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  • 特開-排ガスの有害物質除去装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037258
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】排ガスの有害物質除去装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/50 20060101AFI20220302BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20220302BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20220302BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
B01D53/50 270
B01D53/78 ZAB
B01D53/14 210
B01D53/18 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2018246527
(22)【出願日】2018-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】516235886
【氏名又は名称】ACA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】谷川 茂利
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AC01
4D002BA02
4D002BA13
4D002BA14
4D002CA01
4D002DA35
4D002EA01
4D002EA07
4D002FA10
4D002GA01
4D002GB03
4D002GB11
4D002HA07
4D002HA08
4D020AA06
4D020BA23
4D020CB27
4D020CC09
4D020CC10
4D020CD02
4D020DA03
4D020DB02
4D020DB06
(57)【要約】
【課題】石灰水などの中和剤を大量に用いることなく、排ガスに含まれる硫黄酸化物などの有害物質を除去することができるようにした有害物質除去装置を提供する。
【解決手段】排ガスを入れる第一タンク2内で、第一噴霧装置3から水を噴霧して排ガスを0℃から40℃の範囲内に冷却させる。そして、その冷却された排ガスを導通管5を介して第二タンク6に供給し、そこで、第二噴霧装置7から霧状の水を噴霧させる。これによって、二酸化硫黄の溶解度を向上させ、水に二酸化硫黄を溶解・吸着させて有害物質を除去できるようにする。そして、第三タンク8でその二酸化硫黄を溶解させた水溶液を加熱して二酸化硫黄を分離させるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱された排ガスを入れる第一タンクと、
当該第一タンク内で水を噴霧して排ガスを冷却させる第一噴霧装置と、
当該第一噴霧装置で冷却された排ガスを流入させる第二タンクと、
当該第二タンク内で、前記冷却された排ガスに水を噴霧させて排ガスに含まれる硫黄酸化物を吸着させる第二噴霧装置と、
当該第二噴霧装置で噴霧されて硫黄酸化物を吸着させた水を回収する第三タンクと、
を備えた有害物質除去装置。
【請求項2】
前記第一タンクから排出される排ガスが、0℃から40℃の範囲内で排出されるものである請求項1に記載の有害物質除去装置。
【請求項3】
前記第一噴霧装置が、第一タンクの上から下方に向けて水を噴霧させるようにしたものである請求項1に記載の有害物質除去装置。
【請求項4】
前記第二噴霧装置が、第二タンクの下から上に向けて水を噴霧させるようにしたものである請求項1に記載の有害物質除去装置。
【請求項5】
前記第二噴霧装置で噴霧される水が、5℃から20℃の範囲内の水である請求項1に記載の有害物質除去装置。
【請求項6】
前記第三タンクで回収した水を加熱させ、硫黄酸化物を分離させて、硫酸水溶液を生成する硫酸生成部を設けるようにした請求項1に記載の有害物質除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスから硫黄酸化物などの有害物質を除去できるようにした有害物質除去装置に関するものであり、より詳しくは、石灰水などの中和剤を大量に使うことなく、硫黄酸化物などを除去できるようにした有害物質除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラーから排出される排ガスに含まれる硫黄酸化物などの有害物質を除去できるようにした有害物質除去装置が各種提案されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、図3に示すように、ボイラーから排出される排ガスから窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去装置91と、窒素酸化物の除去された高温の排ガスから熱を回収する熱交換器92と、熱交換器92によって低温となった排ガスから煤塵を収集する集塵機93と、煤塵収集後の排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する硫黄酸化物除去装置94とを備えた装置が提案されている。そして、このように排ガスから硫黄酸化物を除去する場合、熱交換器92で温度の下げられた排ガスを硫黄酸化物除去装置94で石灰スラリーを用いて中和させ、硫黄酸化物を取り除いた後に、その排ガスを煙突95から排出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014―108376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような装置を用いて硫黄酸化物を除去する場合、大量の石灰水などの中和剤が必要となるため、コストが掛かってしまうといった問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、石灰水などの中和剤を大量に用いることなく、排ガスに含まれる硫黄酸化物などの有害物質を除去できるようにした有害物質除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の有害物質除去装置は、上記課題を解決するために、排ガスを入れる第一タンクと、当該第一タンク内で水を噴霧して排ガスを冷却させる第一噴霧装置と、当該第一噴霧装置で冷却された排ガスを流入させる第二タンクと、当該第二タンク内で、前記冷却された排ガスに水を噴霧させて排ガスに含まれる硫黄酸化物を吸着させる第二噴霧装置と、当該第二噴霧装置で噴霧されて硫黄酸化物を吸着させた水を回収する第三タンクとを備えるようにしたものである。
【0008】
このように構成すれば、第一タンクで冷却された排ガスによって硫黄酸化物などの溶解度を上げることができ、第二タンクで効率よく硫黄酸化物などを水に吸着させて除去することができるようになる。しかも、第一タンクである程度二酸化硫黄を吸着させ、さらに、第二タンクで、霧状にして噴霧させた低温の水との接触面積を大きくして、効率よく硫黄酸化物を吸着させて除去することができるようになる。
【0009】
また、このような発明において、前記第一タンクから排出される排ガスを、0℃から40℃の範囲内とするようにする。
【0010】
このように構成すれば、第二タンクに流入する際の排ガスの温度を低くすることで、水に対する溶解度を上げて硫黄酸化物を吸着させることができるようになる。すなわち、排ガスの温度が80℃の場合、水100mに対して3.4gしか溶解しないのに対して、20℃では、11gの硫黄酸化物を溶解させることができるため、排ガスなどを低温にすることで、格段に硫黄酸化物を水に吸着させることができるようになる。
【0011】
さらに、前記第一噴霧装置が、第一タンクの上から下方に向けて水を噴霧させるように構成する。
【0012】
このように構成すれば、第一タンク内で対流を起こさせることができるため、排ガスを効率よく低温にすることができるようになるとともに、噴霧された水によって熱を奪い、その水を熱交換器を用いてボイラーで加熱させるための水を加熱させることができる。
【0013】
また、前記第二噴霧装置が、第二タンクの下から上に向けて水を噴霧させるように構成する。
【0014】
このように構成すれば、一旦上に向けて噴射された水が下降するため、排ガスとの接触時間を長くすることができ、より効率的に硫黄酸化物などの有害物質を吸着させて除去することができるようになる。
【0015】
前記第二噴霧装置で噴霧される水を、5℃から20℃の範囲内としておくことが好ましい。
【0016】
このように構成すれば、より多くの硫黄酸化物などの有害物質を水に溶解させて吸着させることができるようになる。
【0017】
また、前記第三タンクで回収した水を加熱させ、硫黄酸化物を分離させて、硫酸を生成する硫酸生成部を設けるようにしてもよい。
【0018】
このように構成すれば、中和剤などを用いることなく、分離された硫黄酸化物を水から分離させて硫酸とし、保管・販売することができるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、排ガスを入れる第一タンクと、当該第一タンク内で水を噴霧して排ガスを冷却させる第一噴霧装置と、当該第一噴霧装置で冷却された排ガスを流入させる第二タンクと、当該第二タンク内で、前記冷却された排ガスに水を噴霧させて排ガスに含まれる硫黄酸化物を吸着させる第二噴霧装置と、当該第二噴霧装置で噴霧されて硫黄酸化物を吸着させた水を回収する第三タンクとを備えるようにしたので、第一タンクで冷却された排ガスによって硫黄酸化物などの溶解度を上げることができ、第二タンクで効率よく硫黄酸化物などを吸着させて除去することができるようになる。しかも、第一タンクである程度二酸化硫黄を吸着させ、さらに、第二タンクで、霧状にして噴霧させた低温の水との接触面積を大きくして、効率よく硫黄酸化物を吸着させて除去することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態における排ガスの有害物質除去装置を示す図
図2】二酸化硫黄の水に対する溶解度を示す図
図3】従来例における有害物質除去装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
この実施の形態における排ガスの有害物質除去装置1は、図1に示すように、ボイラーから排出された排ガスを流入させる第一タンク2と、その第一タンク2内で排ガスに水を噴霧させて排ガスを冷却させる第一噴霧装置3と、その第一タンク2で冷却された排ガスを流入させる第二タンク6と、その第二タンク6に流入された排ガスから、その排ガスに含まれる硫黄酸化物などの有害物質を吸着させる第二噴霧装置7などを備えて構成させる。そして、特徴的に、第一タンク2で冷却された排ガスに含まれる硫黄酸化物の水に対する溶解度を上げて、第二タンク6で霧状の水に吸着させ、これによって、有害物質を除去して排ガスを排出させるようにしたものである。以下、本実施の形態における有害物質除去装置1について詳細に説明する。
【0023】
まず、ボイラーから排出された排ガスは、高温の状態(例えば、230℃から270℃の状態)で第一タンク2に供給される。この第一タンク2は、耐熱性・耐酸性を有する素材で構成されており、下方に排ガスを流入させる流入部21を設けるとともに、上方に排ガスを排出させる流出部22を設けるようにしている。なお、この実施の形態では、排ガスを直接第一タンク2に流入させるようにしているが、第一タンク2に流入させる前に、窒素酸化物除去装置で窒素酸化物を除去させたり、あるいは、集塵装置を設けることによって煤塵などを取り除くようにしてもよい。
【0024】
この第一タンク2の内部には、排ガスを冷却させるための第一噴霧装置3が設けられる。この第一噴霧装置3は、第一タンク2の上方から水を噴霧させるようにしたものであって、高温の排ガスに霧状の水を下方に噴霧させ、排ガスを40℃以下に冷却させるようにしている。このように水を噴霧させると、第一タンク2の下方から流入された排ガスと逆方向に衝突するため、乱流状態となりながら、排ガスから熱を奪うとともに、その排ガスに含まれる硫黄酸化物や粉塵などを除去することができるようになる。これにより、細かい煤塵などを収集する集塵装置を新たに設けることなく、煤塵などを同時に取り除くことができるようになる。なお、このように上から水を噴霧させる際、排ガスの気流によって霧状の水が落下することなく、排ガスとともに排出される可能性があるため、排ガスの気流に逆らって落下する程度の大きさの水滴としておくのが好ましい。
【0025】
この第一タンク2で排ガスに水を噴霧させると、その水は、逆に、排ガスから熱を奪って加熱され、高温となった状態で第一タンク2の下方に貯まる。また、この下方に貯まった水に高温の排ガスが当たるようになるため、その水は常に高温の状態となる。そこで、この高温の水を有効活用すべく、その水を熱交換器4に通し、ボイラーで沸かすための水を加熱できるようにしている。なお、この第一タンク2から排出された高温の水は、少量ながら硫黄酸化物や煤塵などを含まれているため、フィルターを用いて煤塵などを除去したり、あるいは、熱交換器4自体を耐酸性にコーティングさせるようにしておくとよい。
【0026】
この第一タンク2で冷却された排ガスは、導通管5を介して第二タンク6に排出される。この導通管5は、その内部に通される排ガスの冷却状態を維持すべく、可能な限り室温に近い状態か、あるいは、室温よりも低い場所に設けられるのが好ましい。特に、外気温度が非常に低い地域などにおいては、その導通管5を室外に通すようにしてもよい。一方、室温や外気だけでは冷却状態を維持できない場合、第一噴霧装置3に供給される水道管を導通管5に巻きつけておき、その水道管からの熱によって、導通管5の冷却状態を維持できるようにしてもよい。
【0027】
第二タンク6は、排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去するために設けられるものであって、第一タンク2と同様に、耐酸性の素材で構成される。この第二タンク6の下方には、第二噴霧装置7が設けられており、霧状の水を噴霧させて硫黄酸化物を水に溶解させて吸着させるようにしている。
【0028】
通常、二酸化硫黄などの硫黄酸化物は、図2に示すように、70℃から100℃では、3.4g/100ml~3.7g/100ml程度しか水に溶けない。しかし、二酸化硫黄を冷却していくと、30℃では8g/100ml、20℃では11g/100ml、10℃では15g/100ml、0℃では22g/100mlと格段に溶解度が上がっていく。そこで、この溶解度の特性を利用して、あらかじめ第一タンク2で排ガスを20℃以下に冷却させておき、第二タンク6で冷たい水を噴霧させて硫黄酸化物を水に吸着させるようにしている。
【0029】
この硫黄酸化物を吸着させるための第二噴霧装置7は、可能な限り水との接触時間や接触面積を大きく確保できるように、第二タンク6の下方に設けられ、上から流入する排ガスに向けて、第一噴霧装置3よりも細かい霧状にして水を噴霧させる。このときの噴霧される水としては、水道水などが用いられ、可能な限り冷却されていることが好ましく、0℃~20℃程度としておくことが好ましい。このように第二噴霧装置7から水を噴霧させると、第二タンク6に流入した排ガスと衝突するため、乱流を起こしながら排ガスに含まれる硫黄酸化物を水に吸着させて除去していくことができる。また、このように上に向けて霧状の水を噴霧させると、上昇した水が排ガスとともに下降していくため、排ガスとの接触時間を長くして、硫黄酸化物を長時間にわたって吸着させていくことができるようになる。そして、このように硫黄酸化物を吸着した水は、第二タンク6の下方に貯留するようになる。
【0030】
このように、第二タンク6で二酸化硫黄を水に吸着させて除去した排ガスは、低温(20℃前後)になった状態で外部に排出される。これにより白煙などを生じさせることなく、きれいな状態で排ガスを排出させることができるようになる。
【0031】
この第二タンク6内で硫黄酸化物を吸着して亜硫酸となった水は、第三タンク8に排出され、そこで再び、加熱装置81によって50℃から70℃の範囲で加熱される。すると、水に溶解している二酸化硫黄を水から分離し、これによって、二酸化硫黄のみを抽出することができる。そして、硫酸生成部によって、この分離した二酸化硫黄を触媒や酸素と接触させてSOを生成し、水と結合させて硫酸水溶液を生成する。そして、このように生成された硫酸水溶液を保管・販売できるようにする。
【0032】
次に、このように構成された有害物質除去装置1を用いた排ガス除去のための作用について説明する。
【0033】
まず、ボイラーから排出された230℃から270℃の排ガスを、第一タンク2に流入させる。なお、この第一タンク2に流入する前に、窒素酸化物除去装置や集塵装置などが設けられている場合は、そこで窒素酸化物や煤塵を除去した状態で、第一タンク2に排ガスが流入させる。
【0034】
この第一タンク2に流入された排ガスは、第一タンク2内で上方に移動し、上から噴霧された第一噴霧装置3からの水と衝突するようになる。これにより、0℃から40℃の範囲内の温度で噴霧された水によって、排ガスから熱を奪い、排ガスを20℃前後(好ましくは、0℃から40℃の範囲内)に冷却させるようにする。このとき、排ガスは第一タンク2の下方側の流入部21から流入するようになっているため、第一タンク2の下方に貯留した水と接触し、その水を波立たせて水との接触面積を大きくして、排ガスを冷却させることができるようになる。
【0035】
一方、その第一タンク2で排ガスを冷却させた水は、逆に、80℃前後に加熱された状態で第一タンク2の下方に貯留する。その貯留した高温の水は、熱交換器4に向けて排出され、ボイラーで加熱させるための水を加熱させる。
【0036】
一方、この第一タンク2で冷却させた排ガスは、導通管5を介して第二タンク6側に供給される。
【0037】
第二タンク6に供給された排ガスは、第二タンク6の上から流入され、下方から噴霧された0℃から20℃の霧状の水と衝突するようになる。このとき、排ガスは20℃前後の温度となっており、水が10℃前後となっているため、排ガスに含まれる二酸化硫黄の溶解度が飛躍的に向上し、二酸化硫黄は水に溶解するようになる。
【0038】
そして、このように二酸化硫黄を吸着させた水(亜硫酸水溶液)を、第二タンク6の下方に貯留させ、そこから第三タンク8に排出する。
【0039】
この亜硫酸水溶液を貯留させる第三タンク8では、その亜硫酸水溶液を加熱装置81によって50℃から70℃の範囲内で加熱し、溶解度を超える二酸化硫黄を分離させる。そして、その分離した二酸化硫黄を触媒や空気に接触させてSOにした後、水と結合させて硫酸水溶液にする。そして、その硫酸水溶液を貯留し、硫酸水として販売できるようにする。
【0040】
一方、前述の第二タンク6で二酸化硫黄を除去した排ガスは、冷却された状態で外部に放出される。これにより、有害物質を除去した冷たい排ガスを放出させることができ、白煙などを生じさせるようなことがなくなる。
【0041】
このように上記実施の形態によれば、排ガスを入れる第一タンク2と、当該第一タンク2内で水を噴霧して排ガスを冷却させる第一噴霧装置3と、当該第一噴霧装置3で冷却された排ガスを流入させる第二タンク6と、当該第二タンク6内で、前記冷却された排ガスに水を噴霧させて排ガスに含まれる硫黄酸化物を吸着させる第二噴霧装置と、当該第二噴霧装置で噴霧されて硫黄酸化物を吸着させた水を回収する第三タンク8とを備えるようにしたので、第一タンク2で冷却された排ガスによって硫黄酸化物などの溶解度を上げることができ、第二タンク6で効率よく硫黄酸化物などを吸着させて除去することができるようになる。しかも、第一タンク2である程度二酸化硫黄を吸着させ、さらに、第二タンク6で、霧状にして噴霧させた低温の水との接触面積を大きくして、効率よく硫黄酸化物を吸着させて除去することができるようになる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0043】
例えば、上記実施の形態では、第一タンク2で排出された水を熱交換器4に通すようにしたが、このような熱交換器4で水を加熱させるのではなく、例えば、寒冷地などに設けられている場合は、その水を外気で冷却させ、第二タンク6の第二噴霧装置7から噴霧させて二酸化硫黄を吸着させるようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、第二タンク6で貯留された水(亜硫酸水溶液)を第三タンク8に排出させて加熱させ、SOを蒸発させるようにしたが、この亜硫酸水溶液をそのまま貯留してもよく、あるいは、中和剤を入れて中和させるようにしてもよい。
【0045】
さらに、上記実施の形態では、二酸化硫黄を除去する場合について説明したが、これに限らず、低温下で溶解度の高くなる有害物質(例えば、窒素酸化物など)を除去する場合についても適用することができる。
【0046】
また、上記実施の形態では、第一タンク2の上流側に集塵装置を用いても良い旨を説明したが、第一噴霧装置3や第二噴霧装置7によって煤塵などを水に吸着させて取り除くことが可能である場合は、集塵装置を用いることなく、噴霧によって煤塵などを取り除いてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態では、第一噴霧装置3や第二噴霧装置7を独立して設けるようにしたが、これらを同じ動力源であるポンプを用いて水を噴霧させるようにしてもよい。このようにすれば、装置全体を簡素化することができるとともに、コストを低減させることができるようになる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・有害物質除去装置
2・・・第一タンク
21・・・流入部
22・・・流出部
3・・・第一噴霧装置
4・・・熱交換器
5・・・導通管
6・・・第二タンク
7・・・第二噴霧装置
8・・・第三タンク
81・・・加熱装置
図1
図2
図3