(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037633
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池検査装置およびリチウムイオン電池検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/11 20060101AFI20220302BHJP
G01N 29/48 20060101ALI20220302BHJP
G01N 29/06 20060101ALI20220302BHJP
G01N 29/38 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
G01N29/11
G01N29/48
G01N29/06
G01N29/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141865
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】591041417
【氏名又は名称】ジャパンプローブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】桐生 啓二
(72)【発明者】
【氏名】野地 正明
(72)【発明者】
【氏名】柘植 延啓
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄介
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AC10
2G047BA03
2G047BB01
2G047BB06
2G047BC03
2G047BC12
2G047DA03
2G047EA10
2G047GA14
2G047GE02
2G047GF10
2G047GG01
2G047GG09
2G047GG10
2G047GG12
2G047GG17
2G047GG28
2G047GG30
2G047GG46
2G047GH09
(57)【要約】
【課題】内部に生じている空気、ガスや異物の深さ方向の位置を正確に検出すること。
【解決手段】所定の振幅の送信信号を発信する信号発生部21と、送信信号の振幅を含む条件を設定する検査条件設定部34と、送信信号を振動子で超音波に変換し、水中の被検体となるリチウムイオン電池に向けて発振し、リチウムイオン電池の内外部で反射された超音波を電気信号に変換して出力する送受信超音波探触子11と、反射波信号中の信号領域を限定し、リチウムイオン電池の空気、ガスや異物の有無と空気、ガスや異物が有った場合の空気、ガスや異物の深さ方向の位置を解析する解析部31とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の振幅の送信信号を発信する信号発信部と、
前記信号発信部が発信する送信信号の振幅を含む条件を設定する条件設定部と、
前記信号発信部が発信した送信信号を振動子で超音波に変換して、水中の被検体となるリチウムイオン電池に向けて発振し、当該リチウムイオン電池の内外部で反射された超音波を前記振動子で電気信号に変換して出力する送受信超音波探触子と、
前記送受信超音波探触子で得た反射波信号中の信号領域を、前記条件設定部で設定した条件に基づいて限定し、前記リチウムイオン電池の空気、ガスや異物の有無と空気、ガスや異物が有った場合の当該空気、ガスや異物の前記リチウムイオン電池での深さ方向の位置を解析する解析部と、
を備えるリチウムイオン電池検査装置。
【請求項2】
前記解析部は、前記送受信超音波探触子から見て前記リチウムイオン電池のより遠位の奥側半分に相当する領域を含むよう反射波信号中の信号領域を限定して前記リチウムイオン電池の空気、ガスや異物の有無を解析する、
請求項1記載のリチウムイオン電池検査装置。
【請求項3】
所定の振幅の送信信号を発信する信号発信工程と、
前記信号発信工程で発信する送信信号の振幅を含む条件を設定する条件設定工程と、
前記信号発信工程で発信した送信信号を振動子で超音波に変換し、水中の被検体となるリチウムイオン電池に向けて発振し、当該リチウムイオン電池の内外部で反射された超音波を前記振動子で電気信号に変換して出力する送受信工程と、
前記送受信工程で得た反射波信号中の信号領域を、前記条件設定工程で設定した条件に基づいて限定し、前記リチウムイオン電池の空気、ガスや異物の有無と空気、ガスや異物が有った場合の当該空気、ガスや異物の前記リチウムイオン電池での深さ方向の位置を解析する解析工程と、
を有するリチウムイオン電池検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池検査装置およびリチウムイオン電池検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池の空中超音波検査で、電池内の電解液中の空気、ガスや異物などの検査を行なう技術が提案されている。
【0003】
図6は、一般的なリチウムイオン電池の空中超音波検査を説明する図である。同図では説明のために空気の記載を省略しているが、端子等の一部を除いて空中に設置、保持されたリチウムイオン電池LBに対し、空中でこのリチウムイオン電池LBを挟むよう表裏に1対の超音波探触子、すなわち送信超音波探触子P1と、受信超音波探触子P2とを同程度に離間して対向配置する。リチウムイオン電池LBは、電池本体BTを例えば金属または合成樹脂製等の包材CSで被覆、包含するようにして構成される。
【0004】
図6では、本来、電池本体BT内部の電解液中に発生する空気、ガスや異物などD2の検査を行うことを目的としている。実際の検査時において、同図では、リチウムイオン電池LBに対する送信超音波探触子P1および受信超音波探触子P2の位置を相対的に移動させることで、空気、ガスや異物D1と空気、ガスや異物D2とが検査される事例を示している。ここで空気、ガスや異物D1は、リチウムイオン電池LBの電池本体BTと包材CSの間にある、空気、ガスや異物などの存在を示している。
【0005】
送信超音波探触子P1が発した超音波が、空中でリチウムイオン電池LBを透過して受信超音波探触子P2で受信される過程で、空気、ガスや異物D1および空気、ガスや異物D2の対応した信号を検出する。しかしながら、このような単純な透過型の空中超音波検査では、受信した信号中から空気、ガスや異物D1と空気、ガスや異物D2を区別し、それぞれの空気、ガスや異物の深さを検出することが困難となる。
【0006】
特許文献1では、空中で被検体に超音波を透過させて被検体内部の空気、ガスや異物等を高い精度で検査することを目的とした空中超音波検査システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された技術を含めて、リチウムイオン電池LBのように超音波検査が必要となる2重構造を有する被検体においては、透過型の超音波検査で内部構造体(電池本体BT)のさらに内部の電解液中に生じている空気、ガスや異物と、内部構造体と外部構造体(包材CS)との間に生じている空気、ガスや異物とを区別し、それぞれの深さを特定することが困難であった。
【0009】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、内部に生じている空気、ガスや異物の深さ方向の位置を正確に検出することが可能なリチウムイオン電池検査装置およびリチウムイオン電池検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、所定の振幅の送信信号を発信する信号発信部と、前記信号発信部が発信する送信信号の振幅を含む条件を設定する条件設定部と、前記信号発信部が発信した送信信号を振動子で超音波に変換して、水中の被検体となるリチウムイオン電池に向けて発振し、当該リチウムイオン電池の内外部で反射された超音波を前記振動子で電気信号に変換して出力する送受信超音波探触子と、前記送受信超音波探触子で得た反射波信号中の信号領域を、前記条件設定部で設定した条件に基づいて限定し、前記リチウムイオン電池の空気、ガスや異物の有無と空気、ガスや異物が有った場合の当該空気、ガスや異物の前記リチウムイオン電池での深さ方向の位置を解析する解析部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、内部に生じている空気、ガスや異物の深さ方向の位置を正確に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池検査装置の機能回路構成を示すブロック図。
【
図2】同実施形態に係る送受信超音波探触子と、被検体となるリチウムイオン電池の検査領域の位置関係を示す図。
【
図3】同実施形態に係るリチウムイオン電池に対して図中左側に位置する送受信超音波探触子から検査を行う場合の各種状況とその検査結果の例を示す図。
【
図4】同実施形態に係るリチウムイオン電池に対して図中右側に位置する送受信超音波探触子から検査を行う場合の各種状況とその検査結果の例を示す図。
【
図5】同実施形態に係るリチウムイオン電池の内部に発生している空気、ガスや異物の位置関係を例示する図。
【
図6】一般的なリチウムイオン電池の超音波検査を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面を参照して本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池検査装置について説明する。
[構成]
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン電池検査装置10の概略構成を示すブロック図である。リチウムイオン電池検査装置10は、主に送受信超音波探触子11、パルス送受信器12および検査制御解析器13からなる。
【0014】
送受信超音波探触子11は、水中に設置され、パルス送受信器12から与えられる矩形波パルス信号を超音波パルスに変換し、同じ水中の被検体であるリチウムイオン電池に向けて発振し、当該リチウムイオン電池から反射された反射波パルスを受信して電気信号に変換し、パルス送受信器12へ出力する。
【0015】
パルス送受信器12内には、矩形波パルス信号を作成する信号発生部21、信号発生部21から出力された矩形波パルス信号を送受信超音波探触子11へ送信する送信部22、送受信超音波探触子11から反射波信号を受信する受信部23、受信部23が受信した反射波信号を増幅して検査制御解析器13へ出力する増幅部24が設けられている。
【0016】
検査制御解析器13は、例えば市販のパーソナルコンピュータ(PC)等で構成されるもので、解析部31、信号処理部32、表示部33、検査条件設定部34および操作部35等が設けられている。
【0017】
解析部31は、パルス送受信器12の増幅部24から出力された増幅後の反射波信号中、検査条件設定部34で指定される範囲を解析し、信号中の空気、ガスや異物に基づく波形の乱れがある場合にその位置と信号レベルに基づいてリチウムイオン電池内の空気、ガスや異物の有無を判定して、判定結果を表示部33に表示出力する。
【0018】
信号処理部32は、パルス送受信器12の増幅部24から出力された増幅後の反射波信号を検査条件設定部34での設定条件に従って高速フーリエ変換を行い、デジタルフィルタを通した信号として表示部33に表示出力する。
【0019】
したがって表示部33では、信号発生部21が出力する矩形波パルス信号、増幅部24が出力する増幅後の反射波信号、および信号処理部32が出力する周波数変換した反射波信号を、操作部35での操作により適宜必要に応じて表示出力する。
【0020】
[動作]
図2は、送受信超音波探触子11と、被検体となるリチウムイオン電池LBの検査領域の位置関係を示す図である。同図では説明のために水の記載を省略しているが、送受信超音波探触子11と、リチウムイオン電池LBはいずれも、リチウムイオン電池LBの電極部を含む一部を除いて水中に設置される。同図でリチウムイオン電池LBは、その厚さ方向を図示する平面として表している。本実施形態では、水中でリチウムイオン電池LBの表裏いずれかの面に対向するよう設置した送受信超音波探触子11により、送受信超音波探触子11から見てリチウムイオン電池LBのより遠位側となる奥側の半分を検査領域とする。
【0021】
図2(A)は、リチウムイオン電池LBに対して図中左側に位置する送受信超音波探触子11から検査を行う場合の、リチウムイオン電池LBの図中右側に位置する検査領域MR1を示している。同図(A)では、検査領域MR1内にある、電池本体BTと包材CSとの間に存在する空気、ガスや異物D11をリチウムイオン電池LBの上位側で検査している状態と、電池本体BT内の電解液の空気、ガスや異物D12をリチウムイオン電池LBの下位側で検査している状態を示す。いずれの状態においても、リチウムイオン電池LBを挟んで、図中左側の送受信超音波探触子11とは対象となる、図中右側の位置に、他の送受信超音波探触子11を同時に配設しても良いが、検査動作自体は同時には実施せず、電池の左右の送受信超音波探触子11を切り替えて2回に分けて走査する場合と、電池の左右の送受信超音波探触子11を時分割(電子切換え)による1回走査で高速に検査を行なう場合の2通りがある。
【0022】
図2(B)は、リチウムイオン電池LBに対して図中右側に位置する送受信超音波探触子11から検査を行う場合の、リチウムイオン電池LBの図中左側に位置する検査領域MR2を示している。同図(B)では、検査領域MR2内にある、電池本体BTと包材CSとの間に存在する空気、ガスや異物D13をリチウムイオン電池LBの上位側で検査している状態と、電池本体BT内の電解液の空気、ガスや異物D14をリチウムイオン電池LBの下位側で検査している状態を示す。いずれの状態においても、リチウムイオン電池LBを挟んで、図中右側の送受信超音波探触子11とは対象となる、図中左側の位置に、他の送受信超音波探触子11を同時に配設しても良いが、検査動作自体は同時には実施せず、電池の左右の送受信超音波探触子11を切り替えて2回に分けて走査する場合と、電池の左右の送受信超音波探触子11を時分割(電子切換え)による1回走査で高速に検査を行なう場合の2通りがある。
【0023】
以下、
図3乃至
図5を用いてより詳細に説明する。
図3は、リチウムイオン電池LBに対して図中左側に位置する送受信超音波探触子11から検査を行う場合の各種状況とその検査結果の例を示す図である。
【0024】
図3(A)では、検査領域MR1内にある、電池本体BTと包材CSとの間に存在する空気、ガスや異物D11をリチウムイオン電池LBの上位側で検査している「状況1」、電池本体BT内の電解液の空気、ガスや異物D12をリチウムイオン電池LBのほぼ中位で検査している「状況2」、リチウムイオン電池LBの下位側で空気、ガスや異物がない「状況3」を纏めて例示している。
【0025】
図3(B)の破線で示す部分は、「状況1」~「状況3」での各検査により送受信超音波探触子11で得られる検査領域MR1での信号波形を並べて示している。
【0026】
「状況1」では、送信信号A、包材CS表面からの反射信号Bに加えて、電池本体BTと包材CSの間に存在する空気、ガスや異物D11からの反射信号Cが検出される。
【0027】
「状況2」では、送信信号A、包材CS表面からの反射信号Bに加えて、電池本体BT内部の空気、ガスや異物D12からの反射信号Dが検出される。
【0028】
空気、ガスや異物がない「状況3」では、送信信号A、包材CS表面からの反射信号Bに加えて、包材CSの底面からの反射信号Eが検出される。
【0029】
空気、ガスや異物D11からの反射信号Cと、包材CSの底面からの反射信号Eは、ほぼ近しい位置で検出されるが、包材CSの底面からの反射信号Eは空気、ガスや異物の有無に拘わらず常時検出されるとともに、信号の振幅レベルが異なるために、空気、ガスや異物D11の検出前後の同信号波形も勘案することで、空気、ガスや異物D11の存在を正確に検出できる。
【0030】
これら検査領域MR1に存在する空気、ガスや異物に関して、リチウムイオン電池LBの図中右側から検査を行った場合、特に包材CSと電池本体BTの間にある空気、ガスや異物D11は、包材CSの表面からの反射信号Bと混在して検出が困難となる。そのため、本
図3で示した如く、検査領域MR1に対してはリチウムイオン電池LBの図中左側から検査を行うことが有効となる。
【0031】
同様に、
図4は、リチウムイオン電池LBに対して図中右側に位置する送受信超音波探触子11から検査を行う場合の各種状況とその検査結果の例を示す図である。
【0032】
図4(A)では、検査領域MR2内にある、電池本体BTと包材CSとの間に存在する空気、ガスや異物D13をリチウムイオン電池LBの上位側で検査している「状況1」、電池本体BT内の電解液の空気、ガスや異物D14をリチウムイオン電池LBのほぼ中位で検査している「状況2」、リチウムイオン電池LBの下位側で空気、ガスや異物がない「状況3」を纏めて例示している。
【0033】
図4(B)の破線で示す部分は、「状況1」~「状況3」での各検査により送受信超音波探触子11で得られる検査領域MR1での信号波形を並べて示している。
【0034】
「状況1」では、送信信号A、包材CS表面からの反射信号Bに加えて、電池本体BTと包材CSの間に存在する空気、ガスや異物D13からの反射信号Cが検出される。
【0035】
「状況2」では、送信信号A、包材CS表面からの反射信号Bに加えて、電池本体BT内部の空気、ガスや異物D14からの反射信号Dが検出される。
【0036】
空気、ガスや異物がない「状況3」では、送信信号A、包材CS表面からの反射信号Bに加えて、包材CSの底面からの反射信号Eが検出される。
【0037】
空気、ガスや異物D13からの反射信号Cと、包材CSの底面からの反射信号Eは、ほぼ近しい位置で検出されるが、包材CSの底面からの反射信号Eは空気、ガスや異物の有無に拘わらず常時検出されるとともに、信号の振幅レベルが異なるために、空気、ガスや異物D13の検出前後の同信号波形も勘案することで、空気、ガスや異物D13の存在を正確に検出できる。
【0038】
これら検査領域MR2に存在する空気、ガスや異物に関して、リチウムイオン電池LBの図中左側から検査を行った場合、特に包材CSと電池本体BTの間にある空気、ガスや異物D13は、包材CSの表面からの反射信号Bと混在して検出が困難となる。そのため、本
図4で示した如く、検査領域MR2に対してはリチウムイオン電池LBの図中右側から検査を行うことが有効となる。
【0039】
このように、リチウムイオン電池LBに対して、図中の左側から検査領域MR1を検査した結果と、図中の右側から検査領域MR2を検査した結果とを組み合わせることで、リチウムイオン電池LBの内部全域で空気、ガスや異物が生じている位置を正確に検査できる。
【0040】
図5は、リチウムイオン電池LBの内部に発生している複数の空気、ガスや異物の位置関係を例示する図である。
図5(A)に示すように、検査領域MR1内の検査で電池本体BTと包材CSとの間に空気、ガスや異物D11、電池本体BT内に空気、ガスや異物D12が検出されるとともに、検査領域MR2内の検査で電池本体BTと包材CSとの間に空気、ガスや異物D13、電池本体BT内に空気、ガスや異物D14が検出されたものとする。これら検査領域MR1、MR2で送受信超音波探触子11により得た受信信号の波形を組み合わせて解析部31で画像信号化し、表示部33で表示する。
【0041】
図5(B)は、リチウムイオン電池LB全体を3次元画像化して表示部33で表示させた場合の、各空気、ガスや異物D11~D14の位置と大きさ、形状等を例示する図である。このような3次元画像のみならず、Cスコープ表示などを表示部33で実行することにより、リチウムイオン電池LB内部の空気、ガスや異物を検査結果として視認できる。
【0042】
以上に詳述した如く本実施形態によれば、リチウムイオン電池の内部に生じている空気、ガスや異物の深さ方向の位置を正確に検出することが可能となる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、前記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0044】
10…リチウムイオン電池検査装置、
11…送受信超音波探触子、
12…パルス送受信器、
13…検査制御解析器、
21…信号発生部、
22…送信部、
23…受信部、
24…増幅部、
31…解析部、
32…信号処理部、
33…表示部、
34…検査条件設定部、
35…操作部、
BT…電池本体、
CS…包材、
D1、D2、D11~D14…空気、ガスや異物、
LB…リチウムイオン電池、
P1…送信超音波探触子、
P2…受信超音波探触子。