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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037483
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】ドライバ回路及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20220302BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20220302BHJP
   H03K 17/16 20060101ALI20220302BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H02M1/00 F
H02M1/00 H
H03K17/16 F
H03K17/687 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141646
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】青山 周平
(72)【発明者】
【氏名】石原 義昭
(72)【発明者】
【氏名】野下 裕市
【テーマコード(参考)】
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5H740BA11
5H740BB01
5H740BB05
5H740BB09
5H740BB10
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH05
5H740KK01
5H740MM01
5H740MM11
5J055AX12
5J055AX25
5J055AX55
5J055AX56
5J055BX16
5J055CX13
5J055CX20
5J055DX13
5J055DX22
5J055EX07
5J055EY01
5J055EY05
5J055EY10
5J055EY12
5J055EY13
5J055EY21
5J055EZ09
5J055FX05
5J055FX13
5J055GX01
(57)【要約】
【課題】逆起電力によるフィードバックを好適に行うことができるドライバ回路及びそのドライバ回路を備えた電力変換装置を提供すること。
【解決手段】ドライバ回路12は、外部指令電圧Vpが入力される外部入力端子41と、外部指令電圧Vpを変換指令電圧Vqに変換する指令変換回路50と、逆起電力Vbが入力されるフィードバック入力端子44と、逆起電力Vbをフィードバック電圧Vfbに変換するフィードバック変換回路100と、加算回路60と、を備えている。加算回路60は、変換指令電圧Vqとフィードバック電圧Vfbとを加算する。ここで、フィードバック変換回路100は、逆起電力Vbを分圧する分圧回路101と、分圧接続線101aと加算回路60とを接続する第2パーツライン72b上に設けられた第3フィードバック抵抗R3と、を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御端子及び印加電流が流れる印加端子を有するスイッチング素子を駆動させるドライバ回路であって、
外部指令電圧が入力される外部入力端子と、
前記外部入力端子に接続され、前記外部指令電圧を変換指令電圧に変換する指令変換回路と、
前記印加電流の変化により前記スイッチング素子内の寄生インダクタンスを含むインダクタンス成分によって生じる逆起電力が入力されるフィードバック入力端子と、
前記逆起電力をフィードバック電圧に変換するフィードバック変換回路と、
前記変換指令電圧と前記フィードバック電圧とが入力されるものであって、前記変換指令電圧及び前記フィードバック電圧を加算し、その加算された加算電圧を前記制御端子に向けて出力する加算回路と、
を備え、
前記フィードバック変換回路は、
第1フィードバック抵抗及び第2フィードバック抵抗と、前記第1フィードバック抵抗及び前記第2フィードバック抵抗を直列に接続する分圧接続線と、を有し、前記逆起電力を分圧する分圧回路と、
前記分圧接続線と前記加算回路とを接続する分圧ライン上に設けられた第3フィードバック抵抗と、
を備えていることを特徴とするドライバ回路。
【請求項2】
前記指令変換回路は、
前記外部入力端子に接続されたオペアンプを有する電圧増幅回路と、
前記オペアンプの出力端子と前記加算回路とを接続する外部入力ライン上に設けられ、所定の抵抗値を有する抵抗回路と、
を備えている請求項1に記載のドライバ回路。
【請求項3】
前記抵抗回路は、前記抵抗値を変更可能な抵抗可変回路である請求項2に記載のドライバ回路。
【請求項4】
前記スイッチング素子がターンオンする場合と前記スイッチング素子がターンオフする場合とで前記抵抗可変回路の前記抵抗値を変更する制御部を備えている請求項3に記載のドライバ回路。
【請求項5】
前記抵抗可変回路が設定可能な前記抵抗値には、第1抵抗値と、前記第1抵抗値よりも高い第2抵抗値とが含まれており、
前記制御部は、前記スイッチング素子がターンオンする場合に前記抵抗値が前記第1抵抗値となり、前記スイッチング素子がターンオフする場合に前記抵抗値が前記第2抵抗値となるように前記抵抗可変回路を制御する請求項4に記載のドライバ回路。
【請求項6】
前記抵抗可変回路が設定可能な前記抵抗値には、第1抵抗値と、前記第1抵抗値よりも高い第2抵抗値とが含まれており、
前記制御部は、前記スイッチング素子がターンオンする場合に前記抵抗値が前記第2抵抗値となり、前記スイッチング素子がターンオフする場合に前記抵抗値が前記第1抵抗値となるように前記抵抗可変回路を制御する請求項4に記載のドライバ回路。
【請求項7】
前記スイッチング素子はMOSFETであり、
前記制御端子はゲート端子であり、
前記印加電流は、前記スイッチング素子のソース-ドレイン間に流れるドレイン電流であり、
前記印加端子はソース端子である請求項1~6のうちいずれか一項に記載のドライバ回路。
【請求項8】
前記スイッチング素子はIGBTであり、
前記制御端子はゲート端子であり、
前記印加電流は、前記スイッチング素子のコレクタ-エミッタ間に流れるコレクタ電流であり、
前記印加端子はエミッタ端子である請求項1~6のうちいずれか一項に記載のドライバ回路。
【請求項9】
前記スイッチング素子と、
請求項1~8のうちいずれか一項に記載のドライバ回路と、
を備えていることを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバ回路及び電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、スイッチング素子としてのIGBTを駆動させるドライバ回路が記載されている。特許文献1に記載のドライバ回路は、スイッチング損失の低減とサージ電圧又はサージ電流の低減との両立を図るために、エミッタ配線のインダクタンス分にて発生する逆起電力としての誘起電圧をフィードバックさせるアクティブゲート制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-48843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、逆起電力をそのままドライバ回路へフィードバックさせると、フィードバックによる効果が充分に得られなかったり、フィードバックによる効果が過剰となったりする場合があり得る。このため、逆起電力によるフィードバックには未だ改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は逆起電力によるフィードバックを好適に行うことができるドライバ回路及びそのドライバ回路を備えた電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するドライバ回路は、制御端子及び印加電流が流れる印加端子を有するスイッチング素子を駆動させるものであって、外部指令電圧が入力される外部入力端子と、前記外部入力端子に接続され、前記外部指令電圧を変換指令電圧に変換する指令変換回路と、前記印加電流の変化により前記スイッチング素子内の寄生インダクタンスを含むインダクタンス成分によって生じる逆起電力が入力されるフィードバック入力端子と、前記逆起電力をフィードバック電圧に変換するフィードバック変換回路と、前記変換指令電圧と前記フィードバック電圧とが入力されるものであって、前記変換指令電圧及び前記フィードバック電圧を加算し、その加算された加算電圧を前記制御端子に向けて出力する加算回路と、を備え、前記フィードバック変換回路は、第1フィードバック抵抗及び第2フィードバック抵抗と、前記第1フィードバック抵抗及び前記第2フィードバック抵抗を直列に接続する分圧接続線と、を有し、前記逆起電力を分圧する分圧回路と、前記分圧接続線と前記加算回路とを接続する分圧ライン上に設けられた第3フィードバック抵抗と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、指令変換回路によって外部指令電圧が変換指令電圧に変換され、変換指令電圧が加算回路に入力される。これにより、外部指令電圧を適切な大きさの変換指令電圧に変換してから加算回路に入力させることができる。
【0008】
また、フィードバック変換回路によって逆起電力がフィードバック電圧に変換され、該フィードバック電圧が加算回路に入力される。これにより、逆起電力を適切な大きさのフィードバック電圧に変換してから加算回路に入力させることができる。したがって、変換指令電圧に対して逆起電力が過度に小さいことに起因してフィードバックによる効果が充分に得られなかったり、変換指令電圧に対して逆起電力が過度に大きいことに起因してフィードバックによる効果が過剰となったりすることを抑制でき、逆起電力によるフィードバックを好適に行うことができる。
【0009】
特に、本構成によれば、逆起電力に対するフィードバック電圧の比率である利得は、各フィードバック抵抗の抵抗値に依存する。したがって、各フィードバック抵抗の抵抗値を設定することにより、オペアンプなどの電子部品を用いることなく、利得を所望の値にすることができる。よって、構成の簡素化を図ることができる。
【0010】
上記ドライバ回路について、前記指令変換回路は、前記外部入力端子に接続されたオペアンプを有する電圧増幅回路と、前記オペアンプの出力端子と前記加算回路とを接続する外部入力ライン上に設けられ、所定の抵抗値を有する抵抗回路と、を備えているとよい。
【0011】
かかる構成によれば、外部指令電圧は、電圧増幅回路によって増幅され且つ抵抗回路を通ることによって、変換指令電圧に変換される。この場合、抵抗回路の抵抗値と、第3フィードバック抵抗の抵抗値との比率によって、加算電圧に対するフィードバック電圧の影響度合いが変わる。したがって、抵抗回路の抵抗値を調整することにより、フィードバックによる効果、例えばサージ抑制効果を調整することができる。
【0012】
上記ドライバ回路について、前記抵抗回路は、前記抵抗値を変更可能な抵抗可変回路であるとよい。
かかる構成によれば、スイッチング素子の仕様や動作条件等といった状況に応じて適切なフィードバックが異なる場合に対応することができる。例えば、サージが発生しやすい状況下では、抵抗可変回路の抵抗値を高くして、フィードバックによるサージ抑制効果を大きくすることができる一方、サージが発生しにくい状況下では、抵抗可変回路の抵抗値を低くして電力損失を低減することができる。
【0013】
特に、本構成によれば、逆起電力に対するフィードバック電圧の比率である利得に寄与する第3フィードバック抵抗の抵抗値を変更することなく、フィードバックによる効果を適切なものに変更できる。
【0014】
上記ドライバ回路について、前記スイッチング素子がターンオンする場合と前記スイッチング素子がターンオフする場合とで前記抵抗可変回路の前記抵抗値を変更する制御部を備えているとよい。
【0015】
かかる構成によれば、スイッチング素子のターンオン時とターンオフ時とで抵抗値を変更することにより、ターンオン時とターンオフ時とのそれぞれにおいて適切なフィードバックを得ることができる。これにより、逆起電力によるフィードバックをより好適に行うことができる。
【0016】
上記ドライバ回路について、前記抵抗可変回路が設定可能な前記抵抗値には、第1抵抗値と、前記第1抵抗値よりも高い第2抵抗値とが含まれており、前記制御部は、前記スイッチング素子がターンオンする場合に前記抵抗値が前記第1抵抗値となり、前記スイッチング素子がターンオフする場合に前記抵抗値が前記第2抵抗値となるように前記抵抗可変回路を制御するとよい。
【0017】
かかる構成によれば、ターンオン時には抵抗可変回路の抵抗値が比較的低い第1抵抗値となっているため、スイッチング素子の立ち上がり期間を短くすることができ、電力損失の低減を図ることができる。
【0018】
一方、ターンオフ時には抵抗可変回路の抵抗値が比較的高い第2抵抗値となっているため、フィードバックによる影響が大きくなり易く、スイッチング素子が緩やかに立ち上がり易い。これにより、サージを抑制できる。
【0019】
上記ドライバ回路について、前記抵抗可変回路が設定可能な前記抵抗値には、第1抵抗値と、前記第1抵抗値よりも高い第2抵抗値とが含まれており、前記制御部は、前記スイッチング素子がターンオンする場合に前記抵抗値が前記第2抵抗値となり、前記スイッチング素子がターンオフする場合に前記抵抗値が前記第1抵抗値となるように前記抵抗可変回路を制御するとよい。
【0020】
かかる構成によれば、ターンオン時には抵抗可変回路の抵抗値が比較的高い第2抵抗値となっているため、フィードバックによる影響が大きくなり易く、スイッチング素子が緩やかに立ち上がり易い。これにより、サージを抑制できる。
【0021】
一方、ターンオフ時には抵抗可変回路の抵抗値が比較的低い第1抵抗値となっているため、スイッチング素子の立ち上がり期間を短くすることができ、電力損失の低減を図ることができる。
【0022】
上記ドライバ回路について、前記スイッチング素子はMOSFETであり、前記制御端子はゲート端子であり、前記印加電流は、前記スイッチング素子のソース-ドレイン間に流れるドレイン電流であり、前記印加端子はソース端子であるとよい。
【0023】
上記ドライバ回路について、前記スイッチング素子はIGBTであり、前記制御端子はゲート端子であり、前記印加電流は、前記スイッチング素子のコレクタ-エミッタ間に流れるコレクタ電流であり、前記印加端子はエミッタ端子であるとよい。
【0024】
上記目的を達成する電力変換装置は、前記スイッチング素子と、上述したドライバ回路と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、逆起電力によるフィードバックを好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】電力変換装置の電気的構成の概要を示す回路図。
図2】回路基板上に実装されたスイッチング素子とドライバ回路とを模式的に示す正面図。
図3】ドライバ回路の回路図。
図4】(a)ターンオン時における外部指令電圧の波形、(b)ターンオン時における抵抗可変回路の抵抗値を示すタイムチャート、(c)ターンオン時におけるゲート電圧のグラフ、(d)ターンオン時におけるドレイン電流のグラフ、(e)ターンオン時におけるソース-ドレイン間電圧のグラフ。
図5】(a)ターンオフ時における外部指令電圧の波形、(b)ターンオフ時における抵抗可変回路の抵抗値を示すタイムチャート、(c)ターンオフ時におけるゲート電圧のグラフ、(d)ターンオフ時におけるソース-ドレイン間電圧のグラフ、(e)ターンオフ時におけるドレイン電流のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、ドライバ回路、当該ドライバ回路を備えた電力変換装置の一実施形態について説明する。
本実施形態の電力変換装置10は、例えば車両200に搭載されており、車両200に設けられている電動モータ201を駆動するのに用いられる。
【0028】
本実施形態の電動モータ201は、車両200の車輪を回転させるための走行用モータである。本実施形態の電動モータ201は、3相コイル202u,202v,202wを有している。3相コイル202u,202v,202wは例えばY結線されている。3相コイル202u,202v,202wが所定のパターンで通電されることにより、電動モータ201が回転する。なお、3相コイル202u,202v,202wの結線態様は、Y結線に限られず任意であり、例えばデルタ結線でもよい。
【0029】
図1に示すように、車両200は蓄電装置203を有している。本実施形態の電力変換装置10は、蓄電装置203の直流電力を電動モータ201が駆動可能な交流電力に変換するインバータ装置である。換言すれば、電力変換装置10は、蓄電装置203を用いて電動モータ201を駆動させる駆動装置とも言える。なお、蓄電装置203の電圧を電源電圧Vdcとする。
【0030】
電力変換装置10は、スイッチング素子11を有している。本実施形態の電力変換装置10は、スイッチング素子11を複数有しており、詳細には、u相コイル202uに対応するu相スイッチング素子11u1,11u2と、v相コイル202vに対応するv相スイッチング素子11v1,11v2と、w相コイル202wに対応するw相スイッチング素子11w1,11w2と、を備えている。
【0031】
各スイッチング素子11u1,11u2,11v1,11v2,11w1,11w2(以下、「各スイッチング素子11u1~11w2」という。)は、例えばパワースイッチング素子であり、一例としてはMOSFETである。各スイッチング素子11u1~11w2が「スイッチング素子」に対応する。スイッチング素子11u1~11w2は、還流ダイオード(ボディダイオード)Du1~Dw2を有している。
【0032】
各u相スイッチング素子11u1,11u2は接続線を介して互いに直列に接続されている。詳細には、上アームu相スイッチング素子11u1と下アームu相スイッチング素子11u2とが接続線を介して接続されており、その接続線はu相コイル202uに接続されている。上アームu相スイッチング素子11u1は、蓄電装置203の高圧側である正極端子(+端子)に接続されている。下アームu相スイッチング素子11u2は、蓄電装置203の低圧側である負極端子(-端子)に接続されている。
【0033】
なお、他のスイッチング素子11v1,11v2,11w1,11w2の接続態様は、対応するコイルが異なる点を除いて、u相スイッチング素子11u1,11u2と同様である。
【0034】
図1及び図2に示すように、電力変換装置10は、スイッチング素子11を駆動させるドライバ回路12と、スイッチング素子11及びドライバ回路12が実装される回路基板13と、を備えている。
【0035】
本実施形態のドライバ回路12は所謂ゲートドライバ回路である。本実施形態の電力変換装置10は、複数のスイッチング素子11に対応させてドライバ回路12を複数有している。詳細には、電力変換装置10は、複数のスイッチング素子11u1~11w2に対応させて複数のドライバ回路12u1~12w2を有している。ドライバ回路12u1~12w2は、スイッチング素子11u1~11w2のゲートに接続されており、ゲート電圧Vgを制御することによりスイッチング素子11u1~11w2をON/OFFさせる。
【0036】
図1に示すように、車両200は、電力変換装置10を制御する変換制御装置14を備えている。本実施形態の変換制御装置14はインバータ制御装置である。変換制御装置14は、外部からの指令(例えば要求回転速度)に基づいて、電動モータ201に流れる目標電流を決定し、その目標電流が流れるための外部指令電圧Vpを導出する。そして、変換制御装置14は、外部指令電圧Vpをドライバ回路12に向けて出力する。
【0037】
本実施形態では、変換制御装置14は、スイッチング素子11u1~11w2ごとに外部指令電圧Vpを導出し、各ドライバ回路12u1~12w2に外部指令電圧Vpを出力する。これにより、各スイッチング素子11u1~11w2が個別に制御される。
【0038】
外部指令電圧Vpは所定のパルス幅を有するパルス電圧である。例えば、外部指令電圧Vpは、LOWからHIに切り替わり、一定期間HI状態を維持した後に、HIからLOWに切り替わる。以降の説明において、LOWからHIの切り替わりを「立ち上がり」といい、HIからLOWの切り替わりを「立ち下がり」という。
【0039】
なお、本実施形態の変換制御装置14は、回路基板13に実装されている。ただし、これに限られず、変換制御装置14は、回路基板13とは別の基板に実装されていてもよい。
【0040】
ドライバ回路12u1~12w2は、それぞれ個別に入力される外部指令電圧Vpに基づいて、スイッチング素子11u1~11w2に対してゲート電圧Vgを印加する。これにより、各スイッチング素子11u1~11w2が周期的にON/OFFし、蓄電装置203の直流電力が3相の交流電力に変換されて電動モータ201に供給される。すなわち、変換制御装置14は、電力変換装置10をPWM制御するものである。
【0041】
次にドライバ回路12u1~12w2及びスイッチング素子11u1~11w2について詳細に説明する。
ここで、各スイッチング素子11u1~11w2は基本的に同一構成であり、各ドライバ回路12u1~12w2は基本的に同一の構成である。このため、以下では、各スイッチング素子11u1~11w2のうち1つのスイッチング素子11(下アームu相スイッチング素子11u2)と、それに対応するドライバ回路12(下アームu相ドライバ回路12u2)とについて詳細に説明する。
【0042】
図2に示すように、スイッチング素子11は、例えば直方体状に形成されている。スイッチング素子11は、制御端子としてのゲート端子21と、印加電流としてのドレイン電流Idが流れるドレイン端子22及び複数のソース端子23と、を有している。ドレイン電流Idは、スイッチング素子11のソース-ドレイン間に流れる電流である。
【0043】
本実施形態では、ドレイン端子22は1つであり、スイッチング素子11の一辺に亘ってタブ状に形成されている。
ゲート端子21と複数のソース端子23とは、スイッチング素子11におけるドレイン端子22とは反対側の部分に設けられており、所定のピッチで配列されている。なお、ソース端子23の数は任意である。
【0044】
図2に示すように、回路基板13には、複数の配線パターン30が形成されている。これら複数の配線パターン30によってスイッチング素子11とドライバ回路12及び蓄電装置203とが電気的に接続されているとともに、スイッチング素子11と負荷としての電動モータ201とが電気的に接続されている。
【0045】
本実施形態では、複数の配線パターン30は、ドレインパターン31と、メインソースパターン32とを含む。ドレインパターン31は、ドレイン端子22と、電動モータ201(詳細にはu相コイル202u)及び上アームu相スイッチング素子11u1とを電気的に接続する配線パターン30である。メインソースパターン32は、複数のソース端子23の一部と蓄電装置203の低圧側である負極端子(-端子)とを電気的に接続するものであってドレイン電流Idが流れる配線パターン30である。
【0046】
ちなみに、説明の便宜上、複数のソース端子23のうちメインソースパターン32に接続されるものをメインソース端子23aとする。メインソース端子23aは、ドレイン電流Idが流れる端子である。本実施形態では、メインソース端子23aが「印加端子」に対応する。
【0047】
ここで、電力変換装置10は、ドレイン電流Idが変化することによって逆起電力Vbを生じさせるインダクタンス成分L1を有している。インダクタンス成分L1は、ドレイン電流Idが流れる電流経路上に設けられている。インダクタンス成分L1は、スイッチング素子11内の寄生インダクタンスLsを含む。寄生インダクタンスLsは、例えばスイッチング素子11内の配線パターン、ワイヤー及びソース端子23などによって構成されている。
【0048】
また、インダクタンス成分L1は、メインソースパターン32に含まれる寄生インダクタンス等の他のインダクタンスを含んでいてもよいし、含まなくてもよい。なお、ドレイン電流Idの変化とは、ドレイン電流Idが流れ始める場合と、ドレイン電流Idが停止する場合とを含む。
【0049】
ここで、スイッチング素子11のソース-ドレイン間には、スイッチング素子11にドレイン電流Idを流すための電圧であるソース-ドレイン間電圧Vdsが印加される。本実施形態では、ソース-ドレイン間電圧Vdsが「印加電圧」に対応する。
【0050】
本実施形態のソース-ドレイン間電圧Vdsは、スイッチング素子11がOFF状態である場合には電源電圧Vdcとなり、スイッチング素子11がON状態である場合には0となる。
【0051】
また、スイッチング素子11に印加することができる最大電圧である定格電圧Vdsrと、スイッチング素子11に流すことができる最大電流である定格電流Idrは、スイッチング素子11ごとに予め定められている。すなわち、スイッチング素子11は、ソース-ドレイン間電圧Vdsが定格電圧Vdsr以下であり、且つ、ドレイン電流Idが定格電流Idr以下である条件下で動作するものである。
【0052】
次にドライバ回路12及びドライバ回路12とスイッチング素子11との接続について説明する。
図2及び図3に示すように、ドライバ回路12は、外部入力端子41と、加算出力端子42と、基準電位端子43と、フィードバック入力端子44と、を備えている。
【0053】
外部入力端子41は、変換制御装置14と電気的に接続されている。外部入力端子41には、変換制御装置14からの外部指令電圧Vpが入力される。
加算出力端子42は、ドライバ回路12からゲート電圧Vg(換言すればゲート電流)を出力するための端子である。複数の配線パターン30は、加算出力端子42とゲート端子21とを電気的に接続するゲートパターン33を含む。加算出力端子42から出力されるゲート電圧Vgは、ゲートパターン33を介してゲート端子21に入力される。
【0054】
図3に示すように、基準電位端子43は、ドライバ回路12内において基準電位V0に接続されている。図2に示すように、複数の配線パターン30は、基準電位端子43と複数のソース端子23のうちメインソース端子23a以外の少なくとも1つの端子とを電気的に接続する信号ソースパターン34を含む。信号ソースパターン34とメインソースパターン32とは絶縁されている。
【0055】
ここで、説明の便宜上、基準電位端子43に接続されるソース端子23を信号ソース端子23bという。すなわち、本実施形態の複数のソース端子23は、蓄電装置203の負極端子に接続されるメインソース端子23aと、基準電位端子43(換言すれば基準電位V0)に接続される信号ソース端子23bと、を含む。スイッチング素子11は、信号ソース端子23bに入力される基準電位V0とゲート端子21に入力されるゲート電圧Vg(本実施形態では加算電圧Vad)との電位差に基づいて駆動(換言すればスイッチング動作)する。
【0056】
上記のように基準電位端子43と信号ソース端子23bとが信号ソースパターン34を介して電気的に接続されることにより、スイッチング素子11のソース電位が基準電位V0となる。この場合、信号ソース端子23b及び信号ソースパターン34には、印加電流としてのドレイン電流Idが流れない。これにより、信号ソース端子23b及び信号ソースパターン34を介する経路上には寄生インダクタンスLs(換言すれば逆起電力Vb)は存在しないとみなすことができる。よって、ゲート端子21に入力されるゲート電圧Vgが寄生インダクタンスLsの影響を受けにくい。
【0057】
フィードバック入力端子44は、ドレイン電流Idが変化することによりインダクタンス成分L1によって発生する逆起電力Vbが入力される端子である。詳細には、メインソースパターン32の一部は分岐しており、その分岐部分はフィードバック入力端子44に接続されている。つまり、メインソースパターン32は、蓄電装置203の負極端子とフィードバック入力端子44との双方に接続されている。
【0058】
念の為に説明すると、上アームu相スイッチング素子11u1に接続されるメインソースパターン32は、下アームu相スイッチング素子11u2のドレイン端子22と負荷としての電動モータ(詳細にはu相コイル202u)との双方に接続されている。なお、上アームu相スイッチング素子11u1に接続されるメインソースパターン32と、下アームu相スイッチング素子11u2に接続されるドレインパターン31とは同一である。また、上アームu相スイッチング素子11u1に接続されるドレインパターン31は、蓄電装置203の正極端子に接続されている。
【0059】
図3に示すように、ドライバ回路12は、外部入力端子41から入力される外部指令電圧Vpと、基準電位端子43から入力される逆起電力Vbとに基づいて加算電圧Vadを生成し、その加算電圧Vadをゲート電圧Vgとして加算出力端子42から出力するように構成されている。
【0060】
加算電圧Vadを出力するドライバ回路12の一例について以下に説明する。
ドライバ回路12は、電圧増幅回路51を有する指令変換回路50と、加算回路60と、電圧増幅回路51と加算回路60とを接続する外部入力ライン71と、フィードバック入力端子44と加算回路60とを接続するフィードバックライン72と、電流増幅回路80と、を備えている。そして、本実施形態のドライバ回路12は、フィードバック入力端子44に入力される逆起電力Vbをフィードバック電圧Vfbに変換するフィードバック変換回路100と、を備えている。
【0061】
指令変換回路50は、外部入力端子41から入力された外部指令電圧Vpを変換指令電圧Vqに変換するものである。
指令変換回路50は、電圧増幅回路51と、外部入力ライン71上に設けられた抵抗可変回路56と、を備えている。本実施形態では、抵抗可変回路56が「抵抗回路」に対応する。
【0062】
本実施形態の電圧増幅回路51は、外部入力端子41から入力された外部指令電圧Vpに含まれるノイズを低減させつつ、所定の増幅率で外部指令電圧Vpを増幅させるものである。なお、増幅率は「1」を含む。
【0063】
一例として、電圧増幅回路51は、外部入力端子41に接続されたフィルタオペアンプ52と、第1フィルタ抵抗53と、第2フィルタ抵抗54と、フィルタコンデンサ55と、を備えている。
【0064】
外部入力端子41は、フィルタオペアンプ52の+端子(非反転入力端子)に接続されている。本実施形態では、フィルタオペアンプ52が「前記外部入力端子に接続されたオペアンプ」に対応する。
【0065】
フィルタオペアンプ52における-端子(反転入力端子)及び出力端子は、第1フィルタ抵抗53を介して接続されており、第1フィルタ抵抗53に対して並列にフィルタコンデンサ55が接続されている。第2フィルタ抵抗54は、第1フィルタ抵抗53及びフィルタコンデンサ55に対して直列となるように接続されているとともに基準電位V0に接続されている。
【0066】
本実施形態の外部入力ライン71は、フィルタオペアンプ52の出力端子に接続されている。
抵抗可変回路56は、所定の抵抗値Raを有している。抵抗可変回路56によって外部入力ライン71に流れる電流が制限される。
【0067】
本実施形態の抵抗可変回路56は、抵抗値Raを変更可能に構成されている。例えば、抵抗可変回路56は、例えば外部入力ライン71上に設けられた指令抵抗R0及び可変用抵抗Rxと、可変用抵抗Rxを迂回するバイパス経路56aと、バイパス経路56a上に設けられた可変用スイッチング素子Qxと、を備えている。指令抵抗R0及び可変用抵抗Rxは互いに直列に接続されている。可変用スイッチング素子Qxは、可変用抵抗Rxに対して並列に接続されている。
【0068】
かかる構成によれば、外部入力端子41から入力された外部指令電圧Vpは、両フィルタ抵抗53,54の抵抗値の比率に対応した増幅率で増幅され、更に抵抗可変回路56を通ることによって変換指令電圧Vqに変換される。そして、指令変換回路50によって変換された変換指令電圧Vqは、加算回路60に向けて出力される。
【0069】
この場合、変換指令電圧Vqは、第1フィルタ抵抗53及びフィルタコンデンサ55によって構成されるRC回路によってカットオフ周波数以上のノイズが低減(換言すれば除去)される。
【0070】
本実施形態では、外部指令電圧Vpに対する変換指令電圧Vqの比率は、電圧増幅回路51の増幅率と抵抗可変回路56の抵抗値Raとによって決められる。つまり、抵抗可変回路56の抵抗値Raは、変換指令電圧Vqを規定するパラメータの1つである。
【0071】
ここで、抵抗可変回路56の抵抗値Raは、可変用スイッチング素子QxのON/OFFに応じて変更される。詳細には、可変用スイッチング素子QxがON状態である場合には、抵抗可変回路56の抵抗値Raは、指令抵抗R0の抵抗値と同一である。一方、可変用スイッチング素子QxがOFF状態である場合には、抵抗可変回路56の抵抗値Raは、指令抵抗R0と可変用抵抗Rxとの合成抵抗値となる。すなわち、可変用スイッチング素子Qxを制御することにより、抵抗可変回路56の抵抗値Raを制御することができる。
【0072】
以降の説明において、可変用スイッチング素子QxがON状態である場合の抵抗可変回路56の抵抗値Raを第1抵抗値Ra1とし、可変用スイッチング素子QxがOFF状態である場合の抵抗可変回路56の抵抗値Raを第2抵抗値Ra2とする。第2抵抗値Ra2は、第1抵抗値Ra1よりも高い。
【0073】
図3に示すように、加算回路60は、指令変換回路50から出力された変換指令電圧Vqと、逆起電力Vbを変換させることによって得られるフィードバック電圧Vfbとが入力されるように構成されている。加算回路60は、変換指令電圧Vqとフィードバック電圧Vfbとを加算し、その加算された加算電圧Vadをゲート端子21に向けて出力するように構成されている。
【0074】
詳細には、本実施形態の加算回路60は、例えば加算オペアンプ61と、第1加算抵抗62と、第2加算抵抗63と、加算コンデンサ64と、を備えている。
本実施形態の外部入力ライン71は、フィルタオペアンプ52の出力端子と加算オペアンプ61の+端子(非反転入力端子)とを接続しており、フィードバックライン72は、フィードバック入力端子44と外部入力ライン71とを接続している。
【0075】
フィードバック変換回路100は、フィードバックライン72上に設けられている。フィードバック入力端子44に入力される逆起電力Vbは、フィードバック変換回路100によってフィードバック電圧Vfbに変換される。これにより、加算オペアンプ61の+端子には、変換指令電圧Vqとフィードバック電圧Vfbとを合わせた電圧が入力される。
【0076】
加算オペアンプ61における-端子(反転入力端子)及び出力端子は、第1加算抵抗62を介して接続されており、第1加算抵抗62に対して並列に加算コンデンサ64が接続されている。第2加算抵抗63は、第1加算抵抗62及び加算コンデンサ64に対して直列となるように接続されているとともに基準電位V0に接続されている。
【0077】
かかる構成によれば、加算オペアンプ61の出力端子から、変換指令電圧Vqとフィードバック電圧Vfbとが加算された加算電圧Vadが出力される。当該加算電圧Vadは、第1加算抵抗62及び加算コンデンサ64によって構成されるRC回路によってカットオフ周波数以上のノイズが低減(換言すれば除去)され且つ両加算抵抗62,63の抵抗値の比率に対応した増幅率で増幅されている。ただし、加算回路60の具体的な構成は任意である。
【0078】
電流増幅回路80は、加算電圧Vadの波形を維持しつつ、スイッチング素子11を駆動させるのに必要な電流を供給するための回路である。
図3に示すように、本実施形態の電流増幅回路80は、例えば第1増幅スイッチング素子81及び第2増幅スイッチング素子82を備えている。第1増幅スイッチング素子81及び第2増幅スイッチング素子82は例えばn型のMOSFETである。
【0079】
第1増幅スイッチング素子81のドレインは、第1供給電圧V1を印加する第1供給源E1に接続されている。第2増幅スイッチング素子82のソースは、第2供給電圧V2を印加する第2供給源E2に接続されている。第1供給電圧V1は例えば正の電圧であり、第2供給電圧V2は例えば負の電圧である。第1増幅スイッチング素子81のソースと第2増幅スイッチング素子82のドレインとは、接続線85を介して接続されている。また、接続線85上には、互いに逆接続された両ダイオード83,84が設けられている。
【0080】
両増幅スイッチング素子81,82のゲートと加算回路60(詳細には加算オペアンプ61の出力端子)とが接続されている。第1増幅スイッチング素子81のゲートと加算回路60との間には第1ツェナーダイオード86が設けられている。第1ツェナーダイオード86のアノードは加算回路60に接続されており、第1ツェナーダイオード86のカソードが第1増幅スイッチング素子81のゲートに接続されている。
【0081】
第2増幅スイッチング素子82のゲートと加算回路60との間には第2ツェナーダイオード87が設けられている。第2ツェナーダイオード87のカソードは加算回路60に接続されており、第2ツェナーダイオード87のアノードが第2増幅スイッチング素子82のゲートに接続されている。加算回路60から出力された加算電圧Vadは、第2ツェナーダイオード87を介して第2増幅スイッチング素子82のゲートに入力される。
【0082】
かかる構成によれば、両ダイオード83,84を接続する接続線85から加算電圧Vadが出力され、両供給源E1,E2から、スイッチング素子11を駆動させるのに必要なゲート電流が供給される。
【0083】
電流増幅回路80の出力(詳細には接続線85)は加算出力端子42に接続されている。これにより、加算電圧Vadは、加算出力端子42から出力され、ゲートパターン33を介してゲート端子21に入力される。すなわち、本実施形態では加算電圧Vadがゲート電圧Vgとなっている。なお、電流増幅回路80の具体的な構成は任意である。
【0084】
図3に示すように、ドライバ回路12は、電流増幅回路80と加算出力端子42とをつなぐライン上に設けられたゲート抵抗90を備えている。ゲート抵抗90によってゲート電流が調整される。
【0085】
本実施形態のフィードバック変換回路100は、例えば逆起電力Vbを分圧する分圧回路101を備えている。
分圧回路101は、分圧抵抗としての第1フィードバック抵抗R1及び第2フィードバック抵抗R2と、両フィードバック抵抗R1,R2を直列に接続する分圧接続線101aと、第1フィードバック抵抗R1に対して並列に接続された抵抗Rc及びコンデンサC1と、を備えている。第1フィードバック抵抗R1は、フィードバック入力端子44に接続され、第2フィードバック抵抗R2は、基準電位V0に接続されている。抵抗Rc及びコンデンサC1は、逆起電力Vbに含まれるノイズを低減するフィルタ回路を構成している。
【0086】
フィードバックライン72は、フィードバック入力端子44と第1フィードバック抵抗R1とを接続する第1パーツライン72aと、分圧接続線101aと加算回路60(詳細には外部入力ライン71)とを接続する第2パーツライン72bと、を有する。この場合、分圧回路101は、フィードバックライン72上に設けられているともいえる。本実施形態では、第2パーツライン72bが「分圧ライン」に対応する。
【0087】
フィードバック変換回路100は、フィードバックライン72上に設けられた第3フィードバック抵抗R3を備えている。本実施形態では、第3フィードバック抵抗R3は、第2パーツライン72b上に設けられている。
【0088】
本実施形態では、フィードバック変換回路100は、オペアンプを有していない。換言すれば、フィードバックライン72(詳細には第2パーツライン72b)は、オペアンプを介することなく、分圧回路101と加算回路60とを接続しているといえる。
【0089】
かかる構成によれば、ドレイン電流Idが変化すると、寄生インダクタンスLsを含むインダクタンス成分L1によって逆起電力Vbが生じる。逆起電力Vbは、フィードバック入力端子44に入力され、フィードバックライン72(詳細には第1パーツライン72a)を通って分圧回路101に入力される。そして、逆起電力Vbは、分圧回路101によって分圧され、その分圧された電圧が第3フィードバック抵抗R3を通ることによってフィードバック電圧Vfbに変換される。
【0090】
本実施形態では、逆起電力Vbに対するフィードバック電圧Vfbの比率である利得Gは、分圧回路101の分圧比及び第3フィードバック抵抗R3の抵抗値に応じて変化する。分圧回路101の分圧比は、第1フィードバック抵抗R1の抵抗値と第2フィードバック抵抗R2の抵抗値とによって定まるパラメータであることに着目すれば、利得Gは、各フィードバック抵抗R1~R3の抵抗値によって設定される。各フィードバック抵抗R1~R3は、利得Gに関与する利得抵抗ともいえる。
【0091】
本実施形態では、各フィードバック抵抗R1~R3の抵抗値は、利得Gが目標利得となるように設定されている。目標利得は、任意であるが、例えばフィードバック電圧Vfbが変換指令電圧Vqよりも低くなる範囲内で設定されている。換言すれば、各フィードバック抵抗R1~R3の抵抗値は、フィードバック電圧Vfbが変換指令電圧Vqよりも低くなるように設定されているともいえる。
【0092】
ここで、外部指令電圧Vpの立ち上がりに基づくスイッチング素子11のターンオンにおける変換指令電圧Vqとフィードバック電圧Vfbとの関係について説明する。
既に説明したとおり、加算回路60には、変換指令電圧Vqとフィードバック電圧Vfbとが入力される。この場合、変換指令電圧Vqが低くなるほど、フィードバック電圧Vfbの影響が大きくなり易い。これにより、スイッチング素子11のゲート端子21に入力される加算電圧Vad(ゲート電圧Vg)の立ち上がる傾きは小さくなり易く、ゲート電圧Vgの立ち上がり期間は長くなり易い。この場合、ドレイン電流Idの傾き(換言すれば時間変化量)は小さくなり易いため、スイッチング素子11が立ち上がる場合に生じるドレイン電流Idのサージは小さくなり易い一方、電力損失は大きくなり易い。
【0093】
一方、変換指令電圧Vqが高くなるほど、フィードバック電圧Vfbの影響が小さくなり易い。これにより、スイッチング素子11のゲート端子21に入力されるゲート電圧Vgの立ち上がる傾きは大きくなり易く、ゲート電圧Vgの立ち上がり期間は短くなり易い。この場合、ドレイン電流Idの傾きは大きくなり易いため、スイッチング素子11が立ち上がる場合に生じる電力損失は小さくなり易い一方、ドレイン電流Idのサージが大きくなり易い。
【0094】
変換指令電圧Vqは、抵抗可変回路56の抵抗値Raに依存する。詳細には、変換指令電圧Vqは、抵抗可変回路56の抵抗値Raが低くなると高くなる。このため、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第1抵抗値Ra1である場合と第2抵抗値Ra2である場合とで、フィードバックによるサージ抑制効果が異なることとなる。本実施形態では、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第1抵抗値Ra1である場合よりも当該第1抵抗値Ra1よりも高い第2抵抗値Ra2である場合の方が、フィードバックによる効果が大きくなり易い。
【0095】
外部指令電圧Vpの立ち下がりに基づくスイッチング素子11のターンオフについても同様である。すなわち、変換指令電圧Vqが低くなるほど、ドレイン電流Idの立ち下がる傾きは小さくなり易いため、スイッチング素子11のターンオフ時に生じるソース-ドレイン間電圧Vdsのサージが小さくなり易い。一方で、スイッチング素子11のターンオフ時に生じる電力損失が大きくなり易い。換言すれば、変換指令電圧Vqが高くなるほど、ドレイン電流Idが立ち下がる期間が短くなり易くなり、スイッチング素子11のターンオフ時における電力損失が小さくなり易い。
【0096】
第1抵抗値Ra1は、指令抵抗R0の抵抗値を調整することにより調整することができる。また、第2抵抗値Ra2(換言すれば第1抵抗値Ra1と第2抵抗値Ra2との差)は、可変用抵抗Rxの抵抗値を調整することにより調整可能である。
【0097】
本実施形態では、第1抵抗値Ra1(換言すれば指令抵抗R0の抵抗値)は、例えば第3フィードバック抵抗R3の抵抗値と同一である。このため、第2抵抗値Ra2は、第3フィードバック抵抗R3の抵抗値よりも高い。すなわち、本実施形態の抵抗可変回路56は、第3フィードバック抵抗R3の抵抗値と同一の第1抵抗値Ra1と、第3フィードバック抵抗R3の抵抗値よりも高い第2抵抗値Ra2とに、切り替わるものである。
【0098】
ここで、抵抗可変回路56の抵抗値Raが変更されることにより、当該抵抗値Raと第3フィードバック抵抗R3の抵抗値との比率が変更されることになる点に着目すれば、抵抗可変回路56は、抵抗可変回路56の抵抗値Raと第3フィードバック抵抗R3の抵抗値との比率を変更するものともいえる。すなわち、本実施形態のドライバ回路12は、上記比率を変更する変更部を備えているといえる。
【0099】
ドライバ回路12は、抵抗可変回路56の抵抗値Raを制御する制御部としての制御回路110を備えている。制御回路110は、例えば可変用スイッチング素子Qxを制御するための制御処理を実行するプログラムや必要な情報が記憶されたメモリと、上記プログラムに基づいて制御処理を実行するCPUとを有する構成でもよい。
【0100】
ただし、これに限られず、制御回路110は、例えば専用ハードウェア回路を有する構成でもよいし、1又は複数の専用ハードウェア回路とソフトウェア処理を実行するCPUとの組み合わせでもよい。換言すれば、制御回路110の具体的な構成は、任意であり、例えば1つ以上の専用のハードウェア回路、及び、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサの少なくとも一方によって実現されていればよい。
【0101】
制御回路110は、外部指令電圧Vpが入力されるように構成されている。制御回路110は、外部指令電圧Vpに基づいて可変用スイッチング素子Qxを制御することにより、抵抗可変回路56の抵抗値Raを制御する。
【0102】
具体的には、制御回路110は、スイッチング素子11がターンオンする場合とターンオフする場合とで抵抗可変回路56の抵抗値Raを変更する。すなわち、本実施形態の抵抗可変回路56は、スイッチング素子11がターンオンする場合とターンオフする場合とで抵抗値Raを変化させるものである。
【0103】
本実施形態では、制御回路110は、スイッチング素子11がターンオンする場合には抵抗可変回路56の抵抗値Raが第1抵抗値Ra1となるように抵抗可変回路56を制御する。例えば、制御回路110は、外部指令電圧Vpの立ち上がる前に又は立ち上がることに基づいて、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第1抵抗値Ra1となるように可変用スイッチング素子Qxを制御する。
【0104】
一例としては、制御回路110は、抵抗可変回路56の初期抵抗値を第1抵抗値Ra1に設定していてもよい。これにより、外部指令電圧Vpが立ち上がる前に抵抗可変回路56の抵抗値Raが第1抵抗値Ra1に設定されることとなる。
【0105】
ただし、これに限られず、例えば制御回路110は、外部指令電圧Vpが立ち上がったことに基づいて抵抗可変回路56の抵抗値Raが第1抵抗値Ra1となるように可変用スイッチング素子Qxを制御する構成でもよい。この場合、制御回路110は、外部指令電圧Vpが立ち上がることに同期して直ちに抵抗可変回路56の抵抗値Raを第1抵抗値Ra1に設定してもよいし、外部指令電圧Vpが立ち上がってから所定期間が経過してから抵抗可変回路56の抵抗値Raを第1抵抗値Ra1に設定してもよい。なお、所定期間は、例えば外部指令電圧Vpが立ち上がるタイミングからドレイン電流Idが立ち上がり始めるタイミングまでの期間と同一又はそれよりも短いとよい。
【0106】
本実施形態の制御回路110は、スイッチング素子11がターンオンする期間に亘って抵抗可変回路56の抵抗値Raを第1抵抗値Ra1に維持する。詳細には、制御回路110は、少なくともドレイン電流Idが立ち上がり始めてから飽和電流Idsに維持されるまでの期間に亘って抵抗可変回路56の抵抗値Raを第1抵抗値Ra1に維持する。更に、本実施形態の制御回路110は、スイッチング素子11のターンオンが完了した後も、抵抗可変回路56の抵抗値Raを第1抵抗値Ra1に維持する。
【0107】
ちなみに、ドレイン電流Idが立ち上がり始めてから飽和電流Idsに維持されるまでの期間には、ドレイン電流Idのサージが発生する期間が含まれており、詳細にはターンオン時においてドレイン電流Idが最大値となるタイミングが含まれている。
【0108】
なお、説明の便宜上、以降の説明において、ターンオン時におけるドレイン電流Idの最大値を電流ピーク値Idmという。電流ピーク値Idmは、スイッチング素子11のターンオンによって生じるサージに起因するドレイン電流Idの最大値であり、飽和電流Idsよりも大きい。
【0109】
上記の点に着目すれば、本実施形態の制御回路110は、ドレイン電流Idのサージが発生している期間(換言すればドレイン電流Idが電流ピーク値Idmとなっているタイミング)において抵抗可変回路56の抵抗値Raを第1抵抗値Ra1に設定しているともいえる。
【0110】
本実施形態では、制御回路110は、スイッチング素子11がターンオフする場合には抵抗可変回路56の抵抗値Raが第2抵抗値Ra2となるように抵抗可変回路56を制御する。例えば、制御回路110は、外部指令電圧Vpが立ち下がる前に又は立ち下がることに基づいて、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第2抵抗値Ra2となるように可変用スイッチング素子Qxを制御する。
【0111】
一例としては、制御回路110は、外部指令電圧Vpが立ち下がったことに基づいて抵抗可変回路56の抵抗値Raが第2抵抗値Ra2となるように可変用スイッチング素子Qxを制御するとよい。この場合、制御回路110は、外部指令電圧Vpが立ち下がることに同期して直ちに抵抗可変回路56の抵抗値Raを第2抵抗値Ra2に設定してもよいし、外部指令電圧Vpが立ち下がってから所定期間が経過した後に抵抗可変回路56の抵抗値Raを第2抵抗値Ra2に設定してもよい。なお、所定期間は、例えば外部指令電圧Vpが立ち下がるタイミングからソース-ドレイン間電圧Vdsが立ち上がり始めるタイミングまでの期間と同一又はそれよりも短いとよい。
【0112】
なお、説明の便宜上、以降の説明において、ターンオフ時におけるソース-ドレイン間電圧Vdsの最大値を電圧ピーク値Vdsmという。電圧ピーク値Vdsmは、スイッチング素子11のターンオフによって生じるサージに起因するソース-ドレイン間電圧Vdsの最大値であり、電源電圧Vdcよりも大きい。
【0113】
制御回路110は、スイッチング素子11がターンオフする期間に亘って抵抗可変回路56の抵抗値Raを第2抵抗値Ra2に設定する。例えば、制御回路110は、少なくともソース-ドレイン間電圧Vdsが立ち上がり始めてから電源電圧Vdcに維持されるまでの期間に亘って抵抗可変回路56の抵抗値Raを第2抵抗値Ra2に維持する。
【0114】
ちなみに、ソース-ドレイン間電圧Vdsが立ち上がり始めてから電源電圧Vdcに維持されるまでの期間には、ソース-ドレイン間電圧Vdsのサージが発生する期間が含まれており、詳細にはソース-ドレイン間電圧Vdsが電圧ピーク値Vdsmとなるタイミングが含まれている。この点に着目すれば、本実施形態の制御回路110は、ソース-ドレイン間電圧Vdsのサージが発生している期間(換言すればソース-ドレイン間電圧Vdsが電圧ピーク値Vdsmとなっているタイミング)において抵抗可変回路56の抵抗値Raを第2抵抗値Ra2に設定しているともいえる。
【0115】
そして、制御回路110は、スイッチング素子11のターンオフが完了した後、詳細にはドレイン電流Id又はゲート電圧Vgが「0」となった後に、抵抗可変回路56の抵抗値Raを、第2抵抗値Ra2から第1抵抗値Ra1に変更する。なお、本実施形態では、ドレイン電流Idが「0」となった後にゲート電圧Vgが「0」となり、制御回路110は、ゲート電圧Vgが「0」となってから抵抗可変回路56の抵抗値Raを変更する。
【0116】
次に図4及び図5を用いて本実施形態の作用について説明する。
まず、スイッチング素子11のターンオン時について図4を用いて説明する。図4(a)はターンオン時における外部指令電圧Vpの変化を示すタイムチャートであり、図4(b)はターンオン時における抵抗可変回路56の抵抗値Raを示すタイムチャートである。図4(c)はターンオン時におけるゲート電圧Vgの変化を示すグラフであり、図4(d)はターンオン時におけるドレイン電流Idの変化を示すグラフであり、図4(e)はターンオン時におけるソース-ドレイン間電圧Vdsの変化を示すグラフである。
【0117】
図4(a)及び図4(c)に示すように、t1のタイミングにて、外部指令電圧Vpが立ち上がるとすると、これに伴いゲート電圧Vgが徐々に上昇する。この場合、図4(d)及び図4(e)に示すように、ドレイン電流Idは直ちには流れず、ソース-ドレイン間電圧Vdsは蓄電装置203の電圧である電源電圧Vdcに維持される。
【0118】
その後、図4(c)~図4(e)に示すように、t2のタイミングにて、ゲート電圧Vgがある程度高くなり、ドレイン電流Idが流れ始めると、ソース-ドレイン間電圧Vdsが若干下がる。
【0119】
ここで、図4(b)に示すように、本実施形態では、外部指令電圧Vpが立ち上がる前に抵抗可変回路56の抵抗値Raが、第2抵抗値Ra2よりも低い第1抵抗値Ra1に設定されている。この場合、変換指令電圧Vqの影響が大きくなるため、フィードバックによる効果が小さくなり易い。したがって、ゲート電圧Vg及びドレイン電流Idは、比較的急峻に立ち上がり始める。
【0120】
図4(c)及び図4(d)に示すように、t3のタイミングでは、スイッチング素子11のターンオンに伴うサージが発生することによりドレイン電流Idが飽和電流Idsを超える。この場合、ゲート電圧Vgは一定値を維持する。
【0121】
その後、t4のタイミングにて、ドレイン電流Idが電流ピーク値Idmとなる。そして、ドレイン電流Idが電流ピーク値Idmとなった後は、ドレイン電流Idは飽和電流Idsとなるまで低下するとともに、ソース-ドレイン間電圧Vdsが低下し始める。
【0122】
図4(c)~図4(e)に示すように、t5のタイミングにて、ドレイン電流Idが飽和電流Idsとなり、ソース-ドレイン間電圧Vdsが0となると、ゲート電圧Vgが上昇し始める。そして、t6のタイミングにて、ゲート電圧Vgが一定値となる。
【0123】
次に、図5を用いて、外部指令電圧Vpが立ち下がる場合、すなわちスイッチング素子11のターンオフ時について説明する。図5(a)はターンオフ時における外部指令電圧Vpの変化を示すタイムチャートであり、図5(b)はターンオフ時における抵抗可変回路56の抵抗値Raを示すタイムチャートである。図5(c)はターンオフ時におけるゲート電圧Vgの変化を示すグラフであり、図5(d)はターンオフ時におけるソース-ドレイン間電圧Vdsの変化を示すグラフであり、図5(e)はターンオフ時におけるドレイン電流Idの変化を示すグラフである。
【0124】
図5(a)及び図5(c)に示すように、t11のタイミングにて外部指令電圧Vpが立ち下がると、ゲート電圧Vgが低下し始める。この場合、図5(e)に示すように、ドレイン電流Idは飽和電流Idsを維持する。
【0125】
その後、図5(c)~図5(e)に示すように、ゲート電圧Vgがある程度低くなったt12のタイミングにて、ソース-ドレイン間電圧Vdsが立ち上がり始める。なお、ゲート電圧Vgは、ソース-ドレイン間電圧Vdsが電源電圧Vdcとなるまで一定値を維持する。
【0126】
ここで、図5(b)に示すように、抵抗可変回路56の抵抗値Raは第2抵抗値Ra2に設定されている。この場合、フィードバック電圧Vfbの影響が大きくなるため、フィードバックによる効果が大きくなり易い。したがって、ソース-ドレイン間電圧Vdsは緩やかに立ち上がる。換言すれば、ソース-ドレイン間電圧Vdsの傾き(換言すれば単位時間当たりの上昇量)は比較的小さくなっている。
【0127】
図5(c)~図5(e)に示すように、t13のタイミングにて、ソース-ドレイン間電圧Vdsが電源電圧Vdcに到達すると、ゲート電圧Vg及びドレイン電流Idが低下し始める。
【0128】
ここで、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第2抵抗値Ra2に設定されているため、ゲート電圧Vg及びドレイン電流Idは緩やかに低下し始める。すなわち、ゲート電圧Vg及びドレイン電流Idの傾きは小さくなっている。
【0129】
その後、図5(d)に示すように、t14のタイミングにて、ソース-ドレイン間電圧Vdsが電圧ピーク値Vdsmとなり、その後ソース-ドレイン間電圧Vdsが低下する。そして、t15のタイミングにて、ソース-ドレイン間電圧Vdsが電源電圧Vdcとなる。
【0130】
図5(e)に示すように、続くt16のタイミングにて、ドレイン電流Idが「0」となる。そして、図5(c)に示すように、t17のタイミングにて、ゲート電圧Vgが「0」となる。
【0131】
ちなみに、本実施形態では、スイッチング素子11のターンオフが終了した後であるt18のタイミングにて、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第2抵抗値Ra2から初期値である第1抵抗値Ra1に変更される。これにより、スイッチング素子11の次のターンオン時、換言すれば次の外部指令電圧Vpの立ち上がり時には、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第1抵抗値Ra1となっている。
【0132】
ここで、ターンオン時とターンオフ時とにおける抵抗可変回路56の抵抗値Raの違いによる動作の違いについて説明する。
ターンオン時における抵抗可変回路56の抵抗値Raが第1抵抗値Ra1となっているため、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第2抵抗値Ra2となっている場合と比較して、スイッチング素子11の立ち上がり期間(換言すればスイッチングスピード)は比較的短くなっている。これにより、スイッチング素子11のターンオンにおける電力損失は小さくなっている。
【0133】
一方、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第1抵抗値Ra1となっている場合、ターンオン時におけるドレイン電流Idの最大値である電流ピーク値Idmは高くなり易い。ここで、本実施形態のスイッチング素子11の定格電流Idrは、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第1抵抗値Ra1である条件下での電流ピーク値Idmよりも大きく設定されている。すなわち、本実施形態のスイッチング素子11は、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第1抵抗値Ra1である条件下での電流ピーク値Idmよりも大きい定格電流Idrを有するものが採用されている。換言すれば、第1抵抗値Ra1は、当該第1抵抗値Ra1である状況下での電流ピーク値Idmが定格電流Idrを超えないように設定されているともいえる。これにより、ドレイン電流Idのサージが生じる場合であってもスイッチング素子11が正常に動作し易い。
【0134】
ターンオフ時における抵抗可変回路56の抵抗値Raは、第1抵抗値Ra1よりも大きい第2抵抗値Ra2となっているため、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第1抵抗値Ra1となっている場合と比較して、ソース-ドレイン間電圧Vds及びドレイン電流Idの単位時間当たりの変化量は小さい。このため、スイッチング素子11の立ち下がり期間は比較的長くなり易い。
【0135】
一方、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第2抵抗値Ra2となっている場合、ターンオフ時におけるソース-ドレイン間電圧Vdsの最大値である電圧ピーク値Vdsmは低くなり易い。つまり、ソース-ドレイン間電圧Vdsのサージが抑制され易い。
【0136】
ここで、本実施形態のスイッチング素子11の定格電圧Vdsrは、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第2抵抗値Ra2である条件下での電圧ピーク値Vdsmよりも大きく設定されている。すなわち、本実施形態のスイッチング素子11は、抵抗可変回路56の抵抗値Raが第2抵抗値Ra2である条件下での電圧ピーク値Vdsmよりも大きい定格電圧Vdsrを有するものが採用されている。換言すれば、第2抵抗値Ra2は、当該第2抵抗値Ra2の条件下での電圧ピーク値Vdsmが定格電圧Vdsrを超えないように設定されているともいえる。これにより、ソース-ドレイン間電圧Vdsのサージが生じる場合であってもスイッチング素子11が正常に動作し易い。
【0137】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1-1)ドライバ回路12は、制御端子としてのゲート端子21及び印加端子としてのメインソース端子23aを有するスイッチング素子11を駆動させるものである。ドライバ回路12は、外部指令電圧Vpが入力される外部入力端子41と、外部入力端子41に接続された指令変換回路50と、フィードバック入力端子44と、フィードバック変換回路100と、加算回路60と、を備えている。指令変換回路50は、外部指令電圧Vpを変換指令電圧Vqに変換する。フィードバック入力端子44には、ドレイン電流Idが変化することにより寄生インダクタンスLsを含むインダクタンス成分L1によって生じる逆起電力Vbが入力される。フィードバック変換回路100は、逆起電力Vbをフィードバック電圧Vfbに変換する。加算回路60は、変換指令電圧Vqとフィードバック電圧Vfbとが入力されるものであって、変換指令電圧Vqとフィードバック電圧Vfbとを加算し、その加算された加算電圧Vadをゲート端子21に向けて出力するものである。
【0138】
かかる構成において、フィードバック変換回路100は、逆起電力Vbを分圧する分圧回路101と、第3フィードバック抵抗R3と、を備えている。分圧回路101は、第1フィードバック抵抗R1及び第2フィードバック抵抗R2と、第1フィードバック抵抗R1及び第2フィードバック抵抗R2を直列に接続する分圧接続線101aと、を有している。そして、第3フィードバック抵抗R3は、分圧接続線101aと加算回路60とを接続する分圧ラインとしての第2パーツライン72b上に設けられている。
【0139】
かかる構成によれば、指令変換回路50によって外部指令電圧Vpが変換指令電圧Vqに変換され、変換指令電圧Vqが加算回路60に入力される。これにより、外部指令電圧Vpを適切な大きさの変換指令電圧Vqに変換してから加算回路60に入力させることができる。
【0140】
また、フィードバック変換回路100によって逆起電力Vbがフィードバック電圧Vfbに変換され、フィードバック電圧Vfbが加算回路60に入力される。これにより、逆起電力Vbを適切な大きさのフィードバック電圧Vfbに変換してから加算回路60に入力させることができる。したがって、変換指令電圧Vqに対して逆起電力Vbが過度に小さいことに起因してフィードバックによる効果が充分に得られなかったり、変換指令電圧Vqに対して逆起電力Vbが過度に大きいことに起因してフィードバックによる効果が過剰となったりすることを抑制でき、逆起電力Vbによるフィードバックを好適に行うことができる。
【0141】
特に、本構成によれば、逆起電力Vbに対するフィードバック電圧Vfbの比率である利得Gは、各フィードバック抵抗R1~R3の抵抗値に依存する。したがって、各フィードバック抵抗R1~R3の抵抗値を設定することにより、オペアンプなどの電子部品を用いることなく、利得Gを所望の値にすることができる。よって、構成の簡素化を図ることができる。
【0142】
(1-2)指令変換回路50は、外部入力端子41に接続されたフィルタオペアンプ52を有する電圧増幅回路51と、フィルタオペアンプ52の出力端子と加算回路60とを接続する外部入力ライン71上に設けられ、所定の抵抗値Raを有する抵抗回路としての抵抗可変回路56と、を備えている。
【0143】
かかる構成によれば、外部指令電圧Vpは、電圧増幅回路51によって増幅され且つ抵抗可変回路56を通ることによって、変換指令電圧Vqに変換される。この場合、抵抗可変回路56の抵抗値Raと、第3フィードバック抵抗R3の抵抗値との比率によって、加算電圧Vadに対するフィードバック電圧Vfbの影響度合いが変わる。したがって、抵抗可変回路56の抵抗値Raを調整することにより、フィードバックによる効果、例えばサージ抑制効果を調整することができる。
【0144】
詳述すると、既に説明したとおり、フィードバックによる効果が過度に小さいと、サージ抑制効果が充分に得られない一方、フィードバックによる効果が過度に大きいと、電力損失が大きくなり易い。したがって、サージの抑制と電力損失の低減とを両立するためには、適切なフィードバックによる効果を得る必要がある。
【0145】
この点、本構成によれば、抵抗可変回路56の抵抗値Raを調整することにより、フィードバックによる効果を調整することができる。これにより、抵抗可変回路56の抵抗値Raをサージの抑制と電力損失の低減とを両立することができる値にすることにより、フィードバックによる適切な効果を得ることができる。
【0146】
(1-3)本実施形態のドライバ回路12は、抵抗回路として抵抗値Raを変更可能な抵抗可変回路56を採用している。これにより、スイッチング素子11の仕様や動作条件等に応じて、適切なフィードバックが異なる場合にも対応できる。例えば、サージが発生しやすい状況下では、抵抗可変回路56の抵抗値Raを高くして、フィードバックによる効果を大きくする一方、サージが発生しにくい状況下では、抵抗可変回路56の抵抗値Raを低くして電力損失を低減することができる。
【0147】
特に、本実施形態では、逆起電力Vbに対するフィードバック電圧Vfbの比率である利得Gに寄与する第3フィードバック抵抗R3の抵抗値を変更することなく、フィードバックによる効果を変更できる。したがって、利得Gを変更することなく、フィードバックによる効果を変更でき、それを通じてフィードバックによる効果を適切なものに容易に変更することができる。
【0148】
詳述すると、仮にフィードバックによる効果を適切なものに変更するために、第3フィードバック抵抗R3の抵抗値を変更すると、第3フィードバック抵抗R3の抵抗値と抵抗可変回路56の抵抗値Raとの比率が変更されるとともに、利得Gが変更されることとなる。このため、例えばフィードバックによる適切な効果を得るための抵抗値の調整が難しくなるという不都合が生じ得る。
【0149】
特に、既に説明したとおり、本実施形態では、逆起電力Vbをフィードバック電圧Vfbに変換するのにオペアンプを用いない構成を採用している。これにより、構成の簡素化を図ることができる一方、利得Gを所望の値(目標利得)にするための第3フィードバック抵抗R3の抵抗値の自由度が低下するおそれがある。したがって、第3フィードバック抵抗R3の抵抗値の調整が難しくなり易い。
【0150】
この点、本実施形態では、利得Gを変更することなく、フィードバックによる効果を適切なものに変更できる。したがって、上記不都合を抑制でき、それを通じてフィードバックによる効果を適切に変更できる。
【0151】
(1-4)ドライバ回路12は、スイッチング素子11がターンオンする場合とターンオフする場合とで抵抗値Raを変更する制御回路110を備えている。
本願発明者らは、スイッチング素子11のターンオン時とターンオフ時とで適切なフィードバック具合が異なる場合があることを見出した。
【0152】
例えば、スイッチング素子11の仕様と動作条件とによっては、電流ピーク値Idmに対して定格電流Idrが充分に大きい一方、電圧ピーク値Vdsmに対して定格電圧Vdsrが充分に大きく確保できない場合、又はその逆の場合があり得る。また、スイッチング素子11が接続される負荷などの特性によっては、ターンオン時に生じる逆起電力Vbの大きさと、ターンオフ時に生じる逆起電力Vbの大きさとが異なる場合があり得る。
【0153】
この知見に鑑みて、本構成によれば、スイッチング素子11のターンオン時とターンオフ時とで抵抗値Raを変更することにより、ターンオン時とターンオフ時とのそれぞれにおいて適切なフィードバックを得ることができる。これにより、逆起電力Vbによるフィードバックをより好適に行うことができる。
【0154】
(1-5)抵抗可変回路56が設定可能な抵抗値Raには、第1抵抗値Ra1と、第1抵抗値Ra1よりも高い第2抵抗値Ra2とが含まれている。制御回路110は、スイッチング素子11がターンオンする場合に抵抗値Raが第1抵抗値Ra1となり、スイッチング素子11がターンオフする場合に抵抗値Raが第2抵抗値Ra2となるように抵抗可変回路56を制御する。
【0155】
かかる構成によれば、ターンオン時には抵抗可変回路56の抵抗値Raが比較的低い第1抵抗値Ra1となっているため、スイッチング素子11の立ち上がり期間を短くすることができ、電力損失の低減を図ることができる。
【0156】
一方、ターンオフ時には抵抗可変回路56の抵抗値Raが比較的高い第2抵抗値Ra2となっているため、フィードバックによる影響が大きくなり易く、ソース-ドレイン間電圧Vdsの立ち上がりの傾きが小さくなり易い。これにより、ソース-ドレイン間電圧Vdsのサージを抑制できる。
【0157】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。また、技術的に矛盾が生じない範囲内で、上記実施形態と下記別例とを適宜組み合わせてもよい。
○ 制御回路110は、スイッチング素子11がターンオンする場合に抵抗値Raが第2抵抗値Ra2となり、スイッチング素子11がターンオンする場合に抵抗値Raが第1抵抗値Ra1となるように抵抗可変回路56を制御してもよい。例えば、制御回路110は、外部指令電圧Vpが立ち上がる前に又は立ち上がることに基づいて、可変用スイッチング素子Qxを第2抵抗値Ra2に対応する状態(例えばOFF状態)とする。そして、制御回路110は、外部指令電圧Vpが立ち下がる前に又は立ち下がることに基づいて、可変用スイッチング素子Qxを第1抵抗値Ra1に対応する状態(例えばON状態)とする。
【0158】
かかる構成によれば、ターンオン時には抵抗値Raが比較的高い第2抵抗値Ra2となっているため、ドレイン電流Idのサージを抑制できる。一方、ターンオフ時には抵抗値Raが比較的低い第1抵抗値Ra1となっているため、スイッチング素子11の立ち下がり期間を短くすることができ、電力損失の低減を図ることができる。
【0159】
なお、本別例においては、スイッチング素子11は、抵抗値Raが第2抵抗値Ra2である条件下での電流ピーク値Idmよりも大きい定格電流Idrと、抵抗値Raが第1抵抗値Ra1である条件下での電圧ピーク値Vdsmよりも大きい定格電圧Vdsrと、を有するとよい。
【0160】
かかる構成によれば、定格電流Idrは、抵抗値Raが第2抵抗値Ra2である条件下に対応させて設定されている。ドレイン電流Idのサージは、抵抗値Raが第1抵抗値Ra1である条件下よりも抵抗値Raが第2抵抗値Ra2である条件下にある場合の方が低くなり易い。このため、第2抵抗値Ra2の条件下での電流ピーク値Idmは、第1抵抗値Ra1の条件下での電流ピーク値Idmよりも低くなり易い。したがって、定格電流Idrを比較的低くすることができ、定格電流条件が比較的緩いスイッチング素子11を用いることができる。
【0161】
詳述すると、仮にターンオン時及びターンオフ時の双方において抵抗値Raが第1抵抗値Ra1であるとすると、スイッチング素子11としては、第1抵抗値Ra1である条件下における電流ピーク値Idmよりも高い定格電流Idrと、第1抵抗値Ra1である条件下における電圧ピーク値Vdsmよりも高い定格電圧Vdsrを有する必要がある。すなわち、スイッチング素子11としては定格電流Idr及び定格電圧Vdsrの双方とも高いものが求められる。このようなスイッチング素子11は使用条件によっては現実的ではなかったり、コストが高くなったりといった不都合が生じ得る。
【0162】
これに対して、本構成によれば、ターンオン時における抵抗値Raが第2抵抗値Ra2となっていることによりドレイン電流Idのサージが低減されているため、定格電流Idrを低くすることができる。これにより、定格電流条件を低くすることができるため、上記不都合を抑制できる。
【0163】
○ 抵抗可変回路56の具体的な構成は任意である。例えば、抵抗可変回路56は、指令抵抗R0と、指令抵抗R0に対して並列に接続される可変用スイッチング素子Qx及び可変用抵抗Rxの直列接続体と、を有する構成でもよい。なお、この場合、可変用スイッチング素子QxがON状態である場合の抵抗値Raが第1抵抗値Ra1であり、可変用スイッチング素子QxがOFF状態である場合の抵抗値Raが第2抵抗値Ra2となる。第1抵抗値Ra1は、並列接続される指令抵抗R0と可変用抵抗Rxとの合成抵抗値である。
【0164】
○ ドライバ回路12は、第1フィードバック抵抗R1を含み且つ抵抗値を変更可能な第1抵抗可変回路を有してもよい。例えば、第1抵抗可変回路は、第1フィードバック抵抗R1に対して直列又は並列に接続される可変用抵抗と、可変用抵抗に電流が流れる状態又は可変用抵抗に電流が流れない状態に切り替える可変用スイッチング素子と、を有する構成でもよい。この場合、可変用スイッチング素子を制御することによりフィードバック電圧Vfbを変更でき、それを通じてフィードバックによる効果を変更できる。また、第1フィードバック抵抗R1は、抵抗値が可変の可変抵抗で構成されていてもよい。
【0165】
第2フィードバック抵抗R2及び第3フィードバック抵抗R3についても同様である。例えば、ドライバ回路12は、第2フィードバック抵抗R2を含み且つ抵抗値を変更可能な第2抵抗可変回路を有してもよいし、第3フィードバック抵抗R3を含み且つ抵抗値を変更可能な第3抵抗可変回路を有してもよい。要は、ドライバ回路12は、第1抵抗可変回路、第2抵抗可変回路及び第3抵抗可変回路の少なくとも1つを有してもよい。
【0166】
○ 抵抗可変回路56は、3つ以上の抵抗値Raに変更可能な構成でもよい。例えば、抵抗可変回路56は、抵抗値Raを第1抵抗値、第2抵抗値、第3抵抗値、第4抵抗値のいずれかに変更可能な構成でもよい。この場合、第1抵抗値<第2抵抗値<第3抵抗値<第4抵抗値でもよい。
【0167】
かかる構成においては、制御回路110は、例えばスイッチング素子11のターンオン時において抵抗値Raを第1抵抗値に設定し、スイッチング素子11のターンオフ時において抵抗値Raを第4抵抗値に設定してもよいし、その逆でもよい。また、制御回路110は、例えばスイッチング素子11のターンオン時において抵抗値Raを第2抵抗値に設定し、スイッチング素子11のターンオフ時において抵抗値Raを第3抵抗値に設定してもよいし、その逆でもよい。すなわち、抵抗可変回路56が3つ以上の抵抗値Raを設定可能な構成においては、制御回路110は、スイッチング素子11のターンオン時とターンオフ時とで抵抗値Raを変更できれば、いずれの値に設定してもよい。
【0168】
○ ドライバ回路12は、抵抗可変回路56に代えて、抵抗値が固定の抵抗回路を有する構成でもよい。つまり、抵抗値を変更可能に構成することは必須ではない。また、抵抗回路は、少なくとも1つの抵抗成分を有する素子を備えていればよく、その具体的な回路構成は任意である。
【0169】
○ スイッチング素子11は、MOSFETに限られず任意であり、例えばIGBTでもよい。この場合、スイッチング素子11のゲート端子が「制御端子」に対応し、スイッチング素子11のコレクタ-エミッタ間を流れるコレクタ電流が「印加電流」に対応し、エミッタ端子が「印加端子」に対応する。
【0170】
○ 信号ソース端子23bは、複数のソース端子23の1つであったが、これに限られない。例えば、スイッチング素子11は、ドレイン電流Idが流れるメインソース端子23aと、メインソース端子23aとは別に設けられたゲートドライブ用端子とを有する構成においては、ゲートドライブ用端子を信号ソース端子23bとして用いるとよい。ゲートドライブ用端子は、ケルビン端子、ケルビンソース端子ともいわれるものであり、ドレイン電流Idが流れないソース端子である。ゲートドライブ用端子は、例えばメインソース端子23aと比較して寄生インダクタンスLsが小さいものであってもよい。
【0171】
○ インダクタンス成分L1は、例えば、寄生インダクタンスLsと他のインダクタンス成分を含んでいてもよい。例えば、スイッチング素子11と蓄電装置203とを接続する配線上に、他のインダクタンス成分としてのフィードバック用のコイルを別途設けてもよい。
【0172】
○ インダクタンス成分L1は寄生インダクタンスLsを含んでいなくてもよい。
○ 電流増幅回路80を省略してもよい。
○ スイッチング素子11とドライバ回路12とを接続する配線は、回路基板13に形成された配線パターン30に限られず、任意であり、例えばケーブルやバスバーなどでもよい。
【0173】
○ 各スイッチング素子11u1~11w2はインバータを構成していたが、これに限られず、任意であり、例えば蓄電装置203の直流電力を異なる電圧の直流電力に変換するDC/DCコンバータを構成してもよい。すなわち、電力変換装置10は、インバータに限られず、DC/DCコンバータ、AC/ACコンバータ、AC/DCインバータ等任意である。換言すれば、電力変換装置10は、直流電力又は交流電力を直流電力又は交流電力に変換するものでもよい。
【0174】
○ 負荷は電動モータ201に限られず任意である。
○ 電力変換装置10は、車両200以外に搭載されてもよい。すなわち、電力変換装置10は、車両200に設けられた負荷以外の負荷を駆動させるものでもよい。
【0175】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
(イ)前記分圧ラインは、オペアンプを介することなく前記分圧接続線と前記加算回路とを接続しているとよい。
【0176】
(ロ)制御端子及び印加電流が流れる印加端子を有するスイッチング素子を駆動させるドライバ回路であって、外部指令電圧が入力される外部入力端子と、前記外部入力端子に接続され、前記外部指令電圧を変換指令電圧に変換する指令変換回路と、前記印加電流の変化により前記スイッチング素子内の寄生インダクタンスを含むインダクタンス成分によって生じる逆起電力が入力されるフィードバック入力端子と、前記逆起電力をフィードバック電圧に変換するフィードバック変換回路と、前記変換指令電圧と前記フィードバック電圧とが入力されるものであって、前記変換指令電圧及び前記フィードバック電圧を加算し、その加算された加算電圧を前記制御端子に向けて出力する加算回路と、を備え、前記フィードバック変換回路は、第1フィードバック抵抗及び第2フィードバック抵抗と、前記第1フィードバック抵抗及び前記第2フィードバック抵抗を直列に接続する分圧接続線と、を有し、前記逆起電力を分圧する分圧回路と、前記分圧接続線と前記加算回路とを接続する分圧ライン上に設けられたフィードバック抵抗回路と、を備え、前記指令変換回路は、前記外部入力端子に接続されたオペアンプを有する電圧増幅回路と、前記オペアンプの出力端子と前記加算回路とを接続する外部入力ライン上に設けられ、所定の抵抗値を有する指令抵抗回路と、を備え、前記ドライバ回路は、前記フィードバック抵抗回路の抵抗値と前記指令抵抗回路の抵抗値との比率を変更する変更部を備えていることを特徴とするドライバ回路。
【0177】
上記実施形態では、抵抗可変回路56が「指令抵抗回路」に対応し、第3フィードバック抵抗R3が「フィードバック抵抗回路」に対応する。なお、(ロ)に着目すれば、ドライバ回路12は、第3フィードバック抵抗R3に代えて、抵抗値を変更可能に構成された抵抗可変回路を備えてもよい。つまり、変更部は、第2パーツライン72b上に設けられる抵抗回路の抵抗値と外部入力ライン71上に設けられる抵抗回路の抵抗値との少なくとも一方を変更する回路を有するとよい。
【符号の説明】
【0178】
10…電力変換装置、11(11u1~11w2)…スイッチング素子、12(12u1~12w2)…ドライバ回路、13…回路基板、21…ゲート端子(制御端子)、23…ソース端子、41…外部入力端子、42…加算出力端子、43…基準電位端子、44…フィードバック入力端子、50…指令変換回路、51…電圧増幅回路、56…抵抗可変回路、56a…バイパス経路、60…加算回路、71…外部入力ライン、72…フィードバックライン、72b…第2パーツライン(分圧ライン)、100…フィードバック変換回路、101…分圧回路、101a…分圧接続線、110…制御回路(制御部)、200…車両、201…電動モータ(負荷)、203…蓄電装置、Vp…外部指令電圧、Vq…変換指令電圧、Vb…逆起電力、Vfb…フィードバック電圧、Vad…加算電圧、V0…基準電位、L1…インダクタンス成分、Ls…寄生インダクタンス、R0…指令抵抗、R1…第1フィードバック抵抗、R2…第2フィードバック抵抗、R3…第3フィードバック抵抗、Ra…抵抗可変回路の抵抗値、Ra1…第1抵抗値、Ra2…第2抵抗値、Id…ドレイン電流(印加電流)、G…利得、Qx…可変用スイッチング素子、Rx…可変用抵抗。
図1
図2
図3
図4
図5