(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037618
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】レンズ装置、ファインダ装置、及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20220302BHJP
G03B 13/06 20210101ALI20220302BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20220302BHJP
【FI】
H04N5/225 450
H04N5/225 400
G03B13/06
G02B7/02 J
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141845
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】505083036
【氏名又は名称】ビクター ハッセルブラッド アクチボラーグ
【氏名又は名称原語表記】VICTOR HASSELBLAD AB
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】城野 方博
(72)【発明者】
【氏名】白 龍吉
(72)【発明者】
【氏名】徐 永旺
【テーマコード(参考)】
2H018
5C122
【Fターム(参考)】
2H018AA32
2H018BB01
5C122FK09
5C122GE11
5C122HA82
5C122HB06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】移動筒の位置によって弾性部材の付勢力が異なり、移動筒を移動させるときのトルクが変動することによる影響を抑制できるファインダ装置、レンズ装置及び撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置が備えるファインダ装置400は、レンズ系を保持する移動筒420と、光軸に沿ったガイド軸部412と、移動筒をガイド軸部に沿って移動可能に保持する固定筒410と、移動筒をガイド軸部に沿って駆動させる駆動機構430と、移動筒が固定筒に対して第1位置にあるとき第1付勢力で移動筒をガイド軸部の第1方向へ付勢し、移動筒が固定筒に対して第2位置にあるとき第1付勢力より大きい第2付勢力で移動筒をガイド軸部の第1方向へ付勢する弾性部材450と、移動筒が固定筒に対して第2位置にあるとき第2付勢力を弱める方向に移動筒を吸引する磁気吸引力を発生させる磁気ユニット460とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ系を保持する移動筒と、
光軸に沿ったガイド軸部と、
前記移動筒を前記ガイド軸部に沿って移動可能に保持する固定筒と、
前記移動筒を前記ガイド軸部に沿って駆動させる駆動機構と、
前記移動筒が前記固定筒に対して第1位置にあるとき第1付勢力で前記移動筒を前記ガイド軸部の第1方向へ付勢し、前記移動筒が前記固定筒に対して第2位置にあるとき前記第1付勢力より大きい第2付勢力で前記移動筒を前記ガイド軸部の前記第1方向へ付勢する弾性部材と、
前記移動筒が前記固定筒に対して前記第2位置にあるとき前記第2付勢力を弱める方向に前記移動筒を吸引する磁気吸引力を発生させる磁気ユニットと
を備えるレンズ装置。
【請求項2】
前記磁気ユニットは、前記移動筒が前記固定筒に対して前記第1位置にあるとき、前記移動筒に対して第1磁気吸引力を発生させ、前記移動筒が前記固定筒に対して前記第2位置にあるとき、前記移動筒に対して前記第1磁気吸引力より大きい第2磁気吸引力を発生させる、請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項3】
前記磁気ユニットは、
前記移動筒に保持される磁石と、
前記固定筒に保持される強磁性体と
を有する、請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記駆動機構は、
前記固定筒に支持される電動機と、
前記ガイド軸部に沿って配置され、前記電動機からの動力を受けて回転するネジ軸部と、
前記移動筒に支持され、前記ネジ軸部に螺合するナット部と
を有し、
前記ネジ軸部が第1回転方向に回転すると前記ナット部が前記ネジ軸部を介して前記第1方向と反対の第2方向へ移動するとともに前記移動筒が前記第2方向へ移動し、前記弾性部材が前記移動筒に設けられた受け部により押されることで収縮し、
前記ネジ軸部が前記第1回転方向と反対の第2回転方向に回転すると前記ネジ軸部を介して前記第1方向へ移動するとともに、前記弾性部材により前記受け部を介して前記移動筒が前記第1方向へ付勢されながら、前記移動筒が前記第1方向へ移動する、請求項3に記載のレンズ装置。
【請求項5】
前記駆動機構は、
前記ネジ軸部の一端に設けられ、前記電動機の動力を伝達するギア部をさらに有し、
前記磁石は、前記ネジ軸部の他端に対向する位置で前記移動筒に固定される、請求項4に記載のレンズ装置。
【請求項6】
前記強磁性体は、金属プレートであり、
前記移動筒が前記固定筒に対して前記第1位置にあるときの前記金属プレートと前記磁石との間の距離が、前記移動筒が前記固定筒に対して前記第2位置にあるときの前記金属プレートと前記磁石との間の距離より長くなる位置で、前記金属プレートは、前記固定筒に固定される、請求項5に記載のレンズ装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1つに記載のレンズ装置と、
イメージセンサで撮像される画像を表示する表示ユニットと、
前記表示ユニットの表示面側に配置される枠と、
前記枠と前記表示ユニットとの間に配置され、接眼レンズである前記レンズ系とを備えるファインダ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のファインダ装置と、
前記イメージセンサと
を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ装置、ファインダ装置、及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「デジタルカメラ16は視度調整レバー43を操作すると、ファインダー光学系駆動部140を介して接眼レンズ138を光軸方向に進退移動させる」と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2004-245910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
接眼レンズなどのレンズ系を保持し、光軸に沿って移動可能に固定筒に保持される移動筒を弾性部材により光軸方向の一方に片寄せする場合に、移動筒の位置によって弾性部材の付勢力が異なり、移動筒を移動させるときのトルクが変動する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係るレンズ装置は、レンズ系を保持する移動筒と、光軸に沿ったガイド軸部と、移動筒をガイド軸部に沿って移動可能に保持する固定筒と、移動筒をガイド軸部に沿って駆動させる駆動機構と、移動筒が固定筒に対して第1位置にあるとき第1付勢力で移動筒をガイド軸部の第1方向へ付勢し、移動筒が固定筒に対して第2位置にあるとき第1付勢力より大きい第2付勢力で移動筒をガイド軸部の第1方向へ付勢する弾性部材と、移動筒が固定筒に対して第2位置にあるとき第2付勢力を弱める方向に移動筒を吸引する磁気吸引力を発生させる磁気ユニットとを備えてよい。
【0005】
磁気ユニットは、移動筒が固定筒に対して第1位置にあるとき、移動筒に対して第1磁気吸引力を発生させ、移動筒が固定筒に対して第2位置にあるとき、移動筒に対して第1磁気吸引力より大きい第2磁気吸引力を発生させてよい。
【0006】
磁気ユニットは、移動筒に保持される磁石と、固定筒に保持される強磁性体とを有してよい。
【0007】
駆動機構は、固定筒に支持される電動機と、ガイド軸部に沿って配置され、電動機からの動力を受けて回転するネジ軸部と、移動筒に支持され、ネジ軸部に螺合するナット部とを有してよい。ネジ軸部が第1回転方向に回転するとナット部がネジ軸部を介して第1方向と反対の第2方向へ移動するとともに移動筒が第2方向へ移動し、弾性部材が移動筒に設けられた受け部により押されることで収縮してよい。ネジ軸部が第1回転方向と反対の第2回転方向に回転するとネジ軸部を介して第1方向へ移動するとともに、弾性部材により受け部を介して移動筒が第1方向へ付勢されながら、移動筒が第1方向へ移動してよい。
【0008】
駆動機構は、ネジ軸部の一端に設けられ、電動機の動力を伝達するギア部をさらに有してよい。磁石は、ネジ軸部の他端に対向する位置で移動筒に固定されてよい。
【0009】
強磁性体は、金属プレートでよい。移動筒が固定筒に対して第1位置にあるときの金属プレートと磁石との間の距離が、移動筒が固定筒に対して第2位置にあるときの金属プレートと磁石との間の距離より長くなる位置で、金属プレートは、固定筒に固定されてよい。
【0010】
本発明の一態様に係るファインダ装置は、上記レンズ装置と、イメージセンサで撮像される画像を表示する表示ユニットと、表示ユニットの表示面側に配置される枠と、枠と表示ユニットとの間に配置され、接眼レンズであるレンズ系とを備えてよい。
【0011】
本発明の一態様に係る撮像装置は、上記ファインダ装置と、イメージセンサとを備えてよい。
【0012】
本発明の一態様によれば、移動筒の位置によって弾性部材の付勢力が異なり、移動筒を移動させるときのトルクが変動することによる影響を抑制できる。
【0013】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】撮像装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図2】磁気ユニットを備えないファインダ装置の斜視図である。
【
図3】移動筒の位置に応じた弾性部材の付勢力の変動について説明するための図である。
【
図4】移動筒の位置と片寄せバネ力との関係を示す図である。
【
図5】磁気ユニットを備えるファインダ装置の斜視図である。
【
図6】移動筒の位置に応じた弾性部材の付勢力及び磁気ユニットの節点力の変動について説明するための図である。
【
図7】移動筒の位置と、片寄せバネ力及び磁石の節点力との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
特許請求の範囲、明細書、図面、及び要約書には、著作権による保護の対象となる事項が含まれる。著作権者は、これらの書類の何人による複製に対しても、特許庁のファイルまたはレコードに表示される通りであれば異議を唱えない。ただし、それ以外の場合、一切の著作権を留保する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る撮像装置100の機能ブロックの一例を示す。撮像装置100は、撮像部102、レンズ部200、及びファインダ装置400を備える。撮像部102は、イメージセンサ120、撮像制御部110、メモリ170、表示部180、及び操作部182を有する。
【0018】
イメージセンサ120は、CCDまたはCMOSにより構成されてよい。イメージセンサ120は、複数のレンズ154を介して結像された光学像の画像データを撮像制御部110に出力する。撮像制御部110は、CPUまたはMPU等のマイクロプロセッサ、MCU等のマイクロコントローラ等により構成されてよい。
【0019】
撮像制御部110は、操作部182からの撮像装置100の動作命令に応じて、撮像制御部110は、イメージセンサ120から出力された画像信号にデモザイク処理を施すことで画像を生成する。撮像制御部110は、画像をメモリ170に格納する。撮像制御部110は、イメージセンサ120から出力された画像信号に基づく画像をファインダ装置400に出力する。
【0020】
メモリ170は、コンピュータ可読可能な記録媒体でよく、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリ等のフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリ170は、撮像制御部110がイメージセンサ120等を制御するのに必要なプログラム等を格納する。メモリ170は、撮像装置100の筐体の内部に設けられてよい。
【0021】
複数のレンズ154は、ズームレンズ、バリフォーカルレンズ、及びフォーカスレンズとして機能してよい。複数のレンズ154の少なくとも一部または全部は、光軸に沿って移動可能に配置される。レンズ制御部150は、撮像制御部110からのレンズ制御命令に従って、レンズ駆動部152を駆動して、1または複数のレンズ154を光軸方向に沿って移動させる。レンズ制御命令は、例えば、ズーム制御命令、及びフォーカス制御命令である。レンズ駆動部152は、複数のレンズ154の少なくとも一部または全部を光軸方向に移動させるボイスコイルモータ(VCM)を含んでよい。レンズ駆動部152は、DCモータ、コアレスモータ、または超音波モータ等の電動機を含んでよい。レンズ駆動部152は、電動機からの動力をカム環、ガイド軸等の機構部材を介して複数のレンズ154の少なくとも一部または全部に伝達して、複数のレンズ154の少なくとも一部または全部を光軸に沿って移動させてよい。本実施形態では、複数のレンズ154は、撮像装置100と一体型の例について説明する。しかし、複数のレンズ154は、交換レンズでよく、撮像装置100とは別体で構成されてもよい。
【0022】
表示部180は、イメージセンサ120から出力された画像信号に基づく画像を表示してよい。表示部180は、撮像装置100の各種の設定情報を表示してよい。表示部180は、液晶ディスプレイ、タッチパネルディスプレイなどでよい。表示部180は、複数の液晶ディスプレイ、またはタッチパネルディスプレイを含んでよい。
【0023】
ファインダ装置400は、イメージセンサ120から出力された画像信号に基づく画像を表示する。
【0024】
ファインダ装置400は、固定筒410、移動筒420、接眼レンズ422、駆動機構430、表示部440、磁気ユニット460、弾性部材450、及び接眼枠470を備える。
【0025】
表示部440は、イメージセンサ120からの画像を表示する。表示部440は、有機EL素子、すなわちOLED(Organic Light Emitting Diode)、または液晶モニタを含む。表示部440は、複数の有機EL素子を配列することで構成されてよい。表示部440に表示された画像を接眼レンズ422を介して拡大する。撮影者は、表示部440に表示される画像を接眼レンズ422を通して接眼枠470を覗き込むことで、確認する。接眼枠470は、枠の一例である。
【0026】
固定筒410は、移動筒420を光軸方向に移動可能に保持する。移動筒420は、接眼レンズ422を保持する。駆動機構430は、移動筒420を光軸方向に駆動させる。接眼レンズ422を光軸方向に移動させることで、接眼枠470を覗き込む撮影者の視力に合わせて視度を調整できる。
【0027】
弾性部材450は、移動筒420を接眼枠470側に付勢し、移動筒420を光軸方向の一方に片寄せする。これにより、移動筒420が光軸方向に沿って移動する場合の、がたつきを防止する。付勢とは、一方向に力を作用させることを言う。付勢とは、勢いよく力を加えることを言う。付勢とは、力を加え、一方向に押さえつけることを言う。
【0028】
移動筒420が弾性部材により光軸方向の一方に片寄せされる場合、移動筒420の位置によって弾性部材450の付勢力が変動し、移動筒420を移動させるときのトルクが変動する。駆動機構430が、電動機を含み、電動機で移動筒420を駆動させる場合、トルクが大きいと、電動機を大型化する必要がある。また、駆動機構430が、撮影者が手動で移動筒420を駆動させる操作ダイヤルまたは操作レバーを含む場合、トルクが変動すると、撮影者が操作に違和感をもつ場合がある。
【0029】
そこで、本実施形態では、弾性部材450は、移動筒420が固定筒410に対して接眼枠470側の第1位置にあるとき第1付勢力で移動筒420を光軸に沿った第1方向へ付勢する。弾性部材450は、移動筒420が固定筒410に対して第2位置にあるとき第1付勢力より大きい第2付勢力で移動筒420を第1方向へ付勢する。そして、磁気ユニット460が、移動筒420が固定筒410に対して第2位置にあるとき第2付勢力を弱める方向に移動筒420を吸引する磁気吸引力を発生させる。磁気ユニット460は、移動筒420が固定筒410に対して第1位置にあるとき、移動筒420に対して第1磁気吸引力を発生させ、移動筒420が固定筒410に対して第2位置にあるとき、移動筒420に対して第1磁気吸引力より大きい第2磁気吸引力を発生させてよい。第1磁気吸引力は、実質的にゼロでもよい。これにより、移動筒420の位置によって変動する弾性部材450の付勢力の影響を抑制する。
【0030】
図2は、磁気ユニット460を備えないファインダ装置400の斜視図である。
図2では、内部を視認化するために固定筒410を透明で示している。
【0031】
ファインダ装置400は、光軸に沿ったガイド軸部412を備える。固定筒410は、ガイド軸部412に沿って移動可能に移動筒420を保持する。
【0032】
駆動機構430は、電動機432、ネジ軸部434、ギア部436、及びナット部438を有する。電動機432からの動力は、ギア部436を介してネジ軸部434に伝達される。電動機432は、固定筒410に支持されている。ネジ軸部434は、ガイド軸部412に沿って配置され、電動機432からの動力をギア部436を介して受けて回転する。ナット部438は、移動筒420に支持され、ネジ軸部434に螺合する。螺合とは、ボルトとナットのように、ネジ同士が噛み合うことをいう。螺合とは、ナット部438の内周面に設けられたネジ溝と、ネジ軸部434の外周面に設けられたネジ溝とが噛み合うことをいう。
【0033】
移動筒420は、側面に、ガイド軸部412を軸受けする軸受け部424を有する。軸受け部424の周囲の一部を取り囲むように、バネである弾性部材450が配置されている。移動筒420は、軸受け部424の周囲に突出して設けられ、弾性部材450の一端が接触するバネ受け部426をさらに有する。移動筒420は、バネ受け部426が弾性部材450により接眼枠470側に押圧され、接眼枠470側に付勢されている。押圧とは、一方向に力を加えて押すこと言う。押圧とは、一方向に圧力を加えることを言う。
【0034】
ネジ軸部434が第1回転方向に回転すると、ナット部438がネジ軸部434を介して第1方向401と反対の第2方向402へ移動するとともに移動筒420が第2方向402へ移動し、弾性部材450がバネ受け部426により押圧されることで収縮する。ネジ軸部434が第1回転方向と反対の第2回転方向に回転するとネジ軸部434を介して第1方向401へ移動するとともに、移動筒420が、弾性部材450によりバネ受け部426を介して第1方向401へ付勢されながら、第1方向401へ移動する。
【0035】
図3の(a)に示すように、弾性部材450は、移動筒420が固定筒410に対して接眼枠470側の第1位置にあるとき、第1付勢力501(片寄せバネ力(N))で移動筒420を光軸に沿った第1方向へ付勢する。
図3の(b)に示すように、弾性部材450は、移動筒420が固定筒410に対して表示部440側の第2位置にあるとき第1付勢力501より大きい第2付勢力502で移動筒420を第1方向401へ付勢する。
【0036】
図4は、接眼レンズ422の位置、すなわち移動筒420の位置(変位)と、弾性部材450の付勢力(片寄せバネ力)との関係を示す図である。ディオプター(D)は、視度を示す。ディオプターが大きいほど、移動筒420は、接眼枠470側に位置する。
図4に示すように、移動筒420の位置によって、付勢力(片寄せバネ力)は変動する。
【0037】
そこで、本実施形態では、移動筒420の位置の変動に伴う弾性部材450の付勢力の変動による影響を抑制すべく、ファインダ装置400は、磁気ユニット460を備える。
【0038】
図5は、磁気ユニット460を備えるファインダ装置400の斜視図である。
図5では、内部を視認化するために固定筒410を透明で示している。
図5に示すファインダ装置400は、磁気ユニット460を備える点で、
図2に示すファインダ装置400と異なる。
【0039】
磁気ユニット460は、移動筒420が固定筒410に対して表示部440側の第2位置にあるとき第2付勢力を弱める方向に移動筒420を吸引する磁気吸引力を発生させる。磁気ユニット460は、移動筒420に保持される磁石462と、固定筒410に保持される金属プレート464とを有する。金属プレート464は、強磁性体の一例である。
【0040】
ギア部436は、ネジ軸部434の一端に設けられ、電動機432の動力を伝達する。磁石462は、ネジ軸部434の他端に対向する位置で移動筒420に固定される。移動筒420が固定筒410に対して第1位置にあるときの金属プレート464と磁石462との間の距離が、移動筒420が固定筒410に対して第2位置にあるときの金属プレート464と磁石462との間の距離より長くなる位置で、金属プレート464は、固定筒410に固定される。
【0041】
金属プレート464は、移動筒420が固定筒410に対して第1位置にあるとき、移動筒420が移動する方向と交差する方向において磁石462と対向せず、移動筒420が固定筒410に対して第2位置にあるとき、移動筒420が移動する方向と交差する方向において磁石462の少なくとも一部分と対向する位置で、固定筒410に固定される。
【0042】
図6に示すように、移動筒420が固定筒410に対して第1位置にあるときの磁石462の節点力601より、移動筒420が固定筒410に対して第2位置にあるときの磁石462の節点力602は大きい。そして、移動筒420が固定筒410に対して第1位置にあるときの磁石462の節点力601は、弾性部材450の付勢力501を打ち消すように発生する。移動筒420が固定筒410に対して第2位置にあるときの磁石462の節点力602も、弾性部材450の付勢力502を打ち消すように発生する。
【0043】
図7に示すように、弾性部材450の付勢力は、移動筒420が表示部440に近づくほど、大きくなる。一方、磁石462の節点力は、移動筒420が表示部440に近づくほど、弾性部材450の付勢力の方向と逆方向に大きくなる。したがって、弾性部材450の付勢力と、磁石462の節点力とは打ち消し合うように作用し、弾性部材450の付勢力と、磁石462の節点力とを合成した合力は、移動筒420の位置によらず変動が少なくなる。
【0044】
これにより、移動筒420の位置によって変動する弾性部材450の付勢力の影響を抑制できる。移動筒420の位置によって弾性部材450の付勢力が変動し、移動筒420を移動させるときのトルクが変動することを抑制できる。電動機432で移動筒420を駆動させる場合のトルクを抑制でき、電動機432を小型化できる。また、駆動機構430が、撮影者が手動で移動筒420を駆動させる操作ダイヤルまたは操作レバーを含む場合に、操作ダイヤルまたは操作レバーのトルクの変動を抑制でき、撮影者に違和感を与えることを抑制できる。
【0045】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0046】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0047】
100 撮像装置
102 撮像部
110 撮像制御部
120 イメージセンサ
150 レンズ制御部
152 レンズ駆動部
154 レンズ
170 メモリ
180 表示部
182 操作部
200 レンズ部
400 ファインダ装置
410 固定筒
412 ガイド軸部
420 移動筒
422 接眼レンズ
424 軸受け部
426 バネ受け部
430 駆動機構
432 電動機
434 ネジ軸部
436 ギア部
438 ナット部
440 表示部
450 弾性部材
460 磁気ユニット
462 磁石
464 金属プレート
470 接眼枠
【手続補正書】
【提出日】2021-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ系を保持する移動筒と、
光軸に沿ったガイド軸部と、
前記移動筒を前記ガイド軸部に沿って移動可能に保持する固定筒と、
前記移動筒を前記ガイド軸部に沿って駆動させる駆動機構と、
前記移動筒が前記固定筒に対して第1位置にあるとき第1付勢力で前記移動筒を前記ガイド軸部の第1方向へ付勢し、前記移動筒が前記固定筒に対して第2位置にあるとき前記第1付勢力より大きい第2付勢力で前記移動筒を前記ガイド軸部の前記第1方向へ付勢する弾性部材と、
前記移動筒が前記固定筒に対して前記第2位置にあるとき前記第2付勢力を弱める方向に前記移動筒を吸引する磁気吸引力を発生させる磁気ユニットと
を備え、
前記磁気ユニットは、
前記移動筒に保持される磁石と、
前記固定筒に保持される強磁性体とを有する、レンズ装置。
【請求項2】
前記磁気ユニットは、前記移動筒が前記固定筒に対して前記第1位置にあるとき、前記移動筒に対して第1磁気吸引力を発生させ、前記移動筒が前記固定筒に対して前記第2位置にあるとき、前記移動筒に対して前記第1磁気吸引力より大きい第2磁気吸引力を発生させる、請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、
前記固定筒に支持される電動機と、
前記ガイド軸部に沿って配置され、前記電動機からの動力を受けて回転するネジ軸部と、
前記移動筒に支持され、前記ネジ軸部に螺合するナット部と
を有し、
前記ネジ軸部が第1回転方向に回転すると前記ナット部が前記ネジ軸部を介して前記第1方向と反対の第2方向へ移動するとともに前記移動筒が前記第2方向へ移動し、前記弾性部材が前記移動筒に設けられた受け部により押されることで収縮し、
前記ネジ軸部が前記第1回転方向と反対の第2回転方向に回転すると前記ネジ軸部を介して前記第1方向へ移動するとともに、前記弾性部材により前記受け部を介して前記移動筒が前記第1方向へ付勢されながら、前記移動筒が前記第1方向へ移動する、請求項1または2に記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記駆動機構は、
前記ネジ軸部の一端に設けられ、前記電動機の動力を伝達するギア部をさらに有し、
前記磁石は、前記ネジ軸部の他端に対向する位置で前記移動筒に固定される、請求項3に記載のレンズ装置。
【請求項5】
前記強磁性体は、金属プレートであり、
前記移動筒が前記固定筒に対して前記第1位置にあるときの前記金属プレートと前記磁石との間の距離が、前記移動筒が前記固定筒に対して前記第2位置にあるときの前記金属プレートと前記磁石との間の距離より長くなる位置で、前記金属プレートは、前記固定筒に固定される、請求項4に記載のレンズ装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1つに記載のレンズ装置と、
イメージセンサで撮像される画像を表示する表示ユニットと、
前記表示ユニットの表示面側に配置される枠と、
前記枠と前記表示ユニットとの間に配置され、接眼レンズである前記レンズ系とを備えるファインダ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のファインダ装置と、
前記イメージセンサと
を備える撮像装置。