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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036963
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】サイズ測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20220301BHJP
   A41H 1/04 20060101ALI20220301BHJP
   G06T 19/20 20110101ALI20220301BHJP
【FI】
G01B11/24 K
A41H1/04
G06T19/20
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186434
(22)【出願日】2021-11-16
(62)【分割の表示】P 2020511141の分割
【原出願日】2019-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2018068694
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】505300841
【氏名又は名称】株式会社ZOZO
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】前澤 友作
(57)【要約】      (修正有)
【課題】煩雑な測定作業を行うことなく、精度よく3次元物体のサイズ、特に、ユーザの身体サイズの測定を行うサイズ測定システムを提供する。
【解決手段】サイズ測定システムは、表面に複数の識別可能なマーカーを備え、ユーザの身体のサイズの測定の際に、ユーザの身体に装着するサイズ測定具10と、サイズ測定具10を装着したユーザを撮影してユーザの身体サイズの測定を行う測定端末20と、サイズ測定具10を提供する提供事業者により操作される事業者端末30と、ユーザが装着する衣類等の製品のサイズ情報を含む製品データのデータベースを格納する製品データ管理サーバ40とを有して構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイズ測定システムに関し、具体的には、3次元物体のサイズを測定するサイズ測定システムに関し、特に、身体の立体形状を捕捉し、サイズを測定するサイズ測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット技術の普及により、ECサイトは多種多様な商品を取り扱うようになり、またその売上げは増加の一途を辿っている。
ユーザは、PCや携帯端末等を用いてECサイト上で商品を注文し、その後、配達される商品を、実店舗を訪れることなく自宅で受け取ることができるという便利さもあって、そのユーザ数も大幅に増加している。
上記ECサイトの中には、衣服、帽子及び履物等のアパレル系商品を取り扱うものも数多くあり、その利用者数は実店舗に迫る勢いである。
【0003】
しかしながら、上記アパレル系商品を購入の際には、その商品が実際にユーザの身体のサイズや形状に合っているかどうかが不明な場合があり、ユーザは商品を受け取った後に、試着し、自身のサイズ等に合わない場合には、商品を返品し、異なるサイズの商品を再注文する必要があった。
【0004】
上記問題点を解決するための従来技術の1つとして、特許文献1が開示するところの携帯情報装置が提案されている。
特許文献1に開示される携帯情報装置は、平面に置かれた被服と所定寸法の基準物を撮影することによりその被服の寸法を算出するとともに、使用者がその被服を装着した場合に被服から露出する身体の一部の寸法を入力し、この入力した身体の露出部分の寸法と、上記被服の寸法とに基づいて使用者の身体の各部位の寸法を算出するものである。
具体的には、特許文献1の携帯情報装置は、例えば、被服がトップスの場合には被服の袖の長さと、使用者の露出した腕の長さとを足し合わせることにより、使用者の腕全体の長さを算出する。
また、特許文献1の携帯情報装置は、被服の肩幅の寸法をそのまま使用者のおおよその肩幅として算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-19843
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の携帯情報装置を用いた場合、使用者は、被服から露出した身体部分の寸法をメジャー等で自ら測定しなければならず、その作業が煩雑であるばかりでなく、うまく測定できずその測定精度が低くなるという問題点がある。
また、これに加えて、上記特許文献1の携帯情報装置は、被服の寸法をそのまま使用者の身体の寸法としているが、その被服がゆったりと着こなすタイプのものである場合、測定精度が大幅に低下するという問題点もある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、煩雑な測定作業を行うことなく、精度よく3次元物体のサイズ、特に、ユーザの身体サイズの測定を行うサイズ測定システムを提供することを目的とする。
【0008】
本発明はさらに、精度よく3次元物体のサイズの測定を行うために、3次元物体のサイズを高精度で反映した3Dモデルを構築することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、本発明は、ユーザの身体サイズを測定するサイズ測定システムであって、伸縮性を備えた素材により構成されユーザが装着すると、ユーザの体型に合わせて伸長する本体基材と、本体基材上に配置される拡縮性を備えない複数のマーカーとを有して構成されるサイズ測定具と、ユーザが装着した状態のサイズ測定具の複数のマーカーを認識し、複数のマーカーの立体座標を算出してユーザの身体サイズを測定する測定端末とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明におけるサイズ測定システムによれば、測定端末は、複数のマーカーを複数方向から認識し、マーカーの立体座標を算出し、算出したマーカーの立体座標に基づいて、サイズ測定具を装着したユーザの身体表面の立体座標を算出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明におけるサイズ測定システムによれば、サイズ測定具をユーザへ提供する提供事業者が操作する事業者端末をさらに有し、事業者端末は、本体基材の形状を表す立体座標を示す本体基材データと、マーカーの形状を表す立体座標を示すマーカーデータとを格納し、本体基材データに基づいて表示した本体基材の画像上に、マーカーデータに基づいて表示したマーカーの画像を配置して、マーカーの本体基材上における位置を決定し、サイズ測定具の立体座標を示す測定具データを生成し、測定具データに基づいて、サイズ測定具の型紙データを生成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明におけるサイズ測定システムによれば、測定端末とネットワークを介して接続され、ユーザが装着可能な複数の製品について各製品のサイズを示す製品データを管理するデータベースを格納する管理サーバをさらに有し、測定端末は、測定したユーザの身体サイズの情報を管理サーバへ送信し、管理サーバは、データベースを参照し、測定されたユーザの身体サイズと、製品データが示す複数の製品のサイズとを比較し、ユーザの身体サイズに一致した又は所定値以内のサイズの製品の製品データを抽出し、測定端末へ送信することを特徴とする。
【0013】
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
3次元物体のサイズを測定するためのコンピュータシステムであって、前記コンピュータシステムは、
3次元物体の画像を受信する受信手段であって、前記画像は、複数のマーカーを有するサイズ測定具を装着した3次元物体を撮影した画像であり、前記複数のマーカーは、前記サイズ測定具内で一意のマーカーを含む、受信手段と、
前記複数のマーカーに対応する複数のマーカーを有するデフォルト3Dモデルと前記受信された画像とに基づいて、前記デフォルト3Dモデルを変形させることにより前記3次元物体の3Dモデルを構築する3Dモデル構築手段と
を備える、コンピュータシステム。
(項目2)
前記3Dモデル構築手段は、前記デフォルト3Dモデルから得られた仮想画像と前記受信された画像とに基づいて、前記デフォルト3Dモデルを変形させることにより前記3次元物体の3Dモデルを構築する、項目1に記載のコンピュータシステム。
(項目3)
前記3Dモデル構築手段は、
前記仮想画像内の複数のマーカーと、前記受信された画像内の対応するマーカーとの間のずれを算出することと、
前記ずれを最小にするように前記デフォルト3Dモデルを変形させることにより、前記3Dモデルを構築することと
を行うように構成されている、項目2に記載のコンピュータシステム。
(項目4)
前記3Dモデルにおけるサイズを測定する測定手段と、
前記測定されたサイズを実際のサイズに変換する変換手段と
をさらに備え、
前記デフォルト3Dモデルは、実際の3次元空間との間の縮尺が予め決定された仮想3次元空間内で変形させられ、
前記変換手段は、前記縮尺を用いて前記測定されたサイズを実際のサイズに変換する、項目1~3のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
(項目5)
前記仮想3次元空間と前記実際の3次元空間との間の縮尺は、前記デフォルト3Dモデルが有する複数のマーカーの前記仮想3次元空間内でのサイズと、前記サイズ測定具が有する複数のマーカーの前記実際の3次元空間内でのサイズとの比によって予め決定されている、項目4に記載のコンピュータシステム。
(項目6)
前記複数のマーカーは、前記サイズ測定具内で非一意のマーカーを含み、
前記3Dモデル構築手段は、前記非一意のマーカーと前記一意のマーカーとの相対位置に基づいて、前記デフォルト3Dモデル内の非一意のマーカーと前記受信された画像内の非一意のマーカーとを対応付ける、項目1~5のいずれか一項に記載のシステム。
(項目7)
前記3次元物体は、人体である、項目1~6のいずれか一項に記載のシステム。
(項目8)
前記一意のマーカーは、識別要素を有し、前記識別要素は、ユニークなパターンで配置された複数のドットである、項目1~7のいずれか一項に記載のシステム。
(項目9)
項目1~8のいずれか一項に記載のコンピュータシステムであって、前記コンピュータシステムは、ユーザの端末装置である、コンピュータシステムと、
前記サイズ測定具と
を備えるサイズ測定システム。
(項目10)
前記サイズ測定具は、伸縮性を有する本体基材と、前記本体基材上に配置された前記複数のマーカーとを備え、前記複数のマーカーは、拡縮性を有していない、項目9に記載のサイズ測定システム。
(項目11)
3次元物体のサイズを測定するプログラムであって、前記プログラムは、プロセッサを有するコンピュータシステムにおいて実行され、前記プログラムは、
3次元物体の画像を受信することであって、前記画像は、複数のマーカーを有するサイズ測定具を装着した3次元物体を撮影した画像であり、前記複数のマーカーは、前記サイズ測定具内で一意のマーカーを含む、ことと、
前記複数のマーカーに対応する複数のマーカーを有するデフォルト3Dモデルと前記受信された画像とに基づいて、前記デフォルト3Dモデルを変形させることにより前記3次元物体の3Dモデルを構築することと
を含む処理を前記プロセッサに行わせる、プログラム。
(項目12)
3次元物体のサイズを測定する方法であって、
3次元物体の画像を受信することであって、前記画像は、複数のマーカーを有するサイズ測定具を装着した3次元物体を撮影した画像であり、前記複数のマーカーは、前記サイズ測定具内で一意のマーカーを含む、ことと、
前記複数のマーカーに対応する複数のマーカーを有するデフォルト3Dモデルと前記受信された画像とに基づいて、前記デフォルト3Dモデルを変形させることにより前記3次元物体の3Dモデルを構築することと
を含む方法。
(項目13)
3次元物体のサイズを測定するためのサイズ測定具であって、前記サイズ測定具は、前記3次元物体に装着されるように構成され、前記サイズ測定具は、
伸縮性を有する本体基材と、
前記本体基材上に配置された複数のマーカーと
を備え、前記複数のマーカーは、前記サイズ測定具内で一意のマーカーを含み、前記複数のマーカーは、拡縮性を有していない、サイズ測定具。
(項目14)
前記複数のマーカーは、前記サイズ測定具内で非一意のマーカーを含む、項目13に記載のサイズ測定具。
(項目15)
前記非一意のマーカーは、前記ユーザが前記サイズ測定具を装着すると、前記ユーザの手首、足首、および首のうちの少なくとも1つに配されるように前記本体基材上に配置されている、項目14に記載のサイズ測定具。
(項目16)
前記一意のマーカーは、識別要素を有し、前記識別要素は、ユニークなパターンで配置された複数のドットである、項目13~15のいずれか一項に記載のサイズ測定具。
(項目17)
サイズ測定具をユーザへ提供する提供事業者が操作する事業者端末であって、前記サイズ測定具は、伸縮性を備えた素材により構成されユーザが装着すると、前記ユーザの体型に合わせて伸長する本体基材と、前記本体基材上に配置される拡縮性を備えない複数のマーカーとを有して構成され、
前記事業者端末は、前記本体基材の形状を表す立体座標を示す本体基材データと、前記マーカーの形状を表す立体座標を示すマーカーデータとを格納し、
前記本体基材データに基づいて表示した本体基材の画像上に、前記マーカーデータに基づいて表示したマーカーの画像を配置して、前記マーカーの前記本体基材上における位置を決定し、前記サイズ測定具の立体座標を示す測定具データを生成し、
前記測定具データに基づいて、前記サイズ測定具の型紙データを生成することを特徴とする事業者端末。
(項目18)
ユーザが装着した状態のサイズ測定具の複数のマーカーを認識し、前記複数のマーカーの立体座標を算出してユーザの身体サイズを測定する測定端末であって、前記サイズ測定具は、伸縮性を備えた素材により構成されユーザが装着すると、前記ユーザの体型に合わせて伸長する本体基材と、前記本体基材上に配置される拡縮性を備えない複数のマーカーとを有して構成される、測定端末と、
前記測定端末とネットワークを介して接続され、ユーザが装着可能な複数の製品について各製品のサイズを示す製品データを管理するデータベースを格納する管理サーバと
を有し、
前記測定端末は、前記測定したユーザの身体サイズの情報を前記管理サーバへ送信し、
前記管理サーバは、前記データベースを参照し、前記測定されたユーザの身体サイズと、前記製品データが示す複数の製品のサイズとを比較し、前記ユーザの身体サイズに一致した又は所定値以内のサイズの製品の製品データを抽出し、前記測定端末へ送信することを特徴とするサイズ測定システム。
(項目A1)
ユーザの身体サイズを測定するサイズ測定システムであって、
伸縮性を備えた素材により構成されユーザが装着すると、該ユーザの体型に合わせて伸長する本体基材と、該本体基材上に配置される拡縮性を備えない複数のマーカーとを有して構成されるサイズ測定具と、
ユーザが装着した状態の前記サイズ測定具の複数のマーカーを認識し、該複数のマーカーの立体座標を算出してユーザの身体サイズを測定する測定端末とを有することを特徴とするサイズ測定システム。
(項目A2)
前記測定端末は、前記複数のマーカーを複数方向から認識し、該マーカーの立体座標を算出し、該算出したマーカーの立体座標に基づいて、前記サイズ測定具を装着したユーザの身体表面の立体座標を算出することを特徴とする項目A1記載のサイズ測定システム。
(項目A3)
前記サイズ測定具をユーザへ提供する提供事業者が操作する事業者端末をさらに有し、
前記事業者端末は、前記本体基材の形状を表す立体座標を示す本体基材データと、前記マーカーの形状を表す立体座標を示すマーカーデータとを格納し、
前記本体基材データに基づいて表示した本体基材の画像上に、前記マーカーデータに基づいて表示したマーカーの画像を配置して、前記マーカーの前記本体基材上における位置を決定し、前記サイズ測定具の立体座標を示す測定具データを生成し、
前記測定具データに基づいて、前記サイズ測定具の型紙データを生成することを特徴とする項目A1又は2記載のサイズ測定システム。
(項目A4)
前記測定端末とネットワークを介して接続され、ユーザが装着可能な複数の製品について各製品のサイズを示す製品データを管理するデータベースを格納する管理サーバをさらに有し、
前記測定端末は、前記測定したユーザの身体サイズの情報を前記管理サーバへ送信し、
前記管理サーバは、前記データベースを参照し、前記測定されたユーザの身体サイズと、前記製品データが示す複数の製品のサイズとを比較し、前記ユーザの身体サイズに一致した又は所定値以内のサイズの製品の製品データを抽出し、前記測定端末へ送信することを特徴とする項目A1から3のいずれか1項に記載のサイズ測定システム。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明におけるサイズ測定システムは、伸縮性を備えた素材により構成されユーザが装着すると、ユーザの体型に合わせて伸長する本体基材と、本体基材上に配置される拡縮性を備えない複数のマーカーとを有して構成されるサイズ測定具と、ユーザが装着した状態のサイズ測定具の複数のマーカーを認識し、複数のマーカーの立体座標を算出してユーザの身体サイズを測定する測定端末とを有するので、煩雑な測定作業を行うことなく、精度よくユーザの身体サイズの測定を行うことが可能となる。
【0016】
さらに、本発明によれば、精度よくユーザの身体サイズの測定を行うために、ユーザの身体サイズを高精度で反映した3Dモデルを構築することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施の形態におけるサイズ測定システムの構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施の形態におけるサイズ測定具の外観を示す図である。
図3】本発明の第1の実施の形態におけるサイズ測定具の外観を示す図である。
図4A】本発明の第1の実施の形態における測定端末の構成を示す図である。
図4B】本発明の第1の実施の形態における制御部21の構成の一例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施の形態における測定端末の情報格納部が格納するデータ等を示す図である。
図6】本発明の第1の実施の形態におけるマーカーDBのデータ構成の一例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施の形態における事業者端末の構成を示す図である。
図8】本発明の第1の実施の形態における事業者端末の情報格納部が格納するデータ等を示す図である。
図9】本発明の第1の実施の形態における製品データ管理サーバの構成を示す図である。
図10】本発明の第1の実施の形態における製品データ管理サーバの情報格納部が格納するデータ等を示す図である。
図11】本発明の第1の実施の形態における製品DBのデータ構成の一例を示す図である。
図12】本発明の第1の実施の形態におけるサイズ測定具の製造動作の流れを示すフローチャートである。
図13】本発明の第1の実施の形態における人体モデルデータが表す人体モデルの立体画像の一例を示す図である。
図14】本発明の第1の実施の形態におけるマーカーの配置位置が設定された後の人体モデルデータが表す人体モデルの立体画像の一例を示す図である。
図15】本発明の第1の実施の形態における型紙データの一例を示す図である。
図16A】本発明の第1の実施の形態におけるユーザの身体サイズの測定動作の流れ200の一例を示すフローチャートである。
図16B】本発明の第1の実施の形態におけるユーザの身体サイズの測定動作の流れ200の別の例における身体サイズを測定するための処理300の一例を示すフローチャートである。
図16C】本発明の第1の実施の形態における3Dモデル構築手段211がステップS302において3Dモデルを構築する処理400の一例を示すフローチャートである。
図17】本発明の第1の実施の形態における撮影時のユーザの様子を示す図である。
図18】本発明の第2の実施の形態におけるサイズ測定具の外観を示す図である。
図19】本発明の第2の実施の形態におけるサイズ測定具の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施の形態>
〔1〕第1の実施の形態の概要
本発明の第1の実施の形態におけるサイズ測定具10は、全体的に衣類等の形状をなすものであり、その伸縮自在な繊維等の素材の上にマーカーが設けられている。
撮影機能を備えた情報処理装置である測定端末20は、ユーザが自身の身体に装着した状態のサイズ測定具10を複数角度から複数回撮影し、サイズ測定具10のマーカーの立体座標を算出することにより、ユーザの身体表面の立体座標を算出し、そのユーザの身体サイズを測定することができる。測定されるユーザの身体サイズは、ユーザの身体全体のサイズであってもよいし、ユーザの身体の一部のサイズであってもよい。
これにより、ユーザは自身の身体サイズに合ったアパレル製品を容易に購入することが可能となる。
【0019】
本発明の第1の実施の形態における事業者端末30は、人体モデルにサイズ測定具10の本体基材(生地・布地等)の立体画像を合成し、その本体基材上の任意の位置にマーカーの配置位置を設定することにより、サイズ測定具10の設計データを容易に生成することができ、これを平面展開することにより、サイズ測定具10の型紙データも容易に生成することができる。
【0020】
〔2〕第1の実施の形態の構成
(1)サイズ測定システムの全体構成
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるサイズ測定システムの構成を示す図である。
図に示すように、サイズ測定システムは、表面に複数の識別可能なマーカーを備え、ユーザの身体のサイズの測定の際に、ユーザの身体に装着するサイズ測定具10と、サイズ測定具10を装着したユーザを撮影してユーザの身体サイズの測定を行う測定端末20と、サイズ測定具10を提供する提供事業者により操作される事業者端末30と、ユーザが装着する衣類等の製品のサイズ情報を含む製品データのデータベースを格納する製品データ管理サーバ40とを有して構成される。
【0021】
(2)サイズ測定具10の構成
図2,3は、本発明の第1の実施の形態におけるサイズ測定具10の外観を示す図である。図2には、一例としてシャツタイプのサイズ測定具10が示されており、図3には、一例としてズボンタイプのサイズ測定具10が示されている。
【0022】
サイズ測定具10は、全体が伸縮自在な繊維等の素材で構成されており、衣服状又はアクセサリ等のユーザ身体に装着可能な形状に形成されている。サイズ測定具10は、例えば、単体で衣服又はアクセサリ等の形状を構成するようにしてもよいし、複数のサイズ測定具10の組み合わせによって衣服又はアクセサリ等の形状を構成するようにしてもよい。サイズ測定具10は、例えば、ユーザの身体の全体を覆うように構成されてもよいし、ユーザの身体の一部を覆うように構成されてもよい。
サイズ測定具10において、この伸縮自在な素材で構成されている部分を以下、本体基材11という。
【0023】
上記本体基材11の伸縮可能な素材としては、例えば、ポリウレタン弾性繊維等を、ポリエステル等の伸縮性及び弾力性に富んだ素材又は他の繊維(コットン等)を混紡した合成繊維等が用いられ、その伸縮性及び弾力性が確保できるものであれば一般に衣類等に用いられる他の素材であってもよい。
例えば、サイズ測定具10の本体基材11は、ユーザの身体サイズよりやや小さめに形成されており、ユーザが装着(着用)したときには、ユーザの身体形状に合わせて伸長し、当該ユーザの身体表面にぴったりフィットする。
【0024】
本体基材11は、上述したように、衣服形状又はアクセサリ形状等、ユーザの身体形状に沿ってぴったりと装着(着用)可能な形状に形成されている。
例えば、本体基材11は、シャツ、ズボン、下着等の衣服形状の他、帽子、ソックス、ヘアバンド、リストバンド等のアクセサリ形状であってもよい。
【0025】
伸縮自在な素材からなる本体基材11には、複数のマーカー12が固着されている。
マーカー12は、例えば、金属や樹脂等、本体基材11の伸長に応じて拡縮したり、変形したりしない素材により構成されている。マーカー12が拡縮および変形しないことにより、ユーザがサイズ測定具10を装着したときであっても、マーカー12を大きさの基準として用いることができる。
一例において、マーカー12は、本体基材11と同様に、伸縮可能な素材により構成されるようにしてもよい。
マーカー12は、その形状・サイズ・表面の図柄(模様)・色彩・素材等は特に限定されず、様々なものが適用される。
【0026】
マーカー12における上記形状、サイズ、表面の図柄(模様)、色彩及び素材等を各マーカー12間で異ならせることにより、各マーカー12の識別に用いることができる。このようなマーカー12個々を識別するための各要素を以下、「識別要素」という。各マーカー12は、個々に異なる識別要素を有しており、これにより、各マーカー12は、サイズ測定具10内で一意となる。
測定端末20は、マーカー12の識別要素を光学的な読取方式等で読み取ることにより、各マーカー12の識別を行う。本発明の識別要素は、撮影された画像の処理において認識され得れば任意のものであってよいが、各マーカー中にユニークなパターンで配置された複数のドットや、色(マーカーの全面にわたって配色されている場合や、マーカー中の領域ごとに複数の色が配されており、全体としてユニークなマーカーを形成している場合などを含む)などが具体的に例示され得る。本発明において好ましい識別要素は、各マーカー中にユニークなパターンで配置された複数のドットであり得る。本発明においてさらに好ましい識別要素は、各マーカー中にユニークなパターンで配置された複数のドットであって、非拡縮素材で形成されたマーカー内の孔として形成された複数のドットであり得る。マーカー内の孔として形成されたドットは、マーカーの非拡縮性を損なわない範囲で任意のサイズであり得るが、例えば、マーカーの最大寸法の約5%~15%の最大寸法を有し得る。例えば、マーカー12が、約20mmの直径を有する円形である場合には、ドットは、約1mm~約3mmの直径を有する円形であり得る。このような複数のドットを識別要素として有するマーカーは、単色の非拡縮性素材によって製造することができるため、製造が安価かつ容易である。さらには、ドット(マーカー内の孔)を最小限にすることで、マーカー12の非拡縮性を損なうこともなく、依然としてマーカー12を大きさの基準として用いることができる。また、ドットの数および位置を変動させることによってドットのユニークなパターンを無限に拡張することができるため、サイズ測定具10上のマーカー12の個数を増減させることが容易である。これにより、より大きなサイズ測定具10またはより小さなサイズ測定具10であっても製造が安価かつ容易になり得る。
【0027】
ユーザがサイズ測定具10を装着すると、当該ユーザの身体形状に沿って本体基材11が伸長し、この本体基材11上に配置されている各マーカー12間の相対位置が変動する。
測定端末20は、この変動量を計測することにより、ユーザの身体サイズを測定する。
【0028】
例えば、図3に示すズボンタイプのサイズ測定具10をユーザがズボンを履くように自身の下半身に装着すると、サイズ測定具10はユーザの下半身のサイズ及び形状に合わせて伸長し、そのサイズ及び形状を測定する。
例えば、サイズ測定具10のウエスト部分をユーザのウエストの位置に合わせ、サイズ測定具10の裾部分をユーザの足首よりやや上に位置するように着用することにより、サイズ測定具10は、ユーザの体型に合わせて足の長さ方向に伸長するとともに、ウエストやヒップの形状又は足の太さ等に合わせてウエスト、ヒップ、足の周りの周方向に伸長する。
ユーザがタイツを脱ぐようにサイズ測定具10を下半身から取り外すと、サイズ測定具10は元のサイズ及び形状に復元する。
【0029】
(3)測定端末20の構成
測定端末20は、ユーザの身体サイズを測定する際に操作される情報処理装置である。
例えば、測定端末20は、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、携帯電話、PDA、PHS、PC等の携帯型情報処理装置である。
一例において、測定端末20は、ユーザが装着したサイズ測定具10の複数のマーカー12を撮影して認識し、その認識した複数のマーカー12の立体座標を算出し、そのマーカー12の立体座標に基づいてユーザの身体サイズの測定を行う。
【0030】
別の例において、測定端末20は、サイズ測定具10を装着したユーザを撮影し、撮影した画像を用いてユーザの3Dモデルを構築し、構築された3Dモデルに基づいてユーザの身体サイズの測定を行う。
【0031】
また、測定端末20は、通信機能を用いてネットワークを介して製品データ管理サーバ40と通信を行い、上記測定したユーザの身体サイズに基づいて、当該身体サイズに合った衣類等の製品の検索を行うことができる。
【0032】
図4Aは、本発明の第1の実施の形態における測定端末20の構成を示す図である。
図に示すように、測定端末20は、CPU等から構成され測定端末20全体を制御する制御部21と、各種情報を格納する情報格納部22と、ネットワーク100を介して製品データ管理サーバ40と通信を行う通信部23と、各種情報を表示する表示部24と、各種キー等を備え情報入力を行うために用いられる操作部25と、カメラ等を備え画像を入力する撮影部26とを有して構成される。
また、上記表示部24と操作部25は、一体に構成され、タッチパネルを構成してもよい。
各部21~26は、内部のバスに接続され、このバスを介して種々の情報等が入出力され、制御部21の制御の下、種々の処理が実行される。
【0033】
制御部21は、測定端末20全体の制御を司る処理部であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の電子回路やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路により構成される。
制御部21は、情報格納部22から情報の読出しを実行するとともに、情報格納部22に情報の書込みを実行する。
【0034】
情報格納部22は、例えば、ハードディスク、メモリ又は半導体素子等の情報を格納する装置である。
情報格納部22は、制御部21で実行するプログラム(例えば、図16Aに示される処理の一部、図16B図16Cに示される処理を実現するプログラム)を記憶する領域や制御部21が処理を実行する際に一時的に使用する作業領域等(RAM等)を有する。
制御部21は、その情報格納部22に格納されているプログラム(3次元再構成アルゴリズム、最適化アルゴリズム、バンドル調整アルゴリズム等)を読み出し、上記作業領域に展開して各種の処理を実行する。
【0035】
また、情報格納部22は、サイズ測定具10の本体基材11上におけるマーカー12の配置位置を示す測定具データを予め格納している。
上記測定具データは、後述するように、事業者端末30により生成される。
【0036】
情報格納部22は、例えば、後述する3Dモデル構築手段211によって生成された、ユーザの3Dモデルを構築するためのデータを格納し得る。ユーザの3Dモデルを構築するためのデータは、当該技術分野で公知の、3Dモデルを表現するためのデータであり得る。データは、例えば、3Dモデルの各頂点を表すポリゴンデータであり得る。
【0037】
さらに、情報格納部22は、デフォルト3Dモデルを構築するためのデータを格納し得る。デフォルト3Dモデルは、ユーザの3Dモデルを構築する際のベースとなる3Dモデルである。ベースとなるデフォルト3Dモデルは、例えば、対象となるユーザ毎に異なるモデルが選択されるようにしてもよいし、ユーザ毎に一定であってもよい。ベースとなるデフォルト3Dモデルがユーザ毎に一定である場合、デフォルト3Dモデルは、例えば、約170cmの身長を有し、平均的な男性の体型と平均的な女性の体型とを平均した体型を有するモデルとして構築されることができる。約170cmの身長が日本人の平均的な身長であることから、このようなデフォルト3Dモデルは、種々の体型のユーザの3Dモデルを構築する際に利用しやすい。
【0038】
デフォルト3Dモデルは、サイズ測定具10が備える複数のマーカー12に対応する複数のマーカーを備える。デフォルト3Dモデルが備える複数のマーカーは、複数のマーカー12と同様に、デフォルト3Dモデル内で一意である。デフォルト3Dモデルの複数のマーカーは、デフォルト3Dモデルの身長および体型を有する人物がサイズ測定具10を装着したときに複数のマーカー12が配される位置と同じ位置に配置されている。
【0039】
デフォルト3Dモデルを構築するためのデータは、当該技術分野で公知の、3Dモデルを表現するためのデータであり得る。データは、例えば、3Dモデルの各頂点を表すポリゴンデータであり得る。
【0040】
通信部23は、ネットワーク100を介して行う製品データ管理サーバ40との通信を制御するインターフェースであり、LANアダプタ等を有する。
通信部23は、無線送受信機を備え、無線通信を介してLANやインターネット等に接続されてもよいし、ケーブル等の有線を介して接続されてもよい。
【0041】
表示部24は、ディスプレイやランプ等の表示装置である。
制御部21は、情報格納部22から画像を読み出し、画像出力処理を実行して画面情報を生成する。また、制御部21は、通信部23が製品データ管理サーバ40から受信した画像情報に対して画像出力処理を実行して画面情報を生成する。
制御部21は、上記生成した画像情報を表示部24へ出力する。
表示部24は、上記入力した画像情報をディスプレイ等に画面表示する。
また、制御部21は、制御信号を表示部24へ出力し、表示部24が有するランプを点灯させることもできる。
【0042】
操作部25は、例えば各種キー等から構成される情報入力装置を備え、当該情報入力装置は表示部24と連携してポインティングデバイスを提供する。操作部25は、ユーザ等による各種操作を受け付けて、その操作内容を示す信号を制御部21等に出力する。
制御部21は、上記操作内容を示す信号を入力すると、当該信号の内容に応じて、表示部24へその操作内容に応じた画面表示を行う旨の制御信号を表示部24へ出力する。
表示部24は、その制御信号を入力すると、当該制御信号に応じて画面表示を行う。
なお、上記表示部24と操作部25は一体に構成され、タッチパネルを形成してもよい。
【0043】
撮影部26は、カメラ等を備え、ユーザが着用したサイズ測定具10を撮影し、そのサイズ測定具10の画像を測定端末20に入力する。本明細書において、画像は、静止画像であってもよいし、動画像であってもよい。撮影部26が撮影した画像が動画像である場合には、測定端末20は、動画像から静止画像(平面画像)を抽出する構成を有し得る。例えば、測定端末20は、動画像から静止画像を抽出する公知のソフトウェアを有し、このソフトウェアによって、撮影部26によって撮影された動画像から静止画像を抽出することができる。
サイズ測定具10上の複数のマーカー12は、測定具10内で一意であるため、平面画像内の複数のマーカーも、平面画像内で一意となる。
撮影部26は、上記入力したサイズ測定具10の平面画像データを制御部21へ入力する。
【0044】
一例において、制御部21は、上記サイズ測定具10の平面画像データが入力されると、当該入力された平面画像データから、サイズ測定具10に配置されている複数のマーカー12の画像を認識し、どのマーカー12が、平面画像データに示される平面空間のどの位置にあるかを認識する。
また、制御部21は、上記平面画像データにおいて、上記マーカー12の画像に加えて、サイズ測定具10の輪郭(背景との境界線)を認識する。
上記制御部21による画像認識方式は、例えば従来の一般的な光学式の読取方式やその他画像認識の方法によるものであってもよい。
制御部21は、各マーカー12の認識及び平面画像内の平面座標に基づいて、各マーカー12の立体座標を算出し、これら複数のマーカー12の立体座標の集合であるマーカー測定データを生成する。
例えば、制御部21は、複数の画像データの平面画像内において共通に認識したマーカー12の平面座標等に基づき、三角測量の原理を用いて、上記マーカー12の立体座標及び撮影を行う測定端末20の姿勢情報(立体座標及びヨー、ピッチ、ロールの各撮影方向の角度)を算出する。
制御部21は、上記算出したマーカー測定データに基づいて、ユーザの身体表面上に位置する仮想的な点群の立体座標を表すユーザ測定データを算出する。
そして、制御部21は、上記ユーザ測定データに基づいて、ユーザの所定の身体部位のサイズを表す測定サイズデータを算出する。
【0045】
別の例において、制御部21は、サイズ測定具10を装着したユーザを撮影した画像を撮像部26から受信すると、受信された画像に基づいてユーザの3Dモデルを構築する。
【0046】
図4Bは、本例における制御部21の構成の一例を示す図である。
【0047】
制御部21は、少なくとも、3Dモデル構築手段211を備え得る。
【0048】
3Dモデル構築手段211は、撮影部26を用いて撮影された画像を受信し、受信された画像に基づいて3Dモデルを構築するように構成されている。3Dモデル構築手段211は、例えば、デフォルト3Dモデルと受信された画像とに基づいて、デフォルト3Dモデルを変形させることによってユーザの3Dモデルを構築する。
【0049】
一例において、3Dモデル構築手段211は、受信された複数の画像内の複数のマーカー12の平面座標を認識し、三角測量の原理を用いて、複数のマーカー12の立体座標を算出する。次いで、デフォルト3Dモデル上の複数のマーカーの立体座標が、それぞれに対応する複数のマーカー12の算出された立体座標となるように、デフォルト3Dモデルを変形させる。デフォルト3Dモデル上の複数のマーカー全ての立体座標が、それぞれに対応する複数のマーカー12の算出された立体座標となるように、デフォルト3Dモデルを変形させることによって構築された3Dモデルが、ユーザの3Dモデルとなる。ここで、デフォルト3Dモデル上の複数のマーカーの立体座標と、対応する複数のマーカー12の立体座標とは完全に一致する必要はなく、特定の誤差(例えば、±5%)が許容され得る。
【0050】
別の例において、3Dモデル構築手段211は、デフォルト3Dモデルから2次元の仮想画像を取得し、デフォルト3Dモデルから得られた仮想画像と、受信された画像とに基づいて、デフォルト3Dモデルを変形させる。仮想画像は、デフォルト3Dモデルを複数の方向から仮想的に撮影した画像である。このとき、受信された画像は、仮想画像が撮影される方向と同じであるかまたはこれに近い方向から撮影された画像であることが好ましい。後続の処理において、仮想画像と受信された画像との比較が容易になるからである。例えば、仮想画像が、デフォルト3Dモデルに対して1時の方向、2時の方向、・・・12時の方向の12方向からデフォルト3Dモデルを仮想的に撮影した画像である場合、受信された画像も同様に、ユーザに対して1時の方向、2時の方向、・・・12時の方向の12方向からユーザを撮影したものとなるように、ユーザを撮影することが好ましい。さらに、受信された画像が撮影されたカメラ位置は、仮想画像が仮想的に撮影されたカメラ位置と同じであるかまたはこれに近いことが好ましい。後続の処理において、仮想画像と受信された画像との比較が容易になるからである。例えば、仮想画像が、被写体からの距離約2m、カメラ高さ約70cmのカメラ位置から仮想的に撮影された場合、受信された画像も同様に、被写体からの距離約2m、カメラ高さ約70cmの仮想カメラ位置から撮影されたものとなるように、ユーザを撮影することが好ましい。デフォルト3Dモデルが備える複数のマーカーは、デフォルト3Dモデル内で一意であるため、仮想画像内でも一意となる。
【0051】
3Dモデル構築手段211は、例えば、デフォルト3Dモデルから得られた仮想画像内の複数のマーカーと、受信された画像内の対応する複数のマーカーとの間のずれを算出し、算出されたずれを最小にするように、デフォルト3Dモデルをベースにして変形を行う。仮想画像内の複数のマーカーは、仮想画像内で一意であり、かつ、受信された画像内の複数のマーカーも一意であるため、仮想画像内の複数のマーカーと、受信された画像内の対応する複数のマーカーとを対応付けることができる。例えば、3Dモデル構築手段211は、算出されたずれを最小にする仮想画像内の複数のマーカーの位置を決定し、決定された位置に複数のマーカーを有するようにベースのデフォルト3Dモデルを変形させる。デフォルト3Dモデルから得られた仮想画像内の複数のマーカー全てと、受信された画像内の対応する複数のマーカー全てとの間のずれを最小にするように、デフォルト3Dモデルをベースにして構築された3Dモデルが、ユーザの3Dモデルとなる。ここで、ずれは完全にゼロにされる必要はなく、特定の最小値(例えば、固定値、または、所定の閾値以下の値)にされてもよい。3Dモデル構築手段211は、任意の手法によって、算出されたずれを最小にする変形を導出することができる。例えば、最小二乗法を用いて、算出されたずれを最小にする変形を導出することができる。
【0052】
3Dモデル構築手段211によるデフォルト3Dモデルの変形は、仮想3次元空間内で行われ得る。仮想3次元空間は、予め決定された縮尺で実際の3次元空間を拡大または縮小した空間である。変形を仮想3次元空間内で行うことにより、変形の前後で縮尺が不変であり、変形後の3Dモデルと縮尺とを用いて実際の3次元空間内のサイズを算出することが容易になる。
【0053】
仮想3次元空間と実際の3次元空間との間の縮尺は、例えば、デフォルト3Dモデル上の複数のマーカーの仮想3次元空間内でのサイズと、サイズ測定具10上の複数のマーカー12の実際の3次元空間内でのサイズとの比によって予め決定されている。例えば、デフォルト3Dモデル上の複数のマーカーの仮想3次元空間内でのサイズがXであり、サイズ測定具10上の複数のマーカー12の実際の3次元空間内でのサイズがYであるとすると、縮尺は、X:Yと決定される。
【0054】
制御部21は、測定手段212と、変換手段213とをさらに備え得る。
【0055】
測定手段212は、3Dモデル構築手段211によって構築されたユーザの3Dモデルにおける身体サイズを測定するように構成されている。測定手段212によって測定されるサイズは、仮想3次元空間内でのサイズである。測定手段212は、公知の手法を用いて、3Dモデルの身体サイズを測定することができる。例えば、測定手段212は、3Dモデルを2次元断面にスライスし、測定対象の部位の2次元断面において寸法を測定することにより、測定対象部位のサイズを決定することができる。例えば、腰囲を測定する場合、腰の最もくびれている部分の2次元横断面において周長を測定することによって、腰囲が測定され得る。例えば、肩幅を測定する場合、両肩を通る2次元縦断面において両肩間の長さを測定することによって、肩幅が測定され得る。
【0056】
変換手段213は、測定手段212によって測定された身体サイズを実際の身体サイズに変換するように構成されている。上述したように、測定手段212によって測定されるサイズが仮想3次元空間内でのサイズであるため、変換手段212によって、実際の3次元空間内のサイズに変換する必要がある。変換手段213は、例えば、仮想3次元空間と実際の3次元空間との間の縮尺を用いて、仮想3次元空間内での身体サイズを実際の3次元空間内のサイズに変換する。
【0057】
制御部21は、変換手段213によって出力される実際の3次元空間内でのサイズに基づいて、ユーザの所定の身体部位のサイズを表す測定サイズデータを算出する。
【0058】
制御部21は、その算出した測定サイズデータを表示部24へ出力し、表示部24上に表示させることができる。
制御部21は、例えば、3Dモデル構築手段211によって構築されたユーザの3Dモデルの立体画像を表示部24へ出力し、表示部24上に表示させることができる。このとき、表示部24は、3Dモデルの立体画像の対応する部位の上にまたは部位の近傍に、算出した測定サイズデータの値を表示するようにしてもよい。
ユーザは、その表示された測定サイズデータ(例えば、身長、バスト、ウエスト、ヒップ等のサイズ)を確認して、自身の身体サイズに合ったアパレル製品(衣類・アクセサリ等)を購入するときに参照することができるようになる。例えば、測定サイズデータのうち、首周りのサイズを示す値と、裄丈のサイズを示す値とを表示部24上に表示することにより、ユーザは、これをワイシャツを選ぶ際の参考にすることができる。例えば、袖丈のサイズを示す値と、肩幅のサイズを示す値と、胸囲のサイズを示す値と、着丈のサイズを示す値とを表示部24上に表示することにより、ユーザは、これをジャケット選ぶ際の参考にすることができる。例えば、測定サイズデータのうち、ウエストのサイズを示す値と、ヒップのサイズを示す値と、太もも周りのサイズを示す値と、股上のサイズを示す値と、股下のサイズを示す値とを表示部24上に表示することにより、ユーザは、これをズボンを選ぶ際の参考にすることができる。
【0059】
測定端末20は、Webサーバとして機能する製品データ管理サーバ40から画面情報、例えばWebページを受信して表示することができる。
測定端末20は、制御部21がユーザの要求に応じてHTTP(Hypertext Transfer Protocol)要求を生成して送信する機能と、HTTP応答(応答の一例)を解釈して利用者に提示する機能とを有する。
例えば、情報格納部22は、一例としてWebブラウザを格納する。
制御部21は、HTTP応答を解釈して画像データや音声データを生成し、表示部24に表示したり、音声を測定端末20が有するスピーカから出力したりすることで、HTTP応答をユーザに提示する。
【0060】
通信部23は、ユーザの身体サイズを示す測定サイズデータを製品データ管理サーバ40へ送信すると、製品データ管理サーバ40は、その測定サイズデータが示す身体サイズに合った製品のデータ(製品データ)をデータベース(製品DB421)から抽出し、その製品データを含む画面情報である製品検索結果情報(Webページ等)を測定端末20へ送信する。
測定端末20の通信部23は、その製品検索結果情報を製品データ管理サーバ40から受信すると、表示部24上に表示を行う。
ユーザは、その表示された製品検索結果情報の内容を見て、自身の身体サイズに合った衣服等の製品の情報を容易に知ることができ、購入製品の選択が容易となる。
また、製品検索結果情報がECサイトのWebページである場合には、ユーザは、操作部25を操作して、表示部24上に表示された製品検索結果情報の所定領域を指定することにより(ボタンをクリックする等)、そのまま当該製品をECサイトにおいて購入することができる。
【0061】
図5は、本発明の第1の実施の形態における測定端末20の情報格納部22が格納するデータ等を示す図である。
図に示すように、情報格納部22は、各マーカー12の形状等の識別要素を管理するマーカーDB221と、測定サイズデータとして算出する身体部位が示された人体モデルデータ222とを格納する。
【0062】
図6は、本発明の第1の実施の形態におけるマーカーDB221のデータ構成の一例を示す図である。
図に示す例では、マーカーDB221は、マーカー12の形状、サイズ、表面の図柄(模様)、色彩及び素材等を示すテキストデータ又は画像データを、マーカーごとに管理している。
測定端末20の制御部21は、例えば、撮影された平面画像内に映っているマーカー12を画像認識し、マーカーDB221を参照して識別を行う。
【0063】
人体モデルデータ222は、一般的な人体の身体形状を表す人体モデルのデータであり、当該人体モデルの身体表面に位置する仮想的な点群の立体座標の集合データである。人体モデルデータ222は、ユーザの3Dモデルを構築するためのデータと、デフォルト3Dモデルを構築するためのデータとを含み得る。
また、人体モデルデータ222は、測定サイズデータとして算出する身体部位の長さを示す線上に位置する点群の立体座標を示す情報を含む。
測定端末20の制御部21は、上記の人体モデルデータ222を参照して、測定サイズデータとして算出する身体部位の位置を認識し、ユーザ測定データに示されるユーザの身体のうち上記測定サイズデータとして算出する身体部位の位置を特定し、その特定した位置の点群の立体座標を抽出することによりユーザの身体サイズを算出する。
【0064】
(4)事業者端末30の構成
事業者端末30は、ユーザにサイズ測定具10を提供する提供事業者により操作される情報処理装置である。
例えば、事業者端末30は、PC、タブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル端末、携帯電話、PDA、PHS等の情報処理装置である。
事業者端末30は、サイズ測定具10の本体基材11上におけるマーカー12の配置位置を設定して測定具データを生成するとともに、そのマーカー12の配置位置が設定されたサイズ測定具10の型紙データの生成を行う。
【0065】
事業者端末30は、サイズ測定具10の表面を示す仮想的な点群の立体座標を含む測定具データに基づいて、サイズ測定具10の型紙データを生成するが、その生成方法は、従来のいわゆるアパレルCAD等を利用して、3次元データである測定具データから2次元データである型紙データへの変換処理を行って、当該型紙データを生成するようにしてもよい。なお、その生成方法については特に限定しない。
【0066】
生成された型紙データは、裁断・縫製機能等を備えた情報処理装置である図示しないサイズ測定具10の製造装置に入力される。
その入力方法は特に限定されず、例えば、事業者端末30の近距離無線通信等の通信機能を用いて、上記サイズ測定具10の製造装置に入力される。サイズ測定具10の製造装置は、その入力された型紙データに基づいて、本体基材11の素材である繊維生地等を裁断及び縫製し、本体基材11を製造するとともに、型紙データにおいて指定されている本体基材11上の所定の位置にマーカー12を固着する。その固着方法は従来の一般的なものでよく、例えば、樹脂や接着剤により固着してもよいし、縫製により固着してもよい。
【0067】
なお、印刷機等に上記型紙データを入力し、型紙データに基づいて印刷及び切断を行って通常の型紙を作成するようにしてもよい。
【0068】
図7は、本発明の第1の実施の形態における事業者端末30の構成を示す図である。
図に示すように、事業者端末30は、CPU等から構成され事業者端末30全体を制御する制御部31と、各種情報を格納する情報格納部32と、通信処理を行う通信部33と、各種情報を表示する表示部34と、各種キー等を備え情報入力を行うために用いられる操作部35と、カメラ等を備え画像を入力する撮影部36とを有して構成される。
また、上記表示部34と操作部35は、一体に構成され、タッチパネルを構成してもよい。
各部31~35は、内部のバスに接続され、このバスを介して種々の情報等が入出力され、制御部31の制御の下、種々の処理が実行される。
【0069】
制御部31は、事業者端末30全体の制御を司る処理部であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の電子回路やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路により構成される。
制御部31は、情報格納部32から情報の読出しを実行するとともに、情報格納部32に情報の書込みを実行する。
【0070】
情報格納部32は、例えば、ハードディスク、メモリ又は半導体素子等の情報を格納する装置である。
情報格納部32は、制御部31で実行するプログラムを記憶する領域や制御部31が処理を実行する際に一時的に使用する作業領域等(RAM等)を有する。
制御部31は、その情報格納部32に格納されているプログラムを読み出し、上記作業領域に展開して各種の処理を実行する。
【0071】
通信部33は、通信を制御するインターフェースであり、LANアダプタ等を有する。
通信部33は、無線送受信機を備え、無線通信を介してLANやインターネット等に接続されてもよいし、ケーブル等の有線を介して接続されてもよい。
【0072】
表示部34は、ディスプレイやランプ等の表示装置である。
制御部31は、情報格納部32から画像を読み出し、画像出力処理を実行して画面情報を生成する。また、制御部31は、通信部33が製品データ管理サーバ40から受信した画像情報に対して画像出力処理を実行して画面情報を生成する。
制御部31は、上記生成した画像情報を表示部34へ出力する。
表示部34は、上記入力した画像情報をディスプレイ等に画面表示する。
また、制御部31は、制御信号を表示部34へ出力し、表示部34が有するランプを点灯させることもできる。
【0073】
操作部35は、例えば各種キー等から構成される情報入力装置を備え、当該情報入力装置は表示部34と連携してポインティングデバイスを提供する。操作部35は、ユーザ等による各種操作を受け付けて、その操作内容を示す信号を制御部31等に出力する。
制御部31は、上記操作内容を示す信号を入力すると、当該信号の内容に応じて、表示部34へその操作内容に応じた画面表示を行う旨の制御信号を表示部34へ出力する。
表示部34は、その制御信号を入力すると、当該制御信号に応じて画面表示を行う。
なお、上記表示部34と操作部35は一体に構成され、タッチパネルを形成してもよい。
【0074】
図8は、本発明の第1の実施の形態における事業者端末30の情報格納部32が格納するデータ等を示す図である。
図に示すように、情報格納部32は、一般的な人体の身体形状を表す人体モデルのデータであり、当該人体モデルの身体表面に位置する仮想的な点群の立体座標の集合データである人体モデルデータ321と、本体基材11の形状を示す仮想的な点群の立体座標の集合データである本体基材データ322と、マーカー12の形状等を示す仮想的な点群の立体座標の集合データであるマーカーデータ323とを格納する。
【0075】
人体モデルは性別、年齢、人種等により予め複数パターン用意されていてもよく、この場合、情報格納部32は、それら複数パターンに応じた人体モデルデータを格納する。
【0076】
事業者端末30の制御部31は、人体モデルデータ321、本体基材データ322及びマーカーデータ323を構成する点群の立体座標に基づいて、それぞれ人体モデル、本体基材11及びマーカー12の立体画像を生成し、表示部34上に表示させることができる。
これは、一般的な従来技術の点群データによる立体画像の表示処理による。
【0077】
制御部31は、人体モデルの立体画像に合わせて、本体基材11の立体画像に対して拡大・縮小、回転等の画像処理を施して、両立体画像を合成し、人体モデルが本体基材11を装着したと仮定したときの立体画像を生成することができる。
また、制御部31は、マーカー12の種類を選択し、上記合成後の本体基材11の画像を回転させて、その本体基材11の立体画像上に上記選択したマーカー12を配置して合成し、測定具データを生成する。
測定具データは、上記本体基材11及びマーカー12を構成する点群の立体座標データと、マーカー12の配置位置の立体座標データとを含む。
【0078】
(5)製品データ管理サーバ40の構成
製品データ管理サーバ40は、アパレル製品の製品データを管理するとともに、当該アパレル商品の販売用のWebページを生成し、提供するサーバ装置である。
製品データ管理サーバ40は、例えば、インターネット上でアパレル製品の販売事業を行うECサイトの事業者等により管理される。
【0079】
図9は、本発明の第1の実施の形態における製品データ管理サーバ40の構成を示す図である。
図に示すように、製品データ管理サーバ40は、製品データ管理サーバ40全体を制御する制御部41と、製品データを格納する情報格納部42と、測定端末20との間で各種情報の送受信を行う通信部43とを有して構成される。
各部41~43は、内部のバスに接続され、このバスを介して種々の情報等が入出力され、制御部41の制御の下、種々の処理が実行される。
【0080】
制御部41は、製品データ管理サーバ40全体の制御を司る処理部であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の電子回路やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路により構成される。
制御部41は、情報格納部42から情報の読出しを実行するとともに、情報格納部42に情報の書込みを実行する。
【0081】
情報格納部42は、例えば、ハードディスク、メモリ又は半導体素子等の情報を格納する装置である。
情報格納部42は、制御部41で実行するプログラムを記憶する領域や制御部41が処理を実行する際に一時的に使用する作業領域等(RAM等)を有する。
制御部41は、その情報格納部42に格納されているプログラムを読み出し、上記作業領域に展開して各種の処理を実行する。
【0082】
通信部43は、ネットワーク100を介して行う測定端末20との通信を制御するインターフェースであり、LANアダプタ等を有する。
通信部43は、無線送受信機を備え、無線通信を介してLANやインターネット等に接続されてもよいし、ケーブル等の有線を介して接続されてもよい。
【0083】
図10は、本発明の第1の実施の形態における製品データ管理サーバ40の情報格納部42が格納するデータ等を示す図である。
図に示すように、情報格納部42は、製品データを管理する製品DB421を格納する。
【0084】
図11は、本発明の第1の実施の形態における製品DB421のデータ構成の一例を示す図である。
図に示す例では、製品DB421は、アパレル製品の製品名と、そのアパレル製品を供給するブランドと、その製品カテゴリと、サイズ情報と、アパレル製品の色と、アパレル製品の値段と、そのアパレル製品の在庫数とをそれぞれアパレル製品を識別するID(製品ID)に対応付けて管理している。
【0085】
上記製品カテゴリは、アパレル製品が属するカテゴリを表す項目である。
例えば、アパレル製品カテゴリとしては、トップス、パンツ、ワンピース、ライトアウター、ヘビーアウター、帽子、バッグ、ファッション小物、アクセサリー及びシューズ等である。
また、製品カテゴリは、大カテゴリ→小カテゴリのように複数階層が設定されていてもよい。例えば、大カテゴリ「トップス」内に小カテゴリ「Tシャツ」、「ポロシャツ」、「パーカー」等が含まれ、アパレル製品カテゴリをより細分化するよう設定されていてもよい。
【0086】
上記サイズ情報は、アパレル製品のサイズを表す項目である。
サイズ情報には、一般的なサイズ表記であるSML等の全体サイズの他、バスト、ウエスト、ヒップ、着丈、肩幅、袖丈、股下、太もも周り等といった各パーツの寸法の情報も含まれる。
【0087】
〔3〕第1の実施の形態の動作
(1)サイズ測定具10の製造動作
図12は、本発明の第1の実施の形態におけるサイズ測定具10の製造動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って説明を進める。
【0088】
まず、提供事業者は、事業者端末30の操作部35を操作して、情報格納部35に格納されている人体モデルデータの一覧を表示部34上に表示させ、操作部35を用いて、適切な人体モデルの人体モデルデータを選択する(ステップS101)。
例えば、提供事業者は、普通体型の成人女性の人体モデルデータを選択する。
図13は、本発明の第1の実施の形態における人体モデルデータが表す人体モデルの立体画像501の一例を示す図である。
図には、一般的な人体モデルの立体画像501が示されている。
【0089】
次に、提供事業者は、事業者端末30の操作部35を操作して、情報格納部35に格納されている本体基材データの一覧を表示部34上に表示させ、操作部35を用いて、適切な本体基材データを選択する(ステップS102)。
例えば、提供事業者は、シャツ形状の本体基材11を示す本体基材データを選択する。
【0090】
次に、提供事業者は、操作部35を操作して、上記選択した人体モデルデータの画像に上記選択した本体基材データの画像を合成する(ステップS103)。
このとき、提供事業者は、操作部35を操作して、上記選択した人体モデルデータの所定の立体座標と、本体基材データの所定の立体座標とを一致させ、人体モデルが本体基材11を装着した画像を事業者端末30に生成させる。
この人体画像に衣服等の画像を合成させる技術は、従来のものであってよく、特に限定しない。
また、本体基材の画像は、人体モデルの画像のサイズや形状に合わせて、適宜拡縮及び回転処理等が施される。
【0091】
次に、提供事業者は、操作部35を操作して、上記人体モデルの画像上に合成した本体基材11の画像上の任意の位置にマーカー12の配置位置を設定する(ステップS104)。
例えば、操作部35がマウス等で構成される場合には、表示部34上に表示されている本体基材11の画像上の所定の位置をクリックして、マーカー12の配置位置を設定する。
【0092】
また、マーカー12は、上述のとおり、形状や模様等により互いに識別可能なものであり、予め識別番号であるマーカーIDが設定されている。
提供事業者は、マーカー12の配置位置を設定するとき、設定するマーカー12のマーカーIDを選択してからマーカー12の配置位置を設定する。
【0093】
マーカー12の配置位置が設定されると、制御部31は、本体基材11の表面形状を表す点群の立体座標と、その点群のうちマーカー12の配置位置を示す点の立体座標と、そのマーカー12の識別番号とを示す測定具データを生成する(ステップS104)。
上記測定具データにおいては、マーカー12の配置位置の点の座標と、そのマーカー12の識別番号とが互いに対応付けられており、どのタイプのマーカー12が本体基材11上のどの位置に配置されたが示される。
なお、実際は、マーカー12は例えば10~30mm程度の円形等、点群の点よりも大きなサイズである。従って、マーカー12の外形の中心や重心等がその配置位置としてもよい。
図14は、本発明の第1の実施の形態におけるマーカー12の配置位置が設定された後の人体モデルデータが表す人体モデルの立体画像501の一例を示す図である。
図の例では、人体モデルの立体画像501上の設定された位置にマーカー12の配置位置の画像502が示されている。
【0094】
次に、事業者端末30の制御部31は、上記生成した測定具データに基づいて、サイズ測定具10を製造するための型紙データを生成する(ステップS105)。
すなわち、制御部31は、測定具データが示す本体基材11の立体座標を平面座標に変換してサイズ測定具10を制作するための型紙データを生成する。
また、制御部31はマーカー12の配置位置の立体座標についても型紙の平面座標に変換を行い、型紙データには型紙上のどの位置にどのタイプのマーカー12が配置されるかを示す情報が含まれる。
このようにして生成される型紙データは、サイズ測定具10を制作するための型紙の画像データを含み、型紙の外形を示す平面座標とともに、その型紙画像の部分には測定具データの立体座標から変換された平面座標も含む。
【0095】
提供事業者は、操作部35を操作して型紙データの表示要求を入力すると、制御部31は、該当する型紙データを表示部34に表示させる。
図15は、本発明の第1の実施の形態における型紙データの一例を示す図である。
図に示すように、型紙データは、サイズ測定具10を製造するための本体基材11の型紙情報101,201と、マーカー12の配置位置の情報102,202とを含む。
また、この型紙で表示されている本体基材11の縫製位置の平面座標についても、提供事業者が操作部35を用いて入力することにより、型紙データ内に設定することができる。
例えば、提供事業者は、マウス等の操作部35を操作して、表示されている本体基材11の型紙画像上の所定位置をなぞることにより、縫製位置の平面座標を型紙データ内に生成させることができる。
【0096】
次に、サイズ測定具10の製造装置(図示せず)が、上記事業者端末30により生成された型紙データを用いて、サイズ測定具10を製造する(ステップS106)。
このサイズ測定具10の製造方法については特に限定しないが、例えば、サイズ測定具10の製造装置が裁断・縫製機能等を備えた情報処理装置である場合には、上記型紙データが入力されると、その型紙データに示される本体基材11上にマーカー12を固着する。また、サイズ測定具10の製造装置は、その型紙データに示される本体基材11の外形の情報に従って、本体基材11の素材(繊維等)を裁断及び縫製し、サイズ測定具10を製造する。
以上で、サイズ測定具10の製造動作が終了する。
【0097】
(2)ユーザの身体サイズの測定動作
図16Aは、本発明の第1の実施の形態におけるユーザの身体サイズの測定動作の流れ200の一例を示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、説明を進める。
【0098】
まず、測定者は測定端末20の撮影部26を用いて、サイズ測定具10を装着したユーザを複数回撮影する(ステップS201)。
図17は、本発明の第1の実施の形態における撮影時のユーザの様子を示す図である。
図に示すように、撮影時、ユーザは床又は地面等の略水平な場所に起立した状態であり、上記測定端末20による複数回の撮影の間に、立ち位置上で床等から垂直上方向に伸びた軸周りに回転する。
これにより、測定端末20は、サイズ測定具10を装着し、起立した状態のユーザの側面の複数角度からの平面画像を得る。例えば、ユーザを12方向(1時の方向、2時の方向、・・・12時の方向)から撮影することにより、測定端末20は、12方向からの平面画像を得ることができる。
このとき、測定端末20は複数の平面画像において同一のマーカー12が共通に含まれるよう撮影を行う。
【0099】
撮影部26は上記撮影により生成した複数の平面画像データを制御部21へ入力する。
制御部21は、上記複数の平面画像のうち、平面画像内に映っている各マーカー12の形状等とマーカーDB221に登録されている形状等とを照合して、画像認識処理を実行し、各マーカー12の識別を行い、3次元再構成アルゴリズムを用いて、平面画像内においてその識別したマーカー12の立体座標を算出する。
そして、制御部21は、上記マーカー12の立体座標の算出処理を複数平面画像において実行して、複数平面画像に映っている全てのマーカー12の立体座標を算出する(ステップS202)。
この算出された全てのマーカー12の立体座標の集合は、上述のマーカー測定データである。
なお、上記マーカー測定データの算出方法については、従来技術を用いたものであってもよく、例えば、複数の平面画像内に共通して映っているマーカー12に着目し、三角測量の技術を利用して、最終的にマーカー12の立体座標を算出するものであってもよい。
また、このとき、制御部21は、測定端末20の撮影位置・方向を示す姿勢情報を算出する。
【0100】
例えば、ここで、制御部21は、上記マーカー12の立体座標及び測定端末20の姿勢情報を算出する際、一般的なバンドル調整アルゴリズムを用いて、上記算出したマーカー12の立体座標を平面画像上に再投影し、再投影したマーカー12の位置と、平面画像上のマーカー12の位置との距離を最小にするように反復的に再推定してもよい。
【0101】
次に、制御部21は、最適化アルゴリズムを用いて、上記算出したマーカー測定データ(マーカー12の立体座標)の値の最適化を実行する(ステップS203)。
例えば、制御部21は、マーカー測定データに示されるマーカー12の立体座標のうち、エラー値と推定される座標値については削除を行う。
【0102】
次に、制御部21は、上記最適化したマーカー測定データに基づいて、ユーザの身体形状を表すユーザ測定データを生成する(ステップS204)。
ユーザ測定データは、ユーザの身体表面を表す点群の立体座標を含むものである。
このとき、制御部21は、上記マーカー12がユーザの身体表面上に位置すると推定し、各マーカー12の立体座標に基づいてユーザの身体表面を表す点群の立体座標を算出し、上記ユーザ測定データを算出する。
【0103】
次に、制御部21は、上記算出したユーザ測定データに基づいて、測定サイズデータを算出する(ステップS205)。
測定サイズデータは、ユーザの所定の身体部位のサイズを表すデータであって、例えば、身長、バスト、ウエスト、ヒップ、肩幅、股下等のアパレル製品を購入するにあたって考慮すべき身体部位のサイズデータである。
【0104】
情報格納部22に人体モデルのデータが格納されており、その人体モデルに上記身体部位のサイズの位置が設定されている場合には、制御部21は、その人体モデルと、上記ユーザ測定データで表されるユーザの身体形状とを照合して、そのユーザの身体形状におけるサイズの位置を特定することにより、そのサイズの位置における立体座標の値をユーザ測定データから抽出して計算し、ユーザの各身体部位のサイズを算出することができる。
以上で、ユーザの身体サイズの測定動作が終了する。
【0105】
図16Bは、上述したユーザの身体サイズの測定動作の流れ200の別の例における身体サイズを測定するための処理300の一例を示すフローチャートである。処理300は、測定端末20の制御部21において実行される。
【0106】
ステップS301の前に、ステップS201と同様の動作が行われる。これにより、サイズ測定具10を装着したユーザを複数の方向から撮影した複数の画像を得ることができる。得られたユーザの画像は、撮像部26から制御部21に入力される。
【0107】
ユーザの画像が制御部21に入力されると、制御部21が、ユーザの画像を受信する(ステップS301)。
【0108】
ユーザの画像を受信すると、制御部21の3Dモデル構築手段211が、デフォルト3Dモデルと受信された画像とに基づいて、デフォルト3Dモデルを変形させることにより3Dモデルを構築する(ステップS302)。3Dモデル構築手段211は、例えば、デフォルト3Dモデルから得られた仮想画像と受信された画像とに基づいて、デフォルト3Dモデルを変形させることによりユーザの3Dモデルを構築する。3Dモデル構築手段211は、例えば、後述する処理400によって3Dモデルを構築することができる。3Dモデル構築手段211によるデフォルト3Dモデルの変形は、予め決定された縮尺で実際の3次元空間を拡大または縮小した空間である仮想3次元空間内で行われ得る。
【0109】
3Dモデルが構築されると、制御部21の測定手段212が、構築された3Dモデルにおける身体サイズを測定する(ステップS303)。測定手段212は、仮想3次元空間内での身体サイズを測定する。測定手段212は、公知の手法を用いて、3Dモデルの身体サイズを測定することができる。
【0110】
身体サイズが測定されると、制御部21の変換手段213が、測定された身体サイズを実際の身体サイズに変換する(ステップS304)。変換手段213は、例えば、仮想3次元空間と実際の3次元空間との間の縮尺を用いて、仮想3次元空間内での身体サイズを実際の3次元空間内のサイズに変換する。例えば、仮想3次元空間と実際の3次元空間との間の縮尺がX:Yであり、測定手段212によって測定された仮想3次元空間内での身体サイズがhであると測定されると、仮想3次元空間内での身体サイズhは、Y/Xを乗ずることによって実際の3次元空間内でのサイズ(h×Y/X)に変換される。
【0111】
実際の身体サイズに変換されると、身体サイズを測定するための処理300は完了する。その後、制御部21は、実際の身体サイズに基づいて、ユーザの所定の身体部位のサイズを表す測定サイズデータを算出する。
【0112】
図16Cは、3Dモデル構築手段211がステップS302において3Dモデルを構築する処理400の一例を示すフローチャートである。
【0113】
3Dモデル構築手段211は、デフォルト3Dモデルから仮想画像を取得する(ステップS401)。仮想画像は、デフォルト3Dモデルを複数の方向から仮想的に撮影した画像である。このとき、受信された画像は、仮想画像が撮影される方向と同じであるかまたはこれに近い方向から撮影された画像であることが好ましい。後続の処理において、仮想画像と受信された画像との比較が容易になるからである。例えば、仮想画像が、デフォルト3Dモデルに対して1時の方向、2時の方向、・・・12時の方向の12方向からデフォルト3Dモデルを仮想的に撮影した画像である場合、受信された画像も同様に、ユーザに対して1時の方向、2時の方向、・・・12時の方向の12方向からユーザを撮影したものとなるように、ユーザを撮影することが好ましい。さらに、受信された画像が撮影されたカメラ位置は、仮想画像が仮想的に撮影されたカメラ位置と同じであるかまたはこれに近いことが好ましい。後続の処理において、仮想画像と受信された画像との比較が容易になるからである。例えば、仮想画像が、被写体からの距離約2m、カメラ高さ約70cmのカメラ位置から仮想的に撮影された場合、受信された画像も同様に、被写体からの距離約2m、カメラ高さ約70cmの仮想カメラ位置から撮影されたものとなるように、ユーザを撮影することが好ましい。
【0114】
次いで、3Dモデル構築手段211は、仮想画像内のマーカーと受信された画像内の対応するマーカーとの間のずれを算出する(ステップS402)。仮想画像内のマーカーと受信された画像内の対応するマーカーとの間のずれは、例えば、ピクセルレベルで算出され得る。
【0115】
仮想画像内のマーカーと受信された画像内の対応するマーカーとの間のずれは、例えば、仮想画像内のデフォルト3Dモデルの体型と画像内のユーザの体型との差分、仮想画像内のデフォルト3Dモデルの向きと画像内のユーザの向きとの差分、仮想画像を撮影したカメラの位置および傾きと画像を撮影したカメラの位置および傾きとの差分、服のねじれによる仮想画像内のマーカーの位置と画像内のマーカーの位置との差分によって生じ得る。従って、仮想画像内の1つのマーカーiと受信された画像内の対応する1つのマーカーiとの間のずれERRは、例えば、
ERR=ERR(体型)+ERR(カメラポジション)+ERR(向き)+ERR(ねじれ) (1)
によって表され得る。
【0116】
例えば、仮想画像内のデフォルト3Dモデルの体型と画像内のユーザの体型との差分は、マーカーの左端のピクセルのX座標の差分、および、マーカーの上端のピクセルのY座標の差分によって表現され得る。仮想画像内のデフォルト3Dモデルの体型と画像内のユーザの体型とが異なる場合には、マーカーの位置そのものがずれるはずだからである。このような仮想画像内のデフォルト3Dモデルの体型と画像内のユーザの体型との差分ERR(体型)は、
ERR(体型)=ABS(Xd-Xa)+ABS(Yd-Ya) (2)
によって表され得る。ここで、ABS()は絶対値を表し、(Xd、Yd)が仮想画像内のマーカーiの位置座標を表し、(Xa、Ya)が受信された画像内のマーカーiの位置座標を表している。
【0117】
例えば、仮想画像を撮影したカメラの位置と画像を撮影したカメラの位置との差分は、マーカーの横幅の差分、および、マーカーの縦幅の差分によって表現され得る。仮想画像を撮影したカメラの位置と画像を撮影したカメラの位置とが異なる場合には、マーカーの大きさが異なるはずだからである。このような仮想画像を撮影したカメラの位置と画像を撮影したカメラの位置との差分ERR(カメラポジション)は、
ERR(カメラポジション)=ABS(Wd-Wa)+ABS(Hd-Ha) (3)
によって表され得る。ここで、ABS()は絶対値を表し、(Wd、Hd)が仮想画像内のマーカーiの横幅および縦幅を表し、(Xa、Ya)が受信された画像内のマーカーiの横幅および縦幅を表している。
【0118】
3Dモデル構築手段211は、複数のマーカーの全てについて、仮想画像内のマーカーと受信された画像内の対応するマーカーとの間のずれを算出し、ずれの合計値ERRを算出する。
ERR=ΣERR (4)
【0119】
このとき、ステップS401で複数の方向から撮影された複数の画像を受信している場合には、同一の方向から撮影された受信された画像と仮想画像とを組にしたうえで、各組において、仮想画像内のマーカーと受信された画像内の対応するマーカーとの間のずれを算出するようにすることができる。
【0120】
次いで、3Dモデル構築手段211は、ステップS403で算出されたずれERRを最小にするようにデフォルト3Dモデルを変形させる(ステップS403)。3Dモデル構築手段121は、例えば、最小二乗法を用いて、ずれERRを最小にする変形を導出することができる。
【0121】
例えば、上記記式(4)に式(1)、式(2)および式(3)を代入すると、ERRは、デフォルト3Dモデルの複数のマーカーの位置座標(Xd、Yd)、幅(Wd、Hd)等を変数とする多項式で表すことができる。この多項式において、各マーカーについてのXd、Yd、Wd、Hd等を変数として、ERRが最小になるXd、Yd、Wd、Hd等を最小二乗法を用いて求めることができる。3Dモデル構築手段211は、変形後の3Dモデル上の複数のマーカーが、ERRが最小になるXd、Yd、Wd、Hd等を有するように、デフォルト3Dモデルを変形させる。
【0122】
次いで、3Dモデル構築手段211は、ずれERRが所定の閾値以下であるかを判定する(ステップS404)。ずれERRが所定の閾値以下である場合、変形後の3Dモデルがユーザの3Dモデルであると決定され、処理400は終了する。ずれERRが所定の閾値よりも大きい場合、ステップS405に進む。ここで、所定の閾値は、例えば、ゼロであってもよいし、任意の非ゼロ値であってもよい。
【0123】
ずれERRが所定の閾値よりも大きい場合、3Dモデル構築手段211は、変形後の3Dモデルから仮想画像を取得する(ステップS405)。仮想画像は、変形後の3Dモデルを複数の方向から仮想的に撮影した画像である。変形後の3Dモデルから取得された仮想画像は、デフォルト3Dモデルから取得された仮想画像と同様に、受信された画像と同様の方向および/または位置から撮影されたものであることが好ましい。
【0124】
次いで、3Dモデル構築手段211は、変形後の3Dモデルから取得された仮想画像および変形後の3Dモデルを用いてステップS402~ステップS404を繰り返す。これをずれERRが所定の閾値以下となるまで繰り返す。
【0125】
このようにして、ユーザの3Dモデルが構築される。
【0126】
上述した例では、ずれが所定の閾値以下になるまでステップS402~ステップS405を繰り返すことを説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、所定の繰り返し回数だけステップS402~ステップS405を繰り返すようにしてもよいし、ずれが所定の閾値以下になるかまたは所定の繰り返し回数に達するかのいずれかになるまでステップS402~ステップS405を繰り返すようにしてもよい。
【0127】
ユーザは、測定端末20が算出した測定サイズデータを用いて、自身のサイズに合ったアパレル製品を検索し、そのままECサイトで購入することもできる。
ユーザは、測定端末20の操作部25を操作して、自身の測定サイズデータを製品データ管理サーバ40へ送信させると、製品データ管理サーバ40は、製品DB内を参照し、その測定サイズデータに示されるユーザの身体サイズに合った(サイズが一致した又は近い)製品の検索を実行する。
そして、製品データ管理サーバ40は、その検索の結果、抽出した製品のデータを含む画面情報である製品検索結果情報(Webデータ)を生成し、測定端末20へ送信する。
測定端末20は、その製品検索結果情報を製品データ管理サーバ40から受信すると表示を行う。
ユーザは、その製品検索結果情報に示されたアパレル製品を確認して、購入を検討することができる。また、その製品検索結果情報がECサイトのWebページである場合には、ユーザは操作部25を用いて当該製品検索結果情報上に表示されるボタンをクリックする等して、当該アパレル製品を購入することも可能である。ECサイトにおける購入処理については既知の処理と同様の内容であるのでその説明を省略する。
【0128】
<実施の形態のまとめ>
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態におけるサイズ測定システムは、ユーザがサイズ測定具10を装着した状態で、測定端末20はサイズ測定具10表面に配置されている複数個のマーカー12を複数角度から撮影してマーカー12の立体座標を算出し、これに基づいてユーザの各身体部位のサイズを算出するので、ユーザは、各身体部位をメジャー等で自ら測定するという煩雑な作業を行うことなく、その身体部位のサイズを容易に把握することが可能となる。
【0129】
また、本実施の形態によれば、製品データ管理サーバ40はユーザの身体部位のサイズのデータを測定端末20から受信すると、製品DBを参照し、各身体部位のサイズが一致又は所定範囲内のアパレル製品のデータを抽出し、その製品のデータが示された画面情報を生成して測定端末20へ送信するので、ユーザは、自身にサイズが合ったアパレル製品を容易に把握することが可能となる。
【0130】
また、本実施の形態によれば、サイズ測定具10は、伸縮自在な素材で構成される本体基材11上に拡縮及び変形しない素材で構成されたマーカー12を複数固着、配置して構成されるので、ユーザは、サイズ測定具10を装着すると、本体基材11はユーザの身体形状に合わせて伸長し、ぴったりとフィットした状態であり、マーカー12は本体基材11の伸長に応じてその位置を変えるので、測定端末20は、マーカー12の位置(立体座標)を算出すると、これに従ってユーザの身体サイズの測定を実行することが可能となる。
また、上述したように、マーカー12自体は拡縮及び変形しないので、測定端末20は、マーカー12の画像認識を精度よく行うことが可能となっている。
【0131】
また、本実施の形態によれば、事業者端末30は、人体モデルにサイズ測定具10の本体基材11の立体画像を合成したうえで、マーカー12の種類を選択し、その本体基材11の立体画像上にマーカー12を配置して、製造予定のサイズ測定具10の設計データである測定具データを生成し、この測定具データに基づいて、サイズ測定具10の型紙データを生成するので、提供事業者はサイズ測定具10を容易に製造することが可能となる。
【0132】
上記の測定端末20、事業者端末30及び製品データ管理サーバ40は、主にCPUとメモリにロードされたプログラムによって実現される。ただし、それ以外の任意のハードウェアおよびソフトウェアの組合せによってこの装置またはサーバを構成することも可能であり、その設計自由度の高さは当業者には容易に理解されるところである。
また、上記の測定端末20、事業者端末30又は製品データ管理サーバ40をソフトウェアモジュール群として構成する場合、このプログラムは、光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、または半導体等の記録媒体に記録され、上記の記録媒体からロードされるようにしてもよいし、所定のネットワークを介して接続されている外部機器からロードされるようにしてもよい。
【0133】
なお、上記の実施の形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施の形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
【0134】
測定端末20は、サイズ測定具10の表面上に設けられている複数のマーカー12を読み取ったとき、各マーカー12が、サイズ測定具10のどの位置に設けられているマーカー12であるかを判別することができる。
マーカー12個々を識別するために、例えば、各マーカー12は、形状、サイズ、表面の図柄(模様)色彩又は素材それぞれ、あるいはこれらの組み合わせを各マーカー12間で互いに異ならせるよう構成してもよい。
【0135】
このように、各マーカー12は、例えば表面の図柄等を互いに異ならせ、それぞれが固有の識別要素を備えるものであってもよいし、同一サイズ測定具10において、マーカー12の識別要素が一部重複してもよい。
例えば、測定端末20は、識別対象のマーカー12の周囲に配置された他のマーカー12の識別要素についても識別し、これら複数のマーカー12の識別要素の組み合わせにより各マーカー12を識別することもできる。
この場合、具体例をあげると、識別要素Aのマーカー12の5cm半径内に識別要素Bのマーカー12が配置されている場合と、識別要素Aのマーカー12の5cm半径内に識別要素Cのマーカー12が配置されている場合とでは、測定端末20は、同じ識別要素Aのマーカー12でも、互いに別のマーカー12であると認識することができる。
上記識別方法を用いる場合には、マーカーDB221には、各マーカーごとに、周囲のマーカーの識別要素についても管理される。
【0136】
測定端末20は、次の方法でもマーカー12の識別を行うことができる。
測定端末20は、サイズ測定具10と背景との境界線を認識し、その境界線の所定位置から各マーカー12の配置位置までの距離を測定する。
測定端末20は、境界線の所定位置から各マーカー12の配置位置までの距離の情報と、マーカー12の識別要素とを組み合わせて識別を行う。
例えば、サイズ測定具10の胴中央部分に配置されたマーカー12と、袖の先に配置されたマーカー12とでは、上記境界線からの距離が異なるため、測定端末20は、これら両マーカー12の識別要素が同一であっても識別可能である。
上記識別方法を用いる場合には、マーカーDB221には、各マーカー12ごとに、例えば境界線までの最短距離の情報についても管理される。
【0137】
測定端末20は、次の方法でもマーカー12の識別を行うことができる。
次の方法で識別を行う場合、測定端末20は、サイズ測定具10の平面又は立体画像情報を予め格納している。そのサイズ測定具10の画像は、例えば、胴部分、右袖部分、左袖部分といったように複数の領域に分割されて管理されている。
測定端末20は、上記のとおり、サイズ測定具10と背景との境界線を認識する場合には、サイズ測定具10の外形を特定することが可能である。
測定端末20は、その特定したサイズ測定具10の外形の情報と、上記予め情報格納部22に格納されている領域が分割されているサイズ測定具10の画像情報を利用して、胴部分の領域、右袖部分の領域、左袖部分の領域、・・・といったように撮影されたサイズ測定具10の画像を複数の領域に分割して認識することができる。
測定端末20は、認識した各マーカー12について、マーカー12の識別要素に、上記マーカー12が認識された領域(胴部分、右袖部分、左袖部分等)を組み合わせて識別することで、マーカー12の識別要素が同一であっても、認識された領域が異なれば識別することが可能である。
上記識別方法を用いる場合には、マーカーDB221には、各マーカー12ごとに、配置されたサイズ測定具10における領域の情報についても管理される。
【0138】
また、上述のように、測定端末20は、サイズ測定具10と背景との境界線を画像認識する場合、その境界線を用いて、マーカー12の立体座標の修正を行うこともできる。
例えば、測定端末20は、マーカー12の立体座標がそのサイズ測定具10の外形を表す閉じた境界線の外側に位置すると認識したとき、当該マーカー12の立体座標はエラー値であると判断し、削除したり、上記境界線上まで移動させたりして、ユーザの身体サイズ測定の際の精度を向上させることができる。
【0139】
<第2の実施の形態>
図18および図19は、本発明の第2の実施の形態におけるサイズ測定具10’の外観を示す図である。図18には、一例としてシャツタイプのサイズ測定具10’が示されており、図19には、一例としてズボンタイプのサイズ測定具10’が示されている。図18および図19では、図2および図3に示される要素と同一の要素に同じ参照番号を付し、ここでは説明を省略する。
【0140】
サイズ測定具10’は、複数のマーカー12、13を含む。上述したように、複数のマーカー12は、サイズ測定具10’内で一意であり得る一方で、複数のマーカー13は、サイズ測定具10’内で非一意であり得る。すなわち、複数のマーカー13は、相互に同じ形状・サイズ・表面の図柄(模様)・色彩・素材等を有し得る。
【0141】
複数のマーカー12および複数のマーカー13は、相互に同じサイズであってもよいし、異なるサイズであってもよい。例えば、複数のマーカー12および複数のマーカー13の両方が同じ直径を有する円形であってもよいし、複数のマーカー12が複数のマーカー13よりも大きいまたは小さい直径を有する円形であってもよい。一実施例において、複数のマーカー12は、約20mmの直径を有する一方で、複数のマーカー13は、約10mmの直径を有し得る。また、複数のマーカー12および複数のマーカー13は、相互に同じサイズであってもよいし、異なるサイズであってもよい。例えば、複数のマーカー12が円形である一方で、複数のマーカー13が多角形であってもよい。
【0142】
複数の非一意のマーカー13は、本体基材上の任意の位置に配置されることができる。複数の非一意のマーカー13は、例えば、ユーザがサイズ測定具10’を装着すると、ユーザの手首、足首、および首のうちの少なくとも1つに配されるように本体基材上に配置され得る。図18および図19に示される例では、複数の非一意のマーカー13は、ユーザの手首、足首、および首に配されるように本体基材上に配置されている。このように配置された複数の非一意のマーカー13は、ユーザの目印として利用され得る。例えば、ユーザは、サイズ測定具10’を装着するときに、複数の非一意のマーカー13が手首、足首、および首に配されるようにサイズ測定具10’を装着し得る。
【0143】
第2の実施の形態において、測定端末は、第1の実施の形態の測定端末20と同様の構成に加えて、非一意の複数のマーカー13を識別するための構成を有することができる。例えば、第2の実施の形態の測定端末の制御部の3Dモデル構築手段が、第1の実施の形態の測定端末20の3Dモデル構築手段211と同様の構成に加えて、非一意の複数のマーカー13を識別するための構成を有し得る。
【0144】
第2の実施の形態の3Dモデル構築手段は、例えば、一意の複数のマーカー12との相対関係から非一意の複数のマーカー13それぞれを識別するように構成され得る。第2の実施の形態の3Dモデル構築手段は、例えば、近傍の1または複数の一意のマーカー12との位置関係から非一意のマーカー13を識別することができる。これにより、第2の実施の形態の3Dモデル構築手段は、例えば、デフォルト3Dモデル内の非一意のマーカーと受信された画像内の非一意のマーカーとを対応付けることができ、デフォルト3Dモデル内の非一意のマーカーと対応付けられた画像内の非一意のマーカーとのずれを算出することができるようになる。
【0145】
これにより、第2の実施の形態の測定端末は、第1の実施の形態の測定端末20と同様の処理によって、ユーザの身体サイズを測定することができる。
【0146】
なお、以上説明した実施の形態では、測定端末20がマーカー12及びユーザの人体の立体座標を算出し、ならびにユーザの身体サイズを算出することにより、ユーザの身体サイズを測定することを説明したが、本発明は、これに限定されない。ユーザの身体サイズは、上述した測定端末20の制御部21と同様の構成を有する任意のコンピュータシステムによって測定されることができる。例えば、サーバ装置(例えば、提供事業者の事業者端末30、製品データ管理サーバ40、または図示しないサーバ装置)において、ユーザの身体サイズを測定することができる。この場合、測定端末20は、撮影した平面画像データをサーバ装置へ送信し、サーバ装置が、測定端末20に代わって、受信した平面画像データに基づいて測定サイズデータの算出までの処理を実行するようにしてもよい。
この場合、当該サーバ装置は、算出した測定サイズデータを測定端末20へ送信してもよいし、製品データ管理サーバ40に代わって、そのユーザの身体サイズに合うアパレル商品を検索し、その製品検索結果情報を測定端末20へ送信するようにしてもよい。
【0147】
また、本実施の形態において説明した各データ及び各データベースの内容は、あくまで一例であり、適宜変更が可能である。
【0148】
上述した例では、ユーザの身体サイズを測定することを説明したが、本発明は、これに限定されない。本発明のサイズ測定システムは、任意の3次元物体のサイズを測定することができる。任意の3次元物体は、例えば、動物等の生物であってもよいし、非生物であってもよい。本発明のサイズ測定システムは、3次元物体の全体のサイズを測定するようにしてもよいし、3次元物体の一部のサイズを測定するようにしてもよい。本発明のサイズ測定具10、10’は、3次元物体のサイズを測定すべき部分(すなわち、3次元物体の全体または一部)に装着され、本発明のサイズ測定システムは、上述した処理を同様の処理により、3次元物体のサイズを測定することができる。
【符号の説明】
【0149】
10 サイズ測定具
11 本体基材
12 マーカー
20 測定端末
21,31,41 制御部
22,32,42 情報格納部
23,33,43 通信部
24,34 表示部
25,35 操作部
26 撮影部
30 事業者端末
40 製品データ管理サーバ
100 ネットワーク
101,201 本体基材の型紙情報
102,202 マーカーの配置位置の情報
221 マーカーDB
222,321 人体モデルデータ
322 本体基材データ
323 マーカーデータ
421 製品DB
501 人体モデルの立体画像
502 マーカーの配置位置の画像
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2021-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元物体のサイズを測定するためのサイズ測定具であって、前記サイズ測定具は、前記サイズ測定具を装着した3次元物体を撮影した画像に基づいて、コンピュータシステムが前記3次元物体のサイズを測定する際に用いられ、前記サイズ測定具は、
伸縮性を有する本体基材と、
前記本体基材上に配置された複数のマーカーであって、前記複数のマーカーの各マーカーと前記マーカーの周囲に配置された他のマーカーとの組み合わせは、前記サイズ測定具内で一意である、複数のマーカーと
を備え、前記コンピュータシステムは、前記複数のマーカーの各マーカーと前記マーカーの周囲に配置された他のマーカーとの組み合わせによって、受信された画像中の前記複数のマーカーを識別し、前記複数のマーカーに対応する複数のマーカーを有するデフォルト3Dモデルと前記受信された画像中の前記識別された複数のマーカーとに基づいて、前記デフォルト3Dモデルを変形させることにより前記3次元物体の3Dモデルを構築する、
サイズ測定具。
【請求項2】
前記マーカーの周囲に配置された前記他のマーカーは、前記マーカーの5cm半径内に配置されている、請求項1に記載のサイズ測定具。
【請求項3】
前記コンピュータシステムは、前記複数のマーカーの各マーカーと、前記マーカーの周囲のマーカーとを関連付けて管理している、請求項1または請求項2に記載のサイズ測定具。
【請求項4】
前記複数のマーカーは、拡縮性を有しないマーカーを含み、
前記コンピュータシステムは、前記拡縮性を有しないマーカーのサイズに基づいて、前記構築された3Dモデルにおけるサイズを実際のサイズに変換する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のサイズ測定具。
【請求項5】
前記デフォルト3Dモデルは、実際の3次元空間との間の縮尺が予め決定された仮想3次元空間内で変形させられ、
前記仮想3次元空間と前記実際の3次元空間との間の縮尺は、前記デフォルト3Dモデルが有する複数のマーカーの前記仮想3次元空間内でのサイズと、前記拡縮性を有しないマーカーの前記実際の3次元空間内でのサイズとの比によって予め決定されている、請求項4に記載のサイズ測定具。
【請求項6】
前記3次元物体は、人体である、請求項1~5のいずれか一項に記載のサイズ測定具。