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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022037683
(43)【公開日】2022-03-09
(54)【発明の名称】除菌システム
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/12 20060101AFI20220302BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
A61L9/12
A61L9/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020141938
(22)【出願日】2020-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】門脇 昌作
(72)【発明者】
【氏名】古川 修三
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA16
4C180BB06
4C180CA06
4C180DD09
4C180EA17X
4C180EA58X
4C180FF07
4C180GG11
4C180GG17
4C180HH05
4C180KK04
4C180LL06
(57)【要約】
【課題】場所を取ることなく室内の空気を除菌することが可能な除菌システムを提供する。
【解決手段】次亜塩素酸が含まれる次亜塩素酸水を貯溜するリザーブタンク30と、建物1と一体化するように設置され、次亜塩素酸水の次亜塩素酸を空気に含ませると共に当該空気を室内へ供給することで、室内の空気を除菌する空気清浄ユニット60と、リザーブタンク30から空気清浄ユニット60へと次亜塩素酸水を供給するための給水管40と、を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除菌成分が含まれる除菌水を貯溜する貯溜部と、
建物と一体化するように設置され、前記除菌水の前記除菌成分を空気に含ませると共に当該空気を室内へ供給することで、前記室内の空気を除菌する除菌部と、
前記貯溜部から前記除菌部へと前記除菌水を供給するための供給管と、
を具備する、
除菌システム。
【請求項2】
前記除菌部は、
複数設置されるものであり、
前記供給管は、
前記貯溜部と前記複数の除菌部とを接続する、
請求項1に記載の除菌システム。
【請求項3】
前記除菌部は、
前記建物のうち、天井部に設置される、
請求項1又は請求項2に記載の除菌システム。
【請求項4】
前記除菌部は、
空気が導入される導入口、及び前記室内へと空気を吹き出す前記吹出口が形成された筐体と、
前記導入口から前記吹出口へと向かう空気の流れを生成するファンと、
前記導入口から前記吹出口へと向かう空気の流通経路上に配置されるフィルターと、
前記供給管から前記除菌水が供給されると共に当該除菌水を前記フィルターに含浸させる含浸部と、
を具備する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の除菌システム。
【請求項5】
前記フィルターは、
前記ファンよりも前記空気の流通経路における下流側に配置される、
請求項4に記載の除菌システム。
【請求項6】
前記含浸部は、
前記供給管を介して供給された前記除菌水を前記フィルターに向けて噴霧又は滴下する吐出部を具備する、
請求項4又は請求項5に記載の除菌システム。
【請求項7】
前記含浸部は、
前記供給管を介して供給された前記除菌水に前記フィルターの一部を浸す浸水部を具備する、
請求項4から請求項6までのいずれか一項に記載の除菌システム。
【請求項8】
前記室内における人の在室情報を取得可能な情報取得部と、
前記含浸部による前記除菌水の前記フィルターへの含浸量を調整可能な調整部と、
前記情報取得部が取得した前記在室情報に基づいて、前記調整部を制御する第一制御部と、
をさらに具備する、
請求項4から請求項7までのいずれか一項に記載の除菌システム。
【請求項9】
前記フィルターよりも前記空気の流通経路における上流側に配置され、前記フィルターへ向かう空気を乾燥させる乾燥部をさらに具備する、
請求項4から請求項8までのいずれか一項に記載の除菌システム。
【請求項10】
前記室内における人の在室情報を取得可能な情報取得部と、
前記除菌部による前記室内の空気の除菌の可否を切り替え可能な切替部と、
前記情報取得部が取得した前記在室情報に基づいて、前記切替部を制御する第二制御部と、
をさらに具備する、
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の除菌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気を除菌するための除菌システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の空気を除菌するための除菌システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の空気除菌装置(除菌システム)は、筐体及び気液接触部材等を具備する。筐体には、空気の吸込口及び吹出口が形成される。気液接触部材は、活性酸素種を含んだ電解水により湿潤される気液接触面を有し、筐体内に設けられる。空気除菌装置は、吸込口を介して室内の空気を筐体内へ導入し、当該空気を気液接触面と接触させる。空気除菌装置は、こうして除菌した空気を吹出口を介して室内へ戻すことで、室内の空気を除菌することができる。
【0004】
特許文献1に記載の空気除菌装置は、室内に設置する場合に、例えば床部に載置する必要があるため、場所を取ってしまう点で不利であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-48759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、場所を取ることなく室内の空気を除菌可能な除菌システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、除菌成分が含まれる除菌水を貯溜する貯溜部と、建物と一体化するように設置され、前記除菌水の前記除菌成分を空気に含ませると共に当該空気を室内へ供給することで、前記室内の空気を除菌する除菌部と、前記貯溜部から前記除菌部へと前記除菌水を供給するための供給管と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記除菌部は、複数設置されるものであり、前記供給管は、前記貯溜部と前記複数の除菌部とを接続するものである。
【0010】
請求項3においては、前記除菌部は、前記建物のうち、天井部に設置されるものである。
【0011】
請求項4においては、前記除菌部は、空気が導入される導入口、及び前記室内へと空気を吹き出す前記吹出口が形成された筐体と、前記導入口から前記吹出口へと向かう空気の流れを生成するファンと、前記導入口から前記吹出口へと向かう空気の流通経路上に配置されるフィルターと、前記供給管から前記除菌水が供給されると共に当該除菌水を前記フィルターに含浸させる含浸部と、を具備するものである。
【0012】
請求項5においては、前記フィルターは、前記ファンよりも前記空気の流通経路における下流側に配置されるものである。
【0013】
請求項6においては、前記含浸部は、前記供給管を介して供給された前記除菌水を前記フィルターに向けて噴霧又は滴下する吐出部を具備するものである。
【0014】
請求項7においては、前記含浸部は、前記供給管を介して供給された前記除菌水に前記フィルターの一部を浸す浸水部を具備するものである。
【0015】
請求項8においては、前記室内における人の在室情報を取得可能な情報取得部と、前記含浸部による前記除菌水の前記フィルターへの含浸量を調整可能な調整部と、前記情報取得部が取得した前記在室情報に基づいて、前記調整部を制御する第一制御部と、をさらに具備するものである。
【0016】
請求項9においては、前記フィルターよりも前記空気の流通経路における上流側に配置され、前記フィルターへ向かう空気を乾燥させる乾燥部をさらに具備するものである。
【0017】
請求項10においては、前記室内における人の在室情報を取得可能な情報取得部と、前記除菌部による前記室内の空気の除菌の可否を切り替え可能な切替部と、前記情報取得部が取得した前記在室情報に基づいて、前記切替部を制御する第二制御部と、をさらに具備するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
請求項1においては、場所を取ることなく室内の空気を除菌することができる。
【0020】
請求項2においては、貯溜部のメンテナンス性を向上させることができる。
【0021】
請求項3においては、室内の空気を効率的に除菌することができる。
【0022】
請求項4においては、空気に除菌成分を簡単に含ませることができる。
【0023】
請求項5においては、除菌成分を室内へ供給し易くすることができる。
【0024】
請求項6においては、除菌部の構成を簡素化することができる。
【0025】
請求項7においては、フィルターに除菌水を含浸させ易くすることができる。
【0026】
請求項8においては、情報取得部の在室情報に応じて、除菌水の含浸量を調整することができる。
【0027】
請求項9においては、室内の空気を効率的に除菌することができる。
【0028】
請求項10においては、情報取得部の在室情報に応じて、室内の空気を除菌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第一実施形態に係る除菌システムが適用された建物を示す図。
図2】空気清浄ユニットの構成を示す図。
図3】空気清浄ユニット内を流通する空気の流れを示す図。
図4】第二実施形態に係る空気清浄ユニットの構成を示す図。
図5】第二実施形態に係る空気清浄ユニット内を流通する空気の流れを示す図。
図6】第三実施形態に係る除菌システムが適用された建物を示す図。
図7】(a)第四実施形態に係る除菌システムが適用された建物を示す拡大図。(b)第四実施形態に係る空気清浄ユニット及びエアコンを流通する空気の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、図1を参照して、第一実施形態に係る除菌システム20が設けられる建物1の構成について説明する。
【0031】
建物1は、二階建ての高齢者施設である。建物1は、外壁部2、床部3、天井部4及び仕切り壁部5等を具備する。
【0032】
外壁部2は、建物1の外壁を成す部分である。床部3は、建物1の各階(一階部分及び二階部分)の床を成す部分である。天井部4は、各階の天井を成す部分である。仕切り壁部5は、建物1の室内空間を区画する壁である。仕切り壁部5は、各階にそれぞれ設けられる。建物1の屋内空間は、仕切り壁部5等により、風除室11、食堂12、トイレ13、共用部14及び居室15等に区画される。
【0033】
風除室11及び食堂12は、建物1の一階部分に配置される。トイレ13は、建物1の一階部分及び二階部分にそれぞれ配置される。共用部14及び居室15は、建物1の二階部分に配置される。
【0034】
次に、図1及び図2を参照して、除菌システム20の構成について説明する。
【0035】
除菌システム20は、室内の空気を除菌するためのものである。除菌システム20は、リザーブタンク30、給水管40、ポンプ50及び複数の空気清浄ユニット60を具備する。
【0036】
リザーブタンク30は、除菌水を貯溜するためのものである。除菌水は、除菌成分を含む液体である。本明細書中において除菌成分は、病原体(ウイルス等)や細菌を除去可能なものを指す。また、本明細書中において除菌成分は、次亜塩素酸であるものとする。また、本明細書中において除菌水は、次亜塩素酸水であるものとする。
【0037】
次亜塩素酸水は、リザーブタンク30内で生成される。具体的には、リザーブタンク30には、介護者(高齢者施設に居住する高齢者を介護する者)等によって、水及び塩の錠剤(塩タブレット)が投入される。リザーブタンク30内には、電極(不図示)が設けられており、投入された水(塩の錠剤が溶けた食塩水)が前記電極により電気分解される。リザーブタンク30は、こうして生成された次亜塩素酸水を貯溜する。リザーブタンク30は、共用部14に設置される(図1参照)。リザーブタンク30は、蓋体(不図示)を開けることで、内部に貯溜された次亜塩素酸水を取り出し可能に構成される。これにより、例えば、次亜塩素酸水を他の容器に移して拭き掃除等に用いることができ、利便性を向上させることができる。
【0038】
給水管40は、リザーブタンク30と後述する複数の空気清浄ユニット60とを接続する管である。給水管40の一端部は、リザーブタンク30と接続される。給水管40は、中途部で適宜分岐されると共に、当該分岐された部分の端部が空気清浄ユニット60と接続される。給水管40は、室内に露出しないように、階間(建物の一階部分の天井部4と二階部分の床部3との間)等に適宜設けられる。給水管40は、次亜塩素酸水によって腐食しない材料、例えば、樹脂等によって構成される。
【0039】
ポンプ50は、リザーブタンク30から空気清浄ユニット60へと次亜塩素酸水(除菌水)を送り出すためのものである。ポンプ50は、給水管40の中途部に設けられる。
【0040】
複数の空気清浄ユニット60は、次亜塩素酸(除菌成分)を含ませた空気を室内へ供給するためのものである。空気清浄ユニット60は、建物1の各室(風除室11等)にそれぞれ1台ずつ設置される。空気清浄ユニット60は、各室の中央部(平面視における中央部)に配置される。図2に示すように、空気清浄ユニット60は、筐体61、プレフィルター62、ファン63、除菌フィルター64及び含浸部65を具備する。
【0041】
筐体61は、プレフィルター62等を収容するための箱状の部材である。筐体61は、導入口61a、吹出口61b及び区画部61cを具備する。
【0042】
導入口61aは、室内の空気を筐体61内へ導入するための部分である。導入口61aは、筐体61の下面における中央部に形成される。吹出口61bは、筐体61内の空気を室内へ吹き出すための部分である。吹出口61bは、筐体61の下面における外側に複数形成される。
【0043】
区画部61cは、筐体61の内部空間を区画するための部分である。区画部61cは、導入口61aの周囲を囲むように形成される。区画部61cは、筐体61の下端部から上方へ延出するように形成される。区画部61cの上端部は、筐体61の上下中途部に位置する。区画部61cは、筐体61の内部空間を、第一空間S1、第二空間S2及び第三空間S3に区画する。
【0044】
第一空間S1は、区画部61cの内側の空間である。第一空間S1は、導入口61aを介して室内の空間と連通される。第二空間S2は、区画部61cの上方の空間である。第三空間S3は、区画部61cの外側の空間である。第三空間S3は、吹出口61bを介して室内の空間と連通される。また、第三空間S3は、第二空間S2を介して第一空間S1と連通される。
【0045】
プレフィルター62は、粒子径の比較的大きな粗塵を捕集するためのものである。プレフィルター62は、導入口61aの上方(第一空間S1)に設けられる。
【0046】
ファン63は、導入口61aから吹出口61bへ向かう空気の流れを生成するためのものである。ファン63は、プレフィルター62の上方(第一空間S1)に配置される。ファン63は、羽根63aを回転させることにより、導入口61aを介して室内の空気を吸い込んで、上方へ送り出すことができる。当該空気は、第一空間S1、第二空間S2及び第三空間S3を順番に流通し、吹出口61bを介して筐体61外へ吹き出される。第一実施形態においては、このような導入口61aから吹出口61bへ向かう空気の流通方向を基準として、上流側及び下流側を定義する。
【0047】
除菌フィルター64は、プレフィルター62よりも目の細かいフィルター(例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルター)である。除菌フィルター64は、後述するように、次亜塩素酸水が含浸されることにより、除菌機能を有する。除菌フィルター64は、ファン63の下流側(上方)に配置される。除菌フィルター64は、後述するように、空気が通過することで当該空気の除菌を行うことができる。
【0048】
含浸部65は、次亜塩素酸水を除菌フィルター64に含浸させるためのものである。含浸部65は、除菌フィルター64の上方に配置される。含浸部65は、接続管65a及びノズル65bを具備する。
【0049】
接続管65aは、給水管40と接続される管である。接続管65aの一端部は、給水管40と接続される。接続管65aの他端部は、除菌フィルター64の上方に配置される。接続管65aは、次亜塩素酸水によって腐食しない材料、例えば、樹脂等によって構成される。
【0050】
ノズル65bは、次亜塩素酸水を吐出する部分である。ノズル65bは、接続管65aの下部に取り付けられる。ノズル65bは、接続管65aの中途部から他端部に亘って複数配置される。ノズル65bは、接続管65aを流通する次亜塩素酸水を除菌フィルター64へ向けて噴霧することができる。
【0051】
上述の如く構成される空気清浄ユニット60は、天井部4に筐体61の下端部が適宜固定されることで、天井部4に設置される。こうして、空気清浄ユニット60は、筐体61の下端部が天井部4(天井面)と概ね同一の高さ位置に配置され、天井部4と一体化するように設置される。このように、空気清浄ユニット60は、ビルトインタイプの構造となっている。また、空気清浄ユニット60は、建物1の建築時に設置される。
【0052】
以下では、図1及び図3を参照して、除菌システム20で室内の空気を除菌する流れについて説明する。なお、図3に細線で示す矢印は、次亜塩素酸水の流れを示すものである。また、太線で示す矢印は、空気の流れを示すものである。
【0053】
除菌システム20は、図1に示すポンプ50を駆動させることで、リザーブタンク30内の次亜塩素酸水を給水管40を介して空気清浄ユニット60へ供給する。当該次亜塩素酸水は、図3に示すように、含浸部65の接続管65aからノズル65bへと流通し、除菌フィルター64へ向けて噴霧される。これによって、除菌フィルター64には、次亜塩素酸水が含浸(湿潤)される。
【0054】
また、空気清浄ユニット60は、ファン63を駆動させることで、室内の空気を導入口61aを介して筐体61内へ導入し、プレフィルター62を通過させる。この際、空気に含まれる粗塵が捕集される。当該空気は、ファン63を通過した後で、次亜塩素酸水が含浸された除菌フィルター64を通過する。
【0055】
このとき、空気が次亜塩素酸水と接触し、当該空気に含まれる病原体や細菌等が次亜塩素酸によって除去される。また、臭いの原因となる物質(例えば、アンモニア等)も次亜塩素酸によって除去される。こうして、病原体等が除去された空気は、除菌フィルター64の下流側(第二空間S2及び第三空間S3)を流通して吹出口61bから室内へ吹き出される。これによって、空気清浄ユニット60は、室内の空気に含まれる病原体等を、筐体61内で除去して室内へ戻す(還気する)ことができる。
【0056】
また、空気が除菌フィルター64を通過する際に、次亜塩素酸水は揮発される。こうして揮発された次亜塩素酸水(蒸気)は、空気と共に除菌フィルター64の下流側へと流通し、吹出口61bから室内へ吹き出される。このように、空気清浄ユニット60は、ポンプ50及びファン63の駆動により、次亜塩素酸(次亜塩素酸水の蒸気)を含ませた空気を室内へ供給することができる。これによれば、除菌システム20は、室内を浮遊する病原体等を次亜塩素酸で除去し、室内の空気を除菌することができる。
【0057】
また、空気清浄ユニット60(吹出口61b)を各室の中央部に配置することで、次亜塩素酸を含ませた空気を室内の全域へ供給し易くすることができる。
【0058】
当該除菌システム20の空気清浄ユニット60は、上述の如く、天井部4と一体化された状態となっている。すなわち、空気清浄ユニット60は、床部3に載置されるのではなく、室内で家具等を設置可能(例えば、床部3に載置可能)なスペースを減らさないように、建物1の構造部分に対して固定された状態となっている。なお、本明細書において建物1の構造部分は、建物1を構成する各種部材、具体的には、外壁部2、床部3、天井部4及び仕切り壁部5等を指す。このように、天井部4(構造部分)と一体化された構成によれば、場所を取ることなく空気清浄ユニット60を建物1の各室に設置して、室内の空気を除菌することができる。また、除菌のために必要な室内のスペースを減らして、室内のスペースを広く使うことができる。
【0059】
また、除菌システム20は、ポンプ50の駆動を停止することで、空気清浄ユニット60への次亜塩素酸水の供給を停止して、空気の清浄(粗塵の捕集)のみを行うことができる。これによって、必要に応じて室内の空気の除菌を行うことができ、利便性を向上させることができる。
【0060】
以上の如く、第一実施形態に係る除菌システム20は、除菌成分(次亜塩素酸)が含まれる除菌水(次亜塩素酸水)を貯溜するリザーブタンク30(貯溜部)と、建物1と一体化するように設置され、前記除菌水の前記除菌成分を空気に含ませると共に当該空気を室内へ供給することで、前記室内の空気を除菌する空気清浄ユニット60(除菌部)と、前記リザーブタンク30から前記空気清浄ユニット60へと前記除菌水を供給するための給水管40(供給管)と、を具備するものである。
【0061】
このように構成することにより、場所を取ることなく室内の空気を除菌することができる。
【0062】
また、前記空気清浄ユニット60は、複数設置されるものであり、前記給水管40は、前記リザーブタンク30と前記複数の空気清浄ユニット60とを接続するものである。
【0063】
このように構成することにより、リザーブタンク30の設置台数を空気清浄ユニット60の設置台数よりも少なくすることができる。これにより、リザーブタンク30のメンテナンス性を向上させることができる。
特に、第一実施形態において給水管40は、1つのリザーブタンク30と全ての空気清浄ユニット60とを接続している(図1参照)。このような構成によれば、次亜塩素酸水を補給する箇所(メンテナンス箇所)を1つに集約し、リザーブタンク30のメンテナンス性を効果的に向上させることができる。
【0064】
また、前記空気清浄ユニット60は、前記建物1のうち、天井部4に設置されるものである。
【0065】
このように構成することにより、空気清浄ユニット60から室内へ供給された空気(除菌成分を含ませた空気)の流れが家具等で阻害され難くなるため、室内の空気を効率的に除菌することができる。
【0066】
また、前記空気清浄ユニット60は、空気が導入される導入口61a、及び前記室内へと空気を吹き出す前記吹出口61bが形成された筐体61と、前記導入口61aから前記吹出口61bへと向かう空気の流れを生成するファン63と、前記導入口61aから前記吹出口61bへと向かう空気の流通経路上(第一空間S1)に配置される除菌フィルター64(フィルター)と、前記給水管40から前記除菌水が供給されると共に当該除菌水を前記除菌フィルター64に含浸させる含浸部65と、を具備するものである。
【0067】
このように構成することにより、リザーブタンク30に貯溜された除菌水を、除菌フィルター64を介して空気と接触させて、空気に除菌成分を簡単に含ませることができる。
ここで、室内へ供給された除菌成分は、徐々に落下していく。このため、室内の高い位置は、低い位置よりも除菌成分が少なくなり易い。よって、天井部4に空気清浄ユニット60を設置して導入口61aから室内の空気を導入することで、除菌成分の少ない空気を除菌フィルター64に接触させて、当該空気に除菌成分を効果的に含ませることができる。
また、第一実施形態の次亜塩素酸のように、ファン63を腐食させる可能性のあるものを除菌成分として用いる場合、天井部4に設置された空気清浄ユニット60の導入口61aから室内の空気を導入することで、除菌成分の少ない空気がファン63を通過することとなって、ファン63の腐食を効果的に防止できる。
【0068】
また、前記除菌フィルター64は、前記ファン63よりも前記空気の流通経路における下流側に配置されるものである。
【0069】
このように構成することにより、除菌成分がファン63に付着し難くなるため、除菌成分を室内へ供給し易くすることができる。
また、第一実施形態の次亜塩素酸のように、ファン63を腐食させる可能性のあるものを除菌成分として用いる場合、ファン63よりも下流側に除菌フィルター64を配置することで、ファン63が腐食することを効果的に防止できる。
【0070】
また、前記含浸部65は、前記給水管40を介して供給された前記除菌水を前記除菌フィルター64に向けて噴霧又は滴下するノズル65b(吐出部)を具備するものである。
【0071】
このような構成によれば、含浸部65に供給された除菌水を排水する排水管が必要ないため、空気清浄ユニット60の構成を簡素化することができる。
【0072】
なお、第一実施形態に係るリザーブタンク30は、本発明に係る貯溜部の実施の一形態である。
また、第一実施形態に係る空気清浄ユニット60は、本発明に係る除菌部の実施の一形態である。
また、第一実施形態に係る給水管40は、本発明に係る供給管の実施の一形態である。
また、第一実施形態に係る除菌フィルター64は、本発明に係るフィルターの実施の一形態である。
また、第一実施形態に係るノズル65bは、本発明に係る吐出部の実施の一形態である。
【0073】
以上、本発明の第一施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0074】
例えば、第一実施形態において建物1は、高齢者施設であるものとしたが、建物1の種類はこれに限定されるものでなく、福祉施設、集合住宅、病院及び戸建て住宅等であってもよい。
【0075】
また、除菌水は、次亜塩素酸水であるものとしたが、除菌水の種類はこれに限定されるものではない。除菌水は、例えば、次亜塩素酸ナトリウム液やオゾン水等であってもよい。
【0076】
また、除菌成分は、次亜塩素酸であるものとしたが、除菌成分の種類はこれに限定されるものではない。除菌成分は、例えば、オゾン等であってもよい。
【0077】
また、空気清浄ユニット60は、各室に1台ずつ設置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、各室に複数台設置されるものであってもよい。
【0078】
また、空気清浄ユニット60は、建物1を建築する際に設置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、建築後に設置される(後付けされる)ものであってもよい。
【0079】
また、空気清浄ユニット60は、筐体61の下端部が天井部4の下端部と概ね同一の高さ位置に配置された(天井部4に埋め込まれるように設置された)が、これに限定されるものではなく、例えば、上端部が天井部4に固定されて全体が露出するように設置されていてもよい。
【0080】
また、空気清浄ユニット60は、各室の中央部に配置されるものとしたが、各室における空気清浄ユニット60の配置はこれに限定されるものではなく、中央部以外の部分に配置されるものであってもよい。空気清浄ユニット60は、例えば、各室の出入り口の近傍に配置されていてもよい。このような構成により、室外の除菌されていない空気が室内へ侵入し難くなる。
【0081】
また、空気清浄ユニット60は、除菌対象となる室の空気を筐体61内へ導入するものとしたが、筐体61内へ導入する空気はこれに限定されるものではない。空気清浄ユニット60は、例えば、他の室からの空気や屋外からの空気を筐体61内へ導入してもよい。
【0082】
また、空気清浄ユニット60は、天井部4に設置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、建物1の他の構造部分(外壁部2や床部3等)に設置されるものであってもよい。
【0083】
また、空気清浄ユニット60は、複数設置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、1台だけ設置されるものであってもよい。
【0084】
また、第一実施形態においては、1台のリザーブタンク30が全ての空気清浄ユニット60と接続されるものとしたが、これに限定されるものではない。リザーブタンク30及び空気清浄ユニット60は、例えば、設置台数等に応じて適宜接続されるものであってよい。具体的には、例えば、リザーブタンク30が2台、空気清浄ユニット60が10台設置される場合、一方のリザーブタンク30が5台の空気清浄ユニット60と接続されると共に、他方のリザーブタンク30が残りの5台の空気清浄ユニット60と接続されるものであってもよい。
【0085】
また、筐体61内に導入された空気は、第一空間S1、第二空間S2及び第三空間S3を順番に流通するものとしたが、空気の流通方向は、これに限定されるものではない。例えば、筐体61の導入口61a及び吹出口61bの配置を逆にして、筐体61内に導入された空気が、第三空間S3、第二空間S2及び第一空間S1を順番に流通するものとしてもよい。
【0086】
また、除菌フィルター64は、ファン63の下流側に配置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、ファン63の上流側に配置されていてもよい。
【0087】
また、含浸部65は、次亜塩素酸水を噴射するものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、次亜塩素酸水を滴下するものであってもよい。
【0088】
次に、第二実施形態に係る除菌システムについて説明する。
【0089】
なお、以下において、第一実施形態に係る除菌システム20と同様に構成される部材については、第一実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0090】
第二実施形態に係る除菌システムは、空気清浄ユニット160の構成のみが第一実施形態と異なっている。このため、以下においては、第二実施形態に係る空気清浄ユニット160の構成について説明し、その他の構成についての説明は省略する。
【0091】
図4に示すように、空気清浄ユニット160は、筐体161、プレフィルター162、ファン163、除菌フィルター164及び含浸部165を具備する。
【0092】
筐体161は、導入口161a、吹出口161b及び区画部161cを具備する。導入口161aは、筐体161の下面における外側に複数形成される。吹出口161bは、筐体161の下面における中央部に形成される。区画部161cは、吹出口161bの周囲を囲むように形成される。
【0093】
プレフィルター162は、区画部161cの上端部近傍(第一空間S1)に設けられる。ファン163は、プレフィルター162の下方に配置され、下方へ向けて空気を送り出すことができる。当該ファン163の駆動によって、導入口161aから筐体161内へ空気が導入される。当該空気は、第三空間S3、第二空間S2及び第一空間S1を順番に流通し、吹出口161bを介して筐体161外へ吹き出される。このように、第二実施形態においては、筐体161内における空気の流れが第一実施形態とは反対方向となっている。以下では、このような第二実施形態における空気の流通方向を基準として、上流側及び下流側を定義する。
【0094】
除菌フィルター164は、ファン163の下流側(下方)に配置される。また、除菌フィルター164は、吹出口161bの近傍(空気の流通方向における下流側端部)に配置される。除菌フィルター164は、所定の駆動源(例えば、モータ等)により、軸方向(上下方向)を中心に回転可能に構成される。
【0095】
含浸部165は、貯水タンク165a、接続管165b及び排水管165cを具備する。
【0096】
貯水タンク165aは、給水管40から供給される次亜塩素酸水(除菌水)を貯溜するものである。貯水タンク165aは、第一空間S1に配置される。貯水タンク165aの内側には、除菌フィルター164の外周部(図4における左右外側部)の一部が配置される。貯水タンク165aには、給水管40及び後述する接続管165bを介して次亜塩素酸水が供給される。除菌フィルター164の外周部の一部は、当該次亜塩素酸水に浸かった状態となる。
【0097】
接続管165bは、給水管40と貯水タンク165aと接続する管である。接続管165bは、次亜塩素酸水によって腐食しない材料、例えば、樹脂等によって構成される。
【0098】
排水管165cは、貯水タンク165aに貯溜された次亜塩素酸水を排出するための管である。排水管165cは、次亜塩素酸水によって腐食しない材料、例えば、樹脂等によって構成される。排水管165cの中途部には、バルブ(不図示)が設けられる。当該バルブを操作することで、貯水タンク165a内の次亜塩素酸水を建物1の外部へ排出することができる。
【0099】
以下では、図5を参照して、第二実施形態に係る除菌システムで室内の空気を除菌する流れについて説明する。なお、図5に細線で示す矢印は、次亜塩素酸水の流れを示すものである。また、太線で示す矢印は、空気の流れを示すものである。
【0100】
第二実施形態に係る除菌システムは、除菌フィルター164の回転及びファン163の駆動により、室内の空気を除菌する。具体的には、除菌フィルター164を回転させることで、除菌フィルター164の外周部の全周に次亜塩素酸水を含浸させる。当該次亜塩素酸水は、毛細管現象により除菌フィルター164の内周部へ吸い上げられる。こうして、除菌フィルター164の全域に次亜塩素酸水が含浸される。
【0101】
また、除菌システムは、ファン163を駆動させることで、室内の空気を導入口161aを介して筐体161内へ導入し、当該空気をプレフィルター162、ファン163及び除菌フィルター164の順に通過させる。これにより、室内の空気に含まれる病原体や細菌等を除菌フィルター164で除去することができると共に、次亜塩素酸(除菌成分)を空気に含ませることができる。当該空気は、吹出口161b(筐体161の中央部)から室内へ吹き出される。
【0102】
第二実施形態においては、除菌フィルター164の外周部の一部が貯水タンク165aの次亜塩素酸水に浸されているため、除菌フィルター164に次亜塩素酸水を確実に含浸させることができる。
【0103】
また、除菌フィルター164は、筐体161内における下流側端部に配置されている。これにより、次亜塩素酸を含ませた空気が筐体161の内側面に付着し難くなって、室内へ次亜塩素酸を効率的に供給することができる。
【0104】
なお、空気清浄ユニット160は、介護者等により、排水管165cを介して定期的に(例えば、1カ月に1回程度)貯水タンク165aの次亜塩素酸水が排出されると共に、給水管40等を介して新たに次亜塩素酸水が貯水タンク165aに供給される。こうして貯水タンク165a内の次亜塩素酸水が定期的に入れ替えられることで、貯水タンク165aの次亜塩素酸水の濃度の低下に対処して、除菌効果を保つことができる。
【0105】
以上の如く、第二実施形態において、前記含浸部165は、前記給水管40を介して供給された前記除菌水に前記除菌フィルター164の一部を浸す貯水タンク165a(浸水部)を具備するものである。
【0106】
このように構成することにより、除菌フィルター164に除菌水を含浸させ易くすることができる。
【0107】
なお、第二実施形態に係る貯水タンク165aは、本発明に係る浸水部の実施の一形態である。
【0108】
以上、本発明の第二施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0109】
例えば、第二実施形態において、筐体161内に導入された空気は、第三空間S3、第二空間S2及び第一空間S1を順番に流通するものとしたが、空気の流通方向は、これに限定されるものではない。具体的には、例えば、筐体の導入口161a及び吹出口161bの配置を逆にして、筐体161内に導入された空気が、第一空間S1、第二空間S2及び第三空間S3を順番に流通するものとしてもよい。
【0110】
次に、図6を参照して、第三実施形態に係る除菌システム220について説明する。
【0111】
なお、以下において、第一実施形態に係る除菌システム20と同様に構成される部材については、第一実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0112】
第三実施形態に係る除菌システム220は、除菌フィルター64に含浸される次亜塩素酸水の量(含浸量)を調整する点で、第一実施形態に係る除菌システム20と相違する。以下、具体的に説明する。
【0113】
除菌システム220は、リザーブタンク30、給水管40、ポンプ50、空気清浄ユニット60、バルブ270、人感センサ280及び制御部290を具備する。
【0114】
バルブ270は、空気清浄ユニット60へ供給する次亜塩素酸水の量を調整するためのものである。バルブ270は、給水管40の中途部に配置される。バルブ270は、複数の空気清浄ユニット60のそれぞれに対して1つずつ設けられる。バルブ270は、ケースに収容された弁体の開度を調整することで、空気清浄ユニット60へ供給する次亜塩素酸水の量を調整することができる。
【0115】
人感センサ280は、人を感知するセンサである。人感センサ280は、建物1の各室(空気清浄ユニット60が設置される室)に1つずつ設置される。
【0116】
制御部290は、除菌システム220の各機器を制御するためのものである。制御部290は、CPU等の演算処理装置、並びにRAMやROM等の記憶装置等を具備する。制御部290は、除菌システム220を動作させるための種々のプログラム等を前記記憶装置に格納している。制御部290は、例えば、EMS(Energy Management System)等によって構成される。制御部290は、バルブ270及び人感センサ280と信号を送受信可能に接続される。なお、図6においては、制御部290と一部のバルブ270等とが接続された状態を記載しているが、実際には制御部290と全てのバルブ270等とが接続される。
【0117】
制御部290は、バルブ270に信号を送信することで、弁体の開度(空気清浄ユニット60へ供給する次亜塩素酸水の量)を調整することができる。制御部290は、人感センサ280が人を感知した場合に、当該人感センサ280から信号を受信する。また、制御部290は、人感センサ280からの信号を解析し、建物1の各室のうち、どの室に設置された人感センサ280からの信号であるのかを判別することができる。
【0118】
以下では、除菌フィルター64の次亜塩素酸水の含浸量を調整する流れについて、具体的に説明する。
【0119】
制御部290は、人感センサ280からの信号に基づいて含浸量を調整する。より詳細には、制御部290は、人感センサ280から所定時間信号を受信しなかった場合に、当該人感センサ280が設置された室のバルブ270に信号を送信し、弁体の開度を0よりも大きな第一開度に調整する。こうして制御部290は、人が在室していないと考えられる室の空気清浄ユニット60へ次亜塩素酸水を供給し、除菌フィルター64に次亜塩素酸水を所定量含浸させる。
【0120】
一方、制御部290は、人感センサ280から信号を受信した場合に、当該人感センサ280が設置された室のバルブ270に信号を送信し、弁体の開度を第一開度よりも小さい第二開度に調整する。こうして制御部290は、人が在室していると考えられる室の空気清浄ユニット60へ供給する次亜塩素酸水の量を減らし、除菌フィルター64の次亜塩素酸水の含浸量を減らす。これによって、制御部290は、人がいる室内へ供給する次亜塩素酸の量を減らすことができる。このような構成によれば、室内で次亜塩素酸の臭いを感じ難くなるため、室内の環境を快適なものにすることができる。
【0121】
また、制御部290は、人が在室していない場合において、除菌フィルター64の次亜塩素酸水の含浸量が減っていると考えられる場合に、バルブ270に信号を送信し、弁体の開度を第一開度よりも大きな第三開度に調整する。具体的には、制御部290は、所定時間連続してファン63が駆動している場合や、所定のセンサで除菌フィルター64を通過する空気の風量が所定量を超えたことを検知した場合に、弁体の開度を第三開度に調整する。これにより、空気清浄ユニット60へ供給する次亜塩素酸水の量を増やして、除菌フィルター64の次亜塩素酸水の含浸量の低下に対応することができる。
【0122】
以上の如く、第三実施形態に係る除菌システムは、前記室内における人の在室情報を取得可能な人感センサ280(情報取得部)と、前記含浸部65による前記除菌水の前記除菌フィルター64への含浸量を調整可能なバルブ270(調整部)と、前記人感センサ280が取得した前記在室情報に基づいて、前記バルブ270を制御する制御部290(第一制御部)と、をさらに具備するものである。
【0123】
このように構成することにより、人感センサ280の在室情報に応じて、除菌水の含浸量を調整することができる。
【0124】
なお、第三実施形態に係る人感センサ280は、本発明に係る情報取得部の実施の一形態である。
また、第三実施形態に係る制御部290は、本発明に係る第一制御部の実施の一形態である。
また、第三実施形態に係るバルブ270は、本発明に係る調整部の実施の一形態である。
【0125】
以上、本発明の第三施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0126】
例えば、第三実施形態においては、室内における人の在室情報を人感センサ280で検知(取得)したが、これに限定されるものではなく、他の手法で検知してもよい。例えば、照明スイッチのオンオフに基づいて在室情報を検知してもよい。この場合、例えば、照明スイッチがオンとなった場合に人が在室していることを検知できると共に、オフとなった場合に人が在室していないことを検知できる。
【0127】
また、制御部290は、人感センサ280からの信号に応じて除菌フィルター64の次亜塩素酸水の含浸量を調整したが、これに限定されるものではなく、例えば、室内の除菌の可否を切り替えてもよい。具体的には、制御部290は、人感センサ280からの信号を受信した場合にバルブ270に信号を送信して弁体を閉塞すると共に、空気清浄ユニット60に信号を送信してファン63を停止する。これにより、制御部290は、人が在室していると考えられる場合に室内の除菌を停止することができる。また、制御部290は、人感センサ280から所定時間信号を受信しない場合に弁体の開度を第一開度に調整すると共に、ファン63を駆動する。これにより、制御部290は、人が在室していないと考えられる場合に室内を除菌することができる。
【0128】
なお、制御部290は、人が在室していないと考えられる場合に常に室内を除菌するのではなく、人が退出した後に所定時間だけ室内を除菌してもよい。例えば、制御部290は、人感センサ280から信号を受信しない時間が所定の閾値を超えた場合に除菌を開始し、所定時間経過後に室内の除菌を停止してもよい。これによって、室内に次亜塩素酸が過剰に供給されるのを防止することができる。
【0129】
また、人の在室情報に基づく除菌の可否は、上記構成に限定されるものではない。例えば、制御部290は、人が在室していると考えられる場合に室内の除菌を行うと共に、人が在室していないと考えられる場合に室内の除菌を停止してもよい。
【0130】
以上の如く、除菌ユニットは、前記室内における人の在室情報を取得可能な人感センサ280と、前記空気清浄ユニット60による前記室内の空気の除菌の可否を切り替え可能なバルブ270及びファン63(切替部)と、前記人感センサ280が取得した前記在室情報に基づいて、前記バルブ270及びファン63を制御する制御部290(第二制御部)と、をさらに具備するものである。
【0131】
このように構成することにより、人感センサ280の在室情報に応じて、室内の空気を除菌することができる。
【0132】
なお、バルブ270及びファン63は、本発明に係る切替部の実施の一形態である。
また、制御部290は、本発明に係る第二制御部の実施の一形態である。
【0133】
また、第三実施形態に係る除菌システム220は、第一実施形態に係る空気清浄ユニット60を具備するものとしたが、これに限定されるものではなく、第二実施形態に係る空気清浄ユニット160(図4参照)を具備してもよい。この場合、制御部290は、例えば、ファン163の駆動及び停止を切り替えることで、室内の除菌の可否を切り替えることができる。また、制御部290は、除菌フィルター164の回転数を調整することで、除菌フィルター164の次亜塩素酸水の含浸量を調整することができる。具体的には、制御部290は、除菌フィルター164の回転数を上げることで、除菌フィルター164の含浸量を増やすことができる。また、制御部290は、除菌フィルター164の回転数を下げることで、除菌フィルター164の含浸量を減らすことができる。
【0134】
次に、図7を参照して、第四実施形態に係る除菌システム320について説明する。
【0135】
なお、以下において、第一実施形態に係る除菌システム20と同様に構成される部材については、第一実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0136】
第四実施形態に係る除菌システム320は、乾燥させた空気を空気清浄ユニット360に導入する点で、第一実施形態に係る除菌システム20と相違する。以下、具体的に説明する。
【0137】
除菌システム320は、リザーブタンク30、給水管40、ポンプ50、空気清浄ユニット360、エアコン370及び案内ユニット380を具備する。
【0138】
空気清浄ユニット360は、導入口361aが筐体361の側面に形成される点を除いて、第二実施形態に係る空気清浄ユニット160同様に構成される。すなわち、空気清浄ユニット360は、筐体361の形状が空気清浄ユニット160と相違するものであり、筐体361内には、第二実施形態に係るプレフィルター162、ファン163、除菌フィルター164及び含浸部165が収容されている。
【0139】
エアコン370は、室温を調整するためのものである。エアコン370は、吸込口371から吸引した空気の温度を調整し、吹出口372から吹き出すことができる。エアコン370は、建物1の天井部4に設置される。エアコン370は、室温を調整することが望ましい室(例えば、人が比較的長い時間滞在する室等)に適宜設置される。第四実施形態においてエアコン370は、共用部14等に設置される。エアコン370の吹出口372は、第一ダクトD1を介して空気清浄ユニット360の導入口361aと接続される。
【0140】
案内ユニット380は、室内の空気を天井部4へと導くための部分である。案内ユニット380は、略箱状に形成される。案内ユニット380の下面には、グリル381が取り付けられる。案内ユニット380は、天井部4に下端部が適宜固定されることで、天井部4に設けられる。また、案内ユニット380は、建物1の各室のうち、エアコン370が設置される室(共用部14等)に設けられる。案内ユニット380は、第二ダクトD2を介してエアコン370の吸込口371と接続される。
【0141】
以下では、図7(b)を参照して、第四実施形態に係る除菌システム320の動作について説明する。なお、図7(b)に太線で示す矢印は、空気の流れを示すものである。
【0142】
第四実施形態に係る除菌システム320は、エアコン370及び空気清浄ユニット360の動作により、室内の空気を除菌する。具体的には、エアコン370は、運転を開始することで、案内ユニット380及び第二ダクトD2を介して室内の空気を吸引する。そして、エアコン370は、吸引した空気の温度を調整し、第一ダクトD1を介して空気清浄ユニット360へ送り出す。空気清浄ユニット360の筐体361には、こうして温度が調整された空調空気が導入される。当該空調空気は、エアコン370により(暖房運転時には温度上昇による相対湿度の低下で、冷房運転及び除湿運転時には空気中の水分がエアコン370から排出されることにより)、乾燥された状態となっている。
【0143】
空気清浄ユニット360は、このような乾燥された空調空気を除菌フィルター64(図2参照)に接触させる。これによれば、除菌フィルター64に含浸された次亜塩素酸水が揮発し易くなって、次亜塩素酸を空調空気により多く含ませることができる。空気清浄ユニット360は、当該空調空気を吹出口361bを介して室内へ吹き出す。
【0144】
以上の如く、第四実施形態に係る除菌システム320は、前記除菌フィルター64よりも前記空気の流通経路における上流側に配置され、前記除菌フィルター64へ向かう空気を乾燥させるエアコン370(乾燥部)をさらに具備する、ものである。
【0145】
このように構成することにより、次亜塩素酸を空気に多く含ませて、室内の空気を効率的に除菌することができる。
【0146】
なお、第四実施形態に係るエアコン370は、本発明に係る乾燥部の実施の一形態である。
【0147】
以上、本発明の第四施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0148】
例えば、第四実施形態においては、エアコン370によって空気を乾燥させるものとしたが、これに限定されるものではなく、他の機器によって空気を乾燥させてもよい。具体的には、空気中の水分を除去する除湿器や、空気を加熱して相対湿度を低下させるヒーター等によって空気を乾燥させてもよい。
【0149】
また、第四実施形態において筐体361内には、第二実施形態に係る含浸部165等が収容されるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一実施形態に係る含浸部65等が収容されていてもよい。
【0150】
また、第四実施形態に係る除菌システム320は、第三実施形態に係る制御部290(図6参照)等を具備していてもよい。これにより、第四実施形態においても、除菌フィルター164に含浸される次亜塩素酸水の量(含浸量)を調整することができる。
【0151】
また、エアコン370は、空気清浄ユニット360が設置される室に配置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、他の室に配置されていてもよい。また、エアコン370と空気清浄ユニット360との接続関係は、特に限定されるものではなく、例えば、1台のエアコンに複数の空気清浄ユニット360が接続されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0152】
1 建物
20 除菌システム
30 リザーブタンク(貯溜部)
40 給水管(供給管)
60 空気清浄ユニット(除菌部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7