(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037318
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
G07F 9/02 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
G07F9/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141394
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】506408324
【氏名又は名称】嶌田 亘人
(74)【代理人】
【識別番号】100092163
【弁理士】
【氏名又は名称】穴見 健策
(72)【発明者】
【氏名】嶌田 亘人
【テーマコード(参考)】
3E044
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044EA12
3E044EB02
(57)【要約】
【課題】自動販売機について商品選択の前に内容成分等表示を確認でき、正しい判断のもとで納得いく商品選択による購入を可能とする自動販売機を提供する。
【解決手段】
自動販売機1は、複数の商品の商品名を表示した正面外観が並列表示された商品パネル部9と、
それらの各商品に対応する価格表示を含む価格表示部11と、
商品パネル部9に表示されるいずれかの商品の選択指定を利用者が行うと当該選択された商品の第一表示51を表示し、かつ少なくとも商品の成分表示部を含む第二表示52を続けて表示するモニタ部50と、
モニタ部50へ第一及び第二表示を行わせる表示制御部36と、を含む。法規上の許容成分を含む商品で利用者が自分が希望する商品を正しく判定して商品選択ができるようにする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商品の商品名を表示した正面外観が並列表示された商品パネル部と、
それらの各商品に対応する価格表示を含む価格表示部と、
商品パネル部に表示されるいずれかの商品の選択指定を利用者が行うと当該選択された商品の第一表示を表示し、かつ少なくとも商品の成分表示部を含む第二表示を続けて表示するモニタ部と、
モニタ部へ第一及び第二表示を行わせる表示制御部と、を含むことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
第二表示は、第一表示と異なる表示の複数の表示を含むことを特徴とする請求項1記載の自動販売機。
【請求項3】
選択された商品の第一表示及び第二表示は商品外観の表面又は裏面であり、第一表示から第二表示への変更は商品の水平回転により行われることを特徴とする請求項1又は2記載の自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の建物内外に設置される自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不特定多数の人が通貨やカードなどを投入して対価を払うことで自動で商品等を購入できるようにした自動販売機が知られている。自動販売機は販売員が居らず、無人で時間帯を問わずに商品を販売することができる事業設備であり、箱型機体の表側に販売対象の商品陳列部と、商品選択部とコイン投入部等を設置したものが一般に実用されている。自動販売機の販売対象商品の陳列部は、商品自体やダミー商品外観の正面を利用者の対面側に向けて陳列棚に並べて配置し利用者に商品選択させるようになっている。
【0003】
自動販売機について従来、特許文献1が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は機体の前面にセンサを設置し外部温度、湿度、気圧、照度、風速等の外部情報を取得し、取得された情報と商品情報とに基づいて収益率情報や品切れ情報等を提示するものである。一方、販売する商品の内容表示について食品表示法について規定されており、商品等への表示場所、表示する文字及び栄養成分表示に用いる名称、文字の大きさ、食品の単位等について詳細に規定されている。
【0006】
しかしながら、この従来の自動販売機では、商品自体やダミー商品の正面を外部に向けて陳列棚に並べて配置しているだけで利用者への商品選択を実質的に求めるから、利用者は法規制に合致した成分、内容の商品か否かの判断ができずに商品選択をせざるを得ない場合が多かった。
【0007】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、簡易に商品
購入可能な自動販売機について商品選択の前に内容成分等表示を確認でき、正しい判断のもとで納得いく商品選択による購入を可能とする自動販売機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、複数の商品の商品名を表示した正面外観が並列表示された商品パネル部9と、それらの各商品に対応する価格表示を含む価格表示部11と、商品パネル部9に表示されるいずれかの商品の選択指定を利用者が行うと当該選択された商品の第一表示51を表示し、かつ少なくとも商品の成分表示部52aを含む第二表示52を続けて表示するモニタ部50と、モニタ部50へ第一及び第二表示を行わせる表示制御部36と、を含む自動販売機1から構成される。
【0009】
その際、第二表示52は、第一表示51と異なる表示の複数の表示を含むとよい。
【0010】
また、選択された商品の第一表示51及び第二表示52は商品外観の表面又は裏面であり、第一表示から第二表示への変更は商品の水平回転により行われるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自動販売機によれば、法規に従って商品の成分表示等を正しく表示させながら利用者の納得する希望商品を選択させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る自動販売機の概略正面説明図である。
【
図2】
図1の商品パネル部を示す拡大一部省略説明図である。
【
図3】ネットワークシステム中の実施形態の自動販売機1の概略構成を示す図である。
【
図6】(a)、(b)は、実施形態の飲料商品の第一、第二表示を示す説明図である。
【
図7】
図1の自動販売機の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の自動販売機の一実施形態について説明する。
【0014】
本発明の自動販売機は各種飲料、インスタント食品、菓子等を収容し、複数の表示モニターを搭載して複数の広告依頼に対応した広告表示を行う自動販売機であり、
図1の実施形態において、矩形のケース型の飲料販売用の自動販売機を示している。
【0015】
図1において、自動販売機1の正面側上部に電子式モニター(デジタルサイネージ)として広告表示部3、商品表示部6、商品パネル部9が設置されている。さらに自動販売機1の正面側にカード読み取り器12、紙幣投入部13、コイン返却口14、商品取出し口15、貨幣投入部16、印刷用紙取出し口18、防犯カメラ19が設置されている。
【0016】
広告表示部3は、
図5に示すように自動販売機1の開閉ドアパネル1aで大きな設置面積を占有する液晶モニターであり、自動販売機に設置された通信ユニットにより通信回線を介して管理センターから送信される表示データにより広告依頼者による所望の広告画像を表示する。
【0017】
モニタ部50は、商品パネル部9に隣接して設置される液晶モニターであり、常時は依頼者による広告表示を行う一方、当該自動販売機の利用者が商品表示部のいずれかの商品の選択を行った際に選択された商品の画像に切り替え表示する。モニタ部50に常時表示される依頼による広告としては、例えば、衣料品、アパレル関係の広告や、求人情報、不動産の売買物件、賃貸借物件等の表示が含まれる。これらの表示には画面表示の広告の詳細情報を表示する依頼者側のWEBサイトへのリンク情報が含まれており、利用者がタッチすると依頼者側のWEBサイトへジャンプし印刷が可能な場合には用紙に印刷された情報を紙で出力できるようになっている。18は、その際の印刷用紙取出し口である。
【0018】
商品パネル部9は、当該自動販売機が提供する商品を表示する液晶モニターであり、予め提供商品を行及び/又は列状に近接配置表示させる商品表示部6を含む。各商品の表示位置には行及び列位置で特定されるタッチスイッチ17が設定されており、表示された商品自体を指等でタッチすることによりその商品を選択し表示させる指示を行うこととなる。そして、タッチパネルにより商品を選択するとモニタ部50は、広告表示から指定された商品の表示に切りかわる。
図2に示すように、商品パネル部9の各商品の直下方に価格が表示された価格表示部11が設けられている。なお、商品選択はタッチスイッチだけではなく、接触、切り換え等の機械式スイッチによる選択方式のものでもよい。
【0019】
実施形態の自動販売機1は、図示しないがドアパネルの裏面側に、広告表示部2b、商品表示部2c、商品パネル部2dに接続される制御ユニット、情報印刷部、コインシューター、カード読み取り部、データ格納補助記憶部、売上金収容部等が設置されている。
【0020】
図3は、一つのネットワークシステム中の実施形態の自動販売機1の概略構成を示す図であり、図においてインターネット20を介して管理センター22と自動販売機1とがデータの送受信可能に接続されている。管理センター22は、自販機事業を行う運営会社であり送受信機能付きのコンピュータ26により各所に設置した自動販売機と無線又は有線接続されて広告用データを各自動販売機に対して送信すると共に、各自動販売機ごとの商品残数データ等を受信して管理する。
【0021】
図3において、自動販売機1は、通信ユニット24と、制御装置30と、入力部42と、記憶部46と、モニタ部50と、を含む。
【0022】
通信ユニット24は、自動販売機1の広告表示部3への広告内容のデータを管理センター22から受信すると共に、機内の商品残数データをネットワーク回線を介して管理センター22へデータ送受信するための通信インタフェースを含む。
【0023】
制御装置30は、利用者による入力部42からの入力を受けてモニタ部50の表示制御を行うと共に、選択された商品の残数を計数してそのデータを通信ユニット24を介して管理センター22へ通知する機能を含む。制御装置30は自販機部32と、表示制御部36と、通信制御部38とを含む。
【0024】
自販機部32は、
図4において、商品選択部32a、商品提供部32b、料金決済部33、残量管理部34を含む。商品選択部32aにおいて、利用者のタッチスイッチ操作によりいずれの商品が選択されたかを検出特定する。商品提供部32bは、料金決済部33において貨幣又は紙幣の投入が検出された際にその情報を受けて選択商品を飲料ラックから商品取出し口15へ排出させる。料金決済部33は、商品代価としての硬貨や紙幣の検出、つり銭の返却指示、商品代価支払い用カードの検出、カード情報の読取りを行い、決済条件を充足する場合に商品の取出し口への投下指示を行う。また、残量管理部34は、選択された商品の排出後当該商品の残数情報を通信ユニット24、ネットワーク20を介して管理センターに通知する。管理センターでは、商品ごとの当該自動販売機について各商品についての収容残数が把握されており、これによって、自動販売機の管理作業員は商品の販売機1への補充後に収容本数を記録して事業所で登録処理等を行う必要がなく、各自動販売機の管理作業時間の節約、労力軽減等を行える。
【0025】
表示制御部36は、商品選択用タッチスイッチ17によるいずれかの商品の選択情報を受けて、商品パネル部9において選択された商品の例えば正面拡大画像をモニタ部50に表示させるモニタ部の表示手段であり、利用者からの商品の選択待ちの状態で常時は他の依頼会社等の広告情報を表示させ、特定の商品の選択情報を受けて第一の表示並びに第二の表示を続けて行う。
図6(a)は実施形態によるモニタ部50の第一表示51を示している。第一表示51は、選択された商品がボトル飲料の場合の正面表側の外観の表示であり、通常、メーカー名、容量、味名称等が目立つ箇所に表示されている。
図6(b)はモニタ部50の第二表示52を示している。第二表示52は、例えば選択された商品の裏面側表示であり、商品の成分表示部52aが表示されている。第二表示52は、第一表示51と異なる当該選択商品を他の角度や拡大表示等の切替表示も含まれる。例えば、第一表示の商品の正面表示に対して、商品の斜め正面、斜め裏面、平面、背面、俯瞰、その他の表示がある。さらに、第二表示52はそれらの異なる画像や動画を複数回表示するものも含む。また、第一表示51から第二表示52へ変化させる際に第一表示51の商品を水平回転させたり、斜め回転、縦回転等により変化させてもよいし、間欠的な変化表示で変化させるようにしてもよい。
【0026】
通信制御部38は、商品の機体内の残量情報の管理センターへの送信や、広告表示部3の管理センター22からの情報を通信ユニット24、ネットワーク20を介して送受信させる。
【0027】
記憶部46は、モニタ部50に商品選択待ち状態で常時表示させる依頼広告画像データや商品パネル部9に表示させる商品の画像データを保持する機能を有する。
【0028】
次に、実施形態による自動販売機1の処理の流れについて説明する。
図7は、自動販売機の処理の流れを示すフローチャートであり、常時は、モニタ部50において、記憶部46からのデータを受けて広告情報等を表示して利用者による商品選択待ちの待機状態となっている(S1)。
【0029】
利用者が商品パネル部9のいずれかの商品のタッチスイッチ17をタッチしてこれを自販機部32で検出すると(S2)、表示制御部36はモニタ部50の依頼者による常時の広告表示を
図6(a)の第一表示51へ変更させる。これにより、ボトル飲料の正面側の表示から利用者は選択商品を確認できる。第一表示51が例えば2秒間維持され(S3)、続いて第二表示52が表示される。第二表示52で示された商品の成分表示部52aを見て利用者は自分が選択する商品が法規で許容された商品で、かつ正しく希望する商品か否かを確認した後、利用者による現金支払い(S4)か、カード払い(S5)かを料金決済部33が検出して決済する。なお、第二表示52の後、いったん第一表示51に戻してもよい。決済完了後、商品提供部32bは、商品ラックから選択された商品のロックを解除し商品取出し口15へ放出し(S6)、利用者はこれを受け取る。商品提供部32による商品のロック解除情報を受けて残量管理部34は、記憶部46に記憶された残量から1個差し引いた数量に書き換え(S7)、この書き換えられた残量情報を通信ユニット24を介して管理センター22へ送信する。
【0030】
以上のような自動販売機によれば、無人の自動販売機でありながら、法規に従って商品の成分表示等を正しく表示させながら利用者の納得する希望商品を選択させることが可能である。また、利用者の商品選択前のモニタ部に他者の依頼による広告表示やニュース、情報等発信を行って収入源とすることができ、自動販売機を有効活用することができる。
【0031】
以上説明した本発明の自動販売機は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲において行った任意の改変も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の自動販売機は、建物の内外や船舶、鉄道等の輸送手段内においても利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 自動販売機
6 商品表示部
9 商品パネル部
17 タッチスイッチ
30 制御装置
32 自販機部
32a 商品選択部
32b 商品提供部
33 料金決済部
34 残量管理部
36 表示制御部
38 通信制御部
46 記憶部
50 モニタ部
51 第一表示
52 第二表示
52a 商品の成分表示部