(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036652
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】段ボール箱深さ調整具
(51)【国際特許分類】
B31B 50/25 20170101AFI20220301BHJP
B25B 33/00 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
B31B50/25
B25B33/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140965
(22)【出願日】2020-08-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】715004896
【氏名又は名称】西澤 美砂子
(72)【発明者】
【氏名】西澤美砂子
【テーマコード(参考)】
3C031
3E075
【Fターム(参考)】
3C031AA00
3E075AA28
3E075BA04
3E075BB12
3E075CA07
3E075CA10
3E075DB02
3E075DB22
3E075GA02
(57)【要約】
【課題】宅配便等で荷物を送る場合、通常段ボール箱を使用するが内容物と箱の容積が一致することは稀であり、通常は箱内に空間を生じる為、容積を減じてガタツキを防止することが通常である。その際、板状のものを使用したり、専用の道具を使うことが多い。前者は、適切な板をその都度探す手間を伴い、非能率であり、仕上をがりも芳しくない。また後者は、使いこなしにコツを要し、未熟練者が行うと、仕上がりが芳しくない。また、道具のサイズが大きいため広い保管スペースを必要とする。
【解決手段】尖鋭周縁部または鋸歯状周縁部を有する円盤状のローラーと、それに対向する一定厚さの周縁部を有する円盤状のローラーまたは表面が摩擦係数の小さな素材で構成された受け面とで段ボール箱の側面を挟み付けるようにして、段ボール箱側面の内側に折り線を形成することで、熟練を要せず段ボール箱を能率よく仕上がりよく改造することが出来た。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボール箱の深さを浅く調整する際に用いられる調整具であって、尖鋭周縁部または鋸歯状周縁部を有する円盤状のローラーと、それに対向する位置に厚みを有する周縁部を有する円盤状のローラーまたは受け面と、それぞれを支持するアームを設けた段ボール箱深さ調整具。
【請求項2】
前記尖鋭周縁部または鋸歯状周縁部を有する円盤状のローラーと、それに対向する位置に一定厚さの周縁部を有する円盤状のローラーまたは受け面相互の間隔を調整可能な手段を備えている請求項1の段ボール箱深さ調整具。
【請求項3】
前記尖鋭周縁部または鋸歯状周縁部を有する円盤状のローラーと、それに対向する位置に一定厚さの周縁部を有する円盤状のローラーまたは受け面相互の間隔を一定に保持可能な手段を備えている請求項1の段ボール箱深さ調整具。
【請求項4】
前記尖鋭周縁部または鋸歯状周縁部を有する円盤状のローラーと、それに対向する位置に一定厚さの周縁部を有する円盤状のローラーまたは受け面相互の間隔を広げる機能を備えた請求項1の段ボール箱深さ調整具。
【請求項5】
段ボール箱の深さを浅く調整する際に用いられる調整具であって、該調整作業中に、深さの設定を一定に保持する固定機能を備えた請求項1の段ボール箱深さ調整具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既製ダンボー箱の深さを変更する際に段ボール箱の側面を折り曲げるが、その作業を正確に能率よく行うことができるように、折り曲げ希望位置に直線状の折り線を形成するための道具である。
【背景技術】
【0002】
宅配等で荷物を運送する場合、通常段ボール箱を使用するが、内容物と箱の容積が一致することは稀であり、
図8のように空間を生じることが多い。内容物のガタツキを防止するためや運送の無駄を削減するため、箱を適正な深さに改造することが通常行われる。しかしながら、素手でこの改造を行うのは難しく板状のものを使用したり、市販されている専用の道具を使うことが常である。前者は、適切な板をその都度探す必要があり、非能率であるばかりか、希望通りの位置を正確に直線状に曲げることが難しいという欠点がある。また後者は、使いこなしに熟練が必要である。たとえば、意匠登録第1617099に記載される折れ線形成用器具を未熟練者が使用すると、段ボールに形成される折り線が直線状にならないことがある。そのため希望の位置で正確に直線状に折り曲げることができないことが起こる。また、折り線を構成するくぼみの深さやミシン目状の穴の深さが一定にならないという不具合を生じることがある。このことも前記と同様、正確に直線状に折り曲げできないことの要因となる。さらに、道具のサイズが長いため広い保管スペースを必要とする難点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1617099号(D1617099)折れ線形成用器具
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような従来の不具合に鑑み、段ボール箱の深さを変更する際、能率よく希望の位置で正確に段ボールを折り曲げて段ボール箱を改造できる小型の道具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る段ボール箱深さ調整具は、段ボール箱の深さを浅く変更する際に用いられる道具であって、尖鋭周縁部または鋸歯のような凹凸を有する周縁部を有する円盤状のローラーと、それに対向する位置に厚みを有する周縁部を有する円盤状のローラーまたは摩擦係数の小さな受け面とを設け、その相互の間隔を適正に設定するための棒状のそれぞれの支持アームを備えた本体と枠体とで構成される。
【発明の効果】
【0006】
上述したように、本発明の段ボール折り曲げ具は、段ボール箱の深さを浅く変更する際、側面の希望する深さの位置に正確に直線状に適正な深さのくぼみやミシン目状の穴を能率よく簡単に形成することができる。しかもその作業は熟練を必要としない。尚、前述した直線状に適正な深さで形成されたくぼみやミシン目状の小穴のことを以降折り線と呼ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る段ボール箱深さ調整具の第1実施例の斜視図である。
【
図2】本発明に係る段ボール箱深さ調整具の枠体の説明図である。
【
図3】同段ボール箱深さ調整具を使用した段ボール箱深さ調整のための折り線形成作業状態を示す説明図である。
【
図4】同段ボール箱深さ調整具による深さ調整のための折り線形成を行った後の段ボール箱の状態を示す説明図である。
【
図5】段ボール箱の各部の名称を示す説明図である。
【
図6】同段ボール箱の深さ調整具による折り線形成作業に備えた段ボール箱の準備状態を示す説明図である。
【
図7】本発明に係る段ボール箱深さ調整具によって段ボール箱の深さが調整されてゆく状態を作業順に示す説明図である。
【
図8】段ボール箱に内容物を詰めたとき生じる空間を示す説明図である
【
図9】本発明に係る段ボール箱深さ調整具の第2実施例の正面図である。
【
図10】本発明に係る段ボール箱深さ調整具の第2実施例の動作状態を示す正面図である。
【
図11】本発明に係る段ボール箱深さ調整具の第2実施例のヒンジ部構造説明図である。
【
図12】本発明に係る段ボール箱深さ調整具の第2実施例のアーム部構造説明図である。
【
図13】本発明に係る段ボール箱深さ調整具の第3実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施例に基づき本発明の形態を説明する
【実施例0009】
本発明に係る段ボール箱深さ調整具の第1実施例を
図1に示す。
図1に示すように、第1実施例の段ボール箱深さ調整具(1)は、本体(2)と枠体(3)によって構成される。本体は、先端に折り線形成ローラー(5)を備え、ヒンジピン(4)を支点にして回動可能に取り付けられた折り線形成側アーム(6)と先端に受け側ローラー(7)を備えた受け側アーム(8)によって構成された、正面から見ると漢字の門に似た形状をしたものである。折り線形成ローラー(5)と受け側ローラー(7)は間隔(G)を隔てて配置されている。この間隔(G)は、本体(2)に枠体(3)を組み込むことによって適正値に保たれる。枠体(3)は、枠位置固定小ねじ(10)とくぼみ深さ調整小ねじ(11)にそれぞれ係合する雌ネジ穴が設けられ、それぞれの雌ネジ穴にそれぞれの小ねじが組み込まれている。本体(2)に設けられた突起(9)は、枠体(3)が本体(2)から抜け落ちることを防ぐ機能を持つ。間隔(G)は、標準的な段ボールの厚さを前提にしてくぼみ深さが適正値となるように設定されているが、くぼみ深さ調整小ねじ(11)は、特殊な厚さの段ボールにも対応できるように設けられている。
【0010】
本発明に係る段ボール箱深さ調整具の枠体の断面形状を第2図に示す。
図2に示すように、枠体(3)には枠位置固定小ねじ(10)とくぼみ深さ調整小ねじ(11)がそれぞれ係合するように雌ネジが設けられている。枠位置固定小ねじ(10)を締めていくと小ねじの先端が、本体(2)の受け側アーム(8)に当接して、枠体(3)が固定される。また、折り線深さ調整小ねじ(11)を締めていくと、小ねじの先端が本体(2)の折り線形成側アーム(6)に当接し、締め続けると間隔(G)が小さくなり、折り線を形成するくぼみは深くなる。逆に緩めていくと間隔(G)は大きくなり、同くぼみは浅くなる。
【0011】
本発明に係る段ボール箱深さ調整具を用いて段ボール箱の内面に折り線を形成している状態を
図3に示す。
図1や
図3から分かるように、段ボール箱深さ調整具(1)は、枠体(3)が最上端にある状態で折り線形成アーム(6)は外側へ開いて、間隔(H)を広げることが出来る構造である。折り線形成作業をする前にその準備として、段ボール箱は、予め
図4に示す外フラップ2枚(18)(20)と内フラップ2枚(19)(21)を
図6に示すように箱の外側面へ密着するように折り返しておく。折り線形成側アーム(6)を開いて段ボール箱の内側にして、稜線(22)を跨ぐように設置し、希望の深さ(H)の位置で折り線形成側アーム(6)と受け側アーム(8)で段ボール箱側面の内面に折り線(13)を形成するくぼみが生じるまで強く挟むと、上方にあった枠体(3)が稜線(22)の位置まで自重で落下する。その位置で枠体位置固定小ねじ(10)を締めて枠体(3)を固定する。次にくぼみ度合いが適正値になるようにくぼみ深さ調整小ねじ(11)の締め付け度合いを調整する。その状態で段ボール箱深さ調整具(1)を稜線(22)に沿って箱の4辺を摺動させると4辺すべてに折り線形成され、作業が完了する。尚、間隔(G)を予め標準的な段ボール箱の材料厚さに最適な値に設定しておけば、特殊仕様の段ボール箱でない限り、くぼみ深さ調整小ねじ(11)で都度調整する必要はない。また、折り線(13)の位置で折り曲げるためには、段ボール箱の4隅を折り線(13)の位置までカッターナイフ等で切り込む必要がある。
【0012】
本発明に係る段ボール箱深さ調整具を使用して深さが調整されてゆく順序を
図7に示す。
aは、段ボール箱の初期状態を示す。bは、外フラップ(18)(20)と内フラップ(19)(21)を箱の外側の側面に密着するように折り曲げて、破線で示すように段ボール箱深さ調整具(1)で箱の4辺に折り線(13)を形成した状態を示す断面図である。cは、段ボール箱の4隅に折り線(13)の位置まで切り込みを入れて、折り線(13)の位置で箱の1辺である幅面(15)を内側へ折り曲げた状態を示す断面図である。dは、cで折り曲げた幅面(15)につながる内フラップ(19)を伸ばした状態と、その対辺である幅面(17)を折り線(13)の位置で内側に折り曲げた状態を示す断面図である。eは、dで折り曲げた幅面(17)につながる内フラップ(21)を伸ばした状態と、残りの2辺である長さ面(14)(16)を折り線(13)の位置で内側に折り曲げた状態を示す断面図である。fは、eで折り曲げた2辺の外フラップ(18)(20)を伸ばして、段ボール箱の深さ調整が完了した状態を示す断面図である。
【0013】
本発明に係る段ボール箱深さ調整具の第2実施例を
図9に示す。
折り線形成側アーム(6)と受け側アーム(8)は、調理器具のトングのようにヒンジピン(4)を支点にして回動可能に繋がっている。
図11に示すようにヒンジピン(4)にはトーションばね(23)が設けられ、間隔(G)を広げる方向に折り線形成側アーム(6)と受け側アーム(8)に作用する。このことによって、枠体(3)が図の上端に位置するとき、くぼみ形成側アーム(6)と受け側アーム(8)が
図10に示すように広がって、段ボール箱の稜線(22)を跨ぐように取り付ける準備ができる。
【0014】
本発明に係る段ボール箱深さ調整具の第3実施例を
図13に示す。
折り線形成側アーム(6)は、穴と雄ネジを備えた深さ調整部材(26)の穴に挿入されている。折り線形成側アーム(6)と深さ調整部材(26)の穴との間には適度な隙間が設けられている。受け側アーム(8)は、表面を摩擦係数の小さな素材で構成された凸曲面を備えている。深さ固定ナット(27)を緩めると、折り線形成側アーム(6)は深さ調整部材(26)の穴との間に設けられた隙間の効果でどの方向にも一定角度の傾斜が可能となると同時に、上下動が可能となる。その状態で段ボール箱の稜線(22)を跨ぐように取り付ける。目的の深さとなるように折り線形成側アーム(6)を上下方向に調整し、深さ固定ナット(27)を締める。この状態で段ボール箱の4辺を摺動すると4辺に折り線が形成される。この実施例の場合、間隔(G)は、大半の流通量を占める段ボール箱の厚さ規格に適用できる寸法に予め設定されているため、その限りにおいては、深さ固定ナット(27)を締め付けるのみで適度なくぼみ深さの折り線(13)を形成することが出来る。