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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037640
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】紫外線照射システム
(51)【国際特許分類】
   B64C 39/02 20060101AFI20220302BHJP
   B64D 47/02 20060101ALI20220302BHJP
   B64F 3/02 20060101ALI20220302BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
B64C39/02
B64D47/02
B64F3/02
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141873
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】稗田 正直
(72)【発明者】
【氏名】古賀 渚紗
(72)【発明者】
【氏名】吉田 卓史
(72)【発明者】
【氏名】佐川 崇
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB06
4C058CC05
4C058KK02
(57)【要約】
【課題】汚染箇所に適切に紫外線を照射できる紫外線照射システムを提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、紫外線照射システムは、飛行体と、判断部と、制御部と、を備える。飛行体は、紫外線を照射できる照射部を備える。判断部は、紫外線を照射すべき1つ以上の照射領域の状況を示す状況データに基づいて、1つ以上の照射領域のそれぞれについて紫外線の照射に関する判断を行う。制御部は、判断部の判断結果を含む判断データに基づいて、照射部からの紫外線の照射及び飛行体の移動を制御する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を照射できる照射部を備える飛行体と;
紫外線を照射すべき1つ以上の照射領域の状況を示す状況データに基づいて、前記1つ以上の照射領域のそれぞれについて紫外線の照射に関する判断を行う判断部と;
前記判断部の判断結果を含む判断データに基づいて、前記照射部からの前記紫外線の照射及び前記飛行体の移動を制御する制御部と;
を備える、紫外線照射システム。
【請求項2】
前記飛行体が停留する基地をさらに備え、
前記飛行体が前記基地に停留した状態において、前記照射部は前記紫外線を照射できる、
請求項1に記載の紫外線照射システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記照射部からの前記紫外線の照射方向を調整可能であるとともに、前記飛行体の姿勢と前記照射部からの前記紫外線の前記照射方向とを互いに対して調整するエイミングを実行する、
請求項1又は2に記載の紫外線照射システム。
【請求項4】
前記判断データは、1つ以上の前記照射領域の中から紫外線を照射する予定の領域である照射予定領域を示す情報、及び、前記照射予定領域のそれぞれに対応する前記紫外線の照射時間を示す情報を含み、
前記制御部は、前記判断データに基づいて、前記照射予定領域に前記飛行体を移動させ、前記照射予定領域に前記飛行体が留まった状態において、対応する前記照射時間継続させて前記照射部から前記紫外線を照射させる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の紫外線照射システム。
【請求項5】
前記判断データは、1つ以上の前記照射領域の前記状況を目標状況にする前記飛行体の飛行経路及び前記紫外線の照射時間に関するシミュレーション結果を含み、
前記制御部は、前記シミュレーション結果の前記飛行経路及び前記照射時間に基づいて前記飛行体を制御する、
請求項4に記載の紫外線照射システム。
【請求項6】
前記判断データは、前記飛行体と1つ以上の前記照射領域のそれぞれとの距離を示す情報を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の紫外線照射システム。
【請求項7】
前記状況データは、1つ以上の前記照射領域のそれぞれにおける前記紫外線の照射に関する時間履歴を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の紫外線照射システム。
【請求項8】
前記状況データは、1つ以上の前記照射領域のそれぞれにおける滞在者の位置及び滞在時間に関する滞在履歴を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の紫外線照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紫外線照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
室内の床や室内の空間の細菌やウイルス等による汚染箇所を紫外線等によって処理する装置が用いられている。このような装置では、室内に多数の障害物等が配置されている場合でも、汚染箇所を適切に処理することが求められている。また、汚染箇所を処理する装置では、障害物により遮蔽される部分に対しても、十分に処理が行われることが求められている。すなわち、汚染箇所を適切に処理できることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-046592号公報
【特許文献2】特開2017-018442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、汚染箇所に紫外線を適切に照射できる紫外線照射システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、紫外線照射システムは、飛行体と、判断部と、制御部とを備える。飛行体は、紫外線を照射できる照射部を備える。判断部は、紫外線を照射すべき1つ以上の照射領域の状況を示す状況データに基づいて、1つ以上の照射領域のそれぞれについて紫外線の照射に関する判断を行う。制御部は、判断部の判断結果を含む判断データに基づいて、照射部からの紫外線の照射及び飛行体の移動を制御する。これにより、細菌やウイルス等による汚染箇所に紫外線が適切に照射される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、汚染箇所に紫外線を適切に照射できる紫外線照射システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る紫外線照射システムの使用場所の一例を示す概略図である。
図2図2は、実施形態に係る紫外線照射システムの飛行体の一例を概略的に示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る紫外線照射システムの飛行体及び基地の一例を概略的に示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る紫外線照射システムの電力系統及び制御系統を概略的に示す図である。
図5図5は、実施形態に係る紫外線照射システムにおいて実行される処理を示すフローチャートの一例である。
図6図6は、実施形態に係る紫外線照射システムにおいて実行される紫外線の照射処理を示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る紫外線照射システムにおいては、紫外線を照射対象物(例えば、細菌やウイルス等が少なくとも1つ以上付着している汚染箇所)に照射することで、照射対象物を殺菌、もしくは除菌もしくは滅菌することが可能である。また、以下の実施形態においては殺菌を例に用いて説明を行うが、「殺菌」の用語は、「滅菌」ないし「除菌」に置き換えることが可能である。
【0009】
実施形態の紫外線照射システム(400)は、飛行体(101)と、判断部(403)と、制御部(402)とを備える。飛行体(101)は、紫外線を照射できる照射部(202)を備える。判断部(403)は、紫外線を照射すべき1つ以上の照射領域の状況を示す状況データに基づいて、1つ以上の照射領域のそれぞれについて紫外線の照射に関する判断を行う。制御部(402)は、判断部(403)の判断結果を含む判断データに基づいて、照射部(202)からの紫外線の照射及び飛行体(101)の移動を制御する。これにより、例えば、細菌やウイルス等による汚染箇所に紫外線が適切に照射される。
【0010】
実施形態の紫外線照射システム(400)は、飛行体(101)が停留する基地(302)をさらに備える。飛行体(101)は基地(302)に停留した状態において、照射部(202)は紫外線を照射できる。これにより、例えば、場所(100)の空間に存在する細菌やウイルスによる汚染箇所に紫外線が適切に照射される。
【0011】
実施形態の紫外線照射システム(400)では、制御部(402)が、飛行体(101)の姿勢と照射部(202)からの紫外線の照射方向とを互いに対して調整するエイミングを実行する。これにより、例えば、飛行体(101)の姿勢が何らかの要因により乱されたとしても、照射部(202)からの紫外線の照射方向をほとんど一定に維持することができる。
【0012】
実施形態の紫外線照射システム(400)では、判断データは、1つ以上の照射領域の中から紫外線を照射する予定の領域である照射予定領域を示す情報、及び、照射予定領域のそれぞれに対応する紫外線の照射時間を示す情報を含む。制御部(402)は、判断データに基づいて、照射予定領域に飛行体(101)を移動させ、照射予定領域に飛行体(101)が留まった状態において、対応する照射時間継続させて照射部(202)から紫外線を照射させる。これにより、例えば、場所(100)において、細菌やウイルス等による汚染箇所に紫外線がより適切に照射される。
【0013】
実施形態の紫外線照射システム(400)では、判断データは、飛行体(101)と1つ以上の照射領域のそれぞれとの距離を示す情報を含む。これにより、飛行体(101)と照射領域のそれぞれとの距離に応じて、紫外線の照射時間が適切に調整される。そのため、例えば、場所(100)において、細菌やウイルス等による汚染箇所に紫外線がより速やかに照射される。
【0014】
実施形態の紫外線照射システム(400)では、判断データは、1つ以上の照射領域の状況を目標状況にする飛行体(101)の飛行経路及び紫外線の照射時間に関するシミュレーション結果を含む。制御部(402)は、シミュレーション結果の飛行経路及び照射時間に基づいて飛行体を制御する。これにより、飛行体(101)の飛行経路及び紫外線の照射時間を最適化することができる。そのため、例えば、場所(100)において、細菌やウイルス等による汚染箇所に紫外線がより一層速やかに照射される。
【0015】
実施形態の紫外線照射システム(400)では、状況データは、1つ以上の照射領域のそれぞれにおける紫外線の照射に関する時間履歴を含む。これにより、例えば、判断部(403)は、照射予定領域をより適切に判断することができる。
【0016】
実施形態の紫外線照射システム(400)では、状況データは、1つ以上の照射領域のそれぞれにおける滞在者の位置及び滞在時間に関する滞在履歴を含む。これにより、例えば、判断部(403)は、照射予定領域をより適切に判断することができる。
【0017】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、実施形態に係る紫外線照射システムの使用状態を示す概略図である。図1に示すように、実施形態に係る紫外線照射システムは、例えば、場所100において使用される。場所100としては、これらに限定されるものではないが、例えば、オフィス環境、カフェ、貸会議室、ファミリーレストラン、貸スペース及び屋内スペースなどが挙げられる。図1では、場所100の一例として、オフィス環境を示している。
【0019】
場所100では、例えば、場所100の利用者がドア104を通って出入りすることや、場所100に設置されたテーブル105を利用して作業を行うことがある。この場合、場所100の利用者は、ドア104の開閉のためにドア104に触れる。また、場所100の利用者は、テーブル105での作業中にテーブル105に触れる。場所100の利用者が触れた箇所には、利用者に付着していた細菌やウイルス等が付着し、場所100の利用者が触れた箇所が、細菌やウイルス等により汚染されることがある。このような汚染箇所は、適切かつ速やかに殺菌されることが好ましい。なお、細菌やウイルス等が1つ以上付着した箇所を汚染箇所としてもよいし、細菌やウイルス等が単位面積あたりに規定数量以上付着した箇所を汚染箇所としてもよい。
【0020】
ある一例では、図1に示すように、飛行体101が基地102から移動し、紫外線(UV)を照射して汚染箇所103を殺菌する。飛行体101による汚染箇所103の殺菌処理は、場所100に利用者がいない状態において実行される。汚染箇所103が、紫外線を照射すべき照射領域である。汚染箇所103への紫外線の照射による殺菌の程度は、一般に紫外線強度(mJ/cm)によって規定される。紫外線強度(mJ/cm)は、紫外線照度(mW/cm)及び紫外線照射時間(s)によって変化する。紫外線照度は、汚染箇所103と光源との距離の2乗に反比例する。紫外線強度は、紫外線照度に紫外線照射時間を掛けた値(紫外線照度×紫外線照射時間)である。すなわち、紫外線強度は、紫外線照度に比例するとともに、紫外線照射時間に比例する。本実施形態では、汚染箇所103において所定の紫外線強度となるように、汚染箇所103に対して紫外線を照射する。また、図1の例のように、汚染箇所103が複数存在する場合には、飛行体101は場所100の中を移動し、汚染箇所103のそれぞれに紫外線を照射する。このように、本実施形態に係る紫外線照射システムでは、場所100の汚染箇所103に紫外線を適切に照射できる。これにより、例えば、汚染箇所103が、適切かつ速やかに殺菌される。
【0021】
図2は、実施形態に係る紫外線照射システムの飛行体の一例を示す。本実施形態では、図2の一例に示すように、飛行体101はマルチコプター(ドローン)であるが、これに限るものではない。飛行体101は、飛行体101の飛行方向を調整できる飛行体であればよい。飛行体101としては、例えば、小型の航空機が挙げられる。小型の航空機としては、ラジコン飛行機、ラジコンヘリコプター、ラジコン飛行船等が挙げられる。また、小型の航空機は、風船とプロペラとの組付け体等であってもよい。
【0022】
本実施形態では、飛行体101は、筐体201、照射部202、ローター203、駆動部204、光源部205、検知部206を備える。筐体201には複数のローター203が設けられ、飛行体101は、ローター203をバランスよく回転させることで飛行する。本実施形態の飛行体101は、筐体201に複数のローター203が収納されている。すなわち、複数のローター203はインナーファンである。これにより、飛行体101が場所100を飛行する際に、場所100の利用者等とローター203との接触を抑制できる。
【0023】
照射部202は、光源部205、検知部206、図示しない電源部を備える。光源部205の光源は、非LED(Light Emitting Diode)のランプ(例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光形紫外線ランプ、エキシマランプ等)であってもよく、LEDであってもよい。光源部205の光源は、例えば、UV-LEDを用いた発光基板である。少なくとも波長が380nm以下の紫外線が、光源部205から照射される。本実施形態の紫外線は、人体への影響が少ない例えば222nmを主波長とする紫外線を用いてもよく、222nmを主波長とするとともに230nm以上の波長がカットされた人体への影響がより少ない紫外線を用いてもよい。また、紫外線のみが光源部205から照射されても良いし、紫外線とともに波長が380nmより大きい可視光が光源部205から照射されても良い。そして、光源部205の光源が点灯されることにより、飛行体101は対象物を照らすこと(ライティング)ができる。光源部205の光源は、重量が軽いものが好ましい。光源部205の光源としてLEDを用いる場合、電源部(点灯回路)を簡略化できる。検知部206は、例えば、カメラやセンサである。カメラとしては、例えばAIセンシングカメラが挙げられる。センサとしては、例えば、人感センサ、温度センサ、位置情報検知センサ等が挙げられる。ある一例では、検知部206は、場所100の利用者が触れた箇所を検知する。
【0024】
照射部202は、筐体201と回動可能に接続される。照射部202は、駆動部204により駆動されることで、筐体201と照射部202との成す角度を調整することができる。駆動部204は、例えば、モーターである。飛行体101では、駆動部204の駆動によって照射部202を回動させることにより、光源部205の光の照射方向を調整する。また、飛行体101の姿勢に対応させて、光源部205からの光の照射方向を調整可能である。また駆動部204は、モーターを搭載しておらず、人が触れる(動作させる)ことで照射方向が調整される構成であってもよい。
【0025】
なお、光源部205の光の照射方向は、照射部202を回動させることなく、変更できてもよい。この場合、光源部205には、例えば、光の照射方向を変更可能なルーバーが設けられる。また、検知部206は、筐体201に取り付けられていてもよく、飛行体101とは別に設けられてもよい。検知部206が飛行体101とは別に設けられる場合、検知部206は、場所100に設けられる。ある一例では、検知部206は、鉛直方向について場所100の上側の部位(例えば、場所100の天井など)に配置される。
【0026】
図3は、実施形態に係る紫外線照射システムの飛行体及び基地の一例を示す。飛行体101は、コネクタ301により基地302に接続する。基地302は、例えば、ドローンステーションである。基地302は図示しない外部電源から給電されているため、飛行体101は、コネクタ301が基地302のコネクタ303に電気的に接続されることにより充電可能である。また、飛行体101は、コネクタ301が基地302と係合することにより、基地302に停留可能である。飛行体101は、基地302に停留した状態において、照射部202の光源部205の光源を点灯可能である。基地302は、鉛直方向について場所100の上側に配置されることが好ましい。
【0027】
図1の一例に示すように、ある一例では、基地302が場所100の天井に配置される。このような基地302に飛行体101が停留することで、例えば、飛行体101は場所100の照明となる。照射部202の光源がUVライトである場合、基地302に飛行体101が停留することで、飛行体101はUV照明装置(UVライティング)として稼働する。これにより、飛行体101は、場所100の空間全体を照らすことができる。
【0028】
図4は、実施形態に係る紫外線照射システム400の電力系統及び制御系統を概略的に示す。紫外線照射システム400は、場所100の汚染箇所103への紫外線照射を実行する。紫外線照射システム400は、飛行体101、基地302及び管理装置401を備える。飛行体101、基地302及び管理装置401は、紫外線照射システム400の機能を実行する。管理装置401は、飛行体101及び基地302と通信可能である。なお、紫外線照射システム400のすべての機能が、飛行体101、基地302及び管理装置401で実行されなくてもよい。すなわち、紫外線照射システム400の一部の機能が、飛行体101、基地302及び管理装置401の少なくとも1つで実行されてもよい。
【0029】
管理装置401は、例えば、コンピュータ、スマートデバイスであってもよい。この場合、管理装置401は、プロセッサ及び記憶媒体を備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及び、DSP(Digital Signal processor)等のいずれかを含む。記憶媒体には、メモリ等の主記憶装置に加え、補助記憶装置が含まれ得る。記憶媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、及び、半導体メモリ(USBメモリ、SSD等)等が挙げられる。
【0030】
管理装置401では、プロセッサ及び記憶媒体のそれぞれは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。管理装置401では、プロセッサは、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を行う。また、管理装置401では、プロセッサによって実行されるプログラムが、ネットワークを介して接続された情報処理装置に格納されてもよい。ネットワークとしては、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、移動体通信網、Bluetooth(登録商標)などが挙げられる。また、情報処理装置としては、コンピュータ、サーバ、クラウド環境のサーバ等が挙げられる。この場合、プロセッサは、ネットワーク経由でプログラムをダウンロードする。飛行体101及び基地302も、管理装置401と同様に、プロセッサ及び記憶媒体を備え、プロセッサ及び記憶媒体のそれぞれは、管理装置401と同様にして構成される。
【0031】
管理装置401には、ユーザインタフェース412が設けられてもよい。ユーザインタフェース412では、使用者によって各種の操作等が入力されるとともに、使用者に告知する情報等が表示等によって告知される。ある一例では、ユーザインタフェース412は、ディスプレイ、タッチパネルを含む。また、飛行体101及び基地302に、ユーザインタフェースが設けられてもよい。また、ある一例では、ユーザインタフェース412は、タッチパネル又はディスプレイであり、管理装置401とは別体に設けられていても良い。
【0032】
飛行体101は、照射部202、検知部206、制御部402、判断部403、送受信部404、記憶部405、姿勢調整機構406及び照射部調整機構407を備える。制御部402、判断部403、送受信部404は、飛行体101のプロセッサ等によって行われる処理の一部を実施し、飛行体101の記憶媒体が、記憶部405として機能する。基地302は、基地制御部408及び検知部416を備える。基地制御部408及び検知部416は、基地302のプロセッサ等によって行われる処理の一部を実施する。
【0033】
管理装置401は、管理部409、シミュレーション環境部410及び記憶部411を備える。ある一例では、管理装置401は、飛行体101及び基地302のそれぞれとネットワークを介して通信可能なサーバである。本実施形態では、管理装置401の管理部409が、飛行体101の送受信部404と通信可能であるとともに、基地302の基地制御部408と通信可能である。管理部409及びシミュレーション環境部410は、管理装置401のプロセッサ等によって行われる処理の一部を実施し、管理装置401の記憶媒体が、記憶部411として機能する。また、管理装置401は、飛行体101の制御部402及び/又は基地302の基地制御部408を、セカンダリー(スレーブ)の制御装置として用いることにより、飛行体101及び/又は基地302を制御できる。
【0034】
別のある一例では、管理装置401は、クラウド環境に構築されるクラウドサーバである。この場合、クラウド環境のインフラは、仮想CPU等の仮想プロセッサ及びクラウドメモリによって、構成される。仮想プロセッサによって実行される処理の一部を、管理部409及びシミュレーション環境部410が実行する。そして、クラウドメモリが、記憶部411として機能する。なお、記憶部411は、例えば、管理装置401とは別の処理装置に設けられてもよい。ある一例では、別の処理装置は、管理装置401とは別のコンピュータ等である。この場合、管理装置401は、記憶部411等が設けられるコンピュータに、ネットワークを介して接続される。また、飛行体101の記憶部405は、管理装置401に設けられていてもよく、別の処理装置に設けられていてもよい。
【0035】
飛行体101は、変換回路413及び電池414を備える。変換回路413は、電池414からの電力の出力、及び、電池414への電力の入力を切替えるリレー回路を備える。変換回路413は、電池414からの直流電力を照射部202等に供給される電力に変換する。変換回路は、変圧回路(DC/DC変換回路)、DC/AC変換回路、及び、AC/DC変換回路等を含むことができる。なお、図4には図示していないが、電池414又は変換回路413は、検知部206、制御部402、判断部403、送受信部404、記憶部405、姿勢調整機構406及び照射部調整機構407と電気的に接続されている。基地302も、飛行体101と同様に、変換回路415を備える。変換回路415は、外部電源と接続され、電力が給電される。
【0036】
本実施形態の紫外線照射システム400では、飛行体101の検知部206により、場所100における状況が検知される。検知部206は、制御部402に検知結果を出力する。制御部402は、検知部206から場所100の検知結果を取得する。ある一例では、検知部206の検知結果は、場所100の利用者が場所100のいずれの箇所に触れたのかを示す接触情報である。別のある一例では、検知部206の検知結果は、場所100の利用者が場所100に入ってきたことを示す入場情報である。
【0037】
制御部402は、検知部206の検知結果に基づいて、場所100の状況を示す状況データを生成する。状況データは、紫外線を照射すべき1つ以上の照射領域のそれぞれの状況を示すデータである。状況データには、場所100における1つ以上の照射領域のそれぞれの位置に関するデータ、1つ以上の照射領域のそれぞれの大きさに関するデータ、1つ以上の照射領域の個数に関するデータが含まれる。1つ以上の照射領域のそれぞれの位置に関するデータには、例えば、対応する照射領域の位置を示すGPS(Global positioning system)の測位情報に関するデータ、対応する照射領域の場所100における相対的な位置を示すデータ等が含まれる。また、状況データには、1つ以上の照射領域のそれぞれに対する飛行体101による紫外線の照射に関する時間履歴が含まれていてもよい。さらに、状況データには、1つ以上の照射領域のそれぞれにおける滞在者の位置及び滞在時間に関する滞在履歴が含まれていてもよい。
【0038】
ある一例では、制御部402は検知部206の検知結果として、前述の接触情報を受け取る。制御部402は、接触情報から場所100における利用者の接触箇所を特定し、状況データを生成する。別のある一例では、制御部402は検知部206の検知結果として、入場情報を受け取る。制御部402は、入場情報から場所100における利用者の入場箇所を特定し、状況データを生成する。
【0039】
判断部403は、状況データに基づいて、照射領域のそれぞれについて紫外線の照射に関する判断を実行する。判断部403は、状況データに基づいて照射領域を判断し、判断データを生成する。判断データは、状況データに基づいた判断部403の判断結果を含むデータである。判断データは、1つ以上の照射領域の中から紫外線を照射する予定の領域である照射予定領域を示す情報、及び、1つ以上の照射予定領域のそれぞれに対応する紫外線の照射時間を示す情報を含む。照射予定領域を示す情報には、例えば、照射予定領域の位置を示すGPSの測位情報に関する情報、照射予定領域の場所100における相対的な位置を示す情報等が含まれる。また、判断データは、飛行体101と1つ以上の照射領域のそれぞれとの距離を示す情報が含んでいてもよい。
【0040】
判断データに飛行体101と1つ以上の照射領域のそれぞれとの距離を示す情報が含まれている場合、制御部402は、照射予定領域に対応する照射領域と飛行体101との距離を示す情報に基づいて、紫外線の照射時間を演算してもよい。ある一例では、制御部402は、光源部205の光源の紫外線照度及び照射予定領域に対応する紫外線の照射時間から、照射予定領域における要求紫外線強度を算出する。制御部402は、照射予定領域と飛行体101との距離、及び、光源の紫外線強度に基づいて、照射予定領域の実効紫外線照度を算出する。制御部402は、照射予定領域における要求紫外線強度が維持されるように、実効紫外線照度に基づいて、紫外線の要求照射時間を算出する。この場合、制御部402は、飛行体101と照射予定領域との距離を前述の距離に保つように飛行体101を制御し、かつ、紫外線の要求照射時間の間、紫外線を照射予定領域に照射するように照射部202を制御する。
【0041】
ある一例では、判断部403は、ある照射領域の位置に関するデータに基づいて、当該照射領域を照射予定領域とするか否かを判断する。この例では、場所100において、ある照射領域が場所100の出入り口に近い箇所に位置する場合、判断部403は、当該照射領域を照射予定領域とする。場所100において、ある照射領域が場所100の出入り口から遠い箇所に位置する場合、判断部403は当該照射領域を照射予定領域としない。
【0042】
状況データが、1つ以上の照射領域のそれぞれに対する飛行体101による紫外線の照射に関する時間履歴のデータを含む場合、判断部403は、照射予定領域に対する飛行体101による紫外線の照射に関する時間履歴のデータに基づいて、照射予定領域を示す情報を生成してもよい。ある一例では、判断部403は、照射領域のそれぞれに対する飛行体101による最後の照射時刻からリアルタイムの時刻までの間の時間間隔に基づいて、照射領域のそれぞれを照射予定領域とするか否かを判断する。ある照射領域における前述の時間間隔が所定値以上である場合、判断部403は、当該照射領域を照射予定領域とする。ある照射領域における前述の時間間隔が所定値未満である場合、判断部403は、当該照射領域を照射予定領域としない。
【0043】
状況データが、1つ以上の照射領域のそれぞれにおける滞在者の位置及び滞在時間に関する滞在履歴を含む場合、判断部403は、照射予定領域における滞在履歴に基づいて、照射予定領域を示す情報を生成してもよい。ある一例では、判断部403は、照射領域のそれぞれにおける滞在者の存在の有無に基づいて、照射領域のそれぞれを照射予定領域とするか否かを判断する。ある照射領域に滞在者が存在した場合、判断部403は、当該照射領域を照射予定領域とする。ある照射領域に滞在者が存在しなかった場合、判断部403は、当該照射領域を照射予定領域としない。別のある一例では、判断部403は、照射領域のそれぞれにおける滞在者の存在時間に基づいて、照射領域のそれぞれを照射予定領域とするか否かを判断する。ある照射領域における滞在者の存在時間が所定値以上である場合、判断部403は、当該照射領域を照射予定領域とする。ある照射領域における滞在者の存在時間が所定値未満である場合、判断部403は、当該照射領域を照射予定領域としない。さらに別のある一例では、判断部403は、前述の滞在者の滞在時間に基づいて、照射予定領域の紫外線の照射時間を調整してもよい。ある照射領域における滞在者の存在時間が所定値以上である場合、判断部403は、当該照射予定領域の紫外線の照射時間を延長する。ある照射領域における滞在者の存在時間が所定値未満である場合、判断部403は、当該照射予定領域の紫外線の照射時間を短縮するか、又は、変更しない。
【0044】
記憶部405は、状況データ及び判断データを記憶する。制御部402は、状況データを記憶部405に書き込むとともに、記憶部405から状況データを読み出す。判断部403は、判断データを記憶部405に書き込むとともに、記憶部405から判断データを読み出す。なお、状況データは、記憶部405に記憶されなくてもよい。この場合、制御部402で状況データが生成された後、状況データを記憶部405に書き込むことなく、状況データを用いた判断部403による処理が実行される。また、記憶部405が飛行体101に設けられていない場合、状況データ及び判断データは管理装置401の記憶部411に記憶される。
【0045】
制御部402は、判断データに基づいて、飛行体101の飛行を制御する。また、制御部402は、判断データに基づいて、飛行体101の照射部202を制御する。場所100の汚染箇所103に紫外線を照射する場合、制御部402は、判断データに含まれる照射予定領域を示す情報に基づいて、飛行体101をある照射予定領域に誘導する。飛行体101が照射予定領域に到達すると、制御部402は飛行体101の飛行を制御して、照射予定領域に飛行体101を留める。制御部402は、照射予定領域に対応する紫外線の照射時間を示す情報に基づいて、照射部202を制御する。これにより、照射部202は、前述の照射時間の間、紫外線を照射予定領域に照射する。制御部402は、照射予定領域への紫外線の照射が完了すると、照射予定領域を示す情報に含まれる他の照射予定領域に飛行体101を誘導する。制御部402は、前述と同様にして他の照射予定領域に紫外線を照射する。制御部402は、これらの処理を繰り返すことで、すべての照射予定領域のそれぞれに、対応する照射時間の間紫外線を照射する。制御部402は、すべての照射予定領域への紫外線照射が完了した後、飛行体101を制御して、飛行体101を基地102に停留させる。
【0046】
制御部402は、電池414の状態を示す情報を電池414から取得する。電池414の状態を示す情報は、電池414の残容量値を含む。制御部402は、電池414の残容量値と予め設定された所定値とを比較する。電池414の残容量値が所定値未満である場合、制御部402は、飛行体101の飛行を制御して、飛行体101を基地302に誘導する。制御部402は、飛行体101の飛行を制御して、飛行体101を基地302に接続させる。これにより、飛行体101のコネクタ301と、基地302のコネクタ303とが電気的に接続される。基地302の検知部416は、飛行体101のコネクタ301と基地302のコネクタ303との電気的な接続を検知する。基地制御部408は、検知部416での検知結果に基づいて、飛行体101のコネクタ301と基地302のコネクタ303とが電気的に接続されたか否かを判断する。コネクタ301とコネクタ303とが電気的に接続されたと判断したことに基づいて、基地制御部408は、飛行体101の制御部402と協働して変換回路413,415の動作を制御する等して、外部電源から飛行体101への電力供給を開始させる。これにより、電池414が充電される。
【0047】
なお、飛行体101の電池414の所定値は、飛行体101のユーザインタフェースを介して設定されてもよい。また、飛行体101の電池414の所定値は、管理装置401のユーザインタフェース412を介して設定されてもよい。この場合、管理装置401は、管理部409から飛行体101の送受信部404に制御指令を送信し、制御指令に基づいて制御部402が電池の所定値を設定する。
【0048】
姿勢調整機構406は、制御部402により制御されることにより、飛行体101の姿勢を調整する。本実施形態では、姿勢調整機構406は、飛行体101のローター203を駆動させる駆動部材を含み、制御部402は、ローター203の駆動部材の駆動等を制御することにより、飛行体101の姿勢を調整する。照射部調整機構407は、制御部402により制御されることにより、照射部202からの光の照射方向を変更する。ある一例では、照射部調整機構407は、前述の駆動部204を含み、制御部402は、駆動部204を制御することにより、照射部202の向く方向を変更する。これにより、光源部205の光源の光の照射方向が変更される。別のある一例では、照射部調整機構407は、光源部205に設けられるルーバーを含み、制御部402は、ルーバーを制御することにより、光源部205の光源の光の照射方向を変更する。
【0049】
制御部402は、姿勢調整機構406及び照射部調整機構407の両方を互いに対応させて制御することにより、飛行体101の姿勢と照射部202からの光の照射方向とを互いに対して調整するエイミングを実行可能である。すなわち、制御部402は、姿勢調整機構406及び照射部調整機構407を制御することで、飛行体101の姿勢及び照射部202の位置を互いに対して調整し、照射部202からの光の照射方向を特定の方向に向け続けることができる。
【0050】
管理装置401は、シミュレーション環境部410を備えていてもよい。シミュレーション環境部410は、飛行体101の飛行経路及び紫外線の照射時間に関する最適化シミュレーションを、管理装置401において実行可能にする。飛行経路とは、飛行体101が、1つ以上の照射領域の間を移動する経路のことである。最適化シミュレーションでは、1つ以上の照射領域のすべての状態を目標状態とすることを拘束条件として、飛行体101の飛行経路及び照射時間の両方を最適化する。この最適化の処理には、AIが用いられてもよい。ここで目標状態とは、場所100の汚染箇所103に対して紫外線を照射することにより、汚染箇所103のすべてが目標とする値以上処理された状態のことである。目標とする値は、例えば、汚染箇所103におけるウイルス等の減少率である。ある一例では、目標状態は、汚染箇所103のすべてにおけるウイルス等の減少率が99.9%以上となった状態である。
【0051】
シミュレーション環境部410は、状況データに基づいて前述の最適化シミュレーションを実行する。これにより、シミュレーション環境部410は、状況データに含まれる1つ以上の照射領域のすべての状態を目標状態にする、飛行体101の最適な飛行経路及び最適な照射時間を、シミュレーション結果として算出する。制御部402は、シミュレーション結果を判断データとして、管理部409及び送受信部404を経由して取得する。制御部402は、シミュレーション結果の飛行経路及び照射時間に基づいて、飛行体101及び照射部202の制御を実行する。なお、シミュレーション環境部410は、管理部409を経由せずに、飛行体101の送受信部404にシミュレーション結果を送信してもよい。
【0052】
前述のような紫外線照射システム400では、図5に示す処理を実行する。図5に示す処理は、例えば、紫外線照射システム400が使用されるたびに実行される。図5に示す処理では、判断部403は、状況データを取得する(S501)。判断部403は、状況データに基づいて前述のような判断を実行する(S502)。制御部402は、S502での判断結果を含む判断データを取得する(S503)。そして、制御部402は、判断データに基づいて照射部202及び飛行体101を制御し、照射予定領域に紫外線を照射する(S504)。
【0053】
図6は、照射予定領域に紫外線を照射する処理を示す。制御部402は、判断データに含まれる最初の照射予定領域を取得する(S601)。制御部402は、照射予定領域に対応する照射時間データを取得する(S602)。制御部402は、飛行体101を制御して、飛行体101を照射予定領域へ移動させる(S603)。飛行体101が照射予定領域に移動した後、制御部402は、照射部202を制御して、照射予定領域に対して紫外線の照射を開始する(S604)。制御部402は、照射時間データに基づいて照射が所定時間行われたか否かを判断する(S605)。所定時間経過していない場合(S605-No)、処理はS605に戻り、S605以降の処理が順次実行される。所定時間経過した場合(S605-Yes)、制御部402は、照射部202を制御して、紫外線の照射を停止させる(S606)。制御部402は、照射予定領域のすべてに対して紫外線の照射が完了したか否かを判断する(S607)。照射予定領域の全てに対して紫外線の照射が完了していない場合(S607-No)、制御部402は、次の照射予定領域を取得する(S608)。この場合、処理はS602に戻り、S602以降の処理が順次実行される。照射領域の全てに対して紫外線の照射が完了している場合(S607-Yes)、紫外線の照射処理が終了する。
【0054】
なお、所定時間経過した場合(S605-Yes)、制御部402は、照射部202からの紫外線の照射を停止させなくてもよい。この場合、制御部402は、S606の処理をせずにS607に進み、S607以降の処理が順次実行される。すなわち、照射部202からの紫外線の照射が継続されたまま、制御部402は、S607以降の処理を順次実行する。
【0055】
前述のように、本実施形態では、飛行体101は、紫外線を照射できる照射部202を備える。判断部403は、状況データに基づいて、1つ以上の照射領域のそれぞれについて紫外線の照射に関する判断を行う。制御部402は、判断データに基づいて、照射部202からの紫外線の照射及び飛行体101の移動を制御する。これにより、細菌やウイルス等による汚染箇所に紫外線が適切に照射される。
【0056】
本実施形態では、飛行体101が基地302に停留した状態において、照射部202が紫外線を照射できてもよい。これにより、例えば、場所100の空間に存在する細菌やウイルスによる汚染箇所に紫外線が適切に照射される。
【0057】
本実施形態では、制御部402が、飛行体101の姿勢と照射部202からの紫外線の照射方向とを互いに対して調整するエイミングを実行してもよい。これにより、飛行体101の姿勢が何らかの要因により乱されたとしても、照射部202からの紫外線の照射方向をほとんど一定に維持することができる。
【0058】
本実施形態では、判断データは、1つ以上の照射領域の中から紫外線を照射する予定の領域である照射予定領域を示す情報、及び、照射予定領域のそれぞれに対応する紫外線の照射時間を示す情報を含んでもよい。制御部402は、判断データに基づいて、照射予定領域に飛行体101を移動させ、照射予定領域に飛行体101が留まった状態において、対応する照射時間継続させて照射部202から紫外線を照射させてもよい。これにより、場所100において、細菌やウイルス等による汚染箇所に紫外線がより適切に照射される。
【0059】
本実施形態では、判断データは、飛行体101と1つ以上の照射領域のそれぞれとの距離を示す情報を含んでもよい。これにより、飛行体101と照射領域のそれぞれとの距離に応じて、紫外線の照射時間が適切に調整される。そのため、場所100において、細菌やウイルス等による汚染箇所に紫外線がより速やかに照射される。
【0060】
本実施形態では、判断データは、1つ以上の照射領域の状況を目標状況にする飛行体101の飛行経路及び紫外線の照射時間に関するシミュレーション結果を含んでもよい。制御部402は、シミュレーション結果の飛行経路及び照射時間に基づいて飛行体101を制御してもよい。これにより、飛行体101の飛行経路及び紫外線の照射時間を最適化することができる。そのため、場所100において、細菌やウイルス等による汚染箇所に紫外線がより一層速やかに照射される。
【0061】
本実施形態では、状況データは、1つ以上の照射領域のそれぞれにおける紫外線の照射に関する時間履歴を含んでいてもよい。また、本実施形態では、状況データは、1つ以上の照射領域のそれぞれにおける滞在者の移動及び滞在時間に関する滞在履歴を含んでいてもよい。これにより、判断部403は、照射予定領域をより適切に判断することができる。
【0062】
(変形例)
ある変形例では、図1に示すように、場所100に複数の基地102が設けられている場合、飛行体101が場所100のいずれの位置に存在するかによって、飛行体101が戻る基地102が異なっていてもよい。ある一例では、飛行体101がドア104の近くに存在する場合、飛行体101は基地102Aに戻る。別のある一例では、飛行体101がテーブル105の近くに存在する場合、飛行体101は基地102Bに戻る。これにより、本変形例では、飛行体101が効率よく基地102に戻ることができる。また、本変形例においても、紫外線照射システム400では前述と同様の処理が実行されるため、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0063】
ある変形例では、制御部402は、検知部206の検知結果に基づいて、場所100に利用者が存在するか否かを判断してもよい。場所100に利用者が存在する場合、制御部402は、検知部206の検知結果に基づいて、飛行体101の飛行を制御することで飛行体101を利用者から離れた位置に待機させてもよく、基地102に飛行体101を停留させてもよい。場所100に利用者がいない場合、制御部402は、飛行体101及び照射部202を制御することで、汚染箇所103に対して紫外線の照射を実行する。これにより、本変形例では、場所100の利用者との接触を抑制しながら、汚染箇所に紫外線が適切に照射される。また、本変形例においても、紫外線照射システム400では前述と同様の処理が実行されるため、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0064】
これら少なくとも一つの実施形態によれば、実施形態の紫外線照射システムは、飛行体と、判断部と、制御部とを備える。飛行体は、紫外線を照射できる照射部を備える。判断部は、紫外線を照射すべき1つ以上の照射領域の状況を示す状況データに基づいて、1つ以上の照射領域のそれぞれについて紫外線の照射に関する判断を行う。制御部は、判断部の判断結果を含む判断データに基づいて、照射部からの紫外線の照射及び飛行体の移動を制御する。これにより、細菌やウイルス等による汚染箇所に紫外線が適切に照射される。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
101…飛行体、202…照射部、302…基地、400…紫外線照射システム、402…制御部、403…判断部、410…シミュレーション環境部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6