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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036874
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】空気注入袋付き空気封入体
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20220301BHJP
【FI】
A41D13/002
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020152394
(22)【出願日】2020-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】510022680
【氏名又は名称】リッチコミュニケーションズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 勝治
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC13
3B011AC21
(57)【要約】
【課題】空気の封入を衛生的かつ容易に行えて経済性及び携帯性にも優れた空気注入袋付き空気封入体を提供する。
【解決手段】空気の封入と排出が可能な空気室24を備えた空気入り衣服2と、空気室24に連結可能な空気注入ノズル85を備え、空気入り衣服2と一体又は別体に形成された空気注入袋3と、の組み合わせをもって、空気注入袋付き空気封入体1を構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の封入と排出が可能な空気室を備えた空気封入体と、
前記空気室に連結可能な空気注入ノズルを備え、前記空気封入体と一体又は別体に形成された空気注入袋と、
の組み合わせからなることを特徴とする空気注入袋付き空気封入体。
【請求項2】
前記空気封入体は、通気孔を介して互いに連通された複数の前記空気室と、前記空気室の1つに設けられた空気吹き込み口と、を有し、
前記空気注入袋は、一端に開口部を有する袋状に形成され、前記開口部を除く部分に、前記空気吹き込み口に連結可能な前記空気注入ノズルが備えられている
ことを特徴とする請求項1に記載の空気注入袋付き空気封入体。
【請求項3】
前記空気注入袋は、前記空気室内の空気が排出された前記空気封入体を収納可能な大きさを有することを特徴とする請求項2に記載の空気注入袋付き空気封入体。
【請求項4】
前記空気注入袋は、前記空気注入袋から外部に向けて延びるホース状のノズル取付部を有し、前記空気注入ノズルは、前記ノズル取付部の先端部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の空気注入袋付き空気封入体。
【請求項5】
前記空気注入袋は、連結具を介して前記空気封入体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気注入袋付き空気封入体。
【請求項6】
前記空気注入ノズルは、前記空気吹き込み口常時連結されていることを特徴とする請求項1に記載の空気注入袋付き空気封入体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防寒衣服、クッション、枕、浮き輪等の空気封入体と、空気封入体内に空気を注入する空気注入袋との組み合わせからなる空気注入袋付き空気封入体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ダウンジャケットよりも安価かつ軽量な防寒衣服として、表地と裏地の間に形成された空気室内に空気を封入して着用する空気入り衣服が提案されている(例えば特許文献1参照)。この空気入り衣服は、空気室内への空気の封入及び空気室内からの空気の排出が可能であるように構成されており、空気を封入した状態においては空気が断熱材として機能するため、高い防寒性を発揮する。一方、空気室から空気を排出した状態においては、空気室内の容積を減少できるため、コンパクトに折り畳むことができて、ダウンジャケットよりも持ち歩きが容易になる。
【0003】
空気入り衣服には、空気室内への空気の封入と空気室内からの空気の排出が可能な空気吹き込み口が設けられている。空気室内への空気の封入は、人が空気吹き込み口を咥えて息を吹き込むか、空気入り衣服とは別体のエアポンプを空気吹き込み口に連結することにより行う。エアポンプとしては、蛇腹式のポンプ本体と、一端がポンプ本体に接続され、先端が空気吹き込み口と接続可能に構成されたホースとからなるものが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3162628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、人が空気吹き込み口を咥えて息を吹き込むことは、衛生上好ましくないばかりでなく、空気封入体が唾液で汚れやすくなるし、ユーザの肉体的な負担も大きなものとなる。一方、エアポンプを用いる場合には、衛生上の問題を解決でき、ユーザの肉体的な負担も軽減できるが、空気入り衣服とエアポンプの双方を用意しなくてはならないので、製品がコスト高になる。また、エアポンプを用いて空気入り衣服に随時空気を封入できるようにするためには、エアポンプを常時携帯しなければならず、空気入り衣服の本来の利点である携帯性の良さが害されることになる。
【0006】
なお、このような問題は空気入り衣服に特有なものではなく、クッション、枕、浮き輪等、他の空気封入体についても同様に生じる。
【0007】
そこで、本発明は、空気の封入を衛生的かつ容易に行えて経済性及び携帯性にも優れた空気注入袋付き空気封入体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するため、第1に、空気の封入と排出が可能な空気室を備えた空気封入体と、前記空気室に連結可能な空気注入ノズルを備え、前記空気封入体と一体又は別体に形成された空気注入袋と、の組み合わせからなることを特徴とする。
【0009】
空気注入袋を用いると、空気吹き込み口に口を付けることなく空気封入体内に空気を注入できるので、衛生上の問題や空気封入体の唾液による汚れを回避できる。また、空気注入袋を用いて空気封入体内に空気を注入するので、人が息を吹き込む場合に比べて、空気の注入に要する労力を軽減できる。さらに、空気注入袋は、空気を抜けば薄型にできるので、エアポンプを用いる場合に比べて携帯の利便性を高められる。
【0010】
また本発明は第2に、前記第1の構成において、前記空気封入体は、通気孔を介して互いに連通された複数の前記空気室と、前記空気室の1つに設けられた空気吹き込み口と、を有し、前記空気注入袋は、一端に開口部を有する袋状に形成され、前記開口部を除く部分に、前記空気吹き込み口に連結可能な前記空気注入ノズルが備えられていることを特徴とする。
【0011】
空気封入体の内部を複数の空気室に分割すると、空気封入体の各部に空気を均一に封入しやすくなるので、空気封入体を所定の形状に膨らませることができる。また、通気孔を介して各空気室を互いに連通すると、1つの空気吹き込み口を備えるだけで空気封入体への空気の注入及び空気封入体からの空気の排出を行えるので、空気封入体を低コストに製造できると共に、空気封入体のデザイン性を高めることができる。一方、空気注入袋の一端に開口部を形成し、開口部を除く部分に空気吹き込み口と連結可能に構成された空気注入ノズルを設けると、開口部から空気注入袋内に空気を取り込むことができ、かつ空気注入袋を絞ることによって内部に取り込まれた空気を、空気注入ノズルを通して押し出すことができるので、空気注入袋を手動ポンプとして活用でき、空気封入体内に空気を注入できる。
【0012】
また本発明は第3に、前記第2の構成において、前記空気注入袋は、前記空気室内の空気が排出された前記空気封入体を収納可能な大きさを有することを特徴とする。
【0013】
本構成によると、空気封入体の収納袋を空気注入袋として利用できるので、特別な空気注入袋を別途用意する必要がなく、空気注入袋付き空気封入体を安価に実施できる。また、空気注入袋と空気封入体とを互いに紐付けた状態で管理できるので、空気封入体の使用や保管を便利にできる。
【0014】
また本発明は第4に、前記第2の構成において、前記空気注入袋は、前記空気注入袋から外部に向けて延びるホース状のノズル取付部を有し、前記空気注入ノズルは、前記ノズル取付部の先端部に設けられていることを特徴とする。
【0015】
空気注入袋にホース状のノズル取付部を設けると、空気注入袋内に取り込まれた空気を圧縮したときに、ノズル取付部において空気圧が高められるので、空気注入ノズルから空気封入体への空気の注入を容易なものにできる。また、空気注入ノズルをホース状に形成されたノズル取付部の先端側に設けると、空気注入ノズルと空気封入体に設けられた空気吹き込み口との連結を容易化できるので、この点からも空気注入袋を用いた空気封入体への空気の注入を容易なものにできる。
【0016】
また本発明は第5に、前記第1の構成において、前記空気注入袋は、連結具を介して前記空気封入体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
この場合にも、連結具を介して空気注入袋が空気封入体に紐付けられるので、空気注入袋がないために空気封入体内に空気を注入できないという事態の発生を防止できる。また、空気注入袋を空気封入体から随時取り外すことができるので、空気封入体への空気の注入を容易なものにできる。
【0018】
また本発明は第6に、前記第1の構成において、前記空気注入ノズルは、前記空気吹き込み口に常時連結されていることを特徴とする。
【0019】
この場合には、ノズル体を空気吹き込み口に常時連結しておくので、空気封入体に空気を注入する毎にノズル体を空気吹き込み口に連結する必要がなく、空気封入体の使用をより便利なものにできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、衛生的で使用上の利便性が高い空気封入体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る空気注入袋付き空気封入体の構成図である。
図2】実施形態に係る空気入り衣服の正面図である。
図3】実施形態に係る空気入り衣服の背面図である。
図4】実施形態に係る空気入り衣服の接着部の構成を示す透視図である。
図5図4のA-A断面図である。
図6】実施形態に係る空気吹き込み口の分解斜視図である。
図7】実施形態に係る空気吹き込み口の空気入り衣服に空気が封入されている状態を示す断面図である。
図8】実施形態に係る空気吹き込み口の空気入り衣服に空気を注入する際の状態を示す断面図である。
図9】実施形態に係る空気吹き込み口の空気入り衣服から空気を排出する際の状態を示す断面図である。
図10】実施形態に係る空気注入袋の使用状態を示す図である。
図11】本発明に係る空気注入袋付き空気封入体の他の例を示す図である。
図12】本発明に係る空気注入袋付き空気封入体のさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る空気注入袋付き空気封入体の実施形態を図に基づいて説明する。なお、本発明の範囲は、以下に記載する実施形態の範囲に限定されるものではなく、本発明の要旨に反しない範囲で、様々な設計変更を加えて実施されるものを含むことは勿論である。
【0023】
図1に示すように、実施形態に係る空気注入袋付き空気封入体1は、空気を封入することにより防寒衣服となる空気入り衣服2と、空気を排出した状態でコンパクトに折り畳まれた空気入り衣服2を収納可能な大きさに形成され、空気入り衣服2の収納袋として機能する空気注入袋3と、の組み合わせから構成されている。
【0024】
空気入り衣服2は、後に詳細に説明するように、内部に形成された空気室内への空気の封入及び空気室内からの空気の排出を随時に行えるようになっており、空気室内から空気を排出した状態では、コンパクトに折り畳むことができる。従って、空気入り衣服2は、空気注入袋3内への収納が可能で、携帯が容易なものとなる。
【0025】
空気入り衣服2は、図2及び図3に示すように、右前身ごろ11、左前身ごろ12及び後見ごろ13から構成され、上部に首口部14が形成されると共に、左右には袖口部15が形成されている。右前身ごろ11及び左前身ごろ12は、スライドファスナー16によって開閉可能になっている。従って、実施形態に係る空気入り衣服2は、スライドファスナー16を開いた状態で首口部14に首を入れ、かつ左右の袖口部15に両腕を通した後、スライドファスナー16を閉じることにより、ベストとして着用できる。
【0026】
なお、空気入り衣服2は、ベストに限定されるものではなく、長袖のジャンパ類やコート類であっても良い。また、右前身ごろ11と左前身ごろ12とは、スライドファスナー16に代えて、面ファスナー又はボタンを用いて開閉可能とすることもできる。
【0027】
右前身ごろ11、左前身ごろ12及び後見ごろ13は、図5に示すように、表地21と裏地22の張り合わせをもってそれぞれ構成されている。表地21と裏地22の張り合わせは、図4に示すように、互いに所定の間隔を隔てて多数配列された縦向き及び横向きの接着部23を介して行われる。これにより、右前身ごろ11、左前身ごろ12及び後見ごろ13には、図2及び図3に示すように、正方形の空気室24が多数形成される。
【0028】
また、図4に示すように、空気室24の四辺を構成する各接着部23には、通気孔25が設けられており、各空気室24は、隣接する全ての空気室24と連通している。さらには、右前身ごろ11に形成される空気室24、左前身ごろ12に形成される空気室24及び後見ごろ13に形成される空気室24も互いに連通されている。このように、空気入り衣服2の内部を複数の空気室24に分割すると、空気入り衣服2の各部に空気を均一に封入しやすくなるので、空気入り衣服2を所定の形状に膨らませることができる。
【0029】
表地21及び裏地22としては、気密性の高い素材、例えばビニル、ナイロン又はポリエステル等の合成樹脂素材が用いられる。
【0030】
なお、空気室24の正面形状は、正方形に限定されるものではなく、空気入り衣服2のデザインに合わせて、三角形、菱形、六角形等、任意の形状とすることができる。
【0031】
図3に示すように、空気室24の1つと連通する位置には、空気吹き込み口31が設けられている。空気吹き込み口31は、空気入り衣服2のデザイン性を高めるため、外部から目立たない位置、例えば右前身ごろ11、左前身ごろ12又は後見ごろ13の裏地22側や、右前身ごろ11、左前身ごろ12又は後見ごろ13に設けられたポケット内等に取り付けることが望ましい。上述のように、空気入り衣服2に形成される複数の空気室24は、通気孔25を介して互いに連通されているので、1つの空気室24に空気吹き込み口31を備えるだけで、空気入り衣服2への空気の注入及び空気入り衣服2からの空気の排出を行える。よって、空気入り衣服2を低コストに製造できると共に、空気入り衣服2のデザイン性を高めることができる。
【0032】
空気吹き込み口31は、図6図9に示すように、ベース部材32、空気注入弁33、空気排出弁34及び閉止部材35をもって構成される
【0033】
ベース部材32は、円板状のベース板41と、ベース板41の片面から垂直に起立された円筒形の連結体42と、から構成されている。ベース部材32は、樹脂材料を用いて一体に成形されており、ベース板41と連結体42とは、同心に配置されている。また、ベース板41の中心部には、表裏に貫通する通気孔43が開設されている。さらに、連結体42の外面には、空気排出弁34を螺着するための雄ねじ45が形成されると共に、空気室24内に封入された空気を外部に排出するための通気溝46が形成されている。雄ねじ45は、連結体42の先端側に形成され、通気溝46は、連結体42の下方部分から雄ねじ45の一部を切り欠く位置まで形成される。
【0034】
ベース部材32は、図7図9に示すように、空気入り衣服2を構成する表地21と裏地22との間に配置され、表地21又は裏地22の所要の部分に開口された連結体挿通孔26に連結体42を挿通し、ベース板41を表地21又は裏地22に接着又は融着等の方法で固定することにより、空気入り衣服2に取り付けられる。
【0035】
空気排出弁34は、連結体42に螺着される外周リング51と、閉止部材35が圧入される内周リング52と、外周リング51の上端部と内周リング52の上端部とをつなぐ外面部53と、内周リング52の下端部に形成された空気注入弁取付部54と、を有するキャップ状に形成されている。
【0036】
外周リング51の内面には、雄ねじ45に螺合される雌ねじ55と、連結体42に対する空気排出弁34の上限位置を規制するための上限規制突起56と、が形成されている。また、外周リング51の外面には、空気排出弁34の回転操作を容易にするための複数の指掛け部57が周方向に形成されている。
【0037】
さらに、内周リング52の外面と上面部53の下面とをつなぐ部分には、連結体42に対して空気排出弁34を締め込んだときに、連結体42の先端部が突き当てられる突き当て部58が形成されている。突き当て部58は、空気室24から通気孔43及び通気溝46を通って外気に達する空気排出流路の途中に配置されているので、連結体42の先端部は空気排出弁34の弁体として、また、突き当て部58は空気排出弁34の弁座として機能する。即ち、連結体42に対して空気排出弁34を締め込んだ場合には、図7及び図8に示すように、連結体42の先端部が突き当て部58に突き当てられて空気排出流路が遮断され、連結体42に対する空気排出弁34の締め込みを緩めた場合には、図9に示すように、連結体42の先端部が突き当て部58から離れて空気排出流路が開放される。
【0038】
空気注入弁取付部54には、空気注入弁33の取付孔59と空気注入孔60とが形成されている。取付孔59は、空気注入弁取付部54の中心に形成され、空気注入孔60は、取付孔57の外周に形成される。なお、空気注入孔60は、取付孔59の周囲に複数個形成することもできる。空気排出弁34もベース部材32と同種の樹脂材料を用いて成形できる。
【0039】
空気注入弁33は、円盤状に形成された弁体61と、弁体61の片面より垂直に起立された軸部62と、軸部62の先端から外向きに張り出された結合部63と、から構成されている。軸部62は、弁体61の中心部に形成される。弁体61の直径は、空気排出弁34に形成された空気注入孔60を覆う大きさに形成され、軸部62の直径は、空気排出弁34に形成された取付孔59に挿通可能な大きさに形成される。空気注入弁33は、ベース部材32及び空気排出弁34を成形する樹脂材料よりも軟質の樹脂材料、例えばシリコーンゴムを用いて一体に成形される。
【0040】
空気注入弁33は、空気排出弁34に形成された空気注入弁取付部54の下方から軸部62を取付孔59に挿入し、軸部62の先端に形成された結合部63を空気注入弁取付部54の上方に突出させて、結合部63を空気注入弁取付部54の上面に係合すると共に、弁体61を空気注入弁取付部54の下面に密着させることにより、空気排出弁34に取り付けられる。
【0041】
閉止部材35は、図6に示すように、リング状の保持部71と、保持部71の一部から保持部71の径方向に向けて延びるバンド部72と、バンド部72の先端側に形成された栓体73とからなる。保持部71の内径は、連結体42の外径よりもやや大きく形成され、栓体73の外径は、空気排出弁34を構成する内周リング52内に密に圧入可能な大きさに形成される。閉止部材35は、保持部71を連結体42の外周に取り付けることによって、ベース部材32、空気注入弁33及び空気排出弁34と一体化される。また、閉止部材35は、栓体73を内周リング52内に圧入することによって、空気室24からの空気漏れを防止すると共に、栓体73を内周リング52から取り外すことによって、空気室24内への空気の注入を可能とする。
【0042】
空気注入袋3は、気密性の高い布状の素材を縫製することにより、図1(b)に示すように、一端に開口部81を有する袋状に形成される。開口部81には、紐通し孔82が形成されており、紐通し孔82には、閉じ紐83が挿通されている。空気注入袋3は、空気室24内の空気が排出された空気入り衣服2を収納可能な大きさに形成される。このようにすると、空気注入袋3を空気入り衣服2の収納袋として利用できるので、特別な空気注入袋3を別途用意する必要がなく、空気注入袋付き空気封入体1を安価に実施できる。また、空気入り衣服2と空気注入袋3とを互いに紐付けた状態で管理できるので、空気入り衣服2の使用や保管を便利にできる。
【0043】
空気注入袋3における開口部81の反対側には、空気注入袋3の内部と連通し、外部に向けて延びるホース状のノズル取付部84が形成されている。また、ノズル取付部84の先端部には、空気吹き込み口31に連結して、空気注入袋3内の空気を空気入り衣服2に形成された空気室24内に注入するための空気注入ノズル85が取り付けられている。空気注入ノズル85は、空気吹き込み口31を構成する内周リング52の内部に圧入することによって、空気吹き込み口31に連結される。なお、ノズル取付部84は、必ずしも開口部81の反対側に形成する必要はなく、開口部81を除く部分に形成すれば足りる。
【0044】
実施形態に係る空気注入袋3は、開口部81及び空気注入ノズル85を有するので、開口部81を開けた状態で空気注入袋3内に空気を取り込み、その後開口部81を絞ることによって空気注入袋3を風船状に膨らませることができる。また、図10に示すように、風船状に膨らんだ空気注入袋3を手指Hで押しつぶすことによって、空気注入袋3内に取り込まれた空気を、空気注入ノズル85を通して外部に押し出すことができる。よって、空気注入袋3を手動ポンプとして活用でき、空気入り衣服2の空気室24内に空気を注入できる。また、空気注入ノズル85をホース状に形成されたノズル取付部84の先端部に取り付けたので、空気吹き込み口31に対する空気注入ノズル85の連結を容易なものにできる。
【0045】
以下、空気室24内への空気の封入方法及び空気室24からの空気の排出方法について説明する。
【0046】
空気室24内への空気の注入に際しては、図8に示すように、空気排出弁34の内周リング52に圧入されていた栓体73を取り外し、内周リング52内に空気注入ノズル85を圧入する。次に、連結体42に対して空気排出弁34が下限位置まで締め込まれているか否かについて確認し、締め込まれていない場合には、空気排出弁34を下限位置まで締め込む。これにより、連結体42の先端部が空気排出弁34に形成された突き当て部58に突き当てられ、空気室24内の空気が通気溝46を通って外部に排出されない状態となる。
【0047】
次に、空気注入袋3内への空気の取り込みと空気注入袋3からの空気の押し出しとを繰り返し、空気入り衣服2の空気室24内に空気を送り込む。空気注入袋3から押し出された空気は、ノズル取付部84、空気注入ノズル85及び内周リング52を通って空気注入弁33の弁体61に達する。弁体61は、空気注入袋3からの空気圧を受けて空気注入弁取付部54から離れる方向に弾性変形する。よって、空気注入袋3から押し出された空気は、空気注入孔60を通過し、連結体42及び通気孔43を通って空気室24内に注入される。空気注入袋3からの空気の押出を停止すれば、弁体61が空気注入弁取付部54の下面に密着し、空気室24内からの空気の漏出が防止される。
【0048】
空気室24内に所定量の空気が封入された後は、空気排出弁34の内周リング52から空気注入ノズル85を取り外し、内周リング52内に栓体73を圧入する。これにより、空気室24内への空気の封入状態が維持され、空気入り衣服2が防寒衣服として利用可能となる。
【0049】
このように、実施形態に係る空気注入袋付き空気封入体1は、空気入り衣服2の収納袋を兼ねる空気注入袋3を用いて、空気入り衣服2に形成された空気室24内に空気を注入するので、空気吹き込み口31に口を付けることなく空気室24内に空気を注入でき、衛生上の問題や空気入り衣服2の唾液による汚れを回避できる。また、空気注入袋3を用いて空気室24内に空気を注入できるので、人が息を吹き込む場合に比べて、空気の注入に要する労力を軽減できる。さらに、空気注入袋3は、空気を抜けば薄型にできるので、エアポンプを用いる場合に比べて携帯の利便性を高められる。
【0050】
また、実施形態に係る空気注入袋付き空気封入体1は、空気注入袋3にホース状のノズル取付部84を設けたので、空気注入袋3内に取り込まれた空気を圧縮したときに、ノズル取付部84において空気圧が高められ、空気注入ノズル85から空気入り衣服2の空気室24内への空気の注入を容易なものにできる。また、実施形態に係る空気注入袋付き空気封入体1は、空気注入ノズル85をホース状に形成されたノズル取付部84の先端側に設けたので、空気注入ノズル85と空気吹き込み口31との連結を容易化でき、空気注入袋3を用いた空気室24内への空気の注入を容易なものにできる。
【0051】
空気室24内に封入されている空気を排出する場合には、連結体42に対して空気排出弁34を緩める方向に回転する。これにより、図9に示すように、連結体42の先端部から空気排出弁34に形成された突き当て部58が引き離されて、通気溝46が導通状態となり、空気室24内の空気が通気溝46を通って外部に排出可能となる。よって、空気室24内の空気を押し出すように空気入り衣服2を圧縮すれば、空気室24内の空気を、通気溝46を通って外部に排出できる。
【0052】
なお、前記実施形態においては、右前身ごろ11に形成される空気室24、左前身ごろ12に形成される空気室24及び後見ごろ13に形成される空気室24を互いに連通させたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、身ごろ11、12、13毎に独立した空気室24を形成する構成とすることもできる。この場合には、身ごろ11、12、13毎に空気吹き込み口31が備えられる。
【0053】
また、前記実施形態においては、空気注入袋3を空気入り衣服2の収納袋として構成したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、空気注入袋3を空気注入専用の付属品として空気入り衣服2に備える構成とすることもできる。この場合には、空気入り衣服2と空気注入袋3とを紐付けるため、図11に示すように、連結リング等の連結具90を用いて空気注入袋3を空気入り衣服2に着脱可能に連結することが望ましい。この場合にも、前記実施形態に係る空気注入袋付き空気封入体1と同様の効果を有する。
【0054】
さらに、前記実施形態においては、空気注入袋3に設けられた空気注入ノズル85を空気入り衣服2に設けられた空気吹き込み口31に対して適宜着脱する構成としたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、図12に示すように、空気注入ノズル85を常時空気吹き込み口31に連結する構成とすることもできる。この場合にも、前記実施形態に係る空気注入袋付き空気封入体1と同様の効果を有する。
【符号の説明】
【0055】
1…空気注入袋付き空気封入体、2…空気入り衣服、3…空気注入袋(収納袋)、11…右前身ごろ、12…左前身ごろ、13…後見ごろ、14…首口部、15…袖口部、16…スライドファスナー、21…表地、22…裏地、23…接着部、24…空気室、25…通気孔、26…連結体挿通孔、31…空気吹き込み口、32…ベース部材、33…空気注入弁、34…空気排出弁、35…閉止部材、41…ベース板、42…連結体、43…通気孔、45…雄ねじ、46…通気溝、51…外周リング、52…内周リング、53…外面部、54…空気注入弁取付部、55…雌ねじ、56…上限規制突起、57…指掛け部、58…突き当て部、59…取付孔、60…空気注入孔、61…弁体、62…軸部、63…結合部、71…保持部、72…バンド部、73…栓体、81…開口部、82…紐通し孔、83…閉じ紐、84…ノズル取付部、85…空気注入ノズル、90…連結具。
図1
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図5
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図12