(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037151
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】対流流体装置における核酸の表面ベースの検出方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20220301BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220301BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20220301BHJP
C12Q 1/6837 20180101ALI20220301BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20220301BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20220301BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20220301BHJP
【FI】
C12M1/00 A ZNA
C12M1/34 Z
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6837 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6876 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205691
(22)【出願日】2021-12-20
(62)【分割の表示】P 2018551295の分割
【原出願日】2017-03-28
(31)【優先権主張番号】62/314,909
(32)【優先日】2016-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510166102
【氏名又は名称】ウィリアム マーシュ ライス ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】WILLIAM MARSH RICE UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】6100 Main Street,Houston,TX 77005, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ホダコフ ドミトリー エー
(72)【発明者】
【氏名】チャン デビッド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】核酸配列の対流ベースのPCR及び非酵素的増幅を実施するための方法、組成物及び装置を提供する。
【解決手段】複数のオリゴヌクレオチド複合体を有する表面を含む装置であって、前記オリゴヌクレオチド複合体はそれぞれ、第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを前記表面に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び、第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドを含み、前記第2のDNA配列は、前記第1のDNA配列に相補的であり、それにハイブリダイズされ、前記第2のDNAオリゴヌクレオチドは、蛍光部分を含まず、前記表面に不可逆的に連結されない、装置である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオリゴヌクレオチド複合体を有する表面を含む装置であって、前記オリゴヌクレオチド複合体はそれぞれ、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを前記表面に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2のDNA配列は、前記第1のDNA配列に相補的であり、それにハイブリダイズされ、
前記第2のDNAオリゴヌクレオチドは、蛍光部分を含まず、前記表面に不可逆的に連結されない、装置。
【請求項2】
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一ではない、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のオリゴヌクレオチドのそれぞれが、蛍光部分を含む、請求項1~5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のオリゴヌクレオチドのそれぞれが、蛍光消光剤を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記空間的に離散した領域のそれぞれが、第4のDNA配列と第5のDNA配列とを含む第3のオリゴヌクレオチドを更に含み、前記第4のDNA配列は、前記第3のDNA配列に相補的である、請求項4~5に記載の装置。
【請求項9】
前記第3のオリゴヌクレオチドがそれぞれ、蛍光消光剤部分を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記連結部分が、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項1~10に記載の装置。
【請求項12】
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項1~10に記載の装置。
【請求項13】
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第5のDNA配列のそれぞれが、約5~約20ヌクレオチドの長さを有する、請求項8に記載の装置。
【請求項15】
前記第4のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項8に記載の装置。
【請求項16】
流体反応チャンバであって、
第1の表面と、
前記第1の表面に接触しない第2の表面であって、前記第1及び第2の表面が互いに対向する、第2の表面と、
前記第1の表面及び前記第2の表面に接触し、前記反応チャンバの外側境界を形成する、材料と、
前記第1の表面及び前記第2の表面に接触し、前記反応チャンバの内側境界を形成する、材料と
を含み、
前記第1の表面は、複数のオリゴヌクレオチド複合体を含み、前記オリゴヌクレオチド複合体はそれぞれ、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを前記表面に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2のDNA配列は、前記第1のDNA配列に相補的であり、それにハイブリダイズされ、
前記第2のDNAオリゴヌクレオチドは、前記第1の表面に不可逆的に連結されず、任意で蛍光部分を含まない、流体反応チャンバ。
【請求項17】
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一である、請求項16に記載の流体反応チャンバ。
【請求項18】
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一ではない、請求項16に記載の流体反応チャンバ。
【請求項19】
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、請求項17に記載の流体反応チャンバ。
【請求項20】
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、請求項18に記載の流体反応チャンバ。
【請求項21】
前記第1のオリゴヌクレオチドのそれぞれが、蛍光部分を含む、請求項16~20に記載の流体反応チャンバ。
【請求項22】
前記第2のオリゴヌクレオチドのそれぞれが、蛍光消光剤部分を含む、請求項21に記載の流体反応チャンバ。
【請求項23】
前記空間的に離散した領域のそれぞれが、第4のDNA配列と第5のDNA配列とを含む第3のオリゴヌクレオチドを更に含み、前記第4のDNA配列は、前記第3のDNA配列に相補的である、請求項20~21に記載の流体反応チャンバ。
【請求項24】
前記第3のオリゴヌクレオチドがそれぞれ、蛍光消光剤部分を含む、請求項23に記載の流体反応チャンバ。
【請求項25】
前記連結部分が、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含む、請求項16に記載の流体反応チャンバ。
【請求項26】
前記第1のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項16~25に記載の流体反応チャンバ。
【請求項27】
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項16~25に記載の流体反応チャンバ。
【請求項28】
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項27に記載の流体反応チャンバ。
【請求項29】
前記第5のDNA配列のそれぞれが、約5~約20ヌクレオチドの長さを有する、請求項23に記載の流体反応チャンバ。
【請求項30】
前記チャンバの前記内側及び外側の境界を形成する第1及び第2の表面に接触する前記材料が、40マイクロメートル(40μm)~2ミリメートル(2mm)の厚さを有する、請求項16~29に記載の流体反応チャンバ。
【請求項31】
円形、楕円形、正方形、矩形、三角形、六角形、八角形、菱形又は台形である、請求項16~30に記載の流体反応チャンバ。
【請求項32】
前記流体反応チャンバが均一な温度ではなく、前記反応チャンバの最高温度領域が前記反応チャンバの最低温度領域より少なくとも10℃高い、請求項16~31に記載の流体反応チャンバ。
【請求項33】
前記反応チャンバの前記最低温度領域が、約50℃~約75℃である、請求項16~32に記載の流体反応チャンバ。
【請求項34】
前記反応チャンバの前記最高温度領域が、約80℃~約100℃である、請求項16~33に記載の流体反応チャンバ。
【請求項35】
前記流体反応チャンバ内に配置された流体を更に含み、前記流体溶液は、DNAポリメラーゼ、dNTP及びPCR緩衝液を含む、請求項16~34に記載の流体反応チャンバ。
【請求項36】
標的核酸を増幅する方法であって、
(a)請求項16に記載の流体反応チャンバを提供する工程であって、前記流体反応チャンバは、第1及び第2の熱源と動作可能な関係にあり、前記第1及び第2の熱源は、環状チャンバに異なる第1及び第2の熱レベルを適用することができ、前記第1及び第2の熱レベルは同一ではない、工程と、
(b)前記流体反応チャンバ内に標的核酸配列、DNAポリメラーゼ、dNTP及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)緩衝液を含む流体を導入する工程と、
(c)第1及び第2の熱レベルを前記流体反応チャンバに適用する工程と
を含む、方法。
【請求項37】
前記標的核酸の増幅を検出する工程を更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一ではない、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記第1のオリゴヌクレオチドのそれぞれが、蛍光部分を含む、請求項36~40に記載の方法。
【請求項43】
前記第2のオリゴヌクレオチドのそれぞれが、蛍光消光剤部分を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記空間的に離散した領域のそれぞれが、第4のDNA配列と第5のDNA配列とを含む第3のオリゴヌクレオチドを更に含み、前記第4のDNA配列は、前記第3のDNA配列に相補的である、請求項42~43に記載の方法。
【請求項45】
前記第3のオリゴヌクレオチドがそれぞれ、蛍光消光剤部分を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記連結部分が、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項47】
前記第1のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項36~45に記載の方法。
【請求項48】
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項36~45に記載の方法。
【請求項49】
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第5のDNA配列のそれぞれが、約5~約20ヌクレオチドの長さを有する、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記流体が、非特異的な核酸染色色素を更に含む、請求項36~120に記載の方法。
【請求項52】
前記流体反応チャンバが、円形、楕円形、正方形、三角形、矩形、六角形、八角形、菱形又は台形である、請求項36~51に記載の方法。
【請求項53】
前記流体反応チャンバが、均一な温度ではなく、前記反応チャンバの最高温度領域が前記反応チャンバの最低温度領域より少なくとも10℃高い、請求項36~52に記載の方法。
【請求項54】
前記反応チャンバの前記最低温度領域が、約50℃~約75℃である、請求項36~53に記載の方法。
【請求項55】
前記反応チャンバの前記最高温度領域が、約80℃~約100℃である、請求項36~54に記載の方法。
【請求項56】
第1の表面領域及び第2の表面領域を含む装置であって、
前記第1の表面領域は、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを前記第1の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドであって、前記第2の配列は、前記第1の配列に相補的である、第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2の表面領域は、
第4のDNA配列と、第3のオリゴヌクレオチドを前記第2の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第3のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第4の配列は、前記第2の配列、前記第3の配列、又は少なくとも前記第2の配列の6つの連続するヌクレオチドと前記第3の配列の6つの連続するヌクレオチドとの組み合わせに相補的である、装置。
【請求項57】
第1の表面領域及び第2の表面領域を含む装置であって、
前記第1の表面領域は、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを前記第1の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドであって、前記第2の配列は、前記第1の配列に相補的である、第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2の表面領域は、
第4のDNA配列と、第3のオリゴヌクレオチドを前記第2の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第3のオリゴヌクレオチド、及び
第5のDNA配列と第6のDNA配列とを含む第4のオリゴヌクレオチドであって、前記第5の配列は、前記第4の配列に相補的である、第4のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2の配列は、前記第5の配列に相補的であるか、又は前記第6の配列に相補的である、装置。
【請求項58】
前記第1又は第2のオリゴヌクレオチドが、蛍光部分を含む、請求項56~57に記載の装置。
【請求項59】
前記第1又は第2のオリゴヌクレオチドが、蛍光消光剤を含む、請求項56~57に記載の装置。
【請求項60】
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一である、請求項56~59に記載の装置。
【請求項61】
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一ではない、請求項56~59に記載の装置。
【請求項62】
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、請求項60に記載の装置。
【請求項63】
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、請求項61に記載の装置。
【請求項64】
前記連結部分が、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含む、請求項56~57に記載の装置。
【請求項65】
前記第1のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項56~64に記載の装置。
【請求項66】
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項56~65に記載の装置。
【請求項67】
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項66に記載の装置。
【請求項68】
前記第5のDNA配列のそれぞれが、約5~約20ヌクレオチドの長さを有する、請求項56~67に記載の装置。
【請求項69】
前記第4のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項56~67に記載の装置。
【請求項70】
前記第6のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項56~67に記載の装置。
【請求項71】
流体反応チャンバであって、
第1の表面と、
前記第1の表面に接触しない第2の表面であって、前記第1及び第2の表面が互いに対向する、第2の表面と、
前記第1の表面及び前記第2の表面に接触し、前記反応チャンバの外側境界を形成する、材料と、
前記第1の表面及び前記第2の表面に接触し、前記反応チャンバの内側境界を形成する、材料と
を含み、
(a)前記第1の表面は、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを第1の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドであって、前記第2の配列は、前記第1の配列に相補的である、第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2の表面領域は、
第4のDNA配列と、第3のオリゴヌクレオチドを前記第2の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第3のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第4の配列は、前記第2の配列、前記第3の配列、又は少なくとも前記第2の配列の6つの連続するヌクレオチドと前記第3の配列の6つの連続するヌクレオチドとの組み合わせに相補的であるか、あるいは、
(b)前記第1の表面領域は、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを前記第1の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドであって、前記第2の配列は、前記第1の配列に相補的である、第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2の表面領域は、
第4のDNA配列と、第3のオリゴヌクレオチドを前記第2の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第3のオリゴヌクレオチド、及び
第5のDNA配列と第6のDNA配列とを含む第4のオリゴヌクレオチドであって、前記第5の配列は、前記第4の配列に相補的である、第4のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2の配列は、前記第5の配列に相補的であるか、又は前記第6の配列に相補的である、流体反応チャンバ。
【請求項72】
前記第1又は第2のオリゴヌクレオチドが、蛍光部分を含む、請求項71に記載の流体反応チャンバ。
【請求項73】
前記第1又は第2のオリゴヌクレオチドが、蛍光消光剤を含む、請求項71に記載の流体反応チャンバ。
【請求項74】
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一である、請求項71~73に記載の流体反応チャンバ。
【請求項75】
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一ではない、請求項71~73に記載の流体反応チャンバ。
【請求項76】
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、請求項74に記載の流体反応チャンバ。
【請求項77】
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、請求項75に記載の流体反応チャンバ。
【請求項78】
前記連結部分が、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含む、請求項71に記載の流体反応チャンバ。
【請求項79】
前記第1のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項71~78に記載の流体反応チャンバ。
【請求項80】
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項71~79に記載の流体反応チャンバ。
【請求項81】
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項80に記載の流体反応チャンバ。
【請求項82】
前記第5のDNA配列のそれぞれが、約5~約20ヌクレオチドの長さを有する、請求項71に記載の流体反応チャンバ。
【請求項83】
前記第4のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項80に記載の流体反応チャンバ。
【請求項84】
前記第6のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項71に記載の流体反応チャンバ。
【請求項85】
円形、楕円形、正方形、三角形、矩形、六角形、八角形、菱形又は台形である、請求項71~84に記載の流体反応チャンバ。
【請求項86】
前記流体反応チャンバが均一な温度ではなく、前記反応チャンバの最高温度領域が前記反応チャンバの最低温度領域より少なくとも10℃高い、請求項71~85に記載の流体反応チャンバ。
【請求項87】
前記反応チャンバの前記最低温度領域が、約10℃~約50℃である、請求項71~86に記載の流体反応チャンバ。
【請求項88】
前記反応チャンバの前記最高温度領域が、約51℃~約100℃である、請求項71~87に記載の流体反応チャンバ。
【請求項89】
前記流体反応チャンバ内に配置された流体を更に含み、前記流体は、1つ以上のオリゴヌクレオチド及びハイブリダイゼーション緩衝液を含む、請求項71~88に記載の流体反応チャンバ。
【請求項90】
前記流体が、非特異的な核酸染色色素を更に含む、請求項89に記載の流体反応チャンバ。
【請求項91】
標的核酸を増幅する方法であって、
(a)請求項71に記載の流体反応チャンバを提供する工程であって、前記流体反応チャンバは、第1及び第2の熱源と動作可能な関係にあり、前記第1及び第2の熱源は、環状チャンバに異なる第1及び第2の熱レベルを適用することができ、前記第1及び第2の熱レベルは同一ではない、工程と、
(b)前記流体反応チャンバ内に、標的核酸配列を含む流体を導入する工程と、
(c)第1及び第2の熱レベルを前記流体反応チャンバに適用する工程と
を含む、方法。
【請求項92】
前記標的核酸の増幅を検出する、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記第1又は第2のオリゴヌクレオチドが、蛍光部分を含む、請求項91~92に記載の方法。
【請求項94】
前記第1又は第2のオリゴヌクレオチドが、蛍光消光剤を含む、請求項91~92に記載の方法。
【請求項95】
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一である、請求項91~94に記載の方法。
【請求項96】
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一ではない、請求項91~94に記載の方法。
【請求項97】
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、請求項95に記載の方法。
【請求項99】
前記連結部分が、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項100】
前記第1のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項91~99に記載の方法。
【請求項101】
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項91~100に記載の方法。
【請求項102】
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記第5のDNA配列のそれぞれが、約5~約20ヌクレオチドの長さを有する、請求項91に記載の方法。
【請求項104】
前記第4のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項101に記載の方法。
【請求項105】
前記第6のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、請求項91に記載の方法。
【請求項106】
前記流体反応チャンバが、円形、楕円形、正方形、矩形、三角形、六角形、八角形、菱形又は台形である、請求項91~105に記載の方法。
【請求項107】
前記流体反応チャンバが、均一な温度ではなく、前記反応チャンバの最高温度領域が前記反応チャンバの最低温度領域より少なくとも10℃高い、請求項91~106に記載の方法。
【請求項108】
前記反応チャンバの前記最低温度領域が、約10℃~約50℃である、請求項91~107に記載の方法。
【請求項109】
前記反応チャンバの前記最高温度領域が、約51℃~約100℃である、請求項91~108に記載の方法。
【請求項110】
前記流体が、非特異的な核酸染色色素を更に含む、請求項91~109に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2016年3月29日出願の米国特許仮出願第62/314,909号に対する優先権を主張し、これらの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、科学的及び臨床的な研究並びに診断用途のための、特定の核酸配列の検出及び定量化のための新しい試薬、器具、及び方法を記載する。
【背景技術】
【0003】
背景
ほとんどの商用核酸(NA)アッセイは、分子又はシグナル増幅のために酵素の使用を必要とする。DNAポリメラーゼなどの酵素は、高速かつ特異的であるように最適化されてきた。リソースが限られた条件での凍結乾燥酵素の再生は、コールドチェーンの必要性を低減させる。NEAR、LAMP及びNASBAなどの等温核酸増幅アッセイは、複雑な温度サイクル機器を用いることなく、DNA/RNAプロファイリングを可能にする。これら多くの進歩にもかかわらず、所望の特性(例えば、高速、高忠実度、及び化学物質/インヒビターに対して堅牢)をすべて同時に取り込む酵素を設計する/進化させることが困難であるため、既存の核酸検出技術は未だ、病原体バイオマーカーの迅速なPoC(ポイントオブケア)検出に問題を抱えている。
【0004】
マイクロアレイ、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、分岐状DNAデンドリマー(Panomics)、及び蛍光バーコード(Nanostring)を含む、多数の既存の核酸分析技術は、酵素フリーである。これらのアプローチにおいて、DNA又はRNA標的分子は、化学量論的にリクルートするか又は限られた数の蛍光基に変換される。これは、単一の核酸分子でも無限に増幅され、任意の多数のアンプリコン分子を生産するPCRとは異なる。この結果、生体サンプルに存在する少量のDNA又はRNA標的を検出及び分析するために必要な分子感度を得るため、これらのアプローチには高価かつ嵩高な機器が必要とされ、これらのアプローチの使用は、限られたリソース条件でのPoC用途に制限される。
【0005】
核酸識別技術の別の群では、溶液ベースの酵素フリーのDNA増幅アプローチが採用される。ここで、一本鎖DNA標的分子は、無制限の方法で予め組み立てられたDNA検出複合体から標的と同一配列のDNAオリゴヌクレオチドを触媒によって遊離させることができる。この一群のアプローチに関して、臨床的に関連する検出の限界はまだ実証されていない。これらのシステムでは、標的配列の検出がない場合にアンプリコン分子の遊離を招くDNA「ブリージング」事象により、偽陽性の増幅が存在する。
【発明の概要】
【0006】
このように、本開示によると、
複数のオリゴヌクレオチド複合体を有する表面を含む装置であって、当該オリゴヌクレオチド複合体はそれぞれ、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを表面に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
第2のDNA配列は、第1のDNA配列に相補的であり、それにハイブリダイズされ、
かかる第2のDNAオリゴヌクレオチドは、蛍光部分を含まず、表面に不可逆的に連結されない、装置
が提供される。
【0007】
かかる第2のDNA配列のそれぞれは、同一であってもよく、同一でなくてもよい。複数の当該オリゴヌクレオチド複合体は、当該表面上で空間的に離散した領域内に位置してもよい。第1のオリゴヌクレオチドは、蛍光部分を含んでもよく、かかる第2のオリゴヌクレオチドのそれぞれは、蛍光消光剤を含んでもよい。かかる空間的に離散した領域のそれぞれは、第4のDNA配列と第5のDNA配列とを含む第3のオリゴヌクレオチドを更に含み得、第4のDNA配列は、第3のDNA配列に相補的である。第3のオリゴヌクレオチドはそれぞれ、蛍光消光剤部分を含んでもよい。連結部分は、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含んでもよい。
【0008】
第1のDNA配列のそれぞれは、約15~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第3のDNA配列のそれぞれは、約5~約80ヌクレオチドの長さ、又は約15~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第5のDNA配列のそれぞれは、約5~約20ヌクレオチドの長さを有してもよい。第4のDNA配列のそれぞれは、約5~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。
【0009】
別の実施形態では、
流体反応チャンバであって、
第1の表面と、
第1の表面に接触しない第2の表面であって、かかる第1及び第2の表面が互いに対向する、第2の表面と、
第1の表面及び第2の表面と接触し、当該反応チャンバの外側境界を形成する、材料と、
第1の表面及び第2の表面と接触し、当該反応チャンバの内側境界を形成する、材料と
を含み、
第1の表面は、複数のオリゴヌクレオチド複合体を含み、当該オリゴヌクレオチド複合体はそれぞれ、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを表面に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
第2のDNA配列は、第1のDNA配列に相補的であり、それにハイブリダイズされ、
かかる第2のDNAオリゴヌクレオチドは、第1の表面に不可逆的に連結されず、任意で蛍光部分を含まない、流体反応チャンバ
が提供される。
【0010】
かかる第2のDNA配列のそれぞれは、同一であってもよく、同一でなくてもよい。かかる複数の当該オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれは、当該表面上で空間的に離散した領域内に位置してもよい。かかる第1のオリゴヌクレオチドのそれぞれは、蛍光部分を含んでもよい。かかる第2のオリゴヌクレオチドのそれぞれは、蛍光消光剤部分を含んでもよい。かかる空間的に離散した領域のそれぞれは、第4のDNA配列と第5のDNA配列とを含む第3のオリゴヌクレオチドを更に含んでもよく、第4のDNA配列は、第3のDNA配列に相補的である。第3のオリゴヌクレオチドはそれぞれ、蛍光消光剤部分を含んでもよい。連結部分は、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含んでもよい。流体反応チャンバは、サンプルを送達する第1のポートと、任意で、サンプルが第1のポートに誘導されたときに空気/流体が出て行くことを可能にする第2の別のポートとを有してもよい。
【0011】
第1のDNA配列のそれぞれは、約15~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第3のDNA配列のそれぞれは、約5~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第3のDNA配列のそれぞれは、約15~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第5のDNA配列のそれぞれは、約5~約20ヌクレオチドの長さを有してもよい。第4のDNA配列のそれぞれは、約5~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。チャンバの内側及び外側の境界を形成する第1及び第2の表面に接触する材料は、40マイクロメートル(40μm)~2ミリメートル(2mm)の厚さを有してもよい。
【0012】
流体反応チャンバは、円形、楕円形、正方形、矩形、三角形、六角形、八角形、菱形若しくは台形、又は本明細書に定義されているように環状であってもよい。流体反応チャンバは、均一な温度でなくてもよく、反応チャンバの最高温度領域は、反応チャンバの最低温度領域より少なくとも10℃高い温度であってもよい。反応チャンバの最低温度領域は、約50℃~約75℃であってもよい。反応チャンバの最高温度領域は、約80℃~約100℃であってもよい。流体反応チャンバは、流体反応チャンバ内に配置された流体を更に含んでもよく、当該流体溶液は、DNAポリメラーゼ、dNTP及びPCR緩衝液を含む。
【0013】
更に別の実施形態では、
標的核酸を増幅する方法であって、
(a)請求項16に記載の流体反応チャンバを提供する工程であって、当該流体反応チャンバは、第1及び第2の熱源と動作可能な関係にあり、かかる第1及び第2の熱源は、環状チャンバに異なる第1及び第2の熱レベルを適用することができ、かかる第1及び第2の熱レベルは同一ではない、工程と、
(b)当該流体反応チャンバ内に標的核酸配列、DNAポリメラーゼ、dNTP及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)緩衝液を含む流体を導入する工程と、
(c)第1及び第2の熱レベルを当該流体反応チャンバに適用する工程と
を含む、方法が提供される。この方法は、かかる標的核酸の増幅を検出する工程を更に含んでもよい。
【0014】
かかる第2のDNA配列のそれぞれは、同一であってもよく、同一でなくてもよい。複数の当該オリゴヌクレオチド複合体は、当該表面上で空間的に離散した領域内に位置してもよい。かかる第1のオリゴヌクレオチドのそれぞれは、蛍光部分を含んでもよく、かかる第2のオリゴヌクレオチドのそれぞれは、蛍光消光剤部分を含んでもよい。かかる空間的に離散した領域のそれぞれは、第4のDNA配列と第5のDNA配列とを含む第3のオリゴヌクレオチドを更に含み得、第4のDNA配列は、第3のDNA配列に相補的である。第3のオリゴヌクレオチドは、それぞれ蛍光消光剤部分を含んでもよい。連結部分は、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含んでもよい。
【0015】
第1のDNA配列は、約15~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第3のDNA配列のそれぞれは、約5~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第3のDNA配列のそれぞれは、約15~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第5のDNA配列のそれぞれは、約5~約20ヌクレオチドの長さを有する。流体反応チャンバは、円形、楕円形、正方形、三角形、矩形、六角形、八角形、菱形又は台形であってもよい。
【0016】
流体反応チャンバは、均一な温度でなくてもよく、反応チャンバの最高温度領域は、反応チャンバの最低温度領域より少なくとも10℃高い温度であってもよい。反応チャンバの最低温度領域は、約50℃~約75℃であってもよい。反応チャンバの最高温度領域は、約80℃~約100℃であってもよい。
【0017】
なお更なる実施形態では、
第1の表面領域及び第2の表面領域を含む装置であって、
第1の表面領域は、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを第1の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドであって、第2の配列は、第1の配列に相補的である、第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
第2の表面領域は、
第4のDNA配列と、第3のオリゴヌクレオチドを第2の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第3のオリゴヌクレオチドを含み、
第4の配列は、第2の配列、第3の配列、又は少なくとも第2の配列の6つの連続するヌクレオチドと第3の配列の6つの連続するヌクレオチドとの組み合わせに相補的である、装置、
あるいは、
第1の表面領域及び第2の表面領域を含む装置であって、
第1の表面領域は、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを第1の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドであって、第2の配列は、第1の配列に相補的である、第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
第2の表面領域は、
第4のDNA配列と、第3のオリゴヌクレオチドを第2の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第3のオリゴヌクレオチド、及び
第5のDNA配列と第6のDNA配列とを含む第4のオリゴヌクレオチドであって、第5の配列は、第4の配列に相補的である、第4のオリゴヌクレオチド
を含み、
第2の配列は、第5の配列に相補的であるか、又は第6の配列に相補的である、装置
が提供される。
【0018】
第1又は第2のオリゴヌクレオチドは、蛍光部分を含んでもよく、第1又は第2のオリゴヌクレオチドは、蛍光消光剤を含んでもよい。第2のDNA配列は、同一であってもよく、同一でなくてもよい。複数の当該オリゴヌクレオチド複合体は、当該表面上で空間的に離散した領域内に位置してもよい。連結部分は、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含んでもよい。流体反応チャンバは、サンプルを送達する第1のポートと、任意で、サンプルが第1のポートに誘導されたときに空気/流体が出て行くことを可能にする第2の別のポートとを有してもよい。
【0019】
第1のDNA配列のそれぞれは、約15~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第3のDNA配列のそれぞれは、約5~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第3のDNA配列のそれぞれは、約15~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第5のDNA配列のそれぞれは、約5~約20ヌクレオチドの長さを有してもよい。第4のDNA配列のそれぞれは、約5~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第6のDNA配列のそれぞれは、5~80ヌクレオチドの長さを有してもよい。
【0020】
なお更なる実施形態では、
流体反応チャンバであって、
第1の表面と、
第1の表面に接触しない第2の表面であって、かかる第1及び第2の表面が互いに対向する、第2の表面と、
第1の表面及び第2の表面と接触し、当該反応チャンバの外側境界を形成する、材料と、
第1の表面及び第2の表面と接触し、当該反応チャンバの内側境界を形成する、材料と
を含み、
(a)第1の表面は、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを第1の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドであって、第2の配列は、第1の配列に相補的である、第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
第2の表面領域は、
第4のDNA配列と、第3のオリゴヌクレオチドを第2の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第3のオリゴヌクレオチドを含み、
第4の配列は、第2の配列、第3の配列、又は少なくとも第2の配列の6つの連続するヌクレオチド及び第3の配列の6つの連続するヌクレオチドの組み合わせに相補的であるか、あるいは、
(b)第1の表面領域は、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを第1の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドであって、第2の配列は、第1の配列に相補的である、第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
第2の表面領域は、
第4のDNA配列と、第3のオリゴヌクレオチドを第2の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第3のオリゴヌクレオチド、及び
第5のDNA配列と第6のDNA配列とを含む第4のオリゴヌクレオチドであって、第5の配列は、第4の配列に相補的である、第4のオリゴヌクレオチド
を含み、
第2の配列は、第5の配列に相補的であるか、又は第6の配列に相補的である、流体反応チャンバが提供される。
【0021】
第1又は第2のオリゴヌクレオチドは、蛍光部分を含んでもよく、第1又は第2のオリゴヌクレオチドは、蛍光消光剤を含んでもよい。かかる第2のDNA配列のそれぞれは、同一であってもよく、同一でなくてもよい。かかる複数の当該オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれは、当該表面上で空間的に離散した領域内に位置してもよい。連結部分は、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含んでもよい。流体反応チャンバは、サンプルを送達する第1のポートと、任意で、サンプルが第1のポートに誘導されたときに空気/流体が出て行くことを可能にする第2の別のポートとを有してもよい。
【0022】
第1のDNA配列のそれぞれは、約15~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第3のDNA配列のそれぞれは、約5~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第3のDNA配列のそれぞれは、約15~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第5のDNA配列のそれぞれは、約5~約20ヌクレオチドの長さを有してもよい。第4のDNA配列のそれぞれは、約5~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第6のDNA配列のそれぞれは、約5~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。
【0023】
流体反応チャンバは、円形、楕円形、正方形、三角形、矩形、六角形、八角形、菱形若しくは台形、又は本明細書に定義されているように環状であってもよい。流体反応チャンバは、均一な温度でなくてもよく、反応チャンバの最高温度領域は、反応チャンバの最低温度領域より少なくとも10℃高い温度であってもよい。反応チャンバの最低温度領域は、約10℃~約50℃であってもよい。反応チャンバの最高温度領域は、約51℃~約100℃であってもよい。流体反応チャンバは、流体反応チャンバ内に配置された流体を更に含んでもよく、当該流体は、1つ以上のオリゴヌクレオチド及びハイブリダイゼーション緩衝液を含み、流体は、非特異的核酸染色色素を更に含んでもよい。
【0024】
更に別の実施形態は、
標的核酸を増幅する方法であって、
(a)請求項71に記載の流体反応チャンバを提供する工程であって、当該流体反応チャンバは、第1及び第2の熱源と動作可能な関係にあり、かかる第1及び第2の熱源は、環状チャンバに異なる第1及び第2の熱レベルを適用することができ、かかる第1及び第2の熱レベルは同一ではない、工程と、
(b)当該流体反応チャンバ内に標的核酸配列を含む流体を導入する工程と、
(c)第1及び第2の熱レベルを当該流体反応チャンバに適用する工程と
を含む、方法を含む。
【0025】
この方法は、かかる標的核酸の増幅を検出することを更に含んでもよい。第1又は第2のオリゴヌクレオチドは、蛍光部分を含んでもよく、第1又は第2のオリゴヌクレオチドは、蛍光消光剤を含んでもよい。かかる第2のDNA配列のそれぞれは、同一であってもよく、同一でなくてもよい。かかる複数の当該オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれは、当該表面上で空間的に離散した領域内に位置する。連結部分は、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含んでもよい。
【0026】
第1のDNA配列のそれぞれは、約15~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第3のDNA配列のそれぞれは、約5~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第3のDNA配列のそれぞれは、約15~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第5のDNA配列のそれぞれは、約5~約20ヌクレオチドの長さを有してもよい。第4のDNA配列のそれぞれは、約5~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。第6のDNA配列のそれぞれは、約5~約80ヌクレオチドの長さを有してもよい。
【0027】
流体反応チャンバは、円形、楕円形、正方形、矩形、三角形、六角形、八角形、菱形若しくは台形、又は本明細書に定義されているように環状であってもよい。流体反応チャンバは、均一な温度でなくてもよく、反応チャンバの最高温度領域は、反応チャンバの最低温度領域より少なくとも10℃高い温度であってもよい。反応チャンバの最低温度領域は、約10℃~約50℃であってもよい。反応チャンバの最高温度領域は、約51℃~約100℃であってもよい。流体は、非特異的核酸染色色素を更に含む。
【0028】
別の実施形態は、
反応チャンバであって、
(a)第1の領域及び第2の領域であって、第1のヌクレオチド配列を含む第1のオリゴヌクレオチドは、第1の表面領域に官能化され、第2のヌクレオチド配列を含む第2のオリゴヌクレオチドは、第2の表面領域に官能化され、第1のヌクレオチド配列及び第2のヌクレオチド配列は同一でない、第1の領域及び第2の領域と、
(b)非均一温度でDNAハイブリダイゼーションに適応できる緩衝液であって、第1の表面領域及び第2の表面領域に接触する、緩衝液と、
(c)第3のヌクレオチド配列を含む第3のオリゴヌクレオチドであって、第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされる、第3のオリゴヌクレオチドと、
(d)第1の温度帯及び第2の温度帯であって、第1の温度帯は、第2の温度帯の温度より少なくとも10℃高い温度を有する、第1の温度帯及び第2の温度帯と
を含む、反応チャンバを含む、システムを含む。
【0029】
第1の表面領域は、第1の表面上に位置してもよく、第2の表面領域は、第1の表面上に位置する。第1の表面領域は、第1の表面上に位置してもよく、第2の表面領域は、第2の表面上に位置し、第1の表面と第2の表面とは異なる表面である。第1のヌクレオチド配列は、第3のヌクレオチド配列に相補的ではない第1のヌクレオチド領域を含んでもよい。第3のヌクレオチド配列は、第1のヌクレオチド配列に相補的ではない第2のヌクレオチド領域を含んでもよい。
【0030】
緩衝液は、少なくとも60質量%の水と、少なくとも1mMの濃度のカオチンとを含んでもよい。第1のオリゴヌクレオチドの長さ及び第2のオリゴヌクレオチドの長さは、5ヌクレオチド~20,000ヌクレオチドであってもよい。第1のオリゴヌクレオチド及び第2のヌクレオチドの長さは、5ヌクレオチド~200ヌクレオチドであってもよい。第3のオリゴヌクレオチドの長さは、5ヌクレオチド~20,000ヌクレオチドであってもよい。第1のオリゴヌクレオチド、第2のオリゴヌクレオチド及び第3のオリゴヌクレオチドは、同一であっても異なっていてもよく、DNA、RNA、ヌクレオチドアナログ及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される核酸を含んでもよい。
【0031】
ヌクレオチドアナログは、LNA、PNA、モルホリンオリゴヌクレオチド、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。第1のオリゴヌクレオチド、第2のオリゴヌクレオチド及び第3のオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、化学的部分で官能化されてもよく、化学的部分は、オリゴヌクレオチドの検出を可能にする。化学的部分は、TAMRA、ROX、HEX、有機蛍光色素分子、量子ドット、ナノ粒子、メチレンブルー、電気化学的活性分子、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0032】
緩衝液は、検出可能な分子を含んでもよく、検出可能な分子は、SybrGreen色素、Syto色素及びEvaGreen色素からなる群から選択される検出可能な分子のように、オリゴヌクレオチドに非不可逆的に結合しているとき、溶液中で自由であるときとは異なる単位のシグナルを呈する。第1の表面及び第2の表面は、ガラス、石英、プラスチック、ポリマー、金属、複合材料、及び表面自己組織化単分子層からなる群から選択される同一又は別個のものであってもよい。ポリマーは、PDMSであってもよい。
【0033】
第1の表面領域は、緩衝液の最高温度より10℃低い温度を含んでもよく、第2の表面領域は、緩衝液の最高温度よりも10℃低い温度を含んでもよい。システムは、第1の表面領域及び第2の表面領域に接触する少なくとも1つの加熱/冷却素子を更に含んでもよい。少なくとも1つの加熱/冷却素子は、熱板、加熱ファン、赤外線ヒーター、及び水浴からなる群から選択されてもよい。熱板は、熱抵抗加熱器及びペルチェ素子からなる群から選択されてもよい。システムは、酵素が核酸テンプレートのテンプレート指向拡張を容易にするように、テンプレート指向方法で核酸を修飾する酵素を更に含んでもよい。
【0034】
核酸標的の酵素フリー増幅及び検出の方法であって、
(a)サンプルを反応チャンバ内の組成物と接触させる工程であって、組成物は、
DNAハイブリダイゼーションに適応可能な緩衝液と、
第1の表面領域及び第2の表面領域であって、緩衝液は、第1の表面領域及び第2の表面領域に接触する、第1の表面領域及び第2の表面領域と、
第1のヌクレオチド配列を含む第1のオリゴヌクレオチドであって、第1の表面領域に官能化される、第1のオリゴヌクレオチドと、
第2のヌクレオチド配列を含む第2のオリゴヌクレオチドであって、第2の表面領域に官能化される、第2のオリゴヌクレオチドと、
第3のヌクレオチド配列を含む第3のオリゴヌクレオチドであって、第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされる、第3のオリゴヌクレオチドと
を含み、
第1のヌクレオチド配列及び第2のヌクレオチド配列は同一ではなく、第3のヌクレオチドは、第1のヌクレオチド配列に相補的ではない第1のヌクレオチド領域を含む、工程と、
(b)反応チャンバの一部を別個に加熱する工程であって、チャンバの領域の最高温度は、チャンバの最低温度より少なくとも10℃高い、工程と、
(c)電位増幅を検出する工程と
を含む、方法。
【0035】
反応チャンバは、ガラス、石英、プラスチック、ポリマー、金属、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含んでもよい。ポリマーは、PDMSであってもよい。チャンバの領域の最高温度は、60℃~100℃であってもよい。チャンバの最低温度は、20℃~60℃であってもよい。第1の表面領域及び第2の表面領域は、チャンバの領域の最高温度の10℃以内までは加熱され得ない。
【0036】
組成物は、反応チャンバ内に局在してもよく、第1の表面領域は、第1の表面上に位置し、第2の表面領域は、第1の表面上に位置する。組成物は、反応チャンバ内に局在してもよく、第1の表面領域は、第1の表面上に位置してもよく、第2の表面領域は、第2の表面上に位置してもよく、第1の表面及び第2の表面は、異なる表面である。電位増幅を検出することは、フォトダイオード、光電子増倍管、蛍光顕微鏡、CCDカメラ、及び任意の他の光検出装置からなる群から選択される検出装置を介した、蛍光変化の光検出を更に含んでもよい。電位増幅を検出することは、電気化学ポテンショスタット/ガルバノスタットを介した電気化学的検出を更に含んでもよい。電位増幅を検出することは、水晶振動子マイクロバランス技術を使用して第1の表面領域の質量を測定することを更に含んでもよい。
【0037】
なお更なる実施形態では、
酵素依存の増幅及び核酸標的の検出の方法であって、
(a)サンプルを反応チャンバ内の組成物に接触させる工程であって、組成物は、
DNAハイブリダイゼーションに適応可能な緩衝液と、
表面領域であって、緩衝液は表面領域に接触する、表面領域と、
第1のヌクレオチド配列を含む第1のオリゴヌクレオチドであって、第1のオリゴヌクレオチドは、表面領域に官能化される、第1のオリゴヌクレオチドと、
第2のヌクレオチド配列を含む第2のオリゴヌクレオチドと、温度指向の方法で核酸を修飾する酵素とを含み、第2のヌクレオチド配列は、第1のヌクレオチド配列に相補的でないヌクレオチド領域を含む、工程と、
(b)反応チャンバの一部を別個に加熱する工程であって、チャンバの領域の最高温度は、チャンバの最低温度より少なくとも10℃高い、工程と、
(c)電位増幅を検出する工程と
を含む、方法が提供される。
【0038】
第1のオリゴヌクレオチドは、第2のヌクレオチド配列に相補的ではない第2のヌクレオチド領域を含んでもよい。酵素は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素、エンドヌクレアーゼ、及びエキソヌクレアーゼからなる群から選択されてもよい。反応チャンバは、ガラス、石英、プラスチック、ポリマー、金属、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含んでもよい。ポリマーは、PDMSであってもよい。
【0039】
チャンバの領域の最高温度は、80℃~100℃であってもよい。チャンバの最低温度は、20℃~80℃であってもよい。表面領域は、チャンバの領域の最高温度の10℃以内までは加熱され得ない。電位増幅を検出することは、フォトダイオード、光電子増倍管、蛍光顕微鏡、CCDカメラ、及び任意の他の光検出装置からなる群から選択される検出装置を介した、蛍光変化の光検出を更に含んでもよい。電位増幅を検出することは、電気化学ポテンショスタット/ガルバノスタットを介した電気化学的検出を更に含んでもよい。電位増幅を検出することは、水晶振動子マイクロバランス技術を使用して第1の表面領域の質量を測定することを更に含んでもよい。
【0040】
本開示の一実施形態では、表面オリゴヌクレオチド官能化は、限定するものではないが、共有結合固定、静電相互作用、又はビオチンとアビジン(又はその類似物)などの非共有結合固定を含む、様々な化学的及び物理的方法によって実施され得る。
【0041】
本開示の一実施形態では、検出標的分子は、一本鎖DNA、二本鎖DNA、RNA又はそれらの混合物であってもよい。
【0042】
本開示の一実施形態では、アンプリコン検出及び反応モニタリングは、限定するものではないが、蛍光(表面プラズモン共鳴、SPRを含む)、紫外線吸光度、電気化学的検出(pH変化及び電荷移動を含む)、水晶振動子マイクロバランス(QCM)を含む方法による。
【0043】
本開示の一実施形態では、提案されたアプローチは、薬剤耐性又は病気の予後を示し得る単一ヌクレオチド変異体(SNV)を含む、核酸配列変異体の識別に使用され得る。
【0044】
本開示の一実施形態で、提案されたアプローチは、特異的な生体サンプル中の1つ、いくつか、又は多数の標的分子の定量のために使用され得る。
【0045】
本明細書で使用するとき、用語「環状」は、上述のように、チャンバの形状を指すのに使用することができ、円形、楕円形又は円板状というその通常の意味を有し得る。しかし、環状はまた、このコンテキストでは、チャンバが終わり及び始まりのない連続回路を構成している限り、他の規則的又は不規則的な形状を有するものと解釈され得る。
【0046】
本明細書で使用するとき、「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、1つ以上を意味し得る。本明細書の特許請求の範囲で使用するとき、単語「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、単語「含む(comprising)」と共に使用する場合、1つ又は2つ以上を意味し得る。
【0047】
本開示は、代替のみ及び「及び/又は(and/or)」を指す定義を支持しているが、特許請求の範囲内の用語「又は(or)」の使用は、代替のみを指すことを明示的に示していないか、又は代替が相互に排他的でない限り、「及び/又は(and/or)」を意味するために使用される。本明細書で使用するとき、「別の(another)」は、少なくとも2番目以降を意味し得る。
【0048】
本出願全体を通して、用語「約(about)」は、値を決定するために採用されている方法に関しては、値が装置に固有の誤差変動を含むこと、又は研究対象間に存在することを示すために使用される。このような固有の変動は、記載される値の±10%の変動であってもよい。
【0049】
本出願全体を通して、用語「不可逆的な連結」は、意図した用途の通常の状況下で安定している化学的相互作用を示すために使用される。いくつかの実施形態では、不可逆的な連結は、アジドアルキンクリック化学などによる共有結合を指す場合があり、他の実施形態では、ビオチンアビジン相互作用又は他の非共有結合の永続的な相互作用を指す場合がある。
【0050】
本出願全体を通して、用語「PCR緩衝液」は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を介するDNAポリメラーゼによるDNA増幅に適合する、塩分及び化学組成を有する水溶液を示すために使用される。緩衝液は、DNAポリメラーゼ自体、プライマー及び/又はdNTPと共に使用され得る。
【0051】
本出願全体を通して、用語「ハイブリダイゼーション緩衝液」は、DNAハイブリダイゼーション及び相補的DNAオリゴヌクレオチドによる安定したDNA二重鎖の形成に適合する、塩分及び化学組成を有する水溶液を示すために使用される。すべてのPCR緩衝液は、ハイブリダイゼーション緩衝液とみなすことができるが、ハイブリダイゼーション緩衝液をPCR緩衝液とみなすことはできない。
【0052】
[本発明1001]
複数のオリゴヌクレオチド複合体を有する表面を含む装置であって、前記オリゴヌクレオチド複合体はそれぞれ、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを前記表面に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2のDNA配列は、前記第1のDNA配列に相補的であり、それにハイブリダイズされ、
前記第2のDNAオリゴヌクレオチドは、蛍光部分を含まず、前記表面に不可逆的に連結されない、装置。
[本発明1002]
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一である、本発明1001の装置。
[本発明1003]
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一ではない、本発明1001の装置。
[本発明1004]
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、本発明1002の装置。
[本発明1005]
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、本発明1003の装置。
[本発明1006]
前記第1のオリゴヌクレオチドのそれぞれが、蛍光部分を含む、本発明1001~1005の装置。
[本発明1007]
前記第2のオリゴヌクレオチドのそれぞれが、蛍光消光剤を含む、本発明1006の装置。
[本発明1008]
前記空間的に離散した領域のそれぞれが、第4のDNA配列と第5のDNA配列とを含む第3のオリゴヌクレオチドを更に含み、前記第4のDNA配列は、前記第3のDNA配列に相補的である、本発明1004~1005の装置。
[本発明1009]
前記第3のオリゴヌクレオチドがそれぞれ、蛍光消光剤部分を含む、本発明1008の装置。
[本発明1010]
前記連結部分が、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含む、本発明1001の装置。
[本発明1011]
前記第1のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1001~1010の装置。
[本発明1012]
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1001~1010の装置。
[本発明1013]
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1012の装置。
[本発明1014]
前記第5のDNA配列のそれぞれが、約5~約20ヌクレオチドの長さを有する、本発明1008の装置。
[本発明1015]
前記第4のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1008の装置。
[本発明1016]
流体反応チャンバであって、
第1の表面と、
前記第1の表面に接触しない第2の表面であって、前記第1及び第2の表面が互いに対向する、第2の表面と、
前記第1の表面及び前記第2の表面に接触し、前記反応チャンバの外側境界を形成する、材料と、
前記第1の表面及び前記第2の表面に接触し、前記反応チャンバの内側境界を形成する、材料と
を含み、
前記第1の表面は、複数のオリゴヌクレオチド複合体を含み、前記オリゴヌクレオチド複合体はそれぞれ、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを前記表面に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2のDNA配列は、前記第1のDNA配列に相補的であり、それにハイブリダイズされ、
前記第2のDNAオリゴヌクレオチドは、前記第1の表面に不可逆的に連結されず、任意で蛍光部分を含まない、流体反応チャンバ。
[本発明1017]
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一である、本発明1016の流体反応チャンバ。
[本発明1018]
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一ではない、本発明1016の流体反応チャンバ。
[本発明1019]
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、本発明1017の流体反応チャンバ。
[本発明1020]
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、本発明1018の流体反応チャンバ。
[本発明1021]
前記第1のオリゴヌクレオチドのそれぞれが、蛍光部分を含む、本発明1016~1020の流体反応チャンバ。
[本発明1022]
前記第2のオリゴヌクレオチドのそれぞれが、蛍光消光剤部分を含む、本発明1021の流体反応チャンバ。
[本発明1023]
前記空間的に離散した領域のそれぞれが、第4のDNA配列と第5のDNA配列とを含む第3のオリゴヌクレオチドを更に含み、前記第4のDNA配列は、前記第3のDNA配列に相補的である、本発明1020~1021の流体反応チャンバ。
[本発明1024]
前記第3のオリゴヌクレオチドがそれぞれ、蛍光消光剤部分を含む、本発明1023の流体反応チャンバ。
[本発明1025]
前記連結部分が、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含む、本発明1016の流体反応チャンバ。
[本発明1026]
前記第1のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1016~1025の流体反応チャンバ。
[本発明1027]
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1016~1025の流体反応チャンバ。
[本発明1028]
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1027の流体反応チャンバ。
[本発明1029]
前記第5のDNA配列のそれぞれが、約5~約20ヌクレオチドの長さを有する、本発明1023の流体反応チャンバ。
[本発明1030]
前記チャンバの前記内側及び外側の境界を形成する第1及び第2の表面に接触する前記材料が、40マイクロメートル(40μm)~2ミリメートル(2mm)の厚さを有する、本発明1016~1029の流体反応チャンバ。
[本発明1031]
円形、楕円形、正方形、矩形、三角形、六角形、八角形、菱形又は台形である、本発明1016~1030の流体反応チャンバ。
[本発明1032]
前記流体反応チャンバが均一な温度ではなく、前記反応チャンバの最高温度領域が前記反応チャンバの最低温度領域より少なくとも10℃高い、本発明1016~1031の流体反応チャンバ。
[本発明1033]
前記反応チャンバの前記最低温度領域が、約50℃~約75℃である、本発明1016~1032の流体反応チャンバ。
[本発明1034]
前記反応チャンバの前記最高温度領域が、約80℃~約100℃である、本発明1016~1033の流体反応チャンバ。
[本発明1035]
前記流体反応チャンバ内に配置された流体を更に含み、前記流体溶液は、DNAポリメラーゼ、dNTP及びPCR緩衝液を含む、本発明1016~1034の流体反応チャンバ。
[本発明1036]
標的核酸を増幅する方法であって、
(a)本発明1016の流体反応チャンバを提供する工程であって、前記流体反応チャンバは、第1及び第2の熱源と動作可能な関係にあり、前記第1及び第2の熱源は、環状チャンバに異なる第1及び第2の熱レベルを適用することができ、前記第1及び第2の熱レベルは同一ではない、工程と、
(b)前記流体反応チャンバ内に標的核酸配列、DNAポリメラーゼ、dNTP及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)緩衝液を含む流体を導入する工程と、
(c)第1及び第2の熱レベルを前記流体反応チャンバに適用する工程と
を含む、方法。
[本発明1037]
前記標的核酸の増幅を検出する工程を更に含む、本発明1036の方法。
[本発明1038]
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一である、本発明1036の方法。
[本発明1039]
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一ではない、本発明1036の方法。
[本発明1040]
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、本発明1038の方法。
[本発明1041]
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、本発明1037の方法。
[本発明1042]
前記第1のオリゴヌクレオチドのそれぞれが、蛍光部分を含む、本発明1036~1040の方法。
[本発明1043]
前記第2のオリゴヌクレオチドのそれぞれが、蛍光消光剤部分を含む、本発明1042の方法。
[本発明1044]
前記空間的に離散した領域のそれぞれが、第4のDNA配列と第5のDNA配列とを含む第3のオリゴヌクレオチドを更に含み、前記第4のDNA配列は、前記第3のDNA配列に相補的である、本発明1042~1043の方法。
[本発明1045]
前記第3のオリゴヌクレオチドがそれぞれ、蛍光消光剤部分を含む、本発明1043の方法。
[本発明1046]
前記連結部分が、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含む、本発明1036の方法。
[本発明1047]
前記第1のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1036~1045の方法。
[本発明1048]
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1036~1045の方法。
[本発明1049]
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1048の方法。
[本発明1050]
前記第5のDNA配列のそれぞれが、約5~約20ヌクレオチドの長さを有する、本発明1044の方法。
[本発明1051]
前記流体が、非特異的な核酸染色色素を更に含む、本発明1036~1120の方法。
[本発明1052]
前記流体反応チャンバが、円形、楕円形、正方形、三角形、矩形、六角形、八角形、菱形又は台形である、本発明1036~1051の方法。
[本発明1053]
前記流体反応チャンバが、均一な温度ではなく、前記反応チャンバの最高温度領域が前記反応チャンバの最低温度領域より少なくとも10℃高い、本発明1036~1052の方法。
[本発明1054]
前記反応チャンバの前記最低温度領域が、約50℃~約75℃である、本発明1036~1053の方法。
[本発明1055]
前記反応チャンバの前記最高温度領域が、約80℃~約100℃である、本発明1036~1054の方法。
[本発明1056]
第1の表面領域及び第2の表面領域を含む装置であって、
前記第1の表面領域は、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを前記第1の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドであって、前記第2の配列は、前記第1の配列に相補的である、第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2の表面領域は、
第4のDNA配列と、第3のオリゴヌクレオチドを前記第2の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第3のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第4の配列は、前記第2の配列、前記第3の配列、又は少なくとも前記第2の配列の6つの連続するヌクレオチドと前記第3の配列の6つの連続するヌクレオチドとの組み合わせに相補的である、装置。
[本発明1057]
第1の表面領域及び第2の表面領域を含む装置であって、
前記第1の表面領域は、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを前記第1の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドであって、前記第2の配列は、前記第1の配列に相補的である、第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2の表面領域は、
第4のDNA配列と、第3のオリゴヌクレオチドを前記第2の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第3のオリゴヌクレオチド、及び
第5のDNA配列と第6のDNA配列とを含む第4のオリゴヌクレオチドであって、前記第5の配列は、前記第4の配列に相補的である、第4のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2の配列は、前記第5の配列に相補的であるか、又は前記第6の配列に相補的である、装置。
[本発明1058]
前記第1又は第2のオリゴヌクレオチドが、蛍光部分を含む、本発明1056~1057の装置。
[本発明1059]
前記第1又は第2のオリゴヌクレオチドが、蛍光消光剤を含む、本発明1056~1057の装置。
[本発明1060]
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一である、本発明1056~1059の装置。
[本発明1061]
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一ではない、本発明1056~1059の装置。
[本発明1062]
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、本発明1060の装置。
[本発明1063]
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、本発明1061の装置。
[本発明1064]
前記連結部分が、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含む、本発明1056~1057の装置。
[本発明1065]
前記第1のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1056~1064の装置。
[本発明1066]
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1056~1065の装置。
[本発明1067]
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1066の装置。
[本発明1068]
前記第5のDNA配列のそれぞれが、約5~約20ヌクレオチドの長さを有する、本発明1056~1067の装置。
[本発明1069]
前記第4のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1056~1067の装置。
[本発明1070]
前記第6のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1056~1067の装置。
[本発明1071]
流体反応チャンバであって、
第1の表面と、
前記第1の表面に接触しない第2の表面であって、前記第1及び第2の表面が互いに対向する、第2の表面と、
前記第1の表面及び前記第2の表面に接触し、前記反応チャンバの外側境界を形成する、材料と、
前記第1の表面及び前記第2の表面に接触し、前記反応チャンバの内側境界を形成する、材料と
を含み、
(a)前記第1の表面は、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを第1の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドであって、前記第2の配列は、前記第1の配列に相補的である、第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2の表面領域は、
第4のDNA配列と、第3のオリゴヌクレオチドを前記第2の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第3のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第4の配列は、前記第2の配列、前記第3の配列、又は少なくとも前記第2の配列の6つの連続するヌクレオチドと前記第3の配列の6つの連続するヌクレオチドとの組み合わせに相補的であるか、あるいは、
(b)前記第1の表面領域は、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを前記第1の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドであって、前記第2の配列は、前記第1の配列に相補的である、第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2の表面領域は、
第4のDNA配列と、第3のオリゴヌクレオチドを前記第2の表面領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第3のオリゴヌクレオチド、及び
第5のDNA配列と第6のDNA配列とを含む第4のオリゴヌクレオチドであって、前記第5の配列は、前記第4の配列に相補的である、第4のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2の配列は、前記第5の配列に相補的であるか、又は前記第6の配列に相補的である、流体反応チャンバ。
[本発明1072]
前記第1又は第2のオリゴヌクレオチドが、蛍光部分を含む、本発明1071の流体反応チャンバ。
[本発明1073]
前記第1又は第2のオリゴヌクレオチドが、蛍光消光剤を含む、本発明1071の流体反応チャンバ。
[本発明1074]
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一である、本発明1071~1073の流体反応チャンバ。
[本発明1075]
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一ではない、本発明1071~1073の流体反応チャンバ。
[本発明1076]
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、本発明1074の流体反応チャンバ。
[本発明1077]
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、本発明1075の流体反応チャンバ。
[本発明1078]
前記連結部分が、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含む、本発明1071の流体反応チャンバ。
[本発明1079]
前記第1のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1071~1078の流体反応チャンバ。
[本発明1080]
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1071~1079の流体反応チャンバ。
[本発明1081]
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1080の流体反応チャンバ。
[本発明1082]
前記第5のDNA配列のそれぞれが、約5~約20ヌクレオチドの長さを有する、本発明1071の流体反応チャンバ。
[本発明1083]
前記第4のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1080の流体反応チャンバ。
[本発明1084]
前記第6のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1071の流体反応チャンバ。
[本発明1085]
円形、楕円形、正方形、三角形、矩形、六角形、八角形、菱形又は台形である、本発明1071~1084の流体反応チャンバ。
[本発明1086]
前記流体反応チャンバが均一な温度ではなく、前記反応チャンバの最高温度領域が前記反応チャンバの最低温度領域より少なくとも10℃高い、本発明1071~1085の流体反応チャンバ。
[本発明1087]
前記反応チャンバの前記最低温度領域が、約10℃~約50℃である、本発明1071~1086の流体反応チャンバ。
[本発明1088]
前記反応チャンバの前記最高温度領域が、約51℃~約100℃である、本発明1071~1087の流体反応チャンバ。
[本発明1089]
前記流体反応チャンバ内に配置された流体を更に含み、前記流体は、1つ以上のオリゴヌクレオチド及びハイブリダイゼーション緩衝液を含む、本発明1071~1088の流体反応チャンバ。
[本発明1090]
前記流体が、非特異的な核酸染色色素を更に含む、本発明1089の流体反応チャンバ。
[本発明1091]
標的核酸を増幅する方法であって、
(a)本発明1071の流体反応チャンバを提供する工程であって、前記流体反応チャンバは、第1及び第2の熱源と動作可能な関係にあり、前記第1及び第2の熱源は、環状チャンバに異なる第1及び第2の熱レベルを適用することができ、前記第1及び第2の熱レベルは同一ではない、工程と、
(b)前記流体反応チャンバ内に、標的核酸配列を含む流体を導入する工程と、
(c)第1及び第2の熱レベルを前記流体反応チャンバに適用する工程と
を含む、方法。
[本発明1092]
前記標的核酸の増幅を検出する、本発明1091の方法。
[本発明1093]
前記第1又は第2のオリゴヌクレオチドが、蛍光部分を含む、本発明1091~1092の方法。
[本発明1094]
前記第1又は第2のオリゴヌクレオチドが、蛍光消光剤を含む、本発明1091~1092の方法。
[本発明1095]
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一である、本発明1091~1094の方法。
[本発明1096]
前記第2のDNA配列のそれぞれが同一ではない、本発明1091~1094の方法。
[本発明1097]
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、本発明1094の方法。
[本発明1098]
前記複数の前記オリゴヌクレオチド複合体のそれぞれが、前記表面上で空間的に離散した領域内に位置する、本発明1095の方法。
[本発明1099]
前記連結部分が、歪みアルキンを含むアルキン基、又はアジド基を含む、本発明1091の方法。
[本発明1100]
前記第1のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1091~1099の方法。
[本発明1101]
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1091~1100の方法。
[本発明1102]
前記第3のDNA配列のそれぞれが、約15~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1101の方法。
[本発明1103]
前記第5のDNA配列のそれぞれが、約5~約20ヌクレオチドの長さを有する、本発明1091の方法。
[本発明1104]
前記第4のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1101の方法。
[本発明1105]
前記第6のDNA配列のそれぞれが、約5~約80ヌクレオチドの長さを有する、本発明1091の方法。
[本発明1106]
前記流体反応チャンバが、円形、楕円形、正方形、矩形、三角形、六角形、八角形、菱形又は台形である、本発明1091~1105の方法。
[本発明1107]
前記流体反応チャンバが、均一な温度ではなく、前記反応チャンバの最高温度領域が前記反応チャンバの最低温度領域より少なくとも10℃高い、本発明1091~1106の方法。
[本発明1108]
前記反応チャンバの前記最低温度領域が、約10℃~約50℃である、本発明1091~1107の方法。
[本発明1109]
前記反応チャンバの前記最高温度領域が、約51℃~約100℃である、本発明1091~1108の方法。
[本発明1110]
前記流体が、非特異的な核酸染色色素を更に含む、本発明1091~1109の方法。
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかとなる。しかしながら、詳細な説明及び具体的な例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、本開示の趣旨及び範囲内の様々な変化及び修正がこの詳細な説明から当業者には明らかとなるため、例示目的のみで付与されることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示のある特定の態様を更に示すために含まれる。本開示は、これらの図面のうちの1つ以上を、本明細に提示された特異的な実施形態の詳細な説明と併せて参照することによってよりよく理解され得る。
(
図1) 異なる温度でヒーターに垂直に装着された流体チップの一実施形態の概略図を示す。流体チップは、DNAオリゴヌクレオチドを官能化するための表面を有する反応チャンバを含む。いくつかの実施形態では、このチップは、核酸の多重PCRに基づく検出を行うために使用される。
(
図2) 流体チップが異なる温度でヒーターに垂直に装着されるシステムの一実施形態を示す。水平に装着された光源は、チップに官能化されたDNA上の蛍光部分を励起し、蛍光シグナルは、示されている検出器を介して定量化される。
(
図3) 流体チップ(左)、ヒーターに装着されたチップ(中間)、及びヒーターに装着された矩形のチャンバ付きチップ(右)のカメラ写真を示す。
(
図4) 検出プローブの一部を形成するためのDNAオリゴヌクレオチドを用いたガラススライドの官能化の化学的アプローチの一例を示す。プロセスは、アジド-PEG-アミン(11-アジド-3,6,9-トリオキサウンデカン-1-アミン)によるPDITC(p-フェニレン-ジイソシアネート)活性化ガラスと、それに続く、親水性PEGリンカーを介したオリゴヌクレオチドの付着をもたらす、銅触媒を用いるアルキンとアジドとの環化付加によるアルキン官能化オリゴヌクレオチドとの共役と、の2段階反応である。官能化表面の親水性は、標的DNA、プライマー及び酵素などの反応成分の非特異的吸着を防止する。歪みシクロアルキンによって修飾されたオリゴヌクレオチドを有するアジド官能化表面の銅フリー反応はまた、表面へのオリゴヌクレオチドの安定した非常に特異的な共有結合をもたらす。
(
図5) 官能化されたプローブ構造の一例を示す。表面に官能化されたオリゴヌクレオチドは、蛍光色素分子で標識化され、表面官能化プローブにハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドは、消光剤で標識化される。検出標的が、消光剤で標識化されたオリゴヌクレオチドを表面から移動させると、表面の蛍光強度が増加する。下部パネルは、標的導入の前後の蛍光顕微鏡画像を示しており、ここでスポット径は1mmである。オリゴヌクレオチドは、以下のとおりであった。
(
図6) 対流が適用されたときの、流体チップ内のゲノムDNA(gDNA)テンプレートのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅の概略図を示し、配列(10)はフォワードプライマー、配列(11)はリバースプライマーを示す。フォワード鎖中のドメイン10-15-16-17と、リバース鎖中のドメイン11-12-13-14とを含む、二本鎖アンプリコンは、95℃の高温帯で変性され、次いで対流によって60℃帯に搬送され、そこで消光剤で標識化されたオリゴヌクレオチドを変位させて、対応するスポット内に増強蛍光を発生させることができる。
(
図7) 対流チップ内でのPCR増幅の結果を示す。左パネルは、増幅産物のアガロースゲル電気泳動を示す。レーン1は、対流チップにおいて30分増幅された10ngのNA18562 gDNAテンプレートの増幅産物を示す。プライマー濃度は、フォワードプライマーの場合は600nM、リバースプライマーの場合は200nMである。レーン2は、プライマー、ポリメラーゼ、dNTP、及びプローブスポットによる、ただしgDNAインプットのない、陰性対照を示す。ラダーは、50bpラダー(New England Biolabs)を基準とする。右パネルは、増幅反応を介したスポット強度の蛍光時間経過を示す。この実験のプローブ及びプライマーは、標的rs7517833(
図20を参照のこと)用に設計された。
(
図8) 流体チップ内の対流を示す。左上パネルは、チップにわたって温度勾配のない(いずれのヒーターも60℃)、蛍光追跡ビーズの蛍光画像を示す。右上パネルは、温度勾配が適用されたときの(左ヒーター95℃、右ヒーター60℃)、蛍光追跡ビーズのタイムラプス(2秒)蛍光画像を示す。下部パネルは、チャンバ厚に基づいて観測された平均対流流速を要約する。
(
図9) 流体チップ内の複数のアンプリコンのアレイに基づいた読み出しの概略図を示す。右パネルは、24個のプリントスポットを有するチップの蛍光画像を示す。Mのマークが付いたスポットは、消光剤で標識化されたオリゴヌクレオチドが欠如している陽性対照スポットである。他のスポットはそれぞれ、特定のアンプリコン配列に特異的である。
(
図10) 対流PCRの前後における流体チップのプローブアレイ領域の蛍光画像を示す。スポット2、3、及び4のプローブに対応するアンプリコンを生成するプライマーは、10ngのgDNAテンプレートと共に導入された(それぞれのフォワードプライマーは600nM、それぞれのリバースプライマーは200nM)。スポット14の高い蛍光性は、意図的ではなく、不完全に官能化又はハイブリダイズされたDNAプローブ分子に起因するものであり得る。
(
図11) 対流流体チップにおける9重PCR増幅の時間経過蛍光を示す。それぞれのスポットの蛍光強度は、背景蛍光及びマーカースポットMの蛍光強度に基づいて個別に定量化され、正規化された。それぞれのフォワードプライマー濃度は200nMであり、それぞれのリバースプライマー濃度は100nMであり、gDNAのインプットは10ngである。
(
図12-1) ヒト、マウス、及びラットDNAのプライマーに対応する対流流体チップにおける3重PCR増幅を示す。ここで、一列内のすべてのスポットは、同一のアンプリコンについての同一の配列同一性及びレポートを有する。上部の列は、陽性対照プローブである。反応チャンバでは、それぞれのフォワードプライマーは600nM、それぞれのリバースプライマーは200nM、gDNAテンプレートは10ngであった。実験に使用された配列は、以下のとおりである。
プライマー
アーム
消光剤
アンカー
(
図12-2) ヒト、マウス、及びラットDNAのプライマーに対応する対流流体チップにおける3重PCR増幅を示す。ここで、一列内のすべてのスポットは、同一のアンプリコンについての同一の配列同一性及びレポートを有する。上部の列は、陽性対照プローブである。反応チャンバでは、それぞれのフォワードプライマーは600nM、それぞれのリバースプライマーは200nM、gDNAテンプレートは10ngであった。実験に使用された配列は、以下のとおりである。
プライマー
アーム
消光剤
アンカー
(
図13A) 2つの表面領域を有する反応チャンバの概略図を示し、それぞれ異なるDNAオリゴヌクレオチド試薬で官能化されている。
図1とは異なり、オリゴヌクレオチド試薬は、配列非依存ではなく、むしろ酵素フリー増幅用に合理的に設計されている。
(
図13B) 2つの表面領域の2つの可能な実施形態を示しており、2つの表面領域は異なる表面上にあるか、又は同一表面上であるが直接相互作用を防止するために遠位に位置しているかのいずれかである。
(
図14A-1) 第6の配列(6)及び第7の配列(7)を担持する標的核酸配列の線形増幅の機構を示す。標的核酸配列は、第2の配列(2)及び第3の配列(3)を担持する複数のオリゴヌクレオチドを表面領域1から表面領域2へ触媒的に移送する。高温帯内の二本鎖DNA分子(23:67)の自発性解離は、迅速な代謝回転を可能にするために重要である。
(
図14A-2) 第6の配列(6)及び第7の配列(7)を担持する標的核酸配列の線形増幅の機構を示す。標的核酸配列は、第2の配列(2)及び第3の配列(3)を担持する複数のオリゴヌクレオチドを表面領域1から表面領域2へ触媒的に移送する。高温帯内の二本鎖DNA分子(23:67)の自発性解離は、迅速な代謝回転を可能にするために重要である。
(
図14B)
図14Aに記載のプロセスの正味の反応、並びにリアルタイム読み出しを可能にする蛍光標識化戦略を示す。
(
図14C) 反転した5’/3’配向による代替の実施例を示す(文献内の慣例として、半分の矢印頭部は3’の端部を示す)。
(
図15-1) 標的核酸配列が表面結合オリゴヌクレオチドの化学量論的再配列を誘導する、対照実験の機構を示す。
(
図15-2) 標的核酸配列が表面結合オリゴヌクレオチドの化学量論的再配列を誘導する、対照実験の機構を示す。
(
図16) 標的核酸の様々な濃度が導入されたときの、表面領域1の時間経過蛍光を示す。線形増幅チップ内の蛍光は、化学量論的な変換チップ内よりも迅速に減少し、酵素フリーのDNA増幅の機構を支持する。
(
図17-1) 標的核酸配列の指数関数的増幅の機構を示す。
(
図17-2) 標的核酸配列の指数関数的増幅の機構を示す。
(
図18) SybrGreen又はEvaGreenなどの介在色素の使用による酵素フリー増幅の報告の視覚的表現を示す。表面領域1の蛍光強度は、反応の過程で減少し、表面領域2の蛍光強度は増加する。
(
図19) 蛍光色素分子官能化オリゴヌクレオチドの使用による酵素フリー増幅の報告の視覚的表現を示す。表面領域1の蛍光強度は、反応の過程で増加し、表面領域2の蛍光強度は、反応の過程を通して暗いままとなる。
(
図20-1) PCR増幅/検出に使用されるプライマー及びプローブ(アンカー+アーム+消光剤)のリストを示す。
(
図20-2) PCR増幅/検出に使用されるプライマー及びプローブ(アンカー+アーム+消光剤)のリストを示す。
(
図20-3) PCR増幅/検出に使用されるプライマー及びプローブ(アンカー+アーム+消光剤)のリストを示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
詳細な説明
ここで、本発明者らは、DNA増幅アッセイのための装置、システム、及び方法を提示する。本開示は、偽陽性に起因する意図しない分子事象を防止するために、試薬の固相分離を採用し、二本鎖アンプリコンの自発性解離を可能にするために対流循環を使用する。本発明と比較した3つの関連する従来技術及びそれらの制限事項を以下に記載する。
【0055】
1.対流PCR
液体は、非均一な温度に保持され、ある体積に閉じ込められると、レイリー・ベナール(Rayleigh-Benard)対流[1]として知られるプロセスを介して循環する。レイリー・ベナール対流は、PCRに必要な温度サイクル(対流PCR、cf-PCR)を提供する低コスト装置を生成するための分子診断に使用されてきた[2、米国特許第6,586,233(B2)号、米国特許第8,735,103(B2)号、米国特許第8,187,813(B2)号]。cf-PCRは、高いエネルギー消費の熱サイクル器具を必要とせず、およそ95℃の高温及びおよそ60℃の低温(アニーリング/伸張温度)で維持される静的温度勾配のみを必要とする。
【0056】
cf-PCRは、特異的なDNA配列の一重[3~5、米国特許第8,187,813(B2)号]及び多重検出[6]の両方に関して実証されている。多重アプローチでは、エンドポイント電気泳動結果検査を利用した。cf-PCRは、従来のqPCRアッセイの温度均一性に欠けているため、単一ヌクレオチド変異体(SNV)の検出又はプロファイリングの用途などの高い配列選択性を必要とする用途においてはcf-PCRは難航しており、そのため、SNVに特異的なcf-PCRはまだ示されていない。cf-PCRのリアルタイム検出は、非特異的蛍光色素(SYBRグリーンI)検出法[7]を採用する溶液相のみで示されている。このアプローチは、cf-PCRが多重設定に使用されることを制限する。同様に、5’-ヌクレアーゼアッセイ化学又はハイブリダイゼーションプローブなどの配列に特異的なリアルタイム検出の適用は、蛍光色素分子スペクトルの重なりのため、5~6個以下の標的を同時に検出することを可能にする。本開示は、後続の分析のための開管(open-tube)工程を必要とせずに空間的に分解された多重読み出しを提供する点で、cf-PCRと差別化される。加えて、本開示の酵素フリーの実施形態では、増幅に酵素を必要としない。
【0057】
2.マイクロアレイ
マイクロアレイ技術は、生体サンプルの多重スクリーニングの主要テクニックの1つである。複数のプローブ配列は、表面に官能化され、特定のスポットの蛍光シグナルは、対応する配列の定量的読み出しとなる。この技術は、DNA、RNA、タンパク質、炭水化物及び細胞などの様々なタイプの生体分析物の検出の実証に成功してきた[8~12]。マイクロアレイ技術の適用は、核酸実験の分野において最も広範な使用法を見出した。マイクロアレイ技術は、全ゲノムハイブリダイゼーション、新しい配列決定、再配列決定、比較ゲノミクス、トランスクリプトームハイブリダイゼーション又は一塩基変異の識別[13~15]のためのNAマイクロアレイの適用を示してきた。上記NAの適用例はいずれも、ハイブリダイゼーション用に大量のNA標的を必要とし、その結果、マイクロアレイは典型的に、PCR増幅産物に対する最終読み出しとして使用される。マイクロアレイの読み出しは典型的に遅く、夜通しのハイブリダイゼーションを必要とし、また、開管プロセスによるアンプリコン汚染の危険を伴う。
【0058】
3.トーホールドプローブ及び酵素フリー増幅
トーホールド媒介性の鎖置換反応[19~21]は、酵素が存在しないときに生じる競合ハイブリダイゼーションのプロセスであり、本開示に関連する。トーホールド媒介性の鎖置換を使用して、均質な溶液中のDNA及びRNA分析物配列の酵素フリー増幅が実証されてきた[22~27](米国特許第8,043810(B2)号、米国特許第8,110,353(B2)号)。本開示の酵素フリー増幅の実施形態は、熱対流を使用して、二本鎖アンプリコンを自発的に解離させ、表面の官能化を使用して、反応試薬を互いに隔離して偽陽性を低減させる点で異なる。トーホールド媒介性の鎖置換は、標的分析物配列の他の配列への化学量論的変換のために、表面官能化DNAオリゴヌクレオチド(米国特許第8,630,809(B2)号)に適用されてきた。本開示は、検出標的の増幅を提供する点で異なる。
【0059】
4.出願人の技術
本開示は、特定の核酸標的配列の増幅及び検出のための試薬及び装置を記載する。本開示は、偽陽性に起因する意図しない分子事象を防止するためのオリゴヌクレオチド試薬の固相官能化及び隔離と、標的再生のためのレイリー・ベナール熱対流の適用と、DNA表面ハイブリダイゼーション速度則(反応混合物のより効率液な混合)の促進とを利用する。レイリー・ベナール対流レジメンは、反応チャンバを置くことによって実現され得、反応チャンバは、定義された角度で傾斜する2つの別個に制御された熱板(
図1~3)の間を、厚さ250μmのスペーサとして両面粘着テープで分けられている2つの1mm厚の白色ガラス顕微鏡スライドからなる。スペーサの形状は、反応チャンバの形状を決定し、対流流速及び軌道を変更するように修正され得る。ガラスは、チャンバにわたって均一な温度勾配の維持を容易にし、合成オリゴヌクレオチドによる表面の官能化を可能にするため、チップ材料としてガラスが選択される。
【0060】
熱板は、液体反応混合物が充填された反応チャンバにわたる温度勾配を引き起こす、2つの異なる温度を維持するように設定される(それぞれ冷ヒーター及び温ヒーター)。チャンバの高温部近傍に存在する液体は、より高い温度を有し、このため、より低い温度のチャンバの部分に存在する液体よりも密度が低い。閉じ込められた体積内の液体密度のこのような分布は、浮力と重力との差(それぞれ温ヒーター及び冷ヒーターの近傍)をもたらし、次いで、循環性の定常状態対流の機構をもたらす。
【0061】
液体中に溶解されたすべての分子は、対流によって引っ張られることにより、温度帯間の循環に関与する。分子は、温度帯沿いに進みながら、周期的な温度変化を経験する。例えば、循環性対流内に置かれる二本鎖DNA分子は、加熱及び冷却の複数のサイクルを経験する。高温帯内の溶液の温度がDNA二重鎖を融解させるのに十分であり、低温帯の温度が、所与の核酸を二本鎖形態に維持するのに有利である場合、この対流内の核酸の循環は、再現可能な変性及びアニールサイクルをもたらす。ds-DNA変性及びアニールの複数サイクルの観察は、例えば、蛍光顕微鏡を使用して、DNAサンプルと共に反応混合物内に置かれた非特異的なDNA染色色素の強度を記録するなど、様々な方法によって実施され得る。
【0062】
原型の加熱器具は、アルミニウムプレートに密着した2つの抵抗カプトン(Kapton)フォイルヒーターからなり、同時に使用することで、最大5つの流体チップに対する示差加熱を提供し得る。2つの低ワット電源が、ヒーターに電力を供給する。提案される増幅システムは、±2℃の範囲の発熱体温度の不正確性に耐性があり、精密なコンピュータ制御ハードウェアを必要としない。
【0063】
5.酵素フリーの線形増幅の実施形態
本開示は、標的核酸の酵素フリー増幅を表し、アンプリコン濃度は経時的に直線状に増加する(
図14A)。2つの表面領域は、2つのDNAオリゴヌクレオチド、ドナーD(ドメイン1を含む)及び受容体A(ドメイン4~5を含む)で不可逆的に官能化される。表面領域1に官能化されたドナーオリゴヌクレオチドは、一本鎖ドメイン2が溶液に暴露されトーホールド配列の役割を果たすような方法で、ドメイン4~5に相補的である、ドメイン2~3を含む、一本鎖Sと最初にハイブリダイズされる。受容体鎖は、表面領域2に不可逆的に官能化され、最初は一本鎖オリゴヌクレオチドである。表面領域1及び2は、35℃に保持された温度帯(35℃帯)に局在化され、ここでD-S二重鎖は、検出アッセイの時間スケールにわたって高く安定するように設計される。標的分子T(ドメイン6~7を含む)は、反応溶液中に導入され、対流によって反応チャンバの35℃帯に移送される。標的Tは、ドメイン7(「トーホールド」ドメイン)を介してシグナルSに結合し、トーホールド媒介性の鎖置換機構によってドメイン3を表面から溶液へ移動させる。次いで、レイリー・ベナール対流が二重鎖をチャンバの高温帯(85℃に保持)に搬送し、そこで二重鎖が解離する。2つの一本鎖分子、標的鎖T及びシグナル鎖Sは次いで、チャンバの35℃帯に戻され、鎖Sは、表面領域2に官能化された受容体オリゴヌクレオチドAに結合する。同時に、一本鎖標的Tを許容することで、別のシグナルS分子を表面領域1から触媒によって移動させ、触媒サイクルを完了させる。このトリガは、シグナル分子Sが表面領域1から表面領域2に完全に移送されるまで連続的に進行するべきである。
【0064】
線形増幅スキームは、オリゴヌクレオチド反応物質の固相隔離と、温度推進性の対流とを同時に使用する利点を実証する。異なる表面領域上でのオリゴヌクレオチド試薬の固定化は、標的配列が存在しないときの偽陽性シグナル分子の遊離(スプリアス増幅)を回避し、熱対流は、自発的輸送及び改善された物質伝達と並び、標的シグナル複合体(T-S)の融解による標的再生を誘導する。対照的に、溶液全体の温度の変化は、表面からのすべてのオリゴヌクレオチドの自発的解離につながるため、望ましくない。
【0065】
蛍光色素によるシグナル鎖Sの標識化は、線形増幅プロセスのリアルタイムモニタリングのための1つのアプローチを表す。表面領域1から記録される蛍光の強度の減少、並びに表面領域2から記録される蛍光強度の増加は、反応増幅反応の進行の様子を効果的に反映し得る。
【0066】
6.化学量論的検出の実施形態
酵素フリー増幅法が複数の代謝回転を呈することを実証するため、発明者らは、対流装置(
図15)を使用して対応する化学量論的検出システムを構築した。化学量論的システムはまた、ドナーで官能化された2つの表面領域、ドメイン11~12を含むDs鎖と、ドメイン16を含むAs鎖とを含む。Ds鎖は、ドメイン14~15を含むブリッジオリゴヌクレオチドBs及びドメイン13を含むシグナルオリゴヌクレオチドSsからなるシグナル複合体とハイブリダイズされる。Bs鎖及びAs鎖のドメイン14は、同一の配列を有する。反応に導入されるドメイン17~18を含む標的分子Tは、ドナーDsのトーホールドドメイン11に結合し、次いでシグナル複合体を溶液中に移動させる。このプロセス中、標的Tは、ドナーDsと結合し、表面領域1からの別のシグナル複合体の遊離をトリガするため、チャンバの高温帯での再生が不可能となる。移動したシグナル複合体は、対流によって85℃帯に移送され、そこで解離する。解離後、シグナル分子Ssは、35℃帯に戻され、表面領域2に官能化された受容体オリゴヌクレオチドAsによって捕捉される。このように、捕捉されたシグナル鎖Ssの量は、システムに導入された標的Tの量と等しくなる。
【0067】
化学量論的検出システムのリアルタイム観察はまた、蛍光色素によるシグナル鎖Ssの単純な標識化と、表面領域2の蛍光強度の変化の記録とを介して実施され得る。
図16は、検出標的の同一の初期量が与えられた線形増幅及び化学量論的検出システムに関する、表面領域1における時間に基づく蛍光の減少を示す。線形増幅システムにおける蛍光シグナルの減少は、それぞれの標的分子が複数のシグナル分子を表面1から表面2へ触媒的に移送している設計された機構を支持する、線形増幅アッセイにおける減少よりも速い。
【0068】
7.酵素フリーの指数関数的増幅の実施形態
図17は、試薬が消費されるまで(
図17)、検出標的が、時間と共に濃度が指数関数的に増加するアンプリコン産物の遊離をトリガする、本発明の一実施形態を示す。このシステムでは、2つの表面領域が部分的に二本鎖のオリゴヌクレオチド複合体で官能化される。ドメイン3が一本鎖に留まりトーホールド配列の役割を果たすような方法で、表面に不可逆的に付着し、ドメイン3-2を含むオリゴヌクレオチドS1とハイブリダイズしている、単一ドメインのオリゴヌクレオチドからなる複合体を、表面領域1は有する。表面領域2は、表面領域1をミラーリングし、表面に官能化されたオリゴヌクレオチド試薬の類似のアーキテクチャを有する。ドメイン4を含むオリゴヌクレオチドは、表面に不可逆的に官能化され、ドメイン6~5を含むオリゴヌクレオチドS2とハイブリダイズし、ドメイン6は、一本鎖のトーホールドを表す。ドメイン7及び8(配列においてそれぞれドメイン6及び5と同一)を含む標的鎖Tの反応混合物への注入により、オリゴヌクレオチドS1が二本鎖アンプリコンの形状で表面領域1から遊離する。
【0069】
対流は、二重鎖が融解する85℃帯に二重鎖を搬送する。ここで、2つの一本鎖オリゴヌクレオチド、初期標的T及び遊離した鎖S1が、35℃帯に逆流し、それぞれが表面からオリゴヌクレオチド種の新たな遊離をトリガする。特に、標的オリゴヌクレオチドTは、表面領域1から第2の鎖S1を触媒的に遊離させ、最初に遊離した鎖S1は、第2の表面領域から鎖S2の遊離をトリガする。このように、それぞれの対流サイクルの最後に、溶液中に存在するオリゴヌクレオチド種の量は倍になり、その結果、アンプリコン種が溶液相に指数関数的に蓄積する。
【0070】
8.代替検出方法
図14Bは、反応の進行をアッセイするための1つの可能な検出機構を提示する。蛍光顕微鏡法を使用する代替の読み出しアプローチも可能である。SybrGreen及びSyto色素などの配列非特異的な挿入核酸染色色素を使用して、蓄積した二本鎖産物の合計量を示すことができる(
図18)。表面領域2に固定化された受容体鎖A(ドメイン4~5)は、反応の開始時は一本鎖状であるため、挿入色素は、鎖Aに対して低い親和性を有することになる。反応の過程において、更に多くの鎖S(ドメイン2~3)は、表面官能化鎖A(ドメイン4~5)とハイブリダイズする。新たに形成された複合体A-Sはここで、表面領域2の蛍光の増加を引き起こす色素によって効率的に染色される。反対の状況が、表面領域1で潜在的に観察され得る。
【0071】
FRETに基づいた検出技術の適用が、指数関数的な増幅の例に示されている(
図19)。例えば、蛍光色素で不可逆的に標識化された表面固定化鎖(ドメイン1が標識化されて示されている)は、標的が添加される前に、シグナル鎖を官能化した消光剤(ドメイン2~3を有する鎖が、蛍光消光剤と共に示されている)で効率的に消光され得る。標的の添加により、表面からシグナル鎖が指数関数的に遊離し、表面固定化鎖が発光する。
【0072】
9.対流PCRのリアルタイム検出
本開示に記載の組成物の別の用途として、この組成物は、溶液中で進行する酵素核酸増幅プロセスの表面ベースのリアルタイムモニタリングのための効率的な手段として使用され得る。表面官能化プローブを使用した対流ベースのPCRのリアルタイムモニタリングについて報告された例は存在しない。
【0073】
図6は、温度推進性の対流で実施されたPCR反応のリアルタイムモニタリングのための本願組成物を利用したアプローチを示す。最初に、60℃帯に存在する表面領域1は、ドメイン1及び蛍光色素を含むアンカーオリゴヌクレオチドで官能化される。ドメイン3-2を含むアームオリゴヌクレオチドは、その2ドメインを介してアンカーオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされる。アンカーアームオリゴヌクレオチド複合体は、次いで、ドメイン4及び5並びに蛍光消光剤を含む消光剤オリゴヌクレオチドと、そのドメイン4を介してハイブリダイズされる。ドメイン5は一本鎖である。反応溶液は、DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチド三リン酸の混合物、二価イオン(Mg
2+)などのオリゴヌクレオチドプライマー(ドメイン10及び11)の酵素的伸長のための試薬を含む。標的分子(gDNA)は注入後、95℃で自発的に融解する。次いで、融解したgDNAは、対流によって60℃帯に移送され、そこでプライマーはそれらの特異的な標的配列にアニールし、DNAポリメラーゼによって伸長され、フォワード鎖にドメイン10-15-16-17及びリバース鎖にドメイン11-12-13-14を含む二本鎖アンプリコン分子の形成がもたらされる。アンプリコン分子は、95℃で融解し、60℃帯に戻り、そこでフォワード鎖10-15-16-17が、表面官能化複合体アンカーアームから、消光剤オリゴヌクレオチドを移動させて、表面領域1から記録される蛍光シグナルの増加をもたらす。
【0074】
10.複数の標的配列の同時モニタリング
本開示の提案される組成物及び方法は、複数の核酸標的配列の増幅(酵素フリー又は酵素ベースのいずれか)を同時にモニタリングすることを可能にする。異なる表面領域での異なるオリゴヌクレオチドプローブの空間パターンは、アレイベース又はカメラベースの読み出しが、それぞれの標的増幅反応のアンプリコン濃度の独立した情報を提供することを可能にする。
【0075】
11.例示的なオリゴヌクレオチド
以下のオリゴヌクレオチド配列が、例として提供されるが、限定するものではない。
【0076】
線形増幅システムのオリゴヌクレオチド
化学量論的検出システムのオリゴヌクレオチド
【0077】
12.参照文献
以下の参照文献は、それらが例示的な手順又は本明細書に示されるものに対して補足的な他の詳細を提供する範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
この出願の明細書に記載された発明。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸、並びに
(i)第1の領域、及び(ii)第2の領域、を含む1つ以上の表面
を含むシステムであって、
(i)前記第1の領域は、第1の複数のオリゴヌクレオチド複合体を含み、前記第1の複数のオリゴヌクレオチド複合体は、前記第1の領域の空間的に離散した位置に位置し、前記第1の複数のオリゴヌクレオチド複合体のそれぞれのオリゴヌクレオチド複合体は、
第1のデオキシリボ核酸(DNA)配列と、第1のオリゴヌクレオチドを前記第1の領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドであって、前記第2のDNA配列は、前記第1のDNA配列に相補的である、第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
(ii)前記第2の領域は、第2の複数のオリゴヌクレオチド複合体を含み、前記第2の複数のオリゴヌクレオチド複合体は、前記第2の領域の空間的に離散した位置に位置し、前記第2の複数のオリゴヌクレオチド複合体のそれぞれのオリゴヌクレオチド複合体は、
第4のDNA配列と、第3のオリゴヌクレオチドを前記第2の領域に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第3のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記標的核酸は、前記第2のDNA配列、前記第3のDNA配列、又はそれらの組み合わせに相補的である、
システム。
【請求項2】
前記第4のDNA配列は、前記第2のDNA配列、前記第3のDNA配列、又は少なくとも前記第2のDNA配列の6つの連続するヌクレオチドと前記第3のDNA配列の6つの連続するヌクレオチドとの組み合わせに相補的である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の複数のオリゴヌクレオチド複合体のそれぞれのオリゴヌクレオチド複合体が、第4のオリゴヌクレオチドを含み、前記第4のオリゴヌクレオチドが、第5のDNA配列及び第6のDNA配列を含み、前記第5のDNA配列が、前記第4のDNA配列に相補的であり、かつ前記第2のDNA配列が、前記第5のDNA配列に相補的であるか、または前記第6のDNA配列に相補的である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第4のオリゴヌクレオチドが、それぞれ独立して約5から約120ヌクレオチドの長さを有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
(i)前記第1のオリゴヌクレオチドが、それぞれ独立して約5から約120ヌクレオチドの長さを有する、
(ii)前記第2のオリゴヌクレオチドが、それぞれ独立して約5から約120ヌクレオチドの長さを有する、又は
(iii)前記第3のオリゴヌクレオチドが、それぞれ独立して約5から約120ヌクレオチドの長さを有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のオリゴヌクレオチドの少なくとも1つのメンバーまたは前記第2のオリゴヌクレオチドの少なくとも1つのメンバーが、蛍光部分または蛍光消光剤部分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2のDNA配列のそれぞれがすべて互いに同一ではない、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のDNA配列のそれぞれがすべて互いに同一である、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
流体反応チャンバであって、
(i)第1の表面、
(ii)前記第1の表面に接触しない第2の表面であって、前記第1の表面及び前記第2の表面が互いに対向する、第2の表面、
(iii)前記第1の表面及び前記第2の表面に接触し、前記反応チャンバの外側境界を形成する、第1の材料、
(iv)前記第1の表面及び前記第2の表面に接触し、前記反応チャンバの内側境界を形成する、第2の材料、及び
(v)標的核酸
を含み、
前記第1の表面は、第1の複数のオリゴヌクレオチド複合体を含み、前記第1の複数のオリゴヌクレオチド複合体は、前記第1の表面の空間的に離散した位置に位置し、前記第1の複数のオリゴヌクレオチド複合体のそれぞれのオリゴヌクレオチド複合体は、
第1のDNA配列と、第1のオリゴヌクレオチドを前記第1の表面に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第1のオリゴヌクレオチド、及び
第2のDNA配列と第3のDNA配列とを含む第2のオリゴヌクレオチドであって、前記第2のDNA配列が、前記第1のDNA配列に相補的である、第2のオリゴヌクレオチド
を含み、
前記第2の表面は、第2の複数のオリゴヌクレオチド複合体を含み、前記第2の複数のオリゴヌクレオチド複合体は、前記第2の表面の空間的に離散した位置に位置し、前記第2の複数のオリゴヌクレオチド複合体のそれぞれのオリゴヌクレオチド複合体は、
第4のDNA配列と、第3のオリゴヌクレオチドを前記第2の表面に不可逆的に連結するための連結部分とを含む、第3のオリゴヌクレオチド
を含み、かつ
前記標的核酸は、前記第2のDNA配列、前記第3のDNA配列、又はそれらの組み合わせに相補的である、
流体反応チャンバ。
【請求項10】
前記第4のDNA配列は、前記第2のDNA配列、前記第3のDNA配列、又は少なくとも前記第2のDNA配列の6つの連続するヌクレオチドと前記第3のDNA配列の6つの連続するヌクレオチドとの組み合わせに相補的である、請求項9に記載の流体反応チャンバ。
【請求項11】
前記第2の複数のオリゴヌクレオチド複合体のそれぞれのオリゴヌクレオチド複合体が、第5のDNA配列及び第6のDNA配列を含む第4のオリゴヌクレオチドをさらに含み、前記第5のDNA配列が、前記第4のDNA配列に相補的であり、かつ前記第2のDNA配列が、前記第5のDNA配列に相補的であるか、または前記第6のDNA配列に相補的である、請求項9に記載の流体反応チャンバ。
【請求項12】
前記第4のオリゴヌクレオチドが、それぞれ独立して約5から約120ヌクレオチドの長さを有する、請求項11に記載の流体反応チャンバ。
【請求項13】
(i)前記第1のオリゴヌクレオチドが、それぞれ独立して約5から約120ヌクレオチドの長さを有する、
(ii)前記第2のオリゴヌクレオチドが、それぞれ独立して約5から約120ヌクレオチドの長さを有する、又は
(iii)前記第3のオリゴヌクレオチドが、それぞれ独立して約5から約120ヌクレオチドの長さを有する、
請求項9~12のいずれか一項に記載の流体反応チャンバ。
【請求項14】
前記第1のオリゴヌクレオチドの少なくとも1つのメンバーまたは前記第2のオリゴヌクレオチドの少なくとも1つのメンバーが、蛍光部分または蛍光消光剤部分を含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の流体反応チャンバ。
【請求項15】
前記第2のDNA配列のそれぞれがすべて互いに同一ではない、請求項9~14のいずれか一項に記載の流体反応チャンバ。
【請求項16】
前記第2のDNA配列のそれぞれがすべて互いに同一である、請求項9~14のいずれか一項に記載の流体反応チャンバ。
【請求項17】
前記内側境界と前記外側境界との間に形成される流体反応チャンバが、円形、楕円形、正方形、矩形、三角形、六角形、八角形、菱形及び台形からなる群より選択される形状を有する、請求項9~15のいずれか一項に記載の流体反応チャンバ。
【請求項18】
前記第1の表面と前記第2の表面との間の距離が約40マイクロメートル(40μm)~約2ミリメートル(2mm)である、請求項9~17のいずれか一項に記載の流体反応チャンバ。
【請求項19】
1つ以上のオリゴヌクレオチド、ハイブリダイゼーション緩衝液を含み、任意で非特異的核酸染色色素を含まない、流体、又は
DNAポリメラーゼ、1つ以上のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)緩衝液を含む流体
をさらに含む、請求項9~18のいずれか一項に記載の流体反応チャンバ。
【請求項20】
均一な温度ではない、請求項9~19のいずれか一項に記載の流体反応チャンバ。