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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037652
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】ドアノブ操作用取付具
(51)【国際特許分類】
   E05B 1/00 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
E05B1/00 311R
E05B1/00 311M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141890
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000153867
【氏名又は名称】株式会社八木
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八木 準人
(57)【要約】
【課題】レバー型のドアノブを容易に操作してドアを容易に開くことが可能な、ドアノブ操作用取付具を提供する。
【解決手段】レバー型のドアノブ2に固定されて用いられるドアノブ操作用取付具1であって、ドアノブ2に固定される固定部4と、固定部4がドアノブ2に固定された状態で、ドアノブ2を操作するユーザの手首または手首付近の部位によって、ドアノブ2が回動する回動方向R1へ押圧される第1の押圧部5と、第1の押圧部5が回動方向R1へ押圧されることに伴い、ドアノブ2が所定位置まで回動した状態で、ユーザの手首または手首付近の部位によって、ドア3が開く方向へ押圧される第2の押圧部6とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバー型のドアノブに固定されて用いられるドアノブ操作用取付具であって、
前記ドアノブに固定される固定部と、
前記固定部が前記ドアノブに固定された状態で、前記ドアノブを操作するユーザの手首または手首付近の部位によって、前記ドアノブが回動する回動方向へ押圧される第1の押圧部と、
前記第1の押圧部が前記回動方向へ押圧されることに伴い、前記ドアノブが所定位置まで回動した状態で、ユーザの手首または手首付近の部位によって、ドアが開く方向へ押圧される第2の押圧部とを備える、ドアノブ操作用取付具。
【請求項2】
前記ドアノブ操作用取付具が前記ドアノブに固定された状態において、
前記ドアノブの回動前の状態では、前記第1の押圧部は前記ドアノブの先端に近づくにつれて前記ドアノブの軸心からの高さが高くなるように傾斜した傾斜面を有し、前記ドアノブが前記所定位置まで回動した状態では、前記第1の押圧部の前記傾斜面が水平に近づく方向に回動して、前記第1の押圧部に載置されたユーザの手首または手首付近の部位と肘との間の腕が水平に近づくような姿勢となる、請求項1に記載のドアノブ操作用取付具。
【請求項3】
前記ドアノブ操作用取付具は、
前記ドアノブ操作用取付具が前記ドアノブに固定された状態において、
前記固定部を上下に挟むように設けられた左手用操作部および右手用操作部を備え、
前記左手用操作部および前記右手用操作部の各々に、前記第1の押圧部および前記第2の押圧部が設けられている、請求項1または2に記載のドアノブ操作用取付具。
【請求項4】
前記固定部は、
周方向の一部に開放部を有し、前記開放部が開かれた状態である開状態および前記開放部が閉じられた状態である閉状態を採り得るように開閉可能に構成され、前記閉状態で前記ドアノブの周囲を包囲する環状部と、
前記環状部を前記閉状態に保持する締結部とを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のドアノブ操作用取付具。
【請求項5】
前記ドアノブ操作用取付具は、前記環状部の内側に、弾性を有するスペーサを備える、請求項4に記載のドアノブ操作用取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアノブ操作用取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウイルス感染症の拡大が問題になっている。ウイルス感染ルートの一つに、ドアノブ等を介してウイルスが手に付着し、手に付着したウイルスが口や目から体内に侵入する間接的な接触感染があるといわれている。間接的な接触感染を避けるために、たとえば、ドアノブがレバー型である場合には、ドアノブの上面に手首を押し当てて、手首を下げることでレバーを所定位置まで回動させ、次にドアノブに手首を引っ掛けてドアノブを手前側に引くことでドアを開ける、という方法がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、レバー型のドアノブを手首で操作すること、特にドアノブを手首で手前側に引く操作は面倒で難しく、このような操作でスムーズにドアを開けることは難しい。
【0004】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みて、レバー型のドアノブを容易に操作してドアを容易に開くことが可能な、ドアノブ操作用取付具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のドアノブ操作用取付具は、レバー型のドアノブに固定されて用いられるドアノブ操作用取付具であって、前記ドアノブに固定される固定部と、前記固定部が前記ドアノブに固定された状態で、前記ドアノブを操作するユーザの手首または手首付近の部位によって、前記ドアノブが回動する回動方向へ押圧される第1の押圧部と、前記第1の押圧部が前記回動方向へ押圧されることに伴い、前記ドアノブが所定位置まで回動した状態で、ユーザの手首または手首付近の部位によって、ドアが開く方向へ押圧される第2の押圧部とを備える。
【0006】
また、前記ドアノブ操作用取付具が前記ドアノブに固定された状態において、前記ドアノブの回動前の状態では、前記第1の押圧部は前記ドアノブの先端に近づくにつれて前記ドアノブの軸心からの高さが高くなるように傾斜した傾斜面を有し、前記ドアノブが前記所定位置まで回動した状態では、前記第1の押圧部の前記傾斜面が水平に近づく方向に回動して、前記第1の押圧部に載置されたユーザの手首または手首付近の部位と肘との間の腕が水平に近づくような姿勢となることが好ましい。
【0007】
また、前記ドアノブ操作用取付具は、前記ドアノブ操作用取付具が前記ドアノブに固定された状態において、前記固定部を上下に挟むように設けられた左手用操作部および右手用操作部を備え、前記左手用操作部および前記右手用操作部の各々に、前記第1の押圧部および前記第2の押圧部が設けられていることが好ましい。
【0008】
また、前記固定部は、周方向の一部に開放部を有し、前記開放部が開かれた状態である開状態および前記開放部が閉じられた状態である閉状態を採り得るように開閉可能に構成され、前記閉状態で前記ドアノブの周囲を包囲する環状部と、前記環状部を前記閉状態に保持する締結部とを含むことが好ましい。
【0009】
また、前記ドアノブ操作用取付具は、前記環状部の内側に、弾性を有するスペーサを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のドアノブ操作用取付具によれば、レバー型のドアノブを容易に操作してドアを容易に開くことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具をドアノブに取り付けた状態で斜め前方から見た状態で示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具を斜め前方から見た状態で示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具を斜め後方から見た状態で示す斜視図である。
図4図1に示されるドアノブ操作用取付具をA方向から見た矢視図である。
図5】本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具を後側から見た状態で示す図である。
図6】本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具を用いてドアノブを操作する様子を示す図であり、ドアノブを回動させる前の状態を示す図である。
図7】本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具を用いてドアノブを操作する様子を示す図であり、ドアノブを回動させた状態を示す図である。
図8】本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具をドアノブに取り付ける様子の一例を示す斜視図である。
図9】本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具をドアノブに取り付ける様子の一例を示す斜視図である。
図10】本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具をドアノブに取り付ける様子の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具を説明する。なお、以下の実施形態はあくまで一例であり、本発明のドアノブ操作用取付具は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具をドアノブに取り付けた状態で斜め前方から見た状態で示す斜視図である。
【0014】
図1に示されるように、本実施形態のドアノブ操作用取付具1は、レバー型のドアノブ2に固定されて用いられる。
【0015】
ドアノブ2は、ドア3の一面から突出している。ドアノブ2は、ドア3の一面に対して垂直をなす方向に突出する柱状の基部21と、基部21の先端から、基部21に対して直角をなす方向に延出する把持部22とを含む。基部21は、基部21の軸方向周りに所定の角度範囲で回動可能に設けられている。
【0016】
把持部22は、ユーザの操作によって回動する。ドアノブ操作用取付具1は、把持部22に着脱可能に固定される。把持部22は、ユーザの操作によって回動する前の状態(初期状態)では、把持部22の軸心方向(延在方向)Xが水平方向に沿うように位置する。初期状態では、ドア3とドア枠とを係合する図示しない空錠によって、ドア枠に対するドア3の閉状態が保持されている。そして、ユーザの操作によって把持部22が所定の位置まで回動すると、空錠が外れてドア3がドア枠に対して開くことができる。
【0017】
把持部22の形状は特に限定されず、たとえば、図1に示されるように、四角形状の断面を有し、直線的に延びる形状とすることができる。なお、把持部22は、たとえば、円形状または楕円形状など、他の断面形状を有するものであってもよい。また、把持部22は、緩やかなカーブ、たとえば緩やかなS字状のカーブを描くように延びるものであってもよい。
【0018】
以下の説明では、把持部22の軸心方向Xに対して直角をなし、かつドア3の一面と平行な方向を方向Yと称し、ドア3の一面の法線と平行な方向を方向Zと称する。軸心方向X、方向Yおよび方向Zは、互いに直交する。そして、ドアノブ操作用取付具1がドアノブ2の把持部22に固定されている状態を想定して、軸心方向X、方向Yおよび方向Zを用いて、ドアノブ操作用取付具1の構造について説明する。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具を斜め前方から見た状態で示す斜視図である。図3は、本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具を斜め後方から見た状態で示す斜視図である。図4は、図1に示されるドアノブ操作用取付具をA方向から見た矢視図である。図5は、本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具を後側から見た状態で示す図である。
【0020】
図2および図3に示されるように、ドアノブ操作用取付具1は、固定部4と、第1の押圧部5と、第2の押圧部6とを備える。固定部4と、第1の押圧部5と、第2の押圧部6とは、たとえば、合成樹脂により一体に形成される。当該合成樹脂には、たとえば、抗菌剤が配合されていることが好ましい。
【0021】
詳細には、ドアノブ操作用取付具1は、左手用操作部LH、右手用操作部RHおよび固定部4を備えている。左手用操作部LHおよび右手用操作部RHは、ドアノブ操作用取付具1がドアノブ2の把持部22に固定された状態において、固定部4を上下に挟むように設けられている。左手用操作部LHおよび右手用操作部RHの各々に、第1の押圧部5および第2の押圧部6が設けられている。
【0022】
図4に示されるように、固定部4は、ドアノブ2の把持部22に固定される部分である。固定部4は、環状部41と、延出部42と、締結部43と、スペーサ44とを含む。固定部4は、たとえば、硬質の合成樹脂により形成されている。
【0023】
環状部41は、ドアノブ2の把持部22の軸心方向Xに沿って延びる断面C字状部分である。環状部41は、周方向の一部に開放部411を有する。すなわち、環状部41の周方向における一つの箇所が不連続となっており、当該箇所が開放部411となっている。また、環状部41は、周方向の他の一部にヒンジ部414を有する。本実施形態では、ヒンジ部414の厚みは、環状部41における他の部分の厚みよりも薄くなっている。このように、環状部41の一部に薄肉部を形成することにより、当該薄肉部が屈曲可能となり、当該薄肉部がヒンジ部414として機能することができる。本実施形態では、ヒンジ部414は、環状部41の環の中心に対して開放部411とは反対側に位置している。
【0024】
環状部41は、開放部411が開かれた状態である開状態(二点鎖線で示す)および開放部411が閉じられた状態である閉状態(実線で示す)を採り得るように開閉可能に構成されている。環状部41は、閉状態でドアノブ2における把持部22の周囲を包囲する。なお、開放部411は、閉状態において、周方向の2つの端部412、413が互いに接触するような完全に閉じられた状態であってもよいし、2つの端部412、413の間に隙間を有するように概ね閉じられた状態であってもよい。
【0025】
延出部42は、環状部41の周方向の両端部412、413、すなわち環状部41の開放部411を構成する2つの端部412、413から、環状部41の径方向外側に延出する板状部分である。延出部42は、環状部41が把持部22に固定された状態において、環状部41から、ドアノブ操作用取付具1を操作するユーザ側に延出するように設けられている。環状部41の一方の端部412から延出する延出部42、および環状部41の他方の端部413から延出する延出部42は、環状部41の開放部411が閉じられた状態では、略水平方向に沿って配置され、互いに接触した状態となる。
【0026】
各延出部42は、図5に示されるように、ビス等の締結部材の脚部を挿通する挿通孔421を有する。本実施形態では、各延出部42には、ドアノブ2の把持部22の軸心方向Xに沿って並ぶ複数の挿通孔421が形成されている。各延出部42に形成されている挿通孔421の数は、特に限定されないが、たとえば2つである。
【0027】
図4および図5に示されるように、締結部43は、環状部41を閉状態に保持する。締結部43は、たとえば、ビス431およびナット432により構成される。一方の延出部42の挿通孔421と、他方の延出部42の挿通孔421とを位置合わせした状態で、両方の挿通孔421にビス431の脚部を挿通し、挿通したビス431にナット432を螺合することにより、環状部41を閉状態に保持することができる。また、ビス431およびナット432の螺合を解除することにより、環状部41を閉状態から開状態に移行させることが可能となる。
【0028】
なお、ナット432の周方向の一辺が、ドアノブ操作用取付具1の壁面、たとえば、第2の押圧部6における環状部41側の面に当接(たとえば密着)するような位置に、挿通孔421が設けられることが好ましい。ドアノブ操作用取付具1は、挿通孔421の周辺に、ナット432の周方向の一面が当接してナット432の回り止めとして機能し得る壁部7を有することが好ましい。ドアノブ操作用取付具1がこのような壁部7を有することにより、壁部7がビス431とナット432とを締結する際のナット432の回り止めの機能を果たすので、締結作業を容易に行うことができる。
【0029】
スペーサ44は、弾性を有し、環状部41の内側に設けられる。スペーサ44は、たとえば、ゴム等の弾性材料により構成される。スペーサ44は、ドアノブ2の把持部22の外形に追従するように変形することで、ドアノブ操作用取付具1が把持部22から外れるのを抑制する。また、スペーサ44は、周方向の一部に開放部411を有する環状の部材として構成される。詳細には、スペーサ44は、断面略C字状で、把持部22の軸心方向Xに所定長さを有する部材である。スペーサ44の長さは、たとえば、環状部41の軸方向の長さと略同じ長さであってもよいし、短くてもよい。スペーサ44は、環状部41とは別体に構成されていてもよいし、一体に構成されていてよい。
【0030】
図6は、本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具を用いてドアノブを操作する様子を示す図であり、ドアノブを回動させる前の状態を示す図である。図7は、本発明の一施形態のドアノブ操作用取付具を用いてドアノブを操作する様子を示す図であり、ドアノブを回動させた状態を示す図である。なお、図6および図7は、ドアノブ操作用取付具1をドア3とは反対側から見た状態で示している。
【0031】
図6に示されるように、第1の押圧部5は、固定部4がドアノブ2の把持部22に固定された状態で、ドアノブ2を操作するユーザの手首WRまたは手首付近の部位によって、ドアノブ2が回動する回動方向R1へ押圧される。手首付近の部位は、第1の押圧部5および第2の押圧部6を指で触れない手首WR周辺の位置であれば、特に限定されない。第1の押圧部5は、ドアノブ操作用取付具1が把持部22に固定された状態において、手首WRまたは手首付近の部位によって回動方向R1へ押圧可能な位置に設けられている。詳細には、第1の押圧部5は、固定部4が把持部22に固定された状態において、固定部4と第2の押圧部6との間に位置するように設けられている。
【0032】
第1の押圧部5の形状は特に限定されないが、たとえば板状に形成されている。方向Z(図4参照)における第1の押圧部5の幅は、第1の押圧部5を押圧する手首WRまたは手首付近の部位の幅以上の大きさである。
【0033】
ドアノブ操作用取付具1がドアノブ2に固定された状態において、ドアノブ2の回動前の状態(図6参照)では、第1の押圧部5は、ドアノブ2の先端221に近づくにつれてドアノブ2における把持部22の軸心222からの高さhが高くなるように傾斜した傾斜面51を有する。ドアノブ2が所定位置まで回動した状態(図7参照)では、第1の押圧部5の傾斜面51が水平に近づく方向に回動して、第1の押圧部5に載置されたユーザの手首WRまたは手首付近の部位と肘ELとの間の腕ARが、水平に近づくような姿勢となる。図6および図7では、水平方向を矢印Hで表している。
【0034】
第1の押圧部5は、延出部42に対して所定の角度で傾斜するように設けられている。延出部42に対する第1の押圧部5の傾斜角度は、たとえば、10°~30°の範囲内の値であり、好ましくは、たとえば15°~25°である。
【0035】
第2の押圧部6は、第1の押圧部5が回動方向へ押圧されることに伴い、ドアノブ2が所定位置まで回動した状態(図7参照)で、ユーザの手首WRまたは手首付近の部位によって、ドア3が開く方向R2(図4参照)へ押圧される部分である。ここで、ドア3が開く方向R2は、ユーザがドア3を手前側に引く方向(ドア3がユーザに近づく方向)、すなわち、図6および図7における紙面奥側から紙面手前側へ向かう方向である。
【0036】
第2の押圧部6は、ユーザがドア3を手前に引く操作をするときに、手首WRまたは手首付近の部位が引っ掛かる面を有している。第2の押圧部6の形状は特に限定されないが、たとえば板状に形成されている。第2の押圧部6は、固定部4が把持部22に固定された状態において、固定部4および第1の押圧部5よりもユーザ側に位置するように設けられている。詳細には、第2の押圧部6は、延出部42における環状部41とは反対側の端部から延出部42に対して略直角をなす方向へ延出している。具体的には、右手用操作部RHの第2の押圧部6は、延出部42における環状部41とは反対側の端部から左手用操作部LHとは反対側へ延出している。また、左手用操作部LHの第2の押圧部6は、延出部42における環状部41とは反対側の端部から右手用操作部RHとは反対側へ延出している。本実施形態では、各第2の押圧部6は、たとえば、略円形状または略円弧状に延出している。また、環状部41の開放部411が閉じられた状態において、各第2の押圧部6は、互いに接触している。
【0037】
また、右手用操作部RHの第1の押圧部5は、延出部42に対して左手用操作部LHとは反対側に位置している。右手用操作部RHの第1の押圧部5は、右手用操作部RHの第2の押圧部6における環状部41側の面に一体的に接続されている。また、左手用操作部LHの第1の押圧部5は、延出部42に対して右手用操作部RHとは反対側に位置している。左手用操作部LHの第1の押圧部5は、左手用操作部LHの第2の押圧部6における環状部41側の面に一体的に接続されている。
【0038】
また、第2の押圧部6における環状部41側の面には、補強用のリブ61が形成されている。本実施形態では、複数のリブ61が、延出部42側から延出部42とは反対側に延びるように設けられている。
【0039】
次に、ドアノブ操作用取付具1の使用方法の一例について、図6図10を参照しつつ説明する。なお、ここでは、右手操作用のドアノブ2を右手で操作する場合について説明する。右手操作用のドアノブ2は、たとえば、ドア3を正面視したときに、ドア3の左側に設けられているドアノブである。右手操作用のドアノブ2では、把持部22は、基部21の先端から右側へ延出している。
【0040】
図8図10は、本発明の一実施形態のドアノブ操作用取付具をドアノブに取り付ける様子の一例を示す斜視図である。
【0041】
まず、図8に示されるように、ドアノブ2における把持部22にスペーサ44を装着する。詳細には、たとえば、スペーサ44の開放部411を開いて、把持部22の周囲を包囲するようにスペーサ44を把持部22に装着する。
【0042】
次に、図8に示されるように、ドアノブ操作用取付具1を、スペーサ44を介して把持部22に取り付ける。詳細には、たとえば、ドアノブ操作用取付具1の固定部4における開放部411を開いて、スペーサ44の周囲を包囲するように、環状部41を把持部22の外周に嵌める。そして、図9に示されるように、ビス431およびナット432によって、左手用操作部LHおよび右手用操作部RHを締結する。本実施形態では、環状部41は、弾性を有するスペーサ44を介して把持部22に固定されるので、把持部22の形状に関わらず、スペーサ44が変形して環状部41を把持部22に強固に固定することができる。
【0043】
なお、図8で示した方法に代えて、図10に示す方法により、ドアノブ操作用取付具1を把持部22に固定してもよい。すなわち、ドアノブ操作用取付具1の固定部4における開放部411を開いて、ドアノブ2の先端221から環状部41の軸方向における一端部を挿入し、次に、環状部41を把持部22の軸心方向Xに沿って基部21側へスライドさせ、次に、図9に示すように、ビス431およびナット432によって、左手用操作部LHおよび右手用操作部RHを締結してもよい。
【0044】
また、ドアノブ操作用取付具1を把持部22に固定する際、ドアノブ操作用取付具1および把持部22の間に、必ずしもスペーサ44を介在させなくてもよい。
【0045】
次に、図6に示されるように、ドアノブ操作用取付具1の右手用操作部RHにおける第1の押圧部5の傾斜面51に、ユーザの右手の手首WRまたは手首付近の部位を上側から押し当てる。そして、手首WRまたは手首付近の部位によって、ドアノブ2が回動する回動方向R1へ傾斜面51を押圧する。これにより、ドアノブ2の把持部22が回動方向R1へ所定位置まで回動する(図7参照)。詳細には、手首WRまたは手首付近の部位と肘ELとの間の腕ARが水平に近づくような姿勢となるまで、ドアノブ2を回動させる。ドアノブ2の把持部22が所定位置まで回動すると、ドア3とドア枠とを係合する空錠が外れて、ドア3をドア枠に対して開くことが可能になる。
【0046】
腕ARが水平に近づくような姿勢となるまでドアノブ2を回動させることにより、手首WRまたは手首付近の部位によってドア3を開く動作、すなわち第2の押圧部6を手首WR等によって手前側に引っ張る動作を行いやすくなる。仮に、腕ARが傾斜した状態で第2の押圧部6を手首WR等によって手前側に引っ張ってドア3を開ける場合には、手前側に引っ張る動作を行いにくい可能性がある。これに対し、腕ARが水平に近づくような姿勢となるまでドアノブ2を回動させた状態で、第2の押圧部6を手前側に引っ張る動作は行いやすいので、ドア3を容易に開けることができる。
【0047】
次に、手首WRまたは手首付近の部位によって、ドア3が開く方向R2へ第2の押圧部6を押圧する。これにより、ドア3が開く。
【0048】
一方、ドア3を閉じる場合には、右手用操作部RHおよび左手用操作部LHの少なくともいずれか一方における第2の押圧部6を、手首WRまたは手首付近の部位によって、ドア3が閉じる方向へ押圧する。これにより、ドア3がドア枠へ向かって回動し、ドア3が閉じる。
【0049】
本実施形態では、レバー型のドアノブ2にドアノブ操作用取付具1を固定した後、第1の押圧部5を手首WRまたは手首付近の部位で押圧してドアノブ2を所定位置まで回動させてドア3の空錠を外し、次に、第2の押圧部6をドア3が開く方向R2へ押圧してドア3を開くことができる。したがって、レバー型のドアノブ2を容易に操作してドア3を容易に開くことができる。また、手首WRまたは手首付近の部位を使ってドア3を開ける動作を行うことにより、掌(てのひら)でドアノブ2を握ってドア3を開ける場合と比べて、手に付着したウイルスが口や目から体内に侵入する間接的な接触感染の可能性を低減することができる。
【0050】
また、本実施形態では、第1の押圧部5の傾斜面51が水平に近づく方向へ傾斜面51を押圧し、ユーザの手首または手首付近の部位と肘との間の腕が水平に近づくような姿勢となるまで肘を下げるだけで、ドア3の空錠が外れるような所定位置までドアノブ2を回動させることができるため、ドア3を開く操作をより容易に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態では、左手用操作部LHおよび右手用操作部RHが設けられているため、ドアノブ2に対するドアノブ操作用取付具1の固定の向きを上下逆にするだけで、左手操作用のドアノブおよび右手操作用のドアノブのいずれの操作にも容易に対応することができる。
【0052】
また、本実施形態では、環状部41を開いて環状部41内にドアノブ2の把持部22を嵌め込んだ後、ビス431およびナット432のような締結部43で環状部41を閉状態に保持することができるため、ドアノブ2へのドアノブ操作用取付具1の固定を簡易な構成で容易に行うことができる。
【0053】
また、本実施形態では、環状部41の内側に、弾性を有するスペーサ44が設けられてるため、ドアノブ2における把持部22の形状に関わらず、把持部22と環状部41との間の隙間をスペーサ44が弾性変形して埋めるので、様々な形状のレバー型のドアノブ2にドアノブ操作用取付具1を確実に固定することができる。また、スペーサ44が滑り止めとして機能するので、ドアノブ操作用取付具1の脱落を防止することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、左手用操作部LHを右手用操作部RHに対して上側に配置した状態で、ドアノブ操作用取付具1を左手操作用のドアノブに固定し、左手の手首または手首付近の部位によってドアを開閉してもよい。
【0055】
また、本実施形態では、左手用操作部LHおよび右手用操作部RHのいずれか一方のみを設ける構成であってもよい。
【0056】
また、本実施形態では、ドアノブ操作用取付具1がドアノブ2に固定された状態において、ドアノブ2の回動前の状態において、第1の押圧部5は把持部22の軸心222からの高さが一定である構成であってもよい。
【0057】
また、本実施形態では、環状部41は、開放部411を有さない構成であってもよい。たとえば、環状部41をゴム等の弾性部材よって筒状に構成し、環状部41にドアノブ2の把持部22が挿入されて、環状部41が把持部22に弾性的に固定される構成であってもよい。
【0058】
また、本実施形態では、固定部4の環状部41は軟質の合成樹脂により構成されてもよい。この場合、軟質の環状部41と、硬質の他の部分とは、二色成形により形成することができる。この構成によれば、環状部41に薄肉部を形成することなく、環状部41の開放部411を容易に開閉することができる。
【0059】
また、環状部41は、ドアノブ2に固定される構成であればよく、たとえば、把持部22の周囲の一部を包囲した状態で把持部22に固定される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 ドアノブ操作用取付具
2 レバー型のドアノブ
21 基部
22 把持部
221 ドアノブの先端
222 把持部の軸心
3 ドア
4 固定部
41 環状部
411 開放部
412、413 環状部の端部
414 環状部のヒンジ部
42 延出部
421 挿通孔
43 締結部
431 ビス
432 ナット
44 スペーサ
5 第1の押圧部
51 傾斜面
6 第2の押圧部
61 第2の押圧部のリブ
7 壁部
EL 肘
AR 腕
h 把持部の軸心からの傾斜面の高さ
H 水平方向
LH 左手用操作部
RH 右手用操作部
WR 手首
X 把持部の軸心方向
Y 把持部の軸心方向に対して直角で、かつドアの一面に平行な方向
Z 把持部の軸心方向に対して直角で、かつドアの一面の法線に平行な方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10