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  • 特開-粉体分級装置 図1
  • 特開-粉体分級装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036864
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】粉体分級装置
(51)【国際特許分類】
   B07B 1/28 20060101AFI20220301BHJP
   B07B 1/46 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
B07B1/28 Z
B07B1/46 B
B07B1/46 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141291
(22)【出願日】2020-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】592135890
【氏名又は名称】株式会社三信精機
(74)【代理人】
【識別番号】100148127
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 耕太
(72)【発明者】
【氏名】上田 格
【テーマコード(参考)】
4D021
【Fターム(参考)】
4D021AA11
4D021AB02
4D021AB20
4D021AC01
4D021CA03
4D021CB01
4D021CB11
4D021CB20
4D021DA01
4D021DC01
4D021EA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プレス成型工程に組み込むことのできる分級装置を提供する。
【解決手段】粉体を分級する上面視円形状のメッシュ部材2と、メッシュ部材2の上側に位置し、垂直に設けられた回転軸3を介して回転することでメッシュ部材2に粉体を押し当てるヘラ4と、回転軸3を回転させるモーター5とを有する、粉体の分級装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を分級する上面視円形状のメッシュ部材と、前記メッシュ部材の上側に位置し、垂直に設けられた回転軸を介して回転することで前記メッシュ部材に粉体を押し当てるヘラと、前記回転軸を回転させるモーターとを有する、粉体の分級装置。
【請求項2】
前記メッシュ部材はアール面を有するボウル形状である、請求項1に記載の粉体の分級装置。
【請求項3】
前記メッシュ部材は可撓性を有する、請求項1に記載の粉体の分級装置。
【請求項4】
前記ヘラは可撓性を有する、請求項1に記載の粉体の分級装置。
【請求項5】
前記回転軸は軸方向に設けられたスプリングを備え、前記ヘラが前記モーターに対し弾性的に上下動可能に設けられた、請求項1に記載の分級装置。
【請求項6】
前記メッシュ部材に接続された振動装置を備え、この振動装置により前記メッシュ部材が振動する、請求項1に記載の分級装置。
【請求項7】
前記メッシュ部材にブラスト処理がなされた、請求項1に記載の分級装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品製造に用いられる粉体分級装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧品などの製造工程において、材料である粉体を所定の量だけ容器に充填するための充填機においては、ホッパーに粉体が投入され、所定量が容器に充填されてプレスされる。ここで、粉体が凝集し、固まった状態でホッパーに投入されると、プレス成型された際に、硬度ムラが生じ、例えば化粧品用のパフで採取した際に硬い部分が黒く変色するケーキングという現象が生じる。特に化粧品の材料となる粉体では、タルク成分や油分が多いため凝集が起きやすい。
【0003】
このような事態を避けるため、従来、ホッパーに投入する粉体を事前に濾過し、粉体を細かくし、凝集した部分を取り除く粉体分級工程が設けられていた。この工程は、ふるいのようなメッシュに粉体を投入し、人力でふるいにかけるか、機械式で振動するふるいや、偏心して回転するシフターという機械、ターボスクリーナーと呼ばれる、水平方向の円筒スクリーン網内に設けられたブレードが高速回転することによって網に微振動を発生させ粉体を分級する機械が用いられていた。
【0004】
いずれの場合でも、ふるいやメッシュの目詰まりが生じたり、凝集した粉体を捨てる作業が生じたりして中断するなど時間と手間がかかり、ターボスクリーナーなどの大掛かりなものではコストもかかる。また、プレス成型工程とは時間的にも場所的にも切り離された別の工程として粉体分級工程を設ける必要があり、そのため、プレス成型工程に入るまでの時間や移動により粉体が再度凝集してしまったり、変質してしまう場合もあった。
【0005】
例えば、特許文献1には、このようなターボスクリーナーの一例として、円筒スクリーン分級機を用い、スクリーンの破損が少なく、付着の著しい粉体の分級収率が高く、作業時間の短縮によりコストを削減できる微粒子の分級方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-320921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の分級方法においても、プレス成型工程と分級工程を別工程とすることは避けられず、時間、手間、費用といったコストがかかり、再度の凝集、変質というリスクも残るものであった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、プレス成型工程に組み込むことのできる分級装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の粉体の分級装置は、粉体を分級する上面視円形状のメッシュ部材と、前記メッシュ部材の上側に位置し、垂直に設けられた回転軸を介して回転することで前記メッシュ部材に粉体を押し当てるヘラと、前記回転軸を回転させるモーターとを有する。
【0010】
前記メッシュ部材はアール面を有するボウル形状であることが望ましい。
【0011】
前記メッシュ部材は可撓性を有することが望ましい。
【0012】
前記ヘラは可撓性を有することが望ましい。
【0013】
前記回転軸は軸方向に設けられたスプリングを備え、前記ヘラが前記モーターに対し弾性的に上下動可能に設けられることが望ましい。
【0014】
前記メッシュ部材に接続された振動装置を備え、この振動装置により前記メッシュ部材が振動することが望ましい。
【0015】
前記メッシュ部材にブラスト処理がなされていることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の粉体の分級装置を示す斜視図である。
図2図1の粉体の分級装置を示すA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の粉体の分級装置の実施形態について説明する。図1は、実施形態の粉体の分級装置を示す斜視図である。
【0018】
図1に示すように、実施形態の粉体の分級装置1は、粉体を分級する上面視円形状側面視ボウル形状のメッシュ部材2と、メッシュ部材2の上側に位置し、垂直に設けられた回転軸3を介して回転することでメッシュ部材2に粉体を押し当てるヘラ4と、回転軸3を回転させるモーター5とを有する。
【0019】
粉体の分級装置1は、下部に水平方向に設けられた台座7と、この台座7の一端から上方へ伸びた支持柱8と、支持柱8から水平に伸びた二本の支持アーム9及び10と、を有する。なお、図1においては台座7は一部省略されている。第一の支持アーム9はその先端においてモーター5を支持し、第二の支持アーム10はその先端においてメッシュ部材2を支持する。支持アーム9及び10はそれぞれ、支持柱8に垂直方向に設けられた長穴8a及び8bに対しネジ部材で固定されると共に、ネジ部材の頭に取り付けられたハンドル9a及び10aを回動してネジ部材を緩め、調節することにより長穴8a及び8bの範囲内で上下に移動可能であり、モーター5及びメッシュ部材2の相互の位置関係及びメッシュ部材2の下方に配置されるホッパー(図示省略)との関係において適切な高さに位置決めされる。
【0020】
図1及び図2に示すように、メッシュ部材2は、アール面を有し、より具体的には上面視円形状、側面視及び正面視においてボウル形状をなし、すり鉢状の底面2aと、この底面2aの外周から上方へ伸びたテーパーの付いた円筒状の側面2bと、この側面2bの外周縁にふち状に設けられたフランジ2cを有する。
【0021】
メッシュ部材2は、茶こしのように金網により形成され、可撓性を有する。この可撓性により、ヘラ4の圧着に対し柔軟に対応することができ、装置の故障を防ぐとともにヘラ4との間の隙間を小さくし、粉体の後逸を減らすことを可能とする。メッシュ部材2の表面にはブラスト処理がなされている。このブラスト処理により表面にディンプルが形成され、粉体の付着を防止することができる。
【0022】
ヘラ4は板状であってメッシュ部材2の断面形状に沿ったアール状の形状を有し、可撓性を有するエラストマー樹脂により形成されている。この可撓性により、メッシュ部材2の凹凸に対し柔軟に対応することができ、装置の故障を防ぐとともにメッシュ部材2との間の隙間を小さくし、粉体の後逸を減らすことを可能とする。
【0023】
回転軸3は軸方向に設けられたスプリング31を備え、ダンパー構造をなしている。このため、ヘラ4はモーター5に対し弾性的に上下動可能である。これにより、ヘラ4はメッシュ部材2に対し常にある程度の圧力で押圧されつつ回転し、粉体が後逸されることなくメッシュ部材2に押し付けられるから、目詰まりを防ぎつつ、効率よく分級することができる。
【0024】
粉体の分級装置1はメッシュ部材2に接続された振動装置6を備え、この振動装置6によりメッシュ部材2が振動する。この振動により目詰まりを防ぐとともに効率の良い分級を促すことができる。振動装置6は第二の支持アーム10に設けられるとともに、第一の支持アーム9との間にダンパー61が設けられ、このダンパー61により振動が制御される。
【0025】
次に、このような粉体の分級装置1を使用し、分級を行う方法について説明する。
【0026】
分級装置1は、メッシュ部材2がホッパー(図示省略)の真上に位置するように設置される。これによりメッシュ部材2により分級された粉体が溢れることなくホッパーに入る。
【0027】
メッシュ部材2の上には、フィーダー(図示省略)が設置される。このフィーダーにより、粉体がメッシュ部材2内に定量的に供給される。モーター5を作動させることにより、ヘラ4は回転軸3を軸として回転する。ヘラ4はスプリング31によりメッシュ部材2に押圧され、粉体をメッシュ部材2に押し付ける。粉体はメッシュ部材2の網目を通過し、細かい粒子となってホッパーH内に落下する。この際、ヘラ4の軌道よりも上方へ押し上げられた粉体も振動装置6によりメッシュ部材2に固着することなくメッシュ部材2内で下方へ落下する。また、メッシュ部材2がブラスト処理されていることによりメッシュ部材2への粉体の付着も少なく、粉体はスムーズにメッシュ部材2の網目を通過する。このため、目詰まりも起こりにくく、途中でラインを止める必要がなく、ホッパー内に分級された粉体を定量的に供給することができる。
【0028】
このようにして、本発明の粉体の分級装置によれば、単純でコンパクトな装置によりホッパー内に分級された粉体を定量的に供給することができるから、分級の処理をプレス成型の行程に組み込むことができる。そのため、時間、手間、費用といったコストや、再度の凝集、変質というリスクを低減することができる。
【0029】
なお、本発明の粉体の分級装置は実施形態の構成に限られず、本発明の本質を損なわない範囲において変更することができる。例えば、ヘラの形状は一枚の板状であるが、上面視において渦巻状の三枚羽根を有する形状なども可能である。また、モーターの作動方向を一方向ではなく双方向に交互に回転するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 粉体の分級装置2 メッシュ部材3 回転軸4 ヘラ5 モーター6 振動装置7 台座8 支持柱9 第一の支持アーム10 第二の支持アーム
図1
図2