度が検知されたときに、電動ポンプPを停止させる。
【0033】
<3.本実施形態に係る給水装置の特徴>
本実施形態に係る給水装置1では、パドルF1、永久磁石F2及びリニアホールICF3等により流量センサFsが構成される。そして、製造者又は設置業者は、第1可変抵抗器VR1を調整することにより、複数種類の流量を検出することが可能となる。
【0034】
したがって、流量センサFsを停止流量個別で用意したり、リニアホールICF3が出力する流量に比例したアナログ電圧信号を検出できる制御基板を新規設計しなければならないといった問題が発生しない。延いては、オンオフ出力型のホールICを用いた流量センサとの互換性を維持しつつ、停止流量を可変とするという効果を得ることができる。
【0035】
また、第1コンパレータCP1の出力は、スイッチ出力タイプのホールICと同様にオンオフ型のオープンコレクタ出力であるため、制御基板4は、直流電源電圧DC12Vと0V、オープンコレクタ入力のままで接続可能となり、水温検出して、高温検出時にポンプを停止するとともに、制御基板4の入力回路は変更不要であり、オンオフ出力型のホールICを用いた流量センサとの互換性がある。
【0036】
リニアホールICF3の電源電圧に適合させる電源電圧変換回路5Bと電圧比較回路5Aとが搭載された中継基板5が制御基板4に接続されている。これにより、電源電圧変換回路5Bの発熱により、温度センサICTs等が熱の影響を受けることがない。
【0037】
さらに、中継基板5は、制御盤Cp内に収納されているため、水滴などが付着する恐れがない。延いては、中継基板5を防滴性を有するケース内に入れて、密封する必要もない。
【0038】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る電圧比較回路5Aでは、第2コンパレータCP2、反転回路Inv、論理積回路Anc及び第2可変抵抗器VR2等も搭載されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0039】
すなわち、当該開示は、例えば、第2コンパレータCP2、反転回路Inv、論理積回路Anc及び第2可変抵抗器VR2等が電圧比較回路5Aから廃止された構成であってもよい。なお、当該構成では、制御部CTLは、第1コンパレータCP1の出力信号を利用して電動ポンプPを停止させる。
【0040】
上述の実施形態に係る給水装置では、2つの電動ポンプPを有していた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、1又は3つ以上の電動ポンプPを有する給水装置であってもよい。
【0041】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1… 給水装置 2A… 連結管 3… 合流管 4… 制御基板
4A… 流量信号入力部 4B… 制御基板電源 5… 中継基板
5A… 電圧比較回路 5B… 電源電圧変換回路
P… 電動ポンプ Fs… 流量センサ CTL… 制御部
Cp… 制御盤 F1… パドル F2… 永久磁石
F3… リニアホールIC F4… センサ基板
TS… 感温部(温度センサIC) CP1… 第1コンパレータ
CP2… 第2コンパレータ Inv… 反転回路
Anc… 論理積回路 VR1… 第1可変抵抗器 VR2… 第2可変抵抗器