(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036564
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】給水用ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04B 23/00 20060101AFI20220301BHJP
G01F 23/62 20060101ALI20220301BHJP
F04B 53/00 20060101ALI20220301BHJP
F04B 49/02 20060101ALI20220301BHJP
C02F 1/32 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
F04B23/00 Z
G01F23/62 C
F04B53/00 A
F04B49/02 311
C02F1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140838
(22)【出願日】2020-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
【テーマコード(参考)】
2F013
3H071
3H145
4D037
【Fターム(参考)】
2F013BC01
3H071AA01
3H071CC43
3H071DD89
3H145AA23
3H145AA42
3H145BA07
3H145CA06
3H145CA21
3H145CA25
3H145DA02
3H145EA02
3H145EA14
3H145EA20
3H145EA35
3H145EA50
4D037AA01
4D037AB03
4D037BA18
4D037BB01
4D037BB02
(57)【要約】
【課題】 深紫外線の殺菌作用を利用した給水用ポンプ装置の一例を開示する。
【解決手段】 給水用ポンプ装置は、電動ポンプ2と、電動ポンプ2の吐出し側に設けられ、当該電動ポンプ2の吐出し流量を検出するための流量検出部3と、流量検出部3に設けられ、当該流量検出部3内を流通する水に深紫外線を照射する深紫外線照射部3Bとを備える。これにより、当該給水用ポンプ装置では、流量検出部3に深紫外線照射部3Bが設けられているので、例えば、井戸水を利用している者は、既存の電動ポンプの吐出し側に当該流量検出部3を装着することにより、容易に殺菌作用を得ることが可能となる。つまり、利用者は、既存の給水用ポンプ装置に対しては、流量検出部(3)を交換することにより、容易に殺菌作用を得ることが可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水用ポンプ装置において、
電動ポンプと、
前記電動ポンプの吐出し側に設けられ、当該電動ポンプの吐出し流量を検出するための流量検出部と、
前記流量検出部に設けられ、当該流量検出部内を流通する水に深紫外線を照射する深紫外線照射部と
を備える給水用ポンプ装置。
【請求項2】
前記深紫外線照射部の作動を制御するとともに、前記流量検出部の出力信号が入力される制御部を備え、
前記制御部は、吐出し流量が予め決められた流量以上のときに、前記深紫外線照射部を発光させる請求項1に記載の給水用ポンプ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電動ポンプの作動を制御可能であって、かつ、
前記深紫外線照射部の積算照射時間を計時する計時機能、
前記計時機能により計時された積算照射時間(以下、計時時間という。)が、予め決められた第1積算時間に到達したときに警告を発する警告機能、並びに
予め決められた積算時間であって前記第1積算時間より長い積算時間を第2積算時間としたとき、前記計時時間が当該第2積算時間に到達したときに前記電動ポンプの稼働を禁止する禁止機能
を実行可能である請求項2に記載の給水用ポンプ装置。
【請求項4】
前記制御部は、予め決められた解除情報が入力されたときに前記禁止機能を解除する解除機能を実行可能である請求項3に記載の給水用ポンプ装置。
【請求項5】
前記警告機能及び前記解除情報の入力のうち少なくとも一方は、無線通信を介して実行可能である請求項4に記載の給水用ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給水用ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているように、深紫外線には殺菌作用がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記点に鑑み、深紫外線の殺菌作用を利用した給水用ポンプ装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
給水用ポンプ装置は、電動ポンプ(2)と、電動ポンプ(2)の吐出し側に設けられ、当該電動ポンプ(2)の吐出し流量を検出するための流量検出部(3)と、流量検出部(3)に設けられ、当該流量検出部(3)内を流通する水に深紫外線を照射する深紫外線照射部(3B)とを備えることが望ましい。
【0006】
当該給水用ポンプ装置では、流量検出部(3)に深紫外線照射部(3B)が設けられているので、例えば、井戸水を利用している者は、既存の電動ポンプの吐出し側に当該流量検出部(3)を装着することにより、容易に殺菌作用を得ることが可能となる。
【0007】
つまり、利用者又は給水用ポンプ装置の提供者は、例えば、既存の給水用ポンプ装置に対しては、流量検出部(3)を交換することにより、容易に殺菌作用を得ることが可能となる。
【0008】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るポンプ装置を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る電動ポンプを示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る流量検出部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0011】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されない。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示すものではない。
【0012】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水用ポンプ装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0013】
(第1実施形態)
<1.給水用ポンプ装置の構成>
本実施形態は、井戸水を汲み上げる揚水用ポンプに本開示に係る給水用ポンプ装置(以下、ポンプ装置という。)の一例が適用されたものである。
【0014】
ポンプ装置1は、
図1に示されるように、電動ポンプ2、流量検出部3及び制御部4等を有して構成されている。電動ポンプ2は、
図2に示されるように、電動モータ部2A及びポンプ部2B等を有して構成されている。なお、本実施形態に係る電動モータ部2Aは、DCブラシレスモータに構成されている。本実施形態に係るポンプ部2Bは、自吸式の渦流ポンプにて構成されている。
【0015】
流量検出部3は、
図1に示されるように、電動ポンプ2の吐出し側に設けられて当該電動ポンプ2の吐出し流量を検出する。具体的には、流量検出部3は、
図3に示されるように、検出部3A及び深紫外線照射部3B等を有して構成されている。
【0016】
検出部3Aは、流流量検出部3内の流路3Cを流通する水の流量を検出する。なお、当該検出部3Aは、流量が予め決められた所定流量以上であるか否かを検出する。具体的には、当該検出部3Aは、リードスイッチ3D及びマグネットフロート3E等を有して構成されている。
【0017】
リードスイッチ3Dは、周囲の磁界の強さが所定値以上のときに回路を閉じ、周囲の磁界の強さが所定値未満のときに回路を開くスイッチである。マグネットフロート3Eは、永久磁石が埋設された浮きであって、流通する水の動圧を受けて変位する。
【0018】
このため、流量が所定流量以上なってマグネットフロート3Eに作用する動圧が大きくなると、当該マグネットフロート3Eがリードスイッチ3Dに近づくため、回路が閉じられる。つまり、検出部3Aは、流量が所定流量以上のときにはオン信号を発し、流量が所定流量未満のときにはオフ信号を発する。
【0019】
深紫外線照射部3Bは、流路3Cを流通する水に深紫外線を照射する。当該深紫外線照射部3Bは、複数の深紫外線LEDが並べられたLEDアレイにて構成されている。なお、本実施形態に係る深紫外線照射部3Bは、流路3Cの屈曲部の外側に設けられている。
【0020】
制御部4は、
図1に示されるように、流量検出部3の出力信号が入力されるとともに、電動ポンプ2及び深紫外線照射部3Bの作動を制御する。なお、制御部4は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータを有して構成されている。
【0021】
電動ポンプ2及び深紫外線照射部3Bの作動を制御するためのソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部に予め記憶されている。本実施形態に係る制御部4には、通信部4Aが設けられている。
【0022】
通信部4Aは、無線通信機能又は有線通信機能を実行可能である。なお、本実施形態に係る無線通信機能は、近距離無線通信機能である。
【0023】
<2.深紫外線照射部の制御>
<基本制御作動>
制御部4は、吐出し流量が予め決められた流量以上のときに、深紫外線照射部3Bを発光させる。具体的には、制御部4は、流量検出部3からオン信号が出力されているときに深紫外線照射部3Bを発光させ、流量検出部3からオフ信号が発せられているときに深紫外線照射部3Bの発光を停止させる。
【0024】
<警告制御作動>
制御部4は、計時機能、警告機能、禁止機能及び解除機能等を実行可能である。
【0025】
計時機能は、深紫外線照射部3Bの積算照射時間を計時する機能である。このとき、計時機能により計時された積算照射時間(以下、計時時間という。)は、書換可能な不揮発性記憶部(図示せず。)に記憶される。
【0026】
警告機能は、計時時間が予め決められた第1積算時間に到達したときに警告を発する機能である。当該警告は、通信部4Aを介して無線通信にて発信される。本実施形態では、ポンプ装置1の利用者又は管理者が携帯している無線通信機器にて受信可能な方式にて当該警告が発信される。
【0027】
なお、第1積算時間は、深紫外線LEDの寿命時間に対して所定の安全率が考慮された時間である。つまり、当該警告は、利用者又は管理者(以下、利用者等という。)に対して深紫外線LEDの交換を促す旨の警告である。
【0028】
<禁止機能及び解除機能>
禁止機能は、計時時間が第2積算時間に到達したときに電動ポンプ2の稼働を禁止する機能である。第2積算時間とは、予め決められた積算時間であって第1積算時間より長い積算時間である。
【0029】
つまり、第2積算時間は、深紫外線LEDの寿命時間に相当する時間である。なお、禁止機能が実行されたとき、制御部4は、通信部4Aを介して「深紫外線LEDの累積発光時間が寿命時間に到達したため、電動ポンプ2を停止させた」旨の警告を発信する。
【0030】
解除機能は、予め決められた解除情報が制御部4に入力されたときに禁止機能を解除する機能である。なお、利用者等は、無線通信若しくは有線通信、又は手動入力により解除情報を制御部4に入力可能である。
【0031】
因みに、本実施形態では、深紫外線照射部3Bのみを交換することはできず、利用者等は、流量検出部3全体を交換する必要がある。そして、例えば、交換用の流量検出部3がメーカ又は販売店に発注されたときに、当該発注先から解除情報が利用者等に通知される。
【0032】
<3.本実施形態に係るポンプ装置の特徴>
本実施形態に係るポンプ装置1では、流量検出部3に深紫外線照射部3Bが設けられているので、利用者等は、既存の電動ポンプ2の吐出し側に当該流量検出部3を装着することにより、容易に殺菌作用を得ることが可能となる。
【0033】
つまり、利用者等は、既存のポンプ装置1に対しては、流量検出部3を交換することにより、容易に殺菌作用を得ることが可能となる。さらに、メーカ又は販売店は、現行品の電動ポンプ2に流量検出部3を装着することより、殺菌作用を有する給水用ポンプ装置を容易に得ることが可能となる。
【0034】
制御部4は、吐出し流量が予め決められた流量以上のときに、深紫外線照射部3Bを発光させる。これにより、無用な照射(発光)時間が削減され得るので、深紫外線照射部3Bの交換時期を延ばすことが可能となり得る。
【0035】
制御部4は、第1積算時間に到達したときに警告を発する。そして、制御部4は、計時時間が第2積算時間に到達したときに電動ポンプ2の稼働を禁止する。これにより、利用者等は、流量検出部3の交換時期を容易に知ることができる。さらに、殺菌作用が停止した状態でポンプ装置1が利用されてしまうことが抑制され得る。
【0036】
制御部4は、予め決められた解除情報が入力されたときに禁止機能を解除する。これにより、殺菌作用が停止した状態でポンプ装置1が利用されてしまうことが確実に抑制され得る。
【0037】
警告機能及び解除情報の入力は、無線通信を介して実行可能である。これにより、利用者等の利便性が向上し得る。
【0038】
なお、例えば、警告が無線通信ではなく、制御部4に表示される構成であると、利用者等が制御部4を視認しない限り、利用者等は当該警告に気付くことはない。したがって、無線通信にて警告が実行される構成であれば、利便性が向上する。
【0039】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、警告機能及び解除情報の入力は、無線通信を介して実行可能であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、有線通信又は制御部4に警告が表示される構成、若しくは制御部4に解除情報を利用者等が直接的に入力する構成であってもよい。
【0040】
上述の実施形態では、深紫外線照射部3Bのみを交換することはできず、利用者等は、流量検出部3全体を交換する必要があった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、深紫外線照射部3Bのみを交換することが可能な構成であってもよい。
【0041】
上述の実施形態では、吐出し流量が予め決められた流量以上のときに、深紫外線照射部3Bを発光させた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、(a)電動ポンプ2が稼働したときに深紫外線照射部3Bが発光する構成、(b)常に発光している構成、又は(c)利用者等の指示があったときに発光する構成等であってもよい。
【0042】
上述の実施形態では、第1積算時間に到達したときに警告を発する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、累積照射時間を問わず、深紫外線照射部3Bが設置された時から経過年数が所定年数を経過したときに警告を発する構成、又は警告機能を備えていない構成であってもよい。
【0043】
上述の実施形態では、予め決められた解除情報が入力されたときに禁止機能を解除する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、新品の流量検出部3、又は新品の深紫外線照射部3Bが装着されたことを制御部4が確認したときに、自動的に解除される構成であってもよい。
【0044】
上述の実施形態では、井戸水を汲み上げる揚水用ポンプに本開示に係る給水用ポンプ装置を適用した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、マンション等のビル用の給水装置にも適用可能である。
【0045】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1… ポンプ装置
2… 電動ポンプ
2A… 電動モータ部
2B… ポンプ部
3… 流量検出部
3A… 検出部
3C… 流路
3D… リードスイッチ
3E… マグネットフロート
3B… 深紫外線照射部
4… 制御部
4A… 通信部