(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036802
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】実装ヘッド
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20220301BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20220301BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H05K13/04 B
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141183
(22)【出願日】2020-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】519231500
【氏名又は名称】ハンファ精密機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小畑 秀行
(72)【発明者】
【氏名】杉本 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】パク ガンジェ
【テーマコード(参考)】
5E353
5F044
5F047
【Fターム(参考)】
5E353BB03
5E353JJ29
5E353PP02
5E353QQ12
5F044KK01
5F044PP15
5F044PP16
5F047AA17
5F047FA08
5F047FA38
5F047FA84
(57)【要約】
【課題】半導体チップを真空吸着する吸着具と、この吸着具の吸着面(下面)を基板面と平行にするための倣い機構とを備える実装ヘッドにおいて、吸着具の回転動作や倣い機構の倣い動作に支障を来すことなく、吸着具に対して正圧と負圧を選択的に供給できるようにする。
【解決手段】上下方向に移動可能なヘッド本体10に、スピンドル30がZ軸周りに回転可能に取り付けられ、スピンドル30の下端部に、倣い機構50を介して、半導体チップを真空吸着する吸着具60が取り付けられている実装ヘッド1であって、倣い機構50をZ軸周りに回転可能に保持するハウジング80を備えると共に、ハウジング80とヘッド本体10との間に介在し、ヘッド本体10に対するハウジング80のZ軸周りの回転を規制する回り止め機構を備える。ハウジングには正圧又は負圧を供給するためのエア給排ポートが設けられており、エア給排ポートは、エア通路を通じて吸着具60に連通している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に移動可能なヘッド本体に、スピンドルがその上下方向軸であるZ軸周りに回転可能に取り付けられ、前記スピンドルの下端部に、倣い機構を介して、半導体チップを真空吸着する吸着具が取り付けられている実装ヘッドであって、
前記倣い機構をZ軸周りに回転可能に保持するハウジングを備えると共に、前記ハウジングと前記ヘッド本体との間に介在し、前記ヘッド本体に対する前記ハウジングのZ軸周りの回転を規制する回り止め機構を備え、
前記ハウジングには正圧又は負圧を供給するためのエア給排ポートが設けられており、
前記エア給排ポートは、エア通路を通じて前記吸着具に連通している、実装ヘッド。
【請求項2】
前記回り止め機構は、前記ヘッド本体に対する前記ハウジングのZ軸方向の移動を許容する、請求項1に記載の実装ヘッド。
【請求項3】
前記倣い機構は、下面部に凹状半球面及び凸状半球面のいずれか一方である第1倣い面を有する上部ブロックと、上面部に凹状半球面及び凸状半球面のいずれか他方である第2倣い面を有する下部ブロックとを備え、前記第1倣い面に対して前記第2倣い面が倣うことにより、前記上部ブロックに対して前記下部ブロックが搖動可能となっており、前記下部ブロックの下面側に前記吸着具が取り付けられる、請求項1又は2に記載の実装ヘッド。
【請求項4】
前記上部ブロックは、前記エア通路から分岐して前記第1倣い面に通じる分岐エア通路を有し、前記エア給排ポートに供給される正圧が、前記エア通路及び前記分岐エア通路を通じて前記第1倣い面から前記第2倣い面に向けて供給される、請求項3に記載の実装ヘッド。
【請求項5】
前記倣い機構は、ピストンシリンダと、前記ピストンシリンダ内にZ軸方向に移動可能に配置されたピストンロッドとをさらに備え、
前記ピストンシリンダは、前記ハウジングに対してZ軸周りに回転可能かつZ軸方向に移動不能に装着され、前記ピストンシリンダの上端部には前記スピンドルの下端部が固定され、前記ピストンシリンダの下端部には前記上部ブロックが固定され、
前記ピストンロッドの下端部には前記下部ブロックが搖動可能に支持され、
前記ハウジングには正圧を供給するためのエア供給ポートが設けられており、前記エア供給ポートに供給される正圧が前記ピストンシリンダ内に供給され、この正圧によって前記ピストンロッドがZ軸方向上方に付勢される、請求項4に記載の実装ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップを基板に実装する実装装置の実装ヘッドに関する。
なお、本明細書において「半導体チップ」とは、ダイシングされた半導体素子、パッケージ化された電子部品等を総称するものである。また、本明細書において「基板」とは、ダイシングされた半導体素子をボンディングする支持体、パッケージ化された電子部品を搭載するプリント基板等を総称するものである。
【背景技術】
【0002】
従来一般的に実装装置の実装ヘッドは、上下方向に移動可能なヘッド本体に、スピンドルがその上下方向軸であるZ軸周りに回転可能に取り付けられ、このスピンドルの下端部に半導体チップを真空吸着するためのコレットやノズルなどの吸着具が取り付けられる構成となっている。このような実装ヘッドにおいて高品質の実装を実現するには、半導体チップを真空吸着する吸着具の吸着面(下面)と基板面とを常に平行に保つ必要がある。そこで、吸着具の吸着面(下面)と基板面とが平行でない場合に、吸着具の吸着面(下面)を基板面と平行にするために、例えば特許文献1~3に開示されているような倣い機構を、スピンドルと吸着具との間に介在させることが考えられる。
【0003】
しかし、半導体チップを真空吸着する吸着具を備える実装ヘッドにおいては、吸着具に対して正圧と負圧を選択的に供給する必要があるところ、そのための構成は特許文献1~3には開示されていない。単純には、正圧又は負圧を供給するためのエア給排ポートを吸着具に設ければよいが、吸着具はZ軸周りに回転することから、吸着具にエア給排ポートを設けると、そのエア給排ポートに接続されるエア配管が吸着具の回転に伴い引きずられて連れ回りするなどして、吸着具の回転動作に支障を来すことになる。また、吸着具は倣い機構の下部ブロック(搖動体)の下面側に取り付けられることになるが、吸着具にエア給排ポートを設けた場合、そのエア給排ポートに接続されるエア配管の分も含めて吸着具の重量や配管抵抗が大きくなり、下部ブロック(搖動体)の搖動による倣い動作に支障を来すことになる。さらに、エア給排ポートを倣い機構に設けた場合も同様に、倣い機構の回転動作や倣い動作に支障を来すことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-141361号公報
【特許文献2】特開2010-27988号公報
【特許文献3】特開2016-51857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、半導体チップを真空吸着する吸着具と、この吸着具の吸着面(下面)を基板面と平行にするための倣い機構とを備える実装ヘッドにおいて、吸着具の回転動作や倣い機構の倣い動作に支障を来すことなく、吸着具に対して正圧と負圧を選択的に供給できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、次の1~5の実装ヘッドが提供される。
1.
上下方向に移動可能なヘッド本体に、スピンドルがその上下方向軸であるZ軸周りに回転可能に取り付けられ、前記スピンドルの下端部に、倣い機構を介して、半導体チップを真空吸着する吸着具が取り付けられている実装ヘッドであって、
前記倣い機構をZ軸周りに回転可能に保持するハウジングを備えると共に、前記ハウジングと前記ヘッド本体との間に介在し、前記ヘッド本体に対する前記ハウジングのZ軸周りの回転を規制する回り止め機構を備え、
前記ハウジングには正圧又は負圧を供給するためのエア給排ポートが設けられており、
前記エア給排ポートは、エア通路を通じて前記吸着具に連通している、実装ヘッド。
2.
前記回り止め機構は、前記ヘッド本体に対する前記ハウジングのZ軸方向の移動を許容する、前記1に記載の実装ヘッド。
3.
前記倣い機構は、下面部に凹状半球面及び凸状半球面のいずれか一方である第1倣い面を有する上部ブロックと、上面部に凹状半球面及び凸状半球面のいずれか他方である第2倣い面を有する下部ブロックとを備え、前記第1倣い面に対して前記第2倣い面が倣うことにより、前記上部ブロックに対して前記下部ブロックが搖動可能となっており、前記下部ブロックの下面側に前記吸着具が取り付けられる、前記1又は2に記載の実装ヘッド。
4.
前記上部ブロックは、前記エア通路から分岐して前記第1倣い面に通じる分岐エア通路を有し、前記エア給排ポートに供給される正圧が、前記エア通路及び前記分岐エア通路を通じて前記第1倣い面から前記第2倣い面に向けて供給される、前記3に記載の実装ヘッド。
5.
前記倣い機構は、ピストンシリンダと、前記ピストンシリンダ内にZ軸方向に移動可能に配置されたピストンロッドとをさらに備え、
前記ピストンシリンダは、前記ハウジングに対してZ軸周りに回転可能かつZ軸方向に移動不能に装着され、前記ピストンシリンダの上端部には前記スピンドルの下端部が固定され、前記ピストンシリンダの下端部には前記上部ブロックが固定され、
前記ピストンロッドの下端部には前記下部ブロックが搖動可能に支持され、
前記ハウジングには正圧を供給するためのエア供給ポートが設けられており、前記エア供給ポートに供給される正圧が前記ピストンシリンダ内に供給され、この正圧によって前記ピストンロッドがZ軸方向上方に付勢される、前記4に記載の実装ヘッド。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吸着具の回転動作や倣い機構の倣い動作に支障を来すことなく、吸着具に対して正圧と負圧を選択的に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態である実装ヘッドの全体構成を示す概念図。
【
図2】本発明の一実施形態における倣い機構をハウジングに保持した状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、本発明の一実施形態である実装ヘッドの全体構成を概念的に示している。
同図に示す実装ヘッド1は上下方向に移動可能なヘッド本体10を備えている。ヘッド本体10は、モータ20によってボールねじ機構21を回転駆動させることにより上下方向に移動する。そして、このヘッド本体10に、スピンドル30がその上下方向軸であるZ軸周りに回転可能に取り付けられている。スピンドル30は、モータ40によってベルト機構41を回転駆動させることによりZ軸周りに回転する。
【0010】
スピンドル30の下端部には、倣い機構50を介して、半導体チップを真空吸着する吸着具としてコレット60が取り付けられている。また、スピンドル30の上端は、エアシリンダ機構70のシリンダロッド71に接続されている。エアシリンダ機構70には所定圧のエアが充填されており、空気ばねとしての機能を有する。なお、詳細は後述するが、倣い機構50による倣い動作の際、モータ20の駆動によりヘッド本体10と一緒にスピンドル30を下降させてコレット60の下面を基板面2にタッチさせた後さらに所定量(0.5mm程度)下降させる。このとき、スピンドル30は、エアシリンダ機構70の空気ばね機能によりヘッド本体10に対して相対的に上方向に移動する。また、倣い動作完了後、ヘッド本体10と一緒にスピンドル30を上昇させると、スピンドル30はエアシリンダ機構70の空気ばね機能によりヘッド本体10に対して相対的に下方向に移動して初期位置(原点位置)に復帰する。
【0011】
このように、本実施形態においてスピンドル30は、ヘッド本体10に対してZ軸周りに回転可能かつZ軸方向に移動可能である。なお、本実施形態においてスピンドル30は、回転あるいは移動の際、スピンドルガイド31によってガイドされることで、円滑に回転あるいは移動することができる。
【0012】
倣い機構50は、ハウジング80に、Z軸周りに回転可能に保持されている。そして、ヘッド本体10とハウジング80との間には回り止め機構90が介在している。
【0013】
次に、倣い機構50の詳細について説明する。
図2は倣い機構50をハウジング80に保持した状態の斜視図、
図3はその分解斜視図、
図4は
図2のA-A断面図である。なお、
図4にはコレット60を追加で示している。
倣い機構50は、ピストンシリンダ51と、ピストンロッド52と、上部ブロック53と、下部ブロック54とを有する。
【0014】
ピストンシリンダ51は本体部51aと蓋部51bとを組み合わせてなり、上下2箇所に配置されるベアリング55a,55bを介してハウジング80に対してZ軸周りに回転可能に装着されている。ピストンシリンダ51の上端部である蓋部51bには、スピンドル30の下端部が固定されている。このため、スピンドル30がZ軸周りに回転すると、ピストンシリンダ51もZ軸周りに回転する。なお、ピストンシリンダ51はハウジング80に対してZ軸方向には移動不能に装着されている。
ピストンロッド52は、上部ロッド52aと下部ロッド52bとを一体化してなり、ピストンシリンダ51内にZ軸方向に移動可能に配置されている。
ハウジング80には正圧(加圧エア)を供給するためのエア供給ポート81が設けられている。そして、このエア供給ポート81に供給される正圧(例えば0.5MPa程度)が正圧通路82を通じてピストンシリンダ51内に供給され、この正圧によってピストンロッド52がZ軸方向上方に付勢される。なお、この正圧によるZ軸方向上方への付勢力を十分に確保するため、ピストンシリンダ51及びピストンロッド52の上端部はフランジ状に拡大されている。
【0015】
上部ブロック53は、その下面部に凹状半球面をなす第1倣い面53aを有しており、ピストンシリンダ51の本体部51aの下端部に固定されている。
下部ブロック54は、その上面部に凸状半球面をなす第2倣い面54aを有しており、ピストンロッド52の下部ロッド52bの下端部に形成されたフランジ状の支持部52b-1に搖動可能に支持されている。そして、上部ブロック53の第1倣い面53aに対して下部ブロック54の第2倣い面54aが倣うことにより、上部ブロック53に対して下部ブロック54が搖動可能となっている。
コレット60は、
図4に示すように、下部ブロック54の下面側にコレットホルダ61を介して取り付けられている。
【0016】
ハウジング80には正圧又は負圧を供給するためのエア給排ポート83が設けられている。このエア給排ポート83は
図4に示すように、エア通路100を通じてコレット60の吸着孔60aに連通している。したがって、エア給排ポート83から負圧(例えば-0.1MPa程度)を供給するとエア通路100を通じてコレット60の吸着孔60aに負圧が供給され、これによりコレット60に半導体チップが真空吸着される。その後、エア給排ポート83から正圧(例えば0.2MPa程度)を供給するとエア通路100を通じてコレット60の吸着孔60aに正圧が供給され、これによりコレット60から半導体チップが離脱して基板に実装される。
なお、この一連の実装動作の際には、常にエア供給ポート81から正圧が正圧通路82を通じてピストンシリンダ51内に供給され、この正圧によってピストンロッド52がZ軸方向上方に付勢されることにより、下部ブロック54が上部ブロック53に対して圧接されて搖動不能なロック状態となっている。
【0017】
本実施形態においてエア通路100は、ピストンロッド52(下部ロッド52a)の上下方向中心軸(Z軸)上を通ってコレット60の吸着孔60aに連通している。そして、本実施形態において上部ブロック53は、このエア通路100から分岐して第1倣い面53aに通じる分岐エア通路101を有する。詳細は後述するが、倣い機構50の倣い動作の際に、エア給排ポート83から正圧を供給するとエア通路100及び分岐エア通路101を通じて第1倣い面53aから第2倣い面54aに向けて放射状に正圧が噴出される。これにより、上述のロック状態が解除されて下部ブロック54が上部ブロック53に対して搖動可能なロック解除状態となる。
【0018】
次に、回り止め機構90について説明する。
図5に示すように、回り止め機構90は、ヘッド本体10とハウジング80との間に介在し、ヘッド本体10に対するハウジング80のZ軸周りの回転を規制する。本実施形態において回り止め機構90は回り止めプレート91を含む。回り止めプレート91の一端はヘッド本体10に固定されている。一方、回り止めプレート91の他端には、上下方向に長い長孔(貫通孔)91aが形成されており、この長孔91aに、ハウジング80に設けたベアリング84が、Z軸方向に移動可能に嵌まり込んでいる。これにより、ヘッド本体10に対するハウジング80のZ軸周りの回転は規制され、ヘッド本体10に対するハウジング80のZ軸方向の移動は許容される。
【0019】
次に、倣い機構50による倣い動作について説明する。本実施形態では倣い動作の準備として、コレット60に通じるエア通路100の下端部又は吸着孔60aを閉塞する。例えばエア通路100の下端部を閉塞するためには、コレット60をダミーコレット(図示省略)に交換することができる。ダミーコレットとはコレット60と同じ外形形状を有し、エア通路100の下端部を閉塞するものである。なお、このようなダミーコレットを使用せずに、コレット60を使用したままで何らかの手段でエア通路100の下端部又は吸着孔60aを閉塞するようにしてもよい。そのため以下の説明では、コレット60を使用したままとして説明する。
【0020】
倣い動作の実施前、コレット60の下面の高さ位置は
図1に示すようにZ
0位置(ホーム位置)にある。倣い動作に際しては、コレット60の下面の高さ位置がZ
1位置になるまで、ヘッド本体10を高速(例えば600mm/s程度)で下降させる。コレット60の下面の高さ位置がZ
1位置になったら、エア供給ポート81からの正圧の供給を停止すると共に正圧通路82を大気開放状態にする。これによりピストンロッド52がZ軸方向上方に付勢されなくなり、下部ブロック54が上部ブロック53に対して圧接されなくなる。その後、エア給排ポート83から正圧を一時的に(例えば0.5秒間程度)供給する。この正圧は、正圧エア通路100及び分岐エア通路101を通じて第1倣い面53aから第2倣い面54aに向けて下方に放射状に噴出される。これにより、下部ブロック54が上部ブロック53に対して搖動可能なロック解除状態となる。
【0021】
続いて、コレット60の下面が基板面2にタッチするまで、ヘッド本体10を低速(例えば2mm/s程度)で下降させる。コレット60の下面が基板面2にタッチしたか否かは周知のタッチセンサで検知することができる。コレット60の下面を基板面2にタッチタッチさせた後、さらにヘッド本体10を所定量(0.5mm程度)下降させて、コレット60を基板面2に所定時間(例えば2秒間程度)押し込む。これにより、コレット60を保持している倣い機構50の下部ブロック54が基板面2に倣うように搖動し、コレット60の下面(吸着面)と基板面2とが平行になる。
【0022】
その後、エア給排ポート83から負圧を一時的に(例えば2秒間程度)供給する。この負圧により、倣い機構50の下部ブロック54が上部ブロック53に引き付けられて仮ロック状態となる。さらにその後、エア供給ポート81から正圧を供給する。この正圧によってピストンロッド52がZ軸方向上方に付勢され、下部ブロック54が上部ブロック53に対して圧接されて搖動不能なロック状態となる。最後に、コレット60の下面の高さ位置がZ0位置になるまで、ヘッド本体10を上昇させる。
【0023】
以上のとおり本実施形態では、倣い機構50をZ軸周りに回転可能に保持するハウジング80に、エア供給ポート81及びエア給排ポート83を設けている。そしてハウジング80は、回り止め機構90によってヘッド本体10に対するZ軸周りの回転が規制されている。したがって、スピンドル30の回転に伴い倣い機構50及びコレット60がZ軸周りに回転してもハウジング80は回転しないから、エア供給ポート81及びエア給排ポート83に接続されるエア配管81a,83aが連れ回りすることもない。このように本実施形態によれば、コレット60の回転動作や倣い機構50の倣い動作に支障を来すことなく、コレットに対して正圧と負圧を選択的に供給できる。また、本実施形態では倣い機構50やコレット60にエア供給ポート81やエア給排ポート83を設けていないから、これらを小型化・軽量化することができ、コレット60の回転動作や倣い機構50の倣い動作をスムーズに行うことができる。
【0024】
本実施形態では 上部ブロック53下面部の第1倣い面53aを凹状半球面、下部ブロック54上面部の第2倣い面54aを凸状半球面としたが、これとは逆に上部ブロック53下面部の第1倣い面53aを凸状半球面、下部ブロック54上面部の第2倣い面54aを凹状半球面とすることもできる。また、吸着具としてはコレット60に替えて吸着ノズルを使用することもできる。
【符号の説明】
【0025】
1 実装ヘッド
2 基板面
10 ヘッド本体
20 モータ
21 ボールねじ機構
30 スピンドル
31 スピンドルガイド
40 モータ
41 ベルト機構
50 倣い機構
51 ピストンシリンダ
51a 本体部
51b 蓋部
52 ピストンロッド
52a 上部ロッド
52b 下部ロッド
52b-1 支持部
53 上部ブロック
53a 第1倣い面
54 下部ブロック
54a 第2倣い面
55a,55b ベアリング
60 コレット(吸着具)
60a 吸着孔
61 コレットホルダ
70 エアシリンダ機構
71 シリンダロッド
80 ハウジング
81 エア供給ポート
81a エア配管
82 正圧経路
83 エア給排ポート
83a エア配管
90 回り止め機構
91 回り止めプレート
91a 長孔(貫通孔)
100 エア通路
101 分岐エア通路