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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036901
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】意思表示標識
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20220301BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104494
(22)【出願日】2021-06-23
(62)【分割の表示】P 2020218088の分割
【原出願日】2020-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2019233605
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】518189596
【氏名又は名称】山本 瑚涼
(74)【代理人】
【識別番号】100095289
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 弘
(71)【出願人】
【識別番号】518189600
【氏名又は名称】山本 涼平
(71)【出願人】
【識別番号】516090034
【氏名又は名称】山本 直行
(74)【代理人】
【識別番号】100095289
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 瑚涼
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC51
(57)【要約】      (修正有)
【課題】置き配における受取証に替わるシステムを提供し、受取人及び配達人の負担を軽減する意思表示標識を提供する。
【解決手段】意思表示標識を用いて荷物の配達を完了する配達システムであって、家31の玄関ドア32の前に荷物50を置き、配達人の携帯端末21aで、荷物50に貼り付けられた伝票51のバーコード52と、玄関ドア32に掛けられた意思表示標識34のバーコード344とを連続して読み取る。読み取った情報をサーバに送り、バーコード3444に登録されている識別情報と、バーコード52に登録されている配達先情報を照合し、合致している場合には、配達完了として、携帯端末21aから配達伝票を出力してポスト口33に投函するとともに、受取人端末には、配達完了メールを通知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配達物の配達先に選択的に配置され、置き配を了承する意思表示情報を担持した意思表示標識であって、
意思表示標識毎に個別に決定された前記標識識別情報を担持する情報担持手段と、
配達先の受取人が置き配を了承する意思を表明する置き配意思表明領域とを有し、
携帯端末で読み取られた標識識別情報は、サーバに送信される意思表示標識。
【請求項2】
前記標識識別情報には、サーバにおいて、配達先となり得る配達先特定情報が関連付けて記憶されている請求項1に記載の意思表示標識。
【請求項3】
前記置き配意思表明領域は、利用する都度、任意の文章を記載できる領域である請求項1又は2に記載の意思表示標識。
【請求項4】
意思表示標識は、配達先となる地点の戸外に選択的に配置される表示片である請求項1~3のいずれか1に記載の意思表示標識。
【請求項5】
置き配意思表明領域は、表裏に設けられ、置き配意思表明領域に表示される情報が異なる内容となっている請求項4に記載の意思表示標識。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、意思表示標識に係り、詳しくは置き配においても、より確実に荷物の配達を完了できる意思表示標識に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、宅配サービスにおいて、留守宅に荷物を届けた場合の荷物の扱いが問題となっている。従来では、宅配業者は、不在連絡票を留守であった配達先に残し、荷物を持ち帰り、後日に在宅時間帯に再配達する方法が取られていた。或いは、集合住宅などでは、宅配ボックスに荷物を一時的に預けることによって、配達の完了とするシステムが設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-16157
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の再配達の仕組みでは、配達者は受取人が在宅になるまで何度も届け先まで荷物を運ぶ必要があり、配送車の稼働量の増加による二酸化炭素排出量の増大や、配達者の負担増を招いていた。また、宅配ボックスに預ける場合、宅配ボックスが満杯になっている場合には、預けることができないといった問題もあった。配達者にとっては、配達先へ再配達が多くなると、残業が増え、配達に焦りや、モチベーションの低下が生じ、配達業務中に事故を生じさせる可能性が高まるなど、労務管理上の問題が生じていた。
一方、荷物を受け取る側は、荷物が届けられる時刻が確定していないため、荷物が届けられるまで在宅する必要があり、行動が制約されるといった問題があった。宅配ボックスやコンビニエンスストアに荷物を預けられた場合、受けた取った荷物を自宅まで待ちかえるのに労力がかかる。
【0005】
さらに、在宅中であっても、庭いじりをしている時、入浴中、電話中、家事などで手が離せない時など、荷物が届けられても、宅配業者から直接荷物を受け取れない場合もある。特に、一人住まいの女性の場合は、夜に配達される荷物については、直接受け取ることがリスクになる場合もある。また、感染力の強い伝染病が流行っている場合には、配達者から直接荷物を受け取ることは、感染のリスクが高くなると懸念される。これに対して、勝手に玄関先に荷物をおきざりにされた状態が増えると、留守であることを示すこととなり、空き巣の危険が高まる。
ところで、配達人が配達する荷物は、常に貴重な荷物とは限らない。荷物の内容によっては、直接受取人に渡さなくとも、配達人が留守中に玄関前においておき、受取人が帰宅した時に、玄関前に置いてある荷物を受け取ることにしても、支障がない荷物も存在する。そのような荷物は、特に価値のあるものではなく、万一第三者に持ち去られても、特に支障がない荷物である。
【0006】
また、高価な荷物や、個人的に価値のある荷物であっても、在宅時に置き配されれば、荷物を玄関前に放置されても、直ちに回収することができるので、盗難のリスクを最小限に留めることが可能となる。さらに、一人住まいの女性にとっては、見ず知らずの配達業者から対面で直接荷物を受け取ることは、防犯上のリスクを伴うものであるが、置き配を利用することによって、配達業者と対面することなく、安心して荷物を受け取ることができる。
以上のような理由で、置き配を可能にすれば、再配達の頻度が減少して配達者の負担は相当軽減し、受取人に取っても利することが多い。また、二酸化炭素の排出抑制と地球温暖化対策に貢献することができる。但し、この置き配を行った場合、受取人から受取のサインが得られないといった問題があった。
【0007】
この発明は、置き配における受取証に替わるシステムを提供し、配達人の負担の軽減と、受取人の便宜を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような問題を解決する本発明は以下の構成を備える。
(1)配達物の配達先に選択的に配置され、置き配を了承する意思表示情報を担持した意思表示標識であって、
意思表示標識毎に個別に決定された前記標識識別情報を担持する情報担持手段と、
配達先の受取人が置き配を了承する意思を表明する置き配意思表明領域とを有し、
携帯端末で読み取られた標識識別情報は、サーバに送信される意思表示標識。
【0009】
(2)前記標識識別情報には、サーバにおいて、配達先となり得る配達先特定情報が関連付けて記憶されている上記(1)に記載の意思表示標識。
【0010】
(3)前記置き配意思表明領域は、利用する都度、任意の文章を記載できる領域である上記(1)又は(2)に記載の意思表示標識。
【0011】
(4)意思表示標識は、配達先となる地点の戸外に選択的に配置される表示片である上記(1)~(3)のいずれか1に記載の意思表示標識。
【0012】
(5)置き配意思表明領域は、表裏に設けられ、置き配意思表明領域に表示される情報が異なる内容となっている上記(4)に記載の意思表示標識。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、意思表示標識によって置き配を了承する意思を配達者に示すことによって、配達者は、受取人に直接渡すことなく、戸外に配達物を置き去りにすることができる。意思表示標識毎に設定されている個別の識別標識を、置き配完了時に読み取ってサーバに送ることによって、置き配の完了を証明することができる。置き配意思表明領域によって、配達人に対して置き配を了承する旨の意思を表明することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、標識識別情報には、サーバにおいて、配達先となり得る配達先特定情報が関連付けて記憶されているので、置き配完了時に読み取った配達物識別情報と照合して、正しい配達先に確かに届けられたか否かを確実に確認することができる。
請求項3に記載の発明によれば、受取人は、配達人に対して、置き配を利用する毎に、状況に応じた異なるメッセージを伝えることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、意思表示標識は、配達先となる地点の戸外に選択的に配置される表示片であるので、置き配を了承しない場合には、表示片を戸外に出さず、了承した場合のみ戸外に表示する、といった選択が可能となる。また、安価に製造することができる。
請求項5に記載の発明によれば、表裏の置き配意思表明領域を用いて、利用目的に応じて、2通りの利用方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の使用状況を示す斜視図である。
図2】意思表示標識の構成を示す全体正面図である。
図3】本発明の本実施形態におけるシステムのシステム構成を示す概念図である。
図4】本発明の配達人の携帯端末、サーバの構成を示すブロック図である。
図5】本発明の携帯端末の処理を示すフローチャートである。
図6】本発明のサーバの処理を示すフローチャートである。
図7】受取者端末に表示される画面の内容を示す図である。
図8】受取者端末に表示される画面の内容を示す図である。
図9】受取者端末に表示される画面の内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の配達システム、サーバ、意思表示標識及び携帯端末の好適実施形態について、添付図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の使用状況を示す斜視図である。本発明は、配達物としての荷物50を、直接受取人に渡さずに、配達先の家31の玄関ドア32の前に置くことによって、配達完了とする置き配システムにおいて、予め指定された配達先に確かに置き配したことを証明するシステムである。荷物50には、配達先の位置情報である住所と氏名(名称)が記載された伝票51が貼り付けられ、その伝票が貼り付けられた面と同じ面に、配達物識別情報が担持された配達物識別情報担持手段であるバーコード52が表示されている。このバーコード52は、シールに印刷されたものを荷物50に貼り付けでもよく、或いは荷物の表面に直接印刷されていてもよい。なお、識別情報担持手段は、コード化された識別子でなくてもよく、数字やアルファベットの羅列によって表現される構成でも良い。
【0018】
配達物の配達先となり得る地点である家31の玄関ドア32には、ポスト口33が設けられ、郵便物等を家内へ投入できるようになっている。玄関ドア32は、ドアの開状態と閉状態を検出する開閉センサを有している。玄関ドア32の上部近傍には、カメラ351が配置されている。カメラ351は、玄関ドア32の外側を撮影範囲とし、置き配された荷物50や、配達者の動作などが撮影できるように配置されている。また、玄関ドア32の近傍には、人感センサ352が配置されている。人感センサは、人間を検出するセンサで、人感センサが人間を検出してから、人間を検出しなくなってから所定時間経過するまでの間、カメラ351が撮影する構成となっている。
【0019】
人感センサは、人間の発する赤外線を検出する方式や、常に赤外線を出して、赤外線を横切ったら反応する方式、光の変化や音の検出により人間を検出する方式のもののいずれも用いてもよい。人感センサ352は、玄関ドア32の外側に設けてあってもよい。
上記人感センサ352及びカメラ351は、図示されていない制御装置によって制御される。該制御装置は、制御部と、通信部と、記録部とを有し、該通信部を介して後述する通信ネットワークに接続され、通信ネットワークから供給される撮影指示信号を受信する。記録部は、カメラ351が撮影した動画を撮影時刻とともに録画する。制御部は、通信部を介して受信した撮影指示信号に基づいて、人感センサ352を作動状態に切換え、人感センサ352が人を検出してから、人を検出しなくなった時刻から所定時間経過するまで、カメラ351の撮影を行う。
【0020】
玄関ドア32のノブには、意思表示標識34が掛けられている。図2に示されているように、意思表示標識34は、縦長の矩形に形成された板材341からなり、ドアノブに掛けるための挿通孔342aが形成され、その上部にはドアノブの軸が嵌る凹部342bが形成されている。さらに挿通孔342aの上部には、複数の孔343が形成されており、これらの孔343に紐を通して環状とし、ドアノブ以外の場所、つまり任意の場所に引っ掛けられるように構成され、いずれの場所にも意思表示標識34を吊り下げられる構成となっている。
【0021】
意思表示標識34の下部には、受取人が置き配を了承する意思を表明する置き配意思表明領域345が設けられ、更にその近傍に意思表示標識34の標識識別情報が担持された情報担持手段としてのバーコード344が表示されている。置き配意思表明領域345には、「ここに置き配をお願いします。」といった文章が表示され、その下には、荷物を置く位置を示す矢印が表示されている。この意思表示標識34を、配達人が視認しやすい位置に配置することによって、配達人に対して置き配を了承する旨の意思を表明することとなる。なお、置き配意思表明領域345を設けなくとも、意思表示標識34をドア32の外側に配置するのみで、置き配を承諾(あるいは要請)したものとすることもできる。
【0022】
意思表示標識34の構成は、上記に加えて、裏面にも同様の構成、つまり、置き配意思表明領域345と、バーコード344を設けてあってもよい。表裏に同様の構成を設ける理由は、置き配意思表明領域345に表示される情報を違う内容とすることができるためである。例えば、既述のように、表面の置き配意思表明領域345には、「ここに置き配をお願いします。」と記載し、裏面の置き配意思表明領域345には、「ここに置き配をお願いします。置き配が終わりましたら、呼び鈴を押して下さい。」と記載する。このようにすることで、利用目的に応じて、2通りの利用方法を得ることができる。或いは、置き配意思表明領域345は、消去可能なインクが載る表面処理が施され、利用する都度、任意の文章を記載できる領域としてもよい。このような構成とすることで、受取人は、配達人に対して、置き配を利用する毎に、状況に応じた異なるメッセージを伝えることができる。
【0023】
情報担持手段として、バーコード344に換えて、受取人のサインであってもよい。受取人のサインを画像情報として記憶し、この画像情報に標識識別情報が関連付けられて記憶されている構成としてもよい。サーバでは、記憶されているサインの画像と、携帯端末から送られたサインの画像とをサイン認証ソフトを用いて照合し、両サインが同一人のサインであるか否かを判定する。
配達人は、携帯端末21bを所持し、留守中の家31の玄関ドア32の前に荷物50を置くと、最初に荷物50のバーコード52を携帯端末21bで読み取り、続いて意思表示標識34のバーコード344を読み取る。各バーコード52、34に担持されている識別情報(又は、情報担持手段が、コード化されていない識別子やサインである場合には画像情報)が、携帯端末21b内で読み取られ、読み取られた各識別情報は、無線通信回線を通じて、サーバへ送信される。
【0024】
サーバ内では、配達物識別情報に関連付けて記憶されている荷物の配達先位置情報を、受信された配達物識別情報に基づいて抽出する。また、予め配達先特定情報記憶部に、標識識別情報に関連付けて記憶されている配達先特定情報を抽出し、抽出された配達先特定情報と照合して両者が一致するか判定する。一致した場合には、携帯端末21bに、配達完了情報を送信し、かつ、受取者の端末に配達完了通知、完了した日時情報を通知する。
【0025】
ここで、配達先特定情報記憶部に標識識別情報に対応する配達先特定情報が記憶されていない場合であっても、標識識別情報がサーバに送信された事実によって、置き配の意思が確認されていることを意味する意思表示情報が送信されたこととなるので、標識識別情報と配達物識別情報の受信を持って、配達完了とすることもできる。
携帯端末21bでは、配達完了が通知されると、配達の日時等の情報が、プリンターから印刷され(出力され)、配達者は、プリントされた配達票を、ポスト口33から投函する。
【0026】
以上のような置き配手順を、以下フローチャート等によって詳細に説明する。なお、バーコード34、52は、QRコードのような光学的に読み取ることができる他の二次元コードであってよく、また、ICタグに代表されるように、ID情報を埋め込んだRFタグから、電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信によって情報をやりとりするRFID(radio frequency identifier)を用いてもよい。或いは、文字情報によって構成された識別情報を光学的に読み取って、文字を読み取る構成であってもよい。また、既述のように、受取人のサイン、顔の画像などの画像情報であってもよい。
【0027】
図3は、配達システム1のシステム構成を示す概念図である。本実施形態におけるサーバ及び携帯端末を有する配達システムは、予め置き配を容認する者が会員登録され、その会員に荷物を配達する場合を対象とする。会員は、会員の名称(氏名、名称、法人名等)、荷物が配達され得る場所の位置情報(例えば、住所情報、緯度経度情報)、置き配を許可する条件(例えば、日時の特定:置き配可とするのは、土日祭日以外、時間帯は、午後8時~翌朝6時まで等/重量の特定:20kg以上の荷物に限る等/大きさの特定:30リットル以上のものに限る等/荷物の内容物の特定:生もの以外のものに限る等)等を登録する。サーバ2は、このような情報を、意思表示標識34毎に設けられている標識識別情報を設定し、その識別情報毎に上記位置情報、置き配を許可する条件情報、氏名、連絡先情報(メールアドレス、電話番号等)等を、識別情報に関連付けて記憶する。このような情報の登録は、意思表示標識34を購入した際に、サーバの記憶部に入力されるが、購入のみで、上記諸情報を入力しなくても良い。
【0028】
購入時に諸情報を入力しない場合には、最初に意思表示標識34を使用して、置き配を行った際に、配達された配達物に付与されている配達物識別情報に関連づけられた配達先情報が、標識識別情報に関連付けられる諸情報として入力される。例えば、配達先情報として記憶されていた宛名が、会員の名称として入力され、配達先情報として記憶されていた住所が、会員の荷物が配達され得る場所の位置情報として入力される。また、配達先情報として記憶されていた、荷物の内容物、荷物の大きさ、荷物の重さ、実際に配達された日時を、配達条件として記憶してもよい。このような配達条件は、置き配が行われる度に、置き配が行われた荷物の情報(荷物の内容物、荷物の大きさ、荷物の重さ、実際に配達された日時)と、置き配了承情報とを蓄積していき、その蓄積された情報と、置き配了承情報とから、置き配を了承する条件を自動的に設定してもよい。
【0029】
図3に示されているように、配達システム100は、配達者の所持する携帯端末21a、22a~2na、受取人が所持する端末21b、22b~2nb及びサーバ2と、ネットワークNeを介して接続されることにより構成されている。
ネットワークNeは、各種無線通信回線と、それらを接続するインターネットサービスプロバイダ基地局等を含む。なお、ネットワークNeは、任意な時に接続が可能であればよく、常時接続されている必要はない。
受取人が所持する端末21b、22b~2nbは、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ(PC)1a、ノート型PC1b、PDA(Personal Digital Assistant)1c、携帯電話1d、スマートホン、その他タブレット型式の端末等の多機能携帯端末などにより構成され、メールソフトなどのように、少なくとも配達通知が受信できる機能を有するものである。
配達人の携帯端末21a、22a~2naは、いずれも同じ構成を有し、複数の配達人がそれぞれ携帯端2naを所持している。
【0030】
図4を参照して、携帯端末2naの内部構成の一例を説明する。図4は、通信端末としての携帯端末2naの要部構成を示すブロック図である。ユーザ端末1は、制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)11、入力部12、表示手段としての表示部13、送信手段及び受信手段としての通信部14、位置検出部141、RAM15、記憶部16、読取部17、プリンタ19等から構成され、各部はバス17により接続されている。CPU11は、記憶部16に格納されているシステムプログラムなどの各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムをRAM内の図示しないワークエリアに展開し、入力部12から入力されるデータに応じて、プログラムに従った各種処理を実行し、処理結果をRAM15内のワークメモリに格納する。
【0031】
また、処理結果を表示するための表示情報を生成して表示部13へ出力する。CPU11は、記憶部16からバーコード読取プログラムをワークメモリに展開し、このバーコード読取プログラムによって、読取部17を介して読み取ったバーコード情報から、バーコード情報に担持された識別情報を抽出し、記憶部16に識別情報を格納する。また、配達完了情報を通信部14を介して受信した場合には、表示部13に配達完了情報を表示するとともに、配達完了通知票を、プリンタ19から出力させる。
あるいは、直接、ICタグから特定位置情報や配達先位置情報を取得した場合には、ワーキングメモリにおいて、両位置情報を照合して、合致するか否かの判定を行い、配達完了に関する情報を生成し、表示部13やプリンタ19に出力するとともに、通信部14を介してサーバ2に通知する。
【0032】
入力部12は、かな/英数字入力キー、カーソルキー及び各種機能キー等を備えたキーボード(入力手段)と、ポインティングデバイスであるマウス(指定手段)とを備えて構成される。
表示部13は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、CPU11から入力される表示信号の指示に従って各種表示データの画面表示を行う。
通信部14は、無線通信によって外部のネットワークと繋がり、最終的にサーバ2と通信する。
【0033】
RAM(Random Access Memory)15は、CPU11によって実行される各種プログラムやこれら各種プログラムによって処理されたデータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
記憶部16は、プログラムやデータ等があらかじめ記憶されている記憶媒体を有しており、この記憶媒体は例えば半導体メモリで構成されている。この記憶媒体には、システムプログラム、当該システムに対応する各種処理プログラム、及び各種処理プログラムで処理されたデータ等を記憶する。
【0034】
読取部17は、バーコードを光学的に読み取る方式の読取装置又は電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信によって情報を読み取る方式の一方又は両方で構成される。或いは、読取部17は、サイン、文字標識などを画像として読み取るカメラ等の撮影手段、音や音声を取得するマイクなどの聴覚情報取得手段と、マイクで取得した聴覚情報を文字情報に変換する音声変換手段とで構成された音声認識手段などを有していても良い。
また、携帯端末2naは、携帯端末が位置している位置情報を取得する位置情報取得部を有していても良い。位置情報取得部は、例えば、約30個のGPS衛星のうち、上空にある数個の衛星からの信号をGPS受信機で受け取り、受信者が自身の現在位置を知るシステムを用いることができる。
【0035】
荷物の受取者が有する受取者端末21b、22b・・は、例えば、デスクトップ型、或いはノート型のパーソナルコンピュータ、或いは、スマートホンなどの携帯端末であって、インタへネット等の通信ネットワークに接続できる端末機器である。受取者端末は、既述の携帯端末2naと同様に、CPU41、入力部42、表示部43、通信部44、RAM45、記憶部46を有しており、通信ネットワークに接続するためのソフトウエア(ブラウザ)を有している。受取者端末は、ブラウザを用いてインターネット上の所望のページを閲覧することができ、該ページにおいて、入力部42を介して所望の入力作業をすることができる。
【0036】
次に、サーバ2について説明する。なお、サーバ2の要部構成については、上述した携帯端末2naの要部構成と略同一とするため、各構成部分には同列の符号を付し(図4参照)、その構成の図示及び説明は省略する。以下では、サーバ2に特徴的な機能、及びサーバ2に備えるデータベースについて詳細に説明する。
サーバ2は、処理手段としてのCPU21、入力部22、表示部23、送受信手段としての通信部24、RAM25、記憶手段としての記憶部26等を備えて構成され、各部はバス27により接続されている。
【0037】
記憶部26は、システムプログラム、サイン照合ブログラムや当該システムに対応する各種処理プログラム、後述する携帯端末2naから供給された情報等を記憶する各種データベースを備える。この他、記憶部26は、データを格納するデータベースを有する。データベースは複数の格納領域を有する。
第1格納領域は、配達情報記憶手段としての配達情報記憶領域である。配達情報記憶領域には、荷物の発送手配した際に、各種情報が格納される。格納される情報としては、荷物毎に各々設定される配達物識別情報であり、この配達物識別情報に関連付けられて、発送手配時に指定された配達先の位置情報(配達先の住所、宛名)、荷物の内容の属性に関する情報(書類、なまもの、こわれもの、要冷蔵等)、荷物の重さに関する情報、荷物の大きさに関する情報、発送場所に関する情報、発送者に関する情報(発送者の氏名、住所、連絡先(メールアドレス))などが格納される。
【0038】
これらの情報は、荷物の発送所や集荷受付所などにおいて、データ入力され、通信ネットワークNcを介してサーバ2に供給されるとともに、データ入力時に配達物識別情報が決定され、同時に配達物識別情報が担持された配達物情報担持手段としてのバーコード52が発行される。
発行されたバーコード52は、例えばシールに印刷され、荷物50の表面に貼り付けられる。配達物情報担持手段としてバーコードに換えてICタグを発行する場合には、ICタグに、上記第1格納領域に記憶される情報をすべて格納してもよい。なお、ICタグを発行した場合には、荷物50の表面ではなく、梱包する箱の内側面、或いは貼り付けられている伝票51の裏側に貼り付けられていることが好ましい。荷物50の搬送作業中の他の荷物との接触によるICタグの破損を抑制できる。
【0039】
第2格納領域は、配達先特定情報記憶手段としての配達先特定情報記憶領域である。配達先特定情報記憶領域には、配達物の配達先に指定され得る地点の位置情報(住所情報、緯度経度情報)が、標識識別情報に関連づけられて格納されている。標識識別情報は、板材341に印刷されているバーコード344にすでに担持されている。標識識別情報に関連付けられて格納されている情報は、標識識別情報の所有者の名称(氏名、法人名等)情報、連絡先情報(メールアドレス、電話番号)、置き配を許可する条件情報(例えば、日時の条件:置き配可とする日にち条件としては、土日祭日以外、時間帯条件としては、午後8時~翌朝6時まで等/重量の条件:20kg以上の荷物に限る等/大きさの条件:30リットル以上のものに限る/属性の条件:要冷蔵でないものに限る、なまものでないものに限る)などがある。
【0040】
これらの情報は、例えば、意思表示標識を購入した際に、購入者(荷物の受取人)が、入力部22を介して格納入力する。情報担持手段としてバーコードに換えてICタグを発行する場合には、ICタグに、上記第1格納領域に記憶される情報をすべて格納してもよい。上記の他、バーコードに換えて受取人のサインを画像情報として記憶しており、このサイン画像に標識識別情報が担持されていてもよい。
【0041】
次に、図1及び図2、並びに図5に示されているフローチャートに基づいて本実施の形態の動作を説明する。図5は携帯端末の処理を示すフローチャートであり、図6は、サーバ2の処理を示すフローチャートである。図1に示されているとおり、配達者が留守の家31の玄関前に荷物50を配置し、留守であることを確認すると、携帯端末に留守か否かの入力(ステップS101)を行い、在宅である場合には、そのまま荷物を渡せるので、配達完了となり(ステップS105)、留守である場合には、玄関ドア32の周囲に意思表示標識34があるか確認する。意思表示標識34がない場合には、留守である旨をサーバに送信する(ステップS109)。この際、留守を確認した日時も同時に送信される。留守の旨を送信した後は、後日再配達が行われる。
【0042】
意思表示標識34がある場合には、配達物である荷物50のバーコード52を、携帯端末21aの読取部17で読み取る(ステップS111)。バーコード52から配達物識別情報をCPU11で検出し、配達物識別情報を記憶部16に格納する(ステップS113)。ステップS111から所定時間経過する前に、バーコード344を読み取る(ステップS115、ステップS119)。この所定時間は、例えば15秒~60秒くらいの範囲に設定される。荷物50の位置と配達先の位置とが同じ位置であることを保障するためである。この所定時間が経過した場合には、エラー表示が表示部13に表示され(ステップS117)、ステップS111からリトライしなければならない。
【0043】
ステップS119の後、バーコード344から標識識別情報をCPU11で検出し、標識識別情報を記憶部16に格納する(ステップS121)。(バーコード344の替わりにサインが記載されている場合には、サインを撮影し、撮影画像を格納する。)
ステップS113とステップS121で格納された配達物識別情報と標識識別情報(又は、サイン画像)とを、通信部14を介してサーバ2へ送信する(ステップS123)。サーバ2からの判定結果を受信し(ステップS125)、配達完了判定であれば(ステップS127)、表示部13に配達完了の表示をし(ステップS131)、配達完了通知票をプリンタ19から出力する(ステップS133)。
【0044】
配達完了通知票には、例えば、配達先情報、配達先特定情報、配達完了日時などが表示される。配達先特定情報が記憶されていない場合には、配達先情報と配達完了日時などが表示される。ステップS131において実行される表示には、置き配方法を示す表示が含まれる。即ち、単に荷物50を玄関先に放置する方法と、荷物50を玄関先に置いた後、玄関の呼び出しブザーを鳴らす方法の内のいずれかである。後者の方法が表示された場合には、配達者は、荷物50を置いた後、呼び出しブザーを押す。このような指示が表示されなくとも、意思表示標識34の置き配意思表明領域345にブザーを押す旨の指示があれば、同様の置き配方法が行われる。
【0045】
判定結果が、配達完了でない場合には、表示部13にエラー表示する(ステップS129)。エラー表示された場合には、配達した場所が違っている可能性が大きいと、配達人に知らせることとなり、配達した住所の再確認が促される。エラー表示の内容としては、標識識別情報に関連づけられて記憶されている配達先特定情報と配達先情報が一致しない旨、或いは、標識識別情報に関連づけられて記憶されている置き配を許可する条件に一致しない旨などが挙げられる。
【0046】
以上のような携帯端末21aの処理に応じて実行されるサーバ2の処理について説明する。サーバ2は、荷物50の発送作業の際に、発送所から配達物識別情報が送信されるので、これを配達情報記憶手段に格納し(ステップS201)、続いて送られる配達先情報と荷物に関する情報を取得して(ステップS203)、ステップS201で格納した配達物識別情報に関連付けて配達情報記憶手段に格納する(ステップS205)。配達先情報には、配達先の位置情報(住所等)、宛名等が含まれる。荷物に関する情報には、置き配了承情報(置き配を了承するか否かに関する情報)、重量情報、大きさ情報、属性情報(荷物の種類:生もの、書類、衣類等/扱い方情報:壊れモノ、折り畳み厳禁、天地無用、取扱い注意、要冷蔵、要冷凍等)が含まれる。
【0047】
配達予告通知を受取者端末に対して、電子メールにより発信する(ステップS207)。図7は、配達予告通知である電子メールが表示画面に表示された受取者端末の画面6を示すものである。図7に示されているように、電子メールには、配達予定の日時が表示される領域61と、配達される荷物の内容、発送者名等の配達物情報が記載される領域62と、置き配を希望する場合には、置き配了承情報を入力するためのインターネット上の入力ページのアドレスが表示されるアドレス表示領域63(置き配了承情報入力指示領域)が表示される。
【0048】
図8は、アドレス表示領域63にリンクされたインターネット上の置き配了承情報入力ページを表すものである。入力ページ7には、置き配了承情報を入力する置き配了承情報入力領域71、置き配を了承する条件を入力する置き配条件入力領域72、置き配内容指定情報入力領域73が表示される。置き配了承情報入力領域71では、置き配を了承する選択肢が表示され、了承する場合にはこの選択肢を選択する。置き配条件入力領域72には、置き配を了承する条件を入力する。例えば、時間帯条件:置き配を了承する時間帯を入力する選択肢、重量条件:置き配を了承する荷物の重量(例えば、10kg以下)の入力領域、容積条件:置き配を了承する荷物の容積(例えば、5リットル以下)の入力領域、なとがある。置き配内容指定情報入力領域73には、置き配の方法の選択肢が表示される。単に玄関先に配置するのみの方法と、玄関先に配置した後、呼び出しブザーを押す方法の2つの選択肢が表示される。
【0049】
入力ページ7において、置き配了承情報が入力されたか判断し(ステップS209)、入力たれた場合には、入力された条件を記憶しておく(ステップS210)、入力されなかった場合には、携帯端末処理のステップS109に基づく留守報告を受信したか判断する(ステップS211)。受信していない場合には、ステップS219を実行し、受信した場合には、配達したが、不在であり配達できなかった旨を受取人に伝えるための配達留守通知を、受取人の端末に送信する(ステップS213)。
【0050】
この通知は、電子メールにて行われる。図9は、配達留守通知である電子メールが、表示画面に表示された受取者端末の画面8を示すものである。図9に示されているように、電子メールには、配達時には留守であり、配達できなかった旨の情報が表示される配達不完了情報表示領域91、配達した日時が表示される領域92と、配達された荷物の内容、発送者名等の配達物情報が記載される領域93と、次回の再配達の際に置き配を希望する場合には、置き配了承情報を入力するためのインターネット上の入力ページのアドレスが表示されるアドレス表示領域94(置き配了承情報入力指示領域)が表示される。アドレス表示領域94にリンクされたインターネット上の置き配了承情報入力ページは、図8に示されたものと同様である。アドレス表示領域94にリンクされた置き配了承情報入力ページで情報が入力されたか判断し(ステップS215)、入力された場合には入力された条件を記憶しておく(ステップS217)。すでに、ステップS209で入力された置き配了承情報がある場合には、ステップS215で入力されたものに更新する。
【0051】
携帯端末21aのステップS123の処理により、配達物識別情報と標識識別情報とを受信すると(ステップS219)、受信した配達物識別情報と配達情報記憶手段に格納されている配達物識別情報と照合し、発送時に指定され配達先の位置情報及び荷物に関する情報を特定する(ステップS221)。
受信した標識識別情報に関連付けられた配達先特定情報が、配達先特定情報記憶手段に格納されているか否か判断する(ステップS2223)。一方、格納されていない場合には、標識識別情報と同時に受信した配達物識別情報に関連付けられて記憶されている配達先情報を配達先特定情報として、標識識別情報に関連付け格納する(ステップS2225)。標識識別情報を受信したということは、置き配を了承する意思が表明されていることを意味するので、ステップS235を実行する。
【0052】
受信した標識識別情報に関連付けられた配達先特定情報が、配達先特定情報記憶手段に格納されている場合には、受信した標識識別情報に基づいて、配達先特定情報記憶手段に格納されている配達先特定情報と照合し、意思表示標識が配置されている位置情報を特定する(ステップS227)。ここで、ステップS221で特定した配達先の位置情報と、ステップS227で特定した実際に配達されている配達先の意思表示標識の位置情報とが合致するか判定する(ステップS229)。合致してない場合には、エラー情報を携帯端末21aへ送信する(ステップS231)。合致している場合には、配達時に指定された配達先に配達されていることが明らかであるので、配達が完了したと判定できる。
【0053】
しかしながら、置き配を了承する条件がある場合がある。つまり、位置情報が合致していた場合には、次の処理が行われる。標識識別情報に関連付けられて記憶されている置き配を了承する条件と、配達物識別情報に関連付けられて記憶されている荷物に関する情報を照合し、荷物の条件や配達日時が、置き配を了承する条件に合致しているか判断する(ステップS233)。合致していない場合には、エラー情報を携帯端末21aへ送信する(ステップS231)。このエラー情報には、エラーの内容も含まれる。例えば、配達位置が異なる。置き配了承時間帯から外れている。
【0054】
置き配を了承する重量でない、等である。このようなエラー情報を受け取った場合には、受取人は、インターネット等の通信回線を介して、サーバ2に接続し、置き配を了承する条件を解除又は変更することもできる。例えば、午後8時まで、とした条件を午後10時までと変更してもよい。置き配を了承する条件は、上記のように、標識識別情報に関連付けられて記憶されている置き配を了承する条件の他に、ステップS217で記憶された条件がある場合には、ステップS217で記憶された条件を優先して適用される。つまり、直近で設定された条件が優先される。
【0055】
合致している場合には、配達時に指定された配達先に配達されていることが明らかであるので、配達が完了したと判定でき、配達完了の旨、携帯端末21aへ送信する(ステップS235→ステップS125)。携帯端末では、この送信に基づいてステップS125が実行される。その送信には、置き配方法に関する情報も含まれる。
また、配達完了の場合には、配達が完了した通知を受領者端末に送信する(ステップS237)。
【0056】
送信先は、配達先特定情報記憶手段に、標識識別情報に関連付けられているメールアドレスに送信される。同様に、人感センサ352及びカメラ351を制御する制御装置に作動開始信号が送られる(ステップS239)。これにより、人感センサ352が作動状態なり、置き配された荷物50が盗難にあった場合には、盗難の状況をカメラ351によって動画で撮ることができる。
このようなメールアドレスへの電子メールによる通知によって、受取人は、置き配による配達が完了したことを直ぐに知ることができる。これにより、例えば、家内に居る場合には、直ちにドアを開けて荷物を回収することできる。不用意に野外に荷物を放置してしまう、といったトラブルが抑制される。
【0057】
意思表示標識34は、板材でなくともよく、例えば、玄関ドアと一体となっており、例えば、ドア32の表面に、窓を設け、その窓を開くと、中に標識識別情報が表示されている構成としても良い。配達者は、ドア32の窓が開いていると、「置き配を了承ている」と認識でき、表示された標識識別情報を読み取る。窓が閉まっていれば、「置き配を了承していない」と認識できる。
【0058】
次に、ステップS233の処理について、説明する。ステップS233は、置き配を了承するか否かを承認する処理である。最初に、置き配を制限する条件が設定されているか判断する。設定されていない場合には、ステップS235を実行する。設定されている場合には、標識識別情報に関連付けられて記憶されている置き配を了承する条件を1つづつ荷物に関する情報と照合する。置き配を了承する日時の条件、置き配を了承する重量の条件、置き配を了承する大きさの条件、その他属性条件の全てについて、荷物に関する情報と照らし、すべての条件が満たされた場合には、ステップS235を実行し、1つでも条件が満たされていない場合には、ステップS231が実行される。
【0059】
この明細書は、以下の構成を開示する。
[1]配達物の配達先に選択的に配置され、置き配を了承する意思表示情報を担持した意思表示標識と、
予め指定された配達先地点に配達される配達物に保持され、各配達物毎に設定された配達物識別情報が担持された配達物情報担持手段と、
前記意思表示標識から置き配を了承する意思表示情報を読み取り、及び配達物情報担持手段から配達物識別情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段で読み取った意思表示情報と配達物識別情報とを、サーバに送信する送信手段とを有する携帯端末と、
前記携帯端末から送信された意思表示情報と配達物識別情報とを受信する受信手段と、
前記受信手段が意思表示情報と配達物識別情報を受信した場合に配達完了と判定する判定手段とを有するサーバと、
を備える配達システム。
【0060】
[2]前記サーバは、前記判定手段が配達完了と判定した場合には、配達が完了したことを通知する情報を、配達物の受取者又は発送者に送信する通知送信手段を有する上記[1]に記載の配達システム。
【0061】
[3]前記サーバは、
意思表示情報に関連付けて、配達先特定情報を記憶する配達先特定情報記憶手段と、
配達物識別情報に関連付けて、配達物の配達先情報が記憶された配達情報記憶手段と、
前記受信手段が受信した意思表示情報に基づいて配達先特定情報記憶手段から配達先特定情報を抽出する配達先特定情報取得手段と、
前記受信手段が受信した配達物識別情報に基づいて前記配達情報記憶手段から配達先情報を取得する配達先情報取得手段とを有し、
前記判定手段は、前記受信手段が意思表示情報と配達物識別情報を受信した場合に、前記配達先特定情報取得手段で取得した配達先特定情報と、前記配達先情報取得手段で取得した配達先情報との関係が所定の関係である場合を条件として、配達完了と判定する上記[1]又は[2]に記載の配達システム。
【0062】
[4]前記意思表示標識に担持される意思表示情報は、意思表示標識毎に付与された個別の標識識別情報に関連して担持されており、
前記サーバは、
前記受信手段が意思表示情報と配達物識別情報を受信した際、配達先特定情報記憶手段に、受信した意思表示情報に関連付けられた配達先特定情報が記憶されていない場合には、前記配達先情報取得手段で取得した配達先情報を、配達先特定情報として配達先特定情報記憶手段に書き込む配達先特定情報書込手段を更に有する上記[3]に記載の配達システム。
【0063】
[5]配達物の配達先に選択的に配置され、置き配を了承する意思表示情報を担持した意思表示標識から読み取った意思表示情報と、予め指定された配達先地点に配達される配達物に保持され、各配達物毎に設定された配達物識別情報が担持された配達物情報担持手段から読み取った配達物識別情報とを、携帯端末から受信する受信手段と、
配達物の発送前に供給された、その配達物の指定された配達先の情報と、その配達物の識別情報とを、相互に関連付けて記憶した配達情報記憶手段と、
前記受信手段が配達物識別情報が、前記配達情報記憶手段に記憶されている配達物識別情報である場合に、配達完了と判定するサーバ。
【0064】
[6]前記判定手段が配達完了と判定した場合には、配達が完了したことを通知する情報を、配達物の受取者又は発送者に送信する通知送信手段を有する上記[5]に記載のサーバ。
【0065】
[7]意思表示情報に関連付けて、配達先特定情報を記憶する配達先特定情報記憶手段と、
配達物識別情報に関連付けて、配達物の配達先情報が記憶された配達情報記憶手段と、
前記受信手段が受信した意思表示情報に基づいて配達先特定情報記憶手段から配達先特定情報を抽出する配達先特定情報取得手段と、
前記受信手段が受信した配達物識別情報に基づいて前記配達情報記憶手段から配達先情報を取得する配達先情報取得手段とを更に有し、
前記判定手段は、前記受信手段が意思表示情報と配達物識別情報を受信した場合に、前記配達先特定情報取得手段で取得した配達先特定情報と、前記配達先情報取得手段で取得した配達先情報との関係が所定の関係である場合を条件として、配達完了と判定する上記[5]又は[6]に記載のサーバ。
【0066】
[8]前記意思表示標識に担持される意思表示情報は、意思表示標識毎に付与された個別の標識識別情報に関連して担持されており、
前記受信手段が意思表示情報と配達物識別情報を受信した際、配達先特定情報記憶手段に、受信した意思表示情報に関連付けられた配達先特定情報が記憶されていない場合には、前記配達先情報取得手段で取得した配達先情報を、配達先特定情報として配達先特定情報記憶手段に書き込む配達先特定情報書込手段を更に有する上記[7]に記載のサーバ。
【0067】
[9]配達物の配達先に選択的に配置され、置き配を了承する意思表示情報を担持した意思表示標識から意思表示情報を読み取る第1読取手段と、
予め指定された配達先地点に配達される配達物に保持され、各配達物毎に設定された配達物識別情報が担持された配達物情報担持手段から配達物識別情報を読み取る第2読取手段と、
前記第1読取手段による読取時刻と、前記第2読取手段による読取時刻との差が所定時間以内であるか判断する判断手段と、
前記判断手段が所定時間内であると判断した場合には、前記第1読取手段で読み取った意思表示情報と、前記第2読取手段で読み取った配達物識別情報とを、サーバに送信する送信手段とを有する携帯端末。
【0068】
[10]配達物の配達先に選択的に配置され、置き配を了承する意思表示情報を担持した意思表示標識であって、
意思表示標識毎に個別に決定された前記標識識別情報を担持する情報担持手段を有し、
携帯端末で読み取られた標識識別情報は、サーバに送信される意思表示標識。
【0069】
[11]前記標識識別情報には、サーバにおいて、配達先となり得る配達先特定情報が関連付けて記憶されている上記[10]に記載の意思表示標識。
【0070】
[12]意思表示標識は、配達先となる地点の戸外に選択的に配置される表示片である上記[10]又は[11]に記載の意思表示標識。
【0071】
上記 [1]及び[5]に記載の構成によれば、配達物の受取人が、置き配を了承する場合には、意思表示標識を戸外に表示すると、配達者は、配達物に担持された配達物担持手段と、意思表示標識から、意思表示情報と配達物識別情報とを携帯端末に読み取り、読み取った意思表示情報と配達物識別情報をサーバに送信する。サーバでは、受信した意思表示情報と配達物識別情報に基づいて、配達が完了したものと判断する。このような構成によって、直接受取人に配達物を渡すことなく、配達を完了することができるので、配達者にとっては配達業務の効率化を図ることができる。受取人にとっては、配達物の受け渡しに行動が拘束されることなく、配達物を受け取ることができる。意思表示標識を選択的に戸外に表示できるので、置き配をするか否かの選択権は、受取人側にある。
【0072】
上記[2]及び[6]に記載の発明によれば、配達完了と判定された場合に、配達完了の旨を受取人や発送者の端末に通知するので、置き配が完了したことを、完了後直ちに知ることができる。これにより、置き配された配達物を早期に回収することが可能となる。
【0073】
上記[3]及び[7]に記載の発明によれば、配達先特定情報と配達先情報が所定の関係である場合に、配達完了を判定するので、より確実に配達の完了を判定することができる。
【0074】
上記[4]及び[8]に記載の発明によれば、配達に完了に伴って、意思表示標識毎に付与された識別情報に、配達先特定情報が記憶されていない場合には、意思表示情報とともに送信された配達物識別情報に基づいて取得された配達先情報をそのまま配達先特定情報として書き込むので、意思表示標識毎に情報を書き込む手間が省ける。
【0075】
上記[9]に記載の発明によれば、1つの携帯端末で、意思表示情報と配達物識別情報とを読み取ってサーバに同時に送信することによって、配達物が実際に届けられたことを保障することができる。また、配達物の位置と配達先の位置とが同じ位置であることを保障することができる。
【0076】
上記[10]に記載の発明によれば、意思表示標識によって置き配を了承する意思を配達者に示すことによって、配達者は、受取人に直接渡すことなく、戸外に配達物を置き去りにすることができる。意思表示標識毎に設定されている個別の識別標識を、置き配完了時に読み取ってサーバに送ることによって、置き配の完了を証明することができる。
【0077】
上記[11]に記載の発明によれば、標識識別情報には、サーバにおいて、配達先となり得る配達先特定情報が関連付けて記憶されているので、置き配完了時に読み取った配達物識別情報と照合して、正しい配達先に確かに届けられたか否かを確実に確認することができる。
【0078】
上記[12]に記載の発明によれば、意思表示標識は、配達先となる地点の戸外に選択的に配置される表示片であるので、置き配を了承しない場合には、表示片を戸外に出さず、了承した場合のみ戸外に表示する、といった選択が可能となる。また、安価に製造することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 配達システム
2 サーバ
31 家
32 玄関ドア
34 意思表示標識
344 バーコード
50 荷物
52 バーコード
2na 携帯端末
2nb 受取人端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9