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特開2022-36859クリーニング部材及び定着装置並びに画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036859
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】クリーニング部材及び定着装置並びに画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20220301BHJP
【FI】
G03G15/20 525
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141284
(22)【出願日】2020-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】596086262
【氏名又は名称】株式会社立花商店
(71)【出願人】
【識別番号】507226019
【氏名又は名称】MC山三ポリマーズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593108255
【氏名又は名称】穂高工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081709
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴若 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】高野 晃史
(72)【発明者】
【氏名】中田 竜也
(72)【発明者】
【氏名】沼田 光貴
(72)【発明者】
【氏名】杉本 耕治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA08
2H033BA49
2H033BA51
2H033BA54
2H033BA56
2H033BA58
(57)【要約】
【課題】プリント画像の光沢メモリの発生を防止すると共に、クリーニング部材の長寿命化と高い画像品質を得ることが可能である。
【解決手段】未定着画像は、ワックスを含有するトナーを用いて形成され、定着、加圧部材の表面のワックス汚れをクリーニング部材5により清掃するクリーニング装置を備え、クリーニング部材5が親水処理した多孔質ポリテトラフルオロエチレンでその背後に保持部材5aを有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に転写された未定着画像を熱定着させる部材の表面に付着するワックスの汚れを清掃するクリーニング部材であり、
前記未定着画像は、ワックスを含有するトナーを用いて形成され、
前記クリーニング部材は、親水処理した多孔質ポリテトラフルオロエチレンでその背後に保持部材を有することを特徴とするクリーニング部材。
【請求項2】
未定着画像が転写された記録媒体を、加熱された定着部材と加圧部材間に設けた定着ニップ部に搬送して熱定着させる定着装置であり、
前記未定着画像は、ワックスを含有するトナーを用いて形成され、
前記定着部材または前記加圧部材の少なくとも一方の部材の表面のワックスの汚れをクリーニング部材により清掃するクリーニング装置を備え、
前記クリーニング部材は、親水処理した多孔質ポリテトラフルオロエチレンでその背後に保持部材を有することを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録媒体に転写された未定着画像を熱定着させる部材の表面に付着するワックスの汚れを清掃するクリーニング部材、及び未定着画像が転写された記録媒体を熱定着させる定着装置、並びに定着装置を備える電子写真方式や静電記録方式などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置として、例えば定着ローラと加圧ローラによって定着ニップ部を形成し、その定着ニップ部でトナー像を担持した記録媒体の定着を行っている。
【0003】
そのトナー像には、定着部材である、例えばテフロン(登録商標)表面にトナーが付着してしまうオフセットが発生したり、定着ローラへのトナーを担持した紙の巻付きが起こる問題があった。
【0004】
そこで、従来のように定着ローラにシリコーンオイルなどの離型材の使用を抑え、替わりにワックスを添加したトナーを用いることで、加熱時にトナー中から溶融したワックスが定着ローラに供給され、オフセットの発生や紙の巻付きを抑えるという技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、定着部材にワックスが付着してくるとそのワックスによるワックス潜像が形成され、次の画像に光沢ムラとなって現れる。
【0006】
これを回避するために、定着部材に清掃回転体を接触させ、更に接触回転体をワックス融点より高温にし、接触回転体に清掃ウェブを接触させる手段をとった技術(例えば、特許文献2参照)、更に定着部材に、定着部材の表面の汚れを清掃するクリーニングユニットを設け、その下流側にワックス均一化部材を設けた技術もあるが、このような処置を施しても、ワックスによる光沢ムラは解決しなかった。
【0007】
次に、本発明者らは、このワックスを効果的にとる方法として、多孔質ポリテトラフルオロエチレンをクリーニング部材として、使用する技術を開示した(特許文献3参照)。しかし、この微細な繊維でも効果は、十分でなかった。そこでさらに検討し、親水処理した多孔質ポリテトラフルオロエチレンを用いることでワックスを大幅に除去する技術を開示した(特許文献4参照)。しかしながら除去性能は良いがクリーニング部材の長寿命に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平3―185459号公報
【特許文献2】特開2005-43532号公報
【特許文献3】特開2013-231893号公報
【特許文献4】特開2019-113733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このようにワックスを添加したトナーを用いて熱定着させると、トナーの中から溶融したワックスが定着部材の例えばパーフルオロアルコキシエチレン(PFA)の表面にワックスが付着する。このワックスは、トナー画像として残り、次のプリント画像に転写される。これが所謂光沢ムラ(以下光沢メモリとも言う)となる。特に目立つ画像は、画像面積の大きなベタ画像の時が顕著である。
【0010】
この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、プリント画像の光沢メモリの発生を防止すると共に、クリーニング部材の長寿命化と高い画像品質を得ることが可能なクリーニング部材及び定着装置並びに画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するために、この発明は、以下のように構成した。
【0012】
請求項1に記載の発明は、記録媒体に転写された未定着画像を熱定着させる部材の表面に付着するワックスの汚れを清掃するクリーニング部材であり、
前記未定着画像は、ワックスを含有するトナーを用いて形成され、
前記クリーニング部材は、親水処理した多孔質ポリテトラフルオロエチレンでその背後に保持部材を有することを特徴とするクリーニング部材である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、未定着画像が転写された記録媒体を、加熱された定着部材と加圧部材間に設けた定着ニップ部に搬送して熱定着させる定着装置であり、
前記未定着画像は、ワックスを含有するトナーを用いて形成され、
前記定着部材または前記加圧部材の少なくとも一方の部材の表面のワックスの汚れをクリーニング部材により清掃するクリーニング装置を備え、
前記クリーニング部材は、親水処理した多孔質ポリテトラフルオロエチレンでその背後に保持部材を有することを特徴とする定着装置である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0016】
請求項1乃至請求項3に記載の発明では、未定着画像は、ワックスを含有するトナーを用いて形成され、クリーニング部材は、親水処理した多孔質ポリテトラフルオロエチレンでその背後に保持部材を有することで、プリント画像の光沢メモリの発生を防止すると共に、クリーニング部材の長寿命化と高い画像品質を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一般的な定着装置を示す図である。
図2】光沢メモリが発生する概略図である。
図3】実施の形態の定着装置を示す図である。
図4】ウエブクリーニング方式の形態の定着装置を示す図である。
図5】クリーニング部材の2層構造を示す概念図である。
図6】クリーニング部材の保持層を示す概念図である。
図7】画像形成装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明のクリーニング部材及び定着装置並びに画像形成装置の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
[定着装置]
【0019】
(従来の実施の形態)
図1は一般的な定着装置を示す図、図2は光沢メモリが発生する概略図である。
【0020】
一般的な定着装置では、定着ローラ1は、アルミニウム芯金に150μmのシリコーン(Si)ゴム、その上にフッ素樹脂(PFA)チューブが被覆され、内蔵するヒーター2で加熱され、図示しない温度センサーで、一定の温度に制御されている。加圧ローラ3は、5mmのシリコーン(Si)ゴム、その上にフッ素樹脂(PFA)チューブが被覆されている。定着ローラ1と加圧ローラ3は、図示しない加圧バネで加圧され、これにより定着ローラ1と加圧ローラ3とで定着ニップ部Nが形成されている。記録媒体Pに形成されたトナー像Tは、図示する回転方向に送られ熱と圧力で定着される。分離板4は、記録媒体Pが定着ローラ1にまきつくことを防止している。
【0021】
次に、光沢メモリ発生の概略図では、図2(a)は、トナー像Tを担持した記録媒体Pが、定着ローラ1に移動している状態を示し、図2(b)は、トナー像Tが、定着ニップ部Nを通過して定着されたトナー像(定着像)と定着ローラ1にトナー中のワックスが付着した状態を示し、図2(c)は、ベタ画像に図2(b)のワックス潜像が付着し、光沢ムラとなって表れた状態を示す。
【0022】
(実施の形態)
実施の形態の定着装置を、図3に示す。この実施の形態の定着装置10は、定着部材を構成する定着ローラ1と、加圧部材を構成する加圧ローラ3が対向して配置され、この定着ローラ1と加圧ローラ3との間に定着ニップ部Nが設けられる。定着ローラ1の内部にヒーター2が配置され、ヒーター2の温度は、図示しない温度制御部で制御される。未定着画像Tが転写された記録媒体Pを、定着ローラ1と加圧ローラ3間に設けた定着ニップ部Nに搬送して熱定着させ、未定着画像Tはワックスを含有するトナーを用いて形成されている。ワックスには、例えばパラフィン系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、高級脂肪酸及びその金属塩、アミドワックス、エステル系ワックス等従来公知のワックスである。ワックスの含有率は7~23質量%が好ましいと言われ、ワックスの融点は75~110℃が一般的である。
【0023】
定着ローラ1の表面の汚れをクリーニング部材5により清掃するクリーニング装置Kを備え、芯金に設けたクリーニング部材5が親水処理した多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、その背後にワックスを保持する保持部材5aが被覆されたロール形状である。
【0024】
一般的な定着装置では、トナーのワックス成分が、図2に示すように、定着ローラ1に残り、次の画像に光沢メモリとしてでるが、この実施の形態では、クリーニング部材5を当接することで、ワックスがクリーニングされ、光沢メモリが発生しない。クリーニング部材5は、図6に示すように、ワックスを保持する保持部材5a上に被覆され、ロール形状になっているため表面積も増え、クリーニング部材5の寿命が向上し同時に駆動負荷も低減される。
【0025】
このクリーニング部材5は、親水処理した多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、図4に示すクリーニング装置Aのように、クリーニングウェブ形状でも良いし、図5のように、引張強度が弱い多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を伸び難い材料で裏打ちしても良い。その裏打ちの詳細な材料は、筆者が出願した特開2013-231893号公報に詳しく記載されている。裏打ち方法として、加熱加圧接着方法の他に例えば熱硬化型RTVシリコーンゴムで接着する方法もある。接着剤はこれに限定されるものではない。
【0026】
図4に示すクリーニング装置Aは、クリーニングウエブ6aを元巻側6bと巻取り側6cの間に張力をもって張り巡らせ、押圧ローラ7にクリーニングウエブ6aを定着ローラ1の外周表面に接触させ、定着ローラ1の表面の汚れをクリーニングウエブ6aにより清掃する構成である。また、このクリーニングウエブ6aは、加圧ローラ3の外周表面に接触させ、汚れを清掃する構成でも良い。
【0027】
〔実施形態1〕
定着ローラ1は、外径60mmで、鉄芯金の上にゴム硬度18度(JIS A)のシリコーンゴムが0.5mmの厚さで、その上に50μmのフッ素樹脂(PFA)チューブが被覆されている。加圧ローラ3は、直径60mmでゴム硬度25度(JIS A)のシリコーンゴムが10mmの厚さで、その上に50μmのフッ素樹脂(PFA)チューブが被覆されている。定着ローラ1には、内部にヒーター2があり、図示しない温度制御部で180℃に制御されている。分離板4は、鉄にパーフルオロアルコキシエチレン(PFA)を焼付けたもので、記録媒体Pが、定着ローラ1に巻付くのを防止している。クリーニング部材5を構成するクリーニングローラは、外径14mmの鉄芯金の上にワックス保持部材として中興化成製PTFE肉厚多孔質チューブC-Porous(内径13.7、外径20.7)を被覆し、その上に信越化学製KE-44-Tの接着材を使用して、住友ファインポリマー社製のHPW-045-30(孔径0.45μm・厚み30μm)の親水処理した多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が設けてある。
【0028】
親水処理方法に関しては、例えば特願2009-32987で公知であるPVA水溶液を使用して多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に含侵する方法とか、プラズマ処理、コロナ放電による親水処理が一般的であり、どれを使用しても良い。
【0029】
〔比較例-1〕
比較例として、実施形態1と同じ定着装置を使い、クリーニングローラは、保持部材が無いだけで表層は実施形態1と同様に住友ファインポリマー社製のHPW-045-30(孔径0.45μm・厚み30μm)の親水処理した多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が設けてある。
【0030】
〔評価方法〕
次に、定着ローラ1に残ったワックスの評価方法を述べる。図3の定着装置を使い、図示しないA4サイズ画像を各10枚・50枚・100枚の連続コピー後、画像のない原稿でA3のOHP用紙を通紙し、OHP用紙に前の画像が残っているかで評価した。このOHP用紙にワックス像が出やすいことは、特開2005-43532号公報にも記載されており、評価しやすい方法である。
【0031】
上記評価方法で、実施形態と比較例の評価を表1に示す。
【0032】
レベル1・2は、不可
レベル3・4・5は、許容レベル
である。
【表1】
【0033】
表1のように、10枚通紙後であれば実施例と比較例では差がないが、50枚通紙後及び100枚通紙後で大きな差となった。要は、ワックスがクリーニングローラ表面を覆うとクリーニングしたいワックスは取り込むことができない。そのために表面のワックスを保持部材に送り込み、クリーニングローラ表面は、常に親水処理した多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が有ることが重要である。この評価結果で、ワックス保持部材を設ける効果が証明できた。
【0034】
評価はローラで行ったが、図4に示すウエブクリーニング装置でも同じ効果が確認された。
【0035】
[保持部材]
実施例では、中興化成製のPTFE肉厚多孔質チューブC-Porousで確認したが、他には極細の不織布である帝人フロンティア製のナノフロントも十分な保持を使用した不織布が良い。
【0036】
多くの材料を検討した結果から保持部材としては、繊維径と空隙率の両特性が重要であることが確認できた。具体的には、繊維径は、20μm以下でより好ましくは3μm以下で、空隙率は30%~90%でより好ましくは50%~85%の範囲が望ましい。理由は、ワックスが毛細管現象で繊維に絡まり適正範囲の空隙率で保持されていると予測している。
【0037】
上記以外の材料としては、PTFE多孔質体(住友電工・ゴアテックスジャパン、)、ノーメックス(デュポン)・(コーネックス(帝人)に代表するアラミド繊維不織布、液晶ポリマー不織布:ベクルス(クラレ)が用いられるが、これらに限定されるものではなく、例えば、特許第4224567号のように、RTVシリコーンゴムに微細な粒粉物と多価アルコールを混ぜ硬化後の成型体を水に浸漬し流出させた微細連続気泡多孔質体ゴムのような構造体で毛細管現象が起こるものでもよい。また、特許第5686229号のように熱可塑性樹脂とポリオレフィンに孔形成剤を用いて、除去溶媒に浸漬し、微多孔膜を作るものでも良い。
【0038】
次に、本発明者が、特開2018-136439号公報で開示した、クリーニングローラ芯金に複数本の溝を設ける方法もさらに保持量アップの効果が確認できた。
【0039】
定着装置は、1対の熱ローラ方式で説明したが、この方式に限らずベルトを使用するベルト定着方式でも良く、定着方式は当然限定されるものではない。さらに、定着ローラ、加圧ローラ、定着ベルトに直接ワックス除去部材を当接せずに、例えば外部加熱ローラにワックス除去部材を当て、外部加熱ローラに付着したワックスを除去する方法でも良く、当接する相手の部材を限定させるものではない。また、オフセットトナーを除去するクリーニング部材が必要でない定着装置も有り、オフセットトナーを除去するクリーニング部材の有無も限定されるものではない。クリーニング部材の形状として、ローラ状・ウェブ状で説明したが、例えば、金属・プラスティックの板に巻きつけた簡単な形状でも良いことは当然である。
【0040】
[画像形成装置]
図7は定着装置が搭載された画像形成装置の全体構成を示す概略図であり、この実施の形態では画像形成装置として電子写真複写機(以下、単に「複写機」という。)に搭載した例を示している。
【0041】
図7において、複写機100は、外部から伝達された画像データに応じて転写材として所定の用紙に対して多色または単色の画像を形成するものである。但し、この実施の形態では単色の画像を形成する複写機を例示している。
【0042】
この複写機100は、原稿処理部10、給紙部20、画像形成部30及び排紙部15を備えている。原稿処理部10は、装置本体101に、原稿載置台11、原稿搬送部12及び原稿読取部13を備えている。
【0043】
原稿載置台11は、透明ガラスからなり、原稿が載置可能な構成となっている。原稿搬送部12は、原稿トレイ12aに積載された原稿を1枚ずつ搬送する。この原稿搬送部12は、紙面奥方向に回動自在に構成され、原稿載置台11の上を開放することにより原稿載置台11に原稿を置くことができるようになっている。原稿読取部13は、原稿搬送部12で搬送中の原稿または原稿載置台11に載置された原稿を読み取るものであり、ミラー群13a、集光レンズ13b及び撮像素子(CCD)13cを備えている。
【0044】
給紙部20は、給紙カセット21及びピックアップローラ22を備えている。ピックアップローラ22は、給紙カセット21の端部近傍に設けられ、給紙カセット21から用紙(記録用紙)Pを1枚ずつピックアップして用紙搬送路25に供給する。
【0045】
画像形成部30は、感光体ドラム31、帯電器32、現像器33、クリーナ部34、露光ユニット35、転写ローラ36を備える。画像形成部30では、感光体ドラム31上にトナー像を形成し、このトナー像を転写ローラ36により用紙(記録用紙)Pに転写し、この感光体ドラム31と転写ローラ36とにより転写部Bが構成される。
【0046】
画像形成部30は、電子写真方式によるものであり、帯電機器32へのバイアス印加によって表面を一様に帯電した感光ドラム31に、読み取りデータに基づいて露光ユニット35からレーザ光を照射して静電潜像を形成する。この静電潜像を現像器33によりトナー現像して可視像化する。また、トナー像の形成と同期するように、装置本体101の下部に装着された給紙カセット21に装填されている用紙Pをピックアップローラ22によってピックアップし、搬送ローラ37によって感光ドラム31と転写ローラ36との間のニップ部へ搬送する。そして、転写ローラ36へのバイアス印加によって感光ドラム31上のトナー像を用紙Pに転写して画像形成する。トナー像が転写された用紙Pは定着装置38に送られ、加熱、加圧されることによってトナー像が定着された後、排出ローラ39によって排紙部15に排出される。
【0047】
装置本体101の背面101a側には、主に画像形成部30で発生する熱を吸引して外部に排出するための吸引ファン16が設けられており、この吸引ファン16には、装置本体101内の各部から熱を効率的に吸引するための吸引ダクトが設けられている。
[定着装置]
【0048】
この定着装置38は、未定着画像が転写された記録媒体を、加熱された定着部材と加圧部材に設けた定着ニップ部に搬送させる装置であり、未定着画像は、ワックスを含有するトナーを用いて形成され、定着、加圧部材の表面のワックス汚れをクリーニング部材により清掃するクリーニング装置を備え、クリーニング部材が親水処理した多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、前記実施の形態のものが用いられる。
【0049】
この定着装置38を備える画像形成装置100は、この実施の形態に限定されず、他の電子写真方式や静電記録方式などの画像形成装置にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
この発明は、記録媒体に転写された未定着画像を熱定着させる部材の表面に付着するワックスの汚れを清掃するクリーニング部材、及び未定着画像が転写された記録媒体を熱定着させる定着装置、並びに定着装置を備える電子写真方式や静電記録方式などの画像形成装置に適用でき、プリント画像の光沢メモリの発生を防止すると共に、クリーニング部材の長寿命化と高い画像品質を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
T トナー
P 記録媒体
N 定着ニップ部
1 定着ローラ
2 ヒーター
3 加圧ローラ
4 分離板
5 クリーニング部材
5a 保持部材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7