IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エンソン インコーポレイテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022036992
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】炭素系ダイレクトめっきプロセス
(51)【国際特許分類】
   C25D 5/56 20060101AFI20220301BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20220301BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20220301BHJP
   H05K 3/38 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
C25D5/56 Z
C25D7/00 J
H05K3/18 A
H05K3/38 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189848
(22)【出願日】2021-11-24
(62)【分割の表示】P 2020561706の分割
【原出願日】2019-05-07
(31)【優先権主張番号】15/973,814
(32)【優先日】2018-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501407311
【氏名又は名称】マクダーミッド エンソン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】バーナーズ、ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン、ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】カーヴァー、ジェイソン ジェイ.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】上面への金属めっきが可能な非導電性基板を準備する方法を提供する。
【解決手段】a)非導電性基板をコンディショニング剤を含むコンディショナーと接触させる工程と、b)炭素系分散液をコンディショニングされた基板に適用する工程であって、炭素系分散液が、液体溶液中に分散した炭素又はグラファイト粒子を含む、工程と、c)非導電性基板をエッチングする工程と、を含む。エッチング工程は、液体炭素系分散液が非導電性基板上で乾燥する前に実行される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面への金属めっきが可能な非導電性基板を準備する方法であって、
a)前記非導電性基板をコンディショニング剤でコンディショニングする工程であって、前記コンディショニング剤が、少なくとも1,000,000g/molの分子量を有するコンディショナーを含む、工程と、
b)前記コンディショニングされた非導電性基板に液体炭素系分散液を適用して、前記コンディショニングされた非導電性基板上に炭素コーティングを形成する工程であって、前記炭素系分散液が、液体溶液中に分散した炭素又はグラファイト粒子を含み、炭素粒子が、前記コンディショニングされた非導電性基板上に凝固して、炭素/コンディショナーゲルコーティングを形成する、工程と、
c)前記基板をエッチングする工程と、を含む方法。
【請求項2】
工程c)の後に前記基板及び前記炭素系分散液を乾燥させて、前記基板上に導電性炭素コーティングを形成する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程c)の後に、前記基板上に導電性金属を電気めっきする工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板が、プリント回路基板又はプリント配線基板を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基板を前記コンディショナー中に少なくとも20秒間浸漬することによって、前記基板を前記コンディショナーと接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記炭素系分散液を、前記エッチング工程の後かつ前記電気めっき工程の前に乾燥させる、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記炭素系分散液を、前記エッチング工程又は前記電気めっき工程の前に乾燥させない、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記炭素系分散液が、前記炭素又は前記グラファイト粒子を分散させることができる1種以上の界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記炭素又は前記グラファイト粒子の平均粒径が、0.05~3.0マイクロメートルである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記炭素系分散液中の前記炭素又は前記グラファイト粒子の濃度が、15重量%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記基板を、125~200°Fの温度で、20~90秒間乾燥させる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記基板をエッチングする工程が、エッチング剤で前記基板の金属部分をエッチングすることを含み、前記エッチング剤は、過硫酸ナトリウム系エッチング剤、過酸化水素硫酸系エッチング剤、塩化銅系エッチング剤、及び第二鉄系エッチング剤からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、プリント回路基板製造のための炭素系ダイレクトめっきプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板(プリント回路基板又はPWBとしても知られる)は、一般に、非導電性材料の層によって互いに分離された2枚以上の銅箔のプレートを含む積層材料である。銅は、プリント配線板の電気めっき金属として一般に用いられているが、ニッケル、金、パラジウム、銀などの他の金属を電気めっきすることもできる。非導電層は、ガラス繊維を含浸させたエポキシ樹脂などの有機材料を含むことが好ましいが、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及びこれらの混合物を単独で、又は繊維ガラス及び充填剤などの強化材料と組み合わせて含んでもよい。
【0003】
多くのプリント配線板設計では、電気経路又はパターンは、パターン内の特定の点において、分離された銅板間の接続を必要とする。これは通常、銅板と非導電層との積層体を貫通させて所望の位置にドリルで孔を開け、別個の金属プレートを接続することによって達成される。その後、プリント配線板のスルーホール壁を電気めっきに対して準備する。これらのめっきされたスルーホール壁は、プリント配線板の両側の2つの金属回路パターン間、及び/又は多層基板の内層回路パターン間の接続を達成するために必要である。
【0004】
電気めっきは、表面上に銅及び他の導電性金属を堆積させる望ましい方法であるが、未処理のスルーホールなどの非導電性表面のコーティングに電気めっきを使用することはできない。したがって、スルーホールを導電性材料で処理して電気めっきを行えるようにする必要がある。
【0005】
スルーホール孔を導電性にするための1つのプロセスは、導電性フィルムで物理的にコーティングすることを含む。コーティングされたスルーホールは、電気めっきには十分に導電性であるが、典型的には、スルーホールのいずれかの端部において回路層間に恒久的な電気的接続を形成するのには十分な導電性と堅牢性を持たない。続いて、コーティングされたスルーホールを電気めっきして、恒久的接続を提供する。電気めっきは、スルーホール孔の抵抗を無視できるレベルまで低下させ、相当量の電力を消費せず、又は回路特性を変化させない。
【0006】
電気めっき用のスルーホール壁を準備する1つの方法は、液体炭素分散液を利用する炭素系プロセスである。このプロセスの典型的な工程は、以下のとおりである。
【0007】
1)スルーホールの表面にドリルで孔を開け、バリ取りをする。多層プリント回路基板の場合、基板をデスミア又はエッチバック処理に供し、スルーホールの内側の銅インターフェイス面を洗浄してもよい。
【0008】
2)プリント配線板を、好ましくは前洗浄プロセスに供し、プリント配線板がその上面に液体カーボンブラック分散液を受容する準備を行う。
【0009】
3)洗浄剤の適用後、PWBを水ですすぎ、過剰な洗浄剤を基板から除去し、次いでコンディショナー溶液と接触させる。コンディショナー溶液により、確実に、実質的に全ての孔壁表面が、その後適用される炭素系分散液の連続層を受容するように準備される。
【0010】
4)液体炭素系分散液を、調整したPWBに適用又は接触させる。液体炭素分散液は、3つの重要な成分、すなわちカーボンブラック、炭素の分散が可能な1種以上の界面活性剤、及び水などの液体分散媒体を含有する。分散液をPCBに適用する好ましい方法としては、浸漬、噴霧、又はプリント回路基板産業で典型的に使用される化学物質を適用する他の方法が挙げられる。単一の加工槽は、一般に、炭素分散液を適用するのに十分である。しかしながら、2つ以上の槽を再加工又は他の目的のために使用してもよい。
【0011】
5)炭素被覆プリント配線板を、適用した分散液中の実質的に全て(すなわち、約95重量%超)の水を除去し、炭素を含有する乾燥した堆積物を孔、又は非導電層の他の露出面上に残す工程にかける。この乾燥工程は、例えば、室温での蒸発、高温一定時間のPWBの加熱、エアナイフ、又は当業者に一般的に既知の他の同様の手段を含む様々な方法によって達成され得る。孔壁の完全な被覆を確実にするため、液体炭素分散液中への基板の浸漬後、乾燥させる手順を繰り返すことができる。
【0012】
その後、基板の金属部分を、高い噴霧圧力及び高い総エッチング量で強力にエッチングし、基板の金属部分から乾燥した炭素コーティングを十分に除去する。
【0013】
マイクロエッチング手順は、2つの非常に望ましい課題、すなわち、(1)多層PWB内の外側銅板又は銅箔、及び、内側銅板又は銅箔の露出面に付着している実質的に全ての過剰なカーボンブラック又はグラファイト材料を除去する、マイクロエッチング工程、並びに、(2)外側銅表面を洗浄してわずかにマイクロエッチングし、それによって、PWBの機械的スクラブが後続する場合の、乾燥フィルム適用又は銅の電解析出のいずれかに対する良好なベースにする、マイクロエッチング工程を直ちに実施する。
【0014】
このマイクロエッチング工程が機能する機構は、銅箔上に直接堆積されたカーボンブラック材料又はグラファイト材料の攻撃によるものではなく、むしろ、コーティングの接着性を提供する直下の銅の最初の数層の原子層のみの攻撃によるものである。次いで、完全にコーティングされた基板をマイクロエッチング溶液中に浸漬して、銅表面から、マイクロフレーク片の形態のカーボンブラック又はグラファイトの「フレーク」を落とす。次いで、これらのマイクロフレーク片を、ポンプによる濾過、又はPWB産業で一般的に使用される堰式フィルタ構成のいずれかを介して、マイクロエッチング浴から除いてもよい。
【0015】
液体カーボンブラック分散液又はグラファイト分散液、マイクロエッチング処理、断続的に発生する水すすぎは、好ましくは、ポリプロピレン又はポリ塩化ビニル(PVC)製の浴内にPWBを浸漬することによって実施され、再循環ポンプ、又はポンプによる空気の注入、又はコンベヤーで送られた水、又は噴霧機によって撹拌し続けられる。カーボンブラック又はグラファイトでコーティングされたPWBを、マイクロエッチング溶液中に浸漬するか、又は別の方法でマイクロエッチング溶液と接触して、銅表面からカーボンブラック又はグラファイトの「フレーク」を落とし、その後、濾過又は他の同様の手段によってマイクロエッチング浴から除去する。
【0016】
このプロセスの工程は、例えば、その主題が全体を参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第4,619,741号でより詳細に記載されている。このプロセスに対する様々な修正及び改良は、それぞれの主題が全体を参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第4,622,107号、同第4,622,108号、同第4,631,117号、同第4,684,560号、同第4,718,993号、同第4,724,005号、同第4,874,477号、同第4,897,164号、同第4,964,959号、同第4,994,153号、同第5,015,339号、同第5,106,537号、同第5,110,355号、同第5,139,642号、同第5,143,592号及び同第7,128,820号に記載されている。
【0017】
Pianoらに対する米国特許第4,897,164号は、乾燥工程後、スルーホール内のカーボンブラックの乾燥した堆積物を、マイクロエッチングの前にアルカリ金属ホウ酸塩の水溶液と接触させて、スルーホールの領域から剥がれ、又は容易に除去可能なカーボンブラック粒子を除去するプロセスが記載されている。
【0018】
Pianoらに対する米国特許第4,964,959号は、カーボンバック分散液への導電性ポリマー又はこれらの組み合わせの添加について記載している。
【0019】
Pianoらに対する米国特許第4,994,153号は、(a)アルカノールアミン、(b)マレイン酸及び/又はフマル酸、並びにポリ(オキシル化)アルコールの中和された付加生成物であるアニオン性界面活性剤、(c)脂肪族モノ及び/又はジリン酸エステルである非イオン性界面活性剤、並びに、(d)アルカリ又はアルカリ土類金属水酸化物を含有する水溶液でカーボンブラックを除去することを含む、非導電性材料中のカーボンブラック分散液でコーティングされた位置決め孔又はスロットを処理するためのプロセスについて記載している。
【0020】
Pendletonに対する米国特許第5,015,339号は、非導電性材料が最初にアルカリ過マンガン酸塩溶液と接触し、次いで中和剤/コンディショナー溶液、その後カーボンブラック分散液と接触する電気めっき前処理について記載している。
【0021】
これらの参考文献に記載されるプロセスの全てが、マイクロエッチング工程に先立ち、炭素被覆プリント配線板を、適用した分散液中の実質的に全て(すなわち、約95重量%超)の水を除去し、炭素を含有する乾燥した堆積物を孔、又は非導電層の他の露出面上に残す工程にかける工程を含有する。
【0022】
この基本プロセスの変形例では、例えば、その主題が全体を参照することにより本明細書に組み込まれる、Retallickらに対する米国特許出願公開第2010/0034965号に記載されているように、炭素被覆配線板を、乾燥に先立ち、プリント配線板の表面から過剰な炭素分散液を除去し、炭素分散液をより処理可能にする固定工程にかけてもよい。固定は、化学的固定法によって、又は機械的固定法によって達成され得る。
【0023】
化学的固定では、固定液を炭素分散液で湿らせた表面に塗布し、過剰な炭素組成物堆積物を除去し、塊を排除し、コーティングをより均一にすることによって、くぼんだ表面上の炭素コーティングを平滑化する。物理的固定では、乾燥する前に、炭素分散液で湿らせた基板のくぼみ又は他の表面を、機械的力にかけて炭素コーティングの過剰な堆積物を除去する。例えば、流体ジェットを使用して、炭素分散液でコーティングされた表面に接触することができる。このジェットは、炭素堆積物のあらゆる過剰な蓄積を吹き飛ばし、塊を排除し、コーティングをより均一にすることによって、くぼみ面上の炭素コーティングを平滑化する。別の固定手段は、エアナイフの形態のエアジェットの使用を伴う。
【0024】
炭素コーティングされたプリント配線板をマイクロエッチングすると、プリント配線板を、好適な導電性金属で電気めっきすることができる。
【0025】
マイクロエッチングは、特に銅誘電体界面の領域内のめっきにおいて問題を引き起こすことが多い。具体的には、銅のエッチングはまた、銅に直接隣接する誘電体領域から炭素コーティングを剥がし、それによって、後続の電気めっき工程における電気的導通のための絶縁バリアを作り出すことも多い。その後、このバリアは、めっき不良と、ボイド、ニットライン、及びめっき折り目などの欠陥をもたらし得る。このような種類の欠陥を回避するために、より低いマイクロエッチング工程が望ましい。
【0026】
銅表面からカーボンブラック又はグラファイトを適切に除去するために、大きなポンプ、高圧、大きなエッチングチャンバ、及び/又は強いエッチング用化学物質を用いて、許容可能な結果を得なければならない。また、金属めっき工程における塊化を低減するため、銅表面から剥がれ落ちたカーボンブラック又はグラファイトについて、頻繁に設備を洗浄することも必要である。
【0027】
したがって、塊化が低減され、また、良好な結果を得るために更なる処理工程又は条件を必要としないダイレクトめっきプロセスを提供することが望まれるであろう。
【発明の概要】
【0028】
本発明の目的は、上部に電気めっきを受け入れるPWBを準備するための改善されたダイレクトめっきプロセスを提供することである。
【0029】
本発明の別の目的は、塊化が低減される改善されたダイレクトめっきプロセスを提供することである。
【0030】
本発明の更に別の目的は、電気めっき条件を改善するダイレクトめっきプロセスを提供することである。
【0031】
そのために、一実施形態では、本発明は、概して、上面への金属めっきが可能な非導電性基板を準備する方法に関し、本方法は、
【0032】
a)非導電性基板をコンディショニング剤でコンディショニングする工程と、
【0033】
b)コンディショニングされた非導電性基板に液体炭素系分散液を適用して、コンディショニングされた非導電性基板上に炭素コーティングを形成する工程であって、炭素系分散液が、液体溶液中に分散した炭素又はグラファイト粒子を含む、工程と、
【0034】
c)基板をエッチングする工程と、を含み、
【0035】
エッチング工程は、液体炭素系分散液が非導電性基板上で乾燥する前に実行される。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、概して、プリント回路基板又はプリント配線板製造のための炭素系ダイレクトめっきプロセスに関する。
【0037】
本明細書で使用するとき、「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、単数及び複数の両方を指す。
【0038】
本明細書で使用するとき、「約」という用語は、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値を指し、具体的に列挙された値の、及びその値からの、+/-15%以下の変動、好ましくは+/-10%以下の変動、より好ましくは+/-5%以下の変動、更により好ましくは+/-1%以下の変動、及びまた更により好ましくは+/-0.1%以下の変動を、そのような変動が本明細書に説明される本発明で実施するために適切である限り、含むことを意味する。更に、修飾語「約」が指す値は、それ自体が本明細書に具体的に開示されていることも理解されたい。
【0039】
本明細書で使用するとき、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」、「前部(front)」、「後部(back)」のような空間的に相対的な用語は、別の要素(複数可)又は特徴(複数可)に対する1つの要素又は特徴の関係を説明するために使用される。用語「前部(front)」及び「後部(back)」は、限定することを意図するものではなく、適切な場合に交換可能であることが意図されていることが更に理解される。
【0040】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【0041】
一実施形態では、本発明は、概して、上面への金属めっきが可能な非導電性基板を準備する方法に関し、本方法は、
【0042】
a)非導電性基板をコンディショニング剤でコンディショニングする工程と、
【0043】
b)コンディショニングされた非導電性基板に液体炭素系分散液を適用して、コンディショニングされた非導電性基板上に炭素コーティングを形成する工程であって、炭素系分散液が、液体溶液中に分散した炭素又はグラファイト粒子を含む、工程と、
【0044】
c)基板をエッチングする工程と、を含み、
【0045】
エッチング工程は、液体炭素系分散液が非導電性基板上で乾燥する前に実行される。
【0046】
一実施形態では、非導電性基板はプリント配線板基板である。
【0047】
エッチング工程が実行されると、非導電性基板及び炭素分散液を乾燥させてPWB基板上に導電性コーティングを形成することができ、PWB基板は、電着金属でめっきすることができる。
【0048】
驚くべきことに、基板上で炭素系コーティングが乾燥する前にエッチング工程が行われる場合に、改善された結果が得られ得ることが発見された。前述のように、以前は、基板をエッチング液と接触させる前に、表面上の炭素系コーティングをまず乾燥させる必要があると考えられていた。したがって、炭素粒子を基板の非導電性部分に十分に付着させ、基板の非導電性部分上への金属の電気めっきを容易にするために、基板をエッチングする前に、表面上の炭素系分散液の乾燥が必要であると、以前は理解されていた。
【0049】
対照的に、本発明では、エッチング工程は、乾燥工程の前に、最初に表面上の炭素懸濁液を乾燥させることなく行われる。換言すれば、乾燥工程は、エッチング工程が完了するまで行われない。
【0050】
本明細書に記載されるプロセスの利益としては、以下が挙げられる。
【0051】
1)エッチング工程が炭素コーティングの乾燥前に実行される場合、基板の金属部分のエッチングがはるかに容易である。乾燥した炭素コーティング層は、下層の金属のエッチングのバリアとして働くが、湿潤炭素コーティング層は、エッチングに対するバリアとして大きく作用しない。
【0052】
2)炭素コーティングの乾燥後と比べて、炭素コーティングの乾燥前に基板がエッチングされる場合、清浄な基板の金属部分を得るために必要な総エッチング量及び噴霧圧力が大幅に低減される。
【0053】
3)チャンバ又はタンクにカーボン懸濁液/コロイドを入れた直後に、チャンバ又はタンク中の基板の金属部分から炭素粒子がエッチングされるため、炭素コーティングを適用するために使用されるプロセス及び設備の清浄度が大幅に改善される。通常、これは、基板の外側表面が炭素を全く含まないことを意味し、通常は、炭素懸濁液が少なくとも実質的に炭素粒子を含まないままであった後、ローラー及び乾燥機を利用することになる。
【0054】
これまでは、乾燥した炭素コーティングをエッチング前に乾燥させており、乾燥チャンバ及び装置交換器のローラーは炭素粒子で汚染されるようになる。対照的に、本発明では、乾燥機及び装置のローラーは、清浄で、炭素粒子を含まないままである。
【0055】
総じて、本明細書に記載されるプロセスの利益はまた、金属めっき工程において生じる塊の量を低減する。これまで、先行技術のプロセスは、エッチング工程において粒子を除去することが困難であり、かつ、基板の表面上に再堆積され得る装置上に残っている乾燥した炭素由来の炭素汚染のために、より多くの炭素粒子を基板の金属部分上に残留させていた。
【0056】
本発明では、炭素が基板の金属部分からより完全に除去されるように、コーティングの乾燥前に、基板をコーティングする湿潤カーボン懸濁液が基板の金属部分からエッチングされるため、金属めっき工程においてはるかに塊化を低減する。したがって、装置にとって、乾燥した炭素粒子が表面上に再堆積する機会が減る。これにより、金属めっき工程において、塊の形成が大幅に低減される。
【0057】
本明細書に記載のプロセスでは、PWBを液体炭素系分散液を受容する状態に置くために、PWBを準備する前洗浄工程にPWBを供してもよい。
【0058】
次に、PWBを、基板をコンディショナーと接触させるコンディショニング工程に供する。一実施形態では、PWBは、コンディショナー内にPWBを浸漬することによってコンディショナーと接触させる。
【0059】
コンディショナーは、高分子量を有するコンディショニング剤を含有する。一実施形態では、コンディショニング剤の分子量は、約100,000g/mol超、より好ましくは約500,000g/mol超、更により好ましくは約1,000,000g/mol超である。コンディショニング剤の分子量が大きいと、コンディショナーがゲル形態になり、これにより、コーティングが乾燥される前であっても、炭素粒子がスルーホール壁により密にくっつき、噴霧エッチング工程に耐えることができる。
【0060】
PWB基板を少なくとも20秒間コンディショナーと接触させる。一実施形態では、PWB基板は、コンディショナーと約20秒~約5分間接触させることができる。加えて、コンディショナーのpHは重要ではなく、一般に任意のpHが好適である。一実施形態では、コンディショナーは一般的にアルカリ性であり、約9のpHが好適である。しかしながら、1~14、より好ましくは7~14、より好ましくは約8~約10の他のpH値もまた、本発明の実施において使用され得る。
【0061】
コンディショナーの温度もまた重要ではなく、室温付近超、又は室温~約150°F、より好ましくは約80~約130°F、より好ましくは約85~約110°F、又は約95°Fであってもよい。
【0062】
その後、PWBを炭素系分散液と接触させる。
【0063】
一実施形態では、炭素堆積プロセスは、洗浄し、コンディショニングしたPWBへの液体炭素分散液の適用を伴う。炭素形分散液は、3つの主要成分、すなわち炭素、炭素の分散が可能な1種以上の界面活性剤、及び水などの液体分散媒体を含有する。分散液をPCBに適用する好ましい方法としては、浸漬、噴霧、又はプリント回路基板産業で使用される化学物質を適用する他の方法が挙げられる。単一の加工槽は、このカーボンブラック分散液を適用するのに十分である。しかしながら、2つ以上の槽を再加工又は他の目的のために使用してもよい。
【0064】
液体炭素分散液の調製では、3つの主要成分、及び任意の他の好ましい成分を一緒に混合して安定な分散液を形成する。これは、濃縮形態の分散液をボールミリング、コロイドミリング、高剪断ミリング、超音波法、又は成分を十分に混合するための他の同様の手順に供することによって達成され得る。次に、分散液を、加工槽に所望される濃度まで、より多くの水で後ほど希釈することができる。
【0065】
1つの好ましい混合方法は、ガラス鉱物又はプラスチックビーズを内部に含む容器内で、濃縮形態の分散液を少なくとも約1時間ボールミリングすることであり、混合は最大約24時間継続することができる。この完全混合により、炭素粒子が、界面活性剤で緊密にコーティング又は湿潤されることを可能にする。次に、混合濃縮物を所望の濃度まで水又は別の液体分散媒体と混合する。1つの好ましい実施形態では、分散安定性を維持するため、希釈及び適用工程の両方の間、加工槽を撹拌し続ける。
【0066】
加えて、炭素分散液はまた、コンディショニングされた壁面上に炭素粒子を凝固させ、ゲル状炭素/コンディショナーコーティングの形成を可能にするバインダ材料を含む、望ましい特性も示さなければならない。
【0067】
一実施形態では、炭素粒子の粒径は、分散液中で平均約3マイクロメートル以下である。実質的に均一なめっき及びめっき離れがないなどの所望のめっき特性を得るために、可能な限り小さい炭素の平均粒径を有することが望ましい。炭素粒子の平均粒径は、好ましくは分散液中で約0.05マイクロメートル~約3.0マイクロメートル、より好ましくは約0.08マイクロメートル~約1.0マイクロメートルである。本明細書で使用するとき、用語「平均粒径」は、粒子の平均直径(数平均)を指す。分散液の平均直径は、NiComp Model 370サブミクロン粒径測定器(バージョン3.0)又はHIAC PA-720自動粒径分析器(両方ともPacific Scientific(Menlo Park,CA)のHIAC/ROYCO Instrument Divisionから入手可能)のいずれかを使用して決定することができる。炭素粒子の粒度分布を比較的狭い分布に維持することも重要である。
【0068】
例えば、一般に入手可能なカーボンブラック、ファーネスブラック、及び好適な小粒子グラファイトなどの、多くの種類の炭素を使用することができる。しかしながら、最初に酸性又は中性である、すなわち、水でスラリー化したときに約1~約7.5、より好ましくは約2~約4のpHを有するカーボンブラックを利用することが好ましい。好ましいカーボンブラック粒子はまた、非常に多孔質であり、表面積として、BET法(Brunauer-Emmert-Tellerの方法)によって測定されるとき、約45~約1100、好ましくは約300~約600平方メートル/グラムを有する。
【0069】
本発明での使用に好適ないくつかの市販のカーボンブラックの例としては、Cabot XC-72R Conductive、Cabot Monarch 800、Cabot Monarch 1300(全て、Cabot Corporation(Boston,Massachusetts)から入手可能)が挙げられる。他の好適なカーボンブラックとしては、Columbian T-10189、Columbian Conductiex 975 Conductive、Columbian CC-40,220、及びColumbian Raven 3500(全てColumbian Carbon Company(New York,New York)から入手可能)が挙げられる。好適なグラファイトとしては、Showa-Denko UFG(Showa-Denko K.K.(13-9 Shiba Daimon 1-Chrome,Minato-Ku,Tokyo,105 Japan)から入手可能)、Nippon Graphite AUP(Nippon Graphite Industries(Ishiyama,Japan)から入手可能)、及びAsbury Micro 850(Asbury Graphite Mills(Asbury,New Jersey)から入手可能)が挙げられる。
【0070】
分散液には、水及び炭素に加えて、液体分散媒体中に炭素を分散させることができる界面活性剤が用いられる。1種以上の界面活性剤を分散液に添加して、炭素の濡れ性及び安定性を向上させ、PCBの非導電層の細孔及び繊維内の炭素による最大浸透を可能にする。好適な界面活性剤としては、アニオン性、非イオン性、及びカチオン性界面活性剤(又は両性界面活性剤などのこれらの組み合わせ)が挙げられる。界面活性剤は、液体炭素分散液中で可溶性、安定、及び好ましくは非発泡性であるべきである。一般に、水のような極性連続相に関しては、界面活性剤は、好ましくは高いHLB数(8~18)を有するべきである。
【0071】
好ましい種類の界面活性剤は、主に分散液のpHに依存する。1つの好ましい実施形態では、全分散液はアルカリ性である(すなわち、塩基性範囲内の全体pHを有する)。この場合、アニオン性又は非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
【0072】
許容可能なアニオン性界面活性剤の例としては、ナフタレンスルホン酸のナトリウム又はカリウム塩、例えば、DARVAN No.1(Eastern Color and Chemicalから市販されている)、PETRO AA及びPETRO ULE(Petro Chemical Co.,Inc.から市販されている)、並びにAEROSOL OT(American Cyanamidから市販されている)が挙げられる。好ましいアニオン性界面活性剤としては、MAPHOS 55、56、8135、60A及びL6(BASF Chemical Co.から市販されている)などの中和されたリン酸エステル型界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、POLY-TERGENT Bシリーズ(Olin Corporationから市販されている)などのエトキシル化ノニルフェノール、又は、POLY-TERGENT SLシリーズ(これもOlin Corporationから市販されている)などのアルコキシル化直鎖アルコールが挙げられる。
【0073】
有利には、炭素は、特にカーボンの形態がカーボンブラックであるとき、分散液の約15重量%未満、好ましくは約5重量%未満、最も好ましくは2重量%未満の量で分散液中に存在する。高濃度のカーボンブラックの使用は、望ましくないめっき特性を提供し得ることが見出されている。同様に、固体含有量(すなわち、液体分散媒体以外の成分の全て)は、好ましくは分散液の約10重量%未満、より好ましくは約6重量%未満である。
【0074】
液体炭素分散液は、典型的には容器内に入れられ、プリント回路基板は、液体炭素分散液中に浸漬されるか、噴霧されるか、ないしは別の方法で接触される。浸漬槽内の液体分散液の温度は、浸漬中に約60°F~約95°F、好ましくは約70°F~約80°Fに維持されるべきである。浸漬時間は、有利には約15秒~約10分、より好ましくは約30秒~5分の範囲である。pHは、本発明の実施には重要ではないが、典型的な炭素分散液及びコロイドはアルカリ性である。
【0075】
炭素コーティングの所望の厚さは、ダイレクトめっきプロセスでプリント回路基板上に銅又は他の金属膜を電気めっきすることを可能にするのに十分な厚さである。厚さの上限は、銅表面から炭素コーティングを除去する能力によって決定される。炭素が銅表面から取れていない場合には、回路基板の内層内の銅対銅の接触不良などの回路基板の欠陥が発生し得る。これは、「相互接続欠陥」とも呼ばれる。一実施形態では、この厚さは、約0.05~約0.25マイクロメートルの範囲であってもよい。
【0076】
しかしながら、上述したように、重要なことは、厚さが、いかなる欠陥も伴わずにダイレクトめっきプロセスで金属めっきを可能にするのに十分であることである。
【0077】
一実施形態では、PWBを圧縮空気と接触させて、分散液のプラグを保持し得る任意のスルーホールを抜く。
【0078】
PWB上のカーボンブラック又はグラファイト分散液は、ドリル孔を開けたスルーホール表面をコーティングする(望ましい)だけでなく、金属(すなわち、銅)プレート又は箔表面を完全にコーティングする(望まれない)。したがって、後続の操作に先立って、全てのカーボンブラック又はグラファイトを銅(又は他の金属)プレート及び/又は箔表面から除去しなければならない。
【0079】
孔壁のガラス繊維及びエポキシ表面上のコーティングをそのままの状態にしながら、特に、ドリル孔のリムを含む、具体的には銅(又は他の金属)表面からのカーボンブラック又はグラファイトの除去は、マイクロエッチング工程を使用して達成される。
【0080】
マイクロエッチング工程及びその後の水すすぎの後、PWBを、光結像プロセスとその後の電気めっきに進めるか、又は直接パネル電気めっきしてもよい。上記のマイクロエッチング工程後に、例えばクエン酸又はベンゾトリアゾール変色防止溶液若しくは他の酸洗浄剤溶液、又はその両方で、PWBを更に洗浄してもよい。そうすると、このように処理されたプリント配線板の電気めっき操作への準備が整うが、この操作には、好適な電気めっき浴にPWBを浸漬して、非導電層のスルーホール壁に銅(又は他の金属)コーティングを適用することを含む。
【0081】
過剰なグラファイト及び/又はカーボンブラックを除去するために使用されるマイクロエッチング溶液は、典型的には、酸化剤、例えば過酸化水素又は過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩ベースである。例えば、過硫酸ナトリウム系マイクロエッチング溶液を十分な硫酸と組み合わせて、脱イオン水1リットル当たり100~300グラムの過硫酸ナトリウム、及び約1~10重量%の硫酸を含有するマイクロエッチング浴を作製することができる。
【0082】
めっきされている金属に好適な任意のエッチング剤を、本発明の実施において使用することができる。例えば、銅めっきには、過硫酸ナトリウム系エッチング剤、過酸化水素硫酸系エッチング剤、塩化銅系エッチング剤、第二鉄系エッチング剤が、全て使用するのに好適である。しかしながら、銅金属を銅イオンに酸化可能な任意の酸化剤で差し支えなく、本明細書に記載のプロセスで使用可能である。
【0083】
本明細書に記載されるように、炭素コーティングは、エッチング前に乾燥されない。加えて、炭素コーティングを最初に乾燥させることなく、金属めっき工程を実施することも可能である。しかしながら、炭素コーティングは、エッチング工程の前に乾燥されないことだけが必要である。したがって、1つの好ましい実施形態では、炭素コーティングは、エッチング工程の前に乾燥されない。別の好ましい実施形態では、炭素コーティングは、エッチング工程又はめっき工程の前に乾燥されない。
【0084】
エッチング工程(又はエッチング及びめっき工程)後、プリント回路基板を一定時間乾燥させて、水を除去する。一実施形態では、プリント回路基板は、高温で約20秒~約90秒、より好ましくは約30秒~約60秒の時間乾燥される。高温は、約125~約200°F、より好ましくは約150~175°Fであってよい。
【0085】
めっき金属は、典型的には銅である。しかしながら、本発明は銅めっきに限定されず、めっき金属は、例えば、ニッケル、ロジウム、白金、コバルト、金、スズ、鉛、及び前述のいずれかの合金を含む、炭素薄膜上で還元可能な任意の金属であってもよい。他の金属も当業者には既知であり、本明細書に記載のプロセスを使用してめっきすることができる。
【0086】
本発明は、ここで、以下の非限定的な実施例に関連して論じられる。
【0087】
実施例1.
【0088】
スルーホールを含む回路基板を、以下のように処理した。
【0089】
1)回路基板を、コンディショニング槽が10体積%の成分A及び10体積%の成分Bで構成される、コンディショナー(Shadow Cleaner Conditioner V、MacDermid Enthone Inc.(Waterbury,CTから入手可能)内に、30秒間、95°Fで浸漬する。成分Aはコンディショニング剤を含有し、成分Bは界面活性剤及び緩衝剤を含有する。
【0090】
2)回路基板を水道水で30秒間すすぐ。
【0091】
3)回路基板を、40体積%のShadow Conductive Colloid 5(MacDermid Enthone Inc.(Waterbury,CT)から入手可能)内に浸漬する。槽は、40g/Lのグラファイトコロイドを含有する。
【0092】
4)回路基板を、80g/Lの過硫酸ナトリウムエッチングを使用して、20psiでスプレーエッチングする。
【0093】
5)基板を、水道水を用いて20psiでスプレーすすぎする。
【0094】
6)80g/Lの硫酸銅五水和物、200g/Lの硫酸、60ppmの塩化物イオン、及び1%のPC606添加剤(MacDermid Enthone Inc(Waterbury,CT)から入手可能)を含有する槽を使用して、基板を、20A/ftで1時間、銅を用いて直接電気めっきする。
【0095】
銅めっきプリント回路基板を検査したところ、めっき銅堆積物にピンホールは存在しなかった。
【0096】
実施例2.
【0097】
スルーホールを含むプリント回路基板を、以下のように処理した。
【0098】
1)回路基板を、コンディショニング槽が10体積%の成分で構成される、コンディショナー(Shadow Cleaner Conditioner V、MacDermid Enthone Inc.(Waterbury,CTから入手可能)内に、30秒間、95°Fで浸漬する。
【0099】
2)プリント回路基板を水道水で30秒間すすぐ。
【0100】
3)プリント回路基板を、40体積%のShadow Conductive Colloid 5(MacDermid Enthone Inc.(Waterbury,CT)から入手可能)内に浸漬する。槽は、40g/Lのグラファイトコロイドを含有する。
【0101】
4)プリント回路基板を、80g/Lの過硫酸ナトリウムエッチングを使用して、20psiでスプレーエッチングする。
【0102】
5)プリント回路基板を、水道水を用いて20psiでスプレーすすぎする。
【0103】
6)プリント回路基板を、強制空気を用いて150°Fで30秒間乾燥させて、コーティングを乾燥させる。
【0104】
7)プリント回路基板を、1週間保管する。
【0105】
8)80g/Lの硫酸銅五水和物、200g/Lの硫酸、60ppmの塩化物イオン、及び1%のPC606添加剤(MacDermid Enthone Inc(Waterbury,CT)から入手可能)を含有する槽を使用して、プリント回路基板を、20A/ftで1時間、銅を用いて直接電気めっきする。
【0106】
銅めっきプリント回路基板を検査したところ、めっき銅堆積物にピンホールは存在しなかった。
【0107】
実施例1及び2は、本明細書に記載されるプロセスが、直接又は一定期間保管後のいずれかのダイレクトめっきに使用することができ、めっき銅堆積物中にピンホール又は他の欠陥を含まないプリント回路基板という望ましい結果を依然としてもたらし得ることを実証する。
【0108】
比較例1:
【0109】
スルーホールを含む2枚の回路基板クーポンを以下のように処理した。
【0110】
1)回路基板クーポンを、1g/LのCyastat SPポリマー(Cytec Solvay Group(Bruxelles,Belgium)から入手可能な、10,000g/mol未満の分子量を有する比較的低分子量ポリマー)と1g/Lのモノエタノールアミン(pH調整用)とを混合することによって調製したコンディショニング浴に浸漬した。
【0111】
2)回路基板クーポンを、脱イオン水中ですすぐ。
【0112】
3)回路基板クーポンを、4重量%のグラファイト粒子及び4重量%の低分子量分散界面活性剤(Air Products and Chemicals,Inc.(Allentown,PA)から入手可能なZetasperse 3800)を用いて調製したグラファイト分散液内に浸漬する。
【0113】
4)プリント回路基板クーポンをグループ分けし、1つを工程3)の後に乾燥させ、1つを、80g/L過硫酸ナトリウムエッチング浴中で10psiでスプレーエッチングした。
【0114】
5)クーポンを標準的な酸銅電気めっき浴(MacDermid Enthone Inc(Waterbury,CT)から入手可能なMacDermid PC 606)中で電気めっきした。
【0115】
グラファイト分散液浸漬後すぐに乾燥させたクーポンは、スルーホールに銅がめっきされた。しかしながら、スプレーエッチングされたクーポンは、噴霧エッチングによって回路基板のスルーホール壁面からグラファイト分散液が洗い流されたため、スルーホールにはほとんど銅がめっきされなかった。
【0116】
最後に、以下の「特許請求の範囲」は、本明細書に記載の本発明の一般的な特徴及び具体的な特徴の全て、並びに言語の問題としてその間にあり得る本発明の範囲の全ての記述を網羅することを意図していることも理解されたい。