IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本オクラロ株式会社の特許一覧

特開2022-37163光サブアセンブリ、光モジュール、及び光伝送装置
<>
  • 特開-光サブアセンブリ、光モジュール、及び光伝送装置 図1
  • 特開-光サブアセンブリ、光モジュール、及び光伝送装置 図2
  • 特開-光サブアセンブリ、光モジュール、及び光伝送装置 図3
  • 特開-光サブアセンブリ、光モジュール、及び光伝送装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037163
(43)【公開日】2022-03-08
(54)【発明の名称】光サブアセンブリ、光モジュール、及び光伝送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/02 20060101AFI20220301BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20220301BHJP
   H01S 5/02257 20210101ALI20220301BHJP
【FI】
H01L31/02 B
G02B6/42
H01S5/02257
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206347
(22)【出願日】2021-12-20
(62)【分割の表示】P 2017061136の分割
【原出願日】2017-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本ルメンタム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 和弘
(72)【発明者】
【氏名】笹田 道秀
(57)【要約】
【課題】簡便な部品で構成される光アセンブリ、光モジュール、及び光伝送装置の提供。
【解決手段】半導体光素子および半導体光素子を制御する集積回路が搭載されるとともに、半導体光素子および集積回路が発する熱を外部へ放熱する、CuWを使用して形成されている第1部品と、第1部品と互いに接して、ボックス型のハウジングとなる、第2部品と、半導体光素子と光学的に接合する、レセクタプル端子と、を備え、第2部品およびレセプタクル端子は、特殊用途用ステンレス鋼(SUS)を使用して形成されており、第2部品は、半導体光素子とレセクタプル端子との間を伝送する光を透過させるための窓構造を備え、レセクタブル端子は、窓構造の外側に、融着固定される。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体光素子および前記半導体光素子を制御する集積回路が搭載されるとともに、前記半導体光素子および前記集積回路が発する熱を外部へ放熱する、CuWを使用して形成されている第1部品と、
前記第1部品と互いに接して、ボックス型のハウジングとなる、第2部品と、
前記半導体光素子と光学的に接合する、レセプタクル端子と、を備え、
前記第2部品および前記レセプタクル端子は、特殊用途用ステンレス鋼(SUS)を使用して形成されており、
前記第2部品は、前記半導体光素子と前記レセプタクル端子との間を伝送する光を透過させるための窓構造を備え、前記レセプタクル端子は、前記窓構造の外側に、融着固定される、
ことを特徴とする、光サブアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の光サブアセンブリであって、
前記ボックス型のハウジングは開口部を有し、該開口部を貫いて配置されるとともに、前記集積回路に電気的に接続される、配線基板を、さらに備え、
前記配線基板が、前記ボックス型のハウジングを貫通して配置することにより、前記ボックス型のハウジングは、気密封止されない、
ことを特徴とする、光サブアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の光サブアセンブリであって、
前記配線基板と前記開口部との隙間が樹脂によって充填される、
ことを特徴とする、光サブアセンブリ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光サブアセンブリ、を備える、光モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載の光モジュールが搭載される、光伝送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体光素子を備える、光サブアセンブリ、光モジュール、及び光伝送装置に関し、特に、より簡便な部品で構成される光サブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体光素子を備える光サブアセンブリ(OSA:Optical Sub-Assembly)が用いられている。特許技術1に記載の光サブアセンブリは、ボックス(BOX)型光サブアセンブリであり、半導体光素子の特性を維持するために、ボックス内を不活性ガスにより気密封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-96878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のボックス型光サブアセンブリは、半導体光素子や制御用集積回路がボックス型パッケージに搭載されており、半導体光素子に光学的に結合させるレセプタクル端子がボックス型パッケージの外側に融着固定されている。
【0005】
図4は、従来技術に係る光サブアセンブリ201の構造を示す斜視図である。光サブアセンブリ201の構造を理解するために、筺体210(ケース)について中心線の断面による一部分を示している。図4に示す通り、ボックス本体である筺体210と、蓋であるカバー219とで、ボックス型のハウジングを形成する。複数の部品が搭載されるベース211が、筺体210の底に搭載される。ここでは、ベース211に、制御用集積回路212(IC)と、半導体光素子213と、レンズ214と、が搭載されている。また、外部との電気的接続のために、配線基板215が筺体210の側面を貫通するように配置されており、配線基板215の一部は筺体210の底に配置される。制御用集積回路212(IC)の一端(半導体光素子213側の端)に設けられる複数の端子(図示せず)と半導体光素子213に設けられる複数の端子(又は複数の電極:図示せず)とは、複数のワイヤ216Aを介して、それぞれ電気的に接続される。制御用集積回路212(IC)の他端(配線基板215側の端)に設けられる複数の端子(図示せず)と配線基板215に設けられる複数の端子(図示せず)とは、複数のワイヤ216Bを介して、それぞれ電気的に接続される。筺体210の側面には、光の透過用の窓217が設けられており、レセプタクル端子218が、透過する光に対して調芯をし、その後、窓217の外側に融着固定されている。なお、図4に示す光サブアセンブリ201に備えられる筺体210とカバー219により、密閉されるボックス型のハウジングとなっており、搭載される半導体光素子213の信頼性を維持するために、不活性ガスにより気密封止されている。
【0006】
近年、光サブアセンブリに対してさらなる低コスト化が望まれている。そのためには、光サブアセンブリの構造をより単純化し、部品の数を減らすことが望ましい。筺体210の底にベース211は搭載され、筺体210とベース211とは熱的に接続されている。
ベース211に搭載される制御用回路212や半導体光素子213にて発生する熱を十分に逃がす必要がある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、簡便な部品で構成される光サブアセンブリ、光モジュール、及び光伝送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る光サブアセンブリは、半導体光素子が搭載されるとともに、前記半導体光素子が発する熱を外部へ放熱する、第1部品と、前記第1部品と互いに接して、ボックス型のハウジングとなる、第2部品と、前記半導体光素子と光学的に接合する、レセプタクル端子と、を備え、前記第2部品は、前記半導体光素子と前記レセプタクル端子との間を伝送する光を透過させるための窓構造を備え、前記レセプタクル端子は、前記窓構造の外側に、融着固定される、ことを特徴とする。
【0009】
(2)上記(1)に記載の光サブアセンブリであって、前記第1部品の材料と、前記第2部品の材料とは、異なっていてもよい。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)に記載の光サブアセンブリであって、前記第1部品の材料の熱伝導率は、前記第2部品の材料の熱伝導率より、高くてもよい。
【0011】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の光サブアセンブリであって、前記第1部品には、前記半導体光素子を制御する集積回路がさらに搭載され、前記第1部品は、前記集積回路が発する熱を外部に放熱してもよい。
【0012】
(5)上記(1)乃至(4)に記載の光サブアセンブリであって、前記第1部品は、前面と両側の側面を含む形状を有し、前記第1部品は、前記前面と前記両側の側面とが、前記第2部品の内壁に接着剤を介して接して固定されてもよい。
【0013】
(6)上記(4)又は(5)に記載の光サブアセンブリであって、前記ボックス型のハウジングは開口部を有し、該開口部を貫いて配置されるとともに、前記集積回路に電気的に接続される、配線基板を、さらに備え、前記配線基板が、前記ボックス型のハウジングを貫通して配置することにより、前記ボックス型のハウジングは、気密封止されなくてもよい。
【0014】
(7)上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の光サブアセンブリであって、前記配線基板と前記開口部との隙間が樹脂によって充填されてもよい。
【0015】
(8)本発明に係る光サブアセンブリは、上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の光サブアセンブリ、を備えていてもよい。
【0016】
(9)本発明に係る光伝送装置は、上記(8)に記載の光モジュールが搭載されていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、簡便な部品で構成される光サブアセンブリ、光モジュール、及び光伝送装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光伝送装置及び光モジュールの構成を示す模式図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る光サブアセンブリの構造を示す斜視図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る光サブアセンブリの構成を示す模式図である。
図4】従来技術に係る光サブアセンブリの構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面に基づき、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、以下に示す図は、あくまで、実施形態の実施例を説明するものであって、図の大きさと本実施例記載の縮尺は必ずしも一致するものではない。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光伝送装置1及び光モジュール2の構成を示す模式図である。光伝送装置1は、プリント回路基板11とIC12を備えている。光伝送装置1は、例えば、大容量のルータやスイッチである。光伝送装置1は、例えば交換機の機能を有しており、基地局などに配置される。光伝送装置1に、複数の光モジュール2が搭載されており、光モジュール2より受信用のデータ(受信用の電気信号)を取得し、IC12などを用いて、どこへ何のデータを送信するかを判断し、送信用のデータ(送信用の電気信号)を生成し、プリント回路基板11を介して、該当する光モジュール2へそのデータを伝達する。
【0021】
光モジュール2は、送信機能及び受信機能を有するトランシーバである。光モジュール2は、プリント回路基板21と、光ファイバ3Aを介して受信する光信号を電気信号に変換する光受信モジュール23Aと、電気信号を光信号に変換して光ファイバ3Bへ送信する光送信モジュール23Bと、を含んでいる。プリント回路基板21と、光受信モジュール23A及び光送信モジュール23Bとは、それぞれフレキシブル基板22A,22B(FPC:Flexible Printed Circuit)を介して接続されている。光受信モジュール23Aより電気信号がフレキシブル基板22Aを介してプリント回路基板21へ伝送され、プリント回路基板21より電気信号がフレキシブル基板22Bを介して光送信モジュール23Bへ伝送される。光モジュール2と光伝送装置1とは電気コネクタ5を介して接続される。光受信モジュール23Aや光送信モジュール23Bは、プリント回路基板21に電気的に接続され、光信号/電気信号を電気信号/光信号にそれぞれ変換する。
【0022】
当該実施形態に係る伝送システムは、2個以上の光伝送装置1と2個以上の光モジュール2と、1個以上の光ファイバ3を含む。各光伝送装置1に、1個以上の光モジュール2が接続される。2個の光伝送装置1にそれぞれ接続される光モジュール2の間を、光ファイバ3が接続している。一方の光伝送装置1が生成した送信用のデータが接続される光モジュール2によって光信号に変換され、かかる光信号を光ファイバ3へ送信される。光ファイバ3上を伝送する光信号は、他方の光伝送装置1に接続される光モジュール2によって受信され、光モジュール2が光信号を電気信号へ変換し、受信用のデータとして当該他方の光伝送装置1へ伝送する。
【0023】
図2は、当該実施形態に係る光サブアセンブリ101の構造を示す斜視図である。図4と同様に、光サブアセンブリ101の構造を理解するために、エンクロージャー119(ケース)について中心線の断面による一部分を示している。図1に示す光受信モジュール23A(又は光送信モジュール23B)は、1又は複数の光サブアセンブリ101によって構成される。図4に示す光サブアセンブリ201と異なり、図2に示す当該実施形態に係る光サブアセンブリ101は、ベース111(第1部品)と、エンクロージャー119(第2部品)とで、ボックス型のハウジングを形成する。ベース111に、複数の部品が搭載されており、ここでは、制御用集積回路112(IC)と、半導体光素子113と、レンズ114と、配線基板115と、が搭載されている。半導体光素子113は、光信号及び電気信号のいずれか一方を他方に変換する光電変換する光デバイスである。当該実施形態に係る光サブアセンブリ101は、ROSA(Receiver Optical Sub-Assembly)であり、半導体光素子113は、PD(Photo Diode)などの受光素子である。受光素子は、光信号を電気信号に光電変換する。制御用集積回路112は、ここでは、トランスインピーダンスアンプ(TIA:Transimpedance Amplifier)機能を備えたICである。しかしながら、当該実施形態に係る光サブアセンブリ101は、ROSAに限定されることはなく、TOSA(Transmitter Optical Sub-Assembly)であってもよく、このとき、半導体光素子113は、LD(Laser Diode)すなわち半導体レーザ素子となる。そして制御用集積回路112はドライバIC(駆動IC)である。半導体レーザ素子は発光素子であるが、これに限定されることはなく、他の発光素子であってもよい。発光素子は、電気信号を光信号に光電変換する。また、当該実施形態に係る光サブアセンブリ101は、BOSA(Bi-directional Optical Sub-Assembly)であってもよい。
【0024】
ベース111は、制御用集積回路112及び半導体光素子113が発する熱をハウジングの外部へ放熱するヒートシンク用途のサブマウントである。そのために、ベース111を形成する材料は、熱伝導率が高いものが選択され、ここでは、該材料はCuW-10(銅10%・タングステン90%の複合材)である。すなわち、ベース111は、熱伝導率が高い材料によって形成されており、熱抵抗は低い。これに対して、エンクロージャー119はかぶせ式のケースであり、ベース111とエンクロージャー119とが互いに接して、一部を除いて外部から密閉する。エンクロージャー119に放熱性は要求されておらず、ここでは、エンクロージャー119を形成する材料は、特殊用途用ステンレス鋼(SUS:Special Use Stainless steel)である。すなわち、ベース111の材料の熱伝導率は、エンクロージャー119の材料の熱伝導率より、高い。よって、ベース111の熱抵抗は、エンクロージャー119の熱抵抗より低くなっている。
【0025】
ベース111は、上面と、底面と、前面と、両側の側面(2つの側面)と、後面と、を含む板形状を有する。ベース111は、前面と両側の側面とが、エンクロージャー119の内壁に接着剤を介して接して固定される。ベース111とエンクロージャー119とが、少なくとも3面が接して接着材により十分に固定されることにより、光軸調整後の軸ずれを防止することが出来る。
【0026】
エンクロージャー119は、その側面(外部の光ファイバとの接続側の側面)に、窓117(窓構造)を備える。そして、光サブアセンブリ101は、半導体光素子113と光学的に接合するレセプタクル端子118をさらに備える。エンクロージャー119に備えられる窓117により、半導体光素子113とレセプタクル端子118との間を伝送する光を通過させることができる。レセプタクル端子118は、SUSで形成されており、窓117の外側に、YAG溶接などにより、融着固定される。融着固定することでエンクロージャー119とレセプタクル端子118は光軸調整後の軸ずれの発生を抑えることができる。また、レセプタクル端子118は、外部の光ファイバ(図示せず)と、例えばフェルールにより光学的に接続される。半導体光素子113が受光素子である場合、光ファイバよりレセプタクル端子118の内部を伝送する光(光信号)が、レセプタクル端子118より出射される。かかる光は、窓117を通過し、ボックス型のハウジングの内部を伝送し、レンズ114により集光され、半導体光素子113へ入射する。半導体光素子113が発光素子である場合、半導体光素子113より出射される光(光信号)は、レンズにより集光され、窓117を通過し、レセプタクル端子118へ入射する。かかる光は、レセプタクル端子118の内部を伝送し、光ファイバへ出射される。
【0027】
また、ベース111とエンクロージャー119とが互いに接して形成されるボックス型のハウジングは、レセプタクル端子118が配置される側面とは反対側の側面に、開口部を有する。配線基板115が開口部を貫いて配置されており、配線基板115の一部はベース111の上面に配置される。ここで、配線基板115は、例えばフレキシブル基板である。配線基板115は、制御用集積回路112(IC)に電気的に接続される。制御用集積回路112の一端(半導体光素子113側の端)に設けられる複数の端子(図示せず)と半導体光素子113に設けられる複数の端子(又は複数の電極:図示せず)とは、複数のワイヤ116Aを介して、それぞれ電気的に接続される。制御用集積回路112の他端(配線基板115側の端)に設けられる複数の端子(図示せず)と配線基板115に設けられる複数の端子(図示せず)とは、複数のワイヤ116Bを介して、それぞれ電気的に接続される。
【0028】
当該実施形態に係る光サブアセンブリ101は、複数の光部品が搭載されるベース111と、エンクロージャー119とにより、ボックス型のハウジングを構成することにより、簡便な部品で光サブアセンブリを構成することができる。また、当該実施形態に係る光サブアセンブリ101は、ベース111がボックス型のハウジングの一部を構成することにより、制御用集積回路112や半導体光素子113より発する熱のほとんどをベース111を介して、ハウジングの外部へ放熱することができ、放熱性が優れた構造となっている。対して、ハウジングは開口部を有しており、配線基板115と開口部との間には隙間があり、気密封止がなされておらず、当該実施形態に係る光サブアセンブリ101は、気密性より放熱性を重視する構造となっている。特に、制御用集積回路112がCDR(Clock and Data Recovery)機能を有するIC(CDR-IC)である場合に、制御用集積回路112が発する熱量が高くなっているので、本発明は最適である。また、配線基板115と開口部との間が樹脂によって充填されてもよく、気密性を高めることができる。
【0029】
当該実施形態に係る光サブアセンブリ101の製造方法は以下の通りである。第1に、上記の部品をすべて用意する。第2に、ベース111に、複数の部品を搭載する。ここで、複数の部品は、制御用集積回路112と、半導体光素子113と、レンズ114と、配線基板115と、である。レンズ114の配置は、半導体光素子113を駆動させた状態で行い、最適となる位置になるようにアクティブ調芯を行って固定される。第3に、半導体光素子113と制御用集積回路112と、制御用集積回路112と配線基板115と、をそれぞれ、ワイヤ116A,116Bを介して接続させる。第4に、複数の部品が搭載されるベース111と、エンクロージャー119と、を接着材により固定する。第5に、半導体光素子113が受光素子である場合は、外部の光ファイバに発光素子(何らかの光源)を接続し、発光素子を駆動させて、半導体光素子113が受光する感度が最大となるように(又は、十分に高い値となるように)、レセプタクル端子118を光軸調整し、その後、YAG溶接により融着して固定する。半導体光素子113からレンズ114までの光軸は上述のようにベース111上にて固定される。ベース111とエンクロージャー119の窓117までの光軸は、ベース111とエンクロージャー119の接着により固定される。この時、ベース111とエンクロージャー119との接着は広い領域で行われているために、光軸固定後に軸ずれする恐れは低い。次に、窓117とレセプタクル端子118との固定は融着にて行われる。ここを接着剤で固定することも可能だが、固定面積も小さく、接着剤の経年変化などにより光軸がずれる恐れがある。そのため、経年変化が小さい融着による固定が好ましい。本実施形態では融着させるためにエンクロージャー119およびレセプタクル端子118の材料はSUSとしている。SUSの代わりにベース111と同じ放熱性に優れるCuWで形成する場合、融着することができない。逆に、ベース111をSUSとすると放熱性が十分ではなく、本発明の課題を解決することができない。従って、本実施形態ではベース111には放熱性を重視してCuWを用い、エンクロージャー118は放熱性より融着性(光軸のずれ防止)を重視してSUSとしている。
【0030】
なお、当該実施形態に係る光サブアセンブリ101は、1つの半導体光素子113と1つのレンズ114とを備える(すなわち、単チャンネル)としたが、これに限定されることはない。ベース111に、複数の半導体光素子113と、それぞれ対応する複数のレンズ114とが搭載される、光サブアセンブリ101(すなわち、多チャンネル)であってもよい。例えば、光サブアセンブリ101が受信又は送信する電気信号のビットレートは100Gbit/sである。光サブアセンブリ101は、CFP系規格であり、25Gbit/sの光を波長間隔4.5nmで4波長多重化して100Gbit/sで伝送するDWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing)方式であってもよい。
【0031】
[第2の実施形態]
図3は、本発明の第2の実施形態に係る光サブアセンブリ101の構成を示す模式図である。図3は、光サブアセンブリ101のベース111の上面を示している。当該実施形態に係る光サブアセンブリ101は、配線基板115の構成が第1の実施形態と異なっているが、それ以外については同じ構造を有している。当該実施形態に係る配線基板115はフレキシブル基板である。図3に示す通り、配線基板115は、制御用集積回路112との接続側の端部において、左右に分岐して、制御用集積回路112を囲うように、制御用集積回路112の両側に沿って延伸する。制御用集積回路112が平面視して矩形状を有する場合に、少なくとも矩形上の3辺に近接して、配線基板115を配置させることができる。制御用集積回路112と配線基板115とを、複数のワイヤ116Bを介して電気的に接続されるが、実施形態に係る光サブアセンブリ101では、制御用集積回路112と配線基板115との近接領域が増大しているので、ワイヤ116Bの数が増大する場合であっても、ワイヤ116Bの長さを短く維持して、多数のワイヤ116Bを配置することができる。特に、光サブアセンブリ101が複数の半導体光素子113を備える(多チャンネル)場合に、制御用集積回路112の端子の数も増大するので、当該実施形態は最適である。
【0032】
以上、本発明の実施形態に係る光サブアセンブリ、光モジュール、及び光伝送装置について説明した。上記実施形態では、ベース111は、板形状を有するとしたが、前面と両側の側面を含む形状であれば、これに限定されることはない。制御用集積回路112の複数の端子と半導体光素子113の複数の端子とを接続させる複数のワイヤ116Aの長さを短くするために、ベース111は、制御用集積回路112が搭載される第1上面と、半導体光素子113が搭載される第2上面と、を含む階段形状を有していてもよい。ここでは、第1上面は第2上面より底面より高い位置となっている。この場合、エンクロージャー119の形状は、ベース111の形状に合わせて決定される。また、ベース111とエンクロージャー119との接続面も、ベース111の両側の側面すべてである必要はなく、例えば、第1上面の両側の縁から下方に延伸する部分のみであってもよい。また、制御用集積回路はOSAの外部に配置して構わない。本発明は、本発明の効果を奏する光サブアセンブリに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 光伝送装置、2 光モジュール、3,3A,3B 光ファイバ、11,21 プリント回路基板、12 IC,22A,22B フレキシブル基板、23A 光受信モジュール、23B,光送信モジュール、101,201 光サブアセンブリ、112,212 制御用集積回路、113 213 半導体光素子、114,214 レンズ、115,215 配線基板、116A,116B,216A,216B ワイヤ、117,217 窓、118,218 レセプタクル端子、119 エンクロージャー、210 筺体、219 カバー。

図1
図2
図3
図4