(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037114
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】ニューロンヒスタミン受容体-3アンタゴニストとしての化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/517 20060101AFI20220301BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
A61K31/517
A61P25/00
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021203349
(22)【出願日】2021-12-15
(62)【分割の表示】P 2021517823の分割
【原出願日】2018-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】518097626
【氏名又は名称】エックスダブリューファルマ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャン、チア - ニン
(72)【発明者】
【氏名】シュ、シュエソン
(72)【発明者】
【氏名】フェン、イー
(72)【発明者】
【氏名】エン、ワイ - シ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】CNS障害またはナルコレプシーを含む、患者におけるヒスタミン3受容体(H3R)に関連する障害または疾患を予防、治療、改善するための薬剤を提供する。
【解決手段】本発明は、H3Rアンタゴニストとしての式(A)の化合物、ならびにそれらの調製および使用に関し、さらに、これらの化合物を含む医薬組成物、およびヒスタミン3受容体(H3R)機能の調節因子としてのそれらの使用に関する。本発明はまた、ヒトにおけるH3R機能に関連する特定の障害および疾患の治療または予防における、化合物または医薬組成物の使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を有する化合物、
【化1】
または薬学的に許容される塩であって、式中、
R
1およびR
2は独立して、HまたはSF
5であり、ただし、R
1およびR
2のうちの1つが少なくともSF
5であることを条件とし、
R
3は、C
1-6アルキルまたはC
3-6シクロアルキルであり、
環Aは、C
6-8アリールであり、
Arは、C
5-6アリールであり、前記C
5-6アリールは、1、2、3、または4個のR
eで任意に置換され、
R
eは、H、ハロゲン、CN、NO
2、OH、C
1-6アルコキシ、またはC
1-6アルキルであり、
X
1は、SまたはOであり、
X
2は、
【化2】
であり、式中、Rは、NまたはCであり、
R
3およびR
4は、C
1-6アルキルであるか、またはR
3およびR
4は、それらが結合するRと共に、C
3-7炭素環、3~7員複素環を形成し、前記C
3-7炭素環、3~7員複素環の各々は独立して、1、2、3、4、5、または6個のR
fで任意に置換され、
R
fは、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、-C(=O)R
aであり、前記C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、-C(=O)R
aの各々は独立して、C
1-6アルキルで任意に置換され、
R
aは、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、または3~7員複素環であり、
mは、0~3の整数であり、
nは、0~5の整数である、化合物、または薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R3が、C1-4アルキルまたはC3-6シクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Arが、フェニルであり、前記フェニルが、1、2、3、または4個のReで任意に置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Arが、以下の部分式:
【化3】
であり、式中、w1は、0、1、2、3、または4である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Reが、H、F、Cl、Br、I、CN、NO2、OH、メチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R3およびR4が、C1-4アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Rが、Nであり、R3、およびR4が、それらが結合する窒素原子と共に、3~7員複素環を形成し、前記3~7員複素環が独立して、1、2、3、4、または5個のRfで任意に置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Rが、Cであり、R3、およびR4が、それらが結合する炭素原子と共に、C3-7炭素環、3~7員複素環を形成し、前記C3-7炭素環、3~7員複素環の各々が独立して、1、2、3、4、または5個のRfで任意に置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Rfが、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、-C(=O)Raである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
R
fが、-C(=O)R
a、メチル、エチル、i-プロピル、
【化4】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
R
aが、メチル、エチル、
【化5】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
X
2が、以下の部分式:
【化6】
のうちの1つである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
X
2が、以下の部分式:
【化7】
のうちの1つである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
式(B)~(D)のいずれか1つを有し、
【化8】
式中、oは、0~4の整数であり、pは、1~5の整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
炭素-水素結合のいずれかが、炭素-重水素結合で置き換えられ得る、請求項1~15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
以下の構造のうちの1つを有する化合物、
【化9-1】
【化9-2】
または薬学的に許容される塩。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項19】
薬学的に許容される担体、アジュバント、ビヒクル、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
1つ以上の他の治療薬をさらに含み、前記他の治療薬が、CNS障害またはナルコレプシーの治療で使用される、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
CNS障害が、認知、精神、神経運動、または疼痛性である、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記他の治療薬が、ドーパミン受容体アンタゴニスト、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、非選択的セロトニン再取り込み阻害剤、および/またはアセチルコリンエステラーゼ阻害剤からなる群から選択される活性成分をさらに含んでいる、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項23】
患者におけるCNS障害またはナルコレプシーを予防、管理、治療、または軽減するための薬剤の製造における、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物または請求項18~22のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項24】
H3受容体に拮抗するための薬剤の製造における、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物または請求項18~22のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項25】
患者におけるウイルス感染によって引き起こされるCNS障害またはナルコレプシーの予防、管理、治療、または軽減で使用するための、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物または請求項18~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
H3受容体への拮抗で使用するための、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物または請求項18~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
患者におけるCNS障害またはナルコレプシーを予防、管理、治療、または軽減する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物または請求項18~22のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項28】
患者におけるH3受容体に拮抗する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物または請求項18~22のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品技術の分野に関し、具体的には、特定の化合物、それらの調製、および使用、ならびにそのような化合物を含む医薬組成物に関する。例示されるように、本発明は、CNS障害またはナルコレプシーを含む、患者における特定の障害または疾患を予防、治療、改善するための薬剤の製造で使用され得る可能性がある、特定の化合物、それらの調製、および対応する医薬組成物に関する。本発明の化合物および/または医薬組成物は、とりわけ、ニューロンヒスタミン受容体-3(H3R)を調節する(例えば、それに拮抗する)ように作用することによって、それらの治療上の利益を及ぼすと考えられる。
【背景技術】
【0002】
シナプス後ヒスタミンのそのH3Rへの結合は、ヒスタミンだけでなく、様々な他の重要な神経伝達物質、例えば、アセチルコリン、ドーパミン、グルタミン酸塩、ノルアドレナリン、セロトニン、GABAなどの流量も制限する(例えば、T.A.Esbenshade,et.al,Mol.Intervention,v.6,pp.77-88 2006)。対照的に、H3Rアンタゴニスト(インバースアゴニストとしても既知)は、CNS障害の多様な群(例えば、認知、精神、神経運動、疼痛性など)を治療するためにこれらの神経伝達流量を増加させることができた。(http://molpharm.aspetjournals.org/content/molpharm/90/5/649.full.pdf(2017年2月26日にアクセス)、H3Rアンタゴニストに関する近年の特許出願の考察、Lazewska et.al.,Expert Opin.Therapeutic Patents,v.28,pp.175-196 2018、およびそこで引用される参考文献)。
【0003】
過去10年間にわたるナルコレプシーを治療するためのH3Rアンタゴニストの進行中の臨床試験(例えば、review-https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5344488/pdf/nss-9-039.pdf(2018年2月26日にアクセス))は、最初のH3RアンタゴニストであるピトリサントのEU販売承認につながった(商標名=Wakix、http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/medicines/human/medicines/002616/human_med_001955.jsp&mid=WC0b01ac058001d124(2018年2月26日にアクセス)。Wakixおよびナトリウムオキシベート(商標名-Xyrem、そのEU販売承認:http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/medicines/human/medicines/000593/human_med_001163.jsp&mid=WC0b01ac058001d124(2018年2月26日にアクセス))は、ナルコレプシーおよびカタプレキシー(ナルコレプシー患者の約70%を苦しめる)を特異的に治療するために販売されている現在の薬剤であるが、最初に滴定された患者のかなりの割合(約20~40%)が、不十分な有効性および/または毒性のためにさらなる薬物投薬を中止している(それぞれ、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5414617/pdf/nss-9-127.pdfおよびhttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5727622/pdf/main.pdf(両方とも2018年2月26日にアクセス)。したがって、いくつかの他のCNS障害の影響を受けた患者と同様に、ナルコレプシー患者は、この割合を著しく低下させるためにより良い薬物を緊急に必要としている。
【0004】
本出願に開示される化合物および医薬製剤は、とりわけ、H3Rに拮抗するように作用することによって、それらの治療上の利益を及ぼすと考えられる。
【発明の概要】
【0005】
以下は、本発明のいくつかの態様の概要のみであるが、これらに限定されない。本明細書のすべての参照文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書の開示が引用と異なる場合、本明細書の開示が優先するものとする。本発明は、H3Rを調節する、H3Rに拮抗する化合物および医薬組成物、それらの調製、ならびに対応する医薬組成物を提供する。本発明の化合物および/または医薬組成物は、CNS障害またはナルコレプシーを含む、患者におけるH3Rに関連する特定の障害または疾患を予防、治療、改善するための薬剤の製造で使用され得る可能性ある。
【0006】
具体的には、一態様において、本発明は、式(A)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩に関し、
【化1】
式中、R
1およびR
2は独立して、HまたはSF
5であり、ただし、R
1およびR
2のうちの1つが少なくともSF
5であることを条件とし、
R
3は、C
1-6アルキルまたはC
3-6シクロアルキルであり、
環Aは、C
6-8アリールであり、
Arは、C
5-6アリールであり、C
5-6アリールは、1、2、3、または4個のR
eで任意に置換され、
R
eは、H、ハロゲン、CN、NO
2、OH、C
1-6アルコキシ、またはC
1-6アルキルであり、
X
1は、SまたはOであり、
X
2は、
【化2】
であり、式中、Rは、NまたはCであり、
R
3およびR
4は、C
1-6アルキルであるか、またはR
3およびR
4は、それらが結合するRと共に、C
3-7炭素環、3~7員複素環を形成し、C
3-7炭素環、3~7員複素環の各々は独立して、1、2、3、4、5、または6個のR
fで任意に置換され、
R
fは、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、-C(=O)R
aであり、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、-C(=O)R
aの各々は独立して、C
1-6アルキルで任意に置換され、
R
aは、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、または3~7員複素環であり、
mは、0~3の整数であり、
nは、0~5の整数である。
【0007】
一実施形態において、R3は、C1-4アルキルまたはC3-6シクロアルキルである。
一実施形態において、Aは、フェニルである。
【0008】
一実施形態において、Arは、フェニルであり、フェニルは、1、2、3、または4個のReで任意に置換される。
【0009】
一実施形態において、Arは、以下の部分式:
【化3】
であり、式中、w1は、0、1、2、3、または4である。
【0010】
一実施形態において、Reは、H、F、Cl、Br、I、CN、NO2、OH、メチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシである。
【0011】
一実施形態において、R3およびR4は、C1-4アルキルである。
【0012】
一実施形態において、Rは、Nであり、R3、およびR4は、それらが結合する窒素原子と共に、3~7員複素環を形成し、3~7員複素環は独立して、1、2、3、4、または5個のRfで任意に置換される。
一実施形態において、Rは、Cであり、R3、およびR4は、それらが結合する炭素原子と共に、C3-7炭素環、3~7員複素環を形成し、C3-7炭素環、3~7員複素環の各々は独立して、1、2、3、4、または5個のRfで任意に置換される。
【0013】
一実施形態において、Rfは、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、-C(=O)Raである。
【0014】
一実施形態において、R
fは、-C(=O)R
a、メチル、エチル、i-プロピル、
【化4】
である。
【0015】
一実施形態において、R
aは、メチル、エチル、
【化5】
である。
【0016】
一実施形態において、X
2は、以下の部分式:
【化6】
のうちの1つである。
【0017】
一実施形態において、X
2は、以下の部分式:
【化7】
のうちの1つである。
【0018】
一実施形態において、式(B)を有する化合物が本明細書に提供され、
【化8】
式中、oは、0~4の整数であり、
R
e、R
fは、本明細書で定義されるとおりである。
【0019】
一実施形態において、式(C)を有する化合物が本明細書に提供され、
【化9】
式中、R
e、R
aは、本明細書で定義されるとおりである。
【0020】
一実施形態において、式(D)を有する化合物が本明細書に提供され、
【化10】
式中、pは、1~5の整数であり、
R
eは、本明細書で定義されるとおりである。
【0021】
別の態様において、本発明の化合物を含む医薬組成物が本明細書に提供される。
【0022】
一実施形態において、医薬組成物は、薬学的に許容される担体、アジュバント、ビヒクル、またはそれらの組み合わせをさらに含む。
【0023】
一実施形態において、医薬組成物は、1つ以上の他の治療薬をさらに含み、他の治療薬は、CNS障害またはナルコレプシーの治療で使用される。
【0024】
一実施形態において、CNS障害は、認知、精神、神経運動、または疼痛性である。
【0025】
一実施形態において、他の治療薬は、ドーパミン受容体アンタゴニスト、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、非選択的セロトニン再取り込み阻害剤、およびアセチルコリンエステラーゼ阻害剤からなる群から選択される活性成分をさらに含んでいる。
【0026】
別の態様において、患者におけるCNS障害またはナルコレプシーを予防、管理、治療、または軽減するための薬剤の製造における、化合物または医薬組成物の使用が本明細書に提供される。
【0027】
別の態様において、H3受容体に拮抗するための薬剤の製造における、化合物または医薬組成物の使用が本明細書に提供される。
【0028】
別の態様において、患者におけるウイルス感染によって引き起こされるCNS障害またはナルコレプシーの予防、管理、治療、または軽減で使用するための、化合物または医薬組成物が本明細書に提供される。
【0029】
別の態様では、H3受容体への拮抗で使用するための化合物または医薬組成物が本明細書に提供される。
【0030】
別の態様において、患者におけるCNS障害またはナルコレプシーを予防、管理、治療、または軽減する方法が本明細書に提供され、本方法は、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物または医薬組成物を投与することを含む。
【0031】
別の態様において、患者におけるH3受容体に拮抗する方法が本明細書に提供され、本方法は、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物または医薬組成物を投与することを含む。
【0032】
さらに別の態様において、本発明は、式(A)~(D)の化合物およびその薬学的に許容される塩を製造する方法に関する。
【0033】
本発明の化合物、医薬組成物、および方法の特定の実施形態において、式(A)~(D)の化合物は、以下の詳細な説明に記載もしくは例示される種から選択される化合物であるか、またはそのような化合物の薬学的に許容される塩である。
【0034】
別の好ましい実施形態において、本発明は、有効量の式(A)~(D)の少なくとも1つの化合物または式(A)~(D)の化合物の薬学的に許容される塩を各々含む、医薬組成物の調製方法に関する。本発明による医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、溶媒、支持体、またはそれらの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0035】
固定用量として製剤化される場合、そのような混合生成物は、本明細書に記載される(または当業者に既知の)投与量範囲内の本発明の化合物、およびその投与量範囲内の他の薬学的に活性な薬剤または治療を用いる。本発明の化合物はまた、混合製剤が不適切である場合、既知の抗CNS障害またはナルコレプシー剤と連続的に投与されてもよい。任意の併用療法において、本発明は、投与の順序が制限されず、式(A)~(D)の化合物は、既知の抗CNS障害またはナルコレプシー剤の投与の前または後のいずれかに投与されてもよい。そのような技法は、当業者ならびに担当医の技能の範囲内である。
【0036】
さらに別の実施形態は、本発明の医薬製剤を対象に投与することによって、本発明の化合物を必要とする対象(例えば、ヒト)にそれを投与するための方法である。
【0037】
さらに別の実施形態は、少なくとも1つの薬学的に許容される本発明の化合物と、任意に、1つ以上の薬学的に許容される添加剤または賦形剤とを混合することによって、本発明の医薬製剤を調製する方法である。
【0038】
本発明によって記載される化合物から医薬組成物を調製するために、不活性の薬学的に許容される担体は、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態調製物としては、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、ビーズ、カシェ剤、および坐薬が挙げられる。粉末および錠剤は、約5~約95%の活性成分で構成されてもよい。好適な固体担体、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、またはラクトースが当該技術分野において既知である。錠剤、粉末、カシェ剤、およびカプセルは、経口投与に好適な固体剤形として使用され得る。様々な組成物についての薬学的に許容される担体および製造方法の例は、A.Gennaro(ed.),Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,(1990),Mack Publishing Co.,Easton,Paで見ることができる。
【0039】
液体形態調製物としては、溶液、懸濁液、およびエマルションが挙げられる。例えば、非経口注射用の水もしくは水-プロピレングリコール溶液、または経口溶液、懸濁液、およびエマルションのための甘味料および乳白剤の添加がある。液体形態調製物は、鼻腔内投与用の溶液も含み得る。
【0040】
吸入に好適なエアロゾル調製物は、不活性圧縮ガス、例えば、窒素などの薬学的に許容される担体と組み合わせてもよい、溶液および粉末形態の固体を含み得る。
【0041】
また、使用の直前に、経口投与または非経口投与のいずれかのための液体形態調製物に変換されることが意図される固体形態調製物も含まれる。そのような液体形態としては、溶液、懸濁液、およびエマルションが挙げられる。
【0042】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能であり得る。経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾル、および/またはエマルションの形態をとることができ、この目的のために当該技術分野において慣習的であるようなマトリックスまたはリザーバータイプの経皮パッチに含まれ得る。
【0043】
本発明の化合物はまた、皮下送達され得る。
【0044】
好ましくは、化合物は、経口または静脈内投与される。
【0045】
好ましくは、医薬調製物は、単位剤形である。そのような形態において、調製物は、適切な量の活性成分、例えば、所望の目的を達成するための有効量を含有する適切なサイズの単位用量に細分化される。
【0046】
調製物の単位用量中の活性化合物の量は、特定の用途に従って、約1mg~約1000mg、好ましくは約1mg~約500mg、より好ましくは約1mg~約300mg、さらにより好ましくは約1mg~約200mg変化または調整され得る。
【0047】
用いられる実際の投与量は、患者の要件および治療されている状態の重症度に応じて変化し得る。特定の状況に対する適切な投薬レジメンの決定は、当業者の技能の範囲内である。便宜上、1日の総投与量は、必要に応じて分割され、1日の間に何回かに分けて投与されてもよい。本発明の化合物および/またはその薬学的に許容される塩の投与量および頻度は、患者の年齢、状態、および体格、ならびに治療されている症状の重症度などの要因を考慮した担当医の判断に従って調節される。経口投与のための典型的な推奨される1日の投薬レジメンは、1~2回の分割用量で、約1mg/日~約300mg/日、好ましくは10mg/日~200mg/日の範囲であり得る。
【0048】
本明細書に開示されるいかなる実施形態も、実施形態が本発明の異なる態様の下で記載されていても、それらが互いに矛盾しない限り、他の実施形態と組み合わせることができる。加えて、一実施形態におけるいかなる技術的特徴も、実施形態が本発明の異なる態様の下で記載されていても、それらが互いに矛盾しない限り、他の実施形態の対応する技術的特徴に応用され得る。
【0049】
上記は、本明細書で開示される特定の態様を単に要約するにすぎず、本質的に限定することを意図するものではない。これらの態様、ならびに他の態様および実施形態は、以下でより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本開示の実施形態のこれらおよび他の態様および利点は、添付のスキームおよび図面を参照してなされる以下の説明から明らかになり、より容易に理解されるであろう。
【0051】
【
図1】代表的な化合物のアンタゴニストモードにおけるH3受容体GTPγS結合親和性を示す。
図1Aは、インバースアゴニストモードにおけるヒスタミンH3 GTPγS結合および阻害%曲線を示す。
図1Bは、インバースアゴニストモードにおけるヒスタミンH3 GTPγS結合および阻害%曲線を示す。
【
図2】代表的な化合物のインバースアゴニストモードにおけるH3受容体GTPγS結合親和性を示す。
図2Aは、アンタゴニストモードにおけるヒスタミンH3 GTPγS結合および阻害%曲線を示す。
図2Bは、アンタゴニストモードにおける代表的なヒスタミンH3 GTPγS結合および阻害%曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
簡潔にするために、特許および特許出願を含む本明細書で引用される刊行物の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0053】
ほとんどの化学名は、本明細書においてIUPAC命名法を使用して作られた。いくつかの化学名は、当該技術分野で既知の異なる命名法または代替名もしくは商業名を使用して作られた。名称と構造との間に矛盾がある場合、構造が優先する。
【0054】
定義および一般用語
ここで、本発明の特定の実施形態を詳細に参照し、その例は、添付の構造および式に例示される。本発明は、特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の範囲内に含まれ得るすべての代替、修正、および同等物を包含することを意図する。当業者は、本発明の実施で使用され得る、本明細書に記載のものと同様または同等の多くの方法および材料を認識するであろう。本発明は、本明細書に記載される方法および材料に決して限定されない。定義された用語、用語の用法、記載された技法などを含むがこれらに限定されない、組み込まれた文献、特許、および類似の資料のうちの1つ以上が、本出願と異なる、または矛盾する場合、本出願が優先する。
【0055】
明確にするために、別々の実施形態との関連で記載される本発明の特定の特徴がまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることがさらに理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態との関連で記載される本発明の様々な特徴はまた、別々に、または任意の好適な部分的組み合わせで提供され得る。
【0056】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で言及されるすべての特許および刊行物は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0057】
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、以下の定義が適用されるものとする。本発明の目的のために、化学元素は、元素周期表、CASバージョン、およびHandbook of Chemistry and Physics,75th Ed.1994に従って同定される。さらに、有機化学の一般原理は、”Organic Chemistry”,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、および”March’s Advanced Organic Chemistry”Michael B.Smith and Jerry March,John Wiley & Sons,New York:2007に記載され、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
上記および本開示全体を通して使用される場合、以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。定義がない場合、当業者に既知の従来の定義が優先する。本明細書で提供される定義が、任意の引用された刊行物で提供される定義と矛盾する、または異なる場合、本明細書で提供される定義が優先する。
【0059】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」、および「含む(comprising)」という用語は、それらのオープンで非限定的な意味で使用される。
【0060】
本明細書で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈により明らかにそうではないと指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0061】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書に示される定量的表現のいくつかは、「約」という用語で修飾されない。「約」という用語が明示的に使用されるか否かにかかわらず、本明細書に示されるすべての量は、実際の所与の値を指すことを意味し、また、そのような所与の値に対する実験および/または測定条件に起因する同等値および近似値を含む、当業者に基づいて合理的に推測されるであろうそのような所与の値に対する近似値を指すことを意味することも理解される。収量がパーセンテージとして示される場合はいつでも、そのような収量は、特定の化学量論条件下で得ることができる同じ実体の最大量に関して収量が示される実体の質量を指す。パーセンテージとして示される濃度は、異なる指示がない限り、質量比を指す。
【0062】
化学的定義
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、1~12個の炭素原子を有する飽和、直鎖、または分枝鎖炭化水素基を指す。代表的なアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなど、およびヘプチル、オクチルなどのより長いアルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書の様々な場所において、本明細書に開示される化合物の置換基は、群または範囲で開示される。本発明は、そのような群および範囲のメンバーの1つ1つの個々の部分的組み合わせを含むことが特に意図される。例えば、「C1-6アルキル」という用語は、メチル、エチル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、およびC6アルキルを個々に開示することを特に意図する。
【0064】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、本発明において互換的に使用され、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、またはヨード(I)を指す。
【0065】
「アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に結合した、以前に定義されたアルキル基を指す。特に明記しない限り、アルコキシ基は、1~12個の炭素原子を含有する。一実施形態において、アルコキシ基は、1~6個の炭素原子を含有する。他の実施形態において、アルコキシ基は、1~4個の炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、アルコキシ基は、1~3個の炭素原子を含有する。アルコキシ基は、本明細書に開示される1つ以上の置換基で任意に置換され得る。本明細書で使用される場合、「アルコキシアルキル」は、-(アルキレニル)-O-(アルキル)を意味し、各「アルキル」は独立して、上記で定義されたアルキル基である。
【0066】
「アリール」は、単環式、二環式、または三環式の芳香族基を意味し、基のすべての環は、芳香族である。二環式または三環式系の場合、個々の芳香族環は、互いに融合される。例示的なアリール基としては、フェニル、ナフタレン、およびアントラセンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
「シアノアルキル」という用語は、アルキル基の水素原子がシアノ(-CN)基によって置き換えられる、上記で定義されたアルキル基を示す。シアノアルキル基のアルキル部分は、分子の残りの部分への接続点を提供する。
【0068】
本明細書で使用される場合、「重水素」という用語は、1つのプロトンおよび1つの中性子を有する水素の安定した同位体を意味する。
【0069】
「カルボシクリル」および「炭素環」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、単環式、二環式、または三環式環系として3~12個の炭素原子を有する一価または多価環を指し、これは飽和しているか、または1つ以上の不飽和度を含有するが、芳香族環はカルボシクリル基中に存在することができない。
【0070】
「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を意味する。
【0071】
「ヘテロシクリル」および「複素環」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、3~12個の炭素原子を含有する一価または多価の単環式、二環式、または三環式環を指し、環内の各1つ以上の原子は独立して、ヘテロ原子で置き換えられ、ヘテロ原子は本明細書で定義されるとおりであり、環は飽和していてもよいか、または1つ以上の不飽和度を含有するが、芳香族環は芳香族環内に存在することができない。
【0072】
「シクロアルキル」という用語は、単環式、二環式、または三環式環系として3~12個の環炭素原子を有する一価または多価飽和環を指す。
【0073】
当業者は、上に列挙または例示されたヘテロアリールおよびシクロアルキル基の種が網羅的ではなく、これらの定義された用語の範囲内の追加の種も選択され得ることを認識するであろう。
【0074】
本明細書に記載されるように、本明細書に開示される化合物は、1つ以上の置換基で任意に置換され得るか、または本発明の特定のクラス、サブクラス、および種によって例示されるように置換され得る。
【0075】
本明細書で使用される場合、「置換された」という用語は、指定された基または部分が1つ以上の好適な置換基を有することを意味する。本明細書で使用される場合、「非置換」という用語は、指定された基が置換基を有しないことを意味する。本明細書で使用される場合、「任意に置換された」という用語は、指定された基が非置換であるか、または指定された数の置換基によって置換されていることを意味する。「置換された」という用語が構造系を説明するために使用される場合、置換が、系上の任意の原子価許容位置で起こることを意味する。
【0076】
本明細書で使用される場合、「1つ以上の置換基」という表現は、系上の任意の原子価許容位置で起こり得る1個から最大可能置換数(複数可)を示す。特定の実施形態において、1つ以上の置換基は、1、2、3、4、または5個の置換基を意味する。別の実施形態において、1つ以上の置換基は、1、2、または3個の置換基を意味する。
【0077】
満たされない原子価を有する、本明細書に示される任意の原子は、原子価を満たすのに十分な数の水素原子を有すると考えられる。
【0078】
任意の変数(例えば、アルキル、アルキレニル、ヘテロアリール、R1、R2、またはRa)が本明細書で提供される任意の式または説明において2つ以上の場所に現れる場合、各出現におけるその変数の定義は、他の全ての出現におけるその定義から独立している。
【0079】
本明細書で使用される場合、数値範囲は、連続的な整数を含むことが意図される。例えば、「0から4」または「0~4」として表される範囲は、0、1、2、3、および4を含み、一方、「10~20%」として表される範囲は、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、および20%を含む。同様に、数値範囲は、連続した部分整数を含むことも意図される。例えば、「1~2%」として表される範囲は、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、および2.0%を含む。
【0080】
多官能性部分が示される場合、コアへの結合点は、線またはハイフンによって示される。例えば、アリールオキシ-は、アリールが酸素原子に結合している間、酸素原子がコア分子への結合点である部分を指す。
【0081】
追加の定義
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、哺乳動物および非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、哺乳動物クラスの任意のメンバー:ヒト;チンパンジー、ならびに他の類人猿およびサル種などの非ヒト霊長類;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜;ウサギ、イヌ、およびネコなどの飼育動物;ならびにラット、マウス、およびモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物が挙げられるが、これらに限定されない。非哺乳動物の例としては、鳥、魚などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0082】
「患者」には、ヒトおよび動物の両方が含まれる。
【0083】
「阻害剤」という用語は、化合物、薬物、酵素活性剤、または特定の生物活性を遮断するか、または別様に妨げるホルモンなどの分子を指す。
【0084】
「調節因子」という用語は、所与のタンパク質、受容体、および/またはイオンチャネルの活性を増加もしくは減少させるか、または別様にそれに影響を与える本発明の化合物などの分子を指す。
【0085】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、所望の生物学的結果をもたらすのに十分な薬剤の量を指す。その結果は、疾患もしくは病状の兆候、症状、もしくは原因の低減および/もしくは軽減、または生物系の任意の他の所望の変化であり得る。例えば、治療的使用のための「有効量」は、疾患状態、症状、または病状における臨床的に意義のある変化をもたらすために必要とされる化合物、または化合物を含む組成物の量である。任意の個々の症例における適切な「有効」量は、日常的な実験を使用して当業者によって決定されてもよい。したがって、「有効量」という表現は、概して、活性物質が治療上所望の効果を有する量を指す。
【0086】
本明細書で使用される場合、「治療する」または「治療」という用語は、「予防的」および「治癒的」治療の両方を包含する。「予防的」治療は、疾患、疾患の症状、もしくは病状の発症の延期、現れ得る症状の抑制、または疾患もしくは症状の発症もしくは再発のリスクの低減を示すことが意図される。「治癒的」治療は、既存の疾患、症状、または状態の重症度の低減、または悪化の抑制を含む。したがって、治療は、既存の疾患症状の悪化の改善もしくは予防、追加の症状の発生の予防、症状の根本的な代謝原因の改善もしくは予防、障害もしくは疾患の阻害、例えば、障害もしくは疾患の発症の阻止、障害もしくは疾患の軽減、障害もしくは疾患の退行の誘発、疾患もしくは障害によって引き起こされる状態の軽減、または疾患もしくは障害の症状の停止を含む。
【0087】
本明細書で使用される場合、化合物「の投与(administration of)」および化合物「を投与すること(administering a)」という用語は、本発明の化合物、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを含む医薬組成物を、それを必要とする個体に提供することを意味すると理解されるべきである。非限定的な技術分野の当業者は、神経障害および精神障害に現在罹患している患者を治療することができるか、または障害に罹患している患者を有効量の本発明の化合物で予防的に治療することによって治療することができることが認識される。
【0088】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、指定された量の指定された成分を含む生成物、ならびに指定された量の指定された成分の組み合わせから直接または間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。そのような用語は、医薬組成物に関連して、担体を構成する活性成分(複数可)および不活性成分(複数可)を含む生成物、ならびに成分のうちのいずれか2つ以上の組み合わせ、錯体形成、もしくは凝集から、または成分のうちの1つ以上の解離を引き起こすような他のタイプの反応もしくは相互作用から、直接または間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを混合することによって作製される任意の組成物を包含する。
【0089】
追加の化学物質の説明
本明細書に示される任意の式は、構造式によって示される構造を有する化合物、ならびに特定の変形または形態を表すことを意図する。例えば、本明細書に示される任意の式の化合物は、非対称中心またはキラル中心を有し得、したがって、異なる立体異性体型で存在し得る。一般式の化合物、ならびにそれらの混合物の光学異性体、鏡像異性体、およびジアステレオマーを含むすべての立体異性体は、式の範囲内に入ると見なされる。さらに、特定の構造は、幾何異性体(すなわち、シスおよびトランス異性体)、互変異性体、またはアトロプ異性体として存在し得る。そのような異性体型、およびそれらの混合物はすべて、本発明の一部として本明細書で企図される。したがって、本明細書に示される任意の式は、ラセミ体、1つ以上の鏡像異性体型、1つ以上のジアステレオマー型、1つ以上の互変異性体またはアトロプ異性体型、およびそれらの混合物を表すことが意図される。
【0090】
「立体異性体」は、同一の化学構成を有するが、空間内の原子または基の配置に関して異なる化合物を指す。立体異性体としては、鏡像異性体、ジアステレオマー、配座異性体(回転異性体)、幾何(シス/トランス)異性体、アトロプ異性体などが挙げられる。
【0091】
「キラル」が、鏡像パートナーの重ね合わせることができない特性を有する分子を指す一方、「アキラル」という用語は、それらの鏡像パートナーに重ね合わせることができる分子を指す。
【0092】
「鏡像異性体」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。
【0093】
「ジアステレオマー」は、2つ以上のキラリティ中心を有し、その分子が互いに鏡像ではない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物理的特性、例えば、融点、沸点、スペクトル特性、または生物活性を有する。ジアステレオマーの混合物は、高分解能分析手順、例えば、電気泳動およびHPLCなどのクロマトグラフィの下で分離され得る。
【0094】
本明細書で使用される立体化学的定義および慣例は、概して、S.P.Parker,Ed.,McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw-Hill Book Company,New York、およびEliel,E.and Wilen,S.,”Stereochemistry of Organic Compounds”,John Wiley & Sons,Inc.,New York,1994に従う。
【0095】
多くの有機化合物は、光学的に活性な形態で存在する、すなわち、偏光平面を回転させる能力を有する。光学活性化合物を説明する際、接頭辞DおよびLまたはRおよびSは、そのキラル中心(複数可)の周囲の分子の絶対配置を示すために使用される。接頭辞dおよびlまたは(+)および(-)は、化合物による平面偏光の回転の兆候を示すために用いられ、(-)またはlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)またはdを接頭辞とする化合物は、右旋性である。特定の立体異性体は、鏡像異性体と称され得、そのような立体異性体の混合物は、鏡像異性体混合物と呼ばれる。鏡像異性体の50:50混合物は、化学反応またはプロセスにおける立体選択または立体特異性がなかった場合に生じ得るラセミ混合物またはラセミ体と称される。
【0096】
本明細書に開示される化合物(複数可)の任意の非対称原子(例えば、炭素など)は、ラセミ、または鏡像異性体的に富化された、例えば(R)-、(S)-、または(R,S)-配置であり得る。特定の実施形態において、各非対称原子は、(R)-または(S)-配置において、少なくとも50%の鏡像異性体過剰率、少なくとも60%の鏡像異性体過剰率、少なくとも70%の鏡像異性体過剰率、少なくとも80%の鏡像異性体過剰率、少なくとも90%の鏡像異性体過剰率、少なくとも95%の鏡像異性体過剰率、または少なくとも99%の鏡像異性体過剰率を有する。
【0097】
出発物質および手順の選択に応じて、化合物は、非対称炭素原子の数に応じて、可能な立体異性体のうちの1つの形態で、またはラセミ体およびジアステレオ異性体混合物などのそれらの混合物として存在し得る。光学活性(R)-および(S)-異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製され得るか、または従来の技法を使用して分解され得る。化合物が二重結合を含有する場合、置換基は、EまたはZ配置であり得る。化合物が二置換シクロアルキルを含有する場合、シクロアルキル置換基は、同じシクロアルキルフレームの別の置換基に対してシスまたはトランス配置を有し得る。
【0098】
立体異性体の任意の得られる混合物は、例えば、クロマトグラフィおよび/または分別晶析によって、構成成分の物理化学的相違に基づいて、純粋または実質的に純粋な幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオマーに分離され得る。最終生成物または中間体の任意の得られるラセミ体は、例えば、そのジアステレオマー塩を分離することによって、当業者に既知の方法によって光学対掌体に分解され得る。ラセミ生成物はまた、キラルクロマトグラフィ、例えば、キラル吸着剤を使用した高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって分解され得る。好ましい鏡像異性体はまた、非対称合成によって調製され得る。例えば、Jacques,et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981)、Principles of Asymmetric Synthesis(2nd Ed.Robert E.Gawley,Jeffrey Aube,Elsevier,Oxford,UK,2012)、Eliel,E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962)、Wilen,S.H.Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)、Chiral Separation Techniques:A Practical Approach(Subramanian,G.Ed.,Wiley-VCH Verlag GmbH & Co.KGaA,Weinheim,Germany,2007)を参照されたい。
【0099】
ジアステレオマー混合物は、例えば、クロマトグラフィおよび/または分別晶析などの当業者に周知の方法によって、それらの物理的化学的相違に基づいて、それらの個々のジアステレオマーに分離され得る。鏡像異性体は、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコールもしくはモッシャー酸塩化物などのキラル補助剤、またはジアステレオマー塩の混合物の形成)との反応によって鏡像異性体混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋な鏡像異性体に変換する(例えば、加水分解または脱塩する)ことによって分離され得る。鏡像異性体はまた、キラルHPLCカラムを使用することによって分離され得る。
【0100】
本発明の化合物は、同様に本発明の範囲内である薬学的に許容される塩を形成することができる。「薬学的に許容される塩」は、非毒性であり、生理学的に許容でき、それが製剤化される医薬組成物に適合し、そうでなければ製剤化および/または対象への投与に好適である、式Aの化合物の遊離酸または塩基の塩を指す。本明細書における化合物への言及は、別段の指示がない限り、前述の化合物の薬学的に許容される塩への言及を含むと理解される。
【0101】
化合物塩としては、無機酸および/または有機酸で形成される酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基で形成される塩基性塩が挙げられる。加えて、所与の化合物が、ピリジンまたはイミダゾールなどであるがこれらに限定されない塩基性部分と、カルボン酸などであるがこれに限定されない酸性部分との両方を含有する場合、当業者は、化合物が双性イオン(「分子内塩」)として存在し得ることを認識するであろう。そのような塩は、本明細書で使用される「塩」という用語内に含まれる。本発明の化合物の塩は、例えば、塩が沈殿する培地などの培地、または後に凍結乾燥が続く水媒体中で、化合物を、同量などの好適な酸または塩基の量と反応させることによって調製され得る。
【0102】
例示的な塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩(「メシル酸塩」)、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩)の塩が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオンなどの別の分子の包含を伴い得る。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化する任意の有機部分または無機部分であり得る。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造中に2つ以上の荷電原子を有し得る。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である例は、複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の荷電原子および/または1つ以上の対イオンを有することができる。
【0103】
例示的な酸付加塩としては、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩としても既知)などが挙げられる。
【0104】
例示的な塩基性塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、リチウム、およびカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩、有機塩基(例えば、有機アミン)を有する塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、tert-ブチルアミン、ならびにアミノ酸を有する塩、例えば、アルギニン、リジンなどが挙げられる。塩基性窒素含有基は、低級ハロゲン化アルキル(例えば、メチル、エチル、およびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、硫酸ジアルキル(例えば、ジメチル、ジエチル、およびジブチルの硫酸塩)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、およびステアリルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、ハロゲン化アラルキル(例えば、ベンジルおよびフェネチルの臭化物)、ならびに他のものなどの薬剤で四級化され得る。
【0105】
加えて、医薬化合物からの薬学的に有用な塩の形成に好適であると一般に考えられる酸および塩基は、例えば、P.Stahl et al,Camille G.(eds.)Handbook of Pharmaceutical Salts.Properties,Selection and Use.(2002)Zurich:Wiley-VCH、S.Berge et al,Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1-19、P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201-217、Anderson et al,The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York、およびThe Orange Book(Food & Drug Administration,MD、FDAから入手可能)で考察されている。これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
加えて、本明細書に記載される任意の化合物はまた、そのような化合物の任意の非溶媒和形態、または水和物、溶媒和物、もしくは多形、およびそれらの混合物も、そのような形態が明示的に列挙されていない場合でさえ指すことが意図される。「溶媒和物」とは、本発明の化合物と1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合を含む様々な程度のイオン結合および共有結合を伴う。特定の例において、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれる場合、溶媒和物は単離することができるであろう。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。好適な溶媒和物は、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒で形成されるものを含む。いくつかの実施形態において、溶媒は水であり、溶媒和物は水和物である。
【0107】
本発明の1つ以上の化合物は、溶媒和物に任意に変換され得る。溶媒和物の調製方法は、一般に知られている。したがって、例えば、M.Caira et al.,J.Pharmaceutical Sci.,93(3),601-611(2004)は、酢酸エチル中の、ならびに水からの抗真菌フルコナゾールの溶媒和物の調製について記載している。溶媒和物、半溶媒和物、水和物などの同様の調製は、E.C.van Tonder et al,AAPS PharmSciTech.,5(1),article 12(2004)、およびA.L.Bingham et al,Chem.Commun.,603-604(2001)によって記載されている。典型的な非限定的なプロセスは、周囲温度よりも高い好適な量の溶媒(有機溶媒もしくは水、またはそれらの混合物)中に本発明の化合物を溶解することと、結晶を形成するのに十分な速度で溶液を冷却し、次いで、結晶を標準的な方法によって単離することとを伴う。例えば、赤外分光法などの分析技術は、結晶中の溶媒(または水)の存在を溶媒和物(または水和物)として示す。
【0108】
本発明はまた、式(A)の化合物の薬学的に活性な代謝産物、および本発明の方法におけるそのような代謝産物の使用に関する。「薬学的に活性な代謝産物」とは、式(A)の化合物またはその塩の体内の薬理学的に活性な代謝産物を意味する。化合物の活性代謝産物は、当該技術分野で既知の、または利用可能な日常的な技法を使用して決定され得る。例えば、Bertolini et al.,J.Med.Chem.1997,40,2011-2016、Shan et al.,J.Pharm.Sci.1997,86(7),765-767、Bagshawe,Drug Dev.Res.1995,34,220-230、Bodor,Adv.Drug Res.1984,13,255-331、Bundgaard,Design of Prodrugs(Elsevier Press,1985)、およびLarsen,Design and Application of Prodrugs,Drug Design and Development(Krogsgaard-Larsen et al.,eds.,Harwood Academic Publishers,1991)を参照されたい。
【0109】
本明細書に示される任意の式は、化合物の非標識形態ならびに同位体標識形態を表すことも意図される。同位体標識化合物は、1つ以上の原子が選択された原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられることを除いて、本明細書に示される式によって示される構造を有する。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、およびヨウ素の同位体、例えば、2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、36Cl、および125Iのそれぞれが挙げられる。そのような同位体標識化合物は、代謝研究(例えば、14Cを用いた)、反応速度研究(例えば、2Hもしくは3Hを用いた)、検出もしくは撮像技術[薬物もしくは基質組織分布アッセイを含む陽電子放出断層撮影(PET)もしくは単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)など]、または患者の放射性治療において有用である。特に、18Fまたは11C標識化合物は、PETまたはSPECT研究に特に好適であり得る。さらに、重水素(すなわち、2H)などのより重い同位体での置換は、より大きい代謝安定性、例えば、インビボ半減期の延長または用量要件の低減に起因する特定の治療上の利点をもたらし得る。本発明の同位体標識化合物は、概して、非同位体標識試薬を、容易に入手可能な同位体標識試薬に置換することによって、以下に記載のスキームまたは実施例および調製に開示される手順を実施することによって調製され得る。
【0110】
本明細書に記載される化合物に関する「塩」、「溶媒和物」、「多形」などの用語の使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、アトロプ異性体、およびラセミ体の塩、溶媒和物、および多形体に等しく適用されることが意図される。
【0111】
本発明の化合物の説明
本発明は、特定の分子およびその薬学的に許容される塩または異性体に関する。本発明はさらに、H3Rおよびその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステル、または異性体の調節に有用である分子に関する。
【0112】
本発明は、本明細書に記載される化合物、およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物、エステル、または異性体、ならびに本明細書に記載される1つ以上の化合物およびその薬学的に許容される塩または異性体を含む医薬組成物に関する。本発明の一態様は、式(A)の化合物またはその薬学的に許容される塩を有する、哺乳動物におけるH3Rを調節するための化合物、組成物、キット、および解毒剤の提供であり、
【化11】
式中、R
1およびR
2は独立して、HまたはSF
5であり、ただし、R
1およびR
2のうちの1つが少なくともSF
5であることを条件とし、
R
3は、C
1-6アルキルまたはC
3-6シクロアルキルであり、
環Aは、C
6-8アリールであり、Arは、C
5-6アリールであり、C
5-6アリールは、1、2、3、または4個のR
eで任意に置換され、
R
eは、H、ハロゲン、CN、NO
2、OH、C
1-6アルコキシ、またはC
1-6アルキルであり、
X
1は、SまたはOであり、
X
2は、
【化12】
であり、式中、Rは、NまたはCであり、
R
3およびR
4は、C
1-6アルキルであるか、またはR
3およびR
4は、それらが結合するRと共に、C
3-7炭素環、3~7員複素環を形成し、C
3-7炭素環、3~7員複素環の各々は独立して、1、2、3、4、5、または6個のR
fで任意に置換され、
R
fは、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、-C(=O)R
aであり、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、-C(=O)R
aの各々は独立して、C
1-6アルキルで任意に置換され、
R
aは、C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、または3~7員複素環であり、
mは、0~3の整数であり、
nは、0~5の整数である。
【0113】
一実施形態において、R3は、C1-4アルキルまたはC3-6シクロアルキルである。
一実施形態において、Aは、フェニルである。
【0114】
一実施形態において、Arは、フェニルであり、フェニルは、1、2、3、または4個のReで任意に置換される。
【0115】
一実施形態において、Arは、以下の部分式:
【化13】
であり、式中、w1は、0、1、2、3、または4である。
【0116】
一実施形態において、Reは、H、F、Cl、Br、I、CN、NO2、OH、メチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシである。
【0117】
一実施形態において、R3およびR4は、C1-4アルキルである。
【0118】
一実施形態において、Rは、Nであり、R3、およびR4は、それらが結合する窒素原子と共に、3~7員複素環を形成し、3~7員複素環は独立して、1、2、3、4、または5個のRfで任意に置換される。
一実施形態において、Rは、Cであり、R3、およびR4は、それらが結合する炭素原子と共に、C3-7炭素環、3~7員複素環を形成し、C3-7炭素環、3~7員複素環の各々は独立して、1、2、3、4、または5個のRfで任意に置換される。
【0119】
一実施形態において、Rfは、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、-C(=O)Raである。
【0120】
一実施形態において、R
fは、-C(=O)R
a、メチル、エチル、i-プロピル、
【化14】
である。
【0121】
一実施形態において、R
aは、メチル、エチル、
【化15】
である。
【0122】
一実施形態において、X
2は、以下の部分式:
【化16】
のうちの1つである。
【0123】
一実施形態において、X
2は、以下の部分式:
【化17】
のうちの1つである。
【0124】
一実施形態において、式(B)を有する化合物が本明細書に提供され、
【化18】
式中、oは、0~4の整数であり、
R
e、R
fは、本明細書で定義されるとおりである。
【0125】
一実施形態において、式(C)を有する化合物が本明細書に提供され、
【化19】
式中、R
e、R
aは、本明細書で定義されるとおりである。
【0126】
一実施形態において、式(D)を有する化合物が本明細書に提供され、
【化20】
式中、pは、1~5の整数であり、
R
eは、本明細書で定義されるとおりである。
【0127】
さらに別の実施形態において、以下の構造のうちの1つを有する化合物または薬学的に許容される塩が本明細書に提供される。
【化21-1】
【化21-2】
【0128】
別の態様において、本発明の化合物を含む医薬組成物が本明細書に提供される。
【0129】
一実施形態において、医薬組成物は、薬学的に許容される担体、アジュバント、ビヒクル、またはそれらの組み合わせをさらに含む。
【0130】
一実施形態において、医薬組成物は、1つ以上の他の治療薬をさらに含み、他の治療薬は、CNS障害またはナルコレプシーの治療で使用される。
【0131】
一実施形態において、CNS障害は、認知、精神、神経運動、または疼痛性である。
【0132】
一実施形態において、他の治療薬は、ドーパミン受容体アンタゴニスト、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、非選択的セロトニン再取り込み阻害剤、およびアセチルコリンエステラーゼ阻害剤からなる群から選択される活性成分をさらに含んでいる。
【0133】
別の態様において、患者におけるCNS障害またはナルコレプシーを予防、管理、治療、または軽減するための薬剤の製造における、化合物または医薬組成物の使用が本明細書に提供される。
【0134】
別の態様において、H3受容体に拮抗するための薬剤の製造における、化合物または医薬組成物の使用が本明細書に提供される。
【0135】
別の態様において、患者におけるウイルス感染によって引き起こされるCNS障害またはナルコレプシーの予防、管理、治療、または軽減で使用するための、化合物または医薬組成物が本明細書に提供される。
【0136】
別の態様では、H3受容体への拮抗で使用するための化合物または医薬組成物が本明細書に提供される。
【0137】
別の態様において、患者におけるCNS障害またはナルコレプシーを予防、管理、治療、または軽減する方法が本明細書に提供され、本方法は、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物または医薬組成物を投与することを含む。
【0138】
別の態様において、患者におけるH3受容体に拮抗する方法が本明細書に提供され、本方法は、治療有効量の化合物または医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0139】
さらに別の態様において、本発明は、式(A)~(D)の化合物およびその薬学的に許容される塩を製造する方法に関する。
【0140】
本発明の化合物の医薬組成物ならびに調製および投与
本発明は、本発明の化合物、例えば、例示的な化合物を含む医薬組成物を提供する。本発明の具体例によると、医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、溶媒、およびそれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0141】
本発明は、本発明の化合物と1つ以上の治療用活性剤とを含有する、安全かつ有効な量の薬物との組み合わせを投与することを含む、疾患または障害を治療、予防、または改善する方法を提供する。その中でも、薬物の組み合わせは、CNS障害またはナルコレプシーの治療のための1つ以上の追加の薬物を含む。
【0142】
CNS疾患またはナルコレプシーの治療のための他の薬物としては、ドーパミン受容体アンタゴニスト、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、非選択的セロトニン再取り込み阻害剤、およびアセチルコリンエステラーゼ阻害剤からなる群から選択される活性成分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
本明細書に開示される医薬組成物の化合物の量は、生物学的試料および患者の機能不全H3Rを調節するために効果的に検出され得る量を指す。活性成分は、所望の治療効果に限定されない最適な薬学的有効性を提供する投与量、投与経路、および治療期間で、そのような治療を必要とする対象に投与されてもよい。投与量は、疾患の性質および重症度、患者の体重、次いで患者が従う特別食、併用投薬、ならびに当業者が認識するであろう他の要因に応じて、患者によって異なるであろう。調製物の単位用量中の活性化合物の量は、特定の用途に従って、約1mg~約1000mg、好ましくは約1mg~約500mg、より好ましくは約1mg~約300mg、さらにより好ましくは約1mg~約200mg変化または調整され得る。
【0144】
用いられる実際の投与量は、患者の要件および治療されている状態の重症度に応じて変化し得る。特定の状況に対する適切な投薬レジメンの決定は、当業者の技能の範囲内である。便宜上、1日の総投与量は、必要に応じて分割され、1日の間に何回かに分けて投与されてもよい。本発明の化合物および/またはその薬学的に許容される塩の投与量および頻度は、患者の年齢、状態、および体格、ならびに治療されている症状の重症度などの要因を考慮した担当医の判断に従って調節される。経口投与のための典型的な推奨される1日の投薬レジメンは、単回または複数回の用量で投与され得る、約1mg/日~約300mg/日、好ましくは10mg/日~200mg/日の範囲であり得る。さらに別の実施形態において、1日当たり、患者当たり約1mg~50mg。
【0145】
本発明の化合物のうちの特定の化合物は、治療のために遊離形態で、または適切な場合、その薬学的に許容される誘導体もしくはプロドラッグとして存在することができることも理解されるであろう。薬学的に許容される誘導体は、薬学的に許容される塩、エステル、そのようなエステルの塩、あるいは必要とする患者に投与されると、本明細書に別途記載される化合物、またはその治療上有効な代謝産物もしくは残渣を直接または間接的にもたらす任意の他の付加物もしくは誘導体を含む。
【0146】
本発明の医薬組成物は、安全かつ有効な量の本明細書に開示される式(A)の化合物を抽出し、次いで、粉末またはシロップなどで患者に与えることができる、バルク形態で調製および包装され得る。一般に、1日当たり0.0001~10mg/kg体重の投与量レベルを患者に投与して、機能不全H3Rの効果的な調節を得る。あるいは、本発明の医薬組成物は、各物理的に別個の単位が、安全かつ有効な量の本明細書に開示される式(A)の化合物を含有する、単位剤形で調製および包装され得る。単位剤形で調製される場合、本発明の医薬組成物は一般に、約0.5mg~1g、または1mg~500mg、または5mg~200mg、またはより好ましくは25mg~100mgの本発明の化合物を含有する。
【0147】
本発明の医薬組成物が1つ以上の他の活性成分も含有する場合、本発明の化合物に加えて、本発明の化合物と第2の活性成分との重量比は変化し得、各成分の有効用量に依存する。したがって、例えば、本発明の化合物が別の薬剤と組み合わされる場合、本発明の化合物と他の薬剤との重量比は概して、約1000:1~約1:1000、例えば、約200:1~1:200の範囲となる。本発明の化合物と他の活性成分との組み合わせも概して、前述の範囲内であるが、各場合において、組み合わせ中の各活性成分の有効用量が使用されるべきである。
【0148】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される賦形剤」とは、医薬組成物に形態または一貫性を与えることに関与する薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを意味する。各賦形剤は、患者に投与されたときに本発明の化合物の有効性を実質的に低減し、薬学的に許容されない組成物をもたらす相互作用であるように、混合されたときに医薬組成物の他の成分と適合しなければならない。加えて、各賦形剤はもちろん、それを薬学的に許容される状態にするのに十分な高純度でなければならない。
【0149】
好適な薬学的に許容される賦形剤は、選択される特定の剤形に応じて変化するであろう。加えて、好適な薬学的に許容される賦形剤は、それらが組成物中で果たし得る特定の機能で選択され得る。例えば、特定の薬学的に許容される賦形剤は、均一な剤形の生成を促進する能力で選択され得る。特定の薬学的に許容される賦形剤は、安定した剤形の生成を促進する能力で選択され得る。特定の薬学的に許容される賦形剤は、ある臓器または身体の一部から別の臓器または身体の一部へと患者に投与されると、本発明の化合物を運ぶまたは輸送することを促進する能力で選択され得る。特定の薬学的に許容される賦形剤は、患者のコンプライアンスを強化する能力で選択してもよい。
【0150】
好適な薬学的に許容される賦形剤としては、以下のタイプの賦形剤が挙げられる:希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、懸濁剤、乳化剤、甘味料、風味剤、風味マスキング剤、着色剤、固結防止剤、保湿剤、キレート剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、防腐剤、安定剤、界面活性剤、および緩衝剤。当業者は、特定の薬学的に許容される賦形剤が2つ以上の機能を果たし得、賦形剤がどの程度製剤中に存在し、どのような他の成分が製剤中に存在するかに応じて代替の機能を果たし得ることを理解するであろう。
【0151】
当業者は、本発明で使用するための適切な量の好適な薬学的に許容される賦形剤を選択することを可能にする、当該技術分野における知識および技能を有する。加えて、薬学的に許容される賦形剤を記載し、好適な薬学的に許容される賦形剤の選択に有用であり得る、当業者に利用可能であるリソースが存在する。例としては、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company),The Handbook of Pharmaceutical Additives(Gower Publishing Limited)、およびThe Handbook of Pharmaceutical Excipients(the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)が挙げられる。
【0152】
In Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,2005,ed.D.B.Troy,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia、およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988-1999,Marcel Dekker,New York(各々の内容は参照により本明細書に組み込まれる)において、薬学的に許容される組成物の製剤化で使用される様々な担体、およびその調製のための既知の技法が開示されている。任意の従来の担体培地が、任意の望ましくない生物学的効果をもたらすこと、または別様に薬学的に許容される組成物の任意の他の構成成分(複数可)と有害な様式で相互作用することなどによって、本発明の化合物と不適合でない限り、その使用は、本発明の範囲内であると企図される。
【0153】
本発明の医薬組成物は、当業者に既知の技法および方法を使用して調製される。当該技術分野で一般的に使用される方法のいくつかは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)に記載されている。
【0154】
したがって、本発明の別の態様は、医薬組成物の調製方法に関する。医薬組成物は、本明細書に開示される化合物、および薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、ビヒクル、またはそれらの組み合わせを含有し、方法は、様々な成分を混合することを含む。本明細書に開示される化合物を含有する医薬組成物は、例えば、通常の周囲温度および周囲圧力で調製され得る。
【0155】
本発明の化合物は典型的には、所望の投与経路による患者への投与に適した剤形に製剤化される。例えば、剤形としては、(1)錠剤、カプセル、カプレット、丸薬、トローチ、粉末、シロップ、エリキシル剤、懸濁液、溶液、エマルション、サシェ剤、カシェ剤などの経口投与、(2)再構成のための滅菌溶液、懸濁液、および粉末などの非経口投与、(3)経皮パッチなどの経皮投与、(4)坐薬などの直腸投与、(5)エアロゾル、溶液、および乾燥粉末などの吸入、ならびに(6)クリーム、軟膏、ローション、溶液、ペースト、スプレー、フォーム、およびゲルなどの局所投与に適したものが挙げられる。
【0156】
本明細書に提供される医薬組成物は、圧縮錠剤、粉薬錠剤、チュアブル薬用キャンディ、速溶性錠剤、多重圧縮錠剤、または腸溶性コーティング錠剤、糖コーティング錠剤、またはフィルムコーティング錠剤として提供され得る。腸溶性コーティング錠剤は、胃酸の作用に抵抗するが腸内で溶解または崩壊し、したがって胃の酸性環境から活性成分を保護する物質でコーティングされた圧縮錠剤である。腸溶性コーティングとしては、脂肪酸、脂肪、サリチル酸フェニル、ワックス、シェラック、アンモニア処理シェラック、およびフタル酸酢酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。糖コーティング錠剤は、好ましくない味または臭いを覆い隠し、錠剤を酸化から保護するのに有益であり得る、糖コーティングによって包囲された圧縮錠剤である。フィルムコーティング錠剤は、水溶性材料の薄い層またはフィルムで被覆された圧縮錠剤である。フィルムコーティングとしては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、およびフタル酸酢酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。フィルムコーティングは、糖コーティングと同じ一般的な特徴を付与する。多重圧縮錠剤は、層状錠剤、プレスコーティング錠剤、またはドライコーティング錠剤を含む、2回以上の圧縮サイクルによって作られた圧縮錠剤である。
【0157】
錠剤剤形は、単独で、または結合剤、崩壊剤、制御放出ポリマー、潤滑剤、希釈剤、および/または着色剤を含む、本明細書に記載される1つ以上の担体または賦形剤と組み合わせて、粉末、結晶、または顆粒形態の活性成分から調製され得る。風味剤および甘味剤は、チュアブル錠剤および薬用キャンディの形成において特に有用である。
【0158】
本明細書に提供される医薬組成物は、ゼラチン、メチルセルロース、デンプン、またはアルギン酸カルシウムから作製され得る、軟質または硬質カプセルとして提供され得る。硬質ゼラチンカプセルは、乾燥充填カプセル(DFC)としても知られており、2つのセクションで構成され、一方は他方をすっぽりと覆い、したがって活性成分を完全に封入する。軟質弾性カプセル(SEC)は、グリセリン、ソルビトール、または同様のポリオールを添加することによって可塑化される、ゼラチンシェルなどの軟質の球状シェルである。軟質ゼラチンシェルは、微生物の成長を防止するための防腐剤を含有してもよい。好適な防腐剤は、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ならびにアスコルビン酸を含む、本明細書に記載されるものである。本明細書に提供される液体、半固体、および固体剤形は、カプセルに封入され得る。好適な液体および半固体剤形としては、炭酸プロピレン、植物油、またはトリグリセリド中の溶液および懸濁液が挙げられる。そのような溶液を含有するカプセルは、米国特許第4,328,245号、同第4,409,239号、および同第4,410,545号に記載されるように調製され得る。カプセルはまた、活性成分の溶解を改善または維持するために当業者に既知のようにコーティングされ得る。
【0159】
本明細書に提供される医薬組成物は、エマルション、溶液、懸濁液、エリキシル剤、およびシロップを含む、液体および半固体剤形で提供され得る。エマルションは、1つの液体が、水中油または油中水であり得る別の液体全体にわたって小球の形態で分散される2相系である。エマルションは、薬学的に許容される非水性液体または溶媒、乳化剤、および防腐剤を含んでもよい。懸濁液は、薬学的に許容される懸濁剤および防腐剤を含んでもよい。水性アルコール溶液は、薬学的に許容されるアセタール、例えば、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール、例えば、アセトアルデヒドジエチルアセタール、ならびに1つ以上のヒドロキシ基を有する水混和性溶媒、例えば、プロピレングリコールおよびエタノールを含んでもよい。エリキシル剤は、透明で甘味のある含水アルコール溶液である。シロップは、糖、例えばスクロースの濃縮水溶液であり、防腐剤も含有し得る。液体剤形については、例えば、ポリエチレングリコール中の溶液が、投与のために便利に測定されるのに十分な量の薬学的に許容される液体担体、例えば、水で希釈されてもよい。
【0160】
他の有用な液体および半固体剤形としては、本明細書に提供される活性成分(複数可)、ならびに1,2-ジメトキシメタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテルを含むジアルキル化モノ-またはポリ-アルキレングリコールを含有するものが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、350、550、および750は、ポリエチレングリコールのおおよその平均分子量を指す。これらの製剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオジプロピオン酸およびそのエステル、ならびにジチオカルバミド酸塩などの1つ以上の酸化防止剤をさらに含んでもよい。
【0161】
必要に応じて、経口投与のための投与単位製剤は、マイクロカプセル化され得る。製剤はまた、例えば、ポリマー、ワックスなどの中に微粒子材料をコーティングするかまたは埋め込むことによって、放出を延長または維持するように調製され得る。
【0162】
経口投与のための本明細書に提供される医薬組成物はまた、リポソーム、ミセル、ミクロスフェア、またはナノシステムの形態で提供されてもよい。ミセル剤形は、米国特許第6,350,458号に記載されるように調製され得る。
【0163】
本明細書に提供される医薬組成物は、液体剤形に再構成される非発泡性または発泡性の顆粒および粉末として提供され得る。非発泡性顆粒または粉末で使用される薬学的に許容される担体および賦形剤は、希釈剤、甘味料、および湿潤剤を含み得る。発泡性顆粒または粉末に使用される薬学的に許容される担体および賦形剤は、有機酸および二酸化炭素源を含み得る。
【0164】
着色剤および風味剤は、上記のすべての剤形で使用され得る。
【0165】
本明細書に開示される化合物はまた、標的化薬剤担体として可溶性ポリマーに結合され得る。そのようなポリマーは、パルミトイルラジカルで置換されたポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパトアミドフェノール、またはポリエチレンオキシドポリリジンを包含し得る。化合物はさらに、薬剤、例えば、ポリ乳酸、ポリ-イプシロン-カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロキシピラン、ポリシアノアクリレート、ならびにヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーの制御放出を達成するのに好適である、生分解性ポリマーのクラスに結合され得る。
【0166】
本明細書に提供される医薬組成物は、遅延放出剤形、持続放出剤形、パルス放出剤形、制御放出剤形、標的化放出剤形、およびプログラム放出剤形を含む、即時放出剤形または放出調節剤形として製剤化されてもよい。
【0167】
本明細書に提供される医薬組成物は、所望の治療作用を損なわない他の活性成分と、または所望の作用を補完する物質と共製剤化されてもよい。
【0168】
本明細書に提供される医薬組成物は、局所または全身投与のために、注射、注入、または埋め込みによって非経口的に投与され得る。本明細書で使用される場合、非経口投与としては、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、滑液嚢内、および皮下投与が挙げられる。
【0169】
本明細書に提供される医薬組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、ナノシステム、および注射前の液体中の溶液または懸濁液に適した固体形態を含む、非経口投与に適した任意の剤形で製剤化され得る。そのような剤形は、薬学の当業者に既知の従来の方法に従って調製され得る(Remington:The Science and Practice of Pharmacy、上記を参照)。
【0170】
非経口投与を目的とする医薬組成物は、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の成長に対する抗菌剤または防腐剤、安定剤、溶解促進剤、等張剤、緩衝剤、酸化防止剤、局所麻酔剤、懸濁剤および分散剤、湿潤剤または乳化剤、錯化剤、封鎖剤またはキレート剤、凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、増粘剤、pH調整剤、ならびに不活性ガスが挙げられるがこれらに限定されない、1つ以上の薬学的に許容される担体および賦形剤を含み得る。
【0171】
好適な水性ビヒクルとしては、水、食塩水、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張性デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース、および乳酸加リンゲル注射液が挙げられるが、これらに限定されない。非水性ビヒクルとしては、植物由来の固定油、ヒマシ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、ペパーミント油、紅花油、ゴマ油、大豆油、水添植物油、水添大豆油、ならびにココナッツ油の中鎖トリグリセリド、ならびにパーム種子油が挙げられるが、これらに限定されない。水混和性ビヒクルとしては、エタノール、1,3-ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300およびポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ならびにジメチルスルホキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
好適な抗菌剤または防腐剤としては、フェノール、クレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p-ヒドロキシ安息香酸メチルおよびプロピル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム(例えば、塩化ベンゼトニウム)、メチル-およびプロピル-パラベン、ならびにソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。好適な等張剤としては、塩化ナトリウム、グリセリン、およびデキストロースが挙げられるが、これらに限定されない。好適な緩衝剤としては、リン酸塩およびクエン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。好適な酸化防止剤は、重亜硫酸塩およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む、本明細書に記載されるものである。好適な局所麻酔剤としては、プロカイン塩酸塩が挙げられるが、これに限定されない。好適な懸濁剤および分散剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンを含む、本明細書に記載されるものである。好適な乳化剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80、およびトリエタノールアミンオレエートを含む、本明細書に記載されるものが挙げられる。好適な封鎖剤またはキレート剤としては、EDTAが挙げられるが、これに限定されない。好適なpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、および乳酸が挙げられるが、これらに限定されない。好適な錯化剤としては、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル7-β-シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標)、CyDex,Lenexa,Kans.)などのシクロデキストリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0173】
本明細書に提供される医薬組成物は、単回または複数回投与のために製剤化され得る。単回投与製剤は、アンプル、バイアル、またはシリンジに包装される。複数回投与の非経口製剤は、静菌または静真菌濃度の抗菌剤を含有しなければならない。すべての非経口製剤は、当該技術分野で既知であり、かつ実践されるように、滅菌されなければならない。
【0174】
一実施形態において、医薬組成物は、すぐに使用できる滅菌溶液として提供される。別の実施形態において、医薬組成物は、使用前に滅菌ビヒクルで再構成される、凍結乾燥粉末および皮下注射用錠剤を含む滅菌乾燥可溶性生成物として提供される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、すぐに使用できる滅菌懸濁液として提供される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、使用前にビヒクルで再構成される滅菌乾燥不溶性生成物として提供される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、すぐに使用できる滅菌エマルションとして提供される。
【0175】
医薬組成物は、埋め込み型デポー剤として投与するために、懸濁液、固体、半固体、またはチキソトロピー液体として製剤化され得る。一実施形態において、本明細書に提供される医薬組成物は、固体内部マトリックス中に分散され、固体内部マトリックスは、体液中に不溶性であるが医薬組成物中の活性成分が内部を通って拡散することを可能にする、外側ポリマー膜によって包囲される。
【0176】
好適な内部マトリックスとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチル-メタクリレート、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、ならびに架橋部分加水分解ポリ酢酸ビニルが挙げられる。
【0177】
好適な外側ポリマー膜としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルと塩化ビニルのコポリマー、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、ならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーが挙げられる。
【0178】
他の態様において、本発明の医薬組成物は、吸入、例えば、乾燥粉末、エアロゾル、懸濁液、または溶液組成物として、患者への投与に適した剤形に調製される。一実施形態において、本発明は、乾燥粉末としての吸入による患者への投与に適した剤形に関する。一実施形態において、本発明は、乾燥粉末としての吸入による患者への投与に適した剤形に関する。吸入による肺への送達のための乾燥粉末組成物は、典型的には、細粉として本明細書に開示される化合物またはその薬学的に許容される塩を、細粉として1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と共に含む。乾燥粉末での使用に特に適した薬学的に許容される賦形剤は、当業者に既知であり、ラクトース、デンプン、マンニトール、ならびに単糖、二糖、および多糖を含む。細粉は、例えば、微紛化および粉砕によって調製され得る。一般に、サイズ低減された(例えば、微紛化された)化合物は、約1~約10ミクロンのD50値によって定義され得る(例えば、レーザー回折を使用して測定される場合)。
【0179】
エアロゾルは、液化推進剤中に、本明細書に開示される化合物またはその薬学的に許容される塩を懸濁または溶解することによって形成され得る。好適な推進剤としては、ハロカーボン、炭化水素、および他の液化ガスが挙げられる。代表的な推進剤としては、トリクロロフルオロメタン(推進剤11)、ジクロロフルオロメタン(推進剤12)、ジクロロテトラフルオロエタン(推進剤114)、テトラフルオロエタン(HFA-134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFA-152a)、ジフルオロメタン(HFA-32)、ペンタフルオロエタン(HFA-12)、ヘプタフルオロプロパン(HFA-227a)、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロペンタン、ブタン、イソブタン、およびペンタンが挙げられる。式(A)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含むエアロゾルは、典型的には、定量吸入器(MDI)を介して患者に投与される。そのようなデバイスは、当業者に既知である。
【0180】
エアロゾルは、製剤の物理的安定性を改善するために、弁性能を改善するために、溶解度を改善するために、または味を改善するために、界面活性剤、潤滑剤、共溶媒、および他の賦形剤などのMDIと共に典型的に使用される追加の薬学的に許容される賦形剤を含有し得る。
【0181】
経皮投与に適した医薬組成物は、患者の表皮と長期間密接に接触したままであることを目的とした個別のパッチとして提示され得る。例えば、活性成分は、Pharmaceutical Research,3(6),318(1986)に一般的に記載されるように、イオン導入によってパッチから送達され得る。
【0182】
局所投与に適した医薬組成物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油として製剤化され得る。軟膏、クリーム、およびゲルは、例えば、好適な増粘剤および/またはゲル化剤および/または溶媒を添加して、水性または油性基剤で製剤化され得る。したがって、そのような基剤は、例えば、水および/または油、例えば、液体パラフィン、もしくは植物油、例えば、ラッカセイ油もしくはヒマシ油、または溶媒、例えば、ポリエチレングリコールを含んでもよい。基剤の性質に従って使用され得る増粘剤およびゲル化剤としては、軟パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、羊毛脂、蜜蝋、カルボキシポリメチレンおよびセルロース誘導体、ならびに/またはモノステアリン酸グリセリル、ならびに/または非イオン性乳化剤が挙げられる。
【0183】
ローションは、水性または油性基剤で製剤化され得、一般に、1つ以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、または増粘剤も含有する。
【0184】
外用の粉末は、任意の好適な粉末基剤、例えば、タルク、ラクトース、またはデンプンを用いて形成され得る。ドロップは、1つ以上の分散剤、可溶化剤、懸濁剤、または防腐剤も含む水性または非水性基剤で製剤化され得る。
【0185】
局所製剤は、患部に1日1回以上の塗布を介して投与され得、皮膚領域にわたって密封包帯法が有利に使用され得る。連続または長時間の送達は、接着性リザーバー系を介して達成され得る。
【0186】
本発明の化合物および組成物の使用
本明細書に開示される本発明の化合物または医薬組成物は、対象における障害または疾患を治療、予防、改善、または軽減するための薬剤、ならびにH3Rを調節する(例えば、それに拮抗する)ための他の薬剤の製造に使用され得、本発明の化合物は、優れた薬物動態および薬力学特性を有し、毒性副作用が少ない。
【0187】
具体的には、本発明の組成物の化合物の量は、H3Rを効果的かつ検出可能に調節する(例えば、それに拮抗する)ことができる。本発明の化合物または医薬組成物は、H3Rに関連する疾患を予防、治療、または軽減するために使用され得、そのような疾患は、CNS障害またはナルコレプシーを含む。
【0188】
療法
一実施形態において、本明細書に開示される療法は、安全かつ有効な量の本発明の化合物または本発明の化合物を含有する医薬組成物を、必要とする患者に投与することを含む。本明細書に開示される各実施例は、上記疾患を治療する方法を含み、安全かつ有効な量の本発明の化合物または本発明の化合物を含有する医薬組成物を、必要とする患者に投与することを含む。
【0189】
一実施形態において、本発明の化合物またはその医薬組成物は、全身投与および局所投与の両方を含む任意の好適な投与経路によって投与され得る。全身投与には、経口投与、非経口投与、経皮投与、および直腸投与が含まれる。非経口投与は、腸内または経皮以外の投与経路を指し、典型的には、注射または注入による。非経口投与には、静脈内、筋肉内、ならびに皮下注射または注入が含まれる。局所投与には、皮膚への塗布、ならびに眼内、膣内、吸入、および鼻腔内投与が含まれる。一実施形態において、本発明の化合物またはその医薬組成物は、経口投与され得る。別の実施形態において、本発明の化合物またはその医薬組成物は、吸入によって投与され得る。さらなる実施形態において、本発明の化合物またはその医薬組成物は、鼻腔内投与され得る。
【0190】
一実施形態において、本発明の化合物またはその医薬組成物は、1回、または複数回用量が所与の期間にわたって異なる間隔で投与される投薬レジメンに従って投与されてもよい。例えば、用量は、1日1回、2回、3回、または4回投与されてよい。一実施形態において、用量は、1日1回投与される。さらなる実施形態において、用量は、1日2回投与される。用量は、所望の治療効果が達成されるまで、または所望の治療効果を維持するために無期限に投与され得る。本発明の化合物またはその医薬組成物に好適な投薬レジメンは、その化合物の薬物動態特性、例えば、その吸収、分布、ならびに代謝および消失の半減期に依存し、これらは当業者によって決定され得る。加えて、本発明の化合物またはその医薬組成物について、そのようなレジメンが投与される期間を含む好適な投薬レジメンは、治療されている障害、治療されている障害の重症度、治療されている患者の年齢および健康状態、治療される患者の病歴、併用療法の性質、所望の治療効果、ならびに当業者の知識および専門技能内の同様の要因に依存する。好適な投薬レジメンは、個々の患者の投薬レジメンに対する耐性を考慮して、または個々の患者が変化を必要とするにつれて経時的に、調整を必要とし得ることが、そのような当業者によってさらに理解されるであろう。
【0191】
本発明の化合物は、1つ以上の他の治療薬と同時に、またはその前もしくは後に投与され得る。本発明の化合物は、別個に、同じもしくは異なる投与経路によって、または他の薬剤と同じ医薬組成物中で一緒に投与され得る。
【0192】
本発明の医薬組成物または組み合わせは、約50~70kgの対象に対して約1~1000mgの活性成分、好ましくは約1~500mg、または約1~250mg、または約1~150mg、または約0.5~100mg、または約1~50mgの活性成分の単位投与量であり得る。化合物、医薬組成物、またはそれらの組み合わせの治療有効用量は、対象の種、体重、年齢、および個体状態、治療されている障害もしくは疾患、またはその重症度に依存する。当業者の医師、臨床医、または獣医は、障害または疾患の進行を予防、治療、または阻止するために必要な活性成分の各々の有効量を容易に決定することができる。
【0193】
上記の投与特性は、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、イヌ、サルなどの非ヒト霊長類、またはその単離された臓器、組織、および調製物を有利に使用して、インビトロおよびインビボ試験と関連付けられ得る。本発明の化合物は、溶液、例えば、好ましくは水溶液の形態においてインビトロで、かつ例えば、懸濁液として、または水溶液中に局所、吸入、腸内、または非経口、有利に静脈内を介してインビボで適用され得る。
【0194】
一実施形態において、1日当たり約0.1mg~約1,000mgの本明細書に開示される化合物の治療有効用量。医薬組成物は、約0.1mg~約1,000mgの化合物の投与量を提供するべきである。特別な実施形態において、薬学的単位剤形は、単位剤形当たり約1mg~約1,000mg、約10mg~約500mg、約20mg~約200mg、約25mg~約100mg、または約30mg~約60mgの活性成分または必須成分の組み合わせを提供するように調製される。特別な実施形態において、薬学的単位剤形は、約1mg、5mg、10mg、20mg、25mg、50mg、100mg、250mg、500mg、1000mgの活性成分を提供するように調製される。
【0195】
発明の好ましい実施形態
一般的な合成手順
本発明がより完全に理解され得るように、以下の実施例を提供する。しかしながら、これらの実施形態は、単に本発明を実施する方法を提供し、本発明は、これらの実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0196】
一般に、本明細書に開示される化合物は、本明細書に記載される方法によって調製され得、置換基は、さらに記載される場合を除き、上記式(A)について定義されるとおりである。本発明をさらに例示するために、以下の非限定的なスキームおよび実施例が提示される。
【0197】
当業者は、記載される化学反応が、本明細書に開示される多数の他の化合物を調製するように容易に適合され得ることを認識し、本明細書に開示される化合物を調製するための代替方法は、本明細書に開示される範囲内であると見なされる。当業者は、以下の実施例によって実証されるように、出発物質が異なってもよく、本発明によって包含される化合物を生成するために追加のステップが用いられてもよいことを認識するであろう。場合によっては、特定の反応性官能基の保護は、上記の変換のいくつかを達成するために必要であり得る。一般に、保護基のそのような必要性、ならびにそのような基を付着および除去するために必要な条件は、有機合成の当業者には明らかであろう。例えば、本発明による例示されない化合物の合成は、当業者に明らかな修正によって、例えば、干渉基を適切に保護することによって、記載されるもの以外の当該技術分野で既知の他の好適な試薬を利用することによって、および/または反応条件の日常的な修正を行うことによって、うまく実施され得る。あるいは、本発明に開示される既知の反応条件または反応は、本明細書に開示される他の化合物を調製するための適用可能性を有すると認識される。
【0198】
以下に記載される実施例では、別段の指示がない限り、すべての温度は摂氏度で示される。試薬を、Aldrich Chemical Company、Arcos Chemical Company、Alfa Aesar Chemical Company、およびJ&K Chemical Companyなどの商業的供給業者から購入し、別段の指示がない限り、さらなる精製なしで使用した。
【0199】
化合物の調製
本発明の化合物(その塩、エステル、水和物、または溶媒和物を含む)は、任意の既知の有機合成技法を使用して調製され得、多くの可能な合成経路のいずれかに従って合成され得る。
【0200】
本発明の化合物を調製するための反応は、有機合成の当業者によって容易に選択され得る好適な溶媒中で行われ得る。好適な溶媒は、反応が行われる温度、例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度までの範囲であり得る温度で、出発物質(反応物)、中間体、または生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応は、1つの溶媒または2つ以上の溶媒の混合物中で行われ得る。特定の反応ステップに応じて、特定の反応ステップに好適な溶媒が当業者によって選択され得る。
【0201】
反応は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法によって監視され得る。例えば、生成物形成は、分光学的手段、例えば、核磁気共鳴分光法(例えば、1Hまたは13C)、赤外分光法、分光測光法(例えば、UV可視)、質量分析法、またはクロマトグラフィ法、例えば、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、液体クロマトグラフィ-質量分析法(LCMS)、もしくは薄層クロマトグラフィ(TLC)によって監視され得る。化合物は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)(“Preparative LC-MS Purification:Improved Compound Specific Method Optimization”Karl F.Blom,Brian Glass,Richard Sparks,Andrew P.Combs J.Combi.Chem.2004,6(6),874-883(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)および順相シリカクロマトグラフィを含む様々な方法によって、当業者によって精製され得る。
【0202】
本発明の化合物は、当業者に理解されるように、合成有機化学の技術分野で既知の合成方法、またはその変形と共に、以下に記載される方法を使用して合成され得る。好ましい方法としては、以下に記載される方法が挙げられるが、これらに限定されない。具体的には、式(B~D)の本発明の化合物は、以下に列挙される例示的な一般合成スキームに概説されるステップに従って合成され得、合成スキームに含まれる反応物または反応物の化学基の略語が実施例に定義される。
【0203】
式(B)、(C)、および(D)を有する化合物に対する一般合成スキーム(1~7)を以下に示す。
スキーム1:式(B)を有する化合物の一般合成
【化22】
スキーム1に従って、式(B)を有する化合物に対する合成が、参考文献(Journal of Organic Chemistry,2011,76,4781-4786、Tetrahedron Letters,2004,45,1071-1074、Organic Letters,2009,11,15,3230-3233、Journal of Medicinal Chemistry,2008,51,4780-4789、US2005/182045A1)に開示される関連手順に従って行われ得るが、これらの開示された手順に限定されない。ニトロベンゼン誘導体1をクロロホルムでアルカリ化し、次いで加水分解して酸3を形成し、これをHCl中のFeによって還元して、アニリン4を得る。このようにして、酸4の5による凝縮、続く環化反応により、化合物(B)を得る。
【0204】
スキーム2:中間化合物5の合成
【化23】
スキーム2に従って、式(5)を有する化合物に対する合成が、参照文献(US2005/182045A1、WO2017/201161A1)に開示される関連手順に従って行われ得るが、これらの開示された手順に限定されない。フルオロベンゼン誘導体6を臭化ヒドロキシアルキルによって置換して、フェニルエーテル7を得て、次いでこれを化合物8にアミノ化する。このようにして、Pd/Cの存在下での後続の水素化は、中間体5をもたらす。
【0205】
スキーム3:中間化合物8の代替合成
【化24】
代替的に、スキーム3に従って、式(8)を有する化合物に対する合成が、参照文献(US2005/182045A1、WO2017/201161A1)に開示される関連手順に従って行われ得るが、これらの開示された手順に限定されない。フルオロベンゼン誘導体6をアルコール誘導体9によって置換して、フェニルエーテル化合物8を形成する。
【0206】
スキーム4:式(C)を有する化合物の一般合成
【化25】
スキーム4に従って、式(C)を有する化合物に対する合成が、参照文献(US2005/182045A1、WO2017/201161A1)に開示される関連手順に従って行われ得るが、これらの開示された手順に限定されない。アニリン誘導体4を10で環化して、化合物(C)を得る。
【0207】
スキーム5:中間化合物10の合成
【化26】
スキーム5に従って、式(10)を有する化合物に対する合成が、参照文献(US2005/182045A1、Journal of Medicinal Chemistry,2008,51,21,6889-6901、US2009/306375A1)に開示される関連手順に従って行われ得るが、これらの開示された手順に限定されない。フルオロベンゼン誘導体6をN-Boc-ピペルジン-4-オールによって置換して、ニトロベンゼン誘導体11を形成し、これを脱保護に供してアミン12を得る。このようにして、化合物12をアシル化し、続いて還元して、化合物10を得る。
【0208】
スキーム6:式(D)を有する化合物の一般合成
【化27】
スキーム6に従って、式(D)を有する化合物に対する合成が、参照文献(US2005/182045A1、WO2017/201161A1)に開示される関連手順に従って行われ得るが、これらの開示された手順に限定されない。アニリン誘導体4を化合物15で環化して、化合物Dを得る。
【0209】
スキーム7:中間化合物15の合成
【化28】
スキーム7に従って、式(15)を有する化合物に対する合成が、参照文献(US2005/182045A1)に開示される関連手順に従って行われ得るが、これらの開示された手順に限定されない。フルオロベンゼン誘導体6をアルコール誘導体16によって置換して、フェニルエーテル化合物17を形成し、これを還元して化合物15を得る。
【0210】
例示的な化合物の調製および特性化
本開示に包含される化合物は、異なるスキームを介して調製され得る。様々なスキームを介した22個の例示的化合物の詳細な調製プロセスは、以下に記載され、特性化結果もまた列挙される。
【0211】
特に明記しない限り、すべての試薬を、さらなる精製なしに商業的供給業者から購入した。必要に応じて、標準方法による溶媒乾燥を用いた。薄層クロマトグラフィ(TLC)に使用したプレートは、アルミニウムプレート上に予めコーティングしたE.Merckシリカゲル60F254(0.24nm厚)であり、次いでUV光(365nmおよび254nm)下で、またはエタノール中の5%のドデカモリブドリン酸での染色およびその後の加熱を通して可視化した。カラムクロマトグラフィを、商業的供給業者からのシリカゲル(200~400メッシュ)を使用して行った。1H NMRスペクトルを、室温においてAgilent 400-MR NMR分光計(1Hに対して400.00MHz)上で記録した。溶媒シグナルを、1H NMR(CDCl3,7.26ppm;CD3OD,3.31ppm;DMSO-d6,2.50ppm;D2O,4.79ppm)の参照として使用した。以下の略語を使用して、多重度を説明した:s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、br.s=ブロードシングレット、dd=ダブルダブレット、td=トリプルダブレット、dt=ダブルトリプレット、dq=ダブルカルテット、m=マルチプレット。実験の詳細で使用される他の略語は、以下のとおりである:δ=テトラメチルシランからの100万分の1低磁場の化学シフト、Ar=アリール、Ac=アシル、Boc=tert-ブチルオキシカルボニル、Bn=ベンジル、DCM=ジクロロメタン、DCE=ジクロロエタン、DMF=N,N′-ジメチルホルムアミド、NMP=N-メチル-2-ピロリドン、DIBAL-H=水素化ジイソブチルアルミニウム、DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン、DMAP=4-(ジメチルアミノ)ピリジン、DMSO=ジメチルスルホキシド、EA=酢酸エチル、Et=エチル、Me=メチル、Hz=ヘルツ、HPLC=高速液体クロマトグラフィ、J=結合定数(NMRで)、min=分(複数可)、h=時間(複数可)、NMR=核磁気共鳴、prep=分取、PE=石油エーテル、t-Bu=tert-ブチル、iPr=イソプロピル、TBAF=テトラブチルアンモニウムフルオリド、tert=三級、TFA=トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン、TLC=薄層クロマトグラフィ。
【実施例0212】
以下に詳述する本発明の実施形態は、本発明を説明するための例示的なものであり、本発明を限定するものと解釈されるべきではないことに留意されたい。特定の技術または条件を有しない実施例は、当該技術分野の文書中の技術または条件に従って、または製品説明書に従って実行され得る。製造業者のない試薬または機器は、従来の購入を通して入手可能である。当業者は、以下の実施例によって実証されるように、出発物質が異なってもよく、本発明によって包含される化合物を生成するために追加のステップが用いられてもよいことを認識するであろう。
【化29-1】
【化29-2】
【0213】
実施例1:2-メチル-3-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(I)
【化30】
【0214】
ステップ1:2-(ジクロロメチル)-1-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(19)
乾燥DMF(60mL)およびTHF(60mL)中t-BuOK(8.1g、72.2mmol)の溶液に、DMF(30mL)中1-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(18)(6.0g、24.1mmol)およびCHCl3(3.0g、25.3mmol)の溶液を、N2雰囲気下で-78℃において滴下した。反応物を-78℃で0.5時間撹拌し、次いでpH=4になるまでHCl水溶液(2M)でクエンチした。得られた混合物を水(200mL)で希釈し、EA(2×100mL)で抽出した。混合した有機相をブライン(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、PE/EA=100:1)によって精製して、黄色油として表題化合物19(6.0g、75%)を得た。
【0215】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=8.56(s,1 H),8.09(d,J=9.2 Hz,1 H),7.96(dd,J=2.0,8.8 Hz,1 H),7.52(s,1 H)。
【0216】
ステップ2:2-ニトロ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(20)
DMSO(5mL)中2-(ジクロロメチル)-1-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(19)(0.5g、1.5mmol)の撹拌溶液に、K2CO3(0.6g、4.5mmol)およびTBAF(72.3mg、0.3mmol)を添加した。反応物を25℃で16時間撹拌し、次いでpH=4になるまでHCl水溶液(1M)で酸化した。得られた混合物をEA(2×5mL)で抽出した。混合した有機相をブライン(10mL)で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、PE/EA/=5:1およびDCM/MeOH=10:1)によって精製して、オフホワイト色固体として表題化合物20(0.2g、50%)を得た。
【0217】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=8.31(s,1 H),8.07(d,J=8.8 Hz,1 H),7.92(d,J=8.8 Hz,1 H)。
【0218】
ステップ3:2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)
EtOH(1mL)および濃縮HCl(0.3mL)中2-ニトロ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(20)(0.2g、0.7mmol)の撹拌懸濁液に、Fe粉末(123.0mg、2.2mmol)を一度に添加した。反応物を1時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣を水(5mL)中に溶解し、EA(2×5mL)で抽出した。混合した有機相をブライン(10mL)で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、茶色固体として表題化合物21(190mg、98%)を得た。
【0219】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=8.20(d,J=2.4 Hz,1 H),7.58(dd,J=2.8,9.2 Hz,1 H),6.77(d,J=9.2 Hz,1 H);
MS(ESI):[M+H]+=263.7。
【0220】
ステップ4:2-メチル-3-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(I)
Ac2O(2mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(0.2g、0.8mmol)の溶液を、4時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(22)(0.2g、0.9mmol)およびAcOH(2mL)を添加した。反応物を80℃で2時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、灰色固体として標題化合物I(120mg、32%)を得た。
【0221】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=8.65(d,J=2.4 Hz,1 H),8.40(dd,J=2.4,9.0 Hz,1 H),7.91(d,J=8.8 Hz,1 H),7.39(d,J=8.8 Hz,2 H),7.21(d,J=8.8 Hz,2 H),4.23(t,J=5.6 Hz,2 H),3.78-3.69(m,2 H),3.51-3.42(m,2 H),3.22-3.09(m,2 H),2.46(s,3 H),2.35-2.25(m,2 H),2.25-2.15(m,2 H),2.13-2.01(m,2 H);
MS(ESI):[M+H]+=489.9。
【0222】
実施例2:(S)-2-メチル-3-(4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(II)
【化31】
【0223】
ステップ1:1-(3-ブロモプロポキシ)-4-ニトロベンゼン(24)
CH3CN(30mL)中4-ニトロフェノール(23)(2.0g、14.4mmol)の撹拌懸濁液に、1,3-ジブロモプロパン(5.8g、28.8mmol)およびK2CO3(6.0g、43.2mmol)を25℃で添加した。反応物を16時間80℃で撹拌し、次いで濃縮した。残渣をEA(20mL)と水(10mL)とに分配した。有機相をブライン(10mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、PE/EA=10:1)によって精製して、オフホワイト色固体として表題化合物24(2.1g、57%)を得た。
【0224】
ステップ2:(S)-2-メチル-1-(3-(4-ニトロフェノキシ)プロピル)ピロリジン(25)
CH3CN(4mL)中1-(3-ブロモプロポキシ)-4-ニトロベンゼン(24)(260mg、1.0mmol)の撹拌懸濁液に、K2CO3(276mg、2.0mmol)および(S)-2-メチルピロリジン(170mg、2.0mmol)を25℃で添加した。反応物を16時間80℃で撹拌し、次いで濃縮した。残渣をEA(10mL)と水(5mL)とに分配した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、DCM/MeOH=10:1)によって精製して、黄色油として表題化合物25(251mg、95%)を得た。
【0225】
MS(ESI):[M+H+]=264.9。
【0226】
ステップ3:(S)-4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(26)
MeOH(5mL)中(S)-2-メチル-1-(3-(4-ニトロフェノキシ)プロピル)ピロリジン(25)(251mg、1.0mmol)の撹拌懸濁液に、Pd/C(25mg、10%)を25℃で一度に添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをMeOH(5mL)で洗浄した。混合した濾液を濃縮して、赤色油として標題化合物26(222mg、100%)を得た。
【0227】
MS(ESI):[M+H+]=234.9。
【0228】
ステップ4:(S)-2-メチル-3-(4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(II)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、4時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、(S)-4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(26)(54mg、0.2mmol)およびAcOH(1mL)を25℃で添加した。反応物を1時間80℃で撹拌し、次いで濃縮した。残渣をEA(10mL)と飽和NaHCO3水溶液(5mL)とに分配した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、茶色固体として標題化合物II(HCl塩中40mg、35%)を得た。
【0229】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=10.52(br.s.,1 H),8.42(d,J=2.4 Hz,1 H),8.33(dd,J=2.6,9.0 Hz,1 H),7.87(d,J=8.8 Hz,1 H),7.40(d,J=8.8 Hz,2 H),7.13(d,J=8.8 Hz,2 H),4.19-4.13(m,2 H),3.49-3.37(m,2 H),3.13-3.05(m,2 H),2.36-2.08(m,7 H),1.99-1.90(m,2 H),1.69-1.61(m,1 H),1.41(d,J=6.8 Hz,3 H);
MS(ESI):[M+H+]=504.1。
【0230】
実施例3:3-(4-(3-(アゼパン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(III)
【化32】
【0231】
ステップ1:1-(3-(4-ニトロフェノキシ)プロピル)アゼパン(27)
CH3CN(4mL)中1-(3-ブロモプロポキシ)-4-ニトロベンゼン(24)(260mg、1.0mmol)の撹拌懸濁液に、K2CO3(276mg、2.0mmol)およびアゼパン(198mg、2.0mmol)を25℃で添加した。反応物を16時間80℃で撹拌し、次いで濃縮した。残渣をEA(10mL)と水(5mL)とに分配した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、DCM/MeOH=10:1)によって精製して、黄色油として表題化合物27(217mg、78%)を得た。
【0232】
MS(ESI):[M+H+]=278.9。
【0233】
ステップ2:4-(3-(アゼパン-1-イル)プロポキシ)アニリン(28)
MeOH(5mL)中1-(3-(4-ニトロフェノキシ)プロピル)アゼパン(27)(217mg、0.8mmol)の撹拌懸濁液に、Pd/C(20mg、10%)を25℃で一度に添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌した。得られた混合物を、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをMeOH(5mL)で洗浄した。混合した濾液を濃縮して、赤色油として標題化合物28(193mg、100%)を得た。
【0234】
MS(ESI):[M+H+]=248.9。
【0235】
ステップ3:3-(4-(3-(アゼパン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(III)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、4時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、4-(3-(アゼパン-1-イル)プロポキシ)アニリン(28)(57mg、0.2mmol)およびAcOH(1mL)を25℃で添加した。反応物を1時間80℃で撹拌し、次いで濃縮した。残渣をEA(10mL)と飽和NaHCO3水溶液(5mL)とに分配した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、茶色固体として標題化合物III(HCl塩中50mg、45%)を得た。
【0236】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=10.37(br.s.,1 H),8.42(d,J=2.4 Hz,1 H),8.32(dd,J=2.6,9.0 Hz,1 H),7.86(d,J=8.8 Hz,1 H),7.40(d,J=8.8 Hz,2 H),7.12(d,J=8.8 Hz,2 H),4.14(t,J=5.8 Hz,2 H),3.42-3.36(m,2 H),3.27-3.22(m,2 H),3.18-3.10(m,2 H),2.28-2.21(m,2 H),2.18(s,3 H),1.89-1.77(m,4 H),1.69-1.55(m,4 H);
MS(ESI):[M+H+]=518.1。
【0237】
実施例4:(R)-2-メチル-3-(4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(IV)
【化33】
【0238】
ステップ1:(R)-2-メチル-1-(3-(4-ニトロフェノキシ)プロピル)ピロリジン(29)
CH3CN(2mL)中1-(3-ブロモプロポキシ)-4-ニトロベンゼン(24)(130mg、0.5mmol)の撹拌懸濁液に、K2CO3(138mg、1.0mmol)および(R)-2-メチルピロリジン(85mg、1.0mmol)を25℃で添加した。反応物を16時間80℃で撹拌し、次いで濃縮した。残渣をEA(10mL)と水(5mL)とに分配した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、DCM/MeOH=10:1)によって精製して、黄色油として表題化合物29(100mg、76%)を得た。
【0239】
MS(ESI):[M+H+]=264.9。
【0240】
ステップ2:(R)-4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(30)
MeOH(3mL)中(R)-2-メチル-1-(3-(4-ニトロフェノキシ)プロピル)ピロリジン(29)(100mg、0.38mmol)の撹拌懸濁液に、Pd/C(10mg、10%)を25℃で一度に添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをMeOH(3mL)で洗浄した。混合した濾液を濃縮して、茶色油として表題化合物30(89mg、粗生成物)を得て、これを、さらなる精製なしに次のステップに直接使用した。
【0241】
MS(ESI):[M+H+]=234.9。
【0242】
ステップ3:(R)-2-メチル-3-(4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(IV)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、4時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、(R)-4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(30)(89mg、0.4mmol)およびAcOH(1mL)を25℃で添加した。反応物を80℃で1時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮した。残渣をEA(10mL)と飽和NaHCO3水溶液(5mL)とに分配した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、茶色固体として標題化合物IV(HCl塩中50mg、43%)を得た。
【0243】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=10.50(br.s.,1 H),8.42(d,J=2.4 Hz,1 H),8.32(dd,J=2.4,9.2 Hz,1 H),7.86(d,J=9.2 Hz,1 H),7.40(d,J=8.8 Hz,2 H),7.13(d,J=8.8 Hz,2 H),4.16(br.s.,2 H),3.67-3.60(m,2 H),3.48-3.36(m,2 H),3.16-3.00(m,2 H),2.23-2.16(m,5 H),2.04-1.87(m,2 H),1.67-1.62(m,1 H),1.41(d,J=6.4 Hz,3 H);
MS(ESI):[M+H+]=504.0。
【0244】
実施例5:(S)-2-メチル-3-(4-(3-(3-メチルピペリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(V)
【化34】
【0245】
ステップ1:(S)-3-メチル-1-(3-(4-ニトロフェノキシ)プロピル)ピペリジン(31)
CH3CN(6mL)中1-(3-ブロモプロポキシ)-4-ニトロベンゼン(24)(260mg、1.0mmol)の撹拌懸濁液に、K2CO3(552mg、4.0mmol)および(S)-3-メチルピペリジン塩酸塩(270mg、2.0mmol)を25℃で添加した。反応物を16時間80℃で撹拌し、次いで濃縮した。残渣をEA(20mL)と水(10mL)とに分配した。有機相をブライン(10mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、DCM/MeOH=10:1)によって精製して、黄色油として表題化合物31(248mg、89%)を得た。
【0246】
MS(ESI):[M+H+]=278.9。
【0247】
ステップ2:(S)-4-(3-(3-メチルピペリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(32)
MeOH(5mL)中(S)-3-メチル-1-(3-(4-ニトロフェノキシ)プロピル)ピペリジン(31)(248mg、0.9mmol)の撹拌懸濁液に、パラジウム炭素(25mg、10%)を25℃で一度に添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをMeOH(5mL)で洗浄した。混合した濾液を濃縮して、赤色油として標題化合物32(221mg、100%)を得た。
【0248】
MS(ESI):[M+H+]=248.9。
【0249】
ステップ3:(S)-2-メチル-3-(4-(3-(3-メチルピペリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(V)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、4時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、(S)-4-(3-(3-メチルピペリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(32)(57mg、0.23mmol)およびAcOH(1mL)を25℃で添加した。反応物を80℃で1時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮した。残渣をEA(10mL)と飽和NaHCO3水溶液(5mL)とに分配した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、茶色固体として標題化合物V(HCl塩中50mg、45%)を得た。
【0250】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=10.36(br.s.,1 H),8.42(d,J=2.4 Hz,1 H),8.32(dd,J=2.6,9.0 Hz,1 H),7.86(d,J=8.8 Hz,1 H),7.40(d,J=8.8 Hz,2 H),7.12(d,J=8.8 Hz,2 H),4.14(t,J=5.8 Hz,2 H),3.50-3.39(m,2 H),3.22-3.14(m,2 H),2.83-2.75(m,1 H),2.60-2.52(m,1 H),2.31-2.21(m,2 H),2.18(s,3 H),1.98-1.73(m,5 H),0.90(d,J=6.8 Hz,3 H);
MS(ESI):[M+H+]=518.1。
【0251】
実施例6:3-(2-メトキシ-4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(VI)
【化35】
【0252】
ステップ1:1-(3-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)プロピル)ピロリジン(34)
DMF(3mL)中3-(ピロリジン-1-イル)プロパン-1-オール(142mg、1.1mmol)の撹拌溶液に、NaH(48mg、1.2mmol、鉱油中60%)を0℃で添加した。反応物を0℃で30分間撹拌し、続いて4-フルオロ-2-メトキシ-1-ニトロベンゼン(33)(171mg、1.0mmol)を添加した。反応混合物を0~25℃で16時間撹拌した。得られた混合物をEA(10mL)および水(3mL)で希釈した。有機相をブライン(3mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、PE/EA/=1:1およびDCM/MeOH=10:1)によって精製して、黄色油として表題化合物34(200mg、71%)を得た。
【0253】
MS(ESI):[M+H+]=280.9。
【0254】
ステップ2:2-メトキシ-4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(35)
MeOH(5mL)中1-(3-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)プロピル)ピロリジン(34)(200mg、0.7mmol)の撹拌懸濁液に、Pd/C(20mg、10%)を25℃で一度に添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをMeOH(5mL)で洗浄した。混合した濾液を濃縮して、赤色油として標題化合物35(178mg、100%)を得た。
【0255】
MS(ESI):[M+H+]=250.9。
【0256】
ステップ3:3-(2-メトキシ-4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(VI)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、4時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、2-メトキシ-4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(35)(57mg、0.2mmol)およびAcOH(1mL)を25℃で添加した。反応物を80℃で1時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮した。残渣をEA(10mL)と飽和NaHCO3水溶液(5mL)とに分配した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、茶色固体として標題化合物VI(HCl塩中50mg、45%)を得た。
【0257】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=10.94(br.s.,1 H),8.41(d,J=2.8 Hz,1 H),8.32(dd,J=2.6,9.0 Hz,1 H),7.85(d,J=9.2 Hz,1 H),7.34(d,J=8.8 Hz,1 H),6.81(d,J=2.4 Hz,1 H),6.71(dd,J=2.2,8.6 Hz,1 H),4.18(t,J=5.8 Hz,2 H),3.75(s,3 H),3.59-3.53(m,2 H),3.33-3.26(m,2 H),3.05-2.96(m,2 H),2.25-2.18(m,2 H),2.16(s,3 H),2.04-1.97(m,2 H),1.94-1.83(m,2 H);
MS(ESI):[M+H+]=520.0。
【0258】
実施例7:2-メチル-3-(4-(3-(3-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(VII)
【化36】
【0259】
ステップ1:3-メチル-1-(3-(4-ニトロフェノキシ)プロピル)ピロリジン(36)
CH3CN(3mL)中1-(3-ブロモプロポキシ)-4-ニトロベンゼン(24)(130mg、0.5mmol)の撹拌懸濁液に、K2CO3(207mg、1.5mmol)および3-メチルピロリジン塩酸塩(122mg、1.0mmol)を25℃で添加した。反応物を16時間80℃で撹拌し、次いで濃縮した。残渣をEA(10mL)と水(5mL)とに分配した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、DCM/MeOH=10:1)によって精製して、黄色油として表題化合物36(110mg、83%)を得た。
【0260】
MS(ESI):[M+H+]=264.9。
【0261】
ステップ2:4-(3-(3-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(37)
MeOH(3mL)中3-メチル-1-(3-(4-ニトロフェノキシ)プロピル)ピロリジン(36)(110mg、0.4mmol)の撹拌懸濁液に、Pd/C(10mg、10%)を25℃で一度に添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをMeOH(3mL)で洗浄した。混合した濾液を濃縮して、茶色油として表題化合物37(98mg、粗生成物)を得て、これを、さらなる精製なしに次のステップに直接使用した。
【0262】
MS(ESI):[M+H+]=234.9。
【0263】
ステップ3:2-メチル-3-(4-(3-(3-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(VII)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.19mmol)の溶液を、4時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、4-(3-(3-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(37)(89mg、0.38mmol)およびAcOH(1mL)を25℃で添加した。反応物を80℃で1時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮した。残渣をEA(10mL)と飽和NaHCO3水溶液(5mL)とに分配した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、茶色固体として標題化合物VII(HCl塩中57mg、56%)を得た。
【0264】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=10.97(br.s.,1 H),8.42(d,J=2.4 Hz,1 H),8.32(dd,J=2.4,9.2 Hz,1 H),7.86(d,J=9.2 Hz,1 H),7.40(d,J=8.8 Hz,2 H),7.12(d,J=9.2 Hz,2 H),4.15(t,J=6.0 Hz,2 H),3.67-3.51(m,1.5 H),3.33-3.00(m,4 H),2.67-2.57(m,0.5 H),2.38-2.04(m,7 H),1.68-1.46(m,1 H),1.07(dd,J=2.6,6.6 Hz,3 H);
MS(ESI):[M+H+]=504.0。
【0265】
実施例8:3-(2-メトキシ-4-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニル)ピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(VIII)
【化37】
【0266】
ステップ1:2-ニトロ-5-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェノール(38)
DCM(10mL)中1-(3-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)プロピル)ピロリジン(34)(0.7g、2.5mmol)の撹拌溶液に、BBr3(1.9g、7.5mmol)を-78℃で滴下した。反応物を4時間撹拌し、0℃まで徐々に温めた。反応混合物を-10℃のMeOH(10mL)でクエンチし、次いで飽和NaHCO3水溶液(20mL)で希釈した。得られた混合物をEA(2×20mL)で抽出した。混合した有機相をブライン(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、オフホワイト色固体として標題化合物38(90mg、14%)を得た。
【0267】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=8.09(d,J=9.2 Hz,1 H),6.72-6.58(m,2 H),4.21(t,J=5.6 Hz,2 H),3.79-3.64(m,2 H),3.47-3.36(m,2 H),3.21-3.06(m,2 H),2.34-2.13(m,4 H),2.11-1.96(m,2 H);
MS(ESI):[M+H]+=266.9。
【0268】
ステップ2:2-アミノ-5-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェノール(39)
MeOH(1mL)中2-ニトロ-5-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェノール(38)(90mg、0.34mmol)の撹拌溶液に、Pd/C(10mg、10%)を添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を濃縮して、オフホワイト色油として表題化合物39(80mg、粗生成物)を得て、これを、さらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0269】
MS(ESI):[M+H]+=236.9。
【0270】
ステップ3:3-(2-メトキシ-4-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニル)ピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(VIII)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、2時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、2-アミノ-5-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェノール(39)(54mg、0.2mmol)およびAcOH(1mL)を添加した。反応物を1時間80℃で撹拌し、次いで濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、オフホワイト色固体として標題化合物VIII(25mg、26%)を得た。
【0271】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=8.66(d,J=2.0 Hz,1 H),8.42(d,J=9.2 Hz,1 H),7.92(d,J=9.2 Hz,1 H),7.24(d,J=8.4 Hz,1 H),6.76-6.59(m,2 H),4.26-4.10(m,2 H),3.83-3.65(m,2 H),3.54-3.38(m,2 H),3.23-3.06(m,2 H),2.52(s,3 H),2.38-2.14(m,4 H),2.13-1.97(m,3 H);
MS(ESI):[M+H]+=506.0。
【0272】
実施例9:(S)-3-(2-メトキシ-4-(3-(3-メチルピペリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(IX)
【化38】
【0273】
ステップ1:(S)-3-(3-メチルピペリジン-1-イル)プロパン-1-オール(40)
THF(10mL)中3-ブロモプロパン-1-オール(300mg、2.2mmol)の撹拌懸濁液に、K2CO3(1191mg、8.6mmol)および(S)-3-メチルピペリジン塩酸塩(587mg、4.3mmol)を0℃で添加した。反応物を0~25℃で16時間撹拌した。得られた混合物をEA(15mL)で希釈し、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをEA(10mL)で洗浄した。混合した濾液を水(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、無色油として表題化合物40(350mg、粗生成物)を得て、これをさらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0274】
ステップ2:(S)-1-(3-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)プロピル)-3-メチルピペリジン(41)
DMF(4mL)中(S)-3-(3-メチルピペリジン-1-イル)プロパン-1-オール(40)(350mg、2.2mmol)の撹拌溶液に、NaH(97mg、2.4mmol、鉱油中60%)を0℃で添加した。反応物を0℃で0.5時間撹拌し、続いて4-フルオロ-2-メトキシ-1-ニトロベンゼン(33)(347mg、2.0mmol)を添加した。反応混合物を0~25℃で16時間撹拌した。得られた混合物をEA(30mL)および水(5mL)で希釈した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、PE/EA/=1:1およびDCM/MeOH=10:1)によって精製して、黄色油として表題化合物41(300mg、2つのステップに対して45%)を得た。
【0275】
MS(ESI):[M+H+]=308.9。
【0276】
ステップ3:(S)-2-メトキシ-4-(3-(3-メチルピペリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(42)
MeOH(4mL)中(S)-1-(3-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)プロピル)-3-メチルピペリジン(41)(300mg、1.0mmol)の撹拌懸濁液に、Pd/C(30mg、10%)を25℃で一度に添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをMeOH(5mL)で洗浄した。混合した濾液を濃縮して、黒色油として表題化合物42(270mg、粗生成物)を得て、これを、さらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0277】
MS(ESI):[M+H+]=278.9。
【0278】
ステップ4:(S)-3-(2-メトキシ-4-(3-(3-メチルピペリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(IX)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、4時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、(S)-2-メトキシ-4-(3-(3-メチルピペリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(42)(64mg、0.23mmol)およびAcOH(1mL)を25℃で添加した。反応物を80℃で1時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮した。残渣をEA(10mL)と飽和NaHCO3水溶液(5mL)とに分配した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、オフホワイト色固体として標題化合物IX(HCl塩中40mg、30%)を得た。
【0279】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=10.54(br.s.,1 H),8.42(d,J=2.4 Hz,1 H),8.32(dd,J=2.2,9.0 Hz,1 H),7.85(d,J=9.2 Hz,1 H),7.34(d,J=8.8 Hz,1 H),6.80(d,J=2.0 Hz,1 H),6.71(dd,J=2.0,8.8 Hz,1 H),4.17(t,J=5.6 Hz,2 H),3.75(s,3 H),3.49-3.38(m,2 H),3.23-3.13(m,2 H),2.88-2.71(m,1 H),2.59-2.52(m,1 H),2.32-2.21(m,2 H),2.16(s,3 H),2.07-1.95(m,1 H),1.88-1.73(m,3 H),1.12-1.03(m,1 H),0.90(d,J=6.8 Hz,3 H);
MS(ESI):[M+H+]=548.1。
【0280】
実施例10:(R)-3-(2-メトキシ-4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(X)
【化39】
【0281】
ステップ1:(R)-3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロパン-1-オール(43)
THF(3mL)中3-ブロモプロパン-1-オール(192mg、1.4mmol)の撹拌懸濁液に、K2CO3(381mg、2.8mmol)および(R)-2-メチルピロリジン(43)(200mg、2.4mmol)を0℃で添加した。反応物を0~25℃で16時間撹拌した。得られた混合物をEA(5mL)で希釈し、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをEA(5mL)で洗浄した。混合した濾液を水(5mL)およびブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、黄色油として表題化合物44(127mg、64%)を得て、これをさらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0282】
ステップ2:(R)-1-(3-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)プロピル)-2-メチルピロリジン(44)
DMF(2mL)中(R)-3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロパン-1-オール(43)(127mg、0.9mmol)の撹拌溶液に、NaH(39mg、1.0mmol、鉱油中60%)を0℃で添加した。反応物を0℃で30分間撹拌し、続いて4-フルオロ-2-メトキシ-1-ニトロベンゼン(33)(138mg、0.8mmol)を添加した。反応混合物を0~25℃で16時間撹拌した。得られた混合物をEA(10mL)および水(2mL)で希釈した。有機相をブライン(2mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、PE/EA/=1:1およびDCM/MeOH=10:1)によって精製して、黄色油として表題化合物44(81mg、34%、2つのステップ)を得た。
【0283】
MS(ESI):[M+H+]=294.9。
【0284】
ステップ3:(R)-2-メトキシ-4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(45)
MeOH(1mL)中(R)-1-(3-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)プロピル)-2-メチルピロリジン(44)(81mg、0.3mmol)の撹拌懸濁液に、Pd/C(8mg、10%)を25℃で一度に添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをMeOH(5mL)で洗浄した。混合した濾液を濃縮して、バイオレット色油として表題化合物45(73mg、粗生成物)を得て、これを、さらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0285】
MS(ESI):[M+H+]=264.9。
【0286】
ステップ4:(R)-3-(2-メトキシ-4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(X)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、4時間加熱還流し、次いで濃縮した。残渣に、(R)-2-メトキシ-4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(45)(61mg、0.2mmol)およびAcOH(1mL)、25℃を添加した。反応物を80℃で1時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮した。残渣をEA(10mL)と飽和NaHCO3水溶液(5mL)とに分配した。水相を分離した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、茶色固体として標題化合物X(HCl塩中30mg、23%)を得た。
【0287】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=10.74(br.s.,1 H),8.41(d,J=2.4 Hz,1 H),8.33(dd,J=2.2,9.0 Hz,1 H),7.86(d,J=9.2 Hz,1 H),7.34(d,J=8.4 Hz,1 H),6.82(s,1 H),6.72(dd,J=1.6,8.8 Hz,1 H),4.19(br.s.,2 H),3.75(s,3 H),3.65-3.58(m,1 H),3.50-3.34(m,2 H),3.13-3.02(m,2 H),2.31-2.17(m,3 H),2.17(s,3 H),2.01-1.90(m,2 H),1.72-1.60(m,1 H),1.42(d,J=6.0 Hz,3 H);
MS(ESI):[M+H+]=534.1。
【0288】
実施例11:3-(3-メトキシ-4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XI)
【化40】
【0289】
ステップ1:1-(3-(2-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)プロピル)ピロリジン(47)
DMF(3mL)中3-(ピロリジン-1-イル)プロパン-1-オール(142mg、1.1mmol)の撹拌溶液に、NaH(48mg、1.2mmol、鉱油中60%)を0℃で添加した。反応物を0℃で0.5時間撹拌し、次いでその後、1-フルオロ-2-メトキシ-4-ニトロベンゼン(46)(171mg、1.0mmol)を添加した。反応物を0~25℃で16時間撹拌した。得られた混合物をEA(10mL)および水(3mL)で希釈した。有機相をブライン(3mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、PE/EA/=1:1およびDCM/MeOH=10:1)によって精製して、黄色油として表題化合物47(170mg、61%)を得た。
【0290】
MS(ESI):[M+H+]=280.9。
【0291】
ステップ2:3-メトキシ-4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(48)
MeOH(5mL)中1-(3-(2-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)プロピル)ピロリジン(47)(170mg、0.6mmol)の撹拌懸濁液に、Pd/C(20mg、10%)を25℃で一度に添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをMeOH(5mL)で洗浄した。混合した濾液を濃縮して、赤色油として標題化合物48(152mg、100%)を得た。
【0292】
MS(ESI):[M+H+]=250.9。
【0293】
ステップ3:3-(3-メトキシ-4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XI)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、4時間加熱還流し、次いで濃縮した。残渣に、3-メトキシ-4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(48)(57mg、0.2mmol)およびAcOH(1mL)を25℃で添加した。反応物を80℃で1時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮した。残渣をEA(10mL)と飽和NaHCO3水溶液(5mL)とに分配した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、茶色固体として標題化合物XI(HCl塩中50mg、40%)を得た。
【0294】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=10.55(br.s.,1 H),8.43(d,J=2.4 Hz,1 H),8.32(dd,J=2.6,9.0 Hz,1 H),7.86(d,J=9.2 Hz,1 H),7.18-7.11(m,2 H),7.00(dd,J=2.2,8.6 Hz,1 H),4.14(t,J=5.8 Hz,2 H),3.76(s,3 H),3.63-3.58(m,2 H),3.32-3.26(m,2 H),3.06-2.98(m,2 H),2.23(s,3 H),2.21-2.14(m,2 H),2.05-1.97(m,2 H),1.93-1.85(m,2 H);
MS(ESI):[M+H+]=520.0。
【0295】
実施例12:3-(2-メトキシ-4-(3-(3-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XII)
【化41】
【0296】
ステップ1:3-(3-メチルピロリジン-1-イル)プロパン-1-オール(49)
THF(3mL)中3-ブロモプロパン-1-オール(134mg、1.0mmol)の撹拌懸濁液に、K2CO3(532mg、3.9mmol)および3-メチルピロリジン塩酸塩(200mg、1.6mmol)を0℃で添加した。反応物を0~25℃で16時間撹拌した。得られた混合物をEA(5mL)で希釈し、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをEA(5mL)で洗浄した。混合した濾液を水(5mL)およびブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、黄色油として表題化合物49(86mg、62%)を得た。
【0297】
ステップ2:1-(3-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)プロピル)-3-メチルピロリジン(50)
DMF(2mL)中3-(3-メチルピロリジン-1-イル)プロパン-1-オール(49)(86mg、0.6mmol)の撹拌溶液に、NaH(26mg、0.7mmol、鉱油中60%)を0℃で添加した。反応物を0℃で30分間撹拌し、続いて4-フルオロ-2-メトキシ-1-ニトロベンゼン(33)(93mg、0.6mmol)を添加した。反応混合物を0~25℃で16時間撹拌した。得られた混合物をEA(10mL)および水(2mL)で希釈した。有機相をブライン(2mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、PE/EA/=1:1およびDCM/MeOH=10:1)によって精製して、黄色油として表題化合物50(38mg、21%)を得た。
【0298】
MS(ESI):[M+H+]=294.9。
【0299】
ステップ3:2-メトキシ-4-(3-(3-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(51)
MeOH(1mL)中1-(3-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)プロピル)-3-メチルピロリジン(50)(38mg、0.1mmol)の撹拌懸濁液に、Pd/C(4mg、10%)を25℃で一度に添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをMeOH(5mL)で洗浄した。混合した濾液を濃縮して、油として表題化合物51(34mg、粗生成物)を得て、これを、さらなる精製なしに次のステップに直接使用した。
【0300】
MS(ESI):[M+H+]=264.9。
【0301】
ステップ4:3-(2-メトキシ-4-(3-(3-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XII)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(25mg、0.1mmol)の溶液を、4時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、2-メトキシ-4-(3-(3-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(51)(34mg、0.1mmol)およびAcOH(1mL)を25℃で添加した。反応物を80℃で1時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮した。残渣をEA(10mL)と飽和NaHCO3水溶液(5mL)とに分配した。水相を分離した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、茶色固体として標題化合物XII(HCl塩中33mg、45%)を得た。
【0302】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=11.12(br.s.,1 H),8.42(d,J=2.4 Hz,1 H),8.33(dd,J=2.2,9.0 Hz,1 H),7.85(d,J=9.2 Hz,1 H),7.34(d,J=8.8 Hz,1 H),6.81(d,J=1.6 Hz,1 H),6.71(dd,J=2.0,8.8 Hz,1 H),4.17(t,J=5.8 Hz,2 H),3.75(br.s.,3 H),3.66-3.53(m,2 H),3.33-3.07(m,4 H),2.66-2.57(m,0.5 H),2.37-2.29(m,0.5 H),2.25-2.18(m,2 H),2.16(s,3 H),2.15-2.04(m,1 H),1.67-1.47(m,1 H),1.07(dd,J=4.6,6.2 Hz,3 H);
MS(ESI):[M+H+]=534.1。
【0303】
実施例13:(S)-3-(2-メトキシ-4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XIII)
【化42】
【0304】
ステップ1:(S)-3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロパン-1-オール(52)
THF(2mL)中3-ブロモプロパン-1-オール(300mg、2.2mmol)の撹拌懸濁液に、K2CO3(417mg、3.0mmol)および(S)-2-メチルピロリジン(312mg、3.7mmol)を0℃で添加した。反応物を0~25℃で16時間撹拌した。得られた混合物をEA(10mL)で希釈し、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをEA(10mL)で洗浄した。混合した濾液を水(5mL)およびブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、無色油として表題化合物52(363mg、粗生成物)を得て、これをさらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0305】
ステップ2:(S)-1-(3-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)プロピル)-2-メチルピロリジン(53)
DMF(4mL)中(S)-3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロパン-1-オール(52)(363mg、粗生成物)の撹拌溶液に、NaH(111mg、2.8mmol、鉱油中60%)を0℃で添加した。反応物を0℃で0.5時間撹拌し、続いて4-フルオロ-2-メトキシ-1-ニトロベンゼン(33)(395mg、2.3mmol)を添加した。反応物を0~25℃で16時間撹拌した。得られた混合物をEA(30mL)および水(5mL)で希釈した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、PE/EA/=1:1およびDCM/MeOH=10:1)によって精製して、黄色油として表題化合物53(370mg、2つのステップに対して58%)を得た。
【0306】
MS(ESI):[M+H+]=294.9。
【0307】
ステップ3:(S)-2-メトキシ-4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(54)
MeOH(4mL)中(S)-1-(3-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)プロピル)-2-メチルピロリジン(53)(370mg、1.3mmol)の撹拌懸濁液に、Pd/C(40mg、10%)を25℃で一度に添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをMeOH(5mL)で洗浄した。混合した濾液を濃縮して、黒色油として表題化合物54(330mg、粗生成物)を得て、これを、さらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0308】
MS(ESI):[M+H+]=264.9。
【0309】
ステップ4:(S)-3-(2-メトキシ-4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XIII)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、4時間加熱還流し、次いで濃縮した。残渣に、(S)-2-メトキシ-4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)アニリン(54)(101mg、0.4mmol)およびAcOH(1mL)を25℃で添加した。反応物を80℃で1時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮した。残渣をEA(10mL)と飽和NaHCO3水溶液(5mL)とに分配した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、茶色固体として標題化合物XIII(HCl塩中24mg、22%)を得た。
【0310】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=10.73(br.s.,1 H),8.41(br.s.,1 H),8.33(d,J=8.0 Hz,1 H),7.85(d,J=8.8 Hz,1 H),7.34(d,J=8.8 Hz,1 H),6.82(br.s.,1 H),6.72(d,J=8.0 Hz,1 H),4.19(br.s.,2 H),3.75(br.s.,3 H),3.45-3.40(m,2 H),3.15-3.02(m,2 H),2.36-2.07(m,7 H),1.95(br.s.,2 H),1.73-1.58(m,1 H),1.42(d,J=5.6 Hz,3 H);
MS(ESI):[M+H+]=534.1。
【0311】
実施例14:3-(4-((1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XIV)
【化43】
【0312】
ステップ1:tert-ブチル4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(55)
DCM(30mL)中のピペリジン-4-オール(3.0g、21.8mmol)の撹拌スラリーに、Boc2O(9.5g、43.6mmol)を添加した。得られた混合物を25℃で1時間撹拌し、次いでその後、飽和NaHCO3(30mL)を添加した。反応物を25℃で16時間撹拌し、次いで分離した。有機相をブライン(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、白色固体として表題化合物55(4.0g、91%)を得た。
【0313】
ステップ2:tert-ブチル4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート(56)
DMF(20mL)中tert-ブチル4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(55)(2.0g、9.9mmol)の撹拌溶液に、NaH(0.5g、11.9mmol、鉱油中60%)を0℃で添加した。得られたスラリーを0℃で30分間撹拌し、続いて1-フルオロ-4-ニトロベンゼン(1.7g、11.9mmol)を添加した。得られた混合物を25℃で16時間撹拌し、次いで水(60mL)でクエンチし、EA(2×20mL)で抽出した。混合した有機相をブライン(2×30mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、PE/EA=20:1~10:1)によって精製して、淡黄色固体として表題化合物56(2.0g、62%)を得た。
【0314】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=8.20(d,J=9.2 Hz,2 H),6.95(d,J=9.2 Hz,2 H),4.65-4.53(m,1 H),3.78-3.60(m,2 H),3.46-3.31(m,2 H),2.05-1.89(m,2 H),1.88-1.69(m,2 H),1.47(s,9 H)。
【0315】
ステップ3:4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン塩酸塩(57)
EtOH(10mL)中tert-ブチル4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート(56)(2.0g、6.2mmol)の撹拌溶液に、濃縮HCl水溶液(10mL)を添加した。得られた混合物を25℃で4時間撹拌し、次いで濃縮して、黄色固体として標題化合物57(1.6g、99%)を得た。
【0316】
MS(ESI):[M+H]+=222.9。
【0317】
ステップ4:1-シクロプロピル-4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン(58)
AcOH(5mL)およびMeOH(5mL)中4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン塩酸塩(57)(0.5g、2.3mmol)および(1-エトキシシクロプロポキシ)トリメチルシラン(0.6g、3.4mmol)の溶液に、NaBH3CN(0.3g、4.5mmol)を添加した。反応物を65℃に加熱し、18時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣をEA(20mL)中に溶解し、NaOH水溶液(20mL、1M)で洗浄した。有機相を無水MgSO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、オフホワイト色油として表題化合物58(0.6g、粗生成物)を得た。粗生成物を、さらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0318】
MS(ESI):[M+H]+=262.9。
【0319】
ステップ5:4-((1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)オキシ)アニリン(59)
MeOH中1-シクロプロピル-4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン(58)(0.3g、1.2mmol)の撹拌溶液に、Pd/C(30mg、10%)を添加した。反応物をH2下、25℃で16時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を濃縮して、オフホワイト色油として表題化合物59(0.2g、粗生成物)を得た。粗生成物を、さらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0320】
MS(ESI):[M+H]+=232.9。
【0321】
ステップ6:3-(4-((1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XIV)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、2時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、4-((1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)オキシ)アニリン(59)(50mg、0.2mmol)およびAcOH(1mL)を添加した。反応物を2時間80℃で撹拌し、次いで濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、オフホワイト色固体として標題化合物XIV(40mg、42%)を得た。
【0322】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=8.64(s,1 H),8.46-8.35(m,1 H),7.98-7.87(m,1 H),7.51-7.36(m,2 H),7.35-7.22(m,2 H),4.87-4.72(m,1 H),3.77(d,J=12.3 Hz,1 H),3.64-3.54(m,2 H),3.49-3.37(m,1 H),3.02-2.88(m,1 H),2.54-2.40(m,3 H),2.39-2.10(m,3 H),2.08-1.87(m,1 H),1.22-0.92(m,4 H);
MS(ESI):[M+H]+=502.1。
【0323】
実施例15:3-(4-((1-シクロブチルピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XV)
【化44】
【0324】
ステップ1:1-シクロブチルピペリジン-4-オール(60)
CH3CN(20mL)中ピペリジン-4-オール(1.0g、9.9mmol)およびブロモシクロブタン(1.6g、11.9mmol)の撹拌スラリーに、K2CO3(3.4g、24.7mmol)を添加した。反応物を48時間還流下で加熱し、次いで25℃に冷却した。得られた混合物を濾過し、濾過ケーキをCH3CN(30mL)で洗浄した。混合した濾液を濃縮して、オフホワイト色油として表題化合物60(1.4g、粗生成物)を得た。粗生成物を、さらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0325】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=3.79-3.61(m,1 H),3.09(d,J=13.8 Hz,1 H),2.74-2.55(m,2 H),2.08-1.82(m,6 H),1.79-1.48(m,5 H),1.46-1.31(m,1 H)。
【0326】
ステップ2:1-シクロブチル-4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン(61)
DMF(20mL)中の1-シクロブチルピペリジン-4-オール(60)(1.4g、9.0mmol)の撹拌溶液に、NaH(0.7g、18.0mmol、鉱油中60%)を0℃で添加した。得られた混合物を0℃で30分間撹拌し、続いて1-フルオロ-4-ニトロベンゼン(1.3g、9.0mmol)を添加した。得られた混合物を25℃で16時間撹拌し、次いで水(60mL)でクエンチし、EA(2×20mL)で抽出した。混合した有機相をブライン(2×30mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、DCM/MeOH=100:1~20:1)によって精製して、黄色固体として表題化合物61(0.8g、32%)を得た。
【0327】
1H NMR(400MHz ,CDCl3)δ=8.18(d,J=9.2 Hz,2 H),6.94(d,J=9.2 Hz,2 H),4.46(d,J=3.2 Hz,1 H),2.80-2.69(m,1 H),2.68-2.51(m,2 H),2.27-2.13(m,2 H),2.12-1.96(m,4 H),1.96-1.78(m,4 H),1.77-1.56(m,2 H);
MS(ESI):[M+H]+=276.9。
【0328】
ステップ3:4-((1-シクロブチルピペリジン-4-イル)オキシ)アニリン(62)
MeOH(15mL)中1-シクロブチル-4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン(61)(0.7g、2.5mmol)の撹拌溶液に、Pd/C(70mg、10%)を添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を濃縮して、茶色固体として表題化合物62(0.6g、96%)を得た。
【0329】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=6.75(d,J=8.8 Hz,2 H),6.62(d,J=8.8 Hz,2 H),4.13(br.s.,1 H),3.43(br.s.,2 H),2.78-2.68(m,1 H),2.68-2.52(m,2 H),2.25-2.09(m,2 H),2.06-1.88(m,4 H),1.84-1.74(m,2 H),1.73-1.57(m,2 H);
MS(ESI):[M+H]+=246.9。
【0330】
ステップ4:3-(4-((1-シクロブチルピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XV)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(0.1g、0.4mmol)の溶液を、2時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、4-((1-シクロブチルピペリジン-4-イル)オキシ)アニリン(62)(86mg、0.35mmol)およびAcOH(1mL)を添加した。反応物を2時間80℃で撹拌し、次いで濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、オフホワイト色固体として標題化合物XV(90mg、50%)を得た。
【0331】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=8.65(s,1 H),8.43(d,J=8.4 Hz,1 H),7.94(d,J=9.2 Hz,1 H),7.48-7.36(m,2 H),7.35-7.21(m,2 H),4.82-4.69(m,1 H),3.83-3.70(m,1 H),3.60(d,J=12.5 Hz,1 H),3.41(d,J=12.1 Hz,1 H),3.21-3.11(m,1 H),3.10-2.93(m,1 H),2.50(s,3 H),2.45-2.27(m,5 H),2.27-2.10(m,2 H),2.06-1.73(m,3 H);
MS(ESI):[M+H]+=516.1。
【0332】
実施例16:3-(4-((1-シクロペンチルピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XVI)
【化45】
【0333】
ステップ1:1-シクロペンチル-4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン(63)
DCM(2mL)中4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン塩酸塩(57)(0.2g、0.9mmol)およびシクロペンタノン(0.1g、1.1mmol)の撹拌溶液に、AcOHを1滴加え、次いで25℃で1時間撹拌した。反応物にMeOH(2mL)およびNaBH3CN(68mg、1.1mmol)を添加した。反応物を25℃で2時間撹拌し、次いで飽和NH4Cl水溶液(5mL)でクエンチした。得られた混合物をEA(2×5mL)で抽出した。混合した有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、茶色油として表題化合物63(260mg、粗生成物)を得た。粗生成物を、さらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0334】
MS(ESI):[M+H]+=290.9。
【0335】
ステップ2:(4-(4-アミノフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(シクロペンチル)メタノン(64)
MeOH(3mL)中シクロペンチル(4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)メタノン(63)(260mg、0.9mmol)の撹拌溶液に、Pd/C(30mg、10%)を添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を濃縮して、オフホワイト色油として表題化合物64(230mg、粗生成物)を得た。粗生成物を、さらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0336】
MS(ESI):[M+H]+=260.9。
【0337】
ステップ3:3-(4-((1-(シクロペンタンカルボニル)ピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XVI)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、2時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、(4-(4-アミノフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(シクロペンチル)メタノン(64)(70mg、0.2mmol)およびAcOH(1mL)を添加した。反応物を2時間80℃で撹拌し、次いで濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、オフホワイト色固体として標題化合物XVI(30mg、28%)を得た。
【0338】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=8.60(d,J=2.4 Hz,1 H),8.29(dd,J=2.4,9.2 Hz,1 H),7.84(d,J=9.2 Hz,1 H),7.42-7.32(m,2 H),7.30-7.18(m,2 H),3.79-3.70(m,1 H),3.69-3.46(m,3 H),3.42-3.35(m,2 H),3.24-3.12(m,1 H),2.53-2.43(m,1 H),2.33(s,3 H),2.29-2.04(m,4 H),2.02-1.82(m,3 H),1.79-1.68(m,3 H);
MS(ESI):[M+H]+=530.1。
【0339】
実施例17:2-メチル-7-(ペンタフルオロスルファニル)-3-{4-[3-(ピロリジン-1-イル)-プロポキシ]フェニル}-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-オン(XVII)
【化46】
【0340】
ステップ1:1-メチル-2-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(65)
H2SO4(2mL)中1-メチル-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(500mg、2.3mmol)の撹拌溶液に、H2SO4(2mL)とHNO3(2mL)との混合物を0℃で添加した。反応物を25℃で3時間撹拌し、次いで水(20mL)中に注いだ。得られた混合物をEA(20mL)で抽出した。有機相をH2O(3×20mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣相をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、PEおよびPE/DCM=-2:1)によって精製して、薄黄色油として表題化合物65(581mg、96%)を得た。
【0341】
1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ=8.39(s,1 H),7.89(d,J=6.0 Hz,1 H),7.49(d,J=8.8 Hz,1 H),2.68(s,3 H)。
【0342】
ステップ2:1-メチル-2-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(66)
ピリジン(5mL)およびH2O(10mL)中1-メチル-2-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(65)(581mg、2.2mmol)の撹拌溶液に、KMnO4(2.1g、13.3mmol)を添加した。反応物を95℃で48時間撹拌し、次いで追加のKMnO4(2.1g、13.3mmol)を添加した。混合物を95℃で12時間撹拌した。得られた混合物を、pH=1になるまでHCl水溶液(1M)によって酸化し、EA(50mL)で抽出した。有機相をブライン(3×50mL)で洗浄し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、DCM/MeOH=10:1)によって精製して、白色固体として表題化合物66(450mg、70%)を得た。
【0343】
MS(ESI):[M-H+]=291.9。
【0344】
ステップ3:2-アミノ-4-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(67)
MeOH(15mL)中1-メチル-2-ニトロ-4-(ペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(66)(450mg、1.54mmol)の撹拌溶液に、Pd/C(50mg、10%)を添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で10時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を濃縮して、淡黄色固体として表題化合物67(350mg、86%)を得た。
【0345】
MS(ESI):[M+H+]=263.8。
【0346】
ステップ4:2-メチル-3-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-7-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XVII)
Ac2O(2mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(200mg、0.8mmol)の溶液を、2時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、2-アミノ-4-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(67)(235mg、1.07mmol)およびAcOH(2mL)を添加した。混合物を1時間80℃で撹拌し、次いで濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、オフホワイト色固体として標題化合物XVII(330mg、63%)を得た。
【0347】
1H NMR(400 MHz,CD3OD)δ=8.38(d,J=8.4 Hz,1 H),8.11(s,1 H),7.99(d,J=8.4 Hz,1 H),7.34(d,J=8.8 Hz,2 H),7.18(d,J=8.4 Hz,2 H),4.22(t,J=5.8 Hz,2 H),3.72-3.69(m,2 H),3.46(t,J=5.8 Hz,2 H),3.17-3.11(m,2 H),2.31(s,3 H),2.29-2.25(m,2 H),2.21-2.15(m,2 H),2.06-2.01(m,2 H);
MS(ESI):[M+H+]=490.1。
【0348】
実施例18:3-(4-((1-(シクロペンタンカルボニル)ピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XVIII)
【化47】
【0349】
ステップ1:シクロペンチル(4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)メタノン(68)
4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン塩酸塩(57)(100mg、0.39mmol)の撹拌溶液に、Et3N(117mg、1.2mmol)およびシクロペンタンカルボニルクロリド(56mg、0.43mmol)を0℃で添加した。反応物を25℃で2時間撹拌し、次いでDCM(4mL)で希釈した。得られた混合物をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、茶色油として表題化合物68(120mg、98%)を得て、これをさらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0350】
MS(ESI):[M+H]+=318.9。
【0351】
ステップ2:(4-(4-アミノフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(シクロペンチル)メタノン(69)
MeOH(2mL)中シクロペンチル(4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)メタノン(68)(120mg、0.38mmol)の撹拌溶液に、Pd/C(10mg、10%)を添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を濃縮して、茶色油として表題化合物69(100mg、92%)を得て、これをさらなる精製なしに次に使用した。
【0352】
MS(ESI):[M+H]+=288.9。
【0353】
ステップ3:3-(4-((1-(シクロペンタンカルボニル)ピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XVIII)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、2時間加熱還流し、次いで濃縮乾固した。残渣に、(4-(4-アミノフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(シクロペンチル)メタノン(69)(70mg、0.2mmol)およびAcOH(1mL)を添加した。反応物を80℃で2時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、オフホワイト色固体として標題化合物XVIII(30mg、28%)を得た。
【0354】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=8.58(d,J=2.4 Hz,1 H),8.24(dd,J=2.4,9.2 Hz,1 H),7.81(d,J=9.2 Hz,1 H),7.31(d,J=8.8 Hz,2 H),7.19(d,J=8.8 Hz,2 H),4.79-4.72(m,1 H),4.62(br.s.,1 H),3.95-3.82(m,2 H),3.64-3.53(m,2 H),3.16-3.06(m,1 H),2.38-2.21(m,3 H),2.12-1.97(m,2 H),1.91-1.57(m,9 H);
MS(ESI):[M+H]+=558.1。
【0355】
実施例19:3-(4-((1-(シクロヘキサンカルボニル)ピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XIX)
【化48】
【0356】
ステップ1:シクロヘキシル(4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)メタノン(70)
DCM(3mL)中4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン塩酸塩(57)(250mg、0.9mmol)およびEt3N(117mg、1.2mmol)の撹拌溶液に、シクロヘキサンカルボニルクロリド(170mg、1.2mmol)を25℃で添加した。反応物を25℃で16時間撹拌し、次いでDCM(6mL)で希釈した。反応物をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、茶色油として表題化合物70(300mg、93%)を得た。
【0357】
MS(ESI):[M+H]+=332.9。
【0358】
ステップ2:(4-(4-アミノフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(シクロペンチル)メタノン(71)
MeOH(6mL)中シクロヘキシル(4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)メタノン(70)(300mg、0.9mmol)の撹拌溶液に、Pd/C(30mg、10%)を添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を濃縮して、茶色油として表題化合物71(250mg、92%)を得た。
【0359】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=6.92(d,J=8.4 Hz,2 H),6.79(d,J=8.8 Hz,2 H),4.42-4.34(m,1 H),3.62-3.50(m,2 H),3.48-3.33(m,2 H),2.36-2.25(m,1 H),1.98-1.86(m,4 H),1.57-1.45(m,4 H),1.30-1.18(m,6 H)。
【0360】
ステップ3:3-(4-((1-(シクロヘキサンカルボニル)ピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XIX)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、2時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、(4-(4-アミノフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(シクロヘキシル)メタノン(71)(70mg、0.2mmol)およびAcOH(1mL)を添加した。反応物を80℃で1時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、オフホワイト色固体として標題化合物XIX(20mg、18%)を得た。
【0361】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=8.66(s,1 H),8.12(d,J=7.6 Hz,1 H),7.91(d,J=8.0 Hz,1 H),7.25-7.13(m,2 H),7.13-7.00(m,2 H),4.62(s,1 H),3.91-3.72(m,2 H),3.71-3.59(m,1 H),3.57-3.40(m,1 H),2.56-2.47(m,1 H),2.41(s,3 H),2.06-1.94(m,2 H),1.93-1.78(m,4 H),1.78-1.64(m,3 H),1.62-1.47(m,2 H),1.38-1.17(m,3 H);
MS(ESI):[M+H]+=572.1。
【0362】
実施例20:2-メチル-3-(4-((1-(1-メチルピペリジン-4-カルボニル)ピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XX)
【化49】
【0363】
ステップ1:(1-メチルピペリジン-4-イル)(4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)メタノン(72)
DCM(3mL)中4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン塩酸塩(57)(163mg、0.6mmol)の撹拌懸濁液に、Et3N(254mg、2.5mmol)および1-メチルピペリジン-4-カルボニルクロリド(122mg、0.8mmol)を0℃で一度に添加した。反応物を0~25℃で16時間撹拌した。混合物をDCM(10mL)と水(5mL)とに分配した。有機相をブライン(3mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、白色固体として標題化合物72(100mg、46%)を得た。
【0364】
MS(ESI):[M+H+]=347.9。
【0365】
ステップ2:(4-(4-アミノフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メタノン(73)
MeOH(4mL)中(1-メチルピペリジン-4-イル)(4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)メタノン(72)(100mg、0.3mmol)の撹拌懸濁液に、Pd/C(10mg、10%)を25℃で一度に添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過したケーキをMeOH(5mL)で洗浄した。混合した濾液を濃縮して、油として表題化合物73(91mg、粗生成物)を得て、これを、さらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0366】
MS(ESI):[M+H+]=317.9。
【0367】
ステップ4:2-メチル-3-(4-((1-(1-メチルピペリジン-4-カルボニル)ピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XX)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、2時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、(4-(4-アミノフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(1-メチルピペリジン-4-イル)メタノン(73)(73mg、0.2mmol)およびAcOH(1mL)を25℃で添加した。反応物を80℃で1時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮した。残渣をEA(10mL)と飽和NaHCO3水溶液(5mL)とに分配した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、茶色固体として標題化合物XX(HCl塩中37mg、26%)を得た。
【0368】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=10.42(br.s.,1 H),8.43(d,J=2.4 Hz,1 H),8.34(dd,J=2.4,8.8 Hz,1 H),7.88(d,J=8.4 Hz,1 H),7.38(d,J=8.4 Hz,2 H),7.17(d,J=7.2 Hz,2 H),4.73(br.s.,1 H),4.00-3.88(m,2 H),3.49-3.34(m,3 H),3.27-3.12(m,2 H),2.98-2.90(m,2 H),2.72-2.66(m,3 H),2.21(s,3 H),2.07-1.79(m,6 H),1.66-1.53(m,2 H);
MS(ESI):[M+H+]=587.1。
【0369】
実施例21:2-メチル-3-(4-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニル)ピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XXI)
【化50】
【0370】
ステップ1:(4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メタノン(74)
Et3N(235.0mg、2.3mmol)中4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン塩酸塩(57)(0.2g、0.8mmol)の溶液に、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニルクロリド(126.0mg、0.8mmol)を0℃で滴下した。反応物を30分間撹拌し、次いで25℃まで温め、続いてDCM(4mL)で希釈した。得られた混合物をブライン(5mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、茶色油として表題化合物74(250mg、97%)を得た。
【0371】
MS(ESI):[M+H]+=334.9。
【0372】
ステップ2:(4-(4-アミノフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メタノン(75)
MeOH中(4-(4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メタノン(74)(250mg、0.7mmol)の撹拌溶液に、Pd/C(25mg、10%)を添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を濃縮して、茶色油として表題化合物75(230mg、粗生成物)を得た。粗生成物を、さらなる精製なしに次のステップに使用した。
【0373】
MS(ESI):[M+H]+=305.0。
【0374】
ステップ3:2-メチル-3-(4-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニル)ピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XXI)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、2時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、(4-(4-アミノフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メタノン(75)(70mg、0.2mmol)およびAcOH(1mL)を添加した。反応物を80℃で2時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、オフホワイト色固体として標題化合物XXI(15mg、14%)を得た。
【0375】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=8.59(d,J=2.0 Hz,1 H),8.26(dd,J=2.0,9.2 Hz,1 H),7.82(d,J=9.2 Hz,1 H),7.32(d,J=8.4 Hz,2 H),7.19(d,J=8.0 Hz,2 H),4.76(d,J=3.2 Hz,1 H),3.97(d,J=9.2 Hz,2 H),3.94-3.79(m,2 H),3.66-3.56(m,2 H),3.56-3.46(m,2 H),3.35(s,3 H),3.06-2.97(m,1 H),2.17-1.94(m,2 H),1.92-1.72(m,4 H),1.64(d,J=12.8 Hz,2 H);
MS(ESI):[M+H]+=574.2。
【0376】
実施例22:3-(2-メトキシ-4-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニル)ピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XXII)
【化51】
【0377】
ステップ1:tert-ブチル4-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート(76)
DMF(10mL)中tert-ブチル4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(55)(1.4g、7.0mmol)の撹拌溶液に、NaH(0.5g、11.7mmol)を0.5時間にわたって数回に分けて添加し、次いでその後、4-フルオロ-2-メトキシ-1-ニトロベンゼン(33)(1.0g、5.8mmol)を添加した。反応物を25℃で16時間撹拌した。反応混合物を、飽和NH4Cl水溶液(20mL)でクエンチし、EA(2×20mL)で抽出した。混合した有機相をブライン(2×20mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、PE/EA=100:1~5:1)によって精製して、黄色固体として表題化合物76(1.7g、83%)を得た。
【0378】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=8.00(d,J=8.8 Hz,1 H),6.54(s,1 H),6.50(d,J=9.2 Hz,1 H),4.62-4.50(m,1 H),3.94(s,3 H),3.74-3.63(m,2 H),3.44-3.30(m,2 H),2.00-1.90(m,2 H),1.84-1.72(m,2 H),1.47(s,9 H)。
【0379】
ステップ2:4-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)ピペリジン塩酸塩(77)
EtOH(20mL)中tert-ブチル4-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート(76)(1.7g、4.8mmol)の撹拌溶液に、濃縮HCl水溶液(10mL)を添加した。反応物を2時間還流下で加熱し、次いで濃縮して、黄色固体として表題化合物77(1.3g、93%)を得た。
【0380】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=7.94(d,J=9.2 Hz,1 H),6.82(d,J=2.0 Hz,1 H),6.71(dd,J=2.0,9.2 Hz,1 H),4.90-4.86(m,1 H),3.95(s,3 H),3.47-3.37(m,2 H),3.30-3.22(m,2 H),2.30-2.18(m,2 H),2.12-2.00(m,2 H);
MS(ESI):[M+CH3CN+H]+=293.9。
【0381】
ステップ3:(4-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メタノン(78)
DCM(5mL)中4-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)ピペリジン塩酸塩(77)(0.4g、1.4mmol)およびEt3N(0.4g、4.2mmol)の撹拌溶液に、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニルクロリド(247mg、1.7mmol)を0℃で滴下した。反応物を25℃で1時間撹拌し、次いでEA(15mL)、続いて飽和NH4Cl水溶液(10mL)で希釈した。有機相をブライン(10mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、黄色油として表題化合物78(0.4g、79%)を得た。
【0382】
MS(ESI):[M+H]+=364.9。
【0383】
ステップ4:(4-(4-アミノ-3-メトキシフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メタノン(79)
MeOH(4mL)中(4-(3-メトキシ-4-ニトロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メタノン(78)(0.4g、1.1mmol)の撹拌溶液に、Pd/C(40mg、10%)を添加した。反応物をH2雰囲気下、25℃で16時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を濃縮して、油として表題化合物79(360mg、98%)を得た。
【0384】
MS(ESI):[M+H]+=334.9。
【0385】
ステップ5:3-(2-メトキシ-4-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボニル)ピペリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XXII)
Ac2O(1mL)中2-アミノ-5-(ペンタフルオロスルファニル)安息香酸(21)(50mg、0.2mmol)の溶液を、2時間還流下で加熱し、次いで濃縮した。残渣に、(4-(4-アミノ-3-メトキシフェノキシ)ピペリジン-1-イル)(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メタノン(79)(76mg、0.2mmol)およびAcOH(1mL)を添加した。反応物を80℃で1時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製して、オフホワイト色固体として標題化合物XXII(20mg、17%)を得た。
【0386】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=8.59(d,J=2.4 Hz,1 H),8.31(dd,J=2.2,9.0 Hz,1 H),7.84(d,J=8.8 Hz,1 H),7.26(d,J=8.4 Hz,1 H),6.85(s,1 H),6.79(d,J=8.8 Hz,1 H),4.83-4.73(m,1 H),4.05-3.93(m,2 H),3.93-3.84(m,2 H),3.82(s,3 H),3.72-3.58(m,2 H),3.57-3.45(m,2 H),3.07-2.96(m,1 H),2.34(s,3 H),2.13-1.95(m,2 H),1.94-1.70(m,4 H),1.69-1.57(m,2 H);
MS(ESI):[M+H]+=604.1。
【0387】
実施例23:薬理学的研究
本実施例では、薬理学的特性が、式I~XXIIを有する化合物で詳細に記載されている。
【0388】
ヒスタミンH3受容体GTPγS結合親和性の評価
ヒスタミンH3受容体は、CNSおよび末梢神経系におけるヒスタミンシグナルを媒介する。ヒスタミンH3受容体は、Gi/Goに直接結合し、後続のGTPγS結合をもたらす。GTPγS結合アッセイは、放射性リガンド結合アッセイと同様の方法で膜調製物を使用して行われるが、これらは機能アッセイであり、アゴニスト、アンタゴニスト、およびインバースアゴニスト活性を区別するために使用され得る。そのようなアッセイは、αサブユニットの固有のGTPase活性に非常に耐性のあるG-タンパク質αサブユニットに対して高い親和性を有する放射性リガンドを提供し、これにより放射能のカウントを可能にするのに十分な期間結合したままである、[
35S]-グアノシン-5’-O-(3-チオ)三リン酸を使用して行われる。高いヒスタミンH3受容体発現を有するHEK293/Ga15/hH3R細胞株を使用して、GTPγS結合アッセイを行って、代表的な化合物のH3受容体GTPγS結合親和性を決定した。インバースアゴニストおよびアンタゴニスト活性の結果を表1に示すが、代表的な化合物に対するH3R GTPγS結合親和性および阻害%曲線は、インバースアゴニストモードおよびアンタゴニストモードのそれぞれについて
図1A、1Bおよび2A、2Bに示す。
【0389】
1.ヒスタミンH3受容体リガンドのアンタゴニストおよびインバースアゴニスト薬理学的パラメータを決定するための[35S]-GTPγS結合アッセイ:
材料:GTPΓS、[35S](PERKINELMER、カタログ番号NEG030H001MC)、DMSO(AMRESCO、カタログ番号0231)、MICROSCINT(商標)-20(PERKINELMER、カタログ番号6013621)、CELLYTIC(商標)M細胞溶解試薬(SIGMA、カタログ番号C2978-250ML)、(R)(-)-Α-メチルヒスタミン(SIGMA、カタログ番号H128)、GDP(SIGMA、カタログ番号G7127)、GF/Cプレート(PE、カタログ番号6005174)。
【0390】
実験手順:1)HEK293/Ga15/hH3Rのための膜調製、2)標準結合アッセイ。簡潔に述べると、膜パラチオンについて、HEK293/Ga15/hH3R細胞をコンフルエントに達するまで増殖させ、採取し、細胞ペレットをTEL緩衝液(50mMのTris-HCl緩衝液、1mMのEGTA、0.1mMのPMSF)中に懸濁した。均質化し、1,000gで10分間遠心分離する。上清を46,000gで30分間遠心分離する。膜ペレットを0.32Mのスクロース、pH7.0を有する50mMのTris中に懸濁する。1mgのタンパク質/mLで等分する。冷凍状態を保ち、使用まで-80℃で保存する。すべての化合物をDMSO中に溶解して、10mMのストックを作製することによって調製した。10mMのストックを最高濃度(1μM)として使用して、96ウェルプレート中のDMSOを使用して10点、3倍希釈スキームを行って、化合物用量プレートを作製した。H3R GTPγS結合アッセイを以下のように実施した:膜を37℃で解凍し、氷上で冷却し、GDPおよび膜をアッセイ緩衝液(50mMのTris-HCl、100mMのNaCl、5mMのMgCl2、pH7.4、および0.2% BSA)に添加する。20分間氷上に置く。インバースアゴニストモードの場合:アッセイプレートに20μLの試験化合物(1μMからの10点、3倍希釈)、20μLの緩衝液、140μLの膜溶液(GDP 10μM、膜タンパク質20μg/ウェル)を添加し、室温で30分間プレインキュベートする。20μLの[35S]-GTPγS(最終200pM)を添加し、室温で60分間インキュベートする。アンタゴニストモードの場合:アッセイプレートに20μLのアゴニスト(R-アルファ-メチルヒスタミン、最終濃度1μM)、20μLの試験化合物(最終最高濃度1μM、3倍希釈、10点)、20μLの[35S]-GTPγS(最終200pM)、140μLの膜溶液(合計200μL、GDP 10μM、膜タンパク質20μg/ウェル)を添加する。室温で60分間インキュベートする。GF/C(非PEIコーティング)プレート上のアッセイプレートを濾過して、アッセイを停止させる。GF/Cプレートを1時間乾燥させる。50μLのシンチレーション液を添加し、MicroBeta上でカウントする。
【0391】
データ分析:CPM値を、以下の式で%阻害に計算した:
インバースアゴニストモードの場合:阻害%=(DMSO対照CPM-化合物CPM)/(DMSO対照CPM-GTP対照CPM)×100。
【0392】
アンタゴニストモードの場合:阻害%=(R-アルファ-メチル-ヒスタミン対照CPM-化合物CPM)/(R-アルファ-メチル-ヒスタミン対照CPM-DMSO対照CPM)×100。
【0393】
IC50を、対数(阻害剤)対応答の方程式で、Prism5を使用して計算した。
【0394】
【0395】
最後に、本発明を実施するための他の方法があることに留意されたい。したがって、本発明の実施形態は、例として記載されるものであるが、本発明は、記載される内容に限定されるものではなく、本発明または特許請求の範囲に追加される同等物の範囲内でさらなる修正が行われ得る。
【0396】
本明細書に引用されるすべての刊行物または特許は、参照により本発明に組み込まれる。
【0397】
本明細書全体を通した「一実施形態(an embodiment)」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態(one embodiment)」、「別の実施例」、「一実施例」、「特定の実施例」、または「いくつかの実施例」への言及は、実施形態または実施例に関連して記載される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態または実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所における「いくつかの実施形態において」、「一実施形態において(in one embodiment)」、「一実施形態において(in an embodiment)」、「別の実施例において」、「一実施例において」、「特定の実施例において」、または「いくつかの実施例において」などの語句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態または実施例を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態または実施例において任意の好適な方法で組み合わされ得る。
【0398】
説明的な実施形態が図示および記載されているが、上記の実施形態は、本開示を限定すると解釈されてはならず、本開示の趣旨、原理、および範囲から逸脱することなく、変更、代替、および修正が実施形態において行われ得ることが当業者に理解されるであろう。
(S)-2-メチル-3-(4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(II)、
(R)-2-メチル-3-(4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(IV)、
3-(2-メトキシ-4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(VI)、
3-(2-ヒドロキシ-4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロ-I6-スルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(VIII)、
(R)-3-(2-メトキシ-4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(X)、
(S)-3-(2-メトキシ-4-(3-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロポキシ)フェニル)-2-メチル-6-(ペンタフルオロスルファニル)キナゾリン-4(3H)-オン(XIII)、または
これらの何れかの薬学的に許容される塩
を含む、請求項19に記載の医薬組成物。