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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036855
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】交換自在な金型部品
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/10 20060101AFI20220301BHJP
【FI】
B29C33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141279
(22)【出願日】2020-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】390015624
【氏名又は名称】浦谷商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】浦谷 直斗
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202CA11
4F202CA30
4F202CB01
4F202CK42
4F202CK43
4F202CP03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】交換自在な金型部品であって、金型基盤自体を射出成形機から取り外すことなく、金型を分解することなく、金型基盤の内部に磁石移動など特別な構造を形成する必要がなく、金型基盤自体の大幅な改良を行うことなく、更には金型基盤の型開きの状態から、キャビティー側より交換することができ、樹脂成形作業の効率を高めることに寄与できる金型を提供する。
【解決手段】交換自在な金型部品は、キャビティーV側に留まる受け皿部6と着脱部11から構成され、キャビティーからのガス抜き機能、入れ子を金型基盤に固定する機能を有する着脱部は、受け皿部内の係止機構により係止されており、キャビティー側から磁石を近接させ、外部磁界を印加することで、受け皿部内の磁性体25位置を変化させ、着脱部の受け皿部に対する係止機構を固定状態から解除状態とすることで、着脱部を受け皿部より、キャビティー側から容易に取り外すことができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形用金型基盤のキャビティー内に装着される交換自在な金型部品であって、前記交換自在な金型部品は、
前記成形用金型基盤に形成された凹所に、着脱部が直接的または間接的に遊嵌され、
前記着脱部が前記凹所に直接的に遊嵌された場合には、
前記着脱部が前記凹所から除去される第1の状態と
前記着脱部が前記凹所に収容される第2の状態とを有し、
前記着脱部が前記凹所に間接的に遊嵌された場合には、
前記着脱部が前記凹所に設けられた介装手段から除去される第1の状態と
前記着脱部が前記凹所に設けられた前記介装手段を介して収容される第2の状態とを有し、
前記着脱部に、キャビティー内のガス抜き手段、入れ子を金型基盤に固定する手段からなる群から選択される一種から構成される機能部が含まれてなる
ことを、特徴とする交換自在な金型部品。
【請求項2】
前記着脱部は前記凹所に間接的に遊嵌され、
前記介装手段として、受け皿部を備え、
前記受け皿部は前記成形用金型基盤の凹所に一体的に或は別体として設けられ、
前記受け皿部は着脱部と係脱自在に係合され、
前記受け皿部には、外側面にボール嵌合凹所が設けられた中実円筒状の内側突出部が一体的に或は別体として設けられ、
前記着脱部は、第1の筒状体、逆有底円筒状の磁性体、第2の筒状体および開閉機構とが、外側より同軸状にこの順序で配されてなり、
前記第2の筒状体の側面にはボール口が穿設され、当該ボール口にはボールが嵌着され、
前記第2の筒状体の外側面、内側面は、それぞれ前記磁性体の内側面、前記受け皿部の内側突出部と摺接し、
前記磁性体の内側面には、ボールと当接する当接面と、ボール逃げ部が形成され、かつ当該ボール逃げ部は当該当接面よりも金型側に形成され、
前記第1の状態において、前記ボールは前記ボール逃げ部、前記ボール口と前記開閉機構の内面に囲まれてなる空間に配され、
前記第2の状態において、前記ボールは前記磁性体の当接面、前記ボール口と前記ボール嵌合凹所に囲まれてなる空間に配され、
前記着脱部に、キャビティー内のガス抜き手段から構成される機能部が含まれてなる
ことを特徴とする請求項1に記載の交換自在な金型部品。
【請求項3】
前記着脱部は前記凹所に間接的に遊嵌され、
前記介装手段として、受け皿部および/または入れ子を備え、
前記受け皿部は前記成形用金型基盤または入れ子の凹所に固定され、
前記受け皿部は前記着脱部と係脱自在に係合され、
前記受け皿部は、内側面にボール嵌合凹所が設けられた第3の筒状体または筐体を含み、
前記着脱部は、開閉機構、第4の筒状体、中実円筒状の磁性体とが外側より同軸状にこの順序で配されてなり、
前記第4の筒状体の側面にはボール口が穿設され、当該ボール口にはボールが嵌着され、
前記第4の筒状体の外側面、内側面は、それぞれ前記第3の筒状体または筐体の内側面、前記磁性体の側面と摺接し、
前記磁性体の側面には、ボールと当接する当接面と、ボール逃げ部とが形成され、かつ当該ボール逃げ部は当該当接面よりも金型側に形成され、
前記第1の状態において、前記ボールは前記ボール逃げ部、前記ボール口と前記開閉機構の内面に囲まれてなる空間に配され、
前記第2の状態において、前記ボールは前記当接面、前記ボール口と前記ボール嵌合凹所に囲まれてなる空間に配され、
前記着脱部に、キャビティー内のガス抜き手段、入れ子を金型基盤に固定する手段からなる群から選択される一種から構成される機能部が含まれてなる
ことを特徴とする請求項1に記載の交換自在な金型部品。
【請求項4】
前記受け皿部は、筐体と第1の中実円筒体からなり、
前記筐体は円筒状を呈し、
前記筐体の底面の周辺部に円周に沿って設けられた1つ以上の周辺部孔が設けられ、
前記第1の中実円筒体は、前記筐体と一体的に、当該筐体の内側に同軸状に形成され、当該筐体の底面からキャビティー側に向かって突出し、
前記第1の中実円筒体側面にはボール嵌合凹所が設けられ、
前記着脱部は、第1の筒状体、磁性体、第2の筒状体、開閉機構、第2の中実円筒体、第1付勢手段、第2付勢手段からなるものであり、
前記第1の筒状体は逆有底筒状を呈し、外側面は三面以上の平面からなり、隣接する2つの面に画成される稜線は、前記筐体の円筒状内側面に遊嵌され、
前記第2の筒状体は逆有底筒状を呈し、当該第1の筒状体の内側に同軸状に収容されるとともに、前記第1の筒状体と一体的に固定されて配置され、側面には少なくとも1個のボール口が穿設され、
前記ボール口には少なくとも一個のボールが嵌着され、
前記磁性体は逆有底円筒状を呈し、内側面には当接面と、前記当接面よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部が設けられ、前記第1および前記第2の筒状体の間に同軸状に遊嵌されてなり、
前記開閉機構は、シャッター部であり、該シャッター部は円筒形を呈し、前記第2の筒状体の内側に摺接されてなり、
前記磁性体の下端と第1の筒状体の間に第1付勢手段が介装され、
前記シャッター部の上端と前記第2の筒状体の底面との間に第2付勢手段が介装される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の交換自在な金型部品。
【請求項5】
前記受け皿部は、筐体と第3の筒状体からなり、
前記筐体は円筒状を呈し、
前記筐体の底面の周辺部に円周に沿って設けられた1つ以上の周辺部孔が設けられ、
前記第3の筒状体は円筒状を呈し、前記筐体と一体的に、当該筐体の内側に同軸状に形成され、当該筐体の底面からキャビティー側に向かって突出し、
前記第3の筒状体の内側面にはボール嵌合凹所が設けられ、外側面には雄ネジが刻設され、
前記着脱部は、第1着脱部、第2着脱部からなり、
前記第1着脱部は、開閉機構、第4の筒状体、磁性体、第3の中実円筒体、第1付勢手段および第2付勢手段からなるものであり、
前記第4の筒状体は、キャビティー側と金型側の両端に底面が設けられ、
前記第4の筒状体の側面には少なくとも1個のボール口が穿設されており、
前記ボール口には少なくとも一個のボールが嵌着され、
前記磁性体は、中実円筒状を呈し、側面には当接面と、
前記当接面よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部が設けられ、
前記開閉機構はシャッター部であり、該シャッター部は、円筒形を呈し、
前記第3の中実円筒体は、金型側に鍔状の底面を形成し、キャビティー側において前記磁性体と螺合により一体化され、第4の筒状体の金型側の底面を貫通してなり、
前記シャッター部、第4の筒状体、前記磁性体は、外側からこの順序で同軸状に摺接されてなり、
前記第3の中実円筒体の鍔状の底面と、第4の筒状体の金型側の底面との間に第1付勢手段が介装され、
前記第4の筒状体のキャビティー側の底面と、シャッター部上端との間に第2付勢手段が介装され、
前記第2着脱部は、第5の筒状体からなるものであり、
前記第5の筒状体の外側面は三面以上の平面からなり、隣接する2つの面に画成される稜線は、前記筐体の円筒状内側面に遊嵌され、
前記第5の筒状体は、筒の中心軸に対し垂直な断面において内側面のなす形状が正六角形を呈する第1部分と、筒の中心軸に対し垂直な断面が円形を呈するとともに内側面には雌ネジが螺刻された第2部分が設けられ、
前記第1部分は、第2部分よりもキャビティー側に位置し、
前記第2部分の内側面は前記第3の筒状体の外側面と螺合されている
ことを特徴とする、請求項1または3に記載の交換自在な金型部品。
【請求項6】
前記受け皿部は、筐体と第3の筒状体からなり、
前記筐体は円筒状を呈し、
前記筐体の底面の周辺部に円周に沿って設けられた1つ以上の周辺部孔が設けられ、
前記第3の筒状体は円筒状を呈し、前記筐体と一体的に、当該筐体の内側に同軸状に形成され、当該筐体の底面からキャビティー側に向かって突出し、
前記第3の筒状体の内側面にはボール嵌合凹所が設けられ、外側面には雄ネジが螺刻され、
前記着脱部は、第1着脱部、第2着脱部からなり、
前記第1着脱部は、開閉機構、第4の筒状体、磁性体、第1付勢手段および第2付勢手段からなるものであり、
前記第4の筒状体は、キャビティー側と金型側の両端に底面が設けられ、
前記第4の筒状体の側面には少なくとも1個のボール口が穿設されており、
前記ボール口には少なくとも一個のボールが嵌着され、
前記磁性体は、中実円筒状を呈し、側面には当接面と、
前記当接面よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部が設けられ、
前記開閉機構はシャッター部であり、該シャッター部は、円筒形を呈し、
前記シャッター部、第4の筒状体、前記磁性体は、外側からこの順序で同軸状に摺接されてなり、
前記磁性体のキャビティー側の底面と、前記第4の筒状体のキャビティー型側の底面との間に第1付勢手段が介装され、
前記第4の筒状体のキャビティー側の底面と、シャッター部上端との間に第2付勢手段が介装され、
前記第2着脱部は、第5の筒状体からなるものであり、
前記第5の筒状体の外側面は三面以上の平面からなり、隣接する2つの面に画成される稜線は、前記筐体の円筒状内側面に遊嵌され、
前記第5の筒状体は、筒の中心軸に対し垂直な断面において内側面のなす形状が正六角形を呈する第1部分と、筒の中心軸に対し垂直な断面が円形を呈するとともに内側面には雌ネジが螺刻された第2部分が設けられ、
前記第1部分は、第2部分よりもキャビティー側に位置し、
前記第2部分の内側面は前記第3の筒状体の外側面と螺合されている
ことを特徴とする、請求項1または3に記載の交換自在な金型部品。
【請求項7】
前記受け皿部が、前記金型基盤に形成された凹所に嵌入される筐体であり、
前記筐体は円筒状を呈し、
前記筐体の内側面には1つ以上のボール嵌合凹所が設けられ、
前記着脱部は、前記入れ子と一体化され、当該着脱部のキャビティー側の面が前記入れ子のキャビティー側の面と面一とされてなるものであり、当該着脱部の一部は受け皿部を介し、前記着脱部の他の一部は入れ子を介して前記金型基盤に形成された凹所に嵌合され、
前記着脱部は、開閉機構、第6の筒状体、磁性体、第4の中実円筒体、第1付勢手段および第2付勢手段からなり、
前記第6の筒状体は、キャビティー側と金型側の両端に底面が設けられ、
前記第6の筒状体の側面には少なくとも1個のボール口が穿設されており、
前記ボール口には少なくとも一個のボールが嵌着され、
前記磁性体は、中実円筒状を呈し、側面には当接面と、
前記当接面よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部が設けられ、
前記第4の中実円筒体は、金型側に鍔状の底面を形成し、キャビティー側において前記磁性体と一体化され、第6の筒状体の金型側の底面を貫通してなり、
前記開閉機構はシャッター部であり、該シャッター部は、円筒形を呈し、
前記シャッター部、第6の筒状体、前記磁性体は、外側からこの順序で同軸状に摺接されてなり、
前記第4の中実円筒体の鍔状の底面と、第6の筒状体の金型側の底面との間に第1付勢手段が介装され、
前記第6の筒状体のキャビティー側の底面と、シャッター部上端との間に第2付勢手段が介装されている
ことを特徴とする、請求項1または3に記載の交換自在な金型部品。
【請求項8】
前記受け皿部が、金型基盤に形成された凹所に嵌入された筐体であり、
前記筐体は円筒状を呈し、
前記筐体の内側面には1つ以上のボール嵌合凹所が設けられ、
前記着脱部は、前記入れ子と一体化され、当該着脱部のキャビティー側の面が前記入れ子のキャビティー側の面と面一とされてなるものであり、当該着脱部の一部は受け皿部を介し、前記着脱部の他の一部は入れ子を介して前記金型基盤に形成された凹所に嵌合され、
前記着脱部は、開閉機構、第6の筒状体、磁性体、第1付勢手段および第2付勢手段からなり、
前記第6の筒状体は、キャビティー側と金型側の両端に底面が設けられ、
前記第6の筒状体の側面には少なくとも1個のボール口が穿設されており、
前記ボール口には少なくとも一個のボールが嵌着され、
前記磁性体は、中実円筒状を呈し、側面には当接面と、
前記当接面よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部が設けられ、
前記開閉機構はシャッター部であり、該シャッター部は、円筒形を呈し、
前記シャッター部、第6の筒状体、前記磁性体は、外側からこの順序で同軸状に摺接されてなり、
前記磁性体のキャビティー側の底面と、前記第6の筒状体のキャビティー型側の底面との間に第1付勢手段が介装され、
前記第6の筒状体のキャビティー側の底面と、シャッター部上端との間に第2付勢手段が介装されている
ことを特徴とする、請求項1または3に記載の交換自在な金型部品。
【請求項9】
前記受け皿部は筐体であり、
前記筐体は円筒状で、前記入れ子に形成された凹所内に固着され、
前記筐体の底面に中央孔が穿設され、
前記中央孔の内側面には雌ネジが螺刻されており、
前記中央孔及び前記入れ子に穿設された貫通孔を貫通して、前記成形用金型基盤に穿設された貫通孔の内側面に螺刻された雌ネジと螺合する結合ボルトが設けられ、
前記筐体の内側面には1つ以上のボール嵌合凹所が設けられ、
前記着脱部は、開閉機構、第7の筒状体、磁性体、第5の中実円筒体、第1付勢手段および第2付勢手段からなるものであり、
前記第7の筒状体は、円筒状であり、
前記第7の筒状体は、キャビティー側と金型側の両端に底面が設けられ、
前記キャビティー側の底面は入れ子のキャビティー側の面と面一に形成され、
前記第7の筒状体の側面には少なくとも1個のボール口が穿設されており、
前記ボール口には少なくとも一個のボールが嵌着され、
前記磁性体は、中実円筒状を呈し、側面には当接面と、
前記当接面よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部が設けられ、
前記第5の中実円筒体は、金型側に鍔状の底面を形成し、キャビティー側において前記磁性体と一体化され、第7の筒状体の金型側の底面を貫通してなり、
前記開閉機構はシャッター部であり、該シャッター部は、円筒形を呈し、
前記シャッター部、第7の筒状体、前記磁性体は、外側からこの順序で同軸状に摺接されてなり、
前記第5の中実円筒体の鍔状の底面と、第7の筒状体の金型側の底面との間に第1付勢手段が介装され、
前記第5の筒状体のキャビティー側の底面と、シャッター部上端との間に第2付勢手段が介装されている
ことを特徴とする、請求項1または3に記載の交換自在な金型部品。
【請求項10】
前記受け皿部は筐体であり、
前記筐体は円筒状で、前記入れ子に形成された凹所内に固着され、
前記筐体の底面に中央孔が穿設され、
前記中央孔の内側面には雌ネジが螺刻されており、
前記結合ボルトは前記中央孔及び前記入れ子に穿設された貫通孔を貫通して、前記成形用金型基盤に穿設された貫通孔の内側面に螺刻された雌ネジと螺合し、
前記筐体の内側面には1つ以上のボール嵌合凹所が設けられ、
前記着脱部は、開閉機構、第7の筒状体、磁性体、第1付勢手段および第2付勢手段からなるものであり、
前記第7の筒状体は、円筒状であり、
前記第7の筒状体は、キャビティー側と金型側の両端に底面が設けられ、
前記キャビティー側の底面は入れ子のキャビティー側の面と面一に形成され、
前記第7の筒状体の側面には少なくとも1個のボール口が穿設されており、
前記ボール口には少なくとも一個のボールが嵌着され、
前記磁性体は、中実円筒状を呈し、側面には当接面と、
前記当接面よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部が設けられ、
前記開閉機構はシャッター部であり、該シャッター部は、円筒形を呈し、
前記シャッター部、第7の筒状体、前記磁性体は、外側からこの順序で同軸状に摺接されてなり、
前記磁性体のキャビティー側の底面と、前記第7の筒状体のキャビティー側の底面との間に第1付勢手段が介装され、
前記第7の筒状体のキャビティー側の底面と、シャッター部上端との間に第2付勢手段が介装されている
ことを特徴とする、請求項1または3に記載の交換自在な金型部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交換自在な金型部品に関する。さらに詳しくは、金型成形時に金型内部で発生するガスを排気するガス抜き用金型部品、入れ子を固定する金型部品に係る交換自在な金型部品に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機では、可動金型基盤(可動型)が固定金型基盤(固定型)に近接・隔離する方向に駆動されて、金型基盤の型締め(型閉)と型開き(型開)が行われる。型締めされた金型内のキャビティーに溶融状の合成樹脂が供給され、その溶融状の合成樹脂が硬化して成形品が形成され、金型の型開き後、成形品が金型から取り出される(eject)。
【0003】
射出成形においては、高温の溶融状合成樹脂よりガスが発生する場合がある。ガスは、キャビティー内部に滞留し、その部分は局所的に合成樹脂の充填を妨げるため成形品に不良を生じさせる。ガスをキャビティー外部に排出するため、ガス抜き用の金型部品が取り付けられる場合がある。当該金型部品は、ガスは通過できるが溶融状の合成樹脂はその粘性のために通過できない狭小な隙間をキャビティー表面に設け、当該狭小な隙間以外の部分はキャビティー表面と面一となるように構成される。当該狭小な隙間は金型基盤に設けられた貫通孔と連通しており、該貫通孔はキャビティー外部の大気と接するように形成されている。
【0004】
前記狭小な隙間は微細な空間であるため、キャビティー内で発生したゴミや塵が孔を塞ぎ、ガス抜きの機能が不全となる虞があるので、定期的にガス抜き用金型部品を金型基盤より脱離させ、クリーニング処理を施したうえで再装着する必要がある。
【0005】
成形品の表面に情報の刻印を行う場合、刻印面を有する入れ子を用いる場合がある。また、成形品の表面に部分的な形状を作製する場合、作製する部分形状に対応する入れ子を用いる場合がある。固定又は可動金型基盤に凹部を作製し、そこに該入れ子を装着する。型締めを行い、溶融状の合成樹脂を流し込むことにより、入れ子の表面に刻印された凹凸情報、または部分形状は、成形品に転写される。刻印情報を変更したり、部分形状を変更したりする場合には、入れ子を金型基盤より脱離させ、入れ子を再装着する必要があるが、情報刻印時に使用される入れ子表面は、キャビティー表面と面一(coplaner)になるように設置され、また、部分的な形状を作製するときに使用される入れ子表面もまた、キャビティー表面と比べて大きな段差がない場合が多い。
【0006】
図24(A)は、従来のガス抜き用金型部品(81)を示す。図24(B)は図30(A)の領域Xの部分拡大図である。12角柱の形状をなす部品であって、側面において隣接する2つの面に画成される稜線が、金型基盤(1C)に設けられた円形断面の貫通孔(3A)内面に、遊嵌するように組付けられる。金型基盤貫通孔の円形状の内面と、ガス抜き用金型部品(81)の平面状の側面に挟まれた狭小な隙間が形成される。この狭小な隙間はキャビティー(V)部で生じたガスを金型基盤(1C)外部に排出するが、溶融状の合成樹脂はその粘性のために通過できないガス流路となる。ガス抜き用金型部品(81)は金型基盤(1C)に組付けられた後、金型基盤(1C)の裏面よりボルト(84)で固定される。上記従来のガス抜き用金型部品(81)の典型的な直径は5.5~9.5mm、長さは10~15mmである。
【0007】
前述のようにガス抜き用金型部品(81)のクリーニング処理が必要になった場合、ガス抜き用金型部品(81)を金型基盤(1C)より取り外さねばならない。ガス抜き用金型部品(81)は、その表面がキャビティー(V)の表面と面一になるように配設されているので、型開きした状態でキャビティー(V)側からガス抜き用金型部品(81)を掴み、引き抜き交換することはできない。一旦、金型基盤(1C)自体を射出成形機から外し、金型基盤(1C)の裏面を露出させ、裏面からボルト(84)の螺着を解除し、棒状の治具を貫通孔(3A)に挿入し、ハンマーなどでガス抜き用金型部品(81)をキャビティー(V)側に押し出して、ガス抜き用金型部品(81)を金型基盤(1C)より脱離させる作業が必要となる。
【0008】
金型基盤(1C)自体は重量物であるため、これを射出成形装置から外すためには多大な作業量と労力が必要であり、また、金型を組みなおして射出成形装置に組み付ける場合にも同様である。このように、ガス抜き用金型部品(81)は比較的小型軽量の部品であるにもかかわらず、その交換には、重量物である金型基盤(1C)を取り外し、再度組み付けるという大掛かりな作業がなされていた。
【0009】
入れ子の交換に関しても前記ガス抜き用金型部品(81)と同様である。すなわち、入れ子の表面はキャビティー(V)の表面と面一となるか、または段差が小さい場合が多いので、キャビティー(V)側から交換はできない。入れ子の交換においても、一旦金型基盤(1C)自体を射出成形機から外し、再度装着する必要があった。
【0010】
金型基盤の型開き時に、キャビティー(V)側から入れ子を交換し、金型成形作業の効率を高める試みが報告されている。特許文献1には、図25に示すように、磁気吸引力を利用して入れ子状の刻印用金型を所定の位置に保持する第一の状態と、前記磁気吸引力を解除する第二の状態を切り替え、刻印用金型部品全体をキャビティー(V)側から脱離させる方法が開示されている。しかし、金型基盤内部に組み込まれた磁石一式を横方向に移動させるために、金型基盤の内部に磁石移動のための構造を設ける必要があり、金型基盤自体を大幅に改良せねばならない。キャビティー(V)側から入れ子状の刻印用金型部品を交換できるものの、その実現にはシステムの大きな改造を伴うものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006-231577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、重量物である金型基盤自体を射出成形機から取り外すことなく、そして金型を分解することなく、金型基盤の内部での磁石の移動を可能にするなど特別な構造・手段を設ける必要がなく、金型基盤自体の大幅な改良を行うことなく、更には金型基盤の型開きの状態から、キャビティー側より、ガス抜き用部品または、円形、四角形など自由な形の入れ子を簡単に脱着できる交換自在な金型部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1による発明は、成形用金型基盤のキャビティー内に装着される交換自在な金型部品であって、前記交換自在な金型部品は、前記成形用金型基盤に形成された凹所に、着脱部が直接的または間接的に遊嵌され、前記着脱部が前記凹所に直接的に遊嵌された場合には、前記着脱部が前記凹所から除去される第1の状態と前記着脱部が前記凹所に収容される第2の状態とを有し、前記着脱部が前記凹所に間接的に遊嵌された場合には、前記着脱部が前記凹所に設けられた介装手段から除去される第1の状態と前記着脱部が前記凹所に設けられた前記介装手段を介して収容される第2の状態とを有し、前記着脱部に、キャビティー内のガス抜き手段、入れ子を金型基盤に固定する手段からなる群から選択される一種から構成される機能部が含まれてなることを、特徴とする交換自在な金型部品に関する。
【0014】
請求項2による発明は、
前記着脱部は前記凹所に間接的に遊嵌され、前記介装手段として、受け皿部を備え、前記受け皿部は前記成形用金型基盤の凹所に一体的に或は別体として設けられ、前記受け皿部は着脱部と係脱自在に係合され、前記受け皿部には、外側面にボール嵌合凹所が設けられた中実円筒状の内側突出部が一体的に或は別体として設けられ、前記着脱部は、第1の筒状体、逆有底円筒状の磁性体、第2の筒状体および開閉機構とが、外側より同軸状にこの順序で配されてなり、前記第2の筒状体の側面にはボール口が穿設され、当該ボール口にはボールが嵌着され、前記第2の筒状体の外側面、内側面は、それぞれ前記磁性体の内側面、前記受け皿部の内側突出部と摺接し、前記磁性体の内側面には、ボールと当接する当接面と、ボール逃げ部が形成され、かつ当該ボール逃げ部は当該当接面よりも金型側に形成され、前記第1の状態において、前記ボールは前記ボール逃げ部、前記ボール口と前記開閉機構の内面に囲まれてなる空間に配され、前記第2の状態において、前記ボールは前記磁性体の当接面、前記ボール口と前記ボール嵌合凹所に囲まれてなる空間に配され、前記着脱部に、キャビティー内のガス抜き手段から構成される機能部が含まれてなる
ことを特徴とする請求項1に記載の交換自在な金型部品に関する。
【0015】
請求項3による発明は、前記着脱部は前記凹所に間接的に遊嵌され、前記介装手段として、受け皿部および/または入れ子を備え、前記受け皿部は前記成形用金型基盤または入れ子の凹所に固定され、前記受け皿部は前記着脱部と係脱自在に係合され、前記受け皿部は、内側面にボール嵌合凹所が設けられた第3の筒状体または筐体を含み、前記着脱部は、開閉機構、第4の筒状体、中実円筒状の磁性体とが外側より同軸状にこの順序で配されてなり、前記第4の筒状体の側面にはボール口が穿設され、当該ボール口にはボールが嵌着され、前記第4の筒状体の外側面、内側面は、それぞれ前記第3の筒状体または筐体の内側面、前記磁性体の側面と摺接し、前記磁性体の側面には、ボールと当接する当接面と、ボール逃げ部とが形成され、かつ当該ボール逃げ部は当該当接面よりも金型側に形成され、前記第1の状態において、前記ボールは前記ボール逃げ部、前記ボール口と前記開閉機構の内面に囲まれてなる空間に配され、前記第2の状態において、前記ボールは前記当接面、前記ボール口と前記ボール嵌合凹所に囲まれてなる空間に配され、前記着脱部に、キャビティー内のガス抜き手段、入れ子を金型基盤に固定する手段からなる群から選択される一種から構成される機能部が含まれてなることを特徴とする請求項1に記載の交換自在な金型部品に関する。
【0016】
請求項4による発明は、前記受け皿部は、筐体と第1の中実円筒体からなり、前記筐体は円筒状を呈し、前記筐体の底面の周辺部に円周に沿って設けられた1つ以上の周辺部孔が設けられ、前記第1の中実円筒体は、前記筐体と一体的に、当該筐体の内側に同軸状に形成され、当該筐体の底面からキャビティー側に向かって突出し、前記第1の中実円筒体側面にはボール嵌合凹所が設けられ、前記着脱部は、第1の筒状体、磁性体、第2の筒状体、開閉機構、第2の中実円筒体、第1付勢手段、第2付勢手段からなるものであり、前記第1の筒状体は逆有底筒状を呈し、外側面は三面以上の平面からなり、隣接する2つの面に画成される稜線は、前記筐体の円筒状内側面に遊嵌され、前記第2の筒状体は逆有底筒状を呈し、当該第1の筒状体の内側に同軸状に収容されるとともに、前記第1の筒状体と一体的に固定されて配置され、側面には少なくとも1個のボール口が穿設され、前記ボール口には少なくとも一個のボールが嵌着され、前記磁性体は逆有底円筒状を呈し、内側面には当接面と、前記当接面よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部が設けられ、前記第1および前記第2の筒状体の間に同軸状に遊嵌されてなり、前記開閉機構は、シャッター部であり、該シャッター部は円筒形を呈し、前記第2の筒状体の内側に摺接されてなり、前記磁性体の下端と第1の筒状体の間に第1付勢手段が介装され、前記シャッター部の上端と前記第2の筒状体の底面との間に第2付勢手段が介装されることを特徴とする請求項1または2に記載の交換自在な金型部品に関する。
【0017】
請求項5による発明は、前記受け皿部は、筐体と第3の筒状体からなり、前記筐体は円筒状を呈し、前記筐体の底面の周辺部に円周に沿って設けられた1つ以上の周辺部孔が設けられ、前記第3の筒状体は円筒状を呈し、前記筐体と一体的に、当該筐体の内側に同軸状に形成され、当該筐体の底面からキャビティー側に向かって突出し、前記第3の筒状体の内側面にはボール嵌合凹所が設けられ、外側面には雄ネジが刻設され、前記着脱部は、第1着脱部、第2着脱部からなり、前記第1着脱部は、開閉機構、第4の筒状体、磁性体、第3の中実円筒体、第1付勢手段および第2付勢手段からなるものであり、前記第4の筒状体は、キャビティー側と金型側の両端に底面が設けられ、前記第4の筒状体の側面には少なくとも1個のボール口が穿設されており、前記ボール口には少なくとも一個のボールが嵌着され、前記磁性体は、中実円筒状を呈し、側面には当接面と、前記当接面よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部が設けられ、前記開閉機構はシャッター部であり、該シャッター部は、円筒形を呈し、前記第3の中実円筒体は、金型側に鍔状の底面を形成し、キャビティー側において前記磁性体と螺合により一体化され、第4の筒状体の金型側の底面を貫通してなり、前記シャッター部、第4の筒状体、前記磁性体は、外側からこの順序で同軸状に摺接されてなり、前記第3の中実円筒体の鍔状の底面と、第4の筒状体の金型側の底面との間に第1付勢手段が介装され、前記第4の筒状体のキャビティー側の底面と、シャッター部上端との間に第2付勢手段が介装され、前記第2着脱部は、第5の筒状体からなるものであり、前記第5の筒状体の外側面は三面以上の平面からなり、隣接する2つの面に画成される稜線は、前記筐体の円筒状内側面に遊嵌され、前記第5の筒状体は、筒の中心軸に対し垂直な断面において内側面のなす形状が正六角形を呈する第1部分と、筒の中心軸に対し垂直な断面が円形を呈するとともに内側面には雌ネジが螺刻された第2部分が設けられ、前記第1部分は、第2部分よりもキャビティー側に位置し、前記第2部分の内側面は前記第3の筒状体の外側面と螺合されていることを特徴とする、請求項1または3に記載の交換自在な金型部品に関する。
【0018】
請求項6による発明は、前記受け皿部は、筐体と第3の筒状体からなり、前記筐体は円筒状を呈し、前記筐体の底面の周辺部に円周に沿って設けられた1つ以上の周辺部孔が設けられ、前記第3の筒状体は円筒状を呈し、前記筐体と一体的に、当該筐体の内側に同軸状に形成され、当該筐体の底面からキャビティー側に向かって突出し、前記第3の筒状体の内側面にはボール嵌合凹所が設けられ、外側面には雄ネジが螺刻され、前記着脱部は、第1着脱部、第2着脱部からなり、前記第1着脱部は、開閉機構、第4の筒状体、磁性体、第1付勢手段および第2付勢手段からなるものであり、前記第4の筒状体は、キャビティー側と金型側の両端に底面が設けられ、前記第4の筒状体の側面には少なくとも1個のボール口が穿設されており、前記ボール口には少なくとも一個のボールが嵌着され、前記磁性体は、中実円筒状を呈し、側面には当接面と、前記当接面よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部が設けられ、前記開閉機構はシャッター部であり、該シャッター部は、円筒形を呈し、前記シャッター部、第4の筒状体、前記磁性体は、外側からこの順序で同軸状に摺接されてなり、前記磁性体のキャビティー側の底面と、前記第4の筒状体のキャビティー型側の底面との間に第1付勢手段が介装され、前記第4の筒状体のキャビティー側の底面と、シャッター部上端との間に第2付勢手段が介装され、前記第2着脱部は、第5の筒状体からなるものであり、前記第5の筒状体の外側面は三面以上の平面からなり、隣接する2つの面に画成される稜線は、前記筐体の円筒状内側面に遊嵌され、前記第5の筒状体は、筒の中心軸に対し垂直な断面において内側面のなす形状が正六角形を呈する第1部分と、筒の中心軸に対し垂直な断面が円形を呈するとともに内側面には雌ネジが螺刻された第2部分が設けられ、前記第1部分は、第2部分よりもキャビティー側に位置し、前記第2部分の内側面は前記第3の筒状体の外側面と螺合されていることを特徴とする、請求項1または3に記載の交換自在な金型部品に関する。
【0019】
請求項7による発明は、前記受け皿部が、前記金型基盤に形成された凹所に嵌入される筐体であり、前記筐体は円筒状を呈し、前記筐体の内側面には1つ以上のボール嵌合凹所が設けられ、前記着脱部は、前記入れ子と一体化され、当該着脱部のキャビティー側の面が前記入れ子のキャビティー側の面と面一とされてなるものであり、当該着脱部の一部は受け皿部を介し、前記着脱部の他の一部は入れ子を介して前記金型基盤に形成された凹所に嵌合され、前記着脱部は、開閉機構、第6の筒状体、磁性体、第4の中実円筒体、第1付勢手段および第2付勢手段からなり、前記第6の筒状体は、キャビティー側と金型側の両端に底面が設けられ、前記第6の筒状体の側面には少なくとも1個のボール口が穿設されており、前記ボール口には少なくとも一個のボールが嵌着され、前記磁性体は、中実円筒状を呈し、側面には当接面と、前記当接面よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部が設けられ、前記第4の中実円筒体は、金型側に鍔状の底面を形成し、キャビティー側において前記磁性体と一体化され、第6の筒状体の金型側の底面を貫通してなり、前記開閉機構はシャッター部であり、該シャッター部は、円筒形を呈し、前記シャッター部、第6の筒状体、前記磁性体は、外側からこの順序で同軸状に摺接されてなり、前記第4の中実円筒体の鍔状の底面と、第6の筒状体の金型側の底面との間に第1付勢手段が介装され、前記第6の筒状体のキャビティー側の底面と、シャッター部上端との間に第2付勢手段が介装されていることを特徴とする、請求項1または3に記載の交換自在な金型部品に関する。
【0020】
請求項8による発明は、前記受け皿部が、金型基盤に形成された凹所に嵌入された筐体であり、前記筐体は円筒状を呈し、前記筐体の内側面には1つ以上のボール嵌合凹所が設けられ、前記着脱部は、前記入れ子と一体化され、当該着脱部のキャビティー側の面が前記入れ子のキャビティー側の面と面一とされてなるものであり、当該着脱部の一部は受け皿部を介し、前記着脱部の他の一部は入れ子を介して前記金型基盤に形成された凹所に嵌合され、前記着脱部は、開閉機構、第6の筒状体、磁性体、第1付勢手段および第2付勢手段からなり、前記第6の筒状体は、キャビティー側と金型側の両端に底面が設けられ、前記第6の筒状体の側面には少なくとも1個のボール口が穿設されており、前記ボール口には少なくとも一個のボールが嵌着され、前記磁性体は、中実円筒状を呈し、側面には当接面と、前記当接面よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部が設けられ、前記開閉機構はシャッター部であり、該シャッター部は、円筒形を呈し、前記シャッター部、第6の筒状体、前記磁性体は、外側からこの順序で同軸状に摺接されてなり、前記磁性体のキャビティー側の底面と、前記第6の筒状体のキャビティー型側の底面との間に第1付勢手段が介装され、前記第6の筒状体のキャビティー側の底面と、シャッター部上端との間に第2付勢手段が介装されていることを特徴とする、請求項1または3に記載の交換自在な金型部品に関する。
【0021】
請求項9による発明は、前記受け皿部は筐体であり、前記筐体は円筒状で、前記入れ子に形成された凹所内に固着され、前記筐体の底面に中央孔が穿設され、前記中央孔の内側面には雌ネジが螺刻されており、前記中央孔及び前記入れ子に穿設された貫通孔を貫通して、前記成形用金型基盤に穿設された貫通孔の内側面に螺刻された雌ネジと螺合する結合ボルトが設けられ、前記筐体の内側面には1つ以上のボール嵌合凹所が設けられ、前記着脱部は、開閉機構、第7の筒状体、磁性体、第5の中実円筒体、第1付勢手段および第2付勢手段からなるものであり、前記第7の筒状体は、円筒状であり、前記第7の筒状体は、キャビティー側と金型側の両端に底面が設けられ、前記キャビティー側の底面は入れ子のキャビティー側の面と面一に形成され、前記第7の筒状体の側面には少なくとも1個のボール口が穿設されており、前記ボール口には少なくとも一個のボールが嵌着され、前記磁性体は、中実円筒状を呈し、側面には当接面と、前記当接面よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部が設けられ、前記第5の中実円筒体は、金型側に鍔状の底面を形成し、キャビティー側において前記磁性体と一体化され、第7の筒状体の金型側の底面を貫通してなり、前記開閉機構はシャッター部であり、該シャッター部は、円筒形を呈し、前記シャッター部、第7の筒状体、前記磁性体は、外側からこの順序で同軸状に摺接されてなり、前記第5の中実円筒体の鍔状の底面と、第7の筒状体の金型側の底面との間に第1付勢手段が介装され、前記第5の筒状体のキャビティー側の底面と、シャッター部上端との間に第2付勢手段が介装されていることを特徴とする、請求項1または3に記載の交換自在な金型部品に関する。
【0022】
請求項10による発明は、前記受け皿部は筐体であり、前記筐体は円筒状で、前記入れ子に形成された凹所内に固着され、前記筐体の底面に中央孔が穿設され、前記中央孔の内側面には雌ネジが螺刻されており、前記結合ボルトは前記中央孔及び前記入れ子に穿設された貫通孔を貫通して、前記成形用金型基盤に穿設された貫通孔の内側面に螺刻された雌ネジと螺合し、前記筐体の内側面には1つ以上のボール嵌合凹所が設けられ、前記着脱部は、開閉機構、第7の筒状体、磁性体、第1付勢手段および第2付勢手段からなるものであり、前記第7の筒状体は、円筒状であり、前記第7の筒状体は、キャビティー側と金型側の両端に底面が設けられ、前記キャビティー側の底面は入れ子のキャビティー側の面と面一に形成され、前記第7の筒状体の側面には少なくとも1個のボール口が穿設されており、前記ボール口には少なくとも一個のボールが嵌着され、前記磁性体は、中実円筒状を呈し、側面には当接面と、前記当接面よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部が設けられ、前記開閉機構はシャッター部であり、該シャッター部は、円筒形を呈し、前記シャッター部、第7の筒状体、前記磁性体は、外側からこの順序で同軸状に摺接されてなり、前記磁性体のキャビティー側の底面と、前記第7の筒状体のキャビティー側の底面との間に第1付勢手段が介装され、前記第7の筒状体のキャビティー側の底面と、シャッター部上端との間に第2付勢手段が介装されていることを特徴とする、請求項1または3に記載の交換自在な金型部品に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の請求項1に係る発明によれば、成形用金型基盤に形成された凹所に、着脱部が直接的または間接的に遊嵌され、前記着脱部が前記凹所から除去される第1の状態と前記着脱部が前記凹所に収容される第2の状態とを有している。これにより、金型基盤自体を射出成形機から取り外すことなく、そして金型を分解することなく、金型基盤の内部に磁石移動など特別な構造を形成する必要がなく、金型基盤自体の大幅な改良を行うことなく、更には金型基盤の型開きの状態から、キャビティー側より着脱部を受け皿部より脱離させることができる。
【0024】
また、本発明の請求項1に係る発明によれば、着脱部は、キャビティー内のガス抜き手段、または入れ子を固定する手段を有する機能部が含まれているので、キャビティー内のガス抜き機能の低下が見られたとき、または入れ子の更新が必要となったとき、着脱部を受け皿部より脱離させ、着脱部のクリーニング処理を行う、または入れ子の更新を行うことで上記機能の回復、または更新が可能になる。
【0025】
本発明の請求項2に係る発明によれば、交換自在な金型部品は受け皿部と着脱部から構成される。着脱部が受け皿部に係止される第2の状態において、ボールは着脱部の磁性体の当接部、第2の筒状体のボール口、受け皿部の内側突出部のボール嵌合凹部によって構成される空間に維持されている。磁性体、第2の筒状体および受け皿部の内側突出部は、それぞれ摺動可能に接しているので、交換自在な金型部品にキャビティー側から磁界を印加し、摺動により磁性体の位置を変化させ、ボールを磁性体のボール逃げ部に移動させボール嵌合凹部より排除することで該係止が解除され、着脱部が受け皿部より除去される第1の状態を実現することができる。これにより、金型基盤自体を射出成形機から取り外すことなく、そして金型を分解することなく、金型基盤の内部に磁石移動など特別な構造を形成する必要がなく、金型基盤自体の大幅な改良を行うことなく、更には金型基盤の型開きの状態から、キャビティー側より、着脱部の受け皿部からの除去を実現することができる。
【0026】
また、本発明の請求項2に係る発明によれば、着脱部は、キャビティー内のガス抜き手段を有する機能部が含まれているので、該ガス抜き機能の低下が見られたとき、着脱部を受け皿部より除去し、着脱部のクリーニング処理を行うことで上記機能を回復させることができる。
【0027】
本発明の請求項3に係る発明によれば、交換自在な金型部品は受け皿部と着脱部から構成される。着脱部が受け皿部に係止される第2の状態において、ボールは着脱部の磁性体の当接部、第4の筒状体のボール口、ボール嵌合凹部によって構成される空間に維持されている。磁性体、第4の筒状体および第3の筒状体は、それぞれ摺動可能に接しているので、交換自在な金型部品にキャビティー側から磁界を印加し、摺動により磁性体の位置を変化させ、ボールを磁性体のボール逃げ部に移動させボール嵌合凹部より排除することで該係止が解除され、着脱部が受け皿部より除去される第1の状態を実現することができる。これにより、金型基盤自体を射出成形機から取り外すことなく、そして金型を分解することなく、金型基盤の内部に磁石移動など特別な構造を形成する必要がなく、金型基盤自体の大幅な改良を行うことなく、更には金型基盤の型開きの状態から、キャビティー側より、着脱部の受け皿部からの除去を実現することができる。
【0028】
また、本発明の請求項3に係る発明によれば、着脱部は、キャビティー内のガス抜き手段、または入れ子を固定する手段を有する機能部が含まれているので、キャビティー内のガス抜き機能の低下が見られたとき、または入れ子の更新が必要となったとき、着脱部を受け皿部より脱離させ、着脱部のクリーニング処理を行う、または入れ子の更新を行うことで上記機能の回復、または更新が可能になる。
【0029】
本発明の請求項4に係る発明によれば、着脱部の外側面は三面以上の平面からなり、隣接する2つの面に画成される稜線が、前記受け皿部の筐体の円形内側面に遊嵌することにより、着脱部と受け皿部の間に狭小な隙間が形成される。キャビティーからのガス抜きは、該狭小な隙間により可能になる。着脱部に内包された磁性体は第1付勢手段により遊嵌されているので、外部磁界が無いときには第1付勢手段が自然長(位置エネルギーを開放した状態)となりボールが磁性体の当接面に当接する状態、すなわち着脱部が受け皿部に係止された状態となり、一方、交換自在な金型部品の外部、キャビティー側から磁石を近づけるなど外部磁界が印加されたときには、第1付勢手段が収縮(位置エネルギーを蓄えた状態)しボールがボール逃げ部に嵌入された状態、すなわち着脱部の受け皿部からの係止が解除される。着脱部は第2付勢手段により常時上向きの力が付与されているので、この力によって着脱部は上方に移動し、受け皿部より脱離する。
【0030】
上記のように、単に外部磁界により着脱部の受け皿部からの係止を解除させるだけであれば、磁性体を受け皿部に内包させる構成であってもよい。しかし、本願発明では、磁性体は着脱部に設けられている。これは、以下の作用効果を奏する。
【0031】
第一に、磁石などの近接により該外部磁界が着脱部に印加された場合、外部磁界による吸引力は係止を解除するだけでなく着脱部自体を磁石に吸着する。よって着脱部は磁石ごと引っぱり上げられ、受け皿部から脱離する。前述のように第2付勢手段による反発力は着脱部の脱離に作用するが、それに加えて当該磁石を上に持ち上げる力も、着脱部の脱離に寄与するので、磁性体を受け皿部に内包された場合に比べて、強力に着脱部のキャビティー側からの脱離を行うことができる。
【0032】
第二に、磁性体、ボール、付勢手段などを組み合わせた着脱部係止のための機械部分を受け皿部に作製する必要が無くなるため、受け皿部に比較的広い空間ができるので他の機能を付加しやすくなる。
【0033】
第三に受け皿部のクリーニング処理を行いやすくなる。受け皿部は金型基盤に緊合されていて取り外すことができないので、クリーニングは、金型基盤を型開きしたうえで、金型のキャビティーに人が腕を横側から差し入れて行わねばならない。このように、受け皿部はアクセス困難な場所であるため、クリーニングに際しては、受け皿部の構造は極力シンプルである必要がある。請求項4に係る発明のように、着脱部に上記機械部分が内包される場合、受け皿部の構造は極めてシンプルになる。
【0034】
本発明の請求項5に係る発明によれば、着脱部は、第1着脱部と第2着脱部からなる。このうち受け皿部との間にガス抜き用の隙間を提供するのは、第2着脱部である。第2着脱部の外側面は三面以上の平面からなり、隣接する2つの面に画成される稜線が、前記受け皿部の筐体の円形内側面に遊嵌することにより、着脱部と受け皿部の間に狭小な隙間が形成される。該狭小な隙間によりキャビティーからのガス抜きが実現される。
【0035】
一方、第1着脱部は、第2着脱部を脱離するのに必要な六角レンチの係合部をカバーするために設けられている。第1着脱部に内包された磁性体は第1付勢手段により遊嵌されているので、外部磁界が無いときには第1付勢手段が自然長(位置エネルギーを開放した状態)となりボールが磁性体の当接面に当接する状態、すなわち着脱部が受け皿部に係止された状態となり、一方、交換自在な金型部品の外部キャビティー側から磁石を近づけるなど外部磁界が印加されたときには第1付勢手段が収縮(位置エネルギーを蓄えた状態)しボールがボール逃げ部に嵌入された状態、すなわち第1着脱部の受け皿部からの係止が解除された状態となる。
【0036】
第1着脱部に磁石などを近接させることによって第1着脱部の脱離がなされた後、第1着脱部の脱離により、第2着脱部に設けられた六角レンチ係合穴である第5の筒状体の第1部分が金型基盤のキャビティー側から見えるようになるので、該部分へ六角レンチを係合させ第5の筒状体の第2部分と受け皿部の螺着を解除することにより、第2着脱部の脱離を実行することができる。六角レンチの係合により螺合解除するという確実な手段により第2着脱部を脱離させられるので、第2着脱部と受け皿部の狭小な隙間が固形物で埋まり強固に固着してしまった場合においても、それらの結合を確実に外し、金型基盤キャビティー側より第2着脱部を脱離させることができる。キャビティー内のガス抜き機能の低下が見られたとき、第1および第2着脱部を受け皿部より脱離させ、第2着脱部のクリーニング処理を行うことで上記機能が回復される。
【0037】
本発明の請求項6に係る発明によれば、請求項5に係る発明とほぼ同じ効果が実現される。ただし、両者の間には以下の相違点がある。請求項5に係る発明では、第1付勢手段が第3の中実円筒体の鍔状の底面と第4の筒状体の金型側の底面との間、すなわち第4の筒状体の外部に設けられていたのに対し、請求項6に係る発明においては、第1付勢手段が磁性体のキャビティー側の底面と前記第4の筒状体のキャビティー側の底面との間、すなわち第4の筒状体の内部に設けられている点である。本相違点により、請求項6に係る構成では、第1付勢手段は、射出成形時に排出されるガスや粘着性の液体などに暴露されにくくなり、第1付勢手段が固着して動きが鈍くなる可能性が少なくなる。
【0038】
本発明の請求項7に係る発明によれば、入れ子は、着脱部のキャビティー側の露出面と面一となるように着脱部と一体化されている。着脱部に内包された磁性体は第1付勢手段により遊嵌されているので、外部磁界が無いときには第1付勢手段が自然長(位置エネルギーを開放した状態)となりボールが磁性体の当接面に当接する状態、すなわち着脱部が受け皿部に係止された状態となり、一方、交換自在な金型部品の外部キャビティー側から磁石を近づけるなど外部磁界が印加されたときには第1付勢手段が収縮(位置エネルギーを蓄えた状態)しボールがボール逃げ部に嵌入された状態、すなわち着脱部の受け皿部からの係止が解除される。
【0039】
請求項7に係る発明では、磁性体は着脱部に内包されている。したがって、磁石などの近接により該外部磁界が着脱部に印加された場合、外部磁界による吸引力は係止を解除するだけでなく着脱部自体を磁石に吸着する。よって着脱部および入れ子は磁石ごと引っぱり上げられ、受け皿部から脱離する。前述のように、第2付勢手段による反発力は着脱部の脱離に作用するが、それに加えて当該磁石を上に持ち上げる力も、着脱部および入れ子の脱離に寄与するので、強力に着脱部および入れ子の脱離を金型基盤キャビティー側より行うことが可能になる。入れ子の更新が必要となったとき、着脱部および入れ子を受け皿部より脱離させ、異なった入れ子を金型基盤に再びキャビティー側より装着することができる。
【0040】
本発明の請求項8に係る発明によれば、請求項7に係る発明とほぼ同じ効果が実現される。両者の間には以下の構造上の相違点がある。請求項7に係る発明では、第1付勢手段が第4の中実円筒体の鍔状の底面と第6の筒状体の金型側の底面との間、すなわち第6の筒状体の外部に設けられていたのに対し、請求項8に係る発明においては、第1付勢手段が磁性体のキャビティー側の底面と前記第6の筒状体のキャビティー型側の底面との間、すなわち第6の筒状体の内部に設けられている点である。
【0041】
本発明の請求項9に係る発明によれば、着脱自在な金型部品は、着脱部のキャビティー側の露出面が入れ子のキャビティー側の面と面一に形成されるように入れ子に組付けられている。着脱部に内包された磁性体は第1付勢手段により遊嵌されているので、外部磁界が無いときには第1付勢手段が自然長(位置エネルギーを開放した状態)となりボールが磁性体の当接面に当接する状態、すなわち着脱部が受け皿部に係止された状態となり、一方、交換自在な金型部品の外部、キャビティー側から磁石を近づけるなど外部磁界が印加されたときには第1付勢手段が収縮(位置エネルギーを蓄えた状態)しボールがボール逃げ部に嵌入された状態、すなわち着脱部の受け皿部からの係止が解除される。着脱部は第2付勢手段により常時上向きの力が付与されているので、この力によって着脱部は上方に移動し、受け皿部より脱離する。
【0042】
着脱部に磁石などを近接させることによって着脱部の脱離がなされた後、着脱部の脱離により、キャビティー側から工具を結合ボルトの頂部に係合できる状態になる。工具によって該螺合を解除した後、キャビティー側より前記中央孔に設けられた螺子穴に入れ子脱離用ボルトを螺入し、該ボルトを回転させることで、入れ子が成形用金型基盤から分離された状態を実現することができる。請求項8に係る入れ子は金型基盤の比較的表面部分に留まり金型基盤との結合も弱く、入れ子自体も軽量なものであったが、請求項9に係る発明では、ボルトにより入れ子と金型基盤の嵌入を解除するため、重量物である入れ子は金型基盤の奥深くまで嵌入がなされ金型基盤への嵌入がより強固に為されたものであってもよい。入れ子の更新が必要となったとき、着脱部および入れ子を受け皿部より脱離させ、異なる入れ子を金型基盤キャビティー側より装着することができる。
【0043】
本発明の請求項10に係る発明によれば、請求項9に係る発明とほぼ同じ効果が実現される。両者の間には以下の構造上の相違点がある。請求項9に係る発明では、第1付勢手段が第5の中実円筒体の鍔状の底面と第7の筒状体の金型側の底面との間、すなわち第7の筒状体の外部に設けられていたのに対し、請求項10に係る発明においては、第1付勢手段が磁性体のキャビティー側の底面と前記第7の筒状体のキャビティー型側の底面との間、すなわち第7の筒状体の内部に設けられている点である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明に係るガス抜き用交換自在な金型部品の金型基盤型締め時において、金型基盤との関係を示す縦断面図である。
図2】第1実施形態に係るガス抜き用交換自在な金型部品であって、着脱部が受け皿部に係止された状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図3】第1実施形態に係るガス抜き用交換自在な金型部品であって、着脱部が受け皿部に係止された状態で、図2においてCC-CC線に沿って切り取られた横断面図である。
図4】第1実施形態に係るガス抜き用交換自在な金型部品であって、着脱部が受け皿部から脱離した状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図5】第1実施形態に係るガス抜き用交換自在な金型部品であって、着脱部が受け皿部から脱離した状態で、図4においてD-D線に沿って切り取られた横断面図である。
図6】第2実施形態に係るガス抜き用交換自在な金型部品であって、第1着脱部および第2着脱部を含むタイプにおいて、第1着脱部および第2着脱部が受け皿部に係止された状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図7】第2実施形態に係るガス抜き用交換自在な金型部品であって、第1着脱部および第2着脱部を含むタイプにおいて、第1着脱部および第2着脱部が受け皿部に係止された状態で、図6においてE-E線に沿って切り取られた横断面図である。
図8】第2実施形態に係るガス抜き用交換自在な金型部品であって、第1着脱部および第2着脱部を含むタイプにおいて、第1着脱部の受け皿部からの係止が解除され、第1着脱部が受け皿部から脱離した状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図9】第2実施形態に係るガス抜き用交換自在な金型部品であって、第1着脱部および第2着脱部を含むタイプにおいて、第1着脱部の受け皿部からの係止が解除され、第1着脱部が受け皿部から脱離した状態で、図8においてH-H線に沿って切り取られた横断面図である。
図10】第2実施形態に係るガス抜き用交換自在な金型部品であって、第1着脱部および第2着脱部を含むタイプにおいて、第1着脱部が受け皿部から脱離し、且つ六角レンチにより第2着脱部が受け皿部から脱離した状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図11】第2実施形態に係るガス抜き用交換自在な金型部品であって、第1着脱部および第2着脱部を含むタイプにおいて、第1付勢手段が第4の筒状体のキャビティー側の底面と磁性体に穿設されたドーナツ状孔の間に介在された構成を示す。第1着脱部および第2着脱部が受け皿部に係止された状態において縦方向にカットした縦断面図である。
図12】第2実施形態に係るガス抜き用交換自在な金型部品であって、第1着脱部および第2着脱部を含むタイプにおいて、第1着脱部および第2着脱部が受け皿部に係止された状態で、図6においてF-F線に沿って切り取られた横断面図である。
図13】第2実施形態に係るガス抜き用交換自在な金型部品であって、第1着脱部および第2着脱部を含むタイプにおいて、第1着脱部および第2着脱部が受け皿部に係止された状態で、図12においてG-G線に沿って切り取られた縦断面図である。
図14】第3実施形態に係る入れ子固定用交換自在な金型部品において、着脱部が受け皿部に係止した状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図15】第3実施形態に係る入れ子固定用交換自在な金型部品において、着脱部が受け皿部から脱離した状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図16】第3実施形態に係る入れ子固定用交換自在な金型部品において、第1付勢手段が第6の筒状体のキャビティー側の底面と磁性体に穿設されたドーナツ状孔の間に介在された構成を示す、着脱部が受け皿部に係止された状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図17】第4実施形態に係る入れ子固定用交換自在な金型部品において、着脱部が受け皿部に係止した状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図18】第4実施形態に係る入れ子固定用交換自在な金型部品において、着脱部が受け皿部から脱離した状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図19】第4実施形態に係る入れ子固定用交換自在な金型部品において、着脱部が受け皿部から脱離し、結合ボルトが脱離した状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図20】第4実施形態に係る入れ子固定用交換自在な金型部品において、着脱部が受け皿部から脱離し、入れ子脱離用ボルトが螺入された状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図21】第4実施形態に係る入れ子固定用交換自在な金型部品において、着脱部が受け皿部から脱離し、入れ子脱離用ボルトの螺送により入れ子が脱離される状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図22】第4実施形態に係る入れ子固定用交換自在な金型部品において、入れ子が脱離した状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図23】第4実施形態に係る入れ子固定用交換自在な金型部品において、第1付勢手段が第7の筒状体のキャビティー側の底面と磁性体に穿設されたドーナツ状孔の間に介在された構成を示す、着脱部が受け皿部に係止した状態で縦方向にカットした縦断面図である。
図24図24の(A)は、ガス抜き用金型部品の従来技術を示す図であり、図24の(B)は図24の(A)におけるX部の拡大図である。
図25】キャビティー側から入れ子を交換する従来技術を示す図である。
図26】キャビティー側から着脱可能なガス抜き用金型部品の参考例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
[参考例]
本発明者は、令和2年2月28日付の国際特許出願(PCT/JP2020/008558)において、図26に示すようなキャビティー側から着脱可能なガス抜き用金型部品を提案している。本参考例に係る発明は、着脱部(86)と受け皿部(87)が設けられ、着脱部(86)にキャビティー(V)からガスを排出するための微細孔(97)が設けられ、受け皿部は金型基盤(99)に設けられた貫通孔に組付けられている。受け皿部(87)には着脱部(86)の係止機構(88、89、90、91、92、93、94、95)が設けられている。該係止機構(88、89、90、91、92、93,94,95)は、側面に当接部(88)とボール逃げ部(89)を有する磁石支持部(90)および磁石(91)、ボール口(92)を有する内側管部(93)、ボール嵌合凹み(94)を有する着脱部およびボール(95)から構成されている。本発明者は、本参考例に係る発明で、キャビティー(V)側から操作用磁石を近接させたとき、磁石支持部(90)が金型側に移動し、ボール(95)がボール逃げ部(89)に移動することで、ボールがボール嵌合凹み(94)から排除され、着脱部(86)が受け皿部(87)から脱離する機能を提案している。
【0046】
本参考例に係る発明が後述する本発明と異なるのは、ガス抜きが着脱部(86)に設けられた微細孔(97)によりなされる点である。当該微細孔(97)は、着脱部(86)の中心部に多数穿設されるため、当該微細孔の出口に相当する部分である受け皿部(87)の中心部にも比較的大きな貫通孔(98)が設けられ、当該微細孔(97)から排出されたガスを金型基盤に設けられた貫通孔に輸送し金型基盤外部に排出する構成となっている。よって、着脱部(86)を受け皿部(87)に係止するための複雑な機構部分は受け皿部(87)の中心部には設けることができず周辺部にまとまって設けられている。同時に磁石の形もドーナツ型に限定される。
【0047】
本参考例に係る発明は、中心部に微細孔が設けられるため高いガスの排気効率を有するなど多くの利点を含むものの、周辺部の狭い空間に着脱部係止のための複雑な機構を作製するため、該機構の作製にやや精密さが要求される。
【0048】
以下、本発明に係る交換自在な金型部品の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0049】
図1は射出成形装置内における、本発明に係る交換自在な金型部品の適用を示す図である。固定又は可動金型基盤(1)に凹部(2)と貫通孔(3)を作製し、本発明に係るガス抜き用金型部品(4)を凹部(2)に装着する。型締めを行い、キャビティー(V)に溶融状の合成樹脂を流し込む。発生したガスは、本発明に係る交換自在な金型部品に設けられた狭小な流路と金型基盤に設けられた貫通孔(3)を通じて金型基盤外部に排出される。
【0050】
本発明に係る交換自在な金型部品は着脱部(11)と受け皿部(6)からなる。成形品にガス抜き用金型部品(4)の痕跡を残さないために、ガス抜き用金型部品(4)の着脱部(11)の表面は、キャビティー(V)の表面と高い精度で面一になるように調整される。逆に言えば、上記狭小な流路が固形物により目詰まりを起こし、着脱部(11)のクリーニング処理が必要になった場合でも、着脱部(11)の表面には手がかりとなる何の凸部も設けられていないため、これをキャビティー側から抜き取ることは不可能である。
【0051】
本発明に係る交換自在な金型部品は、キャビティー(V)の型開き状態においてキャビティー(V)側から磁石(75)をガス抜き用金型部品(4)に近接させ、その磁力により着脱部(11)の受け皿部(6)への係止を解除させ、着脱部(11)を受け皿部(6)より脱離させることで、上記課題の解決を可能にしている。
【0052】
[第1実施形態]
第1実施形態に係るガス抜き用金型部品Aについて、図面を参照しつつ具体的な構成を説明する。
[ガス抜き用金型部品Aの構成]
図2図3は、第1実施形態に係るガス抜き用金型部品Aにおける着脱部(11)において、何も磁界が作用せず、着脱部(11)が受け皿部(6)に固定された状態の縦、横断面図を示している。
【0053】
受け皿部(6)は、筐体(20)と第1の中実円筒体(31)からなる。筐体(20)は円筒状を呈し、筐体(20)の底面の周辺部に円周に沿って設けられた1つ以上の周辺部孔(24)が設けられている。第1の中実円筒体(31)は、筐体(20)と一体的に、当該筐体(20)の内側に同軸状に形成され、当該筐体(20)の底面からキャビティー(V)側に向かって突出し、第1の中実円筒体(31)側面にはボール嵌合凹部(15)が設けられている。
【0054】
着脱部(11)は、第1の筒状体(33)、磁性体(25)、第2の筒状体(34)、シャッター部(17)、第2の中実円筒体(32)、第1付勢手段(23)、第2付勢手段(19)から構成されており、第1の筒状体(33)は逆有底筒状を呈し、外側面は三面以上の平面からなり、隣接する2つの面に画成される稜線は、筐体(20)の円筒状内側面に遊嵌される。前記稜線と筐体(20)の内側面の間の距離は1/100mm以下であることが望ましい。
【0055】
第2の筒状体(34)は逆有底筒状を呈し、当該第1の筒状体(33)の内側に同軸状に収容されるとともに、第1の筒状体(33)と一体的に固定されて配置され、側面には少なくとも1個のボール口(14)が穿設され、ボール口(14)には少なくとも一個のボール(22)が嵌着される。
【0056】
磁性体(25)は逆有底円筒状を呈し、内側面には当接面(13)と、当接面(13)よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部(26)が設けられ、第1の筒状体(33)および第2の筒状体(34)の間に同軸状に遊嵌されている。
【0057】
第2の中実円筒体(32)は、第2筒状体(34)と同軸状に、該第2筒状体(34)と一体となるように該第2筒状体(34)の底面に係止される。
【0058】
シャッター部(17)は円筒形を呈し、第2の筒状体(34)、第2の中実円筒体(32)および第1の中実円筒体(31)に囲まれた空間に遊嵌されている。シャッター部(17)の外側面は第2の筒状体(34)の内側に、内側面は第2の中実円筒体(32)の外側に接して、それぞれの接合面において摺動可能である。シャッター部(17)の金型側の端部は、第1の中実円筒体(31)のキャビティー側の端部と接している。
【0059】
磁性体(25)の下端と第1の筒状体(33)の間に第1付勢手段(23)が介装され、シャッター部(17)の上端と第2の筒状体(34)の底面との間に第2付勢手段(19)が介装される。第1付勢手段(23)及び第2付勢手段(19)としては、例えば、圧縮ばね(圧縮コイルバネ)を適用する。
【0060】
ボール(22)は当接面(13)と、ボール口(14)と、ボール嵌合凹部(15)とに囲まれてなる空間内に配されている。即ちボール(22)は第1の筒状体(33)に凹設されたボール嵌合凹部(15)に嵌合しているため、未だ着脱部(11)は受け皿部(6)に係止された状態となっている。
【0061】
本構造を維持させる力は、第2付勢手段により下方に付勢されたシャッター部(17)が、第1の中実円筒体(31)の上端を押す力である。これにより、ボール嵌合凹部(15)を通じてボール(22)に応力がかかり、ボール(22)を、当接面(13)、ボール口(14)及び、ボール嵌合凹部(15)に囲まれた空間に強固に留めると同時に、着脱部(11)を受け皿部(6)に強固に固定せしめている。
【0062】
[ガス抜き用金型部品Aの動作]
磁石(75)をキャビティー(V)側から着脱部(11)に近づけることで、磁性体(25)にはキャビティー(V)側への吸引力が作用する。図4図5に示すように、磁性体(25)は第1付勢手段(23)の伸長力に逆らってキャビティー(V)側に変位し、ボール逃げ部(26)はボール口(14)位置まで移動する。ボール(22)は磁性体(25)側面に設けられたボール逃げ部(26)に容易に移動しボール嵌合凹部(15)から排除される。着脱部(11)は係止を解除され、第2付勢手段(19)により付与される上向きの力および磁石(75)による吸引力によって上方に移動し、受け皿部(6)より脱離する。
【0063】
着脱部(11)の脱離と同時に第2付勢手段(19)によりシャッター部は金型側に移動し、第2の筒状体(34)の側面に開口したボール口(14)を内側から覆うことで、ボールの落下を防止する。シャッター部の構成は、上記機能を有するものであれば本実施例に記載されたものに限定されないことは言うまでもない。
【0064】
単に、外部磁界により着脱部の受け皿部からの係止を解除させるだけであれば、磁性体を受け皿部に内包させる構成であってもよい。しかし、本ガス抜き用金型部品Aでは、磁性体(25)は着脱部(11)に設けられている。これは、以下の作用効果を奏する。
【0065】
第一に、磁石(75)の吸引力は磁性体(25)を動かし係止を解除するだけでなく着脱部(11)自体を磁石(75)に吸着するので、磁石(75)ごと着脱部(11)を引っぱり上げることができる。前述のように第2付勢手段による反発力は着脱部の脱離に作用するが、それに加えて当該磁石を上に持ち上げる力も着脱部の脱離に寄与するので、磁性体を受け皿部に内包された場合に比べて、より強力に着脱部のキャビティー側からの脱離を行うことができる。
【0066】
第二に、磁性体(25)、ボール(22)、付勢手段(19,23)などを組み合わせた着脱部(11)係止のための機械部分を受け皿部に作製する必要が無くなるため、受け皿部(6)に比較的広い空間ができ他の機能を付加しやすくなる。
【0067】
第三に受け皿部(6)のクリーニング処理を行いやすくなる。受け皿部(6)は金型基盤に緊合されていて取り外すことができないので、クリーニング処理は、金型基盤を型開きしたうえで、金型のキャビティーに人が腕を横側から差し入れて行わねばならない。このように、受け皿部(6)はアクセス困難な場所であるため、クリーニング処理に際しては、受け皿部(6)の構造は極力シンプルである必要がある。本実施形態のように、着脱部(11)に上記機械部分が内包される場合、受け皿部(6)の構造は極めてシンプルになる。
【0068】
上で述べた、磁性体(25)が着脱部(11)に設けられることにより奏される作用効果は、後述の第2、第3及び第4実施形態においても同様に奏される。故に本作用効果について、第2、第3及び第4実施形態では新たに言及はしない。
【0069】
次に、本実施形態に係る交換自在な金型部品に設けられたガスの流路について説明する。図3に示すように、ガス抜き用金型部品Aでは中心軸に対して垂直な断面が12角形を呈する着脱部(11)が、受け皿部(6)の筐体(20)の円形断面を有する開口部(27)に挿入されているので、12角形断面の辺部(28)と円形断面を有する弧部(29)の間に狭小な隙間(30)が生じる。当該隙間(30)および、受け皿部(6)の底面に穿設された周辺部孔(24)(図2図5参照)が狭小な気体流路を形成し、キャビティー(V)の内部で発生したガスは金型基盤に設けられた貫通孔へ輸送される。前述のように、金型基盤に設けられた貫通孔は金型基盤外部に開放されているので、キャビティー(V)の内部で発生したガスは最終的に金型基盤外部に排出される。上記した狭小な隙間の構成は後述する第2実施形態においても共通した構造である。
【0070】
[第2実施形態]
[ガス抜き用金型部品Bの構成]
第2実施形態に係るガス抜き用金型部品Bは、第1実施形態に係るガス抜き用金型部品Aに比べてさらに強力に着脱部(41、42)を脱離する手段を有している。
【0071】
第2実施形態に係るガス抜き用金型部品Bにおいて、着脱部(41、42)は、第1着脱部(41)と第2着脱部(42)からなる。図6は、何も磁界が作用せず、第1着脱部(41)および第2着脱部(42)が受け皿部(6)に固定された状態の縦断面図を示している。
【0072】
2つの着脱部のうち受け皿部(6)との間にガス抜き用の隙間を提供するのは、第2着脱部(42)である。図7図6におけるE-E線に沿って切りとられた横断面図である。図7に示すように、中心軸に対して垂直な断面が12角形を呈する第2着脱部(42)が、受け皿部(6)の筐体(20)の円形断面を有する開口部(27A)に挿入されているので、12角形断面の辺部(28A)と円形断面の弧部(29A)の間に狭小な隙間(30A)が生じ、これがガス通路を提供する。
【0073】
第2着脱部(42)の脱離は以下に示す2つの工程によりなされる。第1工程において、第1着脱部(41)に磁石(75)を近接させることによって第1着脱部(41)の脱離がなされる。第1着脱部(41)の脱離により、第2着脱部(42)に設けられた六角レンチ穴である第5の筒状体の第1部分(47)が金型基盤のキャビティー(V)側から見えるようになる。第2工程において、該部分へ六角レンチを係合させ該螺着を解除することにより、第2着脱部(42)は受け皿部(6)から脱離される。
【0074】
第2着脱部の第1の部分(47)に六角レンチを係合させ螺合を解除するという確実な手段により着脱部を脱離させられるので、狭小な隙間が固形物で埋まり第2着脱部(42)と受け皿部(6)が強固に固着してしまった場合においても、それらの結合を確実に外すことができる。一方、第1着脱部(41)は、ガス抜き用の隙間を作り出すための直接的な寄与は無く、第2着脱部(42)の脱離に必要な六角レンチの嵌合部のカバーとして機能している。
【0075】
受け皿部(6)は、筐体(20)と第3の筒状体(43)からなる。筐体(20)は円筒状を呈しており、筐体(20)の底面の周辺部に円周に沿って設けられた1つ以上の周辺部孔(24)が設けられている。第3の筒状体(43)は円筒状を呈し、筐体(20)と一体的に、当該筐体(20)の内側に同軸状に形成され、当該筐体(20)の底面からキャビティー(V)側に向かって突出している。第3の筒状体(43)の内側面にはボール嵌合凹部(15)が設けられている。
【0076】
第1着脱部(41)は、シャッター部(17)、第4の筒状体(44)、磁性体(25)、第3の中実円筒体(46)、第1付勢手段(23)および第2付勢手段(19)から構成されている。第4の筒状体(44)は、キャビティー(V)側と金型側の両端に底面が設けられている。第4の筒状体(44)の側面には少なくとも1個のボール口(14)が穿設されており、ボール口(14)には少なくとも一個のボール(22)が嵌着されている。本実施形態においては、円周方向に設けられた4つのボール口に対して、それぞれ1つのボールが設けられている。4つのボール口に対してそれぞれ1個のボールが有っても良いし、4つのボール口に対してボールが1個であっても良い。
【0077】
磁性体(25)は中実円筒状を呈し、側面には当接面(13)が設けられている。さらに側面には、当接面(13)よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部(26)が設けられている。
【0078】
シャッター部(17)は円筒形を呈し、後述する第5の筒状体(34)と、第3の筒状体(43)と、第4の筒状体(44)とに囲まれた空間に遊嵌されている。シャッター部(17)の金型側の端部は、第3の筒状体(43)のキャビティー側の端部と接している。
【0079】
第3の中実円筒体(46)は、金型側に鍔状の底面を形成し、キャビティー(V)側において磁性体(25)との螺合により一体化され、第4の筒状体(44)の金型側の底面を貫通している。
【0080】
シャッター部(17)、第4の筒状体(44)、磁性体(25)は、外側からこの順序で同軸状に摺接されている。第3の中実円筒体(46)の鍔状の底面と、第4の筒状体(44)の金型側の底面との間に第1付勢手段(23)が介装され、第4の筒状体(44)のキャビティー(V)側の底面と、シャッター部(17)上端との間に第2付勢手段(19)が介装される。第1付勢手段(23)及び第2付勢手段(19)としては、例えば、圧縮ばね(圧縮コイルバネ)を適用する。
【0081】
第2着脱部(42)は、第5の筒状体(42)からなる。第2着脱部(第5の筒状体)(42)の外側面は三面以上の平面からなり、隣接する2つの面に画成される稜線は、筐体(20)の円筒状内側面に遊嵌される。前記稜線と筐体(20)の内側面の間の距離は1/100mm以下であることが望ましい。
【0082】
第2着脱部(第5の筒状体)(42)は、筒の中心軸に対し垂直な断面において内側面のなす形状が正六角形を呈する第1部分(47)(図11参照)と、筒の中心軸に対し垂直な断面が円形を呈するとともに内側面には雌ネジが刻設された第2部分(48)が設けられ、第1部分(47)は、第2部分(48)よりもキャビティー(V)側に位置している。第2部分の内側面は第3の筒状体(43)の外側面と螺合されている。
【0083】
ボール(22)は当接面(13)と、ボール口(14)と、ボール嵌合凹部(15)とに囲まれてなる空間内に配されている。即ちボール(22)は第3の筒状体(43)に凹設されたボール嵌合凹部(15)に嵌合しているため、未だ第1着脱部(41)は受け皿部(6)に係止された状態となっている。
【0084】
[ガス抜き用金型部品Bの動作]
図8は、第1着脱部(41)が受け皿部(6)の係止から解除され、さらに第1着脱部(41)が受け皿部(6)より磁石(75)とともに脱離した状態の縦断面図を示している。磁石(75)をキャビティー(V)側から第1着脱部(41)に近づけることで、磁性体(25)にはキャビティー(V)側に吸引力が作用する。磁性体(25)は第1付勢手段(23)の伸長力に逆らってキャビティー(V)側に変位し、ボール逃げ部(26)はボール口(14)と空間を共有する位置まで移動する。ボール(22)は磁性体(25)側面に設けられたボール逃げ部(26)に容易に移動しボール嵌合凹部(15)から排除される。第1着脱部(41)は係止を解除され、第2付勢手段(19)により付与される上向きの力および磁石(75)による吸引力によって上方に移動し、受け皿部(6)より脱離する。
【0085】
着脱部(11)の脱離と同時に第2付勢手段(19)によりシャッター部は金型側に移動し、第4の筒状体(44)の側面に開口したボール口(14)を外側から覆うことで、ボールの落下を防止する。シャッター部の構成は、上記機能を有するものであれば本実施例に記載されたものに限定されないことは言うまでもない。
【0086】
第1着脱部(41)が脱離することにより、第2着脱部である第5の筒状体の第1の部分(47)がキャビティー(V)側から見えるようになる。図9図8におけるH-H面の縦断面図である。実際に第5の筒状体の第1の部分(47)の六角形断面がキャビティー(V)側から見えているのが判る。
【0087】
さらに、図10に示すように、第5の筒状体の第1の部分(47)に六角レンチを係合して、第5の筒状体の第2の部分(48)の螺合を解除することにより、第2着脱部(第5の筒状体)(42)を受け皿部(6)より脱離させることができる。
【0088】
[ガス抜き用金型部品Bにおける第1付勢手段の介装箇所変更]
第1付勢手段(23)は図6に示す構成における場所とは異なった場所に介装されてもよい。図11に示すように、第4の筒状体(44)のキャビティー(V)側の底面と、磁性体に穿設されたドーナツ状孔(50)の間に第1付勢手段(23)が介装されてもよい。第2付勢手段(19)が介装される位置に変化はない。第1付勢手段(23)及び第2付勢手段(19)としては、例えば、圧縮ばね(圧縮コイルバネ)を適用する。
【0089】
磁石(75)をキャビティー(V)側から第1着脱部(41)に近づけることで、磁性体(25)にはキャビティー(V)側に吸引力が作用する。磁性体(25)は第1付勢手段(23)の伸長力に逆らってキャビティー(V)側に変位し、ボール逃げ部(26)はボール口(14)と空間を共有する位置まで移動する。ボール(22)は磁性体(25)側面に設けられたボール逃げ部(26)に容易に移動しボール嵌合凹部(15)から排除される。第1着脱部(41)は係止を解除され、第2付勢手段(19)により付与される上向きの力および磁石(75)による吸引力によって上方に移動し、受け皿部(6)より脱離する。
【0090】
[ガス抜き用金型部品Bにおけるシャッター部脱落防止機構]
図8に戻って説明する。図8に示される着脱部の脱離状態において、シャッター部(17)の下部にはシャッター部(17)の下方向への動きを制限する係止金具(49)が適所に設けられている。
【0091】
図12は、図6においてボールが設けられているF-F線によって切り取られた着脱自在な金型部品の横断面図である。さらに、図13図12に示されたG-Gによって切り取られた着脱自在な金型部品の縦断面図である。すなわち図13は第4の筒状体(44)の中心軸に対して、ボールが設けられている角度位置とは異なる角度位置における縦断面図である。図13において、第4の筒状体(44)の外側面に凹部が刻設され、当該凹部には、シャッター部(17)の下方向への動きを制限するシャッター部(17)の係止金具(49)が挿設されている。このように、第4の筒状体の中心軸に対して、ボールが設けられている角度位置とは異なる角度位置に、シャッター部(17)の係止金具(49)が設けられ、着脱部脱離状態において、シャッター部の下方向への動きを制限することで、引力によるシャッター部(17)の落下を防止している。
【0092】
上記したシャッター部係止金具の構造と類似の構造は、後述する第3実施形態(入れ子固定用金型部品A)および第4実施形態(入れ子固定用金型部品B)においても同様に設けられている。第3実施形態及び第4実施形態では、本構造について新たに言及はしない。
【0093】
上述のガス抜き用金型部品の典型的な大きさは、従来のガス抜き用金型部品(81)の大きさと同等である。
【0094】
[第3実施形態]
[入れ子固定用金型部品Aの構成]
図14に示すように、入れ子(51)を金型基盤(1A)の凹部に嵌め込んで用いる場合がある。嵌め込んだ入れ子(51)を金型基盤(1A)に固定するために、本発明に係る着脱自在な金型部品を用いる。
【0095】
着脱部(11)には螺着によって入れ子(51)が結合されており、一方、受け皿部(6)は金型基盤(1A)の凹部に強固に嵌め込まれている。よって、受け皿部(6)から着脱部(11)を脱離させると同時に、入れ子(51)を金型基盤(1A)より脱離させることができる。
【0096】
前記図14は、第4実施形態に係る入れ子固定用金型部品Aにおいて、何も磁界が作用せず、着脱部(11)が受け皿部(6)に固定された状態の縦断面図および横断面図である。受け皿部(6)は、筐体(20)からなり、金型基盤(1A)に形成された凹部に組付けられる。該筐体(20)は円筒状を呈し、筐体(20)の内側面には1つ以上のボール嵌合凹部(15)が設けられている。
【0097】
着脱部(11)は、シャッター部(17)、第6の筒状体(53)、磁性体(25)、第4の中実円筒体(54)、第1付勢手段(23)および第2付勢手段(19)から構成されている。第6の筒状体(53)は、キャビティー(V)側と金型側の両端に底面が設けられ、キャビティー(V)側の底面は入れ子(51)のキャビティー(V)側の面と面一となるよう入れ子(51)と一体化されている。第6の筒状体(53)の側面には少なくとも1個のボール口(14)が穿設されており、ボール口(14)には少なくとも一個のボール(22)が嵌着されている。
【0098】
磁性体(25)は、中実円筒状を呈し、側面には当接面(13)が設けられている。さらに側面には当接面(13)よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部(26)が設けられている。第4の中実円筒体(54)は、金型側に鍔状の底面を形成し、キャビティー(V)側において磁性体(25)と一体化され、第6の筒状体(53)の金型側の底面を貫通している。
【0099】
シャッター部(17)は円筒形を呈し、第6の筒状体(34)、金型基盤(1A)および筐体(20)に囲まれた空間に遊嵌されている。シャッター部(17)の金型側の端部は、筐体(20)のキャビティー側の端部と接している。
【0100】
シャッター部(17)、第6の筒状体(53)、磁性体(25)は、外側からこの順序で同軸状に摺接されている。第4の中実円筒体(54)の鍔状の底面と、第6の筒状体(53)の金型側の底面との間に第1付勢手段(23)が介装され、第6の筒状体(53)のキャビティー(V)側の底面と、シャッター部(17)上端との間に第2付勢手段(19)が介装されている。第1付勢手段(23)及び第2付勢手段(19)としては、例えば、圧縮ばね(圧縮コイルバネ)を適用する。
【0101】
ボール(22)は当接面(13)と、ボール口(14)と、ボール嵌合凹部(15)とに囲まれてなる空間内に配されている。即ちボール(22)は第6の筒状体(53)に凹設されたボール嵌合凹部(15)に嵌合しているため、未だ着脱部(11)は受け皿部(6)に係止された状態となっている。
【0102】
[入れ子固定用金型部品Aの動作]
図15は、着脱部(11)と一体化された入れ子(51)が受け皿部(6)から脱離された状態の横断面図を示している。磁石(75)をキャビティー(V)側から着脱部(11)に近づけることで、磁性体(25)にはキャビティー(V)側への吸引力が作用する。磁性体(25)は第1付勢手段(23)の伸長力に逆らってキャビティー(V)側に変位し、ボール逃げ部(26)はボール口(14)位置まで移動する。ボール(22)は磁性体(25)側面に設けられたボール逃げ部(26)に移動しボール嵌合凹部(15)から排除される。着脱部(11)と一体化された入れ子(51)は係止を解除され、第2付勢手段(19)により付与される下向きの力および磁石(75)による吸引力によって上方に移動し、受け皿部(6)より脱離する。
【0103】
着脱部(11)の脱離と同時に第2付勢手段(19)によりシャッター部は金型側に移動し、第6の筒状体(53)の側面に開口したボール口(14)を外側から覆うことで、ボールの落下を防止する。シャッター部の構成は、上記機能を有するものであれば本実施例に記載されたものに限定されないことは言うまでもない。
【0104】
[入れ子固定用金型部品Aにおける第1付勢手段の介装箇所変更]
第1付勢手段は図14に示す構成における場所とは異なった場所に介装されてもよい。図16に示すように、第6の筒状体(53)のキャビティー(V)側の底面と、磁性体に穿設されたドーナツ状孔(50)の間に第1付勢手段(23)が介装されてもよい。第2付勢手段(19)が介装される位置に変化はない。第1付勢手段(23)及び第2付勢手段(19)としては、例えば、圧縮ばね(圧縮コイルバネ)を適用する。
【0105】
磁石(75)をキャビティー(V)側から着脱部(11)に近づけることで、磁性体(25)にはキャビティー(V)側に吸引力が作用する。磁性体(25)は第1付勢手段(23)の伸長力に逆らってキャビティー(V)側に変位し、ボール逃げ部(26)はボール口(14)と空間を共有する位置まで移動する。ボール(22)は磁性体(25)側面に設けられたボール逃げ部(26)に容易に移動しボール嵌合凹部(15)から排除される。着脱部(11)と一体化された入れ子(51)は係止を解除され、第2付勢手段(19)により付与される上向きの力および磁石(75)による吸引力によって上方に移動し、受け皿部(6)および金型基盤より脱離する。
【0106】
[第4実施形態]
[入れ子固定用金型部品Bの構成]
前述の第3実施形態における入れ子は金型基盤の比較的表面部分に留まり金型基盤との結合も弱く、入れ子自体も軽量なものであったが、本実施形態における入れ子は金型基盤の奥深くまで嵌入がなされ、第3実施形態における入れ子と比較して重量があり、金型基盤への嵌入がより強固に為されているものである。より強力な脱離手段が要求される。
【0107】
第4実施形態に係る入れ子固定用金型部品Bにおいて、何も磁界が作用していない状態で、入れ子(51A)が金型基盤(1B)に嵌入され、且つ着脱部(11)が受け皿部(6)に固定された状態を示す縦断面図を図17に示す。
【0108】
受け皿部(6)は、筐体(20)と結合ボルト(62)からなる。筐体(20)は円筒状で、入れ子(51A)に形成された凹部に組付けられている。筐体(20)の底面に中央孔(63)が穿設されている。中央孔(63)の内側面には雌ネジが刻設されており、結合ボルト(62)は中央孔(63)及び入れ子(51A)に穿設された貫通孔を貫通して、金型基盤(1B)に穿設された貫通孔の内側面に刻設された雌ネジと螺合している。筐体(20)の内側面には1つ以上のボール嵌合凹部(15)が設けられている。
【0109】
着脱部(11)は、シャッター部(17)、第7の筒状体(64)、磁性体(25)、第5の中実円筒体(65)、第1付勢手段(23)および第2付勢手段(19)からなる。
【0110】
第7の筒状体(64)は、円筒状であり、第7の筒状体(64)は、キャビティー(V)側と金型側の両端に底面が設けられ、キャビティー(V)側の底面は、入れ子(51A)のキャビティー(V)側の面と面一となるように形成されている。
【0111】
第7の筒状体(64)の側面には少なくとも1個のボール口(14)が穿設されており、ボール口(14)には少なくとも一個のボール(22)が嵌着されている。磁性体(25)は、中実円筒状を呈し、側面には当接面(13)が設けられている。さらに側面には当接面(13)よりも金型側に少なくとも一つのボール逃げ部(26)が設けられている。
【0112】
第5の中実円筒体(65)は、金型側に鍔状の底面を形成し、キャビティー(V)側において磁性体(25)と一体化され、第7の筒状体(64)の金型側の底面を貫通している。シャッター部(17)、第7の筒状体(64)、磁性体(25)は、外側からこの順序で同軸状に摺接されている。
【0113】
シャッター部(17)は円筒形を呈し、第7の筒状体(64)および筐体(20)に囲まれた空間に遊嵌されている。シャッター部(17)の金型側の端部は、筐体(20)のキャビティー側寄りの内部に設けられた段差部分と接している。
【0114】
第5の中実円筒体(65)の鍔状の底面と、第7の筒状体(64)の金型側の底面との間に第1付勢手段(23)が介装され、第7の筒状体(64)のキャビティー(V)側の底面と、シャッター部(17)上端との間に第2付勢手段(19)が介装されている。第1付勢手段(23)及び第2付勢手段(19)としては、例えば、圧縮ばね(圧縮コイルバネ)を適用する。
【0115】
ボール(22)は当接面(13)と、ボール口(14)と、ボール嵌合凹部(15)とに囲まれてなる空間内に配されている。即ちボール(22)は第7の筒状体(64)に凹設されたボール嵌合凹部(15)に嵌合しているため、未だ着脱部(11)は受け皿部(6)に係止された状態となっている。
【0116】
[入れ子固定用金型部品Bの動作]
磁石(75)をキャビティー(V)側から着脱部(11)に近づけることで、磁性体(25)には吸引力が作用する。磁性体(25)は第1付勢手段(23)の伸長力に逆らってキャビティー(V)側に変位し、ボール逃げ部(26)はボール口(14)と空間を共有する位置まで移動する。ボール(22)は磁性体(25)側面に設けられたボール逃げ部(26)に容易に移動しボール嵌合凹部(15)から排除される。着脱部(11)は係止を解除され、第2付勢手段(19)により付与される上向きの力および磁石(75)による吸引力によって上方に移動し、受け皿部(6)より脱離する。
【0117】
着脱部(11)の脱離と同時に第2付勢手段(19)によりシャッター部は金型側に移動し、第7の筒状体(64)の側面に開口したボール口(14)を外側から覆うことで、ボールの落下を防止する。シャッター部の構成は、上記機能を有するものであれば本実施例に記載されたものに限定されないことは言うまでもない。
【0118】
図18は、着脱部(11)が受け皿部(6)から脱離された状態の横断面図を示している。前述のように、結合ボルト(62)は、中央孔(63)及び入れ子(51A)に穿設された貫通孔を貫通して、成形用金型基盤(1B)に穿設された貫通孔の内側面に刻設された雌ネジと螺合している。したがって、着脱部(11)が受け皿部(6)から分離された状態において、キャビティー(V)側から工具が結合ボルト(62)の頂部に係合されることが可能になり、図19に示すように、工具によって該螺合を解除し結合ボルト(62)を取り外すことができる。
【0119】
このような結合ボルト分離状態において、さらに、図20に示すように、キャビティー(V)側より中央孔(63)に設けられた螺子穴に入れ子脱離用ボルト(66)を螺入する。入れ子脱離用ボルト(66)の呼び径は金型基盤(1B)に穿設された貫通孔の径よりも大きいので、入れ子脱離用ボルト(66)の先端は、入れ子(51A)と金型基盤(1B)の境界より先に螺入することはない。この状態に置いて、図21に示すように、さらに入れ子脱離用ボルト(66)を回転させ螺入することで、図22に示すように、最終的に入れ子(51A)が成形用金型基盤(1B)から分離された状態を実現することができる。
【0120】
このように本実施形態では、入れ子(51A)を金型基盤(1B)から脱離させる主役は、入れ子脱離用ボルト(66)である。着脱自在な金型部品は、入れ子(51A)を金型基盤(1B)から脱離させる直接的な寄与は無く、入れ子脱離用ボルト(66)を入れ子(51A)に導入するための孔のカバーとして機能している。
【0121】
[入れ子固定用金型部品Bにおける第1付勢手段の介装箇所変更]
第1付勢手段は図17に示す構成における場所とは異なった場所に介装されてもよい。図23に示すように、第7の筒状体(64)のキャビティー(V)側の底面と、磁性体に穿設されたドーナツ状孔(50)の間に第1付勢手段(23)が介装されてもよい。第2付勢手段(19)が介装される位置に変化はない。第1付勢手段(23)及び第2付勢手段(19)としては、例えば、圧縮ばね(圧縮コイルバネ)を適用する。
【0122】
磁石(75)をキャビティー(V)側から着脱部(11)に近づけることで、磁性体(25)にはキャビティー(V)側に吸引力が作用する。磁性体(25)は第1付勢手段(23)の伸長力に逆らってキャビティー(V)側に変位し、ボール逃げ部(26)はボール口(14)と空間を共有する位置まで移動する。ボール(22)は磁性体(25)側面に設けられたボール逃げ部(26)に容易に移動しボール嵌合凹部(15)から排除される。着脱部(41)は係止を解除され、第2付勢手段(19)により付与される上向きの力および磁石(75)による吸引力によって上方に移動し、受け皿部(6)より脱離する。
【0123】
上述の入れ子固定用金型部品Bの典型的な大きさは、従来のガス抜き用金型部品(81)の大きさと同等である。
【0124】
今まで述べた磁性体部分を除く材質は、耐久性の面から非磁性ステンレス合金であることが望ましいが、アルミニウム、銅などその他非磁性の金属を用いることができる。磁性体部分は、非磁性金属を用いることはできないので、磁性を有するステンレスSUS430または鉄を好適に用いることができる。
【0125】
磁性体は磁石であってもよい。ただし磁石の場合には、本実施形態に係る交換自在な金型部品に内包される磁石と外部から磁界を印加する磁石の間に吸引力が働くことが必要条件である。例えば、交換自在な金型部品に内包される磁石のキャビティー(V)側に面する極がN極である場合、外部から磁場印加を行う磁石の金型基盤に面する極はS極でなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明に係る交換自在な金型部品は、重量物である金型基盤自体を射出成形機から取り外すことなく、そして金型を分解することなく、金型基盤の内部に磁石移動など特別な構造を形成する必要がなく、金型基盤自体の大幅な改良を行うことなく、更には金型基盤の型開きの状態から、キャビティー側より、ガス抜き用部品または、円形、四角形など自由な形の入れ子を簡単に交換できる交換自在な金型部品を提供することができる。金型を用いた樹脂成形作業の効率を高めることに寄与することができる。
【0127】
本発明に係る交換自在な金型部品は、金型を用いた樹脂成形時に金型内部で発生するガスを排気するガス抜き用金型部品、入れ子固定用金型部品に好適に利用される。
【符号の説明】
【0128】
1 金型基盤
1A 金型基盤
1B 金型基盤
2 凹部
4 ガス抜き用金型部品
6 受け皿部
11 着脱部
13 当接面
14 ボール口
15 ボール嵌合凹部
17 シャッター部
19 第2付勢手段
20 筐体
22 ボール
23 第1付勢手段
24 周辺部孔
25 磁性体
26 ボール逃げ部
31 第1の中実円筒体
32 第2の中実円筒体
33 第1の筒状体
34 第2の筒状体
41 第1着脱部
42 第2着脱部(第5の筒状体)
43 第3の筒状体
44 第4の筒状体
46 第3の中実円筒体
47 第5の筒状体の第1部分
48 第5の筒状体の第2部分
51 入れ子
51A 入れ子
53 第6の筒状体
54 第4の中実円筒体
62 結合ボルト
63 中央孔
64 第7の筒状体
65 第5の中実円筒体
66 入れ子脱着用ボルト
V キャビティー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24
図25
図26