(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036700
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】灯具ユニットおよび車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 45/47 20180101AFI20220301BHJP
F21V 23/06 20060101ALI20220301BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20220301BHJP
F21V 29/75 20150101ALI20220301BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20220301BHJP
F21S 41/141 20180101ALI20220301BHJP
F21S 41/19 20180101ALI20220301BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20220301BHJP
F21S 43/19 20180101ALI20220301BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220301BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20220301BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20220301BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20220301BHJP
【FI】
F21S45/47
F21V23/06
F21V29/503
F21V29/75
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21S41/141
F21S41/19
F21S43/14
F21S43/19
F21Y115:10
F21W102:10
F21W103:00
F21W103:35
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141046
(22)【出願日】2020-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 祥敬
(72)【発明者】
【氏名】村田 吉正
(72)【発明者】
【氏名】市川 知幸
(72)【発明者】
【氏名】志藤 雅也
【テーマコード(参考)】
3K013
3K014
【Fターム(参考)】
3K013AA07
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA09
3K014AA01
3K014HA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光源部で発生する熱を効果的に放熱できる灯具ユニットおよび車両用灯具を提供する。
【解決手段】灯具ユニット100は、光源部と、光源部を搭載するソケット部とを備える。ソケット部は、光源部を保持する光源保持部と、光源部に電力を供給するコネクタ部12と、光源部からの熱を放熱する放熱フィン13と、を含む。放熱フィンは、光源保持部とは反対側に突出するように形成され、放熱フィンの突出方向と交差する第一方向Bに延びる第一の放熱フィン13aと、第一方向に延びて第一の放熱フィンよりも第一方向における長さが短い第二の放熱フィン13bと、を含む。第一の放熱フィンは、コネクタ部及び第二の放熱フィンを挟むように配置される。コネクタ部及び第二の放熱フィンは、第一方向に沿って並んで配置される。第一の放熱フィンと第二の放熱フィンの間隔Cが、第一の放熱フィンとコネクタ部の間隔Dと同程度かそれよりも大きい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、前記光源部を搭載するソケット部とを備え、
前記ソケット部は、前記光源部を保持する光源保持部と、前記光源部に電力を供給するコネクタ部と、前記光源部からの熱を放熱する放熱フィンと、を含み、
前記放熱フィンは前記光源保持部とは反対側に突出するように形成され、
前記放熱フィンは、前記放熱フィンの突出方向と交差する第一方向に延びる第一の放熱フィンと、前記第一方向に延びて前記第一の放熱フィンよりも前記第一方向における長さが短い第二の放熱フィンと、を含み、
前記第一の放熱フィンは前記コネクタ部および前記第二の放熱フィンを挟むように配置され、
前記コネクタ部および前記第二の放熱フィンは前記第一方向に沿って並んで配置され、
前記第一の放熱フィンと前記第二の放熱フィンの間隔が、前記第一の放熱フィンと前記コネクタ部の間隔と同程度かそれよりも大きい、灯具ユニット。
【請求項2】
前記光源部は発光素子および回路基板を有し、
前記回路基板は樹脂材料で構成され、
前記ソケット部は、熱伝導性樹脂から構成されるハウジングと、前記ハウジングに埋め込まれた金属板と、を有し、
前記金属板は、前記ハウジングから部分的に露出して、熱伝導可能に前記光源部と接続されており、
前記金属板が前記第一の放熱フィンの少なくとも一部に埋設されている、
請求項1に記載の灯具ユニット。
【請求項3】
前記第二の放熱フィンと前記コネクタ部の間隔が、第一の放熱フィンとコネクタ部の間隔と同程度かそれよりも大きい、請求項1または請求項2に記載の灯具ユニット。
【請求項4】
車両に取り付けられた状態において前記突出方向が鉛直方向の下向きとなるように車両用灯具に取り付けられる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の灯具ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の灯具ユニットを備える車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯具ユニットおよび車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光素子および回路基板を有する光源部と、光源部を搭載するソケット部と、を備え、発光素子は回路基板よりも熱伝導率が高い搭載部に搭載されている、車両用灯具(灯具ユニット)が開示されている。特許文献2には、ワイヤーハーネスと接続されるコネクタ部がソケット部の側面に位置するように形成された灯具ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-181783号公報
【特許文献2】特開2019-125555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
灯具ユニットは車両用灯具への取り付けの姿勢によって光源部の向きや、ソケット部の放熱フィンの向きが変わりうる。灯具ユニットの取り付けの姿勢によっては、光源部で発生する熱を効果的に放熱させることができない場合がある。
【0005】
本発明は、光源部で発生する熱を効果的に放熱できる灯具ユニットおよび車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る灯具ユニットは、
光源部と、前記光源部を搭載するソケット部とを備え、
前記ソケット部は、前記光源部を保持する光源保持部と、前記光源部に電力を供給するコネクタ部と、前記光源部からの熱を放熱する放熱フィンと、を含み、
前記放熱フィンは前記光源保持部とは反対側に突出するように形成され、
前記放熱フィンは、前記放熱フィンの突出方向と交差する第一方向に延びる第一の放熱フィンと、前記第一方向に延びて前記第一の放熱フィンよりも前記第一方向における長さが短い第二の放熱フィンと、を含み、
前記第一の放熱フィンは前記コネクタ部および前記第二の放熱フィンを挟むように配置され、
前記コネクタ部および前記第二の放熱フィンは前記第一方向に沿って並んで配置され、
前記第一の放熱フィンと前記第二の放熱フィンの間隔が、前記第一の放熱フィンと前記コネクタ部の間隔と同程度かそれよりも大きい、灯具ユニットである。
第一の放熱フィンと第二の放熱フィンの間隔が、第一の放熱フィンとコネクタ部の間隔と同程度かそれよりも大きいことで、熱を対流により効果的に運ぶことができ、光源部で発生する熱を効果的に放熱できる。
【0007】
本発明の一側面に係る車両用灯具は、上記の灯具ユニットを備える車両用灯具である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光源部で発生する熱を効果的に放熱できる灯具ユニットおよび車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一実施形態に係る灯具ユニットの斜視図である。
【
図3】第一実施形態におけるソケット部の内部構造を示す透視図であり、
図3の(a)は斜視図であり、
図3の(b)は正面図である。
【
図4】第一実施形態における灯具ユニットの底面図である。
【
図5】第一実施形態における灯具ユニットの背面図である。
【
図6】第一実施形態における灯具ユニットの車両用灯具への取り付けの態様を示す図である。
【
図7】第二実施形態における灯具ユニットを示す図である。
【
図8】第三実施形態における灯具ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。尚、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
図1は、第一実施形態における灯具ユニット100を示す斜視図である。
図1に示すように灯具ユニット100は、ソケット部10と光源部20とを備える。
【0011】
ソケット部10は、光源部20を搭載し、光源部20からの放熱を行い、外部から光源部20への電気的接続を確保するとともに、車両用灯具のランプボディへの取り付けを行うための部材である。
図1に示すように、ソケット部10は、フランジ部11と、コネクタ部12と、放熱フィン13と、光源保持部14とを備える。光源保持部14には複数の側壁15と係止部16とが形成されている。また、光源部20に隣接して端子保持部17および端子17aが露出されており、ボンディングワイヤ18が端子17aと光源部20とを電気的に接続している。
【0012】
フランジ部11は略円盤状の部分であり、主面には光源保持部14が立設され、裏面にはコネクタ部12および放熱フィン13が形成されている。コネクタ部12は、フランジ部11の裏面に設けられて、外部から図示しないワイヤーハーネスが接続されて、光源部20に電力を供給する部分である。
【0013】
放熱フィン13は、フランジ部11の裏面において、光源保持部14とは反対側に突出するように形成された複数の柱状部分である。放熱フィン13は、光源部20からの熱を放熱する。放熱フィン13の形状としては、体積あたりの表面積を増加させて放熱性を向上させることができればよく、長板状、棒状、波板状などの各種形状としてよい。放熱フィン13の詳細については後述する。
【0014】
光源保持部14は、フランジ部11の主面から立設された略円筒状の部分であり、その上面には光源部20が搭載されている。側壁15は、光源保持部14の上端において、光源部20の周りを囲むように延長された円筒の外周部分であり、複数の側壁15内部に光源部20が収容されて位置決めされている。
【0015】
端子保持部17は、絶縁性樹脂で構成されて複数の端子17aを保持する部分である。端子17aは、導電性の良好な金属で形成された棒状部材であり、端子保持部17の絶縁性樹脂で複数の端子17aが一体化されている。
図1および後述する
図4に示すように、端子保持部17と端子17aは、一方の端部が光源保持部14の上面において光源部20に隣接して露出され、光源保持部14とフランジ部11を貫通して他方の端部がコネクタ部12内で露出している。
【0016】
ボンディングワイヤ18は、光源保持部14の上面で露出した端子17aと光源部20上の端子部分とを電気的に接続する金属細線である。
【0017】
図2は、本実施形態における光源部20を示す斜視図である。光源部20は、回路基板21と、サブマウント22およびLED23からなる発光素子を備えている。ここでは発光素子として、サブマウント22上にLED23が搭載された例を示したが、LEDパッケージのみを発光素子として用いてもよく、ベアチップのLEDを発光素子として用いてもよい。
図1および
図2では発光素子を3個配置した例を示したが、個数および配列はどのようなものでもよい。また、回路基板21上に直接チップLEDを実装させてもよい。
【0018】
回路基板21は、中央に開口部21aが形成された略矩形の板状部材である。回路基板21の上面には、配線パターン24と、端子24a,24bが形成されており、配線パターン24上に電子部品25,26が実装されている。また、端子24bとサブマウント22の端子とはボンディングワイヤ27で電気的に接続されている。回路基板21を構成する材料は限定されず、通常のプリント配線基板に用いられるガラスエポキシ樹脂等の樹脂材料やアルミナ等の金属材料を用いることができる。回路基板21を樹脂材料で構成する場合には、投入電流値を制御することで基板の発熱を抑えてもよい。回路基板21を構成する材料の熱伝導率は、ソケット部10を構成する材料の熱伝導率よりも低くされている。回路基板21は、裏面側に熱伝導性のグリースや接着剤を塗布して光源保持部14の上面に貼り付けられている。
【0019】
サブマウント22は、熱伝導性が良好な材料で構成された薄板状の部材であり、その表面に配線および端子が形成され、配線上にLED23が実装されている。LED23は、電圧を印加されることで所定波長の光を発光する発光ダイオードであり、灯具ユニット100が前照灯である場合には白色を発光し、テールランプやストップランプである場合には赤色を発光する。
【0020】
配線パターン24は、回路基板21上に形成された金属膜をパターニングした回路配線であり、電子部品25,26が実装されてLED23の駆動回路を構成している。電子部品25,26は、LED23を駆動するための駆動回路を構成する部品であり、抵抗やキャパシタ、インダクタンス、トランジスタ、IC(Integrated Circuit)等である。ボンディングワイヤ27は、回路基板21上の端子24bとサブマウント22の端子とを電気的に接続する金属細線である。
【0021】
図3は、ソケット部10の内部構造を示す透視図であり、
図3の(a)は斜視図であり、
図3の(b)は正面図である。本実施形態のソケット部10では、ソケット部10の外殻であるハウジング10aが熱伝導性樹脂から構成され、その内部には金属板30が埋設されている。予め成形した金属板30を用意し、金型内に金属板30を配置して熱伝導性樹脂をモールド成形することで、ソケット部10が得られる。また、光源保持部14の上面19の略中央部分から金属板露出面31が露出するように、ハウジング10aに金属板30が埋め込まれている。
【0022】
金属板30は折り曲げ加工されており、光源保持部14の上面の近傍および側面近傍、フランジ部11内部、放熱フィン13(後述する第一の放熱フィン)内部に沿ってハウジング10aの熱伝導性樹脂に埋め込まれている。金属板30のうち光源保持部14の上面19近傍に位置する領域には、金属板露出面31と平坦部32が形成されている。金属板露出面31は、平坦部32からプレス加工等により突出された部分であり、その表面は上面19と略面一の位置で上面19から露出している。平坦部32は、上面19に略平行に光源保持部14内に埋め込まれている。金属板露出面31の周囲はソケット部10の外殻を構成する熱伝導性樹脂のハウジング10aにより上面19として構成されている。
【0023】
上面19において金属板露出面31が露出している位置と範囲は、
図2に示した光源部20の開口部21aに対応している。したがって、光源保持部14の上面19に光源部20を搭載すると、開口部21a内で金属板露出面31が露出し、サブマウント22およびLED23からなる発光素子が金属板露出面31上に直接搭載される。本実施形態では金属板露出面31上に、発光素子が搭載されることで、金属板30と光源部20とが熱伝導可能に接続されている。
【0024】
本実施形態では、LED23の発光によって生じた熱は、サブマウント22から金属板露出面31および金属板30を介して、ソケット部10の外殻を構成する熱伝導性樹脂のハウジング10aに伝達される。金属板30は、ハウジング10aの熱伝導性樹脂よりも熱伝導率が高く、光源保持部14の上面近傍から放熱フィン13の内部にわたって設けられているため、光源部20から伝わった熱を放熱フィン13の内部へ素早く伝達でき、放熱フィン13から効率良く光源部20で発生した熱を放熱できる。
【0025】
ハウジング10aを構成する熱伝導性樹脂は、PET、PBT、PP、PC、PAなどの単一種類の材料や、PC/PBTなどの混合材料であってもよい。樹脂材料は、フィラーを含んでも良い。フィラーは、Al2O3,AlN,BNなどの無機フィラーや炭素繊維であってもよい。回路基板21を樹脂材料で構成する場合には、回路基板21を金属材料で構成する場合よりもハウジング10aを構成する熱伝導性樹脂の熱伝導率を相対的に低くしても、熱伝導性樹脂による放熱性を実現できる。この場合、熱伝導性樹脂の面方向熱伝導率は、例えば、10W/(m・k)以下としてもよく、7W/(m・k)以下としてもよく、5W/(m・k)以下としてもよい。
【0026】
金属板30は、ソケット部10の外殻を構成する熱伝導性樹脂のハウジング10aよりも熱伝導率が高い金属で構成された部材であり、例えばアルミニウム板や銅板を用いることができる。放熱性の向上と灯具ユニット100の軽量化を図る場合には、アルミニウム板が好ましい。
【0027】
ここで、
図4および
図5を参照して本実施形態の放熱フィン13を説明する。
図4は、灯具ユニット100の底面図である。
図5は、灯具ユニット100の背面図である。
図4および
図5に示すように、放熱フィン13は、放熱フィン13の突出方向Aと交差する第一方向Bに延びる第一の放熱フィン13aと、第一方向Bに延びて第一の放熱フィン13aよりも第一方向Bにおける長さが短い第二の放熱フィン13bと、を含む。
図4および
図5に示す態様では、第一の放熱フィン13aは複数(2つ)設けられ、第二の放熱フィン13bも複数(2つ)設けられている。第一の放熱フィン13aおよび第二の放熱フィン13bの突出方向Aにおける長さは同程度とされており、コネクタ部12の突出方向Aにおける長さと同程度とされている。
【0028】
2つの第一の放熱フィン13aは、コネクタ部12および第二の放熱フィン13bを挟むように、フランジ部11の端部にそれぞれ配置されている。2つの第一の放熱フィン13aのそれぞれに金属板30が埋め込まれている。2つの第二の放熱フィン13bのそれぞれには金属板30は埋め込まれていない。第一の放熱フィン13aは、第一方向Bと直交する第二方向Fの厚さが、第二の放熱フィン13bよりも厚い。コネクタ部12および第二の放熱フィン13bは第一方向Bに沿って並んで配置されている。第一方向Bにおけるコネクタ部12を基準とする一方の位置(
図4におけるコネクタ部12の下方)に2つの第二の放熱フィン13bが配置され、第一方向Bにおけるコネクタ部12を基準とする他方の位置(
図4におけるコネクタ部12の上方)には第二の放熱フィン13bは、配置されていない。
【0029】
第一の放熱フィン13aと第二の放熱フィン13bの第二方向Fの間隔Cは、第一の放熱フィン13aとコネクタ部12の第二方向Fの間隔Dと同程度かそれよりも大きく設けられている。第一の放熱フィン13aとコネクタ部12の間隔Dは、例えば2mm以上、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上としてもよい。第一の放熱フィン13aと第二の放熱フィン13bの間隔Cは、例えば2mm以上、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上としてもよい。また、2つの第二の放熱フィン13b同士の間隔C’は、第一の放熱フィン13aと第二の放熱フィン13bの間隔Cと同程度とされている。また、第二の放熱フィン13bとコネクタ部12の第一方向Bの間隔Eが、第一の放熱フィン13aとコネクタ部12の間隔Dと同程度かそれよりも大きく設けられている。なお、ここでの「同程度」とは、間隔が広い場合(例えば間隔Dが3mm以上)には間隔同士の差が1mm以内であることを指し、間隔が狭い場合(例えば間隔Dが3mm未満)には間隔同士の差が0.5mm以内であることを指す。
【0030】
ところで、放熱フィンから放出された熱は放熱フィンの間の空気等の気体による対流で灯具ユニットから放出される。しかし、例えば第二の放熱フィンを複数設けて、第一の放熱フィンと第二の放熱フィンとの間隔を小さくしすぎると、対流による熱の移動が不十分となりうる。また、加熱された空気は密度が小さくなり上昇するが、空気の上昇する方向に放熱フィンや灯具ユニットの部材が配置されている場合でも、対流による熱の移動が不十分となりうる。さらにその状態で放熱フィンが密に設けられて空気の流路を塞いでいる場合には、放熱がより不十分になるおそれがある。
【0031】
本実施形態の灯具ユニット100は相対的に長い第一の放熱フィン13aと、相対的に短い第二の放熱フィン13bと、を備える。そして、第一の放熱フィン13aと第二の放熱フィン13bの間隔Cが、第一の放熱フィン13aとコネクタ部12の間隔Dと同程度かそれよりも大きいことで、第一方向Bに延びる気体の流路が確保されている。別の言い方では、第一の放熱フィン13aおよびコネクタ部12の間の第一方向Bに延びる気体の流路が、第二の放熱フィン13bにより塞がれていない。第二の放熱フィン13bにより塞がれていない、第一方向Bに延びる気体の流路が確保されていることで、灯具ユニット100の取り付けの姿勢に大きく影響されずに、第一の放熱フィン13aおよび第二の放熱フィン13bから放出される熱を気体による対流で灯具ユニット100から放出できる。
【0032】
また、本実施形態において回路基板21が樹脂材料で構成されている場合には金属材料を使用する場合に比べて回路基板21の熱伝導率が低くなる。また、投入電流値を制御することで基板の発熱を抑えることができる。回路基板21を樹脂材料で構成し、投入電流値を制御することで基板の発熱を抑えた条件下では、ソケット部10のハウジング10aに高い熱伝導率は必要ではないため、比較的低い面方向熱伝導率の熱伝導性樹脂を用いることで、コストを削減できる。その一方で、熱伝導による放熱性能は低下する。光源部20の回路基板21を樹脂材料で構成し、熱伝導による放熱性能が低い灯具ユニット100において、第一の放熱フィン13aと第二の放熱フィン13bの間隔Cを、第一の放熱フィン13aとコネクタ部12の間隔Dと同程度かそれよりも大きくすることにより、第一方向Bに延びる気体の流路を確保することで、熱を対流により効果的に運ぶことができ、光源部20で発生する熱をより効果的に放熱できる。また、光源部20と熱伝導可能に接続された金属板30を相対的に長い第一の放熱フィン13aに埋め込むことで、熱伝導および対流による放熱を両立できる。
【0033】
また、本実施形態において、第二の放熱フィン13bとコネクタ部12の間隔Eが、第一の放熱フィン13aとコネクタ部12の間隔Dと同程度かそれよりも大きいことで、第一方向Bと交差する第二方向Fに延びる気体の流路が確保される。第二方向Fに延びる気体の流路が確保されていることで、灯具ユニット100の取り付けの姿勢に大きく影響されずに、第一の放熱フィン13aおよび第二の放熱フィン13bから放出される熱を気体による対流で灯具ユニット100からより効果的に放出できる。
【0034】
ここで、
図6を参照して灯具ユニット100の車両用灯具200への取り付けの態様を説明する。
図6には、車両用灯具200のランプハウジング210の概略図が示されている。
図6中の複数の矢印は、灯具ユニット100の取り付け時の姿勢において光源部20が向く方向(突出方向A(
図5参照)とは逆の方向)を示している。矢印Xは鉛直方向の下向きに光源部20が向く態様(突出方向Aが鉛直方向の上向きとなる態様)を示し、矢印Yは鉛直方向の上向きに光源部20が向く態様(突出方向Aが鉛直方向の下向きとなる態様)を示し、矢印Zは水平方向(例えば車両の前方向)に光源部20が向く態様(例えば突出方向Aが車両の後方向となる態様)を示す。本実施形態の灯具ユニット100は、車両に取り付けられた状態において突出方向Aが鉛直方向の上向きとなるように(すなわち
図6における矢印Xで示される態様)、車両に取り付けられた状態において突出方向Aが鉛直方向の下向きとなるように(すなわち
図6における矢印Yで示される態様)、または車両に取り付けられた状態において突出方向Aが車両の後方向となるように(すなわち
図6における矢印Zで示される態様)、車両用灯具200に取り付けられてもよい。
【0035】
また、本実施形態の灯具ユニット100は、車両に取り付けられた状態において突出方向Aが鉛直方向の下向きとなるように(すなわち
図6における矢印Yで示される態様)、車両用灯具200に取り付けられてもよい。車両に取り付けられた状態において灯具ユニット100の放熱フィン13a,13bの突出方向Aが鉛直方向の下向となる場合、各放熱フィン13a,13bの間隔C,C’や放熱フィン13a,13bとソケット部12との間隔D,Eの鉛直方向の上側に、光源保持部14などを備える部材(本例ではフランジ部11)が存在することになる(
図4、
図5参照)。そして、加熱された空気は密度が小さくなり上昇するが、空気の上昇する方向に光源保持部14などを備える部材が存在することで、空気の流れが妨げられる。上記の灯具ユニット100では、第一の放熱フィン13aと第二の放熱フィン13bの間隔Cを、第一の放熱フィン13aとコネクタ部12の間隔Dと同程度かそれよりも大きくして、第一方向Bに延びる気体の流路を確保することで、鉛直方向の上側への移動が阻害された気体を水平方向に逃がすことができる。これにより、熱を対流によりさらに効果的に運ぶことができ、光源部20で発生する熱をさらに効果的に放熱できる。
【0036】
続いて、
図7を参照して、第二実施形態を説明する。
図7は第二実施形態における灯具ユニット300を示す図である。
図7の(a)は灯具ユニット300の正面図を示し、
図7の(b)は紙面の上下方向に第一方向Bが向く灯具ユニット300の底面図を示す。灯具ユニット300は、コネクタ部312および放熱フィン313の態様が第一実施形態のコネクタ部12および放熱フィン13と異なり、かつ金属板30を備えていない点を除き、第一実施形態の灯具ユニット100と同様であるので、図面中のフランジ部11および光源保持部14について第一実施形態と同様の符号を付し、同様の構成についての説明を省略する。
【0037】
放熱フィン313は、放熱フィン313の突出方向Aと交差する第一方向Bに延びる第一の放熱フィン313aと、第一方向Bに延びて、複数ある中で最も長い第一の放熱フィン313aよりも第一方向Bにおける長さが短い第二の放熱フィン313bと、を含む。
図7に示す態様では、第一の放熱フィン313aは4つ設けられ、第二の放熱フィン313bも4つ設けられている。第一の放熱フィン313aおよび第二の放熱フィン313bの突出方向Aにおける長さは同程度とされており、コネクタ部312の突出方向Aにおける長さと同程度とされている。
【0038】
4つの第一の放熱フィン313aはコネクタ部312の一方の側に位置する2つで一組となり、2組の第一の放熱フィン313aがコネクタ部312および第二の放熱フィン313bを挟むように、フランジ部11にそれぞれ配置されている。コネクタ部312および4つの第二の放熱フィン313bは第一方向Bに沿って並んで配置されている。4つの第二の放熱フィン313bはコネクタ部312の一方の側に位置する2つで一組となり、2組の第二の放熱フィン313bがコネクタ部312を挟むように、フランジ部11にそれぞれ配置されている。
【0039】
第一の放熱フィン313aと第二の放熱フィン313bの間隔Cは、第一の放熱フィン313aとコネクタ部312の間隔Dと同程度かそれよりも大きく設けられている。また、1組の第二の放熱フィン313bにおける2つの第二の放熱フィン313b同士の間隔C’は、第一の放熱フィン313aと第二の放熱フィン313bの間隔Cと同程度とされている。また、1組の第一の放熱フィン313aにおける2つの第一の放熱フィン313a同士の間隔C’’は、第一の放熱フィン313aと第二の放熱フィン313bの間隔Cと同程度とされている。また、第二の放熱フィン313bとコネクタ部312の間隔Eが、第一の放熱フィン313aとコネクタ部312の間隔Dと同程度かそれよりも大きく設けられている。なお、各間隔の具体的な態様としては第一実施形態と同様としてもよい。
【0040】
続いて、
図8を参照して、第三実施形態を説明する。
図8は第三実施形態における灯具ユニット400を示す図である。
図8の(a)は灯具ユニット400の正面図を示し、
図8の(b)は紙面の上下方向に第一方向Bが向く灯具ユニット400の底面図を示す。灯具ユニット400は、コネクタ部412および放熱フィン413の態様が第一実施形態のコネクタ部12および放熱フィン13と異なり、かつ金属板30を備えていない点を除き、第一実施形態の灯具ユニット100と同様であるので、図面中のフランジ部11および光源保持部14について第一実施形態と同様の符号を付し、同様の構成についての説明を省略する。
【0041】
灯具ユニット400が備えるコネクタ部412は、コネクタ部412の接続口がソケット部の背面ではなく側面に位置するように、放熱フィン313の突出方向Aと交差する第一方向Bに延在している。放熱フィン413は、第一方向Bに延びる第一の放熱フィン413aと、第一方向Bに延びて、複数ある中で最も長い第一の放熱フィン413aよりも第一方向Bにおける長さが短い第二の放熱フィン413bと、を含む。
図8に示す態様では、第一の放熱フィン413aは4つ設けられ、第二の放熱フィン413bは2つ設けられている。第一の放熱フィン413aおよび第二の放熱フィン413bの突出方向Aにおける長さは同程度とされている。コネクタ部412の突出方向Aにおける長さは、第一の放熱フィン413aおよび第二の放熱フィン413bの突出方向Aにおける長さよりも短い。
【0042】
4つの第一の放熱フィン413aはコネクタ部412の一方の側に位置する2つで一組となり、2組の第一の放熱フィン413aがコネクタ部412および第二の放熱フィン413bを挟むように、フランジ部11にそれぞれ配置されている。コネクタ部412および2つの第二の放熱フィン413bは第一方向Bに沿って並んで配置されている。第一方向Bにおけるコネクタ部412を基準とする一方の位置に2つの第二の放熱フィン413bが配置され、第一方向Bにおけるコネクタ部412を基準とする他方の位置には第二の放熱フィン413bは、配置されていない。
【0043】
第一の放熱フィン413aと第二の放熱フィン413bの間隔Cは、第一の放熱フィン413aとコネクタ部412の間隔Dと同程度かそれよりも大きく設けられている。また、2つの第二の放熱フィン413b同士の間隔C’は、第一の放熱フィン413aと第二の放熱フィン413bの間隔Cと同程度とされている。また、1組の第一の放熱フィン413aにおける2つの第一の放熱フィン413a同士の間隔C’’は、第一の放熱フィン413aと第二の放熱フィン413bの間隔Cと同程度とされている。また、第二の放熱フィン413bとコネクタ部412の間隔Eが、第一の放熱フィン413aとコネクタ部412の間隔Dと同程度かそれよりも大きく設けられている。なお、各間隔の具体的な態様としては第一実施形態と同様としてもよい。
【0044】
第二実施形態および第三実施形態における灯具ユニット300,400においても、第一の放熱フィン313a,413aと第二の放熱フィン313b,413bの間隔Dが、第一の放熱フィン313a,413aとコネクタ部312,412の間隔Cと同程度かそれよりも大きいことで、熱を対流により効果的に運ぶことができ、光源部20で発生する熱を効果的に放熱できる。
【0045】
また、第二実施形態および第三実施形態において光源部20の回路基板21を樹脂材料で構成した態様でも、第一方向Bに延びる気体の流路を確保することで、熱を対流により効果的に運ぶことができ、光源部20で発生する熱をより効果的に放熱できる。
【0046】
また、第二実施形態および第三実施形態において、第二の放熱フィン313b,413bとコネクタ部312,412の間隔Eが、第一の放熱フィン313a,413aとコネクタ部312,412の間隔Dと同程度かそれよりも大きいことで、第一方向Bと交差する第二方向に延びる気体の流路が確保でき、灯具ユニット300,400の取り付けの姿勢に大きく影響されずに、熱を気体による対流で灯具ユニット300,400からより効果的に放出できる。
【0047】
また第二実施形態および第三実施形態の灯具ユニット300,400を、車両に取り付けられた状態において突出方向Aが鉛直方向の下向きとなるように、車両用灯具に取り付けてもよい。この場合、第一方向Bに延びる気体の流路を確保することで、鉛直方向の上側への移動が阻害された気体を水平方向に逃がすことができる。これにより、熱を対流によりさらに効果的に運ぶことができ、光源部20で発生する熱をさらに効果的に放熱できる。
【0048】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0049】
100,300,400:灯具ユニット、10:ソケット部、10a:ハウジング、11:フランジ部、12,312,412:コネクタ部、13,313,413:放熱フィン、13a,313a,413a:第一の放熱フィン、13b,313b,413b:第二の放熱フィン、14:光源保持部、15:側壁、16:係止部、17:端子保持部、17a,24a,24b:端子、18:ボンディングワイヤ、19:上面、20:光源部、21:回路基板、21a:開口部、22:サブマウント、23:LED、24:配線パターン、25:電子部品、27:ボンディングワイヤ、30:金属板、31:金属板露出面、32:平坦部、200:車両用灯具、210:ランプハウジング