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特開2022-37474金融機関のための装置およびその装置において実行されるプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037474
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】金融機関のための装置およびその装置において実行されるプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20220302BHJP
【FI】
G06Q40/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141628
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】506418529
【氏名又は名称】auじぶん銀行株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】榊原 一弥
(72)【発明者】
【氏名】正藤 清美
(72)【発明者】
【氏名】真茅 圭太
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB23
(57)【要約】
【課題】金融機関のための装置を提供すること。
【解決手段】本発明の装置は、顧客からの貸付に関する要求を受信する受信手段であって、要求は、顧客が所望する貸付金額を含む、受信手段と、顧客が所望する貸付金額に少なくとも基づいて、顧客が所望する貸付を金融機関が顧客に行うことが可能であるか否かを判定する判定手段と、顧客が所望する貸付を金融機関が顧客に行うことが可能でないと判定された場合に、顧客が所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを金融機関以外の別の金融機関に依頼する依頼手段とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関のための装置であって、
顧客からの貸付に関する要求を受信する受信手段であって、前記要求は、前記顧客が所望する貸付金額を含む、受信手段と、
前記顧客が所望する貸付金額に少なくとも基づいて、前記顧客が所望する貸付を前記金融機関が前記顧客に行うことが可能であるか否かを判定する判定手段と、
前記顧客が所望する貸付を前記金融機関が前記顧客に行うことが可能でないと判定された場合に、前記顧客が所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを前記金融機関以外の別の金融機関に依頼する依頼手段と
を備える、装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記顧客が所望する貸付金額に基づいて、前記金融機関の総貸付可能金額が前記金融機関の許容される貸付金額の所定の第1の閾値を超えるか否かを判定する手段を含み、
前記判定手段は、前記金融機関の前記総貸付可能金額が前記所定の第1の閾値を超えると判定された場合に、前記顧客が所望する貸付を前記金融機関が前記顧客に行うことが可能でないと判定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記要求は、前記顧客の個人情報をさらに含み、
前記判定手段は、
前記金融機関の前記総貸付可能金額が前記所定の第1の閾値を超えないと判定された場合に、前記顧客が所望する貸付金額に基づいて、前記金融機関の総貸付可能金額が前記金融機関の許容される貸付金額の所定の第2の所定を超えるか否かを判定する手段であって、前記第2の閾値は、前記第1の閾値より小さい、手段と、
前記金融機関の総貸付可能金額が前記所定の第2の閾値を超えると判定された場合に、前記顧客の個人情報に基づいて、前記顧客が優良顧客であるか否かを判定する手段と
をさらに含み、
前記判定手段は、前記顧客が優良顧客ではないと判定された場合に、前記顧客が所望する貸付を前記金融機関が前記顧客に行うことが可能でないと判定する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記依頼手段は、
前記金融機関以外の複数の金融機関のうちの1つの金融機関を特定する手段であって、前記特定された1つの金融機関は、前記別の金融機関である、手段と、
前記顧客が所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを前記特定された1つの金融機関に依頼する手段と
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記要求は、前記顧客の属性を含み、
前記複数の金融機関のうちの1つの金融機関を特定する手段は、前記顧客の属性に少なくとも基づいて、前記複数の金融機関のうちの1つの金融機関を特定する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記依頼手段は、
前記金融機関以外の複数の金融機関のうちの2つ以上の金融機関を特定する手段と、
前記2つ以上の金融機関を示す情報を前記顧客に提示する手段と、
前記提示された2つ以上の金融機関のうち前記顧客によって選択された1つの金融機関を示す入力を受信する手段であって、前記選択された1つの金融機関は、前記別の金融機関である、手段と、
前記顧客が所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを前記選択された1つの金融機関に依頼する手段と
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記要求は、前記顧客の属性を含み、
前記複数の金融機関のうちの2つ以上の金融機関を特定する手段は、前記顧客の属性に少なくとも基づいて、前記複数の金融機関のうちの2つ以上の金融機関を特定する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記顧客の属性は、前記顧客の住所、前記顧客が所望する貸付金額、前記顧客が所望する金利、および、前記顧客が所望する金利を超えたとしても前記顧客が所望する貸付金額の満額貸付を前記顧客が希望するか否かのうちの少なくとも1つを含む、請求項5または請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記貸付に関する債権を前記別の金融機関に譲渡するための処理を実行する手段をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記金融機関と提携する信託銀行に前記貸付の債権を譲渡するための処理を実行する手段と、
前記信託銀行から前記貸付の債権に対する受益権を譲受するための処理を実行する手段と、
前記受益権を前記別の金融機関に売却するための処理を実行する手段と
をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記顧客が所望する貸付を前記金融機関が前記顧客に行うことが可能でないと判定された場合に、前記顧客が所望する貸付金額を下回る貸付金額を前記顧客に提示する手段
をさらに備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記金融機関による前記貸付の審査結果を前記別の金融機関に送信する手段と、
前記別の金融機関による前記貸付の審査結果を前記別の金融機関から受信する手段と
をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
金融機関のための装置において実行されるプログラムであって、
前記装置は、プロセッサ部を備え、
前記プログラムは、前記プロセッサ部によって実行されると、
顧客からの貸付に関する要求を受信することであって、前記要求は、前記顧客が所望する貸付金額を含む、ことと、
前記顧客が所望する貸付金額に基づいて、前記顧客が所望する貸付を前記金融機関が前記顧客に行うことが可能であるか否かを判定することと、
前記顧客が所望する貸付を前記金融機関が前記顧客に行うことが可能でないと判定された場合に、前記顧客が所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを前記金融機関以外の別の金融機関に依頼することと
を少なくとも実行することを前記プロセッサ部に行わせる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関のための装置およびその装置において実行されるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、銀行などの金融機関が住宅ローン事業を行っていることが知られている(非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】イオン銀行、“住宅ローン”、[online]、[令和2年6月26日検索]、インターネット<URL:https://www.aeonbank.co.jp/housing_loan/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金融機関にとって住宅ローン事業の業績が伸びることは好ましいことであるが、金融機関の住宅ローン事業の業績が伸びれば伸びるほどその金融機関が必要とする資本が増加するという一面もある。そこで、発明者は、金融機関の資本コントロールを適切に行うとともに、顧客に新しい貸付サービスを提供する新しいビジネスモデルを構築することが必要であると考えた。
【0005】
本発明は、金融機関の資本コントロールを適切に行うとともに、顧客に新しい貸付サービスを提供する新しいビジネスモデルを構築することを可能にする装置およびその装置において実行されるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの局面において、本発明の装置は、金融機関のための装置であり、顧客からの貸付に関する要求を受信する受信手段であって、前記要求は、前記顧客が所望する貸付金額を含む、受信手段と、前記顧客が所望する貸付金額に少なくとも基づいて、前記顧客が所望する貸付を前記金融機関が前記顧客に行うことが可能であるか否かを判定する判定手段と、前記顧客が所望する貸付を前記金融機関が前記顧客に行うことが可能でないと判定された場合に、前記顧客が所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを前記金融機関以外の別の金融機関に依頼する依頼手段とを備える。
【0007】
本発明の1つの実施形態では、前記判定手段は、前記顧客が所望する貸付金額に基づいて、前記金融機関の総貸付可能金額が前記金融機関の許容される貸付金額の所定の第1の閾値を超えるか否かを判定する手段を含み、前記判定手段は、前記金融機関の前記総貸付可能金額が前記所定の第1の閾値を超えると判定された場合に、前記顧客が所望する貸付を前記金融機関が前記顧客に行うことが可能でないと判定してもよい。
【0008】
本発明の1つの実施形態では、前記要求は、前記顧客の個人情報をさらに含み、前記判定手段は、前記金融機関の前記総貸付可能金額が前記所定の第1の閾値を超えないと判定された場合に、前記顧客が所望する貸付金額に基づいて、前記金融機関の総貸付可能金額が前記金融機関の許容される貸付金額の所定の第2の所定を超えるか否かを判定する手段であって、前記第2の閾値は、前記第1の閾値より小さい、手段と、前記金融機関の総貸付可能金額が前記所定の第2の閾値を超えると判定された場合に、前記顧客の個人情報に基づいて、前記顧客が優良顧客であるか否かを判定する手段とをさらに含み、前記判定手段は、前記顧客が優良顧客ではないと判定された場合に、前記顧客が所望する貸付を前記金融機関が前記顧客に行うことが可能でないと判定してもよい。
【0009】
本発明の1つの実施形態では、前記依頼手段は、前記金融機関以外の複数の金融機関のうちの1つの金融機関を特定する手段であって、前記特定された1つの金融機関は、前記別の金融機関である、手段と、前記顧客が所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを前記特定された1つの金融機関に依頼する手段とを含んでいてもよい。
【0010】
本発明の1つの実施形態では、前記要求は、前記顧客の属性を含み、前記複数の金融機関のうちの1つの金融機関を特定する手段は、前記顧客の属性に少なくとも基づいて、前記複数の金融機関のうちの1つの金融機関を特定してもよい。
【0011】
本発明の1つの実施形態では、前記依頼手段は、前記金融機関以外の複数の金融機関のうちの2つ以上の金融機関を特定する手段と、前記2つ以上の金融機関を示す情報を前記顧客に提示する手段と、前記提示された2つ以上の金融機関のうち前記顧客によって選択された1つの金融機関を示す入力を受信する手段であって、前記選択された1つの金融機関は、前記別の金融機関である、手段と、前記顧客が所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを前記選択された1つの金融機関に依頼する手段とを含んでいてもよい。
【0012】
本発明の1つの実施形態では、前記要求は、前記顧客の属性を含み、前記複数の金融機関のうちの2つ以上の金融機関を特定する手段は、前記顧客の属性に少なくとも基づいて、前記複数の金融機関のうちの2つ以上の金融機関を特定してもよい。
【0013】
本発明の1つの実施形態では、前記顧客の属性は、前記顧客の住所、前記顧客が所望する貸付金額、前記顧客が所望する金利、および、前記顧客が所望する金利を超えたとしても前記顧客が所望する貸付金額の満額貸付を前記顧客が希望するか否かのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0014】
本発明の1つの実施形態では、前記貸付に関する債権を前記別の金融機関に譲渡するための処理を実行する手段をさらに備えていてもよい。
【0015】
本発明の1つの実施形態では、前記金融機関と提携する信託銀行に前記貸付の債権を譲渡するための処理を実行する手段と、前記信託銀行から前記貸付の債権に対する受益権を譲受するための処理を実行する手段と、前記受益権を前記別の金融機関に売却するための処理を実行する手段とをさらに備えていてもよい。
【0016】
本発明の1つの実施形態では、前記顧客が所望する貸付を前記金融機関が前記顧客に行うことが可能でないと判定された場合に、前記顧客が所望する貸付金額を下回る貸付金額を前記顧客に提示する手段をさらに備えていてもよい。
【0017】
本発明の1つの実施形態では、前記金融機関による前記貸付の審査結果を前記別の金融機関に送信する手段と、前記別の金融機関による前記貸付の審査結果を前記別の金融機関から受信する手段とをさらに備えていてもよい。
【0018】
本発明の1つの局面において、本発明のプログラムは、金融機関のための装置において実行されるプログラムであり、前記装置は、プロセッサ部を備え、前記プログラムは、前記プロセッサ部によって実行されると、顧客からの貸付に関する要求を受信することであって、前記要求は、前記顧客が所望する貸付金額を含む、ことと、前記顧客が所望する貸付金額に基づいて、前記顧客が所望する貸付を前記金融機関が前記顧客に行うことが可能であるか否かを判定することと、前記顧客が所望する貸付を前記金融機関が前記顧客に行うことが可能でないと判定された場合に、前記顧客が所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを前記金融機関以外の別の金融機関に依頼することとを少なくとも実行することを前記プロセッサ部に行わせる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、金融機関の資本コントロールを適切に行うとともに、顧客に新しい貸付サービスを提供する新しいビジネスモデルを構築することを可能にする装置およびその装置において実行されるプログラムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】顧客に新しい貸付サービスを提供するための新しいビジネスモデルのフローの一例を示す図
図2】新しいビジネスモデルを達成するためのコンピュータシステム200の構成の一例を示す図
図3A】金融機関データベース部251に格納されている情報の構成の一例を示す図
図3B】顧客データベース部252に格納されている情報の構成を示す図
図3C】優良顧客基準データベース部253に格納されている情報の構成を示す図
図3D】関連金融機関データベース部254に格納されている情報の構成を示す図
図4】金融機関Xのコンピュータ装置210において実行される処理のフローの一例を示す図
図5図4のステップS402の判定処理のフローの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本明細書において用いられる用語を定義する。
【0022】
「金融機関」とは、金融取引に関する業務を営む組織をいう。金融機関の代表例は、銀行であるがこれに限定されない。金融機関は、銀行の他、信用金庫、信用組合、農業協同組合、漁業協同組合、保険会社、証券会社、ノンバンクなどを含む。
【0023】
「貸付」とは、一定の条件下で、資金や物品を貸すことをいう。「貸付」の一例は、住宅ローン、車ローン、教育ローンなどのローンであるが、これに限定されない。
【0024】
「貸付サービス」とは、貸付を行うサービスをいう。
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
1.顧客に新しい貸付サービスを提供するための新しいビジネスモデル
図1は、顧客に新しい貸付サービスを提供するための新しいビジネスモデルのフローの一例を示す。なお、図1に示される例では、金融機関Xは、金融機関Yに関連しているとする。例えば、金融機関Xは、金融機関Yと提携している。以下、このフローの各ステップを詳しく説明する。
【0027】
ステップS101:顧客Aは、金融機関Xから貸付サービスを受けるために、貸付に関する要求を金融機関Xに提供する。なお、金融機関Xの一例は、銀行、保険会社、証券会社、ノンバンクなどであるが、これらに限定されない。
【0028】
貸付に関する要求は、例えば、顧客Aの個人情報(例えば、顧客Aの氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、Eメールアドレス、顔写真)、顧客Aの属性(例えば、顧客Aが所望する貸付金額および/または顧客Aが所望する金利や、顧客Aが所望する金利を超えたとしても顧客Aが所望する貸付金額の満額貸付を顧客Aが希望するか否か、申込時に使用されたチャネル(例えば、窓口経由、ウェブ経由、提携先企業経由、代理店経由など))などを含み得る。
【0029】
ステップS101の後、金融機関Xは、顧客Aが所望する貸付(例えば、顧客Aが所望する貸付金額、金利での貸付)を顧客Aに行うことが可能であるか否かを判定する。この判定処理は、例えば、顧客Aの個人情報および/または顧客Aの属性に基づいて実行される。例えば、金融機関Xは、顧客Aが所望する貸付を顧客Aに行うための所定の条件を満たすか否かを判定し、その所定の条件を満たさないと判定した場合に、顧客Aが所望する貸付を顧客Aに行うことが可能ではないと判定する。所定の条件は、例えば、貸付によって発生する債務の保証なしで顧客Aが所望する貸付を顧客Aに行うための条件を含むが、これに限定されない。顧客Aが所望する貸付を顧客Aに行うことが可能であると判定された場合には、金融機関Xは、顧客Aが所望する貸付を顧客Aに行うための手続きを進める。
【0030】
ステップS102:金融機関Xは、顧客Aが所望する貸付を顧客Aに行うことが可能ではないと判定した場合に、金融機関X以外の他の少なくとも1つの金融機関を債務の保証会社として特定し、特定された他の少なくとも1つの金融機関を示す情報を顧客Aに提示する。特定された他の少なくとも1つの金融機関を示す情報を提示するための処理は、例えば、金融機関Xが顧客Aが所望する貸付を顧客Aに行うことが可能でない旨の通知とともに行われ得る。金融機関X以外の他の少なくとも1つの金融機関を債務の保証会社として特定するための処理は、例えば、顧客Aの個人情報および/または顧客Aの属性に基づいて実行される。
【0031】
金融機関Xが、金融機関X以外の他の2つ以上の金融機関を債務の保証会社として特定した場合には、特定された他の2つ以上の金融機関を示す情報を顧客Aに提示することにより、特定された他の2つ以上の金融機関のうちの1つの金融機関を顧客Aに選択させる。保証会社として特定された他の2つ以上の金融機関を示す情報を顧客Aに提示するとき、保証料が金利の一部に上乗せされ得る旨を通知してもよい。
【0032】
金融機関Xが、金融機関X以外の他の1つの金融機関を債務の保証会社として特定した場合には、特定された他の1つの金融機関を示す情報を顧客Aに提示することにより、特定された他の1つの金融機関が金融機関Xの代わりに貸付を行うことを顧客Aに認識させ、顧客Aから了承を得る。保証会社として特定された他の1つの金融機関を示す情報を顧客Aに提示するとき、保証料が金利の一部に上乗せされ得る旨を通知してもよい。
【0033】
ステップS103:顧客Aは、提示された他の少なくとも1つの金融機関のうちの1つの金融機関を選択し、1つの金融機関を選択した旨を金融機関Xに通知する。なお、以下の説明では、顧客Aは、示された他の少なくとも1つの金融機関のうちの1つの金融機関として、金融機関Yを選択したとする。なお、金融機関Yの一例は、銀行、保険会社、証券会社、ノンバンクなどであるが、これらに限定されない。
【0034】
ステップS104:金融機関Xは、顧客Aが所望する貸付によって発生する債務の保証を顧客Aに行うことを金融機関Yに依頼する。
【0035】
ステップS105:金融機関Xは、顧客Aが所望する貸付を顧客Aに行う。
【0036】
このように、金融機関Xは、顧客Aが所望する貸付を顧客Aに行うことができない場合に顧客Aへの貸付によって発生する債務の保証を行うことを他の金融機関に依頼することによって、金融機関Xが顧客に対して過度な貸付を行うことを回避することが可能である。これにより、金融機関Xの資本コントロールを適切に行うことが可能である。
【0037】
なお、図1に示されるステップS101~S103は、例えば、顧客Aによって操作される顧客Aの装置(例えば、スマートフォン)を用いてネットワーク経由で(オンラインで)達成されてもよいし、顧客Aが金融機関Xの窓口に所定の用紙を提出することによってオフラインで達成されてもよい。
【0038】
また、顧客Aは、保証の申し込み手続きを金融機関Xに対して行うことが可能である。
【0039】
さらに、金融機関Xは、信託銀行に債権を信託譲渡してもよい。この場合、信託銀行は、金融機関Xに対して受益権を発行し、金融機関Xは、顧客Aが所望する貸付によって発生する保証を行う金融機関Yにその受益権を売却してもよい。
【0040】
なお、図1に示される実施形態では、金融機関Yが、貸付によって発生する債務を保証する保証会社として機能する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、金融機関Xは、金融機関Yにその受益権を売却し、顧客Aが所望する貸付によって発生する保証を金融機関Xおよび金融機関Y以外の他の会社が行ってもよい。
【0041】
2.新しいビジネスモデルを達成するためのコンピュータシステムの構成
図2は、上述した新しいビジネスモデルを達成するためのコンピュータシステム200の構成の一例を示す。
【0042】
コンピュータシステム200は、金融機関Xのための処理を実行するコンピュータ装置210と、金融機関X以外の他の金融機関のための処理を実行するコンピュータ装置220~220と、顧客によって操作される装置230~230とを備える。金融機関Xのコンピュータ装置210は、インターネット240を介して、他の金融機関のコンピュータ装置220~220のそれぞれと通信可能なように、かつ、顧客の装置230~230のそれぞれと通信可能なように構成されている。ここで、N、Mは、1以上の整数である。
【0043】
図2に示される例では、金融機関Xのコンピュータ装置210は、インターフェース部211と、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサ部212と、メモリ部213とを含む。金融機関Xのコンピュータ装置210のハードウェア構成は、その機能を実現できる限りにおいて特に限定されず、単一のマシンで構成されていてもよく、複数台のマシンを組み合わせて構成されたものであってもよい。
【0044】
インターフェース部211は、他の金融機関のコンピュータ装置220~220のそれぞれとの通信を制御し、顧客の装置230~230のそれぞれとの通信を制御する。
【0045】
メモリ部213には、処理を実行するために必要とされるプログラムやそのプログラムを実行するために必要とされるデータ等が格納されている。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ部213に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ部213にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、インターネット240などのネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ部213にインストールされるようにしてもよいし、光ディスクやUSBなどの記憶媒体を介してメモリ部213にインストールされるようにしてもよい。
【0046】
プロセッサ部212は、金融機関Xのコンピュータ装置210全体の動作を制御する。プロセッサ部212は、メモリ部213に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、金融機関Xのコンピュータ装置210は、所望のステップを実行する装置として機能することが可能であり、金融機関Xのコンピュータ装置210のプロセッサ部212は、所望の機能を達成する手段として動作することが可能である。
【0047】
金融機関Xのコンピュータ装置210は、データベース部250に接続されている。データベース部250は、金融機関データベース部251と、顧客データベース部252と、優良顧客基準データベース部253と、関連金融機関データベース部254とを含む。
【0048】
他の金融機関のコンピュータ装置220~220のそれぞれ、および、顧客の装置230~230のそれぞれは、インターネット240を介して金融機関Xのコンピュータ装置210と通信可能なように構成されている。例えば、他の金融機関のコンピュータ装置220~220のそれぞれは、通信インターフェースを有する任意のタイプのコンピュータ(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、スマートグラス、スマートウォッチ端末などの携帯無線端末、または、デスクトップPC、ラップトップPC、ノートPCなどのパーソナルコンピュータ、または、サーバとして機能するコンピュータシステム)であってもよい。顧客の装置230~230のそれぞれもまた、通信インターフェースを有する任意のタイプのコンピュータ(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、スマートグラス、スマートウォッチ端末などの携帯無線端末、または、デスクトップPC、ラップトップPC、ノートPCなどのパーソナルコンピュータ)であってもよい。
【0049】
なお、図2に示される実施形態では、金融機関Xのコンピュータ装置210がインターネット240を介して他の金融機関のコンピュータ装置220~220のそれぞれと通信可能であり、かつ、顧客の装置230~230のそれぞれと通信可能であると説明したが、本発明はこれに限定されない。インターネット240の代わりに任意のタイプのネットワークを用いることも可能である。また、図2に示される実施形態では、コンピュータシステム200に含まれる構成要素間の通信が同一のネットワーク(すなわち、インターネット240)を介して実現されているが、本発明はこれに限定されない。コンピュータシステム200に含まれる構成要素間の通信は、同一のネットワークを介して実現されてもよいし、部分的に異なる別個のネットワークを介して実現されてもよいし、全て別個のネットワークを介して実現されてもよい。
【0050】
なお、インターネット240およびその代わりの任意のネットワークを介することなく、顧客の装置230~230を金融機関Xのコンピュータ装置210に電気的に結合した構成もまた本発明の範囲内である。さらに、顧客の装置230の機能および金融機関Xのコンピュータ装置210の機能の両方を一体的に組み込んだシステム(すなわち、スタンドアロン型のシステム)を金融機関Xのコンピュータ装置210として構築してもよい。このようなスタンドアロン型の金融機関Xのコンピュータ装置210もまた本発明の範囲内である。
【0051】
また、図2に示される実施形態では、データベース部250は、金融機関Xのコンピュータ装置210の外部に設けられているが、その態様は問わない。例えば、データベース部250は、金融機関Xのコンピュータ装置210の単一の外付けハードディスク装置として構成されてもよいし、ネットワークを介して接続されるクラウド上のストレージとして構成されてもよい。あるいは、データベース部250は、金融機関Xのコンピュータ装置210の内部に設けられることも可能である。データベース部250の構成は、特定のハードウェア構成には限定されない。例えば、データベース部250は、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。さらに、データベース部250に含まれる各データベース部の構成もまた特定のハードウェア構成には限定されない。例えば、データベース部250に含まれる各データベース部もまた、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。
【0052】
図3Aは、金融機関データベース部251に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0053】
金融機関データベース部251には、金融機関Xに関する情報が格納されている。図3Aに示される例では、金融機関Xに関する情報は、例えば、貸付サービスに関する情報、金利に関する情報、現在の総貸付金額などを含む。
【0054】
図3Bは、顧客データベース部252に格納されている情報の構成を示す。
【0055】
顧客データベース部252には、金融機関Xの顧客に関する情報が格納されている。金融機関Xの顧客に関する情報は、顧客を識別するための情報(顧客ID)によって識別されることが可能である。図3Bに示される例では、金融機関Xの顧客に関する情報は、例えば、顧客の氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、Eメールアドレス、顔写真、口座情報(例えば、口座番号、暗証番号など)、顧客が所望する貸付金額、顧客が所望する金利、顧客が所望する金利を超えたとしても顧客が所望する貸付金額の満額貸付を顧客が希望するか否か、申込時に使用されたチャネル(例えば、窓口経由、ウェブ経由、提携先企業経由、代理店経由など)、貸付に対して回収済の金額、貸付に対する回収が延滞している金額などを含む。
【0056】
図3Cは、優良顧客基準データベース部253に格納されている情報の構成を示す。
【0057】
優良顧客基準データベース部253には、優良顧客であるか否かの基準に関する情報が格納されている。図3Cに示される例では、優良顧客であるか否かの基準に関する情報は、顧客が優良顧客であるか否かを判断するための基準となる項目として、完済時の年齢、借入時の年齢、健康状態、物件の担保評価、年収、勤続年数、家族構成、所有している資産、他の債務状況および返済履歴などを含む。
【0058】
例えば、顧客が優良顧客であるか否かを判断するための基準となる各項目に閾値が設定されている場合に、設定された閾値を超える項目の数に応じて、顧客が優良顧客であるか否かを判定してもよい。また、優良顧客と判定されるために満たさなければならない少なくとも1つの項目が設定されていてもよい。
【0059】
図3Dは、関連金融機関データベース部254に格納されている情報の構成を示す。
【0060】
関連金融機関データベース部254には、金融機関X以外の他の金融機関(例えば、金融機関Xと提携している金融機関)に関する情報が格納されている。金融機関X以外の他の金融機関に関する情報は、金融機関X以外の各金融機関を識別するための情報(金融機関ID)によって識別されることが可能である。金融機関X以外の他の金融機関に関する情報は、他の金融機関の名称、住所、貸付可能金額、金利、金融機関Xとの提携歴などを含む。例えば、関連金融機関データベース部254内の金融機関X以外の各金融機関の貸付可能金額および金利は、金融機関X以外の各金融機関から貸付可能金額および金利の情報を受信することによって、定期的に、および/または、所定の入力に応答して、更新されてもよい。
【0061】
3.金融機関Xのコンピュータ装置の処理
図4は、金融機関Xのコンピュータ装置210において実行される処理のフローの一例を示す。図4に示される各ステップは、金融機関Xのコンピュータ装置210に含まれるプロセッサ部212によって実行される。以下、図4に示される各ステップを詳しく説明する。
【0062】
ステップS401:顧客Aからの貸付に関する要求が受信される。この処理は、例えば、顧客Aによって操作される装置から、貸付に関する要求を受信することによって達成されてもよい。あるいは、この処理は、例えば、貸付に関する要求を記載した申込用紙を顧客Aが金融機関Xの窓口において提出した後、金融機関Xの職員が、顧客Aからの貸付に関する要求を金融機関Xのコンピュータ装置210に(例えば、金融機関Xのコンピュータ装置210の入力部に)入力することによって、達成されてもよい。
【0063】
顧客Aからの貸付に関する要求は、例えば、顧客Aの個人情報(例えば、顧客Aの氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、Eメールアドレス、顔写真など)、顧客Aの属性(例えば、顧客Aが所望する貸付金額、顧客Aが所望する金利、顧客Aが所望する金利を超えたとしても顧客Aが所望する貸付金額の満額貸付を顧客Aが希望するか否か、申込時に使用されたチャネル(例えば、窓口経由、ウェブ経由、提携先企業経由、代理店経由など))などを含み得る。
【0064】
ステップS402:顧客Aが所望する貸付を金融機関Xが顧客Aに行うことが可能であるか否かが判定される。この処理は、例えば、顧客Aの属性(例えば、顧客Aが所望する貸付金額)に基づいて、金融機関データベース部251を参照して実行される。例えば、金融機関Xのコンピュータ装置210が、顧客Aが所望する貸付を顧客Aに行うための所定の条件を満たすか否かを判定し、その所定の条件を満たさないと判定した場合に、顧客Aが所望する貸付を顧客Aに行うことが可能ではないと判定する。所定の条件は、例えば、貸付によって発生する債務の保証なしで顧客Aが所望する貸付を顧客Aに行うための条件を含むが、これに限定されない。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS403に進み、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS404に進む。
【0065】
ステップS403:顧客Aが所望する貸付を金融機関Xが顧客Aに行うための処理が実行される。この処理は、例えば、顧客Aの口座に顧客Aが所望する貸付金額を自動的に入金する処理を含む。
【0066】
ステップS404:金融機関X以外の複数の金融機関のうちの少なくとも1つの金融機関が特定される。この処理は、例えば、顧客Aの個人情報および/または顧客Aの属性に基づいて、関連金融機関データベース部254を参照して実行される。ステップS404において特定される金融機関は、金融機関Xに関連する金融機関であり得る。例えば、ステップS404において特定される金融機関は、金融機関Xと提携している金融機関である。
【0067】
例えば、関連金融機関データベース部254内の各金融機関の貸付可能金額と顧客Aが所望する貸付金額とに基づいて、顧客Aが所望する貸付金額の貸付を行うことが可能な金融機関が特定される。あるいは、例えば、関連金融機関データベース部254内の各金融機関の金利と顧客Aが所望する金利とに基づいて、顧客Aが所望する金利で貸付を行うことが可能な金融機関が特定される。あるいは、関連金融機関データベース部254内の各金融機関の住所と顧客Aの住所とに基づいて、顧客Aの住所に近隣の金融機関が特定されるようにしてもよい。あるいは、顧客Aが所望する金利を超えたとしても顧客Aが所望する貸付金額の満額貸付を顧客Aが希望する場合に、関連金融機関データベース部254内の各金融機関の貸付可能金額と金利とに基づいて、顧客Aが所望する金利を超えるが顧客Aが所望する貸付金額の満額貸付を行うことが可能な金融機関が、特定されるようにしてもよい。あるいは、関連金融機関データベース部254内の各金融機関の貸付可能金額および住所と顧客Aが所望する貸付金額および住所とに基づいて、顧客Aが所望する貸付金額の貸付を行うことが可能な、顧客Aの住所に近隣の金融機関が特定されるようにしてもよい。
【0068】
ステップS405:ステップS404において特定された少なくとも1つの金融機関を示す情報が顧客Aに提示される。ステップS404において金融機関X以外の複数の金融機関のうちの2つ以上の金融機関が特定された場合には、特定された2つ以上の金融機関のうちの1つの金融機関を顧客Aに選択させるために、特定された2つ以上の金融機関を示す情報が顧客Aに提示される。ステップS404において金融機関X以外の複数の金融機関のうちの1つの金融機関が特定された場合には、例えば、特定された1つの金融機関について顧客Aに知ってもらうために、特定された1つの金融機関を示す情報が顧客Aに提示される。
【0069】
特定された少なくとも1つの金融機関を示す情報を提示すると共に、顧客Aが所望する貸付を金融機関Xが顧客Aに行うことができない旨を通知すること、および/または、顧客Aによって選択される金融機関への顧客Aの情報(例えば、顧客Aの個人情報および/または属性)の提供に対する承諾を得ることを行ってもよい。
【0070】
以下、金融機関X以外の複数の金融機関のうちの金融機関Yが、顧客Aによって選択されたとする。
【0071】
ステップS406:顧客Aによって選択された1つの金融機関Yを示す入力が受信される。この処理は、例えば、顧客Aによって操作される装置から、顧客Aによって選択された1つの金融機関Yを示す入力を受信することによって達成されてもよい。あるいは、この処理は、貸付に関する要求を記載した申込用紙を顧客Aが金融機関Xの窓口において提出した後、金融機関Xの職員が、顧客Aによって選択された1つの金融機関Yを示す情報を金融機関Xのコンピュータ装置210に(例えば、金融機関Xのコンピュータ装置210の入力部に)入力することによって、達成されてもよい。
【0072】
ステップS407:顧客Aが所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを金融機関Yに依頼するための処理が実行される。この処理は、例えば、顧客Aが所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを依頼するためのフォームを金融機関Yに送信することを含む。また、この処理は、例えば、顧客Aの個人情報および属性を金融機関Yに送信することを含む。
【0073】
ステップS408:顧客Aが所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを受諾する旨の通知が受信される。顧客Aが所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを受諾する旨の通知は、例えば、金融機関Yのコンピュータ装置220から受信される。この処理は、例えば、金融機関Yのコンピュータ装置220が、顧客Aが所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことが可能であるか否かを判定し、顧客Aが所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことが可能であると判定した場合に、実行される。
【0074】
顧客Aが所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことが可能でないと金融機関Yが判定した場合には、ステップS408に代えて、ステップS408’において、顧客Aが所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを受諾できない旨の通知が金融機関Yから受信される。この場合、ステップS404において特定された少なくとも1つの金融機関のうちの金融機関Y以外の金融機関を示す情報を顧客Aに提示し、1つの金融機関を顧客Aに再び選択させてもよい。
【0075】
ステップS409:金融機関Xが顧客Aに顧客Aの所望の貸付金額の貸付を、貸付によって発生する債務の保証付きで行う処理が実行される。金融機関Xが顧客Aに顧客Aの所望の貸付金額の貸付を、貸付によって発生する債務の保証付きで行う処理は、例えば、顧客Aへの顧客Aの所望の貸付金額の貸付が、貸付によって発生する債務の金融機関Yによる保証付きで実施可能である旨を顧客Aに通知する処理、貸付によって発生する債務を金融機関Yが保証するための保証料が金利に上乗せされる旨を顧客Aに通知する処理、顧客Aの口座に顧客Aが所望する貸付金額を自動的に入金する処理などを含むが、これらに限定されない。
【0076】
ステップS410:顧客Aへの貸付に関する債権を金融機関Yに譲渡するための処理が実行される。顧客Aへの貸付に関する債権を金融機関Yに譲渡するための処理は、例えば、顧客Aへの貸付に関する債権のデータを金融機関Yに送信することを含む。
【0077】
なお、ステップS404において1つの金融機関が特定された場合、ステップS405およびステップS406は省略されてもよい。例えば、金融機関X以外の金融機関(例えば、金融機関Xのお薦めの金融機関、金融機関Xと提携している金融機関)が貸付を行う場合があることを顧客Aに事前に説明し、ステップS404において1つの金融機関が特定された場合に、特定された1つの金融機関を示す情報を顧客Aに提示することなく、特定された1つの金融機関に、顧客Aが所望する貸付を顧客Aに行うことを依頼してもよい。
【0078】
また、ステップS402において顧客Aが所望する貸付を金融機関Xが顧客Aに行うことが可能でないと判定された場合に、ステップS403に加えて、または、ステップS403に代えて、金融機関Xのコンピュータ装置210(特に、金融機関Xのコンピュータ装置210のプロセッサ部212)は、顧客Aが所望する貸付金額を下回る貸付金額を顧客Aに提示してもよい。
【0079】
また、金融機関Xにおける顧客Aの審査結果と金融機関Yにおける顧客Aの審査結果とを金融機関Xと金融機関Yとの間で共有するために、ステップS408より後の任意のタイミングで、金融機関Xによる顧客Aへの貸付の審査結果が金融機関Yに送信され、金融機関Yによる顧客Aへの貸付の審査結果が金融機関Yから受信されてもよい。
【0080】
また、金融機関Xが、顧客Aへの貸付に関する債権を信託銀行(例えば、金融機関Xと提携している信託銀行)に信託譲渡する場合には、ステップS406より後かつステップS410の前の任意のタイミングで、顧客Aへの貸付に関する債権を信託銀行に譲渡するための処理が実行される。顧客Aへの貸付に関する債権を信託銀行に譲渡するための処理は、例えば、顧客Aへの貸付に関する債権のデータを信託銀行に送信することを含む。この場合、金融機関Xのコンピュータ装置210(特に、金融機関Xのコンピュータ装置210のプロセッサ部212)は、顧客Aへの貸付に関する債権に対する受益権を譲受するための処理を実行し、ステップS410に代えて、ステップS410’において、顧客Aへの貸付に関する債権に対する受益権を金融機関Yに売却するための処理を実行してもよい。顧客Aへの貸付に関する債権に対する受益権を譲受するための処理は、例えば、顧客Aへの貸付に関する債権に対する受益権を譲受する旨を記載した報告書データを受信することを含む。また、顧客Aへの貸付に関する債権に対する受益権を金融機関Yに売却するための処理は、例えば、顧客Aへの貸付に関する債権に対する受益権の売却に係る請求書のデータを金融機関Yに送信することを含む。
【0081】
なお、図4に示される実施形態では、金融機関Yが、顧客Aが所望する貸付によって発生する債務の保証を行う例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、金融機関Xは、ステップS407に代えて、ステップS407’において、顧客Aが所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを金融機関Y以外の会社Zに依頼し、ステップS408において、顧客Aが所望する貸付によって発生する債務の保証を行うことを受諾する旨の通知を会社Zから受信し、その後、図4のステップS409およびステップS410が実行されてもよい。
【0082】
図5は、図4のステップS402の判定処理のフローの一例を示す。図5に示される各ステップは、金融機関Xのコンピュータ装置210に含まれるプロセッサ部212によって実行される。以下、図5に示される各ステップを詳しく説明する。
【0083】
ステップS501:顧客Aが所望する貸付金額の貸付を顧客Aに行ったときに、金融機関Xの総貸付金額が、金融機関Xの許容される貸付金額の所定の第1の閾値を超えるか否かが判定される。この処理は、例えば、金融機関データベース部251および顧客データベース部252を参照して、金融機関Xの貸付可能金額および顧客Aが所望する貸付金額に基づいて、実行される。判定結果が「Yes」の場合には、顧客Aが所望する貸付を金融機関Xが顧客Aに行うことが可能でないと判定され、処理は図4のステップS404に進み、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS502に進む。
【0084】
ステップS502:顧客Aが所望する貸付金額の貸付を顧客Aに行ったときに、金融機関Xの総貸付金額が、金融機関Xの許容される貸付金額の所定の第2の閾値を超えるか否かが判定される。ここで、所定の第2の閾値は、所定の第1の閾値より小さい。この処理は、ステップS501と同様に、例えば、金融機関データベース部251および顧客データベース部252を参照して、金融機関Xの貸付可能金額および顧客Aが所望する貸付金額に基づいて、実行される。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS503に進み、判定結果が「No」の場合には、顧客Aが所望する貸付を金融機関Xが顧客Aに行うことが可能であると判定され、処理は図4のステップS403に進む。
【0085】
ステップS503:顧客Aが優良顧客であるか否かが判定される。この処理は、例えば、優良顧客基準データベース部253を参照して実行される。優良顧客基準データベース部253内の各項目を用いて設定された優良顧客のための条件を顧客Aが満たす場合には、顧客Aは、優良顧客であると判定される。判定結果が「Yes」の場合には、顧客Aが所望する貸付を金融機関Xが顧客Aに行うことが可能であると判定され、処理は図4のステップS403に進み、判定結果が「No」の場合には、顧客Aが所望する貸付を金融機関Xが顧客Aに行うことが可能でないと判定され、処理は図4のステップS404に進む。
【0086】
このように、金融機関Xの許容される貸付金額が金融機関Xの許容される貸付金額に近い状態(すなわち、金融機関Xの許容される貸付金額が所定の第2の閾値と所定の第1の閾値との間)であったとしても、優良顧客であれば金融機関Xがその優良顧客に貸付するようにすることが可能である。
【0087】
なお、図4図5に示される例では、メモリ部に格納されたプログラムをプロセッサ部が実行することによって、図4図5に示される各ステップの処理が実現される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。図4図5に示される各ステップのうちの少なくとも一部の処理が制御回路などのハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0088】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、金融機関の資本コントロールを適切に行うとともに、顧客に新しい貸付サービスを提供する新しいビジネスモデルを構築することを可能にする装置およびその装置において実行されるプログラム等を提供するものとして有用である。
【符号の説明】
【0090】
210 コンピュータ装置
220~220 他の金融機関のコンピュータ装置
230~230 顧客の装置
240 インターネット
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5