(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036744
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】多段式流体圧シリンダ
(51)【国際特許分類】
F15B 15/16 20060101AFI20220301BHJP
F15B 15/14 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
F15B15/16
F15B15/14 380B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141111
(22)【出願日】2020-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】船戸 泰志
(72)【発明者】
【氏名】谷川 夏樹
【テーマコード(参考)】
3H081
【Fターム(参考)】
3H081AA12
3H081CC01
3H081DD32
(57)【要約】
【課題】スナップリングが外れることを防止する。
【解決手段】多段式流体圧シリンダ100は、シリンダチューブ10と、外側ピストン部32が設けられた第1ロッドアッシー30と、第1内側ピストン部42が設けられた第2ロッドアッシー40と、第1ロッドアッシー30に形成された環状凹部30bに収容されるスナップリング35と、を備え、第1内側ピストン部42には、スナップリング35の内径側を収容する収容凹部42cが設けられ、第1ロッドアッシー30及び第2ロッドアッシー40の少なくとも一方には、スナップリング35が収容凹部42cに収容されている状態においてスナップリング35と第1内側ピストン部42の外周面42aと第1ロッドアッシー30の内周面30aとにより画定される隙間G1を、反ロッド側室5に連通させる連通路32c,42dが設けられる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダチューブと、
前記シリンダチューブの内周面に沿って摺動し前記シリンダチューブ内をロッド側室と反ロッド側室とに区画する外側ピストン部が端部に設けられた筒状の外側ロッド部材と、
前記外側ロッド部材の内周面に沿って摺動する内側ピストン部が端部に設けられた内側ロッド部材と、
前記外側ロッド部材の前記内周面に形成された環状凹部に外径側が収容され前記内側ロッド部材の収縮方向への移動を制限するスナップリングと、を備え、
前記内側ピストン部には、前記内側ロッド部材が収縮した際に前記スナップリングの内径側を収容する収容凹部が設けられ、
前記外側ロッド部材及び前記内側ロッド部材の少なくとも一方には、前記スナップリングが前記収容凹部に収容され前記内側ピストン部に当接している状態において前記スナップリングと前記内側ピストン部の外周面と前記外側ロッド部材の前記内周面とにより画定される隙間を、前記反ロッド側室または前記外側ロッド部材に対して前記シリンダチューブが相対移動することにより前記反ロッド側室と連通する流体室に連通させる連通路が設けられることを特徴とする多段式流体圧シリンダ。
【請求項2】
前記連通路は、前記外側ロッド部材及び前記内側ロッド部材の少なくとも一方に形成された貫通孔であり、
前記貫通孔は、一端が前記反ロッド側室に開口し、他端が前記隙間に開口することを特徴とする請求項1に記載の多段式流体圧シリンダ。
【請求項3】
前記連通路は、前記外側ロッド部材の前記内周面及び前記内側ピストン部の前記外周面の少なくとも一方に軸方向に沿って切り欠かれた切欠溝であることを特徴とする請求項1に記載の多段式流体圧シリンダ。
【請求項4】
前記切欠溝は、前記反ロッド側室に臨む前記外側ロッド部材の端面及び前記内側ロッド部材の端面の少なくとも一方から前記軸方向に沿って形成されることを特徴とする請求項3に記載の多段式流体圧シリンダ。
【請求項5】
前記連通路は、一端が前記外側ピストン部の前記外周面において開口し、他端が前記環状凹部において開口するネジ孔であり、
前記ネジ孔の雌ネジ内径は、前記スナップリングの線径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の多段式流体圧シリンダ。
【請求項6】
前記内側ロッド部材の内周面に沿って摺動する第2内側ピストン部が端部に設けられた第2内側ロッド部材と、
前記内側ロッド部材の前記内周面に形成された第2環状凹部に外径側が収容され前記第2内側ロッド部材の収縮方向への移動を制限する第2スナップリングと、をさらに備え、
前記連通路は、一端が前記内側ピストン部の前記外周面において開口し、他端が前記第2環状凹部において開口するネジ孔であり、
前記ネジ孔の雌ネジ内径は、前記第2スナップリングの線径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の多段式流体圧シリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段式流体圧シリンダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シリンダチューブと、シリンダチューブの内周面に沿って摺動しシリンダチューブ内をロッド側室と反ロッド側室とに区画する外側ピストン部が端部に設けられた外側ロッド部材と、外側ロッド部材の内周面に沿って摺動する内側ピストン部が端部に設けられた内側ロッド部材と、外側ロッド部材の内周面に設けられ内側ロッド部材の収縮方向への移動を制限するスナップリングと、を備えた多段式流体圧シリンダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の多段式流体圧シリンダの内側ピストン部には、内側ロッド部材が収縮した際に、スナップリングの内径側が収容される収容凹部が形成されている。このような構成の多段式流体圧シリンダが最も収縮した状態にあり、ロッド側室及び反ロッド側室に対して作動流体が給排されていないときに、多段式流体圧シリンダを強制的に伸長させるような外力が急に作用すると、反ロッド側室の圧力が低下する一方、ロッド側室の圧力が上昇する。このようにロッド側室の圧力が高くなると、外側ロッド部材がシリンダチューブとともに伸長方向へと変位することになるため、外側ロッド部材に設けられたスナップリングは、内側ピストン部の収容凹部から離れる。
【0005】
そして、収容凹部からスナップリングが離れ、内側ピストン部の外周面と外側ロッド部材の内周面とスナップリングとにより画定される隙間の容積が急速に大きくなると、この隙間内及び収容凹部周辺の圧力は、反ロッド側室の圧力よりも低下することになる。このようにスナップリングの内径側が臨む領域の圧力が低下すると、拡径方向に作用するスナップリングの弾性力に対抗しスナップリングを縮径させる方向に作用する流体力がスナップリングの内径側に生じることによってスナップリングの外径が小さくなり、結果として、外側ロッド部材からスナップリングが外れるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、スナップリングが外れることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、多段式流体圧シリンダが、シリンダチューブと、シリンダチューブの内周面に沿って摺動しシリンダチューブ内をロッド側室と反ロッド側室とに区画する外側ピストン部が端部に設けられた筒状の外側ロッド部材と、外側ロッド部材の内周面に沿って摺動する内側ピストン部が端部に設けられた内側ロッド部材と、外側ロッド部材の内周面に形成された環状凹部に外径側が収容され内側ロッド部材の収縮方向への移動を制限するスナップリングと、を備え、内側ピストン部には、内側ロッド部材が収縮した際にスナップリングの内径側を収容する収容凹部が設けられ、外側ロッド部材及び内側ロッド部材の少なくとも一方には、スナップリングが収容凹部に収容され内側ピストン部に当接している状態においてスナップリングと内側ピストン部の外周面と外側ロッド部材の内周面とにより画定される隙間を、反ロッド側室または外側ロッド部材に対してシリンダチューブが相対移動することにより反ロッド側室と連通する流体室に連通させる連通路が設けられることを特徴とする。
【0008】
この本発明では、スナップリングと内側ピストン部の外周面と外側ロッド部材の内周面とにより画定される隙間と、反ロッド側室または反ロッド側室と連通する流体室と、を連通する連通路が、外側ロッド部材及び内側ロッド部材の少なくとも一方に設けられている。このように、隙間と反ロッド側室とを連通路を通じて連通させておく、または、反ロッド側室と連通する流体室と隙間とを連通路を通じて連通させておくことによって、多段式流体圧シリンダが最も収縮した状態にあるときに、多段式流体圧シリンダを強制的に伸長させるような外力が急に作用し、外側ロッド部材がシリンダチューブとともに伸長方向へと変位し、スナップリングが収容凹部から瞬時に離れ、隙間の容積が急速に大きくなったとしても、隙間と反ロッド側室との圧力差が大きくなることが抑制される。これによりスナップリングの内径側が臨む領域の圧力が極端に低下することが抑制されるため、拡径方向に作用するスナップリングの弾性力に対抗しスナップリングを縮径させる方向に作用する流体力がスナップリングの内径側に生じることが抑制される。
【0009】
また、本発明は、連通路が、外側ロッド部材及び内側ロッド部材の少なくとも一方に形成された貫通孔であり、貫通孔は、一端が反ロッド側室に開口し、他端が隙間に開口することを特徴とする。
【0010】
この発明では、連通路が、一端が反ロッド側室に開口し、他端が隙間に開口するように形成された貫通孔である。このように外側ロッド部材及び内側ロッド部材に容易に形成することが可能な貫通孔を、隙間と反ロッド側室とを連通する連通路として用いることにより、多段式流体圧シリンダの製造コストの増大を抑制しつつ、スナップリングが外れることを防止することができる。
【0011】
また、本発明は、連通路が、外側ロッド部材の内周面及び内側ピストン部の外周面の少なくとも一方に軸方向に沿って切り欠かれた切欠溝であることを特徴とする。
【0012】
この発明では、連通路が、外側ロッド部材の内周面や内側ピストン部の外周面に軸方向に沿って切り欠かれた切欠溝である。このように外側ロッド部材及び内側ロッド部材に容易に形成することが可能な切欠溝を、隙間と反ロッド側室とを連通する連通路として用いることにより、多段式流体圧シリンダの製造コストの増大を抑制しつつ、スナップリングが外れることを防止することができる。
【0013】
また、本発明は、切欠溝が、反ロッド側室に臨む外側ロッド部材の端面及び内側ロッド部材の端面の少なくとも一方から軸方向に沿って形成されることを特徴とする。
【0014】
この発明では、切欠溝が、反ロッド側室に臨む外側ロッド部材の端面や内側ロッド部材の端面から軸方向に沿って形成される。このように反ロッド側室に臨む外側ロッド部材の端面や内側ロッド部材の端面から切欠溝を軸方向に沿って形成することで隙間と反ロッド側室とを連通可能な連通路を容易に形成することができる。
【0015】
また、本発明は、連通路が、一端が外側ピストン部の外周面において開口し、他端が環状凹部において開口するネジ孔であり、ネジ孔の雌ネジ内径は、スナップリングの線径よりも大きいことを特徴とする。
【0016】
この発明では、連通路が、一端が外側ピストン部の外周面において開口し、他端が環状凹部において開口するネジ孔である。このように環状凹部からスナップリングを取り外す際に治具がねじ込まれるネジ孔を連通路として利用することにより、多段式流体圧シリンダの製造コストを増大させることなく、スナップリングが外れることを防止することができる。
【0017】
また、本発明は、多段式流体圧シリンダが、内側ロッド部材の内周面に沿って摺動する第2内側ピストン部が端部に設けられた第2内側ロッド部材と、内側ロッド部材の内周面に形成された第2環状凹部に外径側が収容され第2内側ロッド部材の収縮方向への移動を制限する第2スナップリングと、をさらに備え、連通路が、一端が内側ピストン部の外周面において開口し、他端が第2環状凹部において開口するネジ孔であり、ネジ孔の雌ネジ内径は、第2スナップリングの線径よりも大きいことを特徴とする。
【0018】
この発明では、連通路が、一端が内側ピストン部の外周面において開口し、他端が第2環状凹部において開口するネジ孔である。このように第2環状凹部から第2スナップリングを取り外す際に治具がねじ込まれるネジ孔を連通路として利用することにより、多段式流体圧シリンダの製造コストを増大させることなく、スナップリングが外れることを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、スナップリングが外れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る流体圧シリンダの断面図であり、最収縮状態を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る流体圧シリンダを示す断面図であり、第1ロッドアッシーが伸長位置にあり、第2ロッドアッシー及び第3ロッドアッシーが収縮位置にある状態を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る流体圧シリンダを示す断面図であり、第1ロッドアッシー及び第2ロッドアッシーが伸長位置にあり、第3ロッドアッシーが収縮位置にある状態を示す。
【
図4】本発明の実施形態に係る流体圧シリンダを示す断面図であり、最伸長状態を示す図である。
【
図5A】
図1のA部を拡大して示した拡大図であり、従来の課題を説明するための図である。
【
図5B】従来の課題を説明するための図であり、
図5Aに続く状態を示した図である。
【
図5C】従来の課題を説明するための図であり、
図5Bに続く状態を示した図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る流体圧シリンダの第1変形例を示す図であり、
図6に相当する部分を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る流体圧シリンダの第2変形例を示す図であり、
図6に相当する部分を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る流体圧シリンダの第3変形例を示す図であり、
図6に相当する部分を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る流体圧シリンダの第4変形例を示す図であり、
図6に相当する部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る多段式流体圧シリンダ100について説明する。以下では、多段式流体圧シリンダ100が作動油を作動流体として駆動する多段式油圧シリンダ100(以下、単に「油圧シリンダ100」と称する。)である場合について説明する。
【0022】
図1に示すように、油圧シリンダ100は、有底筒状のシリンダチューブ10と、シリンダチューブ10の内側に摺動自在に挿入される外側ロッド部材としての第1ロッドアッシー30と、第1ロッドアッシー30の内側にシリンダチューブ10の中心軸方向(以下、単に「軸方向」と称する。)に摺動自在に挿入される内側ロッド部材としての第2ロッドアッシー40と、第2ロッドアッシー40の内側に軸方向に摺動自在に挿入される第2内側ロッド部材としての第3ロッドアッシー50と、を備える。なお、
図1は、油圧シリンダ100が最も収縮した状態を示す断面図である。
【0023】
油圧シリンダ100は、シリンダチューブ10の底部に設けられる第1取付部61と、シリンダチューブ10から突出する第3ロッドアッシー50の端部に設けられる第2取付部62と、を介して、シリンダチューブ10が鉛直方向上方側に位置し、第3ロッドアッシー50が鉛直方向下方側に位置するようにして駆動対象機器に取り付けられる。つまり、油圧シリンダ100は、第2取付部62に対して第1取付部61が略鉛直方向、すなわち上下方向に沿って変位するように駆動対象機器に取り付けられる。なお、油圧シリンダ100が取り付けられる方向はこれに限定されず、シリンダチューブ10が鉛直方向下方側に位置し、第3ロッドアッシー50が鉛直方向上方側に位置するように取り付けられてもよい。また、油圧シリンダ100は、第2取付部62に対して第1取付部61が水平方向に沿って変位するように駆動対象機器に取り付けられてもよい。
【0024】
第1ロッドアッシー30は、筒状の外側ロッド部31と、外側ロッド部31の一端部に設けられシリンダチューブ10の内周面10aに沿って摺動しシリンダチューブ10内をロッド側室2と反ロッド側室5とに区画する環状の外側ピストン部32と、外側ロッド部31の他端部から径方向内側に突出して形成され第2ロッドアッシー40を摺動自在に支持する円筒状の第1支持部33と、を有する。
【0025】
第1ロッドアッシー30の外側ピストン部32側の内周面30aにはスナップリングとしての第1スナップリング35が装着される環状凹部30bが形成される。第1スナップリング35は、略環状に形成された断面形状が円形の金属製の線材であり、一部が分断された図示しない合口部を有する。第1スナップリング35は、縮径された状態で第1ロッドアッシー30内に挿入され、拡径方向に作用する弾性力によって、その外径側が内周面30aに押し付けられ、環状凹部30bに嵌め込まれる。このように第1スナップリング35が第1ロッドアッシー30に組み付けられた状態において、第1スナップリング35の内径側は、第1ロッドアッシー30の内周面30aから径方向内側に突出した状態となる。なお、第1スナップリング35の装着は、第1ロッドアッシー30に第2ロッドアッシー40が挿入されてから行われる。
【0026】
第2ロッドアッシー40は、第1ロッドアッシー30と同様の形状を有しており、外側ロッド部31に挿入される筒状の第1内側ロッド部41と、第1内側ロッド部41の一端部に設けられ第1ロッドアッシー30の内周面30aに沿って摺動する内側ピストン部としての環状の第1内側ピストン部42と、第1内側ロッド部41の他端部から径方向内側に突出して形成され第3ロッドアッシー50を摺動自在に支持する円筒状の第2支持部43と、を有する。
【0027】
第2ロッドアッシー40の第1内側ピストン部42側の内周面40aには第2スナップリング45が装着される第2環状凹部40bが形成される。第2スナップリング45は、第1スナップリング35と同様に、略環状に形成された断面形状が円形の金属製の線材であり、一部が分断された図示しない合口部を有する。第2スナップリング45は、縮径された状態で第2ロッドアッシー40内に挿入され、拡径方向に作用する弾性力によって、その外径側が内周面40aに押し付けられ、第2環状凹部40bに嵌め込まれる。このように第2スナップリング45が第2ロッドアッシー40に組み付けられた状態において、第2スナップリング45の内径側は、第2ロッドアッシー40の内周面40aから径方向内側に突出した状態となる。なお、第2スナップリング45の装着は、第2ロッドアッシー40に第3ロッドアッシー50が挿入されてから行われる。
【0028】
第3ロッドアッシー50は、第1内側ロッド部41に挿入される第2内側ロッド部51と、第2内側ロッド部51の一端部に結合され第2ロッドアッシー40の内周面40aに沿って摺動する環状の第2内側ピストン部52と、を有する。第2内側ロッド部51と第2内側ピストン部52とは、図示しないボルトを介して結合される。
【0029】
このように、シリンダチューブ10には、第1ロッドアッシー30、第2ロッドアッシー40及び第3ロッドアッシー50の3つのロッド部材が挿入される。
【0030】
シリンダチューブ10の開口部には、第1ロッドアッシー30の外側ロッド部31を摺動自在に支持するシリンダヘッド11が設けられ、軸方向において各ピストン部32,42,52と対抗するシリンダチューブ10の底部には、第1取付部61に向かって凹む凹部10bが形成される。凹部10bの内径は第1ロッドアッシー30の外側ピストン部32の内径よりも大きく設定される。
【0031】
シリンダチューブ10に挿入される第1ロッドアッシー30の最収縮位置は、外側ピストン部32がシリンダチューブ10の底部に当接することによって規定され、最伸長位置は、外側ピストン部32がシリンダヘッド11に当接することによって規定される。なお、シリンダヘッド11の内周面には、外部への作動油の漏れを防止するために、シリンダヘッド11の内周面と外側ロッド部31の外周面との間の隙間を封止する図示しないシール部材が設けられる。
【0032】
第1ロッドアッシー30に挿入される第2ロッドアッシー40の最収縮位置は、第1ロッドアッシー30に装着された第1スナップリング35に第1内側ピストン部42が当接することによって規定され、最伸長位置は、第1内側ピストン部42が第1支持部33に当接することによって規定される。なお、第1スナップリング35は、第2ロッドアッシー40の収縮方向への移動を制限しているとともに、油圧シリンダ100が収縮した際に、第1ロッドアッシー30がシリンダチューブ10から抜け落ちてしまうことを防止している。
【0033】
また、第1支持部33の内周面には、外部への作動油の漏れを防止するために、第1支持部33の内周面と第1内側ロッド部41の外周面との間の隙間を封止する図示しないシール部材が設けられる。
【0034】
第2ロッドアッシー40に挿入される第3ロッドアッシー50の最収縮位置は、第2ロッドアッシー40に装着された第2スナップリング45に第2内側ピストン部52が当接することによって規定され、最伸長位置は、第2内側ピストン部52が第2支持部43に当接することによって規定される。なお、第2スナップリング45は、第3ロッドアッシー50の収縮方向への移動を制限しているとともに、油圧シリンダ100が収縮した際に、第2ロッドアッシー40がシリンダチューブ10から抜け落ちてしまうことを防止している。
【0035】
また、第2支持部43の内周面には、外部への作動油の漏れを防止するために、第2支持部43の内周面と第2内側ロッド部51の外周面との間の隙間を封止する図示しないシール部材が設けられる。また、第2支持部43の内周面には、第3ロッドアッシー50が最も伸長した際に第2内側ロッド部51に形成された後述の連通孔51bの開口部が臨む環状凹部43aが形成される。なお、環状凹部43aは、後述の第2内側ロッド側室4に開口するように形成されている。
【0036】
また、上記形状の第1ロッドアッシー30、第2ロッドアッシー40及び第3ロッドアッシー50が挿入されるシリンダチューブ10内には、シリンダチューブ10、シリンダヘッド11、外側ロッド部31及び外側ピストン部32によって区画されるロッド側室2と、外側ロッド部31、第1支持部33、第1内側ロッド部41及び第1内側ピストン部42によって区画される第1内側ロッド側室3と、第1内側ロッド部41、第2支持部43、第2内側ロッド部51及び第2内側ピストン部52によって区画される第2内側ロッド側室4と、シリンダチューブ10、外側ピストン部32、第1内側ピストン部42及び第2内側ピストン部52によって区画される反ロッド側室5と、が形成される。
【0037】
第1ロッドアッシー30の外側ピストン部32の外周面32aには、第1シール部材34が設けられ、外側ピストン部32の外周面32aとシリンダチューブ10の内周面10aとの間の隙間を通じたロッド側室2と反ロッド側室5との連通は、第1シール部材34により遮断される。
【0038】
また、第1ロッドアッシー30の外側ピストン部32には、ロッド側室2に対して作動油を給排するための給排ポート32bが径方向に貫通して複数形成される。
【0039】
第2ロッドアッシー40の第1内側ピストン部42の外周面42aには、第2シール部材44が設けられ、第1内側ピストン部42の外周面42aと第1ロッドアッシー30の内周面30aとの間の隙間を通じた第1内側ロッド側室3と反ロッド側室5との連通は、第2シール部材44により遮断される。
【0040】
また、第2ロッドアッシー40の第1内側ピストン部42には、第1内側ロッド側室3に対して作動油を給排するための内側給排ポート42bが径方向に貫通して複数形成される。
【0041】
第3ロッドアッシー50の第2内側ピストン部52の外周面52aには、第3シール部材54が設けられ、第2内側ピストン部52の外周面52aと第2ロッドアッシー40の内周面40aとの間の隙間を通じた第2内側ロッド側室4と反ロッド側室5との連通は、第3シール部材54により遮断される。
【0042】
第3ロッドアッシー50の第2内側ロッド部51には、油圧シリンダ100に対して作動油を給排する図示しない外部装置に接続される給排通路51aと、給排通路51aと第2内側ロッド側室4とを連通する連通孔51bと、が形成される。また、第2内側ロッド部51には、第2取付部62に形成された通路64と、給排通路51aと、を接続する接続通路51cが形成される。
【0043】
給排通路51aは、連通孔51bを通じて第2内側ロッド側室4と連通するとともに、内側給排ポート42b及び連通孔51bを通じて第1内側ロッド側室3と連通し、給排ポート32b、内側給排ポート42b及び連通孔51bを通じてロッド側室2と連通する。
【0044】
つまり、ロッド側室2、第1内側ロッド側室3及び第2内側ロッド側室4への作動油の供給と、ロッド側室2、第1内側ロッド側室3及び第2内側ロッド側室4からの作動油の排出とは、第2内側ロッド部51に形成された給排通路51aを通じて行われる。
【0045】
また、第2内側ロッド部51には、油圧シリンダ100に対して作動油を給排する外部装置に接続されるパイプ状の給排管55が設けられる。給排管55は、一端が反ロッド側室5に臨んで開口するように第2内側ロッド部51に組み込まれており、具体的には、給排通路51aを軸方向に貫通するようにして第2内側ロッド部51に接合されている。また、第2内側ロッド部51には、第2取付部62に形成された通路63と、給排管55の他端側と、を接続する接続通路51dが形成される。
【0046】
このように給排管55は、その一端が反ロッド側室5において開口するように設けられているため、反ロッド側室5への作動油の供給及び反ロッド側室5からの作動油の排出は、給排管55を通じて行われることになる。
【0047】
次に、
図1~4を参照して、油圧シリンダ100の作動について説明する。なお、以下では、油圧シリンダ100が、第1取付部61が鉛直方向上方側に位置し、第2取付部62が鉛直方向下方側に位置するようにして駆動対象機器に取り付けられている場合について説明する。
【0048】
油圧シリンダ100が伸長作動する際には、給排管55を通じて図示しないポンプ等の油圧源から反ロッド側室5に作動油が供給され、ロッド側室2、第1内側ロッド側室3及び第2内側ロッド側室4内の作動油が給排通路51aを通じて図示しないタンクに排出される。
【0049】
油圧シリンダ100が
図1に示す最収縮状態から伸長作動する際には、給排管55を通じて反ロッド側室5に作動油が供給される。ここで、反ロッド側室5の圧力を受ける受圧面積は、第1ロッドアッシー30が伸長する際に最も大きく、第3ロッドアッシー50が伸長する際に最も小さい。よって、油圧シリンダ100が最収縮状態から伸長作動する際には、まず、第1ロッドアッシー30に対してシリンダチューブ10が相対移動することになる。具体的には、
図2に示すように、シリンダチューブ10が第1ロッドアッシー30に対して上方(
図2中上側)へ移動する。なお、シリンダチューブ10の底部に形成された凹部10bは、第1ロッドアッシー30の外側ピストン部32の内径よりも大きな内径を有するため、反ロッド側室5に導かれた作動油の圧力は、凹部10bを通じて外側ピストン部32に作用する。
【0050】
第1ロッドアッシー30に対してシリンダチューブ10が相対移動すると、ロッド側室2の作動油は、給排ポート32b、内側給排ポート42b及び連通孔51bを通じて給排通路51aに導かれて外部へと排出される。
【0051】
そして、
図2に示すように、第1ロッドアッシー30に対してシリンダチューブ10が最も伸長した状態、すなわち、シリンダヘッド11が第1ロッドアッシー30の外側ピストン部32に当接するまでシリンダチューブ10が上方へと移動した状態となると、次は、反ロッド側室5の圧力によって、第2ロッドアッシー40に対してシリンダチューブ10及び第1ロッドアッシー30が相対移動することになる。具体的には、
図3に示すように、シリンダチューブ10及び第1ロッドアッシー30が第2ロッドアッシー40に対して上方(
図3中上側)へ移動する。
【0052】
第2ロッドアッシー40に対して第1ロッドアッシー30が相対移動すると、第1内側ロッド側室3の作動油は、内側給排ポート42b及び連通孔51bを通じて給排通路51aに導かれて外部へと排出される。
【0053】
そして、
図3に示すように、第2ロッドアッシー40に対して第1ロッドアッシー30が最も伸長した状態、すなわち、第1ロッドアッシー30の第1支持部33が第2ロッドアッシー40の第1内側ピストン部42に当接するまでシリンダチューブ10及び第1ロッドアッシー30が上方へと移動した状態となると、次は、反ロッド側室5の圧力によって、第3ロッドアッシー50に対してシリンダチューブ10、第1ロッドアッシー30及び第2ロッドアッシー40が相対移動することになる。具体的には、
図4に示すように、シリンダチューブ10、第1ロッドアッシー30及び第2ロッドアッシー40が第3ロッドアッシー50に対して上方(
図4中上側)へ移動する。
【0054】
第3ロッドアッシー50に対して第2ロッドアッシー40が相対移動すると、第2内側ロッド側室4の作動油は、連通孔51bを通じて給排通路51aに導かれて外部へと排出される。
【0055】
そして、
図4に示すように、第3ロッドアッシー50に対して第2ロッドアッシー40が最も伸長した状態、すなわち、第2ロッドアッシー40の第2支持部43が第3ロッドアッシー50の第2内側ピストン部52に当接するまでシリンダチューブ10、第1ロッドアッシー30及び第2ロッドアッシー40が上方へと移動した状態となると、油圧シリンダ100は最伸長状態となる。
【0056】
一方、油圧シリンダ100が収縮作動する際には、給排通路51aを通じて油圧源からロッド側室2、第1内側ロッド側室3及び第2内側ロッド側室4に作動油が供給され、反ロッド側室5の作動油が給排管55を通じてタンクに排出される。なお、油圧シリンダ100の収縮作動は、第1取付部61に連結される駆動対象機器の自重によるものであってもよい。この場合、ロッド側室2、第1内側ロッド側室3及び第2内側ロッド側室4に作動油を供給する必要はなく、ロッド側室2、第1内側ロッド側室3及び第2内側ロッド側室4には、タンクから作動油が吸い込まれることになる。
【0057】
油圧シリンダ100が最伸長状態から収縮作動する際には、まず、
図4に示す状態から
図3に示す状態へと第3ロッドアッシー50に対してシリンダチューブ10、第1ロッドアッシー30及び第2ロッドアッシー40が相対移動し、続いて、
図3に示す状態から
図2に示す状態へと第2ロッドアッシー40に対してシリンダチューブ10及び第1ロッドアッシー30が相対移動する。そして、さらに、
図2に示す状態から
図1に示す状態へと第1ロッドアッシー30に対してシリンダチューブ10が相対移動することによって、油圧シリンダ100は最収縮状態となる。
【0058】
上記構成の油圧シリンダ100の第2ロッドアッシー40の第1内側ピストン部42には、
図5Aに示すように、第2ロッドアッシー40が最も収縮した状態において、第1スナップリング35の内径側を収容する収容凹部42cが設けられている。収容凹部42cは、径方向内側への第1スナップリング35の変形を規制するものであり、第2ロッドアッシー40が収縮する際に第1内側ピストン部42が第1スナップリング35に当接することによって、第1スナップリング35が第1ロッドアッシー30から外れることを防止するために設けられる。なお、
図5Aは、最収縮状態にある油圧シリンダ100を示した
図1において、矢印Aで指し示される破線で囲まれた部分を拡大して示した図である。
【0059】
また、
図5Aに示すように、収容凹部42cに第1スナップリング35が収容され、第1内側ピストン部42に第1スナップリング35が当接した状態において、第1スナップリング35を挟んで反ロッド側室5とは反対側には、第1内側ピストン部42の外周面42aと第1ロッドアッシー30の内周面30aと第1スナップリング35とにより画定される隙間G1が形成される。
【0060】
ここで、上記構成の油圧シリンダ100が最も収縮した状態にあり、ロッド側室2及び反ロッド側室5に対して作動油が給排されていないときに、油圧シリンダ100を強制的に伸長させるような外力が急に作用すると、容積が拡大する反ロッド側室5では、作動油が供給されないことから室内の圧力が低下する一方、容積が縮小するロッド側室2では、作動油が排出されないことから室内の圧力が上昇する。
【0061】
このようにロッド側室2の圧力が高くなると、第1ロッドアッシー30がシリンダチューブ10とともに伸長方向へと変位し、第1ロッドアッシー30は第2ロッドアッシー40に対して相対変位することになる。このため、
図5Bに示すように、第1ロッドアッシー30に設けられた第1スナップリング35は、第1内側ピストン部42の収容凹部42cから離れてしまう。
【0062】
図5Bに示すように、第1スナップリング35が収容凹部42cから瞬時に離れると、第1内側ピストン部42の外周面42aと第1ロッドアッシー30の内周面30aと第1スナップリング35とにより画定される隙間G1の容積が急速に大きくなるため、この隙間G1内の圧力は、反ロッド側室5よりも低くなり、
図5Bにおいて矢印Fで示されるような反ロッド側室5から隙間G1へと向かう作動油の流れが生じる。
【0063】
そして、反ロッド側室5から隙間G1へと向かう作動油の流れは、第1スナップリング35の径方向内側と収容凹部42cとの間のわずかな隙間を通ることになるため、いわゆるベンチュリ効果により第1スナップリング35の内径側の圧力は著しく低下する。
【0064】
このように第1スナップリング35の内径側が臨む領域の圧力が低下すると、拡径方向に作用する第1スナップリング35の弾性力に対抗し第1スナップリング35を縮径させる方向に作用する流体力が第1スナップリング35の内径側に生じることによって第1スナップリング35の外径が小さくなり、結果として、
図5Cに示すように、第1スナップリング35の外径側が環状凹部30bから離れ、第1ロッドアッシー30から第1スナップリング35が外れてしまうおそれがある。
【0065】
これに対して、本実施形態の油圧シリンダ100では、
図6に示すように、第1内側ピストン部42の外周面42aと第1ロッドアッシー30の内周面30aと第1スナップリング35とにより画定される隙間G1と、反ロッド側室5と、を連通する連通路としての貫通孔32c,42dが、第1ロッドアッシー30と第2ロッドアッシー40とにそれぞれ設けられている。
【0066】
第1ロッドアッシー30に連通路として設けられる貫通孔32cは、一端が反ロッド側室5に開口し、他端が隙間G1に開口するように形成された切削孔であり、第1ロッドアッシー30の外側ピストン部32に周方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0067】
第2ロッドアッシー40に連通路として設けられる貫通孔42dは、貫通孔32cと同様に、一端が反ロッド側室5に開口し、他端が隙間G1に開口するように形成された切削孔であり、第2ロッドアッシー40の第1内側ピストン部42に周方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0068】
このように、隙間G1と反ロッド側室5とを貫通孔32c,42dを通じて連通させておくことによって、上述のように、隙間G1の容積が急速に大きくなったとしても、隙間G1と反ロッド側室5との圧力差が大きくなることが抑制されるため、第1スナップリング35の径方向内側を通り反ロッド側室5から隙間G1へと向かう作動油の流れは小さくなる。
【0069】
さらに、隙間G1へは、第1スナップリング35の径方向内側と収容凹部42cとの間の隙間だけではなく、貫通孔32c,42dを通じて反ロッド側室5から作動油が流入することになることから、隙間G1内の圧力の低下度合が緩和されるとともに、第1スナップリング35の内径側が臨む領域の圧力が極端に低下することが抑制される。
【0070】
これにより、拡径方向に作用する第1スナップリング35の弾性力に対抗し第1スナップリング35を縮径させる方向に作用する流体力が第1スナップリング35の内径側に生じることが抑制され、結果として、第1ロッドアッシー30から第1スナップリング35が外れることを防止することができる。
【0071】
なお、貫通孔32c,42dは、第1ロッドアッシー30と第2ロッドアッシー40とにそれぞれ設けられているが、第1ロッドアッシー30及び第2ロッドアッシー40の何れか一方のみに設けられていてもよい。
【0072】
また、第1スナップリング35だけではなく、外径側が第2環状凹部40bに収容され内径側が第2収容凹部52bに収容される第2スナップリング45が第2ロッドアッシー40から外れてしまうことを防止するために、
図6に示すように、第2内側ピストン部52の外周面52aと第2ロッドアッシー40の内周面40aと第2スナップリング45とにより画定される第2隙間G2と、反ロッド側室5と、を連通する連通路としての貫通孔52cを第3ロッドアッシー50に設けてもよい。
【0073】
第3ロッドアッシー50に連通路として設けられる貫通孔52cは、一端が反ロッド側室5に開口し、他端が第2隙間G2に開口するように形成された切削孔であり、第3ロッドアッシー50の第2内側ピストン部52に周方向に間隔をあけて複数設けられる。なお、第3ロッドアッシー50だけではなく、第2ロッドアッシー40にも第2隙間G2と反ロッド側室5とを連通する連通路となる貫通孔を形成してもよい。
【0074】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0075】
上記構成の油圧シリンダ100では、第1内側ピストン部42の外周面42aと第1ロッドアッシー30の内周面30aと第1スナップリング35とにより画定される隙間G1と、反ロッド側室5と、を連通する貫通孔32c,42dが、第1ロッドアッシー30及び第2ロッドアッシー40の少なくとも一方に設けられている。
【0076】
このように、隙間G1と反ロッド側室5とを貫通孔32c,42dを通じて連通させておくことによって、油圧シリンダ100が最も収縮した状態にあるときに、油圧シリンダ100を強制的に伸長させるような外力が急に作用し、第1ロッドアッシー30がシリンダチューブ10とともに伸長方向へと変位し、第1スナップリング35が収容凹部42cから瞬時に離れ、隙間G1の容積が急速に大きくなったとしても、隙間G1と反ロッド側室5との圧力差が大きくなることが抑制される。
【0077】
これにより隙間G1内の圧力の低下度合が緩和されるとともに、第1スナップリング35の内径側が臨む領域の圧力が極端に低下することが抑制されるため、拡径方向に作用する第1スナップリング35の弾性力に対抗し第1スナップリング35を縮径させる方向に作用する流体力が第1スナップリング35の内径側に生じることが抑制される。この結果、第1ロッドアッシー30から第1スナップリング35が外れることを防止することができる。
【0078】
なお、次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0079】
上記実施形態において、連通路は、一端が反ロッド側室5に開口し他端が隙間G1に開口する貫通孔32c,42dである。これに代えて、連通路は、
図7に示す第1変形例のように、第1ロッドアッシー30の内周面30aを軸方向に沿って切り欠くことによって形成された切欠溝32dや第1内側ピストン部42の外周面42aを軸方向に沿って切り欠くことによって形成された切欠溝42eであってもよい。なお、
図7は、上記実施形態の変形例を示す図であって、
図6に相当する部分を示す図である。
【0080】
第1ロッドアッシー30に連通路として設けられる切欠溝32dは、外側ピストン部32の周方向において所定の大きさの幅を有し、反ロッド側室5に臨む第1ロッドアッシー30の端面から環状凹部30bを越えて軸方向に沿って形成された溝であり、第1ロッドアッシー30の外側ピストン部32に周方向に間隔をあけて複数設けられる。また、第1ロッドアッシー30の内周面30aからの切欠溝32dの深さは環状凹部30bよりも深く形成される。このように
図7に示す断面視において、環状凹部30bを囲むように切欠溝32dを形成することにより、反ロッド側室5と隙間G1とは切欠溝32dを通じて常時連通される。
【0081】
なお、切欠溝32dは、反ロッド側室5と隙間G1とを連通可能に形成されていれば、軸方向において反ロッド側室5に臨む第1ロッドアッシー30の端面に至って形成されていなくともよいが、加工性を容易にするためには、上述のように第1ロッドアッシー30の端面において開口して形成される方が好ましい。
【0082】
第2ロッドアッシー40に連通路として設けられる切欠溝42eは、第1内側ピストン部42の周方向において所定の大きさの幅を有し、反ロッド側室5に臨む第2ロッドアッシー40の端面から収容凹部42cを越えて軸方向に沿って形成された溝であり、第2ロッドアッシー40の第1内側ピストン部42に周方向に間隔をあけて複数設けられる。また、切欠溝42eは、径方向において、第1内側ピストン部42の外周面42aと第2ロッドアッシー40の内周面40aとにおいて開口している。このように
図7に示す断面視において、収容凹部42cを囲むように切欠溝42eを形成することにより、反ロッド側室5と隙間G1とは切欠溝42eを通じて常時連通される。なお、切欠溝42eは、反ロッド側室5と隙間G1とを連通可能に形成されていれば、径方向において第2ロッドアッシー40の内周面40aに至って形成されていなくともよい。
【0083】
このように第1変形例においても隙間G1と反ロッド側室5とは、切欠溝32d,42eを通じて連通することから、上記実施形態と同様に、第1ロッドアッシー30から第1スナップリング35が外れることを防止することができる。
【0084】
また、第1変形例においても、第1スナップリング35だけではなく、第2ロッドアッシー40に設けられる第2スナップリング45が外れてしまうことを防止するために、第2隙間G2と反ロッド側室5とを連通する連通路となる切欠溝52dを第3ロッドアッシー50に設けてもよい。
【0085】
第3ロッドアッシー50に連通路として設けられる切欠溝52dは、第2内側ピストン部52の周方向において所定の大きさの幅を有し、反ロッド側室5に臨む第3ロッドアッシー50の端面から第2収容凹部52bを越えて軸方向に沿って形成された溝であり、第3ロッドアッシー50の第2内側ピストン部52に周方向に間隔をあけて複数設けられる。なお、第3ロッドアッシー50だけではなく、第2ロッドアッシー40にも第2隙間G2と反ロッド側室5とを連通する切欠溝を形成してもよい。
【0086】
また、上記実施形態において、連通路は、第1ロッドアッシー30に対して新たに形成された貫通孔32c,42dである。これに代えて、連通路は、
図8に示す第2変形例のように、第1スナップリング35を第1ロッドアッシー30から取り外す際に治具がねじ込まれるネジ孔32eや第2スナップリング45を第2ロッドアッシー40から取り外す際に治具がねじ込まれるネジ孔42fを利用するものであってもよい。なお、
図8は、上記実施形態の変形例を示す図であって、
図6に相当する部分を示す図である。
【0087】
第1ロッドアッシー30に連通路として形成されるネジ孔32eは、一端が外側ピストン部32の外周面32aにおいて開口し、他端が第1ロッドアッシー30の内周面30aに形成された環状凹部30bにおいて開口するように第1ロッドアッシー30を径方向に貫通して形成された雌ネジ孔であり、第1ロッドアッシー30の外側ピストン部32に周方向に間隔をあけて複数設けられる。そして、ネジ孔32eの雌ネジ内径の大きさは、第1スナップリング35の線径、すなわち、軸方向における環状凹部30bの幅よりも大きく設定されている。このため、第1ロッドアッシー30の内周面30aにおいて開口するネジ孔32eの開口端は、環状凹部30bに収容された第1スナップリング35により2つに分断され、一方は反ロッド側室5に開口し、他方は隙間G1に開口することになる。したがって、反ロッド側室5と隙間G1とは、ネジ孔32eの内部を通じて常時連通した状態となる。
【0088】
第2ロッドアッシー40に連通路として形成されるネジ孔42fは、一端が第1内側ピストン部42の外周面42aにおいて開口し、他端が第2ロッドアッシー40の内周面40aに形成された第2環状凹部40bにおいて開口するように第2ロッドアッシー40を径方向に貫通して形成された雌ネジ孔であり、第2ロッドアッシー40の第1内側ピストン部42に周方向に間隔をあけて複数設けられる。そして、ネジ孔42fの雌ネジ内径の大きさは、第2スナップリング45の線径、すなわち、軸方向における第2環状凹部40bの幅よりも大きく設定されている。このため、第2ロッドアッシー40の内周面40aにおいて開口するネジ孔42fの開口端は、第2環状凹部40bに収容された第2スナップリング45により2つに分断され、一方は反ロッド側室5に開口し、他方は第2隙間G2に開口することになる。そして、ネジ孔42fは、隙間G1を画定する第1内側ピストン部42の外周面42aにおいても開口していることから、反ロッド側室5と隙間G1とは、ネジ孔42fの内部を通じて常時した状態となる。
【0089】
このように第2変形例においても隙間G1と反ロッド側室5とは、ネジ孔32e,42fを通じて連通することから、上記実施形態と同様に、第1ロッドアッシー30から第1スナップリング35が外れることを防止することができる。また、ネジ孔32e,42fのようにスナップリング35,45を取り外す際に用いられる孔を連通路として利用することによって、連通路を別途形成する場合と比較し、油圧シリンダ100の製造コストを低減することができる。
【0090】
また、第2変形例において、反ロッド側室5と第2隙間G2とはネジ孔42fの内部を通じて常時連通されることから、第1スナップリング35だけではなく、第2ロッドアッシー40に設けられる第2スナップリング45が外れてしまうことを防止することもできる。
【0091】
なお、第2変形例において、連通路として形成される孔はネジ孔32e,42fであるが、これに代えて、連通路は、隙間G1と反ロッド側室5とを連通することが可能な大きさの内径を有する単なる貫通孔であってもよい。
【0092】
具体的には、ネジ孔32eに代えて貫通孔を第1ロッドアッシー30に設ける場合、貫通孔の内径の大きさは、第1スナップリング35の線径、すなわち、軸方向における環状凹部30bの幅よりも大きく設定される。また、ネジ孔42fに代えて貫通孔を第2ロッドアッシー40に設ける場合、貫通孔の内径の大きさは、第2スナップリング45の線径、すなわち、軸方向における第2環状凹部40bの幅よりも大きく設定される。
【0093】
このような貫通孔は、一端が外周面32aにおいて開口し他端が環状凹部30bにおいて開口していれば、その形成方向は自由であるが、各スナップリング35,45を取り外すための治具の挿入孔として貫通孔を用いる場合には、貫通孔は軸方向に対して直交するとともに径方向に沿って形成されることが好ましい。
【0094】
また、上記実施形態において、第1ロッドアッシー30に設けられる連通路は、第1ロッドアッシー30に形成された単一の貫通孔32cである。これに代えて、連通路は、
図9に示す第3変形例のように、第1ロッドアッシー30に形成された複数の連通路(32f,32g)からなるものであってもよい。なお、
図9は、上記実施形態の変形例を示す図であって、
図6に相当する部分を示す図である。
【0095】
第1ロッドアッシー30に連通路として設けられる貫通孔32fは、一端が外側ピストン部32の外周面32aにおいて開口し、他端が隙間G1に開口するように形成された切削孔であり、第1ロッドアッシー30の外側ピストン部32に周方向に間隔をあけて複数設けられる。また、第1ロッドアッシー30に連通路として設けられる切欠溝32gは、反ロッド側室5に臨む第1ロッドアッシー30の端面に形成された溝であり、外側ピストン部32の径方向に沿って外側ピストン部32の外周面32aに至って形成される。切欠溝32gは、第1ロッドアッシー30の外側ピストン部32に周方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0096】
このように形成された貫通孔32fと切欠溝32gとは、外側ピストン部32の外周面32aとシリンダチューブ10の内周面10aとにより画定される第3隙間G3を通じて、反ロッド側室5と隙間G1とを常時連通する連通路となる。このように第3変形例においても隙間G1と反ロッド側室5とは、貫通孔32fと切欠溝32gとを通じて連通することから、上記実施形態と同様に、第1ロッドアッシー30から第1スナップリング35が外れることを防止することができる。
【0097】
また、上記実施形態において、第1ロッドアッシー30に設けられる連通路は、反ロッド側室5と隙間G1とを常時連通している。これに代えて、連通路は、
図10に示す第4変形例のように、第1ロッドアッシー30に対してシリンダチューブ10が僅かに相対移動したとき、すなわち、シリンダチューブ10の内周面10aと凹部10bとの間に形成された段部10cに当接する第1ロッドアッシー30の端面30cが段部10cから僅かに離れたときに反ロッド側室5と隙間G1とを連通するものであってもよい。なお、
図10は、上記実施形態の変形例を示す図であって、
図6に相当する部分を示す図である。
【0098】
第1ロッドアッシー30に連通路として設けられる貫通孔32hは、一端が外側ピストン部32の外周面32aにおいて開口し、他端が隙間G1に開口するように形成された切削孔であり、第1ロッドアッシー30の外側ピストン部32に周方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0099】
このように形成された貫通孔32hは、第1ロッドアッシー30に対してシリンダチューブ10が相対移動し、第1ロッドアッシー30の端面30cが段部10cから離れたときに、端面30cと段部10cとの間に形成される隙間を通じて反ロッド側室5と連通する流体室としての第3隙間G3に対して隙間G1を連通させている。つまり、貫通孔32hは、端面30cと段部10cとの間に形成される隙間と、外側ピストン部32の外周面32aとシリンダチューブ10の内周面10aとにより画定される第3隙間G3と、を通じて、反ロッド側室5と隙間G1とを連通することになる。
【0100】
このように第4変形例においても隙間G1と反ロッド側室5とは、貫通孔32hを通じて連通することから、上記実施形態と同様に、第1ロッドアッシー30から第1スナップリング35が外れることを防止することができる。
【0101】
また、上記実施形態において、各スナップリング35,45の断面形状は円形である。各スナップリング35,45の断面形状は、円形に限定されず、楕円状や矩形状であってもよい。
【0102】
また、上記実施形態において、油圧シリンダ100は、シリンダチューブ10内に3つのロッド部材(第1ロッドアッシー30,第2ロッドアッシー40,第3ロッドアッシー50)が径方向において重なって設けられた三段式の油圧シリンダ100である。これに対し、油圧シリンダ100は、シリンダチューブ10内に二つのロッド部材が径方向に重なって設けられた二段式のものであってもよいし、四つ以上のロッド部材が径方向において重なって設けられたものであってもよい。
【0103】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0104】
油圧シリンダ100は、シリンダチューブ10と、シリンダチューブ10の内周面10aに沿って摺動しシリンダチューブ10内をロッド側室2と反ロッド側室5とに区画する外側ピストン部32が端部に設けられた筒状の第1ロッドアッシー30と、第1ロッドアッシー30の内周面30aに沿って摺動する第1内側ピストン部42が端部に設けられた第2ロッドアッシー40と、第1ロッドアッシー30の内周面30aに形成された環状凹部30bに外径側が収容され第2ロッドアッシー40の収縮方向への移動を制限するスナップリング35と、を備え、第1内側ピストン部42には、第2ロッドアッシー40が収縮した際にスナップリング35の内径側を収容する収容凹部42cが設けられ、第1ロッドアッシー30及び第2ロッドアッシー40の少なくとも一方には、スナップリング35が収容凹部42cに収容され第1内側ピストン部42に当接している状態においてスナップリング35と第1内側ピストン部42の外周面42aと第1ロッドアッシー30の内周面30aとにより画定される隙間G1を、反ロッド側室5または第1ロッドアッシー30に対してシリンダチューブ10が相対移動することにより反ロッド側室5と連通する第3隙間G3に連通させる連通路(32c,32d,32e,32f,32g,32h,42d,42e,42f)が設けられる。
【0105】
この構成では、第1内側ピストン部42の外周面42aと第1ロッドアッシー30の内周面30aと第1スナップリング35とにより画定される隙間G1と、反ロッド側室5または反ロッド側室5と連通する第3隙間G3と、を連通する連通路(32c,32d,32e,32f,32g,32h,42d,42e,42f)が、第1ロッドアッシー30及び第2ロッドアッシー40の少なくとも一方に設けられている。
【0106】
このように、隙間G1と反ロッド側室5とを連通路(32c,32d,32e,32f,32g,42d,42e,42f)を通じて連通させておく、または、第1ロッドアッシー30に対してシリンダチューブ10が相対移動することにより反ロッド側室5と連通する第3隙間G3と隙間G1とを連通路(32h)を通じて連通させておくことによって、油圧シリンダ100が最も収縮した状態にあるときに、油圧シリンダ100を強制的に伸長させるような外力が急に作用し、第1ロッドアッシー30がシリンダチューブ10とともに伸長方向へと変位し、第1スナップリング35が収容凹部42cから瞬時に離れ、隙間G1の容積が急速に大きくなったとしても、隙間G1と反ロッド側室5との圧力差が大きくなることが抑制される。
【0107】
これにより隙間G1内の圧力の低下度合が緩和されるとともに、第1スナップリング35の内径側が臨む領域の圧力が極端に低下することが抑制されるため、拡径方向に作用する第1スナップリング35の弾性力に対抗し第1スナップリング35を縮径させる方向に作用する流体力が第1スナップリング35の内径側に生じることが抑制される。この結果、第1ロッドアッシー30から第1スナップリング35が外れることを防止することができる。
【0108】
また、連通路は、第1ロッドアッシー30及び第2ロッドアッシー40の少なくとも一方に形成された貫通孔32c,42dであり、貫通孔32c,42dは、一端が反ロッド側室5に開口し、他端が隙間G1に開口する。
【0109】
この構成では、連通路が、一端が反ロッド側室5に開口し、他端が隙間G1に開口するように形成された貫通孔32c,42dである。このように第1ロッドアッシー30及び第2ロッドアッシー40に容易に形成することが可能な貫通孔32c,42dを、隙間G1と反ロッド側室5とを連通する連通路として用いることにより、油圧シリンダ100の製造コストをあまり増大させることなく、第1ロッドアッシー30から第1スナップリング35が外れることを防止することができる。
【0110】
また、連通路は、第1ロッドアッシー30の内周面30a及び第1内側ピストン部42の外周面42aの少なくとも一方に軸方向に沿って切り欠かれた切欠溝32d,42eである。
【0111】
この構成では、連通路が、第1ロッドアッシー30の内周面30aや第1内側ピストン部42の外周面42aに軸方向に沿って切り欠かれた切欠溝32d,42eである。このように第1ロッドアッシー30及び第2ロッドアッシー40に容易に形成することが可能な切欠溝32d,42eを、隙間G1と反ロッド側室5とを連通する連通路として用いることにより、油圧シリンダ100の製造コストをあまり増大させることなく、第1ロッドアッシー30から第1スナップリング35が外れることを防止することができる。
【0112】
また、切欠溝32d,42eは、反ロッド側室5に臨む第1ロッドアッシー30の端面及び第2ロッドアッシー40の端面の少なくとも一方から軸方向に沿って形成される。
【0113】
この構成では、切欠溝32d,42eが、反ロッド側室5に臨む第1ロッドアッシー30の端面や第2ロッドアッシー40の端面から軸方向に沿って形成される。このように反ロッド側室5に臨む第1ロッドアッシー30の端面や第2ロッドアッシー40の端面から切欠溝32d,42eを軸方向に沿って形成することで隙間G1と反ロッド側室5とを連通可能な連通路を容易に形成することができる。
【0114】
また、連通路は、一端が外側ピストン部32の外周面32aにおいて開口し、他端が環状凹部30bにおいて開口するネジ孔32eであり、ネジ孔32eの雌ネジ内径は、スナップリング35の線径よりも大きい。
【0115】
この構成では、連通路が、一端が外側ピストン部32の外周面32aにおいて開口し、他端が環状凹部30bにおいて開口するネジ孔32eである。このように環状凹部30bからスナップリング35を取り外す際に治具がねじ込まれるネジ孔32eを連通路として利用することにより、油圧シリンダ100の製造コストを増大させることなく、第1ロッドアッシー30から第1スナップリング35が外れることを防止することができる。
【0116】
また、油圧シリンダ100は、第2ロッドアッシー40の内周面40aに沿って摺動する第2内側ピストン部52が端部に設けられた第3ロッドアッシー50と、第2ロッドアッシー40の内周面40aに形成された第2環状凹部40bに外径側が収容され第3ロッドアッシー50の収縮方向への移動を制限する第2スナップリング45と、をさらに備え、連通路は、一端が第1内側ピストン部42の外周面42aにおいて開口し、他端が第2環状凹部40bにおいて開口するネジ孔42fであり、ネジ孔42fの雌ネジ内径は、第2スナップリング45の線径よりも大きい。
【0117】
この構成では、連通路が、一端が第1内側ピストン部42の外周面42aにおいて開口し、他端が第2環状凹部40bにおいて開口するネジ孔42fである。このように第2環状凹部40bから第2スナップリング45を取り外す際に治具がねじ込まれるネジ孔42fを連通路として利用することにより、油圧シリンダ100の製造コストを増大させることなく、第1ロッドアッシー30から第1スナップリング35が外れることを防止することができる。
【0118】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0119】
100・・・多段式油圧シリンダ(多段式流体圧シリンダ)、2・・・ロッド側室、5・・・反ロッド側室、10・・・シリンダチューブ、30・・・第1ロッドアッシー(外側ロッド部材)、30b・・・環状凹部、32・・・外側ピストン部、32c・・・貫通孔(連通路)、32d・・・切欠溝(連通路)、32e・・・ネジ孔(連通路)、32f・・・貫通孔(連通路)、32g・・・切欠溝(連通路)、32h・・・貫通孔(連通路)、35・・・第1スナップリング(スナップリング)、40・・・第2ロッドアッシー(内側ロッド部材)、40b・・・第2環状凹部、42・・・第1内側ピストン部(内側ピストン部)、42c・・・収容凹部、42d・・・貫通孔(連通路)、42e・・・切欠溝(連通路)、42f・・・ネジ孔(連通路)、45・・・第2スナップリング、50・・・第3ロッドアッシー(第2内側ロッド部材)、52・・・第2内側ピストン部、52b・・・第2収容凹部、G1・・・隙間、G3・・・第3隙間(流体室)