(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036567
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
F04D 15/00 20060101AFI20220301BHJP
G01F 23/24 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
F04D15/00 D
G01F23/24 A
F04D15/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140841
(22)【出願日】2020-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
【テーマコード(参考)】
2F014
3H020
【Fターム(参考)】
2F014AA07
2F014AB02
2F014DA01
2F014GA01
3H020AA05
3H020AA07
3H020BA21
3H020CA07
3H020DA21
3H020EA04
(57)【要約】
【課題】 複数の受水槽を効果的に利用可能な給水装置の一例を開示する。
【解決手段】 制御部8は、電動ポンプの運転制御として、第1禁止機能、第2禁止機能、第1許可機能、及び第2許可機能を実行可能である。これにより、給水装置では、第1禁止機能が作動しても第2許可機能が作動していれば、必要時に第2受水槽3から給水することが可能となる。同様に、第2禁止機能が作動しても第1許可機能が作動していれば、必要時に第1受水槽2から給水することが可能となる。そして、第1禁止機能が作動しているときには、第1受水槽2からの給水が禁止される。第2禁止機能が作動しているときには、第2受水槽3からの給水が禁止される。したがって、本実施形態に係る給水装置1では、複数の受水槽2、3を効果的に利用可能となり得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1受水槽及び第2受水槽と、
前記第1受水槽内の水を吸い込んで送水する第1電動ポンプと、
前記第2受水槽内の水を吸い込んで送水する第2電動ポンプと、
前記第1受水槽内の水位を検出するための第1水位検出器と、
前記第2受水槽内の水位を検出するための第2水位検出器と、
前記第1水位検出器の検出信号及び第2水位検出器の検出信号が入力されるとともに、前記第1電動ポンプ及び前記第2電動ポンプの作動を制御可能な制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第1受水槽の水位が予め決められた水位(以下、第1渇水水位という。)以下の場合に前記第1電動ポンプの稼働を禁止する第1禁止機能、
前記第2受水槽の水位が予め決められた水位(以下、第2渇水水位という。)以下の場合に前記第2電動ポンプの稼働を禁止する第2禁止機能、
前記第1受水槽の水位が前記第1渇水水位より高い場合に前記第1電動ポンプの稼働を許可する第1許可機能、並びに
前記第2受水槽の水位が前記第2渇水水位より高い場合に前記第2電動ポンプの稼働を許可する第2許可機能
を実行可能である給水装置。
【請求項2】
前記第1受水槽と前記第2受水槽とを連通させる連結管と、
前記第1受水槽と前記第2受水槽との連通状態を調節するバルブとを備える請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記第1水位検出器は、複数の水位を検出可能であり、
前記第2水位検出器は、複数の水位を検出可能である請求項1又は2に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の受水槽を備える給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の給水装置は、2つの受水槽を備え、第1の受水槽の清掃点検時、つまり、第1の受水槽を利用できないときには、第2の受水槽から給水を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記点に鑑み、複数の受水槽を効果的に利用可能な給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
給水装置は、第1受水槽(2)及び第2受水槽(3)と、第1受水槽(2)内の水を吸い込んで送水する第1電動ポンプ(4)と、第2受水槽(3)内の水を吸い込んで送水する第2電動ポンプ(5)と、第1受水槽(2)内の水位を検出するための第1水位検出器(6)と、第2受水槽(3)内の水位を検出するための第2水位検出器(7)と、第1水位検出器(6)の検出信号及び第2水位検出器(7)の検出信号が入力されるとともに、第1電動ポンプ(4)及び第2電動ポンプ(5)の作動を制御可能な制御部(8)とを備える。
【0006】
そして、制御部(8)は、第1受水槽(2)の水位が予め決められた水位(以下、第1渇水水位という。)以下の場合に第1電動ポンプ(4)の稼働を禁止する第1禁止機能、第2受水槽(3)の水位が予め決められた水位(以下、第2渇水水位という。)以下の場合に第2電動ポンプ(5)の稼働を禁止する第2禁止機能、第1受水槽(2)の水位が第1渇水水位より高い場合に第1電動ポンプ(4)の稼働を許可する第1許可機能、並びに第2受水槽(3)の水位が第2渇水水位より高い場合に第2電動ポンプ(5)の稼働を許可する第2許可機能を実行可能であることが望ましい。
【0007】
これにより、当該給水装置では、第1禁止機能が作動しても第2許可機能が作動していれば、必要時に第2受水槽(3)から給水することが可能となる。同様に、第2禁止機能が作動しても第1許可機能が作動していれば、必要時に第1受水槽(2)から給水することが可能となる。
【0008】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0011】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0012】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、例えば、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。
図1に示されるように、本実施形態に係る給水装置1は、少なくとも以下の構成要素を備える。
【0013】
すなわち、給水装置1は、第1受水槽2及び第2受水槽3、第1電動ポンプ4及び第2電動ポンプ5、第1水位検出器6及び第2水位検出器7、並びに制御部8等を少なくとも備える
<受水槽>
第1受水槽2及び第2受水槽3は、給水用の水が貯留されるタンクである。本実施形態に係る給水装置1には、連通管9及びバルブ10が設けられている。連通管9は、第1受水槽2と第2受水槽3とを連通させるため管である。
【0014】
バルブ10は、第1受水槽2と第2受水槽3との連通状態を調節するためのバルブである。本実施形態に係るバルブ10は、連通管9に設けられている。なお、本実施形態に係るバルブ10は、手動式の開閉弁である。
【0015】
当該バルブ10は、通常の給水時には閉じられている。つまり、通常時には、第1受水槽2と第2受水槽3とは互いに独立した受水槽として機能する。そして、例えば、2つの受水槽2、3のうちいずれか一方の受水槽の貯水量が予め決められた水位(以下、渇水水位という。)を以下となったときに、作業員が手動操作にてバルブ10を開いて第1受水槽2と第2受水槽3とを連通させる。
【0016】
なお、渇水水位とは、予め決められた水位であって、必ずしも、いわゆる「渇水水位」に限定されるものではない。つまり、本実施形態の本旨に従った「予め決められた水位」であれば十分である。
【0017】
<電動ポンプ>
第1電動ポンプ4は、第1受水槽2内の水を吸い込んで送水する。第2電動ポンプ5は、第2受水槽3内の水を吸い込んで送水する。第1電動ポンプ4から吐き出された水、及び第2電動ポンプ5から吐き出された水は、合流管11にて集合した後、建物の給水管に送水される。
【0018】
<水位検出器>
第1水位検出器6は、第1受水槽2内の水位を検出する。第2水位検出器7は、第2受水槽3内の水位を検出する。2つの水位検出器6、7は、複数の水位を検出可能である。なお、第1水位検出器6及び第2水位検出器7は、同一の構成である。
【0019】
すなわち、2つの水位検出器6、7それぞれは、異なる高さに配置された複数の水位検出用電極61~66、71~76を有している。なお、最も低い位置に配置された電極61、71は、渇水水位相当の位置である。
【0020】
<2.制御部>
制御部8は、第1電動ポンプ4及び第2電動ポンプ5の作動を制御する。当該制御部8は、例えば、合流管11内の圧力(以下、給水圧という。)が予め決められたルールに従った圧力(以下、目標圧力という。)に維持されるように各電動ポンプ4、5の作動を制御する。
【0021】
制御部8には、少なくとも第1水位検出器6の検出信号及び第2水位検出器7の検出信号が入力されている。制御部8は、それらの検出信号を利用した電動ポンプ4、5の運転制御が可能である。
【0022】
なお、本実施形態に係る制御部8は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータにて構成されている。以下に示された運転制御を実行するためのソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部(図示せず。)に予め記憶されている。
【0023】
<電動ポンプの運転制御>
制御部8は、電動ポンプの運転制御として、第1禁止機能、第2禁止機能、第1許可機能、及び第2許可機能を実行可能である。
【0024】
第1禁止機能は、第1受水槽2の水位が渇水水位(以下、第1渇水水位という。)以下の場合に第1電動ポンプ4の稼働を禁止する機能である。第2禁止機能は、第2受水槽3の水位が渇水水位(以下、第2渇水水位という。)以下の場合に第2電動ポンプ5の稼働を禁止する機能である。
【0025】
なお、第1渇水水位と第2渇水水位とは、同じ高さ又は異なる高さのいずれであってもよい。本実施形態では、第1受水槽2と第2受水槽3とが同一であるので、第1渇水水位と第2渇水水位とは、同じ高さである。
【0026】
電動ポンプの稼働を禁止するとは、電動ポンプが稼働している場合には当該電動ポンプを停止させ、又は電動ポンプが停止している場合には当該電動ポンプの停止状態を維持することをいう。
【0027】
第1許可機能は、第1受水槽2の水位が第1渇水水位より高い場合に第1電動ポンプ4の稼働を許可する機能である。第2許可機能は、第2受水槽3の水位が第2渇水水位より高い場合に第2電動ポンプ5の稼働を許可する機能である。
【0028】
電動ポンプの稼働を許可するとは、当該電動ポンプを稼働可能な状態とする機能であって、現実に電動ポンプが稼働しているか否かは不問である。
【0029】
つまり、第1許可機能が実行されている状態において、第1電動ポンプ4が停止している場合に、給水圧が目標圧力未満となったときには、制御部8は、第1電動ポンプ4を稼働させることができる。
【0030】
第1許可機能が実行されている状態において、第1電動ポンプ4が稼働している場合に、第1電動ポンプ4の吐出し流量が予め決められた流量以下となったときには、制御部8は、第1電動ポンプ4を停止させることができる。
【0031】
同様に、第2許可機能が実行されている状態において、第2電動ポンプ5が停止している場合に、給水圧が目標圧力未満となったときには、制御部8は、第2電動ポンプ5を稼働させることができる。
【0032】
第2許可機能が実行されている状態において、第2電動ポンプ5が稼働している場合に、第2電動ポンプ5の吐出し流量が予め決められた流量以下となったときには、制御部8は、第2電動ポンプ5を停止させることができる。
【0033】
なお、第1禁止機能と第1許可機能とが同時に実行されることはない。同様に、第2禁止機能と第2許可機能とが同時に実行されることはない。つまり、各禁止機能と対応する許可機能とは、選択的に実行される。
【0034】
制御部8は、第1禁止機能又は第2禁止機能が実行されたときには、その旨の警告を発する。このとき、作業員は、バルブ10を開いて第1受水槽2と第2受水槽3とを連通させるか否かを判断する。
【0035】
なお、制御部8は、最も高い位置に配置された電極66、76が水位を検出した場合には、満水位である旨の警告も発する。これは、受水槽に供給される水道水を制御するバルブ(図示せず。)に不具合が発生している可能性があるからである。
【0036】
<3.本実施形態に係る給水装置の特徴>
本実施形態に係る給水装置では、第1禁止機能が作動しても第2許可機能が作動していれば、必要時に第2受水槽3から給水することが可能となる。同様に、第2禁止機能が作動しても第1許可機能が作動していれば、必要時に第1受水槽2から給水することが可能となる。
【0037】
そして、第1禁止機能が作動しているときには、第1受水槽2からの給水が禁止される。第2禁止機能が作動しているときには、第2受水槽3からの給水が禁止される。したがって、本実施形態に係る給水装置1では、複数の受水槽2、3を効果的に利用可能となり得る。
【0038】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、第1受水槽2の水を給水する電動ポンプ、及び第2受水槽3の水を給水する電動ポンプは、それぞれ1台の電動ポンプにて構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、複数の電動ポンプにて各給水用の電動ポンプが構成されていてもよい。
【0039】
上述の実施形態では、連通管9及び手動式のバルブ10が設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、連通管9及びバルブ10が廃止された構成、又は第1禁止機能又は第2禁止機能が実行されたときには自動的にバルブが開き、かつ、いずれの禁止機能が実行されていないときには自動的にバルブが閉じる機能を備える構成であってもよい。
【0040】
上述の実施形態に係る第1水位検出器6及び第2水位検出器7は、複数の水位を検出可能であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、少なくとも渇水水位を検出可能な構成であれば十分である。
【0041】
上述の実施形態に係る給水装置1は、2つの受水槽を備える構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、3つ以上の受水槽を備える構成であってもよい。
【0042】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1… 給水装置
2… 第1受水槽
3… 第2受水槽
4… 第1電動ポンプ
5… 第2電動ポンプ
6… 第1水位検出器
6… 水位検出器
7… 第2水位検出器
8… 制御部
9… 連通管
10… バルブ
11… 合流管
61~61、71~76… 水位検出用電極