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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037105
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】エネルギー消費量データ処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20220301BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20220301BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
G06Q50/06
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202940
(22)【出願日】2021-12-14
(62)【分割の表示】P 2020021832の分割
【原出願日】2017-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】512109714
【氏名又は名称】株式会社環境エネルギー総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】大庭 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】片山 秀史
(57)【要約】      (修正有)
【課題】世帯の過去所定期間の1日の各時刻におけるエネルギー消費量データに基づいてその世帯の年齢構成及び起床時間を判別することが出来るエネルギー消費量データ処理システムを提供する。
【解決手段】エネルギー消費量データ処理システムによる消費電力量データ処理方法は、世帯の少なくとも夏と冬の少なくとも2週間分の1日の各時間帯の消費電力量データを取り込み、取り込んだ消費電力量データについて各時刻における消費電力量の最大値と最小値との差分絶対値である振れ幅を求め、就寝時間と考えられる時間帯における振れ幅が他の時間帯に比較して小さくまとまっているか否かを判定し、振れ幅が小さくまとまっている場合はその世帯は高齢者世帯と判定する。また、振れ幅が小→大へ顕著に変化する時間帯をその世帯の起床時間と判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
世帯のエネルギー消費量データを取得するデータ取得部と、前記エネルギー消費量データに基づいて世帯の年齢構成、起床時間および生活変化を分析するデータ演算部と、前記データ演算部が分析した世帯の生活変化に係る分析結果を出力するデータ出力部と、を備えたエネルギー消費量データ処理システムであって、
前記データ演算部は、世帯の過去の所定期間における1日毎の各時間帯のエネルギー消費量データを取り込み、取り込んだ前記エネルギー消費量データについて就寝時間帯に相当する各時刻における消費電力量の最大値と最小値との差分絶対値である振れ幅ならびに全時間帯を通しての前記振れ幅の増減変化を求め、前記消費電力量の振れ幅ならびに前記振れ幅の増減変化に基づいて前記世帯の年齢構成および起床時間を判別することを特徴とするエネルギー消費量データ処理システム。
【請求項2】
前記期間は、少なくとも夏と冬の少なくとも2週間の期間であることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー消費量データ処理システム。
【請求項3】
前記就寝時間帯は午前1時から午前6時の時間帯であることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー消費量データ処理システム。
【請求項4】
前記データ演算部は、取り込んだ前記エネルギー消費量データから生活異常データを除去し世帯の日常的な生活における1日の各時間帯のエネルギー消費量ロードカーブに相当する「標準生活モデル」を作成し、世帯のエネルギー消費量データをリアルタイムに取り込みながら前記標準生活モデルからの乖離度合いを求め、前記乖離度合いに基づいて世帯に対するアラームレベルを設定することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のエネルギー消費量データ処理システム。
【請求項5】
前記エネルギー消費量は、世帯の主幹電力量であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のエネルギー消費量データ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエネルギー消費量データ処理システムに関し、より詳細には世帯の過去所定期間の1日の各時刻におけるエネルギー消費量データに基づいてその世帯の年齢構成および起床の時間や状況を判別すると共にその世帯の生活の変化を精度良く検出することが出来るエネルギー消費量データ処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、原油価格の高騰に伴うガス・電気料金等の値上げによって、家庭や会社において省エネルギーの意識が高まっている。そのため、家庭や企業の求めに応じて省エネルギーや節電に関連した多種多様なサービスを提供することが業として行われている。そのサービスの内容は、例えば、顧客の季節毎の一定期間の各時間帯における消費電力量のデータを解析して、無駄なエネルギー消費を減らすための機器・設備(建家を含む)の使用方法に係る助言から、機器・設備の保守・点検、又は機器・設備の改修・交換あるいは新規導入等に係る助言、更には機器・設備の仲介業務等、サービスの内容は多岐に渡っている。
ところで、消費電力等のエネルギー消費量データには消費者の生活実態を写すミラー効果があり、在宅時と不在時、来客時、就寝時および起床時等の、様々な生活の中の変化を消費電力量が反映している。例えば、家庭生活では年末年始など、その月の通常の生活(標準的な生活)と大きく異なる生活変化があるとその影響を受け、エネルギー消費に変化が現れ、何らかのサインがデータに出現してくる。そのため、上記のエネルギー消費量を減らすための種々のコンサルティングサービス以外に、顧客のエネルギー消費量のデータから、顧客の何らかの異常・緊急事態を検出する、いわゆる監視サービスが業として行われており、その監視サービスに関連した危険状態判定システムに係る発明が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
上記システムでは、任意に定めた過去のN日分(N:正整数)の電力時系列データから、1日毎の消費電力量に関するヒストグラムを生成し、生成した1日毎の消費電力量のヒストグラムそれぞれについて、判別分析法(Discriminant Analysis Method)を用いて、消費電力量が小さい低消費クラスと消費電力量が大きい高消費クラスとの2つのクラスに分離する分離度(Separation Metrics)σ (σ :クラス間分散(Between-Class Variance)、σ :クラス内分散(Within-Class Variance))を1日毎に算出し、かつ、算出した分離度σ が最大になる日の閾値を導出することにより、導出した該閾値を、対象とする宅内に設置されている電気機器に関する機器自動運転時の消費電力量の最大値であるものと看做して、宅内に在宅する人間の一方の危険状態の有無を判別するための第1閾値t1として設定する、こととしている(特許文献1)。
【0003】
一方、生成した各日毎の消費電力量のヒストグラムについてそれぞれの最小の消費電力量を各日最小消費電力量として抽出し、抽出した各日最小消費電力量の中から、最小になっている消費電力量をN日間における最小消費電力量として抽出し、さらに、抽出した該最小消費電力量に基づいて、対象とする宅内に設置されている電気機器に関する機器自動運転時の消費電力量の最小値を算出することにより、算出した機器自動運転時の消費電力量の最小値を、宅内に在宅する人間のもう一方の危険状態の有無を判別するための第2閾値t2として設定する、こととしている(特許文献1)。
【0004】
そして、当該宅内における消費電力量が、あらかじめ定めた限界時間が超えるまで、該第1閾値を超えない状態が継続した場合、あるいは、該第2閾値以下に低下しない状態が継続した場合には、当該宅内の人間が機器の操作を行うことができない危険状態に陥っているものと判定する、こととしている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-131096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の危険状態判定システムによると、宅内の消費電力量が第1閾値t1を超えない状態が継続して、予め定めた限界時間例えば1日(24時間)を超えて、当該宅内の人間が機器の運転を開始させる操作を全く行わないという事態は、当該宅内の人間が外泊した場合等の滅多に発生しない状況が生じない限り、通常の状態では発生しない状況である、という旨が記載されている(引用文献1)。
【0007】
更に、宅内の消費電力量が第2閾値t2以下に低下しない状態が継続して、あらかじめ定めた限界時間例えば1日(24時間)を超えて、当該宅内の人間が機器の運転を停止させる操作を全く行わないという事態は、ホームパーティ等の特別のイベントを徹夜状態で開催していたような特別の行事の場合を除いて、通常の状態では発生しない状況である、という旨が記載されている(引用文献1)。
【0008】
しかし、上記危険状態判定システムでは、最終的な判断を下すためには宅内の消費電力量の推移を長時間(例えば1日)観察する必要があり、緊急性を必要とする事態に対しては迅速に措置を講ずることが出来ないものと考えられる。それに加え、ヒストグラム作成のために取り込まれる電力データには、通常の生活時の消費電力量データ(正常値)以外に、ホームパーティ開催等に係る消費電力量データ(生活異常値)、電力量計の誤計測に係る消費電力量データ(計測異常値)、或いは欠落した消費電力量データ(欠損値)が含まれていると考えられ、これら正常値、生活異常値、計測異常値および欠損値が全て含まれる消費電力量データを基に作成される1日毎の消費電力量に関するヒストグラム、更には危険状態を判定する際に使用される第1閾値t1および第2閾値t2は、正常値以外のデータいわゆるノイズが含まれるため、上記危険状態判定システムから得られる判定結果については精度、確度および信頼度の観点から更なる改善の余地があるものと考えられる。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであり、その目的は、世帯の過去所定期間の1日の各時刻におけるエネルギー消費量データに基づいてその世帯の年齢構成および起床時間を判別すると共に、世帯の通常の生活が精度良く反映された標準生活モデルを基準として、世帯のエネルギー消費量データをリアルタイムに取り込みながら上記標準生活モデルからの乖離度合いに基づいて世帯の生活の変化を精度良く検出することが出来るエネルギー消費量データ処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るエネルギー消費量データ処理システムでは、世帯のエネルギー消費量データを取得するデータ取得部と、前記エネルギー消費量データに基づいて世帯の年齢構成、起床時間および生活変化を分析するデータ演算部と、前記データ演算部が分析した世帯の生活変化に係る分析結果を出力するデータ出力部と、を備えたエネルギー消費量データ処理システムであって、前記データ演算部は、世帯の過去の所定期間における1日毎の各時間帯のエネルギー消費量データを取り込み、取り込んだ前記エネルギー消費量データについて就寝時間帯に相当する各時刻における消費電力量の最大値と最小値との差分絶対値である振れ幅ならびに全時間帯を通しての前記振れ幅の増減変化を求め、前記消費電力量の振れ幅ならびに前記振れ幅の増減変化に基づいて前記世帯の年齢構成および起床時間を判別することを特徴とする。
【0010】
本願発明者は、世帯別(例えば、高齢者世帯と若年者世帯(非高齢者世帯))の所定期間(例えば、夏と冬の月毎)における1日毎の各時間帯のエネルギー消費量データ(例えば、消費電力量データ)に係る振れ幅を鋭意分析した結果、特異な傾向が存在することを見出した。すなわち、高齢者世帯の消費電力量データに係る振れ幅について、夏も冬も例えば午前1時から午前6時までの就寝時間と考えられる時間帯については、消費電力量の振れ幅が他の時間帯に比べ小さくまとまっている。これに対し、若年者世帯については、高齢者世帯に現れるような振れ幅が小さくまとまっているという特異な傾向は見られず、振れ幅は全時間帯を通してほぼ一定で比較的大きな値を示している。
更に、各世帯の全時間帯を通しての振れ幅の増減変化についても特異な傾向が存在することを見出した。すなわち、高齢者世帯の振れ幅について、上述した通り、就寝時間帯と考えられる時間帯における振れ幅は他の時間帯に比べ小さくまとまっているが、ある時刻(時間帯)を境に振れ幅が小→大へ顕著に変化し、その時間以後では振れ幅はほぼ一定値を示している。他方、若年者世帯の振れ幅の増減変化については、詳細については後述するが、高齢者世帯に見られるような、ある時刻(時間帯)を境に振れ幅が小→大へ顕著に変化するというような明確な傾向は見られない。
つまり、ある世帯の過去所定期間についての1日の各時間帯のエネルギー消費量を分析し、エネルギー消費量の振れ幅が他の時間帯に比較して小さくまとまっているか否かをチェックすることにより、その世帯が高齢者世帯か若年者世帯かを判別することが出来ることを上記特異な傾向は示している。と同時に、振れ幅が小→大へ顕著に変化する時刻(時間帯)から、その世帯の起床時間を判別することが出来ることを上記特異な傾向は示している。
そこで、本発明のエネルギー消費量データ処理システムでは、ある世帯についての過去所定期間のエネルギー消費量データを取得し、就寝時間帯に相当する時間帯におけるエネルギー消費量の振れ幅(最大値と最小値との差分絶対値)、ならびに全時間帯を通しての振れ幅の増減変化に着目して、その世帯の年齢構成を判別すると共にその世帯の起床時間を判別する。
【0011】
本発明に係るエネルギー消費量データ処理システムの第2の特徴は、前記期間は少なくとも夏と冬の少なくとも2週間の期間である、ことである。
【0012】
詳細については後述するが、夏と冬の各エネルギー消費量データには、高齢者世帯と若年者世帯との間に若干の差異が見られる。上記構成では、上記差異を考慮して世帯の年齢構成を判別するようにするため、少なくとも夏と冬の少なくとも2週間の期間のエネルギー消費量を基に世帯の年齢構成を判別する。
【0013】
本発明に係るエネルギー消費量データ処理システムの第3の特徴は、前記就寝時間帯は午前1時から午前6時の時間帯である、ことである。
【0014】
上記構成では、上記振れ幅の小さなまとまりを容易に判別することが出来るようにするため、エネルギー消費量の振れ幅が特に小さくまとまっている上記時間帯に着目して上記振れ幅の小さなまとまりを判別する。
【0015】
本発明に係るエネルギー消費量データ処理システムの第4の特徴は、前記データ演算部は、取り込んだ前記エネルギー消費量データから生活異常データを除去し世帯の日常的な生活における1日の各時間帯のエネルギー消費量ロードカーブに相当する「標準生活モデル」を作成し、世帯のエネルギー消費量データをリアルタイムに取り込みながら前記標準生活モデルからの乖離度合いを求め、前記乖離度合いに基づいて世帯に対するアラームレベルを設定する、ことである。
【0016】
上記構成では、世帯に将来起こり得る大きな生活変化を未然に防止するようにするため、通常の生活の1日の各時間帯のエネルギー消費量に係るモデルロードカーブ(標準生活モデル)を作成し、上記標準生活モデルを基準とし、リアルタイムに取り込んだその世帯のエネルギー消費量データについて上記標準生活モデルからの乖離度合いを求め、その乖離度合いに基づいて世帯の生活の変化を検出し、その乖離度合いに応じた適切なアラームレベルを設定する。
【0017】
本発明に係るエネルギー消費量データ処理システムの第5の特徴は、前記エネルギー消費量は世帯の主幹電力量である、ことである。
【0018】
上記構成では、人が消費するエネルギーの内で、主幹電力量は常時消費され常時計測可能であるため、世帯の年齢構成、起床時間および世帯の生活の変化を検出し易いというメリットがある。
【発明の効果】
【0019】
本発明のエネルギー消費量データ処理システムによれば、世帯の過去所定期間の各時刻におけるエネルギー消費量データに基づいてその世帯の年齢構成および起床時間を好適に判別することが出来るようになる。
また、生活異常値が除去されたエネルギー消費量データに基づいて、世帯の通常の消費生活が精度良く反映された上記標準生活モデルを作成する場合は、世帯のエネルギー消費量データをリアルタイムに取り込みながら上記標準生活モデルからの乖離度合いに基づいて世帯の生活の変化を精度良く検出することが出来ると共に、上記標準生活モデルからの乖離度合いに応じて適切なアラームレベルを設定することが可能となり、その結果、世帯に将来起こり得る大きな生活変化をエネルギー消費量データを通して未然に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るエネルギー消費量データ処理システムの構成を示すブロック説明図である。
図2】本発明に係る消費電力量データ処理を示すフロー図である。
図3】高齢者世帯の季節毎の1日の各時刻の消費電力量を示すグラフである。
図4】若年者世帯の季節毎の1日の各時刻の消費電力量を示すグラフである。
図5】標準的生活に係る消費電力量データおよび非日常的な生活に係る消費電力量データを各々示す説明図である。
図6】ユーザ宅の7月における消費電力量に係る標準生活モデルと生活異常モデル並びに7月6日と7月14日における各消費電力量を各々示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係るエネルギー消費量データ処理システム100の構成を示すブロック説明図である。なお、詳細については図2から図6を参照しながら後述するが、このエネルギー消費量データ処理システム100は、ユーザ宅1の所定期間(夏と冬の2週間以上、望ましくは1年間)における1日の各時刻(ここでは時間幅を持つ時刻、例えば、0時の場合は0時~1時、・・・、23時の場合は23時~24時、という1時間の時間幅を持つ。)のエネルギー消費量(本実施例では消費電力量)に係る過去の計測データ(振れ幅)に基づいて、ユーザ宅1の年齢構成および起床時間を判別することが出来ると共に、ユーザ宅1の世帯の通常の生活における1日の各時刻の消費電力量ロードカーブ(以下、「標準生活モデル」という。)を予め作成し、ユーザ宅1の各時刻の消費電力量データをリアルタイムに取り込みながら、ユーザ宅1の消費電力量データについてその標準生活モデルからの乖離度合いを段階的に評価し、ユーザ宅1の生活変化に係る何らかのサイン(兆候)を精度良く検出し、その評価結果に応じたアラームレベルを監視部30に発信し、監視部30は受信したアラームレベルに応じて適切な処置を講ずることにより、ユーザ宅1に将来起こり得ると考えられる大きな生活変化を未然に防止することが出来るシステムである。特に、就寝時間帯である午前1時から午前6時の時間帯の消費電力量データに係る振れ幅、ならびに全時間帯を通じての振れ幅の増減変化をチェックすることにより、ユーザ宅1の年齢構成および起床時間を判別することが出来る。以下、本システムの各構成について説明する。
【0023】
上記システムの構成としては、ユーザ宅1のスマートメータなどの電力量計から消費電力量データを取得して後述する本発明に係る消費電力量データ処理を実行するデータ処理サーバ(消費電力量データ処理装置)10と、データ処理サーバ10とユーザ宅1との間の双方向通信を可能とさせる通信ネットワーク20と、データ処理サーバ10による消費電力量データに係る分析評価結果に応じてユーザ宅1に対し所定の措置を施す監視部30と、監視部30の監視対象であるユーザ宅1とを具備して構成されている。以下、各構成について更に詳細に説明する。
【0024】
図1に示すユーザ宅1には、外部から電源(商用電源)が供給される送配電線路9が配備されている。送配電線路9は、電力会社から商用電源を供給するための線路である。宅内配線7は、送配電線路9と分電盤2などの受電設備により隔てられた配電設備で、住宅の住人が電源を利用するための設備である。分電盤2は、宅内配電用の分岐回路やブレーカー等を内蔵した機器である。
【0025】
電力量計5は、ユーザ宅1全体の電力使用量、すなわちユーザが使用した総電力使用量を計測(計量)する電力計測装置である。このような電力量計5として、電力会社などが後述する通信ネットワーク20を通じて自動的に各建物の積算電力計を読み取るための装置であるスマートメータを用いてもよい。
【0026】
また、電力量計5は、通信線8によって通信装置6に接続され、計測した消費電力量(使用量)データ(計測データ)を通信装置6に送信する。本実施形態では、電力量計5は、1時間のうちの例えば15分だけの消費電力量を計測し、計測した消費電力量データを1時間(60分)に換算したものを1時間間隔で通信装置6に送信するようにしてもよい。
【0027】
通信装置6は、電力量計5から送信される電力使用量のデータを受信し、受信したデータを通信ネットワーク20を通じてデータ処理サーバ10に送信する。なお、図1に示す例では、電力量計5と通信装置6は別構成とされているが、これらは一体に構成されていてもよい。電力量計5がスマートメータの場合には、両者が一体の構成となる。
【0028】
データ処理サーバ10は、ユーザ宅1の通信装置6から送信される消費電力量データに対して、後述する消費電力量データ処理を行うためのコンピュータなどである。このデータ処理サーバ10は、例えば、省エネルギーに関する研究やコンサルティングを行う事業者や、省エネルギー支援用の情報などの各種情報を提供する事業者などによって設置・運用されている。図1に示すように、データ処理サーバ10は、通信ネットワーク20を介して通信装置6から送信される消費電力量データを受信する。このデータ処理サーバ10は、通信部11と、データ処理部12と、データ格納部13とを備える。
【0029】
通信部11は、通信ネットワーク20に接続してそのネットワーク規格に対応したデータ形式に送信データを変調(符号化)し、或いは受信データを自身のシステムに対応したデータ形式に復調(複号化)しながらデータの送受信を行うデータ送受信機器である。具体的には、通信部11は、通信ネットワーク20を介して通信装置6から送信される消費電力量データを受信すると共に、消費電力量データに係る分析結果に応じたアラームレベルを監視部30に送信する。
【0030】
データ処理部12は、ユーザ宅1の消費電力量データに対し後述する消費電力量データ処理に係る演算を実行する演算処理部である。図1に示すように、このデータ処理部12は、電力量計5で計測された消費電力量データを取得するデータ取得部12aと、データ取得部12aで取得された消費電力量の元データを後述する消費電力量データ処理に係る演算を実行するデータ演算部12bと、データ演算部12bで演算された消費電力量データに係る分析結果を通信部11およびデータ格納部13へ出力するデータ出力部12cとを備えている。
【0031】
データ格納部13は、ハードウェア及びソフトウェアの双方を統括・制御するオペレーティングシステム、並びに後述する本発明に係る消費電力量データ処理に係るプログラムの他、データ取得部12aで取得された消費電力量の元データ、及びデータ演算部12bで演算された消費電力量の分析結果を格納(記憶)するものであって、例えば、データの読み書きが可能なハードディスク、メモリ、DVDディスク、ブルーレイディスク等の各種の記憶媒体であり、将来的に開発される記憶媒体を含む。
【0032】
なお、図1に示すデータ処理部12は、データ処理サーバ10の機能ブロックの一部を示したものである。ここでは、本発明のデータ処理に必要な機能のみを抽出して図示し、他の機能の図示及び説明は省略している。なお、図示するデータ処理サーバ10以外にも、一般のパーソナルコンピュータなどを使用して同様の機能を付与することも可能である。この場合、データ処理部12で実行されるコンピュータプログラムは、コンピュータを図示した各手段として機能させるためのプログラムである。また、このコンピュータプログラムは、既存のアプリケーションプログラムに組み込まれていてもよい。また、このコンピュータプログラムは、CD-ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録したものをコンピュータにインストールしてもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを通じてダウンロードしたものであってもよい。
【0033】
通信ネットワーク20は、例えばインターネットであるが、データ処理サーバ10とユーザ宅1の通信装置6との間で双方向通信が可能であれば良く、例えば無線通信網であっても良い。
【0034】
監視部30は、例えば業として観察・監視を専門的に行う、いわゆるセキュリティ会社であるが、ユーザ宅1の親族等あるいは介護支援業者であっても良い。
【0035】
図2は、本発明に係る消費電力量データ処理を示すフロー図である。
先ず、ステップS1では、ユーザ宅1(対象世帯)の電力量計5から消費電力量データを取り込む。消費電力量データとしては、過去少なくとも夏と冬の少なくとも2週間分、望ましくは1年間分の1日の各時刻(各時間帯)の消費電力量[Wh]である。
【0036】
次に、ステップS2では、各時刻の消費電力量データの振れ幅を求める。振れ幅は、各時刻の消費電力量の最大値と最小値との差を算出することにより求める。
ところで図3は、高齢者世帯グループの夏と冬の1日の各時刻における消費電力量データを示すグラフである。図3(a)は夏における消費電力量データを、同(b)は冬における消費電力量データをそれぞれ示している。各グラフ中の各プロットは、時刻毎の消費電力量の最大値、平均値および最小値をそれぞれ示している。また、最大値と最小値とを結ぶ縦線はその時刻における消費電力量の振れ幅を示している。これらのグラフから明らかな通り、就寝時間帯と考えられる午前1時から午前6時の時間帯の各時刻における振れ幅は、夏冬を問わず他の時間帯に比べ小さくまとまっていることが分かる。また、時間経過に対する振れ幅の増減変化を見ると、夏冬を問わずある時刻(例えば午前7時の時刻)を境にして振れ幅が小→大へ顕著に変化し、それ以降の時間帯、例えば8時から23時の時間帯においては振れ幅がほぼ一定値を示していることが分かる。つまり、この振れ幅が小→大へ顕著に変化するという特徴から、高齢者世帯の起床時間が分かることになる。
【0037】
一方、図4は、若年者世帯の夏と冬の1日の各時刻における消費電力量データを示すグラフである。図4(a)は夏における消費電力量データを、同(b)は冬における消費電力量データをそれぞれ示している。これらのグラフから明らかな通り、午前1時から午前6時の時間帯の各時刻における振れ幅は、図3の高齢者世帯の同時間帯の各振れ幅に比較して小さくまとまっていないことが分かる。また、時間経過に対する振れ幅の増減変化を見ると、冬(図4(b))の9時から17時の時間帯を除き、振れ幅の増減変化はほぼゼロで振れ幅は時刻を問わず、大きくほぼ一定値を示している。つまり、若年者世帯における消費電力量の振れ幅は、高齢者世帯の就寝時間と考えられる1時から6時の時間帯に見られるような、小さなまとまりのようなものは存在せず、どの時間帯においても振れ幅は大きくほぼ一定値を示している。従って、ある世帯の消費電力量データについて、就寝時間帯と考えられる時間帯における振れ幅が他の時間帯に比較して小さくまとまっている場合は、その世帯は高齢者世帯と考えられる。なお、若年者世帯の冬(図4(b))の9時から17時の時間帯の各時刻における振れ幅は他の時間帯に比較して小さくまとまっているが、その小さなまとまりの程度は高齢者世帯に比較して顕著ではない。なお、この若年者世帯の小さなまとまりは、この時間帯における若年者世帯の在宅率が低いためと考えられる。
【0038】
また、高齢者世帯および若年者世帯の各時間帯における各消費電力量(の絶対値)について見ると、8時から17時の時間帯の各時刻における各消費電力量は高齢者世帯が若年者世帯に比較して高いのに対し、18時から23時の時間帯の各時刻の各消費電力量は若年者世帯が高齢者世帯に比較して高くなっている。これは、8時から17時の時間帯は高齢者世帯の在宅率が若年者世帯に比較して高いためと考えられ、他方、18時から23時の時間帯は若年者世帯の空調機(クーラー又は暖房機)の使用率が高齢者世帯に比較して高いことに起因しているためと考えられる。
【0039】
以上、図3及び図4に示される世帯別の各時刻の消費電力量データから読み取られる消費電力量の各時刻における振れ幅、振れ幅の増減変化および消費電力量の各特徴についてまとめると、下記の通りとなる。
(1)高齢者世帯の就寝時間帯と考えられる例えば1時から6時の時間帯における振れ幅は夏冬を問わず他の時間帯に比べ小さくまとまっている。
(1')高齢者世帯の冬の22時から23時の時間帯における振れ幅は、冬の全時間帯を通して最大となる。
(2)若年者世帯の振れ幅は、冬の8時から17時の時間帯を除き、全時間帯を通して高齢者世帯に比較して大きくほぼ一定値を示す。
(2’)高齢者世帯の各時刻の消費電力量は、ある時刻例えば午前7時の時刻を境に絶対値が小→大へ顕著に変化する。
(3)高齢者世帯の振れ幅の増減変化について、夏冬を問わずある時刻例えば午前7時の時刻を境に振れ幅が小→大へ顕著に変化する。
(4)若年者世帯の冬の振れ幅の増減変化について、ある時刻例えば午前8時を境に振れ幅が大→小に変化すると共に、ある時刻例えば18時を境に振れ幅が小→大に変化する。
(5)高齢者世帯の8時から17時の時間帯の消費電力量は、若年者世帯に比較して大きい。
(6)若年者世帯の夏の18時から23時の時間帯の消費電力量は高齢者世帯に比較して大きい。
【0040】
従って、本実施例では、リアルタイムに取り込まれるユーザ宅1の消費電力量データを例えば上記(1)および(3)の特徴を基に分析することによりユーザ宅1が高齢者世帯であるか否か、及びその世帯の起床時間を判別することが出来る。
【0041】
次に、ステップS3では、就寝時間帯と考えられる消費電力量の振れ幅が他の時間帯に比べ小さくまとまっているか否かを判定するとともに、その絶対値についてもその大きさを判定する。ステップS2で求めた振れ幅が所定の値(例えば、各時刻における統計処理された消費電力量の大きさ及び分散値)以下であれば他の時間帯に比べ小さくまとまっている(YES)と判定し、ステップS4へ進み、ステップS4においてユーザ宅1は高齢者世帯であると判定する。一方、振れ幅が所定の値以下に収まっていなければ他の時間帯に比べ小さくまとまっていない(No)と判定し、ステップS11へ進む。ステップS11においてユーザ宅1は非高齢者世帯であると判定されると共に、ステップS7からS9において実行される処理(現在の消費電力量データを取り込みながら生活の変化を検出するという処理)は特に必要なしと判定され処理は終了する(END)。
【0042】
次に、ステップS5では、標準的な生活に係る消費電力量データを抽出し、標準的な生活の1日の所定時間帯毎の消費電力量モデルを作成する。図5(a)に示すように、通常の生活の中では滅多に行われない行事(例えば年末年始のホームパーティ等)が行われた日の消費電力量カーブは、各時刻の標準的な消費電力量カーブ群Bから逸脱した1日の消費電力量カーブAとして現れる。これに対し、ホームパーティ等の行事が行われない通常の生活における消費電力量カーブは、各日の各時刻の消費電力量が標準的振れ幅の範囲内に収まった消費電力量カーブ群Bとして現れる。ここでは、ユーザ宅1の標準的な生活に係る消費電力量データとして消費電力量カーブ群Bを抽出する。そして、抽出した消費電力量カーブ群Bについて、図5(b)に示すように、時刻毎の統計処理された代表値をそれぞれ求め、求めた各代表値を時刻毎にプロットしたカーブが、ステップS7からS9に係る処理において使用される乖離度合いの基準となる、ユーザ宅1における標準的な生活の1日の所定時間毎の消費電力量モデルロードカーブ(標準生活モデル)となる。なお、消費電力量カーブAは、後述する生活異常モデルとして使用される。
【0043】
次に、ステップS6では、非日常的な生活に係る消費電力量データを抽出し、ユーザ宅1の非日常的な生活の1日の所定時間帯毎の消費電力量モデルロードカーブ(生活異常モデル)を作成する。ここでは、図5(a)に示す消費電力量カーブAが、非日常的な生活の1日の所定時間帯毎の消費電力量モデルとなる。
【0044】
次に、ステップS7では、ユーザ宅1の電力量計5にアクセスして現在の消費電力量データを取り込む。
【0045】
次に、ステップS8では、ステップS7において取り込まれた消費電力量が標準的生活の範囲内か否かを判定する。判定は、ステップS5で作成した標準生活モデルと比較することにより行われる。すなわち、取り込まれた分析対象時刻の消費電力量が標準生活モデルの範囲内に収まっている場合(Yes)は、乖離度合いの分析は不要と判定し、消費電力量の取り込みを継続する。他方、取り込まれた消費電力量が標準生活モデルを上回っている(超えている)場合(No)は、乖離度合いの分析は必要と判定し、ステップS9へ進む。
【0046】
次に、ステップS9では、標準生活モデルに対する乖離度合いを分析する。乖離度合いの分析は標準生活モデルからの超過量の絶対値を基に行われる。超過量の絶対値の算出は、例えば|(取り込まれた分析対象時刻の消費電力量)-(標準生活モデルにおける対応する時刻における消費電力量)}|を計算することにより行われる。詳細については図6を参照しながら後述する。
【0047】
図6は、ユーザ宅1の7月における消費電力量に係る標準生活モデルと生活異常モデル並びに7月6日と7月14日における各消費電力量を各々示すグラフである。
先ず、7月6日の消費電力量(×)については、ほとんど標準生活モデル(◇)及び生活異常モデル(□)の範囲内に収まっていることが分かる。なお、9時の時間帯の消費電力量が標準生活モデル(◇)及び生活異常モデル(□)の双方の範囲内を超えているが、標準生活モデル(◇)に対する乖離度合いは無視可能なレベル、すなわち正常範囲である。定量的には、消費電力量の標準生活モデル(◇)に対する超過量Vが、標準生活モデル(◇)と生活異常モデル(□)との間の最大超過量Vmaxの例えば参照設定値A未満の範囲内であり且つ生活異常モデル(□)の範囲内である乖離レベルは、ここでは”正常範囲”と定義している。
【0048】
一方、7月14日の消費電力量(△)については、0時から10時の時間帯の消費電力量については、ほとんど標準生活モデル(◇)又は生活異常モデル(□)の正常範囲内に収まっているのに対し、11時の時間帯の消費電力量については、標準生活モデル(◇)に対する超過量Vが上記最大超過量Vmaxの参照設定値Aを超えて生活異常モデル(□)の境界に達している。しかし、この時間帯における消費電力量の標準生活モデル(◇)に対する乖離度は深刻なレベルではないとしている。定量的には、例えば消費電力量の標準生活モデル(◇)に対する超過量Vが、標準生活モデル(◇)と生活異常モデル(□)との間の最大超過量Vmaxの参照設定値A以上参照設定値B未満の範囲内であり且つ生活異常モデル(□)の範囲内である乖離レベルは、ここでは”乖離レベル1”と定義している。(A<<B;A,Bは観測対象により保有するデータベースから参照する。)
【0049】
他方、7月14日の13時から19時の時間帯の消費電力量(△)については、標準生活モデル(◇)に対する乖離度合いが上記最大超過量Vmaxの参照設定値Bを超えて生活異常モデル(□)の境界に達している。従って、この時間帯における消費電力量の標準生活モデル(◇)に対する乖離度は要注意レベルとしている。定量的には、例えば消費電力量の標準生活モデル(◇)に対する超過量Vが、標準生活モデル(◇)と生活異常モデル(□)との間の最大超過量Vmaxの参照設定値B以上最大超過量Vmax以下の範囲内であり且つ生活異常モデル(□)の範囲内である乖離レベルは、ここでは”乖離レベル2”と定義している。
【0050】
また、7月14日の21時の時間帯の消費電力量(△)については、標準生活モデル(◇)に対する乖離度合いが上記最大超過量Vmaxを超えて、なお且つ生活異常モデル(□)の境界をも超えている。従って、この時間帯における消費電力量の標準生活モデル(◇)に対する乖離度は深刻なレベルとしている。定量的には、例えば消費電力量の標準生活モデル(◇)に対する超過量Vが、標準生活モデル(◇)と生活異常モデル(□)との間の最大超過量Vmaxを超過する範囲であり且つ生活異常モデル(□)を超える乖離レベルは、ここでは”乖離レベル3”と定義している。
【0051】
再び図2に戻って、最後にステップS10では、上記乖離レベルを適切なアラームレベルに置き換えて分析結果を監視部30に発信する。例えば、上記乖離レベル1は”アラームレベル1”とし、措置としては例えば経過観察を実施することが適切と考えられる。また、上記乖離レベル2は”アラームレベル2”とし、措置としては例えば電話連絡を実施することが適切と考えられる。また、上記乖離レベル3は”アラームレベル3”とし、措置としては例えば家庭訪問を実施することが考えられる。
【0052】
以上の通り、本発明のエネルギー消費量データ処理システム100によれば、世帯の各時刻におけるエネルギー消費量データの振れ幅に基づいてその世帯の年齢構成および起床時間を好適に判別することが出来るようになる。
また、生活異常値が除去されたエネルギー消費量データに基づいて、世帯の通常の消費生活が精度良く反映された上記標準生活モデルを作成する場合は、世帯のエネルギー消費量データをリアルタイムに取り込みながら上記標準生活モデルからの乖離度合いに基づいて世帯の生活の変化を精度良く検出することが出来ると共に、上記標準生活モデルからの乖離度合いに応じて適切なアラームレベルを設定することが可能となり、その結果、世帯に将来起こり得る大きな生活変化をエネルギー消費量データにより未然に防止することが可能となる。
【0053】
なお、本発明の実施形態は上記のみに限定されるものではなく、本発明の特徴の要旨を逸脱しない範囲内において様々は変形例を含んでいる。例えば、上記ステップS3において消費電力量の振れ幅に基づいて世帯の年齢構成および起床時間を判定しているが、消費電力量の絶対値に基づいて世帯の年齢構成および起床時間を判定することも可能であり、或いは消費電力量の振れ幅と絶対値に基づいて世帯の年齢構成および起床時間を判定することも可能である。また、上記実施形態においてはエネルギー消費量データとして電力を選定しているが、電力だけに限定されず水道、ガス又は灯油のいずれかを選定することも可能である。更に、上記標準生活モデルからの乖離度合い(乖離レベル)については、上記実施形態だけに限定されるものではなく、世帯の属性および具体的な生活行動に応じて個別具体的に決定することが出来る。
【符号の説明】
【0054】
1 ユーザ宅
2 分電盤
5 電力量計
6 通信装置
7 宅内配線
8 通信線
9 送配電線路
10 データ処理サーバ(エネルギー消費量データ処理装置)
11 通信部
12 データ処理部
12a データ取得部
12b データ演算部
12c データ出力部
13 データ格納部
20 通信ネットワーク
30 監視部
100 エネルギー消費量データ処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-01-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
世帯のエネルギー消費量データを取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得したエネルギー消費量データに基づいて前記世帯の在宅率を判断するデータ演算部と、前記データ演算部が判断結果を出力するデータ出力部と、を備えたエネルギー消費量データ処理システムであって、
前記データ演算部は、前記世帯の過去の所定期間における1日毎の各時間帯のエネルギー消費量データを取り込み、取り込んだ前記エネルギー消費量データについて就寝時間帯に相当する各時刻における消費電力量の最大値と最小値との差分絶対値である振れ幅ならびに全時間帯を通しての前記振れ幅の増減変化を求め、前記消費電力量の振れ幅ならびに前記振れ幅の増減変化に基づいて前記世帯の在宅率を判断することを特徴とするエネルギー消費量データ処理システム。
【請求項2】
前記データ演算部は、前記世帯の過去の所定期間における1日毎の各時間帯のエネルギー消費量データを取り込み、取り込んだ前記エネルギー消費量データについて就寝時間帯に相当する各時刻における消費電力量の最大値と最小値との差分絶対値である振れ幅ならびに全時間帯を通しての前記振れ幅の増減変化を求め、前記消費電力量の振れ幅ならびに前記振れ幅の増減変化に基づいて前記世帯が高齢者世帯と若年者世帯のどちらであるかを判別し、当該判別に基づいてさらに前記世帯の在宅率を判断することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー消費量データ処理システム。
【請求項3】
前記所定期間は、少なくとも夏と冬の少なくとも2週間の期間であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエネルギー消費量データ処理システム。
【請求項4】
前記就寝時間帯は午前1時から午前6時の時間帯であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエネルギー消費量データ処理システム。
【請求項5】
前記データ演算部は、取り込んだ前記エネルギー消費量データから生活異常データを除
去し前記世帯の日常的な生活における1日の各時間帯のエネルギー消費量ロードカーブに相当する「標準生活モデル」を作成し、前記世帯のエネルギー消費量データをリアルタイムに取り込みながら前記標準生活モデルからの乖離度合いを求め、前記乖離度合いに基づいて前記世帯に対するアラームレベルを設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエネルギー消費量データ処理システム。
【請求項6】
前記エネルギー消費量は、前記世帯の主幹電力量であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエネルギー消費量データ処理システム。