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特開2022-37087CB1受容体抗原結合タンパク質及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037087
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】CB1受容体抗原結合タンパク質及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20220301BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20220301BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20220301BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220301BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220301BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220301BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220301BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220301BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20220301BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20220301BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220301BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220301BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20220301BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220301BHJP
   A61P 5/48 20060101ALI20220301BHJP
   A61P 5/50 20060101ALI20220301BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220301BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20220301BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/46 ZNA
C07K16/28
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61P3/00
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/08
A61P3/10
A61P5/48
A61P5/50
A61P7/00
A61P9/12
A61K39/395 N
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021201683
(22)【出願日】2021-12-13
(62)【分割の表示】P 2020152622の分割
【原出願日】2014-06-25
(31)【優先権主張番号】61/839,458
(32)【優先日】2013-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500203709
【氏名又は名称】アムジェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118371
【弁理士】
【氏名又は名称】▲駒▼谷 剛志
(74)【代理人】
【識別番号】100198915
【弁理士】
【氏名又は名称】富樫 征也
(72)【発明者】
【氏名】ピーター カワード
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン エー. ムーア ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】シ-ユアン メン
(72)【発明者】
【氏名】メイ-メイ ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】チャドウィック テレンス キング
(72)【発明者】
【氏名】アーロン アブラハム ナザリアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】CB1受容体抗原結合タンパク質、例えば、抗体及びかかるCB1受容体抗体の使用方法を提供すること。
【解決手段】CB1受容体抗体は、CB1受容体に対する拮抗的抗体を含んでよく、さまざまな健康状態の治療に使用してよい。健康状態には、肥満または糖尿病またはCB1受容体の拮抗により利益を受けるあらゆる疾患を含むことができる。実施形態1は、特定の配列からなる配列に特異的に結合する、本質的に前記とは別の特定の配列からなる抗原結合タンパク質である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年6月26日に提出したU.S.Provisional Application No.61/839,458号の利益を主張するものであり、該出願は、参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
配列表の参照
本出願は、電子フォーマットの配列表とともに提出されている。かかる配列表は、A-1835-WO-PCT_SEQ.txtというファイル名で2014年6月25日に作成され、サイズは99,680バイトである。電子フォーマットの配列表情報は、それを参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、CB1受容体抗原結合タンパク質、例えば、抗体、及びCB1受容体抗体の使用方法に関する。CB1受容体抗体は、カンナビノイド受容体CB1のシグナル伝達を拮抗する抗体を含んでよい。
【背景技術】
【0004】
CB1受容体(カンナビノイド受容体1、遺伝子名Cnr1)は、Gi共役型Gタンパク質受容体であり、CNS及び末梢神経系において広く発現する。CB1受容体をアゴニスト刺激するとアデニリシクラーゼ(adenyly cyclase)活性が抑制され、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼが活性化される。CB1受容体は、ヒト、マウス及びラットにおいて高度に保存されている。
【0005】
CB1受容体は、哺乳類の脳内に最も多量に広く分布しているGタンパク質共役型受容体の一種である。これらの受容体は、脂肪、肝臓、筋肉及び消化管などの末梢組織にも見られる。
【0006】
CB1受容体の内因性アゴニストにはアナンダミド及び2-アラキドノイルグリセロールを含むことができる。外因性のアゴニストにはΔ-テトラヒドロカンナビノールを含むことができる。リモナバン(rimonabant)またはタラナバン(taranabant)などの低分子のアンタゴニストまたはインバースアゴニスト(同義で使用する)は、体重を減少させ、代謝パラメータの改善、例えば、血漿グルコース濃度及びインスリン濃度の低値の改善をもたらすことが示されている。
【0007】
残念なことに、これらの低分子アンタゴニストは、CNSへの有害作用があることも示されている。例えば、CB1受容体に結合する、低分子CB1受容体アンタゴニスト/インバースアゴニストであるリモナバン(rimonabant)により、複数の臨床試験において不安、うつ病、及び自殺念慮の発生率が増加したことが報告されている(NDA(新薬承認申請)21-888、FDA報告資料(Briefing Document)、2007年6月13日)
脳への浸透性が低い低分子アンタゴニスト(例えば、AM6545及びJD5037)は、マウスにおいて、食事摂取と体重増加を抑え、複数の代謝パラメータを改善させることが報告されている(Tam et al,J.Clin.Invest.120:2953~66,2010;Tam et al Cell Metab 16:1~13,2012)。末梢拘束性の別の低分子が記載されている(US2011/0144157)。
CB1アンタゴニストのプラスの代謝作用を、末梢受容体により媒介させることが可能である。したがって、末梢に作用する高分子なら不成功であった低分子治療よりも有効かつ安全であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0144157号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Tam et al,J.Clin.Invest.120:2953~66,2010
【非特許文献2】Tam et al Cell Metab 16:1~13,2012
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に開示する、CB1アンタゴニスト抗体は、これまでに同定された唯一の高分子アンタゴニストであると考えられる。さまざまなグループによる低分子アンタゴニストについての記載があるが、CB1アンタゴニスト抗体の場合は、例えば、CNSへ浸透しない、及び、クリアランス減少による投与回数の減少といった薬物動態特性が異なっている、などの点で低分子アンタゴニストとは異なっている。
【0011】
本発明は、CB1受容体抗原結合タンパク質及びその断片に関する。CB1受容体に結合するCB1受容体抗原結合タンパク質及びその断片は、拮抗的に作用する?CB1受容体抗原結合タンパク質であり得る。さまざまな実施形態では、抗原結合タンパク質は、抗体である。本明細書に記載する抗原結合タンパク質の使用も提供する。
【0012】
本開示では、本発明のさまざまな実施形態を提供する。
【0013】
実施形態1は、配列番号1に特異的に結合する、本質的に配列番号4及び配列番号5からなる抗原結合タンパク質である。別の関連実施形態は、抗原結合タンパク質のアミノ酸配列で構成されても、またはかかる配列を含んでもよい。
【0014】
実施形態2は、配列番号1への結合が、GTP-Euアッセイ、エクオリンアッセイまたはcAMPアッセイで測定した場合のGタンパク質シグナル伝達を拮抗する、実施形態1に記載の抗原結合タンパク質である。
【0015】
実施形態3は、前記抗原結合タンパク質がモノクローナル抗体またはその断片である、実施形態1に記載の抗原結合タンパク質である。
【0016】
実施形態4は、前記抗原結合タンパク質がマウス抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体または多重特異性抗体である、実施形態1に記載の抗原結合タンパク質である。
【0017】
実施形態5は、抗原結合タンパク質が、図1に示すようにヒトCB1受容体のEC2ドメイン領域に結合する、実施形態1に記載の抗原結合タンパク質である。正確なEC2ドメインを、アミノ酸の数を多く、または少なくしたさまざまな実施形態で表されてよい。
【0018】
実施形態6は、抗原結合タンパク質が配列番号1のアミノ酸NCEKLQSVCSDIFPHIDEに特異的に結合する、実施形態5に記載の抗原結合タンパク質である。
【0019】
実施形態7は、抗原結合タンパク質が、アミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも15アミノ酸に結合する、実施形態6に記載の抗原結合タンパク質である。
【0020】
実施形態8は、抗原結合タンパク質が、アミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも10アミノ酸に結合する、実施形態7に記載の抗原結合タンパク質である。
【0021】
実施形態9は、抗原結合タンパク質が、cAMPアッセイでのEC50が250nM未満である、実施形態1に記載の抗原結合タンパク質である。
【0022】
実施形態10は、抗原結合タンパク質が、cAMPアッセイでのEC50が100nM未満である、実施形態9に記載の抗原結合タンパク質である。さまざまな実施形態では、抗原結合タンパク質は、EC50がピコモルの範囲にあってよい。
【0023】
実施形態11は、配列番号4及び配列番号5との同一性が少なくとも99%である抗原結合タンパク質である。
【0024】
実施形態12は、配列番号17~22、配列番号36~37または配列番号36と38を含む、配列番号1に特異的に結合する抗原結合タンパク質である。別の関連実施形態は、抗原結合配列のアミノ酸配列で構成されても、または本質的にかかる配列で構成されてもいずれでもよい。
【0025】
実施形態13は、配列番号1への結合が、GTP-Euアッセイ、エクオリンアッセイまたはcAMPアッセイで測定した場合のGタンパク質シグナル伝達を拮抗する、実施形態12に記載の抗原結合タンパク質である。
【0026】
実施形態14は、前記抗原結合タンパク質がモノクローナル抗体またはその断片である、実施形態12に記載の抗原結合タンパク質である。
【0027】
実施形態15は、前記抗原結合タンパク質がマウス抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体である、実施形態14に記載の抗原結合タンパク質である。
【0028】
実施形態16は、抗原結合タンパク質が、図1に示すようにヒトCB1受容体のEC2ドメイン領域に結合する、実施形態12に記載の抗原結合タンパク質である。正確なEC2ドメインを、アミノ酸の数を増減させて表してよい
【0029】
実施形態17は、抗原結合タンパク質が配列番号1のアミノ酸NCEKLQSVCSDIFPHIDEに特異的に結合する、実施形態16に記載の抗原結合タンパク質である。
【0030】
実施形態18は、抗原結合タンパク質が、アミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも15アミノ酸に結合する、実施形態17に記載の抗原結合タンパク質である。
【0031】
実施形態19は、抗原結合タンパク質が、アミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも10アミノ酸に結合する、実施形態18に記載の抗原結合タンパク質である。
【0032】
実施形態20は、抗原結合タンパク質が、cAMPアッセイでのEC50が300nM未満である、実施形態12に記載の抗原結合タンパク質である。
【0033】
実施形態21は、抗原結合タンパク質が、cAMPアッセイでのEC50が100nM未満である、実施形態20に記載の抗原結合タンパク質である。さまざまな実施形態では、抗原結合タンパク質は、EC50がピコモルの範囲にあってよい。
【0034】
実施形態22は、配列番号17~22との同一性が少なくとも99%である抗原結合タンパク質である。
【0035】
実施形態22は、配列番号7と8、配列番号7と10、配列番号7と12、配列番号6と16、配列番号4と14、配列番号36と37、または配列番号36と38を含む、配列番号1に特異的に結合する抗原結合タンパク質である。別の関連実施形態は、抗原結合配列のアミノ酸配列で構成されても、または本質的にかかる配列で構成されてもいずれでもよい。
【0036】
実施形態23は、配列番号1への結合が、GTP-Euアッセイ、エクオリンアッセイ
またはcAMPアッセイで測定した場合のGタンパク質シグナル伝達を拮抗する、実施形態22に記載の抗原結合タンパク質である。
【0037】
実施形態24は、前記抗原結合タンパク質がモノクローナル抗体またはその断片である、実施形態22に記載の抗原結合タンパク質である。
【0038】
実施形態25は、前記抗原結合タンパク質がマウス抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体である、請求項24に記載の抗原結合タンパク質である。
【0039】
実施形態26は、抗原結合タンパク質が、図4Aに示すようにヒトCB1受容体のEC2ドメイン領域に結合する、実施形態22に記載の抗原結合タンパク質である。正確なEC2ドメインを、アミノ酸の数を増減させて表してよい。
【0040】
実施形態27は、抗原結合タンパク質が配列番号1のアミノ酸NCEKLQSVCSDIFPHIDEに結合する、実施形態26に記載の抗原結合タンパク質である。
【0041】
実施形態28は、抗原結合タンパク質が、アミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも15アミノ酸に結合する、実施形態27に記載の抗原結合タンパク質である。
【0042】
実施形態29は、抗原結合タンパク質が、アミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも10アミノ酸に結合する、実施形態28に記載の抗原結合タンパク質である。
【0043】
実施形態30は、cAMPアッセイでのEC50が300nM未満である、実施形態22に記載の抗原結合タンパク質である。
【0044】
実施形態31は、cAMPアッセイでのEC50が100nM未満である、実施形態30に記載の抗原結合タンパク質である。さまざまな実施形態では、抗原結合タンパク質は、EC50がピコモルの範囲にあってよい。
【0045】
実施形態32は、実施形態22に記載の抗原結合タンパク質の1つと少なくとも99%同一な抗原結合タンパク質である。
【0046】
実施形態33は、実施形態1、12または22のいずれか1形態に記載の抗原結合タンパク質をコードする核酸である。
【0047】
実施形態34は、実施形態33の核酸を含む発現ベクターである。
【0048】
実施形態35は、実施形態34のベクターを含む宿主細胞である。
【0049】
実施形態36は、細胞が真核細胞または原核細胞である、実施形態35の宿主細胞である。
【0050】
実施形態37は、真核細胞は哺乳類の細胞である、実施形態36の宿主細胞である。
【0051】
実施形態38は、抗原結合タンパク質の製造方法であり、実施形態37の宿主細胞を、核酸が発現して抗原結合タンパク質が産生されるような好適な条件下で培養することを含む。
【0052】
実施形態39は、宿主細胞の培養物から抗体を回収することをさらに含む、実施形態38の方法である。
【0053】
実施形態40は、実施形態1、12、22または44のいずれか1形態に記載の抗原結合タンパク質、及び薬理学的に許容される担体、希釈剤または添加物を含む組成物である。
【0054】
実施形態41は、実施形態40に記載の組成物を投与すること含む、CB1受容体への拮抗を必要としている患者の治療方法である。
【0055】
実施形態42は、患者を治療することにより体重減少または代謝パラメータの改善がもたらされる、実施形態32に記載の方法である。
【0056】
実施形態43は、改善される代謝パラメータが、血漿グルコース濃度の低下、インスリン濃度の低下、トリグリセリド濃度の低下、HbA1cの低下、腹腔内脂肪と肝脂肪の低下、血圧の低下、アディポネクチンの上昇、HDL、コレステロールの上昇またはエネルギー消費量の増加である、実施形態42の方法である。
【0057】
実施形態44は、配列番号1に特異的に結合し、GTP-Euアッセイ、エクオリンア
ッセイまたはcAMPアッセイで測定した場合にGタンパク質のシグナル伝達を拮抗する抗原結合タンパク質である。
【0058】
実施形態45は、前記抗原結合タンパク質がモノクローナル抗体またはその断片である、実施形態44に記載の抗原結合タンパク質である。
【0059】
実施形態46は、前記抗原結合タンパク質がマウス抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体または多重特異性抗体である、実施形態45に記載の抗原結合タンパク質である。
【0060】
実施形態47は、抗原結合タンパク質がヒトCB1受容体のEC2ドメイン領域に結合する、実施形態44に記載の抗原結合タンパク質である。正確なEC2ドメインを、アミノ酸の数を増減させて表してよい
【0061】
実施形態48は、抗原結合タンパク質が配列番号1のアミノ酸NCEKLQSVCSDIFPHIDEに特異的に結合する、実施形態47に記載の抗原結合タンパク質である。
【0062】
実施形態49は、前記抗原結合タンパク質がアミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも15アミノ酸に結合する、請求項48に記載の抗原結合タンパク質である。
【0063】
実施形態50は、前記抗原結合タンパク質がアミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも10アミノ酸に結合する、請求項48に記載の抗原結合タンパク質である。
【0064】
実施形態51は、cAMPアッセイでのEC50が250nM未満である、実施形態44に記載の抗原結合タンパク質である。
【0065】
実施形態52は、cAMPアッセイでのEC50が少なくとも100nM未満である、実施形態51に記載の抗原結合タンパク質である。さまざまな実施形態では、抗原結合タンパク質は、EC50がピコモルの範囲にあってよい。
【0066】
当業者には理解されるであろう他の実施形態を本明細書に記載する。さまざまな実施形態を上述したが、本明細書に詳述する実施例及び試験はあくまで例示にすぎないことは当業者には十分理解されよう。本発明の趣旨から逸脱することなくさまざまな修正が可能であることを理解されるべきである。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
本質的に配列番号4及び配列番号5からなる、配列番号1に特異的に結合する、抗原結合タンパク質。
(項目2)
配列番号1への前記結合が、GTP-Euアッセイ、エクオリンアッセイまたはcAM
Pアッセイで測定したGタンパク質シグナル伝達を拮抗する、項目1に記載の抗原結合タンパク質。
(項目3)
前記抗原結合タンパク質がモノクローナル抗体またはその断片である、項目1に記載の抗原結合タンパク質。
(項目4)
前記抗原結合タンパク質が、マウス抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体または多重特異性抗体である、項目1に記載の抗原結合タンパク質。
(項目5)
前記抗原結合タンパク質がヒトCB1受容体のEC2ドメイン領域に結合する、項目1に記載の抗原結合タンパク質。
(項目6)
前記抗原結合タンパク質が、配列番号1のアミノ酸NCEKLQSVCSDIFPHIDEに特異的に結合する、項目5に記載の抗原結合タンパク質。
(項目7)
前記抗原結合タンパク質が、アミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも15アミノ酸に結合する、項目6に記載の抗原結合タンパク質。
(項目8)
前記抗原結合タンパク質が、アミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも10アミノ酸に結合する、項目7に記載の抗原結合タンパク質。
(項目9)
前記抗原結合タンパク質が、cAMPアッセイで少なくとも300nMのEC50を有する、項目1に記載の抗原結合タンパク質。
(項目10)
前記抗原結合タンパク質が、cAMPアッセイで少なくとも100nMのEC50を有する、項目9に記載の抗原結合タンパク質。
(項目11)
配列番号4及び配列番号5に対し少なくとも99%の同一性を有する抗原結合タンパク質。
(項目12)
配列番号17~22、配列番号36~37または36と38を含む、配列番号1に特異的に結合する抗原結合タンパク質。
(項目13)
配列番号1への前記結合が、GTP-Euアッセイ、エクオリンアッセイまたはcAM
Pアッセイで測定したGタンパク質シグナル伝達を拮抗する、項目12に記載の抗原結合タンパク質。
(項目14)
前記抗原結合タンパク質が、モノクローナル抗体またはその断片である、項目12に記載の抗原結合タンパク質。
(項目15)
前記抗原結合タンパク質が、マウス抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体である、項目14に記載の抗原結合タンパク質。
(項目16)
前記抗原結合タンパク質が、ヒトCB1受容体のEC2ドメイン領域に結合する、項目12に記載の抗原結合タンパク質。
(項目17)
前記抗原結合タンパク質が、配列番号1のアミノ酸NCEKLQSVCSDIFPHIDEに特異的に結合する、項目16に記載の抗原結合タンパク質。
(項目18)
前記抗原結合タンパク質が、アミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも15アミノ酸に結合する、項目17に記載の抗原結合タンパク質。
(項目19)
前記抗原結合タンパク質が、アミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも10アミノ酸に結合する、項目18に記載の抗原結合タンパク質。
(項目20)
前記抗原結合タンパク質が、cAMPアッセイで250nM未満のEC50を有する、項目12に記載の抗原結合タンパク質。
(項目21)
前記抗原結合タンパク質が、cAMPアッセイで少なくとも200nMのEC50を有する、項目20に記載の抗原結合タンパク質。
(項目22)
配列番号17~22に対し少なくとも99%の同一性を有する、配列番号1に特異的に結合する抗原結合タンパク質。
(項目23)
配列番号7と8、配列番号7と10、配列番号7と12、配列番号6と16、配列番号4と14、配列番号36と37または配列番号36と38を含む、抗原結合タンパク質。
(項目24)
配列番号1への前記結合が、GTP-Euアッセイ、エクオリンアッセイまたはcAM
Pアッセイで測定したGタンパク質シグナル伝達を拮抗する、項目12に記載の抗原結合タンパク質。
(項目25)
前記抗原結合タンパク質が、モノクローナル抗体またはその断片である、項目23に記載の抗原結合タンパク質。
(項目26)
前記抗原結合タンパク質が、マウス抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体である、項目25に記載の抗原結合タンパク質。
(項目27)
前記抗原結合タンパク質が、ヒトCB1受容体のEC2ドメイン領域に結合する、項目23に記載の抗原結合タンパク質。
(項目28)
前記抗原結合タンパク質が、配列番号1のアミノ酸NCEKLQSVCSDIFPHIDEに結合する、項目27に記載の抗原結合タンパク質。
(項目29)
前記抗原結合タンパク質が、アミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも15アミノ酸に結合する、項目28に記載の抗原結合タンパク質。
(項目30)
前記抗原結合タンパク質が、アミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも10アミノ酸に結合する、項目29に記載の抗原結合タンパク質。
(項目31)
前記抗原結合タンパク質が、cAMPアッセイで250nM未満のEC50を有する、項目23に記載の抗原結合タンパク質。
(項目32)
前記抗原結合タンパク質が、cAMPアッセイで100nM未満のEC50を有する、項目31に記載の抗原結合タンパク質。
(項目33)
項目23に記載の抗原結合タンパク質の1つに対する同一性が少なくとも99%である、抗原結合タンパク質。
(項目34)
項目1、12または22のいずれか一項に記載の前記抗原結合タンパク質をコードする、核酸。
(項目35)
項目34に記載の核酸を含む、発現ベクター。
(項目36)
項目35に記載のベクターを含む、宿主細胞。
(項目37)
前記細胞が、真核細胞または原核細胞である、項目36に記載の宿主細胞。
(項目38)
前記真核細胞が、哺乳類の細胞である、項目37に記載の宿主細胞。
(項目39)
項目37に記載の宿主細胞を、核酸が発現して抗原結合タンパク質が産生されるような好適な条件下で培養することを含む、抗原結合タンパク質の製造方法。
(項目40)
前記抗原結合タンパク質を宿主細胞培養物から回収することをさらに含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
項目1、12、22または45のいずれか一項に記載の前記抗原結合タンパク質及び薬理学的に許容される担体、希釈剤または添加物を含む、組成物。
(項目42)
項目41に記載の任意の前記組成物を投与することを含む、CB1受容体の拮抗を要する患者の治療方法。
(項目43)
患者の前記治療により体重減少または代謝パラメータの改善がもたらされる、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記改善された代謝パラメータが、血漿グルコース濃度の低下、インスリン濃度の低下、トリグリセリド濃度の低下、HbA1cの低下、腹腔内肝脂肪の低下、血圧低下、アディポネクチン上昇、HDL上昇、コレステロール上昇、またはエネルギー消費量の増加である、項目43に記載の方法。
(項目45)
配列番号1に特異的に結合し、GTP-Euアッセイ、エクオリンアッセイまたはcA
MPアッセイで測定されるGタンパク質のシグナル伝達を拮抗する、抗原結合タンパク質。
(項目46)
前記抗原結合タンパク質が、モノクローナル抗体またはその断片である、項目45に記載の抗原結合タンパク質。
(項目47)
前記抗原結合タンパク質が、マウス抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体または多重特異性抗体である、項目45に記載の抗原結合タンパク質。
(項目48)
前記抗原結合タンパク質が、ヒトCB1受容体のEC2ドメイン領域に結合する、項目45に記載の抗原結合タンパク質。
(項目49)
前記抗原結合タンパク質が、配列番号1のアミノ酸NCEKLQSVCSDIFPHIDEに特異的に結合する、項目48に記載の抗原結合タンパク質。
(項目50)
前記抗原結合タンパク質が、アミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも15アミノ酸に結合する、項目49に記載の抗原結合タンパク質。
(項目51)
前記抗原結合タンパク質が、アミノ酸配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEの少なくとも10アミノ酸に結合する、項目50に記載の抗原結合タンパク質。
(項目52)
前記抗原結合タンパク質は、cAMPアッセイでのEC50が250nM未満である、項目45に記載の抗原結合タンパク質。
(項目53)
前記抗原結合タンパク質が、cAMPアッセイで少なくとも100nM未満のEC50を有する、項目52に記載の抗原結合タンパク質。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1図1は、ヒト(配列番号1)、マウス(配列番号2)、及びラット(配列番号3)のCB1タンパク質配列のアライメントを示しており、細胞外ループ1及び2(EC1及びEC2;ECドメイン領域とも言う)の約の位置が、配列上の実線により示されている。図4に示すエピトープマッピング試験に使用する残基は、図1中で黒の陰影で示されており、-EC1は(R186P-ヒト配列とマウス/ラット配列との間)並びにEC2では(E258K-ヒト配列とマウス/ラット配列との間)及び(H270L-ヒト配列とマウス/ラット配列との間)の位置である。配列上部にある位置番号は便宜上付されているものであり、必ずしもその通りに正確にアライメントする必要はないことに留意すべきである。ヒトとげっ歯類の配列間でさらに相違のある箇所は矢印で示されている。
【0068】
図2A図2A及び2Bは、さまざまな抗CB1抗体の重鎖及び軽鎖のタンパク質配列を比較したものである。重鎖および軽鎖のタンパク質配列のフレームワーク及びCDR領域におけるいくつかのクローン間でのアミノ酸の相違である。
図2B図2A及び2Bは、さまざまな抗CB1抗体の重鎖及び軽鎖のタンパク質配列を比較したものである。重鎖および軽鎖のタンパク質配列のフレームワーク及びCDR領域におけるいくつかのクローン間でのアミノ酸の相違である。
【0069】
図3図3は、CB1アンタゴニスト抗体10D10の野生型及び変異型のさらなる特性を示す。
【0070】
図4A図4A~4Cは、抗体結合部位を提供する上で有用な、CB1受容体に対してなされた変異を示す。図4Aは変異体を表す絵図であり、図4BはFACS結合データを示し、また、図4Cはエクオリンシグナル伝達データを示す。
図4B図4A~4Cは、抗体結合部位を提供する上で有用な、CB1受容体に対してなされた変異を示す。図4Aは変異体を表す絵図であり、図4BはFACS結合データを示し、また、図4Cはエクオリンシグナル伝達データを示す。
図4C図4A~4Cは、抗体結合部位を提供する上で有用な、CB1受容体に対してなされた変異を示す。図4Aは変異体を表す絵図であり、図4BはFACS結合データを示し、また、図4Cはエクオリンシグナル伝達データを示す。
【0071】
図5A図5A~5Cは、cAMP(図5A)シグナル伝達アッセイ、エクオリン(図5B)シグナル伝達アッセイ及びKinExA(図5C)結合アッセイにおけるCB1アンタゴニスト抗体の活性を示す。
図5B図5A~5Cは、cAMP(図5A)シグナル伝達アッセイ、エクオリン(図5B)シグナル伝達アッセイ及びKinExA(図5C)結合アッセイにおけるCB1アンタゴニスト抗体の活性を示す。
図5C図5A~5Cは、cAMP(図5A)シグナル伝達アッセイ、エクオリン(図5B)シグナル伝達アッセイ及びKinExA(図5C)結合アッセイにおけるCB1アンタゴニスト抗体の活性を示す。
【0072】
図6A図6Aは、GTP-EuアッセイでCB1アンタゴニスト抗体の活性をアナンダミドと比較したものを示す。
図6B図6Bは、10D10の濃度を変えた場合のGTP-Euに及ぼす影響を示す。
【0073】
図7図7は、CB1アンタゴニスト抗体のさまざまなミュータンズ(mutans)とCB1活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0074】
CB1受容体に結合するCB1受容体抗原結合タンパク質(抗体及びその機能的結合断片など)を本明細書に開示する。かかる抗原結合タンパク質は、CB1受容体に結合し、CB1受容体がさまざまに機能すること、例えば、受容体活性を拮抗することがないよう防ぐ。CB1受容体結合タンパク質は、CB1受容体に結合して、例えば、cAMPアッセイ、エクオリンアッセイまたはGTP-Euアッセイで測定した場合にシグナル伝達が
起こらないよう防ぐ。
【0075】
上述の概要は、本発明の態様または実施形態すべてを定義することを意図するものではなく、さらなる態様が他の項にて記載され得る。本文献全体が統一開示として関連していることが意図され、したがって、特徴のその組み合わせが本文献中の同一の文章、段落、または項内に同時に記載されていない場合であっても、本明細書に記載の特徴のあらゆる組み合わせが意図されることを理解されるべきである。
【0076】
上述に加え、追加態様として、いかなる意味においても、本明細書の特定段落により定義される変形形態より範囲の狭い実施形態はすべて本開示に含めることができる。例えば、ある態様で1つの属としての記載がある場合は、その1つの属のメンバーすべてが個々別々に一実施形態であり得ることを理解されるべきである。また、1つの属または1つの属のメンバーから選択すると記載されている態様は、その属の2以上のメンバーの組み合わせを包含することを理解されるべきである。本明細書中さまざまな実施形態が用語「を含む(comprising)」を使用してさまざまな状況で提示される場合があるが、関連実施形態を用語「からなる(consisting of)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」を使用して記載してもよいことも理解されるべきである。
【0077】
本明細書の記載は、あくまでも例示及び説明にすぎず、本発明の主張を制限するものではないことが理解されるであろう。本明細書において、単数形を使用することにより、特に具体的に断らない限り、複数形も含まれる。本明細書において、「または(or)」の使用により、特に断らない限り、「及び/または」を意味する。さらに、「含む(including)」、並びに他の形の「含む(を含む)」及び「含まれている(included)」などの用語を使用する場合、非限定的であることをいう。また、「要素(element)」または「構成要素(component)」などの用語は、特に具体的に断らない限り、ユニットを1つ含んでいる要素及び構成要素、並びにサブユニットを1つ以上含んでいる要素及び構成要素のいずれをも包含する。また、「部(portion)」という用語の使用により、部分(moiety)の一部または部分(moiety)全体を含むことができる。
【0078】
数値の範囲を記載する場合、記載されている特徴はその範囲内の一数値であると考えられることも理解されるべきである。例えば、「約pH4~約pH6のpH」では、非限定的に、pH4、4.2、4.6,5.1、5.5など、その数値範囲にあるあらゆる数値が考えられる。さらに、「約pH4~約pH6のpH」は、問題のpHがpH4からpH6まで2pH単位で変動するという意味で解釈されるべきではなく、むしろ溶液のpH値は、2つのpH値の範囲内から選んでよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、用語「約」を使用する場合、記述されている数値の5%、10%、15%またはそれ以上が、記述されている数値に対して加算または減算されることを意味する。意図される実変数は文脈から決定可能である。
【0080】
本明細書で使用する項の題名は、あくまで編成上のものにすぎず、記載されている主題を限定するものとして解釈されないこととする。本明細書で引用する特許、特許出願、論文、書籍、及び条約などを非限定的に含む全資料、または資料の一部は、何らかの目的でそれらを参照することによりその全体が明白に本明細書に取り込まれる。本開示に従い使用する場合、以下の用語は、特に明記しない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0081】
本明細書で使用する用語「CB1」とは、CNS及び末梢神経系に広く発現するGi共役型Gタンパク質受容体であるカンナビノイド受容体1をいう。CB1受容体の刺激は、アデニリシクラーゼ(adenyly cyclase)を抑制し、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼを活性化させることが知られている。CB1タンパク質配列はヒト、マウス及びラットの間で高度に保存されている。CB1受容体は、哺乳類の脳内に最も多量に広く分布しているGタンパク質共役型受容体の一種である。これらの受容体は、脂肪、肝臓、筋肉及び消化管などの他組織にも見られる。
【0082】
本明細書で使用する場合、抗体または抗原結合性断片は、アゴニストまたはアンタゴニストであり得る。
【0083】
「アゴニスト」とは、ポリペプチド(受容体など)、またはポリヌクレオチドに結合し、特に、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの活性または発現を刺激する、上昇させる、活性化する、促進する、活性化を増強する、感受性を増強するまたは上方制御する物質をいう。
【0084】
「アンタゴニスト」とは、ポリペプチド(受容体など)またはポリヌクレオチドに結合し、特に、部分的または完全に刺激を遮断する、結合したポリペプチドまたはポリヌクレオチドの活性を低下させる、予防する、活性化を遅らせる、不活性化する、脱感受性にする、または下方制御する物質をいう。アンタゴニストは、特に、受容体の構成的シグナル伝達を低下させ得るようなインバースアゴニストであってもよい。
【0085】
「抗原結合タンパク質」(“ABP”)とは、特定の標的抗原を結合するあらゆるタンパク質をいう。本明細書では、特定の標的抗原はCB1受容体またはその断片もしくは領域であり得る。「抗原結合タンパク質」には、免疫学的に機能的な断片のような抗体及びその結合部分が含まれるが、これらに限定されない。ペプチボディも抗原結合タンパク質の一例である。
【0086】
「CB1受容体抗原結合タンパク質」とは、CB1受容体を結合することができるタンパク質をいう。「CB1受容体抗原結合タンパク質」は、受容体を結合する「CB1受容体のアンタゴニスト抗体」であり得る。CB1受容体抗体はCB1受容体のシグナル伝達を遮断することができる。シグナル伝達を遮断すると、体重減少及び代謝パラメータの改善、例えば、血漿グルコース濃度及びインスリン濃度の低下というような細胞性反応及び生理学的反応の両方が起こり得る。
【0087】
CB1タンパク質の「細胞外(EC)結合領域」は図1に示されているが、これは「細胞外ループ」または「細胞外ドメイン領域」とも呼ばれる。例えば、EC2ドメイン領域は配列番号1の配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEを有すると考えられている。さまざまな実施形態では、EC2ドメイン領域は、アミノ末端またはカルボキシル末端のいずれにでもさらなる1、2、3、4または5アミノ酸をさらに含んでよい。その他の実施形態では、EC2ドメイン領域は、配列のアミノ末端またはカルボキシル末端のいずれにおいてでも1、2、3、4または5アミノ酸少なく有してよい。本明細書に開示する抗体は、上記のあらゆるEC2ドメインに、または配列番号1の配列NCEKLQSVCSDIFPHIDEまたはこの配列の少なくとも10もしくは少なくとも15のアミノ酸に結合してよい。図1に示すように、さまざまな抗体が代替的にEC1ドメイン領域に結合してよい。
【0088】
用語「ポリヌクレオチド」または「核酸」には、一本鎖ヌクレオチド重合体及び二本鎖ヌクレオチド重合体の双方が含まれる。ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドまたはこれらのヌクレオチドの修飾型であり得る。前記の修飾としては、ブロモウリジン誘導体及びイノシン誘導体などの塩基修飾、2’,3’-ジデオキシリボースなどのリボース修飾、並びにホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホロセレノアート(phosphoroselenoate)、ホスホロジセレノアート(phosphorodiselenoate)、ホスホロアニロチオアート(phosphoroanilothioate)、ホスホロアニラダート(phoshoraniladate)及びホスホロアミダートなどのヌクレオチド間結合が含まれる。
【0089】
用語「オリゴヌクレオチド」は、200以下のヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを意味する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは長さ約10~約60塩基である。その他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さ約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、もしくは約20ヌクレオチドから約40ヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドは、例えば、変異遺伝子の構築に使用する場合は、一本鎖または二本鎖であり得る。オリゴヌクレオチドは、センスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチドは、検出法用に放射性標識、蛍光標識、ハプテンまたは抗原性標識などの標識を含むことができる。オリゴヌクレオチドを、例えば、PCRプライマー、クローニングプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。
【0090】
「単離された核酸分子」は、ゲノム、mRNA、cDNA、もしくは合成由来、またはそれらをいくつか組み合わせた、DNAもしくはRNAを意味し、自然界において見られる単離されたポリヌクレオチドをその中にもつポリヌクレオチドの全部または一部と会合していないもの、または自然界においては連結することがないポリヌクレオチドに連結しているものを意味する。本開示のために、特定のヌクレオチド配列「を含む核酸分子」は、完全な染色体を包含していないことを理解されるべきである。特定の核酸配列「を含む」単離された核酸分子は、特定の配列に加え、最高10、さらには最高20の他のタンパク質またはそれらの複数部分をコードするコード配列を含むことができる、または記述された核酸配列のコード領域の発現を制御する、機能的に連結された制御配列を含むことができる、及び/またはベクター配列を含むことができる。さまざまな実施形態では、記載の核酸は、「単離された核の(nucleic)分子」であり得る。
【0091】
他に明記しない限り、本明細書で論じるあらゆる一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は5’末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左方向を5’方向と呼ぶ。新生RNA転写産物の付加が行われる5’から3’へ向かう方向を転写方向と呼び;RNA転写産物の5’末端に5’が対応する、RNA転写産物と同一の配列を有するDNA鎖上の配列領域を「上流配列と呼び」;RNA転写産物の3’末端に3’が対応する、RNA転写産物と同一の配列を有するDNA鎖上の配列領域を「下流配列」と呼ぶ。
【0092】
核酸は、本明細書のさまざまな実施形態に開示する抗原結合タンパク質、例えば、CB1受容体抗原結合タンパク質または抗CB1受容体抗体をコードすることができる。核酸は、別の核酸配列と機能的な関係に置かれている場合、「機能的に連結され」ている、と言われる。例えば、プレ配列または分泌リーダーに対するDNAとポリペプチドに対するDNAとが連結しており、そのポリペプチドの分泌に関与する前駆タンパク質として該ポリペプチドが発現すれば、これらは機能的に連結されており;プロモーターまたはエンハンサーがコード配列に連結しており、配列の転写に影響を与えれば、これらは機能的に連結されており;または、リボソーム結合部位がコード配列に連結しており、翻訳を促進するような位置にあれば、これらは機能的に連結されている。一般に、「機能的に連結された」とは、連結されているDNA配列が互いに近接し、また、分泌リーダーの場合は、配列が隣接しリーディングフェーズ(reading phase)にあることを意味する。しかし、エンハンサーは隣接している必要はない。連結は、好都合な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位がない場合、合成オリゴヌクレオチドのアダプターまたはリンカーを従来の実施方法に従い使用する。
【0093】
用語「アミノ酸」とは、天然及び/または非天然型アミノ酸を指し、当該技術分野の通常の意味を含む。アミノ酸は、標準または非標準アミノ酸とも言われる。
【0094】
用語「ポリペプチド」または「タンパク質」とは、野生型タンパク質、すなわち、天然型の、組換え型ではない細胞により産生されたタンパク質のアミノ酸配列を有する高分子を意味するか;または、遺伝子操作もしくは組換えを行った細胞により産生され得るタンパク質であり、かつ、野生型タンパク質のアミノ酸配列を有する分子、もしくは野生型配列のアミノ酸の1以上について欠失、付加、及び/もしくは置換を有する分子を含むタンパク質を意味する。かかる用語には、1以上のアミノ酸が、対応する天然型アミノ酸及び重合体の化学的類似体であるアミノ酸重合体も含まれる。用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、特に、CB1受容体抗原結合タンパク質、抗体、または抗原結合タンパク質のアミノ酸の1つ以上について欠失、付加、及び/もしくは置換を有する配列を包含する。用語「ポリペプチド断片」とは、アミノ末端の欠失、カルボキシル末端の欠失、及び/または完全長野生型タンパク質と比較した場合に配列内の欠損を有するポリペプチドをいう。このような断片に、野生型タンパク質と比較した場合に修飾のあるアミノ酸を含有させることもできる。さまざまな実施形態では、断片長は約5~約500アミノ酸であり得る。例えば、断片長は、少なくとも約5、約6、約8、約10、約14、約20、約50、約70、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約約400、または約450アミノ酸であり得る。有用なポリペプチド断片としては、結合ドメインを含め、抗体の免疫学的に機能的な断片がある。CB1受容体-結合抗体の場合、有用
な断片には、CDR領域、重鎖及び/もしくは軽鎖の可変ドメイン、抗体鎖の一部、またはそのうち、1、2、3、4、5もしくは6のCDRを含んでいる可変領域のみ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
用語「単離されたタンパク質」は、対象タンパク質が、(1)通常であればともに見られる少なくとも他のいくつかのタンパク質を含んでいない、(2)同一の供給源、例えば、同一種からの他のタンパク質を本質的に含んでいない、(3)異なる種の細胞により発現する、(4)自然界ではともに会合しているポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、または他の物質から少なくとも約50パーセント分離されている、(5)自然界ではともに会合しないポリペプチドと(共有結合または非共有結合的な相互作用により)機能的に会合しているは、または(6)自然界には存在しない、ことを意味する。単離されたタンパク質は、CB1抗原結合タンパク質または抗体であり得る。典型的に、「単離されたタンパク質」は、試料の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%またはそれ以上を占め得る。合成由来のゲノムDNA、cDNA、mRNAもしくは他のRNA、またはそれらの任意の組み合わせは、かかる単離されたタンパク質をコードすることができる。さまざまな実施形態では、単離されたタンパク質は、それを治療、診断、予防、調査または他の用途に使用した場合に障害となることが考えられるような、その天然の環境では存在するタンパク質またはポリペプチドまたは他の混入物質を実質的に含まない。単離された「抗原結合タンパク質」または「単離された抗体」は、「単離されたタンパク質」とみなすことができる。さまざまな実施形態では、抗原結合タンパク質は、単離された抗原結合タンパク質または単離された抗体であり得る。
【0096】
ポリペプチド(例えば、抗原結合タンパク質、または抗体)の「多様体」または「変異体」は、別のポリペプチド配列に比べてアミノ酸配列の1以上のアミノ酸残基に、挿入、欠失及び/または置換がなされているアミノ酸配列を含む。多様体には融合タンパク質が含まれる。
【0097】
本明細書で使用する場合、一般的な20種類(標準または天然型)のアミノ酸及びそれらの略語は従来用法に従っている。Immunology-A Synthesis(2nd Ed.,E.S.Golub&D.R.Gren,Eds.,Sinauer Assoc.,Sunderland,Mass.(1991))を参照のこと。なお、これは、何らかの目的で参照することにより本明細書に組み込まれる。従来の20種類のアミノ酸の立体異性体(例えば、D-アミノ酸)、α-、α-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸、及び他の非従来型アミノ酸のような異形アミノ酸も、本明細書に記載するさまざまな実施形態のポリペプチドの好適な構成要素となり得る。非従来型アミノ酸の例としては、4-ヒドロキシプロリン、γカルボキシグルタミン酸、ε-N、N、N-トリメチルリジン、ε-N-アセチルリジン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、σ-N-メチルアルギニン、並びに他の類似のアミノ酸及びイミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明細書で使用するポリペプチドの注釈では、標準的な用法及び慣用に従い、左方向はアミノ末端の方向、また右方向はカルボキシ末端の方向である。
【0098】
保存的アミノ酸置換は、生物系での合成ではなく化学的ペプチド合成により典型的に組み込まれる非天然型アミノ酸残基を包含することができる。これらには、ペプチドミメティクス及び他のアミノ酸部分逆転型または反転型が含まれる。
【0099】
天然型残基は、側鎖の共通する特性に基づきそれぞれのクラスに分類することができる:
・ 疎水性:Norleucine、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
・ 中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
・ 酸性:Asp、Glu;
・ 塩基性:His、Lys、Arg;
・ 鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;並びに
・ 芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0100】
例えば、非保存的置換では、これらのクラスのあるメンバーと別のクラスのメンバーとの交換を行うことが可能である。こうして置換した残基を、例えば、ヒト抗体の非ヒト抗体と相同な領域に、または分子の非相同領域に導入することができる。
【0101】
抗原結合タンパク質(抗体などの)に変更を行う際、特定の実施形態によれば、アミノ酸の疎水性親水性指標を考慮に入れることができる。各アミノ酸は、その疎水性と電荷特性に基づいて疎水性親水性指標が付されている。これらのアミノ酸とは、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(-0.4)、スレオニン(-0.7)、セリン(-0.8)、トリプトファン(-0.9)、チロシン(-1.3)、プロリン(-1.6)、ヒスチジン(-3.2)、グルタマート(-3.5)、グルタミン(-3.5)、アスパラギン酸(-3.5)、アスパラギン(-3.5)、リシン(-3.9);並びにアルギニン(-4.5)である。
【0102】
タンパク質上での生物学的な相互作用機能を検討する際にアミノ酸の疎水性親水性指数が重要であることは当該技術分野で理解されている。Kyte,ら.,J.Mol.Biol.,157:105~131、(1982)。特定のアミノ酸は、同様の疎水性親水性指標またはスコアを有する別のアミノ酸と置換してもなお、同様の生物学的活性を保持できることが知られている。疎水性親水性指標に基づき変更を行う際、ある実施形態では、疎水性親水性指標が±2以内のアミノ酸の置換を含む。ある実施形態では、±1以内のアミノ酸を含み、また、ある実施形態では、±0.5以内のものを含む。
【0103】
類似のアミノ酸置換は、特に、それにより作製された生物学的に機能的なタンパク質またはペプチドが免疫学的実施形態で使用することが意図される場合、親水性に基づいて有効に行うことができることも当該技術分野で理解されている。ある実施形態では、タンパク質の局所的最大平均親水値は、そのタンパク質が隣接するアミノ酸の親水性に左右され、その免疫原性及び抗原性と相関する、すなわち、タンパク質の生物学的特性と相関する。
【0104】
これらのアミノ酸残基の親水性値は以下の通りである:アルギニン(+3.0)、リシン(+3.0)、アスパラギン酸(+3.0±1)、グルタマート(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、スレオニン(-0.4)、プロリン(-0.5±1)、アラニン(-0.5)、ヒスチジン(-0.5)、システイン(-1.0)、メチオニン(-1.3)、バリン(-1.5)、ロイシン(-1.8)、イソロイシン(-1.8)、チロシン(-2.3)、フェニルアラニン(-2.5)、及びトリプトファン(-3.4)。親水性値に基づき変更を行う際、ある実施形態では、親水性値が±2以内のアミノ酸の置換を含み、ある実施形態では、±1以内のアミノ酸を含み、また、ある実施形態では、±0.5以内のものを含む。一次アミノ酸配列から親水性を基にエピトープを同定することも可能である。これらの領域は、「エピトープのコア領域」とも呼ぶ。
【0105】
例示的なアミノ酸置換を、表1に記載する。
表1:アミノ酸置換
【表1-1】


【表1-2】
【0106】
用語「誘導体」とは、アミノ酸(または核酸)の挿入、欠失、もしくは置換以外の化学修飾を含む分子を指す。ある実施形態では、誘導体は共有結合的な修飾を含み、これには例えば、重合体、脂質、または他の有機もしくは無機部分との化学結合があるが、これらに限定されない。ある実施形態では、化学修飾された抗原結合タンパク質は、化学修飾されていない抗原結合タンパク質よりも循環血中半減期が長くなり得る。ある実施形態では、化学修飾された抗原結合タンパク質は、所望の細胞、組織、及び/または臓器に対するさらに改善された標的能力を有し得る。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質の誘導体は共有結合修飾され水溶性重合体の結合を1つ以上含み、これらとしては、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、U.S.Patent No.4,640,835;4,496,689;4,301,144;4,670,417;4,791,192及び4,179,337を参照のこと。ある実施形態では、抗原結合タンパク質の誘導体は重合体を1つ以上含み、これらとしては、モノメトキシポリエチレングリコール、デキストラン、セルロースなど炭水化物系重合体、ポリ(N-ビニルピロリドン)-ポリエチレングリコール、プロピレングリコール単独重合体、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、オキシエチル化されたポリオールの重合体(例えば、グリセロール)及びポリビニルアルコール、並びにこのような重合体の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
ある実施形態では、誘導体を、ポリエチレングリコール(PEG)のサブユニットで共有結合修飾する。ある実施形態では、1つ以上の水溶性重合体を、誘導体の1か所以上の特定位置、例えばアミノ末端で、結合する。ある実施形態では、1つ以上の水溶性重合体は、誘導体の1つ以上の側鎖に無作為に結合している。ある実施形態では、抗原結合タンパク質の治療的能力改善のためにPEGを使用する。ある実施形態では、ヒト化抗体の治療的能力改善のためにPEGを使用する。このような方法の特定のものは、例えば、U.S.Patent No.6,133,426で考察されており、これは、何らかの目的で参照することにより本明細書に取り込まれる。
【0108】
ペプチド類似体は、一般に、鋳型(template)ペプチドと似た特性を有する非ペプチド薬物として医薬業界においてに使用されている。こうした種類の非ペプチド化合物を、「ペプチド模倣物質」または「ペプチドミメティクス」という。Fauchere,J.,Adv.DrugRes.,15:29、(1986);Veber&Freidinger,TINS,p.392、(1985);並びにEvansら.,J.Med.Chem.,30:1229、(1987)、これらは、何らかの目的で参照することにより本明細書に組み込まれる。このような化合物は、コンピュータを使用した分子モデリングで作製されることが多い。治療的に有用なペプチドと構造的に類似したペプチド模倣物質を使用し、治療的または予防的効果を同様に得ることができる。一般に、ペプチドミメティクスは、ヒト抗体のような規範となるポリペプチド(すなわち、生化学的特性または薬理学的活性を有するポリペプチド)と構造的に類似しているが、当技術分野において周知の方法により、--CHNH--、--CHS--、--CH-CH--、--CH=CH-(シス&トランス)、--COCH--、--CH(OH)CH--、及び--CHSO--から選択される少なくとも1つの結合で必要に応じて置換されるペプチド結合を1つ以上有している。ある実施形態では、より安定なペプチドを作製するために、コンセンサス配列のアミノ酸1以上を同一種のD-アミノ酸(例えば、L-リシンの代わりにD-リシン)と系統的に置換する方法を使用できる。さらに、コンセンサス配列または実質的に同一なコンセンサス配列の変形配列を含む規制(constrained)ペプチドは、当技術分野で公知の方法(Rizo&Gierasch,Ann.Rev.Biochem.,61:387、(1992)。なお、これを何らかの目的で参照することにより本明細書に組み込まれる)、例えば、分子内でジスルフィド架橋を形成してペプチドを環化させることができる内部システイン残基を加える方法により作製可能である。
【0109】
本明細書全体を通してポリペプチド、核酸、宿主細胞などの生物学的材料と関連させて使用される用語「天然型」とは、自然界に見られる物質または自然界に見られる物質の形態をいう。
【0110】
用語「同一な」またはパーセントの「同一性」とは、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈においては、BLASTまたはBLAST2.0配列比較アルゴリズムを下記で記載のデフォルトパラメータで使用して、または手動アライメントで目視確認で測定した場合に、2以上の配列または部分配列が、同一であるか、または同一であるアミノ酸残基もしくはヌクレオチドを特定の割合で有することをいう(例えば、さまざまな実施形態では、最大対応箇所について比較枠(comparison window)または指定領域上で比較及びアライメントを行った場合に、抗原結合タンパク質は、本明細書で提示する配列に対し、ある特定領域にわたって約60%の同一性、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはそれ以上の同一性を有してよい)(例えば、NCBIのウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/などを参照のこと)。また、このような配列は、「実質的に同一である」と言われる。この定義は、試験配列のコンプリメント(compliment)配列をも指す、すなわち、適応してもよい。かかる定義には、欠失及び/または付加を有する配列、並びに置換を有する配列も含まれる。本明細書に記載のように、各アルゴリズムはギャップなどを考慮することができる。さまざまな実施形態では、同一性は、長さが少なくとも約25アミノ酸、約50アミノ酸もしくはヌクレオチドである領域にわたり存在するか、または長さが50~100アミノ酸またはヌクレオチドである領域にわたり存在する。
【0111】
配列比較の場合、典型的に1つの配列をリファレンス配列とし、それに対して試験配列の比較を行う。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列及びリファレンス配列をコンピュータに入力して必要に応じて部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムのパラメータを指定する。デフォルトのプログラムパラメータを使用するか、または代替パラメータを指定することができる。その後、配列比較アルゴリズムにより、リファレンス配列に対する試験配列の配列同一性パーセントがプログラムパラメータに基づいて計算される。
【0112】
「比較枠(comparison window)」には、所望の連続位置番号のいずれか1つの位置のセグメントに対するリファレンスが含まれる。いくつかの実施形態では、「比較枠(comparison window)」は、約50~約200、または約100~約150、または150それ以上からなる群から選択することができるが、そのように所望される場合は、比較対象配列及びそれと同じ連続位置番号のリファレンス配列を最適にアライメントしてから2配列の比較を行ってよい。比較対象配列のアライメント方法は、当技術分野で周知である。比較対象配列の最適アライメントは、例えば、Smith&Watermanの局所相同性アルゴリズム、Adv.Appl.Math.、2:482、(1981)により;Needleman&Wunschの相同性アライメントアルゴリズム、J.Mol.Biol,.48:443、(1970)により;Pearson&Lipmanの類似性検索法、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,85:2444、(1988)により;これらのアルゴリズム実装コンピュータ(Genetics Computer Group、575 Science Dr.Madison,Wis.のWisconsin Genetics Software Package内GAP,BESTFIT,FASTA,及びTFASTA)により;または、手動アライメントで目視確認(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubelら.,eds.1995 補遺)を参照のこと)により、実施可能である。
【0113】
配列同一性及び配列類似性の割合測定に好適なアルゴリズムの例にBLAST及びBLAST2.0アルゴリズムがあり、それぞれ、Altschulら.,Nuc.Acids Res.、25:3389~3402、(1977)、及びAltschulら.,J.Mol.Biol.、215:403~410、(1990)に記載されている。本明細書に記載のパラメータでBLAST及びBLAST2.0を使用し、さまざまな実施形態の核酸及びタンパク質について配列同一性の割合を測定する。BLAST解析実行用ソフトウェアは、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)に公開されており入手可能である。このアルゴリズムではまず問い合わせ配列内で長さが短いワードWを同定することによりスコアの高い配列ペア(HSP:high scoring sequence pairs)を同定するが、このワードWは、データベース配列内の同じ長さのワードとアライメントを行った場合に閾値スコアTの正の値と一致するかまたはそれを満たすワードである。Tは隣接ワード(neighborhood word)スコア閾値といわれる(Altschulら、前出)。こうして最初に見つかった隣接ワード(neighborhood word)をもとに、これらが含まれている、長さのより長いHSPの検索を開始する。見つかったワードを各配列の両端方向へ伸ばしていき、累積アライメントスコアが高くなる限り伸展させる。累積スコアは、ヌクレオチド配列には、パラメータM(一致する残基1組の報酬スコア;常に>0)及びN(一致しない残基;常に<0)を使用して計算する。アミノ酸配列の場合は、スコア行列を使用して累積スコアを計算する。累積アライメントスコアが到達最大値から量X下がった場合;残基アライメントスコアで負の値が1以上蓄積したために累積スコアがゼロ以下になる場合;または配列の終端に到達した場合は、見つかったワードの各方向への伸展を中止する。BLASTアルゴリズムパラメータのW、T、及びXに応じて、アライメントの感度及び速度が決まる。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列の場合)では、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4及び両鎖比較がデフォルトで使用される。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、ワード長3、及び期待値(E)10をデフォルトで使用し、BLOSUM62スコア行列(Henikoff&Henikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:10915、(1989)を参照のこと)はアライメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4、及び両鎖比較をデフォルトで使用する。
【0114】
用語「対照配列」とは、その連結先であるコード配列の発現及びプロセッシングに影響を与えるポリヌクレオチド配列をいう。このような対照配列の性質は宿主生物に応じて異なりうる。特定の実施形態では、原核生物の対照配列に、プロモーター、リボソーム結合部位、及び転写終結配列を含めることができる。例えば、真核生物の対照配列には、転写因子、転写エンハンサー配列、及び転写終結配列に対する単数または複数の認識部位を含むプロモーターを含めることができる。「対照配列」は、リーダー配列及び/または融合相手の配列を含むことができる。
【0115】
用語「ベクター」は、タンパク質コード情報を宿主細胞内に導入するために使用するあらゆる分子または実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージまたはウイルス)を意味する。
【0116】
用語「発現ベクター」または「発現構成体」とは、宿主細胞の形質転換に好適であり、かつ、それに機能的に連結された1か所以上の異種コード領域の発現を指令及び/または制御する(宿主細胞と共に)核酸配列を含有するベクターをいう。発現構成体には、転写、翻訳に影響を与えるかまたは制御する配列、及び、イントロンがある場合は、機能的に連結したコード領域のRNAスプライシングに影響を与える配列を非限定的に含むことができる。本明細書に記載のさまざまな実施形態に有用な発現ベクターは、発現させようとするDNA配列または断片に機能的に連結した発現制御配列を少なくとも1つ含有することができる。制御配列を、クローニングしたDNA配列の発現を制御し調節するためにベクターに挿入する。有用な発現制御配列の例は、lac系、trp系、tac系、trc系、ラムダファージの主なオペレーター及びプロモーター領域、fd外被タンパク質の制御領域、酵母解糖系プロモーター、例えば、3-ホスホグリセロール酸キナーゼのプロモーター、酵母の酸性ホスファターゼプロモーター、例えば、酵母α接合因子プロモーターであるPho5、並びにポリオーマ、アデノウイルス、レトロウイルス、及びシミアンウイルスに由来するプロモーター、例えば、早期及び晩期のプロモーターまたはSV40、並びに原核細胞または真核細胞の遺伝子発現及びこれらの細胞のウイルスもしくはその組み合わせを制御することが知られている他の配列である。
【0117】
用語「宿主細胞」は、核酸配列を用いてこれまでに形質転換されている、または形質転換を行うことが可能で、これにより対象遺伝子を発現する細胞を意味する。かかる用語には親細胞の後代が含まれ、対象遺伝子が存在するかぎり、その後代が形態面または遺伝子構造面で元の親細胞と同一であるかないかは問わない。
【0118】
用語「トランスフェクション」は、細胞による外来または外因性DNAの取り込みを意味し、外因性のDNAが細胞膜内側に導入されたとき、その細胞は「トランスフェクトされた」という。多数のトランスフェクション技術が当技術分野において周知であり、本明細書に開示されている。例えば、Grahamら、1973、Virology52:456;Sambrookら、2001、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,前出;Davisら、1986、Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier;Chuら、1981,Gene 13:197を参照のこと。このような技術を使用して1つ以上の外因性DNA部分を好適な宿主細胞内に導入することができる。トランスフェクションは一過性であってよい。
【0119】
用語「形質転換」とは、細胞の遺伝的特徴の変化をいい、細胞が修飾されて新しいDNAまたはRNAを含有する場合、その細胞は形質転換されたという。例えば、トランスフェクション、形質導入、または他の技術を介して新しく遺伝物質を導入したことにより、細胞がその野生型状態に遺伝的修飾を受けている場合、細胞は形質転換されている。トランスフェクションまたは形質導入の後、形質転換しているDNAは、細胞の染色体内に物理的に組み込んで細胞のDNAと組み換えることができるか、または、複製はせずにエピソーム因子として一過的に維持することができるか、または別個にプラスミドとして複製することができる。形質転換しているDNAが細胞分裂で複製される場合、その細胞は「安定に形質転換された」とみなされる。
【0120】
抗体または免疫グロブリン鎖(重鎖または軽鎖)の抗原結合タンパク質の「免疫学的に機能的な断片」(または、単に「断片」)という用語は、本明細書で使用する場合、完全長鎖に存在するアミノ酸が少なくともいくつか欠失してはいるが抗原特異的な結合能を失っていない抗体の一部分(その部分を入手または合成した方法は問わない)を含む抗原結合タンパク質種である。
【0121】
「特異的結合」、「特異的に結合する(specifically binds)」または「特異的に結合する(binds specifically)」とは、抗原結合タンパク質がCB1に選択的に結合する意味であることを理解されるべきである。しかしながら、これは必ずしも、抗原結合タンパク質がCB1以外のタンパク質に結合することを除外するわけではない。さまざまな実施形態では、他のタンパク質への結合は、結合した全タンパク質の約5%未満、約10%未満、約15%未満、約20%未満または約25%未満を占める。「特異的に結合する」CB1抗原結合タンパク質は、CB1またはCB1の特定配列、例えば、CB1細胞外ドメインに主に結合する。「特異的に結合する(Binds specifically)」または「特異的に結合する(binds specifically)」は、記載した標的(複数可)または特異配列以外への結合を除外すると解釈されるべきではないが、主な結合活性は特定の標的(複数可)またはアミノ酸配列に対するものであるべきである。
【0122】
抗原結合タンパク質の断片は生物学的に活性であり、ここで、それらの断片は標的抗原に結合し、完全抗体など他の抗原結合タンパク質と競合して所与のエピトープまたは抗原に結合することができる。いくつかの実施形態では、断片は、中和断片である。いくつかの実施形態では、断片は、CB1とそのリガンド(複数可)とが相互作用する可能性を遮断または抑制することができる。ある態様では、このような断片は、完全長の軽鎖または重鎖に存在するCDRの少なくとも1つが保持され、また、いくつかの実施形態では、1本の重鎖及び/または軽鎖またはその一部が含まれる。これらの生物学的に活性な断片は、組換えDNA技術により産生され得るか、または完全抗体などの抗原結合タンパク質を酵素的にもしくは化学的に切断することにより産生され得る。免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片としては、非限定的に、Fab、二重特異性抗体(diabody)(軽鎖可変ドメインがある同一ポリペプチド上で重鎖可変ドメインが、同一鎖上で2つのドメインをペアにするには短すぎる、短いペプチドリンカーを介して接続されている)、Fab’、F(ab’)、Fv、ドメイン抗体及び一本鎖抗体が含まれ、かかる断片は、ヒト、マウス、ラット、ラクダ科動物またはウサギを含むが、これらに限定されない、あらゆる哺乳類供給源に由来してよい。本明細書に開示する抗原結合タンパク質の機能的部分、例えば、1つ以上のCDRは、体内の特定の標的へ向かい、二面的な治療的特性を有する、または血清半減期が長い治療剤を創製するために、第2のタンパク質または低分子に共有結合が可能であることがさらに意図される。当業者には理解されるであろうが、抗原結合タンパク質は、非タンパク質成分を含むことができる。
【0123】
本明細書に記載する特定の抗原結合タンパク質は、抗体であるか、または抗体由来である。ある実施形態では、抗原結合タンパク質のポリペプチド構造は、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、小型抗体(minibodies)、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では「疑似抗体」といわれることもある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体融合体(本明細書では「抗体複合体」といわれることもある)、及びそれぞれの断片を含むが、これらに限定されない抗体に基づいている。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質はアビマー(avimer)(結合の強いペプチド)を含む、またはアビマー(avimer)からなる。
【0124】
「Fc」領域は、抗体のC1及びC2ドメインを含む重鎖断片を2つ含む。この2つの重鎖断片は、2以上のジスルフィド結合、及びC3ドメインの疎水性相互作用により結合している。
【0125】
「Fab断片」は、1本の軽鎖並びに1本の重鎖のC1及び可変領域を含む。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。
【0126】
「Fab’断片」は、軽鎖1本並びにVドメイン及びC1ドメインのほかにC1とC2ドメインの間の領域も含有する1本の重鎖の一部を含み、2つのFab’断片の2本の重鎖間にジスルフィド結合が形成されてF(ab’)分子が形成され得るようにする。
【0127】
「F(ab’)断片」は、軽鎖2本及びC1とC2ドメインの間の定常領域の一部を含有する2本の重鎖を含有し、その2本の重鎖間にジスルフィド結合が形成されるようにする。したがって、F(ab’)断片は、2本の重鎖間がジスルフィド結合で結合した2つのFab’断片で構成される。
【0128】
「Fv領域」は、重鎖及び軽鎖それぞれの可変領域を含むが、定常領域はない。
【0129】
「一本鎖抗体」は、Fv分子であり、これにおいて、重鎖及び軽鎖のそれぞれの可変領域は可動性リンカーにより接続されて1本のポリペプチド鎖が形成され、これが抗原結合領域を形成する。一本鎖抗体は、国際特許出願公開WO88/01649及びU.S.Patent第4,946,778号及び第5,260,203号で詳細に論じられており、それらの開示内容は参照により取り込まれる。
【0130】
「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含有する免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片である。ある場合には、2つ以上のV領域はペプチドリンカーで共有結合で繋がれ二価のドメイン抗体を創る。二価のドメイン抗体の2つのV領域は同一または異なる抗原を標的にすることができる。
【0131】
「二価の抗原結合タンパク質」または「二価抗体」は、2か所の抗原結合性部位を含む。ある場合には、かかる2か所の結合部位は同一の抗原特異性を有している。二価の抗原結合タンパク質及び二価抗体は、本明細書で定義されるように二重特異性であり得る。ある実施形態では、「多重特異性」または「多機能性」抗体以外の二価抗体は、典型的に、各々の結合部位が同一であると理解される。
【0132】
「多重特異性抗原結合タンパク質」または「多重特異性抗体」は、1つ以上抗原またはエピトープを標的にするものである。
【0133】
「二重特異性」、「CB1特異的」、もしくは「二機能性」である抗原結合タンパク質または抗体は、それぞれ、異なる抗原結合性部位を2か所有するハイブリッド抗原結合タンパク質または抗体である。二重特異性抗原結合タンパク質及び抗体は、多重特異性抗原結合タンパク質抗体であり、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結を含むが、これらに限定されないさまざまな方法で作製され得る。例えば、Songsivilai and Lachmann、1990、Clin.Exp.Immunol.、79:315~321;Kostelnyら、1992,J.Immunol.、148:1547~1553を参照のこと。二重特異性の抗原結合タンパク質または抗体の2か所の結合部位は、2つの異なるエピトープに結合するが、これらのエピトープは同一標的タンパク質上にあっても、または異なる標的タンパク質上にあってもよい。
【0134】
個々のCB1免疫グロブリン鎖の各々は、典型的に、いくつかの「免疫グロブリンドメインで構成される」。これらのドメインは、抗体ポリペプチドを構成する塩基性ユニットである。ヒトでは、IgA及びIgDのアイソタイプは重鎖4本及び軽鎖4本を含有し、;IgG及びIgEのアイソタイプは、重鎖2本及び軽鎖2本を含有し;また、IgMのアイソタイプは重鎖5本及び軽鎖5本を含有する。重鎖C領域は典型的に、エフェクター機能に関与し得るドメインを1つ以上含む。重鎖の定常領域ドメインの数はアイソタイプにより決まる。IgG重鎖は、例えば、C1、C2及びC3として知られる3つのC領域ドメインを含有する。提供する抗体は、これらのアイソタイプおよびサブタイプのいずれを有してもよい。
【0135】
「抗原結合領域」は、特定の抗原を特異的に結合するタンパク質、またはタンパク質の一部(例えば、パラトープ)であることを意味する。例えば、抗原と相互作用し、かつ、かかる抗原に対する自身の特異性と親和性を抗原結合タンパク質に与えるアミノ酸残基が含有された抗原結合タンパク質の部分を「抗原結合領域」と呼ぶ。抗原結合領域は、典型的に、1つ以上の相補性結合領域(Complementary Binding Regions)(CDR)を含む。特定の抗原結合領域は、1つ以上の「フレームワーク」領域も含む。「CDR」は、抗原結合の特異性及び親和性に寄与するアミノ酸配列である。「フレームワーク」領域は、CDRの適切なコンホメーションが維持されるように働いて抗原結合領域と抗原との間の結合を促進することができる。構造的には、フレームワーク領域を、抗体内のCDRに挟まれる部分に位置させることができる。
【0136】
特定の態様では、CB1受容体を結合する組換え型抗原結合タンパク質を提供する。この文脈において、「組換え型抗原結合タンパク質」は、組換え技術を使用して、すなわち、本明細書に記載する組換え型核酸を発現させることにより作製されたタンパク質である。組換えタンパク質の方法及び技術は、当技術分野において周知である。
【0137】
用語「抗体」とは、標的抗原に対する特異結合で完全抗体と競合することができる、任意のアイソタイプの完全状態の免疫グロブリン、またはその断片をいい、これには、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、及び二重特異性抗体が含まれる。「抗体」は、抗原結合タンパク質種である。完全抗体は、一般に、完全長重鎖2本と完全長軽鎖2本を少なくとも含むが、ある場合には、重鎖しか含むことができないラクダ科動物の天然型抗体のように少ない数の鎖を含むことができる。抗体は、単一供給源のみに由来し得るか、または、下記で詳述するように、抗体の異なる部分が異なる2抗体に由来してよい、いわゆる、「キメラ」であり得る。抗原結合タンパク質、抗体、または結合断片は、組換えDNA技術、または完全抗体を酵素的もしくは化学的に切断することにより、ハイブリドーマに作製可能である。特に明記しない限り、用語「抗体」には、完全長重鎖2本及び完全長軽鎖2本を含む抗体に加え、誘導体、多様体、断片、及びそれらの変異タンパク質が含まれ、これらの例を以下に記載している。さらに、明白に除外しない限り、抗体には、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、小型抗体(minibodies)、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では「疑似抗体」といわれることもある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体融合体(本明細書では「抗体複合体」といわれることもある)、及びそれぞれの断片が含まれる。いくつかの実施形態では、かかる用語はペプチボディも包含する。
【0138】
天然型抗体の構造ユニットは、典型的に、四量体を含む。このような四量体はそれぞれ典型的に同一な2対のポリペプチド鎖で構成され、各対は、完全長「軽」鎖1本及び完全長「重」鎖1本を有している。各鎖のアミノ末端部分は、典型的に、抗原認識に典型的に関与する可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、典型的に、エフェクター機能に関与し得る定常領域を決定する。軽鎖/重鎖の各対の可変領域は典型的に抗原結合性部位を形成する。
【0139】
可変領域は、典型的に、相補性決定領域すなわちCDRとも呼ばれる超可変領域3つと、比較的保存されているフレームワーク領域(FR)とが繋がっている、同じ一般構造をしている。各対の2本の鎖のCDRは、典型的に、フレームワーク領域ごとに配されており、特定のエピトープへの結合を可能にする。N末端からC末端へ向かって、軽鎖及び重鎖の両可変領域は、典型的に、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4の各ドメインを含む。各ドメインのアミノ酸配置は典型的に、Kabatの定義Sequences of Proteins of Immunological Interest(米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)、Bethesda、Md.、(1987及び1991)、またはChothia&Lesk、J.Mol.Biol.、196:901~917、(1987);Chothiaら.,Nature、342:878~883、(1989))に従う。
【0140】
ある実施形態では、抗体の重鎖は、抗体の軽鎖の非存在下で抗原に結合する。ある実施形態では、抗体の軽鎖は、抗体の重鎖の非存在下で抗原に結合する。ある実施形態では、抗体結合領域は、抗体の軽鎖の非存在下で抗原に結合する。ある実施形態では、抗体結合領域は、抗体の重鎖の非存在下で抗原に結合する。ある実施形態では、indiviCB1の可変領域は、他の可変領域の非存在下で抗原に特異的に結合する。
【0141】
ある実施形態では、CDR像、並びに抗体の結合部位を含む残基の同定は、抗体の構造を解くことによって、及び/または抗体-リガンド複合体の構造を解くことによって最終的に明らかになる。ある実施形態では、X線結晶解析のような、当業者に公知のさまざまな技術のいずれによっても達成できる。ある実施形態では、CDR領域を同定する、または近似領域を求めるためにさまざまな解析方法を使用することができる。このような方法の例としては、Kabatの定義、Chothiaの定義、“AbM”定義及び接触の定義が含まれるが、これらに限定されない。
【0142】
Kabatの定義は、抗体の各残基に番号付けをするための標準であり、CDR領域を同定するために典型的に使用される。例えば、Johnson&Wu,核c Acids Res.、28:214-8、(2000)を参照のこと。Chothiaの定義はKabatの定義と似ているが、Chothiaの定義では特定の構造ループ領域の位置を考慮に入れる。例えば、Chothiaら.,J.Mol.Biol.、196:901~17,(1986);Chothiaら.,Nature、342:877~83、(1989)を参照のこと。“AbM”の定義は、Oxford Molecular Groupにより作成された、抗体構造のモデリングを行うコンピュータプログラム統合パッケージを使用する。例えば、Martinら.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、86:9268~9272、(1989);”AbM(商標)、A Computer Program for Modeling Variable Regions of Antibodies”、Oxford、UK;Oxford Molecular,Ltdを参照のこと。AbMの定義は、Samudralaら、“Ab
Initio Protein Structure Prediction Using a Combined Hierarchical Approach”、PROTEINS,Structure,Function and Genetics,補遺、3:194~198、(1999)に記載のような、知識データベースと各種ab initio方法との組み合わせを使用して一次配列から抗体の三次構造のモデリングを行う。接触の定義は、利用可能な複合体の結晶構造解析に基づいている。例えば、MacCallumら.,J.Mol.Biol.、5:732~45、(1996)を参照のこと。
【0143】
慣例により、重鎖CDR領域は、典型的に、H1、H2、及びH3と呼ばれ、アミノ末端からカルボキシ末端の方向へ順次番号付けされる。軽鎖CDR領域は、典型的に、L1、L2、及びL3と呼ばれ、アミノ末端からカルボキシ末端の方向へ順次番号付けされる。
【0144】
用語「軽鎖」には、完全長軽鎖、及び結合特異性を与えるために十分な可変領域配列を有する、完全長軽鎖の断片が含まれる。完全長軽鎖には、可変領域ドメインのV及び定常領域ドメインのCが含まれる。軽鎖の可変領域ドメインはポリペプチドのアミノ末端にある。軽鎖は、カッパ鎖とラムダ鎖を含む。
【0145】
さまざまな実施形態の抗体またはその断片のCB1受容体に対する特異性は、親和性及び/または結合力(avidity)に基づいて測定することができる。親和性は、抗体が結合した抗原の平衡解離定数(Kd)で表され、抗原決定基と抗体結合部位間の結合強度を測定する。結合力(avidity)は、抗体とその抗原間の結合強度を測定したものである。結合力(avidity)は、エピトープとそのエピトープに対する抗体上の抗原結合性部位との親和性、及び抗体の結合価の両方に関連しており、特定のエピトープに特異的な抗原結合性部位の数を指す。Kd値が小さいほど、抗原決定基と抗体結合部位間の結合強度は強い。
【0146】
用語「重鎖」には、完全長重鎖、及び結合特異性を与えるために十分な可変領域配列を有する、完全長重鎖の断片が含まれる。完全長重鎖には、可変領域ドメインのV、及び3つの定常領域ドメインC1、C2、及びC3が含まれる。Vドメインはポリペプチドのアミノ末端に、また、Cドメインはカルボキシル末端にあり、C3がポリペプチドのカルボキシ末端に最も近い。重鎖は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4の各サブタイプを含む)、IgA(IgA1及びIgA2の各サブタイプを含む)、IgM及びIgEなどいずれのアイソタイプでもよい。
【0147】
二重特異性抗体または二機能性抗体は、典型的に、重鎖/軽鎖の2対が異なり、かつ、2か所の結合部位が異なっている、人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab'断片の連結を含むが、これらに限定されないさまざまな方法で作製され得る。例えば、Songsivilaiら.,Clin.Exp.Immunol.、79:315~321、(1990);Kostelnyら.,J.Immunol.、148:1547~1553、(1992)を参照のこと。
【0148】
哺乳類の一部の種は、重鎖1本しか有さない抗体も産生することができる。
【0149】
個々のCB1免疫グロブリン鎖の各々は、典型的に、いくつかの「免疫グロブリンドメイン」で構成される。これらのドメインは、抗体ポリペプチドを構成する塩基性ユニットである。重鎖C領域は、典型的に、エフェクター機能に関与し得るドメインを1つ以上含む。重鎖の定常領域ドメインの数はアイソタイプにより決まる。提供する抗体は、アイソタイプおよびサブタイプのいずれを有してもよい。
【0150】
用語「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の軽鎖及び/または重鎖の一部をいう。ある実施形態では、異なる抗体間では、それらの可変領域は、たとえ同一種の抗体同士であってもアミノ酸配列が大きく異なる。抗体の可変領域は、典型的に、特定の抗体の特定の標的に対する特異性を決定する
【0151】
用語「中和抗原結合タンパク質」または「中和抗体」とは、それぞれ、リガンドに結合して、そのリガンドの結合相手にかかるリガンドが結合することを予防または抑制する、抗原結合タンパク質または抗体をいう。これは、例えば、リガンド上の結合部位を直接遮断することによって、またはリガンドに結合してリガンドの結合能力を間接的手段(リガンドの構造またはエネルギーの改変など)で改変することによって可能である。いくつかの実施形態では、かかる用語は、それが結合しているタンパク質が生物学的機能を果たせないように防ぐ抗原結合タンパク質も意味することができる。抗原結合タンパク質、例えば、抗体またはその免疫学的に機能的な断片の結合性及び/または特異性の評価において、過剰の抗体により、リガンドに結合した結合相手の量が少なくとも約1~20、約20~30%、約30~40%、約40~50%、約50~60%、約60~70%、約70~80%、約80~85%、約85~90%、約90~95%、約95~97%、約97~98%、約98~99%またはそれ以上減少する(インビトロ競合結合アッセイで測定した場合)場合、抗体または断片は、リガンドがその結合相手に結合するのを実質的に阻害することができる。いくつかの実施形態では、CB1受容体抗原結合タンパク質の場合は、こうした中和分子は受容体の結合能力を減退させることができる。いくつかの実施形態では、中和能力は明らかにされ、かつ/または競合アッセイを介して記載される。いくつかの実施形態では、中和能力はIC50値またはEC50値について記載される。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、非中和抗原結合タンパク質であってよい。
【0152】
用語「標的」とは、抗原結合タンパク質による結合を受けることが可能な分子または分子の一部をいう。ある実施形態では、標的には1つ以上のエピトープがあり得る。ある実施形態では、標的は抗原である。「抗原結合タンパク質」という語句において「抗原」を使用する場合、単に、かかる抗原を含むタンパク質配列が抗体により結合され得ること意味する。この文脈において、タンパク質が外来であること、または、免疫応答を誘導する能力があることは必要ではない。
【0153】
同一エピトープについて競合する抗原結合タンパク質(例えば、中和抗原結合タンパク質または中和抗体)という文脈で使用する「競合する(compete)」という用語は、抗原結合タンパク質同士が競合することを意味し、アッセイで測定した場合、被検抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその免疫学的に機能的な断片)は、参照抗原結合タンパク質(例えば、リガンドまたは参照抗体)が共通抗原(例えば、CB1またはその断片)に特異的に結合することを防ぐ、または阻害する(例えば、抑制する)。ある抗原結合タンパク質と別の抗原結合タンパク質とが競合するかどうかを測定するために多くの種類の競合結合アッセイを使用することができ、例えば:固相ラジオイムノアッセイ(RIA)直接法または間接法、固相酵素免疫測定法(EIA)直接法または間接法、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahliら、1983、Methods in Enzymology、9:242~253を参照のこと);ビオチン-アビジンEIA固相直接法(例えば、Kirklandら、1986,J.Immunol、.137:3614~3619を参照のこと)固相直接標識法、固相直接標識サンドイッチ法(例えば、Harlow and Lane,1988、抗体,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照のこと);I-125標識を使用する固相直接標識RIA(例えば、Morelら、1988、Molec.Immunol.、25:7~15を参照のこと);固相直接ビオチン-アビジンEIA法(例えば、Cheungら、1990、Virology,176:546~552を参照のこと);並びに直接標識RIA(Moldenhauerら、1990、Scand.J.Immunol.、32:77~82)がある。典型的に、このようなアッセイでは、非標識の被験抗原結合タンパク質及び標識した参照抗原結合タンパク質を担持する、固相の表面もしくは細胞に結合した精製抗原を使用する。競合的阻害は、被験抗原結合タンパク質の存在下で固相の表面または細胞に結合した標識の量を測定することにより求められる。通常は、被験抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合アッセイで同定された抗原結合タンパク質(競合する抗原結合タンパク質)は、参照抗原結合タンパク質と同一のエピトープに結合する抗原結合タンパク質、及び、立体障害のために、参照抗原結合タンパク質の結合を受けているエピトープに十分に近位で隣接するエピトープに結合する抗原結合タンパク質を含む。競合的結合の測定方法に関するさらなる詳細は、本明細書の実施例に提供されている。通常、競合する抗原結合タンパク質が過剰に存在する場合、参照抗原結合タンパク質の共通抗原に対する特異的結合が少なくとも約40~45%、約45~50%、約約50~55%、約55~60%、約60~65%、約65~70%、約70~75%または約75%またはそれ以上阻害(例えば、抑制)される。ある場合には、結合は、少なくとも約80~85%、約85~90%、約90~95%、約95~97%、または約97%またはそれ以上阻害される。
【0154】
用語「抗原」とは、抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその免疫学的機能的断片を含む)などの選択的結合性物質による結合を受けることが可能な分子または分子の一部をいう。いくつかの実施形態では、こうした抗原は動物に使用されて、その抗原に結合できる抗体を産生させることができる。抗原は、1つ以上のエピトープを持つことができ、それぞれ異なる抗原結合タンパク質、例えば、抗体と相互作用することができる。
【0155】
用語「エピトープ」は、抗体などの抗原結合タンパク質による結合を受けることができる、またはT細胞受容体に結合することができる、あらゆる決定基を含む。エピトープとは、抗原の一領域であり、その抗原を標的とする抗原結合タンパク質がそこに結合し、抗原がタンパク質の場合、抗原結合タンパク質と直接接触する特定アミノ酸を含む。ほとんどの場合、エピトープはタンパク質上にあるが、核酸などの他の分子種上にある場合もある。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基またはスルホニル基などの化学的に活性な表面分子団を含み、三次元構造の特異的特徴、及び/または特異的電荷特性を有することができる。一般に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、タンパク質の複合混合体及び/または高分子の標的抗原上のエピトープを選択的に認識する。
【0156】
本明細書で使用する場合、「実質的に純粋な」とは、記載される分子種が主な存在分子種である、すなわち、モルで、その同じ混合物内の他のどのindiviCB1種よりも豊富にあることを意味する。ある実施形態では、実質的に純粋な分子は、目的種が、そこに存在する全高分子種の少なくとも約50%(モルで)を構成する組成物である。その他の実施形態では、実質的に純粋な組成物は、その組成物に存在する全高分子種の少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%を構成する。その他の実施形態では、目的種は精製されて本質的に均質であり、ここでは、従来の検出方法で組成物内の汚染種が検出されず、したがって、その組成物は検出可能な高分子1種で構成される。さまざまな実施形態では、抗原結合タンパク質は、精製抗原結合タンパク質または精製抗体であり得る。
【0157】
用語「生物学的試料」には、本明細書で使用する場合、非限定的に、生物または生きていた生物に由来のあらゆる量の物質を含む。このような生物としては、ヒト、マウス、サル、ラット、ウサギなどの動物が含まれるが、これらに限定されない。そのような物質としては、血液、血清、尿、細胞、臓器、組織、骨、骨髄、リンパ節、及び皮膚が含まれるが、これらに限定されない。
【0158】
本明細書で使用する用語「医薬品組成物」(または薬剤または薬物)とは、患者に適切に投与した際に所望の治療効果を誘導することができる化学的化合物、組成物、薬剤または薬物をいう。これには必ずしも1種以上の成分を必要とするわけではない。
【0159】
用語「治療的有効量」及び「治療的有効用量」とは、哺乳類において治療応答を与えることが測定されたCB1受容体抗原結合タンパク質量をいう。このような治療的有効量は、当業者により確認され得る。正確な用量及び製剤は、治療目的に応じて決定され、公知の技術を使用して当業者により確認可能である(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(第1~3巻,1992);Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999);Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Gennaro,Editor(2003),and Pickar,Dosage Calculations(1999))を参照のこと。
【0160】
用語「薬理学的に許容される塩」または「薬理学的に許容される担体」は、本明細書に記載する化合物の特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸または塩基で調製される活性化合物の塩を含むことが意図される。
【0161】
用語「モジュレータ」は、本明細書で使用する場合、分子の活性または機能を変化させるかまたは改変する化合物である。例えば、モジュレータは、分子の特定の活性または機能の程度を、モジュレータの非存在下で観察される活性または機能の程度よりも高めるかまたは低下させることができる。ある実施形態では、モジュレータは阻害剤であり、分子の少なくとも1つの活性または機能の程度を低下させる。分子の特定の例示的な活性及び機能には、結合親和性、酵素活性、及びシグナル伝達が含まれるが、これらに限定されない。特定の例示的な阻害物質には、タンパク質、ペプチド、抗原結合性断片、抗体、ペプチボディ、炭水化物または有機低分子が含まれるが、これらに限定されない。抗体は、CB1 CB1受容体に対するよう作製され得る。ペプチボディは、例えば、U.S.Patent No.6,660,843(PCT出願第WO01/83525に相当)に記載されている。
【0162】
用語「患者」及び「被検者」は同義に使用され、ヒト及び非ヒト動物被検体で、以前に障害の診断を受けている、以前に障害が認められたが現在はない、診察を受けている、障害を発症するリスクがあるなどの被験体を含む。
【0163】
用語「治療する」及び「治療」には、治療的処置、予防的、及び、被検者が障害または他の危険因子を発症するリスクを低下させる適用が含まれる。治療は、障害の完全な治癒を必要としてはおらず、症状または根底にある危険因子低減させる実施形態を包含する。
【0164】
用語「予防する」は、事象の可能性を100%排除することを必要としていない。むしろ、事象が発現する可能性が化合物または方法の存在下で低下したことを意味する。
【0165】
標準的な技術を使用して、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、並びに組織培養及び形質転換(例えば、電気穿孔法、リポフェクション法)を行うことができる。酵素反応及び精製技術は、製造者の規格にしたがって、または当該技術分野で一般的な方法で、または本明細書の記載にしたがって実施することができる。上述の技術及び手順は、一般に、当技術分野において周知の従来方法、並びに、本明細書全体を通じて引用及び論じられている、さまざまな一般文献及びより具体的な文献の記載に従い実施することができる。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))を参照のこと。なお、これは、何らかの目的で参照することにより本明細書に組み込まれる。特別に定義されない限り、本明細書に記載する分析化学、合成有機化学、及び創薬化学・医化学に関連して使用される、専門語並びに実験室手順及び技術は、当該技術分野で周知かつ一般に使用されるものである。標準的な技術を使用して、化学合成、化学解析、医薬調製、製剤化、及び送達、及び患者の治療が可能である。
【0166】
本明細書は、CB1受容体を結合する抗原結合タンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、提供される抗原結合タンパク質は、本明細書に記載のように、相補性決定領域(CDR)を1つ以上含むポリペプチドである。いくつかの抗原結合タンパク質では、CDRは「フレームワーク」領域に埋め込まれており、この領域は、CDR(複数可)の適切な抗原結合特性が達成されるようにCDR(複数可)の方向付けを行う。いくつかの実施形態では、本明細書で提供する抗原結合タンパク質は、CB1受容体を妨害、遮断、抑制または調節することができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供する抗原結合タンパク質は、CB1介在性の活性、例えば、リガンド結合を抑制することができる。その他の実施形態では、CB1受容体エピトープに結合する抗原結合タンパク質は、CB1受容体により媒介される生理的作用を抑制することができる。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、ヒト/マウスキメラのようなキメラである。
【0168】
抗原結合タンパク質は、さまざまな治療用途に使用できる。例えば、体重を減少させるため、または、例えば、血漿グルコース、インスリン、HDLコレステロール、トリグリセリド、アディポネクチン、及びHbA1c値といった代謝パラメータ、腹腔脂肪や肝脂肪、エネルギー消費、及び血圧を改善するために使用できる。
【0169】
いくつかの実施形態では、提供される抗原結合タンパク質は、1つ以上のCDR(例えば、1、2、3、4、5または6つのCDR)を含む。その他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、(a)ポリペプチド構造及び(b)そのポリペプチド構造に挿入されている、及び/または結合している1つ以上のCDRを含む。ポリペプチド構造は、多種多様な形態をとり得る。例えば、天然型抗体のフレームワーク、またはその断片もしくは多様体であり得る、もしくは含む、または完全に合成のものであり得る。
【0170】
ある実施形態では、抗原結合タンパク質のポリペプチド構造は、抗体であるか、または抗体由来であり、これらとしては、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、小型抗体(minibodies)、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では「疑似抗体」といわれることもある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体融合体(「抗体複合体」といわれることもある)、及び、それぞれの部分または断片を含むが、これらに限定されない~。ある場合には、抗原結合タンパク質は、抗体の免疫学的断片(例えば、Fab断片、Fab'断片
、F(ab')断片、Fv断片、二重特異性抗体(diabody)、またはscFv
などの一本鎖抗体分子)である。
【0171】
抗原結合タンパク質を治療用途使用する実施形態では、抗原結合タンパク質は、CB1の1つ以上の生物学的活性を抑制、妨害、または調節することができる。ある実施形態では、抗原結合タンパク質は、CB1受容体に特異的に結合し、かつ/または実質的にヒトCB1受容体の結合もしくはシグナル伝達を少なくとも約20%-40%、約40~60
%、約60~80%、約80~85%、またはそれ以上(例えば、インビトロアッセイで測定した場合)阻害する。
【0172】
本明細書で提供するいくつかの抗原結合タンパク質は抗体である。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、Kが約10-7、約10-8、約10-9、約10-10、約10-11、約10-12、約10-13Mより小さい(結合がより強い)。いくつかの
実施形態では、抗原結合タンパク質は、CB1受容体の結合またはシグナル伝達遮断のIC50が約1μM未満、約1000nM~約100nM、約100nM~約10nM、約約10nM~約1nM、約1000pM~約500pM、約500pM~約200pM、約200pM未満、約200pM~約150pM、約200pM~約100pM、約100pM~約10pM、約10pM~約1pMである。
【0173】
いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、CB1受容体の特定のコンホメーション状態に結合して受容体活性を妨げる。
【0174】
本明細書に記載する、CB1受容体に対する抗原結合タンパク質は、ヒト化抗体及び/またはその一部分を含むことができる。このような方法が実際に適用されるのは、マウス液性免疫系の「ヒト化」である。
【0175】
ある実施形態では、ヒト化抗体は、ヒトにおいて実質的に非免疫原性である。ある実施形態では、ヒト化抗体の標的に対する親和性は、ヒト化抗体が由来する別の種の抗体の親和性と実質的に同一である。例えば、U.S.Patent No.5,530,101;U.S.Patent No.5,693,761;U.S.Patent No.5,693,762;並びにU.S.Patent No.5,585,089を参照のこと。
【0176】
ある実施形態では、抗原結合性ドメインの免疫原性を低下させながらもその野生の親和性は低下させずに修飾可能な抗体可変ドメインのアミノ酸は同定される。例えば、U.S.Patent Nos.5,766,886及び5,869,619を参照のこと。
【0177】
ある実施形態では、当技術分野で公知の方法による抗体修飾は、典型的に、標的に対する高い結合親和性を達成し、かつ/またはレシピエントの抗体の免疫原性を低下させるよう設計される。ある実施形態では、ヒト化抗体は、抗体の同族抗原に対するその抗体の親和性を高めるために、修飾を施してグリコシル化部位を排除することができる。例えば、Coら、Mol.Immunol.、30:1361~1367、(1993)を参照のこと。ある実施形態では、ヒト化抗体を作製するために「再構成(reshaping)」、「超キメラ化(hyperchimerization)」、または「ベニヤリング(veneering)/表面再構成(resurfacing)」などの技術を使用する。例えば、Vaswamiら、Annals of Allergy,Asthma,&Immunol.、81:105、(1998);Roguskaら、Prot.Engin.,9:895~904、(1996);並びにU.S.Patent No.6,072,035を参照のこと。特定のこのような実施形態では、このような技術は、典型的に、外来残基数を減らすことで抗体の免疫原性を抑制するが、抗体を繰り返し投与した後の抗イディオタイプ及び抗アロタイプの応答は妨げられることはない。免疫原性を抑制する他の特定の方法は、例えば、Gillilandら.,J.Immunol.、62(6):3663~71、(1999)に記載がある。
【0178】
場合によっては、抗体のヒト化により抗原結合能を失い得る。ヒト化抗体は、その後、「復帰変異させる」ことができる。このような実施形態では、ヒト化抗体は、ドナー抗体に見られたアミノ酸残基の1以上を誘導するために変異させることができる。例えば、Saldanhaら、Mol.Immunol.、36:709~19、(1999)を参照のこと。
【0179】
ある実施形態では、CB1受容体に対する抗体の軽鎖及び重鎖の各可変領域の相補性決定領域(CDR)は、同一種または別の種に由来するフレームワーク領域(FR)に移植され得る。ある実施形態では、CB1受容体に対する抗体の軽鎖及び重鎖の各可変領域のCDRは、コンセンサスヒトFRに移植され得る。コンセンサスヒトFRを創作するため、ある実施形態では、ヒトの重鎖または軽鎖のいくつかのアミノ酸配列に由来する各FRのアライメントを行い、コンセンサスアミノ酸配列を同定する。ある実施形態では、CB1受容体に対する抗体の重鎖または軽鎖の各FRを別の重鎖または軽鎖に由来するFRと置換する。ある実施形態では、CB1受容体に対する抗体の重鎖及び軽鎖の各FR内にあるまれなアミノ酸は置換せず、それ以外のFRアミノ酸を置換する。まれなアミノ酸とは、通常FR内では見られない位置にある特定のアミノ酸である。ある実施形態では、CB1受容体に対する抗体由来の移植可変領域は、CB1受容体に対する抗体の定常領域とは異なる定常領域と共に使用できる。ある実施形態では、移植可変領域は、一本鎖Fv抗体の一部分である。CDRの移植については、例えば、U.S.Patent No.:6,180,370;6,054,297;5,693,762;5,859,205;5,693,761;5,565,332;5,585,089;並びに5,530,101、並びに、Jones,ら.,Nature,321:522~525、(1986);Riechmannら、Nature,332:323~327、(1988);Verhoeyen,ら.,Science,239:1534~1536、(1988)、Winter,FEBS Letts.,430:92~94、(1998)に記載があり、これらは、何らかの目的で参照することにより本明細書に取り込まれる。
【0180】
ある実施形態では、抗原結合タンパク質(抗体など)は、抗原(例えば、CB1受容体またはその断片)を用いた免疫化により産生される。抗体は、完全長受容体、可溶形態の受容体、触媒ドメイン単独、成熟形態のCB1受容体、受容体のスプライス多様体、またはその断片を用いた免疫化により産生され得る。ある実施形態では、抗体は、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体であり得、かつ/または組換え抗体であり得る。
【0181】
ある実施形態では、抗体の、自身の標的に対する親和性といった抗体本来の特性を操作するために各種方法を用いることができる。このような方法には、抗体をコードするポリヌクレオチド分子の部位特異的またはランダムな変異誘発を行い、抗体多様体を作製する方法の使用が含まれるが、これに限定されない。ある実施形態では、こうして作製した後、所望の変化、例えば、親和性の向上または低下を示す抗体多様体についてスクリーニングを行う。
【0182】
ある実施形態では、変異誘発方法の目的アミノ酸残基はCDR内のアミノ酸残基である。その他の実施形態では、可変ドメインのフレームワーク領域内のアミノ酸を目的とし得る。このようなフレームワーク領域は、特定の抗体の標的結合特性に寄与することが示されている。例えば、Hudson,Curr.Opin.Biotech.、9:395~402、(1999)及びその参考文献を参照のこと。
【0183】
ある実施形態では、より規模が小さく、より有効にスクリーニングされた抗体多様体ライブラリーは、ランダムまたは部位指向性の変異誘発をCDR内の高頻度変異部位、すなわち、体細胞親和性成熟法中に変異を受けやすい領域に対応する部位に限定することにより作製可能であり。例えば、Chowdhury&Pastan,Nature Biotech.、17:568~572、(1999)及びその参考文献を参照のこと。ある実施形態では、特定種類のDNA要素を使用して高頻度変異部位の同定が可能であり、これらには、特定の直接反復及び逆方向反復、特定のコンセンサス配列、特定の二次構造、及び特定の回文などが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、高頻度変異部位の同定に使用可能なかかるDNA要素には、プリン(AまたはG)の後にグアニン(G)、その後にピリミジン(CまたはT)、その後にアデノシンまたはチミジンのいずれか(AまたはT)(すなわち、A/G-G-C/T-A/T)を含む4塩基配列が含まれるが、こ
れに限定されない。高頻度変異部位の同定に使用できるDNA要素の別の例は、セリンのコドンのA-G-C/Tである。
【0184】
さまざまな実施形態の好適な抗体、例えば、組換え抗体、モノクローナル抗体、またはポリクローナル抗体の調製には、当技術分野で公知の多くの技術を使用できる(例えば、Kohler&Milstein,Nature,256:495~497、(1975);Kozborら、Immunology Today,4:72、(1983);Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,p.77~96(1985);Coligan,Current Protocols in Immunology(1991);Harlow&Lane,Antibodies,A Laboratory Manual(1988);並びにGoding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(2d ed.1986)を参照のこと)。対象抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子は、細胞からクローニング可能で、例えば、モノクローナル抗体をコードする遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、組換えモノクローナル抗体の作製に使用することができる。モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子ライブラリーをハイブリドーマまたは形質細胞から作製することもできる。重鎖及び軽鎖の遺伝子産物をランダムに組み合わせることで、抗原特異性の異なる抗体プールが大量に得られる(例えば、Kuby,Immunol.、(3rd ed.1997)を参照のこと)。一本鎖抗体または組換え抗体の作製技術(U.S.Patent No.4,946,778;U.S.Patent No.4,816,567)を適応させて、さまざまな実施形態のポリペプチド用抗体を作製することができる。また、トランスジェニックマウス、または他の哺乳類のような他の生物を使用してヒト化またはヒト抗体を発現させてもよい(例えば、U.S.Patent No.5,545,807;5,545,806;5,569,825;5,625,126;5,633,425;5,661,016;Marksら、Bio/Technology,10:779~783、(1992);Lonbergら、Nature,368:856~859、(1994);Morrison,Nature,368:812~13、(1994);Fishwildら、Nature Biotechnology、14:845~51、(1996);Neuberger,Nature Biotechnology、14:826、(1996);並びにLonberg&Huszar,Intern.Rev.Immunol.、13:65~93、(1995)を参照のこと)。別の方法では、ファージディスプレイ技術を使用して、選択抗原に特異的に結合する抗体及びヘテロマーFab断片を同定することができる、that(例えば、McCaffertyら、Nature,348:552~554、(1990);Marksら、Biotechnology,10:779~783、(1992)を参照のこと)。抗体は、二重特異性、すなわち、異なる2つの抗原を認識できるよう作製可能である(例えば、WO93/08829、Trauneckerら、EMBO J.,10:3655~3659、(1991);並びにSureshら、方法in Enzymology,121:210、(1986)参照のこと)。抗体は、ヘテロ複合体、例えば、共有結合で結合している2つの抗体、または免疫毒素(immunotoxin)でもあり得る(例えば、U.S.Patent No.4,676,980、WO91/00360;WO92/200373;並びにEP03089を参照のこと)。
【0185】
非ヒト抗体をヒト化または霊長類化するする方法は、当技術分野において周知である。一般に、ヒト化抗体には、非ヒト供給源由来のアミノ酸残基を1以上導入されている。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば移入残基と呼ばれ、典型的に、移入可変ドメインから取り入れられる。ヒト化は、本質的に、Winter及び協力者らの方法に従い(例えば、Jonesら、Nature,321:522~525、(1986);Riechmannら、Nature,332:323~327、(1988);Verhoeyen,ら.,Science,239:1534~1536、(1988)及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593~596、(1992)を参照のこと)、げっ歯類のCDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置き換えることにより実施できる。したがって、このようなヒト化抗体はキメラ抗体であり(U.S.Patent No.4,816,567)、これにおいて、完全ヒト可変ドメインより実質的に少ないヒト可変ドメインが対応する非ヒト種配列で置き換えられている。実際には、ヒト化抗体は、典型的に、いくつかのCDR残基及びおそらくはいくつかのFR残基がげっ歯類抗体の類似部位由来の残基で置き換えられるヒト抗体である。
【0186】
別の代替法では、GenPharm International、Inc.などのように、「ミニ座位(minilocus)」法が用いられている。ミニ座位(minilocus)法では、外因性Ig座位は、Ig座位由来のピース(indiviCB1遺伝子)を含めることにより模倣される。したがって、1つ以上のV遺伝子、1つ以上のD遺伝子、1つ以上のJ遺伝子、ミュー定常領域、及び通常は第2の定常領域(例えば、ガンマ定常領域)を構成体内に形成して動物に挿入される。この手法はU.S.Patent No.5,545,807(Surani,ら)及びU.S.Patent No.:5,545,806;5,625,825;5,625,126;5,633,425;5,661,016;5,770,429;5,789,650;5,814,318;5,877,397;5,874,299;並びに6,255,458(それぞれLonberg&Kay)、U.S.Patent No.5,591,669及び6,023,010(Krimpenfort&Berns)、U.S.Patent Nos.5,612,205,5,721,367、及び5,789,215(Bernsら)、及びU.S.Patent No.5,643,763(Choi&Dunn)、及びGenPharm InternationalのU.S.Patent Application Serial No.:07/574,748;07/575,962;07/810,279;07/853,408;07/904,068;07/990,860;08/053,131;08/096,762;08/155,301;08/161,739;08/165,699;08/209,741に記載されており、それらの開示内容は参照により本明細書に取り込まれる。また、European Patent No.0546073B1、国際特許出願番号:WO92/03918;WO92/22645;WO92/22647;WO92/22670;WO93/12227;WO94/00569;WO94/25585;WO96/14436;WO97/13852;並びにWO98/24884、及びU.S.Patent No.5,981,175を参照のこと。なお、これらの開示内容は参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。さらに、Taylorら、1992、Chenら、1993;Tuaillonら、1993;Choiら、1993、Lonbergら、(1994);Taylorら、(1994)、及びTuaillonら、(1995)、Fishwildら、(1996)も参照のこと。なお、これらの開示内容は参照により本明細書に取り込まれる。
【0187】
ある実施形態では、抗体は「エフェクター」部分に結合している。エフェクター部分は、放射性標識または蛍光標識などの標識部分を含む任意の数の分子であり得るか、または治療的部分であり得る。
【0188】
抗体は、さらなるアミノ酸残基に融合され得る。このようなアミノ酸残基は、おそらくは単離を促すためにペプチドタグであり得る。抗体が特定の臓器または組織にホーミング(homing)するための他のアミノ酸残基も意図される。
【0189】
ある実施形態では、本明細書に記載する抗体または本明細書に記載のあらゆるモノクローナル抗体の抗原結合領域を癌または網膜症の治療のために使用できる。
【0190】
十分に理解されるように、抗体は、ハイブリドーマ細胞株以外の細胞株に発現させることができる。特定の抗体をコードする配列を使用して好適な哺乳類宿主細胞を形質転換させることができる。形質転換は、宿主細胞にポリヌクレオチドを導入する任意の公知方法により可能であり、例えば、ポリヌクレオチドをウイルス内(またはウイルスベクター内)にパッケージングし、宿主細胞にかかるウイルス(またはベクター)を用いて形質導入する方法、またはU.S.Patent No.:4,399,216;4,912,040;4,740,461;並びに4,959,455に例示されている、当技術分野で公知のトランスフェクション手順による方法などがある(これにより、これらの特許は参照により本明細書に組み込まれる)。使用する形質転換手順は、形質転換を受ける宿主に依存する。異種ポリヌクレオチドを哺乳類細胞に導入する方法は、当技術分野において周知であり、これらには、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈降法、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、電気穿孔法、ポリヌクレオチド(複数可)のリポソーム内封入、及び核内への直接的DNAマイクロインジェクションが含まれる。
【0191】
発現用に宿主として利用可能な哺乳類細胞株は、当技術分野において周知であり、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection:ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株を含み、これらには、チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞、Hela細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、HEPG2)、ヒト上皮腎293細胞など他の多数の細胞株が含まれるが、これらに限定されない。特定の望ましい細胞株の選択は、対象抗体を高発現している細胞株についての測定を介して行う。
【0192】
ある実施形態では、抗原結合タンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgA、IgD、及びIgMアイソタイプの少なくとも1つの免疫グロブリン分子を含むことができる。ある実施形態では、抗原結合タンパク質は、ヒトのカッパ型軽鎖及び/またはヒト重鎖を含む。ある実施形態では、重鎖はIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgA、IgD、またはIgMアイソタイプの重鎖である。ある実施形態では、抗原結合タンパク質は、哺乳類細胞で発現させるためにクローニングされている。ある実施形態では、抗原結合タンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgA、IgD、及びIgMアイソタイプの定常領域のいずれでもない定常領域を含む。
【0193】
ある実施形態では、CB1受容体に対する抗体の機能的及び/または化学的特性を実質的に変更するには、(a)置換領域の分子骨格構造、例えば、シートまたは螺旋コンホメーション、(b)標的部位での分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖の大きさ、を維持する作用において有意に異なる、重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列の置換を選択することにより達成され得る。
【0194】
例えば、「保存的アミノ酸置換」は、その位置でアミノ酸残基の極性または電荷にほとんど、またはまったく影響を与えないよう、野生型アミノ酸残基を非野生型残基で置換する方法を使用し得る。さらに、「アラニンスキャン変異誘発」について先に記載があるように、ポリペプチドのどの野生型残基でもアラニンで置換が可能である。
【0195】
所望のアミノ酸置換(保存的またか非保存的かは問わない)は、このような置換が所望される時点で当業者が判断することができる。ある実施形態では、アミノ酸置換を使用して、CB1受容体に対する抗体の重要残基を同定する、または本明細書に記載するCB1受容体に対する抗体の親和性を向上もしくは低下させることができる。
【0196】
ある実施形態では、抗体または抗原結合タンパク質は、ハイブリドーマ細胞株以外の細胞株に発現させることができる。特定の抗体をコードする配列を、好適な哺乳類宿主細胞の形質転換に使用できる。特定の実施形態によれば、形質転換は、例えばポリヌクレオチドをウイルス内(またはウイルスベクター内)にパッケージングし、宿主細胞にかかるウイルス(またはベクター)を用いて形質導入するか、またはU.S.Patent No.:4,399,216;4,912,040;4,740,461;並びに4,959,455に例示されている、当技術分野で公知のトランスフェクション手順など、宿主細胞にポリヌクレオチドを導入するためのいずれの公知方法でも可能である(これにより、これらの特許は、何らかの目的で参照することにより本明細書に組み込まれる)。ある実施形態では、使用する形質転換手順は形質転換を受ける宿主に依存し得る。異種ポリヌクレオチドを哺乳類細胞に導入する方法は、当技術分野において周知であり、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈降法、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、電気穿孔法、ポリヌクレオチド(複数可)のリポソーム内封入、及び核内への直接的DNAマイクロインジェクションが含まれるが、これらに限定されない。
【0197】
発現用に宿主として利用可能な哺乳類細胞株は当技術分野において周知であり、それらとして、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、Hela細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、HEPG2)など他の多数の細胞株を含むがこれらに限定されない、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection:ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株が非限定的に含まれる。ある実施形態では、細胞株の選択は、発現レベルの高い細胞株、及び構成的HGF結合特性を有する抗体を産生する細胞株についての測定を介して行う。哺乳類の宿主細胞に適切な発現ベクターは周知である。
【0198】
ある実施形態では、抗原結合タンパク質は、1つ以上のポリペプチドを含む。さまざまな発現ベクター/宿主系のいずれを使用しても、抗原結合タンパク質構成要素1つ以上または抗原結合タンパク質そのものを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子を発現させることができる。このような系には、組換え型のバクテリオファージ、プラスミド、もしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウィルス(CaMV)、タバコモザイクウイルス(TMV))を用いたトランスフェクションもしくは細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド)を用いた形質転換を行った植物細胞系;または動物細胞系が含まれるが、これらに限定されない。
【0199】
ある実施形態では、抗原結合タンパク質構成要素1つ以上または抗原結合タンパク質そのものを含むポリペプチドは、組換えにより発現させた酵母である。特定のこのような実施形態では、市販の発現系、例えば、ピチア発現系(Invitrogen、San Diego、CA)を製造者の指示書に従い使用する。ある実施形態では、このような系はプレ-プロ-α配列に依存して直接分泌する。ある実施形態では、インサートの転写は、メタノールで誘導された際にアルコールオキシダーゼ(AOX1)プロモーターにより引き起こされる。
【0200】
ある実施形態では、抗原結合タンパク質構成要素を1つ以上または抗原結合タンパク質そのものを含む分泌されたポリペプチドを酵母生育培地から精製する。ある実施形態では、酵母生育培地を精製するために使用する方法は、細菌及び哺乳類の細胞の上清からポリペプチドを精製する際に使用する方法と同じである。
【0201】
ある実施形態では、抗原結合タンパク質構成要素1つ以上または抗原結合タンパク質そのものを含むポリペプチドをコードする核酸をpVL1393(PharMingen、San Diego、CA)のようなバキュロウイルス発現ベクター内にクローニングする。ある実施形態では、このようなベクターを製造者(PharMingen)の使用指示書にしたがって使用し、sF9無タンパク質培地内でSpodoptera frugiperda細胞を感染させ、組換え型ポリペプチドを得る。ある実施形態では、ポリペプチドを精製し、かかる培地からヘパリンセファロース(heparin-Sephar
ose)カラム(Pharmacia)を使用して濃縮させる。
【0202】
ある実施形態では、抗原結合タンパク質構成要素1つ以上または抗原結合タンパク質そのものを含むポリペプチドを昆虫系で発現させる。ポリペプチド発現用の特定の昆虫系は、当業者に周知である。このような系の1つでは、utographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして使用して外来遺伝子をSpodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusia幼虫に発現させる。ある実施形態では、ポリペプチドをコードする核酸分子をウイルスの非必須遺伝子内、例えば、ポリヘドリン遺伝子内に挿入し、その遺伝子のプロモーター制御下に置く。ある実施形態では、核酸分子の挿入が成功すると非必須遺伝子が不活性となる。ある実施形態では、そうした不活性化で検出可能な特徴がもたらされる。例えば、ポリヘドリン遺伝子を不活性化すると外被タンパク質を欠くウイルスが得られる。
【0203】
ある実施形態では、組換え型ウイルスを使用して、S.frugiperda細胞またはTrichoplusia幼虫を感染させることができる。例えば、Smith,ら.,J.Virol.、46:584、(1983);Engelhardら、Proc.Nat.Acad.Sci.(USA)、91:3224~7、(1994)を参照のこと。
【0204】
ある実施形態では、細菌細胞内に作製する抗原結合タンパク質構成要素1つ以上または抗原結合タンパク質そのものを含むポリペプチドを、不溶性封入体として細菌内に作製する。このような封入体を含む宿主細胞は、遠心分離し、0.15M NaCl、10mM Tris、pH8、1mM EDTAで洗浄した後、0.1mg/mlリゾチーム(Sigma、St.Louis、MO)処理を室温にて15分間行うことにより採取される。ある実施形態では、溶解液を超音波処理により澄明にし、12,000Xgでて10分間遠心分離を行い細胞残渣をペレットにする。ある実施形態では、ポリペプチド含有ペレットを50mM Tris、pH8、及び10mM EDTAに再懸濁させ、50%グリセロール上に層状塗布した後、6000Xgで30分間遠心分離を行う。ある実施形態では、得られたペレットをMg++及びCa++を含有しない標準リン酸緩衝生理食塩液(PBS)に再懸濁することができる。ある実施形態では、再懸濁したペレットを変性SDSポリアクリルアミドゲルに分画することによりポリペプチドをさらに精製する(例えば、Sambrookら、前出を参照のこと)。ある実施形態では、このようなゲルを0.4M KClに浸漬してそのタンパク質を可視化でき、これを切り取りSDSを欠くゲルランニング(gel-running)緩衝液内で電気溶出できる。特定の実施形態によれば、グルタチオンS-転移酵素(GST)融合タンパク質を可溶性タンパク質として細菌内に作製する。ある実施形態では、このようなGST融合タンパク質は、GST Purification Module(Pharmacia)を使用して精製する。
【0205】
ある実施形態では、特定のポリペプチド、例えば、抗原結合タンパク質構成要素1つ以上または抗原結合タンパク質そのものを含むポリペプチドを「リフォールディングする」ことが望ましい。ある実施形態では、このようなポリペプチドは、本明細書で論じる特定の組換え系を使用して作製する。ある実施形態では、ポリペプチドを「リフォールディング」し、かつ/または酸化して所望の三次構造を形成し、かつ/またはジスルフィド結合を生成させる。ある実施形態では、このような構造及び/または結合は、ポリペプチドの特定の生物学活性に関連している。ある実施形態では、リフォールディングを、当技術分野で公知の多数の手順の任意の手順を使用して達成する。例示的方法には、可溶化されたポリペプチド物質をカオトロピック物質の存在下で典型的に7を超えるpHに暴露する方法が含まれるが、これに限定されない。例示的なカオトロピック物質はグアニジンである。ある実施形態では、リフォールディング/酸化用溶液は、還元剤及びその還元剤の酸化型も含有する。ある実施形態では、還元剤及びその酸化型は、ジスルフィド結合シャッフリングの発生を可能にする特定の酸化還元電位を発生させる比で存在する。ある実施形態では、このようなシャッフリングによりシステイン架橋の形成が可能になる。例示的な酸化還元対には、システイン/シスタミン、グルタチオン/ジチオビスGSH、塩化第二銅、ジチオトレイトールDTT/ジチアンDTT、及び2-メルカプトエタノール(bME)/ジチオ-bMEが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、共溶媒を使用してリフォールディングの有効性を高める。例示的な共溶媒は、グリセロール、さまざまな分子量のポリエチレングリコール、及びアルギニンが含まれるが、これらに限定されない。
【0206】
ある実施形態では、抗原結合タンパク質構成要素1つ以上または抗原結合タンパク質そのものを含むポリペプチドは実質的に精製される。特定のタンパク質精製技術は当業者に公知である。ある実施形態では、タンパク質の精製には非ポリペプチド画分から分画したポリペプチド粗分画を使用する。ある実施形態では、ポリペプチドを、クロマトグラフィー法及び/または電気泳動法を使用して精製する。例示的な精製方法には、硫酸アンモニウム塩析;PEG沈殿;免疫沈降法;加熱変性とその後の遠心分離;アフィニティクロマトグラフィ(例えば、タプロテインAセファロース)、イオン交換クロマトグラフィー、排除クロマトグラフィー、及び逆相クロマトグラフィーを含むが、これらに限定されないクロマトグラフィー;ゲルろ過;ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー;等電点電気泳動法;ポリアクリルアミドゲル電気泳動;並びに各種の組み合わせ技術が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、ポリペプチドを、高速タンパク質液体クロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製する。ある実施形態では、精製工程の交換または特定工程の省略が可能であり、なおも実質的に精製されたポリペプチドの調製方法として好適である。
【0207】
ある実施形態では、ポリペプチド調製物の精製度を定量化する。精製度を定量化する特定の方法は、当業者に公知である。特定方法の例には、調製物の特異的結合活性の測定及びSDS/PAGE解析による調製物内ポリペプチド量の評価が含まれるが、これらに限定されない。ポリペプチド調製物の精製量を評価する特定方法例には、調製物の結合活性の計算及び初期抽出物の結合活性との比較を含む。ある実施形態では、このような計算結果は「倍精製?」として表される。結合活性量を表すために用いる単位は実施する個々のアッセイにより決定される。
【0208】
ある実施形態では、抗原結合タンパク質構成要素1つ以上または抗原結合タンパク質そのものを含むポリペプチドを部分的に精製する。部分的精製は、精製工程を少なくする、または同じ一般精製スキームの異なる形態を使用することにより達成され得る。例えば、ある実施形態では、HPLC装置を用いて行う陽イオン交換カラムクロマトグラフィーは、一般に、低圧クロマトグラフィー系を用いた同一手法よりも「倍精製」が大きくなる。ある実施形態では、精製度が低い方法は回収ポリペプチド総量、またはポリペプチドの結合活性維持の点で有利である。
【0209】
場合によっては、ポリペプチドの電気泳動移動はSDS/PAGEの条件により、場合によっては極めて異なる。例えば、Capaldi,et al.、Biochem.Biophys.Res.Comm.、76:425、(1977)を参照のこと。異なる電気泳動条件下では、精製された、または部分的に精製されたポリペプチドの見かけの分子量は異なり得ることは認識されよう。
【0210】
本明細書に記載するさまざまな実施形態では、抗体は、研究方法または診断方法用にインビボ及びインビトロで使用可能であり、それらの方法は当技術分野において周知である。かかる診断方法は、さまざまな実施形態の抗体を含有するキットを含む。その他の実施形態では、本明細書に記載する抗体を治療用として使用できる。
【0211】
CB1-受容体抗体を予防または治療を目的として哺乳類に使用する場合、かかる抗体は、薬理学的に許容される担体をさらに含むことができる組成物の形態で投与可能であることが理解される。好適な薬理学的に許容される担体としては、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩液、デキストロース、グリセロール、エタノールなどの1つ以上、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0212】
薬理学的に許容される担体は、抗原結合タンパク質の有効期間または有効性を高める、湿潤剤もしくは乳化剤、保存剤または緩衝剤などの少量の助剤をさらに含むことができる。注射組成物は、当技術分野で周知であるように、哺乳類への投与後、活性成分を速効的、持続的または遅効的に放出されるように製剤化することができる。
【0213】
医薬製剤、特に、本明細書に記載の使用に供する抗体の製剤は、所望の純度を有する抗体と、任意の薬理学的に許容される担体、賦形剤または安定化剤とを混合することにより調製可能である。このような製剤は、凍結乾燥製剤または水溶液であり得る。許容される担体、賦形剤、または安定化剤は、使用される用量及び濃度でレシピエントに非毒性である。許容される担体、賦形剤または安定化剤は、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩などの有機酸;抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)保存剤 低分子量ポリペプチド;血清アルブミンもしくはゼラチンなどのタンパク質、またはポリビニルピロリドン(polyvinylpyllolidone)などの親水性ポリマー;並びにアミノ酸、単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、またはデキストリンなどの他の炭水化物;キレート剤;並びにイオン性及び非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート);ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);並びに/または非イオン性界面活性剤であり得る。抗体は、濃度0.5~200mg/mlで製剤化し得る。
【0214】
治療用途では、組成物を、疾患(例えば、筋肉消耗性疾患)に罹患している患者に「治療的有効用量」を投与する。この用途の有効量は疾患重症度及び患者の全身健康状態に依存する。組成物の投与は、患者に必要、かつ忍容される用量及び頻度に応じ、単回または頻回投与で行ってよい。本明細書における「患者」または「被検者」には、ヒト及び他の動物、特に哺乳類のいずれも含むことができる。したがって、かかる方法はヒトの治療及び獣医学用途の双方に適用可能である。さまざまな実施形態では、患者は哺乳類である。哺乳類は、霊長類、さらにはヒトであり得る。
【0215】
医薬組成物の投与経路は、公知の方法と一致し、例えば、経口投与、静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内、病変内の各経路、髄内、くも膜下腔内、脳室内、経皮、皮下、または腹腔内への注射投与;並びに、持続放出系または植込みデバイスの経鼻、腸内、局所、舌下、尿道、膣、もしくは直腸の各手段による投与である。所望される場合、組成物は、ボーラス注射または持続的輸注、または植込みデバイスにより投与してよい。別法または追加として、組成物を、所望分子を吸収させた、または封入した膜、スポンジ、または別の適切な材料を介して局所的に投与してよい。植込みデバイスを使用する場合、かかるデバイスは、任意の好適な組織または器官内に植込んでよく、所望分子の送達は、拡散、徐放性 ボーラス、または連続投与を介して行ってよい。
【0216】
ある実施形態では、製剤成分は、投与部位に対し許容される濃度で存在している。ある実施形態では、組成物を生理的pHまたはそれよりわずかに低いpH、典型的には範囲約5~約8pH以内に維持するために緩衝剤を使用する。
【0217】
ある実施形態では、非経口投与を考える場合、治療組成物は、CB1に対する所望のCB1受容体抗原結合タンパク質を、さらなる治療剤の有無を問わず、薬理学的に許容されるビヒクルに含む、パイロジェンフリーの非経口的に許容される水溶液の形態であり得る。ある実施形態では、注射用ビヒクルは無菌蒸留水であり、その中で、1剤以上のさらなる治療剤の有無を問わず、CB1受容体に対するCB1受容体抗原結合タンパク質を、適切に保存された無菌等張液として製剤化する。ある実施形態では、調製に際し、注入可能な微粒子、生物侵食性粒子、高分子化合物(ポリ乳酸またはポリグリコール酸などの)、ビーズ、またはリポソームなどの物質を用いて所望分子を製剤化することができ、これにより、製剤の制御放出または持続放出が可能となり、デポー注射を介して送達することができる。ある実施形態では、ヒアルロン酸を使用することも可能であり、循環中で徐放的な持続を促進する効果を有し得る。ある実施形態では、植込み型の薬物送達デバイスを使用して所望分子を導入することができる。
【0218】
CB1受容体抗原結合組成物の使用
本発明は、CB1受容体の量または活性を抑制、低下または中和する方法及び医薬組成物を提供する。
【0219】
ある態様では、本発明は、有効用量のCB1受容体抗原結合タンパク質組成物を被検者に投与することにより、このような治療を必要としている被検者のCB1関連障害を治療する方法及び試薬を提供する。本明細書で使用する用語「被検者」とは、ヒトを含む哺乳類などあらゆる動物をいう。
【0220】
CB1受容体抗原結合タンパク質組成物により治療可能な障害として、糖尿病及び関連障害などさまざまな代謝性障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0221】
本明細書に記載する抗原結合タンパク質を投与すると、血漿グルコース値または脂質濃度が改善される可能性がある。したがって、本明細書に開示する組成物の投与により、適切な被検者の糖尿病、肥満または高血糖状態が改善される可能性がある。さらに、抗原結合タンパク質を含有する組成物は、個人の摂食量を低減させる可能性がある。
【0222】
本発明の他の態様は当業者に理解されるものであり、それらは本明細書に記載されている。以下の実施例を含め、本発明のさまざまな実施形態が本明細書に記載されているが、本明細書に詳述される具体的実施例及び試験はあくまで例示にすぎないことは、当業者には十分に理解されるであろう。本発明の趣旨から逸脱することなくさまざまな修正が可能であることを理解されるべきである。
【実施例0223】
以下の配列は、本出願に関連するものである:
表2
【表2-1】


【表2-2】
【0224】
実施例1
抗体生成
複数抗体のキャンペーンを実施した。第1のキャンペーンでは、ヒトCB1のアンタゴニスト10D10を含め、41のCB1結合体を同定した。第2のキャンペーンでは、507のCB1結合体を得たが、いずれもCB1アンタゴニストではなかった。第3のキャンペーンでは、58のCB1結合体を同定し、すべてヒトCB1のアンタゴニストであった。CB1結合抗体はいずれもマウスCB1に対しアンタゴニストではなかった。
【0225】
CB1抗体10D10を、PADRE-hCB1及びE3K-hCB1を発現している一過的にトランスフェクトしたHEK293細胞を用いてゼノマウス(Xenomouse)株XMG2/K及びXMG4/KLを免疫化することにより、生成した。陽性の抗体価を示すマウス由来の免疫細胞組織を回収、プールし、ハイブリドーマ作製用に供した。hCB1結合抗体含有ハイブリドーマ・スーパータント(supertants)をhCB1発現CHO細胞を使用してFACS解析により同定し、アンタゴニスト活性を、hCB1 cAMPアッセイを使用して評価した。
【0226】
抗体10D10を得て配列決定を行った。重鎖、軽鎖、CDR領域及びフレームワーク領域の配列を以下に提供する。
10D10 HC(配列番号4)
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSIRRGGDYWSWIRQHPGKGLEWIGYIYYSGSTNYNPSLKSRATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDYDILTGYSYYYYGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
10D10 LC(配列番号5)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSNGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKIRRVEAEDVGVYYCMQALQTPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0227】
10D10のCDR領域及びフレームワーク領域の配列は以下のとおりである:
CDR配列
HC-CDR1 RGGDYWS(配列番号17)
HC-CDR2 YIYYSGSTNYNPSLKS(配列番号18)
HC-CDR3 DYDILTGYSYYYYGMDV(配列番号19)
LC-CDR1 RSSQSLLHSNGYNYLD(配列番号20)
LC-CDR2 LGSNRAS(配列番号21)
LC-CDR3 MQALQTPRT(配列番号22)
フレームワーク配列
HC-FR1 QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSIR(配列
番号23)
HC-FR2 WIRQHPGKGLEWIG(配列番号24)
HC-FR3 RATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(
配列番号27)
LC-FR1 DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISC(配列番号28)
LC-FR2 WYLQKPGQSPQLLIY(配列番号29)
LC-FR3 GVPDRFSGSGSGTDFTLKIRRVEAEDVGYYC(配
列番号30)
【0228】
いくつかのさらなる抗体のHC及びLCのフレームワーク領域及びCDR領域を、図2A~2Bに提供する。これらは、HC FR1(配列番号23)、HC FR2(配列番号24)及びHC FR3(配列番号27)である。関連する、HC CDR1(配列番号17)、HC CDR2(配列番号26-yiyysgstYynpslks)及びHC CDR3(配列番号19)配列も、同図に提供する。また、関連する、LC CDR1(配列番号20)、LC CDR2(配列番号21)及びLC CDR3(配列番号22)も示す。図を解釈する当業者であれば、1A11の配列から開始し、あとは指定されているアミノ酸の変更を行えば、さらに記載されている抗体の配列が得られることがわかるであろう。
【0229】
抗体の重鎖及び軽鎖のCDR領域の変異誘発を行い、さらなる抗原結合タンパク質を得た。単一アミノ酸残基のランダム変異誘発(NNKコドン)(N=A、T、G、またはC;K=TまたはG)を、上記のHC-CDR全3領域及びLC-CDR全3領域のすべての残基について実施した(配列番号17~22)。
【0230】
変異誘発プライマーを、24の野生型ヌクレオチドの5-プライムと24の野生型ヌク
レオチドの3-プライムとを有するNNKを目的位置に隣接させることにより設計した。
HC-CDRで40か所及びLC-CDRで32か所の位置をそれぞれ変異させた。合計1368変異体を作製した。
【0231】
pTT5ベクターの、10D10重鎖含有プラスミドDNA及び10D10軽鎖含有プラスミドDNAを、変異誘発反応の鋳型として使用した。CB1変異体を、配列決定及び単離により同定した。単一残基変異体を、全軽鎖変異体と野生型重鎖とのペアリング、及び全重鎖変異体と野生型軽鎖とのペアリングを行い創作した。条件培地(CM)をトランスフェクション後第7日目に回収し、細胞ベースELISAに使用して結合性を評価した。
【0232】
CDRの有益な変異2~4を特定の変異誘発プライマーを使用して組み合わせ、部位指向性複合変異体(CSDM)を作製した。親和性がさらに改善されたCSDMを、抗体濃度0.1ug/mLでFACSにより同定した。CSDM変異体LCとCSDM変異体HCとのペアリングにより親和性がさらに改善された。CSDM変異体の生化学的特性を改善するため、特定の変異誘発プライマーを使用してN35Y変異をCSDM変異体LCに加えた。
【0233】
10D10を基にした以下のLC及びHC変異体が得られ、その配列を以下に示す。
【0234】
10D10-D83K HC(配列番号6)
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSIRRGGDYWSWIRQHPGKGLEWIGYIYYSGSTNYNPSLKSRATISVKTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDYDILTGYSYYYYGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0235】
10D10-31Y HC、10D10-41Y HC、10D10-43Y HC(H
2-1)(配列番号7)
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSIRRGGDYWSWIRQHPGKGLEWIGYIYYSGSTLYNPRLKSRATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDYDILTGYSYYYYGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0236】
10D10-31Y LC(L1-8Y)(配列番号8)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLYHSYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKIRRVEAEDVGVYYCMQALQTPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0237】
10D10-31Y R94S LC(L1-8Y R94S)(配列番号9)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLYHSYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQALQTPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0238】
10D10-41Y LC(L2-1Y)(配列番号10)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGYKKASGVPDRFSGSGSGTDFTLKIRRVEAEDVGVYYCMQALQTPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0239】
10D10-41Y R94S LC(L2-1Y R94S)(配列番号11)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGYKKASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQALQTPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0240】
10D10-43Y LC(L3-2Y)(配列番号12)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKIRRVEAEDVGVYYCMQARGTVRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0241】
10D10-43Y R94S LC(L3-2Y R94S)(配列番号13)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQARGTVRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0242】
10D10-LYYY-5 LC(L1YYY-5)(配列番号14)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHYYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKIRRVEAEDVGVYYCMQALQTPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0243】
10D10-LYYY-5 R94S LC(L1YYY-5 R94S)(配列番号1
5)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHYYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQALQTPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0244】
10D10-N35Y LC(N35Y)(配列番号16)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKIRRVEAEDVGVYYCMQALQTPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0245】
変異HCと変異LCのさまざまな組み合わせが作られた。かかる組み合わせを、表3に記載する。
表3
【表3】
【0246】
親和性の高い成熟抗体の特性を、図3に示す。
【0247】
図2は、第1のキャンペーンの結合体に関する資料を提供する。図には、HC及びLCのフレームワーク配列及びCDR配列が示されている。各種抗体間の配列に大きな相違はないことに留意されるであろう。図2A及び2Bを見てみると、当業者であれば、図に開示したさらなる抗体を得るために、1A11の提示配列で1~8のアミノ酸の置換が可能であることが認識されるであろう。これらの抗体はいずれも、本開示のさまざまな実施形態に包含され得る。
【0248】
共分散分析により抗体に対するさらなる変更が示唆される。これらの示唆される変更を、下記表4及び5に示す。
表4.共分散分析で示唆される31Y、41Y、43Y及びLYYY-5の各多様体へ
の変更
【表4】


表5.さらなる共分散分析で示唆されるN35Y/D83K及びD83Rの各多様体への変更
【表5】
【0249】
実施例2
抗体特性
いくつかの異なる抗体の特性を各種アッセイを使用して明らかにしCB1受容体抗体の特性について研究した。例示的抗体10D10は、ゼノマウス(Xenomouse)抗体(すなわち、ヒト抗体)であり、cAMP、エクオリン及びGTP-Eu各アッセイでは機能的である。これらのアッセイの結果から、抗体は、合成アゴニスト(CP55,940)及び内因性(アナンダミド)アゴニストに拮抗すること、及び図1のEC2ドメイン領域により提示されるエピトープに結合することが示される。
【0250】
10D10、及び、アンタゴニストではない別の抗体3A4の、野生型CB1受容体及び変異型CB1受容体の両配列に対する結合の結果を図4Aにまとめている。分析に使用した異なる変異体CB1受容体を絵図を用いて表している。それらには、野生型ヒトCB1(hCB1)、野生型マウスCB1(mCB1)、細胞外N末端(ΔNT)を含有しないヒトCB1、EC1(R186P)及びEC2(E258K及びH270L)に単一アミノ酸置換を含有するヒトCB1受容体、及びヒトCB1(hCB2/hCB1)の細胞外ループ3本を含有するヒトCB2が含まれている。
【0251】
EC2ドメイン領域(E258K及びH270L)に変異がある場合、またはCB1にマウス配列がある場合は、10D10は結合または拮抗しないが、EC1ドメイン領域(R186P)で変異をさせた場合はなおも拮抗することがわかる。10D10は、細胞外N末端を含有しない変異CB1受容体も結合及び拮抗するであろう。これとは対照的に、3A4抗体は、CB1のEC1またはEC2各ドメインいずれも変異があったにも関わらず、なおも結合し、拮抗はしないが、細胞外N末端を含有しない変異CB1受容体には結合しない。
【0252】
図4Bは、FACSアッセイでさまざまな受容体構成体を用いてトランスフェクトした細胞に対するCB1抗体の結合を示す。各受容体のN末端にあるエピトープタグ(例えば、V5またはE3K)に対して生成された抗体により受容体発現を記録に取る。試験に使用する受容体は、野生型マウスCB1(V5-mCB1)、野生型ヒトCB1(V5-hCB1)、細胞外N末端を含有しないヒトCB1(E3K-hCB1Del.NT)、ヒト
CB1の細胞外ループ3本を含有するヒトCB2(V5-hCB2/hCB1 ECL1-3)、単一アミノ酸置換をEC1(V5-hCB1 R186P)及びEC2(V5-hCB1 E258K及びV5-hCB1 H270L)に含有する3つのヒトCB1受容体
である。細胞を、無抗体(Un)、対照抗体(IgG-PE)、抗V5抗体(V5)、抗
E3K抗体(E3K)、及びさまざまな抗CB1抗体(3A4、3H7、10B4、10D2、10D10、1A11、1E9、及び5G4)いずれかを用いてプローブした。強調表示されている欄は、アッセイの陽性シグナルを指す。10B4及び10D2では結合を示すようには見られないことに留意すべきである。これは、Ab低濃度またはクローンが成長した際に結合活性を消失したためである可能性がある。
【0253】
図4Cは、アンタゴニスト活性には10D10がCB1に結合することが必要であることを示す。図示したデータはエクオリンアッセイのものである。陽性対照である低分子アンタゴニストSR141716Aは、野生型のCB1、hCB1 R186P、hCB1
H270L、及びhCB1 E258Kで活性である。10D10は、結合相手である野生型のCB1及びhCB1 R186Pでのみアンタゴニスト活性を示し、結合相手ではないhCB1 H270L及びhCB1 E258Kではアンタゴニスト活性は示さない。
【0254】
抗体特性を明らかにするために使用したアッセイを以下に記載する。
【0255】
GTP-Euアッセイ
PerkinElmer社製試薬DELFIA GTP-Eu Reagents、DELFIA GTP-binding Buffers、及びhCB1膜を使用してGTP-Euアッセイを実施した。アンタゴニストを、膜4.5ug/ウェル、50ug/ウェルのサポニン、150mM NaCl、10mM MgCl2,10nM GTP-Eu、5uM GDP、0.1%BSA、50mM HEPESとともに96ウェルろ過プレートPall ArcoWellで15分間プレインキュベートし、次いで、600nM(図6A)または、CB1アゴニストのアナンダミドの用量反応(図6B)量を45分間付加してアンタゴニスト活性を測定した。Milliporeマニフォールドを使用してプレートをGTP洗浄緩衝液で2回洗浄し、Victorリーダーで読み取った。
cAMPアッセイ
hCB1を安定発現しているCHO細胞(Euroscreen)を、10%FBS、1%Pen/Strep/L-グルタミン、25mM Hepes、0.1mM NEAA、1mMピルビン酸ナトリウム、及び400ug/ml G418を含有するDMEM内で増殖させた。アンタゴニスト活性を測定するため、0.5%FBS、1%Pen/Strep/L-グルタミン、25mM Hepes、0.1mM NEAA、1mMピルビン酸ナトリウム、及び400ug/ml G418を含有するDMEM80ul内にウェルあたり10,000細胞の濃度で96ウェルプレートに細胞を播種した。一晩インキュベーションした後、培地を5μlの新鮮培地と交換し、次いで、5μlフォルスコリン及びCP55-940を培地に添加し、その後、抗体40μlを加えた。フォルスコリン及びCP55,940の最終濃度はそれぞれ15μM及び250pMであった。抗体をpH5.0酢酸ナトリウム(NaAcetate)10mM,NaCl150mMで希釈した。フォルスコリン/CP55,940/抗体の混合物を細胞上に37℃にて30分間放置してから取り出し、cAMPレベルを、DiscoverX XS+cAMPアッセイキットを製造者の操作手順にしたがって使用し測定した。プレートの読取りをPerkinElmer社のViewLux Microplate Imagerで30秒間行った。
エクオリンアッセイ
10%FBS含有DMEM/F12で増殖させたCHOK1細胞を10cm皿に皿あたり5x106細胞の濃度で採取し、その後、Lipofectamine2000を使用しCB1をコードするプラスミドとGa16とエクオリンとを2:1:10の比で用いてOpti-Mem内に一過的にトランスフェクションした。一晩インキュベーションした後、細胞をトリプシン処理して、HBSS、20mM HEPES、0.01%無脂肪酸BSA及び10ulセレンテラジン(1ug/ul)を含有するエクオリン緩衝液10ml内に再懸濁させ、フォイルで覆ったビーカーに移して室温にて2時間穏やかに撹拌した。細胞を、Microlumatを用いて、最終濃度の2倍の抗体及び60nM CP55,940を含有する予め温めた(37oC)アッセイプレートに分注した。典型的に、100ulの細胞を100ulの被験物に加えた。動態測定を20s実施し、2~20sの曲線下面積を使用して用量反応曲線を作成した。
KinExA法アッセイ
1%FBS及び0.05%アジ化ナトリウムを含有するDMEM/F12でhuCB1を発現しているCHO35細胞1x10,3x10、及び9x10細胞/mlと共に100pM抗体をインキュベートし、試料を4時間室温にて振動させた。結合しなかった遊離の抗体を、Beckman GS-6R遠心分離器を約220xgで5分間使用して全細胞及び抗体-細胞複合体から分離した。上清を0.22μMフィルターでろ過した後、ヤギ抗huFcコーティングUltraLink Biosupportレジンに通した。ビーズに結合したAb量を蛍光標識した抗huIgG(H+L)抗体で定量化した。結合シグナルは、各細胞濃度で、溶液中の遊離Ab濃度に比例する。相対結合シグナル100%は、100pM抗体単体を表す。シグナル低下は、抗体が細胞と結合していることを指す。
【0256】
10D10抗体は、マウスCB1(配列番号2)を認識せず、hCB1に対し200nM未満の親和性を有する。その後、インビトロでの熟成を試みた結果、やはりヒトCB1受容体のシグナル伝達を拮抗する、より強力な(約4~6倍)さらなる抗体を得た。これらの抗体例はN35Y/D83K、41Y、43Y、LYYY-5である。
【0257】
N35Wは、10D10を基にした、親和性が成熟した拮抗的CB1抗体であり、10D10より約4倍強力である。これを図5A-5Cに示す。図5Aにおいて、cAMPアッセイによるN35WのEC50は6.973×10-8であるのに対し、10D10は2.826×10-7である。また、10D10及びN35Wの双方において、濃度上昇に伴いcAMPレベルが上昇することがわかる。エクオリンアッセイ(図5B)では、N35WのEC50は3.878×10-7であるのに対し、10D10は1.520×10-6であり、抗体量が増加すると曲線下面積は減少する。両図において、抗体量の増加
に伴うCB1阻害が示されている。
【0258】
KinExA結合分析(図5c)から、10D10より多くのN35Wが、CHO細胞を発現しているCB1に結合していることがわかり(インキュベーション後の遊離抗体数が少ない)、N35Wは、10D10よりも結合親和性が高いことを意味している。
【0259】
図6Aは、GTP-Euアッセイにおいて、CB1抗体である10D10、1E9及び3H7が内因性CB1アゴニストのアナンダミドを拮抗することを示している。本アッセイでは、低分子アンタゴニストSR141716Aを比較対照として用い、4アンタゴニストすべてのIC50値が表6に示されている。図6Bは、GTP-Euアッセイにおいて、10D10の濃度を高くするとアナンダミドの用量反応曲線が右へ移動することを示しており、10D10のアンタゴニスト活性をさらに示している。
表6
【表6】
【0260】
実施例3
いくつかの10D10変異体を調製した。被験抗体実施例はY54143であり、10D10-LYYY5.002 HC(配列番号37)とペアリングさせた10D10-Y54143 LC(配列番号36)を有し、T144L変異をHC内に含有する。また、Y54143-Bも10D10-Y54143 LC(配列番号36)を有し、10D10-31Y.002 HC(配列番号38)とペアリングされている。配列を下記に示す:
【0261】
10D10-3141 LC(配列番号31)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLYHSYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGYKKASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQALQTPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0262】
10D10-3143 LC(配列番号32)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLYHSYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQARGTVRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0263】
10D10-314143 LC(配列番号33)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLYHSYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGYKKASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQARGTVRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0264】
10D10-Y541 LC(配列番号34)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHYYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGYKKASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQALQTPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0265】
10D10-Y543 LC(配列番号35)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHYYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQARGTVRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0266】
10D10-Y54143 LC(配列番号36)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHYYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGYKKASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQARGTVRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0267】
10D10-LYYY5.002 HC(配列番号37)
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSIRRGGDYWSWIRQHPGKGLEWIGYIYYSGSTNYNPSLKSRATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDYDILTGYSYYYYGMDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0268】
10D10-31Y.002 HC(配列番号38)
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSIRRGGDYWSWIRQHPGKGLEWIGYIYYSGSTLYNPRLKSRATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDYDILTGYSYYYYGMDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0269】
プロリン置換を有する、10D10変異体のLC及びHC
10D10-Y54143-LP1 LC(配列番号39)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHYYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGYKKASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQARGTVPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0270】
10D10-Y54143-LP2 LC(配列番号40)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHYYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGYKKASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQPRGTVRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0271】
10D10-Y54143-LP3 LC(配列番号41)
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHYYGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGYKKASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQPRGTVPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0272】
10D10-Y54143-HP1 HC(配列番号42)
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSIRRGGDYWSWIRQHPGKGLEWIGYIYYSGSTLYNPRLKSRATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDYDPLTGYSYYYYGMDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0273】
10D10-Y54143-HP2 HC(配列番号43)
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSIRRGGDYWSWIRQHPGKGLEWIGYIYYSGSTLYNPRLKSRATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDYDIPTGYSYYYYGMDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0274】
10D10-Y54143-HP3 HC(配列番号44)
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSIRRGGDYWSWIRQHPGKGLEWIGYIYYSGSTLYNPRLKSRATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDYDILTGYSYYYYGMDPWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0275】
10D10-Y54143-HP4 HC(配列番号45)
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSIRRGGDYWSWIRQHPGKGLEWIGYIYYSGSTLYNPRLKSRATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDYDPPTGYSYYYYGMDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0276】
10D10-Y54143-HP5 HC(配列番号46)
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSIRRGGDYWSWIRQHPGKGLEWIGYIYYSGSTLYNPRLKSRATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDYDPLTGYSYYYYGMDPWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0277】
10D10-Y54143-HP6 HC(配列番号47)
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSIRRGGDYWSWIRQHPGKGLEWIGYIYYSGSTLYNPRLKSRATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDYDIPTGYSYYYYGMDPWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0278】
10D10-Y54143-HP7 HC(配列番号48)
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSIRRGGDYWSWIRQHPGKGLEWIGYIYYSGSTLYNPRLKSRATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDYDPPTGYSYYYYGMDPWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0279】
図7は、これらの変異体のいくつかについての結果を示す。いくつかの変異体では10D10より効力が高いことが、曲線が左へシフトしていることからわかる。プロリン置換を有するいくつかの被験10D10抗原結合タンパク質は、Y54143よりも、より高い効力を示さなかったことにも留意されるべきである。
【0280】
本明細書全体を通してさまざまな刊行物、特許及び特許出願が参照されている。これらの文献の開示内容はその全体が、参照により本明細書に取り込まれる。しかしながら、このような文献の参照をもって、かかる文献が本明細書に先行する技術であることを認めると解釈されるべきではない。さらに、参照により文献が取り込まれるという理由のみで、必ずしも出願人らが文献内容に完全に同意していることを指すわけではない。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
【配列表】
2022037087000001.app
【外国語明細書】