(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037008
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】紙葉束の装丁方法及びそれにより得られた書籍又はフォルダ
(51)【国際特許分類】
B42C 1/12 20060101AFI20220301BHJP
【FI】
B42C1/12
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021193347
(22)【出願日】2021-11-29
(62)【分割の表示】P 2018535162の分割
【原出願日】2017-01-17
(31)【優先権主張番号】2016/5039
(32)【優先日】2016-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(71)【出願人】
【識別番号】508101373
【氏名又は名称】ユニバインド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ペレマン,ギド,フラン,エム.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】書籍の作成のための紙葉束の装丁方法の提供。
【解決手段】本発明に係る装丁方法は、紙葉1から成る紙葉束6の縁部を綴じることによって紙葉1の紙葉束6を装丁する方法において、紙葉1が、前記縁部から距離をおいた位置で、前記縁部と平行に延びる第一折り線を備え、かつ、紙葉1が、前記縁部と前記第一折り線との間であって、前記第一折り線から距離を置いた位置に、前記第一折り線と平行に配置された第二折り線を備えている紙葉1から成る紙葉束6を使用して装丁を行うことを特徴とする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉(1)から成る紙葉束(6)の縁部(3)を綴じることによって紙葉(1)の紙葉束(6)を装丁する方法であって、
紙葉(1)が、前記縁部(3)から距離(A)をおいた位置で、前記縁部(3)と平行に延びる第一折り線(2)を備え、かつ、
紙葉(1)が、前記縁部(3)と前記第一折り線(2)との間であって、前記第一折り線(2)から距離(B)を置いた位置に、前記第一折り線(2)と平行に配置された第二折り線(4)を備えている
紙葉(1)から成る紙葉束(6)を使用して装丁を行う方法において、
前記折り線(2,4)を形成する同じ線に沿って紙葉(1)を別々に予め二重に折り曲げることによって、第一及び/又は第二折り線(2,4)を得る
ことを特徴とする装丁方法。
【請求項2】
前記折り線(2,4)を形成する線に沿って、紙葉(1)を別々に予め折り曲げることによって第一及び/又は第二折り線(2,4)を得る
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記折り線(2,4)を形成する線に沿って、紙葉束(6)の紙葉(1)をスコアリングすることによって、第一及び/又は第二折り線(2,4)を得る
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第一及び第二折り線(2,4)の間の距離(B)が、紙葉束(6)の全ての紙葉(1)に対して同じである
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
第一及び第二折り線(2,4)間の距離(B)が1~4ミリメートルである
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
第一及び第二折り線(2,4)間の距離(B)が2~3ミリメートルである
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
紙葉束(6)の全ての紙葉(1)が、前記縁部(3)から同じ距離(C)おいた位置に第二折り線(4)を有する
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
好ましくはU字形又はV字形の装丁用背部材(8)であって、前記縁部(3)と前記第二折り線(4)との間の距離(C)が、本質的に、装丁用背部材(8)の深さに対応するか、又は、装丁用背部材(8)の深さより幾らか大きい装丁用背部材(8)を、装丁のために使用する
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
紙葉(1)に、前記第二折り線(4)まで連続する印刷(16)が予め施されている
ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
お互いに向けて位置合わせされた隣接する紙葉(1)の側面(7)に、一方の側面(7)から他方の側面(7)にかけて両方の紙葉(1)の第二折り線(4)を超えてシームレスに連続する印刷(16)を施し、
印刷(16)の一部を、一方の側面(7)において、関連する紙葉(1)の第二折り線(4)まで施し、かつ、
他方の側面(7)の印刷(16)の一部を、隣接する紙葉(1)の第二折り線(4)まで施す
ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
一方の側面(7)の印刷(16)と、他方の側面(7)の印刷(16)とが、オーバーラップ部分(17)によって第二折り線(4)を超えて連続している
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
紙葉(1)が、
紙葉(1)の縁部(3)から距離(A)をおいた位置で、縁部(3)と平行に延びる第一折り線(2)と、
前記縁部(3)と第一折り線(2)との間における、前記第一折り線(2)から距離(B)おいた位置に、前記第一折り線(2)と平行に配置された第二折り線(4)と
を備え、
前記第一及び/又は第二折り線(2,4)が、折り線(2,4)を形成する同じ線に沿って紙葉(1)を別々に予め二重に折り曲げることによって、形成されている
ことを特徴とする紙葉から成る紙葉束。
【請求項13】
装丁用背部材と、該背部材に綴じられた紙葉束(6)とを備えた書籍又はフォルダにおいて、
装丁される紙葉束(6)が請求項12による紙葉束(6)である
ことを特徴とする書籍又はフォルダ。
【請求項14】
装丁用背部材と、該背部材に綴じられている紙葉束とを備えた書籍又はフォルダにおいて、
少なくとも一部の紙葉(1)が、紙葉(1)の縁部(3)から距離(A)をおいた位置で、前記縁部(3)と平行に延びる第一折り線(2)を備え、
かつ、紙葉(1)が、前記縁部(3)と第一折り線(2)との間において、前記第一折り線(2)から距離(B)をおいた位置に、前記第一折り線(2)と平行に配置された第二折り線(4)を備え、
前記第一及び/又は第二折り線(2,4)が、折り線(2,4)を形成する同じ線に沿って紙葉(1)を別々に予め二重に折り曲げることによって、形成されている
ことを特徴とする書籍又はフォルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉束の装丁方法に関し、例えば、書籍又は類似の品物を形成する方法に関する。本発明は、特に、その紙葉が平坦に開かれ得、かつ、印刷が二枚の開いた紙を横切って継ぎ目なく行われる書籍又はフォルダを得ることに関する。
【0002】
この最後の特徴は、特に、開いた書籍の幅全体に跨って写真やイラストが広がる写真集や雑誌等の書籍を作成するために望まれる。
【背景技術】
【0003】
伝統的に、書籍の作成のための複数の異なる方法が公知である。
【0004】
例えば、単一の紙葉束の一方の縁部を接着することによって、半分に折り曲げられていない単一の紙葉束から書籍をまとめる方法が知られている。
【0005】
この接着を強力にして、本を開閉する時に紙葉が緩まないようにするために紙葉束は、常に、限られた距離、例えば、半ミリメートルに亘って接着剤の中にあるようにされ、接着剤もまた、束を構成する紙葉の間に入るようにされている。
【0006】
現在の接着剤は、非常に可撓性があり、紙葉が緩むことなく、接着後に書籍を完全に平坦に開くことができるようにする。
【0007】
しかしながら、書籍を完全に開くことによって、接着中に紙葉の間に入った接着剤は、明瞭に目に見えてしまう。
【0008】
この目に見える接着剤は、紙葉の印刷が綴じ部分まで続く場合に迷惑になる。実際に、この接着剤は印刷を乗り越えて、そこで印刷の美的外観を低下させることになる。
【0009】
ラミネート加工された印刷可能なヒンジと一体化された紙葉も公知であり、前記ヒンジは、書籍等を形成するために、これらの紙葉から成る束を装丁することを可能にし、紙葉束を開いた後に紙葉が平坦になるようにする。
【0010】
しかしながら、このような紙葉の生産は、高価なプロセスであり、また、このプロセスは、多くの人手を要する。
【0011】
ベルギー特許出願BE2012/0759 及びベルギー特許出願BE 2013/0014で開示されている公知の方法は、紙葉束の縁部を装丁用背部材の中に入れ、その中で固定するものであり、装丁を行う際に、前記縁部から一定の距離を開けて、縁部と平行にのびる折り線を形成するために、同じ線に沿って、各紙葉が予め別々に二重に折り曲げられた紙葉束を使用する。
【0012】
ここで、二重折りは、紙葉のストリップを最初に一方向に折り曲げ、次いで、他の方向に折り曲げることを言う。
【0013】
このような方法の利点は、折り線が、書籍を開く時に、紙葉をこの折り線に沿って折ることを可能することにあり、かつ、紙葉束を背部材の中に固定した時に、紙葉が、それらのシャープな折り線が相互に対向する状態におかれ、その結果、印刷が、二つの隣接する折り線を横切って、開かれた紙葉を通ってシームレスに連続し得ることにある。
【0014】
他の利点は、紙葉束が開かれた時に、開かれた紙葉の間にギャップがなく、その結果、束を背部材に装丁するために用いられる接着剤、縫い目又はステープルが見えず、従って、それらが、一方の紙から他方の紙まで連続する印刷と干渉することがないことにある。
【0015】
しかしながら、実際には、開かれた紙が完全に平坦にのびるのではなく、折り線の近くに(僅かな)膨らみがある。
【0016】
この膨らみは、印刷や写真が二つの開いた紙に跨って広がっている場合に特に厄介であり、折り目の近くの印刷を見え難くさせ得る。
【発明の開示】
【0017】
本発明の目的は、上記した欠点及び他の欠点の少なくとも一つの解決方法を提供することにある。
【0018】
本発明は、紙葉束を装丁する方法に関し、該方法では、
紙葉束の縁部が固定され、
装丁のために、前記縁部から距離を置き、縁部と平行にのびる第一折り線がある紙葉束が使用され、
また、紙葉には、前記第一折り線から距離を置き、かつ、第一折り線と平行にのびる第二折り線があり、前記第二折り線が前記縁部と前記第一折り線との間にある。
【0019】
二重の平行折り線を使用することによって、束を開いた時に紙が完全に平坦に広がるという利点を有する。
【0020】
二つの折り線があり、その結果、紙を二か所で折ることができるので、上記した利点が得られる。その結果、束を開いた時に紙葉の膨らみを防止することが可能になる。
【0021】
他の利点は、二つの折り線を設けることによって、装丁された紙葉束が開かれた時に、第二折り線がお互いに対向し、二つの隣接する折り線を跨る印刷が、開かれた紙に跨ってシームレスに連続することが可能になることにある。
【0022】
開かれた紙の間にギャップが生じないので、紙葉束を止める接着剤、縫い目又はステープルが見えない。
【0023】
他の利点は、本発明による方法が非常に安価に実施できることにあり、かつ、例えば、一体的で、ラミネート加工され、かつ、印刷可能なヒンジを備えた高価な紙葉を必要としないことにある。
【0024】
実際の実施形態では、関連する折り線を形成するために、同じ線に沿って予め別々に二重に折り曲げることにより第一及び第二の折り線を得ることができる。
【0025】
このことは、それに沿って紙葉を容易に折り曲げて両方向に開くことができるシャープな折り線を得ることができるという利点を有する。
【0026】
好ましくは、第一及び第二の折り線の間の距離は、2~3ミリメートルである。
【0027】
二つの折り線の間の距離をこのようにすることにより、殆どのケースで最高の結果が得られる。
【0028】
また、この距離は、例えば、非常に薄い紙を使用する場合、又は、大量の枚数の紙が紙葉束に含まれている場合、より広く又はより狭くされ得ることは明らかである。
【0029】
本発明の好ましい特徴によれば、装丁するために、好ましくはU字状又はV字状の背部材である装丁用背部材が使用され、かつ、前記縁部と第二折り線との間の距離が、本質的に、装丁用背部材の深さに対応するか、又は、装丁用背部材の深さより若干長い。
【0030】
このことは、装丁用背部材に紙葉束を固定した時に、第二折り線のレベルで、紙葉を、装丁用背部材の上で折り返すことができるという利点を有する。
【0031】
好ましい実施例では、お互いに向き合っている隣接する紙葉の側面に、いわばシームレスに両方の紙葉の第二折り線を横切って広がる印刷が施され、一方の側面における印刷部分が、関連する紙葉の第二折り線まで施され、かつ、他方の側面における印刷部分が、隣接する紙葉の第二折り線まで施される。
【0032】
この実施例の利点は、印刷、例えば、写真が、隣接する紙葉の二つの側面に跨って広がり得ることにある。さらに、印刷を、前記縁部まで連続させる必要がないので、紙葉の印刷が容易になる。
【0033】
また、本発明は、紙葉束に関し、この紙葉束においては、紙葉が、紙葉の縁部から距離を開けて、紙葉の縁部と平行に伸びる第一折り線を有し、紙葉は、また、前記第一折り線から距離を開けて、第一折り線に平行に配置された第二の折り線を有し、この第二折り線は、前記縁部と第一折り線との間にある。
【0034】
本発明は、また、装丁用背部材及びそこに固定される紙葉束を備えた書籍又はフォルダに関し、ここで、紙葉束は本発明による紙葉束である。
【0035】
本発明の特徴をより良く示す目的のために、本発明による紙葉束の装丁方法及びそれにより得られる書籍又はフォルダの幾つかの好ましい実施例が、添付図面を参照した、非限定的な実施例によって、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明に係る紙葉束の紙葉を概略的に示している。
【
図2】
図1の紙葉の実施可能な製造方法を示している。
【
図3】
図1の紙葉の実施可能な製造方法を示している。
【
図4】装丁用背部材に固定される準備が整っている、本発明による紙葉束を概略的に示している。
【
図5】装丁用背部材に固定された本発明による紙葉束を概略的に示している。
【
図6】本発明による書籍又はフォルダを概略的に示している。
【
図7】閲覧中の
図6に示した書籍又はフォルダを示している。
【
図8】閲覧中の
図6に示した書籍又はフォルダを示している。
【
図9】閲覧中の
図6に示した書籍又はフォルダを示している。
【
図11】
図10の折り曲げられた紙葉を、分離された状態で概略的に示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は、本発明による紙葉束1の装丁方法で使用される本発明による紙葉束1の紙葉1を概略的に示している。
【0038】
この紙葉1は、紙葉1の縁部3から距離A離れた位置で、縁部3と平行に延びる第一折り線2を有する。
【0039】
前記縁部3は、紙葉1が固定されることになる縁部3である。
【0040】
また、紙葉1は、前記第一折り線2から距離B離れた位置で、第一折り線2と平行に延びる第二折り線4を有する。
【0041】
第二折り線4は、前記縁部3と第一折り線2との間にある。従って、第二折り線4と前記縁部3との間の距離Cは、距離Aから距離Bを引いた値である。
【0042】
第一折り線2と第二折り線4との間の距離Bは、好ましくは、1~4ミリメートルの間であり、より好ましくは、2~3ミリメートルの間である。
【0043】
第一及び第二折り線2及び4は、異なる方法で実現され得る。
【0044】
図2及び
図3は、実施可能な変形を示している。これらの図面に示すように、第一及び第二折り線2及び4は、関連する折り線2及び4を形成するために、ある線に沿って紙葉1のストリップ5を予め個別に折ることによって得られる。
【0045】
その結果、紙葉1のストリップ5は、好ましくは、少なくとも90°の角度にわたって、より好ましくは、少なくとも120°の角度にわたって折り曲げられる。
【0046】
この実施例では、紙葉1は、関連する線に沿って毎回1回のみ折り曲げられている。
【0047】
紙葉1は、ストリップ5を、一方向に一回、他方向に一回折り曲げることによって、関連線に沿って二重に、即ち、二回にわたって折り曲げることも可能である。このようにして、より鋭い折り線2及び4を得ることが可能になる。
【0048】
図2に示すように、第二折り線4を、関連線に沿って紙葉1を二重に折り曲げることによって形成し、第一折り線2を、関連線に沿って一度折り曲げることによって形成することは、どちらも除外されない。
【0049】
第一及び第二折り線2及び4を形成するために紙葉1を折り曲げた後、紙葉1のストリップ5は、紙葉1の平面まで折り戻され、その結果、
図1に示すように、紙葉1が得られる。
【0050】
紙葉1を一度又は二度折り曲げる代わりに、関連する折り線2及び4を形成するために、ある線に沿って紙葉束の紙葉1をスコアリングすることによって第一及び/又は第二折り線2及び4を得ることも可能である。
【0051】
図2及び3に示したステップに従って紙葉1を折り曲げた後、紙葉1の束6は、
図4に示すように形成される。
【0052】
図4から分かるように、束6は、その縁部7が相互に対向して配置された複数の紙葉1から成り、固定されるべき紙葉1の縁部3は、相互に整列されている。
【0053】
図面から明らかなように、第一及び第二折り線2及び4の間の距離Bは、紙葉束6の全ての紙葉に対して同じである。これは、必ずしもそうである必要はない。
【0054】
紙葉束6の全ての紙葉1が、前記縁部3から同じ距離Cの位置に第二折り線4を備えている。これは、必ずしもそうである必要はない。
【0055】
次いで、紙葉束6は、例えば、
図4に示すように、装丁用背部材8に固定され得る。この場合、装丁用背部材8はU字形背部材8であり、これは、基部10に熱溶融接着剤11を備えた、例えば、金属製のU字形部分9から成る。
【0056】
さらに、装丁用背部材8には、二つのエンドペーパー12が設けられており、これらエンドペーパー12は、例えば、カバー13の何れかの側面に設けられる厚紙から成る。
【0057】
また、装丁用背部材8は、他の形態をとることも可能であり、例えば、V字形の装丁用背部材8とすることができることは明らかである。
【0058】
紙葉束6は、装丁用背部材の8のU字形部分9に配置され、それにより、
図5に示すように、紙葉1の縁部3が熱溶融接着剤11の層に対向して配置されるようになる。
【0059】
紙葉1の第二折り線4は、U字形部分9の幾らか上方に位置する。
【0060】
次いで、熱溶融接着剤11の層が、熱源14によって加熱される。熱溶融接着剤11は、その結果、溶融して液状になり、紙葉束6の紙葉1がその中に固定され得るようになる。
【0061】
熱溶融接着剤11の固化後、紙葉束6は、熱溶融接着剤11を介して装丁用背部材8に取り付けられる。
【0062】
次いで、
図6に示すように、装丁用背部材8のU字形部分6のアーム15がお互いに向けて絞り込まれる。これにより、装丁用背部材8における紙葉束6の強い固定が確保され、アーム15の自由端に対する紙葉束6の接続が、これらの間に目に見える隙間が生じることなく確実にされる。
【0063】
装丁された紙葉束6は、ここで、装丁された紙葉1を有するフォルダに仕上げられる。
【0064】
図6から分かるように、紙葉束を開いた時に、紙葉は一つの平面で延びるようになる。
【0065】
実際には、明確にするために紙葉1に対してある程度の厚さを与えることで、幾分歪んでいる図面に示す結果よりも良好な結果になる。
【0066】
図7~
図9は、ページをめくる時に、装丁用背部材8のU字形部分がどのように動くことになるかを概略的に示している。
【0067】
エンドペーパー12が開かれる時、それは、
図7から明らかなようにU字形部分のアーム15に対向して折り曲げられ得る。
【0068】
さらにページがめくられると、U字形部分9が、他方のエンドペーパー12に向けて矢印Dに従って回転することになるので、U字形部分9のアーム15は、このエンドペーパー12から離れる方向に動くことになる。これは
図8に示されている。
【0069】
さらにページをめくると、
図9に示すように、装丁用背部材8のU字形部分9は、装丁用背部材8の他方のアーム15までさらに回転して、最終的に他方のエンドペーパー12と対向するようになる。
【0070】
この装丁用背部材8の回転は、紙葉束6のページをめくる時に、いうなれば自動的に行われ、紙葉束6が、あるページで開かれた時に、紙葉1が平らに広がることを保証する。
【0071】
図10に示すように、紙葉1には、予め印刷16が施されている。ここで、印刷16は第二折り線4まで続き、そのためストリップ5は印刷されないままにされている。
【0072】
紙葉1の側面7には、例えば、イラスト16又は写真の一部が印刷されており、イラスト16は、一方の紙葉1から他方の紙葉1まで折り線2及び4を跨いでシームレスに良好に連続し、一つの連続したイラストを形成している。これは、例えば、フォトアルバムを編集する時に有用であり、これにより、二つの紙葉1に跨って広がる大きな写真を、二つの紙葉の間に不都合なギャップを設けることなく、印刷することができる。
【0073】
図11は、二枚の印刷された紙葉1を示しており、ここでは、装丁後に、両方の紙葉1の印刷16が、一緒に全体の印刷を形成することになる。印刷16が第二折り線4までしか続いていないことは、この図面から明らかであり得る。
【0074】
図12は変形実施例を示しており、ここでは、ストリップ5の一部に、印刷16のオーバーラップ部分17が印刷されている。言い換えれば、印刷16は、第二折り線4を超えて、即ち、通過して延びている。
【0075】
図6に示すように、紙葉1は、第二折り線4の位置で相互に対向するので、このオーバーラップ部分17は、装丁した紙葉束6では消滅することになる。
【0076】
熱溶融接着剤11を省略することができ、かつ、紙葉束6が、装丁用背部材8に配置される前にステープル留めされ得ることは明らかである。
【0077】
また、装丁用背部材8におけるU字形部分9のアーム15を絞ることを省略できることも明らかである。
【0078】
図示した実施例では、紙葉束6の全ての紙葉1に二つの折り線2及び4が設けているが、一部の紙葉1だけに二つの折り線2及び4を設けることは除外されない。
【0079】
本発明は、添付図面に示され、かつ、実施例として説明された実施の形態に決して限定されるものではなく、本発明に係る紙葉束を装丁する方法及びその方法によって得られる書籍又はフォルダは、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変形例に従って実現され得る。
【外国語明細書】