(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037120
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】2-ヘテロアリールアミノキナゾリノン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 401/12 20060101AFI20220301BHJP
C07D 413/12 20060101ALI20220301BHJP
C07D 403/12 20060101ALI20220301BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20220301BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20220301BHJP
C07D 451/00 20060101ALI20220301BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20220301BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20220301BHJP
C07D 407/14 20060101ALI20220301BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20220301BHJP
C07D 409/12 20060101ALI20220301BHJP
A61K 31/517 20060101ALI20220301BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20220301BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20220301BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20220301BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220301BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20220301BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20220301BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
C07D401/12
C07D413/12 CSP
C07D403/12
C07D471/04 101
C07D471/04 106
C07D471/04 106A
C07D401/14
C07D451/00
C07D417/14
C07D409/14
C07D407/14
C07D471/04 117N
C07D413/14
C07D409/12
A61K31/517
A61K31/519
A61P25/08
A61P25/18
A61P25/28
A61P25/24
A61P25/22
A61P25/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203486
(22)【出願日】2021-12-15
(62)【分割の表示】P 2021551823の分割
【原出願日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】P 2020077487
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002912
【氏名又は名称】大日本住友製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100118371
【弁理士】
【氏名又は名称】▲駒▼谷 剛志
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】森 和土
(72)【発明者】
【氏名】北野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】古田 智行
(72)【発明者】
【氏名】関 一
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋平
(57)【要約】 (修正有)
【課題】神経回路過剰興奮抑制作用を有する、医薬として有用な2-ヘテロアリールアミノキナゾリノン誘導体及びその製薬学的に許容される塩、並びにそれらを有効成分として含有する医薬組成物を提供すること。
【解決手段】式(1)で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
具体的には、例えば6-フルオロ-2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-3-(o-トルイル)キナゾリン-4(3H)-オンが示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
[式中、
X
1
は、CR
1
又はNを表し、
X
2
は、CR
2
又はNを表し、
X
3
は、CR
3
又はNを表し、
X
4
は、CR
4
又はNを表し、
ここにおいて、(1)X
1
がNの場合、X
2
はCR
2
であり、かつX
3
はCR
3
であり、かつX
4
はCR
4
であり、(2)X
2
がNの場合、X
1
はCR
1
であり、かつX
3
はCR
3
であり、かつX
4
はCR
4
であり、(3)X
3
がNの場合、X
1
はCR
1
であり、かつX
2
はCR
2
であり、かつX
4
はCR
4
であり、(4)X
4
がNの場合、X
1
はCR
1
であり、かつX
2
はCR
2
であり、かつX
3
はCR
3
であり、
Yは、置換されていてもよいC
1-6
アルキル、置換されていてもよいC
3-10
脂環式基、置換されていてもよい4~10員の非アリールヘテロ環、置換されていてもよいC
6-10
アリール又は置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
Zは、置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
R
1
、R
2
、R
3
及びR
4
は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、C
1-6
アルキルスルホニル、-SO
2
-NR
5
R
6
、-NR
7
R
8
、-NR
9
-C(=O)R
10
、-NR
11
-SO
2
-R
12
、-C(=O)NR
13
R
14
、-C(=O)OR
15
、置換されていてもよいC
1-6
アルキル、又は置換されていてもよいC
1-6
アルコキシを表し、
R
5
、R
6
、R
7
、R
8
、R
9
、R
10
、R
11
、R
12
、R
13
、R
14
及びR
15
は、各々独立して、複数ある場合にそれぞれが独立して、同一又は異なって、水素原子、C
3-6
脂環式基、及びC
1-6
アルキル(該脂環式基及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、水酸基、C
3-10
脂環式基、C
1-6
アルコキシ、及び4~6員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)で表され、ここにおいて、R
5
及びR
6
、R
7
及びR
8
、R
13
及びR
14
は結合する窒素原子と一緒になって、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基(該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6
アルキル、及びC
1-6
アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成してもよい、
ただし、式(W-1):
【化2】
{式中、
Z
a
が置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールである}で表される化合物、
式(W-2):
【化3】
{式中、
X
a
がO又はSであり、Y
b
がエチル、無置換フェニル、4-クロロフェニル、又は4-メトキシフェニルである}で表される化合物、
式(W-3):
【化4】
{式中、
X
c
が-S-又は-SO
2
-であり、Y
c
が無置換フェニル、4-メチルフェニル、4-クロロフェニル、又は4-メトキシフェニルである}で表される化合物、
式(W-4):
【化5】
{式中、
X
d
がメトキシ、クロロ又はジメチルアミノであり、Y
d
がエチル、無置換フェニル、4-クロロフェニル、又は4-メトキシフェニルである}で表される化合物、
2-{(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アミノ}-3-イソペンチルキナゾリン-4(3H)-オン、
3-(ピリジン-2-イル)-2-(ピリジン-2-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン、
3-メチル-2-{[2-((1-メチルピペリジン-4-イル)メトキシ)ピリジン-3-イル]アミノ}ピリド[3,4-d]ピリミジン-4(3H)-オン及び
3-メチル-2-{[2-((1-メチルピペリジン-4-イル)メトキシ)ピリジン-3-イル]アミノ}ピリド[2,3-d]ピリミジン-4(3H)-オンを除く]で表される、
化合物又はその製薬学的に許容される塩(ただし、以下の化合物又はその製薬学的に許容される塩は除く:
4-オキソ-3-フェニル-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル、
6-フルオロ-3-フェニル-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン、
6-フルオロ-2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン、
4-オキソ-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-3-(o-トルイル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル及び
2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-4-オキソ-3-(o-トルイル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル)。
【請求項2】
X
1
が、CR
1
である、
請求項1に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項3】
X
2
が、CR
2
である、
請求項1又は2に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項4】
X
3
が、CR
3
である、
請求項1~3のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項5】
X
4
が、CR
4
である、
請求項1~4のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
1
、R
2
、R
3
及びR
4
が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、C
1-6
アルコキシ、又はC
1-6
アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6
アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)である、
請求項1~5のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R
1
、R
3
及びR
4
が、ともに水素原子であり、R
2
が水素原子、ハロゲン、シアノ、C
1-6
アルキル(該アルキルは1~3個のフッ素又はメトキシ基で置換されていてもよい)、又はC
1-6
アルコキシである、
請求項1~5のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R
1
、R
3
及びR
4
が、ともに水素原子であり、R
2
が水素原子、フッ素、クロロ、シアノ又はC
1-6
アルキル(該アルキルは1~3個のフッ素又はメトキシ基で置換されていてもよい)である、
請求項1~5のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項9】
R
1
、R
3
及びR
4
が、ともに水素原子であり、R
2
がフッ素又はシアノである、
請求項1~5のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項10】
Yが、
(1)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、C
3-6
脂環式基、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基、C
1-6
アルコキシ、C
6-10
アリール(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環基、該アルコキシ、及び該アリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C
3-6
脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6
アルキル、及びC
1-6
アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)、及び5~10員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はハロゲン、シアノ、C
3-6
脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6
アルキル、及びC
1-6
アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-6
アルキル、
(2)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6
アルキル、C
3-6
脂環式基、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基、C
1-6
アルコキシ、C
6-10
アリール(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環基、該アルコキシ、及び該アリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C
3-6
脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6
アルキル、及びC
1-6
アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)、及び5~10員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はハロゲン、シアノ、C
3-6
脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6
アルキル、及びC
1-6
アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-10
脂環式基、
(3)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6
アルキル、C
3-6
脂環式基、C
1-6
アルコキシ及びC
6-10
アリール(該脂環式基、該アルコキシ、及び該アリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C
3-6
脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6
アルキル、及びC
1-6
アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい4~10員の非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-6
アルコキシ及びC
1-6
アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6
アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
6-10
アリール、又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-6
アルコキシ及びC
1-6
アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6
アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールである、
請求項1~9のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項11】
Yが、
(1)フッ素、C
3-6
脂環式基、5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環、及び該フェニル基は、それぞれ独立して、フッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5~6員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-3
アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキル、5~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該フェニル基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5~6員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-6
脂環式基、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3
アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3
アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールである、
請求項1~9のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項12】
Yが、
(1)フッ素、C
3-6
脂環式基、5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環、及び該フェニル基は、それぞれ独立して、フッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-3
アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
2-3
アルキル、5~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該フェニル基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5~6員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、C
5-6
脂環式基又はフェニルシクロプロピル、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
2-3
アルキル及びフェニル(該フェニル基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、4~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニルオキセタニル又はテトラヒドロピラニル、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3
アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(5)ハロゲン、シアノ、C
1-3
アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6員のヘテロアリールである、
請求項1~9のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項13】
Yが、
(1)1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
5-6
脂環式基、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3
アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3
アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールである、
請求項1~9のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項14】
Yが、
(1)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
5-6
脂環式基、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(3)ハロゲン、シアノ、メトキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(4)ハロゲン、シアノ、メトキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールである、
請求項1~9のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項15】
Yが、
(1)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(2)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールである、
請求項1~9のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項16】
Yが、
(1)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(2)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよい6員のヘテロアリールである、
請求項1~9のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項17】
Zが、ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-6
アルコキシ、及びC
1-6
アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6
アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールである、
請求項1~16のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項18】
Zが、ハロゲン、シアノ、C
2-6
アルコキシ、及びC
1-6
アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6
アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6~10員のヘテロアリールである、
請求項1~16のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項19】
Zが、フッ素、シアノ、C
2-6
アルコキシ、及びC
1-6
アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6
アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、6~10員のヘテロアリール、チエニル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル又はチアジアゾリルである、
請求項1~16のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項20】
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、C
1-6
アルコキシ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6~10員のヘテロアリールである、
請求項1~16のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項21】
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、メトキシ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、ピリジル、ピリミジニル、インダゾリル又はイミダゾピリジルである、
請求項1~16のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項22】
Zが、フッ素、クロロ、シアノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3
アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいピリジルである、
請求項1~16のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項23】
以下の化合物から選択される、請求項1~22に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩:
6-フルオロ-2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-3-(o-トルイル)キナゾリン-4(3H)-オン、
6-クロロ-2-((2-メトキシピリジン-3-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン、
3-フェニル-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン、
6-クロロ-3-(2-クロロフェニル)-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン、
6-クロロ-3-フェニル-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン、
6,8-ジフルオロ-3-フェニル-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン、
6-フルオロ-3-(ピリジン-3-イル)-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン、
6-クロロ-3-フェニル-2-(ピラジン-2-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン、
6-フルオロ-3-フェニル-2-(ピラジン-2-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン、
5-((6-クロロ-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)アミノ)ニコチノニトリル、
6-メチル-3-フェニル-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン、
2-((5-クロロピリジン-3-イル)アミノ)-6-フルオロ-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン、
6-クロロ-3-(2-フルオロフェニル)-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン、
2-((1-メチル-1H-インダゾール-6-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン、
2-(イミダゾ[1,5-a]ピリジン-8-イルアミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン、
3-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-4-オキソ-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル、
3-(5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-オキソ-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル、
6-フルオロ-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-3-(p-トルイル)キナゾリン-4(3H)-オン、
6-フルオロ-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-3-(o-トルイル)キナゾリン-4(3H)-オン、
6-フルオロ-3-(2-フルオロフェニル)-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン、
6-フルオロ-3-(2-フルオロフェニル)-2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-4(3H)-オン、
2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル、
3-(2-フルオロフェニル)-2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル、
6-フルオロ-2-((4-フルオロピリジン-2-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン、
6-フルオロ-2-((5-メチルピリジン-2-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン、
6-フルオロ-2-((2-フルオロピリジン-4-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン、
6-フルオロ-3-(2-メトキシフェニル)-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン及び
3-(2-クロロフェニル)-6-フルオロ-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、神経回路過剰興奮抑制作用を有する、医薬として有用な2-ヘテロアリールアミノキナゾリノン誘導体及びその製薬学的に許容される塩、並びにそれらを有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
脳神経回路の興奮異常は様々な中枢神経疾患と関連していることが知られている。例えば、てんかんは、神経回路の過剰興奮に由来する発作性の運動、意識、知覚の異常及び行動異常が反復する慢性疾患である。神経系が正常に機能するためには、興奮シグナルと抑制シグナルが巧妙に調節される必要があるが、てんかんでは興奮シグナルと抑制シグナルのバランスがくずれることにより、過剰興奮が起こると考えられている。疾患の原因は多岐に渡り、既知の遺伝子異常が直接の原因となる素因性病因、脳構造の異常が原因となる構造的病因等に大別される(非特許文献1)。例えば、患者の約80%にSCN1A遺伝子の病的変異が認められるドラベ症候群は素因性病因、海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかんは構造的病因の代表例である。いずれのてんかんも問診や脳波検査により診断され、神経回路の過剰興奮は棘波や棘徐波と呼ばれる異常脳波として捉えられる。
【0003】
てんかん発作の治療は薬物治療が中心であり、抗てんかん薬は主に興奮シグナルを抑制するか、抑制シグナルを増強することにより、神経回路の過剰興奮を抑制する。これまでに数多くの抗てんかん薬が承認・市販されているにもかかわらず、てんかんの3例に1例が既存薬治療に抵抗を示す難治性てんかんである。また、既存抗てんかん薬は有効濃度(治療域)が比較的狭く、抗けいれん活性を得るのに必要な用量で望ましくない副作用(例、運動失調、鎮静、めまい等)が生じやすい。加えて、てんかん患者は発達障害、精神障害、認知障害等の併発リスクが高いが(非特許文献2,3)、既存薬はこれら併発する神経・精神症状への治療効果は持たない。
【0004】
神経回路における興奮シグナルと抑制シグナルのバランスの異常はてんかんのみならず、発達障害に関する疾患(自閉スペクトラム症、レット症候群、アンジェルマン症候群、脆弱X症候群、注意欠如多動症等)、精神障害に関する疾患(統合失調症、双極性障害、うつ、不安障害、強迫性障害等)、認知障害に関する疾患(アルツハイマー病やその他認知症、パーキンソン病等)、様々な中枢神経疾患の病態の背景にあると考えられている(非特許文献4,5,6)。従って、過剰興奮を調節する薬剤はこれらの疾患に対して病態改善効果を発揮することが期待される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Scheffer, IE. et al. Epilepsia, (2017), 58(4), 512-521.
【非特許文献2】Aaberg, KM. et al. Pediatrics, (2016), 138(3), e2016921.
【非特許文献3】Gaitatzis, A. et al. Epilepsia, (2004), 45(12), 1613-1622.
【非特許文献4】Selten, M. et al. F1000Research, (2018), 7.
【非特許文献5】Palop, JJ. et al. Nature Review Neuroscience, (2016), 17(12), 777-792.
【非特許文献6】Charvin, D. et al. Nature Review Drug Discovery, (2018), 17(11), 804-822.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、下記式(1)で表される化合物が強い神経回路過剰興奮抑制作用を示すことを見出し、本開示を完成した。本開示によれば、下記式(1)で表される2-ヘテロアリールアミノキナゾリノン誘導体(以下、「本開示の化合物」と称することもある。)が提供される。
【0007】
すなわち、本開示は、以下の通りである。
【0008】
(項1)
式(1):
【化14】
[式中、
X
1は、CR
1又はNを表し、
X
2は、CR
2又はNを表し、
X
3は、CR
3又はNを表し、
X
4は、CR
4又はNを表し、
ここにおいて、(1)X
1がNの場合、X
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(2)X
2がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(3)X
3がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
4はCR
4であり、(4)X
4がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、
Yは、置換されていてもよいC
1-6アルキル、置換されていてもよいC
3-10脂環式基、置換されていてもよい4~10員の非アリールヘテロ環、置換されていてもよいC
6-10アリール又は置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
Zは、置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、C
1-6アルキルスルホニル、-SO
2-NR
5R
6、-NR
7R
8、-NR
9-C(=O)R
10、-NR
11-SO
2-R
12、-C(=O)NR
13R
14、-C(=O)OR
15、置換されていてもよいC
1-6アルキル、又は置換されていてもよいC
1-6アルコキシを表し、
R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は、各々独立して、複数ある場合にそれぞれが独立して、同一又は異なって、水素原子、C
3-6脂環式基、及びC
1-6アルキル(該脂環式基及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、水酸基、C
3-10脂環式基、C
1-6アルコキシ、及び4~6員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)で表され、ここにおいて、R
5及びR
6、R
7及びR
8、R
13及びR
14は結合する窒素原子と一緒になって、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基(該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成してもよい、
ただし、式(W-1):
【化15】
{式中、
Z
aが置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールである}で表される化合物、
式(W-2):
【化16】
{式中、
X
aがO又はSであり、Y
bがエチル、無置換フェニル、4-クロロフェニル、又は4-メトキシフェニルである}で表される化合物、
式(W-3):
【化17】
{式中、
X
cが-S-又は-SO
2-であり、Y
cが無置換フェニル、4-クロロフェニル、又は4-メトキシフェニルである}で表される化合物、
式(W-4):
【化18】
{式中、
X
dがメトキシ、クロロ又はジメチルアミノであり、Y
dがエチル、無置換フェニル、4-クロロフェニル、又は4-メトキシフェニルである}で表される化合物、
2-{(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)アミノ}-3-イソペンチルキナゾリン-4(3H)-オン、
3-(ピリジン-2-イル)-2-(ピリジン-2-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン、
3-メチル-2-{[2-((1-メチルピペリジン-4-イル)メトキシ)ピリジン-3-イル]アミノ}ピリド[3,4-d]ピリミジン-4(3H)-オン及び
3-メチル-2-{[2-((1-メチルピペリジン-4-イル)メトキシ)ピリジン-3-イル]アミノ}ピリド[2,3-d]ピリミジン-4(3H)-オンを除く]で表される、
化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項2)
X
1が、CR
1である、
請求項1に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項3)
X
2が、CR
2である、
項1又は2に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項4)
X
3が、CR
3である、
項1~3のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項5)
X
4が、CR
4である、
項1~4のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項6)
R
1、R
2、R
3及びR
4が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、C
1-6アルコキシ、又はC
1-6アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)である、
項1~5のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項7)
R
1、R
3及びR
4が、ともに水素原子であり、R
2が水素原子、ハロゲン、シアノ、C
1-6アルキル(該アルキルは1~3個のフッ素又はメトキシ基で置換されていてもよい)、又はC
1-6アルコキシである、
項1~5のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項8)
R
1、R
3及びR
4が、ともに水素原子であり、R
2が水素原子、フッ素、クロロ、シアノ又はC
1-6アルキル(該アルキルは1~3個のフッ素又はメトキシ基で置換されていてもよい)である、
項1~5のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項9)
R
1、R
3及びR
4が、ともに水素原子であり、R
2がフッ素又はシアノである、
項1~5のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項10)
Yが、
(1)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、C
3-6脂環式基、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基、C
1-6アルコキシ、C
6-10アリール(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環基、該アルコキシ、及び該アリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C
3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)、及び5~10員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はハロゲン、シアノ、C
3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキル、
(2)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6アルキル、C
3-6脂環式基、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基、C
1-6アルコキシ、C
6-10アリール(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環基、該アルコキシ、及び該アリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C
3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)、及び5~10員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はハロゲン、シアノ、C
3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-10脂環式基、
(3)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6アルキル、C
3-6脂環式基、C
1-6アルコキシ及びC
6-10アリール(該脂環式基、該アルコキシ、及び該アリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C
3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい4~10員の非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-6アルコキシ及びC
1-6アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
6-10アリール、又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-6アルコキシ及びC
1-6アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールである、
項1~9のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項11)
Yが、
(1)フッ素、C
3-6脂環式基、5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環、及び該フェニル基は、それぞれ独立して、フッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5~6員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-3アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、5~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該フェニル基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5~6員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-6脂環式基、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールである、
項1~9のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項11a)
Yが、
(1)フッ素、C
3-6脂環式基、5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環、及び該フェニル基は、それぞれ独立して、フッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-3アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
2-3アルキル、5~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該フェニル基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5~6員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、C
5-6脂環式基又はフェニルシクロプロピル、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
2-3アルキル及びフェニル(該フェニル基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、4~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニルオキセタニル又はテトラヒドロピラニル、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(5)ハロゲン、シアノ、C
1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6員のヘテロアリールである、
項1~9のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項12)
Yが、
(1)1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
5-6脂環式基、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールである、
項1~9のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項13)
Yが、
(1)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
5-6脂環式基、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(3)ハロゲン、シアノ、メトキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(4)ハロゲン、シアノ、メトキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールである、
項1~9のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項14)
Yが、
(1)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(2)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールである、
項1~9のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項14a)
Yが、
(1)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(2)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよい6員のヘテロアリールである、
項1~9のいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項15)
Zが、ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-6アルコキシ、及びC
1-6アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールである、
項1~14、項11a、項14aのいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項15a)
Zが、ハロゲン、シアノ、C
2-6アルコキシ、及びC
1-6アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6~10員のヘテロアリールである、
項1~14、項11a、項14aのいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項15b)
Zが、フッ素、シアノ、C
2-6アルコキシ、及びC
1-6アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、6~10員のヘテロアリール、チエニル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル又はチアジアゾリルである、
請求項1~14、項11a、項14aのいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項16)
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、C
1-6アルコキシ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6~10員のヘテロアリールである、
項1~14、項11a、項14aのいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項17)
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、メトキシ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、ピリジル、ピリミジニル、インダゾリル又はイミダゾピリジルである、
項1~14、項11a、項14aのいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項18)
Zが、フッ素、クロロ、シアノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいピリジルである、項1~14、項11a、項14aのいずれか一項に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項19)
X
1が、CR
1又はNであり、
X
2が、CR
2又はNであり、
X
3が、CR
3又はNであり、
X
4が、CR
4又はNであり、
ここにおいて、(1)X
1がNの場合、X
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(2)X
2がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(3)X
3がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
4はCR
4であり、(4)X
4がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、
R
1、R
2、R
3及びR
4が、それぞれ独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン、
(3)シアノ、
(4)C
1-6アルコキシ、又は
(5)C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)であり、
Yが、
(1)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、C
3-6脂環式基、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基、C
1-6アルコキシ、C
6-10アリール(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環、該アルコキシ、及び該アリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C
3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)、及び5~10員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はハロゲン、シアノ、C
3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキル、
(2)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6アルキル、C
3-6脂環式基、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基、C
1-6アルコキシ、C
6-10アリール(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環、該アルコキシ、及び該アリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C
3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)、及び5~10員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はハロゲン、シアノ、C
3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-10脂環式基、
(3)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC
1-6アルキル、C
3-6脂環式基及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-6アルコキシ及びC
1-6アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
6-10アリール、又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-6アルコキシ及びC
1-6アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールであり、
Zが、ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-6アルコキシ、及びC
1-6アルキル(該アルコキシ、及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6~10員のヘテロアリールである、
項1に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項20)
X
1が、CR
1であり、
X
2が、CR
2であり、
X
3が、CR
3であり、
X
4が、CR
4であり、
R
1、R
3及びR
4が、ともに水素原子であり、
R
2が、
(1)水素原子、
(2)フッ素、
(3)クロロ、
(4)シアノ
(5)C
1-6アルコキシ、又は
(6)C
1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、ヒドロキシ、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)であり、
Yが、
(1)フッ素、C
3-6脂環式基、5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環基、及び該フェニル基は、それぞれ独立して、フッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5~6員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
1-3アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、5~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該含窒素非アリールヘテロ環基、及び該フェニル基は、それぞれ独立して、フッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5~6員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
3-6脂環式基、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、C
1-6アルコキシ、及び1個のC
1-6アルコキシ又は1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよく、窒素原子及び酸素原子からなる群から独立して選ばれる1~2個の原子を含む6~10員のヘテロアリールである、
項1に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項21)
X
1が、CR
1であり、
X
2が、CR
2であり、
X
3が、CR
3であり、
X
4が、CR
4であり、
R
1、R
3及びR
4が、ともに水素原子であり、
R
2が、フッ素又はシアノであり、
Yが、
(1)1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
5-6脂環式基、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、C
1-6アルコキシ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよく、窒素原子及び酸素原子からなる群から独立して選ばれる1~2個の原子を含む6~10員のヘテロアリールである、
項1に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項22)
X
1が、CR
1であり、
X
2が、CR
2であり、
X
3が、CR
3であり、
X
4が、CR
4であり、
R
1、R
3及びR
4が、ともに水素原子であり、
R
2が、フッ素又はシアノであり、
Yが、
(1)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
5-6脂環式基、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(3)ハロゲン、シアノ、メトキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(4)ハロゲン、シアノ、メトキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、メトキシ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、ピリジル、ピリミジニル、インダゾリル又はイミダゾピリジルである、
項1に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項23)
X
1が、CR
1であり、
X
2が、CR
2であり、
X
3が、CR
3であり、
X
4が、CR
4であり、
R
1、R
3及びR
4が、ともに水素原子であり、
R
2が、フッ素又はシアノであり、
Yが、
(1)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(2)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、クロロ、シアノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいピリジルである、項1に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項24)
X
1が、CR
1であり、
X
2が、CR
2であり、
X
3が、CR
3であり、
X
4が、CR
4であり、
R
1、R
3及びR
4が、ともに水素原子であり、
R
2が、フッ素又はシアノであり、
Yが、
(1)1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
2-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、C
5-6脂環式基又はフェニルシクロプロピル、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
2-3アルキル及びフェニル(該フェニル基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、4~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニルオキセタニル又はテトラヒドロピラニル、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、C
2-6アルコキシ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6~10員のヘテロアリールである、項1に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項25)
X
1が、CR
1であり、
X
2が、CR
2であり、
X
3が、CR
3であり、
X
4が、CR
4であり、
R
1、R
3及びR
4が、ともに水素原子であり、
R
2が、フッ素又はシアノであり、
Yが、
(1)1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
2-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、C
5-6脂環式基又はフェニルシクロプロピル、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
2-3アルキル及びフェニル(該フェニル基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、4~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニルオキセタニル又はテトラヒドロピラニル、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C
1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、シアノ、C
2-6アルコキシ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、6~10員のヘテロアリール、チエニル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル又はチアジアゾリルである、項1に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項26)
X
1が、CR
1であり、
X
2が、CR
2であり、
X
3が、CR
3であり、
X
4が、CR
4であり、
R
1、R
3及びR
4が、ともに水素原子であり、
R
2が、フッ素又はシアノであり、
Yが、
(1)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
2-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC
5-6脂環式基、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
2-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(3)ハロゲン、シアノ、メトキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(4)ハロゲン、シアノ、メトキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、クロロ、シアノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、ピリジル、ピリミジニル、インダゾリル又はイミダゾピリジルである、項1に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項27)
X
1が、CR
1であり、
X
2が、CR
2であり、
X
3が、CR
3であり、
X
4が、CR
4であり、
R
1、R
3及びR
4が、ともに水素原子であり、
R
2が、フッ素又はシアノであり、
Yが、
(1)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(2)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよい6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC
1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいピリジルである、項1に記載される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項24)
以下の化合物から選択される、項1~23、項11a、項14a、項15a、項15bに記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩:
4-オキソ-3-フェニル-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル(実施例3)、
6-フルオロ-2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-3-(o-トルイル)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例4)、
6-クロロ-2-((2-メトキシピリジン-3-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(実施例10)、
6-フルオロ-3-フェニル-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例12)、
3-フェニル-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例14)、
6-クロロ-3-(2-クロロフェニル)-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例15)、
6-クロロ-3-フェニル-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例31)、
6,8-ジフルオロ-3-フェニル-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例32)、
6-フルオロ-3-(ピリジン-3-イル)-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例35)、
6-クロロ-3-フェニル-2-(ピラジン-2-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例38)、
6-フルオロ-3-フェニル-2-(ピラジン-2-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例39)、
6-フルオロ-2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(実施例40)、
5-((6-クロロ-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-2-イル)アミノ)ニコチノニトリル(実施例41)、
6-メチル-3-フェニル-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例42)、
2-((5-クロロピリジン-3-イル)アミノ)-6-フルオロ-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(実施例45)、
6-クロロ-3-(2-フルオロフェニル)-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例51)、
2-((1-メチル-1H-インダゾール-6-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(実施例54)、
2-(イミダゾ[1,5-a]ピリジン-8-イルアミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(実施例69)、
3-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-4-オキソ-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル(実施例102)、
3-(5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-オキソ-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル(実施例104)、
6-フルオロ-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-3-(p-トルイル)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例105)、
6-フルオロ-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-3-(o-トルイル)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例107)、
6-フルオロ-3-(2-フルオロフェニル)-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例108)、
4-オキソ-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-3-(o-トルイル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル(実施例109)、
6-フルオロ-3-(2-フルオロフェニル)-2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例111)、
2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-4-オキソ-3-フェニル-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル(実施例112)、
3-(2-フルオロフェニル)-2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル(実施例113)、
2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-4-オキソ-3-(o-トルイル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル(実施例114)、
6-フルオロ-2-((4-フルオロピリジン-2-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(実施例127)、
6-フルオロ-2-((5-メチルピリジン-2-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(実施例137)、
6-フルオロ-2-((2-フルオロピリジン-4-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(実施例141)、
6-フルオロ-3-(2-メトキシフェニル)-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例142)及び
3-(2-クロロフェニル)-6-フルオロ-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン(実施例145)。
(項25)
項1~24、項11a、項14a、項15a、項15bのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
(項26)
てんかん又は発達障害の治療薬又は予防薬である、
項25に記載の医薬。
(項27)
項1~26、項11a、項14a、項15a、項15bのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する神経興奮の異常が関与する障害又は疾患の治療薬又は予防薬。
(項28)
神経興奮の異常が関与する障害又は疾患が、てんかん又は発達障害に関する疾患である項27に記載の治療薬又は予防薬。
(項29)
項1~24、項11a、項14a、項15a、項15bのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
(項30)
神経興奮の異常が関与する障害又は疾患を治療又は予防するための、項29に記載の医薬組成物。
(項31)
てんかん又は発達障害の治療薬又は予防薬である、
項29又は30に記載の医薬組成物。
(項32)
治療又は予防が必要な患者に、治療又は予防上の有効量の項1~24、項11a、項14a、項15a、項15bのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を投与することを含む、神経興奮の異常が関与する障害又は疾患を治療又は予防するための方法。
(項33)
神経興奮の異常が関与する障害又は疾患の治療薬又は予防薬を製造するための、項1~24、項11a、項14a、項15a、項15bのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩の使用。
(項34)
神経興奮の異常が関与する障害又は疾患の治療又は予防に使用するための、項1~24、項11a、項14a、項15a、項15bのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項35)
項1~24、項11a、項14a、項15a、項15bのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩と、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗不安薬又は抗精神病薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤とを組み合わせてなる医薬組成物。
(項36)
抗てんかん薬、抗うつ薬、抗不安薬又は抗精神病薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤と併用して、神経興奮の異常が関与する障害又は疾患を治療又は予防するための、項1~24、項11a、項14a、項15a、項15bのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
(項37)
【化19】
[式中、
X
1は、CR
1又はNを表し、
X
2は、CR
2又はNを表し、
X
3は、CR
3又はNを表し、
X
4は、CR
4又はNを表し、
ここにおいて、(1)X
1がNの場合、X
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(2)X
2がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(3)X
3がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
4はCR
4であり、(4)X
4がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、
Yは、置換されていてもよいC
1-6アルキル、置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル、置換されていてもよい4~10員の非アリールヘテロ環基、置換されていてもよいC
6-10アリール又は置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
Zは、置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、C
1-6アルキルスルホニル、-SO
2-NR
5R
6、-NR
7R
8、-NR
9-C(=O)R
10、-NR
11-SO
2-R
12、-C(=O)NR
13R
14、-C(=O)OR
15、置換されていてもよいC
1-6アルキル、又は置換されていてもよいC
1-6アルコキシを表し、
R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は、各々独立して、複数ある場合にそれぞれが独立して、同一又は異なって、水素原子、C
3-6脂環式基、及びC
1-6アルキル(該脂環式基、及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、水酸基、C
3-10脂環式基、C
1-6アルコキシ、及び4~6員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)で表され、ここにおいて、R
5及びR
6、R
7及びR
8、R
13及びR
14は結合する窒素原子と一緒になって、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環(該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成してもよい]で表される、化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、神経興奮の異常が関与する障害又は疾患の治療薬又は予防薬である医薬。
(項38)
【化20】
[式中、
X
1は、CR
1又はNを表し、
X
2は、CR
2又はNを表し、
X
3は、CR
3又はNを表し、
X
4は、CR
4又はNを表し、
ここにおいて、(1)X
1がNの場合、X
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(2)X
2がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(3)X
3がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
4はCR
4であり、(4)X
4がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、
Yは、置換されていてもよいC
1-6アルキル、置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル、置換されていてもよい4~10員の非アリールヘテロ環基、置換されていてもよいC
6-10アリール又は置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
Zは、置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、C
1-6アルキルスルホニル、-SO
2-NR
5R
6、-NR
7R
8、-NR
9-C(=O)R
10、-NR
11-SO
2-R
12、-C(=O)NR
13R
14、-C(=O)OR
15、置換されていてもよいC
1-6アルキル、又は置換されていてもよいC
1-6アルコキシを表し、
R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は、各々独立して、複数ある場合にそれぞれが独立して、同一又は異なって、水素原子、C
3-6脂環式基、及びC
1-6アルキル(該脂環式基、及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、水酸基、C
3-10脂環式基、C
1-6アルコキシ、及び4~6員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)で表され、ここにおいて、R
5及びR
6、R
7及びR
8、R
13及びR
14は結合する窒素原子と一緒になって、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環(該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成してもよい]で表される、化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する神経興奮の異常が関与する障害又は疾患の治療薬又は予防薬。
(項39)
【化21】
[式中、
X
1は、CR
1又はNを表し、
X
2は、CR
2又はNを表し、
X
3は、CR
3又はNを表し、
X
4は、CR
4又はNを表し、
ここにおいて、(1)X
1がNの場合、X
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(2)X
2がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(3)X
3がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
4はCR
4であり、(4)X
4がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、
Yは、置換されていてもよいC
1-6アルキル、置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル、置換されていてもよい4~10員の非アリールヘテロ環基、置換されていてもよいC
6-10アリール又は置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
Zは、置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、C
1-6アルキルスルホニル、-SO
2-NR
5R
6、-NR
7R
8、-NR
9-C(=O)R
10、-NR
11-SO
2-R
12、-C(=O)NR
13R
14、-C(=O)OR
15、置換されていてもよいC
1-6アルキル、又は置換されていてもよいC
1-6アルコキシを表し、
R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は、各々独立して、複数ある場合にそれぞれが独立して、同一又は異なって、水素原子、C
3-6脂環式基、及びC
1-6アルキル(該脂環式基、及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、水酸基、C
3-10脂環式基、C
1-6アルコキシ、及び4~6員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)で表され、ここにおいて、R
5及びR
6、R
7及びR
8、R
13及びR
14は結合する窒素原子と一緒になって、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環(該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成してもよい]で表される、化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する、神経興奮の異常が関与する障害又は疾患の治療薬又は予防薬である医薬組成物。
(項40)
治療又は予防が必要な患者に、治療上又は予防上の有効量の
【化22】
[式中、
X
1は、CR
1又はNを表し、
X
2は、CR
2又はNを表し、
X
3は、CR
3又はNを表し、
X
4は、CR
4又はNを表し、
ここにおいて、(1)X
1がNの場合、X
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(2)X
2がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(3)X
3がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
4はCR
4であり、(4)X
4がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、
Yは、置換されていてもよいC
1-6アルキル、置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル、置換されていてもよい4~10員の非アリールヘテロ環基、置換されていてもよいC
6-10アリール又は置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
Zは、置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、C
1-6アルキルスルホニル、-SO
2-NR
5R
6、-NR
7R
8、-NR
9-C(=O)R
10、-NR
11-SO
2-R
12、-C(=O)NR
13R
14、-C(=O)OR
15、置換されていてもよいC
1-6アルキル、又は置換されていてもよいC
1-6アルコキシを表し、
R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は、各々独立して、複数ある場合にそれぞれが独立して、同一又は異なって、水素原子、C
3-6脂環式基、及びC
1-6アルキル(該脂環式基、及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、水酸基、C
3-10脂環式基、C
1-6アルコキシ、及び4~6員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)で表され、ここにおいて、R
5及びR
6、R
7及びR
8、R
13及びR
14は結合する窒素原子と一緒になって、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環(該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成してもよい]で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩を投与することを含む、神経興奮の異常が関与する障害又は疾患を治療又は予防するための方法。
(項41)
神経興奮の異常が関与する障害又は疾患の治療薬又は予防薬を製造するための、
【化23】
[式中、
X
1は、CR
1又はNを表し、
X
2は、CR
2又はNを表し、
X
3は、CR
3又はNを表し、
X
4は、CR
4又はNを表し、
ここにおいて、(1)X
1がNの場合、X
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(2)X
2がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(3)X
3がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
4はCR
4であり、(4)X
4がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、
Yは、置換されていてもよいC
1-6アルキル、置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル、置換されていてもよい4~10員の非アリールヘテロ環基、置換されていてもよいC
6-10アリール又は置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
Zは、置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、C
1-6アルキルスルホニル、-SO
2-NR
5R
6、-NR
7R
8、-NR
9-C(=O)R
10、-NR
11-SO
2-R
12、-C(=O)NR
13R
14、-C(=O)OR
15、置換されていてもよいC
1-6アルキル、又は置換されていてもよいC
1-6アルコキシを表し、
R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は、各々独立して、複数ある場合にそれぞれが独立して、同一又は異なって、水素原子、C
3-6脂環式基、及びC
1-6アルキル(該脂環式基、及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、水酸基、C
3-10脂環式基、C
1-6アルコキシ、及び4~6員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)で表され、ここにおいて、R
5及びR
6、R
7及びR
8、R
13及びR
14は結合する窒素原子と一緒になって、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環(該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成してもよい]で表される、化合物又はその製薬学的に許容される塩の使用。
(項42)
神経興奮の異常が関与する障害又は疾患の治療又は予防に使用するための、
【化24】
[式中、
X
1は、CR
1又はNを表し、
X
2は、CR
2又はNを表し、
X
3は、CR
3又はNを表し、
X
4は、CR
4又はNを表し、
ここにおいて、(1)X
1がNの場合、X
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(2)X
2がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(3)X
3がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
4はCR
4であり、(4)X
4がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、
Yは、置換されていてもよいC
1-6アルキル、置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル、置換されていてもよい4~10員の非アリールヘテロ環基、置換されていてもよいC
6-10アリール又は置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
Zは、置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、C
1-6アルキルスルホニル、-SO
2-NR
5R
6、-NR
7R
8、-NR
9-C(=O)R
10、-NR
11-SO
2-R
12、-C(=O)NR
13R
14、-C(=O)OR
15、置換されていてもよいC
1-6アルキル、又は置換されていてもよいC
1-6アルコキシを表し、
R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は、各々独立して、複数ある場合にそれぞれが独立して、同一又は異なって、水素原子、C
3-6脂環式基、及びC
1-6アルキル(該脂環式基、及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、水酸基、C
3-10脂環式基、C
1-6アルコキシ、及び4~6員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)で表され、ここにおいて、R
5及びR
6、R
7及びR
8、R
13及びR
14は結合する窒素原子と一緒になって、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環(該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成してもよい]で表される、化合物又はその製薬学的に許容される塩。
(項43)
【化25】
[式中、
X
1は、CR
1又はNを表し、
X
2は、CR
2又はNを表し、
X
3は、CR
3又はNを表し、
X
4は、CR
4又はNを表し、
ここにおいて、(1)X
1がNの場合、X
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(2)X
2がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(3)X
3がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
4はCR
4であり、(4)X
4がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、
Yは、置換されていてもよいC
1-6アルキル、置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル、置換されていてもよい4~10員の非アリールヘテロ環基、置換されていてもよいC
6-10アリール又は置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
Zは、置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、C
1-6アルキルスルホニル、-SO
2-NR
5R
6、-NR
7R
8、-NR
9-C(=O)R
10、-NR
11-SO
2-R
12、-C(=O)NR
13R
14、-C(=O)OR
15、置換されていてもよいC
1-6アルキル、又は置換されていてもよいC
1-6アルコキシを表し、
R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は、各々独立して、複数ある場合にそれぞれが独立して、同一又は異なって、水素原子、C
3-6脂環式基、及びC
1-6アルキル(該脂環式基、及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、水酸基、C
3-10脂環式基、C
1-6アルコキシ、及び4~6員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)で表され、ここにおいて、R
5及びR
6、R
7及びR
8、R
13及びR
14は結合する窒素原子と一緒になって、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環(該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成してもよい]で表される、化合物又はその製薬学的に許容される塩と、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗不安薬又は抗精神病薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤とを組み合わせてなる医薬。
(項44)
抗てんかん薬、抗うつ薬、抗不安薬又は抗精神病薬に分類される薬剤から選択される少なくとも1種以上の薬剤と併用して、神経興奮の異常が関与する障害又は疾患を治療又は予防するための、
【化26】
[式中、
X
1は、CR
1又はNを表し、
X
2は、CR
2又はNを表し、
X
3は、CR
3又はNを表し、
X
4は、CR
4又はNを表し、
ここにおいて、(1)X
1がNの場合、X
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(2)X
2がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
3はCR
3であり、かつX
4はCR
4であり、(3)X
3がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
4はCR
4であり、(4)X
4がNの場合、X
1はCR
1であり、かつX
2はCR
2であり、かつX
3はCR
3であり、
Yは、置換されていてもよいC
1-6アルキル、置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル、置換されていてもよい4~10員の非アリールヘテロ環基、置換されていてもよいC
6-10アリール又は置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
Zは、置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールを表し、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、C
1-6アルキルスルホニル、-SO
2-NR
5R
6、-NR
7R
8、-NR
9-C(=O)R
10、-NR
11-SO
2-R
12、-C(=O)NR
13R
14、-C(=O)OR
15、置換されていてもよいC
1-6アルキル、又は置換されていてもよいC
1-6アルコキシを表し、
R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は、各々独立して、複数ある場合にそれぞれが独立して、同一又は異なって、水素原子、C
3-6脂環式基、及びC
1-6アルキル(該脂環式基、及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、水酸基、C
3-10脂環式基、C
1-6アルコキシ、及び4~6員の非アリールヘテロ環基からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)で表され、ここにおいて、R
5及びR
6、R
7及びR
8、R
13及びR
14は結合する窒素原子と一緒になって、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環(該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、及びC
1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成してもよい]で表される、化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【0009】
本開示において、上記1又は複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0010】
本開示の化合物は、様々なてんかん病態の背景にあると考えらえている神経回路の過剰興奮を抑制する活性を有し、ヒト細胞を用いたてんかんモデルや、複数の痙攣モデル動物において強い抗痙攣活性を示したことから、広範な治療スペクトルを示す抗てんかん薬(てんかん発作(強直発作、間代発作、欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作を含む全般発作、焦点発作、てんかん性スパズム、分類不明の発作)、てんかん重積、てんかん症候群(ドラベ症候群、大田原症候群、ウエスト症候群、レノックス・ガストー症候群、常染色体性優性夜間前頭葉てんかん、海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん、ラスムッセン症候群等)、構造的/代謝性の原因に帰するてんかん(皮質形成異常、神経皮膚症候群(結節性硬化症複合体、Sturge-Weber症候群等)等)等、また、これらに併発する発達障害、精神障害、認知障害等に対する治療薬及び/又は予防薬)として有用である。また、神経回路における興奮シグナルと抑制シグナルのバランス異常を背景にもつ障害又は疾患(発達障害(自閉スペクトラム症、レット症候群、アンジェルマン症候群、脆弱X症候群、注意欠如多動症等)、精神障害(統合失調症、双極性障害、うつ、不安障害、強迫性障害等)、認知障害(アルツハイマー病やその他認知症、パーキンソン病等))に対しても病態改善効果を発揮することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例3の化合物のI形晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は回折角2θ(°)、縦軸はカウント数を示す(以下、
図2~
図5について同様である)。
【
図2】実施例234の化合物のII形晶の粉末X線回折パターンを示す。
【
図3】実施例235の化合物のIII形晶の粉末X線回折パターンを示す。
【
図4】実施例236の化合物のIV形晶の粉末X線回折パターンを示す。
【
図5】実施例237の化合物のV形晶の粉末X線回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示をさらに詳細に説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語及び科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0013】
本明細書に記載される基について、「フェニル」および「フェニル基」のように、「基」が有るものと無いものとがあった場合、それらは、同じ基を示すように解釈される。
【0014】
「置換されていてもよい」又は「置換されている」で定義される基における置換基の数は、置換可能であれば特に制限はない。また、特に指示した場合を除き、各々の基の説明はその基が他の基の一部分又は置換基である場合にも該当する。
【0015】
「置換されていてもよい」における置換基としては、以下からなる置換基群αから選択され、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい。置換基の種類によって特に制限されないが、置換基が結合する原子が酸素原子、窒素原子、硫黄原子の場合は、下記の置換基の中から結合する原子が炭素原子のものに限定される。
置換基群αは、
1)ハロゲン原子
2)水酸基
3)カルボキシル基
4)シアノ基
5)C1-6アルキル基
6)C2-6アルケニル基
7)C2-6アルキニル基
8)C1-6アルコキシ基
9)C1-6アルキルチオ基
10)C1-6アルキルカルボニル基
11)C1-6アルキルスルホニル基
(但し、5)から11)の各置換基は、置換基群βから選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)
12)C3-10脂環式基
13)C3-10脂環式オキシ基
14)C6-10アリールオキシ基
15)5員又は6員のヘテロアリールオキシ基
16)4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基
17)C3-10脂環式チオ基
18)C6-10アリールチオ基
19)5員又は6員のヘテロアリールチオ基
20)4~10員の非アリールヘテロ環チオ基
21)C6-10アリール
22)5員又は6員のヘテロアリール
23)4~10員の非アリールヘテロ環基
24)C3-10脂環式カルボニル基
25)C6-10アリールカルボニル基
26)5員又は6員のヘテロアリールカルボニル基
27)4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル基
28)C3-10脂環式スルホニル基
29)C6-10アリールスルホニル基
30)5員又は6員のヘテロアリールスルホニル基
31)4~10員の非アリールヘテロ環スルホニル基
(但し12)から31)の各置換基は、1~5個の置換基群β又は前記1)C1-6アルキル基によって置換されていてもよい)
32)-NR16R17
が挙げられ、
置換基群βは、
1)ハロゲン原子、
2)水酸基、
3)カルボキシル基、
4)シアノ基、
5)C3-10脂環式基、
6)C1-6アルコキシ基、
7)C3-10脂環式オキシ基、
8)C1-6アルキルチオ基、
9)5員又は6員のヘテロアリールチオ基、
10)C6-10アリール、
11)5員又は6員のヘテロアリール、
12)4~10員の非アリールヘテロ環基、
13)C1-6アルキルカルボニル基、
14)C3-10脂環式カルボニル基、
15)C6-10アリールカルボニル基、
16)5員又は6員のヘテロアリールカルボニル基、
17)4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル基、
18)-NR18R19、
(但し、置換基群βのうち、5)から17)の各置換基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、-NR20R21からなる群より選択される1~5個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群であり、
R16、R17、R18、R19は、各々独立して、同一又は異なって、水素原子又はC1-6アルキル基(該アルキル基は、水酸基、シアノ基、C1-6アルコキシ基、-NR20R21より選ばれる同一又は異なる、1~3個の置換基によって置換されていてもよい)であり、
R20、R21は、各々独立して、同一又は異なって、水素原子又はC1-6アルキル基である。
【0016】
「置換されていてもよい」における置換基としては、好ましくは下記の置換基が挙げられる。
置換基群αは、好ましくは、
1)ハロゲン原子
2)水酸基
3)カルボキシル基
4)シアノ基
5)C1-6アルキル基
6)C1-6アルコキシ基
7)C1-6アルキルチオ基
8)C1-6アルキルカルボニル基
(但し、5)から8)の各置換基は、置換基群βから選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)
9)C3-10脂環式基
10)C3-10脂環式オキシ基
11)C6-10アリールオキシ基
12)5員又は6員のヘテロアリールオキシ基
13)4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基
14)C3-10脂環式チオ基
15)C6-10アリールチオ基
16)5員又は6員のヘテロアリールチオ基
17)4~10員の非アリールヘテロ環チオ基
18)C6-10アリール
19)5員又は6員のヘテロアリール
20)4~10員の非アリールヘテロ環基
21)C3-10脂環式カルボニル基
22)C6-10アリールカルボニル基
23)5員又は6員のヘテロアリールカルボニル基
24)4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル基
(但し9)から24)の各置換基は、1~5個の置換基群β又は前記1)C1-6アルキル基によって置換されていてもよい)
25)-NR16R17
が挙げられ、
置換基群βは、好ましくは、
1)ハロゲン原子
2)水酸基
3)シアノ基
4)C3-10脂環式基
5)C1-6アルコキシ基
6)C1-6アルキルチオ基
7)5員又は6員のヘテロアリールチオ基
8)5員又は6員のヘテロアリール
9)4~10員の非アリールヘテロ環基
10)C1-6アルキルカルボニル基
11)C3-10脂環式カルボニル基
12)C6-10アリールカルボニル基
13)5員又は6員のヘテロアリールカルボニル基
14)4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル基
15)-NR18R19
(但し、置換基群βのうち、4)から14)の各置換基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、-NR20R21からなる群より選択される1~5個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群であり、
R16、R17、R18、R19は、各々独立して、同一又は異なって、水素原子又はC1-6アルキル基(該アルキル基は、水酸基、シアノ基、C1-6アルコキシ基、-NR20R21より選ばれる同一又は異なる、1~3個の置換基によって置換されていてもよい)であり、
R20、R21は、各々独立して、同一又は異なって、水素原子又はC1-6アルキル基である。
【0017】
「置換されていてもよい」における置換基としては、さらに好ましくは下記の置換基が挙げられる。
置換基群αは、さらに好ましくは、
1)ハロゲン原子
2)水酸基
3)シアノ基
4)C1-6アルキル基
5)C1-6アルコキシ基
6)C1-6アルキルチオ基
7)C1-6アルキルカルボニル基
(但し、4)から7)の各置換基は、置換基群βから選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)
8)5員又は6員のヘテロアリールオキシ基
9)4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基
10)5員又は6員のヘテロアリールチオ基
11)4~10員の非アリールヘテロ環チオ基
12)C6-10アリール
13)5員又は6員のヘテロアリール
14)4~10員の非アリールヘテロ環基
(但し4)から14)の各置換基は、1~5個の置換基群β又は前記1)C1-6アルキル基によって置換されていてもよい)
15)-NR16R17
が挙げられ、
置換基群βは、さらに好ましくは、
1)ハロゲン原子、
2)水酸基、
3)シアノ基、
4)-NR18R19、
であり、R16、R17、R18、R19は、各々独立して、同一又は異なって、水素原子又はC1-6アルキル基(該アルキル基は、水酸基、シアノ基、C1-6アルコキシ基、-NR20R21より選ばれる同一又は異なる、1~3個の置換基によって置換されていてもよい)であり、
R20、R21は、各々独立して、同一又は異なって、水素原子又はC1-6アルキル基である。
【0018】
「C1-6」とは、炭素原子数が1~6であることを意味する。他の数字の場合も同様であり、例えば、「C1-4」とは炭素原子数が1~4であることを意味する。
【0019】
「ヘテロ原子」は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を意味する。
【0020】
「ハロゲン原子」とは、炭素原子および水素原子以外の任意の原子をいい、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を意味する。中でもフッ素原子及び塩素原子が好ましい。「ハロゲン原子」を「ハロゲン」と称する場合もある。
【0021】
「C1-6アルキル」又は「C1-6アルキル基」とは、炭素原子数が1~6の直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味する。C1-6アルキル基として、好ましくは「C1-4アルキル基」が挙げられ、より好ましくは「C1-3アルキル基」又は「C2-3アルキル基」が挙げられる。「C1-3アルキル基」の具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチルなどが挙げられる。「C2-3アルキル基」の具体例としては、例えば、エチル、プロピル、1-メチルエチルなどが挙げられる。「C1-4アルキル基」の具体例としては、例えば、前記「C1-3アルキル基」の具体例として挙げたものに加え、ブチル、1、1-ジメチルエチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピルなどが挙げられる。「C1-6アルキル基」の具体例としては、例えば、前記「C1-4アルキル基」の具体例として挙げたものに加え、ペンチル、1、1-ジメチルプロピル、1、2-ジメチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、4-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0022】
「C2-6アルケニル」又は「C2-6アルケニル基」は、1個又は2個以上の炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖状又は分枝鎖状の炭素原子数2から6の不飽和炭化水素基を意味する。「C2-6アルケニル基」として、好ましくは「C2-4アルケニル基」である。「C2-6アルケニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、ビニル基、1-プロピレニル基、2-プロピレニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-1-プロピレニル基、2-メチル-2-プロピレニル基等が挙げられる。
【0023】
「C2-6アルキニル」又は「C2-6アルキニル基」は、1個又は2個以上の三重結合を有する直鎖又は分枝の不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。「C2-6アルキニル基」として、好ましくは「C2-4アルキニル基」である。具体的には、これらに限定されないが、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、1-へキシニル基などが挙げられる。
【0024】
「C3-10脂環式基」とは、炭素原子数3~10の単環式又は二環式の1価の非芳香族炭化水素環基を意味し、一部不飽和結合を有するもの、一部架橋構造を有するもの、一部スピロ化されたものおよび1個又は2個以上のカルボニル構造を有するものも含まれる。「脂環式基」は、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、およびシクロアルキニル基を包含する。「C3-10脂環式基」として、好ましくは「C3-6脂環式基」、さらに好ましくは「C5-6脂環式基」が挙げられる。「C5-6脂環式基」の具体例としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。「C3-6脂環式基」の具体例としては、例えば、前記「C5-6脂環式基」の具体例として挙げたものに加え、シクロプロピル、シクロブチルなどが挙げられる。「C3-10脂環式基」の具体例としては、例えば、前記「C3-6脂環式基」の具体例として挙げたものに加え、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチルが挙げられる。
【0025】
一部架橋構造を有する「C
3-10脂環式基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
【化27】
【0026】
また、「C
3-10脂環式基」には、芳香族環と縮環した化合物も包含される。具体例としては、例えば、下記で表される基等が挙げられる。
【化28】
【0027】
「C
6-10アリール」とは、炭素原子数が6~10の単環式又は二環式の芳香族炭化水素基を意味する。「C
6-10アリール」は、前記「脂環式基」又は「非アリールヘテロ環」と可能な全ての位置で縮合していてもよい。「C
6-10アリール」の具体例としては、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル等が挙げられる。「C
6-10アリール」として、好ましくはフェニルが挙げられる。当該縮環構造の具体例としては、例えば、下記で表される基等が挙げられる。
【化29】
【化30】
【0028】
「5~10員のヘテロアリール」とは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から独立して選ばれる1~4個の原子を含む、5~10個の原子で構成される単環式又は二環式の芳香族複素環基を意味する。「5~10員のヘテロアリール」は、前記「脂環式基」又は「非アリールヘテロ環」と可能な全ての位置で縮合していてもよい。「5~10員のヘテロアリール」として、好ましくは「5員のヘテロアリール」、「6員のヘテロアリール」、「5員又は6員のヘテロアリール」、「6~10員のヘテロアリール」又は「9員又は10員のヘテロアリール」が挙げられる。「5員のヘテロアリール」の具体例としては、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリルが挙げられる。「6員のヘテロアリール」の具体例としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルが挙げられる。「5員又は6員のヘテロアリール」の具体例としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルが挙げられる。「6~10員のヘテロアリール」の具体例としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノキサリル、トリアゾロピリジル等が挙げられる。「5~10員のヘテロアリール」の具体例としては、前記「6~10員のヘテロアリール」及び「5又は6員のヘテロアリール」の具体例が挙げられる。
【0029】
式1において、Yが「5~10員のヘテロアリール」、「5員又は6員のヘテロアリール」又は「6員のヘテロアリール」である場合、窒素原子とは該ヘテロアリール基の環上の炭素原子で結合する。
【0030】
式1において、「5~10員のヘテロアリール」又は「5~10員のヘテロアリール」であるZ基、例えば「ピリジル」、「ピリミジニル」、「インダゾリル」又は「イミダゾピリジル」は、窒素原子とは該Z基の環上の炭素原子で結合する。1つの実施形態において、5~10員のヘテロアリール、例えば、Zの5~10員のヘテロアリールは、該ヘテロアリールが結合する窒素原子とは該ヘテロアリール基の環上の窒素原子において結合しない。
【0031】
「9員又は10員のヘテロアリール」の具体例としては、これらに限定されないが、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
【化31】
【化32】
【0032】
前記「5員又は6員のヘテロアリール」又は「5~10員のヘテロアリール」は、C
5-10脂環式基との縮環構造、もしくは5~10員の非アリールヘテロ環との縮環構造を形成していてもよい。具体例としては、例えば、下記で表される基等が挙げられる。
【化33】
【化34】
【化35】
【0033】
「4~10員の非アリールヘテロ環基」とは、炭素原子以外に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から独立して選択される同一又は異なる1~2個のヘテロ原子を含む、4~10個の原子で構成される単環式又は二環式の非芳香族のヘテロ環を意味し、一部不飽和結合を有するもの、一部架橋構造を有するものおよび/又は一部スピロ化されたものを含む。「4~10員の非アリールヘテロ環基」としては、「4~6員の非アリールヘテロ環基」又は「4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基」が好ましい。「4~6員の非アリールヘテロ環基」の具体例としては、例えば、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル等が挙げられる。中でもアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジル、モルホリニル、及びオキセタニルが好ましい。非アリールヘテロ環は、アリール又はヘテロアリールと縮合環を形成してもよい。例えば、C
6-10アリール又は5員又は6員のヘテロアリールと縮合した場合も非アリールヘテロ環に含まれる。また、当該非アリールヘテロ環を構成するのに、1個又は2個以上のカルボニル、チオカルボニル、スルフィニル又はスルホニルを含んでいてもよく、例えば、ラクタム、チオラクタム、ラクトン、チオラクトン、環状のイミド、環状のカルバメート、環状のチオカルバメート等の環状基も当該非アリールヘテロ環に含まれる。ここにおいて、カルボニル、スルフィニルおよびスルホニルの酸素原子およびチオカルボニルの硫黄原子は、4から10員の数(環の大きさ)および環を構成しているヘテロ原子の数には含まれない。「4~10員の非アリールヘテロ環」としては、「4~6員の非アリールヘテロ環」が好ましい。「4~6員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ホモピペリジン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。「4~10員の非アリールヘテロ環」の具体例として、例えば、前記「4~6員の非アリールヘテロ環」の具体例として挙げたものに加え、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
【化36】
【0034】
また、一部架橋および/又はスピロ構造を有する「4~10員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
【化37】
【0035】
「オキセタニル」は、飽和の4員環で酸素をひとつ含む1価の基であり、例えば、フェニルオキセタニル
【化38】
が挙げられる。
【0036】
「4~10員の含窒素非アリールヘテロ環」は、1個の窒素原子に加え、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選択される同一又は異なる0個又は1個以上のヘテロ原子を含む、4から10個の原子で構成される単環式又は二環式の非芳香族のヘテロ環を意味し、一部不飽和結合を有するもの、一部架橋された構造を有するものおよび/又は一部スピロ化されたものを含む。「4~10員の含窒素非アリールヘテロ環」としては、好ましくは「4~6員の含窒素非アリールヘテロ環」又は「5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環」が挙げられる。「5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環」の具体例としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等が挙げられる。「4~6員の含窒素非アリールヘテロ環」の具体例としては、前記「5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環」の具体例として挙げたものに加え、アゼチジン等が挙げられる。「4~10員の含窒素非アリールヘテロ環」の具体例として、例えば、前記「5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環」の具体例として挙げたものに加え、アゼチジン、アゼパン、アゾカン等が挙げられる。
【0037】
また、一部架橋および/又はスピロ構造を有している「4~10員の含窒素非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
【化39】
【0038】
式1において、Yが「4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基」又は「5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基」である場合、窒素原子とは該含窒素非アリールヘテロ環基の環上の炭素原子で結合する。
【0039】
また、一部不飽和結合を有する「4員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
【化40】
【0040】
また、一部不飽和結合を有している「5員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
【化41】
【0041】
また、一部架橋構造を有している「5員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
【化42】
【0042】
また、カルボニルやチオカルボニル等を含んでいる「5員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
【化43】
【0043】
また、一部不飽和結合を有している「6員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
【化44】
【0044】
また、一部架橋構造を有している「6員の非アリールヘテロ環」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、下記に示す構造のもの等が挙げられる。
【化45】
【0045】
「C1-6アルコキシ」又は「C1-6アルコキシ基」とは「C1-6アルキルオキシ」のことであり、「C1-6アルキル」部分は、前記「C1-6アルキル」と同義である。「C1-6アルコキシ」としては、好ましくは「C1-4アルコキシ」又は「C2-6アルコキシ」が挙げられ、より好ましくは「C1-3アルコキシ」が挙げられる。「C1-3アルコキシ」の具体例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシなどが挙げられる。「C1-4アルコキシ」の具体例としては、例えば、前記「C1-3アルキル」の具体例として挙げたものに加え、ブトキシ、1,1-ジメチルエトキシ、1-メチルプロポキシ、2-メチルプロポキシなどが挙げられる。「C2-6アルコキシ」の具体例としては、例えば、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、1,1-ジメチルエトキシ、1-メチルプロポキシ、2-メチルプロポキシ、ペンチロキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、1,2-ジメチルプロポキシ、1-メチルブトキシ、2-メチルブトキシ、4-メチルペンチロキシ、3-メチルペンチロキシ、2-メチルペンチロキシ、1-メチルペンチロキシ、ヘキシロキシなどが挙げられる。「C1-6アルコキシ」の具体例としては、例えば、前記「C1-4アルキル」の具体例として挙げたものに加え、ペンチロキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、1,2-ジメチルプロポキシ、1-メチルブトキシ、2-メチルブトキシ、4-メチルペンチロキシ、3-メチルペンチロキシ、2-メチルペンチロキシ、1-メチルペンチロキシ、ヘキシロキシなどが挙げられる。
【0046】
「C3-6脂環式オキシ」又は「C3-6脂環式オキシ基」とは、(C3-6脂環式基)-O-基を意味し、該C3-6脂環式部分は、C3-6脂環式基と同義である。「C3-6脂環式オキシ基」は、「C3-6シクロアルコキシ基」を含む。「シクロアルコキシ基」は、「シクロアルキルオキシ」のことであり、「シクロアルキル」部分は、前記「シクロアルキル」と同義である。「C3-6脂環式オキシ基」の具体例としては、例えば、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキトキシ基などが挙げられる。
【0047】
「C6-10アリールオキシ基」のC6-10アリール部分は、上記C6-10アリールと同義である。「C6-10アリールオキシ基」として、好ましくは「C6もしくはC10のアリールオキシ基」が挙げられる。「C6-10アリールオキシ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0048】
「5員又は6員のヘテロアリールオキシ基」の5員又は6員のヘテロアリール部分は、上記「5員のヘテロアリール」もしくは「6員のヘテロアリール」と同義である。「5員又は6員のヘテロアリールオキシ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、ピラゾイルオキシ基、トリアゾイルオキシ基、チアゾイルオキシ基、チアジアゾイルオキシ基、ピリジルオキシ基、ピリダゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0049】
「4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基」の4~10員の非アリールヘテロ環部分は、上記「4~10員の非アリールヘテロ環」と同義である。「4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基」として、好ましくは、「4~6員の非アリールヘテロ環オキシ基」である。「4~10員の非アリールヘテロ環オキシ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばテトラヒドロフラニルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、アゼチジニルオキシ基、ピロリジニルオキシ基、ピペリジニルオキシ基等が挙げられる。
【0050】
「C1-6アルキルチオ基」のC1-6アルキル部分は、上記C1-6アルキルと同義である。「C1-6アルキルチオ基」として、好ましくは「C1-4アルキルチオ基」であり、より好ましくは「C1-3アルキルチオ基」である。「C1-6アルキルチオ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、イソプロピルチオ基、イソブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、tert-ペンチルチオ基、1,2-ジメチルプロピルチオ基等が挙げられる。
【0051】
「C3-10脂環式チオ」又は「C3-10脂環式チオ基」は、(C3-10脂環式基)-S-基を意味し、該C3-10脂環式部分は、上記C3-10脂環式基と同義である。「C3-10脂環式チオ基」として、好ましくは「C3-6脂環式チオ基」である。「C3-6脂環式チオ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等が挙げられる。
【0052】
「C6-10アリールチオ」又は「C6-10アリールチオ基」のC6-10アリール部分は、上記C6-10アリールと同義である。「C6-10アリールチオ基」として、好ましくは「C6もしくはC10のアリールチオ基」が挙げられる。「C6-10アリールオキシ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基等が挙げられる。
【0053】
「5員又は6員のヘテロアリールチオ」又は「5員又は6員のヘテロアリールチオ基」の5員又は6員のヘテロアリール部分は、上記「5員のヘテロアリール」もしくは「6員のヘテロアリール」と同義である。「5員又は6員のヘテロアリールチオ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、ピラゾイルチオ基、トリアゾイルチオ基、チアゾイルチオ基、チアジアゾイルチオ基、ピリジルチオ基、ピリダゾイルチオ基等が挙げられる。
【0054】
「4~10員の非アリールヘテロ環チオ」又は「4~10員の非アリールヘテロ環チオ基」の4~10員の非アリールヘテロ環部分は、上記「4~10員の非アリールヘテロ環」と同義である。「4~10員の非アリールヘテロ環チオ基」として、好ましくは、「4~6員の非アリールヘテロ環チオ基」である。「4~10員の非アリールヘテロ環チオ基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばテトラヒドロピラニルチオ基、ピペリジニルチオ基等が挙げられる。
【0055】
「C1-6アルキルカルボニル」又は「C1-6アルキルカルボニル基」とは、上記「C1-6アルキル基」で置換されたカルボニル基を意味する。「C1-6アルキルカルボニル基」として、好ましくは、「C1-4アルキルカルボニル基」である。「C1-6アルキルカルボニル基」の具体例として、これらに限定されないが、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
【0056】
「C3-10脂環式カルボニル」又は「C3-10脂環式カルボニル基」とは、上記「C3-10脂環式基」で置換されたカルボニル基を意味する。「C3-10脂環式カルボニル基」として、好ましくは、「C3-6脂環式カルボニル基」である。「C3-10脂環式カルボニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばシクロプロピルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基等が挙げられる。
【0057】
「C6-10アリールカルボニル」又は「C6-10アリールカルボニル基」とは、上記「C6-10アリール」で置換されたカルボニル基を意味する。「C6-10アリールカルボニル基」として、好ましくは、「C6又はC10のアリールカルボニル基」である。「C6-10アリールカルボニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばベンゾイル基、1-ナフチルカルボニル基、2-ナフチルカルボニル基等が挙げられる。
【0058】
「5員又は6員のヘテロアリールカルボニル」又は「5員又は6員のヘテロアリールカルボニル基」とは、上記「5員又は6員のヘテロアリール」で置換されたカルボニル基を意味する。「5員又は6員のヘテロアリールカルボニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばピラゾイルカルボニル基、トリアゾイルカルボニル基、チアゾイルカルボニル基、チアジアゾイルカルボニル基、ピリジルカルボニル基、ピリダゾイルカルボニル基等が挙げられる。
【0059】
「4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル」又は「4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル基」とは、上記「4~10員の非アリールヘテロ環」で置換されたカルボニル基を意味する。「4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル基」として、好ましくは、「4~6員の非アリールヘテロ環カルボニル基」である。「4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、アゼチジニルカルボニル基、ピロリジニルカルボニル基、ピペリジニルカルボニル基、モルホリニルカルボニル基等が挙げられる。
【0060】
「C1-6アルキルスルホニル」又は「C1-6アルキルスルホニル基」とは、上記「C1-6アルキル基」で置換されたスルホニル基を意味する。「C1-6アルキルスルホニル基」として、好ましくは「C1-4アルキルスルホニル基」である。「C1-6アルキルスルホニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばメチルスルホニル基、プロピオニルスルホニル基、ブチリルスルホニル基等が挙げられる。
【0061】
「C3-10脂環式スルホニル」又は「C3-10脂環式スルホニル基」とは、上記「C3-10脂環式基」で置換されたスルホニル基を意味する。「C3-10脂環式スルホニル基」として、好ましくは「C3-6脂環式スルホニル基」である。「C3-10脂環式スルホニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えばシクロプロピルスルホニル基、シクロブチルスルホニル基、シクロペンチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基等が挙げられる。
【0062】
「C6-10アリールスルホニル」又は「C6-10アリールスルホニル基」とは、上記「C6-10アリール」で置換されたスルホニル基を意味する。「C6-10アリールスルホニル基」として、好ましくは「C6又はC10のアリールスルホニル基」である。「C6-10アリールスルホニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、フェニルスルホニル基、1-ナフチルスルホニル基、2-ナフチルスルホニル基等が挙げられる。
【0063】
「5員又は6員のヘテロアリールスルホニル」又は「5員又は6員のヘテロアリールスルホニル基」とは、上記「5員又は6員のヘテロアリール」で置換されたスルホニル基を意味する。「5員又は6員のヘテロアリールスルホニル基」の具体例としては、ピラゾイルスルホニル基、トリアゾイルスルホニル基、チアゾイルスルホニル基、チアジアゾイルスルホニル基、ピリジルスルホニル基、ピリダゾイルスルホニル基等が挙げられる。
【0064】
式(1)で表される本開示の化合物において、X1、X2、X3、X4、R1、R2、R3、R4、Y及びZの好ましいものは以下のとおりであるが、本開示の技術的範囲は下記に挙げる化合物の範囲に限定されるものではない。
【0065】
X1の好ましい態様としては、CR1が挙げられる。
【0066】
X2の好ましい態様としては、CR2が挙げられる。
【0067】
X3の好ましい態様としては、CR3が挙げられる。
【0068】
X4の好ましい態様としては、CR4が挙げられる。
【0069】
R1、R2、R3及びR4の好ましい態様としては、
(1)水素原子、
(2)フッ素、
(3)シアノ、
(4)C1-6アルコキシ、又は
(5)C1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、ヒドロキシ、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)が挙げられる。
【0070】
R1、R2、R3及びR4のより好ましい態様としては、
(1)水素原子、
(2)フッ素
(3)シアノが挙げられる。
【0071】
R1、R3及びR4のさらに好ましい態様としては、水素原子が挙げられる。
【0072】
R2のさらに好ましい態様としては、フッ素又はシアノが挙げられる。
【0073】
Yの好ましい態様としては、
(1)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、C3-6脂環式基、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基、C1-6アルコキシ、C6-10アリール(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環、該アルコキシ、及び該アリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC1-6アルキル、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)、及び5~10員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はハロゲン、シアノ、C3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC1-6アルキル、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、
(2)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-6脂環式基、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基、C1-6アルコキシ、C6-10アリール(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環、該アルコキシ、及び該アリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC1-6アルキル、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)、及び5~10員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はハロゲン、シアノ、C3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC1-6アルキル、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC3-10脂環式基、
(3)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-6脂環式基及びC1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい4~10員の非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-6アルコキシ及びC1-6アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC6-10アリール、又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-6アルコキシ及びC1-6アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールが挙げられる。
【0074】
Yの好ましい態様としては、
(1)フッ素、C3-6脂環式基、5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環、及び該フェニル基は、それぞれ独立して、フッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-3アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC2-3アルキル、5~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該フェニル基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5~6員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、C5-6脂環式基又はフェニルシクロプロピル
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC2-3アルキル及びフェニル(該フェニル基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、4~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニルオキセタニル又はテトラヒドロピラニル、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(5)ハロゲン、シアノ、C1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6員のヘテロアリールが挙げられる。
【0075】
また、Yの好ましい態様としては、(1)フッ素、C3-6脂環式基、5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環、及び該フェニル基は、それぞれ独立して、フッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5~6員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-3アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、5~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該含窒素非アリールヘテロ環基及び該フェニル基は、それぞれ独立して、フッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5~6員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC3-6脂環式基、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールも挙げられる。
【0076】
Yのより好ましい態様としては、
(1)1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC5-6脂環式基、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリール
【0077】
Yの更に好ましい態様としては、
(1)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC5-6脂環式基、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(3)ハロゲン、シアノ、メトキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(4)ハロゲン、シアノ、メトキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールが挙げられる。
【0078】
Yの更に好ましい態様としては、
(1)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(2)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールが挙げられる。
【0079】
Yの最も好ましい態様としては、
(1)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(2)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよい6員のヘテロアリールが挙げられる。
【0080】
Zの好ましい態様としては、ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-6アルコキシ、及びC1-6アルキル(該アルコキシ、及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6~10員のヘテロアリールが挙げられる。
【0081】
Zの好ましい態様としては、ハロゲン、シアノ、C2-6アルコキシ、及びC1-6アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6~10員のヘテロアリールが挙げられる。
【0082】
Zの好ましい態様としては、フッ素、シアノ、C1-6アルコキシ、及びC1-6アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、6~10員のヘテロアリール、チエニル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル又はチアジアゾリルが挙げられる。
【0083】
Zのより好ましい態様としては、フッ素、クロロ、シアノ、C1-6アルコキシ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよ6~10員のヘテロアリールが挙げられる。
【0084】
Zの更に好ましい態様としては、フッ素、クロロ、シアノ、メトキシ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、ピリジル、ピリミジニル、インダゾリル又はイミダゾピリジルが挙げられる。
【0085】
Zの更に好ましい態様としては、フッ素、クロロ、シアノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、ピリジル、ピリミジニル、インダゾリル又はイミダゾピリジルが挙げられる。
【0086】
Zの最も好ましい態様としては、フッ素、クロロ、シアノ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいピリジルが挙げられる。
【0087】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(A)が挙げられる。
(A)
X1が、CR1又はNであり、
X2が、CR2又はNであり、
X3が、CR3又はNであり、
X4が、CR4又はNであり、
ここにおいて、(1)X1がNの場合、X2はCR2であり、かつX3はCR3であり、かつX4はCR4であり、(2)X2がNの場合、X1はCR1であり、かつX3はCR3であり、かつX4はCR4であり、(3)X3がNの場合、X1はCR1であり、かつX2はCR2であり、かつX4はCR4であり、(4)X4がNの場合、X1はCR1であり、かつX2はCR2であり、かつX3はCR3であり、
R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン、
(3)シアノ、
(4)C1-6アルコキシ、又は
(5)C1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、ヒドロキシ、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)であり、
Yが、(1)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、C3-6脂環式基、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基、C1-6アルコキシ、C6-10アリール(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環、該アルコキシ、及び該アリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC1-6アルキル、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)、及び5~10員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はハロゲン、シアノ、C3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC1-6アルキル、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、
(2)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-6脂環式基、4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基、C1-6アルコキシ、C6-10アリール(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環、該アルコキシ、及び該アリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC1-6アルキル、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)、及び5~10員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はハロゲン、シアノ、C3-6脂環式基、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC1-6アルキル、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC3-10脂環式基、
(3)ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノ、1~5個のフッ素で置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-6脂環式基及びC1-6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい4~10員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-6アルコキシ及びC1-6アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC6-10アリール、又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-6アルコキシ及びC1-6アルキル(該アルコキシ及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5~10員のヘテロアリールであり、
Zが、ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-6アルコキシ、及びC1-6アルキル(該アルコキシ、及び該アルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6~10員のヘテロアリールである、
化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0088】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(B)が挙げられる。
(B)
X1が、CR1であり、
X2が、CR2であり、
X3が、CR3であり、
X4が、CR4であり、
R1、R3及びR4が、ともに水素原子であり、
R2が、
(1)水素原子、
(2)フッ素、
(3)クロロ、
(4)シアノ
(5)C1-6アルコキシ、又は
(6)C1-6アルキル(該アルキルはハロゲン、ヒドロキシ、及びC1-6アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基によって置換されていてもよい)であり、
Yが、
(1)フッ素、C3-6脂環式基、5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該脂環式基、該含窒素非アリールヘテロ環基、及び該フェニル基は、それぞれ独立して、フッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5~6員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC1-3アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、5~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニル(該含窒素非アリールヘテロ環基、及び該フェニル基は、それぞれ独立して、フッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)及び5~6員のヘテロアリール(該ヘテロアリール基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC3-6脂環式基、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、C1-6アルコキシ、及び1個のC1-6アルコキシ又は1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよく、窒素原子及び酸素原子からなる群から独立して選ばれる1~2個の原子を含む6~10員のヘテロアリールである、
化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0089】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(C)が挙げられる。
(C)
X1が、CR1であり、
X2が、CR2であり、
X3が、CR3であり、
X4が、CR4であり、
R1、R3及びR4が、ともに水素原子であり、
R2が、フッ素又はシアノであり、
Yが、
(1)1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC5-6脂環式基、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、C1-6アルコキシ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよく、窒素原子及び酸素原子からなる群から独立して選ばれる1~2個の原子を含む6~10員のヘテロアリールである、
化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0090】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(D)が挙げられる。
(D)
X1が、CR1であり、
X2が、CR2であり、
X3が、CR3であり、
X4が、CR4であり、
R1、R3及びR4が、ともに水素原子であり、
R2が、フッ素又はシアノであり、
Yが、
(1)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC5-6脂環式基、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(3)ハロゲン、シアノ、メトキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(4)ハロゲン、シアノ、メトキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、メトキシ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、ピリジル、ピリミジニル、インダゾリル又はイミダゾピリジルである、化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0091】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(E)が挙げられる。
(E)
X1が、CR1であり、
X2が、CR2であり、
X3が、CR3であり、
X4が、CR4であり、
R1、R3及びR4が、ともに水素原子であり、
R2が、フッ素又はシアノであり、
Yが、
(1)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(2)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいピリジルである、化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0092】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(F)が挙げられる。
(F)
X1が、CR1であり、
X2が、CR2であり、
X3が、CR3であり、
X4が、CR4であり、
R1、R3及びR4が、ともに水素原子であり、
R2が、フッ素又はシアノであり、
Yが、
(1)1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC2-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、C5-6脂環式基又はフェニルシクロプロピル、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC2-3アルキル及びフェニル(該フェニル基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、4~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニルオキセタニル又はテトラヒドロピラニル、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、C2-6アルコキシ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6~10員のヘテロアリールである、化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0093】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(G)が挙げられる。
(G)
X1が、CR1であり、
X2が、CR2であり、
X3が、CR3であり、
X4が、CR4であり、
R1、R3及びR4が、ともに水素原子であり、
R2が、フッ素又はシアノであり、
Yが、
(1)1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC2-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、C5-6脂環式基又はフェニルシクロプロピル、
(3)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC2-3アルキル及びフェニル(該フェニル基はフッ素、シアノ、1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキル、及びメトキシからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、4~6員の含窒素非アリールヘテロ環基、フェニルオキセタニル又はテトラヒドロピラニル、
(4)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル又は
(5)ハロゲン、シアノ、ジメチルアミノ、C1-3アルコキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、シアノ、C2-6アルコキシ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、6~10員のヘテロアリール、チエニル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル又はチアジアゾリルである、化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0094】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(H)が挙げられる。
(H)
X1が、CR1であり、
X2が、CR2であり、
X3が、CR3であり、
X4が、CR4であり、
R1、R3及びR4が、ともに水素原子であり、
R2が、フッ素又はシアノであり、
Yが、
(1)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC2-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいC5-6脂環式基、
(2)フッ素、アミノ、ジメチルアミノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC2-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい5員又は6員の含窒素非アリールヘテロ環基、
(3)ハロゲン、シアノ、メトキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(4)ハロゲン、シアノ、メトキシ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、クロロ、シアノ及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい、ピリジル、ピリミジニル、インダゾリル又はイミダゾピリジルである、化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0095】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(I)が挙げられる。
(I)
X1が、CR1であり、
X2が、CR2であり、
X3が、CR3であり、
X4が、CR4であり、
R1、R3及びR4が、ともに水素原子であり、
R2が、フッ素又はシアノであり、
Yが、
(1)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよいフェニル、又は
(2)フッ素、シアノ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される同一又は異なる1~2個の置換基で置換されていてもよい6員のヘテロアリールであり、
Zが、フッ素、クロロ、シアノ、及び1~3個のフッ素で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよいピリジルである、化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0096】
「製薬学的に許容される塩」としては、酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。例えば、酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、又はクエン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。また、塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩等の無機塩基塩、又はトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジベンジルエチルアミン、の有機塩基塩等が挙げられる。さらに、「製薬学的に許容される塩」としては、アルギニン、リジン、オルニチン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸等の塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸とのアミノ酸塩も挙げられる。
【0097】
原料化合物及び中間体の好適な塩及び医薬品原料として許容しうる塩は、慣用の無毒性塩であり、それらとしては、有機酸塩(例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ギ酸塩又はp-トルエンスルホン酸塩等)及び無機酸塩(例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩又はリン酸塩等)のような酸付加塩、アミノ酸(例えばアルギニン、アスパラギン酸又はグルタミン酸等)との塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩又はカリウム塩等)及びアルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩又はマグネシウム塩等)等の金属塩、アンモニウム塩、又は有機塩基塩(例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩又はN,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩等)等の他、当業者が適宜選択することができる。
【0098】
本開示の化合物の塩を取得したいとき、本開示の化合物が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られる場合には、適当な有機溶媒に溶解若しくは懸濁させ、酸又は塩基を加えて通常の方法により塩を形成させればよい。
【0099】
本開示において、式(1)で表される化合物のいずれか1つ又は2つ以上の1Hを2H(D)に変換した重水素変換体も、式(1)で表される化合物に包含される。
本開示には、式(1)で表される化合物、又はその製薬学的に許容される塩が含まれる。また、本開示の化合物は、水和物及び/又は各種溶媒との溶媒和物(エタノール和物等)の形で存在することもあるので、これらの水和物及び/又は溶媒和物も本開示の化合物に含まれる。さらに、本開示には、本開示の化合物(1)のあらゆる互変異性体、存在するあらゆる立体異性体、及びあらゆる様態の結晶形のもの、さらにこれらの混合物も含まれる。
【0100】
本開示の化合物(1)の中には、光学活性中心に基づく光学異性体、分子内回転の束縛により生じた軸性又は面性キラリティーに基づくアトロプ異性体、その他の立体異性体、互変異性体、及び幾何異性体等が存在し得るものがあるが、これらを含め、全ての可能な異性体及びそれらの混合物は本開示の範囲に包含される。
【0101】
特に光学異性体やアトロプ異性体は、ラセミ体として、又は光学活性の出発原料や中間体が用いられた場合には光学活性体として、それぞれ得ることができる。必要であれば、下記製造法の適切な段階で、対応する原料、中間体又は最終品のラセミ体を、光学活性カラムを用いた方法、分別結晶化法等の公知の分離方法によって、物理的に又は化学的にそれらの光学対掌体に分割することができる。具体的には、例えばジアステレオマー法では、光学活性分割剤を用いる反応によってラセミ体から2種のジアステレオマーを形成する。この異なるジアステレオマーは一般に物理的性質が異なるため、分別結晶化等の公知の方法によって分割することができる。
【0102】
本開示の化合物の製造方法について以下に述べるが、本開示の化合物の製造法はこれらに限定されるものではない。
【0103】
本開示の化合物は、これらに限定されないが、例えば、下記に記した製造法によって製造することができる。これらの製造法は、有機合成化学を習熟している者の知識に基づき、適宜改良することができる。下記製造法において、原料として用いられる化合物は、反応に支障をきたさない限り、それらの塩を用いてもよい。
【0104】
下記製造法において、具体的に保護基の使用を明示していなくても、反応点以外のいずれかの官能基が反応条件で変化する場合、又は反応後の処理を実施するのに不適当な場合には、反応点以外を必要に応じて保護し、反応終了後又は一連の反応を行った後に脱保護することにより目的化合物を得ることができる。これらの過程で用いられる保護基としては、文献(T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Group in Organic Synthesis”, 3rd Ed., John Wiley and Sons, Inc., New York (1999))等に記載されている通常の保護基を用いることができる。また、保護基の導入および除去は、有機合成化学で常用される方法(例えば、上記文献に記載の方法等)又はそれらに準じた方法により行うことができる。
【0105】
下記製造法における出発原料および中間体は、市販品として購入可能であるか、又は公知文献に記載された方法もしくは公知化合物から公知の方法に準じて合成することにより入手可能である。また、これらの出発原料および中間体は、反応に支障をきたさない限り、それらの塩を用いてもよい。
【0106】
下記製造法における中間体および目的化合物は、それらの官能基を適宜変換することによって、本開示に含まれる別の化合物へ変換することもできる。その際の官能基の変換は、有機合成化学で常用される方法(例えば、R. C. Larock, “Comprehensive Organic Transformations”, 2nd Ed., John Wiley and Sons, Inc., New York (1999)に記載されている方法等)又はそれらに準じた方法により行うことができる。
【0107】
下記製造法における不活性溶媒とは、反応で用いられる原料、試薬、塩基、酸、触媒、配位子等(以下、「反応で用いられる原料等」と称することもある)と反応しない溶媒を意味する。また、各工程で使用する溶媒が、反応で用いられる原料等と反応する場合であっても、目的の反応が進行して目的化合物が得られる限り、不活性溶媒として使用することができる。
【0108】
式(1)で表される本開示の化合物は、例えば、下記の製造法1~4により製造することができる。
【0109】
製造法1
式(1)で表される化合物のうち、式[A1]で表せられる化合物は、例えば、下記の製法により製造することができる。
【化46】
【0110】
(式中、X11がCR1であり、X21がCR2であり、X31がCR3であり、X41がCR4であり、R1、R2、R3、R4、Y、及びZが項1と同義である。)
【0111】
化合物a1は市販されているものを使用するか、又は公知の方法、例えば、Anais da Academia Brasileira de Ciencias 2015, 87(3), 1525-1529等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0112】
化合物a2は、市販されているものを使用するか、又は公知の方法、例えば、Synthetic Communications (2013), 43(24), 3342-3351、Journal of Organic Chemistry (1986), 51(13), 2613-15等に記載の方法に準じて製造することができる。
【0113】
[工程1-1:環化反応]
化合物a3は、化合物a1と化合物a2とを適当な塩基存在下、無溶媒又は適当な溶媒中で、常圧又は加圧下で反応させることにより製造することができる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはトリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはエタノール又はイソプロパノールが挙げられる。反応時間は、通常5分~48時間であり、好ましくは1時間~12時間である。反応温度は、通常-78℃~150℃であり、好ましくは25℃~150℃である。
【0114】
本反応は、European Journal of Medicinal Chemistry 2016, 112, 106-113、Synthetic Communications 2017, 47(11), 1040-1045等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0115】
[工程1-2:塩素化反応]
化合物a4は、化合物a3を、無溶媒又は適当な溶媒中、適当な塩素化試薬と反応させることにより製造することができる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはトルエン又はクロロホルムが挙げられる。塩素化試薬としては、原料化合物の種類等に従って適宜選択されるべきであるが、例えば、塩化ホスホリル、五塩化リン、塩化チオニル、塩化スルフリル等が挙げられる。これらの塩素化試薬は、それぞれ単独で又は2種以上の混合物として用いられ、好ましくは塩化ホスホリルと五塩化リンの混合物である。反応時間は、通常5分~48時間であり、好ましくは1時間~12時間である。反応温度は、通常-78℃~150℃、好ましくは25℃~150℃である。
【0116】
本反応はJournal of Medicinal Chemistry 2014, 57(5), 2091-2106、Bioorganic & Medicinal Chemistry 2010, 18(8), 2836-2848等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0117】
[工程1-3:置換反応]
化合物A1は、化合物a4と化合物a5とを、無溶媒下又は適当な溶媒中で、常圧又は加圧下で反応させることにより製造することができる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。反応時間は、通常5分~48時間であり、好ましくは5分~12時間である。反応温度は、通常0℃~250℃、好ましくは25℃~200℃である。本反応は、必要に応じて塩基の存在下で行ってもよい。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはリチウム(ビストリメチルシリル)アミド又はフッ化カリウムが挙げられる。
【0118】
化合物a5は、市販されているものを使用するか、又は公知の方法、例えば、The Jurnal of Organic Chemistry 2009, 74 (12), 4542-4546、Organometalics 2017, 36(2), 251-254等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0119】
製造法2
式(1)で表される化合物のうち、式[A1]で表せられる化合物は、例えば、下記の製法によっても製造することができる。
【化47】
【0120】
(式中、X11がCR1であり、X21がCR2であり、X31がCR3であり、X41がCR4であり、R1、R2、R3、R4、Y、及びZが項1と同義である。)
【0121】
[工程2-1:カップリング反応]
化合物A1は、適当な溶媒中で、化合物a4に触媒及び塩基存在下、化合物a5とカップリングすることにより製造される。触媒としては、パラジウム等の遷移金属やその塩、その錯体、ポリマー等の担体に担持させたものが挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくは炭酸セシウム、炭酸カリウム、又はナトリウムt-ブトキシドが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはトルエン、キシレン、ジオキサン、又はN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。反応時間は、通常5分~48時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常0℃~200℃、好ましくは20℃~160℃である。
【0122】
本反応は国際公開第2016/105564号に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0123】
製造法3
式(1)で表される化合物の内、式[C1]で表せられる化合物は、例えば、下記の製法により製造することができる。
【化48】
【0124】
(式中、X1、X2、X3、X4、Y、及びZは項1と同義である)
【0125】
[工程3-1:環化反応]
化合物C1は、Helvetica Chimica Acta (2016), 99(5), 378-383に記載の方法に従い化合物c1と化合物c2を臭化銅及び塩基存在下、無溶媒下又は適当な溶媒中で、常圧又は加圧下で反応させることにより製造することができる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはトリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。反応時間は、通常5分~48時間であり、好ましくは1時間~48時間である。反応温度は、通常0℃~150℃、好ましくは25℃~100℃である。
【0126】
化合物c1は市販されているものを使用するか、又は公知の方法、例えば、国際公開第2001/018536号、国際公開第2001/19788号、Journal of Medicinal Chemistry 1986, 29(8), 1534-1537等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0127】
化合物c2は市販されているものを使用するか、又は製造法1における化合物a2の製造方法に準じて、化合物a5から製造することができる。
【0128】
製造法4
式(1)で表される化合物の内、式[C1]で表せられる化合物は、例えば、下記の製法によっても製造することができる。
【化49】
【0129】
(式中、X1、X2、X3、X4、Y、及びZは項1と同義である)
【0130】
[工程4-1:ワンポット反応]
化合物C1は、化合物d1と化合物d2を適当な溶媒中で、常圧又は加圧下で反応させて得られる溶液と化合物c2を臭化銅及び塩基存在下、常圧又は加圧下で反応させることにより製造することができる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはトリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。反応時間は、化合物d2との反応及び化合物c2との反応ともに通常5分~48時間であり、好ましくは1時間~24時間である。反応温度は、化合物d2との反応及び化合物c2との反応ともに通常0℃~150℃、好ましくは25℃~100℃である。
【0131】
化合物d1は市販されているものを使用するか、又は公知の方法、例えば、Journal of Medicinal Chemistry 2019, 62(3), 1468-1483等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0132】
化合物d2は市販されているものを使用するか、又は製造法1における化合物a5の製造方法に準じて製造することができる。
【0133】
製造法5
式(1)で表される化合物のうち、式[A1]で表せられる化合物は、例えば、下記の製法によっても製造することができる。
【化50】
【0134】
(式中、X11がCR1であり、X21がCR2であり、X31がCR3であり、X41がCR4であり、R1、R2、R3、R4、Y、及びZが項1と同義である。)
【0135】
化合物b1は製造法1における化合物a3の製造方法に準じて製造することができる。
【0136】
[工程5-1:メチル化反応]
化合物b2は、化合物b1を、無溶媒又は適当な溶媒中、適当な塩基の存在下、適当なメチル化試薬と反応させることにより製造することができる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。メチル化試薬としては、原料化合物の種類等に従って適宜選択されるべきであるが、例えば、ヨードメタン、硫酸ジメチル等が挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくは炭酸カリウムが挙げられる。反応時間は、通常5分~48時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常-78℃~150℃、好ましくは0℃~100℃である。
【0137】
本反応はChemMedChem 2009, 4(5), 866-876等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0138】
[工程5-2:置換反応]
化合物A1は、化合物b2と化合物d2とを、無溶媒下又は適当な溶媒中、適当な塩基の存在下、常圧又は加圧下で反応させることにより製造することができる。溶媒としては、後記に例示される溶媒等から適宜選択されるが、テトラヒドロフラン等が挙げられる。塩基としては、後記に例示される塩基等から適宜選択されるが、好ましくはカリウムt-ブトキシドが挙げられる。反応時間は、通常5分~48時間であり、好ましくは5分~12時間である。反応温度は、通常-78℃~150℃、好ましくは0℃~100℃である。
【0139】
上記の各製造法の各工程において使用される塩基は、反応や原料化合物の種類等によって適時選択されるべきであるが、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムのような重炭酸アルカリ類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムのような炭酸アルカリ類、フッ化カリウム、フッ化セシウムのような金属フッ化物、水素化ナトリウム、水素化カリウムのような金属水素化類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウム(ビストリメチルシリル)アミドのような有機金属塩基類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)のような有機塩基類が挙げられる。
【0140】
上記の各製造法の各工程において使用される溶媒は、反応や原料化合物の種類等によって適時選択されるべきであるが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール類、アセトン、メチルケトンのようなケトン類、塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンのようなエーテル類、トルエン、ベンゼン、キシレンのような芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドンのようなアミド類、ジメチルスルホキシド(DMSO)のようなスルホキシド類、アセトニトリルのようなニトリル類が挙げられ、これらの溶媒は単独又は2種類以上混合して用いることができる。また反応の種類によっては、有機塩基類を溶媒として用いてもよい。
【0141】
式(1)で表される本開示の化合物又はその中間体は、当業者に公知の方法で分離、精製することができる。例えば、抽出、分配、再沈殿、カラムクロマトグラフィー(例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、イオン交換カラムクロマトグラフィー若しくは分取液体クロマトグラフィー)又は再結晶等が挙げられる。
【0142】
再結晶溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール若しくは2-プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、ベンゼン若しくはトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、ジクロロメタン若しくはクロロホルム等のハロゲン系溶媒、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド若しくはアセトニトリル等の非プロトン系溶媒、水、又はこれらの混合溶媒等を用いることができる。その他の精製方法としては、実験化学講座(日本化学会編、丸善)1巻等に記載された方法等を用いることができる。また、本開示の化合物の分子構造の決定は、それぞれの原料化合物に由来する構造を参照して、核磁気共鳴法、赤外吸収法、円二色性スペクトル分析法等の分光学的手法、及び質量分析法により容易に行える。
【0143】
また、上記製造方法における中間体又は最終生成物は、その官能基を適宜変換すること、また特に、アミノ、水酸基、カルボニル、ハロゲン等から種々の側鎖を伸張すること、及び、その際に必要に応じて下記の保護、脱保護を行うことによって、本開示に含まれる別の化合物へ導く事もできる。官能基の変換及び側鎖の伸張は、通常行われる一般的方法(例えば、Comprehensive Organic Transformations, R. C. Larock, John Wiley
& Sons Inc.(1999)等を参照)によって行うことができる。
【0144】
アミノの保護基としては、例えば、アルキルカルボニル(例えば、アセチル、プロピオニル)、ホルミル、フェニルカルボニル、アルキルオキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル)、フェニルオキシカルボニル、アリールアルキルオキシカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニル)、トリチル、フタロイル、トシル、ベンジルが用いられる。
【0145】
カルボキシルの保護基としては、例えば、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル)、フェニル、ベンジル、トリチル、シリル(例えば、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル)が用いられる。
【0146】
ヒドロキシの保護基としては、例えば、メチル、tert-ブチル、アリル、置換されているメチル(例えば、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル)、エトキシエチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、トリチル、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、アルキルカルボニル(例えば、アセチル、プロピオニル)、ホルミル、ベンゾイル、アリールアルキルオキシカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニル)、シリル(例えば、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル)が用いられる。
【0147】
カルボニルの保護は、カルボニルをアサイクリックケタール(ジメチルケタールやジエチルケタール等)やサイクリックケタール(1,3-ジオキソランや1,3-ジオキサン等)に変換させることによって行うことができる。
【0148】
式(1)で表される本開示の化合物又はその製薬学的に許容される塩には、不斉が生じる場合又は不斉炭素を有する置換基を有する場合があり、そのような化合物にあっては光学異性体が存在する。本開示の化合物にはこれらの各異性体の混合物や単離されたものも含まれ、通常の方法に従って製造することができる。
【0149】
製造方法としては、例えば、不斉点を有する原料を用いる方法か、又は途中の段階で不斉を導入する方法が挙げられる。例えば、光学異性体の場合、光学活性な原料を用いるか、製造工程の適当な段階で光学分割等を行うことで、光学異性体を得ることができる。光学分割法としては、例えば、式(1)で表される化合物又はその中間体が、塩基性官能基を有する場合には、不活性溶媒中(例えばメタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン等の炭化水素系溶媒、アセトニトリル等の非プロトン系溶媒、又は上記溶媒から選択される2種以上の混合溶媒)、光学活性な酸(例えば、マンデル酸、N-ベンジルオキシアラニン、乳酸等のモノカルボン酸、酒石酸、o-ジイソプロピリデン酒石酸、リンゴ酸等のジカルボン酸、カンファースルホン酸、ブロモカンファースルホン酸等のスルホン酸)を用いて塩を形成させるジアステレオマー法が挙げられる。
【0150】
式(1)で表される本開示の化合物又はその中間体が、カルボキシル基等の酸性官能基を有する場合には、光学活性なアミン(例えば1-フェニルエチルアミン、キニン、キニジン、シンコニジン、シンコニン、ストリキニーネ等の有機アミン)を用いて、塩を形成させることにより、光学分割を行うこともできる。
【0151】
塩を形成させる温度としては、-50℃から溶媒の沸点までの範囲、好ましくは0℃から沸点までの範囲、より好ましくは室温から溶媒の沸点までの範囲から選択される。光学純度を向上させるためには、一旦、溶媒の沸点付近まで温度を上げることが望ましい。析出した塩を濾取する際、必要に応じて冷却し、収率を向上させることができる。 光学活性な酸又はアミンの使用量は、基質に対し約0.5~約2.0当量の範囲、好ましくは1当量前後の範囲が適当である。必要に応じ結晶を不活性溶媒中(例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;トルエン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル等の非プロトン系溶媒;又は上記溶媒から選択される2種以上の混合溶媒)で再結晶し、高純度の光学活性な塩を得ることもできる。また、必要に応じて光学分割した塩を通常の方法で酸又は塩基で処理し、フリー体として得ることもできる。
【0152】
以上説明した各々の製造法における原料、中間体のうち、特にあらためてその製造法を記載しなかったものについては、市販化合物であるか、又は市販化合物から当業者に公知の方法、若しくはそれに準じた方法によって合成することができる。
【0153】
本開示は、神経興奮の異常が関与する障害又は疾患を治療又は予防するための、本発明の化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物を提供する。「神経興奮の異常が関与する障害又は疾患」とは、神経回路の興奮シグナルと抑制シグナルのバランスがくずれることにより生じる中枢神経の障害又は疾患をいう。例えば、てんかん、発達障害(自閉スペクトラム症、レット症候群、アンジェルマン症候群、脆弱X症候群、注意欠如多動症等)、精神障害(統合失調症、双極性障害、うつ、不安障害、強迫性障害等)、認知障害(アルツハイマー病やその他認知症、パーキンソン病等)が挙げられる。「てんかん」とは、てんかん発作、てんかん重積、てんかん症候群(ドラベ症候群、大田原症候群、ウエスト症候群、レノックス・ガストー症候群、常染色体性優性夜間前頭葉てんかん、海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん、ラスムッセン症候群等)、構造的/代謝性の原因に帰するてんかん(皮質形成異常、神経皮膚症候群(結節性硬化症複合体、Sturge-Weber症候群等)等)等、また、これらに併発する発達障害、精神障害、認知障害等を含む。「てんかん発作」は、「脳における過剰かつ、あるいは同期する異常なニューロンの活動によって一過性に起こる兆候又は症状」であり(国際抗てんかん連盟によるてんかん発作型の操作的分類:ILAE 分類・用語委員会の公式声明(Operational Classification of Seizure Types, Fisher, 2017)、例えば、強直発作、間代発作、欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作を含む全般発作、焦点発作、分類不明の発作が挙げられる。「神経興奮の異常が関与する障害又は疾患」として、好ましくは、てんかん、発達障害である。
【0154】
本開示の化合物のてんかんに対する効果は、例えば、培養神経細胞の過剰興奮に対する抑制活性、てんかんモデル動物の痙攣又は異常脳波(棘波や棘徐波等)に対する抑制活性を指標として評価することができる。発達障害、精神障害、認知障害に対する効果は、例えば、Buccafusco, Jerry J. "Methods of behavior analysis in neuroscience" Crc Press, 2008.、Silverman及びJill L., et al. "Behavioural phenotyping assays for mouse models of autism." Nature Reviews Neuroscience 11.7 (2010): 490-502.に記載されるモデル動物の社会的相互作用を指標とした3チャンバー試験、反復・常同行動を指標とした反復的身づくろい行動試験、ガラス玉覆い隠し試験、多動行動を指標とした自発運動量試験、うつ病様行動を指標とした強制水泳試験、認知機能を指標とした新奇物体認識試験又はY字型迷路試験等を用いて評価することができる。
【0155】
なお、本開示において、「予防」とは、疾患を発症していない健常人に対して本開示の有効成分を投与する行為であり、例えば、疾患の発症を防止することを目的とするものである。「治療」とは、医師により疾患を発症していると診断をされた人(患者)に対して本開示の有効成分を投与する行為である。
【0156】
本開示の化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与又は直腸内投与のいずれでもよく、その一日投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なる。例えば、経口投与の場合は、通常、ヒト又は哺乳動物1kg体重当たり約0.01~1000mg、更に好ましくは約0.1~500mgを1~数回に分けて投与することができる。静注等の非経口投与の場合は、通常、例えば、ヒト又は哺乳動物1kg体重当たり約0.01mg~300mg、更に好ましくは約0.01mg~100mgを投与することができる。
【0157】
本開示の化合物は、経口投与又は非経口投与により、直接又は適当な剤形を用いて製剤にし、投与することができる。剤形は、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、注射剤、貼付剤、パップ剤等が挙げられるがこれに限らない。製剤は、薬学的に許容される添加剤を用いて、公知の方法で製造される。添加剤は、目的に応じて、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、コーティング剤、溶解剤、溶解補助剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、甘味剤、香料等を用いることができる。具体的には、例えば、乳糖、マンニトール、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
【0158】
本開示の化合物は、他の抗てんかん薬、抗うつ薬、抗不安薬、又は抗精神病薬に分類される少なくとも1種以上の薬剤と併用することができ、これらを治療又は予防のために投与することができる。抗てんかん薬に分類される薬剤としては、例えば、フェニトイン、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、酢酸エスリカルバゼピン、レチガビン、ラモトリギン、ゾニサミド、トピラマート、バルプロ酸ナトリウム、ガバペンチン、ビガバトリン、プレガバリン、フェノバルビタール、クロナゼパム、クロバザム、ジアゼパム、フェルバメート、ルフィナミド、エトスクシミド、レベチラセタム、ブリバラセタム、ペランパネル、スチリペントール、カンナビジオール、フェンフルラミン等が挙げられ、好ましくは、カルバマゼピン、ラモトリギン、トピラマート、バルプロ酸ナトリウム、クロナゼパム、クロバザム、エトスクシミド、レベチラセタム、スチリペントール、カンナビジオール、フェンフルラミンである。抗うつ薬に分類される薬剤としては、例えば、SSRIと呼ばれるフルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、シタロプラム等、SNRIと呼ばれるデュロキセチン、ミルナシプラン等、三環系抗うつ薬と呼ばれるイミプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミン、アモキサピン等が挙げられる。抗不安薬に分類される薬剤としては、例えば、ベンゾジアゼピン系抗不安薬と呼ばれるエチゾラム、ロラゼパム等、アザピロン系抗不安薬と呼ばれるタンドスピロン等が挙げられる。抗精神病薬に分類される薬剤としては、例えば、定型抗精神病薬と呼ばれるハロペリドール、スピペロン、クロルプロマジン等、SDAと呼ばれるリスペリドン、クエチアピン、オランザピン、クロザピン、ペロスピロン、アリピプラゾール等が挙げられる。以下、本発明化合物と併用し得る薬物を、併用薬剤と略記する。
【0159】
本発明化合物および併用薬剤の投与期間は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本発明化合物と併用薬剤の合剤としてもよい。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01~100重量部用いればよい。また、その副作用抑制の目的として、制吐剤、睡眠導入剤、抗痙攣薬などの薬剤(併用薬剤)と組み合わせて用いることができる。
【0160】
本明細書において「又は」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値の範囲内」として明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
【0161】
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
【0162】
以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本開示を限定する目的で提供したのではない。従って、本開示の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例0163】
以下に本開示を、参考例、実施例及び試験例により、さらに具体的に説明するが、本開示はもとよりこれに限定されるものではない。尚、以下の参考例及び実施例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。
【0164】
明細書の記載を簡略化するために参考例、実施例及び実施例中の表において以下に示すような略号を用いることもある。置換基として用いられる略号としては、Phはフェニルを意味する。試薬として用いられる略号としては、TFAはトリフルオロ酢酸、DMFはN,N-ジメチルホルムアミド、HATUは1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸を意味する。NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、ddは二重線の二重線、dtは二重線の三重線、tdは三重線の二重線、tは三重線、qは四重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線及びJは結合定数を意味する。
【0165】
高速液体クロマト質量分析計;LCMSの測定条件は、以下の通りであり、観察された質量分析の値[MS(m/z)]をMH+で、保持時間をRt(分)で示す。なお、各実測値においては、測定に用いた測定条件を付記する。
【0166】
測定条件A
検出機器:ACQUITY(登録商標)SQ detector(Waters社)
HPLC:ACQUITY UPLC(登録商標)SYSTEM
Column:Waters ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18(1.7um, 2.1mm × 30mm)
Solvent:
A液;0.05%ギ酸/H2O、B液;アセトニトリル
Gradient Condition:
0.0-1.3分(linear gradient from B 10% to 95%)
1.3-1.5分(B 10%)
Flow rate:0.8ml/分
UV:220nm and 254nm
カラム温度:40℃
【0167】
測定条件B
検出機器:ACQUITY(登録商標)SQ detector(Waters社)
HPLC:ACQUITY UPLC(登録商標)SYSTEM
Column:Waters ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18(1.7um, 2.1mm × 30mm)
Solvent:
A液;0.06%ギ酸/H2O、B液;0.06%ギ酸/アセトニトリル
Gradient Condition:
0.0-1.3分(linear gradient from B 2% to 96%)
1.3-1.5分(B 96%)
1.5-2.2分(B 2%)
Flow rate:0.8ml/分
UV:220nm and 254nm
カラム温度:40℃
【0168】
測定条件C
検出機器:島津 LCMS-2020
Column:Phenomenex Kinetex(1.7μm C18,50 mm×2.10 mm)
Solvent:
A液:0.05% TFA/H2O、B液:0.05% TFA/アセトニトリル
Gradient Condition:
0.0-1.7分(linear gradient from B 1% to 99%)
1.7-1.9分(B 99%)
1.9-3.0分(B 1%)
Flow rate:0.5ml/分
UV:254 nm
カラム温度:40℃
【0169】
参考例1
2-クロロ-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【化51】
【0170】
a)3-フェニル-2-チオキソ-2,3-ジヒドロキナゾリン-4(1H)-オン(化合物A3)の製造
アントラニル酸(2.0g)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(6.4ml)のエタノール(70ml)溶液にイソチオシアン酸フェニル(2.6ml)を加え、過熱還流下16時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、生じた固体をろ取、酢酸エチル及びヘキサンで洗浄した。固体を室温で減圧乾燥することにより化合物A3(3.2g)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ:7.24-7.30 (2H, m), 7.32-7.52 (5H, m), 7.76-7.82 (1H, m), 7.96 (1H, dd, J = 8.0, 1.4 Hz), 13.05 (1H, s).
【0171】
b)2-クロロ-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン(参考例1)の製造
化合物A3(2.8g)、五塩化リン(3.7g)及びオキシ塩化リン(21ml)の混合物を130℃で16時間攪拌した。反応液を氷水に注ぎ、生じた固体をろ取、水洗した。粗生成物を酢酸エチルに溶解し飽和食塩水、続いて飽和重曹水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮して参考例1(2.0g)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ: 7.30-7.35 (2H, m), 7.50-7.64 (4H,m), 7.79-7.92 (2H, m), 8.30 (1H, dd, J = 7.9, 1.4 Hz).
【0172】
参考例2
2-アミノ-5-シアノ-N-フェニルベンズアミド
【化52】
【0173】
2-アミノ-5-シアノ安息香酸(2.00g)のDMF(12ml)溶液にアニリン(1.15g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.75g)及びHATU(4.69g)を加え、室温で20時間撹拌した。反応液に水を加え、析出した固体をろ取して参考例2(2.78g)を得た。
LC-MS(測定条件A),m/z; 238 (M+H)+ ESI, Rt; 0.76.
【0174】
参考例3
3-フルオロ-5-イソチオシアナトピリジン
【化53】
【0175】
5-フルオロピリジン-3-アミン(0.56g)のジクロロメタン(10ml)溶液に1,1’-チオカルボニルビス(ピリジン-2(1H)-オン)(1.15g)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル)で精製して、参考例3(0.5g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ:8.60-8.61 (2H, m), 8.03 (1H, d, J = 9.6 Hz).
【0176】
参考例4
6-フルオロ-3-(5-フルオロピリジン-3-イル)-2-(メチルチオ)キナゾリン-4(3H)-オン
【化54】
【0177】
c)6-フルオロ-3-(5-フルオロピリジン―3-イル)-2-チオキソ-2,3-ジヒドロキナゾリン-4(1H)-オン(化合物B1)の製造
2-アミノ-5-フルオロ安息香酸(4.0g)のジオキサン(80ml)溶液に3-フルオロ-5-イソチオシアナトピリジン(5.8g)及びトリエチルアミン(5.4ml)を加え、85℃で2時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、生じた固体をろ取、トルエンで洗浄した。固体を室温で減圧乾燥することにより化合物B1(6.5g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ:7.51 (1H, dd, J = 9.2, 4.3 Hz), 7.69-7.76 (2H, m), 7.87-7.91 (1H, m), 8.43-8.44 (1H, m), 8.65-8.66 (1H, m), 13.29 (1H, s).
【0178】
b)6-フルオロ-3-(5-フルオロピリジン-3-イル)-2-(メチルチオ)キナゾリン-4(3H)-オン(参考例4)の製造
化合物B1(4.3g)のDMF(30ml)溶液に炭酸カリウム(2.8g)を加え、8~15℃でヨードメタン(1.0ml)を滴下し、同温で1.5時間撹拌した。反応液に水を加え、室温で1時間撹拌した後、生じた固体をろ取、水洗した。固体を室温で減圧乾燥することにより参考例4(4.3g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ:2.53 (3H, s), 7.70-7.79 (3H, m), 8.16-8.19 (1H, m), 8.64-8.65 (1H, m), 8.82 (1H, d, J = 3.1 Hz).
【0179】
参考例5
2-アミノ-5-シアノ-N-(o-トルイル)ベンズアミド
【化55】
【0180】
参考例2と同様の方法により合成した。
LC-MS(測定条件A),m/z; 252 (M+H)+ ESI, Rt; 0.76.
【0181】
実施例1
2-(ベンゾ[d]オキサゾール-5-イルアミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【化56】
参考例1(100mg)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(14mg)及び1,3-ベンズオキサゾール-5-アミン(104mg)のDMF(2ml)溶液を130℃で24時間攪拌した。反応液を濃縮した後、粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(溶出溶媒;水:アセトニトリル)で精製することにより実施例1(10mg)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3) δ:6.16 (1H, brs), 7.25-7.33 (2H, m), 7.44-7.59 (4H, m), 7.64-7.74 (4H, m), 8.12 (1H, s), 8.21 (1H, dd, J = 7.9, 1.6 Hz), 8.25 (1H, d, J = 2.1 Hz).
【0182】
実施例2
2-((1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【化57】
参考例1(100mg)、1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-6-アミン(63mg)、炭酸セシウム(250mg)のジオキサン/DMF(1.2/0.4ml)溶液に4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(23mg)及び酢酸パラジウム(9mg)を加え160℃で40分間攪拌した。反応液をセライトろ過し、ろ液を濃縮して得られた粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(溶出溶媒;水:アセトニトリル)で精製することにより実施例2(13.0mg)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3) δ:3.90 (3H, s), 6.13 (1H, brs), 6.87 (1H, dd, J = 9.0, 3.0 Hz), 7.27-7.32 (1H, m), 7.46-7.55 (3H, m), 7.62-7.74 (5H, m), 7.89 (1H, s), 8.20-8.25 (2H, m).
【0183】
実施例3
4-オキソ-3-フェニル-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル
【化58】
参考例2(4.0g)のDMF(17ml)溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.3ml)、3-イソチオシアナトピリジン(2.26ml)及び臭化銅(2.9g)を加え、85℃で3時間撹拌した。反応液にアンモニア水を加え、セライトろ過し、ろ液をクロロホルムで抽出した後、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮して得られた粗生成物をアセトニトリルから再結晶することにより実施例3(1.52g)を結晶(I結晶)として得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ:7.33-7.36 (2H, m), 7.51-7.63 (5H, m), 7.85 (1H, brs), 7.95 (1H, dd, J = 8.5, 1.8 Hz), 8.19 (1H, brs), 8.29-8.30 (2H, m), 8.59 (1H, brs).
[I結晶]粉末X線回折パターンは
図1に示す。
主要回析ピーク:2θ(°)=7.75、10.32、13.91、15.50、16.35、21.23、23.36、23.87、25.11、25.93
特徴的回折ピーク:2θ(°)=7.75、10.32、15.50、23.36
【0184】
実施例4
6-フルオロ-2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-3-(o-トルイル)キナゾリン-4(3H)-オン
【化59】
6-フルオロ-2H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4(1H)-ジオン(181mg)及びo-トルイジン(113mg)のDMF(1ml)溶液を85℃で6時間攪拌した後、室温で反応液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.27ml)、参考例3(200mg)及び臭化銅(186mg)を加え、85℃で2時間撹拌した。反応液をセライトろ過し、ろ液をクロロホルムで抽出した後、飽和塩化アンモニウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮して得られた粗生成物をアセトニトリルから再結晶することにより実施例4(83mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ:2.10 (3H, s), 7.41-7.48 (5H, m), 7.57-7.68 (2H, m), 8.02 (2H, m), 8.25 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.54 (1H, brs).
【0185】
実施例5~232
対応する原料化合物を用いて実施例1~4と同様の方法により、表1-1から表1-35に示す化合物を得た。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【表1-20】
【表1-21】
【表1-22】
【表1-23】
【表1-24】
【表1-25】
【表1-26】
【表1-27】
【表1-28】
【表1-29】
【表1-30】
【表1-31】
【表1-32】
【表1-33】
【表1-34】
【表1-35】
【0186】
実施例233
6-フルオロ-2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【化60】
カリウムt-ブトキシド(587mg)のTHF(15ml)溶液にアニリン(0.5ml)及び参考例4(1.5g)を加え、室温で2.5時間攪拌した。カリウムt-ブトキシド(588mg)を加え、室温で1.5時間攪拌した。反応液に水を加え、生じた固体をろ取、水洗した。固体を室温で減圧乾燥することに表題化合物(964mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ:7.53-7.59 (3H, m), 7.65-7.75 (5H, m), 8.07-8.11 (2H, m), 8.32 (1H, d, J = 2.4 Hz), 8.62 (1H, brs).
【0187】
実施例234
6-フルオロ-3-フェニル-2-(ピリジン-3-イルアミノ)キナゾリン-4(3H)-オン
【化61】
実施例12(3.79g)をアセトニトリルから再結晶することにより表題化合物(3.25g)を結晶(II結晶)として得た。
[II結晶]粉末X線回折パターンは
図2に示す。
主要回析ピーク:2θ(°)=7.80、10.82、13.67、15.59、16.62、18.41、21.32、23.47、24.33、25.46
特徴的回折ピーク:2θ(°)=7.80、10.82、13.67、15.59
【0188】
実施例235
6-フルオロ-2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン
【化62】
実施例233(12.0g)をエタノールから再結晶することにより表題化合物(11.6g)を結晶(III結晶)として得た。
[III結晶]粉末X線回折パターンは
図3に示す。
主要回析ピーク:2θ(°)=7.79、8.40、10.66、13.80、15.62、16.46、21.52、23.53、23.95、25.38
特徴的回折ピーク:2θ(°)=7.79、8.40、13.80、25.38
【0189】
実施例236
4-オキソ-2-(ピリジン-3-イルアミノ)-3-(o-トルイル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル
【化63】
参考例5(2.4g)のDMF(10ml)溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.4ml)、3-イソチオシアナトピリジン(1.3ml)及び臭化銅(1.6g)を加え、85℃で3時間撹拌した。反応液にアンモニア水を加え、セライトろ過し、ろ液をクロロホルムで抽出した後、飽和塩化アンモニウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル)で精製した。得られた粗生成物をエタノールから再結晶することにより表題化合物(1.3g)を結晶(IV結晶)として得た。
[IV結晶]粉末X線回折パターンは
図4に示す。
主要回析ピーク:2θ(°)=8.15、13.66、13.92、16.32、21.04、21.22、22.10、25.12、25.37、25.83
特徴的回折ピーク:2θ(°)=8.15、16.32、25.37、25.83
【0190】
実施例237
2-((5-フルオロピリジン-3-イル)アミノ)-4-オキソ-3-(o-トルイル)-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-カルボニトリル
【化64】
実施例114(5.4g)をエタノールから再結晶することにより表題化合物(2.3g)を結晶(V結晶)として得た。
[V結晶]粉末X線回折パターンは
図5に示す。
主要回析ピーク:2θ(°)=8.07、10.19、11.62、15.86、16.18、22.13、24.51、26.43、26.83、27.54
特徴的回折ピーク:2θ(°)=8.07、15.86、16.18、26.43
【0191】
上記、実施例中の粉末X線回折測定は、以下に示す条件で測定した。得られた回折パターン(XRDスペクトル)を
図1~
図5に示す。
【0192】
結晶形の特定にあたっては、
図1~
図5の回折図に示される各結晶の特徴的回折ピークを元に判断すればよい。
【0193】
図1~
図5の回折パターンから特定した主要回折ピークおよび特徴的回折ピークは、実施例3、234、235、236、237に示した。なお、実施例に記載した回折角2θ(°)における回折ピーク値は、測定機器により、もしくは測定条件等により、多少の測定誤差が生じることがある。具体的には、測定誤差は±0.2、好ましくは±0.1の範囲内であってもよい。
【0194】
粉末X線回折測定法:
検出機器:スペクトリス Power X-ray diffraction system Empyrean
X線管球:CuKα(波長:1.54オングストローム)
管電圧:45kV
管電流:40mA
測定範囲:4~40度(2θ)
ステップ幅:0.013度
積算時間:100秒/ステップ
【0195】
試験例
以下に、本開示の代表的化合物の薬理試験結果を示し、該化合物についての薬理作用を説明するが、本開示はこれらの試験例に限定されるものではない。
【0196】
試験例1:SCN1A遺伝子欠損ヒトiPS細胞から分化誘導した神経細胞を用いた過剰興奮抑制活性測定試験
(1)ヒトiPS細胞から神経細胞への分化誘導
健常人由来iPS細胞株(クローン名201B7,京都大学iPS細胞研究所より入手)から樹立したSCN1A遺伝子変異細胞をグルタミン酸作動性興奮性神経細胞あるいはγ-アミノ酪酸(GABA)作動性抑制性神経細胞へと分化誘導し、NeuroCult SM1 Neuronal Supplement、N2 Supplement-A、20ng/mL BDNF、20 ng/mL GDNF、1mM dibutyryl cAMP、200nM ascorbic adidを含むBrainPhys Neuronal Medium(STEMCELL Technologies社製, cat#ST-05793)を用いて維持した。分化誘導7日後、グルタミン酸作動性興奮性神経細胞とGABA作動性抑制性神経細胞を4:1の割合で混合し、ポリ-L-リシン(シグマアルドリッチ社製,cat#P4707)およびiMatrix-511 silk(マトリクソーム社製, cat#892021)でコートした384ウェルプレート(コーニング社製, Cat#353962)上に播種した。培養液は3~4日に1回、半量交換した。
【0197】
(2)蛍光カルシウムプローブ処置、化合物添加及び細胞内カルシウム濃度の評価
分化誘導60日目以降に培養液を半量除去し、蛍光カルシウムプローブ(モレキュラー・デバイス社製,商品名FLIPR Calcium 6 Assay Bulk Kit,cat#R8191)を含む測定用培地を残りの培地の等量添加し、30分静置した後測定に供した。測定用培地は20mM Hepes(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製,cat#15630-080)、0.1%牛血清アルブミン(シグマアルドリッチ社製,cat#A9576)含有Hank’s緩衝液(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製,cat#14065-056)を用いた。
【0198】
試験化合物は最終濃度が0.1~100μMとなるようにジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を段階希釈し、最終濃度の6倍濃度液を作製した。
【0199】
カルシウムプローブの蛍光強度をFDSS7000EX(浜松ホトニクス社製)で経時的に測定し、細胞内カルシウム濃度の変化を評価した。まず、2分間の蛍光強度測定を行った後に、化合物をFDSS7000EXを用いて添加し、さらに8分間の蛍光強度測定を行った。自発的なカルシウム振動の振動数を神経興奮の指標として定量し、化合物添加前2分間の振動数を100%として、化合物添加後の最後の2分間の振動数の割合を算出した。試験化合物ごとに段階希釈各濃度での阻害活性(%)を求め、各試験化合物の50%阻害濃度(IC50)又はある濃度(表2-1、2-2において@の後に記載される濃度)での阻害率(%)を求めた。代表的化合物の阻害活性データを表2-1、2-2に示す。
【表2-1】
【表2-2】
【0200】
上表に示すように、本開示の化合物はSCN1A遺伝子欠損ヒトiPS細胞から分化誘導した神経細胞を用いた過剰興奮抑制活性測定試験において抑制活性を示した。
【0201】
試験例2:SCN1A変異動物を用いたてんかん性棘波評価
本試験はSCN1A遺伝子機能欠失型遺伝子変異に伴って発現するてんかん性棘波に対する薬物の抑制作用を評価する試験である。この試験で用いる動物モデルは、BALB/c-Scn1a<+/->マウス(カタログ番号:RBRC06422;本モデルマウスは、文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研バイオリソース研究センター(理研BRC)より提供を受けることができ、ドラベ症候群患者と同様にSCN1A遺伝子に欠失型遺伝子変異を有しており、体温上昇に伴う熱性痙攣を呈するドラベ症候群の表現型であり、自然発症ドラベ症候群のモデル動物として使用することができる(参考:てんかん治療研究振興財団 研究年報 2015:26:69-76))とC57BL/6Jマウスを掛け合わせ作出したF1である。
上記のSCN1A遺伝子変異マウス(6~10週齢)に対し、約43℃の温浴を用いて保温することにより内部温度を上昇させたプラスチックチャンバーに同マウスを投入、継続的に保温することによって体温を上昇させることで熱性痙攣を誘導した。熱性痙攣誘導2週間以降に同マウスの頭部にヘッドマウント(cat#8201-SS,Pinnacle Technology)を装着した。ヘッドマウント装着後2週間以降にF1のSCN1A遺伝子機能欠失型遺伝子変異マウス(25~32g)を痙攣脳波収録システム(Pinnacle Technology)に接続し、被験化合物を投与した。化合物投与前後3時間のてんかん性棘波頻度を測定し、投与後にてんかん性棘波頻度が50%抑制される用量(ED50)を算出した。結果を以下の表3に示す。
【表3】
【0202】
試験例3:皮下注射ペンテトラゾールモデル(最小痙攣モデル、scPTZ)評価
本試験は、薬物の抗痙攣作用を評価する試験である。この試験で用いる動物モデルは、全般性の欠神発作やミオクロニー発作の表現型である。Slc:ddY系雄性マウス(一群5匹、体重20~30g)に被験化合物を経口投与し、1時間後にペンテトラゾール85mg/kgを皮下投与した。その後、30分間における間代性痙攣の発現の有無を観察し、50%の動物が間代性痙攣の発現する用量(ED50)を算出した。なお、コントロールは0.5%メチルセルロース液を投与した。結果を以下の表4に示す。
【表4】
【0203】
試験例4:最大電撃痙攣モデル(MES)評価
本試験は、試験例3と同様に薬物の抗痙攣作用を評価する試験である。この試験で用いる動物モデルは、全般性強直間代発作や二次性全般化部分発作の表現型である。Slc:ddY系雄性マウス(一群5匹、体重20~30g)に被験化合物を経口投与し、1時間後に角膜より電気刺激(60Hz,50mA,0.2秒間)を与え、誘発される後肢の強直性伸展痙攣の発現抑制を観察し、50%の動物が強直性伸展痙攣を発現する用量(ED50)を算出した。なお、コントロールは0.5%メチルセルロース液を投与した。結果を以下の表5に示す。
【表5】
【0204】
上表に示すように、本開示の化合物は経口投与でSCN1A変異動物を用いたてんかん性棘波評価及び/又は皮下注射ペンテトラゾールモデル(最小痙攣モデル、scPTZ)評価及び/又は最大電撃痙攣モデル(MES)評価において抗痙攣作用を示した。
【0205】
試験例5:ローターロッド評価
本試験は、薬物の協調運動能抑制作用を評価する試験である。Slc:ddy系雄性マウス(体重20~30g)を試験当日にローターロッド装置(直径4cmの円柱棒を回転させる装置、12回転/分)で5分間歩行訓練を行った。一群5匹に被験化合物を経口投与し、50分後にローターロッド装置(15回転/分)に乗せ、180秒間歩行状態を観察した。180秒以内に協調運動障害にて落下した動物数をカウントし、50%の動物が落下する用量(TD50)を算出した。なお、コントロールは0.5%メチルセルロース液を投与した。結果を表6に示す。
【表6】
【0206】
試験例6:3チャンバー試験評価
本試験は自閉スペクトラム症の中核症状である社会性低下に対する薬物の改善作用を評価する試験である。この試験で用いる動物モデルは、試験例2と同様にBALB/c-Scn1a<+/->マウスとC57BL/6Jマウスを掛け合わせ作出したF1である。
【0207】
上記のSCN1A遺伝子変異マウス(6~10週齢)に対し、約43℃の温浴を用いて保温することにより内部温度を上昇させたプラスチックチャンバーに同マウスを投入、継続的に保温することによって体温を上昇させることで熱性痙攣を誘導する。熱性痙攣誘導2週間以降に3チャンバー試験を実施する。3チャンバー試験装置の片側の部屋におとりマウスを入れたカゴを、もう一方の部屋に物体を入れたカゴを静置する。F1のSCN1A遺伝子機能欠失型遺伝子変異マウス(25~32g)に被験化合物を経口投与し、1時間後にマウスを10分間装置内を自由に探索させる。その際のおとりマウスおよび物体へのsniffing時間を測定する。
【0208】
試験例7:新奇物体認識試験(Novel Object Recognition Test、以下、「NORT」という場合がある。)による認知機能評価
本試験は化合物の認知機能改善作用を評価する試験である。AD(アルツハイマー病)モデルマウスであるAPP-TgマウスまたはrTg4510マウスを用いたNORTにおいて、第一試行(トレーニング)と第二試行(テスト)の間隔時間依存的に、既知物体に対する記憶低下が認められる。例えば、第一試行を行った3時間後に第二試行を行った場合、健常のマウスと比較してAPP-TgマウスやrTg4510マウスは新奇物体と既知物体に対する探索時間に差がなく、顕著な忘却が認められる。
【0209】
本試験で用いるAPP-Tgマウスは、マウスThy-1プロモーター下流にSwedish(K670N/M671L)およびIndiana(V717F)変異を導入したヒトAPP751アイソフォームを連結した発現カセットを構築後、これをマウス受精卵にインジェクションし、仮親に移植することで作出する。作出されたマウスは早期から脳内のAβ蓄積および認知機能障害を呈することから、認知機能評価等に用いることができる。
【0210】
本試験で用いるrTg4510マウスはThe Jackson Laboratoryより購入したTg(tauP301L)4510マウス(Stock No.015815)およびCaMKII-tTAマウス(Stock No.007004)を交配し、繁殖させることで作出する。作出されたマウスは前脳においてヒト型のFTDP-17変異タウを過剰発現し、月齢依存的な脳内タウ凝集体蓄積および認知機能障害を呈することから、認知機能評価等に用いることができる。
【0211】
作出したAPP-TgマウスあるいはrTg4510マウスに対し被験化合物を投与し、投与30~60分後または1ヶ月間の混餌投与後に第一試行を行う。第一試行の3時間後に第二試行を行い、第二試行における新奇物体および既知物体に対する探索時間をそれぞれ評価する。第二試行における新奇物体および既知物体に対する探索時間から識別指数を算出し、これを認知機能の指標として被験化合物未投与群と比較することで被験化合物の認知機能改善作用を確認する。なお、識別指数は以下の数式により算出する。
識別指数={(新奇物体への探索時間)-(既知物体への探索時間)}/{(新奇物体への探索時間)+(既知物体への探索時間)}
【0212】
以上で説明したように、本開示の化合物は、様々なてんかん病態の背景にあると考えらえている神経回路の過剰興奮を抑制する活性を有し、ヒト細胞を用いたてんかんモデルや、複数の痙攣モデル動物において強い抗痙攣活性を示したことから、広範な治療スペクトルを示す抗てんかん薬(てんかん発作(強直発作、間代発作、欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作を含む全般発作、焦点発作、てんかん性スパズム、分類不明の発作)、てんかん重積、てんかん症候群(ドラベ症候群、大田原症候群、ウエスト症候群、レノックス・ガストー症候群、常染色体性優性夜間前頭葉てんかん、海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん、ラスムッセン症候群等)、構造的/代謝性の原因に帰するてんかん(皮質形成異常、神経皮膚症候群(結節性硬化症複合体、Sturge-Weber症候群等)等)等、また、これらに併発する発達障害、精神障害、認知障害等に対する治療薬及び/又は予防薬)として有用である。また、神経回路における興奮シグナルと抑制シグナルのバランス異常を背景にもつ障害又は疾患(発達障害(自閉スペクトラム症、レット症候群、アンジェルマン症候群、脆弱X症候群、注意欠陥多動症等)、精神障害(統合失調症、双極性障害、うつ、不安障害、強迫性障害等)、認知障害(アルツハイマー病やその他認知症、パーキンソン病等)に対しても病態改善効果を発揮することが期待される。
【0213】
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本開示は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本願は、日本国出願である特願2020-77487(2020年4月24日出願)に対して優先権を主張するものであり、その内容はその全体が本明細書において参考として援用される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本開示の化合物は、神経回路の過剰興奮を抑制する活性を有していることから、てんかんに代表される神経興奮の異常が関与する障害又は疾患の治療薬及び/又は予防薬として有用である。