(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037519
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】帳票印刷用シート及び配送用伝票
(51)【国際特許分類】
B42D 11/00 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
B42D11/00 A
B42D11/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141702
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】390027203
【氏名又は名称】株式会社中川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】特許業務法人竹内・市澤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一色 譲
(57)【要約】 (修正有)
【課題】一枚の用紙に配送用伝票と払込票などの帳票を一体に作製する場合に、帳票を小さく折り畳まずに広げた状態で配送用伝票の下側に封入し、包装箱に確実に貼り付けたまま荷物配送ができるようにする。
【解決手段】基紙の上面側に疑似接着層領域と上紙を重ね、下面側に粘着層領域と剥離紙を重ねてシート1を形成する。上紙の情報印字領域をシート分断線DL1で領域Aと領域Bに区画し、領域B内に上紙の上面から基紙の上面に至る深さのシート分断線DL2で囲われた領域Cを設け、この領域C内に払込票などの帳票の印刷領域を配置する。シート1は三つ折りにして重なり合うシート同士を貼り合わせ、内部に帳票を封入する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基紙の上面側に疑似接着層領域が設けられ、この疑似接着層領域に情報が印字される領域を上面に有する上紙が疑似接着され、前記基紙の下面側には粘着層領域が設けられ、この粘着層領域が剥離紙で覆われてなる平面視方形のシートであって、以下の構成を備えることを特徴とする帳票印刷用シート。
1)上紙の情報印字領域が、シート上辺から下辺に亘り形成された上紙の上面から基紙の上面に至る深さのシート分断線DL1により、シートの左辺側の情報印字領域Aと右辺側の情報印字領域Bとに区画されている。
2)上紙の情報印字領域B内に、上紙の上面から基紙の上面に至る深さのシート分断線DL2で囲われた領域Cが設けられている。
3)前記領域Cの外側に、上紙の上面から粘着層領域の下面に至るシート分断線DL3で囲われた領域Dが一つ以上設けられている。
4)剥離紙の前記情報印字領域Bが向かい対する部分に、シートの上辺から下辺に亘り形成された剥離紙の下面から上面に至る深さのシート分断線DL4が設けられている。
5)シートの上面側から見て、前記シート分断線DL1に沿ってシートを山折りすることができるとともに、前記シート分断線DL4に沿ってシートを谷折りすることができるように当該シートが形成されている。
【請求項2】
シートの左辺からシート分断線DL1までの間隔、シート分断線DL1からシート分断線DL4までの間隔、及びシート分断線DL4からシート右辺までの間隔が等間隔である構成を備える請求項1に記載の帳票印刷用シート。
【請求項3】
領域Cの外側に、一側が領域Bの縁部に沿っていて他側が上紙の上面から粘着層領域の上面に至る深さのシート分断線DL3で囲われた領域Dが設けられた構成を備える請求項1又は2に記載の帳票印刷用シート。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の帳票印刷用シートを用いてなる荷物配送用の伝票であって、上紙の情報印字領域Aに梱包荷物を配送するための情報、情報印字領域Bに梱包された物品に関する情報が印刷された構成を備える配送用伝票。
【請求項5】
情報印字領域Bに払込票が印刷された構成を備える請求項4に記載の配送用伝票。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェトプリンタ、感熱プリンタ、レーザービームプリンタに代表される電子写真出力装置などのノンインパクトプリンタを用いてシート表面に各種情報を印字・印刷して、所望の形式の帳票を作製するための帳票印刷用シートと、これを用いて作製された配送用伝票に関する。
【0002】
荷物の配送に用いられる配送用伝票として、配送用伝票を構成する部分と荷物の明細などの情報を記載した書面の部分とが一体となった構成のものが知られている。
【0003】
例えば、折り曲げ線を挟んで上下で三つの領域に分けられた、剥離可能な表裏2層構造の縦長矩形状の用紙を用いたものとして、この用紙の一段目の領域に荷物配送に必要な情報、二段目の領域に荷物の明細に関する情報、三段目の領域に広告などの情報をそれぞれ印刷し、前記一段目の領域が最上部となるように二段目と三段目の領域を折り重ねた状態で、一段目の領域の上縁と二段目の領域の上縁に沿って帯状に設けられた粘着部を露出させ、これを梱包箱に貼り付けて荷物配送に供し、配達後は荷物の受取人において前記最上部の伝票部分の下側に折り重ねた荷物の明細などを記載した部分を取り出せるようにした構成のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、一枚の用紙上に配送用伝票と払込票と明細票とをレイアウトし、払込票上に明細票を折り重ねて両票を感圧糊により剥離可能に貼着し、配送用伝票の部分のみを露出させた状態でこれを梱包箱に貼り付けて荷物配送に供し、配達後は明細票を剥離した払込票を配送用伝票から分離して取り出し、金融機関やコンビニで費用の支払い手続きが行えるようにした構成のものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-261073号公報
【特許文献2】特開2008-68431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
払込票は、何れの金融機関、コンビニなどでも振り込み処理ができるように、「振替払込書作成基準」に基づいて一定の形式で作製される。
通信販売で商品代金が後払いで支払われる場合、払込票は通常、商品の包装箱に同梱したり、封筒に封入してこれを商品が包装された箱の外面に貼り付けたりして、商品とともに利用者に発送しているが、梱包済みの商品を利用者に発送するにあたっては、払込票を封筒に封入して包装箱に貼り付ける発送手続きを簡略化するため、一枚の用紙に配送用伝票と払込票を一体に作製し、払込票を配送用伝票の下側に折り込んで包装箱に添付し、利用者へと送り届けることが考えられる。
【0007】
この場合、荷物配送中に払込票が脱落したり傷ついたりすることがないように、包装箱の外面にしっかりと定着させ、且つ払込票はその表面が露出することなく保護されるようにしておく必要がある。
また、コンビニではコード化して払込票に印字された情報をスキャナーで読み取って振替処理に必要な情報を入力しているが、払込票に折り癖がついていたり表面に感圧糊が付着したりすると、スキャナーの読み取り精度が低下して読み取り不能になる虞がある。
配送用伝票とともに包装箱に添付するときは、払込票はその表面に他の帳票を貼り付けることなく、且つ折り畳まずに広げた状態で配送されるようにすることが肝要である。
【0008】
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑み、一枚の用紙に配送用伝票と払込票などの帳票を一体に作製し、帳票を配送用伝票から分離せずに包装箱に貼り付けて荷物配送に供する場合に、帳票を小さく折り畳まずに広げた状態で配送用伝票の下側に封入することができるとともに、配送の過程で帳票を汚したり脱落させたりすることなく、包装箱に確実に貼り付けたまま荷物配送ができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明の帳票印刷用シート(以下、単に「シート」ともいう。)は、基紙の上面側に疑似接着層領域が設けられ、この疑似接着層領域に情報が印字される領域を上面に有する上紙が疑似接着され、前記基紙の下面側には粘着層領域が設けられ、この粘着層領域が剥離紙で覆われてなる平面視方形のシートであって、以下の構成を備えることを特徴とする。
1)上紙の情報印字領域が、シート上辺から下辺に亘り形成された上紙の上面から基紙の上面に至る深さのシート分断線DL1により、シートの左辺側の情報印字領域Aと右辺側の情報印字領域Bとに区画されている。
2)上紙の情報印字領域B内に、上紙の上面から基紙の上面に至る深さのシート分断線DL2で囲われた領域Cが設けられている。
3)前記領域Cの外側に、上紙の上面から粘着層領域の下面に至るシート分断線DL3で囲われた領域Dが一つ以上設けられている。
4)剥離紙の前記情報印字領域Bが向かい対する部分に、シートの上辺から下辺に亘り形成された剥離紙の下面から上面に至る深さのシート分断線DL4が設けられている。
5)シートの上面側から見て、前記シート分断線DL1に沿ってシートを山折りすることができるとともに、前記シート分断線DL4に沿ってシートを谷折りすることができるように当該シートが形成されている。
【0010】
前記構成の帳票印刷用シートは、一例の使用態様として、通信販売で商品の代金を後払いする利用者に商品とともに払込票を送付する場合に、配送用伝票と払込票を一枚のシートに一体に作製した帳票として利用することができる。
その場合、前記情報印字領域Aには利用者の名前や届け先住所などの配送用伝票を構成する情報が印字され、情報印字領域B内の領域Cには払込票を構成する情報が印字される。
【0011】
前記のとおり、上紙の上面にレイアウトされた情報印字領域Aに配送用伝票を構成する情報、情報印字領域Bには払込票を構成する情報がそれぞれ印字された帳票印字用シートは、以下のようにして商品を梱包した包装箱に貼付される。
【0012】
先ず、シート下面の剥離紙をシート分断線DL4に沿って分離して、情報印字領域Aの下方領域を覆っていた剥離紙の片方をシートから引き剥がし、粘着層領域を露出させる。
このとき、剥離紙の片方を剥離すると、シート分断線DL3で囲われた領域Dが剥離された剥離紙に固着したままシートから切除され、上紙の領域Dが配置された部分には切り欠け部又は孔部となる(
図6参照)。
【0013】
剥離紙の片方を剥離したならば、シート分断線DL1に沿ってシートを山折りして、情報印字領域Aの下方領域の部分をシートの裏面側に重ね合わせて貼り付ける。
前記上紙内の前記領域Dが切除されて切り欠き部又は孔部となった部分には、粘着層領域が露出する(
図7参照)。
【0014】
次いで、シートの情報印字領域Bが配置された側を二つ折りし、前記切り欠き部又は孔部から粘着層領域が露出した側に重ね合わせて貼り付ける。
この際、切除された領域Dは、払込票が印字された領域Cの外側に配置されていたので、粘着層領域が払込票表面に接触することはない。
【0015】
そして、シート下面に残っていた剥離紙のもう片方を引き剥がして粘着剤領域を露出させ(
図8参照)、これを、商品を梱包した包装箱の外面に貼り付けることで、配送用伝票と払込票を包装箱に添付する作業が完了する(
図9参照)。
【0016】
前記荷物は、配送用伝票に印字された配送情報に基づいて利用者宅まで配送され、荷物を受け取った利用者は包装箱に貼られたシートの配送用伝票を、シート分断線DL1が配置された側の縁部に指を添えて、前記二つ折りに貼り付けられた情報印字領域Bの部分を捲り上げつつ貼り合わせ部を引き裂いて展開することで、配送用伝票の下側に重ねて封入されていた払込票を取り出すことができる(
図10、
図11参照)。
【0017】
前記構成の帳票印刷用シートにおいて、領域Cの外側に、一側が領域Bの縁部に沿っていて他側が上紙の上面から粘着層領域の下面に至る深さのシート分断線DL3で囲われた領域Dが一つ以上設けられていてもよい。
【0018】
前記構成の帳票印刷用シートにおいて、シートの左辺からシート分断線DL1までの間隔、シート分断線DL1からシート分断線DL4までの間隔、及びシート分断線DL4からシート右辺までの間隔を等間隔に設定し、シートが三つ折りされて包装箱に貼り付けられるように構成してもよい。
また、シートを折り曲げる操作をし易くして綺麗に折り重ねることができるようにするため、シートの上面側から見て、シート分断線DL1に沿ってシートを山折りする折加工、シート分断線DL4に沿ってシートを谷折りする折加工をそれぞれ施してもよい。
【0019】
前記のとおり、本発明の帳票印刷用シートは、上紙の情報印字領域Aに梱包荷物を配送するための情報、情報印字領域Bに梱包された物品に関する情報を印刷して荷物配送用の伝票として利用することができる。
この場合、情報印字領域Bに印刷する物品に関する情報は払込票や物品の明細書、納品書などの他、利用者に通知する他の情報や広告、他の物品についての情報などでもよい。
【0020】
前記構成において、シート分断線は、シートを分断するために入れられた切れ目であるスリットやミシン目などにより形成することができる。綺麗に分断することができ且つ操作がし易いことからスリットであることが好ましい。スリットは、その全体に切れ目を連続させたものの他、スリット線上にアンカット部を適宜断続的に配置した構成のものでもよい。
また、基紙の上面側に設ける疑似接着領域は、上紙裏面側にニス層を形成する加工、基紙上面側に接着層を形成する加工をそれぞれ施して形成することができる。
或いは、感圧接着剤や感熱接着剤、再湿接着剤などの剥離可能な接着剤を用い、フレキソ法、グラビア法などの公知の印刷又はコーティング法によって適宜な厚みに塗布し、接着剤が乾燥していない状態で貼り合わせるウェット方式や熱圧着方式、感圧方式によって貼り合わせて形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の帳票印刷用シートの一実施形態の上面図である。
【
図3】
図1中のIII-III線に沿った要部拡大断面図である。
【
図4】
図1中のIV-IV線に沿った拡大断面図である。
【
図5】
図1中のV-V線に沿った拡大断面図である。
【
図6】
図1のシートの剥離紙の半面を剥離した状態を示した図である。
【
図7】情報印字領域Aの部分を背面側へ折り返して貼り付けた状態を示した図である。
【
図8】
図7の状態から剥離紙の他半面を剥離した状態を示した図である。
【
図9】荷物を包装した梱包箱に
図8のシートを貼り付けた状態を示した図である。
【
図10】
図9の荷物が受取人に配達されたときの状態を示した図である。
【
図11】梱包箱に貼り付けられたシートから納品明細書と払込票を取り出す操作を示した図である。
【
図12】本発明の帳票印刷用シートの他の形態の上面図である。
【
図13】
図12中のXIII-XIII線に沿った要部拡大断面図である。
【
図14】梱包箱に貼り付けられた
図12のシートから納品明細書と払込票を取り出す操作を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
図1から
図5は本発明の帳票印刷用シートの一実施形態を示している。
この形態は、通信販売で利用者への商品の発送に使用される配送用伝票と商品の明細票と払込票とを一枚のシートに一体に作製し、明細票と払込票を配送用伝票とともに商品を梱包した包装箱の外面に貼り付けて発送することができるようにしたものである。
【0023】
各図に示されるように、本形態のシート1は、基紙2の上面側に疑似接着層領域3が設けられ、この疑似接着層領域3に情報が印字される領域を上面に有する上紙4が疑似接着され、前記基紙2の下面側には粘着層領域5が設けられ、この粘着層領域5が剥離紙6で覆われてなる、3層構造の平面視横長方形のシートにより構成されている。
【0024】
詳しくは、
図1に示されるように、シート1の最上面である上紙4の情報印字領域は、シート1を中央よりも若干左辺側の位置で、シート1の上下両辺と直交して両辺間に亘って形成された、上紙4の上面から基紙2の上面に至る深さのシート分断線DL1により、シート1の左辺側の情報印字領域Aと右辺側の情報印字領域Bとに区画してある。
【0025】
情報印字領域Aにおいて、シート分断線DL1の近傍には、これと平行に上紙4の上面から基紙2の上面に至る深さのシート分断線DL11がシート1の上下両辺間に亘って形成してある。
このシート分断線DL11とシート1の左辺の間の領域は、シート分断線DL11と直交してシート1の左辺に亘って形成された、上紙4の上面から下面に至る深さのシート分断線DL12,DL12により、三つの領域に区画してあり、それぞれの領域には上から、「領収書」、「配達票」及び「貼付票」の配送用伝票の各票を構成する情報が印刷してある。
「領収書」と「配達票」を構成する領域のシート1の左辺側角部には、シート1の情報印字領域A,Bにプリンタで情報を印字・印刷する際にプリンタ内部の各種ニップ部において当該シートの縁からの粘着剤の不要な転移を防いでシートの搬送が滞りなく行えるようにすること、及びシート同士の不要な密着により重送することを防止することを企図してカス上げ加工が施してある。
【0026】
情報印字領域Bにおいて、同領域内に、上紙4の上面から基紙2の上面に至る深さのシート分断線DL2で、前記シート分断線DL1の近傍からシート1の右辺の内側まで矩形に囲った領域Cが設けてある。
この領域Cは、その中央に形成されたミシン目からなるシート分断線DL21で左右に二分した領域に区画してあり、左側の領域B1には商品の明細票、右側の領域B2には払込票を構成する情報がそれぞれ印刷してある。
なお、シート分断線DL21とシート1の右辺間の間隔と前記シート分断線DL1とシート1の左辺間の間隔、及びシート分断線DL21とシート分断線DL1の間隔は等間隔となるように、つまり、シート分断線DL21とシート分断線DL1はシート1の左右側辺間を三等分する位置となるように配置してある。
【0027】
また、前記領域Cとシート1の上辺及び下辺の間には、一側が情報印字領域Bの縁部、つまりシート1の縁片部に沿っていて、
図4に示されるように、他側が上紙4の上面から粘着層領域5の上面に至る深さのシート分断線DL3で囲われた領域Dがそれぞれ設けてある。
さらに、前記領域Cとシート分断線DL1の間には、
図5に示されるように、上紙4の上面から粘着層領域の下面に至る深さのシート分断線DL31で細幅に矩形状に囲った部分を設けてある。
【0028】
また、
図2に示されるように、シート1の下面側において、剥離紙6の前記情報印字領域Bが向かい対する部分であって、前記シート分断線DL21が配置された部分の直下に、剥離紙6の下面から上面に至る深さのシート分断線DL4をシートの上辺から下辺に亘って形成してある。
【0029】
シート1を構成する上紙4は、例えばインクジェットプリンタに対応した上質紙からなる腰のあるやや肉厚な紙を用いることができ、基紙2薄肉なタックシートを用いることができる。
基紙2の上面側に設ける疑似接着領域3としては、上紙4の裏面側にニス層を形成する加工、基紙2の上面側に接着層を形成する加工をそれぞれ施して形成することができる。
また、基紙2の下面側に設ける粘着層領域5としては、アクリル系粘着剤や天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤などを用いることができる。
【0030】
前記のように構成された本形態の帳票印刷用シート1は、プリンタにセットして、上紙4の上面の配送用伝票を構成する情報印字領域Aに荷物配送に必要な情報、情報印字領域Bの領域B1に明細票を構成する情報、領域B2に払込票を構成する情報をそれぞれ印字・印刷し、商品の発送手続きに供される。
【0031】
商品の発送手続きは、
図6に示されるように、先ず、シート1下面の剥離紙6をシート分断線DL4に沿って分離して、情報印字領域Aの下方領域を覆っていた部分の剥離紙片61をシート1から引き剥がし、この部分の粘着層領域5を露出させる。
このとき、剥離紙片61を剥離すると、上紙4内のシート分断線DL3で囲われた、情報印字領域Bの上下両辺に沿った領域D,Dと、シート分断線DL31で囲われた部分が、剥離された剥離紙片61に固着したままシート1から切除され、上紙4の切除された部分には切り欠け部と孔部が形成される。
【0032】
剥離紙片61を剥離したならば、シート分断線DL1に沿ってシート1を山折りして、情報印字領域Aの下方領域の部分をシート1の裏面側に重ね合わせて貼り付ける。
図7に示されるように、シート1の情報印字領域Aが配置された部分を裏面側に折り重ねて貼り付けた状態で、上紙4内の前記切り欠き部と孔部となった部分には、粘着層領域5が露出する。
【0033】
次いで、シート1の情報印字領域Bが配置された側を、シート分断線DL21に沿って二つ折りし、前記切り欠き部と孔部から粘着層領域5が露出した側に重ね合わせて貼り付ける。
【0034】
そして、
図8に示されるように、シート1の下面に残っていた剥離紙片62を引き剥がして粘着層領域5を露出させ、これを、
図9に示されるように、商品を梱包した包装箱7の外面に貼り付けることで、配送用伝票と払込票を包装箱に添付する作業が完了する。
この状態で、払込票は、小さく折り畳まれることなく展開した状態で、三つ折りされたシート1内に封入され、シート1の外側に露出することはない。三つ折りにされたシート1は、剥離紙片62と略同じ面積の広い粘着面を介して包装箱7の外面に貼り付けられるので、荷物配送中に外力が加わっても包装箱7から剥がれることはなく、払込票が脱落する虞もない。
【0035】
前記荷物は、配送用伝票に印字された配送情報に基づいて利用者宅まで配送され、配送の過程で領収書A1と配達票A2が切除処理される。
荷物を受け取った利用者は、
図10に示されるように、包装箱7に貼られたシート1の配送用伝票を、シート分断線DL1が配置された側の縁部に指を添えて、前記二つ折りに貼り付けられた情報印字領域Bの部分を捲り上げて展開することで、三つ折りしていたシート1を開くことができ、
図11に示されるように、封入されていて明細票と払込票をシート分断線DL2に沿って上紙4から分離して取り出すことができ、さらに、シート分断線DL21に沿って両票を分離することができる。
【0036】
図12から
図14は前記形態の帳票印刷用シートの改良例を示している。
この形態の帳票印刷用シート1は、次の点が前記形態のものとは異なってる。
第1に、情報印字領域Aにおいて、貼付票A3の上辺に沿ったシート分断線DL12が、シート1の上下両辺と直交して両辺間に亘って形成されたシート分断線DL1と直交するように配置され、シート分断線DL11がシート1の上辺から当該シート分断線DL12と交差する長さに設けられている点で異なる。
第2に、情報印字領域Bにおいて、シート分断線DL21とシート1の右辺の間であって、領域Cとシート1の上辺及び下辺の間に、一側が情報印字領域Bの縁片部に沿っていて、
図13に示されるように、他側が上紙4の上面から基紙2の上面に至る深さのシート分断線DL5で囲われた領域Eがそれぞれ設けられている点で異なる。
第3に、領域Cとシート1の右辺の間に上紙4の上面から基紙2の上面に至る深さのシート分断線DL51で細幅に矩形状に囲った部分を設けてある点でも異なる。
【0037】
このような構成を有する本形態の帳票印刷用シート1は、前記形態と同様にして、上紙4の上面の配送用伝票を構成する情報印字領域Aに荷物配送に必要な情報、情報印字領域Bの領域B1に明細票を構成する情報、領域B2に払込票を構成する情報をそれぞれ印字・印刷し、荷物の配送手続きに用いることができる。
荷物の配送手続きにあたり、シート1を三つ折りする操作で、最初に配送用伝票を構成する情報印字領域Aの下方領域を覆う剥離紙片61を剥離した後、シート分断線DL1に沿ってシート1を山折りして情報印字領域Aの下方領域の部分を、情報印字領域Bの下方領域であるシート1の裏面側に貼り付ける。
この際、本形態のシート1は前記第1の形態の差異点のとおり、シート分断線DL1と平行なシート分断線DL11がシート1の上辺からシート分断線DL12と交差する長さに設けてあるので、シート分断線DL1に沿ってシート1を山折りする操作がし易く、シート1を三つ折りする操作を迅速に行うことが可能である。
【0038】
荷物を受け取った利用者は、包装箱7に貼られたシート1の配送用伝票が配置された部分を、シート分断線DL1が配置された側の縁部の側から前記二つ折りに貼り付けられた情報印字領域Bの部分を捲り上げつつ貼り合わせ部を引き裂いて展開することで、三つ折りしていたシート1を開くことができる。
この際、
図14に示されるように、シート分断線DL5で囲われていた領域Eは、前記領域Dが剥離紙片61とともに切除されることで露出していた粘着層領域5に粘着して、上紙4の当該領域Eに沿った部分が剥がれ、基紙2の上面が露出する。そのため、この領域Eが剥がれた部分の隙間に指を入れて、明細票と払込票を容易に取り出すことが可能である。
【0039】
前記のように本形態の帳票印刷用シート1には、情報印字領域B内に上紙4の上面から基紙2の上面に至る深さのシート分断線DL5で囲われた領域Eが設けられ、この領域Eに、シート1を三つ折りする過程で領域Dが剥離紙片61とともに切除されることで露出していた粘着層領域5に粘着して貼り合わさるようになっているが、この構成は次のような効果も奏する。
【0040】
先ず、配送用伝票の下側に帳票を封入した三つ折りされたシート1が、包装箱7に貼られてから利用者に配達されるまでの過程で、第三者の開封行為により封入された帳票が盗み見されたような事態が生じていたか否かの簡易的な確認が可能である。
【0041】
すなわち、シート1を三つ折りすると情報印字領域B内の領域Eが、前記領域Dが剥離紙片61とともに切除されることで露出していた粘着層領域5に重なって貼り合わされ、包装箱7に貼られたシート1表面の配送用伝票を捲り上げて展開することでシート1を開くことができるが、シート1を開いたときに、粘着層領域5に粘着した領域Eは剥がれて、上紙4の領域Eが配置された部分には基紙2の上面が露出する(
図14参照)。領域Eは、基紙2の上面に疑似接着層領域3を介して疑似接着した上紙4内に設けられた部分であり、基紙2から剥離した後は同紙の上面に再接着することはない。
シート1が貼られた包装箱7を利用者が受け取ったときに、三つ折り状態のシート1の配送用伝票の下側で前記領域Eが基紙2から剥がれていないかどうかを目視確認し、仮に領域Eが剥離していたならば、三つ折りのシート1を剥がしたり開けたりする第三者の開封行為があった可能性が大きいといえる。
よって、領域Eが剥離した開封痕の有無を確認することで、荷物配送中のセキュリティの状態を簡易的に確認することが可能となる。
【0042】
次に、情報印字領域B内を二つ折りした際に、領域Dが配置された部分と領域Eが配置された部分とが重なり合い、領域Dが切除された後、切除された部分から露出した粘着層領域5に領域Eが貼り合わさることで、情報印字領域B内にレイアウトされた帳票が配送用伝票の下側に封入されるが、この領域Dと領域Eの重なる面積を適宜に設定することで、貼り合わせ強度と開封に要する引き裂き強度を制御することが可能である。
【0043】
すなわち、前記
図1に示された帳票印刷用シート1では、これを三つ折りする場合、先ず、剥離紙片61を剥離して領域Dを切除し、シート1を上面側から見て、シート分断線DL1に沿ってシート1を山折りして情報印字領域Aの下方領域を情報印字領域Bの裏面側に貼り付け、切除された領域Dから粘着層領域5を露出させた後、情報印字領域Bの部分をシート分断線DL21に沿って谷折りして重ね、前記露出した粘着層領域5にシート1の上下両辺と領域Cの間の部分を貼り付ける。
この場合、シート1の上下両辺と領域Cの間の部分には、前記領域Eの如き剥離可能な部位は設けてないので、前記粘着層領域5にシート1の上下両辺と領域Cの間の部分が強く貼り合わさり、シート1を展開するときの引き裂き強度は大きくなる。
一方、前記
図12に示された改良形態の帳票印刷用シート1では、シート1の上下両辺と領域Cの間の部分に、領域Dと略同じ形状及び大きさで剥離可能な領域Eが設けられており、シート1を三つ折りしたときに、前記切除された領域Dから露出した粘着層領域5に領域Eが重なって貼り付けられる。
領域Eはその周囲がシート分断線DL5で区画されているので、シート1を展開して情報印字領域Bを広げる際に、粘着層領域5に粘着したまま上紙4から切除される。そのため、前記
図1に示されたシート1よりも、シート1を展開するときの引き裂き強度は小さくて済む。
このように、粘着層領域5が露出部分である領域Dと、これに重なる領域Eの重合面積や重合する部分の位置などを適宜に設定することで、三つ折りするシート1の貼り合わせ強度と開封に要する引き裂き強度を制御することが可能となる。
【0044】
なお、図示した形態では、シート1の情報印字領域B内の上下両辺と領域Cの間の部分に領域Dと領域Eを設けたが、情報印字領域B内の適宜な位置に配置してもよい。領域Dと領域Eは、複数部を、間隔を開けて設けたものでもよい。また、領域Dと領域Eは、その全体が重合する態様や部分的に重合する態様の何れでもよく、同一形状のものでも形状が異なるものでもよい。このように領域Dと領域Eの粘着する面積を適宜に調整することで、貼り合わせ強度と引き裂き強度の制御が可能となる。
【0045】
本発明の帳票印刷用シートは、配送用伝票の他に様々なラベルや、それ以外の用途の帳票に利用可能である。図示した帳票印刷用シートと配送用伝票の形態は本発明の実施態様の一例を示すものであり、本発明はこれに限定されず、利用する帳票やラベルの形態などに応じて適宜な形態で構成することが可能である。
なお、情報印刷用シートの他の使い方として、配送用伝票を構成する情報印刷領域Aの部分と、明細票などを構成する情報印刷領域Bの部分を切り離し、包装箱内に荷物とともに情報印刷領域Bの部分を梱包し、包装箱の外側に配送用伝票である情報印字領域Aを貼り付けて荷物配送に供するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 帳票印刷用シート(シート)、2 基紙、3 疑似接着層領域、4 上紙、5 粘着層領域、6 剥離紙、7 包装箱、A,B 情報印字領域、